説明

安全監視入力装置

【課題】安全状態の監視に使用される信号経路を遮断することなく、その信号経路の安全状態を監視すること。
【解決手段】安全監視入力装置13は、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路上にパルス列信号Sを送出し、そのパルス列信号Sの検出結果に基づいて、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路の安全状態を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安全監視入力装置に関し、特に、自動車、液晶、半導体などの製造設備が安全に稼動されているかどうかを監視する安全監視入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、液晶、半導体などの製造分野では、搬送ラインや溶接ロボットなどの製造設備が安全に稼動されているかどうかを監視するために、高電位などのエネルギーの高い状態に維持された信号経路を構築し、その信号経路が遮断されたかどうかを検出することが行われている。ここで、エネルギーの高い状態に維持された信号経路が遮断された場合に、その信号経路のエネルギー状態を監視する安全監視入力装置自体に故障があると、製造設備を緊急停止させることができなくなり、安全性が損なわれることがある。このため、従来の安全監視入力装置では、安全監視入力装置のダークテストを行い、緊急時などに製造設備を安全に停止させることができるかどうかの診断が行われていた。
【0003】
また、特許文献1には、駆動信号のパルス周期よりも十分に短い周期のサンプリング信号のタイミングにより制御信号及び検出信号を比較し、比較結果が不一致となる状態が所定期間以上継続したときにソレノイドの故障を判定する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、2つのマイクロコンピュータ内に互いに相手方のマイクロコンピュータ自身の異常動作を監視する監視回路を設け、パルス列信号のパルス周期、デューティにより異常を判定し、異常を検出すると異常信号を低レベルとすることによって駆動回路の出力をカットし、フェイルセーフリレーを遮断する方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、セーフティドアスイッチなどの入力機器からの安全入力および他のセーフティコントローラからの論理接続用の内部安全入力に基づいて、マグネットコンタクタなどの安全出力制御対象に対する安全出力を制御するCPUを設け、そのCPUは、内部安全入力が正常であるか否かを判定し、異常時には機械設備の稼動を禁止する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−84636号公報
【特許文献2】特開平6−4353号公報
【特許文献3】特開2005−157667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の安全監視入力装置では、安全状態では、安全状態の監視に使用される信号経路がエネルギーの高い状態に設定され、非安全状態では、安全状態の監視に使用される信号経路がエネルギーの低い状態に設定される。そのため、非安全状態時に製造設備を緊急停止させることができるかどうかを確認するには、安全状態時に安全状態の監視に使用される信号経路を遮断し、その信号経路のエネルギーの低い状態を検出することができるかどうかを確認する必要があり、診断間隔が短くなると、診断を行うプロセッサの負荷が大きくなるという問題があった。
【0008】
また、特許文献1に開示された方法では、ソレノイドの故障を判定する制御信号が駆動回路に直接入力され、制御信号がソレノイドの駆動状態に影響を及ぼすことがあるという問題があった。
【0009】
また、特許文献2、3に開示された方法では、パルス列信号が送受される経路が、駆動回路の入力信号系とは別個に設けられている。このため、駆動回路の入力信号系が安全状態にあるかどうかを判別することができず、駆動回路の入力信号系に異常があると、フェイルセーフリレーを遮断することができないという問題があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安全状態の監視に使用される信号経路を遮断することなく、その信号経路の安全状態を監視することが可能な安全監視入力装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の安全監視入力装置は、パルス列信号を検出するパルス列信号検出部と、前記パルス列信号の検出結果に基づいて、前記パルス列信号が伝送される経路の安全状態を判定する安全状態判定部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、安全状態の監視に使用される信号経路を遮断することなく、その信号経路の安全状態を監視することが可能という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態1が適用される製造設備の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態1の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、図2の安全監視入力装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図4】図4は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態2の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態3の概略構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態4の概略構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態5の概略構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態6の概略構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態7の概略構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態8の概略構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態9の概略構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態10の概略構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態11の概略構成を示すブロック図である。
【図14】図14は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態12の概略構成を示すブロック図である。
【図15】図15は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態13の概略構成を示すブロック図である。
【図16】図16は、図15の安全監視入力装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態1が適用される製造設備の概略構成を示すブロック図である。図1において、例えば、自動車、液晶、半導体などの製造ラインには、搬送を行ったり、溶接を行ったりするロボット14が配置されているものとする。そして、ロボット14には、ロボット14の動作を制御するコントローラ11が設けられている。
【0016】
また、ロボット14の近傍には、非常時などにロボット14の停止を指示する非常停止ボタン16が設置されている。なお、非常時などにロボット14の停止を指示するために、非常停止ボタン16の他、ライトカーテンや人体感知センサなどを用いるようにしてもよい。また、製造ラインには、非常停止ボタン16がオンされたかどうかを検出することで、現在の状態が安全状態にあるか非安全状態にあるかを監視する安全監視入力装置13が設けられている。また、安全監視入力装置13にて非安全状態にあると判断された場合、ロボット14の動作を停止させる安全制御装置12が設けられている。
【0017】
そして、コントローラ11、安全制御装置12および安全監視入力装置13は、通信ネットワーク15を介して互いに接続され、互いに信号をやり取りできるように構成されている。なお、通信ネットワーク15としては、例えば、イーサネット(登録商標)を用いることができる。
【0018】
ここで、安全監視入力装置13は、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路上にパルス列信号Sを送出し、そのパルス列信号Sの検出結果に基づいて、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路の安全状態を判定することができる。
【0019】
そして、安全監視入力装置13の出力端子T0を介し、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路にパルス列信号Sが送出される。そして、非常停止ボタン16がオフの場合、そのパルス列信号Sは、非常停止ボタン16を介して安全監視入力装置13の入力端子X0に入力され、パルス列信号Sが検出される。そして、入力端子X0を介して検出されたパルス列信号Sのパルス幅およびパルス間隔が、出力端子T0を介して送出されたパルス列信号Sのパルス幅およびパルス間隔と比較され、これらのパルス列信号Sのパルス幅およびパルス間隔が一致している場合、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路は安全状態であると判定される。なお、これらのパルス列信号Sのパルス幅およびパルス間隔が一致しているかどうかを判断する場合、一定のマージンを見込むようにしてもよい。
【0020】
そして、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路が安全状態であると判定されると、安全状態を示す信号が安全監視入力装置13の出力端子RX0を介して安全制御装置12に送られる。そして、安全状態を示す信号が安全制御装置12に送られると、安全制御装置12は、コントローラ11を通常動作させる。
【0021】
一方、安全監視入力装置13において、入力端子X0を介して検出されたパルス列信号Sのパルス幅およびパルス間隔が、出力端子T0を介して送出されたパルス列信号Sのパルス幅およびパルス間隔と一致していないと判定された場合、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路は非安全状態であると判定される。そして、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路が非安全状態であると判定されると、非安全状態を示す信号が安全監視入力装置13の出力端子RX0を介して安全制御装置12に送られる。そして、非安全状態を示す信号が安全制御装置12に送られると、安全制御装置12は、コントローラ11に現在の状態が非安全状態にあることを通知する。そして、コントローラ11は、現在の状態が非安全状態にあるという通知を受け取ると、ロボット14の動作を強制的に停止する。
【0022】
そして、非常時などに非常停止ボタン16にてオフされると、パルス列信号Sが伝送される信号経路が遮断される。この結果、安全監視入力装置13の出力端子T0を介して送出されたパルス列信号Sは、安全監視入力装置13の入力端子X0に入力されないようになる。そして、パルス列信号Sが安全監視入力装置13の入力端子X0に入力されなくなると、入力端子X0はロウレベルに固定され、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路は非安全状態であると判定される。そして、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路が非安全状態であると判定されると、非安全状態を示す信号が安全監視入力装置13の出力端子RX0を介して安全制御装置12に送られる。そして、非安全状態を示す信号が安全制御装置12に送られると、安全制御装置12は、コントローラ11に現在の状態が非安全状態にあることを通知する。そして、コントローラ11は、現在の状態が非安全状態にあるという通知を受け取ると、ロボット14の動作を強制的に停止する。
【0023】
図2は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態1の概略構成を示すブロック図である。図2において、安全監視入力装置13には、パルス列信号発生部13a、パルス列信号検出部13bおよび安全状態判定部13cが設けられている。
【0024】
ここで、パルス列信号発生部13aは、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路を介して伝送されるパルス列信号Sを発生することができる。パルス列信号検出部13bは、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路を介して伝送されたパルス列信号Sを検出することができる。安全状態判定部13cは、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路を介して伝送されたパルス列信号Sの検出結果に基づいて、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路の安全状態を判定することができる。
【0025】
なお、安全状態判定部13cは、パルス列信号発生部13aにて発生されたパルス列信号Sのパルス幅よりも長い期間だけハイレベル状態が継続した場合またはパルス列信号発生部13aにて発生されたパルス列信号Sのパルス間隔よりも長い期間だけロウレベル状態が継続した場合、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路が非安全状態であると判定することができる。
【0026】
あるいは、安全状態判定部13cは、パルス列信号検出部13bにて検出されたパルス列信号Sのパルス幅およびパルス間隔が、パルス列信号発生部13aにて発生されたパルス列信号Sのパルス幅およびパルス間隔と所定にマージンを見込んでそれぞれ一致した場合、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路が安全状態であると判定し、パルス列信号発生部13aにてハイレベル状態またはロウレベル状態が所定の期間を超えて継続して検出された場合、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路が非安全状態であると判定することができる。
【0027】
なお、パルス列信号発生部13aとしては、例えば、発振器を用いることができる。パルス列信号検出部13bとしては、例えば、フォトカプラを用いることができる。安全状態判定部13cとしては、例えば、プロセッサを用いることができる。
【0028】
そして、パルス列信号発生部13aにて発生されたパルス列信号Sは、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に出力端子T0を介して送出される。そして、その信号経路に送出されたパルス列信号Sは、その信号経路を介して伝送され、入力端子X0を介してパルス列信号検出部13bに入力される。そして、パルス列信号Sがパルス列信号検出部13bに入力されると、そのパルス列信号Sがパルス列信号検出部13bにて検出され、その検出結果が安全状態判定部13cに出力される。そして、安全状態判定部13cにおいて、パルス列信号検出部13bにて検出されたパルス列信号Sの検出結果に基づいて、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路の安全状態が判定され、その判定結果が出力端子RX0を介して出力される。
【0029】
図3は、図2の安全監視入力装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。図3において、図2のパルス列信号発生部13aでは、パルス幅t0、パルス間隔t1のパルス列信号Sが発生され、出力端子T0を介して送出される。そして、非常停止ボタン16がオフで、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に故障がない場合、パルス幅t0、パルス間隔t1のパルス列信号Sが入力端子X0に到達する。
【0030】
一方、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に故障がある場合、入力端子X0に到達する信号はハイレベルに固定される。一方、非常停止ボタン16がオンした場合または非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に故障がある場合、入力端子X0に到達する信号はロウレベルに固定される。
【0031】
そして、安全状態判定部13cにおいて、パルス列信号Sのパルス幅およびパルス間隔が計測され、パルス列信号Sのパルス幅が0より大きくt0+α以下の場合、かつパルス列信号Sのパルス間隔が0より大きくt1+β以下の場合には、安全状態がオンにされ、出力端子RX0から出力される信号がハイレベルに設定される。ただし、αおよびβは、マージンである。なお、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりの過渡状態に違いがない場合、αおよびβは0であってもよい。また、例えば、パルス幅t0およびパルス間隔t1が7.2msの場合、マージンα、βは3.6msに設定することができる。
【0032】
一方、パルス列信号Sのパルス幅がt0+αより大きい場合、またはパルス列信号Sのパルス間隔がt1+βより大きい場合、安全状態がオフにされ、出力端子RX0から出力される信号がロウレベルに設定される。
【0033】
これにより、図1の非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路にパルス列信号Sを出力することで、その信号経路の安全状態を監視することが可能となる。このため、図1の非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路の安全状態を監視するために、その信号経路を遮断する必要がなくなり、システム全体の応答時間よりも短い周期で安全状態の診断を行う必要がなくなることから、その信号経路の安全状態の診断にかかる負荷を低減することができる。
【0034】
実施の形態2.
図4は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態2の概略構成を示すブロック図である。図4において、安全監視入力装置13´とは別個にパルス列信号発生装置17が設けられている。ここで、安全監視入力装置13´には、パルス列信号検出部13bおよび安全状態判定部13cが設けられ、パルス列信号発生装置17には、パルス列信号発生部13aが設けられている。そして、パルス列信号発生装置17の出力端子T0は、非常停止ボタン16を介して安全監視入力装置13´の入力端子X0に接続されている。
【0035】
そして、パルス列信号発生装置17にて発生されたパルス列信号Sは、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に出力端子T0を介して送出される。そして、その信号経路に送出されたパルス列信号Sは、その信号経路を介して伝送され、入力端子X0を介して安全監視入力装置13´に入力される。そして、パルス列信号Sが安全監視入力装置13´に入力されると、そのパルス列信号Sがパルス列信号検出部13bにて検出され、その検出結果が安全状態判定部13cに出力される。そして、安全状態判定部13cにおいて、パルス列信号検出部13bにて検出されたパルス列信号Sの検出結果に基づいて、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路の安全状態が判定され、その判定結果が出力端子RX0を介して出力される。
【0036】
ここで、安全監視入力装置13´とは別個にパルス列信号発生装置17を設けることにより、安全状態が監視される信号経路が複数ある場合においても、複数の信号経路でパルス列信号発生装置17を共用することができる。このため、複数の信号経路ごとにパルス列信号発生部13aを設ける必要がなくなり、安全監視入力装置13´のコストダウンを図ることができる。
【0037】
実施の形態3.
図5は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態3の概略構成を示すブロック図である。図5において、安全監視入力装置21には、パルス列信号発生部22、パルス列信号検出部23a、23bおよび安全状態判定部24a、24bが設けられている。また、安全監視入力装置21には、パルス列信号S0、S1がそれぞれ出力される出力端子T0、T1およびパルス列信号S0、S1がそれぞれ入力される入力端子X0、X1が設けられている。また、安全監視入力装置21には、安全状態か非安全状態かを示す信号を出力する出力端子RX0、RX1が入力端子X0、X1ごとに設けられている。
【0038】
そして、出力端子T0と入力端子X0とは、非常停止ボタン25aを介して互いに接続され、出力端子T1と入力端子X1とは、非常停止ボタン25bを介して互いに接続される。
【0039】
ここで、パルス列信号発生部22は、非常停止ボタン25a、25bにてそれぞれオン/オフされる信号経路を介して伝送されるパルス列信号S0、S1を発生することができる。パルス列信号検出部23aは、非常停止ボタン25aにてオン/オフされる信号経路を介して伝送されたパルス列信号S0を検出することができる。パルス列信号検出部23bは、非常停止ボタン25bにてオン/オフされる信号経路を介して伝送されたパルス列信号S1を検出することができる。安全状態判定部24aは、非常停止ボタン25aにてオン/オフされる信号経路を介して伝送されたパルス列信号S0の検出結果に基づいて、非常停止ボタン25aにてオン/オフされる信号経路の安全状態を判定することができる。安全状態判定部24bは、非常停止ボタン25bにてオン/オフされる信号経路を介して伝送されたパルス列信号S1の検出結果に基づいて、非常停止ボタン25bにてオン/オフされる信号経路の安全状態を判定することができる。
【0040】
なお、パルス列信号S0、S1は、同一のパルス幅に設定するようにしてもよいし、同一のパルス間隔に設定するようにしてもよい、また、パルス列信号S0、S1は、互いに位相を異ならせるようにしてもよい。
【0041】
そして、パルス列信号発生部22にて発生されたパルス列信号S0、S1は、非常停止ボタン25a、25bにてそれぞれオン/オフされる信号経路に出力端子T0、T1をそれぞれ介して送出される。そして、それらの信号経路にそれぞれ送出されたパルス列信号S0、S1は、それらの信号経路をそれぞれ介して伝送され、入力端子X0、X1をそれぞれ介してパルス列信号検出部23a、23bに入力される。そして、パルス列信号S0、S1がパルス列信号検出部23a、23bにそれぞれ入力されると、それらのパルス列信号S0、S1がパルス列信号検出部23a、23bにてそれぞれ検出され、その検出結果が安全状態判定部24a、24bにそれぞれ出力される。そして、安全状態判定部24a、24bにおいて、パルス列信号検出部23a、23bにてそれぞれ検出されたパルス列信号S0、S1の検出結果に基づいて、非常停止ボタン25a、25bにてそれぞれオン/オフされる信号経路の安全状態が判定され、それらの判定結果が出力端子RX0、RX1をそれぞれ介して出力される。
【0042】
これにより、非常停止ボタン25a、25bにてそれぞれオン/オフされる信号経路にパルス列信号S0、S1をそれぞれ出力することで、それらの信号経路の安全状態を監視することが可能となる。このため、非常停止ボタン25a、25bにてそれぞれオン/オフされる信号経路の安全状態を監視するために、それらの信号経路を遮断する必要がなくなり、システム全体の応答時間よりも短い周期で安全状態の診断を行う必要がなくなることから、信号経路が複数ある場合においても、それらの信号経路の安全状態の診断にかかる負荷を低減することができる。
【0043】
なお、図5の実施の形態では、パルス列信号発生部22、パルス列信号検出部23a、23bおよび安全状態判定部24a、24bを安全監視入力装置21に設ける方法について説明したが、パルス列信号発生部22は、パルス列信号検出部23a、23bおよび安全状態判定部24a、24bと別個に設けるようにしてもよい。
【0044】
実施の形態4.
図6は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態4の概略構成を示すブロック図である。図6において、この安全監視入力装置には、図5の非常停止ボタン25a、25bにてそれぞれオン/オフされる信号経路の故障を検出する故障検出部26が設けられている。ここで、故障検出部26には、パルス列信号検出部23a、23bにてそれぞれ検出されたパルス列信号S0、S1の検出結果を入力することができる。また、非常停止ボタン25a、25bにてそれぞれオン/オフされる信号経路に出力されるパルス列信号S0、S1の位相差は180度に設定することができる。
【0045】
そして、パルス列信号検出部23a、23bにてそれぞれ検出されたパルス列信号S0、S1の検出結果が故障検出部26に入力されると、それらのパルス列信号S0、S1の検出結果のパルス幅に基づいて、非常停止ボタン25a、25bにてそれぞれオン/オフされる信号経路の故障が検出される。
【0046】
例えば、パルス列信号検出部23a、23bにてそれぞれ検出されたパルス列信号S0、S1の検出結果が故障検出部26に入力されると、故障検出部26にてパルス列信号S0、S1の検出結果の排他的論理和演算を行うことができる。そして、パルス列信号S0、S1の一周期内において、パルス列信号S0、S1の検出結果がハイレベルに固定されている場合、非常停止ボタン25a、25bにてそれぞれオン/オフされる信号経路が故障していると判定することができる。
【0047】
すなわち、パルス列信号S0、S1の位相差が180度の場合、非常停止ボタン25a、25bにてそれぞれオン/オフされる信号経路に異常がないと、パルス列信号S0、S1の一方がハイレベルの時はパルス列信号S0、S1の他方がロウレベルになる。このため、パルス列信号S0、S1の検出結果の排他的論理和演算結果として論理値‘1’が出力される。
【0048】
一方、非常停止ボタン25a、25bにてそれぞれオン/オフされる信号経路間がショートしていると、これらの信号経路のレベルは同一になる。このため、パルス列信号S0、S1の検出結果の排他的論理和演算結果として論理値‘0’が出力される。このため、非常停止ボタン25a、25bにてそれぞれオン/オフされる信号経路間がショートしているかどうかに応じて排他的論理和演算結果が異なるようになり、これらの信号経路間のショートを検出することができる。
【0049】
実施の形態5.
図7は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態5の概略構成を示すブロック図である。図7において、安全監視入力装置31には、パルス列信号発生部32、パルス列信号検出部33a〜33dおよび安全状態判定部34a〜34dが設けられている。また、安全監視入力装置31には、パルス列信号S0、S1がそれぞれ出力される出力端子T0、T1およびパルス列信号S0、S1がそれぞれ入力される入力端子X0〜X3が設けられている。また、安全監視入力装置31には、安全状態か非安全状態かを示す信号を出力する出力端子RX0〜RX3が入力端子X0〜X3ごとに設けられている。
【0050】
そして、出力端子T0と入力端子X0とは、非常停止ボタン35aを介して互いに接続され、出力端子T1と入力端子X1とは、非常停止ボタン35bを介して互いに接続され、出力端子T0と入力端子X2とは、非常停止ボタン35cを介して互いに接続され、出力端子T1と入力端子X3とは、非常停止ボタン35dを介して互いに接続される。
【0051】
ここで、パルス列信号発生部32は、非常停止ボタン35a〜35dにてそれぞれオン/オフされる信号経路を介して伝送されるパルス列信号S0、S1を発生することができる。パルス列信号検出部33aは、非常停止ボタン35aにてオン/オフされる信号経路を介して伝送されたパルス列信号S0を検出することができる。パルス列信号検出部33bは、非常停止ボタン35bにてオン/オフされる信号経路を介して伝送されたパルス列信号S1を検出することができる。パルス列信号検出部33cは、非常停止ボタン35cにてオン/オフされる信号経路を介して伝送されたパルス列信号S0を検出することができる。パルス列信号検出部33dは、非常停止ボタン35dにてオン/オフされる信号経路を介して伝送されたパルス列信号S1を検出することができる。
【0052】
安全状態判定部34aは、非常停止ボタン35aにてオン/オフされる信号経路を介して伝送されたパルス列信号S0の検出結果に基づいて、非常停止ボタン35aにてオン/オフされる信号経路の安全状態を判定することができる。安全状態判定部34bは、非常停止ボタン35bにてオン/オフされる信号経路を介して伝送されたパルス列信号S1の検出結果に基づいて、非常停止ボタン35bにてオン/オフされる信号経路の安全状態を判定することができる。安全状態判定部34cは、非常停止ボタン35cにてオン/オフされる信号経路を介して伝送されたパルス列信号S0の検出結果に基づいて、非常停止ボタン35cにてオン/オフされる信号経路の安全状態を判定することができる。安全状態判定部34dは、非常停止ボタン35dにてオン/オフされる信号経路を介して伝送されたパルス列信号S1の検出結果に基づいて、非常停止ボタン35dにてオン/オフされる信号経路の安全状態を判定することができる。
【0053】
そして、パルス列信号発生部32にて発生されたパルス列信号S0は、非常停止ボタン35a、35cにてそれぞれオン/オフされる信号経路に出力端子T0をそれぞれ介して送出される。また、パルス列信号発生部32にて発生されたパルス列信号S1は、非常停止ボタン35b、35dにてそれぞれオン/オフされる信号経路に出力端子T1をそれぞれ介して送出される。
【0054】
そして、非常停止ボタン35a、35cにてそれぞれオン/オフされる信号経路にそれぞれ送出されたパルス列信号S0は、それらの信号経路をそれぞれ介して伝送され、入力端子X0、X2をそれぞれ介してパルス列信号検出部33a、33cに入力される。また、非常停止ボタン35b、35dにてそれぞれオン/オフされる信号経路にそれぞれ送出されたパルス列信号S1は、それらの信号経路をそれぞれ介して伝送され、入力端子X1、X3をそれぞれ介してパルス列信号検出部33b、33dに入力される。
【0055】
そして、パルス列信号S0がパルス列信号検出部33a、33cに入力されると、パルス列信号S0がパルス列信号検出部33a、33cにてそれぞれ検出され、その検出結果が安全状態判定部34a、34cにそれぞれ出力される。また、パルス列信号S1がパルス列信号検出部33b、33dに入力されると、パルス列信号S1がパルス列信号検出部33b、33dにてそれぞれ検出され、その検出結果が安全状態判定部34b、34dにそれぞれ出力される。
【0056】
そして、安全状態判定部34a、34cにおいて、パルス列信号検出部33a、33cにてそれぞれ検出されたパルス列信号S0の検出結果に基づいて、非常停止ボタン35a、35cにてそれぞれオン/オフされる信号経路の安全状態が判定され、それらの判定結果が出力端子RX0、RX2をそれぞれ介して出力される。また、安全状態判定部34b、34dにおいて、パルス列信号検出部33b、33dにてそれぞれ検出されたパルス列信号S1の検出結果に基づいて、非常停止ボタン35b、35dにてそれぞれオン/オフされる信号経路の安全状態が判定され、それらの判定結果が出力端子RX1、RX3をそれぞれ介して出力される。
【0057】
ここで、互いに隣接しない信号経路については出力端子T0、T1を共用させることにより、信号経路が複数ある場合においても、互いに隣接する信号経路間でのパルス列信号S0、S1を区別することを可能としつつ、出力端子T0、T1の個数を減らすことが可能となり、安全監視入力装置31の大規模化を抑制しつつ、安全状態の診断精度の劣化を防止することができる。
【0058】
なお、図7の実施の形態では、パルス列信号発生部32、パルス列信号検出部33a〜33dおよび安全状態判定部34a〜34dを安全監視入力装置31に設ける方法について説明したが、パルス列信号発生部32は、パルス列信号検出部33a〜33dおよび安全状態判定部34a〜34dと別個に設けるようにしてもよい。
【0059】
実施の形態6.
図8は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態6の概略構成を示すブロック図である。図8において、この安全監視入力装置には、図7の非常停止ボタン35a、35bにてそれぞれオン/オフされる信号経路の故障を検出する故障検出部36aおよび図7の非常停止ボタン35b、35cにてそれぞれオン/オフされる信号経路の故障を検出する故障検出部36bが設けられている。ここで、故障検出部36aには、パルス列信号検出部33a、33bにてそれぞれ検出されたパルス列信号S0、S1の検出結果を入力することができる。また、故障検出部36bには、パルス列信号検出部33b、33cにてそれぞれ検出されたパルス列信号S1、S0の検出結果を入力することができる。
【0060】
そして、パルス列信号検出部33a、33bにてそれぞれ検出されたパルス列信号S0、S1の検出結果が故障検出部36aに入力されると、それらのパルス列信号S0、S1の検出結果のパルス幅に基づいて、非常停止ボタン35a、35bにてそれぞれオン/オフされる信号経路の故障が検出される。また、パルス列信号検出部33b、33cにてそれぞれ検出されたパルス列信号S1、S0の検出結果が故障検出部36bに入力されると、それらのパルス列信号S1、S0の検出結果のパルス幅に基づいて、非常停止ボタン35b、35cにてそれぞれオン/オフされる信号経路の故障が検出される。
【0061】
例えば、パルス列信号検出部33a、33bにてそれぞれ検出されたパルス列信号S0、S1の検出結果が故障検出部36aに入力されると、故障検出部36aにてパルス列信号S0、S1の検出結果の排他的論理和演算を行うことができる。そして、パルス列信号S0、S1の一周期内において、パルス列信号S0、S1の検出結果がハイレベルに固定されている場合、非常停止ボタン35a、35bにてそれぞれオン/オフされる信号経路が故障していると判定することができる。
【0062】
すなわち、パルス列信号S0、S1の位相差が180度の場合、非常停止ボタン35a、35bにてそれぞれオン/オフされる信号経路に異常がないと、パルス列信号S0、S1の一方がハイレベルの時はパルス列信号S0、S1の他方がロウレベルになる。このため、パルス列信号S0、S1の検出結果の排他的論理和演算結果として論理値‘1’が出力される。
【0063】
一方、非常停止ボタン35a、35bにてそれぞれオン/オフされる信号経路間がショートしていると、これらの信号経路のレベルは同一になる。このため、パルス列信号S0、S1の検出結果の排他的論理和演算結果として論理値‘0’が出力される。このため、非常停止ボタン35a、35bにてそれぞれオン/オフされる信号経路間がショートしているかどうかに応じて排他的論理和演算結果が異なるようになり、これらの信号経路間のショートを検出することができる。
【0064】
また、パルス列信号検出部33b、33cにてそれぞれ検出されたパルス列信号S1、S0の検出結果が故障検出部36bに入力されると、故障検出部36bにてパルス列信号S1、S0の検出結果の排他的論理和演算を行うことができる。そして、パルス列信号S1、S0の一周期内において、パルス列信号S1、S0の検出結果がハイレベルに固定されている場合、非常停止ボタン35b、35cにてそれぞれオン/オフされる信号経路が故障していると判定することができる。
【0065】
すなわち、パルス列信号S1、S0の位相差が180度の場合、非常停止ボタン35b、35cにてそれぞれオン/オフされる信号経路に異常がないと、パルス列信号S1、S0の一方がハイレベルの時はパルス列信号S1、S0の他方がロウレベルになる。このため、パルス列信号S1、S0の検出結果の排他的論理和演算結果として論理値‘1’が出力される。
【0066】
一方、非常停止ボタン35b、35cにてそれぞれオン/オフされる信号経路間がショートしていると、これらの信号経路のレベルは同一になる。このため、パルス列信号S1、S0の検出結果の排他的論理和演算結果として論理値‘0’が出力される。このため、非常停止ボタン35b、35cにてそれぞれオン/オフされる信号経路間がショートしているかどうかに応じて排他的論理和演算結果が異なるようになり、これらの信号経路間のショートを検出することができる。
【0067】
なお、図8の実施の形態では、隣接する3個の信号経路間のショートを検出する方法について説明したが、隣接する4個以上の信号経路間のショートを検出する方法に適用するようにしてもよい。
【0068】
実施の形態7.
図9は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態7の概略構成を示すブロック図である。図9において、この安全監視入力装置には、図7の非常停止ボタン35a〜35cにてそれぞれオン/オフされる信号経路の故障を検出する故障検出部36cが設けられている。ここで、故障検出部36cには、パルス列信号検出部33a〜33cにてそれぞれ検出されたパルス列信号S2〜S4の検出結果を入力することができる。なお、これらのパルス列信号S2〜S4の位相差は120度ずつ互いに異なるように設定することができる。
【0069】
そして、パルス列信号検出部33a〜33cにてそれぞれ検出されたパルス列信号S2〜S4の検出結果が故障検出部36cに入力されると、それらのパルス列信号S2〜S4の検出結果のパルス幅に基づいて、非常停止ボタン35a〜35cにてそれぞれオン/オフされる信号経路の故障が検出される。
【0070】
例えば、パルス列信号検出部33a〜33cにてそれぞれ検出されたパルス列信号S2〜S4の検出結果が故障検出部36cに入力されると、故障検出部36cにてパルス列信号S2〜S4の検出結果のパルス幅を計測することができる。そして、パルス列信号S2〜S4の一周期内において、パルス列信号S2〜S4のパルス幅がマージンを見込んだ値を超える場合、非常停止ボタン35a〜35cにてそれぞれオン/オフされる信号経路が故障していると判定することができる。
【0071】
なお、非常停止ボタン35a〜35cにてそれぞれオン/オフされる信号経路がショートしている場合、故障検出部36cにて計測されたパルス列信号S2〜S4のパルス幅が変化するとともに、これらのパルス列信号S2〜S4の立ち上がりおよび立ち下がりの順番も変化する。このため、故障検出部36cは、これらのパルス列信号S2〜S4の立ち上がりおよび立ち下がりの順番に基づいて、非常停止ボタン35a〜35cにてそれぞれオン/オフされる信号経路が故障しているかどうかを判定するようにしてもよい。
【0072】
なお、図9の実施の形態では、隣接する3個の信号経路間のショートを検出する方法について説明したが、隣接する4個以上の信号経路間のショートを検出する方法に適用するようにしてもよい。
【0073】
実施の形態8.
図10は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態8の概略構成を示すブロック図である。図10において、安全監視入力装置43には、正弦波信号発生部43a、正弦波信号検出部43bおよび安全状態判定部43cが設けられている。また、安全監視入力装置43には、正弦波信号S5が出力される出力端子T0および正弦波信号S5が入力される入力端子X0が設けられている。また、安全監視入力装置41には、安全状態か非安全状態かを示す信号を出力する出力端子XR0が設けられている。そして、出力端子T0と入力端子X0とは、非常停止ボタン46を介して互いに接続される。
【0074】
ここで、正弦波信号発生部43aは、非常停止ボタン46にてオン/オフされる信号経路を介して伝送される正弦波信号S5を発生することができる。正弦波信号検出部43bは、非常停止ボタン46にてオン/オフされる信号経路を介して伝送された正弦波信号S5を検出することができる。安全状態判定部43cは、非常停止ボタン46にてオン/オフされる信号経路を介して伝送された正弦波信号S5の検出結果に基づいて、非常停止ボタン46にてオン/オフされる信号経路の安全状態を判定することができる。
【0075】
そして、正弦波信号発生部43aにて発生された正弦波信号S5は、非常停止ボタン46にてオン/オフされる信号経路に出力端子T0を介して送出される。そして、その信号経路に送出された正弦波信号S5は、その信号経路を介して伝送され、入力端子X0を介して正弦波信号検出部43bに入力される。そして、正弦波信号S5が正弦波信号検出部43bに入力されると、その正弦波信号S5が正弦波信号検出部43bにて検出され、その検出結果が安全状態判定部43cに出力される。そして、安全状態判定部43cにおいて、正弦波信号検出部43bにて検出された正弦波信号S5の検出結果に基づいて、非常停止ボタン46にてオン/オフされる信号経路の安全状態が判定され、その判定結果が出力端子RX0を介して出力される。
【0076】
これにより、非常停止ボタン46にてオン/オフされる信号経路に正弦波信号S5を出力することで、その信号経路に高周波成分が重畳されるのを防止しつつ、その信号経路の安全状態を監視することが可能となる。このため、非常停止ボタン46にてオン/オフされる信号経路の安全状態を監視するために、その信号経路を遮断する必要がなくなり、その信号経路の安全状態の診断にかかる負荷を低減することが可能となるとともに、ノイズによる検出精度の劣化を抑制することができる。
【0077】
なお、図10の実施の形態では、正弦波信号発生部43a、正弦波信号検出部43bおよび安全状態判定部43cを安全監視入力装置43に設ける方法について説明したが、正弦波信号発生部43aは、正弦波信号検出部43bおよび安全状態判定部43cと別個に設けるようにしてもよい。
【0078】
実施の形態9.
図11は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態9の概略構成を示すブロック図である。図11において、この安全監視入力装置53には、図2の安全監視入力装置13の構成に加え、パルス周期設定部13dが設けられている。ここで、パルス周期設定部13dは、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路を介して伝送されるパルス列信号の周期を設定することができる。なお、パルス列信号の周期は、例えば、400μm(ダークテストの下限値)から20ms(制御周期の最大値)の範囲内に設定することができる。
【0079】
そして、パルス周期設定部13dにてパルス列信号の周期が設定されることで、パルス列信号発生部13aにてパルス列信号S11、S12のいずれか一方が発生される。そして、パルス列信号発生部13aにて発生されたパルス列信号S11、S12のいずれか一方は、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に出力端子T0を介して送出され、入力端子X0を介してパルス列信号検出部13bに入力される。そして、安全状態判定部13cにおいて、パルス列信号検出部13bにて検出されたパルス列信号S11、S12のいずれか一方の検出結果に基づいて、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路の安全状態が判定される。
【0080】
ここで、安全監視入力装置53にパルス周期設定部13dを設けることにより、信号経路の長さに応じて、パルス列信号のパルス幅やパルス間隔を調整することが可能となり、パルス列信号の検出精度を向上させることができる。
【0081】
実施の形態10.
図12は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態10の概略構成を示すブロック図である。図12において、この安全監視入力装置63には、図2の安全監視入力装置13の構成に加え、パルス振幅設定部13eが設けられている。ここで、パルス振幅設定部13eは、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路を介して伝送されるパルス列信号の振幅を設定することができる。
【0082】
そして、パルス振幅設定部13eにてパルス列信号の振幅が設定されることで、パルス列信号発生部13aにてパルス列信号S13、S14のいずれか一方が発生される。そして、パルス列信号発生部13aにて発生されたパルス列信号S13、S14のいずれか一方は、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に出力端子T0を介して送出され、入力端子X0を介してパルス列信号検出部13bに入力される。そして、安全状態判定部13cにおいて、パルス列信号検出部13bにて検出されたパルス列信号S13、S14のいずれか一方の検出結果に基づいて、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路の安全状態が判定される。
【0083】
ここで、安全監視入力装置63にパルス振幅設定部13eを設けることにより、パルス列信号の振幅がスレッショルド値の近くになるように調整することが可能となり、パルス列信号の立ち上がり時間を短くすることが可能となることから、安全状態の診断にかかる時間を短くすることができる。
【0084】
実施の形態11.
図13は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態11の概略構成を示すブロック図である。図13において、この安全監視入力装置73には、図2の安全監視入力装置13の構成に加え、パルス位相設定部13fが設けられている。ここで、パルス位相設定部13fは、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路を介して伝送されるパルス列信号の位相を設定することができる。
【0085】
そして、パルス位相設定部13fにてパルス列信号の位相が設定されることで、パルス列信号発生部13aにてパルス列信号S15、S16のいずれか一方が発生される。そして、パルス列信号発生部13aにて発生されたパルス列信号S15、S16のいずれか一方は、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に出力端子T0を介して送出され、入力端子X0を介してパルス列信号検出部13bに入力される。そして、安全状態判定部13cにおいて、パルス列信号検出部13bにて検出されたパルス列信号S15、S16のいずれか一方の検出結果に基づいて、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路の安全状態が判定される。
【0086】
ここで、安全監視入力装置73にパルス位相設定部13fを設けることにより、互いに隣接する信号経路間で伝送されるパルス列信号の位相を異ならせることが可能となり、安全状態の判定に加え、それらの信号経路間のショートも検出することができる。
【0087】
実施の形態12.
図14は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態12の概略構成を示すブロック図である。図14において、この安全監視入力装置83には、図2の安全監視入力装置13の構成に加え、パルス種別設定部13gが設けられている。ここで、パルス種別設定部13gは、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路を介して伝送されるパルス列信号の種別を設定することができる。なお、パルス列信号の種別としては、ハイレベルとロウレベルの繰り返し信号や、ハイレベルまたはロウレベルに固定された信号を挙げることができる。
【0088】
そして、パルス種別設定部13gにてパルス列信号の周期が設定されることで、パルス列信号発生部13aにてパルス列信号S17、S18のいずれか一方が発生される。そして、パルス列信号発生部13aにて発生されたパルス列信号S17、S18のいずれか一方は、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に出力端子T0を介して送出され、入力端子X0を介してパルス列信号検出部13bに入力される。そして、安全状態判定部13cにおいて、パルス列信号検出部13bにて検出されたパルス列信号S17、S18のいずれか一方の検出結果に基づいて、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路の安全状態が判定される。
【0089】
ここで、安全監視入力装置83にパルス種別設定部13gを設けることにより、安全機器がパルス列信号に対応できない場合においても、信号経路の安全状態を判定させることが可能となり、安全監視入力装置83の汎用性を向上させることができる。
【0090】
実施の形態13.
図15は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態13の概略構成を示すブロック図である。図15において、安全監視入力装置93には、パルス列信号発生部93a、パルス列信号検出部93bおよび安全故障状態判定部93cが設けられている。また、安全監視入力装置93には、パルス列信号S31が出力される出力端子T0、パルス列信号S32が出力される出力端子T1およびパルス列信号S31、S32が入力される入力端子X0が設けられている。また、安全監視入力装置49には、安全状態か非安全状態か故障状態かを示す信号を出力する出力端子RX0が設けられている。そして、入力端子X0は、非常停止ボタン96を介して出力端子T0、T1のいずれか一方に接続される。例えば、非常停止ボタン96がオフされた場合、入力端子X0は、出力端子T0に接続され、非常停止ボタン96がオンされた場合、入力端子X0は、出力端子T1に接続されることができる。
【0091】
ここで、パルス列信号発生部93aは、非常停止ボタン96にてオン/オフされる信号経路を介して伝送される互いに周期の異なるパルス列信号S31、S32を発生することができる。パルス列信号検出部93bは、非常停止ボタン96にてオン/オフされる信号経路を介して伝送されたパルス列信号S31、S32を検出することができる。安全故障状態判定部93cは、非常停止ボタン96にてオン/オフされる信号経路を介して伝送されたパルス列信号S31、S32の検出結果に基づいて、非常停止ボタン96にてオン/オフされる信号経路の安全状態および故障状態を判定することができる。
【0092】
そして、非常停止ボタン96がオフされた場合、入力端子X0は、出力端子T0に接続される。そして、パルス列信号発生部93aにて発生されたパルス列信号S31は、非常停止ボタン96にてオン/オフされる信号経路に出力端子T0を介して送出される。そして、その信号経路に送出されたパルス列信号S31は、その信号経路を介して伝送され、入力端子X0を介してパルス列信号検出部93bに入力される。そして、パルス列信号S31がパルス列信号検出部93bに入力されると、そのパルス列信号S31がパルス列信号検出部93bにて検出され、その検出結果が安全故障状態判定部93cに出力される。そして、安全状態判定部93cにおいて、パルス列信号検出部93bにて検出されたパルス列信号S31の検出結果に基づいて、非常停止ボタン96にてオン/オフされる信号経路の安全状態および故障状態が判定され、その判定結果が出力端子RX0を介して出力される。
【0093】
一方、非常停止ボタン96がオンされた場合、入力端子X0は、出力端子T1に接続される。そして、パルス列信号発生部93aにて発生されたパルス列信号S32は、非常停止ボタン96にてオン/オフされる信号経路に出力端子T1を介して送出される。そして、その信号経路に送出されたパルス列信号S32は、その信号経路を介して伝送され、入力端子X0を介してパルス列信号検出部93bに入力される。そして、パルス列信号S32がパルス列信号検出部93bに入力されると、そのパルス列信号S32がパルス列信号検出部93bにて検出され、その検出結果が安全故障状態判定部93cに出力される。そして、安全状態判定部93cにおいて、パルス列信号検出部93bにて検出されたパルス列信号S32の検出結果に基づいて、非常停止ボタン96にてオン/オフされる信号経路の安全状態および故障状態が判定され、その判定結果が出力端子RX0を介して出力される。
【0094】
図16は、図15の安全監視入力装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。図16において、図15のパルス列信号発生部93aでは、パルス幅t0、パルス間隔t1のパルス列信号S31およびパルス幅t2、パルス間隔t3のパルス列信号S32が発生され、出力端子T0、T1をそれぞれ介して送出される。なお、パルス列信号S32のパルス幅t2は、パルス列信号S31のパルス幅t0よりも大きくなるように設定し、パルス列信号S32のパルス間隔t3は、パルス列信号S31のパルス間隔t1よりも大きくなるように設定することができる。
【0095】
そして、非常停止ボタン96がオフで、非常停止ボタン96にてオン/オフされる信号経路に故障がない場合、パルス幅t0、パルス間隔t1のパルス列信号S31が入力端子X0に到達する。一方、非常停止ボタン96がオンで、非常停止ボタン96にてオン/オフされる信号経路に故障がない場合、パルス幅t2、パルス間隔t3のパルス列信号S32が入力端子X0に到達する。
【0096】
さらに、非常停止ボタン96にてオン/オフされる信号経路に故障がある場合、非常停止ボタン96のオン/オフに依存することなく、入力端子X0に到達する信号はハイレベルまたはロウレベルに固定される。
【0097】
そして、安全故障状態判定部93cにおいて、パルス列信号検出部93bにて検出されたパルス列信号S31またはパルス列信号S32のパルス幅およびパルス間隔が計測され、そのパルス列信号S31またはパルス列信号S32のパルス幅が0より大きくt0+α以下の場合、かつパルス列信号S31またはパルス列信号S32のパルス間隔が0より大きくt1+β以下の場合には、安全状態がオンにされ、出力端子RX0から出力される信号がハイレベルに設定される。
【0098】
一方、パルス列信号検出部93bにて検出されたパルス列信号S31またはパルス列信号S32のパルス幅がt0+αより大きくt2+θ以下の場合、かつパルス列信号S31またはパルス列信号S32のパルス間隔がt1+βより大きくt3+δ以下の場合には、安全状態がオフにされ、出力端子RX0から出力される信号がロウレベルに設定される。
【0099】
ただし、α、β、θ、δは、マージンである。例えば、パルス幅t0およびパルス間隔t1が7.2msの場合、パルス幅t2およびパルス間隔t3は14.4ms、マージンα、β、θ、δは3.6msに設定することができる。
【0100】
一方、パルス列信号検出部93bにて検出されたパルス列信号S31またはパルス列信号S32のパルス幅がt2+θより大きい場合、またはパルス列信号S31またはパルス列信号S32のパルス間隔がt3+δより大きい場合、非常停止ボタン96にてオン/オフされる信号経路が故障状態であると判定される。
【0101】
これにより、非常停止ボタン96によるオン/オフに応じてパルス列信号S31またはパルス列信号S32のいずれか一方を選択させることにより、その信号経路の安全状態を監視するとともに、故障状態も検出することが可能となる。このため、非常停止ボタン96にてオン/オフされる信号経路の安全状態および故障状態を監視するために、その信号経路を遮断する必要がなくなり、システム全体の応答時間よりも短い周期で安全状態および故障状態の診断を行う必要がなくなることから、その信号経路の安全状態および故障状態の診断にかかる負荷を低減することができる。
【0102】
なお、図15の実施の形態では、パルス列信号発生部93a、パルス列信号検出部93bおよび安全故障状態判定部93cを安全監視入力装置93に設ける方法について説明したが、パルス列信号発生部93aは、パルス列信号検出部93bおよび安全故障状態判定部93cと別個に設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0103】
以上のように本発明に係る安全監視入力装置は、安全状態の監視に使用される信号経路を遮断することなく、その信号経路の安全状態を監視することが可能となり、システム全体の応答時間よりも短い周期で安全状態の診断を行う必要がなくなることから、その信号経路の安全状態の診断にかかる負荷を低減する方法に適している。
【符号の説明】
【0104】
11 コントローラ
12 安全制御装置
13、13´、21、31、43、53、63、73、83、93 安全監視入力装置
14 ロボット
15 通信ネットワーク
16、25a、25b、35a〜35d、96 非常停止ボタン
13a、22、32、93a パルス列信号発生部
13b、23a、23b、33a〜33d、93b パルス列信号検出部
13c、24a、24b、34a〜34d、43c 安全状態判定部
13d パルス周期設定部
13e パルス振幅設定部
13f パルス位相設定部
13g パルス種別設定部
17 パルス列信号発生装置
26、36a、36b、36c 故障検出部
43a 正弦波信号発生部
43b 正弦波信号検出部
93c 安全故障状態判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス列信号を検出するパルス列信号検出部と、
前記パルス列信号の検出結果に基づいて、前記パルス列信号が伝送される経路の安全状態を判定する安全状態判定部とを備えることを特徴とする安全監視入力装置。
【請求項2】
前記安全状態が判定される経路を介して伝送されるパルス列信号を発生するパルス列信号発生部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の安全監視入力装置。
【請求項3】
前記安全状態判定部は、前記パルス列信号のパルス幅よりも長い期間だけハイレベル状態が継続した場合または前記パルス列信号のパルス間隔よりも長い期間だけロウレベル状態が継続した場合、前記パルス列信号が伝送される経路が非安全状態であると判定することを特徴とする請求項1または2に記載の安全監視入力装置。
【請求項4】
前記安全状態判定部は、前記パルス列信号検出部にて検出されたパルス列信号のパルス幅およびパルス間隔が、前記パルス列信号発生部にて発生されたパルス列信号のパルス幅およびパルス間隔と所定のマージンを見込んでそれぞれ一致した場合、前記パルス列信号伝送される経路が安全状態であると判定し、前記パルス列信号発生部にてハイレベル状態またはロウレベル状態が所定の期間を超えて継続して検出された場合、前記パルス列信号伝送される経路が非安全状態であると判定することを特徴とする請求項2に記載の安全監視入力装置。
【請求項5】
前記パルス列信号発生部は、前記安全状態が判定される複数の経路に対して、互いに位相の異なるパルス列信号をそれぞれ発生することを特徴とする請求項2に記載の安全監視入力装置。
【請求項6】
前記複数の経路を介して伝送されたパルス列信号のパルス幅に基づいて、前記経路の故障を検出する故障検出部をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の安全監視入力装置。
【請求項7】
前記パルス列信号の周期を設定するパルス周期設定部をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の安全監視入力装置。
【請求項8】
前記パルス列信号の振幅を設定するパルス振幅設定部をさらに備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の安全監視入力装置。
【請求項9】
前記パルス列信号の位相を設定するパルス位相設定部をさらに備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の安全監視入力装置。
【請求項10】
前記パルス列信号の種別を設定するパルス種別設定部をさらに備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の安全監視入力装置。
【請求項11】
安全状態が判定される経路を介して伝送される互いに周期の異なるパルス列信号を発生するパルス列信号発生部と、
前記経路を介して伝送されたパルス列信号を検出するパルス列信号検出部と、
前記パルス列信号の検出結果に基づいて、前記パルス列信号が伝送される経路の安全状態、非安全状態および故障状態を判定する安全故障状態判定部とを備えることを特徴とする安全監視入力装置。
【請求項12】
安全状態が判定される経路を介して伝送される正弦波信号を発生する正弦波信号発生部と、
前記経路を介して伝送された正弦波信号を検出する正弦波信号検出部と、
前記正弦波信号の検出結果に基づいて、前記正弦波信号が伝送される経路の安全状態を判定する安全状態判定部とを備えることを特徴とする安全監視入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−250692(P2010−250692A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101169(P2009−101169)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】