説明

安定なナノチタニアゾルおよびそれらの製法

本発明は、極端でないpH範囲(4.0〜10.0)での濃縮水性ナノチタニアゾルの製法を提供し、この方法は酸性ナノチタニアゾルを分散剤およびアルカリ化剤と接触させ、そしてナノチタニアゾルをナノチタニアゾルが300gのTiOナノ粒子/dmより多くを含むまで膜濾過法に供することを含んでなる。ナノチタニアゾルはさらに上記方法の任意の工程内でコーティング処理にかけることができる。本開示の濃縮水性ナノチタニアゾルは、様々な応用での使用に適し、そのような応用にはUV保護および混入物の光化学的分解または不活性化を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との関係
適用しない。
【0002】
政府が支援する研究開発に関する表明
適用しない。
【0003】
発明の分野
本開示は一般に、安定な濃縮ナノチタニアゾルおよびそれらの製法および使用に関する。例えば本開示は、極端ではない(mild)pH範囲(4.0〜10.0)における安定な濃縮ナノチタニアゾルおよびそれらの製法および使用に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
チタニア、すなわち二酸化チタン(TiO)は一般に2種の主要な多形であるアナターゼまたはルチルのいずれかで市場に存在し、そして150nm〜250nmの平均粒子サイズを有する。その高い屈折率、無視できる色および不活性さから、塗料、紙、プラスチック、セラミック、インク等の不透明化剤(opacifier)として有用である。より小さい平均粒子サイズ、例えば1nm〜150nmの平均粒子サイズ範囲を有する二酸化チタンはナノチタニアと呼ばれる。ナノチタニアは、そのi)光保護的特性と組み合わされた半透明性;ii)光触媒的活性;およびiii)高い表面積と組み合わされた伝導特性のため、化粧品、パーソナルケア製品、プラスチック、表面コーティング、自己洗浄型(self cleaning)表面および光電池の応用に用途が見いだされている。
【0005】
粉末状のナノ二酸化チタン製品を取り巻く問題には:i)製品を必要とするサイズに分散する際に遭遇する難題;およびii)ナノチタニア粉末の細かさによる粉塵/取り扱いに関する問題を含む。安定な濃縮ゾル状態で供給されるナノ二酸化チタン製品は、これらの重要な問題の両方に取り組むものである。
【0006】
安定な水性ナノ二酸化チタンゾルは、文献であまねく報告されてきた。しかしそれらの製造は大変低い(<pH2)かまたは大変高い(>pH10)pH範囲のいずれか、または低濃度(<300gpl)に限定されていた。
【0007】
特許文献1では、含水二酸化チタンが最初に中和され、次いでHClで解膠されてコロイド状二酸化チタンゾルが形成される方法が記載されている。次いでコロイド状二酸化チタンゾルは、中和、乾燥そして約500゜〜600℃の温度範囲でか焼された後、か焼された生成物が再分散される。
【0008】
特許文献2では、ルチルナノサイズ化二酸化チタンゾルが、チタンテトライソプロポキシドを過酸化水素を含む水溶液での加水分解、そして続いて50゜〜120℃の温度で熱水処理することを介して調製される。
【0009】
特許文献3は、ナノサイズ化二酸化チタンゾルの形成法を記載し、この方法にはチタンイソプロポキシド溶液から含水二酸化チタンの沈殿、および含水水酸化チタンのa−ヒドロキシカルボン酸を用いた70゜〜150℃の温度での長時間の解膠を含む。
【0010】
また特許文献4も、ハライド含有チタン化合物と水とのポリオール存在下での反応を介した安定なナノサイズ化二酸化チタンゾルの形成法を記載する。
【0011】
特許文献5ではナノサイズ化二酸化チタンゾルが、硫酸および硫酸チタニルの溶液をアルカリ反応媒質に添加して二酸化チタンナノ粒子を形成し、一塩基酸の添加を介してナノ粒子を凝集し、次いで濾過により凝集物を単離することにより調製される。
【0012】
厳密な意味で、高度に安定なナノサイズ化二酸化チタンゾルを製造するための別の手段が未だ大変望まれており、そして特に高度に安定な濃縮ナノサイズ化二酸化チタンゾルを製造する手段が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第2,448,683号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2006/01 10319号明細書
【特許文献3】米国特許出願第2009/00621 11号明細書
【特許文献4】米国特許出願第2009/0061230号明細書
【特許文献5】米国特許第5,840,111号明細書
【発明の概要】
【0014】
要約
本開示は濃縮水性ナノチタニアゾルの製法を提供し、この方法は:
(a)酸性ナノチタニアゾルを、水溶性カルボン酸、カルボン酸の水溶性塩、水溶性ポリカルボン酸、リン酸塩または珪酸塩の少なくとも1種を含んでなる分散剤、およびアルカリ化剤(alkalizing agent)と接触させ、ここで接触後のナノチタニアゾルのpHは約4.0から約10.0の間の範囲であり;そして
(b)pHを調整したナノチタニアゾルを膜濾過法、好ましくはクロスフロー濾過法または振動を含むクロスフロー濾過法に供し、そしてその膜濾過法をナノチタニアゾルが300gのTiOナノ粒子/dmより多くを含むまで続行する、
ことを含んでなる。
【0015】
また本開示は、濃縮水性ナノチタニアゾルの製法を提供し、この方法は:
(a)酸性ナノチタニアゾルを準備し;
(b)酸性ナノチタニアゾルを、水溶性カルボン酸、カルボン酸の水溶性塩、水溶性ポリカルボン酸、リン酸塩または珪酸塩の少なくとも1種を含んでなる分散剤、およびアルカリ化剤と接触させ、ここで接触後のナノチタニアゾルのpHは約4.0から約10.0の範囲であり;そして
(c)pHを調整したナノチタニアゾルを膜濾過法、好ましくはクロスフロー濾過法または振動を含むクロスフロー濾過法に供し、そしてその膜濾過法をナノチタニアゾルが300gのTiOナノ粒子/dmより多くを含むまで続行する、
ことを含んでなる。
【0016】
別の態様では、pHを調整したナノチタニアゾルを、ナノチタニアゾルから可溶性塩を除去するために、PCTテキスト段落[0013]に記載した方法の工程(b)の間、またはPCTテキスト段落[0014]に記載した方法の工程(c)の間、好ましくはナノチタニアゾルの濃縮が始まる前に洗浄剤と接触させることができる。
【0017】
別の態様に従い、ナノチタニアゾルは、上記方法の任意の工程の前、最中または後にコーティング処理に供することができる。
【0018】
本開示の濃縮水性ナノチタニアゾルは、UV保護の提供および混入物の光化学的分解または不活性化を含む様々な応用での使用に適している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
好適な態様の説明
本明細書および続く特許請求の範囲において、以下の意味を有すると理解される多くの用語に関して参照を提供する。
【0020】
用語「ナノチタニアゾル」とは、150nm未満、好ましくは100nm未満の粒子サイズを有するTiOナノ粒子のコロイド状懸濁液を指す。TiOナノ粒子はアナターゼ、ルチルまたはそれらの不定形または混合物でよい。
【0021】
用語「クロスフロー濾過法」および「振動を含むクロスフロー濾過法」とは、流体媒質中の固体粒子の懸濁液に、膜表面をわたる接線方向の流れを生じると同時に、懸濁液の流体媒質が流体媒質は透過するが固体粒子は透過しない膜を通って流れるようにする圧をかける濾過法を指す。膜表面をわたる懸濁液の流れは、膜表面上に過度な固体の沈着(build−up)を最小にする。膜表面の機械的振動は、膜の詰まりまたは汚れを減らすために使用できる。そのような方法は、例えば米国特許第4,952,317号明細書に記載され、その内容は引用により本明細書に明白に包含する。
【0022】
本開示は濃縮水性ナノチタニアゾルの製法を提供する。この開示の一態様では、濃縮水性ナノチタニアゾルは:
(a)酸性ナノチタニアゾルを、水溶性カルボン酸、カルボン酸の水溶性塩、水溶性ポリカルボン酸、リン酸塩または珪酸塩の少なくとも1種を含んでなる分散剤、およびアルカリ化剤と接触させ、ここで接触後のナノチタニアゾルのpHは約4.0から約10.0の間の範囲であり;そして
(b)pHを調整したナノチタニアゾルを膜濾過法、好ましくはクロスフロー濾過法または振動を含むクロスフロー濾過法に供し、そしてその膜濾過法をナノチタニアゾルが300gのTiOナノ粒子/dmより多く含むまで続行する、
工程を含んでなる方法により製造される。
【0023】
本開示の別の態様では、濃縮水性ナノチタニアゾルは:
(a)酸性ナノチタニアゾルを準備し;
(b)酸性ナノチタニアゾルを、水溶性カルボン酸、カルボン酸の水溶性塩、水溶性ポリカルボン酸、リン酸塩または珪酸塩の少なくとも1種を含んでなる分散剤、およびアルカリ化剤と接触させ、ここで接触後のナノチタニアゾルのpHは約4.0から約10.0の範囲であり;そして
(c)pHを調整したナノチタニアゾルを膜濾過法、好ましくはクロスフロー濾過法または振動を含むクロスフロー濾過法に供し、そしてその膜濾過法をナノチタニアゾルが300gのTiOナノ粒子/dmより多く含むまで続行する、
工程を含んでなる方法により製造される。
【0024】
本発明の方法の実質的にこれらすべての工程は、100℃未満の温度で行うことができ、これによりそれらの工業的設定での実行を容易および経済的にする。本発明の方法により製造される濃縮水性ナノチタニアゾルは、広いpH範囲、特に4.0〜10.0(例えば6.0〜8.0)の極端ではない広いpH範囲にわたりひときわ優れたな安定性を示し、これによりゾルを環境的に安全とし、かつ使用し易くする。さらに濃縮水性ナノチタニアゾルは凝集を現さず、したがって優れた半透明性を現すための粉砕工程を必要としない。さらにたとえナノチタニアゾルを濃縮しても、大変低い粘性を有することがそれらを輸送および直接使用に特に適するものとする。
【0025】
一つの態様に従い、酸性ナノチタニアゾルが提供される。酸性ナノチタニアゾルは、それがTiOナノ粒子の酸性コロイド懸濁液を含む限り、任意の手段から提供することができる。コロイド状に懸濁されたTiOナノ粒子は、任意の適切な方法により調製されたアナターゼ、ルチルまたは不定形TiOから製造することができる。典型的な方法には、四塩化チタン、硫酸チタニルまたは有機もしくは無機チタン酸塩のような適切なチタン化合物の加水分解、あるいは酸化性チタン化合物の酸化(例えば蒸気状態での)が関与する。
【0026】
一つの態様では、酸性ナノチタニアゾルは硫酸塩法で沈殿工程により調製されたTiOから製造される。沈殿後、得られたチタニア水和物を濾過し、不純物を含まないように洗浄し、そして水性塩基と接触させておよそ中性のpHを有する懸濁液を形成する。次いで硫酸塩イオンが中和した懸濁液から濾過および洗浄により除去される。一つの観点では、濾過後に得られた濾過ケーク(filter cake)を洗浄濾液のSO2−含量が0.1g/リットル未満になるまで洗浄する(これは塩化バリウム溶液の滴定により測定できる)。次いで洗浄した濾過ケークは、水中でスラリー化して実質的に硫酸塩イオンを含まないチタン水和物の水性懸濁液を生じ、次いでこれを強力な一塩基酸のpH調整で約2.0以下のpH、好ましくは約1.5のpHに解膠して酸性ナノチタニアゾルを提供する。
【0027】
次いで酸性ナノチタニアゾルは、分散剤およびアルカリ化剤と接触させる。酸性ナノチタニアゾルは分散剤およびアルカリ化剤と任意の順序または組み合わせで接触させることができる。
【0028】
一つの態様では、酸性ナノチタニアゾルを最初に分散剤と接触させる。分散剤は水溶性カルボン酸、カルボン酸の水溶性塩、水溶性ポリカルボン酸、リン酸塩または珪酸塩の少なくとも1種を含んでなる。一つの態様では、水溶性カルボン酸はa−ヒドロキシカルボン酸である。a−ヒドロキシカルボン酸は、1、2もしくは3個のカルボン酸基を含んでなることができ、そして限定するわけではないが、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸およびクエン酸を含む。別の態様では、水溶性カルボン酸はβ−ヒドロキシカルボン酸である。さらに別の態様では、水溶性ポリカルボン酸はジカルボン酸またはトリカルボン酸である。別の態様では、分散剤は前記酸の1もしくは複数の塩を含んでなる。さらに別の態様では、分散剤は前記酸および塩、およびリン酸塩および珪酸塩の組み合わせを含んでなる。
【0029】
酸性ナノチタニアゾルおよび分散剤は、従来の容器中での混合のような任意の適切な手段により、少なくとも約0.1時間、好ましくは少なくとも約0.25時間、そしてより好ましくは少なくとも約0.5時間の期間、接触させることができる。別の態様では、酸性ナノチタニアゾルおよび分散剤は、約24時間未満、好ましくは約12時間未満、そしてさらに好ましくは約3時間未満の期間、接触させることができる。さらに別の態様では、酸性ナノチタニアゾルおよび分散剤は少なくとも約0.5時間から約3時間未満の期間、接触させることができる。
【0030】
酸性ナノチタニアゾルはまた、アルカリ化剤とも接触させる。一つの態様では、酸性ナノチタニアゾルは分散剤と接触させた後にアルカリ化剤と接触させる。アルカリ化剤の例にはアルカノールアミン、好ましくは水溶性アルカノールアミン、例えばイソプロパノールアミン、および水酸化コリンがある。酸性ナノチタニアゾルをアルカリ化剤と接触させる期間は、酸性ナノチタニアゾルのpHを約4.0から約10.0の範囲に調整するために十分な期間である。
【0031】
次いでpHを調整したナノチタニアゾルは、膜濾過法、好ましくはクロスフロー濾過法または振動を含むクロスフロー濾過法の効果(effect)にかけられて、少なくとも300gのTiOナノ粒子/dmを含有する濃縮ナノチタニアゾルを得る。別の態様では、ナノチタニアゾルは膜濾過法の効果にかけられて、少なくとも500gのTiOナノ粒子/dm、好ましくは少なくとも550gのTiOナノ粒子/dm、そしてより好ましくは少なくとも600gのTiOナノ粒子/dm、そしてさらに一層好ましくは少なくとも700gのTiOナノ粒子/dmを含有する濃縮ナノチタニアゾルを得る。好ましくは濃縮ナノチタニアゾルは、20℃で約0.001Pas〜約0.2Pasの粘度を有する。膜濾過法の供給原料であるpH調整したナノチタニアゾルの固体含量は、一般に約350gのTiOナノ粒子/dm未満である。このように一つの態様では、pH調整したナノチタニアゾル原料の固体含量は、少なくとも約100gのTiOナノ粒子/dm〜約350g未満のTiOナノ粒子/dmの範囲である。
【0032】
場合によりpH調整したナノチタニアゾルは、ナノチタニアゾルから可溶性塩の一部または実質的に全部を除去するために、膜濾過工程中の任意の時期に洗浄剤、例えば水、好ましくは脱塩水と接触させることができる。一つの態様では、pH調整したナノチタニアゾルは、PCTテキスト段落[0021]に記載した方法の工程(b)またはPCTテキスト段落[0022]に記載した方法の工程(c)の間で、ナノチタニアゾルの濃縮前に洗浄剤と接触させる。別の態様では、pH調整したナノチタニアゾルをナノチタニアゾルの濃縮後に洗浄剤と接触させる。ナノチタニアゾルから水溶性塩の減少は、望ましい低伝導性を有する濃縮ナノチタニアゾルの製造を補助する。一つの観点では、ナノチタニアゾルは、PCTテキスト段落[0021]に記載した方法の工程(b)またはPCTテキスト段落[0022]に記載した方法の工程(c)の間に、ナノチタニアゾルの伝導性を10mS/cm未満、好ましくは5mS/cm未満、そしてより好ましくは2mS/cm未満に下げるために十分な期間、洗浄剤と接触させる。
【0033】
さらに別の観点では、ナノチタニアゾルは場合によりナノチタニアゾルをコーティング剤と接触させることによりコーティング処理にかけることができる。コーティング処理は上記の方法の任意の工程前、最中または後に行うことができる。一つの態様では、コーティング処理は酸性ナノチタニアゾルと分散剤およびアルカリ化剤が、PCTテキスト段落[0021]に記載した方法の工程(a)またはPCTテキスト段落[0022]に記載した方法の工程(b)で接触した後に行なわれる。別の態様ではコーティング処理はPCTテキスト段落[0021]に記載した方法の工程(b)またはPCTテキスト段落[0022]に記載した方法の工程(c)の間に行われ、好ましくはpH調整したナノチタニアゾルを洗浄剤と接触させてナノチタニアゾルから可溶性塩を除去した後、しかし濃縮前に行われる。使用に適するコーティング剤には、アルカリ性または酸性コーティング剤、例えばTiOナノ粒子の表面に無機酸化物または含水酸化物を被覆するために一般的に使用されるものを含む。典型的な無機酸化物および含水酸化物には、シリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、亜鉛、セリウム、リンまたはスズの1もしくは複数の酸化物および/または含水酸化物を含む。TiOナノ粒子の表面上に被覆されるコーティングの量は、TiOナノ粒子の重量に対して約0.1重量%〜50重量%の範囲の無機酸化物および/または含水酸化物となり得る。アルカリコーティング剤の例には珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、アルミン酸ナトリウムまたはそれらの混合物を含む。酸性コーティング剤の例には塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムまたはそれらの混合物がある。
【0034】
またカチオン交換樹脂も、ナノチタニアゾルのイオン強度が処理中に低く留まり、そしてコロイドの安定性が維持されることを確実にするためにコーティング処理中に採用することができる。この態様では、ナノチタニアゾルをバッチタンク中でアルカリコーティング剤、好ましくは珪酸ナトリウム、およびカチオン交換樹脂と接触させる。珪酸ナトリウ
ムおよびカチオン交換樹脂の添加速度は、バッチタンク中のゾルのpHが約4.0から約10.0の間の範囲に留まるように制御される。別の態様では、ゾルおよびアルカリコーティング剤は、流出液のpHが約4.0から約10.0の間の範囲に留まる速度でカチオン交換樹脂を含むカラムまたは支持体に通される。任意のカチオン交換樹脂が使用に適し、それらはスルホン酸基を含有する強酸カチオン交換樹脂、カルボン酸基を含有する弱酸カチオン交換樹脂、またはそれらの混合物のような一般的に知られているものを含む。特定の態様では、カチオン交換樹脂の除去が望まれる場合、当該技術分野で知られている技術をそのような除去を促進するために使用できる。
【0035】
またアニオン交換樹脂もコーティング処理中に使用できる。この態様では、ナノチタニアゾルをバッチタンク中で酸性コーティング剤およびアニオン交換樹脂と接触させる。酸性コーティング剤およびアニオン交換樹脂の添加速度は、バッチタンク中のゾルのpHが約4.0から約10.0の間の範囲に留まるように制御される。別の態様では、ゾルおよび酸性コーティング剤は、流出液のpHが約4.0から約10.0の間の範囲に留まるような速度でアニオン交換樹脂を含むカラムまたは支持体に通される。任意のアニオン交換樹脂が使用に適し、それらには水酸化物または四級アンモニウム基を含有する強塩基アニオン交換樹脂、一級または二級アミノ基またはそれらの混合物を含有する弱塩基アニオン交換樹脂のような一般的に知られているものを含む。
【0036】
製造された濃縮水性ナノチタニアゾルは、ひときわ優れた安定性および透明性を現す。現在知られている方法にはナノチタニアゾルの乾燥(これは幾らかの粒子間セメント結合を導く)、引き続いて粉砕工程を含む。本発明の方法は乾燥および粉砕の両方を回避しても尚、十分に分散したゾルを提供する。このようにナノ分散物は本発明の方法により製造された濃縮ナノチタニアゾルを含有する配合系で達成することができる。さらに本発明は改善された物理形態(すなわちコロイド状懸濁液v.低密度凝集性粉末)のゾルを提供し、これはナノチタニアゾルの後の取り扱いおよび加工に大いに役立つ。
【0037】
本発明に従い製造された濃縮水性ナノチタニアゾルは、コーティングとしての使用、または製品での使用に適している。例えば濃縮水性ナノチタニアゾルは、パーソナルケア製品および化粧用配合物、例えばサンスクリーン、モイスチャライザー、カラーファンデーション、リップスティック、リップバーム、フットケア製品および軟膏;コーティングおよびメーソンリー配合物、例えば自動車用コーティング、木材コーティング、建築用コーティング、屋根材微粒(roofing granule)、小端板葺き(roofing shingle)、羽目、フローリング、スイミングプール表面、およびセメントまたはコンクリート;触媒または光触媒として、または触媒製品の支持体として;光電池;農業用フィルム、食品包装用フィルム、成形された自動車のプラスチック部品、および機械用ポリマー樹脂を含むプラスチックの部品、フィルムおよび樹脂系;シリコーンゴムを含むゴムを基材とする製品;ポリアミド、ポリアラミド、およびポリイミド繊維製品および不織シート製品を含む織物または不織布での応用に使用するテキスタイル繊維;セラミックス;建築用ガラス、自動車用ガラス、および工業用ガラスを含むガラス製品;難燃材;および電子部品に使用することができる。
【0038】
別の態様に従い、濃縮水性ナノチタニアゾルはUV保護を支持体の表面に提供する方法で使用することができる。この方法には濃縮水性被覆化ナノチタニアゾルを、結合媒質の存在または不存在下で、フィルムとして支持体の表面に適用することを含む。ゾルはさまざまな適用技術、例えば漬染(dipping)、噴霧、スピン−コーティング、浸漬(soaking)、ブラッシングおよびドクターブレーディングを使用して適用できる。好ましくは濃縮された被覆ナノチタニアゾルは、液体状態で測定した場合に約0.001mm〜約0.2mmの厚さに適用される。次いで適用されたフィルムは、支持体表面上に保護コーティングを形成する。フィルムは場合により乾燥させることができる。支持体に
は限定するわけではないが、テキスタイル繊維、家具、紙、舗装材料、タイル、コンクリート、セメント、木材、セラミック、重合体、レザー、アスファルト、建築用エクステリアおよびガラスを含むことができる。別の態様では、濃縮水性ナノチタニアゾルは化粧品に導入され、そして混合物がUV保護を提供するために皮膚の表面に上記のように適用される。
【0039】
さらなる態様に従い、本開示の方法により製造された濃縮水性ナノチタニアゾルを含んでなる触媒組成物が提供される。濃縮水性チタニアゾルを含んでなる触媒組成物は、広い範囲の種々の反応を促進するために使用でき、そして反応の反応物が触媒組成物と接触した時の化学反応の転換速度により特徴付けられる。一つの態様では、触媒組成物は支持体上に存在する。支持体材料の例には、ガラス、セラミック、金属、プラスチック、セメント、コンクリート、アスファルト、テキスタイルおよび紙を含む。支持体は孔質または非孔質でよい。孔質支持体の例には繊維のマット、ゼオライトまたは孔質フィルムがある。用語「支持体上」とは、触媒組成物が支持体表面の少なくとも一部の上にある場合を指す。孔質支持体に関して、用語「支持体上」とはさらに触媒組成物が支持体の孔内に追加で存在する場合を指す。
【0040】
一つの態様では、触媒組成物は反応流体と混合され、そして可視光を照射されて反応流体の1もしくは複数の成分の化学反応を提供することができる。次いで触媒組成物は流体から回収され、そして反応流体の別の部分での使用に再利用されることができる。触媒組成物はコバルト、ニッケル、銅、金、イリジウム、ランタン、ニッケル、オスミウム、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、銀、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウムおよびスズのような一般的な金属触媒の代わりに使用することができる。
【0041】
別の態様では、触媒組成物は支持体上に存在し、そして反応流体は支持体および組成物と接触しながら流れ、そして光に照射された時、反応流体の1もしくは複数の成分の化学反応を提供する。この構成では、触媒組成物は流体の一定流に暴露されることができ、そして反応終了後の流体から触媒組成物を分離する必要が無い。例えば触媒組成物は支持体、例えば自動車の排気系に適用され、この排気系には可視またはUV光源、例えば光ファイバー光源またはLED光源が備え付けられている。自動車エンジンの操作中に触媒組成物を照射すると、エンジン内に発生する有機物および他の汚染物質を環境的に許容され得る物質に分解することができる。
【0042】
別の態様では、触媒組成物は種々の環境的混入物または汚染物、例えばほこり、グリースおよび他の有機および無機混入物および汚染物と接触する表面上に存在できる。触媒組成物、場合により触媒組成物を含んでなる配合物がこの表面に適用され、そして表面はUV/可視光で照射されると同時に、混入物もしくは汚染物が表面と接触する。UV/可視光に暴露すると、表面は「自己洗浄型」となり、そして混入物もしくは汚染物を分解または不活性化する。例えば自己洗浄型ガラスはガラスの片側もしくは両側に適用された透明もしくは半透明触媒組成物のコーティングを有することができる。次いでガラスに接触する混入物は、ガラスがUV/可視光に暴露される時に分解され得る。残る分解産物をガラスから水で流すようにするためには、自己洗浄型のガラスが親水性表面を有することが望ましい。
【0043】
別の態様では、触媒組成物は微生物、例えばバクテリアおよび菌・カビおよび/またはウイルスに暴露される表面に存在することができる。UV/可視光への暴露で、そのような表面は表面上に存在する微生物またはウイルスを破壊または不活性化することにより「殺菌表面(disinfecting surface)」となることができる。例えば住宅、商業施設または病院の環境で表面は表面に適用された触媒組成物のコーティングを有することができる。次いで表面と接触する微生物および/またはウイルスは、表面がU
V/可視光に暴露されると破壊または不活性化され得る。殺菌表面とすることができる表面の例には、調理台、フローリング、壁、ハンドル、スイッチ、ノブ、キーボード、電話および医療器具の表面がある。
【0044】
また触媒組成物は表面に適用されて一過性の表面殺菌を提供することもできる。例えば触媒組成物はクリーニング組成物に導入することができる。クリーニング組成物は液体、泡沫またはローションの状態でよい。クリーニング組成物の表面への適用、続いて表面のUV/可視光への暴露で、表面に存在する微生物またはウイルスの破壊または不活性化を生じることができる。そのようなクリーニング組成物は皮膚上での使用のために配合されて、パーソナルケア製品を提供することができる。
【0045】
また濃縮ナノチタニアゾルを含有する触媒組成物は、空気および/または水の純化に使用することもできる。例えば触媒組成物を汚染された空気または水と混合し、そしてUV/可視光を照射することができる。空気または水中の混入物は揮発性またはより容易に空気または水から分離される物質へ分解されることができる。例えば有機物質およびハロゲン化物質を含有する汚染物は、二酸化炭素およびハライドイオンに分解されることができ、次いでこれを空気または水から分離することができる。空気純化の場合、NOおよびNOおよびVOC’sのような混入物の個別の、または集合的な分解により清浄な空気および空気中の臭気の制御をもたらすことができる。
【0046】
別の態様では、触媒組成物は検出ガスに使用することができる。TiOナノ粒子の電気伝導性はそれらの環境の化学組成に依存して変動するため、この可変性の伝導性は、1もしくは複数のガスの種類および/または量の測定に使用されるTiOナノ粒子の用途を提供することができる。ある環境でTiOナノ粒子またはTiOナノ粒子を含有する物質の電気抵抗が測定され、そして対照環境での電気抵抗と比較される。測定された抵抗と対照抵抗との間の差異は、環境中のガスの量および/または同一性に相関し得る。同定および/または測定され得るガスの例には、水素、一酸化炭素、硫化水素および水がある。好ましくは触媒組成物を含んでなるガス検知器は、周囲条件でガスを検知するために使用される。
【0047】
さらなる態様では、触媒組成物は水から水素および酸素の製造に使用することができる。触媒組成物を含有する水は、水にUV/可視光を照射すると光触媒により水素と酸素に分解することができる。またこの分解は四成分系オキシド(quaternary oxide)を含む光アノードを有する光電気化学電池内で行うこともできる。光電気化学電池は電池から水素および酸素の別個の回収を提供できるので、光電気化学電池を使用することが望ましい。
【0048】
別の態様では、触媒組成物は太陽輻射から電気の生産、そして特に触媒組成物およびTiOナノ粒子を増感するための色素分子を含む太陽電池に使用することができる。例えば電流は色素分子が光に暴露されることにより励起されると生産される。励起した色素分子は電子をナノ粒子の伝導帯に移し、これが負荷(load)により電子を電子回路に連結した集電装置に伝導する。
【0049】
さらに別の態様では、触媒組成物はポリマー複合体、織物および不織材料を含む複合材料中で使用することができる。例えば触媒組成物はテキスタイル織物中の繊維に包含させることができる。これらの織物はUV/可視光に暴露された時、織物と接触している混入物の分解を提供することができ、自己洗浄型または殺菌性織物を生じる。
【0050】
さらに別の態様では、触媒組成物は生物活性物質として使用することができる。生物内のような水性の環境では、UV/可視光を照射したTiOナノ粒子は、ヒドロキシルイ
オン(OH)、スーパーオキシドイオン(O)および/または過酸化水素を生ることができる。したがって細胞中または細胞に接しながらUV/可視光に暴露されたTiOナノ粒子は、細胞を傷つけまたは殺す毒性環境を生じる可能性がある。すなわち触媒組成物が腫瘍細胞に送達される場合に、抗ガン剤として使用することができる。触媒組成物を、腫瘍細胞により選択的に吸収されるターゲッティング剤に結合することが望ましい。光は触媒組成物を含有する細胞に腹腔鏡で送達でき、細胞死または細胞の成長または増殖の低下をもたらす。
【0051】
本発明は以下の実施例を考察することによりさらに具体的に説明され、これら実施例は本発明の例であることを意図する。実施例中のすべての部および割合は特に言及しない限り重量に基づく。
【実施例】
【0052】
実施例
実施例1. チタン鉄鉱を濃硫酸で消化して温浸ケーキ(digestion cake)を得た。温浸ケーキを水に溶解して硫酸鉄、硫酸チタンおよび幾らかの懸濁不溶性物質を含有する原液を形成した。次いで第二鉄状態の鉄を化学的に還元し、そして液体を濾過して不溶性物質を除去した。次いでこの液体を真空処理により濃縮し、そして加水分解して含水チタニアを加熱および結晶核生成剤を加えることにより沈殿させた。含水チタニアは洗浄および濾過により不純物から分離し、そしてチタニア水和物懸濁液を含水フィルターケーキと脱塩水とを混合することにより得た。次いでチタニア水和物懸濁液(pH<2)は、アンモニアで7.05のpHに中和し、濾過し、そして水で洗浄して硫酸塩化合物を除去すると、濾液洗浄物は<100ppm SO2−を有し、次いで水中で再スラリー化した。次いでスラリーのpHは塩酸を添加することによりpH1.50とし、そして30分間混合して、33%固体の酸性ナノチタニアゾルを生じた。次いで酸性ナノチタニアゾルを、容器中で約20分間混合することによりクエン酸と接触させた(1.0gクエン酸 対 10.0gTiO)。次いでゾルを、容器中でゾルのpHを8.00に調整するために十分な時間混合することによりモノイソプロパノールアミンと接触させた。次いでpHを調整したナノチタニアゾルは、最初にゾルを水と接触させて可溶性の塩を除去して4.64mS/cmの伝導性とすることによりクロスフロー濾過法に供し、次いでクロスフロー濾過法をゾルが水性ゾルの総重量に基づき673gのTiOナノ粒子/dmを含むようになるまで続行した。生じたゾルは0.035Pasの粘度を有した(19.3℃で、Brookfield粘度計を使用してno.2スピンドルを100rpmで用いて測定)。形態上の粒子サイズは、CPSディスク遠心を使用して測定して43nmであった。ゾルは8.2のpHを有した。
【0053】
実施例2. 実施例1で生成した安定なナノチタニアゾルを、半練り状のアクリル酸エマルジョンに18.23%の乾燥フィルム顔料容量濃度で包含させた。次いでこのコーティングを125umのポリエステルフィルムに、150μmのコーティング湿潤フィルム厚で適用した。硬化後、生じたコーティングは550nmの波長で1.546の吸収を有した。同じTiO濃度で市販のアナターゼを包含した比較コーティングは、550nmの波長で2.489の吸収を有した。
【0054】
予想実施例A. 酸性ナノチタニアゾルは、実施例1のように得る。次いで酸性ナノチタニアゾルを、容器中で約30分間混合することによりクエン酸塩と接触させる(1.0gのクエン酸 対 10.0gのTiO)。次いでゾルをゾルのpHが約8.0になるまで容器中で混合することによりモノイソプロパノールアミンと接触させる。次いでpH調整したゾル中に懸濁したTiOナノ粒子を、75℃に加熱し、そしてゾルのpHが約5.0から約10.0の間に留まるように珪酸ナトリウムおよびカチオン交換樹脂を同時に添加することによりシリカでコーティングする(TiO上に20重量%のSiO)。
次いでシリカをコートしたTiOナノ粒子を含有するナノチタニアゾルは、最初にゾルを水と接触させて可溶性塩を除去することによりクロスフロー濾過法にかけ、次いでクロスフロー濾過法をゾルがゾルの総重量に基づき30重量%より多いコートTiOナノ粒子を含むまで続行する。
【0055】
予想実施例B. 予想実施例Aで生成した濃縮水性ナノチタニアゾルのサンプルを、以下の成分を含むサンスクリーン組成物に調製する。
【0056】
【表1】

【0057】
上に開示した主題は具体的説明と考えられ、限定的であるとは考えられず、そして添付する特許請求の範囲は、すべてのそのような修飾、強化および他の態様を網羅し、これらは本発明の真の範囲に入るものである。このように法律により認められる最大範囲まで、本発明の範囲は以下の請求の範囲および等価物の最も広く解釈できる範囲により定められ、そして前述の詳細な記載により制限または限定されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃縮ナノチタニアゾルの製法であって:
(a)酸性ナノチタニアゾルを、水溶性カルボン酸、カルボン酸の水溶性塩、水溶性ポリカルボン酸、リン酸塩または珪酸塩の少なくとも1種を含んでなる分散剤、およびアルカリ化剤と接触させ、ここで接触後のナノチタニアゾルのpHは約4.0から約10.0の間の範囲であり;そして
(b)pHを調整したナノチタニアゾルを膜濾過法に供し、そしてその膜濾過法をナノチタニアゾルが300gのTiOナノ粒子/dmより多くを含むまで続行する、
ことを含んでなる上記製法。
【請求項2】
ナノチタニアゾルが500gのTiOナノ粒子/dmより多くを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
膜濾過法がクロスフロー濾過法または振動を含むクロスフロー濾過法である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
提供される酸性ナノチタニアゾルが、強力な一塩基酸と接触したチタニア水和物の実質的に硫酸イオンを含まない水性懸濁液から製造される請求項1、2または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
水溶性カルボン酸がa−ヒドロキシカルボン酸またはβ−ヒドロキシカルボン酸であり、そして水溶性ポリカルボン酸がジカルボン酸またはトリカルボン酸である請求項1もしくは2、または請求項3もしくは4に記載の方法。
【請求項6】
水溶性カルボン酸がクエン酸である請求項1もしくは2、または請求項3ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ナノチタニアゾルが、150nm未満の粒子サイズを有するアナターゼTiOナノ粒子から本質的になる請求項1もしくは2または請求項3ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
TiOナノ粒子が100nm未満の粒子サイズを有する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アルカリ化剤が水溶性アルカノールアミンまたは水酸化コリンである請求項1もしくは2または請求項3ないし8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
pHを調整したナノチタニアゾルを、工程(b)の間にナノチタニアゾルの伝導性を10mS/cm未満に下げるために十分な時間、洗浄剤と接触させる請求項1もしくは2、または請求項3ないし9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
請求項1もしくは2、または請求項3ないし10のいずれかに記載の方法に従い製造された濃縮水性ナノチタニアゾル。
【請求項12】
ナノチタニアゾルが、工程(b)の前または工程(b)の間のいずれかで、pH調整ナノチタニアゾルを洗浄剤と接触させて可溶性の塩をナノチタニアゾルから除去した後、しかしナノチタニアゾルを濃縮する前に、コーティング処理に供される請求項1ないし10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
コーティング処理が、コーティング処理中にナノチタニアゾルをアルカリコーティング剤およびカチオン交換樹脂と、ナノチタニアゾルのpHが約4.0から約10.0の範囲
に留まる速度で接触させることを含んでなる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
コーティング処理が、コーティング処理中にナノチタニアゾルを酸性コーティング剤およびアニオン交換樹脂と、ナノチタニアゾルのpHが約4.0から約10.0の範囲に留まる速度で接触させることを含んでなる請求項12に記載の方法。
【請求項15】
アルカリコーティング剤が珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、アルミン酸ナトリウムまたはそれらの混合物を含んでなる請求項13に記載の方法。
【請求項16】
酸性コーティング剤が塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムまたはそれらの混合物を含んでなる請求項14に記載の方法。
【請求項17】
請求項12ないし16のいずれか1項に記載の方法に従い製造された濃縮水性ナノチタニアゾル。
【請求項18】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法に従い製造された濃縮水性ナノチタニアゾルを含んでなる触媒組成物。
【請求項19】
UV照射から支持体の表面を保護する方法であって、請求項12ないし16のいずれか1項に記載の方法に従い製造された濃縮水性ナノチタニアゾルを、場合により結合媒質の存在下で支持体の表面に適用して支持体の表面上に保護コーティングを形成することを含んでなる上記方法。
【請求項20】
表面と接触する混入物または汚染物を分解または不活性化する方法であって、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法に従い製造された濃縮水性ナノチタニアゾルを含んでなる触媒組成物を表面に適用し、そして混入物または汚染物が表面に接触している間に表面にUV/可視光の照射を受けさせることを含んでなる上記方法。
【請求項21】
請求項1ないし10または12ないし16のいずれか1項に記載の方法に従い製造された濃縮水性ナノチタニアゾルを含んでなるコーティングまたは製品。
【請求項22】
濃縮ナノチタニアゾルを製造する方法であって:
(a)酸性ナノチタニアゾルを準備し;
(b)酸性ナノチタニアゾルを、水溶性カルボン酸、カルボン酸の水溶性塩、水溶性ポリカルボン酸、リン酸塩または珪酸塩の少なくとも1種を含んでなる分散剤、およびアルカリ化剤と接触させ、ここで接触後のナノチタニアゾルのpHは約4.0から約10.0の範囲であり;そして
(c)pHを調整したナノチタニアゾルを膜濾過法に供し、そしてその膜濾過法をナノチタニアゾルが300gのTiOナノ粒子/dmより多くを含むまで続行する、
ことを含んでなる上記製法。

【公表番号】特表2013−505187(P2013−505187A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529341(P2012−529341)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051515
【国際公開番号】WO2011/033286
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(510286008)テイオキサイド・ユーロプ・リミテツド (6)
【Fターム(参考)】