説明

安定化された熱可塑性ポリアミド成形材料の、光導波路のための被覆としての使用

本発明は、フッ素化合物またはフッ素系ポリマーをベースとするクラッドを有する光導波路を被覆することにより保護する、安定な熱可塑性ポリアミド成形材料に関する。本発明のポリアミド成形材料は、フッ素化合物またはフッ素系ポリマーをベースとするクラッドに対する優れた接着性を示す。また、125℃、6000時間以上の高温で耐久性を有する。さらに、本発明は、少なくとも一つのファイバーコア、一層以上のクラッド、前記光導波路を包む一層以上の保護スリーブからなる光ファイバーに関し、安定化された熱可塑性ポリアミド成形材料より成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項に示す主目的に関し、特に安定化され、熱可塑性ポリアミド成形材料を、フッ素系材料またはフッ素系ポリマーをクラッド領域とする光導波路(以下単にOWという)の保護皮膜としての使用に係わる。
【0002】
本発明に従うポリアミド成形材料は、フッ素系材料またはフッ素系ポリマーのクラッド領域に対して好適な接着性を有する。さらに125℃において少なくとも3000時間の高耐熱性を有する。
【0003】
また、本発明は、少なくとも一つのファイバーコアとその周りの単層または多層のクラッドおよびOWを包むスリーブを有する光ケーブルに関し、該スリーブが安定化された熱可塑性ポリアミド成形材料に係わる。
【背景技術】
【0004】
光ファイバーケーブルは電気通信の分野において大容量のデータを送信できしかもノイズがなく、電磁波の影響を受けないでデータを送信する。150mまでの短距離間のデータ送信に対しては、比較的高価なガラス光ファイバー(GOF)のほかに例えば、ポリマー光ファイバー(POF)のような安価なプラスチック光導波路も用いられる。
【0005】
自動車技術/伝達手段(自動車、飛行機、船などの間のデータ・信号の送信)の分野において、前記POFが汎用される。POF−OWは一般にポリマーの光ファイバーコア、クラッド、スリーブより形成される。POFは通常ポリメチルメタクリレート(PMMA)より形成される。PMMAのガラス転移点は95〜100℃であるため、90℃以下の使用に制限される。束ねられた単一線またはマルチコアのガラス光ファイバーコアは、高温にも耐えられるものとして進歩している。
【0006】
POFのクラッドは、単一もしくは多層に形成することができる。フッ素含有プラスチックは主にクラッドの材料として使用され、屈折率は1.35〜1.42である。この屈折率はPMMAのファイバーコアの屈折率(ηPMMA=1.49;φKern=980nm)に適合している。そのようなPOF−OWの光の減衰は、典型的には130〜150dB/km(λ=650nm)で、最小曲げ半径は5〜10mmである。通常の光送信の測定は、最初のOWの光エネルギーをP1、終端のOWの光エネルギーをP2とすると、以下の式により表される。
(a)=10・logP1/P2
【0007】
減衰を測定するために、両レベルを測定しなければならない。P1は、ファーバーの終端部に充分に大きな受信ダイオードのアタッチメントによって測定が容易である。OWの初期P1は、P0と混同しないように、OWとの結合時の損失を考慮し、間接的に測定される(詳細な測定については“Kunststoffe in der Kabeltechnik”ハンズ-J.マイヤー,111巻,3版,No4.4.2を参照)。
【0008】
繊細なPOF−OWを機械的、熱的、化学的に保護するため、プラスチックにより被覆し単一または多層のスリーブとして形成する方法がある(WO99/12063)。このスリーブはポリエチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、などが使用されている。そして、POF内部に外からの光が侵入しないように黒くしなければならない。ポリアミド、ポリウレタン、ポリオキシメチレンなどの材料をスリーブに使用すると、耐火性を向上させる(DE9209018U)。
【0009】
EP1376156A2は、光ファイバーについて開示し、ファイバーコアと単一もしくは多層のスリーブに加えてさらなる層を有する:その層はファイバー被覆として内側層が成形材料よりなりポリアミドを含み、220℃のゼロ剪断粘度が400〜6000Pasである。一方外側層が前記内側層に対して接着し、引っ張り強度最大30Nであってポリアミド成形材料よりなり、以下の組成よりなる。
ポリアミド;20〜95重量%
耐火性成分;5〜45重量%
耐衝撃性成分;0〜60重量%
【0010】
EP1376156A2に記載の耐火性成分は、外側の層の成形材料を含み、適当なものとしてはポリアミド成形材料が記載されている。
【0011】
耐熱性を向上させたPOFについては、ファーバーコアを熱硬化性シリコンレジンから作られたものがあり、製造中に二層コートチューブ内、未キュアの状態で射出するというものである。二層コートチューブは、外側を黒色の不透明材より形成され、同時成形なので該成形方法により強固に相互接着されている。
【0012】
自動車製造の分野では、ポリアミドはスリーブ材料として使用され、機械的安定性(引っ張り強度、耐破壊性など)の要求を満たし、先の使用時における耐熱性、化学的にも安定である。しかし、ポリアミドは、フッ素含有ポリマーから成るクラッドを有する光導波路に対する接着性が良くないので、問題である。
【0013】
特に保護スリーブの接着力が弱いと、(例えばファイバーコアとクラッドと少なくとも一つのスリーブからなる)光ファイバーは環境下で、大きな温度変化(例えば自動車の室内とエンジンルームなど)を受けたとき、ファーバーコアおよびクラッドと、スリーブとの異なる熱膨張率およびフッ素系ポリマーとポリアミドの低接着性のために離間する動きがみられ、好ましくない。これは、例えばOWの表面からの距離によって送信、受信要素(LED、ピンダイオード)が影響を受け、許容範囲を超えるロスが発生し、データ転送の損失につながる。加えて、もしOWの外側スリーブが大きく変化するなら、送信、受信要素に損傷を与える。
【0014】
これを抑えること(OWの“ポジショニング”というが)のために、コネクター、カプラー、リテイナーは大きなクランプ力、クリップ力でスリーブを形成するので、スリーブとOWの間の摩擦力が大きくなってしまう。しかも、ファイバーコアとクラッドの境界面では変形が起き、信号の減衰が増大する原因となる。
【0015】
コネクターにおける保護層の分解は“ポジショニング”を妨げるが、一組のブレード(blade)を具備するトリミング用具の不適当な扱いによってアセンブリの間にクラッドの損傷の危険性を有している。
【0016】
光ファイバー上のコネクターからのクランプまたはクリップ力は、コネクターハウジングのコーン形状におけるPOF−OWの固定によって減少させることができる。ホットプレートを使用してPOF−OWの表面溶融によってコネクターの孔に向かってテーパを形成して、アンカー効果によってPOF−OWを強固にコネクターと結合させる。しかし、溶融あるいは成形中にPOF−OWのジオメトリは、シリンダーのジオメトリとトータル的に逸脱するので、コネクターハウジング内への損失は増大する。
【0017】
EP0649731A1は、ポリアミドとポリフッ化ビニリデンとの圧着について、ポリアミドにポリグルタルイミドを加えることにより形成することを開示する。二層のラミネートは、ポリアミドとポリフッ化ビニリデンから製造され、三層ラミネートは、ポリアミド、ポリアミド−ポリグルタルイミドを接着プロモータ層としてポリフッ化ビニリデンとブレンドし、押出成形によるワンステップで形成される。ポリグルタルイミドはポリメタクリルイミド(PMMI)としてよく知られている。
【0018】
POF−OWの押出成形は、スリーブがクラッドと直接結合するが、できるだけ低温で行うことが重要である。クラッドのフッ素化物のガラス転移点は、ファイバーコア材料(PMMA;106℃)と近似し80〜120℃である。クラッドは非常に薄く(約10μm)光学的な特徴は正確に調製され、熱又は化学的環境によって影響、変化されやすい。従って、スリーブ材料はできるだけ深く溶融浸透する温度で被覆しなければならない。
【0019】
EP1171786の発明者らはPMMI(pleximide 130、製造元ローム、ドイツ)と低粘度のポリアミド12(相対粘度1.65、0.5%メタクレゾール溶液中)からブレンドし、POF−OWケーブルの溶融温度を超える高いブレンド粘度で成形しファイバーの光学的減衰を殆どなくした。ポリアミド12/PMMI混合物はスリーブの材料としては使用されていない。
【0020】
その他の文献として、EP0649738A1の6頁、表にポリグルタルイミドの例が開示され、非常に高粘度で三層の中間層としては適用できず、ポリアミド12とのブレンド物としてPOF−OWの成形部品として使用されている。
【0021】
EP0767190A1には、多層ポリマーまたはパイプ(例えば自動車製造のためのガソリンやクーラントの)製品のためのポリアミドの粘着性プロモータの使用について記載している。ここで使用されるポリアミドは通常低い粘度ではない。さらに、その層に光学的特長も要求されていない。EP0767190A1に記載されているポリアミドは、アミド末端基が多いものである。許容される成形温度は、EP0767190A1に記載された粘着性プロモータを用いたPOF−OWの成形試験により達成され、ファイバーコアは熱による損傷を受けてはいない。しかし、ファイバーの外側層(例えばスリーブ)は、温度を維持(80℃、24時間)する間に茶色に変色する。これは、スリーブ内へのモノマーの拡散と化学反応によることは明らかである。この着色はファイバーの光学的特徴を低下させる。EP0767190A1のポリアミド成形材料は、POF−OWおよびガラスOWにとって、粘着プロモータあるいは保護層は適当ではないのである。
【0022】
EP0239935B1には、光ファイバーについて記載され、石英ガラスまたは光学ガラスのコアとプラスチック材料の被覆からなり、プラスチック材料からなる被膜は、フッ素化オレフィンとアルキルビニルエーテルの溶媒溶解性共重合体をキュアして得られ、該共重合体はキュア可能な部分とフッ素化オレフィン単位由来のフッ素を少なくとも10重量%含有する。
【0023】
EP0883001A1には、石英コアとそれを被覆するポリマークラッド(PCF)からなる光ファイバーについて記載され、複数の異なるポリマーの多層構造が開示されている。EP0883001A1に記載のブロードバンドPCFは“クリンプタイプ(crimp type)”のコネクターに関連する重要な低損失が示されている。従って、このPCFはデータ通信例えばATM−LANなどの高速大容量の接続に使用される。
【0024】
EP0749463B1には、ポリアミド融着フィラーについて記載され、該融着にはC12〜22の脂肪酸モノマーだけでなく主成分に脂肪酸ダイマーと少なくとも2つのC2〜40のアミンを基本とするポリアミドを含んでいる。このポリアミドは、末端アミノ基を有する熱可塑性接着性ポリアミドである。EP0749463B1に記載の融着は、金属に対する高い剥離強度を意味し、耐油性が高いものである。さらにポリアミドが無い場合に比べて蒸気の透過性は高い。これらの特徴から熱可塑性の接着剤はプラスチックは勿論、金属の接着に適し、特にポリ塩化ビニルだけでなくポリエステルとポリオレフィンなどの接着に好適である。さらに、ケーブルの被覆層の接着や、具体的には光ファイバーケーブルや電気ケーブルなどに適用される。
【0025】
GB2198258A1には、光導波路のスリーブのための熱可塑性ポリアミドの使用について記載されている。スリーブは基本的に0〜95重量%のポリアミド12、50〜5重量%のポリアミドエラストマーおよび0〜95重量%の他のポリアミド及び又はコポリアミドを含む。混合物の実質的部分を占めるポリアミドエラストマーはDE−A−3006961、CH−A−0656135に記載のポリエーテルアミドであり、DE−A−2936977またはDE−A−3428404に記載のポリエーテルエステルポリアミドである。
【0026】
JP04−127107には、クラッド上にスリーブを有する光導波路が記載され、“ピストニング現象”を回避することが示されている。その重合体は基本的にエチレン酢酸ビニル共重合体を0.1〜10重量%含むポリエチレンが被覆材として使用されている。
【0027】
出願番号CH−00000/03には、少なくともフッ素化ポリマーを基本とする第1の層と、少なくとも一つの第2の層と、少なくとも第1の層に部分的に直接隣接する層の熱可塑性多層ラミネートについて記載されている。フッ素化ポリマーへの良好な接着を確実にするために、ポリアミド/ポリアミンをベースとする層が接着性プロモータ層として提供されている。そのような共重合体は強力な接着力を有すると思われる。この熱可塑性多層ラミネートは、特にPMMAをコアとする光伝導体の被覆として使用することができる。
【0028】
EP1216823B1には、多層ラミネートについて記載され、ポリアミドの成形材料の層、およびエチレンビニルアルコール共重合体の層だけでなくポリアミド/ポリアミン共重合体の層をも場合により含んでいる。ポリアミドの成形材料において、ポリアミド/ポリアミン共重合体の適合性中間体が与えられているが、EP1216823B1には、ポリアミド/ポリアミン共重合体がポリアミドを混合しなくてもフッ素系ポリマー層に対する良好な接着特性を有するとの記載はない。
【0029】
EP0777578B1には、第1層がフッ素化ポリマー、第2層がフッ素化ポリマーではなく分子量が少なくとも1000以上の脂肪族ジ又はポリアミドで、前記フッ素化ポリマーでないものとしてポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、カルボキシルもしくは無水或いはイミド基を有するポリオレフィン、あるいはアミンなどが第2層を構成する、多層ラミネートについて記載されている。アミンは四級アミンであり、ジ又はポリアミンが無くても層間の接着力を充分に増強する。
【0030】
EP0955326B1には、ダイマージオールやヒドロキシル基を有するポリエステルを含むダイマージオールで修飾されたポリアミドが記載されている。修飾されていないポリアミドと比較して、修飾ポリアミドは柔軟性と低温でも粘着性を示す。柔軟性の喪失および/又は媒体との接触によるマイグレーションによる機械的特性の変化は、固有の可塑性によって生じない。この柔軟なポリアミドは、他のポリアミドを含むジオールに比べて加水分解に対する優れた耐性を有する。
【0031】
ポリマー光ファイバーは通常PMMAコアを有し、ガラス転移温度が95〜100℃であるため、そのようなポリマー光ファイバーは、前記したように90℃以下の温度での使用に限られる。
【0032】
しかし、ポリアミドの成形材料は熱による酸化、光による酸化分解に対して安定であり、多くのシステムで公知である。銅化合物だけでなく、安定化剤システムとして知られるフェノール抗酸化剤、例えば立体障害フェノールは、芳香族アミンを抗酸化能の基礎とする。特に、ハロゲン化銅とハロゲン化アルカリ金属との混合物は熱による酸化に対して安定化効果を有する。ハロゲン化銅とハロゲン化アルカリ金属との混合物は他の安定化システムに対しても効果を有する。もし、ポリアミドが継続的に120℃以上で使用されるのであれば、殆どの有機安定化剤は効果が無い。もし数千時間以上の耐熱酸化安定性を必要とするのであれば、銅を含有する塩が効果的なのである。前記安定化剤はポリアミドに異なる方法により添加することができる、例えば、重合の前あるいは重合中、または粉末化する際、乾燥プロセス中、さらに混合中などである。
【0033】
ポリアミド成形材料と銅の化合物の安定性については、EP0745642B1やEP0668943B1に記載されている。EP0745642B1には、ハロゲン化銅を含む熱安定性、耐水性ポリアミド成形材料について記載され、一種以上のハロゲン化物および次リン酸(hypophosphoric acid)またはアルカリまたはアルカリ土類金属塩などを安定化剤としてあるモル比で含んでいる。この安定化剤混合物は耐熱酸化性、耐光酸化性に対して優れている。
【0034】
EP0668943B1には、ポリフタルアミドを含み、銅安定化剤と機能性ポリオレフィンの相乗作用による安定化ポリアミドフィラメントについて記載されている。銅化合物はポリフタルアミドと融合し、アルカリハロゲン化物との相乗作用による安定化剤は1〜20重量%の範囲で含まれている。
【0035】
上記システムに加えて、耐熱酸化、耐光酸化性ポリアミド安定化のためにさらなる混合材料について記載されている文献もある。US−Aー2705227には、銅化合物、ハロゲン化合物、リン酸又はリン酸のアルカリ塩からなる三成分系安定化剤について記載されている。
【0036】
GB−A−1140047には、銅含有塩、亜リン酸又はリン酸又はこれらの酸混合物、およびアルカリハロゲン化物の三成分からなる安定化剤について記載されている。そこでは銅含有塩の1/2モル量以上の亜リン酸を含有するとの限定がある。もしリン酸を亜リン酸化合物の代わりに使用するなら、銅含有塩の1/4モル量以上使用するとの記載がある。亜リン酸化合物は、銅添加量の不足分を補い、ポリアミド成形材料の明るい色を表現するために加えられる。
【0037】
DE−A−2107406には、銅ステアレート、ヨウ化カルシウム、マンガンハイポスファイト(manganese hyposphite)の三成分安定化剤が記載されている。この混合物により安定化された成形材料は無色であると述べられている。
【0038】
EP−A−0612749には、安定化されたポリアミド成形材料が記載されている。これはイオン型および複合型の銅安定化剤を含み、さらに元素の微細な分散された銅を安定化剤として含む。
【0039】
ポリアミド成形材料の熱酸化性や光酸化性を阻害する安定化システムも公知である。熱酸化性や光酸化性に関連するポリアミド成形材料の安定性のための要求が増大している。例えば自動車のエンジン部分に使用されるポリアミド成形材料を適用する場合である。その他の分野でもポリアミド成形材料は長期間温度負荷のかかる環境下で使用される。これらの温度下では、銅に基づく安定性がポリアミドにとって特に好適なのである。
【0040】
銅ハロゲン化物とアルカリハロゲン化物との金属塩の組合せによるポリアミドの安定化メカニズムは例えば、P. GijsmanらのPolymer Degradation and Stability 49 (1995), 127-133に記載されている。芳香族ハロゲン化物と銅含有塩との組合せについてはDE−A19847627中に記載され、さらにメルカプタンまたはフォスフィンとの混合物についても開示されている。これらの銅に基づく安定化剤に関する技術は減少していくであろう。
【0041】
抗酸化効果についての金属使用の減量技術についても公知であり、例えば、立体障害フェノールを含有する分子によるものがある。しばしば、これらの混合物は例えば、ケーブル用のポリオレフィンの安定化に使用され、特にポリフェニレンエーテルや銅と接触して継続使用する場合に用いられる。
【0042】
金属による安定化について、引用文献(Plastics Additives Handbook, 4th Ed., 1993, chapter 2.4 )によれば、次の化学的構造について述べられている。脂肪族アミドおよび芳香族モノ・ジカルボン酸、Nモノ置換誘導体、環状アミド、バルビツール酸や、脂肪族および芳香族アルデヒドのヒドラゾン及びビスヒドラゾン、脂肪族および芳香族モノ・ジカルボン酸のヒドラジド、ビスアクリレートヒドラジン誘導体、メラミンなどのヘテロ環状化合物、ベンゾトリアゾール、8オキソキノリン、ヒドラゾン、ヒドラジノトリアジンのアクリレート誘導体、アミノトリアゾールおよびそのアクリレート誘導体、ポリヒドラジド、立体障害フェノールの分子結合体、金属複合体、ベンジルリン酸ニッケル塩、他の抗酸化剤や金属誘導体、ピリジンチオール/錫混合物、チオビスフェノールのトリリン酸エステルなど。特許文献にはさらにN、N'ビス−サリチラル−エチレンジイミド、サリチラルオキシアミン、エチレンジアミン四酢酸誘導体などが述べられている。しかし、前記の多くの化合物が実際には熱可塑性プラスチックの金属安定剤としては使用できない。それは活性が低く、充分な耐熱安定性を与えず、揮発性の点で問題があるからである。
【0043】
EP1198520B1には、ポリアミド成形材料に立体障害フェノールの使用について記載されている。
【0044】
当業者においては、有機混合物として立体障害フェノールの同属体、少なくともフェノール基を含み、芳香環の半分少なくとも一つ好ましくは二箇所以上が置換され、前記フェノール基が炭素原子と直接結合しているものが抗酸化性を有するとされている。ヒドロキシ基の置換基がアルキル基で、好ましくはC1〜10のアルキル基から選択されたものである。好ましくは、t−ブチル基である。好ましい立体障害フェノールは、テトラキス(メチレン(3,5−ジ(ターシャリー)−ブチル−4−ヒドロキシ第二錫酸))メタンで、商業的にはIrganox(登録商標)1010(チバスペシャリティケミカル社製)がある。立体障害フェノール基を有する抗酸化剤を加えたHT(高温)ポリアミド成形材料は良く知られており、熱安定性が高いことが示されている(EP1198520B1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0045】
本発明の目的は、安定な熱可塑性ポリアミド成形材料を提供すること、特に125℃で少なくとも3000時間の熱安定性と、フッ素化号物もしくはフッ素系ポリマーをクラッドとする光導波路の被覆に好適である、ポリアミド成形材料を提供することである。
【0046】
さらに別の目的は、125℃で少なくとも3000時間の熱安定性と、フッ素化号物もしくはフッ素系ポリマーのクラッドとの接着性に優れた保護層を提供する光ファイバーを提供することである。
【0047】
本明細書において発明者らは以下のことを明らかにする。ポリアミド成形材料の粘度がポリアミドの末端アミノ基と銅化合物との間の相互作用によって増加する。この粘度効果は末端アミノ基と処理条件(例えば乾燥温度や乾燥期間)との関係による。このように、粘度(溶液の粘度と溶融状態の粘度)は処理条件(乾燥温度や乾燥期間)によって変化し、機能も向上したり低下したりする。製造プロセスにおいては、粘度の大きな変化は受け入れ難い。
【0048】
チューブやゲル部品を形成するために、粘度が増大することは、より高温での処理が必要になる。それは不規則な被覆を形成することになり、従って受け入れられない。
【課題を解決するための手段】
【0049】
前記目的は請求項1に記載の熱可塑性成形材料を使用することにより解決され、請求項18に記載の光ファイバーだけでなく、フッ素化合物のクラッドを有する光導波路の被覆保護層として使用される。従属請求項は、本発明の好ましい例を示している。
【0050】
本発明による熱可塑性ポリアミド成形材料は125℃において少なくとも3000時間の熱安定性を有する。本発明に従う好ましい他の例において、熱可塑性成形材料は125℃において少なくとも4000時間の熱的安定性を有し、より好ましくは125℃において5000時間の熱安定性を有し、特に好ましくは125℃において6000時間の熱安定性を有する。本発明に従う熱可塑性ポリアミド成形材料以下の組成を有する。
【0051】
(A)重合体または重縮合体であるポリアミドであって
脂肪族ラクタム(好ましくはC6〜12)または、ω-アミノカルボン酸(C3〜44、好ましくはC4〜18、より好ましくはC12)または、C7〜20の芳香族アミノカルボン酸、をベースとする前記ポリアミド、
もしくはC2〜44の少なくとも一種のジアミンとC2〜44の少なくとも一種のジカルボン酸との重縮合体であって、
前記ジアミンが、好ましくはC2〜18の脂肪族ジアミン、C7〜22の環状脂肪族ジアミンから選択され、
前記ジカルボン酸が、C3〜44の脂肪族ジカルボン酸、C8〜24の環状脂肪族ジカルボン酸、C8〜20の芳香族ジカルボン酸から選択され、
末端アミノ基を多数有する重合体または重縮合体である前記ポリアミドと、
(B)前記ポリアミドに対して0.01〜2重量%の銅含有安定剤(b)、または立体障害フェノールとHALS安定剤の組合せ(b)、または立体障害フェノール(b)と、 (C)前記ポリアミドに対して0〜3重量%、好ましくは0.01〜3重量%の、金属と複合体を形成する(酸アミド、オキシアミド、オキサルアニリド、ヒドラジン、酸ヒドラジド、ベンゾトリアゾールなどのヒドラゾン、硫黄含有亜リン酸より選択される少なくとも一種の)有機化合物とで、
(A)と(B)と(C)の合計が100重量%であり
(D)1種以上の機能性ポリマー(好ましくは機能性ポリオレフィン、機能性ポリオレフィン共重合体)を前記(A)と(B)と(C)の合計に対して0〜45重量%、好ましくは0〜25重量%添加したことを特徴とする。
【0052】
フッ素系コンパウンドおよびフッ素系ポリマーに高い接着力を有するように、本発明の成分(A)には1つ以上の末端アミノ基が必要である。また耐熱性向上のために、銅含有安定剤(b)、または立体障害フェノールとHALS安定剤の組合せ(b)、もしくは立体障害フェノール(b)が添加される。
【0053】
特に銅含有安定剤(b)は本発明において必要とされる。末端アミノ基と銅安定化剤との組合せの結果生じる、加工性に関する不利益を解消するために金属モデレータ成分(C)の添加が、本発明では重要である。
【0054】
これらのポリアミド成形材料はOWのコーティングに使用され、それはポリアミド/ポリアミンの共重合体または以下の重縮合体または重合体:
成分(A):
ポリアミドとして好ましくは末端アミノ基の多い重縮合成分であって、脂肪族ラクタム(好ましくはC6〜12)、または、ω-アミノカルボン酸(C3〜44、好ましくはC4〜18)、または、芳香族ω-アミノカルボン酸(C7〜20)、
もしくは、C2〜44の少なくとも一種のジアミンとC2〜44の少なくとも一種のジカルボン酸からなる末端アミノ基の多い重縮合成分がある。例えば、前記ジアミンとしてはエチレンジアミン、1,4ジアミノブタン、1,6ジアミノヘキサン、1,10ジアミノデカン、1,12ジアミノドデカン、m−、p−キシレンジアミン、シクロヘキシルジメチレンジアミン、ビス−(p−アミノシクロヘキシル)メタン、およびそれらのアルキル誘導体が挙げられる。
【0055】
ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,6シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などがある。
【0056】
OWコーティングの成形材料のための特に好ましい末端アミノ基の多いポリアミド(以下PAと略す)としては、PA6、PA11、PA46、PA66、PA12、PA1212、PA1012、PA610、PA612、PA69、PA6T、PA6I、PA10T、PA12T、PA12Iより選択されるホモポリアミド、もしくはそれらの混合物、又はPA11、PA12、PA610、PA612、PA1212、PA9T、PA10T、PA12T等のホモポリアミドを基礎とする共重合体、特に共重合体としては、PA12TとPA12、PA10TとPA12、PA12TとPA610、PA12TとPA106、PA10TとPA610、PA10TとPA106の共重合体が挙げられる。さらには、PA6とPA66、PA6とPA612、PA6とPA66とPA610、PA6とPA66とPA12、PA6とPA6T、PA66とPA6T、PA6とPA6I、PA6IとPA6Tなども好ましい。
【0057】
成分(A)の重合体及び、または重縮合体としては、ポリアミド主鎖に対して末端アミノ基の量が20〜300μequ./g、好ましくは40〜300μequ./gであり、末端カルボキシル基が20μequ./gより少ない、好ましくは15μequ./gより少ないポリアミドが好適である。
【0058】
ポリアミド成分(A)の相対粘度としては、0.5%m−クレゾール溶液、20℃での値が1.8より少なく、より好ましくは1.4〜1.8の範囲である。
【0059】
ポリアミド/ポリアミンの共重合体のポリアミドは、C6〜12の脂肪酸ラクタム、ω−アミノカルボン酸(C3〜44、好ましくはC4〜18、より好ましくはC12)、或いはC7〜20の芳香族アミノカルボン酸の重合体である。
【0060】
これらの(共)重合体に、目的に応じて異なるあるいは通常の重合体を添加することができる。例えばUV安定化剤、結晶化促進剤、充填剤、難燃剤、潤滑剤などである。
【0061】
難燃剤としては、窒素またはリンをベースとするハロゲンフリーの難燃剤がある。本発明では、次亜リン酸、メラミンシアヌレート、トリアリルフォスフェートなどが特に好ましい。ポリアミド成形材料に添加する難燃剤としての次亜リン酸塩は、0.4mmのテストピースの厚さでUL−94テスト(アメリカ保険業者安全試験所)がV0である。好ましい次亜リン酸またはその塩としては、ジメチル次亜リン酸、エチルメチル次亜リン酸、ジエチル次亜リン酸、メチルn−プロピル次亜リン酸、メタンジ(メチル次亜リン酸)、エタン1,2−ジ(メチル次亜リン酸)、ヘキサン1,6−ジ(メチル次亜リン酸)、ベンゼン1,4−ジ(メチル次亜リン酸)、メチルフェニル次亜リン酸、ジフェニル次亜リン酸が挙げられる。
【0062】
次亜リン酸塩は公知の方法により合成することができ、例えばEP0699708A1に記載されている。次亜リン酸塩は水溶液中で金属炭酸塩、金属水酸化物、金属酸化物と反応してモノマーを形成し、反応条件によって、ポリマータイプの次亜リン酸塩が生成する。
【0063】
次亜リン酸塩は、周期律表の2、3の金属イオンを含み、好ましくはカルシウム、アルミニウムなどの塩が用いられる。次亜リン酸塩はそれらの混合物として使用することができる。ポリマーと混合したときに良好な分散状態にするために、それらは粉末状態で使用される。
【0064】
本発明に従うポリアミドは、ポリアミド/ポリアミン共重合体に、ポリビニルアミン、ポリケトンから誘導されるポリアミン、デンドリマー、直鎖状または分枝状ポリエチレンイミンなどを使用することができる。例えば直鎖状または分枝状ポリエチレンイミンを使用する場合、分子量が500〜25000g/mol、好ましくは800〜5000g/molである。さらに、その粘度は20℃において1200〜5000mPa・sである。
【0065】
典型的なポリアミド/ポリアミン共重合体は、末端アミノ基の量が40〜300μequ./gである。特にISO1133に従う溶融流れ速度(melt volume rate:MVR)が275℃/5kgの時10〜1000cm/10分である。MVRは10分間に溶融流動する体積で275℃で4分溶融させた後測定する。標準測定においては5kgの荷重をかける。
【0066】
本発明のポリアミンは、特にポリエチレンイミンが好適であり、ポリアミド/ポリアミン共重合体の成分として0.2〜5重量%、より好ましくは0.4〜1.5重量%の量で使用でき、残部がポリアミドである。
【0067】
成分(B)(0.01〜2重量%)について
安定化成分(B)はポリアミド成形材料の0.01〜2重量%の割合で使用される。そして以下の3成分が含まれる。
(b)銅含有安定化剤
(b)HALSと少なくとも一つの立体障害フェノールとの組成物
(b)少なくとも一つの立体障害フェノール
【0068】
銅含有安定化剤を使用する場合には、成形材料中に金属複合体として添加され、その量はポリアミドに対して0.01〜3重量%である。
【0069】
ハロゲン化アルカリ塩と、ハロゲン化銅(I)、銅(I)ステアレート、酸化銅(I)のいずれか一つとの組合せが、好ましい成分(b)であり、ハロゲン化アルカリ塩と銅(I)化合物の合計との比は2.5:1〜100:1の範囲が好ましい。
【0070】
本発明の具体例として、成分(C)は銅(I)化合物に対するモル比0.5:1〜3:1の範囲で使用される。熱可塑性成形材料の製造においては、より好ましくは成分(C)は成分(B)と少なくとも等モル量使用することが望ましい。
【0071】
例えば、以下の組成物がHALS安定化剤として挙げられる。:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバステート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバステート、ポリ[1−(2'−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジニルスクシネート]、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]−1,6−ヘキサンジイル[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]]。
【0072】
本発明による好適な金属モデレータ(Metal moderators :MM)は、金属特に銅と複合体を形成できる化合物である。金属は以下の群との複合体を形成する。酸アミド、オキサミド、オキサルアニリド、ヒドラジン、ヒドラジド酸、ヒドラゾン、ベンゾトリアゾールなどである。金属モデレータの構造については、Plastics Additives Handbook, 4th Ed., 1993, chapter. 2.4参照。
【0073】
成分(C)としてのMMの具体例は:
1,2,3−ベンゾトリアゾール、トリアリルトリアゾール、3−(サリシロイルアミノ)−1,2,4−トリアゾール、ドデカン酸ビス[2−(2−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド]、2',3−ビス[[3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]−プロピオンヒドラジド、トリス[2−t−ブチル−4'−チオ(2'−メチル−4'−ヒドロキシ−5'−t−ブチル)−フェニル−5−メチル]フェニル−フォスフェートなどである。
【0074】
成分(D)(0〜45重量%、好ましくは0〜25重量%)
成分(D)として好ましくは、ポリオレフィン、アクリル酸、スクシニル酸無水物、マレイン酸無水物でグラフトされたポリオレフィン共重合体が挙げられる。この成分はポリアミドの接着力の増進、衝撃吸収として使用され、例えば、機能性のポリエチレン、低密度または直鎖低密度ポリエチレン(LLD−PE)、直鎖、分枝、環状アルケンとエチレンとの共重合体(例えばエチレン/プロピレン共重合体)などがある。
【0075】
成分(A)、(B)、(C)は合計で100とすると、成分(D)はこれに任意的に付加されるものである。
【0076】
ここで本発明で使用されるポリアミドとしてPA12について説明する。ラウリンラクタム0.05〜3重量%と一以上のアミン、例えばモノアミン、好ましくはジもしくはポリアミンとしてヘキサメチレンジアミン、ドデカンジアミン、ラウロミン、ポリエチレンイミンなどと、5〜20重量%の水を加えて重合することにより得られる。重合条件は290〜330℃、20バールで1〜6時間または、通常窒素気流下260〜290℃で0.5〜6時間である。
【0077】
得られたポリアミドは相対粘度(0.5%クレゾール溶液で20℃で測定)2.0以下、好ましくは1.8以下で、末端アミノ基が20〜300μequ./g、好ましくは40〜300μequ./gで、末端カルボキシル基が20μequ./g以下、好ましくは15μequ./g以下である。
【0078】
このポリアミドは末端アミノ基が多く、温度200〜280℃のダブルスクリュータイプの押出成形により成形できる。金属モデレータを良好に分散させるために、このスクリュー混合時に添加され他の添加物とともに混練される。
【0079】
顆粒状の製品に乾燥する条件としては、110℃で24時間である。以下に本発明の実施例を記述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0080】
本発明に係るポリアミド
表1に末端アミノ基を有するポリアミド12(EMSケミーAG製)を示す。
【0081】
【表1】

【0082】
表2には、乾燥条件、溶融条件下で測定されたポリアミド成形材料のMVRの物性値が示されている。表2において、MM1はドデカン二酸ビス[2−(2−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド]。MM2は2',3−ビス[[3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]−プロピオンヒドラジドを示し、MMは金属モデレータ(metal moderator)である。
【0083】
相対粘度(0.5%m−クレゾール溶液)、MVR(230℃、2.16kg、溶融後4分)は標準条件下で乾燥された顆粒を用いて測定した。MVR測定に際しては溶融後10分または20分後に測定した値も示す。
【0084】
相対粘度(0.5%m−クレゾール溶液)は、MVR測定(標準条件で乾燥した顆粒を用いる)後に得られた材料を使用して測定した。
【0085】
顆粒は110℃で24時間乾燥したものが、相対粘度やMVRの測定に用いられた。
【0086】
熱負荷によるポリアミドの評価が表2には示されている。比較例のポリアミドは、温度が上昇すると粘度も増加し、小さな塊を形成するなど処理中に粘度が変化するので加工性に劣る。一方実施例1〜3はそのようなことはなく、加工性に優れることがわかる。
【0087】
表中の全てのポリアミドは保存前の接着性については優れている。しかし、125℃で3000時間保存した後では、実施例1〜3のみが要求を満足し得る。比較例のポリアミドで製造したスリーブ(4)は保存後の破壊テストで壊れてしまった。
【0088】
【表2】

【0089】
図1〜3は100℃、120℃、140℃で保存したときの衝撃引張強度を示したものである。そのグラフからは保存期間に従って、衝撃引張強度が変化していくことがわかる。
【0090】
測定の初期値から(表2の)比較例ではかなり低く、かなりの傾きで低下することがわかる。これに対して実施例2の場合にはそのようなことがなく、優れた保存耐久性があることが判る。
【0091】
図1〜3によれば、本発明の金属モデレータを使用することにより優れた加工特性だけでなく、機械的安定性に優れることが判るのである。
【0092】
本発明の光ファイバー(1)は少なくともコア(2)と1以上の多層クラッド(3)と、前記OW(2,3)を被覆するように少なくとも一つのスリーブ(4)を有する。クラッド(3)はフッ素化号物もしくはフッ素系ポリマーをベースとする多層クラッドであり、スリーブ(4)はポリアミドより成り、少なくともスリーブ(4)の一層が本発明の請求項1〜17に係るポリアミド成形材料をベースとする。
【0093】
本発明のスリーブ(4)は、フッ素化号物もしくはフッ素系ポリマーのクラッドに接着し、ポリアミド/ポリアミンの共重合体であってもよい。
【0094】
別の具体例では、さらにポリアミド成形材料のスリーブ(5)を、スリーブ(4)に接着させることができ、その材料は重縮合体または重合体の末端アミノ基が多いものでなくてもよい。
【0095】
また、別の具体例では、前記スリーブ(5)がポリアミド以外の重合体であってもよい。本発明のスリーブ(5)の材料としては、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、エチル−ビニルアセテート共重合体、ポリウレタン、ポリオキシメチレン、ポリエチレン、ポリエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリプロピレン共重合体、フッ素系ポリマー、フッ素系ポリマーコンパウンド、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、架橋可能なポリマーなどである。
【0096】
ポリオレフィンスリーブ(5)を使用する際に、必要であればスリーブ(4)とスリーブ(5)の接着力を増加するための材料を使用することもできる。この目的のために、公知のポリアミドの接着力増強剤が使用でき、またb、b、b(前記成分(B))を安定化剤として使用することもできる。
【0097】
スリーブ(5)に使用されるポリエチレンは、カルボキシル基、無水基、イミド基などの置換基を有してもよく、ポリエチレン共重合体でもよい。
【0098】
架橋性重合体は、過酸化物、シラン、ラジカル発生基などの架橋点を有する。その他のポリマーを組み合わせることもでき、例えば、ポリエチレン、ポリエチレン共重合体、高密度、中間の密度、低密度、直鎖状低密度ポリエチレン(LLD−PE)、メタロセンポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン共重合体、エチレンプロピレンゴムとポリプロピレンとの共重合体、ポリプロピレンとエチレンプロピレンゴムまたはポリウレタンとのブレンド物などがある。
【0099】
他の具体例として、スリーブ(5)がフッ素系ポリマー、フッ素系ポリマーのコンパウンド、架橋性ポリマー、ラジカル重合性ポリマーなどであってもよい。
【0100】
本発明に従うファイバーコア(2)は、ガラス、ポリカーボネート(PC)、フッ素系ポリマー、ポリグルタルイミド、ポリカーボネートとポリメチルメタクリレートとのブレンド物などよりなる。
【0101】
本発明の光ファイバーの具体例としては、スリーブ(4)とスリーブ(5)を共に有している。スリーブ(5)はカラーマーキングされた少なくとも一本の線状に形成されていてもよい。カラーマーキングは耐熱性を有し、成形時にも適用することができる。
【0102】
本発明の光ファイバー(1)は、光導波路(OW2,3)部分が75〜3000μmの径を有する。通常クラッド(3)の径は2000±120μm、または1000±60μm、または750±45μm、500±30μm、230±20μm、125±10μmが適当である。
【0103】
特別な例としてファイバーコア(2)が少なくとも8μm、最大で1000μm、好ましくは10〜100μm、より好ましくは20〜80μmであり、クラッド(3)の対応する径よりも小さい。
【0104】
光ファイバー(1)の外径は0.15〜5mmの範囲である。
【0105】
光ファイバー(1)の他の具体例としては複数の光導波路(OW)を含むことができる。
【0106】
本発明に従うファイバー(1)の具体的な構造は図4に示す。
【0107】
ファイバーは全体としてファイバーコア、クラッド、一つ以上のスリーブからなると理解される。ファイバーという語はOW、POF、GOFなどファイバーコアとクラッドを有するものであれば含まれる。
【0108】
PA12のような難燃性ポリアミド、あるいはポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエステルアミドなどのポリアミドエラストマーはスリーブ(5)の難燃化のために有効である。
【0109】
ここでファイバーの接着について定義する。スリーブに必要な接着力は以下の通りである。
・クラッドに対するスリーブ(4)の接着力(内径1mm、外径1.5mm)
≧50N(スリーブ4の長さ30mm当たり)
・スリーブ(4)に対するスリーブ(5)の接着力(内径1.5mm、外径2.3mm)
20±10N(スリーブ5の長さ30mm当たり)
【0110】
クラッドに対するスリーブの接着力を測定する方法は以下の通りである。
・ファイバー50mm長のスリーブを一部剥ぐ。但し接着部分として30mmを残すようにする。
・孔を有する真鍮の板に直接ファイバーを通す。前記孔径はスリーブ(4)の外径よりも約0.1mm大きな径を有する。
・ファイバーの末端を引張試験機にクリップする。(引張速度は100mm/minである)
・クラッドからスリーブ(4)を引き剥がす際の引張応力を測定する。
【0111】
本発明のファイバーについて、他の具体例を示す。
(光ファイバーポリマー(POF))
・POFのコアは直径980μm
・フッ素系ポリマーのクラッド層厚み:20μm、外径:1mm
・スリーブ1の層厚み:0.25mm、内径1mm、外径1.5mm
・スリーブ2の層厚み:0.35〜0.4mm、内径1.5mm、外径2.3mm
【0112】
(ガラス光ファイバー(GOF))
a)ポリマークラッドシリカ(PCSファイバー):内側から外側方向へ
・コア直径200μm
・クラッド直径230μm
・スリーブ直径500〜2000μm
b)ハードクラッドシリカ(HCSファイバー):内側から外側方向へ
・コア直径125〜400μm
・クラッド直径140〜430μm
・スリーブ直径250〜730μm
【0113】
(製品の被覆に用いる場合)
ファイバーコアとクラッドを有する光透過材には外部環境の影響および損傷防止の必要がある。そのためファイバーは個々にあるいはまとめてコーティングされており、スリーブとして以下のプラスチックが挙げられる。ポリエチレン(PE)、ポリビニルクロリド(PVC)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレンビニルアセテート共重合体(EH)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、あるいは、他の材料との組合せである。スリーブは一層もしくは多層に形成することができ、個々に異なる厚みを有することができる。
【0114】
スリーブは連続押出成形できる。巻き出し機(unwinder)の後に押出機を設け、スリーブの材料をファイバーとして押し出す。冷却機でファイバーを冷却しこれを巻き取り機(rewinder)により巻き取る。(A. Winert, Kunststofflichtwellenleiter: Grundlagen, Komponenten, Installation Publicis MCD Verlag, Erlangen and Munich, 1998, page 51)
【0115】
更に被覆製品は以下のようにして製造される。
1.別途設けられた最外層を製造する工程
2.いわゆるタンデム法(図5にはタンデム法による2層の被覆形成が示されている)によって、異なる押出機により連続して押出成形する工程
3.同時に1以上のスリーブが形成される。
【0116】
光導波路の被覆製造に当たり、特に温度、圧力、牽引力に注意する必要がある。光の減衰および幾何学的形状はこれらのパラメータにより影響され、ファイバーの光透過性を悪化するからである。
【0117】
クラッドに直接接着する第一スリーブの押出の間に、スリーブのポリマー材料が溶融しているのでPOFにとって温度の影響を受けやすくファイバーに損傷を与えるので、温度はできるだけ低い方が良く、たとえば160〜220℃の間で行うのがよい。例えばGOFや他のファイバーでは、処理温度は160〜250℃の範囲である。
【0118】
スリーブをチューブの被覆材に使用することもできる(Kunststofftechnik, Kabel und isolierte Leitungen, VDI-Verlag, Dusseldorf, 1984, page 71)。この場合、スリーブはファイバーコアのクラッドの外側のツールの更に外に適用される。この方法は、ファイバーコアとクラッドに余分な圧力がかからない。また、押出成形中も同様に圧力がかかることはない。
【0119】
適当なツール(ノズル、コアなど)を選択することにより、POFとスリーブの間の接着力を調整したり、さらにスリーブに最適な熱伝導性を与えるようにすることもできる。
【0120】
GOFは熱に対する影響がPOFより低いので、スリーブを形成する場合に円筒形のヒーターにより予熱して所望の接着力を達成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】図1は140℃に加熱保存した後の衝撃引張強度を示す図である。
【図2】図2は100℃に加熱保存した後の衝撃引張強度を示す図である。
【図3】図3は120℃に加熱保存した後の衝撃引張強度を示す図である。
【図4】図4は本発明に係るファイバーの構造を示す図である。
【図5】図5はタンデム法による二層コートの主概念図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素化合物またはフッ素系ポリマーをベースとするクラッドを有する光導波路のコーティング剤であって、少なくとも125℃、6000時間の耐熱安定性のためにポリアミド成形材料を使用する方法において、
(A)重合体または重縮合体であるポリアミドであって
脂肪族ラクタム(好ましくはC6〜12)または、ω-アミノカルボン酸(C3〜44、好ましくはC4〜18、より好ましくはC12)または、C7〜20の芳香族アミノカルボン酸、をベースとする前記ポリアミド、
もしくはC2〜44の少なくとも一種のジアミンとC2〜44の少なくとも一種のジカルボン酸との重縮合体であって、
前記ジアミンが、好ましくはC2〜18の脂肪族ジアミン、C7〜22の環状脂肪族ジアミンから選択され、
前記ジカルボン酸が、C3〜44の脂肪族ジカルボン酸、C8〜24の環状脂肪族ジカルボン酸、C8〜20の芳香族ジカルボン酸から選択され、
末端アミノ基を多数有する重合体または重縮合体である前記ポリアミドと、
(B)前記ポリアミドに対して0.01〜2重量%の銅含有安定剤(b)、または立体障害フェノールとHALS安定剤の組合せ(b)、または立体障害フェノール(b)と、(C)前記ポリアミドに対して0〜3重量%、好ましくは0.01〜3重量%の、金属と複合体を形成する(酸アミド、オキシアミド、オキサルアニリド、ヒドラジン、酸ヒドラジド、ベンゾトリアゾールなどのヒドラゾン、硫黄含有亜リン酸より選択される少なくとも一種の)有機化合物とで、
前記(A)と(B)と(C)の合計が100重量%であり
(D)1種以上の機能性ポリマー(好ましくは機能性ポリオレフィン、機能性ポリオレフィン共重合体)を前記(A)と(B)と(C)の合計に対して0〜45重量%、好ましくは0〜25重量%添加した、
前記各成分を含むポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項2】
前記成分(A)の重合体または重縮合体が、前記ポリアミドに対して末端アミノ基を20〜300μequ./g、特に40〜300μequ./g含有し、
前記ポリアミドに対して末端カルボキシル基を20μequ./g以下、特に15μequ./g以下の量含有する、
請求項1記載のポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項3】
前記成分(A)のポリアミドが、0.5%m−クレゾール溶液中、20℃で測定した相対粘度が、2.0以下、特に1.8以下、より好ましくは1.4〜1.8の範囲である、請求項1または2に記載のポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項4】
前記ジアミンが、エチレンジアミン、1,4ジアミノブタン、1,6ジアミノヘキサン、1,10ジアミノデカン、1,12ジアミノドデカン、m−またはp−キシレンジアミン、シクロヘキシルジメチレンジアミン、ビス−(p−アミノシクロヘキシル)メタン、およびそれらのアルキル誘導体から選択される一種以上であり、
前記ジカルボン酸が、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,6シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸から選択される一種以上である、
請求項1乃至3のいずれかに記載のポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項5】
前記成分(A)のポリアミドが、PA6、PA11、PA46、PA66、PA12、PA1212、PA1012、PA610、PA612、PA69、PA6T、PA6I、PA10T、PA12T、PA12Iより選択されるホモポリアミドまたはそれらの混合物、
または、PA11、PA12、PA610、PA612、PA1212、PA9T、PA10T、PA12Tより選択されるホモポリアミドをベースとする共重合体、特に共重合体としては、PA12TとPA12、PA10TとPA12、PA12TとPA610、PA12TとPA106、PA10TとPA610、PA10TとPA106の共重合体が好ましい、
請求項1乃至4のいずれかに記載のポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項6】
前記ポリアミドが、PA6とPA66、PA6とPA612、PA6とPA66とPA610、PA6とPA66とPA12、PA6とPA6T、PA66とPA6T、PA6とPA6I、PA6IとPA6Tのポリアミドである、
請求項1乃至5のいずれかに記載のポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項7】
前記成分(A)のポリアミドが、ポリアミド/ポリアミンの共重合体であって、該共重合体のポリアミドの部分が、C6〜12の脂肪酸ラクタム、ω−アミノカルボン酸(C3〜44、好ましくはC4〜18、より好ましくはC12)、或いはC7〜20の芳香族アミノカルボン酸をベースとする、
請求項1乃至6のいずれかに記載のポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項8】
前記ポリアミドに添加剤として、UV安定化剤、加熱安定化剤、結晶化促進剤、可塑剤、難燃剤、衝撃吸収剤、充填剤、潤滑剤の一種以上を含む、
請求項1乃至7のいずれかに記載のポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項9】
前記難燃剤が、ハロゲンフリーの難燃剤から選択され、特に窒素またはリンをベースとし、
好ましくは、次亜リン酸、メラミンシアヌレート、トリアリルフォスフェートのうちの一種である、
請求項8に記載のポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項10】
ポリアミド/ポリアミンの共重合体の製造に使用する前記ポリアミドが、ポリビニルアミン、ポリケトンから誘導されるポリアミン、デンドリマー、直鎖状または分枝状ポリエチレンイミンのいずれかを使用する、
請求項1乃至9のいずれかに記載のポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項11】
ポリアミド/ポリアミンの共重合体の製造に使用する前記ポリアミンが、直鎖状または分枝状ポリエチレンイミンのいずれかであり、
該イミンの分子量が500〜25000g/mol、好ましくは800〜5000g/molであり、その粘度は20℃において1200〜5000mPa・sである、
請求項10に記載のポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項12】
前記ポリアミド成型材料がポリアミンを含み、該ポリアミンとして特にポリエチレンイミンが好適であって、ポリアミド/ポリアミン共重合体の成分として0.2〜5重量%、より好ましくは0.4〜1.5重量%の量で用いられ、残部がポリアミドである、
請求項1乃至11のいずれかに記載のポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項13】
前記銅含有安定剤(b)が、ハロゲン化アルカリ塩と、
ハロゲン化銅(I)、銅(I)ステアレート、酸化銅(I)のうち少なくとも一つとの組合せであり、
ハロゲン化アルカリ塩と、前記銅(I)化合物の合計との比は、2.5:1〜100:1の範囲である、
請求項1乃至12のいずれかに記載のポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項14】
前記金属との複合体成分(C)は、銅(I)化合物の合計に対してモル比0.5:1〜3:1の範囲であり、
前記成分(C)は成分(b)の銅の量と少なくとも等モル量である、
請求項1乃至13のいずれかに記載のポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項15】
前記成分(C)が、N,N'−ビス[3−(3,5)−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−ヒドラジド、2,2'−オキサミド−ビス[エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3−(サリシロイルアミノ)−1,2,4−トリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、トリアリルトリアゾール、ドデカンニ酸ビス[2−(2−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド]、トリス[2−t−ブチル−4'−チオ(2'−メチル−4'−ヒドロキシ−5'−t−ブチル)−フェニル−5−メチル]フェニル−フォスフェートから選択される一種以上を含む、
請求項1乃至14のいずれかに記載のポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項16】
前記HALS安定剤が、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバステート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバステート、ポリ[1−(2'−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジニルスクシネート]、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]−1,6−ヘキサンジイル[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]]から選択される一種以上である、
請求項1乃至15のいずれかに記載のポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項17】
前記成分(D)が、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体の少なくとも一方であり、
アクリル酸、スクシニル酸無水物、マレイン酸無水物の少なくとも一種でグラフトされた、
請求項1乃至15のいずれかに記載のポリアミド成形材料の使用方法。
【請求項18】
ファイバーコア(2)と一層以上のクラッド(3)と、前記光導波路(2,3)を被覆する少なくとも一つのスリーブ(4)を含む、少なくとも一つの光導波路(OW)(2,3)を有する光ファイバー(1)であって、
前記クラッド(3)またはその最外層がフッ素化合物またはフッ素系ポリマーをベースとし、
前記スリーブ(4)がポリアミドを含み、
前記少なくとも一つのスリーブ(4)が請求項1乃至17のいずれかに記載の一層以上のポリアミド成形材料をベースとすることを特徴とする、光ファイバー(1)。
【請求項19】
フッ素化合物またはフッ素系ポリマーのクラッドに接着する前記スリーブ(4)が、ポリアミド/ポリアミン共重合体よりなる、請求項18記載の光ファイバー(1)。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれかに記載のポリアミド成形材料で末端アミノ基を多くは有しない重縮合体または重合体であって、前記スリーブ(4)に接着して少なくとも一層のスリーブ(5)形成する、請求項18または19に記載の光ファイバー(1)。
【請求項21】
スリーブ(4)に接着するスリーブ(5)が、ポリアミド以外の別のポリマーである請求項18または19に記載の光ファイバー(1)。
【請求項22】
スリーブ(4)に接着するスリーブ(5)が、フッ素系ポリマー、フッ素系ポリマーコンパウンド、架橋性ポリマー(特にラジカル架橋性ポリマー)のいずれかを含む請求項21に記載の光ファイバー(1)。
【請求項23】
ファイバーコア(2)がガラス、ポリカーボネート(PC)、フッ素系ポリマー、ポリグルタルイミド、ポリカーボネートとポリメチルメタクリレート(PMMA)とのブレンド物、のいずれか一種以上よりなる、請求項18〜22に記載の光ファイバー(1)。
【請求項24】
光導波路(OW)(2,3)の外径が75〜3000μmである、請求項18〜23に記載の光ファイバー(1)。
【請求項25】
クラッド(3)の外径が、2000±120μm、または1000±60μm、または750±45μm、500±30μm、230±20μm、125±10μmのいずれかである、請求項18〜24に記載の光ファイバー(1)。
【請求項26】
ファイバーコア(2)の外径が8〜1000μm、好ましくは10〜100μm、より好ましくは20〜80μmでクラッド(3)の外径よりも小さい、請求項18〜25に記載の光ファイバー(1)。
【請求項27】
光ファイバー(1)の外径が0.15〜5mmである、請求項18〜26に記載の光ファイバー(1)。
【請求項28】
複数の光導波路(OW)(2,3)を有する、請求項18〜27に記載の光ファイバー(1)。
【請求項29】
スリーブ(4)とスリーブ(5)を有し、スリーブ(5)がカラーマークを形成する一本以上のストライプであり、該カラーマークが押出成形時の温度に対して耐熱性を有する、請求項18〜28に記載の光ファイバー(1)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2008−513818(P2008−513818A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531710(P2007−531710)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010152
【国際公開番号】WO2006/032465
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(500477104)イーエムエス ケミー アクチエン ゲゼルシャフト (5)
【Fターム(参考)】