説明

安定化単一ドメイン抗体

【課題】 本発明は、治療用および/または診断用標的を対象とする少なくとも1個の単一ドメイン抗体、ならびに血清蛋白質を対象とする少なくとも1個の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物であって、前記構築物の生体循環系における存在期間が長期である構築物に関する。さらに、本発明は、生体循環系においてVHHを安定化させる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1個または複数の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物、in vivoで安定性が改良されている前記構築物、ならびに診断および治療でのその使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
ポリペプチド治療薬、特に抗体を基にした治療薬は、薬物として著しい潜在能力を有している。というのは、これらの治療薬は、その標的に対して極めて優れた特異性を有し、固有の毒性も低いからである。しかし、治療薬として有効であるためには、その薬物動態プロフィールを最適化すべきである。現在の抗体適用例の大部分は、急性疾患向けである。しかし、慢性症状用に抗体治療薬を開発する機会は多数ある。これには、長期にわたって多量の蛋白質が必要となる。哺乳動物細胞中での抗体産生費用は高いので、これらの適用例に向けての従来の抗体治療薬の開発は魅力の乏しいものであった。代替の手法によって酵母や細菌などの微生物発現系でFabや一本鎖Fvなどの抗体断片が発現されている。しかし、これらの断片は、in vivoでの循環時間が非常に短い。
【0003】
血中での蛋白質およびペプチドの循環を高める初期の手法のいくつかは、PEG化(US4,179,337号)など、化学的改変に基づいている。このような生成物の例には、PEGイントロン、すなわち、HCVの治療にPEG化インターフェロンα‐2b、およびPEG改変抗体による慢性疾患の治療(A.P Chapman、Adv.Drug Delivery Reviews(2002),54,531‐545)がある。しかし、そのような化学的方法には、ある種のアミノ酸側鎖の化学的変化のための標的蛋白質またはペプチドの不活化や、化学反応中に標的蛋白質/ペプチドが不安定であることなど、いくつかの短所がある。
【0004】
これらの限界を克服するために、第一に、従来にない、または改変した蛋白質を使用することによって、第二に、in vivoで半減期を延長するための代替方法を使用することによって、代替手法が開発されている。したがって、本質的に安定した蛋白質骨格を選択すること、および高濃度で生じる、免疫グロブリンやアルブミンなどの血漿蛋白質にそのような骨格を結合させる方法を提供することによって、蛋白質薬物の安定化を実施することができる。血漿蛋白質に結合させることは、一般に、分子の薬物動態特性を改善するための有効な手段であり得る。より正確には、蛋白質の半減期を改善するためのアルブミンへの結合が、M.S.Dennisら(J.Biol.Chem.33,2383‐90,2002)、「血清アルブミンに親和性を有する単離ペプチド(Isolated peptides having affinity for serum albumin)」に記載されている。Fab分子に結合させると、PEG化Fabの半減期に匹敵する半減期が得られた。IgGまたは血清アルブミンに親和性であるペプチドリガンドが開示されている(WO01/45746号)。Cemu Bioteknik社(Nygren、Wigzell、Uhlen、EP486525B1号、US6,267,964号)は、活性蛋白質またはペプチドと、血清アルブミン(たとえばStaph A)に結合する細菌起源のポリペプチドとの融合体を説明した。これらのペプチドを基にした手法の欠点は、ペプチドが適正に折り畳まれ、かつ治療用蛋白質に融合した場合、血清アルブミンに結合することが可能でなければならないことである。したがって、これらのペプチドは、本質的に不安定であり、従来の抗体での事例のように、ナノモル以下または低ナノモル範囲ではなく、マイクロモル以下の範囲で親和性を有する。従来の抗体分子など、大型の蛋白質の一部として、これらのペプチドのアルブミンへの結合は立体的に阻害されかねない。
【0005】
2個の機能単位を有する代替ハイブリッド分子は異種特異的抗体に基づく。そのようなハイブリッドは、標的に特異性および親和性を有する第1の実体、およびアルブミンなどの血清蛋白質に特異性および親和性を有する第2の実体を有する、二機能性または異種特異的抗体構築物からなるはずである。しかし、従来の抗体またはFab断片に基づく、そのような異種特異的構築物には、以下のようないくつかの重大な欠点がある。これらは、複雑であり、2個のポリペプチド鎖(VHおよびVL)から構成される大きい分子であり、したがって哺乳動物発現系で多量に産生するには困難であり、高価なものとなる。さらに、4本鎖(2本のVHおよび2本のVL)から構成される二機能性抗体の産生は、非生産的VH‐VLの組合せを有する分子をもたらし、結果として活性が消失するという固有の危険がある。二重特異性抗体や二機能性scFvなど、従来の抗体のペプチド誘導体に基づく結果を混ぜ合わせた、いくつかの代替法が試行されてきた(WO0220615号、WO9413804号、WO9119739号、WO9409131号)。Holligerら(Nature Biotech.15,632‐636,1979)は、血清免疫グロブリン(IgG)に二重特異性抗体(従来の抗体に由来する二重特異性構築物)の抗体断片の1つを結合することによって、そのような二重特異性抗体の血清滞留時間が延長することを示唆しているが、血清IgGではなく血清蛋白質に対する抗体を使用し、二重特異性抗体を安定化できるとは示唆していない。二重特異性抗体は、その露出表面の粘着性、および異なる4つのV領域(2つのVH+2つのVL)間の非生産的会合のために産生が本質的に難しいことが知られている。
【0006】
たとえば、EP0793506B1号、US5,612,034号、同6,103,233号、およびUS20020009441号に開示されている、血清蛋白質または細胞と安定した共有結合を形成する反応基を使用する、血清蛋白質への共有結合には、反応基による望ましくない標的の修飾という本質的な欠点がある。
【0007】
アルブミンなどの大型で長命な蛋白質への融合体(Syedら、Blood、89,3243‐3252(1997)、Yehら、PNAS、89,1904‐1908(1992)、Celltech(WO0027435号))、アルブミンポリペプチドのN末端融合体(Delta Biotech/HGS、US5,380,712号、US5,766,883号)、またはIgGのFc部分のN末端融合体(Caponら、Nature,337,525‐531(1989)、Ashkenaziら、Curr.Op.Immunol.9,195‐200(1997)が記載されてきた。そのような融合体は、産生が非効率的であり、望ましくない免疫反応が引き起こされるという欠点がある。
【0008】
インターフェロンの血清半減期を延長するためのインターフェロンとモノクローナル抗体の複合体が、US5,055,289号に記載されている。そのような手法には、インターフェロンの生体活性を損なうという本質的な危険がある。構築物の大きさが、立体障害問題を引き起こすからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
当業界の治療用抗体の問題、すなわち、in vivoでの短い半減期、不十分な折畳み、発現不足、および不十分な安定性を克服する治療用異種特異的抗体ポリペプチド構築物を提供することが本発明の目的である。さらに、前記異種特異的抗体を得る方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、
治療用および/または診断用標的を対象とする少なくとも1個の単一ドメイン抗体、ならびに
血清蛋白質を対象とする少なくとも1個の単一ドメイン抗体を含むポリペプチド構築物である。
【0011】
本発明の別の実施形態は、
抗標的単一ドメイン抗体数が少なくとも2個であり、かつ
該少なくとも2個の抗標的単一ドメイン抗体が同じ配列を共有しない、または該抗標的単一ドメイン抗体が全て、同じ配列を共有する上記のポリペプチド構築物である。
【0012】
本発明の一実施形態は、
抗血清蛋白質単一ドメイン抗体数が少なくとも2個であり、かつ
該少なくとも2個の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体が同じ配列を共有しない、または該抗血清蛋白質単一ドメイン抗体が全て、同じ配列を共有する上記のポリペプチド構築物である。
【0013】
本発明の一実施形態は、少なくとも1個の単一ドメイン抗体が、ラクダ科VHH抗体である上記のポリペプチド構築物である。
【0014】
本発明の一実施形態は、少なくとも1個の単一ドメイン抗体が、ヒト化ラクダ科VHH抗体である上記のポリペプチド構築物である。
【0015】
本発明の一実施形態は、前記血清蛋白質が、血清アルブミン、血清免疫グロブリン、チロキシン結合蛋白質、トランスフェリング、またはフィブリノーゲン、あるいはそれらの断片のどれかである上記のポリペプチド構築物である。
【0016】
本発明の一実施形態は、単一ドメイン抗血清蛋白質抗体が、配列番号1〜4および28〜40のどれかによって表される配列に対応する上記のポリペプチド構築物である。
【0017】
本発明の一実施形態は、標的が、TNFαである上記のポリペプチド構築物である。
【0018】
本発明の一実施形態は、配列番号5〜18のどれかによって表される配列に対応する上記のポリペプチド構築物である。
【0019】
本発明の一実施形態は、前記ポリペプチド構築物が、前記ポリペプチド構築物の相同配列、前記ポリペプチド構築物の機能部分、または前記ポリペプチド構築物の機能部分の相同配列である上記のポリペプチド構築物である。
【0020】
本発明の一実施形態は、上記のポリペプチド構築物をコードする核酸である。
【0021】
本発明の一実施形態は、炎症過程に関連付けられる疾患の治療、予防、および/または緩和に使用するための、上記のポリペプチド構築物または上記の核酸である。
【0022】
本発明の一実施形態は、炎症過程に関連付けられる疾患を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための上記のポリペプチド構築物または上記の核酸の使用である。
【0023】
本発明の一実施形態は、前記疾患が、リューマチ性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、および多発性硬化症のどれかである、上記のポリペプチド構築物または核酸、あるいは上記のポリペプチド構築物の使用である。
【0024】
本発明の一実施形態は、前記ポリペプチド構築物が、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸、経皮下的に、または吸入によって投与される、上記のポリペプチド構築物または核酸、あるいは上記のポリペプチド構築物の使用である。
【0025】
本発明の一実施形態は、標的が、vWFである上記のポリペプチド構築物である。
【0026】
本発明の一実施形態は、標的が、コラーゲンである上記のポリペプチド構築物である。
【0027】
本発明の一実施形態は、少なくとも1個の抗標的単一ドメイン抗体が、抗vWF VHHである上記のポリペプチド構築物である。
【0028】
本発明の一実施形態は、配列番号19〜21のどれかによって表される配列に対応する上記のポリペプチド構築物である。
【0029】
本発明の一実施形態は、前記ポリペプチド構築物が、前記ポリペプチド構築物の相同配列、前記ポリペプチド構築物の機能部分、または前記ポリペプチド構築物の機能部分の相同配列である上記のポリペプチド構築物である。
【0030】
本発明の一実施形態は、上記のポリペプチド構築物をコードする核酸である。
【0031】
本発明の一実施形態は、血小板介在凝集またはその機能異常に関連付けられる疾患または状態の治療、予防、および/または緩和に使用するための、上記のポリペプチド構築物または上記の核酸である。
【0032】
本発明の一実施形態は、血小板介在凝集またはその機能異常に関連付けられる疾患または状態を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための上記のポリペプチド構築物または上記の核酸の使用である。
【0033】
本発明の一実施形態は、前記疾患が、脳虚血発作、不安定狭心症、脳梗塞、心筋梗塞、末梢動脈閉塞性疾患、再狭窄のどれかであり、前記状態が冠動脈バイパス術、冠動脈弁置換術;および血管形成術、ステント術、粥腫切除などの冠血管処置から生じている状態である、上記のポリペプチド構築物または核酸、あるいは上記のポリペプチド構築物または核酸の使用である。
【0034】
本発明の一実施形態は、前記ポリペプチド構築物が、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸、経皮下的に、または吸入によって投与される、上記のポリペプチド構築物または核酸、あるいは上記のポリペプチド構築物の使用である。
【0035】
本発明の一実施形態は、標的が、IgEである上記のポリペプチド構築物である。
【0036】
本発明の一実施形態は、少なくとも抗標的単一ドメイン抗体が、抗IgE VHHである上記のポリペプチド構築物である。
【0037】
本発明の一実施形態は、配列番号22〜24のどれかによって表される配列に対応する上記のポリペプチド構築物である。
【0038】
本発明の一実施形態は、前記ポリペプチド構築物が、前記ポリペプチド構築物の相同配列、前記ポリペプチド構築物の機能部分、または前記ポリペプチド構築物の機能部分の相同配列である上記のポリペプチド構築物である。
【0039】
本発明の一実施形態は、上記のポリペプチド構築物をコードする核酸である。
【0040】
本発明の一実施形態は、アレルギー反応に関連付けられる疾患または状態の治療、予防、および/または緩和に使用するための、上記のポリペプチド構築物または上記の核酸である。
【0041】
本発明の一実施形態は、アレルギー反応に関連付けられる疾患または状態を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、上記のポリペプチド構築物または上記の核酸の使用である。
【0042】
本発明の一実施形態は、前記疾患が、枯草熱、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚反応、アレルギー性眼反応、および食事性アレルギーのどれかである、上記のポリペプチド構築物または核酸、あるいは上記のポリペプチド構築物または核酸の使用である。
【0043】
本発明の一実施形態は、前記ポリペプチド構築物が、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸、経皮下的に、または吸入によって投与される、上記のポリペプチド構築物または核酸、あるいは上記のポリペプチド構築物の使用である。
【0044】
本発明の一実施形態は、標的が、IFNγである上記のポリペプチド構築物である。
【0045】
本発明の一実施形態は、少なくとも1個の抗標的単一ドメイン抗体が、抗IFNγ VHHである上記のポリペプチド構築物である。
【0046】
本発明の一実施形態は、配列番号25〜27によって表される配列に対応する上記のポリペプチド構築物である。
【0047】
本発明の一実施形態は、前記ポリペプチド構築物が、前記ポリペプチド構築物の相同配列、前記ポリペプチド構築物の機能部分、または前記ポリペプチド構築物の機能部分の相同配列である上記のポリペプチド構築物である。
【0048】
本発明の一実施形態は、上記のポリペプチド構築物をコードする核酸である。
【0049】
本発明の一実施形態は、免疫系が、過敏である疾患または状態の治療、予防、および/または緩和に使用するための、上記のポリペプチド構築物または上記の核酸である。
【0050】
本発明の一実施形態は、免疫系が、過敏である疾患または状態を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、上記のポリペプチド構築物または上記の核酸の使用である。
【0051】
本発明の一実施形態は、前記疾患が、クローン病、自己免疫疾患、臓器移植拒絶、さらにリューマチ性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症などの炎症性疾患のどれかである、上記のポリペプチド構築物または核酸、あるいは上記のポリペプチド構築物または核酸の使用である。
【0052】
本発明の一実施形態は、前記ポリペプチド構築物が、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸、経皮下的に、または吸入によって投与される、上記のポリペプチド構築物または核酸、あるいは上記のポリペプチド構築物の使用である。
【0053】
本発明の一実施形態は、上記のポリペプチド構築物もしくは該ポリペプチド構築物をコードする核酸、および薬剤として許容されるビヒクルを含む組成物である。
【0054】
本発明の一実施形態は、上記のポリペプチド構築物もしくは該ポリペプチド構築物をコードする核酸、および薬剤として許容されるビヒクルを含む組成物である。
【0055】
本発明の一実施形態は、上記のポリペプチド構築物もしくは該ポリペプチド構築物をコードする核酸、および薬剤として許容されるビヒクルを含む組成物である。
【0056】
本発明の一実施形態は、前記標的が疾患の過程に関与している単一標的を対象とする上記のポリペプチド構築物である。
【0057】
本発明の一実施形態は、前記ポリペプチド構築物が、前記ポリペプチド構築物の相同配列、その機能部分、またはその機能部分の相同配列である、上記のポリペプチド構築物である。
【0058】
本発明の一実施形態は、上記のポリペプチド構築物をコードする核酸である。
【0059】
本発明の一実施形態は、前記標的が関与する疾患または状態の治療、予防、および/または緩和に使用するための、上記のポリペプチド構築物または上記の核酸である。
【0060】
本発明の一実施形態は、前記標的が関与する疾患または状態を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、上記のポリペプチド構築物または上記の核酸の使用である。
【0061】
本発明の一実施形態は、循環から急速には排出されない治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための、上記のポリペプチド構築物または上記の核酸である。
【0062】
本発明の一実施形態は、循環から急速には排出されない治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、上記のポリペプチド構築物または上記の核酸の使用である。
【0063】
本発明の一実施形態は、長期間循環中で活性を維持し続ける治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための、上記のポリペプチド構築物または上記の核酸である。
【0064】
本発明の一実施形態は、長期間循環中で活性を維持し続ける治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、上記のポリペプチド構築物または上記の核酸の使用である。
【0065】
本発明の一実施形態は、前記ポリペプチド構築物が経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸、経皮下的に、または吸入によって投与される、上記のポリペプチド構築物または核酸、あるいは上記のポリペプチド構築物または核酸の使用である。
【0066】
本発明の一実施形態は、上記のポリペプチド構築物もしくは上記の核酸、および薬剤として許容されるビヒクルを含む組成物である。
【0067】
本発明の一実施形態は、
(a)上記のポリペプチドをコードすることができる核酸を含む宿主細胞をポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養するステップ、および
(b)産生されたポリペプチドを培養物から回収するステップ
を含む上記の産生方法である。
【0068】
本発明の一実施形態は、前記宿主細胞が細菌または酵母である上記の方法である。
【0069】
本発明の一実施形態は、対象の血流中の単一ドメイン抗体の半減期を延長するための方法であって、その抗体に血清蛋白質を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体を結合することによって、前記抗体が治療用および/または診断用標的を対象とする方法である。
【0070】
本発明の一実施形態は、前記抗標的単一ドメイン抗体が同じ配列を共有しない上記の方法である。
【0071】
本発明の一実施形態は、前記抗血清蛋白質単一ドメイン抗体が同じ配列を共有しない上記の方法である。
【0072】
本発明の一実施形態は、前記単一ドメイン抗体がラクダ科VHH抗体である上記の方法である。
【0073】
本発明の一実施形態は、前記血清蛋白質が血清アルブミン、血清免疫グロブリン、チロキシン結合蛋白質、トランスフェリング、またはフィブリノーゲン、あるいはそれらの断片のどれかである上記の方法である。
【0074】
本発明の一実施形態は、前記血清蛋白質が配列番号1〜4のどれかに対応する配列、相同配列、その機能部分、またはその機能部分の相同配列を含む上記の方法である。
【0075】
本発明の一実施形態は、上記のポリペプチドもしくは該ポリペプチドをコードすることができる核酸、および薬剤として許容されるビヒクルを含む組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0076】
本発明は、それぞれが対象の血清蛋白質を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体、およびそれぞれが標的分子を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物に関し、ならびに抗標的単一ドメイン抗体がそのような構築物の一部ではない場合の半減期と比較して、前記対象の循環中で構築物の半減期が極めて長期であるという知見に関する。
【0077】
単一ドメイン抗体は、その相補性決定領域が単一ドメインポリペプチドの一部である抗体である。例には、それだけには限らないが、重鎖抗体、元々軽鎖を欠く抗体、従来の4本鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体、設計された抗体、および抗体に由来する骨格ではない単一ドメイン骨格が含まれる。単一ドメイン抗体は、当該技術の単一ドメイン抗体のどれでも、またはどんな未来の単一ドメイン抗体でもよい。単一ドメイン抗体は、それだけには限らないが、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤギ、ウサギ、ウシを含むどんな種からも得ることができる。本発明の一態様によれば、本明細書で使用される単一ドメイン抗体は、軽鎖を欠く重鎖抗体として知られている自然に存在する単一ドメイン抗体である。そのような単一ドメイン抗体は、たとえば、WO9404678号に開示されている。明瞭にするために、従来の4本鎖免疫グロブリンのVHと区別するために、本明細書では元々軽鎖を欠く重鎖抗体に由来するこの可変ドメインをVHHまたはナノ体として示す。そのようなVHH分子は、ラクダ科種、たとえば、ラクダ、ヒトコブラクダ、アルパカ、およびグアナコで生じた抗体から得ることができる。ラクダ科に加え他の種も元々軽鎖を欠く重鎖抗体を産生することができ、そのようなVHHも本発明の範囲に属する。
【0078】
標的を対象とするポリペプチド構築物の1個または複数の単一ドメイン抗体は、同じ配列のものでよい。あるいは、それらの抗体は、すべてが同じ配列を有していなくてもよい。すべてが同じ配列を共有しなくてよいが、同じ標的、その断片、あるいはその1種または複数の抗原を対象とする抗標的単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物は本発明の範囲に属する。
【0079】
本発明によれば、異種特異的分子の結合活性および/または親和性を増大するための、複数の抗標的および/または抗血清蛋白質単一ドメイン抗体の利用方法が提供される。この方式で、本発明にしたがって改変した分子の血清半減期は延長することができる。そのような改変によって特定の治療分子の治療空白(therapeutic window)が変更され、かつ/または延長される。血清蛋白質に特異的なペプチド、多価形態では産生が困難である二重特異性抗体、(PEG化やアシル化などの)化学的修飾を使用する場合など、当該技術分野の代替方法ではこの融通性は得られない。
【0080】
血清蛋白質を対象とする、ポリペプチド構築物の1個または複数の単一ドメイン抗体は同じ配列でよい。あるいは、これらの抗体は、すべてが同じ配列を有していなくてもよい。すべてが同じ配列を共有しなくてよいが、血清蛋白質、その断片、またはその1種または複数の抗原を対象とする抗血清蛋白質単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物は本発明の範囲内に属する。
【0081】
別の実施形態では、ポリペプチド構築物の1個または複数の抗標的単一ドメイン抗体は、1種を超える標的(たとえば、vWFやコラーゲン)を対象とすることができる。同様に、ポリペプチド構築物の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体は、1種を超える血清蛋白質(たとえば、血清アルブミンやフィブリノーゲン)を対象としてよい。
【0082】
本発明により、さらに当業者に知られているVHHは、WO9404678号に記載されている、ラクダ科に由来する免疫グロブリンなど、元々軽鎖を欠く免疫グロブリンに由来する重鎖可変ドメインである(以後、VHHドメインまたはナノ体と呼ぶ)。VHH分子は、IgG分子の約10分の1の大きさである。これらは、単一ポリペプチドであり、極端なpHおよび温度条件に耐えて非常に安定している。さらに、これらは、プロテアーゼの作用にも耐性であり、この耐性は従来の抗体では見られない。さらに、VHHのin vitroでの発現では、高収量で好適に折り畳まれた機能性VHHが産生される。さらに、ラクダ科で生じた抗体は、抗体ライブラリを用いて、またはラクダ科以外の哺乳動物の免疫化によって、in vitroで生じた抗体によって認識されるエピトープ以外のエピトープを認識する(WO9749805号)。そのようなものとして、抗アルブミンVHHは、より効率的な方式で担体蛋白質であることが知られている血清アルブミンと相互に作用し得る。担体蛋白質として、血清アルブミンのエピトープのいくつかは、結合した蛋白質、ペプチド、および小化合物が利用することができない。VHHは、「異常な」または従来にはない陥凹部などのエピトープに結合(WO9749805号)することが知られているので、循環アルブミンへのそのようなVHHの親和性は増大し得る。
【0083】
本発明は、1個または複数の対象の血清蛋白質を対象とする1個または複数のVHH、ならびに前記対象の1個または複数の標的分子を対象とする1個または複数のVHHを含む異種特異的ポリペプチド構築物は、驚くべきことに、抗標的VHHが前記構築物の一部でない場合の半減期と比較して、前記対象の循環で半減期が極めて長期であるという知見にも関する。さらに、そのような長期の半減期は、アルブミンに特異的な低親和性ペプチドを使用した場合(Dennisら、JBC,277,35035号)の数時間と比較して、高親和性抗血清アルブミンVHHのために数日という範囲である。半減期の延長は、本発明者らにより本明細書で、たとえば、実施例16で、および配列番号5によって表されるポリペプチドによって実証される。さらに、前記構築物は、少なくとも19日間マウスで依然として無傷でいられる高安定性(実施例16)、極端なpH耐性、高温安定性、高標的親和性など、VHHと同じ好都合な特性示すことが判明した。
【0084】
本発明による標的は、本発明の異種特異的ポリペプチド構築物に結合することができる任意の生体物質である。標的は、たとえば、蛋白質、ペプチド、核酸、オリゴ核酸、糖類、多糖類、糖蛋白でよい。例には、それだけには限らないが、治療用標的、診断用標的、受容体、受容体リガンド、ウイルスコート蛋白質、免疫系蛋白質、ホルモン、酵素、抗原、細胞シグナル伝達蛋白質、またはそれらの断片が含まれる。標的は、未変性蛋白質、またはそれらの断片、その相同配列、その機能部分、または相同配列機能部分でよい。
【0085】
単一ドメイン抗体、特にVHHの特性は、マウス、ヒツジ、ヤギ、ウサギなどの供給源に由来する抗体(すなわち従来の抗体)およびそのヒト化誘導体の特性に有利に匹敵する。従来の抗体は、室温で安定しておらず、必須の冷蔵研究設備、冷蔵庫、および冷蔵輸送が不可欠であり、調製および貯蔵は冷蔵しなければならず、このことは時間および費用の上昇の一因となる。発展途上国では、冷蔵が実施不可能な場合もある。さらに、前記抗体の作製または小規模産生は高価である。というのは、無傷で活性な抗体の発現に必要な哺乳動物細胞系は、時間および装置の点で高度の支援が必要であるが収量は極めて少ないからである。さらに、従来の抗体の結合活性はpH次第であり、したがって、たとえば、胃出血の治療や胃手術など、通常の生理pH範囲外の環境における使用には不適当である。さらに、従来の抗体は、低pHまたは高pHで不安定であり、したがって経口投与には適当でない。しかし、VHHは、極端なpH、変性試薬、高温などの過酷な条件に耐えることが実証されているので(Ewert S.ら、Biochemistry、2002年3月19日、41(11),3628‐36)、それらの抗体は経口投与による送達に相応しいものとなる。さらに、従来の抗体の結合活性は、温度次第であり、したがって生体活性温度範囲外(たとえば、37±20?C)の温度で実施するアッセイやキットで使用するのには不適当である。
【0086】
さらに、VHHは、より溶解性であり、それは従来の抗体と比較してより高濃度で貯蔵および/または投与できることを意味している。本発明のポリペプチドは、通常の生理範囲を超えたpHおよび温度でも結合活性を保持し、それは極端なpHおよび温度条件でペプチドを使用できることを意味し、その極端な条件とは胃手術、胃出血の制御、室温で実施する検定など、血小板介在凝集の調節を必要とするものである。本発明のポリペプチドは、極端なpHで長期の安定性も示し、これは経口投与による送達に適当であることを意味している。高価な哺乳動物細胞培養施設も必要とする従来の抗体とは異なって、本発明のポリペプチドは、大腸菌や酵母などの好都合な組換え宿主生物中で発酵によって費用効率よく生成することができ、実現可能な発現レベルは高い。本発明のポリペプチドの収量の例は、1〜10mg/mlの(大腸菌)であり、1g/l(酵母)までである。本発明のポリペプチドは、広範な異なる抗原型への高結合親和性、および従来の抗体によって認識されないエピトープへ結合する能力も示し、たとえば、このポリペプチドは、陥凹部に浸透し酵素機能阻害を示す潜在能力を持つ、長いCDRを基にしたループ構造体を示す。さらに、結合は、しばしば、CDR3ループのみによって生じるので、CDR3に由来するペプチドを治療に使用することは可能なはずであると想定される(Desmyterら、J Biol Chem,2001,276:26285‐90)。本発明のポリペプチドは、酵素または毒素との融合蛋白質として完全な結合能力を保持することもできる。
【0087】
本発明は、それぞれが1個または複数の対象の血清蛋白質を対象とする1個または複数のVHH、ならびにそれぞれが1個または複数の標的分子を対象とする1個または複数のVHHを含む異種特異的ポリペプチド構築物であって、VHHがラクダ科単一ドメイン重鎖抗体の従来クラスに属する構築物にも関する。本発明は、それぞれが対象の1個または複数の血清蛋白質を対象とする1個または複数のVHH、ならびにそれぞれが1個または複数の標的分子を対象とする1個または複数のVHHを含む異種特異的ポリペプチド構築物であって、VHHがヒト様配列を有する、ラクダ科単一ドメイン重鎖抗体クラスに属する構築物にも関する。TNFαに結合する配列番号12によって表されるVHH配列、およびマウスアルブミンに結合する第2のVHHは、このクラスのVHHペプチドに属する。そのようなものとして、このクラスに属するペプチドは、ヒトVHフレームワーク領域に高アミノ酸配列相同性を示し、そこからの望ましくない免疫応答を懸念することなく、さらにヒト化する負担もなく、前記ペプチドを患者に直接投与することができるであろう。
【0088】
配列番号1、3、および4によって表されるラクダ科単一ドメイン抗体のヒト様クラスは、WO03035694号記載されており、ヒト起源の従来の抗体または他の種由来の抗体に通常見られる疎水性FR2残基を含むが、親水性におけるこの損失は位置103で他の置換基によって補われ、この位置103は二重鎖抗体由来のVH中に存在する保存トリプトファン残基に取って代わる。そのようなものとして、これら2つのクラスに属するペプチドは、ヒトVHフレームワーク領域に高アミノ酸配列相同性を示し、前記ペプチドは、そこからの望ましくない免疫応答を懸念することなく、さらにヒト化する負担もなく、ヒトに直接投与されるであろう。
【0089】
したがって、本発明の一態様は、それを必要とする患者に抗血清アルブミンポリペプチドを直接投与することを可能にすることであり、その場合、単一ドメイン抗体は、VHHのヒト化クラスに属し、配列番号1、3、または4のどれかによって表される配列を含む。
【0090】
本明細書で使用される対象は、循環液に血清蛋白質が含まれる循環系を有する任意の哺乳動物である。循環系の例には、血液およびリンパ系が含まれる。動物の例は、それだけには限らないが、ウサギ、ヒト、ヤギ、マウス、ラット、ウシ、子ウシ、ラクダ、ラマ、サル、ロバ、モルモット、ニワトリ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマなどが含まれる。
【0091】
本発明の一実施形態は、治療用および/または診断用標的を対象とする少なくとも1個の単一ドメイン抗体、ならびにそれぞれが1個または複数の血清蛋白質またはポリペプチドを対象とする少なくとも1個の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物。既に上記したように、抗標的単一ドメイン抗体は、同じ配列を有してよい。あるいは、少なくとも2個の抗標的単一ドメイン抗体は、異なる配列を有してよいが、同じ標的、その断片、またはその抗原上の同じエピトープまたは異なるエピトープを対象とする。同様に、抗血清蛋白質単一ドメイン抗体は、同じ配列を有してよい。あるいは、少なくとも2個の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体は、異なる配列を有してよいが、同じ血清蛋白質、その断片、またはその抗原上の同じエピトープまたは異なるエピトープを対象とする。
【0092】
本発明の別の実施形態では、1個を超える抗標的単一ドメイン抗体が、異種特異的ポリペプチド構築物中に存在する場合、各抗標的単一ドメイン抗体は異なる標的を対象(たとえばvWFやコラーゲンを対象)とすることができる。同様に、1個を超える抗血清蛋白質単一ドメイン抗体が存在する場合、各抗血清単一ドメイン抗体は、異なる血清蛋白質を対象(たとえば血清アルブミンやフィブリノーゲンを対象)とすることができる。
【0093】
本発明の一実施形態は、抗血清蛋白質単一ドメイン抗体が、配列番号1〜4および28〜40のどれかによって表される配列に対応する異種特異的ポリペプチドである。
【0094】
本明細書で開示した構築物は、単一ドメイン抗体の有利な特性(たとえばVHH)を保持し、個体の循環中で存在期間が長い。したがって、そのような構築物は、数日間対象の血清中を循環することができ、治療の頻度や対象の不便を減少させ、治療費を削減する。さらに、異種特異的ポリペプチド構築物の半減期が、構築物中に存在する抗血清蛋白質単一ドメイン抗体数によって制御することができることは本発明の態様である。制御可能な半減期は、いくつかの状況、たとえば、治療異種特異的ポリペプチド構築物の時間調節投与の適用で、または所望の治療効果を得る際に望ましい。
【0095】
本発明の態様によれば、異種特異的ポリペプチド構築物は、全長異種特異的ポリペプチド構築物の相同配列でよい。本発明の別の態様によれば、異種特異的ポリペプチド構築物は全長異種特異的ポリペプチド構築物の機能部分でよい。本発明の別の態様によれば、異種特異的ポリペプチド構築物は、全長異種特異的ポリペプチド構築物の相同配列でよい。本発明の別の態様によれば、異種特異的ポリペプチド構築物は、全長異種特異的ポリペプチド構築物の相同配列の機能部分でよい。本発明の態様によれば、異種特異的ポリペプチド構築物には、異種特異的ポリペプチド構築物配列を含めてよい。
【0096】
本発明の態様によれば、異種特異的ポリペプチド構築物を形成するために使用される単一ドメイン抗体は、完全単一ドメイン抗体(たとえばVHH)またはその相同配列でよい。本発明の別の態様によれば、異種特異的ポリペプチド構築物を形成するために使用される単一ドメイン抗体は、完全単一ドメイン抗体の機能部分でよい。本発明の別の態様によれば、異種特異的ポリペプチド構築物を形成するために使用される単一ドメイン抗体は、完全単一ドメイン抗体の相同配列でよい。本発明の別の態様によれば、異種特異的ポリペプチド構築物を形成するために使用される単一ドメイン抗体は、完全単一ドメイン抗体の相同配列の機能部分でよい。
【0097】
本発明の別の態様によれば異種特異的ポリペプチド構築物は親配列の相同配列でよい。本発明の別の態様によれば、異種特異的ポリペプチド構築物は機能部分親配列でよい。本発明の別の態様によれば、異種特異的ポリペプチド構築物は親配列の相同配列の機能部分でよい。
【0098】
本明細書では、本発明の相同配列には、本発明のポリペプチドの機能特性を実質上変化させない、1個または複数のアミノ酸の付加、欠失、または置換を含めてよい。アミノ酸の欠失または置換数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、または70アミノ酸までであることが好ましい。
【0099】
本発明の相同配列には、ヒト化されている本発明の単一ドメイン抗体を含めてよい。
【0100】
ヒト化とは変異させることを意味し、その結果ヒト患者に投与したとき免疫原性は低くまたは存在しなくなる。本発明による単一ドメイン抗体のヒト化には、ポリペプチドがその通常の特性を失うことなく、ヒトコンセンサス配列中に見られるそれらのヒト対照物によって、1個または複数のアミノ酸を置換するステップが含まれ、すなわち、ヒト化は得られたポリペプチドの抗原結合能力にあまり影響を与えない。そのような方法が当業者によって知られている。ラクダ科VHHに応用されるヒト化技術は、以下の残基のどれかの置換を単独でまたは組み合わせて含む方法によって実施することもできる。すなわち、いくつかのVHHは、親水性特性を有する典型的なラクダ科本来の残基を位置37、44、45、および47に含む。位置44および45(E44GおよびR45L)で親水性残基をヒト疎水性残基によって置換しても、結合および/または阻害に対して影響を与えなかった。FR1の位置1、5、28、30など、FR3の位置74、75、76、83、84、93、94など、およびFR4の位置103、104、108、111などの残基の置換によってさらにヒト化を行う必要が生じるかもしれない(数字はすべてKabatによる)。
【0101】
本発明の一実施形態は、以下の残基のどれかを単独でまたは組み合わせて置換するステップを含む、VHHをヒト化する方法である。
FR1の位置1、5、28、および30
FR2の位置44および45の本来のアミノ酸
FR3の残基74、75、76、83、84、93、および94、ならびに
FR4の位置103、104、108、および111
(番号付けはKabatの番号付けによる)
【0102】
いくつかのラクダ科VHH配列は、ヒトVHフレームワーク領域に高い配列相同性を示し、したがってそれに由来する免疫応答の懸念および追加のヒト化の負担なしに前記VHHを患者に直接投与することができる。したがって、本発明の一態様は、前記VHHが、ヒトVHフレームワーク領域に高い相同性を示す場合、VHHをヒト化することなく異種特異的ポリペプチド構築物を形成できるようにする。
【0103】
本発明の相同配列は、たとえば、ラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカ、グアナコなど、別の種に由来する本発明の配列でよい。
【0104】
相同配列が、配列相同性を示す場合、それは本発明の単一ドメイン抗体で高い配列相同性(70%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%を超える配列相同性)を提供する配列を意味し、親配列に類似する特性、すなわち、親和性を特徴とすることが好ましく、前記同一性は周知の方法を使用して算出される。
【0105】
本発明による相同配列は、厳密なハイブリッド形成条件下で、未変性配列をコードすることができるヌクレオチド配列の逆相補鎖にハイブリッド形成することができる、50、100、200、300、400、500、600、800、または1000ヌクレオチドを超えるヌクレオチド配列(SAMBROOKら、Molecular Cloning、実験マニュアル、Cold Spring Harbor Laboratory press、米国ニューヨーク州、によって記載されているものなど)をさしてよい。
【0106】
本明細書では、機能部分は、当該相互作用が1×10−6M以上の親和性で維持されるのに十分な長さの単一ドメイン抗体をさす。
【0107】
あるいは、本発明の単一ドメイン抗体の機能部分は、完全なアミノ酸配列の部分的欠失を含むが、依然として標的または血清蛋白質との結合および相互作用に必要な結合部位および蛋白質ドメインを維持する。
【0108】
本明細書では、本発明の単一ドメイン抗体の機能部分は、この配列の100%未満(たとえば、99%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、など)をさすが、5以上のアミノ酸または15以上のヌクレオチドを含む。
【0109】
本発明の単一ドメイン抗体の部分は、この配列の100%未満(たとえば、99%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%など)をさすが、5以上のアミノ酸または15以上のヌクレオチドを含む。
【0110】
TNFα、IFNγ受容体、血清蛋白質(たとえば、血清アルブミン、血清免疫グロブリン、チロキシン結合蛋白質、トランスフェリン、フィブリノーゲン)、IFNγなど、本明細書に記載した標的は前記標的の断片でよい。したがって、標的は、免疫応答を引き出すことができる、前記標的の断片でもある。標的は、完全長標的に対して引き起こされた単一ドメイン抗体に結合することができる、前記標的の断片でもある。
【0111】
本明細書で使用される断片は、この配列の100%未満(たとえば、99%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%など)をさすが、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25以上のアミノ酸を含む。断片は、当該相互作用が1×10−6M以上の親和性で維持されるのに十分な長さのものである。
【0112】
本明細書で使用される断片は、野生型標的に対して生じた単一ドメイン抗体に結合するための標的の能力を実質的に変化させない、1個または複数のアミノ酸の任意選択の挿入、欠失、および置換もさす。アミノ酸の挿入、欠失、または置換の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、または70アミノ酸までであることが好ましい。
【0113】
血清蛋白質は、対象の血清に見られるどんな適当な蛋白質またはその断片でもよい。本発明の一態様では、血清蛋白質は、血清アルブミン、血清免疫グロブリン、チロキシン結合蛋白質、トランスフェリン、またはフィブリノーゲンである。有効な治療に必要な半減期および/または標的抗原の区画化などの所期の使用に依存して、VHHパートナーは上記血清蛋白質の1種を対象とすることができる。
【0114】
標的を対象とする単一ドメイン抗体は、10−6Mを超える親和性でその標的に結合することができる単一ドメイン抗体を意味する。
【0115】
本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物は、当該技術分野で知られている方法、またはいかなる未来の方法にしたがって、当業者が作製することができる。たとえば、ラクダを免疫化し、そこからハイブリドーマを得ること、または当該技術分野で知られている分子生物技術を使用して、単一ドメイン抗体ライブラリをクローニングし、続いてファージ提示法の使用による選択によってなど、当該技術分野で知られている方法を使用してVHHを得ることができる。
【0116】
抗血清蛋白質単一ドメイン抗体は、血清蛋白質のポリペプチドまたは蛋白質全体を対象とすることができる。抗標的単一ドメイン抗体は、標的全体の前記標的のポリペプチドを対象とすることができる。免疫原性ポリペプチドについて蛋白質を走査する方法は、当該技術分野で周知である。
【0117】
単一ドメイン抗体は、当該技術分野で知られている方法または任意の未来の方法を使用して結合することができる。たとえば、抗体は化学的に架橋することによって融合することができ、Blattlerら、Biochemistry、24、1517‐1524、EP294703号に記載されているものなど、アミノ酸残基を有機誘導体化剤と反応させることによって融合することができる。あるいは、単一ドメイン抗体は、DNAレベルで遺伝子的に融合することができ、すなわち、1個または複数の抗標的単一ドメイン抗体、ならびに1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体を含む完全ポリペプチド構築物をコードするポリヌクレオチド構築物を形成することができる。二価または多価VHHポリペプチド構築物を産生する方法が、PCT特許出願WO96/34103号に開示されている。多数の単一ドメイン抗体を相互に接合する一方式は、単一ドメイン抗体コード配列を直接またはペプチドリンカーを介して結合することによる遺伝子経路である。たとえば、第1の単一ドメイン抗体のC末端を次の単一ドメイン抗体のN末端と結合することができる。三価、四価などの機能性構築物の構築および産生に向けて追加の単一ドメイン抗体を結合するために、この結合方式は延長することができる。
【0118】
本発明の態様は、本発明による異種特異的ポリペプチド構築物の投与であり、これにより注射の必要性が回避される。従来の抗体を基にした治療薬は、薬物として著しい潜在能力を有している。というのは、これらは、その標的に対して極めて優れた特異性を有し、固有の毒性も低いからである。しかし、これらの抗体には1つの重大な欠点がある。これらは、複雑な大型の分子であり、したがって比較的不安定であり、プロテアーゼによる分解に敏感である。これは、従来の抗体薬物が、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸的に、または吸入によって投与できないことを意味する。というのは、こうした薬物が、これらの部位での低pHやこれらの部位および血中でのプロテアーゼの作用に耐性ではなく、かつ/またはその大きさのためである。こうした薬物は、これらの問題のいくつかを克服するために、(静脈内、皮下など)注射によって投与しなければならない。注射による投与は、皮下用注射器または針を正確安全に使用するために専門家の訓練を必要とする。さらに、滅菌装置、治療用ポリペプチド液体製剤、滅菌かつ安定形での前記ポリペプチドのバイアル包装、および対象で針の侵入に適当な部位が必要とされる。さらに、一般に、対象は注射を受ける前後で身体的および心理的ストレス経験する。本発明の態様は、本発明の異種特異的ポリペプチド構築物を提供することによって、従来技術のこうした問題を克服する。前記構築物は、十分に小さく、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸的な、または吸入による送達に耐性で安定しており、実質的に活性を消失することはない。本発明の異種特異的ポリペプチド構築物は、注射の必要性を回避し、費用/時間の削減になるのみならず、対象にとってより好都合、より快適である。
【0119】
本発明の一実施形態は、標的を対象とする少なくとも1個の単一ドメイン抗体を含み、抗標的治療化合物によって調節が可能な疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための異種特異的ポリペプチド構築物であり、この抗標的治療化合物は不活化されることなく胃環境を通過することができる。
【0120】
当業者によって知られているように、ひとたび、前記ポリペプチド構築物を得ることができれば、(胃、大腸などの)正しい部位で最大量のVHHを放出するために、製剤技術を応用することができる。この送達方法は、その標的が消化器系内に位置する疾患症状の治療、予防、および/または緩和に重要である。
【0121】
本発明の態様は、対象に疾患に関係付けられる抗原に特異的な1個または複数の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を経口投与することによって、不活化されることなく胃環境を通過できる治療化合物によって調節が可能な疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和する方法である。
【0122】
本発明の別の実施形態は、不活化されることなく胃環境を通過することができる抗標的治療化合物によって調節が可能な疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物の使用である。
【0123】
本発明の態様は、対象に前記標的を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を経口投与することによって、不活化されることなく消化器系に抗標的治療化合物を送達する方法である。
【0124】
本発明の態様は、対象に前記標的を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を経口投与することによって、不活化されることなく対象の血流に抗標的治療化合物を送達する方法である。
【0125】
本発明の別の実施形態は、膣路および/または直腸路に送達される抗標的治療化合物によって調節が可能な疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための、本明細書の標的を対象とする少なくとも1個の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物である。
【0126】
非限定的な例では、本発明による製剤は、ゲル、クリーム、座薬、フィルムの形をした、またはスポンジの形をした、あるいは時間の経過につれて活性成分を静かに放出する膣リングとして、1個または複数の標的を対象とする1個または複数のVHHを含む、本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物を含む(そのような製剤は、EP707473号、EP684814号、US5629001号に記載されている)。
【0127】
本発明の態様は、対象に疾患に関係付けられる抗原に特異的な1個または複数の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を経膣投与および/または経直腸投与することによって、膣路および/または直腸路への治療化合物によって調節が可能な疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和する方法である。
【0128】
本発明の別の実施形態は、膣路および/または直腸路に送達される抗標的治療化合物によって、不活化されることなく調節が可能な疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物の使用である。
【0129】
本発明の態様は、対象の膣路および/または直腸路に、前記標的を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を投与することによって、不活化されることなく膣路および/または直腸路に抗標的治療化合物を送達する方法である。
【0130】
本発明の態様は、対象の膣路および/または直腸路に、前記標的を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を投与することによって、不活化されることなく対象の血流に抗標的治療化合物を送達する方法である。
【0131】
本発明の別の実施形態は、鼻、上気道、および/または肺に送達される抗標的治療化合物によって調節が可能な疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための、標的を対象とする少なくとも1個の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物である。
【0132】
非限定的な例では、本発明による製剤は、鼻内スプレー(たとえばエアロゾル)または吸入器の形をした、1個または複数の標的を対象とする、本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物を含む。本構築物は、小さいので、治療用IgG分子より極めて効果的にその標的に到達することができる。
【0133】
本発明の態様は、口または鼻を通る吸入によって、対象に本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物を投与することにより、上気道および肺に送達した治療化合物によって調節が可能な疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和する方法であり、その場合、1個または複数の単一ドメイン抗体は疾患に関係付けられる抗原に特異的である。
【0134】
本発明の別の態様は、分散可能VHH組成物であり、特に、US6514496号に記載されているものなど、VHH組成物の分散可能な乾燥粉である。これらの乾燥粉組成物は、平均粒子径が0.4〜10mm(nm)の範囲の複数の分離した乾燥粒子を含む。そのような粉は、吸入デバイスで容易に分散させることができる。VHHは、そのような組成物に特に適切である。凍結乾燥物質は、その高い可溶性(Muyldermans,S.,Reviews in Molecular Biotechnology、74,277‐303,(2001))のために、(吸入後の肺で)容易に溶解することができる。あるいは、そのような凍結乾燥VHH製剤を希釈液によって元に戻して、皮下投与に適した安定した再構成製剤を得ることができる。たとえば、アレルギー性喘息の治療に有用な抗IgE抗体製剤(実施例1、US6267958号、EP841946号)が調製されてきた。
【0135】
本発明の別の実施形態は、不活化されることなく、鼻、上気道、および/または肺に送達される抗標的治療化合物によって調節が可能な疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物の使用である。
【0136】
本発明の態様は、対象の鼻、上気道、および/または肺に、前記標的を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を投与することによって、鼻、上気道、および肺に抗標的治療化合物を送達する方法である。
【0137】
本発明の態様は、対象の鼻、上気道、および/または肺に、前記標的を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を投与することによって、不活化されることなく、鼻、上気道、および/または肺に抗標的治療化合物を送達する方法である。
【0138】
本発明の態様は、対象の鼻、上気道、および/または肺に、前記標的を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を投与することによって、不活化されることなく対象の血流に抗標的治療化合物を送達する方法である。
【0139】
本発明の一実施形態は、腸粘膜に送達される抗標的治療化合物によって調節が可能な疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための、本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物であり、その場合、前記疾患は腸粘膜透過性を高める。その小さい寸法のために、本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物は、腸粘膜透過性の上昇を引き起こす疾患を患う対象で、より効率よく腸粘膜を通過し血流に到達することができる。
【0140】
本発明の態様は、対象に本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物を経口投与することによって、腸粘膜に送達される抗標的治療化合物によって調節が可能な疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和する方法であり、その場合、前記疾患が腸粘膜透過性を高める。
【0141】
この工程は、本発明の別の態様である能動輸送担体の使用によって、さらに強化することができる。本発明のこの態様では、腸壁を通り血流に至る移送を強化する担体にVHHを融合する。非限定的な例では、この「担体」は、治療用VHHに融合される第2のVHHである。そのような融合構築物は、当該技術分野で知られている方法を使用して作製される。「担体」VHHは、腸壁を通り抜ける能動輸送を誘発する腸壁上の受容体に特異的に結合する。
【0142】
本発明の別の実施形態は、腸粘膜に送達される抗標的治療化合物によって調節が可能な疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物の使用であり、その場合、前記疾患は腸粘膜透過性を高める。
【0143】
本発明の態様は、対象に本発明の異種特異的ポリペプチド構築物を経口投与することによって、不活化されることなく腸粘膜に抗標的治療化合物を送達する方法である。
【0144】
本発明の態様は、対象に本発明の異種特異的ポリペプチド構築物を経口投与することによって、不活化されることなく対象の血流に抗標的治療化合物を送達する方法である。
【0145】
この工程は、本発明の別の態様 能動輸送担体の使用によって、さらに強化することができる。本発明のこの態様では、腸壁を通り血流に至る移送を強化する担体に、本明細書に記載した異種特異的ポリペプチド構築物を融合する。非限定的な例では、この「担体」は前記ポリペプチドに融合されるVHHである。そのような融合構築物は、当該技術分野で知られている方法を使用して作製される。「担体」VHHは、腸壁を通り抜ける能動輸送を誘発する腸壁上の受容体に特異的に結合する。
【0146】
本発明の一実施形態は、標的を対象とする少なくとも1個の単一ドメイン抗体を含み、効率的に舌下組織を通過することが可能な抗標的治療化合物によって調節が可能な疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための異種特異的ポリペプチド構築物である。本明細書で開示した前記ポリペプチド構築物製剤、たとえば、錠剤、スプレー、ドロップは、舌下に置かれ粘膜を通り抜けて舌下毛細管網に吸収される。
【0147】
本発明の態様は、対象に疾患に関係付けられる抗原に特異的なVHHを舌下投与することによって、効率的に舌下組織を通過することが可能な治療化合物によって調節が可能な疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和する方法である。
【0148】
本発明の別の実施形態は、舌下組織を通り抜けることができる抗標的治療化合物によって調節が可能な疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物の使用である。
【0149】
本発明の態様は、対象に前記標的を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を経口投与することによって、不活化されることなく舌下組織に抗標的治療化合物を送達する方法である。
【0150】
本発明の態様は、対象に前記標的を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を経口投与することによって、不活化されることなく対象の血流に抗標的治療化合物を送達する方法である。
【0151】
本発明の一実施形態は、少なくとも1個の単一ドメイン抗体を含み、効果的に皮膚を透過できる抗標的治療化合物によって調節が可能な疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための異種特異的ポリペプチド構築物である。前記ポリペプチド構築物製剤、たとえば、クリーム、フィルム、スプレー、ドロップ、パッチは皮膚に載せられて透過する。
【0152】
本発明の態様は、対象に疾患に関係付けられる抗原に特異的な1個または複数の単一ドメイン抗体を含む本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物を局所投与することによって、効果的に皮膚を透過できる治療化合物によって調節が可能な疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和する方法である。
【0153】
本発明の別の態様は、アレルギー性疾患など、眼疾患を治療するための局所眼用組成物として、本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物を使用することであり、その方法は本明細書で開示したポリペプチド構築物を含む眼用組成物の局所投与を含み、前記構築物は1個または複数の抗IgE VHHを含む(実施例1、実施例2)。
【0154】
本発明の別の実施形態は、効果的に皮膚を透過できる抗標的治療化合物によって調節が可能な疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物の使用である。
【0155】
本発明の態様は、対象に前記標的を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を局所投与することによって、不活化されることなく皮膚に抗標的治療化合物を送達する方法である。
【0156】
本発明の態様は、対象に前記標的を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を局所投与することによって、対象の血流に抗標的治療化合物を送達する方法である。
【0157】
本発明の別の実施形態では、異種特異的ポリペプチド構築物は、さらに、肺胞腔から血液に前記異種特異的ポリペプチド構築物を輸送するための能動輸送担体として作用する担体単一ドメイン抗体(たとえばVHH)を含む。
【0158】
担体をさらに含むポリペプチド構築物は、粘膜表面(気管支上皮細胞)上に存在する受容体に特異的に結合し、肺胞腔から血液にポリペプチドを能動輸送する。担体単一ドメイン抗体は、ポリペプチド構築物に融合させることができる。そのような融合構築物は、当該技術分野で知られている方法を使用して作製され、本明細書に記載されている。「担体」単一ドメイン抗体は、表面を通り抜ける能動輸送を誘発する粘膜表面上の受容体に特異的に結合する。
【0159】
本発明の別の態様は、経鼻投与直後にどの単一ドメイン抗体(たとえばVHH)が血流に能動輸送されるかを決定する方法である。同様に、未処置のまたは免疫VHHファージライブラリを経鼻投与することができ、血流に能動輸送されているファージをレスキュー(RESCUE)するために、投与後の様々な時点後に血液または臓器を単離することができる。肺胞腔から血流への能動輸送用受容体の非限定的な例は、Fc受容体N(FcRn)である。本発明の一態様には、本方法によって同定したVHH分子が含まれる。次いで、経鼻投与直後、血流中で治療用VHHを対応する標的に送達するための担体VHHとしてそのようなVHHを使用することができる。
【0160】
本発明の一実施形態は、治療化合物を静脈内送達する必要がある疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための異種特異的ポリペプチド構築物である。本発明の態様は、血流によって治療化合物を送達する必要がある疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和する方法である。
【0161】
本発明の別の実施形態は、循環から急速には排出されない治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための、本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物である。本発明の態様は、循環から急速には排出されない治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための前記構築物の使用である。本発明の別の態様は、個体に本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物を投与することによって、循環から急速には排出されない治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和する方法である。本発明によれば、前記異種特異的ポリペプチドの抗標的単一ドメイン抗体は、前記疾患の原因または徴候に関与し、あるいはその症状の誘発に関与する標的を対象とする。前記疾患を治療しまたは診断するために本発明の異種特異的ポリペプチド構築物を使用することによって、前記構築物の枯渇が遅延される。
【0162】
本発明の別の実施形態は、長期間循環中で活性を維持し続ける治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物である。本発明の態様は、長期間循環中で活性を維持し続ける治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための前記構築物の使用である。本発明の別の態様は、個体に本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物を投与することによって、数日間患者の血清中を循環できる治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和する方法である。本発明によれば、前記異種特異的ポリペプチドの抗標的単一ドメイン抗体は、前記疾患の原因または徴候に関与し、あるいはその症状の誘発に関与する標的を対象とする。前記疾患を治療しまたは診断するために、本発明の異種特異的ポリペプチド構築物を使用することによって、治療の頻度が減少するので治療費も減少する。
【0163】
本発明の別の実施形態は、アレルギーに関連付けられる疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための、本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物である。本発明の態様は、アレルギーに関連付けられる疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための前記構築物の使用である。本発明の別の態様は、個体に本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物を投与することによって、アレルギーに関連付けられる疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和する方法である。本発明によれば、前記異種特異的ポリペプチドの抗標的単一ドメイン抗体は、前記疾患の原因または徴候に関与し、あるいはその症状の誘発に関与する標的を対象とする。
【0164】
上記の本発明の態様および実施形態は、前記異種特異的ポリペプチド構築物の抗血清単一ドメイン抗体が、配列番号1〜4によって表される配列、その相同配列、その機能部分、または機能部分の相同配列に対応する場合にも適用される。
【0165】
上記の本発明の態様および実施形態は、本発明の異種特異的ポリペプチド構築物が、配列番号5〜18のどれかによって表される配列、その相同配列、その機能部分、または機能部分の相同配列に対応する場合にも適用される。前記配列には、抗TNFαラクダ科VHHが含まれる。
【0166】
上記の本発明の態様および実施形態は、本発明の異種特異的ポリペプチド構築物が、配列番号19〜21のどれかによって表される配列、その相同配列、その機能部分、または機能部分の相同配列に対応する場合にも適用される。前記配列には、抗vWFラクダ科VHHが含まれる。
【0167】
上記の本発明の態様および実施形態は、本発明の異種特異的ポリペプチド構築物が、配列番号22〜24のどれかによって表される配列、その相同配列、その機能部分に対応する場合にも適用される。前記配列には、抗IgEラクダ科VHHが含まれる。
【0168】
上記の本発明の態様および実施形態は、本発明による異種特異的ポリペプチド構築物が、配列番号25〜27のどれかによって表される配列、その相同配列、その機能部分、または機能部分の相同配列に対応する場合にも適用される。前記配列には、抗インターフェロンγラクダ科VHHが含まれる。
【0169】
アレルギーに関連し、抗標的単一ドメイン抗体が対象とすることができる標的の非限定的な例はIgEである。対象は、生存中、ヤケヒョウヒダニやイエダニなどの無害な寄生虫、または凝集塊、プラスチック、金属などの物質対してアレルギー応答を引き起こし得る。これにより免疫応答カスケードを開始するIgE分子が誘導される。本発明の一態様は、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IgE単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物であ る。本発明の一態様では、前記抗IgE単一ドメイン抗体は、IgEと肥満細胞および好塩基球上のその受容体との相互作用を阻止するので、免疫学カスケードの開始と、それに続くアレルギー反応が遮断される。別の態様では、抗血清蛋白質単一ドメイン抗体は、対象の血清蛋白質の1種を対象とする。このようにして、本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物は、一般的なまたは異常なアレルゲンによるアレルギー応答を低減しまたは防止する。さらに、構築物の血中での存在期間が長いので治療空白は延長される。
【0170】
腫瘍壊死因子α(TNF‐α)は、様々な疾患、たとえば、リューマチ性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症などの炎症性疾患で重要な役割を果たすと考えられている。TNF‐αおよびその受容体(CD120a、CD120b)はどちらも詳細に研究されてきた。生理活性形態のTNF‐αは、三量体であり、近傍サブユニットによって形成された溝は、サイトカイン受容体の相互作用に重要である。このサイトカインの作用を相殺するためのいくつかの戦略が開発されており、現在、様々な病態の治療に使用されている。
【0171】
TNFに対して十分な特異性および選択性を有するTNF阻害剤は、炎症性疾患を予防しまたは治療するための効果的な予防用または治療用薬剤化合物であり得る。しかし、そのような標的配列に対して、十分な作用強度および選択性を備えた小型の化学物質(NCE)を開発することは、極めて困難であり工程も冗長である。他方で、抗体を基にした薬物は、薬物として顕著な可能性を有している。というのは、こうした薬物は、その標的に対する特異性が極めて優れており、固有の毒性も低いからである。さらに、新規化学物質(NCE)の開発と比較して、開発時間をかなり削減することができる。しかし、TNF‐αでの事例のように、リガンドの受容体結合ドメインが溝の中に包埋されている多量体蛋白質に対して、従来の抗体を引き出すことは困難である。
【0172】
抗標的単一ドメイン抗体がTNFαを対象とする本発明の異種特異的ポリペプチド構築物は、安定性、大きさ、確実な発現などの特性を原因とする、従来技術のペプチド治療薬を使用して経験する問題を克服する。さらに、本発明者らは、多量体TNFα中に溝が存在するにもかかわらず、異種特異的ポリペプチド構築物は、依然としてTNFαに強力に結合することができることを見出している。
【0173】
本発明の別の実施形態は、炎症分子が介在する疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための、本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物である。本発明の態様は、炎症分子が介在する疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための前記構築物の使用である。本発明の別の態様は、個体に本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物を投与することによって、炎症分子が介在する疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和する方法である。本発明によれば、前記異種特異的ポリペプチドの抗標的単一ドメイン抗体は、前記疾患の原因または徴候に関与し、あるいはその症状の誘発に関与する標的を対象とする。
【0174】
本発明の一態様によれば、異種特異的ポリペプチド構築物の単一ドメイン抗体の標的は、腫瘍壊死因子α(TNFα)を対象とする。TNFαは、様々な疾患、たとえば、リューマチ性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症などの炎症性疾患で重要な役割を果たすと考えられている。
【0175】
抗標的単一ドメイン抗体は、TNFα全体、それらの断片、またはその相同配列の断片を対象とすることができる。
【0176】
本発明の一態様は、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗TNFα単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物に関し、前記異種特異的ポリペプチドの配列は配列番号5〜18のどれかに対応する。その中の抗TNFα単一ドメイン抗体は、TNFαに結合するラクダ科重鎖抗体(VHH)に由来する。
【0177】
本発明の一実施形態は、炎症性疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗TNFα単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物である。TNFαは、炎症過程に関与し、TNFαの作用を遮断することによって抗炎症作用を得ることができ、これは、たとえばクローン病など、ある種の疾患状態において非常に望ましい。こうした異種特異的ポリペプチド構築物の経口送達によって、そのような分子が大腸の罹患している部位に活性形で送達される。これらの部位は、重度の炎症状態にあり、TNFα産生細胞を含む。これらの異種特異的ポリペプチド構築物は、TNFαを局所的に無力化することができ、身体全体にわたって分配されるのを防ぎ、それによって負の副作用を制限する。ミクロコッカスラクティス(Micrococcus lactis)などの遺伝子改変微生物は、抗体断片を分泌することができる。腸で抗体断片を局所的に産生し送達するために、そのような改変微生物をビヒクルとして使用することができる。TNFα無力化異種特異的ポリペプチド構築物を産生する株を使用することによって、炎症性腸疾患を治療できるはずである。
【0178】
本発明の別の態様は、炎症過程に関連付けられる疾患の治療、予防、および/または緩和に使用するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗TNFα単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物であり、その場合、前記異種特異的ポリペプチド構築物は、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸的に、または吸入によって投与される。
【0179】
本発明の別の態様は、炎症過程に関連付けられる疾患を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗TNFα単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物の使用であり、その場合、前記異種特異的ポリペプチド構築物は、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸的に、または吸入によって投与される。
【0180】
本発明の別の態様は、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸的に、または吸入によって、対象に1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗TNFα単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を投与するステップを含む、炎症過程に関連付けられる疾患を治療し、予防し、かつ/または緩和する方法である。
【0181】
本発明の別の態様は、炎症過程に関連付けられる疾患の治療、予防、および/または緩和に使用するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗TNFα単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物である。
【0182】
本発明の別の態様は、炎症過程に関連付けられる疾患を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗TNFα単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物である。
【0183】
本発明の抗TNFα単一ドメイン抗体が、どんなクラスのVHHからも得られることは本発明の態様である。たとえば、これらの抗体は、ヒトVH配列に対して高い相同性を有するVHHクラスから得ることができ、またはVHHの主なクラスを含む他のVHHクラスのどれからも得ることができる。これらのVHHには、完全長ラクダ科VHHドメインが含まれ、エフェクタ機能が必要とされる場合には、ヒトFcドメインを含めてよい。
【0184】
上記の態様および実施形態は、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗TNFα単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物に適用され、その場合、前記異種特異的ポリペプチドは、配列番号5〜18のどれかによって表される配列、その相同配列、その機能部分、またはその機能部分の相同配列に対応する。配列番号5〜18には、抗TNFαラクダ科VHH、および抗マウス血清アルブミンラクダ科VHHが含まれる。
【0185】
上記の態様および実施形態は、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗TNFα単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物に適用され、その場合、前記抗血清蛋白質単一ドメイン抗体は、配列番号1〜4のどれか(抗血清蛋白質ラクダ科VHH)、その相同配列、その機能部分、またはその機能部分の相同配列に対応する。
【0186】
驚くべきことに、配列番号5〜18のどれかに対応する配列を含む異種特異的ポリペプチド構築物が、その標的に対して予想以上の親和性、および循環系で長期の半減期を示すことを本発明者らは見出している。
【0187】
血小板介在凝集は、フォンウィルブランド因子(vWF)結合コラーゲンが、血小板および/または血小板受容体に接着し(両方の例はgpIa/IIa、gpIb、またはコラーゲン)、最終的に血小板を活性化させる過程である。血小板の活性化によって、フィブリノーゲン結合、および最終的に血小板の凝集がもたらされる。血小板介在凝集を撹乱できるかどうかに、以下に記載する疾患の治療を含む多くの適用例がかかっている。本発明の異種特異的ポリペプチド構築物は、凝固を有効に防止し、その半減期は制御可能なので、外科手順、たとえば、限られた時間で血小板介在凝集を阻害する必要がある手順にこれらの構築物を使用することができる。
【0188】
VHHなどの一価の単一ドメイン抗体は、高ずり応力下で血小板凝集阻害を測定するための実験で、驚くほど高い血小板凝集阻害を示す。すなわち、血小板凝集の50%阻害は4〜25nMの濃度で得られた。比較では、コラーゲンとの相互作用を阻害するvWF特異的抗体に由来するFab断片82D6A3は、約20倍高い濃度で血小板凝集を50%阻害する(Vanhoorelbeke K.ら、Journal of Biological Chemistry,2003,278:37815‐37821)。ELISAでの一価VHHのIC50値が、82D6A3のIgGのIC50値の225分の1までであることを考慮すると、これらの結果は予想外であった。
【0189】
これは、IgG抗体が巨大分子との相互作用には適さないことを明瞭に示しており、この巨大分子は、血小板介在凝集に関与するものなど、凝集の開始または途中の分子である。vWFは、60モノマーまでの多量体を作製する(最終多量体は大きさが2000万ダルトンまで)。実際、A3ドメインがすべて、82D6A3に利用できるわけではないことは既にわかっている(Dongmei WU,Blood,2002,99,3623‐3628)。さらに、大型の従来の抗体は、たとえば、損傷血管壁部位で血小板が介在した凝集中、組織の透過を制限するはずである。
【0190】
単一ドメイン抗体の構造は特に特有である。たとえば、ラクダ科抗体に由来するVHH分子は、既知の中では最小(約15kDa、すなわち、従来のIgGの大きさの10分の1)の無傷抗原結合ドメインであり、したがって高密度組織への送達に、かつ血小板介在凝集過程に参加し、またはこれを開始させている巨大分子間の限られた空間への往行に非常に適している。
【0191】
本発明者らの知る限り、実験によって、そのような大きい巨大分子間の相互作用の阻害には、大型の無傷抗体よりも小型のVHHが有利であることが示されたのは初めてである。
【0192】
ナノ体は小型であり、したがって透過に有利であるにもかかわらず、そのような小分子が、(60モノマーまでの)vWFやコラーゲンなどの大きいポリマー間の相互作用をそのような高効率で阻害できることは依然として驚くべきことである。vWFの大きい多量体形しか止血活性を持たないことは記載されている(Furlan,M,.1996,Ann.Hematol.72:341‐348)。多量体vWFのコラーゲンへの結合は、単量体vWF断片の結合の100倍の親和性で生じる。
【0193】
高ずり応力実験の結果によって、患者への投与には低用量にする必要があることが示唆される。したがって、(免疫原性や出血問題など)副作用は少ないと予想される。
【0194】
血小板介在凝集、たとえば、vWF‐コラーゲン結合、vWF‐血小板受容体接着、コラーゲン‐血小板受容体接着、血小板の活性化、フィブリノーゲン結合、および/または血小板凝集などを含む過程を調節する異種特異的ポリペプチド構築物を提供することは本発明の態様である。前記異種特異的ポリペプチド構築物は、vWF、vWFのA1もしくはA3ドメイン、gpIb、またはコラーゲンを対象とする単一ドメイン抗体に由来する。
【0195】
抗標的単一ドメイン抗体は、vWF全体、vWFのA1もしくはA3ドメイン、gpIb、またはコラーゲン、またはそれらの断片、あるいはそれらの相同配列の断片を対象とすることができる。
【0196】
本発明の一態様によれば、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗標的単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物が対象とする標的は、フォンウィルブランド因子(vWF)である。本発明の別の態様によれば、標的は、vWFのA1またはA3ドメインである。本発明の別の態様によれば、標的はgpIbである。本発明の別の態様によれば、標的はgpIa/IIAである。本発明の別の態様によれば、標的はコラーゲンである。
【0197】
本発明の一態様は、1個または複数の抗血清蛋白質VHHに融合された、1個または複数の抗vWF単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物に関し、前記異種特異的ポリペプチドの配列は配列番号19〜21のどれかに対応する。その中の抗vWF単一ドメイン抗体は、vWFに結合するラクダ科重鎖抗体(VHH)に由来する。
【0198】
本発明の一実施形態は、血小板介在凝集またはその機能異常に関連付けられる疾患または状態の症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体標的に融合された、1個または複数の抗標的単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物であり、その場合、標的はvWF、vWFのA1もしくはA3ドメイン、gpIb、またはコラーゲンのどれかである。前記疾患には、一時的脳虚血発作、不安定狭心症、脳梗塞、心筋梗塞、末梢動脈閉塞性疾患、再狭窄が含まれる。前記状態には、冠動脈バイパス術、冠動脈弁置換術;および血管形成術、ステント術、粥腫切除などの冠血管処置から生じた状態が含まれる。
【0199】
本発明の一態様は、血小板介在凝集またはその機能異常に関連付けられる疾患または状態の治療、予防、および/または緩和に使用するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗標的単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物であり、その場合、標的はvWF、vWFのA1もしくはA3ドメイン、またはコラーゲンのどれかであり、その場合、前記異種特異的ポリペプチド構築物は、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸的に、または吸入によって投与される。
【0200】
本発明の別の態様は、血小板介在凝集またはその機能異常に関連付けられる疾患または状態を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体標的に融合された、1個または複数の抗標的単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物の使用であり、その場合、標的はvWF、vWFのA1もしくはA3ドメイン、またはコラーゲンのどれかであり、その場合、前記異種特異的ポリペプチド構築物は、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸的に、または吸入によって投与される。
【0201】
本発明の別の態様は、血小板介在凝集またはその機能異常に関連付けられる疾患または状態を治療し、予防し、かつ/または緩和する方法であって、対象に1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体標的に融合された、1個または複数の抗標的単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を投与するステップを含み、その場合、標的はvWF、vWFのA1もしくはA3ドメイン、またはコラーゲンのどれかであり、その場合、前記異種特異的ポリペプチド構築物は、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸的に、または吸入によって投与される。
【0202】
本発明の別の態様は、血小板介在凝集またはその機能異常に関連付けられる疾患または状態の治療、予防、および/または緩和に使用するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗標的単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物であり、その場合、標的はvWF、vWFのA1もしくはA3ドメイン、またはコラーゲンのどれかである。
【0203】
本発明の別の態様は、血小板介在凝集またはその機能異常に関連付けられる疾患または状態を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗標的単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物の使用であり、その場合、標的はvWF、vWFのA1もしくはA3ドメイン、またはコラーゲンのどれかである。
【0204】
本発明の抗vWF、抗vWF A1もしくは抗vWF A3、または抗コラーゲンVHH類が、どんなクラスのVHHからも得ることができることは本発明の態様である。たとえば、これらは、ヒトVH配列に対して高い相同性を有するVHHクラスから得ることができ、またはVHHの主なクラスを含む他のVHHクラスのどれからも得ることができる。これらのVHHには、完全長ラクダ科VHH、ドメインが含まれ、エフェクタ機能が必要とされる場合には、ヒトFcドメインを含めてよい。
【0205】
上記の態様および実施形態は、1個または複数の抗vWF単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物に適用され、その場合、前記異種特異的ポリペプチドは、配列番号19〜21のどれかによって表される配列、その相同配列、その機能部分、またはその機能部分の相同配列に対応する。配列番号19〜21には、抗vWF VHHおよび抗マウス血清アルブミンVHHが含まれる。
【0206】
上記の態様および実施形態は、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗標的単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物に適用され、その場合、標的はvWF、vWFのA1もしくはA3ドメイン、gpIb、またはコラーゲンのどれかであり、かつその場合、前記抗血清蛋白質単一ドメイン抗体は、配列番号1〜4のどれか、その相同配列、その機能部分、またはその機能部分の相同配列に対応する。
【0207】
対象は、生存中、無害な寄生虫(たとえば、ヤケヒョウヒダニ、イエダニ)または物質(凝集塊、プラスチック、金属)に対してアレルギー応答を引き起こす可能性がある。これにより免疫応答カスケードを開始するIgE分子が誘導される。本発明の一態様は、1個または複数の抗IgE単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物であり、前記異種特異的ポリペプチド構築物は、IgEと肥満細胞および好塩基球上のその受容体との相互作用を防止する。そのようなものとして、これらの構築物は、免疫学カスケードの開始であるアレルギー反応を防止する。
【0208】
本発明の一態様によれば、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗標的単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物が対象とする標的はIgEである。前記抗体は、IgE全体、またはそれらの断片、あるいはそれらの相同配列の断片を対象とすることができる。
【0209】
本発明の一態様は、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IgE単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物に関し、その場合、前記異種特異的ポリペプチドの配列は、配列番号22〜24のどれかに対応する。その中の抗IgE単一ドメイン抗体は、IgEに結合するラクダ科重鎖抗体(VHH)に由来する。
【0210】
抗標的単一ドメイン抗体は、IgEα全体、またはそれらの断片、あるいはそれらの相同配列の断片を対象とすることができる。
【0211】
本発明の一実施形態は、アレルギーに関連付けられる疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IgE単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物である。前記疾患には、枯草熱、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚反応、アレルギー性眼反応、食事性アレルギーなど、広範なIgE介在疾患が含まれる。
【0212】
本発明の一態様は、アレルギーに関連付けられる疾患の治療、予防、および/または緩和に使用するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IgE単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物であり、その場合、前記VHHは、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸的に、または吸入によって投与される。
【0213】
本発明の別の態様は、アレルギーに関連付けられる疾患を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IgE単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物の使用であり、その場合、前記異種特異的ポリペプチド構築物は、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸的に、または吸入によって投与される。
【0214】
本発明の別の態様は、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸的に、または吸入によって、対象に1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IgE単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を投与するステップを含む、アレルギーに関連付けられる疾患を治療し、予防し、かつ/または緩和する方法である。
【0215】
本発明の別の態様は、アレルギーに関連付けられる疾患を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤の調製に使用するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IgE単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物である。
【0216】
本発明の別の態様は、アレルギーに関連付けられる疾患を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IgE単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物の使用である。
【0217】
本発明の抗IgE単一ドメイン抗体が、どんなクラスのVHHからも得ることができることは本発明の態様である。たとえば、これらは、ヒトVH配列に対して高い相同性を有するVHHクラスから得ることができ、またはVHHの主なクラスを含む他のVHHクラスのどれからも得ることができる。前記VHHは、ラクダ科から得ることができる。これらのVHHには、完全長ラクダ科VHH、ドメインが含まれ、エフェクタ機能が必要とされる場合には、ヒトFcドメインを含めてよい。
【0218】
上記の態様および実施形態は、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IgE単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物に適用され、その場合、異種特異的ポリペプチドが、配列番号22〜24のどれかによって表される配列、その相同配列、その機能部分、またはその機能部分の相同配列に対応する。配列番号22〜24には、抗IgEラクダ科VHHおよび抗マウス血清アルブミンラクダ科VHHが含まれる。
【0219】
上記の態様および実施形態は、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IgE単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物に適用され、その場合、前記抗血清蛋白質単一ドメイン抗体は、配列番号1〜4のどれか(抗蛋白質血清ラクダ科VHH)、その相同配列、その機能部分、またはその機能部分の相同配列に対応する。
【0220】
本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物は、一般的なまたは異常なアレルゲンによるアレルギー応答を予防し、すなわち、低減しまたは防止する。さらに、構築物の血中での存在期間が長いので治療空白が延長される。
【0221】
インターフェロンγ(IFNγ)は、様々な疾患、たとえば、リューマチ性関節炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、眼の過免疫反応などの炎症性疾患において重要な役割を果たすと考えられている。IFNγが、自己免疫疾患の病理において重要な役割を果たすことも分かってきた。たとえば、IFNγの存在は、リューマチ性関節炎に関与してきた(Brennanら、Brit.J.Rheum.、31、293‐8(1992))。これらのサイトカインの作用に抗するためのいくつかの戦略が開発されており、現在、様々な病態の治療に使用されている。
【0222】
IFNγは、その生理活性形が二量体であり、2個のサブユニットによって形成された溝は、IFNγ受容体との相互作用によってその生体活性に重要である。IFNγに対して十分な特異性および選択性を有するIFNγ阻害剤は、炎症性疾患を予防しまたは治療するための効果的な予防用または治療用薬剤化合物であり得る。IFNγに関連付けられる疾患には、多発性硬化症、リューマチ性関節炎、強直性脊椎炎、若年性リューマチ性関節炎、乾癬性関節炎(US6,333,032号、Advanced Biotherapy Concepts,Inc.)が含まれる。他の疾患には、クローン病や乾癬(US6,329,511号、Protein Design Labs)が含まれる。さらに他の疾患は、腸疾患、潰瘍性大腸炎、およびクローン病である(EP0695189号、Genentech)。
【0223】
現在入手可能な薬物はどれも、自己免疫疾患の治療には完全に有効ではなく、ほとんどは深刻な毒性によって制限されている。さらに、そのような標的配列に対して十分な作用強度および選択性を備えた新規な化学物質(NCE)を開発することは、極めて困難であり工程も冗長である。他方で、抗体を基にした治療薬は、薬物として顕著な潜在能力を有している。というのは、こうした薬物は、その標的に対して極めて優れた特異性を有し固有の毒性も低い。さらに、新規な化学物質(NCE)の開発と比較した場合、開発時間を相当に減少させることができる。しかし、従来の抗体は、多量体蛋白質に対して生じさせることが困難である。それらの蛋白質では、IFNγの場合のように、リガンドの受容体結合ドメインが溝に包埋されている。
【0224】
抗標的単一ドメイン抗体がTNFαを対象とする本発明の異種特異的ポリペプチド構築物は、安定性、大きさ、確実な発現などのその特性を原因とする、従来技術のペプチド治療薬を使用して経験する問題を克服する。さらに、本発明者らは、多量体IFNγ中に溝が存在するにもかかわらず、異種特異的ポリペプチド構築物が依然としてIFNAγに強力に結合できることを見出している。
【0225】
本発明の一態様によれば、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗標的単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物の1個または複数の抗標的単一ドメイン抗体が対象とする標的は、インターフェロンγ(IFNγ)である。IFNγは、いくつかのT細胞によって分泌される。その抗ウイルス活性の他に、IFNγは、ナチュラルキラー(NK)細胞およびヘルパーT1(Th1)細胞を刺激し、マクロファージを活性化し、細胞表面のMHC分子の発現を刺激する。したがって、一般に、IFNγは、免疫機能の多くの特徴を強化するために働き、免疫系が過敏である疾患、たとえば、クローン病、自己免疫疾患、臓器移植拒絶、さらにリューマチ性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症などの炎症性疾患を治療するための候補である。
【0226】
本発明の一態様は、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IFNγ単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物に関し、前記異種特異的ポリペプチドの配列は、配列番号25〜27のどれかに対応する。その中の抗IFNγ単一ドメイン抗体は、IFNγに結合するラクダ科重鎖抗体(VHH)に由来する。
【0227】
抗標的単一ドメイン抗体は、IFNγ全体、それらの断片、またはそれらの相同配列の断片を対象とすることができる。
【0228】
本発明の一実施形態は、上記した免疫系が過敏である疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IFNγ単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物である。現在の治療は、抗IFNγ抗体の静脈内投与からなる。これらの異種特異的ポリペプチド構築物の経口送達によって、そのような分子は大腸の罹患している部位に活性形で送達される。これらの部位は、重度の炎症状態にあり、IFNγ産生細胞を含む。こうした異種特異的ポリペプチド構築物は、IFNγを局所的に無力化することができ、身体全体にわたって分配されるのを防ぎ、それによって負の副作用を制限する。ミクロコッカスラクティスなどの遺伝子改変微生物は、抗体断片を分泌することができる。腸における抗体断片の局所的な産生および送達のために、そのような改変微生物をビヒクルとして使用することができる。IFNγ無力化異種特異的ポリペプチド構築物を産生する株を使用することによって、炎症性腸疾患を治療できるはずである。
【0229】
本発明の別の態様は、免疫系が過敏である疾患の治療、予防、および/または緩和に使用するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IFNγ単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物であり、その場合、前記異種特異的ポリペプチド構築物は、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸的に、または吸入によって投与される。
【0230】
本発明の別の態様は、免疫系が過敏である疾患を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IFNγ単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物の使用であり、その場合、前記異種特異的ポリペプチド構築物は、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸的に、または吸入によって投与される。
【0231】
本発明の別の態様は、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸的に、または吸入によって、対象に1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IFNγ単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物を投与するステップを含む、免疫系が過敏である疾患を治療し、予防し、かつ/または緩和する方法である。
【0232】
本発明の別の態様は、免疫系が過敏である疾患を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤の調製に使用するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に結合された、1個または複数の抗IFNγ単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物である。
【0233】
本発明の別の態様は、免疫系が過敏である疾患を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤の調製に使用するための、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IFNγ単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物の使用である。
【0234】
本発明の抗IFNγ単一ドメイン抗体が、どんなクラスのVHHからも得ることができることはは本発明の態様である。たとえば、これらの抗体は、ヒトVH配列に対して高い相同性を有するVHHクラスから得ることができ、またはVHHの主なクラスを含む他のVHHクラスのどれからも得ることができる。これらのVHHには、完全長ラクダ科VHH、ドメインが含まれ、エフェクタ機能が必要とされる場合には、ヒトFcドメインを含めてよい.
【0235】
上記の態様および実施形態は、1個または複数の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体に融合された、1個または複数の抗IFNγ VHHを含む異種特異的ポリペプチド構築物に適用され、その場合、前記異種特異的ポリペプチドは、配列番号25〜27のどれかによって表される配列、その相同配列、その機能部分、または機能部分の相同配列に対応する。配列番号25〜27には、抗IFNγ VHHおよび抗マウス血清アルブミンVHHが含まれる。
【0236】
上記の態様および実施形態は、1個または複数の抗血清蛋白質VHHに融合された、1個または複数の抗IFNγ単一ドメイン抗体を含む異種特異的ポリペプチド構築物に適用され、その場合、前記抗血清蛋白質VHHは、配列番号1〜4のどれか、その相同配列、その機能部分、またはその機能部分の相同配列に対応する。
【0237】
本発明の一実施形態は、本発明による異種特異的ポリペプチド構築物をコードする核酸を含む組換えクローンである。本発明の一態様では、前記核酸は、それぞれが治療用または診断用標的抗原を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体、および血清蛋白質を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体をコードし、前記単一ドメイン抗体類はリンカーの介在なしに、または1個または複数のペプチドリンカー配列によって結合する。本発明の一態様によれば、リンカー配列は、当該技術分野で知られている任意の適当なリンカー配列である。本発明の別の態様によれば、リンカー配列は自然に存在する配列である。リンカー配列の特性は、これらが免疫原性ではない、または著しく免疫原性ではないこと、異種特異的ポリペプチド構築物に十分な融通性を提供できること、および蛋白質分解に耐性であることが好ましい。本発明によるリンカーの一例は、PCT/EP96/01725号に開示されているものであり、このリンカーはVHHのヒンジドメインに由来する。
【0238】
本発明の別の態様によれば、クローンは、配列番号1〜4のどれかによって表される配列、その相同配列、その機能部分、または機能部分の相同配列に対応するポリペプチドをコードする核酸、ならびに1個または複数の抗標的単一ドメイン抗体、その相同配列、その機能部分、またはその機能部分の相同配列をコードする核酸を含む。
【0239】
本発明の別の態様によれば、クローンは、配列番号5〜27のどれかによって表される配列、その相同配列、その機能部分、またはその機能部分の相同配列に対応するポリペプチドをコードすることができる核酸を含む。
【0240】
多数の抗標的および/または多数の抗血清VHHをコードする核酸が本発明中のクローンに存在することは、本発明の範囲内に属する。
【0241】
本発明の異種特異的ポリペプチド構築物をコードするクローンに適した宿主を形質転換することによって、治療で使用するための異種特異的ポリペプチド構築物を十分な量で産生することができる。その中で前記クローンを形質転換できる生物の例には、それだけには限らないが、大腸菌やサッカロミセスセレビシエが含まれる。
【0242】
本発明の別の実施形態は、抗標的VHHに1個または複数の抗血清アルブミン単一ドメイン抗体を結合するステップを含む、抗標的VHHの半減期を延長するための方法である。既に上記したように、結合方法は、当該技術分野で知られており、またはどんな未来の方法でよく、たとえば、化学的カップリングによって、またはDNAレベルでこれらのVHHを融合することができる。
【0243】
本明細書に記載した1個または複数の疾患症状の治療、予防、および/または緩和は、一般に、対象に異種特異的ポリペプチド構築物の「治療有効量」を投与するステップを含む。「治療有効量」、「治療上有効な用量」、および「有効量」は、所望の結果を得るのに必要な量を意味する。当該技術分野の通常の技術者は、作用強度すなわち「有効量」が、本発明で使用される、疾患経路を阻害する様々な化合物によって変化し得ることを理解するものとする。当業者ならば、化合物の作用強度を容易に評価することができる。
【0244】
本明細書では、用語「化合物」は、本明細書で開示した異種特異的ポリペプチド構築物、配列番号5〜27によって表されるポリペプチド、その相同配列、その相同物、または該ポリペプチドをコードすることができる核酸をさす。
【0245】
「薬剤として許容される」は、生物学的にせよ、そうでないにせよ望ましくないことはない物質を意味し、すなわち、この物質はどんな望ましくない生物学的影響を引き起こすことも、またはそれが含まれている薬剤組成物の他の成分のどれとも有害な方式で相互作用することもなく、その化合物と共に個体に投与することができる。
【0246】
本明細書で開示した発明は、対象で本明細書に記載した疾患(たとえば、アレルギーおよび/または炎症)に関連付けられる状態の治療または予防に有用であり、疾患経路に関与する成分(たとえば、血中のIgEおよび/またはTNFα)に結合する化合物または組成物の薬剤有効量を投与することを含み、それによって疾患経路および疾患を阻害する。
【0247】
本発明の一態様は、対象で本明細書に記載した疾患(たとえば、アレルギーおよび/または炎症)に関連付けられる状態を治療しまたは予防するための本発明の化合物の使用であり、たとえばアスピリンなどの別の化合物と組み合せて、化合物の薬剤有効量を投与することを含む。
【0248】
本発明は、本発明の単一化合物を含む製剤の投与だけには限らない。1種を超える本発明の化合物を含む製剤をそれを必要とする患者に投与する併用治療を提供することは本発明の範囲内に属する。
【0249】
本明細書に記載の標準的試験を使用し、または他の同様の試験を使用し、疾患経路の阻害を定量する方法は当該技術分野で周知である。好ましくは、方法は、疾患の指標で少なくとも10%の減少をもたらすはずであり、たとえば、15%、20%、25%、30%、40%、50%,60%、70%、80%、90%、100%、またはこれらの間のどんな量も含み、90%の減少がより好ましい。たとえば、本発明のペプチドによるIgEの阻害によってアレルギー経路を阻害することは、食物特異的IgE濃度を10%減少させるであろう。
【0250】
本発明で有用な化合物は、薬剤組成物として製剤し、ヒト患者や任意の動物などの哺乳動物宿主に、選択した投与経路、すなわち、経口もしくは非経口、吸入による経鼻、経静脈、経筋肉内、経局所、または経皮下的投与に適合するようになされた様々な形態で投与することができる。
【0251】
本発明の化合物は、遺伝子治療送達法を使用し投与することもできる。たとえば、米国特許第5,399,346号を参照されたい。その全体を参照により本明細書に組み込む。遺伝子治療送達法を使用して、本発明の化合物用の遺伝子を形質移入した1次細胞に、さらに、標的特異的な臓器、組織、移植片、腫瘍、または細胞に対する組織特異的プロモータを形質移入することができる。
【0252】
したがって、本発明の化合物は、全身的に、たとえば、不活性希釈剤や吸収性食用可能な担体など、薬剤として許容されるビヒクルと組み合わせて経口的に投与することができる。これらの化合物は、ハードシェルまたはソフトシェルゼラチンカプセルに封入し、打錠し、または患者食の食物に直接組み込むことができる。経口治療投与には、活性化合物を1種または複数の賦形剤と組み合わせ、摂取可能な錠剤、頬腔錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウェーハなどの形で使用することができる。そのような組成物や調製物には、活性化合物を少なくとも0.1%含めるべきである。もちろん、組成物および調製物の割合は、変化してよく、好都合に所与の単位投与形重量の約2〜約60%にすることができる。そのような治療上使用可能な組成物の活性化合物量は、有効な用量レベルが得られるような量である。
【0253】
錠剤、トローチ、丸剤、カプセル剤などには以下:トラガカントガム、アカシア、コーンスターチ、ゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;およびショ糖、果糖、乳糖、またはアスパルテームなどの甘味剤;ペパーミント、冬緑樹油、サクランボ香味料などの矯味剤を加えることができる。単位投与形をカプセル剤にする場合は、上の種類の物質の他に、これに植物油やポリエチレングリコールなどの液体担体を含めてもよい。コーティングとして、そうでない場合は、固体単位投与形の物理的形状を改変するための様々な他の物質を含めてよい。たとえば、錠剤、丸剤、カプセル剤は、ゼラチン、ワックス、セラック、糖などによってコートすることができる。シロップまたはエリキシルには、活性化合物、甘味剤としてショ糖や果糖、保存料としてメチルやプロピルパラベン、着色料、およびサクランボ味やオレンジ味などの香味料を含めてもよい。もちろん、どんな単位投与形の調製に使用されるどんな物質も薬剤として許容され、使用量で実質上無毒であるべきである。さらに、活性化合物は、持続放出調製物やデバイスに組み込むこともできる。
【0254】
活性化合物は、注入または注射によって静脈内または腹腔内に投与することもできる。活性化合物またはその塩の溶液は、水で、場合によっては無害の界面活性剤と混合した水で調製することができる。分散剤もグリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、それらの混合物、および油類で調製することができる。通常の保存および使用条件下では、これらの調製物には、微生物の繁殖を防止するための保存料が含まれる。
【0255】
注射または注入に適当な薬剤投与形には、滅菌水溶液、分散剤、あるいは必要に応じて滅菌注射溶液もしくは注入溶液または分散剤を調合するようになされ、場合によってはリポソームに封入されている活性成分を含む滅菌粉を含めてもよい。すべての場合に、最良の剤形は、滅菌液体であり製造および保存条件下で安定していなければならない。液体担体またはビヒクルは、たとえば、水、エタノール、ポリオール(polyol)(たとえば、グリセロール(glycerol)、プロピレングリコール(propylene glycol)、液体ポリエチレングリコール(polyethylene glycols)など)、植物油、無毒グリセリルエステル(glyceryl esters)、それらの適当な混合物を含む溶媒または液体分散媒体であってよい。適切な流動性は、たとえば、リポソームの形成よって、分散剤の場合には必要な粒径を維持することによって、または界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、たとえば、パラベン(parabens)、クロロブタノール(chlorobutanol)、フェノール(phenol)、ソルビン酸(sorbic acid)、チメロサール(thimerosal)などによって防止する。多くの場合、等張化剤、たとえば、糖類、緩衝液、塩化ナトリウムを含めるのが好ましい。組成物に吸収遅延剤、たとえば、モノステアリン酸アルミニウム(aluminum monostearate)やゼラチンを使用することによって注射組成物を長時間にわたって吸収させることができる。
【0256】
滅菌注射溶液は、必要とされる先に列挙した他の成分のいくつかを含む適切な溶媒に必要量の活性化合物を組み込み、続いてろ過滅菌することによって調製する。滅菌注射溶液調製用の滅菌粉の場合には、好ましい調製方法は真空乾燥技術および凍結乾燥技術であり、これらの技術によって活性成分に予め滅菌ろ過した溶液中に存在する任意の追加の所望成分を加えた粉がもたらされる。
【0257】
局所投与には、すなわち、化合物が液体のときは、本発明の化合物を純粋形で適用することができる。しかし、一般に、化合物は、皮膚に許容される担体と組み合わせて、皮膚に組成物または製剤として投与されることが望ましく、この化合物は固体または液体であってよい。
【0258】
使用可能な固体担体には、タルク、クレイ、微結晶セルロース、シリカ、アルミナなどの微粉化固体が含まれる。使用可能な液体担体には、水、ヒドロキシアルキル、グリコール、または水‐アルコール/グリコールブレンドが含まれ、その場合、本発明の化合物は有効濃度で、場合によっては無毒の界面活性剤を用いて、溶解しまたは分散させることができる。香料や追加の抗菌剤などのアジュバントを加えて、所与の使用に向けた特性を最適化することができる。得られた液体組成物は、吸着パッドから塗布し、絆創膏および他の包帯剤を含浸するために使用し、またはポンプ型もしくはエアロゾルスプレーを使用し患部上に噴霧することができる。
【0259】
合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩およびエステル、脂肪族アルコール、改変セルロース、改変ミネラル物質など、増粘剤を液体担体と共に使用して、使用者の皮膚に直接塗布するための塗布用ペースト、ゲル、軟膏、石鹸などを形成することもできる。
【0260】
皮膚に化合物を送達するために使用できる使用可能な外用組成物の例は、当該技術分野で公知であり、たとえば、Jacquetら(米国特許第4,608,392号)、Geria(米国特許第4,992,478号)、Smithら(米国特許第4,559,157号)、およびWortzman(米国特許第4,820,508号)を参照されたい。
【0261】
使用可能な化合物の用量は、そのin vitro活性と動物モデルでのin vivo活性を比較することによって定量することができる。マウス、およびヒトまでの他の動物の有効な用量の推定方法は当該技術分野で公知であり、たとえば、米国特許第4,938,949号を参照されたい。
【0262】
一般に、ローションなどの液体組成物中の化合物の濃度は、約0.1〜25wt%であり、約0.5〜10wt%が好ましい。ゲルなどの半固体もしくは固体組成物または粉での濃度は約0.1〜5wt%であり、約0.5〜2.5wt%が好ましい。
【0263】
治療での使用に必要な本化合物、活性塩、またはその誘導体の量は、選択した特定の塩のみならず、投与経路、治療対象の状態の性質、年齢、および患者の状態によっても変化し、最終的に担当する内科医または臨床医の裁量に任せられる。化合物の用量も標的とする細胞、腫瘍、組織、移植片、または臓器に応じて変わる。
【0264】
所望用量は、単一用量で、あるいは適切な間隔、たとえば、1日当たり2回、3回、4回以上の副用量で投与する分割用量として好都合に提供することができる。副用量自体、たとえば、散布器からの多数の吸入または複数の点眼の適用など、さらに大まかに間隔を空けて分けた数回の投与に分割することができる。
【0265】
治療計画には、長期の毎日治療を含めてもよい。「長期」は、少なくとも2週間、好ましくは数週間、数ヵ月、または数年の持続時間を意味する。この用量範囲で必要な変更は、本明細書に教示した定型の実験のみを使用して当業者が決定することができる。Remington's Pharmaceutical Sciences(Martin,E.W.編第4版)、Mack Publishing Co.,米国ペンシルバニア州Eastonを参照されたい。どんな合併症の場合にも、内科医個人も用量を調整することができる。
【実施例1】
【0266】
ラマの免疫化
1頭のラマをヒト血清アルブミン(HSA)で免疫化した。免疫化スキームを表1に要約する。
【0267】
実施例1による免疫化スキーム
【表1】

【実施例2】
【0268】
レパートリークローニング
末梢血リンパ球(PBL)を密度勾配遠心分離(Ficoll‐Paque Plus、アマシャムバイオサイエンス社)によって単離した。PBLを使用して全RNAを抽出した(ChomczynskiおよびSacchi、1987年)。オリゴd(T)オリゴヌクレオチドを使用し、MMLV逆転写酵素(Gibco BRL)により100μgの全RNAでcDNAを調製した。フェノール/クロロホルム抽出後、エタノール沈殿によってcDNAを精製し、続いて鋳型として使用してVHHレパートリーを増幅した。
【0269】
第1のPCRでは、従来抗体(1.6kb)および重鎖(1.3kb)抗体遺伝子セグメントのレパートリーをリーダー特異的プライマー(5'‐GGCTGAGCTCGGTGGTCCTGGCT 3')およびオリゴd(T)プライマー(5'‐AACTGGAAGAATTCGCGGCCGCAGGAATTTTTTTTTTTTTTTTTT‐3')を使用し増幅した。得られたDNA断片をアガロースゲル電気泳動によって分離し、アガロースゲルから重鎖抗体セグメントをコードする1.3kbの断片を精製した。FR1逆進プライマーおよび同じオリゴd(T)前進プライマーの混合物を使用し第2のPCRを実施した。(FR1プライマーに導入した)SfiIおよび(FR4に自然に存在する)BstEIIでPCR産生物を消化した。ゲル電気泳動後、約400塩基対のDNA断片をゲルから精製し、ファージミドpAX004の対応する制限部位連結して、大腸菌TG1の電気穿孔後にクローン化VHHのライブラリを得た。ライブラリの大きさは1.4×10cfuであり、クローンにはすべて、正確な大きさの挿入物が含まれていた。
【実施例3】
【0270】
ライブラリのレスキュー(RESCUE)、ファージ調製
ライブラリは、OD600nmが0.5に達するまで、2%ブドウ糖および100μg/mlのアンピシリンを含む10mlの2×TY培地で37℃で増殖させた。M13KO7ファージ(1012)を加え、混合物を37℃で1回目は振盪せずに、次いで100rpmで振盪しながら2×30分間培養した。室温で4500rpmで10分間細胞を遠心分離した。細菌のペレットを100μg/mlのアンピシリンおよび25μg/mlのカナマイシンを含む50mlの2×TY培地中に再懸濁し、250rpmで勢いよく振盪しながら終夜37℃で培養した。終夜培養物を4℃、10,000rpmで15分間遠心分離した。ファージをPEG沈殿(20%ポリ‐エチレン‐グリコールおよび1.5MのNaCl)し、10,000rpmで30分間遠心分離した。ペレットをPBS20ml中に再懸濁した。ファージを再度PEG沈殿させ、4℃、20,000rpmで30分間遠心分離した。ペレットを1%カゼインのPBS溶液5mlに溶解した。OD600nm=0.5のTG1細胞に感染させることによってファージを滴定し、100μg/mlのアンピシリンおよび2%ブドウ糖を含むLB寒天プレート上に播種した。形質転換体数は、ファージ数(=pfu)を示す。15%グリセロールを用いて−80℃でファージを貯蔵した。
【実施例4】
【0271】
ファージELISA
マイクロタイタープレート(Maxisorp)を1%カゼインのPBS溶液または5μg/mlのHSA(ヒト血清アルブミン)で終夜4℃でコートした。プレートをPBS‐Tween(0.05% Tween 20)で3回洗浄し、1%カゼインのPBS溶液200μlにより室温で2時間ブロックした。プレートをPBS‐Tweenで5回洗浄した。ファージを上記のように調製し、ウェルに2倍段階希釈で入れた。プレートをPBS‐Tweenで5回洗浄した。PBSで1/2000希釈したホースラディシュペルオキシダーゼ(HRP)に結合させたマウスモノクローナル抗体の抗M13と結合したファージを検出した。プレートをPBS‐Tweenで5回洗浄した。ABTS/Hによって染色を行い、30分後にシグナルを405nmで測定した。結果を図1に示し、ライブラリ中にHSA特異的ナノ体が存在することを示している。
【実施例5】
【0272】
選択:第1回目および第2回目のバイオパニング
マイクロタイタープレートのウェルを10μg/mlのマウス血清アルブミン(MSA)または1%カゼイン含有PBSでコートした。4℃で終夜培養後、ウェルを1%カゼイン含有PBSにより室温で3時間ブロックした。200μlのファージをウェルに加えた。室温で2時間培養後、ウェルをPBS‐Tween10回およびPBSで10回洗浄した。結合したファージを100μlの0.2Mのグリシン緩衝液pH=2.4で溶出させた。室温で20分間溶出を行った。溶出したファージを指数関数的に増殖している大腸菌TG1細胞に放置して感染させ、次いで100μg/mlのアンピシリンおよび2%ブドウ糖を含むLB寒天プレート上に播種した。第2回目も上記と同じ条件で実施した。結果を表2に要約する。
【0273】
実施例5に記載した、マウス血清アルブミンでの1回および2回のパニングした後の結果
【表2】

【実施例6】
【0274】
バイオパニング後の個々のクローンのスクリーニング
ELISA:ヒト血清アルブミン(HSA)およびマウス血清アルブミン(MSA)への結合
単一コロニーを使用して2%ブドウ糖および100μg/mlのアンピシリンを含むLBで終夜培養を開始した。100μg/mlのアンピシリンを含むTB培地でこの終夜培養物を100倍に希釈し、OD600nm=0.5になるまで37℃で培養した。1mMのIPTGを加え、培養物を37℃でさらに3時間または28℃で終夜培養した。培養物を4℃、10,000rpmで20分間遠心分離した。ペレットを終夜または−20℃で1時間凍結した。次に、ペレットを室温で40分間解凍し、PBSに再懸濁し、氷上で1時間振盪した。周辺質画分を4℃、20,000rpmで20分間遠心分離することによって単離した。VHHを含む上清をさらに分析するために使用した。
【0275】
マイクロタイタープレートを終夜4℃で5μg/mlのHSA、5μg/mlのマウス血清アルブミン(MSA)、または1%カゼインのPBS溶液でコートした。1%カゼインのPBS溶液300μlにより室温で2時間プレートをブロックした。プレートをPBS‐Tweenで3回洗浄した。第1目および第2回目の選択の後、23個の個々のクローン用に周辺質画分を調製し、マイクロタイタープレートのウェルに放置して結合させた。プレートをPBS‐Tweenで6回洗浄し、その後、マウス抗ヒスチジンモノクローナル抗体Serotec MCA1396(1/1000希釈)を含むPBSにより室温で1時間培養し、続いて抗マウス‐アルカリホスファターゼ共役1/2000を含むPBSにより同様に室温で1時間培養することによってナノ体の結合を検出した。基質PNPP(p‐ニトロフェニルリン酸2mg/mlを含む1Mのジエタノールアミン、1mMのMgSO、pH9.8)によって染色を行い、30分後に405nmでシグナルを測定した。結果を表3に要約する。
【0276】
1回および2回の選別後、クローンを選択し周辺質抽出物を調製した。実施例6に記載した、これらのクローンのヒトおよびマウスアルブミンへの結合をELISAで分析した。
【表3】

【実施例7】
【0277】
HinfIパターンおよび配列決定
第2回目のパニング後、ベクターの配列に結合している1組のプライマーを用いて陽性クローンでPCRを実施した。PCR産生物を制限酵素HinfIで消化し、アガロースゲル上に載せた。さらに評価するために異なるHinfI‐パターンによって4個のクローンを選択した。これらのクローンを配列決定した。結果を表4に要約する(配列番号1、2、3、および4)。
【実施例8】
【0278】
異なる種のアルブミンによる交差反応試験
異なる種(ヒヒ、ブタ、ハムスター、ヒト、ラット、マウス、およびウサギ)から得た血漿(1/10希釈)についてSDS‐PAGEを実施し、ニトロセルロース膜上にブロットした。実施例3に記載したように、クローンMSA21、MSA24、MSA210、MSA212、および対照ナノ体用にファージを調製した。ニトロセルロースにブロットした血清アルブミンにファージを放置して結合させ、未結合ファージを洗い流した。HRPに結合させた抗M13ポリクローナル抗体によって結合を検出した。検出にDAPを基質として使用した。結果を図2に示す。
【0279】
これらの結果から、本発明者らは、4個全ての結合剤は、ブタ、ヒト、マウス(MSA212では低)、およびハムスターの血清アルブミン間で交差反応すると推断することができる。MSA21は、ウサギ血清アルブミンとも交差反応する。不適切なナノ体によっては、結合は観察されなかった(図示せず)。
【0280】
対照実験として、PBSで1/100希釈した異なる血漿試料でSDS‐PAGEを実施した。ゲルは、クーマシーで染色した。図3から、本発明者らは、全血漿試料のアルブミン濃度は、アルブミン濃度が低いウサギ血漿を除いて高いと推断することができる。
【実施例9】
【0281】
発現および精製
結合剤用にプラスミドを調製し、WK6電気適応性細胞に形質転換した。単一コロニーを使用して、2%ブドウ糖および100μg/mlのアンピシリンを含むLB中で終夜培養を開始した。この終夜培養物を100μg/mlのアンピシリンを含むTB培地300mlで100倍に希釈し、OD600nm=0.5になるまで37℃で培養した。1mMのIPTGを加え、培養物を37℃でさらに3時間または28℃で終夜培養した。培養物を4℃、10,000rpmで20分間遠心分離した。ペレットを終夜または−20℃で1時間凍結した。次に、ペレットを室温で40分間解凍し、20mlのPBSに再懸濁し、氷上で1時間振盪した。周辺質画分を4℃、20,000rpmで20分間遠心分離することによって単離した。ナノ体を含む上清をNi‐NTA上に載せ精製して均質にした。
【実施例10】
【0282】
精製ナノ体のMSAによるELISA
マイクロタイタープレートを5μg/mlのMSAによって終夜4℃でコートした。洗浄後、1%カゼインのPBS溶液によって室温で2時間プレートをブロックした。試料を2組、濃度2500nM、1/3希釈で出発して適用し、室温で2時間放置して結合させた。ポリクローナルウサギ抗ナノ体血清を1/1000(K208)で室温で1時間加えた。実施例6に記載したように、検出を抗ウサギアルカリホスファターゼ共役体を用いて1/1000で行い、染色をPNPPで行った。結果を図4に示す。
【実施例11】
【0283】
二重特異性構築物の構築
大腸菌産生ベクターpAX11を構築して、二価または二重特異性VHHの2段階クローニングを可能にした(図5)。
【0284】
カルボキシ末端VHHを最初にPstIおよびBstEIIでクローン化する一方で、第2段階では他のVHHをSfiIおよびNotIによって挿入した。これらは第1の遺伝子断片内を切断しない。この手順によって増幅による新規な部位の実施、それによるPCR間違いの導入の危険性が回避される。ラマの中位のヒンジをナノ体間のリンカーとして使用した。ヒトTNFαに対するVHHをMSA特異的ナノ体のCOOH末端でクローン化した。配列を表4に要約する(配列番号5、6、7、および8)。プラスミドを調製し、WK6電気適応性細胞に形質転換した。単一コロニーを使用して、2%ブドウ糖および100μg/mlのアンピシリンを含むLBで終夜培養を開始した。この終夜培養物を100mg/mlのアンピシリンを含むTB培地300μlで100倍希釈し、OD600nm=0.5になるまで37℃で培養した。1mMのIPTGを加え、培養物を37℃でさらに3時間培養した。
【0285】
培養物を4℃、10,000rpmで20分間遠心分離した。ペレットを−20℃で終夜凍結した。翌朝、ペレットを低温室で40分間解凍し、20mlのPBSに再懸濁し、氷上で1時間振盪した。周辺質画分を4℃、10,000rpmで20分間遠心分離することによって単離した。上清をNi‐NTA上に載せ、精製して均質にした。配列を表4に示す(配列番号5、6、7、および8)。ゲルろ過上のいくらかの分解生成物(5%)を除去するために、追加の精製ステップが必要であった。
【0286】
ヒトTNFα(MP712b)に対する別の二重特異性VHHを表4に示す(配列番号15、16、17、および18)。
【実施例12】
【0287】
サンドウィッチELISAでの二重特異性構築物の試験
マイクロタイタープレートを5μg/mlのMSAで終夜4℃でコートした。プレートを1%カゼインのPBS溶液300μlにより室温で2時間ブロックした。プレートをPBS‐Tweenで3回洗浄した。MSA21、MSA24、MSA210、およびMSA212に対して、二重特異性構築物用に精製した蛋白質を、それぞれ、濃度0.4、0.5、2.5、および2.5μg/mlで放置してマイクロタイタープレートのウェルに結合させた。プレートをPBS‐Tweenで6回洗浄し、ビオチン化TNFを濃度10μg/ml加え、3倍に希釈し、室温で2時間放置して結合させた。マウス・エクストラアビジン・アルカリ・ホスファターゼ共役(Sigma)1/2000を含むPBSにより室温で1時間培養することによって結合を検出した。基質PNPP(p‐ニトロフェニルリン酸2mg/mlを含む1Mジエタノールアミン、1mMのMgSO、pH9.8)で染色を行い、30分後に405nmでシグナルを測定した。結果を図6に示し、二重特異性構築物が同時に両抗原に結合できることを示す。
【実施例13】
【0288】
BIACOREでアルブミン結合剤の親和性を定量
EDC‐NHS共有結合カップリングを使用し、CM5 BIAcoreチップ上にマウスアルブミンを固定化することによって、BIACOREでマウスアルブミンへの親和性を定量し、表5に要約する。結果は、アルブミンへの親和性が二重特異性構築物に保持されていることを示している。
【0289】
実施例13に記載した、BIACOREにより測定したアルブミン結合剤に対する親和力(koff、kon、およびKD)
【表5】

【実施例14】
【0290】
血漿または血液でのELISAの最適化
TNFα結合剤TNF3Eのマウスでの半減期をMSA21/VHH#3EおよびMSA24/VHH#3Eを用いて比較するための薬物動態実験を開始した。したがって、試料が血液または血漿中にある場合、本発明者らのELISAを最適化させて低い背景値を得なければならなかった。マイクロタイタープレートをニュートラアビジンでコートした。終夜4℃で培養後、プレートを洗浄し、1%カゼインのPBS溶液により室温で2時間ブロックした。1μg/mlのビオチン化TNFαを室温で30分間放置して結合させ、プレートを洗浄した。試料(一価のVHH#3EおよびMSA21/VHH#3E)を濃度1μg/mlで出発に利用し、PBS、10%血漿、または10%血液で希釈し、2時間放置して結合させた。プレートを洗浄後、ウサギ抗血清を1/2000の希釈で加え、重鎖クラス(K208)を認識させ、または従来のクラス(URL49)を認識させた。1時間培養後、プレートを洗浄し、抗ウサギアルカリホスファターゼ共役(Sigma)を1/1000の希釈で加えた。室温で1時間培養後、プレートを洗浄し、基質で結合を検出した。結果を図7−1及び7−2に示す。結果は、ウサギ抗血清(K208およびURL49)での背景値は、試料を10%血液または10%血漿で希釈した場合、PBSと比較して非常に低いことを明瞭に示している。URL49抗血清は、MSA21/VHH#3E二重特異性ナノ体のみを認識し、一価のVHH#3Eを認識せず、したがってこの抗血清はマウスに投与直後の本発明者らの二重特異性ナノ体の統合性の試験に使用することができる。
【実施例15】
【0291】
大規模発現、ならびにマウスでの薬物動態研究に向けた7A76VHH#3E、MSA21/VHH#3E、およびMSA24/VHH#3Eの精製
一価TNF3E、ならびに二重特異性MSA21/VHH#3EまたはMSA24/VHH#3E用に3リットル培養を開始し、実施例11に記載したように精製した。エンドトキシンの除去に追加の精製ステップが必要であった。したがって、試料をポリミキシンカラム(BIO‐RAD)で精製した。試料の細菌エンドトキシン濃度をLAL検定(カブトガニ血球抽出物(Limulus Amebocyte Lysate)、Bio Whittaker)で分析した。結果を表6に要約する。
【0292】
実施例15に記載した、ポリミキシンでの精製後の一価および二重特異性ナノ体のLAL検定結果
【表6】

【実施例16】
【0293】
マウスでの薬物動態
構築物ごとに9頭のマウス(CB57/BI6)に100μgのナノ体を尾の静脈に投与した。様々な時点で血液(各時点につき3頭のマウス)を回収し血清を調製した。実施例14に記載したように、一価または二重特異性ナノ体が存在するかどうか、試料をELISAによって分析した。分子の統合性を確認するために二重特異性構築物についてK208をURL49とも比較した。結果を図8〜11に示す。
【0294】
本発明者らは、一価のナノ体の半減期(40〜45分間)が、アルブミンMSA21/VHH#3EおよびMSA24/VHH#3Eに特異的な二重特異性ナノ体を作製することによって劇的に改善された(半減期2.5〜3日間)という結果から結論を得ることができる。URL49でのELISAに示すように、二重特異性ナノ体MSA21/VHH#3Eは、マウス中で19日を経ても無傷のままである(図11)。
【実施例17】
【0295】
ナノ体の半減期をさらに延長
MSA21/TNF3EおよびMSA24/TNF3Eの半減期をさらに延長するために、三価のナノ体を二価MSA21‐MSA21構築物を標的特異的ナノ体TNF3Eに融合することによって調製した。得られたMSA21/MSA21/TNF3E(表7、および配列番号9)を実施例16の方法によってin vivoで試験した。
【実施例18】
【0296】
ラマ002の免疫化
1頭のラマをvWFで免疫化した。表7に免疫化スキームを要約する。
【0297】
実施例17による、ラマ002に使用した免疫化スキーム
【表7】

【実施例19】
【0298】
レパートリークローニングおよびファージの調製
実施例2に記載した通りにライブラリを調製した。ライブラリの大きさは、1.4×10cfuであり、90%を超えるクローンには正確な大きさの挿入物が含まれていた。実施例3に記載した通りにファージを調製した。
【実施例20】
【0299】
コラーゲンとの相互作用を阻害するvWF用の結合剤の選択:第1回目および第2回目のパニング
マイクロタイタープレートのウェルを2μg/mlのvWFまたは1%カゼイン含有PBSでコートした。4℃で終夜培養後、ウェルを1%カゼイン含有PBSにより室温で3時間ブロックした。200μlのファージをウェルに加えた。室温で2時間培養後、ウェルをPBS‐Tweenで10回およびPBSで10回洗浄した。ファージを100μg/mlのコラーゲンIII型100μlによって特異的に溶出させた。室温で終夜溶出を行った。溶出したファージを指数関数的に増殖しているTG1細胞に放置して感染させ、次いで100μg/mlのアンピシリンおよび2%ブドウ糖を含むLB寒天プレート上に播種した。上記した同じ条件下で、この実験を第2回目のパニングに向けて繰り返した。パニングの結果を表8および9に示す。
【0300】
実施例19に記載した、PBS‐カゼインと比較する、vWF上での1回および2回のパニングの後のプラーク形成単位(pfu)。Pfu vWF(抗原)は、pfuカゼインによって分割(特異的結合)=濃縮
【表8】


【0301】
実施例20に記述した、1回目および2回目のパニング後の阻害剤数対試験クローン数
【表9】

【実施例21】
【0302】
vWF結合剤の機能特徴付け:VHHがvWFのコラーゲンへの結合を阻害
マイクロタイタープレートを25μg/mlのコラーゲンIII型のPBS溶液により終夜4℃でコートした。プレートをPBS‐Tweenで5回洗浄し、1%カゼイン含有PBSにより室温で2時間ブロックした。プレートをPBS‐Tweenで5回洗浄した。2μg/mlのvWF100μl(vWFは37℃で15分間予備培養する)を(実施例6に記載した)VHH抗体含有周辺質抽出液20μlと混合し、マイクロタイタープレートのウェル中で室温で90分間培養した。プレートをPBS‐Tweenで5回洗浄した。抗vWF‐HRPモノクローナル抗体(DAKO)をPBSで3,000倍に希釈し1時間培養した。プレートをPBS‐Tweenで5回洗浄し、ABTS/HでvWF結合を検出した。30分後に405nmでシグナルを測定した。結果を表10に示し、第1目および第2回目のパニング後に阻害剤が得られることが示されている。
【実施例22】
【0303】
VHHの発現および精製
実施例9に記載したように蛋白質を調製し精製した。
【実施例23】
【0304】
ELISA:vWFへの結合
マイクロタイタープレートを2μg/mlのvWFにより4℃で終夜コートした。プレートを1%カゼインのPBS溶液300μlによって室温で2時間ブロックした。プレートをPBS‐Tweenで3回洗浄した。全精製試料の希釈系列を室温で2時間培養した。プレートをPBS‐Tweenで6回洗浄し、その後、マウス抗myc mAB1/2000のPBS溶液により室温で1時間培養し、続いて抗マウス‐HRP共役体1/1000のPBS溶液で同様に室温で1時間培養することによってVHHの結合を検出した。基質ABTS/Hによって染色を行い、30分後に405nmでシグナルを測定した。精製VHHの濃度に応じた結合を図12に示す。
【実施例24】
【0305】
精製VHHによる阻害ELISA
実施例20に記載したように、阻害ELISAを実施したが、精製vWFの代わりに減少濃度のVHHおよび1/60希釈のヒト血漿を用いた。結果を図13に示す。50%阻害(IC50)をもたらすVHH濃度を表10に示す。
【0306】
実施例23に記載した、vWFのコラーゲンへの結合を50%阻害(IC50)するのに必要なVHH濃度(nM)
【表10】

【実施例25】
【0307】
二重特異性構築物の構築および配列
アルブミンに特異的な第1のVHH(MSA21)およびvWFに特異的な第2VHHで二重特異性構築物を調製した。実施例11に記載したように構築物を作製した。配列を表4−1〜4−7に示す(配列番号19〜21)。
【0308】
配列表
【表4−1】

【表4−2】

【表4−3】


【表4−4】


【表4−5】


【表4−6】


【表4−7】

【実施例26】
【0309】
二重特異性構築物の発現および精製
実施例9に記載したように蛋白質を発現させ精製した。いくらかの一価分解生成物(5〜10%)を除去するためには、superdex 75での追加の精製ステップが必要であった。
【実施例27】
【0310】
二重特異性構築物中の両VHHの機能性
マイクロタイタープレートを5μg/mlのマウス血清アルブミンにより4℃で終夜でコートした。プレートを洗浄後、ウェルを1%カゼインのPBS溶液により2時間ブロックした。二重特異性蛋白質を室温で2時間放置してウェルに結合させた。洗浄後、ヒト、イヌ、およびブタの血漿を様々な希釈で加え、室温で2時間放置して結合させた。DAKO社製抗vWF‐HRPにより1/3000希釈でvWFの結合を検出した。ABTS/Hで染色を行った。結果を図14−1、14−2、14−3に示す。両VHHの機能性が二重特異性構築物に保持されていることを示している。
【実施例28】
【0311】
一価VHHと比較する二重特異性構築物によるvWFのコラーゲンへの結合の阻害
実施例20に記載したように、vWFのコラーゲンへの結合の阻害を、二重特異性構築物と比較して一価について試験した。IC50値を表11に要約する。結果は、VHHの阻害特性が二重特異性構築物に保持されていることを示している。
【0312】
実施例28に記載した、二重特異性ナノ体の対アルブミンおよび対vWFのIC50値
【表11】

【実施例29】
【0313】
抗血清アルブミンVHHに融合されたVHH‐CDR3断片を含む二重特異性構築物の構築
フレームワーク4領域に位置するセンスプライマー(F6のCRD3前進:CTGGCCCCAGAAGTCATACC)およびフレームワーク3領域に位置するアンチセンスプライマー(F6のCDR3逆進プライマー:TGTGCATGTGCAGCAAACC)の使用によって、機能部分であるMP2F6SRのCDR3領域を増幅した。
【0314】
CDR‐3断片を抗血清アルブミンVHHMSA‐21と融合するために、第2回目のPCR増幅は、以下のプライマーを実施した。
F6 CDR3逆進プライマーSfi1:
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCTGTGCATGTGCAGCAAACC
F6 CDR3前進プライマーNot1:
GTCCTCGCAACTGCGCGGCCGCCTGGCCCCAGAAGTCATACC
【0315】
反応容量50mlで各プライマー50pmolを使用しPCR反応を実施した。第1回目のPCRの反応条件は、94℃で11分、続いて94/55/72℃で30/60/120秒で30サイクル、および72℃で5分であった。2.5mMのMgCl、200mMのdNTP、および1.25UのAmpliTaq God DNAポリメラーゼ(ロッシュダイアグノスティクス、ベルギー国ブリュッセル)を用いて全反応を実施した。
【0316】
MSAクローンのVHH遺伝子を制限酵素Pst1/BstEIIによって切断後、消化生成物をpAX11中でクローン化して、マルチクローニング部位のC末端にVHHを有するクローンを得た。ベクターを基にしたプライマーを使用しPCRによってクローンを検査した。クローンから650bpの産生物が得られ、PCR産生物を制限酵素Sfi1/Not1で切断して、MSA VHHと融合したCDR3のN末端発現を可能にした後、DNAを調製し、アクセプタベクターとして使用してMP2F6SRのCDR3をクローンした。
【実施例30】
【0317】
本発明の抗標的単一ドメイン抗体間相互の相同性の計算
本発明の抗標的単一ドメイン抗体間のアミノ酸配列相同性の程度は、Bioedit Sequence Alignment Editorを使用し算出した。ClustalWにより整列化されるので、計算によって全配列間の同一残基の比率が示される。[Thompson,J.D.、Higgins,D.G.、およびGibson,T.J.(1994)CLUSTALW:配列重み付け、位置特異的空隙ペナルティ、および重量マトリックスの選択による、進化性多重配列整列の感受性の改善(improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting, position specific gap penalties and weight matrix choice).Nucleic Acids Research、1994年6月提出]。表12は、本発明の抗血清アルブミンVHH間相互の部分相同性を示す。表13は、本発明の抗TNF‐αのVHH間相互の部分相同性を示す。表14は、本発明の抗IFNγのVHH間相互の百分比相同性を示す。表15は、本発明の抗vWF VHH間相互の画分相同性を示す。
【0318】
本発明の抗マウス血清アルブミンVHHのアミノ酸配列間相互の部分的相同性
【表12】


【0319】
本発明の抗TNFα VHH間相互の部分的相同性
【表13】

【0320】
本発明の抗IFNγ VHH間相互の%相同性
【表14】

【0321】
本発明の抗vWF VHH間相互の部分的相同性
【表15】





























【図面の簡単な説明】
【0322】
【図1】実施例4に記載した、HSA特異的ナノ体がライブラリに存在することを示すファージELISAを示す図である。
【図2】実施例8に記載した、ニトロセルロース上にブロットされた、アルブミン結合剤を発現するファージの血漿への結合を示す図である。
【図3】実施例8に記載した、SDS‐PAGE上での血漿試料のクーマシー染色である。
【図4】実施例10に記載した、ELISAによって定量した、精製ナノ体のマウスアルブミンへの結合を示す図である。
【図5】実施例11に記載した、二重特異性ナノ体の構築のためのPAX011の多数のクローニング部位を示す図である。
【図6】実施例12に記載した、二重特異性構築物中の両ナノ体の機能性を示すためのサンドウィッチELISAを示す図である。
【図7−1】実施例14に記載した、10%血漿中または10%血液中のナノ体の濃度を定量するためのELISAの最適化を示す図である。
【図7−2】実施例14に記載した、10%血漿中または10%血液中のナノ体の濃度を定量するためのELISAの最適化を示す図である。
【図8】実施例16に記載した、ELISAによって定量したマウスでの一価抗TNFαナノ体の薬物動態を示す図である。
【図9】実施例16に記載した、ELISAによって定量したマウスでの二重特異性ナノ体MSA21/TNF3Eの薬物動態を示す図である。
【図10】実施例16に記載した、URL49と比較してK208を用いた、ELISAによって定量したマウスでの二重特異性ナノ体MSA21/TNF3Eの薬物動態を示す図である。
【図11】実施例16に記載した、ELISAによって定量したマウスでの二重特異性ナノ体MSA24/TNF3E薬物動態を示す図である。
【図12】実施例23に記載した、ELISAによって定量した精製VHHによるvWFへの結合を示す図である。
【図13】実施例24に記載した、VHHによるvWFのコラーゲンへの結合の阻害を試験するためのELISAを示す図である。
【図14−1】実施例27に記載した、二重特異性構築物中の両VHH機能性を示すサンドウィッチELISAを示す図である。
【図14−2】実施例27に記載した、二重特異性構築物中の両VHH機能性を示すサンドウィッチELISAを示す図である。
【図14−3】実施例27に記載した、二重特異性構築物中の両VHH機能性を示すサンドウィッチELISAを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用および/または診断用標的を対象とする少なくとも1個の単一ドメイン抗体、ならびに
血清蛋白質を対象とする少なくとも1個の単一ドメイン抗体を含むポリペプチド構築物。
【請求項2】
抗標的単一ドメイン抗体数が少なくとも2個であり、かつ
該少なくとも2個の抗標的単一ドメイン抗体が同じ配列を共有しない、または該抗標的単一ドメイン抗体が全て、同じ配列を共有する、請求項1に記載のポリペプチド構築物。
【請求項3】
抗血清蛋白質単一ドメイン抗体数が少なくとも2個であり、かつ
該少なくとも2個の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体が同じ配列を共有しない、または該抗血清蛋白質単一ドメイン抗体が全て、同じ配列を共有する、請求項1に記載のポリペプチド構築物。
【請求項4】
前記少なくとも1個の単一ドメイン抗体が、ラクダ科VHH抗体である、請求項1から3のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項5】
前記少なくとも1個の単一ドメイン抗体が、ヒト化ラクダ科VHH抗体である、請求項1から4のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項6】
前記血清蛋白質が、血清アルブミン、血清免疫グロブリン、チロキシン結合蛋白質、トランスフェリング、またはフィブリノーゲン、あるいはそれらの断片のどれかである、請求項1から5のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項7】
単一ドメイン抗血清蛋白質抗体が、配列番号1〜4および28〜40のどれかによって表される配列に対応する、請求項1から6に記載のポリペプチド構築物。
【請求項8】
標的が、TNFαである、請求項1から7のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項9】
配列番号5〜18のどれかによって表される配列に対応する、請求項7に記載のポリペプチド構築物。
【請求項10】
前記ポリペプチド構築物が、前記ポリペプチド構築物の相同配列、前記ポリペプチド構築物の機能部分、または前記ポリペプチド構築物の機能部分の相同配列である、請求項8から10のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項11】
請求項8から10のいずれかに記載のポリペプチド構築物をコードする核酸。
【請求項12】
炎症過程に関連付けられる疾患の治療、予防、および/または緩和に使用するための、請求項8から10のいずれかに記載のポリペプチド構築物、または請求項11に記載の核酸。
【請求項13】
炎症過程に関連付けられる疾患を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、請求項8から10のいずれかに記載のポリペプチド構築物または請求項11に記載の核酸の使用。
【請求項14】
前記疾患が、リューマチ性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、および多発性硬化症のどれかである、請求項13に記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項13に記載のポリペプチド構築物の使用。
【請求項15】
前記ポリペプチド構築物が、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸、経皮下的に、または吸入によって投与される、請求項12および14に記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項13および14に記載のポリペプチド構築物の使用。
【請求項16】
標的が、vWFである、請求項1から7のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項17】
標的が、コラーゲンである、請求項1から7に記載のポリペプチド構築物。
【請求項18】
少なくとも1個の抗標的単一ドメイン抗体が、抗vWF VHHである、請求項16に記載のポリペプチド構築物。
【請求項19】
配列番号19〜21のどれかによって表される配列に対応する、請求項18に記載のポリペプチド構築物。
【請求項20】
前記ポリペプチド構築物が、前記ポリペプチド構築物の相同配列、前記ポリペプチド構築物の機能部分、または前記ポリペプチド構築物の機能部分の相同配列である、請求項16から19のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項21】
請求項16から20のいずれかに記載のポリペプチド構築物をコードする核酸。
【請求項22】
血小板介在凝集またはその機能異常に関連付けられる疾患または状態の治療、予防、および/または緩和に使用するための、請求項16から20のいずれかに記載のポリペプチド構築物、または請求項21に記載の核酸。
【請求項23】
血小板介在凝集またはその機能異常に関連付けられる疾患または状態を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、請求項16から20のいずれかに記載のポリペプチド構築物または請求項21に記載の核酸の使用。
【請求項24】
前記疾患が、脳虚血発作、不安定狭心症、脳梗塞、心筋梗塞、末梢動脈閉塞性疾患、再狭窄のどれかであり、かつ前記状態が、冠動脈バイパス術、冠動脈弁置換術;および血管形成術、ステント術、粥腫切除などの冠血管処置から生じている状態である、請求項22に記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項23に記載のポリペプチド構築物または核酸の使用。
【請求項25】
前記ポリペプチド構築物が、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸、経皮下的に、または吸入によって投与される、請求項22および24に記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項23および24に記載のポリペプチド構築物の使用。
【請求項26】
標的が、IgEである、請求項1から7のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項27】
少なくとも抗標的単一ドメイン抗体が、抗IgE VHHである、請求項26に記載のポリペプチド構築物。
【請求項28】
配列番号22〜24のどれかによって表される配列に対応する、請求項26に記載のポリペプチド構築物。
【請求項29】
前記ポリペプチド構築物が、前記ポリペプチド構築物の相同配列、前記ポリペプチド構築物の機能部分、または前記ポリペプチド構築物の機能部分の相同配列である、請求項26から28のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項30】
請求項26から29のいずれかに記載のポリペプチド構築物をコードする核酸。
【請求項31】
アレルギー反応に関連付けられる疾患または状態の治療、予防、および/または緩和に使用するための、請求項26から29のいずれかに記載のポリペプチド構築物、または請求項30に記載の核酸。
【請求項32】
アレルギー反応に関連付けられる疾患または状態を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、請求項26から29のいずれかに記載のポリペプチド構築物または請求項30に記載の核酸の使用。
【請求項33】
前記疾患が、枯草熱、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚反応、アレルギー性眼反応、および食事性アレルギーのどれかである、請求項31に記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項32に記載のポリペプチド構築物または核酸の使用。
【請求項34】
前記ポリペプチド構築物が、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸、経皮下的に、または吸入によって投与される、請求項31および33に記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項32および33に記載のポリペプチド構築物の使用。
【請求項35】
標的が、IFNγである、請求項1から7のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項36】
少なくとも1個の抗標的単一ドメイン抗体が、抗IFNγ VHHである、請求項35に記載のポリペプチド構築物。
【請求項37】
配列番号25〜27によって表される配列に対応する、請求項35に記載のポリペプチド構築物。
【請求項38】
前記ポリペプチド構築物が、前記ポリペプチド構築物の相同配列、前記ポリペプチド構築物の機能部分、または前記ポリペプチド構築物の機能部分の相同配列である、請求項35から37のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項39】
請求項35から38のいずれかに記載のポリペプチド構築物をコードする核酸。
【請求項40】
免疫系が、過敏である疾患または状態の治療、予防、および/または緩和に使用するための、請求項35から38のいずれかに記載のポリペプチド構築物、または請求項39に記載の核酸。
【請求項41】
免疫系が、過敏である疾患または状態を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、請求項35から38のいずれかに記載のポリペプチド構築物または請求項39に記載の核酸の使用。
【請求項42】
前記疾患が、クローン病、自己免疫疾患、臓器移植拒絶、さらにリューマチ性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症などの炎症性疾患のどれかである、請求項40に記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項41に記載のポリペプチド構築物または核酸の使用。
【請求項43】
前記ポリペプチド構築物が、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸、経皮下的に、または吸入によって投与される、請求項40および42に記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項41および42に記載のポリペプチド構築物の使用。
【請求項44】
請求項8から10、12、14、および15のいずれかに記載のポリペプチド構築物、あるいは該ポリペプチド構築物をコードする核酸、ならびに薬剤として許容されるビヒクルを含む組成物。
【請求項45】
請求項16から20、22、24、および25のいずれかに記載のポリペプチド構築物、あるいは該ポリペプチド構築物をコードする核酸、ならびに薬剤として許容されるビヒクルを含む組成物。
【請求項46】
請求項26から29、31、33、および34のいずれかに記載のポリペプチド構築物、あるいは該ポリペプチド構築物をコードする核酸、ならびに薬剤として許容されるビヒクルを含む組成物。
【請求項47】
前記標的が疾患の過程に関与している単一標的を対象とする、請求項1から7のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項48】
前記ポリペプチド構築物が、前記ポリペプチド構築物の相同配列、その機能部分、またはその機能部分の相同配列である、請求項47に記載のポリペプチド構築物。
【請求項49】
請求項47および48に記載のポリペプチド構築物をコードする核酸。
【請求項50】
前記標的が関与している疾患または状態の治療、予防、および/または緩和に使用するための、請求項47および48に記載のポリペプチド構築物、あるいは請求項49に記載の核酸。
【請求項51】
前記標的が関与している疾患または状態を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、請求項47および48のいずれかに記載のポリペプチド構築物あるいは請求項49に記載の核酸の使用。
【請求項52】
循環から急速には排出されない治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための、請求項48および50に記載のポリペプチド構築物、あるいは請求項49に記載の核酸。
【請求項53】
循環から急速には排出されない治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、請求項48および50のいずれかに記載のポリペプチド構築物あるいは請求項49に記載の核酸の使用。
【請求項54】
長期間循環中で活性を維持し続ける治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための、請求項48および50のいずれかに記載のポリペプチド構築物、あるいは請求項49に記載の核酸。
【請求項55】
長期間循環中で活性を維持し続ける治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、請求項48および50のいずれかに記載のポリペプチド構築物あるいは請求項49に記載の核酸の使用。
【請求項56】
前記ポリペプチド構築物が、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸、経皮下的に、または吸入によって投与される、請求項50、52、または54のいずれかに記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項51、52、53、または55のいずれかに記載のポリペプチド構築物または核酸の使用。
【請求項57】
請求項1から7、47、48、50、52、54、および56のいずれかに記載のポリペプチド構築物、あるいは請求項49、50、52、54、および56のいずれかに記載の核酸、ならびに薬剤として許容されるビヒクルを含む組成物。
【請求項58】
(a)請求項1から10、16から20、26から29、47、および48のいずれかに記載のポリペプチドをコードすることができる核酸を含む宿主細胞を、該ポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養するステップ、ならびに
(b)産生されたポリペプチドを培養物から回収するステップ、
を含む請求項1から10、16から20、26から29、47、および48のいずれかに記載のポリペプチドの産生方法。
【請求項59】
前記宿主細胞が、細菌または酵母である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
単一ドメイン抗体に血清蛋白質を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体を結合することによって、前記抗体が治療用および/または診断用標的を対象とする、対象の血流中の単一ドメイン抗体の半減期を延長する方法。
【請求項61】
前記抗標的単一ドメイン抗体が、同じ配列を共有しない、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記抗血清蛋白質単一ドメイン抗体が、同じ配列を共有しない、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記単一ドメイン抗体が、ラクダ科VHH抗体である、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記血清蛋白質が、血清アルブミン、血清免疫グロブリン、チロキシン結合蛋白質、トランスフェリング、またはフィブリノーゲン、あるいはそれらの断片のどれかである、請求項60から63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記血清蛋白質が、配列番号1〜4のどれかに対応する配列、相同配列、その機能部分、またはその機能部分の相同配列を含む、請求項60から64のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
請求項1から7のいずれかに記載のポリペプチド、または該ポリペプチドをコードすることができる核酸、ならびに薬剤として許容されるビヒクルを含む組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用および/または診断用標的を対象とする少なくとも1個の単一ドメイン抗体、ならびに
血清蛋白質を対象とする少なくとも1個の単一ドメイン抗体を含むポリペプチド構築物。
【請求項2】
抗標的単一ドメイン抗体数が少なくとも2個であり、かつ
該少なくとも2個の抗標的単一ドメイン抗体が同じ配列を共有しない、または該抗標的単一ドメイン抗体が全て、同じ配列を共有する、請求項1に記載のポリペプチド構築物。
【請求項3】
抗血清蛋白質単一ドメイン抗体数が少なくとも2個であり、かつ
該少なくとも2個の抗血清蛋白質単一ドメイン抗体が同じ配列を共有しない、または該抗血清蛋白質単一ドメイン抗体が全て、同じ配列を共有する、請求項1に記載のポリペプチド構築物。
【請求項4】
前記少なくとも1個の単一ドメイン抗体が、ラクダ科VHH抗体である、請求項1から3のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項5】
前記少なくとも1個の単一ドメイン抗体が、ヒト化ラクダ科VHH抗体である、請求項1から4のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項6】
前記血清蛋白質が、血清アルブミン、血清免疫グロブリン、チロキシン結合蛋白質、トランスフェリング、またはフィブリノーゲン、あるいはそれらの断片のどれかである、請求項1から5のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項7】
単一ドメイン抗血清蛋白質抗体が、配列番号1〜4および28〜40のどれかによって表される配列に対応する、請求項1から6に記載のポリペプチド構築物。
【請求項8】
標的が、TNFααである、請求項1から7のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項9】
配列番号5〜18のどれかによって表される配列に対応する、請求項7に記載のポリペプチド構築物。
【請求項10】
前記ポリペプチド構築物が、前記ポリペプチド構築物の相同配列、前記ポリペプチド構築物の機能部分、または前記ポリペプチド構築物の機能部分の相同配列である、請求項8から10のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項11】
請求項8から10のいずれかに記載のポリペプチド構築物をコードする核酸。
【請求項12】
炎症過程に関連付けられる疾患の治療、予防、および/または緩和に使用するための、請求項8から10のいずれかに記載のポリペプチド構築物、または請求項11に記載の核酸。
【請求項13】
炎症過程に関連付けられる疾患を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、請求項8から10のいずれかに記載のポリペプチド構築物または請求項11に記載の核酸の使用。
【請求項14】
前記疾患が、リューマチ性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、および多発性硬化症のどれかである、請求項12に記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項13に記載のポリペプチド構築物または核酸の使用。
【請求項15】
前記ポリペプチド構築物が、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸、経皮下的に、または吸入によって投与される、請求項12および14に記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項13および14に記載のポリペプチド構築物の使用。
【請求項16】
標的が、vWFである、請求項1から7のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項17】
標的が、コラーゲンである、請求項1から7に記載のポリペプチド構築物。
【請求項18】
少なくとも1個の抗標的単一ドメイン抗体が、抗vWF VHHである、請求項16に記載のポリペプチド構築物。
【請求項19】
配列番号19〜21のどれかによって表される配列に対応する、請求項18に記載のポリペプチド構築物。
【請求項20】
前記ポリペプチド構築物が、前記ポリペプチド構築物の相同配列、前記ポリペプチド構築物の機能部分、または前記ポリペプチド構築物の機能部分の相同配列である、請求項16から19のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項21】
請求項16から20のいずれかに記載のポリペプチド構築物をコードする核酸。
【請求項22】
血小板介在凝集またはその機能異常に関連付けられる疾患または状態の治療、予防、および/または緩和に使用するための、請求項16から20のいずれかに記載のポリペプチド構築物、または請求項21に記載の核酸。
【請求項23】
血小板介在凝集またはその機能異常に関連付けられる疾患または状態を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、請求項16から20のいずれかに記載のポリペプチド構築物または請求項21に記載の核酸の使用。
【請求項24】
前記疾患が、脳虚血発作、不安定狭心症、脳梗塞、心筋梗塞、末梢動脈閉塞性疾患、再狭窄のどれかであり、かつ前記状態が、冠動脈バイパス術、冠動脈弁置換術;および血管形成術、ステント術、粥腫切除などの冠血管処置から生じている状態である、請求項22に記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項23に記載のポリペプチド構築物または核酸の使用。
【請求項25】
前記ポリペプチド構築物が、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸、経皮下的に、または吸入によって投与される、請求項22および24に記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項23および24に記載のポリペプチド構築物の使用。
【請求項26】
標的が、IgEである、請求項1から7のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項27】
少なくとも抗標的単一ドメイン抗体が、抗IgE VHHである、請求項26に記載のポリペプチド構築物。
【請求項28】
配列番号22〜24のどれかによって表される配列に対応する、請求項26に記載のポリペプチド構築物。
【請求項29】
前記ポリペプチド構築物が、前記ポリペプチド構築物の相同配列、前記ポリペプチド構築物の機能部分、または前記ポリペプチド構築物の機能部分の相同配列である、請求項26から28のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項30】
請求項26から29のいずれかに記載のポリペプチド構築物をコードする核酸。
【請求項31】
アレルギー反応に関連付けられる疾患または状態の治療、予防、および/または緩和に使用するための、請求項26から29のいずれかに記載のポリペプチド構築物、または請求項30に記載の核酸。
【請求項32】
アレルギー反応に関連付けられる疾患または状態を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、請求項26から29のいずれかに記載のポリペプチド構築物または請求項30に記載の核酸の使用。
【請求項33】
前記疾患が、枯草熱、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚反応、アレルギー性眼反応、および食事性アレルギーのどれかである、請求項31に記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項32に記載のポリペプチド構築物または核酸の使用。
【請求項34】
前記ポリペプチド構築物が、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸、経皮下的に、または吸入によって投与される、請求項31および33に記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項32および33に記載のポリペプチド構築物の使用。
【請求項35】
標的が、IFNγである、請求項1から7のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項36】
少なくとも1個の抗標的単一ドメイン抗体が、抗IFNγ VHHである、請求項35に記載のポリペプチド構築物。
【請求項37】
配列番号25〜27によって表される配列に対応する、請求項35に記載のポリペプチド構築物。
【請求項38】
前記ポリペプチド構築物が、前記ポリペプチド構築物の相同配列、前記ポリペプチド構築物の機能部分、または前記ポリペプチド構築物の機能部分の相同配列である、請求項35から37のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項39】
請求項35から38のいずれかに記載のポリペプチド構築物をコードする核酸。
【請求項40】
免疫系が、過敏である疾患または状態の治療、予防、および/または緩和に使用するための、請求項35から38のいずれかに記載のポリペプチド構築物、または請求項39に記載の核酸。
【請求項41】
免疫系が、過敏である疾患または状態を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、請求項35から38のいずれかに記載のポリペプチド構築物または請求項39に記載の核酸の使用。
【請求項42】
前記疾患が、クローン病、自己免疫疾患、臓器移植拒絶、さらにリューマチ性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症などの炎症性疾患のどれかである、請求項40に記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項41に記載のポリペプチド構築物または核酸の使用。
【請求項43】
前記ポリペプチド構築物が、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸、経皮下的に、または吸入によって投与される、請求項40および42に記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項41および42に記載のポリペプチド構築物の使用。
【請求項44】
請求項8から10、12、14、および15のいずれかに記載のポリペプチド構築物、あるいは該ポリペプチド構築物をコードする核酸、ならびに薬剤として許容されるビヒクルを含む組成物。
【請求項45】
請求項16から20、22、24、および25のいずれかに記載のポリペプチド構築物、あるいは該ポリペプチド構築物をコードする核酸、ならびに薬剤として許容されるビヒクルを含む組成物。
【請求項46】
請求項26から29、31、33、および34のいずれかに記載のポリペプチド構築物、あるいは該ポリペプチド構築物をコードする核酸、ならびに薬剤として許容されるビヒクルを含む組成物。
【請求項47】
前記標的が疾患の過程に関与している単一標的を対象とする、請求項1から7のいずれかに記載のポリペプチド構築物。
【請求項48】
前記ポリペプチド構築物が、前記ポリペプチド構築物の相同配列、その機能部分、またはその機能部分の相同配列である、請求項47に記載のポリペプチド構築物。
【請求項49】
請求項47および48に記載のポリペプチド構築物をコードする核酸。
【請求項50】
前記標的が関与している疾患または状態の治療、予防、および/または緩和に使用するための、請求項47および48に記載のポリペプチド構築物、あるいは請求項49に記載の核酸。
【請求項51】
前記標的が関与している疾患または状態を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、請求項47および48のいずれかに記載のポリペプチド構築物あるいは請求項49に記載の核酸の使用。
【請求項52】
循環から急速には排出されない治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための、請求項48および50に記載のポリペプチド構築物、あるいは請求項49に記載の核酸。
【請求項53】
循環から急速には排出されない治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、請求項48および50のいずれかに記載のポリペプチド構築物あるいは請求項49に記載の核酸の使用。
【請求項54】
長期間循環中で活性を維持し続ける治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状の治療、予防、および/または緩和に使用するための、請求項48および50のいずれかに記載のポリペプチド構築物、あるいは請求項49に記載の核酸。
【請求項55】
長期間循環中で活性を維持し続ける治療用または診断用化合物を必要とする疾患症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するための薬剤を調製するための、請求項48および50のいずれかに記載のポリペプチド構築物あるいは請求項49に記載の核酸の使用。
【請求項56】
前記ポリペプチド構築物が、経静脈、経口、経舌下、経局所、経鼻、経膣、経直腸、経皮下的に、または吸入によって投与される、請求項50、52、または54のいずれかに記載のポリペプチド構築物または核酸、あるいは請求項51、52、53、または55のいずれかに記載のポリペプチド構築物または核酸の使用。
【請求項57】
請求項1から7、47、48、50、52、54、および56のいずれかに記載のポリペプチド構築物、あるいは請求項49、50、52、54、および56のいずれかに記載の核酸、ならびに薬剤として許容されるビヒクルを含む組成物。
【請求項58】
(a)請求項1から10、16から20、26から29、47、および48のいずれかに記載のポリペプチドをコードすることができる核酸を含む宿主細胞を、該ポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養するステップ、ならびに
(b)産生されたポリペプチドを培養物から回収するステップ、
を含む請求項1から10、16から20、26から29、47、および48のいずれかに記載のポリペプチドの産生方法。
【請求項59】
前記宿主細胞が、細菌または酵母である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
単一ドメイン抗体に血清蛋白質を対象とする1個または複数の単一ドメイン抗体を結合することによって、前記抗体が治療用および/または診断用標的を対象とする、対象の血流中の単一ドメイン抗体の半減期を延長する方法。
【請求項61】
前記抗標的単一ドメイン抗体が、同じ配列を共有しない、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記抗血清蛋白質単一ドメイン抗体が、同じ配列を共有しない、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記単一ドメイン抗体が、ラクダ科VHH抗体である、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記血清蛋白質が、血清アルブミン、血清免疫グロブリン、チロキシン結合蛋白質、トランスフェリング、またはフィブリノーゲン、あるいはそれらの断片のどれかである、請求項60から63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記血清蛋白質が、配列番号1〜4のどれかに対応する配列、相同配列、その機能部分、またはその機能部分の相同配列を含む、請求項60から64のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
請求項1から7のいずれかに記載のポリペプチド、または該ポリペプチドをコードすることができる核酸、ならびに薬剤として許容されるビヒクルを含む組成物。


【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図14−3】
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【公表番号】特表2006−520584(P2006−520584A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502086(P2005−502086)
【出願日】平成15年11月7日(2003.11.7)
【国際出願番号】PCT/BE2003/000193
【国際公開番号】WO2004/041865
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(505166225)アブリンクス エン.ヴェー. (28)
【Fターム(参考)】