説明

安全スイッチ

【課題】そこを出入りする物などに引っ掛かったりすることや、アクチュエータが破損することなどを確実に防止する。
【解決手段】アクチュエータ4がスライド部材5に搭載されて案内手段8’上を摺動自在となっており、その案内手段8’で案内されるスライド部材5’のフランジ5c’に、前方側から傾斜面5gを形成し、後方側の平坦面5hに切り替わる部分に段部5fを設ける。したがって、振動や衝撃等での該スライド部材5’の不所望な突出を防止できる。扉2が閉じられた後、作業者がスライド部材5’を矢符F11方向に押込み、後端面8fに段部5fを乗り越えさせた後、矢符F12方向に摺動させることで、作動片4aをスロット7aに嵌入させ、カムを回転させ、スイッチをONすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉の開閉部分に配設される安全スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば工場内の危険区域や、自動運転される機械の内部等との間に設置される扉には、該扉の開閉状態に応じてON/OFFする安全スイッチが設けられている。その安全スイッチの典型的な従来技術としては、例えば本件出願人が先に提案した特許文献1が挙げられる。その従来技術によれば、壁面側に設けられたスイッチ本体を扉側に設けられたアクチュエータが押圧するか否かで接点状態が切り替わるようになっている。そして、この従来技術では、扉の開閉方向とは交差する方向、すなわち扉を回転扉とすると、端面方向に前記アクチュエータが出没するようにし、このアクチュエータと一体的に閂部材を設け、その閂部材の操作を要するめに、作業者の意志によってしか、アクチュエータがスイッチ本体に嵌入(ON)しないようになっている。
【特許文献1】特開平10−21793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、閂部材によってアクチュエータがスイッチ本体に不用意に嵌入してしまうことはないものの、扉が開いている状態では、振動等によってアクチュエータ(及び閂部材)が不所望に移動(前進)して、扉の端面から外側に突出してしまう可能性がある。これらの部材が突出すると、そこを出入りする物などに引っ掛かったり、アクチュエータの破損を招くという問題がある。
【0004】
そこで、本発明の解決すべき課題は、作業者が意図することなく、アクチュエータが振動等で不所望に移動して、扉や壁面の端面から突出してしまうことを確実に防止することができる安全スイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明では、扉と壁面との境界の一方にアクチュエータが設けられ、他方に前記アクチュエータによって変位駆動されることで開閉動作するスイッチ本体が設けられてなる安全スイッチにおいて、前記アクチュエータを搭載し、前記扉と壁面との一方側において、該一方側から他方側に出没可能な可動部材と、前記可動部材を、その後退位置で係止する係止手段と、を備える。
【0006】
また、請求項2の発明では、請求項1の発明に係る安全スイッチにおいて、前記アクチュエータを覆うカバー部材をさらに備える。
【0007】
また、請求項3の発明では、請求項1又は請求項2の発明に係る安全スイッチにおいて、前記係止手段は、前記可動部材又はその案内手段の一方に形成され、前記可動部材又はその案内手段の他方の端面を係止する段部と、前記段部に前記端面が当接する方向に、前記案内手段に対して前記可動部材を弾発的に付勢する付勢手段と、を備える。
【0008】
また、請求項4の発明では、請求項1又は請求項2の発明に係る安全スイッチにおいて、前記係止手段は、前記可動部材側に設けられ、作業者によって押圧操作される操作部材と、前記操作部材によって変位駆動される係止片と、前記係止片が係止状態を維持するように弾発的に付勢するバネ部材と、前記係止片が係合する係止凹所と、を備える。
【0009】
また、請求項5の発明では、請求項1又は請求項2の発明に係る安全スイッチにおいて、前記係止手段は、前記扉と壁面との一方に設けられ、前記可動部材の前記扉と壁面との他方側の端面を係止する係止部材と、前記扉と壁面との一方に設けられ、前記端面に前記係止部材が当接する方向に前記係止部材を弾発的に付勢する付勢手段と、前記扉と壁面との他方に設けられ、前記扉が閉まった状態で前記係止部材に接触し、前記端面から前記係止部材が離反する方向に前記係止部材を変位させる係止解除部材と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、作業者の出入りなどのために開閉される扉と、壁面との境界の一方、例えば扉側にアクチュエータが設けられ、他方、したがって壁面側に前記アクチュエータによって変位駆動されることで開閉動作(接点部を断接)するスイッチ本体が設けられてなる安全スイッチにおいて、アクチュエータは、前記のようにスイッチ本体を変位駆動するために、前記扉と壁面との一方側から、前記境界となる扉又は壁面の端面を超えて、他方側に突出することになるので、そのアクチュエータを、前記扉と壁面との一方側において、該一方側から他方側に出没可能な可動部材に搭載する。したがって、このアクチュエータを、扉が開いた状態で、前記境界となる扉又は壁面の端面から内側に没入させた状態とすることができ、該アクチュエータが不所望にそこを出入りする物などに引っ掛かったりすることなく、またアクチュエータの破損なども防止することができる。
【0011】
また、係止手段を設け、可動部材を、その後退位置で係止することで、作業者が意図することなく、可動部材が振動等で不所望に移動(前進)して、前記境界となる扉又は壁面の端面から外側に突出してしまうことを確実に防止することができる。したがって、作業者の意志によってしか、アクチュエータがスイッチ本体側へ飛出変位できず、そこを出入りする物などに引っ掛かったりすることや、アクチュエータの破損なども一層確実に防止することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、アクチュエータの破損を一層確実に防止することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記係止手段を、前記可動部材又はその案内手段の一方に形成され、前記可動部材又はその案内手段の他方の端面を係止する段部と、その段部に前記端面が当接する方向に、前記案内手段に対して前記可動部材を弾発的に付勢する付勢手段とによって構成する。したがって、前記作業者は、前記可動部材を、前記付勢手段の弾発力に抗するように、例えば押し込んだり持ち上げたりするだけで、前記端面は段差を乗り越え、可動部材の移動が可能になる。これによって、前記のように作業者が意図することなく、可動部材が不所望に移動(前進)してしまうことを防止しつつ、容易に係止状態を解除し、アクチュエータをスイッチ本体に挿入させることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記係止手段を、前記可動部材側に設けられ、作業者によって押圧操作される操作部材と、前記操作部材によって変位駆動される係止片と、前記係止片が係止状態を維持するように弾発的に付勢するバネ部材と、前記係止片が係合する係止凹所とによって構成する。したがって、係止片が係止凹所に係合した状態では、振動等に対して前記可動部材が不所望に移動しないように係止されており、作業者は、扉を閉めた後、バネ部材の弾発力に抗して操作部材を押圧操作するだけで、前記係止片の係合状態が解除され、可動部材の移動が可能になる。これによって、前記のように作業者が意図することなく、可動部材が不所望に移動(前進)してしまうことを防止しつつ、容易に係止状態を解除し、アクチュエータをスイッチ本体に挿入させることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記係止手段を、前記扉と壁面との一方に設けられ、前記可動部材の前記扉と壁面との他方側の端面を係止する係止部材と、前記扉と壁面との一方に設けられ、前記端面に前記係止部材が当接する方向に前記係止部材を弾発的に付勢する付勢手段と、前記扉と壁面との他方に設けられ、前記扉が閉まった状態で前記係止部材に接触し、前記付勢手段の弾発力に抗して前記端面から前記係止部材が離反する方向に前記係止部材を変位させる係止解除部材とによって構成する。したがって、扉が開いた状態では、前記可動部材の前記扉と壁面との他方側の端面は、付勢手段の弾発力によって、振動等に対して不所望に移動しないように前記係止部材によって係止されており、作業者は、扉を確実に閉めるだけで、前記端面の係止状態が解除され、可動部材の移動が可能になる。これによって、前記のように作業者が意図することなく、可動部材が不所望に移動(前進)してしまうことを防止しつつ、容易に係止状態を解除し、アクチュエータをスイッチ本体に挿入させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[実施形態1]
図1は本発明の第1実施形態に係る安全スイッチ1の動作を説明するための断面図であり、図2及び図3はその安全スイッチ1の断面図である。図1(a)において図3の切断面線をIII−IIIで示し、図3において図1の切断面線をI−Iで示し、図2の切断面線をII−IIで示す。安全スイッチ1は、扉2と壁面3との境界に臨んで、それらの一方に設けられるアクチュエータ4と、前記アクチュエータ4を搭載する可動部材としてのスライド部材5と、前記扉2と壁面3との境界の他方に設けられるスイッチ本体7とを備えて構成される。
【0017】
図1〜図3で示す実施形態では、アクチュエータ4、スライド部材5及び係止手段6が扉2側に設けられ、スイッチ本体7が壁面3側に設けられているけれども、アクチュエータ4及びスライド部材5を壁面3側に、スイッチ本体7を扉2側に設けるようにしてもよい。また、扉2は、矢符F1方向に摺動することで壁面3との間を開閉するスライド式の扉であってもよく、矢符F2方向に回動することで開閉する回転式の扉であってもよい。
【0018】
スイッチ本体7は、前記アクチュエータ4が嵌入するスロット7aを有するカム室7bと、それに連なるスイッチ室7cとを備えて構成される。前記スロット7aからカム室7b内に嵌入したアクチュエータ4が、図示しないカムを回転させることで、スイッチ室7c内の図示しないレバーを変位駆動し、1又は複数のスイッチの接点状態を切換える。このスイッチ本体7の一例は、本件出願人が先に提案した特開2005−294047号公報などに示されている。
【0019】
前記アクチュエータ4は、前記カム室7bのスロット7aに嵌入する作動片4aと、その作動片4aをスライド部材5に固定するための取付け片4bとを備え、側面視で略L字状に形成される。
【0020】
前記スライド部材5は、前記アクチュエータ4が固定され、案内手段8上を摺動することができる本体5aと、前記アクチュエータ4の作動片4aを覆って保護するカバー部材5bと、前記本体5aから外方に伸びて形成され、該スライド部材5の前記案内手段8からの脱落を防止するためのフランジ5cと、付勢手段9とを備えて構成される。
【0021】
前記案内手段8は、図3で示すように、軸直角断面が大略的にコの字状に形成され、その中央部が隆起して前記スライド部材5が跨座する第1の案内面8aとなり、前記コの字の一対の遊端部が内方に折り返されて前記フランジ5cに対する第2の案内面8b、8cとなっている。この案内手段8の最後端付近は、アクチュエータ4を搭載したスライド部材5が該案内手段8に嵌め込まれた後、ビス10によって抜け止めされている。
【0022】
前記付勢手段9は、前記スライド部材5の本体5aに形成された収納凹所5d内に収納され、前記案内手段8の第1の案内面8a上を滑動するローラ9aと、そのローラ9aを案内手段8方向に弾発的に付勢するバネ部材(圧縮バネ)9bとを備えて構成される。前記ローラ9aの代わりにボールなどが用いられてもよい。また、バネ部材9bについても、板バネ、ゴム等の弾性部材や、空気圧、油圧(ダンパー)、磁石などが用いられてもよい。
【0023】
注目すべきは、前記案内手段8の第2の案内面8b、8cにおいて、壁面3側の部分は、一段隆起して形成されていることである。したがって、アクチュエータ4を搭載したスライド部材5が案内手段8の後端側に収納されている状態では、前記付勢手段9のローラ9aと前記フランジ5cとによって前記第2の案内面8b、8cを挟み込み、スライド部材5は係止されている。一方、振動や衝撃等で該スライド部材5が案内手段8上を摺動しても、前記付勢手段9によって図1〜3の上方に付勢されている該スライド部材5は、その前端面5eが、前記隆起した段部8dに当接すると、図1(a)及び図2で示すように、それ以上の変位は阻止される。実際に扉2が閉じられた後、作業者が前記バネ部材9bの弾発力に抗してスライド部材5を矢符F11方向に押込み、前記前端面5eに段部8dを乗り越えさせた後、矢符F12方向に摺動させることで、図1(b)で示すように、作動片4aをスロット7aに嵌入させ、カムを回転させることができる。これら段部8d及び付勢手段9は、係止手段を構成する。
【0024】
このようにアクチュエータ4をスライド部材5に搭載し、案内手段8で案内させて扉2の端面2aから壁面3側へ出没可能とすることで、扉2が開いた状態で、アクチュエータ4を扉2の端面2aから内側に没入させた状態とすることができ、該アクチュエータ4が不所望にそこを出入りする物などに引っ掛かったりすることなく、また該アクチュエータ4の破損なども防止することができる。さらに、そのようにアクチュエータ4が前記扉2の端面2aを超えて壁面3側に突出可能になるので、スライド部材5を後退位置で係止する係止手段としての段部8dを設けることで、作業者が意図することなく、スライド部材5が振動等で不所望に移動(前進)して、アクチュエータ4が前記端面2aから外側に突出してしまうことを確実に防止することができ、そこを出入りする物などに引っ掛かったりすることや、アクチュエータ4の破損なども一層確実に防止することができる。
【0025】
さらにまた、前記アクチュエータ4の作動片4aを覆うカバー部材5bを設けることで、前記アクチュエータ4の破損を一層確実に防止することができる。また、前端面5eの段部8dへの当接及びその解除を、付勢手段9を用いて行うことで、前述のように作業者が意図することなく、スライド部材5が不所望に移動(前進)してしまうことを防止しつつ、作業者はスライド部材5を、前記前端面5eが段部8dを乗り越えるように矢符F11方向に押し込んで、矢符F12方向に摺動させるだけで容易に係止状態を解除し、作動片4aをスロット7aに嵌入させることができる。
【0026】
[第2実施形態]
図4は本発明の第2実施形態に係る安全スイッチ11の動作を説明するための断面図であり、図5はその安全スイッチ11の断面図である。図5において図4の切断面線をIV−IVで示す。この安全スイッチ11は、前述の安全スイッチ1に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、この安全スイッチ11では、案内手段8’の第2の案内面8b’,8c’は平坦であり、代わりにスライド部材5’のフランジ5c’に、前方側から緩やかな傾斜面5gが形成され、後方側の平坦面5hに切り替わる部分に、段部5fが設けられていることである。
【0027】
したがって、スライド部材5’が後方位置にある場合には、前記付勢手段9のローラ9aと前記傾斜面5gとによって前記第2の案内面8b’,8c’を挟み込んでおり、該スライド部材5’は係止されている。一方、振動や衝撃等で該スライド部材5’が案内手段8’上を摺動しても、前記付勢手段9によって図4,5の上方に付勢されている該スライド部材5’は、前記段部5fが案内手段8’の後端面8fに当接すると、図4で示すように、それ以上の変位は阻止される。実際に前記扉2が閉じられた後、作業者が前記バネ部材9bの弾発力に抗してスライド部材5’を矢符F11方向に押込み、前記後端面8fに段部5fを乗り越えさせた後、矢符F12方向に摺動させることで、作動片4aをスロット7aに嵌入させ、カムを回転させることができる。これら段部5f及び付勢手段9は、係止手段を構成する。
【0028】
このように構成してもまた、スライド部材5’が振動等で不所望に移動(前進)して、アクチュエータ4が前記端面2aから外側に突出してしまうことを確実に防止することができ、そこを出入りする物などに引っ掛かったりすることや、アクチュエータ4の破損なども一層確実に防止することができる。すなわち、前記段部8d, 5fは、スライド部材5, 5’と案内手段8,8’とのいずれか一方に設けられ、いずれか他方の端面5e,8f,を係止すればよい。本実施形態において、残余のアクチュエータ4、スイッチ本体7及び付勢手段9などの構成は、前述の図1や図2と同様である。
【0029】
[第3実施形態]
図6は、本発明の第3実施形態に係る安全スイッチ21の断面図である。この安全スイッチ21は、前述の安全スイッチ1に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。この図6では、壁面3側のスイッチ本体7等の構成は省略している。注目すべきは、この安全スイッチ21では、前記アクチュエータ4を搭載するスライド部材25に、該スライド部材25の不所望な飛び出しを防止する係止部材29が設けられていることである。これに対応して、案内手段28の第1の案内面8aからは、後端側の対応する位置に、係止凹所28hが穿設されている。これら係止部材29及び係止凹所28hは、係止手段を構成する。
【0030】
前記係止部材29は、作業者によって押圧操作される操作部材29aと、前記操作部材29aによって変位駆動される係止片29bと、前記係止片29bを案内手段28の軸線と直交する軸線回りに揺動自在に支持するピン29cと、前記係止片29bが係止状態を維持するように、また操作部材29aが復帰状態を維持するように弾発的に付勢するバネ部材29dとを備えて構成される。
【0031】
前記スライド部材25の本体25aには、前記係止部材29を収納する大略的に2つの凹所25h1,25h2が形成されており、扉2の厚み方向に形成された第1の凹所25h1には操作部材29aが前記扉2の厚み方向に出没変位自在に収納されており、前記バネ部材29dによって突出方向に付勢されている。この操作部材29aの第1の凹所25h1から突出する側が作業者による操作部となり、反対側が前記係止片29bと連結される連結部となる。係止片29bは大略的にL字状に形成され、その中央部が前記ピン29cによって枢支され、一端が前記操作部材29aに連結され、他端が前記係止凹所28hに嵌り込む係止部となり、前記第2の凹所25h2に収納されている。
【0032】
前記バネ部材29dによる操作部材29aの図6の上方への付勢によって、係止片29bは、その他端が第2の凹所25h2から突出し、案内手段28側、すなわち係止凹所28hに嵌り込む方向に付勢される。これによって、前記係止凹所28hに対向した位置、すなわちスライド部材25が後端部付近にある場合には、係止片29bの他端が係止凹所28hに嵌り込み、スライド部材25の移動が阻止されている。
【0033】
これに対して、扉2が閉じられた後、作業者が前記バネ部材29dの弾発力に抗してスライド部材25を矢符F11方向に押込み、前記係止片29の他端を第2の凹所25h2から脱出させた後、矢符F12方向に摺動させることで、作動片4aをスロット7aに嵌入させ、カムを回転させることができる。
【0034】
このように構成してもまた、スライド部材25が振動等で不所望に移動(前進)して、アクチュエータ4が前記端面2aから外側に突出してしまうことを確実に防止することができ、そこを出入りする物などに引っ掛かったりすることや、アクチュエータ4の破損なども一層確実に防止することができる。
【0035】
また、このスライド部材25には、把手30が設けられている。これによって、前記矢符F11方向や矢符F12方向への操作の際に、作業者が把手30を把持して操作する(引っ張る或いは押し出す)だけで、前記アクチュエータ4の出没を行うことができ、操作が容易である。
【0036】
前記係止部材29としては、図6の構造に限らず、前記操作部材29aの矢符F11方向への操作力によって、係止片29bと係止凹所28hとの係合状態を解除できるものであればよい。例えば、図7(a)の構造では、前記操作部材29aにバネ部材29dが設けられておらず、代わりに係止片29を枢支するピン29cに、捻りコイルバネ29d’が巻回された例を示している。また、図7(b)の構造では、図7(a)の構造から係止片29の形状が変更になっており、それに合わせて圧縮バネ29d’’が使用された例を示している。
【0037】
さらにまた、図7(c)の構造では、スライド部材25側には操作部材29a及びバネ部材29dが設けられているだけで、係止片29b’’、 ピン29c及び圧縮バネ29d’’は案内手段28側に設けられている。これらいずれの態様でも、前記図6と同様の効果を奏することができる。
【0038】
[第4実施形態]
図8は、本発明の第4実施形態に係る安全スイッチ31の動作を説明するための断面図である。この安全スイッチ31は、前述の安全スイッチ1に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。この安全スイッチ31では、スライド部材5は同一の構造で変更なく、注目すべきは、この安全スイッチ31では、案内手段38の前端側に、前記スライド部材5の不所望な飛び出しを防止する係止部材39が設けられていることである。これに対応して、前記スイッチ本体7を壁面3上に搭載する基台7fの扉2側の一部分は、扉2側に延設されており、前記係止部材39を操作する係止解除部材7gを形成している。
【0039】
前記係止部材39は、案内手段38の前端部に設置される支柱39aと、その支柱39aによって案内手段38の軸線と直交する軸線回りに揺動自在に支持される係止片39bと、その係止片39bのスライド部材5側の端部39dがスライド部材5の前記前端面5eに当接する方向に弾発的に付勢するバネ部材39cとを備えて構成される。係止部材である係止片39b、付勢手段であるバネ部材39c及び前記係止解除部材7gによって、係止手段が構成される。
【0040】
したがって、図8(a)で示すように、扉2が開放されていると、前記バネ部材39cの弾発力によって係止片39bの端部39dが押し上げられ、該端部39dがスライド部材5の前記前端面5eに当接し、スライド部材5の係止片39bを超えての移動が阻止されている。これに対して、扉2が閉じられると、図8(b)で示すように、係止片39bの前記端部39dとは反対側の端部39eが係止解除部材7gに押し上げられ、これによって前記端部39dが引き下げられ、該端部39dが前記前端面5eから離反し、作業者によるスライド部材5の移動が可能になる。
【0041】
このように構成してもまた、スライド部材5が振動等で不所望に移動(前進)して、アクチュエータ4が前記端面2aから外側に突出してしまうことを確実に防止することができ、そこを出入りする物などに引っ掛かったりすることや、アクチュエータ4の破損なども一層確実に防止することができる。
【0042】
なお、図8では、扉2は回転式で示しているけれども、スライド式であってもよいことは言うまでもない。また、係止片39bは直線状に形成されたシーソー形状で示しているけれども、対向する係止解除部材7gの形状や扉2の開閉方向などに応じて、適宜屈曲したレバー形状に形成されてもよい。さらにまた、バネ部材39cは、圧縮バネで示しているけれども、板バネや、係止片39bを支柱39aに揺動自在に支持する軸に巻回された捻りコイルバネなどであってもよい。
【0043】
また、基台7fの端部に突設された係止解除部材7gを削除し、基台7fの端部を係止解除部材7gとして構成し、係止片39bの端部39eを基台7fの端部側へ延ばすことで、扉2が閉まった状態で基台7fの端部が係止部材39の係止片39bに接触して係止部材39を変位させる構成としてもよい。
【0044】
[変形例]
上述の各実施形態に係る構成の変形例として、スライド部材5等に南京錠等の鍵を係止手段に代わって、あるいは係止手段の一部として設けるようにしてもよい。例えば、鍵の一部が所定の係合部に係合してスライド部材5等のスライドを止めるようにしてもよい。この場合、鍵を外すとスライド部材5等のスライドが許容されるようになる。また、他の例として、係止手段の係止状態を鍵によりロックするようにしてもよい。
【0045】
また、上述の各実施形態では、アクチュエータ4を搭載するスライド部材5がスライド変位することにより、アクチュエータ4が扉2の端面2aから壁面3側へ出没変位するようにしたが、扉に設けられたいわゆる回転ハンドルのようにスライド部材5が所定の軸周りで回転変位(又は揺動変位)することにより、アクチュエータ4が扉2の端面2aから壁面3側へ出没変位するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施形態に係る安全スイッチの動作を説明するための断面図である。
【図2】図1とは異なる断面での断面図である。
【図3】図1の切断面線III−IIIから見た断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る安全スイッチの動作を説明するための断面図である。
【図5】図4の切断面線V−Vから見た断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る安全スイッチの断面図である。
【図7】図6の安全スイッチにおける係止部材の他の態様を説明するための断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る安全スイッチの動作を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1,11,21,31 安全スイッチ、2 扉、3 壁面、4 アクチュエータ、4a 作動片、4b 取付け片、5,5’,25 スライド部材、5a,25a 本体、5b カバー部材、5c, 5c’フランジ、5e 前端面、5f 段部、5g 傾斜面、5h 平坦面、7 スイッチ本体、7a スロット、7b カム室、7c スイッチ室、7f 基台、7g 係止解除部材、8,8’,28,38 案内手段、8a 第1の案内面、8b,8c,8b’,8c’ 第2の案内面、8d 段部、8f 後端面、9 付勢手段、9a ローラ、9b バネ部材、10 ビス、25h1,25h2 凹所、28h 係止凹所、29,39 係止部材、29a 操作部材、29b,39b 係止片、29d,39c バネ部材、39a 支柱、39d,39e 端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉と壁面との境界の一方にアクチュエータが設けられ、他方に前記アクチュエータによって変位駆動されることで開閉動作するスイッチ本体が設けられてなる安全スイッチにおいて、
前記アクチュエータを搭載し、前記扉と壁面との一方側において、該一方側から他方側に出没可能な可動部材と、
前記可動部材を、その後退位置で係止する係止手段と、
を備えることを特徴とする安全スイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載の安全スイッチにおいて、
前記アクチュエータを覆うカバー部材をさらに備えることを特徴とする安全スイッチ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の安全スイッチにおいて、
前記係止手段は、
前記可動部材又はその案内手段の一方に形成され、前記可動部材又はその案内手段の他方の端面を係止する段部と、
前記段部に前記端面が当接する方向に、前記案内手段に対して前記可動部材を弾発的に付勢する付勢手段と、
を備えることを特徴とする安全スイッチ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の安全スイッチにおいて、
前記係止手段は、
前記可動部材側に設けられ、作業者によって押圧操作される操作部材と、
前記操作部材によって変位駆動される係止片と、
前記係止片が係止状態を維持するように弾発的に付勢するバネ部材と、
前記係止片が係合する係止凹所と、
を備えることを特徴とする安全スイッチ。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の安全スイッチにおいて、
前記係止手段は、
前記扉と壁面との一方に設けられ、前記可動部材の前記扉と壁面との他方側の端面を係止する係止部材と、
前記扉と壁面との一方に設けられ、前記端面に前記係止部材が当接する方向に前記係止部材を弾発的に付勢する付勢手段と、
前記扉と壁面との他方に設けられ、前記扉が閉まった状態で前記係止部材に接触し、前記端面から前記係止部材が離反する方向に前記係止部材を変位させる係止解除部材と、
を備えることを特徴とする安全スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−311059(P2007−311059A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136371(P2006−136371)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】