説明

安定な固形製剤

【課題】プロトンポンプインヒビター(PPI)として有用な酸に不安定であるのみならず水などにも不安定な非晶形のベンズイミダゾール系化合物を含有する安定な医薬用固形製剤の提供。
【解決手段】ベンズイミダゾール系化合物の光学活性体が、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾールまたはパントプラゾールであり、その無毒性塩基が、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上の塩基性無機塩であり、1%水溶液または1%水懸濁液のpHが25℃で8.0以上を示す無機塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロトンポンプインヒビター(PPI)として有用な酸に不安定であるのみならず水などにも不安定な非晶形のベンズイミダゾール系化合物を含有する安定な医薬用固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール等のベンズイミダゾール(ベンツイミダゾールともいう)系化合物(以下、本明細書ではベンズイミダゾール系化合物と称する)は、胃酸分泌抑制作用や胃粘膜防御作用等のプロトンポンプインヒビター(以下、「PPI」と略す)作用を有していることから消化性潰瘍治療剤等として、広く使用されている。
しかし、これらの化合物、特に非晶形のベンズイミダゾール系化合物の安定性は悪く、固体状態では温度、湿度、光に対してのみならず、水に対しても不安定で変色等著しい。特に、酸に対して非常に不安定であり、水溶液あるいは懸濁液では、pHが低くなるに従って、極めて不安定となる。
また、製剤すなわち、錠剤、散剤、細粒剤、カプセル剤等での安定性は、化合物単独以上に製剤処方中の他成分との相互作用が強いため不安定となり、製造時および保存時に着色変化あるいは分解が観察される。これらを安定化するために、例えば、特許文献1ではマグネシウムおよび/またはカルシウムの塩基性無機塩からなる安定化剤を配合した後、腸溶性の被覆を施した腸溶性顆粒剤あるいは腸溶性細粒剤等が開示されている。
PPI作用を持つベンズイミダゾール系化合物は一般に水に溶けにくい特性を有し、酸に不安定であることから腸溶性被膜を施す必要がある。腸溶性被膜はpHが低く、水分が比較的多い胃では溶解せず、水分の少なく、pHの高い小腸で溶けて、ベンズイミダゾール系化合物が溶解し吸収されることを期待して施される。しかしながら、酸に不安定であるのみならず、空気中の水分などに対しても安定性の悪い非晶形のベンズイミダゾール系化合物を含有する製剤の安定化について具体的に検討した文献は知られていない。
また、特許文献2や特許文献3には腸溶性被覆処理を施さないオメプラゾール、あるいはランソプラゾールと重炭酸塩のアルカリ金属塩とを組み合わせてなる溶液、懸濁液、錠剤、カプセル剤等が開示されている。
しかし、これらは重炭酸塩を組み合わせた製剤であるため、胃内の酸と反応し、炭酸ガスを発生するため、ゲップの原因となり、コンプライアンス上好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−277322号公報
【特許文献2】米国特許第5,840,737号明細書
【特許文献3】国際公開第00/26185号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、プロトンポンプインヒビター(PPI)作用を有する不安定な非晶形のベンズイミダゾール系化合物を含有する安定な医薬用固形製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)無毒性塩基とプロトンポンプインヒビター(PPI)作用をもつ非晶形のベンズイミダゾール系化合物とを含有する安定な固形製剤、
(2)ベンズイミダゾール系化合物が光学活性体である上記(1)記載の固形製剤、
(3)ベンズイミダゾール系化合物の光学活性体が式(I):
【化1】

〔式中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアラルキル基、アシル基またはアシルオキシ基、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいアミノ基、およびYは窒素原子またはCHを示し、*は不斉中心を示す〕で表される化合物またはその塩である上記(2)記載の固形製剤、
(4)ベンズイミダゾール系化合物の光学活性体が、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾールまたはパントプラゾールの光学活性体である上記(2)記載の固形製剤、
(5)ベンズイミダゾール系化合物の光学活性体が、ランソプラゾールの光学活性体である上記(2)記載の固形製剤、
(6)ランソプラゾールの光学活性体が、R体である上記(5)記載の固形製剤、
(7)ランソプラゾールの光学活性体が、S体である上記(5)記載の固形製剤、
(8)無毒性塩基が、その1%水溶液または1%水懸濁液のpHが25℃で8.0以上を示す無機塩である上記(1)記載の固形製剤、
(9)無毒性塩基が、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上の塩基性無機塩である上記(1)記載の固形製剤、
(10)被覆層を有する上記(1)記載の固形製剤、
(11)被覆層が、腸溶性被膜層を含む上記(10)記載の固形製剤、
(12)被覆層が、放出制御被膜層を含む上記(10)記載の固形製剤、
(13)被覆層が、非晶形ベンズイミダゾール系化合物を含有する層上に形成された中間被覆層と該中間被覆層上に形成された放出制御被膜層および/または腸溶性被膜層を含む上記(10)記載の固形製剤、
(14)無毒性塩基が、金属酸化物から選ばれる少なくとも1種と金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種とを含有する上記(1)記載の固形製剤、
(15)胃崩壊性である上記(14)記載の固形製剤、
(16)酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲルおよびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含有する上記(14)記載の固形製剤、
(17)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムの共沈物、水酸化アルミニウムと炭酸マグネシウムと炭酸カルシウムの共沈物および水酸化アルミニウムと炭酸水素ナトリウムの共沈物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属水酸化物を含有する上記(14)記載の固形製剤、
(18)さらにアルカリ土類金属の炭酸塩を含有する塩基性無機塩安定化剤を含有する上記(14)記載の固形製剤、
(19)非晶形のランソプラゾール光学活性R体と炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の塩基性無機塩とを含有する層と、該層上に形成された中間被覆層と、該中間被覆層上に形成された腸溶性被覆層とを含む安定化された固形製剤、
(20)塩基性無機塩が、炭酸マグネシウムまたは炭酸カルシウムである上記(19)記載の固形製剤、
(21)酸素透過を抑制した包装、ガス置換包装、真空包装および脱酸素剤封入包装からなる群から選択される包装形態にすることを特徴とする非晶形のPPI作用をもつベンズイミダゾール系化合物を含有する安定な固形製剤の製造方法、
(22)無毒性塩基を配合する上記(21)記載の製造方法、
(23)ランソプラゾール光学活性体(R体)の含水結晶を約20〜約100℃に保持することを特徴とする非晶形ランソプラゾール光学活性体の製造法、
(24)約40〜約80℃に加熱することを特徴とする上記(23)記載の非晶形ランソプラゾール光学活性体の製造法、
(25)ランソプラゾール光学活性体(R体)の0.5乃至1.5水和物結晶を約50〜約70℃に加熱する上記(23)記載の製造法、および
(26)温度の保持を減圧下または通風下に行う上記(23)記載の製造法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、プロトンポンプインヒビター作用を有する非常に不安定な非晶形のベンズイミダゾール系化合物にマグネシウム、カルシウム、ナトリウム等の塩基性無機塩で代表されるような無毒性塩基を配合することにより、またより好ましくは、さらに活性成分含有層上に中間被覆層を設け、これを腸溶性被膜層や放出制御被膜層で被覆することにより安定な固形製剤を得ることができる。
また、本発明により、いったん結晶化されたPPIとして有用なベンズイミダゾール系化合物の非晶形、とりわけ光学活性体の非晶形、たとえば非晶形のランソプラゾールR体、を得るための新規製造法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ランソプラゾールR体無水物結晶の粉末X線チャートである。
【図2】製造実施例1の非晶形を示す粉末X線回折チャートである。
【図3】参考例1のランソプラゾールR体・0.5水和物を示す粉末X線チャートである。
【図4】参考例2のランソプラゾールR体・1.5水和物を示す粉末X線チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る固形製剤は、不安定な、特に酸に対して非常に不安定な上記式(I)で表される、PPI作用を有する非晶形のベンズイミダゾール系化合物に無毒性塩基、好ましくは塩基性無機塩を配合することにより、またさらにはこれらの活性成分を含む核粒子上に腸溶性被膜や放出制御被膜を設けることにより、さらに必要に応じこれらの被膜と核粒子との直接の接触を断つための中間膜を設けることによって不安定な活性成分の安定化が図られた固形製剤である。ここで、本明細書において「腸溶性被膜」とは通常のpHが約5.5で溶解する被膜をいい、「放出制御被膜」とは通常の腸溶性被膜は含まず、通常の腸溶性被膜とは異なるpH領域において溶解するpH依存性被膜または膜自体は溶解しないが膜に生じた細孔を通じて活性成分を放出する拡散制御膜をいうものとする。
本発明で用いられるPPI作用を有するベンズイミダゾール系化合物としては、下記式(I’)で表される化合物もしくはその光学活性体またはその塩が好ましい。
【化2】

式中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアラルキル基、アシル基またはアシルオキシ基、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいアミノ基、およびYは窒素原子またはCHを示す。
とりわけ、上記式(I)で表される光学活性体またはその塩が、医薬として好ましい。これら化合物は非晶形では上述のように不安定で、単独では、分解や変色が顕著であるが、意外にも製剤化することにより安定化され、医薬として有用であることが見出された。
【0009】
好ましい化合物は、上記式(I')および(I)において、環Aが、ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1-4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1-4アルコキシ基および5または6員複素環基から選ばれた置換基を有していてもよいベンゼン環であり、Rが水素原子であり、RがC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基またはジ−C1−6アルキルアミノ基であり、Rが水素原子、C1−6アルコキシ−C1‐6アルコキシ基またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基であり、Rが水素原子またはC1−6アルキル基であり、Yが窒素原子である化合物またはその塩である。
【0010】
特に好ましくは、式(Ia):
【化3】

〔式中、Rは水素原子、RはC1−3アルキル基またはC1−3アルコキシ基、Rはハロゲン化されているかまたはC1−3アルコキシ基で置換されていてもよいC1−3アルコキシ基、Rは水素原子またはC1−3アルキル基、Rは、水素原子、ハロゲン化されていてもよいC1−3アルコキシ基またはピロリル基(例えば、1‐,2−または3−ピロリル基)を示す〕で表される化合物もしくはその光学活性体またはその塩である。
式(Ia)において、Rが水素原子、RがC1−3アルキル基、Rがハロゲン化されていてもよいC1−3アルコキシ基、Rが水素原子、Rが水素原子またはハロゲン化されていてもよいC1−3アルコキシ基である化合物もしくはその光学活性体またはその塩が特に好ましい。
【0011】
上記式(I’)で表される化合物〔以下、化合物(I’)と称する;化合物(I’)は、式(I)や式(Ia)で表される化合物およびその光学活性体、即ち、化合物(I)、化合物(Ia)およびその光学活性体を含み、以下まとめて化合物(I’)と称する〕中、環Aで示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」の「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシ基、アシル基、アシルオキシ基、5ないし10員複素環基などが挙げられ、これらの置換基はベンゼン環に1ないし3個程度置換していてもよい。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。これらの置換基のうち、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基などが好ましい。
【0012】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子などが挙げられる。なかでもフッ素が好ましい。
「置換基を有していてもよいアルキル基」の「アルキル基」としては、例えば、C1−7アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec‐ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル基など)が挙げられる。「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル基等)、カルバモイル基などで例示でき、これらの置換基の数は1ないし3個程度であってもよい。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
「置換基を有していてもよいアルコキシ基」の「アルコキシ基」としては、例えば、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ等)などが挙げられる。「置換基を有していてもよいアルコキシ基」の「置換基」としては、上記「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」と同様のものが例示でき、置換基の置換数も同様である。
「アリール基」としては、例えば、C6−14アリール基(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニル、2−アンスリル基等)などが挙げられる。
「アリールオキシ基」としては、例えば、C6−14アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ基等)などが挙げられる。
「アシル基」としては、例えば、ホルミル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキルカルバモイル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル基などが挙げられる。
「アルキルカルボニル基」としては、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル基等)などが挙げられる。
「アルコキシカルボニル基」としては、例えば、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル基等)などが挙げられる。
「アルキルカルバモイル基」としては、N−C1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル基等)、N,N−ジC1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル基等)などが挙げられる。
「アルキルスルフィニル基」としては、例えば、C1−7アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル基等)が挙げられる。
「アルキルスルホニル基」としては、例えば、C1−7アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル基等)が挙げられる。
「アシルオキシ基」としては、例えば、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルキルカルバモイルオキシ基、アルキルスルフィニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基などが挙げられる。
「アルキルカルボニルオキシ基」としては、C1−6アルキル−カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ基等)などが挙げられる。
「アルコキシカルボニルオキシ基」としては、例えばC1−6アルコキシ−カルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ基等)などが挙げられる。
「アルキルカルバモイルオキシ基」としては、C1−6アルキル−カルバモイルオキシ基(例えば、メチルカルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ基等)などが挙げられる。
「アルキルスルフィニルオキシ基」としては、例えばC1−7アルキルスルフィニルオキシ基(例えば、メチルスルフィニルオキシ、エチルスルフィニルオキシ、プロピルスルフィニルオキシ、イソプロピルスルフィニルオキシ基等)が挙げられる。
「アルキルスルホニルオキシ基」としては、例えばC1−7アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ、プロピルスルホニルオキシ、イソプロピルスルホニルオキシ基等)が挙げられる。
「5ないし10員複素環基」としては、例えば、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1個以上(例えば、1〜3個)を含む5ないし10員(好ましくは5または6員)複素環基が挙げられ、具体例としては、2−または3‐チエニル基、2−、3−または4‐ピリジル基、2−または3‐フリル基、1‐、2−または3−ピロリル基、2−、3‐、4‐、5−または8−キノリル基、1‐、3‐、4−または5−イソキノリル基、1‐、2−または3−インドリル基などが挙げられる。このうち好ましくは1‐、2−または3−ピロリル基などの5または6員複素環基である。
好ましくは環Aは、ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ基および5または6員複素環基から選ばれる置換基を1または2個有していてもよいベンゼン環である。
【0013】
で示される「置換基を有していてもよいアラルキル基」の「アラルキル基」としては、例えば、C7−16アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチルなどのC6−10アリールC1−6アルキル基等)などが挙げられる。「置換基を有していてもよいアラルキル基」の「置換基」としては、上記「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」と同様の置換基が例示でき、置換基の数は1ないし4個程度である。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
で示される「アシル基」としては、例えば、上記環Aの置換基として記載した「アシル基」が挙げられる。
で示される「アシルオキシ基」としては、例えば、上記環Aの置換基として記載した「アシルオキシ基」が挙げられる。
好ましいRは水素原子である。
【0014】
、RまたはRで示される「置換基を有していてもよいアルキル基」としては、上記環Aの置換基として記載した「置換基を有していてもよいアルキル基」が挙げられる。
、RまたはRで示される「置換基を有していてもよいアルコキシ基」としては、上記環Aの置換基として記載した「置換基を有していてもよいアルコキシ基」が挙げられる。
、RまたはRで示される「置換基を有してもよいアミノ基」としては、例えば、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ等)、モノ−C6−14アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、1−ナフチルアミノ、2−ナフチルアミノ等)、ジーC1−6アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等)、ジ−C6−14アリールアミノ基(例えば、ジフェニルアミノ等)などが挙げられる。
好ましいRは、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基である。さらに好ましいRはC1−3アルキル基またはC1−3アルコキシ基である。
好ましいRは、水素原子、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基である。さらに好ましいRはハロゲン化されているかまたはC1−3アルコキシ基で置換されていてもよいC1−3アルコキシ基である。
好ましいRは、水素原子またはC1−6アルキル基である。さらに好ましいRは水素原子またはC1−3アルキル基(特に水素原子)である。
好ましいYは窒素原子である。
【0015】
化合物(I’)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール、2−[[(3,5−ジメチルー4−メトキシ−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]‐5‐メトキシ−1H−ベンズイミダゾール、2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩、5−ジフルオロメトキシ−2−[[(3,4−ジメトキシ−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールおよびその光学活性体など。
これらの化合物のうち、特にランソプラゾールすなわち2−[[[3‐メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールおよびその光学活性体が好ましい。
なお、上記化合物(I’)は、ラセミ体であってもよく、上記式(I)で示されるR−体、S−体などの光学活性体であってもよい。例えば、(R)−2−[[[3‐メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(以下、ランソプラゾールR体と称することがある)および(S)−2−[[[3‐メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(以下、ランソプラゾールS体と称することがある)などの光学活性体が好ましく、特に光学活性R体のものが本発明に好適である。尚、ランソプラゾール、ランソプラゾールR体およびランソプラゾールS体等は、製剤化すること自体で安定化されることに加え、無毒性塩、好ましくは塩基性無機塩を配合し、さらに中間被膜層を設けることにより、より安定化されるので非晶形のものを用いることができるが、結晶形のものが混在していてもよい。本願発明において、非晶形のベンズイミダゾール系化合物とは、非晶体が、結晶形より多く、通常全体の60%程度以上含有するベンズイミダゾール系化合物をいう。
【0016】
化合物(I’)の塩としては、薬学的に許容される塩が好ましく、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、塩基性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、アルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミンなど)、複素環式アミン(ピリジン、ピコリンなど)、アルカノールアミン(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
これらの塩のうち好ましくは、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である。とりわけナトリウム塩が好ましい。
【0017】
化合物(I’)及びその塩は、自体公知の方法により製造でき、例えば、特開昭61‐50978号、米国特許4,628,098、特開平10‐195068号、WO 98/21201、特開昭52−62275号、特開昭54−141783号等に記載の方法またはこれらに準じた方法により製造される。なお、光学活性な化合物(I)またはその塩は、光学分割法(分別再結晶法、キラルカラム法、ジアステレオマー法、微生物または酵素を用いる方法など)、不斉酸化などの方法で得ることができる。また、ランソプラゾールR体は、例えばWO 00−78745、WO 01/83473、WO 02/44167等に記載の製造法などに従い製造することができる。ランソプラゾールS体は、WO 01/02389に記載の方法に従って製造することもできる。また、非晶形のランソプラゾールまたはその光学活性体は、ランソプラゾールまたはその光学活性体の含水結晶(好ましくはランソプラゾールの水和物、さらに好ましくはランソプラゾール・0.5水和物あるいはランソプラゾール・1.5水和物)を約20〜約100℃(好ましくは約40〜約80℃、さらに好ましくは約50〜約70℃)に保存乃至加熱することにより製造することができる。なお、加熱時に乾燥を兼ね、減圧にしても、通風しても、あるいは単に加熱するだけでも良い。
【0018】
本発明で用いられるPPI作用を持つベンズイミダゾール系化合物(以下PPIと略称することがある)の配合量は、活性成分の種類、投与量にもより異なるが、腸崩壊性製剤の場合、本発明の固形製剤全量に対して約1重量%〜100重量%、好ましくは約5重量%〜50重量%である。本発明によれば、活性成分を高含量で配合された製剤も可能で、このような高含量で配合された製剤の場合、約12重量%〜約40重量%、好ましくは約12重量%〜約20重量%、さらに好ましくは約14重量%〜約20重量%PPIを配合してもよい。PPI作用をもつベンズイミダゾール系化合物が、ランソプラゾールやその光学活性体の場合、約14重量%〜約20重量%の高含量が可能である。胃崩壊性製剤の場合は、本発明の固形製剤1重量部に対して0.001〜0.3重量部、好ましくは0.002〜0.2重量部である。
【0019】
本発明で用いられる無毒性塩基としては、塩基性無機塩や有機塩基を挙げることができる。無毒性塩基は、その1%水溶液または懸濁液のpHが塩基性(pH7以上)を示すものであればよいが、25℃でpHが8.0以上を示すものが好ましい。とりわけこのような塩基性を示す無機塩が好ましい。このような塩基性無機塩の好ましい例としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウムの塩基性無機塩が挙げられる。好ましくはマグネシウムまたはカルシウムの塩基性無機塩が挙げられる。
ナトリウムの塩基性無機塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトルム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
カリウムの塩基性無機塩としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
マグネシウムの塩基性無機塩としては、例えば、重質炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト[Mg6Al2(OH)16・CO3・4H2O]及び水酸化アルミナ・マグネシウム[2.5MgO・Al2O3・xH2O]、好ましくは、重質炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
カルシウムの塩基性無機塩としては、沈降炭酸カルシウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。
塩基性無機塩としてより好ましくは、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
塩基性無機塩は、1種または2種以上を組み合わせて配合してもよい。
有機塩基としては、例えば、アルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミンなど)、複素環式アミン(ピリジン、ピコリンなど)、アルカノールアミン(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンおよび塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン、オルニチンなど)等が挙げられる。
【0020】
塩基性無機塩を配合する場合の配合量は、腸崩壊性製剤の場合、PPI1重量部に対して、約0.1〜約20重量部、好ましくは約0.2〜約10重量部、好ましくは約0.2〜約7重量部配合させるとよい。上記したPPIを高含量配合された製剤においては、約0.2〜7重量%、好ましくは約0.2〜3重量%、さらに好ましくは、約0.2〜1重量%の配合が可能である。とりわけ、PPIがランソプラゾールまたはその光学活性体の高含量製剤の時は、PPI1重量部に対し約0.2〜約1重量部、好ましくは約0.2〜約0.4重量部の塩基性無機塩(好ましくは、マグネシウム、カルシウムの塩基性無機塩、さらに好ましくは、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム)を配合するのが好ましい。下記配合試験に示されるように、単独では極めて不安定な非晶形ベンズイミダゾール系化合物も、塩基、とりわけ塩基性無機塩、さらに好ましくは炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等を共存させ、必要により他の医薬製剤に用いられる賦形剤などとともに顆粒などの固形製剤にすれば意外にも分解や変色が抑えられ医薬として用いられることが見出された。特にランソプラゾールまたはその光学活性体の高含量製剤の時は、マグネシウム、カルシウムの塩基性無機塩、さらに好ましくは、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムを配合するのが好ましい。
【0021】
胃崩壊性製剤の場合、活性成分の実質的な部分が胃酸に曝されて不安定化するのを防ぐために、胃内における固形製剤の崩壊と共に、好ましくは、活性成分の溶出に先立ち、速やかに溶出して胃酸を中和する量で配合される。個々の塩基性無機塩の胃酸中和能力にもよるが、通常、酸に不安定な活性成分1重量部に対して、塩基性無機塩(好ましくは、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムまたは酸化マグネシウムと水酸化マグネシウムの併用)を約0.05〜2000重量部、好ましくは、約0.1〜1000重量部、さらに好ましくは、約0.1〜800重量部配合される。例えば、ベンズイミダゾール系化合物1重量部に対し0.1〜1500重量部、好ましくは0.5〜800重量部、さらに好ましくは0.1〜400重量部配合される。活性成分がベンズイミダゾール系化合物の場合、投薬開始と共に、通常、胃中のpHが上がっていくが、好ましくは、通常のpH範囲の胃において、投与後約60分以内、さらに好ましくは約40以内に、pHを4以上に上昇させる量で配合される。
【0022】
PPI作用をもつベンズイミダゾール系化合物は水に溶けにくい特性を有し、酸に不安定であることから腸溶性被膜を施し、腸溶性製剤とすることが好ましい。腸溶性被膜はpHが低く、水分が比較的多い胃では溶解せず、水分の少なく、高いpHの小腸で腸溶性被膜が溶けて、ベンズイミダゾール系化合物が溶解し吸収される。すなわち、ベンズイミダゾール系化合物を含有する組成物は小腸で速やかに崩壊することが必要であるため、表面積が大きく、速やかに崩壊または溶解しやすい顆粒ないし細粒が望ましい。所望により、このような顆粒ないし細粒を錠剤化してもよく又カプセルに充填しカプセル剤にしてもよい。
より好ましい態様として、ランソプラゾール、ランソプラゾールR体およびランソプラゾールS体で代表されるPPI作用を持つベンズイミダゾール系化合物の配合量は、化合物や剤形に応じ適宜変更されるが、例えば単位投与量が40mg〜90mg,好ましくは40mg〜60mgの1日一回投与の製剤にする場合に適した高含量製剤にするには、「顆粒全量に対し約12重量%〜約40重量%のPPI作用を持つベンズイミダゾール系化合物を含有し、安定化剤として塩基性無機塩を配合した平均粒子径が約600μm以上の顆粒」にするのが好ましい。粒子径が小さい場合には、表面積が大きくなり、腸溶性被膜を大量に被膜する必要があるため、ベンズイミダゾール系化合物の高濃度化が難しくなる。すなわち、粒子径を少なくとも約600μm以上にして、腸溶性被膜の量を減らすことにより、高濃度化された製剤にすることが可能である。このような高含量製剤にするには、平均粒子径は約600〜約2500μmの顆粒にするのが好適である。より好ましい平均粒子径は約1000〜約2000μmである。顆粒としては、約400〜約3000μmの粒子径の粒子、好ましくは約500〜約2500μmの粒子径の粒子を含んでいてもよいが、全体の平均粒子径として前記範囲の顆粒であればよい。
粒子径の測定は、ふるい分け法(粉体−理論と応用−、475頁、昭和54年、丸善)を用い、平均粒子径は該当する篩の目開きの平均値と重量分布を基に算出する。すなわち、平均値と各重量との積を基に算術平均をする。
【0023】
本発明において、固形製剤を上記のような顆粒で得るには、公知の造粒法により製造することができる。例えば、転動造粒法(例、遠心転動造粒法)、流動造粒法、攪拌造粒法(例、転動流動造粒法)などが挙げられる。このうち、転動造粒法、攪拌造粒法(転動流動造粒法が好ましい。
転動造粒法の具体例としては、例えばフロイント社製のCF装置などが挙げられる。転動流動造粒法の具体例としては、例えばフロイント社製のスパイラルフロー、パウレック社製のマルチプレックス、不二パウダル社製のニューマルメなどを用いる方法が挙げられる。結合液の噴霧方法は造粒装置の種類に応じて適当に選択でき、例えば、トップスプレー方式、ボトムスプレー方式、タンジェンシャルスプレー方式などいずれであってもよい。
【0024】
腸崩壊性製剤の場合、本発明の顆粒は、主薬を含有する主薬層と、該主薬層上に形成された中間被覆層と、該中間被覆層上に腸溶性被膜層や放出制御被膜層を有する顆粒にするのが好ましい。
本発明における顆粒は、より真球度が高く、粒度分布の狭い顆粒を得るため、ショ糖、でんぷん、乳糖及び結晶セルロースの中から選ばれた一種以上からなる核粒子に、ベンズイミダゾール化合物を被覆して主薬層を形成するのが好ましい。例えば、特開昭63−301816号に記載の方法により有核顆粒を製造してもよい。糖核にヒドロキシプロピルセルロース等の結合液を噴霧しながら、抗潰瘍性作用を有するベンズイミダゾール系化合物、塩基性金属塩、賦形剤、崩壊剤等を含む粉状散布剤を被覆する方法により得られる。該核顆粒としては、例えば、ショ糖(75重量部)をトウモロコシデンプン(25重量部)で自体公知の方法により被覆したノンパレル(Nonpareil)および結晶セルロースを用いた球形核顆粒等が挙げられ、また、核顆粒自体が主薬となる上記した主薬成分であってもよい。該核顆粒の平均粒度としては、一般に14〜80メッシュである。
核としては、ショ糖及びでんぷんの球形造粒品、結晶セルロースの球形造粒品、結晶セルロースおよび乳糖の球形造粒品などが挙げられる。
核は被覆のバラツキを小さくするためには、できる限り均一な球状であることが望ましい。
核に対する被覆層の割合は、ベンズイミダゾール系化合物の溶出性および顆粒の粒度を制御できる範囲で選択でき、例えば、核1重量部に対して、通常、約0.2重量部〜約5重量部、好ましくは約0.1重量部〜約5重量部である。
【0025】
主薬層を被覆する被覆層は、複数の層で形成されていてもよい。複数の被覆層は、薬物を含まない中間被覆層や腸溶性被膜層に加え、放出制御被膜層、下掛け用の被覆層など種々の被覆層を含んでいてよく、それら被覆層の組み合わせは適宜選択されうる。
非晶形のPPI作用をもつベンズイミダゾール系化合物は、特に不安定であるため腸溶性被覆顆粒にする場合、腸溶性被膜層成分は酸性物質であることから、非晶形のベンズイミダゾール化合物等を含有する主薬層と腸溶性被膜層の間に中間被覆層を設けて両層の直接の接触を遮断することが、薬剤の安定性の向上を図る上でより好ましい。また、放出制御被膜層を設ける場合も、非晶形化合物の不安定性に鑑み、あらかじめ中間被覆層を設けることが好ましい。
このような中間被覆層としては、主薬であるベンズイミダゾール化合物と腸溶性被膜層の接触を阻める被覆層であればよく、このような目的を達成する限り、被覆層の量や材質は限定されない。例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、TC-5等)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどの高分子基剤に、ショ糖〔精製白糖(粉砕したもの(粉糖)や粉砕しないもの)等〕、コーンスターチなどの澱粉糖、乳糖、蜂蜜及び糖アルコール(D−マンニトール,エリスリトールなど)等の糖類を適宜配合した層などが挙げられる。中間被覆層には、この外にも下記する製剤化を行うため必要により添加される賦形剤(例、隠蔽剤(酸化チタン等)、静電気防止剤(酸化チタン、タルク等))を適宜加えてよい。
中間被覆層の被覆量は、例えばベンズイミダゾール系化合物を含有する顆粒1重量部に対して、通常、約0.02重量部〜約1.5重量部、好ましくは約0.05〜約1重量部である。被覆は常法によって行える。例えば,これらの中間層被覆層成分を精製水などで希釈し、液状として散布して被覆するのが好ましい。その際、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤を噴霧しながら行うのが好ましい。
【0026】
本発明における顆粒を被覆する「腸溶性被膜層」は、pH5.5程度で溶解して薬物の放出を開始するが、このような腸溶性被膜層を形成する物質としては、例えば、セルロースアセテ−トフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−スフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸共重合体、カルボキシメチルエチルセルロース、セラックなど水系腸溶性高分子基剤、アクリル酸エチル・メタクリル酸共重合体などの徐放性基剤、水溶性高分子、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、アセチル化モノグリセリド、トリアセチン、ヒマシ油などの可塑剤が用いられる。これらは一種または二種以上混合して使用してもよい。
腸溶性被膜層としては、腸溶性高分子基剤であり、好ましくは水系腸溶性メタクリル酸共重合体である。
腸溶性被膜層の被覆量は腸溶性被膜を施す前の顆粒全量に対して約10重量%〜約70重量%、好ましくは約10重量%〜約50重量%であり、より好ましくは約15重量%〜約30重量%である。
【0027】
本発明における固形製剤、とりわけ顆粒において「放出制御被膜層」を形成して、薬効の持続性製剤にしてもよい。このような「放出制御被膜層」としては、通常の腸溶性被膜とは異なるpH領域(例えば、pH6以上、好ましくは6.5以上)で溶解し、すなわちpH依存的に薬物を放出する被膜や被膜自体は溶解しないが、被膜に生じた細孔を通じて薬物の放出を制御する拡散制御膜などが挙げられる。ここで、「pH依存的」とは、一定のpH以上の環境で活性成分を放出することをいう。
このような医薬活性成分の放出をpH依存的に制御するための放出制御被膜用物質としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HP-55, HP-50、信越化学(株)製)、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC、フロイント産業(株)製)、メタアクリル酸メチルメタアクリレートコポリマー(オイドラギットL100、Rohm社製)、メタアクリル酸エチルアクリレートコポリマー(オイドラギットL100-55、オイドラギットL30D-55、Rohm社製)、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS 信越化学(株)製)、ポリビニルアセテートフタレート、シェラックなどが用いられる。これらは単独で、あるいは少なくとも2種以上のポリマーを組み合わせて、または少なくとも2種以上のポリマーを順次コーティングしてもよい。好ましくはpH>6.0以上、より好ましくはpH>6.5、さらに好ましくはpH6.75以上で溶解するように、コーティング物質を単独であるいは必要により組み合わせて用いるのが望ましい。さらにコーティングには必要に応じてポリエチレングリコール、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、トリアセチン、クエン酸トリエチルなどの可塑剤、安定化剤などを用いてもよい。コーティング物質の量は核粒子に対して5%−100%が望ましい。
また、拡散により活性成分の放出を制御する拡散制御膜は、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー(オイドラギットRS, RL、Rohm社製)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー(オイドラギットNE 30D Rohm社製)、エチルセルロースなどを、HPMC、HPC、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール6000、乳糖、マニトール、有機酸などの親水性ポア形成物質と一定の比率で混合した混合液を用いて顆粒をコーティングすることにより形成することができる。
【0028】
さらに製剤化を行うための賦形剤(例えば、ぶどう糖、果糖、乳糖、蔗糖、D−マンニトール、エリスリトール、マルチトール、トレハロース、ソルビトール、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、結晶セルロース、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなど)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、部分α化デンプン、α化デンプン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末、ゼラチンなど)、崩壊剤(例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチなど)、矯味剤(例えば、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウムなど)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート(ポリソルベート80など)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、香料(例えば、レモン油、オレンジ油、メントール、はっか油など)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコールなど)、着色剤(例えば、酸化チタン、食用黄色5号、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄など)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、L−システイン、亜硫酸ナトリウムなど)、隠蔽剤(例えば、酸化チタンなど)、静電気防止剤(例えば、タルク、酸化チタンなど)などの添加剤を用いることができる。
これらに用いられる原料の粒子径については特に制限がないが、製造性や服用性の観点から約500μm以下の粒子が好ましい。
【0029】
本発明の固形製剤としては、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、発泡剤または懸濁剤など用いることもできる。上述のようにカプセル剤や錠剤の場合、安定性向上などのため予め顆粒ないし細粒を調製し、これらを用いて錠剤ないしカプセル剤にしてもよい。
取り扱いの容易さ等の点からカプセル剤および錠剤が好ましい。カプセルとしては、ゼラチンカプセル、HPMCカプセルおよびプルランカプセル等を使用してもよい。カプセル剤として用いる場合は、服用が容易になるように、大きさを3号〜5号カプセルにすることが好ましい。例えば、非晶形のランソプラゾールまたはその光学活性体を含有する顆粒を充填したカプセル剤の場合、顆粒全量に対し約14重量%〜約20重量%のランソプラゾールまたはその光学活性体と、マグネシウムおよび/またはカルシウムの塩基性塩をランソプラゾールまたはその光学活性体1重量部に対し約0.2重量部〜約0.4重量部含有する主薬層に中間被覆層を施した上に腸溶性被膜層を被覆した平均粒径が約1000μm〜約2000μmの顆粒を充填したカプセル剤が好ましい。1カプセル当りランソプラゾールを30mg含有するカプセル剤としては、従来の製品が1号〜2号であったのに対し、本発明では3号〜5号の安定なカプセル剤が製造できる。さらには、前記顆粒を充填したランソプラゾール1カプセル当り15mg含有するカプセル剤の場合、4号〜5号のカプセルへ小型化することが可能である。また、ランソプラゾールR体などランソプラゾールの光学活性体を60mg含有するカプセル剤としても3号乃至1号カプセルが可能であり、また、40mg含有カプセル剤としては4号乃至2号カプセルが、30mg含有カプセル剤としては5号乃至3号カプセルが可能である。
【0030】
本発明の固形製剤において、主薬のPPI作用をもつベンズイミダゾール系化合物は優れた抗潰瘍作用、胃酸分泌抑制作用、粘膜保護作用、抗ヘリコバクター・ピロリ作用等を有し、また、毒性は低いので、医薬として有用である。この場合、本発明の顆粒は、哺乳動物(例えば、ヒト、サル、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなど)において、消化性潰瘍(例えば、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍等)、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger-Ellison)症候群、胃炎、逆流性食道炎、食道炎を伴わない胃食道逆流症(Symptomatic Gastroesophageal Reflux Disease (Symptomatic GERD))、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、胃癌(インターロイキン−1の遺伝子多形によるインターロイキン−1βの産生促進に伴う胃癌を含む)、胃MALTリンパ腫等の治療および予防、ヘリコバクター・ピロリ除菌、消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍および出血性胃炎による上部消化管出血の抑制、侵襲ストレス(手術後に集中管理を必要とする大手術や集中治療を必要とする脳血管障害、頭部外傷、多臓器不全、広範囲熱傷から起こるストレス)による上部消化管出血の抑制、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍の治療および予防;手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍の治療および予防などを目的として経口投与できる。ヘリコバクター・ピロリ除菌等のためには、本発明の顆粒やカプセル剤と他の活性成分(例えば、1ないし3種の活性成分)と併用してもよい。
【0031】
「他の活性成分」としては、例えば、抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質、イミダゾール系化合物、キノロン系化合物等の抗菌剤やビスマス塩が挙げられる。とりわけ、本発明の顆粒やカプセル剤と抗菌剤と組み合わせてなる医薬が好ましい。このうち、抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質、イミダゾール系化合物などの抗菌剤との併用が好ましい。「抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質」としては、例えば、ペニシリン系抗生物質(例えば、アモキシシリン、ベンジルペニシリン、ピペラシリン、メシリナムなど)、セフェム系抗生物質(例えば、セフィキシム、セファクロルなど)、マクロライド系抗生物質(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのエリスロマイシン系抗生物質)、テトラサイクリン系抗生物質(例えば、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ストレプトマイシンなど)、アミノグリコシド系抗生物質(例えば、ゲンタマイシン、アミカシンなど)、イミペネムなどが挙げられる。中でもペニシリン系抗生物質、マクロライド系抗生物質などが好ましい。
「イミダゾール系化合物」としては、例えば、メトロニダゾール、ミコナゾールなどが挙げられる。「ビスマス塩」としては、例えば、ビスマス酢酸塩、ビスマスクエン酸塩などが挙げられる。「キノロン系化合物」の抗菌剤も好ましく、例えば、オフロキサシン、シプロキサシンなどが挙げられる。とりわけ、ヘリコバクター・ピロリ除菌のためには、本発明の顆粒やカプセル剤と、ペニシリン系抗生物質(例えば、アモキシシリン等)および/またはエリスロマイシン系抗生物質(例えば、クラリスロマイシン等)とを併用して用いるのが好ましい。また、メトロニダゾールとの併用も好ましく、アモキシシリン、クラリスロマイシンおよびメトロニダゾールから選ばれる二剤と、イミダゾール系化合物、とりわけ、ランソプラゾールやランソプラゾールR体との三剤併用は優れたヘリコバクター・ピロリ除菌効果を示す。
例えば、ランソプラゾールの場合、従来結晶形のランソプラゾール15mg含有カプセル剤は3号カプセルに、また30mg含有カプセル剤は1号カプセルに充填されることが多かったが、本発明によれば、非晶形の主薬や製剤の安定性をそこなうことなく主薬以外の成分の量を低減できるので、15mg含有カプセル剤は4号乃至5号カプセルに、また30mg含有カプセル剤は3号乃至5号カプセルにそれぞれ小型化できる。
さらに60mg含有するカプセル剤においても、1号乃至3号カプセルの使用が可能である。
また、ランソプラゾールの光学活性体の場合も、30mg、40mgおよび60mg含有するカプセル剤用に、それぞれ、3号乃至5号カプセル、2号乃至4号カプセルおよび1号乃至3号カプセルを用いることができる。90mg含有するカプセル剤も1号乃至3号カプセルを用いることができる。
たとえば、非晶形のランソプラゾールまたはランソプラゾールR体を60mg含有するカプセル剤は、高濃度に活性成分を含有し、飲み易いため、とりわけゾリンジャー・エリソン症候群を含む酸過剰分泌症状の治療に好適である。
1日の投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、投与の時期、間隔、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、例えば、抗潰瘍剤として、成人(60kg)に対し、経口的に投与する場合、有効成分として約0.5〜1500mg/日、好ましくは約5〜150mg/日である。これらベンズイミダソール系化合物含有製剤は、1日1回または2〜3回に分けて投与してもよい。
【0032】
尚、本発明の固形製剤を保管時や輸送時等の安定性を向上させるために、包装形態においても安定化を施してもよい。例えば、酸素透過を抑制した包装、ガス置換包装(すなわち、酸素以外の気体で置換する包装)、真空包装および脱酸素剤封入包装等の包装形態を用いるなどにより、本発明の非晶形ベンズイミダゾール系化合物を含有する固形製剤の安定化の向上を図ることができる。このような包装形態にすることにより、固形製剤が直接接触する酸素量を低減することにより安定化が向上する。脱酸素剤を封入する場合は、酸素が透過する材料で医薬固形製剤を包装したのち、その包装品とともに新たな包装を施すことでもよい。
【0033】
本発明の主薬であるPPI作用を持つベンズイミダゾール系化合物としては、従来ラセミ体も光学活性体も、通常、結晶が用いられている。一般的に、PPI作用を持つベンズイミダゾール系化合物は結晶化しやすいため、化合物の発見当初は非晶質(非晶形、アモルファスと同義)で合成されていても、一度結晶化すると、その後は、非晶質として合成するのは困難である。とりわけ、ランソプラゾールR体は当初非晶形として合成されたが、その後結晶化に成功した(WO00/78745等)以降は非晶質を合成するのは困難となっていた。これは、一般的な事象であり、一旦結晶が取れれば、非晶形のものをこれまでと同じ方法で合成するのは、通常、容易ではない。すなわち無水ランソプラゾールR体はそのまま加熱しても非晶質とはならず、またランソプラゾールを含む溶液を濃縮した場合も、いったん結晶化されて以降現在では無水結晶もしくは水和物結晶が晶出するため、非晶質は従来の方法では合成できない。
しかしながら、結晶に比べて非晶質は溶解度が高い、あるいは吸収性が良いなどの利点があるため、非晶質のランソプラゾールの製造法を本発明者らが鋭意検討したところ、意外にも簡便に非晶質のランソプラゾールを製造する方法を見いだした。すなわちランソプラゾールR体の含水結晶(好ましくはランソプラゾールR体の水和物、さらに好ましくはランソプラゾール・0.5水和物あるいはランソプラゾールR体・1.5水和物)を約20〜約100℃に保持するか必要により加熱することにより製造できることが見出された。好ましくは乾燥下に、保持乃至加熱を行うのがよい。好ましくは約40〜約80℃、さらに好ましくは約50〜約70℃に加熱することによりランソプラゾールR体非晶体は製造できる。なお、加熱する際には、乾燥を兼ね減圧にしてもよい。また通風下加熱してもよい。あるいは単に加熱するだけでも良い。
以下、実施例および試験例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0034】
(製造実施例1)
非晶形ランソプラゾールR体の合成
ランソプラゾールR体無水物結晶(粉末X線回折図添付)40gをアセトン180mLに溶解した溶液をアセトン55mLと水270mLの混合液中に約10分かけて滴下した。次に水340mLを約20分かけて滴下し、0〜10℃で約1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、アセトン/水(1/5)混液90mL、続いて水90mLで洗浄した。得られた湿結晶を約65℃で約7時間減圧乾燥し、非晶形ランソプラゾールR体を得た(収量:38.4g、収率:96%)。なお、減圧乾燥前の結晶はランソプラゾールR体・1.5水和物である。
元素分析
理論値: C:52.03、H:3.82、N:11.38、S:8.68、F:15.43、O:8.66
実測値: C:51.77、H:3.84、N:11.39、S:8.59、F:15.48
1H-NMR(CDCl3):2.25(3H,s),4.39(2H,q,J=7.8Hz), 4.72(1H,d,J=13.8Hz),4.85(1H,d,J=13.8Hz),6.69(1H,d),7.31-7.80(4H,m),8.35(1H,d),11.5(1H,br S)
粉末X線回折:特にピークを認めない
化学純度(面積百分率値):98.3%
光学純度:100%ee
水分(KF法):0.5%
【0035】
(製造実施例2)
非晶形ランソプラゾールR体の合成
ランソプラゾールR体・1.5水和物(10g)を約60℃で約8時間減圧乾燥し、非晶形ランソプラゾールR体を得た(収率:9.3g、収率:100%)。
元素分析
理論値: C:52.03,H:3.82,N:11.38,S:8.68,F:15.43,O:8.66
実測値: C:52.17,H:3.92,N:11.23,S:8.58,F:15.40
1H-NMR(CDCl3):2.25(3H,S),4.39(2H,q,J=7.8Hz),4.72(1H,d,J=13.8Hz),4.85(1H,d,J=13.8Hz),6.69(1H,d),7.31-7.80(4H,m),8.35(1H,d),11.5(1H,br S)
粉末X線:特にピークを認めない
化学純度:97.9%(面積百分率値)
光学純度:99.8%ee
水分(KF法):0.7%
【0036】
(製造実施例3)
非晶形ランソプラゾールR体の合成
ランソプラゾールR体・1.5水和物(10g)を約65℃で約7時間通風乾燥し、非晶形ランソプラゾールR体を得た(収率:9.3g、収率:100%)。
元素分析
理論値: C:52.03,H:3.82,N:11.38,S:8.68,F:15.43,O:8.66
実測値: C:52.08,H:3.90,N:11.25,S:8.56,F:15.37
1H-NMR(CDCl3):2.25(3H,S),4.39(2H,q,J=7.8Hz),4.72(1H,d,J=13.8Hz),4.85(1H,d,J=13.8Hz),6.69(1H,d),7.31-7.80(4H,m),8.35(1H,d),11.5(1H,br S)
粉末X線:特にピークを認めない
化学純度:98.4%(面積百分率値)
光学純度:100%ee
水分(KF法):0.4%
【0037】
(製造実施例4)
非晶形ランソプラゾールR体の合成
ランソプラゾールR体・1.5水和物(10g)を約65℃で約8時間加熱し、非晶形ランソプラゾールR体を得た(収率:9.3g、収率:100%)。
元素分析
理論値: C:52.03,H:3.82,N:11.38,S:8.68,F:15.43,O:8.66
実測値: C:52.12,H:3.74,N:11.30,S:8.74,F:15.40
1H-NMR(CDCl3):2.25(3H,S),4.39(2H,q,J=7.8Hz),4.72(1H,d,J=13.8Hz),4.85(1H,d,J=13.8Hz),6.69(1H,d),7.31-7.80(4H,m),8.35(1H,d),11.5(1H,br S)
粉末X線:特にピークを認めない
化学純度:97.6%(面積百分率値)
光学純度:99.7%ee
水分(KF法):0.5%
【0038】
(製造実施例5)
非晶形ランソプラゾールR体の合成
ランソプラゾールR体・0.5水和物(10g)を約70℃で約6時間減圧乾燥し、非晶形ランソプラゾールR体を得た(収量:9.8g、収率:100%)。
元素分析
理論値: C:52.03,H:3.82,N:11.38,S:8.68,F:15.43,O:8.66
実測値: C:51.98,H:3.95,N:11.30,S:8.78,F:15.35
1H-NMR(CDCl3):2.25(3H,S),4.39(2H,q,J=7.8Hz),4.72(1H,d,J=13.8Hz),4.85(1H,d,J=13.8Hz),6.69(1H,d),7.31-7.80(4H,m),8.35(1H,d),11.5(1H,br S)
粉末X線:特にピークを認めない
化学純度:98.0%(面積百分率値)
光学純度:99.6%ee
水分(KF法):0.7%
【0039】
(参考例1)
ランソプラゾールR体・0.5水和物の合成
ランソプラゾールR体無水物結晶(図1:粉末X線回折図参照)40gをアセトン180mLに溶解した溶液をアセトン55mLと水270mLの混合液中に約10分かけて滴下した。次に溶液中に水340mLを約20分かけて滴下し、0〜10℃で約1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、アセトン/水(1/5)混液90mL、続いて水90mLで洗浄した。得られた湿結晶を約30℃で約7時間減圧乾燥し、ランソプラゾールR体・0.5水和物を得た(収量:39.3g、収率:96%)。なお、減圧乾燥前の結晶はランソプラゾールR体・1.5水和物である。
元素分析
理論値: C:50.79,H:4.00,N:11.11,S:8.47,F:15.06,O:10.57
実測値: C:51.00,H:3.92,N:11.23,S:8.65,F:15.10
1H-NMR(CDCl3):2.25(3H,S),4.39(2H,q,J=7.8Hz),4.72(1H,d,J=13.8Hz),4.85(1H,d,J=13.8Hz),6.69(1H,d),7.31-7.80(4H,m),8.35(1H,d),11.5(1H,br S)
粉末X線回折:格子間隔(d)9.50,8.73,8.31,5.57,5.18,4.80,4.20
化学純度:99.6%(面積百分率値)
光学純度:100%
水分(KF法):2.4%
【0040】
(参考例2)
ランソプラゾールR体・1.5水和物の合成
ランソプラゾールR体無水物結晶(図1:粉末X線回折図参照)40gをアセトン180mLに溶解した溶液をアセトン55mLと水270mLの混合液中に約10分かけて滴下した。次に溶液に水340mLを約20分かけて滴下し、0〜10℃で約1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、アセトン/水(1/5)混液90mL、続いて水90mLで洗浄した。得られた湿結晶を約15℃で約5時間減圧乾燥し、ランソプラゾールR体・1.5水和物を得た(収量:41.6g、収率:97%)。なお、減圧乾燥前の結晶はランソプラゾールR体・1.5水和物である。
元素分析
理論値: C:50.39,H:4.05,N:11.02,S:8.41,F:14.94,O:11.19
実測値: C:50.50,H:3.94,N:11.32,S:8.25,F:14.73
1H-NMR(CDCl3):2.25(3H,S),4.39(2H,q,J=7.8Hz),4.72(1H,d,J=13.8Hz),4.85(1H,d,J=13.8Hz),6.69(1H,d),7.31-7.80(4H,m),8.35(1H,d),11.5(1H,br S)
粉末X線回折:格子間隔(d)8.91,8.07,6.62,6.00,5.92,5.66,5.04,4.51
化学純度:99.6%(面積百分率値)
光学純度:100%
水分(KF法):6.8%
【0041】
(製剤実施例1)
組成を表1に示す。非晶形ランソプラゾールR体、炭酸マグネシウム、ショ糖(粉砕品)、コーンスターチおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをよく混合し、主薬散布剤とする。また、ショ糖(粉砕品)、コーンスターチ及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをよく混合し、中間層散布剤とする。遠心転動造粒機(フロイント社製、CF)にショ糖・でんぶん球形造粒品を入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%:W/W)を噴霧しながら上記の主薬散布剤および中間層散布剤を順次コーティングし球形顆粒を得る。コーティング操作条件はローター回転数:300rpm、注液速度:1.8g/分、スプレーエア圧:0.2kg/cm2、スリットエア圧力:0.2kg/cm2で行う。得られた球形顆粒を40℃、20時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1420μmの顆粒を得る。
上記の顆粒に腸溶性コーティング液を流動造粒コーティング機(パウレック社製、LAB-1)を用いてコーティングし、そのまま乾燥し、丸篩で篩過し、850〜1420μmの腸溶性顆粒を得る。コーティング操作条件は給気風量:0.6m3/分、給気温度:85℃、注液速度:8g/分、スプレーエア圧力:1kg/cm2で行う。
得られた顆粒にタルクおよびエアロジルを混合する。得られた混合粒150mg(ランソプラゾールR体 30mg相当量)、200mg(ランソプラゾールR体 40mg相当量)および300mg(ランソプラゾールR体 60mg相当量)をそれぞれ4号、3号および2号カプセルに充填する。
【0042】
(製剤実施例2)
組成を表1に示す。非晶形ランソプラゾールR体、炭酸マグネシウム、ショ糖(粉砕品)および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをよく混合し、主薬散布剤とする。また、ショ糖(粉砕品)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及び酸化チタンをよく混合し、中間層散布剤とする。遠心転動造粒機(フロイント社製、CF)にショ糖・でんぶん球形造粒品を入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%:W/W)を噴霧しながら上記の主薬散布剤および中間層散布剤を順次コーティングし球形顆粒を得る。コーティング操作条件はローター回転数:300rpm、注液速度:1.8g/分、スプレーエア圧:0.2kg/cm2、スリットエア圧力:0.2kg/cm2で行う。得られた球形顆粒を40℃、20時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1420μmの顆粒を得る。
上記の顆粒に腸溶性コーティング液を流動造粒コーティング機(パウレック社製、LAB-1)を用いてコーティングし、そのまま乾燥して丸篩で篩過し、850〜1420μmの腸溶性顆粒を得る。コーティング操作条件は給気風量:0.6m3/分、給気温度:85℃、注液速度:8g/分、スプレーエア圧力:1kg/cm2で行う。
得られた顆粒にタルクおよびエアロジルを混合する。得られた混合粒150mg(ランソプラゾールR体 30mg相当量)、200mg(ランソプラゾールR体 40mg相当量)および300mg(ランソプラゾールR体 60mg相当量)をそれぞれ4号、3号および2号カプセルに充填する。
【0043】
(製剤実施例3)
組成を表1に示す。非晶形ランソプラゾールR体、炭酸マグネシウム、ショ糖(粉砕品)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよび酸化チタンをよく混合し、主薬散布剤とする。遠心転動造粒機(フロイント社製、CF)にショ糖・でんぶん球形造粒品を入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%:W/W)を噴霧しながら上記の主薬散布剤をコーティングし球形顆粒を得る。コーティング操作条件はローター回転数:300rpm、注液速度:1.8g/分、スプレーエア圧:0.2kg/cm2、スリットエア圧力:0.2kg/cm2で行う。得られた球形顆粒を40℃、20時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1420μmの顆粒を得る。
上記の顆粒に腸溶性コーティング液を流動造粒コーティング機(パウレック社製、LAB-1)を用いてコーティングし、そのまま乾燥して丸篩で篩過し、850〜1420μmの腸溶性顆粒を得る。コーティング操作条件は給気風量:0.6m3/分、給気温度:85℃、注液速度:8g/分、スプレーエア圧力:1kg/cm2で行う。
得られた顆粒にタルクおよびエアロジルを混合する。得られた混合粒150mg(ランソプラゾールR体 30mg相当量)、200mg(ランソプラゾールR体 40mg相当量)および300mg(ランソプラゾールR体 60mg相当量)をそれぞれ4号、3号および2号カプセルに充填する。
【0044】
表1
組成表
顆粒 160mg中の組成
実施例1 実施例2 実施例3
ショ糖・でんぶん球形造粒品 50mg 50mg 50mg
主薬散布剤
非晶形ランソプラゾールR体 40mg 40mg 40mg
炭酸マグネシウム 14mg 14mg 14mg
ショ糖(粉砕品) 26mg 26mg 36mg
コーンスターチ 9mg 0mg 0mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 10mg 10mg 12.5mg
酸化チタン 0mg 0mg 6.5mg
中間層散布剤
ショ糖(粉砕品) 5mg 10mg
コーンスターチ 2.5mg 0mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 2.5mg 2.5mg
酸化チタン 0mg 6.5mg
結合液
ヒドロキシプロピルセルロース 1mg 1mg 1mg
精製水 49μl 49μl 49μl
計 160mg

腸溶性コーティング液組成
メタクリル酸共重合体 86.7mg(固形成分 26mg)
タルク 7.8mg
ポリエチレングリコール 2.5mg
酸化チタン 2.5mg
ポリソルベート80 1.0mg
精製水 119.5μl
計 39.8mg(固形物として)
腸溶性顆粒の組成
顆粒 160mg
腸溶性被膜 39.8mg
計 199.8mg
混合顆粒の組成
腸溶性顆粒 199.8mg
タルク 0.1mg
エアロジル 0.1mg
計 200mg
カプセル剤の組成
ランソプラゾールR体 30mg相当量 40mg相当量 60mg相当量
混合粒 150mg 200mg 300mg
カプセル 1個(4号) 1個(3号) 1個(2号)
【試験例】
【0045】
非晶形ランソプラゾールR体の安定性試験
(1)低湿カステン下で、非晶形ランソプラゾールR体100mgを精密に量り、透明ガラス瓶に入れた。続いて、低湿カステン下で以下に示す塩基性無機塩の安定化剤としての塩基性物質100mgを精密に量り、非晶形ランソプラゾールR体が入った瓶に入れた。その後、キャップをして、手で軽く振ることにより混合した。
<塩基性物質>
(i)炭酸マグネシウム MgCO3
(ii)炭酸カルシウム CaCO3
(iii)酸化マグネシウム MgO
(iv)水酸化マグネシウム Mg(OH)2
(v)塩基性物質なし
(2)調製した試料は、40℃ / 75%RH(開栓)の保存条件下で5日間保管した。毎日、試料の外観変化を評価するために、International Color Manualに基づいて、色調を命名し、カラーコードを付番した。終了時点で、5℃保存品をイニシャルとして、色調を対比して安定性の判断をした。
(3)試験結果について、外観変化を表2に示す。なお、表2中、Aは非晶形ランソプラゾールR体を示す。

【0046】
表2より、40℃/75%RH 5日保管において、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウムおよび水酸化マグネシウムにおいて安定化効果があることが確認された。すなわち、これらの塩基性無機塩を添加することによって外観変化を防止する効果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0047】
酸や水に対し極めて不安定なPPI作用をもつ非晶形のベンズイミダゾール系化合物に、塩基性無機塩等の無毒性塩を配合することにより、これら非晶体薬物を含有する医薬として有用な程度に安定性を有する固形製剤を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無毒性塩基とプロトンポンプインヒビター(PPI)作用をもつ非晶形のベンズイミダゾール系化合物とを含有する安定な固形製剤。
【請求項2】
ベンズイミダゾール系化合物が光学活性体である請求項1記載の固形製剤。
【請求項3】
ベンズイミダゾール系化合物の光学活性体が式(I):
【化1】

〔式中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアラルキル基、アシル基またはアシルオキシ基、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいアミノ基、およびYは窒素原子またはCHを示し、*は不斉中心を示す〕で表される化合物またはその塩である請求項2記載の固形製剤。
【請求項4】
ベンズイミダゾール系化合物の光学活性体が、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾールまたはパントプラゾールの光学活性体である請求項2記載の固形製剤。
【請求項5】
ベンズイミダゾール系化合物の光学活性体が、ランソプラゾールの光学活性体である請求項2記載の固形製剤。
【請求項6】
ランソプラゾールの光学活性体が、R体である請求項5記載の固形製剤。
【請求項7】
ランソプラゾールの光学活性体が、S体である請求項5記載の固形製剤。
【請求項8】
無毒性塩基が、その1%水溶液または1%水懸濁液のpHが25℃で8.0以上を示す無機塩である請求項1記載の固形製剤。
【請求項9】
無毒性塩基が、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上の塩基性無機塩である請求項1記載の固形製剤。
【請求項10】
被覆層を有する請求項1記載の固形製剤。
【請求項11】
被覆層が、腸溶性被膜層を含む請求項10記載の固形製剤。
【請求項12】
被覆層が、放出制御被膜層を含む請求項10記載の固形製剤。
【請求項13】
被覆層が、非晶形ベンズイミダゾール系化合物を含有する層上に形成された中間被覆層と該中間被覆層上に形成された放出制御被膜層および/または腸溶性被膜層を含む請求項10記載の固形製剤。
【請求項14】
無毒性塩基が、金属酸化物から選ばれる少なくとも1種と金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種とを含有する請求項1記載の固形製剤。
【請求項15】
胃崩壊性である請求項14記載の固形製剤。
【請求項16】
酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲルおよびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含有する請求項14記載の固形製剤。
【請求項17】
水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムの共沈物、水酸化アルミニウムと炭酸マグネシウムと炭酸カルシウムの共沈物および水酸化アルミニウムと炭酸水素ナトリウムの共沈物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属水酸化物を含有する請求項14記載の固形製剤。
【請求項18】
さらにアルカリ土類金属の炭酸塩を含有する塩基性無機塩安定化剤を含有する請求項14記載の固形製剤。
【請求項19】
非晶形のランソプラゾール光学活性R体と炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の塩基性無機塩とを含有する層と、該層上に形成された中間被覆層と、該中間被覆層上に形成された腸溶性被覆層とを含む安定化された固形製剤。
【請求項20】
塩基性無機塩が、炭酸マグネシウムまたは炭酸カルシウムである請求項19記載の固形製剤。
【請求項21】
酸素透過を抑制した包装、ガス置換包装、真空包装および脱酸素剤封入包装からなる群から選択される包装形態にすることを特徴とする非晶形のPPI作用をもつベンズイミダゾール系化合物を含有する安定な固形製剤の製造方法。
【請求項22】
無毒性塩基を配合する請求項21記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−180225(P2010−180225A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75692(P2010−75692)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【分割の表示】特願2003−354904(P2003−354904)の分割
【原出願日】平成15年10月15日(2003.10.15)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】