説明

定着装置及び画像形成装置

【課題】加熱回転体の周面に巻き付いた被転写材を取り除く処理を容易にかつ操作性よく行うことができる定着装置を提供すること。
【解決手段】第1回転軸420の周りに回転可能な加熱回転体9aであって、加熱回転体9aの内部又は外部に設けられる加熱源410により周面が加熱される加熱回転体9aと、第1回転軸420に平行な第2回転軸421の周りに回転可能で且つ加熱回転体9aとの間で定着ニップを形成する加圧回転体9bと、加熱回転体9a及び加圧回転体9bを収容する定着筺体400と、を備え、加熱回転体9a、加圧回転体9b及び定着筺体400は、定着回転体ユニット460を構成しており、定着回転体ユニット460は、画像形成装置の装置本体Mから引き出し可能に、且つ、装置本体Mから引き出された状態において加熱回転体9aの周面が露出するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被転写体としての用紙に画像を形成(印刷)するための装置として、コピー機、プリンタ、ファクシミリ又はこれらの複合機などの画像形成装置がある。画像形成装置においては、像担持体としての感光体ドラムの表面にレーザ光を照射して感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光工程、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行う現像工程、感光体ドラムの表面に付着したトナーから形成されるトナー画像を用紙へ転写する転写工程、及び用紙に転写されたトナー画像を用紙に定着させる定着工程の各工程が順次行われることにより、用紙に画像が形成される。
【0003】
上記の各工程のうち、定着工程では、用紙に転写されたトナー画像を用紙に定着させるために、トナーを溶融させる必要がある。定着工程を行う定着装置として、従来から、加熱ローラ等の加熱回転体と、加圧ローラ等の加圧回転体と、加熱回転体を加熱する加熱機構部と、を備える定着装置が使用されている。このような定着装置は、加圧回転体を加熱回転体に押圧することによって両者間に定着ニップを形成し、この定着ニップに所定のニップ圧を確保するようにしている。そして、定着ニップに用紙が搬送されることにより、用紙に転写されたトナーは、溶融及び加圧をされ、用紙に定着される。
【0004】
定着装置においては、定着ニップを通過した用紙を加熱回転体の周面から分離させるために、分離部材を備えているのが一般的である。このような分離部材を設けた場合、JAMの発生を抑えることが可能である反面、分離部材の先端が加熱回転体の周面(表面)に当接して加熱回転体の表面に筋模様を付ける等の損傷を生じやすい。そこで、分離部材の先端と加熱回転体の周面との間に微小なギャップが確保されるように、分離部材の先端が加熱回転体の周面に近接する側への移動を規制(制限)するように構成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−137754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された定着装置は、分離部材の先端と加熱回転体の周面との間に微小なギャップが確保されているので、その微小なギャップに定着ニップを通過した後の用紙の先端が入り込みやすい。微小なギャップに用紙の先端が入り込むと、用紙は加熱回転体の周面に強く巻き付きやすく、加熱回転体の周面に巻き付いた用紙のJAM処理が極めて困難になってしまう。
そのため、加熱回転体の周面に巻き付いた用紙を容易に取り除くことができる定着装置が望まれている。
【0007】
本発明は、加熱回転体の周面に巻き付いた被転写材を取り除く処理を容易にかつ操作性よく行うことができる定着装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トナー画像が転写された被転写材にトナー画像を定着させる定着装置であって、第1回転軸の周りに回転可能な加熱回転体であって、該加熱回転体の内部又は外部に設けられる加熱源により周面が加熱される加熱回転体と、前記第1回転軸に平行な第2回転軸の周りに回転可能で且つ前記加熱回転体との間で定着ニップを形成する加圧回転体と、前記加熱回転体及び加圧回転体を収容する定着筺体と、を備え、前記加熱回転体、前記加圧回転体及び前記定着筺体は、定着回転体ユニットを構成しており、前記定着回転体ユニットは、画像形成装置の装置本体から引き出し可能に、且つ、前記装置本体から引き出された状態において前記加熱回転体の周面が露出するように構成されている定着装置に関する。
【0009】
また、前記定着回転体ユニットは、前記第1回転軸及び前記第2回転軸の軸方向に対して直交する方向に引き出し可能であることが好ましい。
【0010】
また、前記加熱源として、前記加熱回転体の外方で前記加圧回転体とは反対側の位置において前記加熱回転体の周面に近接又は当接するように配置されて前記加熱回転体を加熱する外部加熱機構部を備えることが好ましい。
【0011】
また、前記外部加熱機構部は、該外部加熱機構部を前記加熱回転体側に押し付けて付勢する付勢部を備え、前記付勢部は、付勢力を前記定着回転体ユニットの引き出し方向に付与可能に構成されていることが好ましい。
【0012】
また、前記装置本体は、前記定着回転体ユニットを引き出し可能に支持するレール部を備え、前記定着回転体ユニットは、前記装置本体から引き出された位置において該レール部から離脱可能に構成されていることが好ましい。
【0013】
また、前記定着筺体は、前記加熱回転体の上方に、前記定着ニップを通過した被転写材を搬送する搬送路の一部を形成する搬送ガイドを有し、前記搬送ガイドは、前記加熱回転体に接近する方向へ回動自在に構成されることが好ましい。
【0014】
また、前記定着回転体ユニットは、前記定着ニップの下流側に近接する位置に、該定着ニップを通過した被転写材を前記加熱回転体の周面から剥ぎ取る分離部材を、更に備えていることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、表面に静電潜像が形成される像担持体と、前記像担持体に形成された静電潜像にトナー画像を現像する現像器と、前記像担持体に形成されたトナー画像を直接的又は間接的に被転写材に転写する転写部と、前記定着装置と、を備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、加熱回転体の周面に巻き付いた被転写材を取り除く処理を容易にかつ操作性よく行うことができる定着装置を提供することができる。
また、本発明は、前記定着装置を備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態のコピー機1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【図2】本発明の実施形態のコピー機1における定着装置9について、カバー体40が開放された状態でX方向の外側から見た斜視図である。
【図3】図2に示す状態から、定着回転体ユニット460が装置本体Mから引き出されている状態をX方向の外側から見た斜視図である。
【図4】図3に示す状態から、定着回転体ユニット460がレール部480から離脱されている状態をX方向の外側から見た斜視図である。
【図5】定着装置9の定着回転体ユニット460の外観を、X方向の一方の外側から見た斜視図である。
【図6】図5に示す定着回転体ユニット460について強制搬送部430を上方に回動させた状態を、X方向の一方の外側から視た斜視図である。
【図7】図5に示す定着回転体ユニット460について加熱回転体9aが露出した状態を、X方向の他方の外側から見た斜視図である。
【図8】図7に示す定着回転体ユニット460の要部の拡大斜視図である。
【図9】定着回転体ユニット460が装置本体Mの空間90内に収容されている状態を示す要部の拡大縦断面図である。
【図10】装置本体Mの空間90からの定着回転体ユニット460の引き出しを開始した直後の状態を示す要部の拡大縦断面図である。
【図11】定着回転体ユニット460を装置本体Mの空間90から外方へ引き出した状態を示す要部の拡大縦断面図である。
【図12】図11に示す状態から、搬送ガイド440を加熱回転体9aの周面に接近する方向へ回動させた状態を示す要部の拡大縦断面図である。
【図13】定着回転体ユニット460が装置本体Mの空間90から外方へ引き出され且つレール部480から離脱した状態を示す要部の拡大縦断面図である。
【図14】定着回転体ユニット460が装置本体Mの空間90の内部に収納されている状態におけるJAM処理の例を説明する要部の拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1により、本発明の画像形成装置の実施形態としてのコピー機1における全体構造を説明する。図1は、本発明の実施形態のコピー機1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【0019】
以下の説明において、コピー機1の前側に立ったユーザから見て、左右方向を矢印Xの方向とし、前後(奥行き)方向を矢印Yの方向とし、上下方向を矢印Zの方向とする。左右方向Xは主走査方向でもある。また、前後方向Yは、副走査方向である。
【0020】
図1に示すように、画像形成装置としてのコピー機1は、該コピー機1における上下方向Zの上方側に配置されている画像読取装置200と、上下方向Zの下方側に配置され且つ画像読取装置200からの画像情報に基づいて被転写材である用紙Tにトナー画像を形成する装置本体Mと、を備えている。
【0021】
画像読取装置200は、蓋部材70と、原稿Gの画像を読み取る読取部201と、を備えている。
蓋部材70は、読取部201に対して不図示の連結部により開閉可能に連結されている。蓋部材70は、後述する読取面202Aを保護する機能を有している。
【0022】
読取部201は、読取面202Aと、読取部201の内部に配置され且つ読取面202Aと平行な方向に移動するキャリッジ210と、を備えている。
読取面202Aは、原稿Gが載置されるコンタクトガラス202の上面に沿って形成されている。
【0023】
キャリッジ210は、光路を形成する複数のミラー(不図示)と、結像レンズ(不図示)と、読取手段としてのCCD(不図示)と、CCDにより読み取られた画像データに対し所定の処理をすると共に該画像データを装置本体M側に出力させるCCD基板(不図示)と、を備えている。キャリッジ210は、主走査方向Xと直交する副走査方向Yに、一定速度で移動される。これにより、読取面202Aに載置された原稿Gの画像が読み取られる。
【0024】
装置本体Mは、所定の画像情報に基づいて用紙Tに所定の画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共に画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHと、を有している。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
【0025】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2a、2b、2c、2dと、帯電部10a、10b、10c、10dと、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dと、現像器16a、16b、16c、16dと、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dと、トナー供給部6a、6b、6c、6dと、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dと、除電器12a、12b、12c、12dと、中間転写ベルト7と、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dと、2次転写ローラ8と、対向ローラ18と、定着装置9と、を備える。
【0026】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、複数のローラ又はローラ対と、排紙部50と、を備える。なお、搬送路Lは、後述するように、第1搬送路L1と、第2搬送路L2と、第3搬送路L3と、手差し搬送路Laと、戻り搬送路Lbとの集合体である。
【0027】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に沿って順に、上流側から下流側に順に、帯電部10a、10b、10c、10dによる帯電、レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dによる露光、現像器16a、16b、16c、16dによる現像、中間転写ベルト7及び1次転写ローラ37a、37b、37c、37dによる1次転写、除電器12a、12b、12c、12dによる除電、及びドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dによるクリーニングが行われる。
また、画像形成部GKにおいては、中間転写ベルト7、2次転写ローラ8及び対向ローラ18による2次転写、並びに定着装置9による定着が行われる。
【0028】
感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、中間転写ベルト7の進行方向に対して直交する方向に延びる機軸を中心に矢印の方向に回転可能に配置される。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面には、静電潜像が形成され得る。
【0029】
帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
【0030】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dは、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面から離間して配置される。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
【0031】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、読取部201や、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれにより走査露光されることで、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
【0032】
現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにそれぞれ対応して設けられ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置される。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成された静電潜像に各色のトナーを付着させて、カラーのトナー画像を感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの色に対応する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向配置された現像ローラ、トナー攪拌用の攪拌ローラ等を有して構成される。
【0033】
トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対応して設けられており、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、イエローのトナー、シアンのトナー、マゼンタのトナー、ブラックのトナーを収容する。
【0034】
トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d及び現像器16a、16b、16c、16dにそれぞれ対応して設けられており、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれに収容された各色のトナーを、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給する。トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれと現像器16a、16b、16c、16dそれぞれとは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
【0035】
中間転写ベルト7には、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに形成された各色のトナー画像が順次1次転写される。中間転写ベルト7は、従動ローラ35、駆動ローラからなる対向ローラ18、テンションローラ36等に掛け渡される。テンションローラ36が中間転写ベルト7を内側から外側に付勢するため、中間転写ベルト7には所定の張力が与えられる。
【0036】
中間転写ベルト7を挟んで感光体ドラム2a、2b、2c、2dと反対の側には、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれが対向して配置される。
【0037】
中間転写ベルト7における所定部分は、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれと、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれとにより挟み込まれる。この挟み込まれた所定部分は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面に押し当てられる。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれとの間で、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成される。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに現像された各色のトナー画像が中間転写ベルト7に順次1次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、フルカラーのトナー画像が形成される。
【0038】
1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれには、不図示の1次転写バイアス印加部により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色のトナー画像を中間転写ベルト7に転写させるための1次転写バイアスが印加される。
【0039】
除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に光を照射することにより、1次転写が行われた後の感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を除電する(電荷を除去する)。
【0040】
ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0041】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる。2次転写ローラ8には、不図示の2次転写バイアス印加部により、中間転写ベルト7に形成されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに転写させるための2次転写バイアスが印加される。
【0042】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に対して当接したり離間したりする。具体的には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に当接される当接位置と中間転写ベルト7から離間する離間位置とに移動可能に構成される。詳細には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7の表面に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる場合には当接位置に配置され、他の場合には離間位置に配置される。
【0043】
中間転写ベルト7における2次転写ローラ8とは反対側には、対向ローラ18が配置される。中間転写ベルト7における所定部分は、2次転写ローラ8と対向ローラ18とによって挟み込まれる。そして、用紙Tは、中間転写ベルト7の外面(トナー画像が1次転写された面)に押し当てられる。中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間には、2次転写ニップN2が形成される。2次転写ニップN2において、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像は、用紙Tに2次転写される。
【0044】
定着装置9は、用紙Tに2次転写されたトナー画像を構成する各色のトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着装置9は、後述する外部加熱機構部410により加熱される加熱回転体9aと、加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟み込まれた状態で用紙Tが搬送されることで、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧され、用紙Tに定着される。
定着装置9の構成の詳細については後述する。
【0045】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの筐体から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容される。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における被転写材送り出し側の端部(図1において左側の端部)に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対81とからなる重送防止機構を備える。
【0046】
装置本体Mの右側面(図1において右側)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの左側面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0047】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から2次転写ニップN2までの第1搬送路L1と、2次転写ニップN2から定着装置9までの第2搬送路L2と、定着装置9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙Tを第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙Tを、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbと、を備える。
【0048】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。
【0049】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と2次転写ローラ8との間)には、用紙Tを検出するための用紙検出センサ(図示せず)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラ対80とが配置される。前記用紙検出センサは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジストローラ対80は、前記用紙検出センサからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0050】
第1搬送路L1における第1合流部P1と第2合流部P2との間には、中間ローラ対82が配置される。中間ローラ対82は、給紙ローラ対81の下流側に配置され、給紙ローラ対81より搬送される用紙Tを挟持して、レジストローラ対80へ搬送する。
【0051】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を中間転写ベルト7に対向させるために設けられる搬送路である。戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、2次転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、2次転写ニップN2において未印刷面に対して、所定のトナー画像が転写される。
【0052】
第1分岐部Q1には、整流部材58が設けられている。整流部材58は、定着装置9から搬出され第3搬送路L3を上流側から下流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、排紙部50に向かう方向に整流すると共に、排紙部50から第3搬送路L3を下流側から上流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、戻し搬送路Lbに向かう方向に整流する。
【0053】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの右側面側(図1において右側)に向けて開口している。排紙部50は、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50は、排出ローラ対53を有している。排出ローラ対53によれば、第3搬送路L3を上流側から下流側に搬送される用紙Tを装置本体Mの外部に排紙すると共に、排紙部50において用紙Tの搬送方向を反転させて用紙Tを第3搬送路L3の上流側に向けて搬送することができる。
【0054】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には被転写材検出用のセンサが配置される。
【0055】
次に、主搬送路L1〜L3(第1搬送路L1、第2搬送路L2及び第3搬送路L3を合わせて以下「主搬送路」ともいう)及び戻り搬送路Lbにおける紙詰まり(JAM)を解消するための構造について簡単に説明する。
図1に示すように、装置本体Mの右側面側(図1において右側)には、第1搬送路L1〜第3搬送路L3及び戻り搬送路Lbが主に上下方向に延びるように並列している。装置本体Mの右側面側(図1において右側)には、装置本体Mの側面の一部を形成するように、カバー体40が設けられている。カバー体40は、その下端部において、支点軸43を介して装置本体Mに連結されている。支点軸43は、その軸方向が主搬送路L1〜L3及び戻り搬送路Lbを横断する方向(Y方向)に沿って配設されている。カバー体40は、支点軸43を中心として閉位置(図1に示す位置)と開位置(図2に示す位置)との間を回動自在に構成されている。
【0056】
カバー体40は、支点軸43によって装置本体Mに回動自在に連結された第1のカバー部41と、同じ支点軸43によって装置本体Mに回動自在に連結された第2のカバー部42とから構成されている。第1のカバー部41は、第2のカバー部42よりも装置本体Mの外側(側面側)に位置する。なお、図1において、左下がりの破線でハッチングされた部分が第1のカバー部41であり、右下がりの破線でハッチングされた部分が第2のカバー部42である。
【0057】
カバー体40が閉位置に位置する状態において、第1のカバー部41は、その外面側が装置本体Mの外面(側面)の一部を形成している。
また、カバー体40が閉位置に位置する状態において、第2のカバー部42は、その内面側(装置本体M側)が第1搬送路L1〜第3搬送路L3の一部を形成している。
更に、カバー体40が閉位置に位置する状態において、第1のカバー部41の内面側と第2のカバー部42の外面側とが、戻り搬送路Lbの少なくとも一部を形成している。つまり、戻り搬送路Lbは、第1のカバー部41と第2のカバー部42との間に形成されている。
【0058】
本実施形態のコピー機1は、このような構成のカバー体40を備えることにより、第1搬送路L1〜第3搬送路L3で紙詰まり(JAM)が発生した際には、カバー体40を図1に示す閉位置から、開位置(図2参照)に回動して第1搬送路L1から第3搬送路L3を開放することにより、第1搬送路L1から第3搬送路L3に詰まった用紙Tを処理することができる。一方、戻り搬送路Lbで紙詰まりが発生した際には、カバー体40を開位置に回動した後、支点軸43を中心に第2のカバー部42を装置本体M側(図1において左側)に回動させて戻り搬送路Lbを開放することにより、戻り搬送路Lbに詰まった用紙Tを処理することができる。
【0059】
次に、本実施形態のコピー機1における特徴部分である定着装置9に係る構成について詳細に説明する。図2は、本発明の実施形態のコピー機1における定着装置9について、カバー体40が開放された状態でX方向の外側から見た斜視図である。図3は、図2に示す状態から、定着回転体ユニット460が装置本体Mから引き出されている状態をX方向の外側から見た斜視図である。図4は、図3に示す状態から、定着回転体ユニット460がレール部480から離脱されている状態をX方向の外側から見た斜視図である。
【0060】
図5は、定着装置9の定着回転体ユニット460の外観を、X方向の一方の外側から見た斜視図である。図6は、図5に示す定着回転体ユニット460について強制搬送部430を上方に回動させた状態を、X方向の一方の外側から視た斜視図である。図7は、図5に示す定着回転体ユニット460について加熱回転体9aが露出した状態を、X方向の他方の外側から見た斜視図である。図8は、図7に示す定着回転体ユニット460の要部の拡大斜視図である。図9は、定着回転体ユニット460が装置本体Mの空間90内に収容されている状態を示す要部の拡大縦断面図である。
【0061】
本実施形態の定着装置9は、加熱された加熱回転体9aの周面に、未定着のトナー画像が転写された用紙Tを、加圧回転体9bによって押圧しつつ、搬送方向に搬送する。これにより、定着装置9は、トナー画像を加熱及び加圧しながら溶融させて、トナー画像を用紙Tの表面に定着(固定)させる。
【0062】
定着装置9を含む定着回転体ユニット460は、図2に示すように、カバー体40が開放された状態において、図3及び図4に示すように、装置本体MからX方向(図1の右側外方)へ引き出し可能に構成されている。
定着回転体ユニット460は、加熱回転体9aの回転軸である第1回転軸420及び加圧回転体9bの第2回転軸421の軸方向(Y方向)に対して直交する方向(X方向)に引き出し可能である。
【0063】
定着装置9を構成する各構成要素について詳細に説明する。
図5から図9に示すように、定着装置9は、加熱回転体9aと、加圧回転体9bと、定着筺体400と、加熱回転体9aの外部に設けられる加熱源としての外部加熱機構部410と、を備える。定着装置9において、加熱回転体9a、加圧回転体9b、定着筺体400、強制搬送部430(後述)、搬送ガイド440(後述)、分離板450(後述)などから、装置本体Mから分離可能で且つユニット化された定着回転体ユニット460が構成されている。
【0064】
加熱回転体9aは、Y方向に延びる第1回転軸420の中心周りに回転可能に構成される。加熱回転体9aは、例えば、直径が40mm程度のアルミニウムや鉄等の円筒状の金属部材の外周面に、厚さ150〜300μm程度のシリコーンゴム等の弾性層及び無端ニッケルベルトが被覆された3層構造に構成されている。加熱回転体9aの周面は、加熱回転体9aの外部に設けられる外部加熱機構部410により、加熱される(詳細は後述)。
【0065】
加圧回転体9bは、第1回転軸420に平行でY方向に延びる第2回転軸421の中心周りに回転可能に構成される。加圧回転体9bは、金属製の円柱部材の外周に、シリコーンゴム等による所定厚さの弾性層を有し、所定の外径の円柱状に形成されている。
加圧回転体9bは、加熱回転体9aとの間に用紙Tが搬送される定着ニップN9(図1参照)を形成する。加圧回転体9bは、定着ニップN9が形成される状態において、加熱回転体9aを押圧するように配置されている。そのため、加熱回転体9aは、加圧回転体9bに対向する部分において、加圧回転体9bの表面形状に沿うように弾性変形する。
【0066】
図9に示すように、加熱回転体9a及び加圧回転体9bは、定着筺体400の内部に収容されている。図5から図8に示すように、加圧回転体9bの第1回転軸420及び加圧回転体9bの第2回転軸421は、それぞれ軸方向の両端部において、定着筺体400の側板部401,401に回転可能に支持されている。加熱回転体9aの第1回転軸420及び加圧回転体9bの第2回転軸421の一端部は、定着筺体400の一端側の側板部401を貫通して、定着筺体400の両端部に固定された一対の枠部材402、403のうち一方の枠部材402の内部にまで延びている。図8に示すように、一対の枠部材402、403には、それぞれ第1回転軸420を円滑に回転自在に支持するベアリング425が設けられている(一方の枠部材402側のベアリング425のみ図示する)。ベアリング425は、枠部材402、403よりも、加熱回転体9a及び加圧回転体9bの軸方向(Y方向)の内方に向けて突出している。
【0067】
図7及び図8に示すように、一方の枠部材402の内部において、加熱回転体9aの第1回転軸420の一端部及び加圧回転体9bの第2回転軸421の一端部には、互いに噛み合うギア422及び423が固定されている。これらギア422及び423は、モータ等の回転駆動部(図示せず)側の駆動ギア(図示せず)に噛み合って連動されている。これによって、回転駆動部の駆動に連動して、加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、用紙Tを所定の方向へ向けて搬送するように互いに逆方向に回転駆動される。
【0068】
図7及び図8に示すように、定着筺体400は、底板部405と、側板部401,401と、壁部406と、開放部407と、回転止め408と、を有する。壁部406は、装置本体Mの右側面において底板部405からZ方向上方へ起立する壁部である。開放部407は、装置本体Mの内方へ向けて開放し、加熱回転体9aを露出することが可能な開放部である。
【0069】
また、図8に示すように、回転止め408は、枠部材402、403にそれぞれ設けられている(枠部材402側の回転止め408のみ図示する)。回転止め408は、加熱回転体9a及び加圧回転体9bの軸方向(Y方向)の内方に向けて突出している。回転止め408は、定着回転体ユニット460の側への外部加熱機構部410の回転を規制する(止める)機能を有する。この機能については、後述する定着装置9の動作の説明で併せて説明する。
【0070】
定着筺体400は、加熱回転体9a及び加圧回転体9bの上方に、強制搬送部430と、蓋部材432と、搬送ガイド440とを有する。強制搬送部430及び搬送ガイド440は、定着ニップN9を通過した用紙Tを搬送する搬送路である第3搬送路L3の一部を形成する。
【0071】
強制搬送部430は、強制搬送用ローラ対431(431A,431B)を備えている。強制搬送用ローラ対431は、定着ニップN9を通過後の用紙Tを挟持して相互に駆動回転することにより、用紙Tを下流側の搬送ガイド440へ向けて強制的に搬送する。この強制搬送用ローラ対431は、全体として用紙Tの通過幅以上のY方向長さを有する。強制搬送用ローラ対431は、互いに噛み合うギア435をそれぞれ有し、前述のモータ等の回転駆動部に連動されている。
【0072】
蓋部材432は、加圧回転体9bの上方に位置しており、上部を支点として定着筺体400に揺動自在に支持されている。図9に示すように、蓋部材432は、通常時には加圧回転体9bに接近される方向に付勢されて、所定位置で係止されており、この状態で定着ニップN9の上方の空間を覆っている。また、図14に示すように、蓋部材432は、加圧回転体9bから離間する方向に回動させることにより、定着ニップN9の上方の空間においてJAMが発生した場合などにおいて、定着ニップN9の上方の空間に作業者の手を差し入れることを可能とする。
図11に示すように、ローラ支持部材434は、強制搬送用ローラ対431の他方のローラ431Bを回転可能に支持している。
【0073】
搬送ガイド440は、強制搬送部430よりも用紙Tの搬送方向の下流側に配置される。搬送ガイド440は、定着筺体400の両端の枠部材402、403間に亘って固定される長尺な板状部材441と、板状部材441の長手方向(Y方向)に沿って一定間隔おきに回転可能に支持された複数の自由回転ローラ442と、を有する。複数の自由回転ローラ442における各周面の一部は、板状部材441の外側に露出している。
【0074】
搬送ガイド440は、加熱回転体9aの周面に接近する方向へ回動自在に構成されている。搬送ガイド440は、加熱回転体9aの上方に位置しており、通常時には加熱回転体9aから離間する方向に付勢されており、加熱回転体9aの上方の空間を覆っている。また、搬送ガイド440は、JAMが発生した場合などにおいて、加熱回転体9aに接近する方向に回動させることにより、加熱回転体9aと外部加熱機構部410との間に作業者が手を差し入れるスペースを形成することができる。
【0075】
定着回転体ユニット460は、定着ニップN9の下流側に近接する位置に、定着ニップN9を通過した用紙Tを加熱回転体9aの周面から剥ぎ取る分離部材として、1枚の板状の分離板450を備えている。分離板450は、スプリング451の弾性付勢力により,分離板450の先端部が加熱回転体9aの周面に近接するか又は軽く接触するように構成されている。分離板450は、用紙Tの幅方向(前後方向Y)に延びており、用紙Tの幅(Y方向の長さ)と略同じ又はそれよりも長い長さを有する。図6に示すように、分離板450の長手方向(Y方向)の両端部近傍それぞれには、分離ピン452が設けられている(一方の分離ピン452のみ図示する)。分離ピン452は、分離板450により加熱回転体9aの周面から剥ぎ取られた用紙Tを、分離板450から分離させるように機能する。
【0076】
定着筺体400における枠部材402、403には、定着回転体ユニット460の引き出し時、離脱時、装着時などに用いられる取っ手部461が設けられている。
【0077】
定着回転体ユニット460の引き出しに係る構造について詳細に説明する。
図3、図4、図9から図13に示すように、装置本体Mは、定着回転体ユニット460を引き出し可能に支持するレール部480と、レール部480をガイドする固定ガイドレール部91と、案内ローラ92と、を備える。
【0078】
固定ガイドレール部91は、定着装置9が収納される装置本体M側の空間90の底部に敷設されている。レール部480は、固定ガイドレール部91の上に載置されている。レール部480は、固定ガイドレール部91に沿って空間90に対して、引き出し移動及び押し込み移動が可能に構成されている。案内ローラ92は、固定ガイドレール部91に回転可能に支持されている。案内ローラ92は、レール部480の下面に当接して、レール部480の引き出し方向及び押し込み方向への移動を滑らかな状態に案内する。
【0079】
レール部480は、凹状のユニット保持部481と、操作レバー484と、可動枠部482と、ローラ483とを備える。
ユニット保持部481は、レール部480の上面に形成されている。ユニット保持部481は、定着回転体ユニット460における定着筺体400の下端部を収容する部位である。定着回転体ユニット460は、図4及び図13に示すように、装置本体Mから引き出された位置において、ユニット保持部481から上方に抜き出すことにより、レール部480から離脱可能に構成されている。また、定着回転体ユニット460は、図4及び図13に示すように、装置本体Mから引き出された位置において、ユニット保持部481に上方から落とし込むことにより、レール部480に収容されて固定されるように構成されている。
【0080】
操作レバー484は、レール部480と装置本体Mとの間に構成されるロック機構(図示せず)におけるロックを解除可能なレバーである。
また、可動枠部482は、レール部480と一体的に引き出し方向及び押し込み方向に移動する枠部である。可動枠部482は、レール部480の押し込み方向に突出する状態で連結されている。
【0081】
ローラ483は、可動枠部482の先端部にが回転可能に支持されている。図9に示すように、定着回転体ユニット460が装置本体M側の空間90に収納された状態において、ローラ483は、装置本体Mの内部の固定ガイドレール部91の下面に当接することにより、定着回転体ユニット460が空間90の内部に収納されるときの姿勢を、安定よく保持する機能を有する。
【0082】
図9に示すように、外部加熱機構部410は、装置本体Mの空間90における、加熱回転体9aの外方で加圧回転体9bとは反対側の位置に配置されている。図9から図12に示すように、外部加熱機構部410は、励磁コイル411と、コア412と、円弧状リブ414と、回転止め受け416と、励磁コイル411、コア412、円弧状リブ414及び回転止め受け416を保持するフレーム部413と、を備える。
【0083】
励磁コイル411は、耐熱性樹脂で被覆された細い線を数十から数百本を束ねたリッツ線(図示せず)が、加熱回転体9aの軸方向に沿って巻回されることにより、構成されている。励磁コイル411は、高周波インバータ(図示せず)に接続されており、これから高周波電力を供給される。励磁コイル411によって発生された磁束がコア412を通して加熱回転体9aに導かれることにより、加熱回転体9aは電磁誘導作用で加熱される。
【0084】
外部加熱機構部410は、フレーム部413の上端部に形成された支点軸を中心として回転可能である。この支点軸は、若干のガタを有している。外部加熱機構部410は、励磁コイル411が加熱回転体9aの周面に近接又は当接するように配置されて、加熱回転体9aの周面を電磁誘導作用で加熱するように構成されている。
【0085】
円弧状リブ414は、励磁コイル411が加熱回転体9aの周面に近接又は当接するように配置されるときに、定着回転体ユニット460におけるベアリング425と当接する周状の当接面を有するリブであり、定着回転体ユニット460からの力を受け止める。
回転止め受け416は、励磁コイル411が加熱回転体9aの周面に近接又は当接するように配置されるときに、回転止め408と当接する部位であり、定着回転体ユニット460からの力を受け止める。
【0086】
外部加熱機構部410は、励磁コイル411、コア412、フレーム部413、円弧状リブ414及び回転止め受け416を、支点軸の周りに回転させる。コイルスプリング415は、コア412の内周面を加熱回転体9aの外周面側に押し付けて付勢する付勢部として機能するもので、装置本体Mとフレーム部413との間に介在されている。コイルスプリング415は、その付勢力を定着回転体ユニット460の引き出し方向に付与可能に構成されている。
【0087】
次に、図1を参照して、本実施形態のコピー機1の動作について、簡単に説明する。
まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ61及び給紙ローラ対81によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、中間ローラ対82により、レジストローラ対80に搬送される。
レジストローラ対80においては、用紙Tのスキュー補正や、トナー画像とのタイミング調整が行われる。
【0088】
レジストローラ対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間(2次転写ニップN2)に導入される。そして、用紙Tには、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間において、トナー画像が転写される。
その後、用紙Tは、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着装置9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップN9に導入される。そして、定着ニップN9においてトナーが溶融し、トナーが用紙Tに定着される。
【0089】
次いで、用紙Tは、第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、排出ローラ対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
【0090】
手差しトレイ65に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ65に載置された用紙Tは、給紙コロ66によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラ対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0091】
次に、両面印刷を行う場合のコピー機1の動作について説明する。
片面印刷の場合には、前述した通り、片面印刷がされた用紙Tが、排紙部50から排紙集積部M1に排出されて印刷動作が完了する。
これに対し、両面印刷を行う場合には、片面印刷がされた用紙Tが、戻し搬送路Lbを介して、片面印刷時とは表裏反転して、レジストローラ対80に再度搬送されることにより、用紙Tに両面印刷が施される。
【0092】
詳述すると、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により排紙部50から排出されるまでは、前述した片面印刷の動作と同様である。而して、両面印刷の場合には、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により保持されている状態において、排出ローラ対53の回転を停止させ、逆方向に回転させる。このように排出ローラ対53を逆方向に回転させると、排出ローラ対53に保持されている用紙Tは、第3搬送路L3を逆方向(排紙部50から第1分岐部Q1に向かう方向)に搬送される。
【0093】
前述したように、用紙Tが、第3搬送路L3を逆方向に搬送されると、整流部材58により、用紙Tは、戻し搬送路Lbへ整流され、その後、第2合流部P2を介して、第1搬送路L1に合流する。ここで、用紙Tは、片面印刷時とは表裏反転している。
【0094】
更に、用紙Tは、レジストローラ対80により前記補正又は前記調整が行われ、第1搬送路L1を介して、感光体ドラム2と2次転写ローラ8との間に導入される。用紙Tは、戻し搬送路Lbを経由することにより、未印刷面が転写ローラ8に対向するので、未印刷面にトナー画像が転写され、その結果、両面印刷が施される。
【0095】
次に、図9から図14を参照しながら、本発明のコピー機1における特徴部分である定着装置9の動作について説明する。
図10は、装置本体Mの空間90からの定着回転体ユニット460の引き出しを開始した直後の状態を示す要部の拡大縦断面図である。図11は、定着回転体ユニット460を装置本体Mの空間90から外方へ引き出した状態を示す要部の拡大縦断面図である。図12は、図11に示す状態から、搬送ガイド440を加熱回転体9aの周面に接近する方向へ回動させた状態を示す要部の拡大縦断面図である。図13は、定着回転体ユニット460が装置本体Mの空間90から外方へ引き出され且つレール部480から離脱した状態を示す要部の拡大縦断面図である。図14は、定着回転体ユニット460が装置本体Mの空間90の内部に収納されている状態におけるJAM処理の例を説明する要部の拡大縦断面図である。
【0096】
まず、定着回転体ユニット460を装置本体Mから離脱させる動作について説明する。
図9に示すように、定着回転体ユニット460が装置本体Mの空間90に所定どおりに収納されている通常の印刷時においては、外部加熱機構部410の励磁コイル411によって発生された磁束が、コア412を通して加熱回転体9aに導かれて、加熱回転体9aは電磁誘導で加熱される。定着装置9は、トナー画像が転写された用紙Tが加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップN9を通過するときに、トナー画像を加熱及び加圧しながら溶融させて、トナー画像を用紙Tの表面に定着(固定)させる。
【0097】
トナー画像が定着された用紙Tは、強制搬送部430の強制搬送用ローラ対431間に挟持され、強制搬送用ローラ対431が相互に駆動回転することにより、下流側の搬送ガイド440へ向けて強制的に搬送される。続いて、用紙Tは、搬送ガイド440の複数の自由回転ローラ442及び板状部材441の表面を滑り、搬送案内面443に沿って所定の方向にガイドされながら、第3搬送路L3を排紙部50に向けて搬送され、排出ローラ対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
【0098】
上述のような通常の印刷時において、用紙Tが定着装置9から搬出されないようになり、定着装置9の内部で詰まり(JAM等)が発生したことがわかった場合には、先ず、図2に示すように、カバー体40を開放する。このカバー体40の開放状態で、図10に示すように、操作レバー484を操作して、レール部480と装置本体M側との間に構成されるロック機構(図示せず)によるロックを解除する。
ロックを解除した後、取っ手部461を握持して、図2及び図10に示すように、レール部480を固定ガイドレール部91に沿って空間90から引き出して移動させる。これにより、レール部480のユニット保持部481に保持されている定着回転体ユニット460は、レール部480と一体に装置本体Mの外方へ(X方向へ)向けて引き出される。
【0099】
このレール部480及び定着回転体ユニット460の引き出し時において、外部加熱機構部410は、コイルスプリング415の付勢力を受けて、支点軸の周りをレール部480の引き出し方向に回転される。このような外部加熱機構部410の回転力は、円弧状リブ414及びベアリング425を介して、レール部480及び定着回転体ユニット460の引き出し方向に付与される。そのため、作業者は、定着回転体ユニット460に軽い引き出し操作力を加えるのみで、レール部480及び定着回転体ユニット460を引き出すことができる。
【0100】
その後、作業者は取っ手部461を握持して、図3及び図11に示すように、レール部480及び定着回転体ユニット460を所定の位置まで引き出す。
定着回転体ユニット460が所定の位置まで引き出された状態において、図12に示すように、搬送ガイド440を、加熱回転体9aの周面に接近する方向へ回動させることにより、加熱回転体9aと外部加熱機構部410との間に作業者の手を差し入れるに十分な隙間を形成する。そして、用紙Tの搬送が加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間で停滞している程度の軽度なJAMが生じている場合は、前記隙間から手を差し入れることで、詰まっている用紙Tを簡単に取り出して、JAM処理をすることが可能である。
【0101】
一方、定着処理時において、重度なJAM、例えば、用紙Tが、分離板450の先端と加熱回転体9aの表面との間の微小なギャップに入り込んで、更に加熱回転体9aの回転に伴って加熱回転体9aの周面に強く巻き付けられているようなJAMが発生することがある。この場合には、加熱回転体9aと外部加熱機構部410との間の前記隙間から手を差し入れても、JAM処理をすることは極めて困難である。
【0102】
そこで、上述のような重度のJAMが発生している場合には、作業者は、レール部480を所定の位置まで引き出した状態において、図4及び図13に示すように、取っ手部461を把持して、定着回転体ユニット460をレール部480のユニット保持部481から上方に抜き出すことにより、定着回転体ユニット460をレール部480から離脱させる。
【0103】
定着回転体ユニット460をレール部480から離脱させると、図7に示すように、定着回転体ユニット460の加熱回転体9aは、周面の約半分が定着筺体400の開放部407を通して外方に大きく露出されることになる。従って、定着筺体400の開放部407の側から、加熱回転体9aの周面に強く巻き付いた用紙Tを取り除くことにより、JAM処理を容易に行うことが可能である。
【0104】
次に、定着回転体ユニット460を装置本体Mに装着する動作について簡単に説明する。基本的には、前述の離脱させる動作と同様(逆順)であり、ここでは、ベアリング425、円弧状リブ414、回転止め408及び回転止め受け416に起因する作用について、主に説明する。
JAM処理の終了後は、図13に示す状態から、定着回転体ユニット460を、レール部480のユニット保持部481から上方から落とし込むことにより、図11に示すように、レール部480に収容して固定させる。続いて、図10及び図9に示すように、レール部480を、固定ガイドレール部91に沿って装置本体Mの空間90に向けて押し込んで移動させて、空間90の内部に収納させる。
【0105】
その過程において、ベアリング425、円弧状リブ414、回転止め408及び回転止め受け416に起因して、以下の作用が生じる。
図10に示すように、定着回転体ユニット460が外部加熱機構部410に接近すると、定着回転体ユニット460のベアリング425(図8参照)は、外部加熱機構部410の円弧状リブ414を斜め上方に押し上げる。これにより、外部加熱機構部410は斜め上方へ押し上げられるが、外部加熱機構部410の支点軸は若干のガタを有しているだけであるので、外部加熱機構部410は、ある程度押し上げられた後には、定着回転体ユニット460に向けて回動を始める。
しかし、外部加熱機構部410の回転止め受け416が定着回転体ユニット460の回転止め408に当接すると、外部加熱機構部410の回動は、規制される。これにより、外部加熱機構部410及び定着回転体ユニット460の配置は、位置決めされる。
【0106】
このようにして、レール部480及び定着回転体ユニット460が装置本体Mの空間90の内部に収納された際には、外部加熱機構部410の励磁コイル411が加熱回転体9aの周面に近接又は当接して、電磁誘導加熱が可能な状態に復帰する。その後、カバー体40を閉塞することによって、コピー機1は通常の印刷を行える状態に戻される。
【0107】
なお、加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に用紙Tが挟まって、用紙Tの搬送が停滞する程度の軽度なJAMの発生時には、図14に示すように、カバー体40を解放した状態で、蓋部材432を上方に揺動させて、加圧回転体9bの上方に手を差し入れる状態にして、用紙Tを容易に取り出すことも可能である。
【0108】
本実施形態の定着装置9によれば、例えば、次の効果が奏される。
本実施形態の定着装置9は、加熱回転体9aの外部に設けられる外部加熱機構部410により周面が加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aとの間で定着ニップN9を形成する加圧回転体9bと、加熱回転体9a及び加圧回転体9bを収容する定着筺体400と、を備え、加熱回転体9a、加圧回転体9b及び定着筺体400は、定着回転体ユニット460を構成しており、定着回転体ユニット460は、コピー機1の装置本体Mから引き出し可能に構成されており、装置本体Mから引き出された状態において加熱回転体9aの周面が露出するように構成されている。
【0109】
そのため、本実施形態の定着装置9においてJAMが発生した場合に、定着回転体ユニット460を装置本体Mから引き出すことにより、加熱回転体9aの周面を露出させることが可能である。従って、定着時に加熱回転体9aの周面に用紙Tが強く巻き付いた場合でも、その加熱回転体9aの周面に巻き付いた用紙Tを取り除くJAM処理を、広い作業スペースの下で非常に容易にかつ操作性よく行うことができる。
【0110】
また、本実施形態の定着装置9においては、定着回転体ユニット460は、第1回転軸420及び第2回転軸421の軸方向(Y方向)に対して直交する方向に引き出し可能である。
そのため、定着回転体ユニット460を、第1回転軸420及び第2回転軸421の軸方向(Y方向)に引き出す場合に比べて、引き出しのストロークが短くて済むと共に、引き出した定着回転体ユニット460がコピー機1の側部において占有するスペースも小さくて済む。従って、JAM処理を一層容易に且つ効率よく行うことができる。
【0111】
また、本実施形態の定着装置9は、加熱源として、加熱回転体9aの外方で加圧回転体9bとは反対側の位置において加熱回転体9aの周面に近接又は当接するように配置されて加熱回転体9aを加熱する外部加熱機構部410を備える。
そのため、定着回転体ユニット460を引き出す際に、加熱源が引き出しの障害になったり、加熱源と電源との接続を解除し、また、押し込み後には再び接続しなければならないといった面倒な作業を要しない。従って、定着回転体ユニット460の引き出しを伴うJAM処理を、少ない手数で容易にかつ迅速に行うことができる。
【0112】
また、本実施形態の定着装置9においては、外部加熱機構部410は、外部加熱機構部410を加熱回転体9a側に押し付けて付勢するコイルスプリング415を備え、コイルスプリング415は、付勢力を定着回転体ユニット460の引き出し方向に付与可能に構成されている。
【0113】
そのため、定着回転体ユニット460を引き出す際に、コイルスプリング415の付勢力を定着回転体ユニット460の引き出し力として有効に活用することが可能である。従って、定着回転体ユニット460が外形の大きく且つ重量の重いものであっても、軽い操作力で定着回転体ユニット460を引き出すことができ、JAM処理の操作性を一層向上することができる。
【0114】
また、本実施形態の定着装置9においては、装置本体Mは、定着回転体ユニット460を引き出し可能に支持するレール部480を備え、定着回転体ユニット460は、装置本体Mから引き出された位置においてレール部480から離脱可能に構成されている。
そのため、レール部480を所定の位置まで引き出しただけでは処理できない程度に重度なJAMが発生した場合、定着回転体ユニット460をレール部480から離脱させることにより、加熱回転体9aをより大きく全面的に露出させることが可能である。従って、重度なJAM処理も容易に且つ確実に行うことができる。
【0115】
また、本実施形態の定着装置9においては、定着筺体400は、加熱回転体9aの上方に、定着ニップN9を通過した用紙Tを搬送する搬送ガイド440を有し、搬送ガイド440は、加熱回転体9aに接近する方向へ回動自在に構成される。
そのため、定着回転体ユニット460を所定の位置まで引き出した状態で、搬送ガイド440を加熱回転体9aの周面に接近する方向へ回動させることにより、加熱回転体9aと外部加熱機構部410との間に、手を差し入れるに十分な隙間を形成することが可能である。従って、軽度なJAMが発生した場合には、定着回転体ユニット460をレール部480から離脱させなくても、前記隙間から手を差し入れて、詰まった用紙Tを取り出すことができ、JAM処理の手数及び労力を軽減することができる。
【0116】
また、本実施形態の定着装置9においては、定着回転体ユニット460は、定着ニップN9の下流側に近接する位置に、分離板450を、更に備えている。
定着時において、用紙Tが、分離板450の先端と加熱回転体9aの周面との間の微小なギャップに入り込んで、加熱回転体9aの回転に伴って加熱回転体9aの周面に強く巻き付けられるような重度なJAMを発生しやすい。このような重度なJAMが発生した場合に、JAM処理を効率的に行うことができる。
【0117】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前記実施形態においては、加熱回転体9aの周面の加熱源として、電磁誘導方式の外部加熱機構部410を用いたが、これに制限されない。例えば、加熱源として、加熱回転体9aの内部に設けられる電熱ヒータを用いることができる。
加熱回転体9a及び加圧回転体9bの構成は制限されず、加熱回転体9a及び加圧回転体9bは、例えば、ローラからなる回転体、円筒状(環状)の回転体、複数のローラに掛け渡された帯状の回転体から構成することができる。
【0118】
また、前記実施形態においては、定着ニップN9を通過した用紙Tを加熱回転体9aの周面から剥ぎ取る分離部材として、用紙Tの幅(Y方向の長さ)と略同じ又はそれよりも長い長さを有する分離板450を備えているが、これに制限されない。分離板450は、備えていなくてもよく、あるいは、分離板450に代えて、用紙Tの幅方向(Y方向)に分離した複数の分離爪を用いることもできる。
本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、カラーコピー機、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機などであってもよい。
また、被転写材は、用紙に制限されず、例えば、フィルムシートや、表面がコーティングされたコート紙であってもよい。
【符号の説明】
【0119】
1……プリンタ(画像形成装置)、2a〜2d……感光体ドラム(像担持体)、7……中間転写ベルト(転写部)、9……定着装置、9a……加熱回転体、9b……加圧回転体、16a〜16d……現像部、400……定着筺体、410……外部加熱機構部(加熱源)、415……コイルスプリング(付勢部)、420……第1回転軸、421……第2回転軸、440……搬送ガイド、450……分離板(分離部材)、460……定着回転体ユニット、480……レール部、M……装置本体、N9……定着ニップ、T……用紙(被転写材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像が転写された被転写材にトナー画像を定着させる定着装置であって、
第1回転軸の周りに回転可能な加熱回転体であって、該加熱回転体の内部又は外部に設けられる加熱源により周面が加熱される加熱回転体と、
前記第1回転軸に平行な第2回転軸の周りに回転可能で且つ前記加熱回転体との間で定着ニップを形成する加圧回転体と、
前記加熱回転体及び加圧回転体を収容する定着筺体と、を備え、
前記加熱回転体、前記加圧回転体及び前記定着筺体は、定着回転体ユニットを構成しており、
前記定着回転体ユニットは、画像形成装置の装置本体から引き出し可能に、且つ、前記装置本体から引き出された状態において前記加熱回転体の周面が露出するように構成されている
定着装置。
【請求項2】
前記定着回転体ユニットは、前記第1回転軸及び前記第2回転軸の軸方向に対して直交する方向に引き出し可能である
請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記加熱源として、前記加熱回転体の外方で前記加圧回転体とは反対側の位置において前記加熱回転体の周面に近接又は当接するように配置されて前記加熱回転体を加熱する外部加熱機構部を備える
請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記外部加熱機構部は、該外部加熱機構部を前記加熱回転体側に押し付けて付勢する付勢部を備え、
前記付勢部は、付勢力を前記定着回転体ユニットの引き出し方向に付与可能に構成されている
請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記装置本体は、前記定着回転体ユニットを引き出し可能に支持するレール部を備え、
前記定着回転体ユニットは、前記装置本体から引き出された位置において該レール部から離脱可能に構成されている
請求項2から4のいずれかに記載の定着装置。
【請求項6】
前記定着筺体は、前記加熱回転体の上方に、前記定着ニップを通過した被転写材を搬送する搬送路の一部を形成する搬送ガイドを有し、
前記搬送ガイドは、前記加熱回転体に接近する方向へ回動自在に構成される
請求項1から5のいずれかに記載の定着装置。
【請求項7】
前記定着回転体ユニットは、前記定着ニップの下流側に近接する位置に、該定着ニップを通過した被転写材を前記加熱回転体の周面から剥ぎ取る分離部材を、更に備えている
請求項1から6のいずれかに記載の定着装置。
【請求項8】
表面に静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体に形成された静電潜像にトナー画像を現像する現像器と、
前記像担持体に形成されたトナー画像を直接的又は間接的に被転写材に転写する転写部と、
請求項1から7のいずれかに記載の定着装置と、を備える
画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−209542(P2011−209542A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77796(P2010−77796)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】