説明

孔版印刷用原紙

【課題】 孔版印刷用原紙において、原紙の取扱性の向上、コストの低減、印刷イメージの向上、製版時の溶融開口性の向上及び微小凹部形成時の加工性向上を図る。
【解決手段】孔版印刷用原紙1は、一方の面に多数の微小凹部2が形成された熱可塑性樹脂の第1フィルム部材3と、該第1フィルム部材3の他方の面に貼り合わされると共に第1フィルム部材3よりも薄く形成された熱可塑性樹脂の第2フィルム部材4と、から構成されている。両フィルム部材3、4は、融着又は接着により貼り合わされている。好ましくは、両フィルム部材3、4は延伸したフィルム部材であり、微小凹部2の底部5を形成する第2フィルム部材4の延伸率は、第1フィルム部材3の延伸率よりも大きいことが好ましい。また、第2フィルム部材4の融点は、第1フィルム部材3の融点よりも低いことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂のフィルム部材からなると共に一方の面に多数の微小凹部が形成された孔版印刷用原紙であって、サーマルヘッド等の加熱手段により微小凹部形成面とは反対側から加熱溶融されることにより製版される孔版印刷用原紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の孔版印刷用原紙は、表裏両面が平面の熱可塑性樹脂のフィルム部材に、和紙や不織布等のインク透過性の厚い支持体が接着により貼り合わされていた。かかる異質部材の貼り合わせ構造を有する孔版印刷用原紙では、サーマルヘッドの加熱による所定箇所の開口(穿孔)を良好に行うために、熱可塑性樹脂のフィルム部材は薄く形成され、一方、前記フィルム部材の薄さによる剛性の低下を補うため、和紙や不織布等の支持体の厚さをフイルム部材よりも厚くし、取扱性を維持している。
【0003】
しかしながら、熱可塑性樹脂のフィルム部材に、異質の和紙や不織布等の支持体を貼り合わせた構造では、部品コストが高くなると共に、接着面が剥がれ易く、さらにはインク透過性を有する支持体の存在により、印刷イメージに、汚れや支持体の繊維目等が発生し、印刷イメージの低下の原因となっている。
【0004】
前記のように異質の支持体を貼り合わせる構造に対して、一方の面に多数の微小凹部が形成された熱可塑性樹脂のフィルム部材のみからなる孔版印刷用原紙が開発されている(特許文献1等参照)。かかる孔版印刷用原紙では、前記貼り合わせ構造のように異質の支持体を貼り合わせることなく、フィルム部材自体に一定の厚みを持たせることにより剛性を維持し、取扱性を向上させている。しかも、製版時には、微小凹部の薄肉底部を溶融開口することにより、小出力のサーマルヘッドによっても十分な開口性能を維持し、これにより、部品コストを低減すると共に、前述のような異質の支持体の存在による汚れ等の不都合も解消している。
【特許文献1】特開2003−39844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方の面に多数の微小凹部を有する熱可塑性樹脂のフィルム部材のみからなる孔版印刷用原紙において、サーマルヘッドのさらなる小出力化、微小凹部の溶融開口性の安定、取扱性の向上及び印刷イメージの向上を図ろうとする場合、孔版原紙の厚さを厚くし、微小凹部を深くして微小凹部の底部の厚さを薄くすることが考えられる。しかし、過度に微小凹部を深くすれば、微小凹部形成用の型押しローラの微小突起を高くする必要性が生じ、そのため微小突起の強度が低下すると同時に微小凹部加工時の圧力が高くなり、凹部形成時の加工性が低下すると共に、型押しローラの耐久性も低下する。反対に微小凹部を浅くして微小凹部の底部の厚さを厚くすれば、溶融開口性が悪くなり、印刷イメージが低下する。
【0006】
(発明の目的)
本発明は、孔版印刷用原紙の取扱性の向上、コストの低減、印刷イメージの向上、製版時の溶融開口性の向上及び微小凹部形成時の加工性向上を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本願請求項1記載の発明による孔版印刷用原紙は、一方の面に多数の微小凹部が形成された熱可塑性樹脂の第1フィルム部材と、上記第1フィルム部材の他方の面に貼り合わされると共に第1フィルム部材よりも薄く形成された熱可塑性樹脂の第2フィルム部材と、を有している。
【0008】
上記構成によると、(1)少なくとも2種類の熱可塑性樹脂のフィルム部材を貼り合わせているので、剛性を高くして取扱性を維持しつつ、前記和紙等の異質の支持体を貼り合わせる構造に比べ、コストを抑えることができると共に、印刷時の汚れを防止できる。
【0009】
(2)少なくとも2つのフィルム部材を貼り合わせてあるので、各フィルム部材の条件に応じた強度及び熱溶融性等を個別に選定できる。たとえば、微小凹部が形成される第1フィルム部材の材質として、塑性加工性の良い材料を用いることにより、深い微小凹部でも容易に形成でき、かつ、微小凹部形成用の型押しローラの突起の耐久性も維持できる。
【0010】
(3)サーマルヘッド等により加熱される第2フィルム部材が、微小凹部を形成する第1フィルム部材より薄く形成されているので、前記和紙等の異質の支持体を貼り合わせる構造に比べ、良好な溶融開口性を維持することができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷用原紙において、前記第1フィルム部材と第2フィルム部材とは、融着により貼り合わされている。
【0012】
上記のように、融着により両フィルム部材を貼り合わせていると、熱等により剥がれるおそれがない。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷用原紙において、前記第1フィルム部材と第2フィルム部材とは、接着により貼り合わされている。
【0014】
上記のように、接着剤により両フィルム部材を貼り合わせていると、孔版印刷用原紙の厚さが安定する。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の孔版印刷用原紙において、前記第1フィルム部材及び第2フィルム部材は延伸したフィルム部材であり、第2フィルム部材の延伸率が第1フィルム部材の延伸率よりも大きい。
【0016】
上記のように、サーマルヘッド等により加熱溶融される第2フィルム部材の延伸率を、第1フィルム部材の延伸率より大きくしていると、微小凹部の底部付近に大きな残留応力(内部応力)を発生させることができ、製版時における微小凹部の溶融開口性が向上し、同時に、延伸率が小さい第1フィルム部材は、熱の影響が少なく、微小凹部の形状を維持することができ、収縮すること等がなく、孔版印刷用原紙の寸法が安定する。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷用原紙において、前記第2フィルム部材は延伸したフィルム部材であり、該第2のフィルム部材に、エキストルージョンラミネートにより第1フィルム部材を貼り合わせている。
【0018】
上記のように、延伸した第2フィルム部材に、エキストルージョンラミネートにより第1フィルム部材を貼り合わせた構造であると、異種のフィルム部材の貼り合わせであっても、カールの発生を防止することができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の孔版印刷用原紙において、前記第2フィルム部材の融点が第1フィルム部材の融点より低い。
【0020】
上記のように、微小凹部の底部を形成する第2フィルム部材として、第1フィルム部材よりも融点の低い材料を用いることにより、サーマルヘッドによる加熱時において、微小凹部底部の溶融開口性は向上し、一方、融点の高い微小凹部自体の熱変形は少なく、孔版印刷用原紙の寸法が安定すると共に良好な製版性能が得られる。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項1〜5記載のいずれかに孔版印刷用原紙において、前記第1フィルム部材のガラス転移点が第2フィルム部材のガラス転移点より低い。
【0022】
上記のように、微小凹部を形成する第1フィルム部材のガラス転移点を、第2フィルム部材のガラス転移点よりも低くしていると、両フィルム部材を貼り合わせた後に微小凹部をエンボス加工する時に、加工温度を高くせず、かつ、低い加工圧という条件でも、クラックの発生等が生じることなく、良好な形状に微小凹部をエンボス加工することができ、微小凹部の加工性が向上する。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の孔版印刷用原紙において、前記微小凹部の底部の厚さは、第2フィルム部材の厚さの50%〜150%である。
【0024】
上記構成によると、孔版印刷用原紙の剛性を維持しつつ、微小凹部の底部の溶融開口性及び微小凹部の加工性を維持できる。
【0025】
請求項9記載の発明は、請求項2、4、6〜8のいずれかに記載の孔版印刷用原紙の製造方法であり、第1の工程として、表裏両面が未加工の熱可塑性樹脂の第1フィルム部材と、表裏両面が未加工の熱可塑性樹脂の第2フィルム部材とを、融着により貼り合わせ、第2の工程として、多数の微小凹部形成用の突起を備えたエンボス加工ローラにより、第1フィルム部材の一方の面に多数の微小凹部を形成する。
【0026】
上記方法により製造された孔版印刷用原紙は、前記請求項1及び請求項2による孔版印刷用原紙と同様な効果を奏すると共に、両フィルム部材を貼り合わせた後に、微小凹部をエンボス加工するので、薄い第2フィルム部材のフィルム厚に依存されずに、微小凹部の底部の厚さを設定することが可能となる。また、接着材を使用しないので、材料コストを節約できる。
【0027】
請求項10記載の発明は、請求項3、4、6〜8のいずれかに記載の孔版印刷用原紙の製造方法であり、第1の工程として、表裏両面が未加工の熱可塑性樹脂の第1フィルム部材と、表裏両面が未加工の熱可塑性樹脂の第2フィルム部材とを、接着により貼り合わせ、第2の工程として、多数の微小凹部形成用の突起を備えたエンボス加工ローラにより、第1フィルム部材の一方の面に多数の微小凹部を形成する。
【0028】
上記方法により製造された孔版印刷用原紙は、前記請求項1及び請求項3による孔版印刷用原紙と同様な効果を奏すると共に、両フィルム部材を貼り合わせた後に、微小凹部をエンボス加工するので、薄い第2フィルム部材のフィルム厚に依存されずに、微小凹部の底部の厚さを設定することが可能となる。
【0029】
請求項11記載の発明は、請求項3、4、6〜8のいずれかに記載の孔版印刷用原紙の別の製造方法であり、第1の工程として、表裏両面が未加工の熱可塑性樹脂の第1フィルム部材の一方の面に、多数の微小凹部形成用の突起を備えたエンボス加工ローラにより多数の微小凹部を形成し、第2の工程として、第1フィルム部材の他方の面に、第1フィルム部材より薄い熱可塑性樹脂の第2フィルムを、接着により貼り合わせる。
【0030】
上記方法により製造された孔版印刷用原紙は、前記請求項1及び請求項3による孔版印刷用原紙と同様な効果を奏すると共に、両フィルム部材を貼り合わせる前に、第1フィルム部材に微小凹部をエンボス加工するので、エンボス加工時に第1のフィルム部材に発生するカール現象を、貼り合わせ工程において、たとえばテンション調節することにより補正することができ、カールの少ない孔版印刷用原紙を容易に製造することができる。
【0031】
請求項12記載の発明は、前記請求項5、7又は8のいずれかに記載の孔版印刷用原紙を製造する方法において、第1の工程として、押し出し機により加熱溶融されると共にTダイによりフィルム状に押し出される第1フィルム部材と、表裏両面が未加工の熱可塑性樹脂の第2フィルム部材とを、圧力ローラと冷却ローラの間で積層させると共に圧着冷却することにより、貼り合わせ、第2の工程として、多数の微小凹部形成用の突起を備えたエンボス加工ローラにより、第1フィルム部材の一方の面に多数の微小凹部を形成する。
【0032】
上記のように、延伸した第2フィルム部材に、エキストルージョンラミネートにより第1フィルムを貼り合わせた構造であると、異種のフィルム部材の貼り合わせであっても、カールの発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0033】
要するに本発明によると、孔版印刷用原紙の取扱性の向上、カール防止、製版時の溶融開口性の向上、印刷イメージの向上及び微小凹部形成時の加工性向上を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
[発明の第1の実施の形態]
(孔版印刷用原紙の構成)
図1は、本発明に係る孔版印刷用原紙1の第1の実施の形態を示す平面図であり、孔版印刷用原紙1の一方の面には多数の微小凹部2が形成されており、該微小凹部2は少なくとも最大画像形成範囲(全画像形成範囲)S1内に、均一な密度で分布している。なお、孔版印刷用原紙1の形状は、製版後に図1のような所定の大きさ(長さ)に切断されるが、製版前は、長尺状に連続し、ロール状態となっている。
【0035】
図2は図1の孔版印刷用原紙1を一部切り取って示す断面拡大斜視図であり、孔版印刷用原紙1は熱可塑性樹脂の2枚の第1、第2フィルム部材3、4を、融着により貼り合わせた構造となっており、第1フィルム部材3の一方の面に前記微小凹部2が形成され、第1フィルム部材3の他方の面に、前述のように融着により第2フィルム部材4が貼り付けられている。なお、第2フィルム部材4を2枚以上積層し、孔版印刷用原紙1全体として3枚以上のフィルム部材により構成することも可能である。
【0036】
第1フィルム部材3の厚さt2は、たとえば1.5〜20μmとなっており、第2フィルム部材4の厚さt3は、前記第1フィルム部材3の厚さt2より薄く、たとえば1〜2μmとなっている。
【0037】
微小凹部2の底部5の厚さt5は、たとえば孔版印刷用原紙1の全体の厚さt1の20%〜80%の大きさであり、かつ、第2フィルム部材4の厚さt3の50%〜180%の大きさとなっている。ちなみに、底部5の厚さt5が第2フィルム部材4の厚さt3の100%以上の場合には、図3のように、微小凹部2は第1フィルム部材3の厚さt2の範囲内に収まっているが、底部5の厚さt5が第2フィルム部材4の厚さt3の100%未満の場合には、図4のように、微小凹部2は第2フィルム部材4の厚さt3の範囲内まで広がる形状となっている。
【0038】
両フィルム部材3、4は、貼り合わせ工程前に、図5のようにそれぞれ2軸X、Y方向に延伸加工が施されており、第2フィルム部材4は、第1フィルム部材3の延伸率よりも大きな延伸率で延伸加工されている。たとえば、第2フィルム部材4の延伸率は500%、第1フィルム部材3の延伸率は200%となっている。
【0039】
(フィルム部材の素材及び組み合わせ)
第1、第2フィルム部材3、4の素材はいずれも前述のように熱可塑性樹脂でできているが、製版時の溶融開口性の向上に重点を置く場合と、微小凹部2をエンボス加工する時の加工性向上に重点を置く場合とで、好ましい材料の選択は異なってくる。
【0040】
たとえば、製版時の溶融開口性向上に重点を置く場合には、各素材の融点が素材選択における重要な判断資料の一つとなり、第2フィルム部材4として融点の低い素材を用い、第1フィルム部材3として、融点の高い素材を用いることが好ましい。すなわち、製版時に加熱される側の第2フィルム部材4として融点の低い素材を用いることにより、小出力のサーマルヘッドによっても、容易に溶融開口できるようにするのである。図11は各種素材の融点及びガラス転移点を示しており、融点を考慮した素材選択の好ましい例として、第1フィルム部材3は、高い融点(264°C)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)で作成し、第2フィルム部材4は、前記ポリエチレンテレフタレート(PET)よりも低い融点(224°C)を有するポリブチレンテレフタレート(PBT)で作成する。
【0041】
一方、微小凹部2の加工性向上に重点を置く場合には、各素材のガラス転移点が素材選択における重要な判断資料の一つとなり、第1フィルム部材3としてガラス転移点の低い素材を用い、第2フィルム部材4としてガラス転移点の高い素材を用いることが好ましい。すなわち、微小凹部2が形成される第1フィルム部材3としてガラス転移点の低い素材を用いることにより、両フィルム部材3、4を貼り合わせた後に微小凹部2をエンボス加工する時に、加工温度を高くせず、かつ、低い加工圧という条件でも、クラックの発生等が生じることなく、良好な形状に微小凹部2をエンボス加工することができ、微小凹部2の加工性が向上する。ガラス転移点を考慮した素材選択の好ましい例として、図11において、第1フィルム部材3は、ガラス転移点の低いポリ塩化ビニリデン、ポリブチレンテレフタレート又はポリエチレンで作成し、これらに対し、第2フィルム部材4は、前記第1フィルム部材3よりも高いガラス転移点を有するポリエチレンテレフタレート又はポリエステルで作成する。
【0042】
(貼り合わせ装置)
図6は、両フィルム部材3、4を融着により貼り合わせる貼り合わせ装置の略図であり、一対の加圧ローラ7、7と、該加圧ローラ7、7のフィルム搬送上流側に配置された加熱ローラ8と、加圧ローラ7、7、の近傍に配置された一対のガイドローラ9等を備えている。加圧ローラ7、7内にはヒータ等の加熱手段が内蔵されている。
【0043】
(微小凹部形成用装置)
図7は、微小凹部2を形成する微小凹部形成装置を示しており、回転駆動する型押しローラ10と支承ローラ11とを対向配置し、型押しローラ10の表面には多数の微小突起12が形成されている。該微小突起12は型押しローラ10の略全表面に亘って均一な密度で分布すると共に、たとえば千鳥状に規則的に配列されている。型押しローラ10内にはヒータ等の加熱手段が内蔵されており、微小凹部形成時に、必要に応じて第1フィルム部材3の凹部形成面を加熱する。また、両ローラ10、11の間隔は調節可能となっており、前記間隔を調節することにより、型押し圧を調節できる。
【0044】
(製版装置)
図8は、孔版印刷用原紙1の製版装置の要部を原紙送り方向(Y方向、副走査線方向)に沿う面で切断した拡大縦断面図であり、製版装置は、回転駆動するプラテンローラ33と、該プラテンローラ33に所定間隔を置いて対向するサーマルヘッド31を備えている。
【0045】
サーマルヘッド31は、たとえば薄膜タイプの全面グレーズ型サーマルヘッドであり、ヒータ部(発熱抵抗体)30と非ヒータ部30aは、共に薄膜で形成されると共に平面状のグレーズ層32の上に形成されており、個々のヒータ部30は非ヒータ部30aに対して窪んでいる。
【0046】
図9はサーマルヘッド31の加熱面を示しており、Y方向は前述のように原紙送り方向であり、X方向は上記Y方向と直交する主走査線方向である。サーマルヘッド31の加熱面には、多数の前記ヒータ部30が、X方向に所定の配列ピッチPhで一列に配置されており、各ヒータ部30の形状は、たとえば一辺aが40数μmから80数μm程度の正方形となっている。各ヒータ部30の面積は、1ドットに対応する面積の50%以上であることが好ましい。
【0047】
(微小凹部の配列とサーマルヘッドのヒータ部との関係)
図10は前記サーマルヘッド31のヒータ部30と微小凹部2との関係を示す図であり、ヒータ部30は、実線と仮想線とで二段に分けて描いてあるが、仮想線で示すヒータ部30は、実線で示すヒータ部30の位置から原紙送り方向(Y方向)に1ピッチPhyだけ相対的に移動した状態を示してものである。すなわち、実線で示すヒータ部30と仮想線で示すヒータ部30との中心間距離Phyが、ヒータ部30の送りピッチである。
【0048】
微小凹部2は前述のように千鳥状に規則正しく配列されており、微小凹部2の原紙送り方向(Y方向)の平均配列ピッチPayは、ヒータ部30の送りピッチPhyよりも小さく設定されており、好ましくは、ヒータ部30の原紙送り方向長さaよりも小さく設定されている。微小凹部2の主走査線方向(X方向)の平均配列ピッチPaxは、ヒータ部30の主走査線方向の配列ピッチPhよりも小さく設定されており、好ましくは、ヒータ部30の主走査線方向の長さaよりも小さく設定されている。
【0049】
(孔版印刷用原紙の製造方法)
(1)延伸加工工程
図5において、まず、第1フィルム部材3と第2フィルム部材4とを、延伸装置によりそれぞれ2軸X、Y方向に延伸加工する。この延伸加工工程において、第1フィルム部材3はたとえば前述のように200%程度に延伸し、第2フィルム部材4は500%程度に延伸する。これにより、薄い第2フィルム部材4には、大きな残留応力(内部応力)が蓄えられることになる。
【0050】
(2)融着による貼り合わせ工程
図6において、前記延伸加工後、厚い第1フィルム部材3は、ロール3aから引き出され、ガイドローラ9等を介して加圧ローラ7、7間に挿入され、一方、薄い第2フィルム部材4は、ロール4aから引き出され、加熱ローラ8により片面が溶融温度以上に加熱され、片面が加熱溶融した状態で加圧ローラ7、7間に挿入される。そして、加圧ローラ7、7で両フィルム部材3、4、を挟圧することにより、両フィルム部材3、4を融着する。この時、必要に応じて、加圧ローラ7内の加熱手段により加熱することもある。
【0051】
(3)微小凹部加工工程
図7において、前記融着後の孔版印刷用原紙1を、第1フィルム部材3が型押しローラ10に面するように微小凹部形成用の両ローラ10、11間に挿入し、型押しローラ10の微小突起12によって多数の微小凹部12を第1フィルム部材3の一方の面に形成する。なお、この工程においても、型押しローラ10内の加熱手段により、必要に応じて第1フィルム部材3を加熱する。
【0052】
上記微小凹部形成工程において、前記素材選択の項で説明した素材の組み合わせのうち、第1フィルム部材3として、第2フィルム部材4よりもガラス転移点の低い素材を用いている場合には、高温でなくとも良好な塑性加工性を維持できるので、型押しローラ10による加熱温度及び圧力を大きくせずとも、精度良く、かつ、クラックが生じることなく、第1フィルム部材3の表面に微小凹部2を形成することができる。この場合、好ましくは、フィルム部材3、4を、型押しローラ10の加熱手段により、40°C以上100°C以下の温度で型押し加工する。
【0053】
(製版方法)
図8において、プラテンローラ33とサーマルヘッド31間に、第1フィルム部材3の微小凹部形成面がプラテンローラ33側に向くように孔版印刷用原紙1を挟持し、プラテンローラ33の回転により孔版印刷用原紙1を所定の送りピッチPhyで送り込みながら、サーマルヘッド31のヒータ部30により孔版印刷用原紙1の第2フィルム部材4の他面を加熱し、所定箇所の微小凹部2の底部5を溶融開口する。
【0054】
上記製版工程において、サーマルヘッド31で加熱される第2フィルム部材4は、第1フィルム部材3よりも薄く、かつ、大きな延伸率で延伸加工されているので、サーマルヘッド31の加熱により微小凹部2の底部5が溶融開口する際、大きな残留応力(内部応力)により、はじけるように開口する。すなわち、良好な溶融開口性を発揮でき、良好な製版性能が得られる。特に、前記素材の選択の項で説明した素材の組み合わせのうち、第2フィルム部材4として、第1フィルム部材3よりも融点の低い素材を用いていると、小容量のサーマルヘッド31によっても的確に所定の底部5を所定の大きさに溶融開口することができ、溶融開口性がさらに向上する。
【0055】
(発明の実施の形態の効果のまとめ)
製造方法等の項で実施の形態による効果を説明しているが、ここで簡単にまとめると次の通りである。
【0056】
(1)2種類又はそれ以上の熱可塑性樹脂のフィルム部材3、4同士を貼り合わせた構造としているので、剛性を高くして取扱性を維持しつつ、従来のように和紙等の異質で厚い支持体を貼り合わせる構造に比べ、コストを抑えることができると共に、印刷時の汚れを防止し、印刷イメージを向上させることができる。
【0057】
(2)2枚のフィルム部材3、4を貼り合わせた構造であるので、各フィルム部材3、4の条件に応じた強度及び熱溶融性等をそれぞれ個別に選定できる。すなわち、微小凹部2が形成される第1フィルム部材3の材質として、塑性加工性の良い材料を用いることにより、深い微小凹部2でも容易に加工でき、かつ、微小凹部形成用の型押しローラ10の突起12の耐久性も維持することができる。
【0058】
(4)サーマルヘッド31により加熱される第2フィルム部材4が、微小凹部2を形成する第1フィルム部材3より薄く形成されているので、製版時、良好な溶融開口性を維持することができる。
【0059】
(4)融着により両フィルム部材3、4を貼り合わせているので、熱等により剥がれるおそれがない。
【0060】
(5)サーマルヘッド31で加熱される第2フィルム部材4を、第1フィルム部材3よりも大きな延伸率で延伸加工しているので、微小凹部2の底部5付近に大きな残留応力(内部応力)を発生させることができ、製版時における微小凹部2の溶融開口性が向上し、同時に、延伸率が小さい第1のフィル部材3は、熱の影響が少なく、微小凹部2の形状を維持し、孔版印刷用原紙の寸法が安定する。
【0061】
(6)フィルム部材の素材として、サーマルヘッド31で加熱溶融される第2フィルム部材4を、第1フィルム部材3よりも融点の低い素材で形成していると、製版時、小容量のサーマルヘッド31によっても的確に所定の底部5を溶融開口することができ、溶融開口性が向上する。
【0062】
(7)フィルム部材の素材として、第1フィルム部材3を、第2フィルム部材4よりもガラス転移点の低い素材で形成していると、高温でなくとも塑性加工性を高く維持でき、型押しローラ10による加熱温度及び圧力を大きくせずとも、精度良く、かつ、クラックが生じることなく、第1フィルム部材3の表面に微小凹部2を形成することができる。
【0063】
[発明の第2の実施の形態]
(孔版印刷用原紙の構成)
図12は、本発明に係る孔版印刷用原紙1の第2の実施の形態を示す図2と同様な拡大斜視図であり、前記図2の第1の実施の形態と異なる構造は、両フィルム部材3、4が接着剤を用いた接着により貼り合わされていることである。すなわち図12において、両フィルム部材3、4の貼り合わせ部分は接着剤層6となっている。その他の構造及び素材の選択等は第1の実施の形態と同様であり、同じ部品及び部分には、第1の実施の形態の図2等と同じ符号を附し、詳しい説明は省略する。
【0064】
(貼り合わせ装置)
図13は、接着方式の貼り合わせ装置の略図であり、一対の加圧ローラ7、7と、該加圧ローラ7、7のフィルム搬送上流側に配置された接着剤供給ローラ(接着剤供給部)20と、加圧ローラ7、7の近傍に配置された一対のガイドローラ9等を備えている。
【0065】
(孔版印刷用原紙の製造方法)
(1)延伸加工工程
前記第1の実施の形態の図5で説明した工程と同様であり、まず、第1フィルム部材3と第2フィルム部材4とを、延伸装置によりそれぞれ2軸X、Y方向に延伸加工する。この延伸加工工程において、第1フィルム部材3は前述のように200%程度に延伸し、第2フィルム部材4は500%程度に延伸する。これにより、薄い第2フィルム部材4には、大きな残留応力(内部応力)が蓄えられることになる。
【0066】
(2)接着による貼り合わせ工程
図13において、前記延伸加工後、厚い第1フィルム部材3は、ロール3aから引き出され、ガイドローラ9等を介して加圧ローラ7、7間に挿入され、一方、薄い第2フィルム部材4は、ロール4aから引き出され、接着材供給ローラ20により片面に接着剤が塗布された後、加圧ローラ7、7間に挿入される。そして、両加圧ローラ7、7間で両フィルム部材3、4を積層状態で加圧することにより、両フィルム部材3、4を接着する。なお、接着工程において、加圧ローラ7内の加熱部材により、必要に応じて第1、第2フィルム部材3、4を加熱する。
【0067】
(3)微小凹部加工工程
図14の微小凹部形成工程は、前記図7と同様であり、接着後の孔版印刷用原紙1を、第1フィルム部材3が型押しローラ10に面するように両ローラ10、11間に挿入し、微小突起12によって第1フィルム部材3の一方の面に多数の微小凹部2を形成する。なお、微小凹部加工工程において、型押しローラ10内の加熱部材により、必要に応じて第1フィルム部材3を加熱する。
【0068】
該実施の形態の効果は、前記第1の実施の形態と比べ、貼り合わせ方式が融着方式と接着方式との相違による効果の違いを除いて、同様な効果を有している。該実施の形態では、両フィルム部材3、4を接着剤により貼り合わせているので、孔版印刷用原紙1の厚みが安定する。
【0069】
[発明の第3の実施の形態]
(孔版印刷用原紙の構成)
構造的には、図12で示した第2の実施の形態と同様であり、接着剤による接着層6を介して両フィルム部材3、4を貼り合わせており、第2の実施の形態と異なる点は、製造方法において、貼り合わせ工程の前段階で第1フィルム部材3に微小凹部2を形成し、微小凹部形成後の第1フィルム部材3と第2フィルム部材4とを、接着により貼り合わせていることである。
【0070】
(貼り合わせ装置)
図16は、第3の実施の形態で使用する接着方式の貼り合わせ装置の略図であり、一対の加圧ローラ7、7と、該加圧ローラ7、7のフィルム搬送上流側に配置された接着剤供給ローラ20と、さらに上流側に配置されたテンションローラ21、22とを備え、加圧ローラ近傍にガイドローラ9等を備えている。
【0071】
各テンションローラ21、22は、たとえば、それぞれ一対のローラ部材から構成されており、第1フィルム部材3と第2フィルム部材4をそれぞれ一定の挟持圧で挟持し、フィルム部材3、4の移動に伴って従動(回転)するようになっているが、回転抵抗(負荷)を付与する機構が備えられており、回転抵抗の大きさを調節することにより、加圧ローラ7、7とテンションローラ21、22の間の各フィルム部材3、4にそれぞれ所望の大きさの張力を付与できるように構成されている。該実施の形態では、第1フィルム部材3用のテンションローラ21による張力が、第2フィルム部材4用のテンションローラ22による張力よりも大きくなるように、それぞれ回転抵抗値が設定されている。
【0072】
なお、テンションローラ21、22として、テンションローラ21、22自体がそれぞれ駆動装置により回転駆動する構造でもよく、その場合は、テンションローラ21、22によるフィルム搬送速度を加圧ローラ7、7の搬送速度よりも少し遅れるように設定することにより、フィルム部材3、4にそれぞれ張力を付与する。また、別の構成として、付勢手段により各フィルム部材3、4に押し付けられるテンションローラを備え、その押し付け荷重を調節することにより、張力が調節可能となるテンションローラを備えることも可能である。
【0073】
(孔版印刷用原紙の製造方法)
(1)延伸加工工程
前記第1の実施の形態の図5で説明した工程と同様であり、まず、第1フィルム部材3と第2フィルム部材4とを、延伸装置によりそれぞれ2軸X、Y方向に延伸加工する。この延伸加工工程において、第1フィルム部材3は200%程度に延伸し、第2フィルム部材4は500%程度に延伸する。これにより、薄い第2フィルム部材4には、大きな残留応力(内部応力)が蓄えられることになる。
【0074】
(2)微小凹部加工工程
貼り合わせ工程前に微小凹部2を形成する工程であり、図15において、第1フィルム部材3を微小凹部形成用のローラ10、11間に挿入し、微小突起12によって第1フィルム部材3の一方の面に多数の微小凹部12を形成する。なお、この微小凹部形成工程において、型押しローラ10内の加熱部材により、必要に応じて第1フィルム部材3を加熱する。
【0075】
(3)接着による貼り合わせ工程
上記のように第1フィルム部材3に微小凹部2を形成した後、第1フィルム部材3と第2フィルム部材4を接着により貼り合わせる。すなわち、図16において、微小凹部形成後の第1フィルム部材3は、ロール3aから引き出され、テンションローラ21及びガイドローラ9を介して加圧ローラ7、7間に挿入され、一方、薄い第2フィルム部材4は、ロール4aから引き出され、テンションローラ22を経過し、接着材供給ローラ20により片面に接着剤が塗布され、加圧ローラ7、7間に挿入される。そして、加圧ローラ7、7間で両フィルム部材3、4、を積層状に加圧することにより、両フィルム部材3、4を接着する。
【0076】
上記貼り合わせ工程において、各フィルム部材3、4は、それぞれテンションローラ21、22により張力が付与されているので、しわ等が生じることなく、品質の良い貼り合わせ構造の孔版印刷用原紙1を作成でき、特に、前工程で微小凹部2を形成した第1フィルム部材3に強い張力を付与しているので、微小凹部形成時に発生し易いカールを効果的に補正でき、カールの無い良好な品質の孔版印刷用原紙1を作製することができる。
【0077】
なお、第3の実施の形態では、貼り合わせ工程の前に、第1フィルム部材3に微小凹部2を形成するので、たとえば図4のように微小凹部2の深さDが第1フィルム部材3の厚みt2より大きい構造よりも、図3のように微小凹部2の深さDが第1フィルム部材3の厚みt2より小さい構造に適している。すなわち、図4の構造では、第1フィルム部材3に貫通状態の微小凹部2を形成する必要が生じ、図15の型押しローラ10の突起12の高さを、両ローラ10、11の間隔よりも大きく形成しなければならず、突起12の耐久性を維持できないからである。また、テンションローラ21により大きな張力を付与すると、第1フィルム部材3に延び又は破断が生じる可能性があるからである。
【0078】
[発明の第4の実施の形態]
(孔版印刷用原紙の構成)
構造的には、図2で示した第1の実施の形態と基本的に同様であり、一方の面に多数の微小凹部2を形成した熱可塑性樹脂の第1フィルム部材3と、第1フィルム部材3よりも薄い熱可塑性樹脂の第2フィルムを貼り合わせた構造となっており、第2フィルム部材4は延伸加工が施されているが、第1フィルム部材3は、いわゆるエキストルージョンラミネートにより第2フィルム部材4に貼り合わされており、延伸加工は施されていない。第2フィルム部材4としては、たとえばポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレンテレフタレート等が使用され、第1フィルム部材3としては、たとえばポリエチレン等が使用されている。
【0079】
微小凹部2の配列、配置密度、底部5の厚さ等は第1の実施の形態と同様であり、ガラス転移点については、第1フィルム部材3のガラス転移点<第2フィルム部材4のガラス転移点の関係を有している。
【0080】
(貼り合わせ装置)
図17は、第4の実施の形態で使用するエキストルージョンラミネート方式の貼り合わせ装置の略図であり、圧力ローラ40と、該圧力ローラ40に対向するように配置された冷却ローラ41と、両ローラ40、41間の部分に上方から臨んでいるTダイ43を有する押し出し機45と、該押し出し機45に第1フィルム部材3の原料を供給する原料ホッパー46と、両ローラ40、41の搬送方向の両側にそれぞれ配置された複数のガイドローラ47等を備えている。
【0081】
(孔版印刷用原紙の製造方法)
(1)延伸加工工程
まず、図5のように、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレンテレフタレート等の第2フィルム部材4のみ(第1フィルム部材3は延伸加工をしない)を、延伸装置により2軸X、Y方向に延伸加工する。この延伸加工工程において、第2フィルム部材4はたとえば前述のように500%程度に延伸し、これにより、第2フィルム部材4に、大きな残留応力(内部応力)を蓄える。
【0082】
(2)エキストルージョンラミネート方式による貼り合わせ工程
図17において、前記延伸加工後、薄い第2フィルム部材4は、ロール4aから引き出され、ガイドローラ47等を介して圧力ローラ40と冷却ローラ41の間に上方から挿入される。一方、ホッパー46から押し出し機45に供給されたポリエチレン等の第1フィルム部材用原料は、押し出し機45内で加熱溶融され、Tダイ43のスリット状出口から、一定厚さのフィルム状となって両ローラ40、41間に押し出される。この時、加熱溶融状態の第1フィルム部材3は、第2フィルム部材4と冷却ローラ41の間に押し出される。そして、圧力ローラ40と冷却ローラ41の間で溶融状態の第1フィルム部材3と第2フィルム部材4を挟圧することにより、両フィルム部材3、4を貼り合わせる。
【0083】
(3)微小凹部加工工程
図7のように、前記貼り合わせ後の孔版印刷用原紙1を、第1フィルム部材3が型押しローラ10に面するように微小凹部形成用の両ローラ10、11間に挿入し、型押しローラ10の微小突起12によって多数の微小凹部12を第1フィルム部材3の一方の面に形成する。
【0084】
上記のように、延伸した第2フィルム部材4に、エキストルージョンラミネートにより第1フィルム部材3を貼り合わせた構造であると、異種のフィルム部材の貼り合わせであっても、カールの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明に係る孔版印刷用原紙の第1の実施の形態の平面図である。
【図2】図1の孔版印刷用原紙を一部切り取って示す断面拡大斜視図である。
【図3】図1の孔版印刷用原紙の断面拡大図である。
【図4】微小凹部の別の形状を示す図3と同様の断面拡大図である。
【図5】第1の実施の形態の延伸加工工程を示す両フィルム部材の斜視図である。
【図6】第1の実施の形態の融着に用いる貼り合わせ装置の略図である。
【図7】第1の実施の形態の微小凹部形成に用いる微小凹部形成装置の縦断面図である。
【図8】製版装置の部分縦断面図である。
【図9】製版装置のサーマルヘッドのヒータ面の平面図である。
【図10】微小凹部の配列とサーマルヘッドのヒータ部の配列の関係を示す図である。
【図11】フィルム部材の各種素材の融点及びガラス転移点を記載した表である。
【図12】本発明に係る孔版印刷用原紙の第2の実施の形態の図2と同様の断面拡大斜視図である。
【図13】第2の実施の形態の接着に用いる貼り合わせ装置の略図である。
【図14】第2の実施の形態の微小凹部形成に用いる微小凹部形成装置の縦断面図である。
【図15】第3の実施の形態の微小凹部形成に用いる微小凹部形成装置の縦断面図である。
【図16】第3の実施の形態の接着に用いる貼り合わせ装置の略図である。
【図17】第4の実施の形態のエキストルージョンラミネートに用いる貼り合わせ装置の略図である。
【符号の説明】
【0086】
1 孔版印刷用原紙
2 微小凹部
3 第1フィルム部材
4 第2フィルム部材
5 微小凹部の底部
6 接着層
7 加圧ローラ(貼り合わせ装置)
8 加熱ローラ
10 型押しローラ(微小凹部形成装置)
11 支承ローラ(微小凹部形成装置)
20 接着材供給ローラ
21、22 テンションローラ
30 ヒータ部
31 サーマルヘッド
33 プラテンローラ
40 圧力ローラ
41 冷却ローラ
45 押し出し機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に多数の微小凹部が形成された熱可塑性樹脂の第1フィルム部材と、
該第1フィルム部材の他方の面に貼り合わされると共に前記第1フィルム部材よりも薄く形成された熱可塑性樹脂の第2フィルム部材と、
を有することを特徴とする孔版印刷用原紙。
【請求項2】
前記第1フィルム部材と前記第2フィルム部材とは、融着により貼り合わされていることを特徴とする請求項1記載の孔版印刷用原紙。
【請求項3】
前記第1フィルム部材と前記第2フィルム部材とは、接着により貼り合わされていることを特徴とする請求項1記載の孔版印刷用原紙。
【請求項4】
前記第1フィルム部材及び前記第2フィルム部材は延伸したフィルム部材であり、
前記第2フィルム部材の延伸率が前記第1フィルム部材の延伸率よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の孔版印刷用原紙。
【請求項5】
前記第2フィルム部材は延伸したフィルム部材であり、該第2のフィルム部材に、エキストルージョンラミネートにより第1フィルム部材を貼り合わせていることを特徴とする請求項1記載の孔版印刷用原紙。
【請求項6】
前記第2フィルム部材の融点が前記第1フィルム部材の融点より低いことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の孔版印刷用原紙。
【請求項7】
前記第1フィルム部材のガラス転移点が前記第2フィルム部材のガラス転移点より低いことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の孔版印刷用原紙。
【請求項8】
前記微小凹部の底部の厚さは、前記第2フィルム部材の厚さの50%〜150%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の孔版印刷用原紙。
【請求項9】
前記請求項2、4、6〜8のいずれかに記載の孔版印刷用原紙を製造する方法において、
第1の工程として、表裏両面が未加工の熱可塑性樹脂の第1フィルム部材と、表裏両面が未加工の熱可塑性樹脂の第2フィルム部材とを、融着により貼り合わせ、
第2の工程として、多数の微小凹部形成用の突起を備えたエンボス加工ローラにより、前記第1フィルム部材の一方の面に多数の微小凹部を形成することを特徴とする孔版印刷用原紙の製造方法。
【請求項10】
前記請求項3、4、6〜8のいずれかに記載の孔版印刷用原紙を製造する方法において、
第1の工程として、表裏両面が未加工の熱可塑性樹脂の第1フィルム部材と、表裏両面が未加工の熱可塑性樹脂の第2フィルム部材とを、接着により貼り合わせ、
第2の工程として、多数の微小凹部形成用の突起を備えたエンボス加工ローラにより、第1フィルム部材の一方の面に多数の微小凹部を形成することを特徴とする孔版印刷用原紙の製造方法。
【請求項11】
前記請求項3、4、6〜8のいずれかに記載の孔版印刷用原紙を製造する方法において、
第1の工程として、表裏両面が未加工の熱可塑性樹脂の第1フィルム部材の一方の面に、多数の微小凹部形成用の突起を備えたエンボス加工ローラにより、多数の微小凹部を形成し、
第2の工程として、第1フィルム部材の他方の面に、第1フィルム部材より薄い熱可塑性樹脂の第2のフィルムを、接着により貼り合わせることを特徴とする孔版印刷用原紙の製造方法。
【請求項12】
前記請求項5、7又は8のいずれかに記載の孔版印刷用原紙を製造する方法において、
第1の工程として、押し出し機により加熱溶融されると共にTダイによりフィルム状に押し出される第1フィルム部材と、表裏両面が未加工の熱可塑性樹脂の第2フィルム部材とを、圧力ローラと冷却ローラの間で積層させると共に圧着冷却することにより、貼り合わせ、
第2の工程として、多数の微小凹部形成用の突起を備えたエンボス加工ローラにより、第1フィルム部材の一方の面に多数の微小凹部を形成することを特徴とする孔版印刷用原紙の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−281728(P2006−281728A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108450(P2005−108450)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】