説明

学習具及びそれを用いた学習セット

【課題】 低年齢児童用の計算学習具に関するものであり、冊子形態やシート形態であっても引算の原理を視覚的に学習できる、低価格で利便性に富んだ学習具とそれを用いた学習セットを提供する。
【解決手段】 引算の問題2と、前記問題2の解答を記入する解答欄3と、前記問題2で使用する数字の最大値と同数の変色像4とをシート状支持体上に備え、前記変色像4が常温域で着色状態であり、加熱によって変色する学習具1。前記学習具1と、前記学習具1に筆記可能であり加熱によって消色可能なインキ9を収容した筆記具7とからなる学習セット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は学習具とそれを用いた学習セットに関する。詳細には、低年齢児童用の計算学習具とそれを用いた学習セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、児童が足算や引算を学習するための計算学習具が種々開示されている(例えば、特許文献1乃至4参照)。
特許文献1、2は、冊子状、シート状の計算ドリル形態の学習具であり、紙面に数式と解答欄のみが印刷されるものである。そのため安価であるが、学習初期の低年齢児童が学習するには難しいものである。
これに対して特許文献3、4は、低年齢児童用の学習具に関するものであり、いずれも数字の描かれた珠を移動させることで視覚的に数字の増減を認識するための立体物である。そのため、前記計算ドリルの補助具として用いることはできるものの、解答を直接記入することはできない。また、冊子やシート状の形態と異なり嵩張る形状であると共に、製造コストが高くなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−68861号公報
【特許文献2】実用新案登録第3028829号公報
【特許文献3】実用新案登録第3058515号公報
【特許文献4】特開2003−76262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、低年齢児童用の計算学習具に関するものであり、冊子形態やシート形態であっても引算の原理を視覚的に学習できる、低価格で利便性に富んだ学習具とそれを用いた学習セットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、引算の問題と、前記問題の解答を記入する解答欄と、前記問題で使用する数字の最大値と同数の変色像とをシート状支持体上に備え、前記変色像が常温域で着色状態であり、加熱によって変色する学習具を要件とする。
更に、前記変色像が、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる可逆熱変色性組成物を内包した、加熱により有色から無色に色変化するマイクロカプセル顔料を含むインキにより形成されること、前記学習具と、前記学習具に筆記可能であり加熱によって消色可能なインキを収容した筆記具とからなる学習セットを要件とする。
更に、引算の問題と、前記問題の解答を記入する解答欄と、前記問題で使用する数字の最大値と同数の輪郭像とをシート状支持体上に備えた学習具と、前記学習具に筆記可能であり加熱によって消色可能なインキを収容した筆記具とからなる学習セットを要件とする。
更に、前記筆記具が、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる可逆熱変色性組成物を内包した、加熱により有色から無色に色変化するマイクロカプセル顔料を含むインキを収容した筆記具であること、前記筆記具が摩擦体を備えてなることを要件とする。
更には、摩擦体と組み合わされることを要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、冊子形態やシート形態であっても、問題が印字される同一支持体上で引算の原理を視覚的に学習でき、前記問題の解答を記入することができる、低価格で利便性に富んだ学習具を提供できる。
また、前記学習具に書き込むために、熱消去可能なインキを収容した筆記具を用いることで、消しゴムの使用時のような消しカスを生じることなく筆跡を消去でき、更に像部の変色が容易にできる、再利用可能な学習セットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に用いられる可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【図2】本発明の学習具の一実施例の説明図である。
【図3】本発明の学習具の他の一実施例の説明図である。
【図4】図3の学習具と共に学習セットを構成する筆記具の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
前記学習具は、紙や樹脂等の材質からなる任意形状のシート状支持体に、解答が正の数となる引算の問題と、前記問題の解答を記入する解答欄と、前記問題で使用する数字の最大値と同数の変色像又は輪郭像を形成するものである。
尚、前記最大値と同数の像の形成とは、例えば、もとの数a(左項)と、引く数b、c、d・・・(右項)による問題の場合、前記変色像や輪郭像はa個形成されることを意味する。
【0009】
前記変色像は常温域で着色状態であり、体温や摩擦熱での加熱によって変色(好ましくは消色)するように構成される。そのため、学習時には、着色状態(第一色)のもとの数a個から、引く数b個、c個、d個・・・を順に消色(又は第二色への変色)することによって、もとの状態のまま残った像の個数を数えることで視覚的に引算を学習することができる。
【0010】
前記変色像は、可逆熱変色性インキを調製し、支持体上にスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段により形成する他、図柄を形成したラベルを基材に貼着することでも形成できる。
変色像としては、絵柄、模様、文字、数字、記号、これらの組み合わせが挙げられ、文字としては、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット、ギリシア文字等を例示でき、数字としては、アラビア数字、ローマ数字等を例示でき、記号としては、音符記号、円記号、パーセント記号、アンド記号等を例示でき、問題の内容に応じて各種選択される。
また、前記変色像の下層に非変色性インキによる図柄を形成し、常温域で該図柄を隠蔽して不可視状態とし、加温により透明化して図柄を可視状態とする構成も可能である。
【0011】
前記可逆熱変色性インキ中に含まれる着色剤としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む加熱により消色する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させたマイクロカプセル顔料が有効である。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する組成物や、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報、特開2005−1369号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜70℃)を示し、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、低温域での発色状態、又は、高温域での消色状態を特定温度域で保持できる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物が使用でき、使用形態に合わせて選択的に適用できる。
【0012】
前記可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度T(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度T(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度T(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度T(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記TとT間の温度域であり、着色状態と消色状態の両状態が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるTとTの間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
【0013】
また、前記輪郭像を用いた場合には、常温域で着色状態であり、加熱によって消色するインキを内蔵する筆記具を用いて、輪郭をなぞったり、塗りつぶすことで前述の変色像と同様に適用できる。この場合、親や教師等の年長者が輪郭像への筆記(塗りつぶし)や消色をしたり、児童に筆記や筆跡の消色をするように促すことで、各数字(計算)を説明し、児童がそれを視覚的に理解して解答を考える等のコミュニケーション性の高い学習が可能となる。
【0014】
前記シート状支持体には、筆記具により解答(筆跡)を形成する解答欄(被筆記面)が形成される。シート状支持体自体が紙により構成される場合、別途筆記面を設ける必要はないが、筆記具による被筆記性を有さない材質により支持体を構成する場合、被筆記面を支持体上に形成する必要がある。
前記被筆記面を構成する材料は、筆記具により筆跡を形成できる材質であれば特に限定されるものではないが、紙が好適に用いられる。
【0015】
また、前記引算問題としては、解答が正の数となる問題が1問以上設けられ、計算式や文章問題の形態が適用される。前記問題が同一支持体に複数形成される場合、前記変色像や輪郭像は問題毎に形成してもよいし、一箇所に設けて各問題で使用できる形態としてもよい。
【0016】
前記問題の解答記入や、輪郭像への筆記に使用される筆記具には、加熱により消色可能なインキが収容される。
前記インキ中に含まれる着色剤としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む加熱により消色する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させたマイクロカプセル顔料が有効である。
前記可逆熱変色性組成物としては、前述したヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する組成物を用いることもできるが、好ましくは、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報、特開2005−1369号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜70℃)を示し、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、低温域での発色状態、又は、高温域での消色状態を特定温度域で保持できる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物が用いられる。
【0017】
前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度Tを冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−30〜10℃、好ましくは−30〜0℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度Tを摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち30〜90℃、好ましくは50〜80℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜60℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる(図1参照)。
本発明で適用される筆記具は、有色状態の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を含むインキが収容されてなり、前記筆記具により形成された筆跡が指触等では容易に消色されない構成であることが好ましく、しかも、消色した筆跡は再び現出しないことが好ましい。
【0018】
前記(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等を挙げることができ、更には、蛍光性の黄色〜赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
【0019】
成分(ロ)の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0020】
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類を挙げることができる。
前記(ハ)成分として好ましくは、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性組成物を形成できる5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が用いられる。
【0021】
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
更に、前記(ハ)成分として、特開2006−137886号公報に記載されている化合物や、特開2006−188660号公報に記載されている化合物が好適に用いられる。
【0022】
前記マイクロカプセル顔料の形態は円形断面の形態のものの適用を拒まないが、非円形断面の形態が効果的である。
筆記により形成される筆跡は、前記マイクロカプセル顔料が被筆記面に対して長径側(最大外径側)を密接させて濃密に配向、固着されており、高濃度の発色性を示すと共に、前記筆跡をゴム等の摩擦体による摩擦による外力に対して、前記マイクロカプセル顔料は外力を緩和する形状に微妙に弾性変形し、マイクロカプセルの壁膜の破壊が抑制され、熱変色機能を損なうことなく有効に発現させることができる。
ここで、前記非円形断面形状のマイクロカプセル顔料は、最大外径の平均値が0.5〜5.0μm、好ましくは1〜4μm、より好ましくは1〜3μmの範囲にあり、且つ、可逆熱変色性組成物:壁膜=7:1〜1:1(質量比)、好ましくは6:1〜1:1の範囲を満たすことが好ましい。
前記マイクロカプセル顔料(円形断面形状のものを含む)の最大外径の平均値が5.0μmを越えると毛細間隙からの流出性の低下を生じ易く、最大外径の平均値が0.5μm未満では高濃度の発色性を示し難くなる。
可逆熱変色性組成物の壁膜に対する比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を生じ易く、壁膜の可逆熱変色性組成物に対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を生じ易くなる。
【0023】
前記可逆熱変色性組成物のマイクロカプセル化は、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与したり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0024】
前記マイクロカプセル顔料は、インキ組成物全量に対し、2〜50質量%(好ましくは3〜40質量%、更に好ましくは、4〜30質量%)配合することができる。2質量%未満では発色濃度が不充分であり、50質量%を越えるとインキ流出性が低下し、筆記性が阻害される。
【0025】
前記インキは、マイクロカプセル顔料をビヒクル中に分散させたインキが有効であり、前記ビヒクルとしては水性ビヒクルが好ましいが、油性ビヒクルであってもよい。
具体的には、剪断減粘性付与剤を含む剪断減粘性インキや、水溶性高分子凝集剤によりマイクロカプセル顔料を緩やかな凝集状態に懸濁させた凝集性インキを挙げることができる。更には、マイクロカプセル顔料とビヒクルとの比重差を0.05以下になるよう調節したインキを挙げることができる。
前記剪断減粘性付与剤を添加することにより、マイクロカプセル顔料の凝集、沈降を抑制することができると共に、筆跡の滲みを抑制することができるため、良好な筆跡を形成できる。
更に、前記インキを充填する筆記具がボールペン形態の場合、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
【0026】
前記剪断減粘性付与剤としては、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類。N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を例示できる。
【0027】
前記水溶性高分子凝集剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性多糖類、水溶性セルロース誘導体等を挙げることができる。水溶性多糖類として具体例にはトラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリンが挙げることができ、水溶性セルロース誘導体として具体例には、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等を挙げることができる。
前記インキには顔料粒子間の緩い橋架け作用を示す水溶性高分子凝集剤であればすべて適用することができるが、なかでも水溶性セルロース誘導体が最も有効に作用する。
前記高分子凝集剤は、インキ組成物全量に対し、0.05〜20質量%配合することができる。
【0028】
インキ中には水と、必要により汎用の水溶性有機溶剤を添加することもできる。
その他、必要に応じてアクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の樹脂を添加して紙面への固着性や粘性を付与することもできる。
また、炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、ポリエーテル変性シリコーンオイルや各種リン酸エステル等の潤滑剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系の界面活性剤を添加してもよい。
【0029】
前記インキは、マーキングペンチップやボールペンチップを筆記先端部に装着したマーキングペンやボールペン等の筆記具に充填して実用に供される。
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に剪断減粘性インキを充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接しているボールペンを例示できる。
【0030】
前記ボールペンチップについて更に詳しく説明すると、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、前記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
また、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.3〜3.0mm、好ましくは0.3〜1.2mm径程度のものが適用できる。
【0031】
前記インキを収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体が用いられる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記インキ収容管はレフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
【0032】
前記インキ収容管に収容したインキの後端にはインキ逆流防止体が充填される。
前記インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
前記不揮発性液体及び/又は難揮発性液体は、増粘剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、前記増粘剤としては表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物等を挙げることができる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
【0033】
また、マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵し、毛細間隙が形成された繊維加工体からなるペン先を直接或いは中継部材を介して軸筒に装着してなり、前記インキ吸蔵体とペン先が連結されてなるマーキングペンの前記インキ吸蔵体に凝集性インキを含浸させたマーキングペンや、ペン先の押圧により開放する弁体を介してペン先とインキ収容管とを配置し、該インキ収容管内にインキを直接収容させたマーキングペン等を例示できる。
【0034】
前記ペン先は、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の従来汎用の気孔率が概ね30〜70%の範囲から選ばれる連通気孔の多孔質部材であり、一端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。
前記インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させたものであり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40〜90%の範囲に調整して構成される。
また、前記弁体は、従来汎用のポンピング式形態が使用できるが、筆圧により押圧開放可能なバネ圧に設定したものが好適である。
【0035】
更に、前記ボールペンやマーキングペンの形態は前述したものに限らず、相異なる形態のペン先を装着させたり、相異なる色調のインキを導出させるペン先を装着させた複合筆記具(両頭式やペン先繰り出し式等)であってもよい。
【0036】
前記筆記具を用いた筆跡は、指による加温や擦過による摩擦熱、更に加熱具等の適用により有色状態から無色状態に色調を変色させることができる。
前記加熱具としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具、コピー機等の感熱機、ヘアドライヤー、電球等の適用を挙げることができるが、簡便な方法で変色可能な手段であることから、摩擦体の適用が好ましい。
前記摩擦体としては、弾性感に富み、摩擦時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適であるが、プラスチック成形体、石材、木材、金属、布帛であってもよい。
尚、消しゴムを使用して筆跡を摩擦することもできるが、摩擦時に消しカスが発生するため、好ましくは前述のような摩擦体が用いられる。
前記摩擦体の材質としては、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体)等が好適であるが、シリコーン樹脂は摩擦により消去した部分に樹脂が付着し易く、繰り返し筆記した際に筆跡がはじかれることがあるため、SBS樹脂やSEBS樹脂がより好適に用いられる。
前記摩擦体は筆記具と別体の任意形状の部材であってもよいが、筆記具に摩擦部材を固着させることにより、携帯性に優れたものとなる。
前記摩擦部材を固着する箇所は、キャップ先端部(頂部)、或いは、軸筒先端部(筆記先端部を設けていない部分)等を挙げることができる。
更に、キャップの一部、或いは軸筒の一部に任意形象の小突部を設けて摩擦部材とすることもできる。
また、前記筆跡に適用される摩擦体(単独または筆記具に固着されるもの)は、学習具に形成される変色像の色変化に適用することもできる。
【実施例】
【0037】
以下に実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の部は質量部である。
【0038】
実施例1(図2参照)
学習具の作製
紙製の支持体表面に黒色の非変色性インキを用いて、「リンゴが3つ有りました。1つリンゴを食べたら、のこったリンゴはいくつでしょう?」という文章問題と、「3−1=」の計算式からなる問題2と、該問題2の解答を記入する解答欄3を印刷した。同時に、変色像4の擦過を促すための文章とオオカミのキャラクターからなる説明部6を黒色、茶色、赤色、桃色の非変色性インキを用いて印刷した。
更に、前記問題2の下側に、(イ)成分として1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン4.5部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン4.0部、4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール4.0部、(ハ)成分としてラウリン酸ステアリル50部からなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T:36℃、T:38℃、T:42℃、T:45℃、ΔH:6.5℃、平均粒子径:7μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.6:1.0、赤色から無色に色変化する)を含む可逆熱変色性インキを用いて、変色像4となる3個のリンゴの絵柄を印刷することでシート形態の学習具1を得た。
尚、前記変色像4の消色と発色は、加温冷却により繰り返し視認できるものである。
また、前記問題2においては、3個のリンゴ像(変色像4)のうち、引く数(右項)である1個のみを熱変色性インキにより印刷し、残りの2個を非変色性インキにより印刷することもできる。その場合、説明部6で擦過するリンゴ像を指定することで適用される。
【0039】
前記学習具1では、児童が文章問題2を読み、計算式により数字の減法を考える際に、説明部6を確認して3個のリンゴ像(変色像4)のうちのいずれか1個を指で擦って温めると消色して2個のリンゴが残る。そのため視覚的に前記問題2の計算を理解することが可能になる。その後、汎用の筆記具によって解答欄に答えを記入することで学習できるものとなる。
【0040】
実施例2(図3参照)
学習具の作製
紙製の支持体表面に黒色の非変色性インキを用いて、「リンゴが3つ有りました。1つリンゴを食べたら、のこったリンゴはいくつでしょう?」という文章問題と、「3−1=」の計算式からなる問題2と、該問題2の解答を記入する解答欄3と、輪郭像5となる3個のリンゴの絵柄を印刷した。これと同時に、塗りつぶした後の輪郭像5の擦過を促すための文章とオオカミのキャラクターと6個のリンゴ柄からなる説明部6を黒色、茶色、赤色、桃色、緑色の非変色性インキを用いて印刷することでシート形態の学習具1を得た。
【0041】
赤色可逆熱変色性筆記具の作製(図4参照)
(イ)成分として1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン1.0部、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン2.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール4.5部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T:−20℃、T:−9℃、T:40℃、T:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.6:1.0、赤色から無色に色変化する)25.7部、サクシノグリカン(剪断減粘性付与剤)0.2部、尿素5.5部、グリセリン7.5部、ノニオン系浸透性付与剤0.03部、変性シリコーン系消泡剤0.15部、防黴剤0.1部、潤滑剤0.5部、トリエタノールアミン0.5部、水59.82部からなる可逆熱変色性インキを調製した。
前記インキ9(予め−20℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を赤色に発色させた後、室温下で放置したもの)を先端にボールペンチップ81を固着した内径7mm、外形10mmのポリプロピレン製軸筒82に充填し、次いで、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体10を充填し、SEBS樹脂製の摩擦体84を軸筒後部に嵌合させた。
更に、ゴムシールを内在したキャップ83を嵌めた後、遠心処理により脱気処理を行なって筆記具7(可逆熱変色性ボールペン)を得た。
尚、前記ボールペンチップは、金属材料をドリルによる切削加工により形成したボール抱持部に直径0.7mmのステンレス鋼ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。
【0042】
黒色可逆熱変色性筆記具の作製
前記筆記具7と同様の外装8及びインキ逆流防止体10を用いて、(イ)成分として2−(2−クロロアミノ)−6−ジブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール4.5部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T:−20℃、T:−9℃、T:40℃、T:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.6:1.0、黒色から無色に色変化する)25.7部、サクシノグリカン(剪断減粘性付与剤)0.2部、尿素5.5部、グリセリン7.5部、ノニオン系浸透性付与剤0.03部、変性シリコーン系消泡剤0.15部、防黴剤0.1部、潤滑剤0.5部、トリエタノールアミン0.5部、水59.82部からなる可逆熱変色性インキを調製し、予め−20℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を黒色に発色させた後、室温下で放置したものを内蔵することで筆記具7(黒色可逆熱変色性ボールペン)を得た。
【0043】
学習セットの作製
前記二種の筆記具7と輪郭像5を備えた学習具1とを組み合わせて学習セットを得た。
前記問題2を説明する際、筆記具7(赤色インキ)を用いて、親がリンゴ像5の輪郭内を塗りつぶすことで3個の赤いリンゴを形成し、次いで、そのうちの1個を摩擦体8により擦過することで消色させ、残りのリンゴを2個とすることができる。尚、この状態は室温下で維持することができる。
前記変化を視覚的に認識し、児童が筆記具7(黒色インキ)を用いて残りの個数を解答欄3に記入することで親子のコミュニケーションをとりながら学習することができる。尚、前記解答欄3に筆記した解答が間違えていた場合には、筆記具7後端の摩擦体84により容易に消去して新しい解答を書き直すことが可能である。更に、正解した解答に対して親が赤色筆記具7で丸付けをすることもできる。
また、前記筆跡(リンゴ像内及び解答欄の筆跡)はいずれも加温によって消色できるため、学習具1は繰り返し使用できるものとなった。
【0044】
実施例3(図2参照)
学習具の作製
実施例1で作製した学習具1のうち、3個のリンゴの絵柄の下層(即ち紙面上)に非変色性インキによりリンゴの芯の像を印刷した後、該非変色像を隠蔽するように、実施例2の赤色可逆熱変色性筆記具に適用した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(T:−20℃、T:−9℃、T:40℃、T:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.6:1.0、赤色から無色に色変化する)を含む可逆熱変色性インキを用いてリンゴの変色像4を印刷することで学習具1を形成した。
前記変色像4の赤色変色層は40℃以上に加熱すると徐々に消色し、57℃で完全に消色して下層のリンゴ芯部が視認されるものである。
【0045】
学習セットの作製
学習具1と共に、摩擦体としてSEBS樹脂製の直方体を組み合わせて学習セットを得た。
前記学習セットでは、児童が文章問題2を読み、計算式により数字の減法を考える際に、説明部6を確認して3個のリンゴ像(変色像4)のうちのいずれか1個を前記摩擦体で擦過すると消色して2個のリンゴが残る。そのため視覚的に前記問題2の計算を理解することが可能になる。
その後、汎用の筆記具によって導いた答えを解答欄3に記入することで視覚的な計算学習ができるものとなった。
尚、前記変色像4の消色状態は室温下で維持することができ、冷却することで着色状態に戻るため、学習具1は繰り返し使用することができた。
【0046】
実施例4
学習セットの作製
実施例3の学習セットと共に、実施例2で作製した黒色及び赤色の熱変色性インキを内蔵した筆記具7を組み合わせることで学習セットを得た。
前記学習セットでは、児童が文章問題2を読み、計算式により数字の減法を考える際に、説明部6を確認して3個のリンゴ像(変色像4)のうちのいずれか1個を摩擦体(直方体の単体物又は筆記具後端のもの84)で擦過すると消色して2個のリンゴが残る。そのため視覚的に前記問題2の計算を理解することが可能になる。その後、いずれかの筆記具7で残りの個数を解答欄3に記入することで学習できる。尚、前記解答欄3へ筆記した際に答えを間違えた場合には、各摩擦体により容易に消去して書き直すことが可能である。
前記筆跡は加温によって消色できるため、本学習セットの学習具1は繰り返し使用できるものとなった。
【符号の説明】
【0047】
完全発色温度
発色開始温度
消色開始温度
完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 学習具
2 問題
3 解答欄
4 変色像
5 輪郭像
6 説明部
7 筆記具
8 筆記具外装
81 ボールペンチップ
82 軸筒
83 キャップ
84 摩擦部材
9 インキ
10 インキ逆流防止体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引算の問題と、前記問題の解答を記入する解答欄と、前記問題で使用する数字の最大値と同数の変色像とをシート状支持体上に備え、前記変色像が常温域で着色状態であり、加熱によって変色する学習具。
【請求項2】
前記変色像が、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる可逆熱変色性組成物を内包した、加熱により有色から無色に色変化するマイクロカプセル顔料を含むインキにより形成される請求項1記載の学習具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の学習具と、前記学習具に筆記可能であり加熱によって消色可能なインキを収容した筆記具とからなる学習セット。
【請求項4】
引算の問題と、前記問題の解答を記入する解答欄と、前記問題で使用する数字の最大値と同数の輪郭像とをシート状支持体上に備えた学習具と、前記学習具に筆記可能であり加熱によって消色可能なインキを収容した筆記具とからなる学習セット。
【請求項5】
前記筆記具が、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる可逆熱変色性組成物を内包した、加熱により有色から無色に色変化するマイクロカプセル顔料を含むインキを収容した筆記具である請求項3又は4に記載の学習セット。
【請求項6】
前記筆記具が摩擦体を備えてなる請求項3乃至5のいずれかに記載の学習セット。
【請求項7】
摩擦体と組み合わされる請求項1乃至6のいずれかに記載の学習セット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−51191(P2011−51191A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201298(P2009−201298)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】