説明

媒体集積装置

【課題】コストダウンを実現し、集積台がどの位置にあっても媒体の集積有無の判断を可能とする、新規かつ改良された媒体集積装置を提供する。
【解決手段】媒体が集積される集積台164と、集積台を支持する弾性部材163と、集積台の降下を検知する集積台検知部37a、37bとを備える媒体集積装置。また、集積台は、集積台の昇降方向に対して傾斜する傾斜面を有し、該傾斜面上に前記媒体が集積される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体集積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、金融機関のATM(Automated teller machine)に代表される自動取引装置は、銀行、駅構内およびコンビニエンスストアなど、多様な場所に設置されている。顧客は、この自動取引装置に表示される表示画面において各種操作を行うことにより、入金、出金および残高照会などの取引を行うことができる。
【0003】
このような自動取引装置には、紙幣の収納及び放出を行なう紙幣収納放出庫が搭載されている。かかる紙幣収納放出庫に用いられる紙幣集積機構には、一般的に、紙幣集積台に水平方向から紙幣が送られ集積されるよう、搬送路が設けられている。該搬送路から水平方向に送られた紙幣は、紙幣集積台上に水平姿勢で上下方向に集積される。
【0004】
また、紙幣集積台に傾斜面を設け、当該傾斜面に紙幣を傾斜姿勢で集積する紙幣集積機構も提案されている(特許文献1参照)。紙幣を傾斜姿勢で集積することにより、紙幣収納部の幅を紙幣の搬送方向の辺よりも短くできるので、上記の紙幣集積機構によれば紙幣収納部の薄型化を図ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−128536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記説明した紙幣集積機構は、紙幣を集積するステージ(以下、集積台と称す)が駆動ベルトやスプリングにより上下に移動する。したがって、集積台上に紙幣が集積されているか否か検知するためには、集積台の移動方向と同じ方向に光軸を形成するセンサを設け、集積台が上下どの位置にあっても紙幣の検知が出来るようにする必要がある。
【0007】
しかし、集積台の移動距離が長い場合は、センサ間距離も長くなるため、高価な高感度のセンサが必要となり、コストがかかるという問題があった。一方、集積台の移動方向と異なる方向に光軸を形成するセンサを設けた場合は、センサ間距離を集積台の移動距離に応じて長くする必要はない。しかしながら、集積台の位置によっては集積台がセンサの光軸にかからず、センサが集積台を検知できないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、コストダウンを実現し、集積台がどの位置にあっても媒体の集積有無の判断を可能とする、新規かつ改良された媒体集積装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、媒体が集積される集積台と、前記集積台を支持する弾性部材と、前記集積台の降下を検知する集積台検知部と、を備える、媒体集積装置が提供される。
【0010】
また、前記集積台検知部は、前記集積台が所定位置より降下したか否かを検知してもよい。
【0011】
また、前記集積台は、前記集積台の昇降方向に対して傾斜する傾斜面を有し、該傾斜面上に前記媒体が集積されてもよい。
【0012】
また、前記媒体集積装置は、前記集積台が前記所定位置より上方にある場合に、前記集積台に媒体が集積されているか否かを検知可能な媒体検知部をさらに備えてもよい。
【0013】
また、前記媒体集積装置は、前記集積台検知部による検知結果と、前記媒体検知部による検知結果とに基づき、前記集積台に媒体が集積されているか否かを判断する判断部をさらに備えてもよい。
【0014】
また、前記判断部は、前記集積台が所定位置より降下した場合、又は、前記集積台に媒体が集積されていると検知された場合は、前記集積台に媒体が集積されていると判断してもよい。
【0015】
また、前記判断部は、前記集積台が所定位置より上方にあり、かつ、前記集積台に媒体が集積されていないと検知された場合は、前記集積台に媒体が集積されていないと判断してもよい。
【0016】
また、前記集積台検知部は、前記集積台の昇降方向と交わる方向に光軸を形成する、一対の発光部と受光部とから成り、前記媒体検知部は、前記集積台の昇降方向と交わる方向に光軸を形成する、一対の発光部と受光部とから成ってもよい。
【0017】
また、前記集積台検知部及び前記媒体検知部は、前記集積台に対して同じ側に設けられ、前記媒体集積装置は、前記集積台検知部の発光部から発光された光を、前記集積台検知部の受光部に導光する第1のプリズムと、前記媒体検知部の発光部から発光された光を、前記集積台検知部の受光部に導光する第2のプリズムと、をさらに備えてもよい。
【0018】
また、前記集積台は、前記集積台が所定位置より上方にある場合に、前記集積台検知部が形成する光軸を遮る第1の部材を備えてもよい。
【0019】
また、前記集積台は、前記集積台が所定位置より上方にある場合に、前記集積台検知部の発光部から発光された光を、前記集積台検知部の受光部に導光するプリズムを備えてもよい。
【0020】
また、前記集積台検知部は、前記集積台の昇降方向と交わる方向に光軸を形成する、一対の発光部と受光部とから成り、前記媒体集積装置は、前記集積台の降下に伴って、前記集積台検知部が形成する光軸を遮る位置まで降下する第2の部材を備えてもよい。
【0021】
また、前記集積台検知部は、前記光軸が前記集積台の媒体集積領域を通過し、前記集積台に媒体が集積されているか否か検知してもよい。
【0022】
また、前記媒体集積装置は、前記集積台検知部による検知結果に基づき、前記集積台に媒体が集積されているか否かを判断する判断部をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明によれば、コストダウンを実現し、集積台がどの位置にあっても媒体の集積有無の判断を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態による自動取引装置の概略外観図である。
【図2】本発明の実施形態による自動取引装置の構成を示した説明図である。
【図3】本発明の実施形態による紙幣入出金部の構成を示した説明図である。
【図4】比較例1に係るリジェクトカセットの構成を示した説明図である。
【図5】比較例2に係るリジェクトカセットの構成を示した説明図である。
【図6】比較例3に係るリジェクトカセットの構成を示した説明図である。
【図7】比較例4に係るリジェクトカセットの構成を示した説明図である。
【図8】比較例5に係るリジェクトカセットの構成を示した説明図である。
【図9】比較例6に係るリジェクトカセットの構成を示した説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るリジェクトカセットの構成を示した説明図である。
【図11】図10に示すリジェクトカセットに紙幣が集積された場合の状態遷移について示した説明図である。
【図12】図10に示すリジェクトカセットの概略斜視図である。
【図13】図10に示すリジェクトカセットに紙幣が集積された場合の概略斜視図である。
【図14】本発明の第1の実施形態に係る判断部が紙幣の集積の有無を判断する場合の各センサによる検知結果の組み合わせを示す表である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係るリジェクトカセットの構成を示した説明図である。
【図16】図15に示すリジェクトカセットに紙幣が集積された場合の状態遷移について示した説明図である。
【図17】本発明の第2の実施形態において複数の紙幣検知センサが配置された場合のリジェクトカセットの概略斜視図である。
【図18】図17に示すリジェクトカセットに紙幣が集積された場合の概略斜視図である。
【図19】本発明の第2の実施形態に係る判断部が紙幣の集積の有無を判断する場合の各センサによる検知結果の組み合わせを示す表である。
【図20】本発明の第3の実施形態に係るリジェクトカセットの構成を示した説明図である。
【図21】図20に示すリジェクトカセットに紙幣が集積された場合の状態遷移について示した説明図である。
【図22】図20に示すリジェクトカセットの概略斜視図である。
【図23】本発明の第4の実施形態に係るリジェクトカセットの構成を示した説明図である。
【図24】水平状態で集積される紙幣を示す説明図である。
【図25】傾斜姿勢で集積される紙幣を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0026】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて紙幣収納カセット34A〜34Cのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、紙幣収納カセット34A〜34Cを特に区別する必要が無い場合には、単に紙幣収納カセット34と称する。
【0027】
また、以下に説明する本発明の各実施形態では、集積台に集積される媒体の一例として紙幣を用いるが、本発明の実施形態はかかる例に限定されない。例えば、集積台に集積される媒体は、磁気カードまたはICカードなどのキャッシュカードや、通帳であってもよい。
【0028】
[1.自動取引装置の構成]
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る自動取引装置の構成について説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る自動取引装置の概略外観図である。図1に示したように、自動取引装置1は、操作/表示部10、カード/レシート取扱部11、通帳取扱部12、紙幣入出金部13、および硬貨入出金部14、を備える。
【0030】
自動取引装置1は、銀行や駅構内などの多様な場所に設置され、顧客が所望する取引を実行する。具体的には、自動取引装置1が備える操作/表示部10は、顧客操作を誘導する表示画面を表示する機能と、操作入力を受け付ける機能とを兼用する。操作/表示部10は、操作入力を受け付ける機能として、例えば、画面への接触を検知して入力を受け付けるタッチパネルを実装してもよい。
【0031】
カード/レシート取扱部11は、取引に使用するカードが挿入又は排出され、また、取引の明細(レシート)が排出される部分である。通帳取扱部12は、取引に使用する通帳が挿入又は排出される部分である。紙幣入出金部13は、紙幣の入金又は出金を行なう。硬貨入出金部14は、硬貨の入金又は出金を行なう。紙幣入出金部13及び硬貨入出金部14には、図示しない駆動部によって動作されるシャッターが設けられる。
【0032】
図2は、本発明の実施形態に係る自動取引装置1の構成を示した説明図である。図2に示したように、自動取引装置1は、操作/表示部10と、カード/レシート取扱部11と、通帳取扱部12と、紙幣入出金部13と、硬貨入出金部14と、制御部15と、HDD(Hard Disc Drive)16と、係員操作部17と、静脈認証装置18と、通信部19と、を備える。
【0033】
操作/表示部10は、顧客による操作を誘導するための表示画面を表示する表示部、および顧客操作を検出する顧客操作部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、顧客操作部としての機能は例えばタッチパネルやボタンにより実現される。なお、本明細書においては表示部および顧客操作部の機能が自動取引装置1において一体的に構成される例を説明するが、表示部および顧客操作部の機能は分離して構成されてもよい。
【0034】
カード/レシート取扱部11は、顧客が有する磁気カードまたはICカードなどのキャッシュカードからのデータの読み取り、および、取引明細であるレシートの印字などを行う。通帳取扱部12は、顧客により挿入された通帳に、自動取引装置1において行われた取引内容を印字する。
【0035】
紙幣入出金部13は、顧客に返却する紙幣や出金取引時に出金すべき紙幣の枚数を計数し、紙幣を顧客により取り出し可能な位置に搬送する。また、紙幣入出金部13は、入金取引時、顧客により入金された紙幣の枚数を計数して自動取引装置1内に保管する。
【0036】
硬貨入出金部14は、入金取引時、顧客により入金された硬貨の枚数を計数して自動取引装置1内に保管する。また、硬貨入出金部14は、出金取引時、出金すべき硬貨の枚数を計数し、硬貨を顧客により取り出し可能な位置に搬送する。
【0037】
制御部15は、自動取引装置1の動作全体を制御する。例えば、制御部15は、通信部19とホストコンピュータとの通信を制御する通信制御部、および、操作/表示部10が表示する表示画面を制御する表示制御部としての機能を有する。さらに、制御部15が有する判断部20は、後述する集積台検知センサ37及び媒体検知センサ38の検知結果に基づき、リジェクトカセット35内部の集積台164に紙幣が集積されているか否かを判断する。なお、判断部20の詳細については図14や図19などを参照して後述する。
【0038】
HDD16は、自動取引装置1を動作させるために必要な制御プログラムおよびファイルなどが格納されている。
【0039】
係員操作部17は、係員用のインターフェースであり、各部の故障や障害などの情報を表示する機能、および、各部の故障や障害に対応するための係員による捜査を受け付ける機能を有する。
【0040】
静脈認証装置18は、本人確認を行うための認証装置であり、例えば、顧客の手のひらの静脈パターンを読み取り、読み取った静脈パターンと、顧客が有するキャッシュカード内のICチップに事前に登録されている静脈パターンとを比較することにより顧客の本人確認を行う。
【0041】
通信部19は、ホストコンピュータとのインターフェースであり、通信回線を介してホストコンピュータと取引のために必要な情報を送受信する。取引のために必要な情報としては、例えば、顧客の口座番号、暗証番号、および預金残高などの顧客情報や、入金金額および出金金額などの取引内容を示す情報などがあげられる。
【0042】
[2.紙幣入出金部13の構成]
以上、図2を参照して自動取引装置1の構成を説明した。続いて、図3を参照し、自動取引装置1内の紙幣入出金部13の詳細な構成を説明する。
【0043】
図3は、紙幣入出金部13の構成を示した説明図である。図3に示したように、紙幣入出金部13は、接客部31と、鑑別部32と、一時保留部33と、紙幣収納カセット34A〜34Cと、リジェクトカセット35と、取忘れ回収庫36と、集積台検知センサ37と、紙幣検知センサ38と、を備える。
【0044】
接客部31は、入金取引時、顧客によりセットされた紙幣を分離して例えば鑑別部32に搬送する入金部として機能する。また、接客部31は、顧客に返却する紙幣や出金取引時に顧客に出金する紙幣を集積する。
【0045】
鑑別部32は、接客部31から搬送される紙幣の真偽、種別、および正損などの鑑別を行うと共に、搬送異常の検知、および種別が確定した紙幣の計数を行う。ここで、紙幣の種別とは、千円札、五千円札および一万円札のように、同一地域において利用される価値が異なる紙幣の種別である。
【0046】
一時保留部33は、入金取引時に、鑑別部32により入金可能と鑑別された紙幣を、入金が確定するまで一時的に保留する。
【0047】
紙幣収納カセット34A〜34Cは、顧客が接客部31に入金した紙幣を収納する。なお、顧客に支払う紙幣は、紙幣収納カセット34A〜34Cから取り出される。
【0048】
リジェクトカセット35は、出金取引時若しくは入金取引時に鑑別部32により顧客に繰り出さない回収用の紙幣として鑑別された紙幣を収納する。鑑別部32は、例えば、金種不明の紙幣、特定種別の紙幣、損傷のある紙幣、または汚れのある紙幣などを回収用の紙幣として鑑別してもよい。また、リジェクトカセット35に収納された紙幣は、後でオペレータにより回収される。なお、このようなリジェクトカセット35、またはリジェクトカセット35を備える自動取引装置1は、媒体(紙幣)を集積する媒体集積装置の一例である。
【0049】
取忘れ回収庫36は、出金取引時および入金取引時に顧客が取り忘れた紙幣を収納する。
【0050】
集積台検知センサ37は、リジェクトカセット35内部の、紙幣が集積される集積台を検知する。紙幣検知センサ38は、リジェクトカセット35内部の集積台に紙幣が集積されているか否かを検知する。
【0051】
[3.リジェクトカセットの比較例]
次に、リジェクトカセット内部の集積台に紙幣が集積されているか否か検知するための具体的な構成について比較例を用いて説明する。
【0052】
まず、水平方向に媒体を集積するリジェクトカセットについて図4及び図5を参照して説明する。
【0053】
(3−1.比較例1)
図4は、比較例1に係るリジェクトカセット100の構成を示す概略断面図である。リジェクトカセット100は、駆動ローラ101と、アイドルローラ102と、集積台104と、ステージスプリング103と、から構成される。リジェクトカセット100の外部には、リジェクトカセット100内の紙幣集積の有無を検知するための残留センサを構成する一対の発光部及び受光部が2組(発光部201a及び受光部201b(以下、残留センサ201と総称する)、発光部202a及び受光部202b(以下、残留センサ202と総称する))設けられている。
【0054】
リジェクトカセット100は、上述したように、集積した媒体を再び繰り出すことのない集積専用のカセットであるため、媒体集積スペース内に電気部品を配置せず、図4に示すように外部に残留センサが設けられている。
【0055】
また、リジェクトカセット100には、半折れ紙幣が収納される場合もあるため、残留センサを複数設け、集積台上の複数の箇所を検知する必要がある。
【0056】
比較例1に示すリジェクトカセット100は、図示せぬ搬送路から駆動ローラ101とアイドルローラ102とによって紙幣301をカセット内へ引き込み、集積台104上に集積する。集積台104は、ステージスプリング103によって支えられ、図示せぬスライド溝やシャフトに誘導され、集積された紙幣301の重さによって降下する。
【0057】
リジェクトカセット100に設けられた各残留センサは、集積台104の移動方向と同じ方向に光軸を形成する。したがって、集積台104が上下どの位置にあっても、集積台104上に紙幣301が集積されている場合は光軸が遮られるため、カセット内部に紙幣301が存在すると判断することができる。
【0058】
(3−2.比較例2)
図5は、比較例2に係るリジェクトカセット110の構成を示す概略断面図である。集積台104と残留センサ211(発光部211a及び受光部211b)の距離が短く、残留センサ211の感度が十分である場合は、比較例2に示すように、集積台104内に光軸を屈折させて導光するプリズム111を設けることで、センサ数や実装スペースを減らし、装置を小型化できる。
【0059】
(3−3.比較例3)
上述した各比較例に係るリジェクトカセットは、紙幣301の集積方向から(上面から)見た場合の、紙幣の搬送方向の辺に対応するリジェクトカセットの幅を、搬送路の幅と、駆動ローラ及びアイドルローラのいずれか大きい方の幅と、紙幣収納部(集積台)の幅とを合わせた大きさにする必要があり、小型化に制約があった。
【0060】
これに対し、比較例3では、図6に示すように集積台124が傾斜面を有し、リジェクトカセット上方に設けられた搬送路(図示せず)から搬送された紙幣301を該傾斜面に斜め状態で上下方向に集積する。これにより、リジェクトカセット120は、紙幣の搬送方向の辺に対応するリジェクトカセットの幅の小型化に制約がなく、薄型カセットを実現することが出来る。
【0061】
なお、残留センサ221(発光部221a、受光部221b)及び残留センサ222(発光部222a、受光部222b)は、集積台124の移動方向(昇降方向)と同じ方向に光軸を形成するよう設けられる。これにより、比較例1と同様に、集積台104が上下どの位置にあっても、集積台124上に紙幣301が集積されている場合は光軸が遮られるため、カセット内部に紙幣301が存在すると判断することができる。
【0062】
(3−4.比較例4)
また、図7に示すように、集積台134と残留センサ231(発光部231a及び受光部231b)の距離が短く、残留センサ231の感度が十分である場合は、集積台134内に光軸を屈折させて導光するプリズム131を設けることで、センサ数や実装スペースを減らし、装置を小型化できる。
【0063】
(3−5.比較例5)
上述した比較例3及び比較例4に係る薄型のリジェクトカセットは、紙幣を傾斜姿勢で集積する。紙幣を傾斜姿勢で集積することで、必要な集積空間の幅が狭くなり、薄型リジェクトカセットを実現できる。ここで、傾斜姿勢で集積した場合に必要な集積空間の高さについて、水平状態で集積した場合と比較して説明する。
【0064】
まず、水平状態で集積した場合に必要な集積空間の高さについて図24を参照して説明する。図24に示すように、水平状態で集積された紙幣301の高さがHである場合は、必要な集積空間の高さもHである。
【0065】
次に、図24に示す例と同じ枚数の紙幣301を傾斜姿勢で集積した場合に必要な集積空間の高さについて図25を参照して説明する。図25に示すように傾斜角度θで紙幣301を集積した場合に必要な集積空間の高さは、下記式(1)により求められる。
【0066】
【数1】

【0067】
このように、紙幣を傾斜姿勢で集積する薄型リジェクトカセットは、紙幣を傾ける角度θが大きいほど集積空間の幅を狭くできるが、角度θが大きいほど集積空間の高さを高くする必要がある。
【0068】
したがって、幅方向に短く、高さ方向に長い薄型リジェクトカセットでは、図6に示すように、残留センサ221が形成する光軸の破線で示す距離分だけ、図4に示す例よりもセンサ間距離が長くなる。この場合、高価な高感度のセンサが必要となるため、コストアップにつながるという問題があった。さらに、センサ間に駆動ローラ121やアイドルローラ122などがあるため、光軸を形成する位置(発光部、受光部の配置)が制限されるという問題があった。
【0069】
これに対し、図8に示す比較例5では、集積台144の移動方向(昇降方向)と異なる方向に光軸を形成する残留センサ(発光部241a、受光部241b(以下、残留センサ241と総称する))を配置することで、上記問題を解決することが出来る。リジェクトカセット140は、残留センサ241が形成する光軸が紙幣301により遮られない場合は、紙幣なしと判断する。
【0070】
(3−6.比較例6)
上述した比較例5では、集積台144に集積された紙幣301の重量と厚みの条件によっては、集積台144の降下量が想定以上となり、図8の右側に示すように、紙幣301が集積されているにも関わらず、紙幣301が光軸を遮らず、紙幣集積の有無を正しく判断できなくなる可能性もある。
【0071】
これに対し、比較例6に係るリジェクトカセット150では、図9に示すように、集積台144の移動範囲に複数の光軸を形成することで、集積台144がどの位置にあっても紙幣集積の有無を検知できる。
【0072】
また、集積台144を昇降移動させる図示せぬアクチュエータを追加し、紙幣上面の位置を制御し、残留センサが形成する光軸にかかるようにすることも考え得る。
【0073】
しかしながら、比較例6にかかる上記いずれの構成であっても、コストアップや、装置エリアの拡大につながるという問題があった。
【0074】
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の実施形態によれば、紙幣が集積される集積台の降下を検知することで、集積台に媒体が集積されているか否かを判断することが可能となる。以下、このような本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0075】
[4.本発明の実施形態に係るリジェクトカセット]
(4−1.第1の実施形態)
図10は、本発明の第1の実施形態に係るリジェクトカセット35−1の構成を示した説明図である。図12は、第1の実施形態に係るリジェクトカセット35−1の簡略化された斜視図である。図10および図12に示すように、本実施形態に係るリジェクトカセット35−1は、駆動ローラ161、アイドルローラ162、ステージスプリング163、集積台164、およびステージディテクタ165、を備える。
【0076】
リジェクトカセット35−1の外部には、集積台164の移動方向と交わる方向に光軸を形成し、紙幣集積の有無を検知する一対の発光部38a及び受光部38b(以下、紙幣検知センサ38と称す)が設けられる。また、リジェクトカセット35−1の外部には、集積台164の降下を検知する一対の発光部37a及び受光部37b(以下、集積台検知センサ37と称す)が設けられる。以下、各構成について説明する。
【0077】
駆動ローラ161及びアイドルローラ162により、図示されない搬送路から紙幣301を引き込む。ステージスプリング163は、集積台164を支持する弾性部材である。なお、図10においては弾性部材の一例として1つのステージスプリング163を示しているが、本実施形態はかかる例に限定されない。例えば、集積台164を支持する弾性部材として複数のスプリングを設けてもよい。また、図10においてはスプリングを弾性部材として用いる例を記載したが、加重によって変形する多様な構成を弾性部材として用いることが可能である。
【0078】
集積台164は、集積台164の昇降方向に対して傾斜する傾斜面を有する。駆動ローラ161及びアイドルローラ162によって引き込まれた紙幣301は、かかる傾斜面に集積される。ここで、集積台164に紙幣301が集積されると、ステージスプリング163が、集積された紙幣301の重みにより縮められる。このため、ステージスプリング163により支持される集積台164は、集積台164に紙幣301が集積されると、ステージスプリング163の縮みに伴い降下する。
【0079】
ステージディテクタ165は、図12に示したように集積台164と一体的に設けられており、集積台164と共に集積台164の昇降方向に移動する。また、ステージディテクタ165は、集積台164が所定位置より上方にある場合に、集積台検知センサ37が形成する光軸を遮る箇所に設けられる。なお、ステージディテクタ165は、紙幣301が集積される領域外に設けられ、紙幣検知センサ38が形成する光軸は遮らない。
【0080】
このように、本実施形態に係るリジェクトカセット35−1は、集積台164が所定位置より上方にある場合に、集積台164に設けられたステージディテクタ165が、集積台検知センサ37が形成する光軸を遮るよう構成されている(図12参照)。一方、集積台164が所定位置より降下した場合、ステージディテクタ165も集積台164と共に降下するため、集積台検知センサ37が形成する光軸はステージディテクタ165により遮られなくなる。したがって、集積台検知センサ38が形成する光軸がステージディテクタ165により遮られるか否かにより、集積台164が所定位置より降下したか否かを検知することが可能である。
【0081】
紙幣検知センサ38は、上述したように発光部38aおよび受光部38bから構成され、発光部38a及び受光部38bは、図12に示したように、集積台164を挟んで対向して配置される。また、図12に示したように、集積台164に紙幣が集積されておらず、集積台164が昇降可能範囲中の最上部である初期位置に存在する場合、発光部38a及び受光部38bが形成する光軸は、集積台164に設けられたスリットを通過する。一方、図13に示したように、集積台164に紙幣が集積されている場合、発光部38a及び受光部38bが形成する光軸は、集積台164が少なくとも上記所定位置より上方にある場合に集積台164に集積されている紙幣に遮られる。すなわち、集積台検知センサ37により形成される光軸を遮る位置にステージディテクタ165が存在する場合、紙幣検知センサ38は集積台164に紙幣が集積されているか否かを検知可能である。
【0082】
図2に示した判断部20は、以上説明した集積台検知センサ37及び媒体検知センサ38の検知結果に基づき、リジェクトカセット35−1内部の集積台164に紙幣が集積されているか否かを判断する。以下、図14を参照し、判断部20による判断内容について具体的に説明する。
【0083】
図14は、集積台検知センサ37及び紙幣検知センサ38の検知結果と判断部20による判断内容の関係を示した説明図である。ここで、本実施形態に係るセンサは光学センサを用いているため、発光部から発光された光が受光部で受光された場合の検知結果は「明」となり、紙幣301やステージディテクタ165で光軸が遮られる場合の検知結果は「暗」となる。
【0084】
図14に示したように、判断部20は、集積台検知センサ37による検知結果が「明」である場合、または、紙幣検知センサ38による検知結果が「暗」である場合に、集積台164に紙幣が集積されていると判断する。すなわち、判断部20は、集積台検知センサ37により集積台164が所定位置より降下していることが検知されている場合、または、紙幣検知センサ38により紙幣の集積が検出されている場合、集積台160に紙幣が集積されていると判断する。
【0085】
一方、判断部20は、集積台検知センサ37による検知結果が「暗」であり、かつ、紙幣検知センサ38による検知結果が「明」である場合に、集積台164に紙幣が集積されていないと判断する。すなわち、判断部20は、集積台検知センサ37により集積台164が所定位置より上方にあることが検知され、かつ、紙幣検知センサ38により紙幣の集積が検出されていない場合、集積台164に紙幣が集積されていないと判断する。
【0086】
以上、リジェクトカセット35−1における紙幣集積に関する構成を説明した。続いて、リジェクトカセット35−1に紙幣が集積された場合の状態遷移(降下移動)について図11を参照して説明する。
【0087】
図11は、リジェクトカセット35−1に紙幣が集積された場合の状態遷移の具体例を示した説明図である。リジェクトカセット35−1内の集積台164は、紙幣が集積されていない場合、ステージスプリング163により初期位置まで押し上げられている。
【0088】
その後、図11(a)の左側に示したように集積台164に紙幣301が集積されると、紙幣検知センサ38が形成する光軸が紙幣301により遮られる。また、集積された紙幣301の重さにより集積台164が多少降下した場合でも、集積台164が所定位置より上方である場合、集積台検知センサ37が形成する光軸がステージディテクタ165により遮られる。この場合、集積台検知センサ37および紙幣検知センサ38の双方による検知結果が「暗」であるので、判断部20は、図14に示した関係に従い、集積台160に紙幣が集積されていると判断する。
【0089】
その後、図11(a)の右側に示したように集積台164にさらに紙幣301が集積されると、紙幣の重さによって集積台164が降下し、集積台検知センサ37が形成する光軸は、集積台164に設けられたステージディテクタ165に遮られなくなる。また、図11(a)の右側に示したように、紙幣検知センサ38が形成する光軸は紙幣301により遮られる。この場合、集積台検知センサ37による検知結果が「明」、紙幣検知センサ38による検知結果が「暗」であるので、判断部20は、図14に示した関係に従い、集積台160に紙幣が集積されていると判断する。
【0090】
ただし、水濡れ紙幣など、紙幣の重量や厚さなどの状態によっては、図11(b)に示したように、集積台164が通常状態よりもさらに降下し、紙幣検知センサ38が形成する光軸が紙幣301に遮られなくなる場合がある。この場合、集積台検知センサ37および紙幣検知センサ38の双方による検知結果が「明」であるので、判断部20は、図14に示した関係に従い、集積台160に紙幣が集積されていると判断する。
【0091】
次に、オペレータがリジェクトカセット35−1内部の紙幣301を全て取り除くと、紙幣重量がゼロとなるため、再び集積台164は図示せぬストッパーまでステージスプリング163により初期位置まで押し上げられる。初期位置では、図10に示したように、集積台検知センサ37が形成する光軸はステージディテクタ165により遮られる。また、紙幣検知センサ38が形成する光軸は紙幣301に遮られない。この場合、集積台検知センサ37による検知結果が「暗」、紙幣検知センサ38による検知結果が「明」であるので、判断部20は、図14に示した関係に従い、集積台160に紙幣が集積されていないと判断する。
【0092】
以上説明したように、本実施形態では、集積台検知センサ37が形成する光軸がステージディテクタ165により遮られるか否かにより、集積台164が所定位置より降下したか否かを検知することが可能である。本実施形態に係る判断部20は、集積台164が所定位置より降下した場合は紙幣ありと判断するが、紙幣301の重量によっては、図11の左側に示したように、集積台164が所定位置より降下していない場合であっても集積台164に紙幣が集積されている場合がある。したがって、少なくとも上記所定位置より上方に集積台164がある場合に、集積台164に紙幣301が集積されているか否かを検知できる紙幣検知センサも設けることで、より正確に紙幣集積の有無を判断することが出来る。
【0093】
また、上記実施形態によれば、集積台164の昇降方向と異なる方向に各センサの光軸を形成しても、判断部20は、集積台164の位置や紙幣集積状態によらず、正しく紙幣の集積有無を判断することができる。
【0094】
また、上記実施形態によれば、図9に示した比較例6のように集積台の昇降方向に応じて複数のセンサを設ける必要がなく、少ないセンサ数で正しく集積台上の紙幣集積の有無を判断することが可能となり、装置全体のコストダウンとなる。
【0095】
また、センサの光軸を集積台164の昇降方向(動作方向)と平行して形成する必要がないため、紙幣301を傾斜して集積する薄型カセットにおいても、センサ間距離が広がることがない。これにより、高価な長距離センサを使用することなく安価なセンサが使用可能となる。
【0096】
また、本実施形態によれば、集積台164の昇降方向と異なる方向にセンサの光軸を形成するため、駆動ローラ161やアイドルローラ162などに影響を受けることなく自由にセンサを配置することが出来る。
【0097】
(4−2.第2の実施形態)
図15は、本発明の第2の実施形態に係るリジェクトカセット35−2の構成を示した説明図である。図15に示すように、本発明の第2の実施形態に係るリジェクトカセット35−2は、駆動ローラ161、アイドルローラ162、ステージスプリング163、集積台164、ステージディテクタ165、プリズム171、およびプリズム173を備える。
【0098】
リジェクトカセット35−2の片側には、集積台164の移動方向と交わる方向に光軸を形成し、紙幣集積の有無を検知する一対の発光部38a及び受光部38b(以下、紙幣検知センサ38と称す)が設けられる。また、リジェクトカセット35−1の外部には、集積台164の降下を検知する一対の発光部37a及び受光部37b(集積台検知センサ37)が設けられる。以下、各構成について説明する。
【0099】
駆動ローラ161、アイドルローラ162、ステージスプリング163、集積台164、およびステージディテクタ165については上記第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0100】
プリズム171は、紙幣検知センサの発光部38aから発光される光を屈折させ、受光部38bに導光する。プリズム173は、集積台検知センサの発光部37aから発光される光を屈折させ、受光部37bに導光する。各プリズムは、集積台164の動作と連動しない箇所に設けられていればよい。
【0101】
このように、本実施形態では、光を導光するプリズムを設けることで、全てのセンサをリジェクトカセット35−2の片側に配置させることができる。これにより、センサの実装スペースを半分にすることができ、装置全体をより小型化することが可能となる。
【0102】
また、紙幣検知センサ38においては、プリズム171を用いることで1つのセンサで2つの光軸を形成することができ、センサ数をより削減することが出来る。したがって装置全体のコストダウンが実現できる。
【0103】
図2に示した判断部20は、以上説明した集積台検知センサ37及び媒体検知センサ38の検知結果に基づき、リジェクトカセット35−2内部の集積台164に紙幣が集積されているか否かを判断する。判断部20による判断内容は、図19に示す関係の通りであり、図14と同様のため詳細は省略する。
【0104】
以上、リジェクトカセット35−2における紙幣集積に関する構成を説明した。続いて、リジェクトカセット35−2に紙幣301が集積された場合の状態遷移(降下移動)について図16を参照して説明する。
【0105】
図16は、リジェクトカセット35−2に紙幣が集積された場合の状態遷移の具体例を示した説明図である。リジェクトカセット35−2内の集積台164は、紙幣が集積されていない場合、ステージスプリング163により初期位置まで押し上げられている。
【0106】
その後、図16(a)の左側に示すように、集積台164に紙幣301が集積されると、紙幣検知センサ38が形成する光軸は紙幣301により遮られる。また、集積された紙幣301の重さにより集積台164が多少降下した場合でも、集積台164が所定位置より上方である場合、集積台検知センサ37が形成する光軸がステージディテクタ165により遮られる。この場合、集積台検知センサ37および紙幣検知センサ38の双方による検知結果が「暗」であるので、判断部20は、図19に示した関係に従い、集積台160に紙幣が集積されていると判断する。
【0107】
その後、図16(a)の右側に示したように集積台164にさらに紙幣301が集積されると、紙幣の重さによって集積台164が降下し、集積台検知センサ37が形成する光軸がステージディテクタ165に設けられた集積台164に遮られない。また、図16(a)の右側に示したように、紙幣検知センサ38が形成する光軸は紙幣301により遮られる。この場合、集積台検知センサ37による検知結果が「明」、紙幣検知センサ38による検知結果が「暗」であるので、判断部20は、図19に示した関係に従い、集積台160に紙幣が集積されていると判断する。
【0108】
ただし、水濡れ紙幣など、紙幣の重量や厚さなどの状態によっては、図16(b)に示したように、集積台164が通常状態よりもさらに降下するため、紙幣検知センサ38が形成する光軸が紙幣301に遮られない場合がある。この場合、集積台検知センサ37および紙幣検知センサ38の双方による検知結果が「明」であるので、判断部20は、図19に示した関係に従い、集積台160に紙幣が集積されていると判断する。
【0109】
次に、オペレータがリジェクトカセット35−2内部の紙幣301を全て取り除くと、紙幣重量がゼロとなるため、再び集積台164は図示せぬストッパーまでステージスプリング163により初期位置まで押し上げられる。初期位置では、図15に示したように、集積台検知センサ37が形成する光軸はステージディテクタ165により遮られる。また、紙幣検知センサ38が形成する光軸は紙幣301に遮られない。この場合、集積台検知センサ37による検知結果が「暗」、紙幣検知センサ38による検知結果が「明」であるので、判断部20は、図19に示した関係に従い、集積台160に紙幣が集積されていないと判断する。
【0110】
以上説明したように、本実施形態では、光軸を導光するプリズムを設けることで、各センサをリジェクトカセット35−2の片側に全て配置させることができる。これにより、センサの実装スペースを半分にすることができ、装置全体をより小型化することが可能となる。
【0111】
ここで、図15および図16においては、光を屈折、反射させて導光するプリズムを一例として示しているが、本実施形態はかかる例に限定されない。例えば、光を反射する反射板を設けて光軸を導光してもよい。
【0112】
また、本実施形態の変形例として、紙幣検知センサ38を、検知したい紙幣サイズに応じて複数配置し、複数の光軸を形成してもよい。例えば、図17に示すように、紙幣検知センサ38を2組設け、光軸を4本形成することが出来る。図17は、本実施形態に係るリジェクトカセット35−2の簡略化された斜視図である。
【0113】
また、図17に示す例では、集積台164を通過する各光軸の高さが異なっている。これにより、図18に示す破れた紙幣や、半折れ紙幣(図示せず)が集積台164に集積された場合でも、紙幣検知センサ38が形成する光軸のうち少なくとも1つの光軸を紙幣301が遮断すれば、紙幣の有無が検知できる。
【0114】
(4−3.第3の実施形態)
図20は、本発明の第3の実施形態に係るリジェクトカセット35−3の構成を示した説明図である。図22は、本実施形態に係るリジェクトカセット35−3の簡略化された斜視図である。図20および図22に示すように、本実施形態に係るリジェクトカセット35−3は、駆動ローラ161、アイドルローラ162、ステージスプリング163、集積台164、およびプリズム181を備える。
【0115】
駆動ローラ161、アイドルローラ162、ステージスプリング163、および集積台164については上記各実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0116】
プリズム181は、集積台164の動作と連動しない箇所に設けられる。また、プリズム181は、集積台検知センサ37の発光部37aから発光される光を屈折させ、受光部37bに導光する。
【0117】
さらに、本実施形態では、リジェクトカセット35−3と集積台検知センサ37との間に、光軸を遮るシャッター182が設けられる。シャッター182には、集積台検知センサ37が形成する光軸を通過させ得る孔が設けられている。また、シャッター182は、集積台164の動作と連動して昇降移動する。例えば、図22に示すように、集積台164が所定位置より上方にある場合は、シャッター182は集積台164に押し上げられる。この場合、集積台検知センサ37が形成する光軸はシャッター182に設けられた孔と集積台に設けられたスリットを通過する。ただし、光軸がシャッター182に設けられた孔を通過する場合であっても、集積台164に紙幣が集積されている場合には、集積台164に集積されている紙幣により集積台検知センサ37が形成する光軸は遮られる。このように、本実施形態による集積台検知センサ37は、紙幣検知センサ38としての機能を包含する。
【0118】
一方、集積台164が降下した場合は、シャッター182は集積台35−3と連動して降下し、上記光軸を遮る位置で止まる。具体的には、図22にしたように、シャッター182に設けられた突起部183が、ストッパー401と係合してシャッター182の降下が停止する。
【0119】
図2に示した判断部20は、以上説明した集積台検知センサ37の検知結果に基づき、リジェクトカセット35−3内部の集積台164に紙幣が集積されているか否かを判断する。ここで、本実施形態に係るセンサは光学センサを用いているため、発光部37aから発光された光が受光部37bで受光された場合の検知結果は「明」となり、紙幣301やシャッター182で光軸が遮られた場合の検知結果は「暗」となる。
【0120】
判断部20は、集積台検知センサ37による検知結果が「明」である場合に、集積台164に紙幣301が集積されていると判断する。すなわち、判断部20は、集積台検知センサ37により集積台164が所定位置より上方にあることが検知されている場合、または、紙幣の集積が検出されていない場合、集積台160に紙幣が集積されていないと判断する。
【0121】
一方、判断部20は、集積台検知センサ37による検知結果が「暗」である場合に、集積台164に紙幣が集積されていないと判断する。すなわち、判断部20は、集積台検知センサ37により集積台164が所定位置より降下していることが検知されている場合、または、紙幣の集積が検出されている場合、集積台164に紙幣が集積されていると判断する。
【0122】
以上、リジェクトカセット35−3における紙幣集積に関する構成を説明した。続いて、リジェクトカセット35−3に紙幣が集積された場合の状態遷移(降下移動)について図21を参照して説明する。
【0123】
図21は、リジェクトカセット35−3に紙幣が集積された場合の状態遷移の具体例を示した説明図である。リジェクトカセット35−3内の集積台164は、紙幣が集積されていない場合、ステージスプリング163により初期位置まで押し上げられている。
【0124】
その後、図21(a)の左側に示したように集積台164に紙幣301が集積されると、紙幣検知センサ37が形成する光軸が紙幣301により遮られる。この場合、集積台検知センサ37は「暗」であるので、判断部20は、集積台160に紙幣が集積されていると判断する。
【0125】
その後、図21(a)の右側に示したように集積台164にさらに紙幣301が集積されると、紙幣の重さによって集積台164が降下し、シャッター182も集積台164に連動して降下するため、集積台検知センサ37が形成する光軸が、シャッター182に遮られる。この場合、集積台検知センサ37による検知結果が「暗」であるので、判断部20は、集積台160に紙幣が集積されていると判断する。
【0126】
ただし、水濡れ紙幣など、紙幣の重量や厚さなどの状態によっては、図21(a)の右側に示したように、集積台164が通常状態よりもさらに降下する場合もある。この場合、シャッター182も集積台164に連動してさらに降下するが、上述したようにシャッター182に設けられた突起部183が、ストッパー401に係合し、集積台検知センサ37が形成する光軸を遮る箇所で降下が停止する。したがって、図21(b)に示したように、紙幣検知センサ37が形成する光軸がシャッター182に遮られる。この場合、集積台検知センサ37は「暗」であるので、判断部20は、集積台160に紙幣が集積されていると判断する。
【0127】
次に、オペレータがリジェクトカセット35−3内部の紙幣301を全て取り除くと、紙幣重量がゼロとなるため、再び集積台164はステージスプリング163により初期位置まで押し上げられる。初期位置では、図20に示したように、集積台検知センサ37が形成する光軸は遮られない。この場合、集積台検知センサ37による検知結果が「明」であるので、判断部20は、集積台160に紙幣が集積されていないと判断する。
【0128】
ここで、シャッター182は、図示せぬ摺動溝に沿って昇降動作してもよいし、回転軸をもって回転するシャッターでもよい。
【0129】
上述したように、集積台164に連動して動作するシャッターを用いることで、一の光学センサで、より正確な紙幣集積の有無を判断することが出来る。したがって、センサ数を削減することができ、コード量の削減や基板サイズの小型化が可能となり、装置全体の小型化やコストダウンが実現できる。
【0130】
(4−4.第4の実施形態)
上記説明した第1の実施形態および第2の実施形態においては、判断部20は、集積台検知センサ27による検知結果が「暗」のときに、集積台164が所定位置より上方にあると判断する。しかしながら、判断部20による判断は、リジェクトカセット35の構成によっては集積台検知センサ27による検知結果が「明」の場合に、集積台164が所定位置より上方にあると判断する場合もある。そこで、第4の実施形態として、集積台164にプリズム191を取り付け、集積台検知センサ27による検知結果が「明」の場合に集積台164が所定位置より上方にあると判断する場合について説明する。
【0131】
本実施形態の構成について図23を参照して説明する。図23に示すように、本実施形態に係るリジェクトカセット35−4は、駆動ローラ161、アイドルローラ162、ステージスプリング163、集積台164、およびプリズム191を備える。
【0132】
駆動ローラ161、アイドルローラ162、ステージスプリング163、および集積台164については上記各実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0133】
プリズム191は、集積台検知センサ37の発光部37aから発光される光を屈折させ、受光部37bに導光する。また、プリズム191は、集積台164に取り付けられ、集積台164の動作と連動する。プリズム191が取り付けられる箇所は、集積台164が所定位置より上方にある場合に、発光部37aから発光される光を受光部37bに導光する箇所である。
【0134】
ここで、本実施形態に係るセンサは光学センサを用いているため、発光部37aから発光された光が受光部37bで受光された場合の検知結果は「明」となり、受光できない場合の検知結果は「暗」となる。
【0135】
このように、本実施形態に係るリジェクトカセット35−4では、集積台164が所定位置より上方にある場合に、プリズム191により発光部37aからの光が受光部37bに導光され、集積台検知センサ37による検知結果は「明」となる。
【0136】
したがって、判断部20は、集積台検知センサ37による検知結果が「明」である場合に、集積台164が所定位置より上方にあると判断する。
【0137】
[6.補足]
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0138】
例えば、上記実施形態では、集積台検知センサ37および紙幣検知センサ38として光学センサを用いる例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。光学センサに換えて、接触センサや磁気センサ等を集積台検知センサ37および紙幣検知センサ38として用いることも可能である。
【0139】
また、各実施形態においては、紙幣検知センサ38を一対のみ設ける構成を主に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、対象紙幣の大きさや形状などに応じて、二対または三対など、必要十分な数の紙幣検知センサ38を配置してもよい。
【0140】
また、各実施形態において、各センサがリジェクトカセット35の外部に設けられる例を説明したが、各センサはリジェクトカセット35の内部に設けられていてもよい。
【0141】
また、各実施形態において、集積台164は傾斜面を有し、紙幣が傾斜面上に傾斜して集積される例を説明したが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、集積面を水平にし、紙幣を水平姿勢で上下方向に集積してもよい。この場合でも、集積台164の降下を検知することにより集積台164に紙幣が集積されているか否かを判断することが可能である。
【符号の説明】
【0142】
1 自動取引装置
10 操作/表示部
11 カード/レシート取扱部
12 通帳取扱部
13 紙幣入出金部
14 硬貨入出金部
15 制御部
16 HDD
17 係員操作部
19 通信部
31 接客部
32 鑑別部
33 一時保留部
34A〜34C 紙幣収納カセット
35、35−1、35−2、35−3 リジェクトカセット
36 取忘れ回収庫
37 集積台検知センサ
37a 発光部
37b 受光部
38 紙幣検知センサ
38a 発光部
38b 受光部
100、110、120、130、140、150 比較例に係るリジェクトカセット
101、121、141、161 駆動ローラ
102、122、142、162 アイドルローラ
103、123、143、163 ステージスプリング
104、124、134、144、164 集積台(ステージ)
165 ステージディテクタ
111、131、171、173、181、191 プリズム
182 シャッター
183 突起部
201(発光部201a、受光部201b) 残留センサ
202(発光部202a、受光部202b) 残留センサ
241(発光部241a、受光部241b) 残留センサ
251〜254(発光部251a〜254a、受光部251a〜254b) 残留センサ
301 紙幣
401 ストッパー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が集積される集積台と、
前記集積台を支持する弾性部材と、
前記集積台の降下を検知する集積台検知部と、
を備える、媒体集積装置。
【請求項2】
前記集積台検知部は、前記集積台が所定位置より降下したか否かを検知する、請求項1に記載の媒体集積装置。
【請求項3】
前記集積台は、前記集積台の昇降方向に対して傾斜する傾斜面を有し、該傾斜面上に前記媒体が集積される、請求項1又は2に記載の媒体集積装置。
【請求項4】
前記媒体集積装置は、
前記集積台が前記所定位置より上方にある場合に、前記集積台に媒体が集積されているか否かを検知可能な媒体検知部をさらに備える、請求項2に記載の媒体集積装置。
【請求項5】
前記媒体集積装置は、
前記集積台検知部による検知結果と、前記媒体検知部による検知結果とに基づき、前記集積台に媒体が集積されているか否かを判断する判断部をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の媒体集積装置。
【請求項6】
前記判断部は、前記集積台が所定位置より降下した場合、又は、前記集積台に媒体が集積されていると検知された場合は、前記集積台に媒体が集積されていると判断する、請求項5記載の媒体集積装置。
【請求項7】
前記判断部は、前記集積台が所定位置より上方にあり、かつ、前記集積台に媒体が集積されていないと検知された場合は、前記集積台に媒体が集積されていないと判断する、請求項5記載の媒体集積装置。
【請求項8】
前記集積台検知部は、前記集積台の昇降方向と交わる方向に光軸を形成する、一対の発光部と受光部とから成り、
前記媒体検知部は、前記集積台の昇降方向と交わる方向に光軸を形成する、一対の発光部と受光部とから成る、請求項1から7のいずれか1項に記載の媒体集積装置。
【請求項9】
前記集積台検知部及び前記媒体検知部は、前記集積台に対して同じ側に設けられ、
前記媒体集積装置は、
前記集積台検知部の発光部から発光された光を、前記集積台検知部の受光部に導光する第1のプリズムと、
前記媒体検知部の発光部から発光された光を、前記集積台検知部の受光部に導光する第2のプリズムと、
をさらに備える、請求項8に記載の媒体集積装置。
【請求項10】
前記集積台は、前記集積台が所定位置より上方にある場合に、前記集積台検知部が形成する光軸を遮る第1の部材を備える、請求項8又は9に記載の媒体集積装置。
【請求項11】
前記集積台は、前記集積台が所定位置より上方にある場合に、前記集積台検知部の発光部から発光された光を、前記集積台検知部の受光部に導光するプリズムを備える、請求項8記載の媒体集積装置。
【請求項12】
前記集積台検知部は、前記集積台の昇降方向と交わる方向に光軸を形成する、一対の発光部と受光部とから成り、
前記媒体集積装置は、
前記集積台の降下に伴って、前記集積台検知部が形成する光軸を遮る位置まで降下する第2の部材を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の媒体集積装置。
【請求項13】
前記集積台検知部は、前記光軸が前記集積台の媒体集積領域を通過し、前記集積台に媒体が集積されているか否か検知する、請求項12記載の媒体集積装置。
【請求項14】
前記媒体集積装置は、
前記集積台検知部による検知結果に基づき、前記集積台に媒体が集積されているか否かを判断する判断部をさらに備える、請求項12又は13に記載の媒体集積装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−46301(P2012−46301A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189233(P2010−189233)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】