説明

定着ローラの製造方法、定着ローラ、及び定着装置。

【課題】容易に外層エンドレス部材と内側部材とを組み付けることができる定着ローラの製造方法、定着ローラ、及び定着装置を提供する。
【解決手段】 加熱ローラ10は、弾性チューブ22を有する弾性ローラ芯部材20と、導体層31を有する外層チューブ30とを備える。加熱ローラ10の製造方法は、外層チューブ30の内部に気体を送り込む気体送り工程と、気体が送り込まれた状態の外層チューブ30の内部に、弾性ローラ芯部材20を挿入する挿入工程とを備えている。弾性ローラ芯部材20は大径部23と、小径部24とを備えている。弾性ローラ芯部材20の小径部24と外層チューブ30の間には空隙部25が形成されるとともに、この空隙部25から弾性ローラ芯部材20の軸方向両端に至る通気溝26が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子写真装置の画像形成装置等に用いられる定着ローラの製造方法、定着ローラ、及び定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成器の定着装置において、加熱回転体または加圧回転体の少なくともいずれか一方に、導体層と弾性体層とを備えた定着ローラを用いる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。この定着ローラは、所望の弾性力を有する弾性体層を含む内側部材の外周に熱伝導性の高い導体層を含む外層エンドレス部材が被覆されて構成されている。この構造により、記録材を加熱状態に維持する機能と記録材にトナーの像を定着させる機能とを兼備している。
【特許文献1】特開2005−49812号公報
【特許文献2】特開2005−31308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記構成の定着ローラでは、内側部材と外層エンドレス部材の材質や寸法設定等によって、製造工程が複雑となる場合がある。すなわち、内側部材の外周に外層エンドレス部材を被覆するために内側部材をチューブ状の外層エンドレス部材の内部に挿入する際、内側部材と外層エンドレス部材との間で反発力が生じることにより、挿入作業が困難となる。
そこで、本発明は、容易に外層エンドレス部材と内側部材とを組み付けることができる定着ローラの製造方法、定着ローラ、及び定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一例にかかる定着ローラの製造方法は、弾性体層を有する内側部材と、導体層を有し少なくとも一部において前記内側部材の外周面に支持されるチューブ状の外層エンドレス部材と、を備える定着ローラの製造方法であって、前記外層エンドレス部材の内部に気体を送り込む気体送り工程と、前記気体送り工程において、気体が送り込まれた状態の前記外層エンドレス部材の内部に、前記内側部材を挿入する挿入工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明の他の一例にかかる定着ローラは、上記の製造方法により製造された定着ローラであって、前記外層エンドレス部材は、軸方向の両端に形成される第1の領域と軸方向の中央に形成される第2の領域とを含む円筒状に構成され、前記内側部材は、前記弾性体層の軸方向の両端に形成され第1の外径を有する大径部と、該大径部の軸方向の内側に形成され前記第1の外径より小さい第2の外径を有する小径部と、を含み、上記大径部は上記外層エンドレス部材の前記第1の領域と固定され、上記小径部と上記外層エンドレス部材の第2の領域との間に空隙部が形成されるとともに、前記空隙部から前記内側部材の軸方向両端に至る通気路が形成されていることを特徴とする。
本発明の他の一例にかかる定着ローラは、上記に加え、前記通気路は、前記大径部の外周面上に、前記挿入工程における挿入方向に沿って形成された溝からなることを特徴とする。
本発明の他の一例にかかる定着ローラは、上記に加え、前記外層エンドレス部材は、少なくとも導体層と、弾性体層と、剥離材層とを備えた複数層構造であることを特徴とする。
本発明の他の一例にかかる定着装置は、加熱回転体と加圧回転体との間で記録材を過熱状態に維持して前記記録材上のトナーを溶融加工し、前記記録材上に前記トナーの像を定着させる画像形成装置の定着装置であって、前記加熱回転体と前記加圧回転体の少なくとも一方が、上記の定着ローラであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明にかかる製造方法によれば容易に外層エンドレス部材を内側部材に組み付けることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
[第1実施形態]
以下に本発明の第1実施形態について、図1乃至図7を参照して説明する。なお、各図において適宜構成を拡大、縮小あるいは省略して示している。
図1は、本実施形態にかかる定着装置の一例を概略的に示している。定着装置1は、加熱回転体としての加熱ローラ10と、加圧回転体としての加圧ローラ40を備えている。なお、加熱ローラ10及び加圧ローラ40の長手方向(紙面奥方向)の長さは用紙50の幅よりも大きく、例えば330mm程度に構成されている。加熱ローラ10の周囲には加熱装置53が設けられている。加熱装置53は、例えばIHコイルなどであり、この加熱装置53によって誘導加熱用の電流を加熱ローラ10の表面に発生させることにより、加熱ローラ10の表面が所定温度まで昇温される。
【0007】
この定着装置1は、例えば画像形成装置等に用いられるものであり、加熱ローラ10と加圧ローラ40との間で記録材としての用紙50を加熱状態に維持して、用紙50上のトナー51を溶融加工し、用紙50上にトナー51の像を定着させる機能を備えている。
【0008】
図2及び図3に示す定着ローラの一例としての加熱ローラ10は、内側部材としての弾性ローラ芯部材20と、外層エンドレス部材としての外層チューブ30とを備え、直径40mm程度の円柱形状に構成されている。弾性ローラ芯部材20は、芯金21と、この芯金21の外周に配置された弾性体層としての弾性チューブ22とを備えている。外層チューブ30は、導体層31と弾性体層としてのソリッドゴム層32と剥離材層33とを備えた複数層構造である。
【0009】
芯金21は、例えば鉄、アルミニウムもしくはステンレスなどの鋼材またはセラミック等により円柱状または円筒状に構成されている。芯金21は図1に示す駆動モータ52に接続され、この駆動モータ52の駆動により回転軸を中心に例えば矢印X方向に回転可能である。
【0010】
本実施形態の弾性チューブ22は、芯金21の外周面に接着されている。この弾性チューブ22は、シリコーンゴムの発泡体のスポンジ層から形成され、例えば熱伝導率0.25W/mk以下、硬度45度以下、弾性係数3.5×10−4以下の材質で構成され、所望の耐熱性、伸縮性及び弾性を備えている。
【0011】
弾性チューブ22は、図2,図3及び図5に示すように、軸方向の両端に第1の外径D1を有する大径部23を備え、中央に前記第1の外径D1より小さい第2の外径D2を有する小径部24を備えている。ここで、例えばD1は45.3mm程度、D2は44mm程度に構成されている。自然状態において、第2の外径D2は第1の外径D1の96%以上100%未満に設定されている。
【0012】
この両端の大径部23における外周面23aに、後述する外層チューブ30の第1の領域34の内面34aが、耐熱温度200℃以上の耐熱接着剤を介して接着固定されることにより、外層チューブ30が弾性ローラ芯部材20に支持されている。自然状態において、外層チューブ30の第2の領域35における内面35aは、小径部24の外周面24aと離間しており、軸方向中央において弾性チューブ22と外層チューブ30との間に空隙部25が形成されている。
【0013】
また、大径部23の外周面23a上には、軸を中心として互いに対向する2箇所に通気路の一例としての通気溝26が形成されている。通気溝26は、断面がV字状を成す凹部であり、軸心方向に沿って形成されている。通気溝26は、それぞれの大径部23の軸方向両端面に至って形成されている。
【0014】
すなわち、通気溝26は空隙部25から大径部23の外周面23a及び弾性ローラ芯部材20の軸方向における両端面27を通って外部に至っている。したがって、外層チューブ30の第2の領域35における内面35aと、通気溝26との間を通って、空隙部25と加熱ローラ10の外部との間で空気が出入り可能となっている。
【0015】
外層チューブ30は、軸方向の両端に形成される第1の領域34と軸方向の中央に形成される第2の領域35とを含む薄い円筒状を成している。外層チューブ30の内径は上記第1の外径D1と同程度に構成されている。第1の領域34の内面34aは大径部23の外周面23aに接着されている。これにより外層チューブ30が弾性ローラ芯部材20に支持されている。
【0016】
外層チューブ30の内側に位置する導体層31は、例えばニッケルなど熱伝導性の高い金属材料から、厚さ10μm程度に構成されている。この導体層31により加熱装置53による加熱状態が維持される。
【0017】
ソリッドゴム層32は、耐熱シリコーンゴム等の高い弾性係数を有する材料から厚さ200μm程度に構成され、導体層31の外側に形成されている。
【0018】
剥離材層33は、例えばPFAなどから厚さ30μm程度に構成され、ソリッドゴム層32の外側に形成されている。この剥離材層33は、加熱ローラ10の最も外側に位置し、定着装置1に組み込まれた際に用紙50と接するニップ部Nにおいてトナー51あるいは用紙50の粉などが固着するのを防止する機能を有する。
【0019】
図1に示すように、加熱ローラ10の周上であって、用紙50を介して加圧ローラ40と接触するニップ部Nよりも回転方向下流側には、用紙50を加熱ローラ10から剥離させる剥離爪54や、トナー51や紙くずなどのごみを除去するクリーニング部材55が設けられている。
【0020】
一方、加圧ローラ40は、芯材41の外周に、シリコーンやフッ素等のゴム等、弾性材を円筒形状とした弾性部材42が被覆され、例えば加熱ローラ10と同径に構成されている。加圧ローラ40の内部には加熱用のヒータランプ43が備えられている。加圧ローラ40は、加圧スプリングなどの加圧機構44から所定の圧力を受けることにより所定の圧力で加熱ローラ10に対して圧接されている。このため、加熱ローラ10と加圧ローラ40とが接触する位置に所定幅のニップ部Nが形成される。
【0021】
以下、図1を参照して本実施形態にかかる定着装置1の作用を簡単に説明する。
加熱ローラ10が駆動モータ52によって矢印X方向に回転すると、この加熱ローラ10の回転に伴って加圧ローラ40が矢印Y方向に回転する。加熱ローラ10及び加圧ローラ40は加熱装置53及びヒータランプ43により所定の温度に昇温される。この所定温度はトナー51の材質によって異なるが、本実施形態においては180℃に設定されている。回転に伴ってトナー51を保持した用紙50が昇温された加熱ローラ10と加圧ローラ40との間のニップ部Nに搬送されることにより用紙50上のトナー51が溶融する。 この溶融したトナー51が用紙50に圧着されることによって用紙50に定着する。ここで、昇温及び冷却の際には加熱ローラ10の弾性ローラ芯部材20と外層チューブ30がそれぞれ膨張・収縮する。このとき、空隙部25が存在し、また、通気溝26の存在により空気が出入り可能であるため各層の膨張・収縮がスムーズ行われる。
【0022】
次に、本実施形態にかかる加熱ローラ10の製造方法について説明する。
まず、図4に示すように、第1の外径D1を有する円筒状の弾性チューブ22aの内部に芯金21を挿入し、互いに接着固定することで段無弾性ローラ芯部材20aが構成される。
【0023】
ついで、研磨機等を用いて、弾性チューブ22aを所定形状に加工し、図5に示すような段付きの弾性ローラ芯部材20を形成する。すなわち、第1の外径D1を有する弾性チューブ22aの外周面の軸方向の中央部分を所定量削ることで第2の外径D2とし、小径部24を形成する。
【0024】
さらに、彫刻刃等を用いて、切断、研磨、切削等により両端の大径部23の外周面23aに断面V字状の通気溝26を形成する。以上により所定形状の弾性ローラ芯部材20が完成する。外径D2の小径部24の長さX1は使用される用紙50の用紙幅方向の画像形成範囲より大きいことが望ましい。
【0025】
ついで、図6及び図7に示すように、弾性ローラ芯部材20の大径部23の外周面23aに、シリコーン接着剤等の耐熱性接着剤を塗布し、この上からフィルムなどの被覆材66を被せる。ついで、挿入治具60に外層チューブ30をセットする。このとき、外層チューブ30の外周に保護用のラップ材(不図示)を被覆してもよい。挿入治具60は、筒状の支持部材61を備え、エアーバルブ62を介して図示しないエアー送り器に接続されている。
【0026】
ついで、気体送り工程において、この挿入治具60のエアー送り器によって外層チューブ30の一端側すなわち、図中下方側の開口から内部に、空気を送り込む。この気体送り工程に中に、空気が送り込まれた状態の外層チューブ30の他端側、すなわち図中上端側の開口から、内部に、弾性ローラ芯部材20を軸心方向に沿って挿入する。
【0027】
弾性ローラ芯部材20の挿入後に、接着部としての外周面23aに被せていた被覆材66と、外層チューブ30に巻いていたラップ材を取り除く。ついで、外層チューブ30の位置を調整し、乾燥炉において接着剤を硬化させる。最後に、丸刃カッタなどにより、加熱ローラ10の両端面を切断加工する。以上により加熱ローラ10が完成する。
【0028】
本実施形態にかかる加熱ローラ10の製造方法、加熱ローラ10及び定着装置1は以下に掲げる効果を奏する。
気体送り工程において、外層チューブ30の内部に空気を送ることにより、外層チューブ30を膨らませ、その内径を拡大させるとともに内側の断面を真円状に整えるため、弾性ローラ芯部材20の挿入作業が容易となる。
【0029】
空隙部25及び大径部23の外周面23aに形成された通気溝26により、外層チューブ30と接触する面積が小さくなるとともに空気がスムーズに流れるため挿入作業が容易となる。さらに、通気溝26は挿入方向と同じ軸心方向に沿って形成されているため、挿入しやすい。
【0030】
また、この空隙部25及び通気溝26は定着装置1として使用される際に加熱、冷却による膨張・収縮をスムーズにする機能も兼ねる。すなわち、空隙部25及び通気溝26により自由に空気が出入り可能であるため空隙部25が負圧状態となるのを防ぐとともに弾性ローラ芯部材20と外層チューブ30がそれぞれの膨張速度の違いにより互いに干渉することを防止することが出来る。この結果、これらに起因する外層チューブ30の変形なども防ぐことが出来る。
【0031】
また、挿入時に大径部23の外周面23aに構成された接着部分に被覆材66を被せることにより、接着剤が移動するのを防ぎ、接着剤が別の部位に付着し、あるいは通気溝26が接着剤で埋まるのを防止することができる。さらに、第2の外径D2が第1の外径D1の96%以上であることにより大径部23と小径部24との段差が印字精度に影響するのを防止することが出来る。
【0032】
[第2実施形態]
次に本発明の第2の実施形態に係る内側部材としての弾性ローラ芯部材70について説明する。なお、通気路の構成以外については上記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。図8及び図9は第2実施形態にかかる弾性ローラ芯部材70を示している。
【0033】
本実施形態の弾性ローラ芯部材70には、通気路として、通気孔76が形成されている。この通気孔76は、小径部74の外周面74aから軸心に向かって延び、芯金71に至って形成された第1孔部76aと、前記第1孔部76aの端部から芯金71の内部において軸心方向に沿って延び、両端面77に至る第2孔部76bとから構成されている。すなわち、通気孔76は空隙部75からそれぞれ芯金71の軸方向両端面に至って外部に連通している。
【0034】
なお、上記円柱状の芯金に代えてスリーブパイプなどの中空状の芯部材を用いても良い。この場合、軸心方向に沿う第2孔部76bを形成する必要がなく、小径部74の外周面から芯金71の中空部に至る第1孔部76aのみを形成すればよい。
【0035】
なお、本実施形態にかかる弾性ローラ芯部材70を用いる加熱ローラの製造方法は、上述した第1実施形態にかかる加熱ローラ10の製造方法において、通気路としての通気溝26を形成する代わりに小径部74の外周面74aから芯金71を通って両端面77に至る通気孔76を形成する。この他の工程は第1実施形態と同様である。
【0036】
本実施形態においても上述した第1実施形態にかかる加熱ローラ10と同様の効果が得られる。すなわち、空気を送り込むことにより外層チューブ30を真円状に維持した状態で弾性ローラ芯部材70を挿入することができるため容易に組み付けることができる。さらに空隙部75と通気孔76によりスムーズに挿入することが出来る。
【0037】
[第3実施形態]
次に本発明の第3の実施形態に係る内側部材としての弾性ローラ芯部材80について説明する。なお、通気路の構成以外については上記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。図10及び図11は第3実施形態にかかる弾性ローラ芯部材80を示している。
【0038】
本実施形態にかかる弾性ローラ芯部材80においては、大径部83と小径部84とが分割されている。すなわち、弾性チューブ82の軸方向両端の大径部83と、軸心方向中央の小径部84とがそれぞれ別々に形成され、大径部83と小径部84とが芯金81の全周に至って離間している。
【0039】
この離間した部分において芯金81に通気孔86が形成されている。この通気孔86は芯金81の外周面から軸心に向かって形成された第1孔部86aと、この第1孔部86aの端部から芯金81の内部で軸心方向に沿って延び、両端面に至る第2孔部86bとから構成されている。すなわち、通気孔86は、空隙部85から芯金81の両端面を通って外部に至って連通している。
【0040】
なお、上記円柱状の芯金81に代えて中空のスリーブパイプなどの芯部材を用いても良い。この場合、軸心方向に沿う第2孔部86bを形成する必要がないため、形成容易である。
【0041】
本実施形態においても上述した第1実施形態にかかる加熱ローラ10の製造方法と同様の効果が得られる。すなわち、空気を送り、外層チューブ30を真円状に維持した状態で弾性ローラ芯部材80を挿入することができるため、組み付けが容易となる。さらに空隙部85及び通気孔86により挿入がスムーズとなる。
【0042】
なお本発明を実施するにあたり、各構成の材質、寸法、具体的な形状など、本発明の構成要素を発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更して実施できることは言うまでもない。例えば、通気溝26や通気孔76、86などの通気路の数は上記各実施形態に限定されるものではなく、何個でも適用可能である。
【0043】
また、上記各実施形態における加熱ローラ10と加圧ローラ40の構成を逆としても良い。さらに加熱ローラ10及び加圧ローラ40のいずれも、上記実施形態の加熱ローラ10と同様の導体層と弾性体層とを備える定着ローラで構成しても良い。
【0044】
さらに、通気溝26が軸心方向に沿って形成されている場合について説明したが、螺旋状に形成されていても良い。この場合、ニップ部Nにおいて通気溝26による段差に起因する振動を軽減することが出来る。
【0045】
また、定着装置1について主要な構成のみを説明したが、この他に温度検出器など各種部品を備えていてもよい。さらに加熱装置53としては、上記実施形態のIHコイルの他にハロゲンランプ等各種の加熱装置を用いることが出来る。さらに、カラー画像形成装置に利用可能な定着装置の一例を示したが、トナーを用いるファクシミリ装置等にも利用可能である。
【0046】
また、上記各実施形態の構成に加え、弾性ローラ芯部材20の小径部24の外径D2を、軸心方向に沿って連続的に変化させても良い。例えば、図12に示す内側部材としての弾性ローラ芯部材90の小径部94のように、軸方向両端から中央に向かって外径寸法を逓減させることにより、用紙がニップ部から排出される際に、用紙の角部に向かう力が作用し、用紙のしわ発生を防止できる。
【0047】
なお、図では第1実施形態に適用した場合を示すが、第2実施形態及び第3実施形態にも適用可能である。また、逆に軸方向中央から両端に向かって外径を逓減させる構成としてもよく、この場合、用紙50が搬送される方向の曲率の変化であるカール発生を防止することが可能である。なお、これら外径D2を連続的に変化させる場合には、対向する加圧ローラ40には逆の特性を適用するのが好ましい。
この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる定着装置の概要を示す正面図。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる加熱ローラの断面図。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる加熱ローラの断面図。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる段無弾性ローラ芯部材の斜視図。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる弾性ローラ芯部材の斜視図。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる加熱ローラの製造方法における気体送り工程を示す断面図。
【図7】同製造方法における挿入工程を示す断面図。
【図8】本発明の第2実施形態にかかる弾性ローラ芯部材の側面図。
【図9】同弾性ローラ芯部材の正面図。
【図10】本発明の第3実施形態にかかる弾性ローラ芯部材の側面図。
【図11】同弾性ローラ芯部材の正面図。
【図12】本発明の他の実施形態にかかる弾性ローラ芯部材の側面図。
【符号の説明】
【0049】
1…定着装置、10…加熱ローラ(定着ローラ)、
20、70、80、90…弾性ローラ芯部材(内側部材)、
22…弾性チューブ(弾性体層)、23…大径部、24…小径部、25…空隙部、
26…通気溝(通気路)、27…両端面、30…外層チューブ(外層エンドレス部材)、31…導体層、32…ソリッドゴム層(弾性体層)、33…剥離材層、34…第1の領域、
35…第2の領域、40…加圧ローラ、44…加圧機構、50…用紙、51…トナー、
53…加熱装置、76、86…通気孔(通気溝)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性体層を有する内側部材と、導体層を有し少なくとも一部において前記内側部材の外周面に支持されるチューブ状の外層エンドレス部材と、を備える定着ローラの製造方法であって、
前記外層エンドレス部材の内部に気体を送り込む気体送り工程と、
前記気体送り工程において、気体が送り込まれた状態の前記外層エンドレス部材の内部に、前記内側部材を挿入する挿入工程と、を備えたことを特徴とする定着ローラの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法により製造された定着ローラであって、
前記外層エンドレス部材は、軸方向の両端に形成される第1の領域と軸方向の中央に形成される第2の領域とを含む円筒状に構成され、
前記内側部材は、前記弾性体層の軸方向の両端に形成され第1の外径を有する大径部と、該大径部の軸方向の内側に形成され前記第1の外径より小さい第2の外径を有する小径部と、を含み、
上記大径部は上記外層エンドレス部材の前記第1の領域と固定され、
上記小径部と上記外層エンドレス部材の第2の領域との間に空隙部が形成されるとともに、
前記空隙部から前記内側部材の軸方向両端に至る通気路が形成されていることを特徴とする定着ローラ。
【請求項3】
前記通気路は、前記大径部の外周面上に、前記挿入工程における挿入方向に沿って形成された溝からなることを特徴とする請求項3に記載の定着ローラ。
【請求項4】
前記外層エンドレス部材は、少なくとも導体層と、弾性体層と、剥離材層とを備えた複数層構造であることを特徴とする請求項3に記載の定着ローラ。
【請求項5】
加熱回転体と加圧回転体との間で記録材を過熱状態に維持して前記記録材上のトナーを溶融加工し、前記記録材上に前記トナーの像を定着させる画像形成装置の定着装置であって、
前記加熱回転体と前記加圧回転体の少なくとも一方が、前記請求項2乃至4のいずれかに記載の定着ローラであることを特徴とする定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−20643(P2008−20643A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192052(P2006−192052)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】