説明

室内循環式レンジフード

【課題】 室内循環式レンジフードにおいて、清浄化後の空気を人がいる方向に排出することを防止する。
【解決手段】 フィルタにより清浄化された空気を室内に排出する排気口を備える室内循環式レンジフードであって、室内循環式レンジフードの正面、右側面、左側面、背面の少なくとも2つの面に、それぞれに開閉制御可能なシャッターを備える排気口と、そのシャッターの開閉を制御する制御部とを備える室内循環式レンジフードを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関し、特に、調理により発生する汚染物を含む空気を吸引し、汚染物を清浄化後、空気を室内に排出する室内循環式レンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素等の燃焼ガスが発生しないIH調理器の使用により発生した臭気や油煙などの汚染物を、内部に備える各種フィルタにより除去し、清浄化した空気を室内へ排出する室内循環式レンジフードが知られている。この室内循環式レンジフードは、通常正面や側面など製品ごとに設計された方向に単一あるいは複数の排気口を備え、その排気口から清浄化された空気が排出される。
【0003】
例えば、特許文献1では、排気風路とは別に清浄装置を内蔵して清浄な空気を室内に供給する循環風路が設けられており、排気風路内の排気ファンを運転させると共に循環風路内の循環ファンを運転して清浄な空気を室内に供給する循環式のレンジフードが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−89739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さらに、近年、住宅におけるキッチンの形態として、アイランドキッチンや対面式キッチンに人気がある。このようなキッチン形態においては、天井吊り下げタイプやサイドタイプの室内循環式レンジフードが一般的に取り付けられる。
しかし、このようにしてアイランドキッチンや対面式キッチンに設置される天井吊り下げタイプやサイドタイプにおいては、調理者側以外の方向にも人が存在している可能性がある。かかる場合、従来の室内循環式レンジフードでは排気口は固定であり、清浄化された空気ではあるが、人体に直接あたることで不快感を与えてしまうおそれがある。
また、室内循環式レンジフードでは、調理により汚染物を含む空気が多量に発生した場合、すべてを清浄化できなかったり、室内循環式レンジフードのフード部が捕捉しきれず部屋の中に汚染物を含む空気が漏れ出す場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、室内への複数の排気口において、清浄化された空気の排出を制御可能とすることにより、人がいる方向に排出することを防止する、または、人がいる方向に排出する風量を低下させる室内循環式レンジフードを提供することである。さらに、室内への複数の排気口において清浄化された空気の排出を制御可能とすると共に屋外へ強制排気できる補助排気装置をさらに備えることにより、効率良く屋外へ汚染物を含む空気を排気することができる室内循環式レンジフードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、調理により発生する汚染物を含む空気を吸引する吸気口と、該吸気口から吸引した前記空気を清浄化するフィルタと、該フィルタにより清浄化された前記空気を室内に排出する排気口とを備える室内循環式レンジフードであって、前記室内循環式レンジフードの正面、右側面、左側面、背面の少なくとも2つの面に、それぞれに開閉制御可能なシャッターを備える前記排気口と、前記シャッターの開閉を制御する制御部と、を備える室内循環式レンジフードが提供される。
これによれば、複数ある排気口の中から、清浄化された空気を排出する排気口を選択できる室内循環式レンジフードを提供できる。
【0008】
さらに、前記排気口が備えられる面の方向に存在する人を感知する人感センサをさらに備え、前記制御部は、前記人感センサが人の存在を感知した方向の前記排気口の前記シャッターを閉じることを特徴としてもよい。
これによれば、人感センサにより人がいる方向を感知し、それに基づき人がいる方向に清浄化された空気を排出することを確実に防止する室内循環式レンジフードを提供できる。
【0009】
さらに、前記人感センサが前記排気口が備えられている方向すべてに人が存在すると感知した場合、前記制御部は、すべての前記排気口の前記シャッターを開くことを特徴としてもよい。
これによれば、すべての排気口を開口することにより、排出される風量を分散し、1つの排気口当たりの風速を下げることができるため、風が直接人体に当たることによる不快感を軽減させることができる室内循環式レンジフードを提供できる。
【0010】
さらに、臭気センサ、湿度センサ、煙センサの少なくとも1つ以上を有する環境検出手段と、室内の空気を室外に排出する補助排気装置と、をさらに備え、前記環境検出手段が検出した検出値が予め定めた設定値を超えた場合、前記制御部は、前記補助排気装置に連動信号を発信して前記補助排気装置を稼働させると共に、前記補助排気装置が存在する方向に備えられた前記排気口の前記シャッターを開き、その他の方向に備えられた前記排気口の前記シャッターを閉じることを特徴としてもよい。
これによれば、室内循環式レンジフードの空気浄化能力を超えた汚染物が発生し、室内環境が悪化する恐れが生じた場合、補助排気装置を運転させることにより屋外への排気を行うことがあるが、かかる場合に、清浄化しきれず汚染物を含む空気を、補助排気装置の方に向けて排出することにより、周囲の汚染物を含んだ空気も巻き込みながら、効率良く屋外へ排気することができる室内循環式レンジフードを提供できる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、室内への複数の排気口において、清浄化された空気の排出を制御可能とすることにより、人がいる方向に排出することを防止する、または、人がいる方向に排出する風量を低下させる室内循環式レンジフードを提供することができる。さらに、清浄化しきれなかった汚染物を含む空気を、補助排気装置の方に向けて排出することにより、効率良く屋外へ排気することができる室内循環式レンジフードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る室内循環式レンジフードの第一実施例の断面図。
【図2】本発明に係る室内循環式レンジフードの第一実施例をキッチンに適用した場合のキッチン立面図。
【図3】本発明に係る室内循環式レンジフードの第一実施例をキッチンに適用した場合のキッチン平面図。
【図4】本発明に係る室内循環式レンジフードの第一実施例における制御部と排気口等との関係図。
【図5】本発明に係る室内循環式レンジフードの第一実施例における制御部のフローチャートその1。
【図6】本発明に係る室内循環式レンジフードの第一実施例における制御部のフローチャートその2。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る実施例について説明する。
<第一実施例>
図1は、本発明に係る室内循環式レンジフードの第一実施例の断面図を示す。室内循環式レンジフード1は、調理器、例えば燃焼ガスを発生しないIH調理器の上方に設けられ、調理により発生する汚染物を含む空気を吸引する吸気口10を、室内循環式レンジフード1の下部に備える。本実施例では、室内循環式レンジフード1は、汚染物を含む空気を捕捉するための扁平薄型のフード部5を吸気口10の周囲に備え、さらに、汚染物を含む空気を吸引しやすくするために、吸気口10の下方であってフード部5の内周縁と隙間を形成するように整流板3を備える。
【0014】
室内循環式レンジフード1は、ダクトカバー4の内部であって吸気口10の直上にファンユニット8を備える。ファンユニット8は、内部にシロッコファンとそのシロッコファンに連結した電動機81を備え、稼働すると吸気口10から汚染物を含む空気を吸引し、上方に吹き出す。上方に吹き出された汚染物を含む空気は、ダクトカバー4の内部であってファンユニット8の上方に備えられたフィルタ30を通過する。本実施例では、静圧が高いためシロッコファンを用いているがこれに限定されない。
【0015】
フィルタ30は2つのフィルタからなり、下のフィルタ30(上流側のフィルタ)は、ファンユニット8が吹き出した空気の中に含まれる汚染物の内主に油脂分を除去するためのグリスフィルタ(グラスウール等の織布や不織布フィルタ、ラス網、スロットフィルタ、パンチングメタル等の金属製フィルタ)である。また、上のフィルタ30(下流側のフィルタ)は、無機系イオンが吸着した消臭要素を添着加工した連続多孔質の発泡体からなるフィルタである。このフィルタ30により、油脂分および臭気成分を空気から除去し、空気を清浄化する。フィルタ30は、汚染物を含む空気から、油脂分および臭気成分を除去できれよく、これに限定されるものではない。例えば、上のフィルタ30は、光触媒を担持した脱臭材を備えたものでもよい。
【0016】
フィルタ30を通過し清浄化された空気は、ダクトカバー4の中を上昇し、フィルタ30の上方であってダクトカバー4の側面に備えられた排気口20からダクトカバー4の外へ、即ち室内へ排出される。排気口20は、本実施例の場合ダクトカバー4が四角柱状の形態をなしているので、四角柱状のダクトカバー4の4つの横側面にそれぞれ開口している。排気口20は、それぞれ開閉制御可能なシャッター21を備え、シャッター21が開かれた排気口20は空気を排出し、シャッター21が閉じられた排気口20は空気を排出しない。
【0017】
なお、本実施例では、ダクトカバー4は四角柱状なので、4つ側面にそれぞれ一つずつ合計4つの排気口20を備えるが、これに限定されず、1つの側面に2以上の排気口を備えてもよく、また、ダクトカバー4が三角柱の場合は、3つの側面にそれぞれ1つずつ合計3つの排気口を備えてもよい。また、ダクトカバー4が円柱の場合は、円柱の側面に適宜複数個の排気口を備え、これら複数の排気口が円柱の周囲の全方向を清浄化空気の吹出し方向としてカバーしてもよい。
【0018】
また、排気口20は、四角柱状のダクトカバー4の4つの横側面にそれぞれ開口していなくてもよい。即ち、排気口20は、4つの横側面の内、少なくとも2つの面に備えられていればよい。例えば、室内循環式レンジフード1の正面と背面の2か所だけであってもよい。もちろん、本実施例のように、排気口20は、室内循環式レンジフード1の正面、右側面、左側面、背面のすべてに備えられてもよい。室内循環式レンジフード1の少なくとも2つの面に備えられることにより、複数ある排気口の内、清浄化された空気を排出する排気口を選択可能とすることができる。本発明においては、排出方向が異なる複数の排気口を備え、それらの排気口において排気する空気の量を制御可能とするものである。
【0019】
室内循環式レンジフード1は、さらにシャッター21の開閉を制御する制御部40を、本実施例ではファンユニット8の付近に備える。備えられる場所はこれに限定されず、例えば、排気口20の付近であってもよい。室内循環式レンジフード1は、さらに人感センサ50をフード部5のそれぞれの側面に一つずつ、合計4つ備える(本図では、フード部5の正面5Fと背面5Bの2か所に備えられた2つの人感センサ50のみを示す)。人感センサ50は特に限定されず、焦電式赤外線センサ、超音波センサ、マイクロ波センサ、測距センサなど人の有無を検知することが可能なセンサであればよい。なお、制御部40が行う、人感センサ50に基づくシャッター21の制御方法は後述する。
【0020】
室内循環式レンジフード1は、さらに臭気センサ、湿度センサ、煙センサの少なくとも1つ以上を有する環境検出手段60をダクトカバー4の1つの側面(正面側)であってダクトカバー4の上端付近に備える。臭気センサは特に限定されず、例えば、酸化還元反応により電気抵抗の変化を測定する金属酸化物半導体(MOS)センサでもよい。湿度センサは特に限定されず、相対湿度を感部の物性・形状の変化として直接に検出するものや、雰囲気の温度と水蒸気圧とを測定することによって間接的に算出するものでもあってよい。煙センサは特に限定されず、光学式のセンサやイオン式のセンサであってもよい。
【0021】
さらに、室内循環式レンジフード1をキッチンに適用した場合のキッチン立面図である図2と、キッチン平面図である図3を参照し、説明する。図2は、室内循環式レンジフード1の背面側から見た立面図である。キッチンの床Fの上にキッチン台KとダイニングテーブルDTが設置されている。キッチン台Kは、上面に、IH調理器K1と流し台K2を有する。室内循環式レンジフード1は、IH調理器K1の上方に備えられ、天井Cに固定されている。IH調理器K1の上に置かれる鍋などから、調理により、油脂分、臭気成分、煙、水蒸気などの汚染物を含む空気が熱気と共に上方に立ち上り、室内循環式レンジフード1のフード部5により基本的に捕捉される。捕捉された汚染物を含む空気は、吸気口10(図示せず)からダクトカバー4内を通って内部にあるフィルタ30(図示せず)により清浄化され、排気口20から排気され、キッチンに戻される。
【0022】
室内の空気を室外に排出する補助排気装置70は、室内循環式レンジフード1に最も近いキッチンの壁W上であって、排気口20の床Fからの高さとほぼ同じ高さ辺りに設置されている。補助排気装置70は、排気口20から最も近い所に設置されることが好ましいが、排気口20からの排出された空気が届く範囲であればよい。補助排気装置70は、ファンを備え、設置された壁の位置に外部に通じる開口を通して室内の空気を室外に排出してもよいし、設置された壁とは異なる位置に設けられた開口に通じるダクトを通して室内の空気を室外に排出してもよい。補助排気装置70は、典型的には換気扇である。
【0023】
室内循環式レンジフード1は、四角柱状のダクトカバー4の側面すべて(正面5F側、右側面5RS側、左側面5LS側、背面5B側)に排気口20を有している。このうち、右側面5RS側に設けられた排気口20が、補助排気装置70側に向いており、補助排気装置70に最も近い排気口となる。
【0024】
制御部40は、環境検出手段60の臭気センサ、湿度センサ、煙センサが検出する臭気、湿度、煙の濃度に関する許容上限値を予め定めた設定値を有することができる。典型的には、それらの設定値は不揮発性のメモリに保存される。一方、環境検出手段60は、継続的または定期的に臭気、湿度、煙の濃度を検出し、それらの検出した値を制御部40に報告する。そして、制御部40は、これらの設定値とそれぞれのセンサが検出した値とを継続的または定期的に比較する。
【0025】
通常は、室内循環式レンジフード1のフード部5が、IH調理器K1の上に置かれる鍋などから上方に立ち上った油脂分、臭気成分、煙、水蒸気などの汚染物を含む空気を捕捉するが、一度に多量の調理を行うことにより、室内循環式レンジフード1の空気浄化能力を超えた汚染物が発生したり、フード部5が捕捉できない程の汚染物が発生する場合がある。この場合、汚染物を含む空気は、フィルタ30ですべて清浄化できず排出口20から室内に排出され、または、フード部5からあふれ天井Cの付近に到達する。そうすると、ダクトカバー4の上端付近に備えられた、即ち、天井C付近に備えられた環境検出手段60の臭気センサ、湿度センサ、煙センサは、フード部5が捕捉できなかった汚染物を含む空気に含まれる臭気成分、煙、水蒸気を検出する。
【0026】
このようにして環境検出手段60が検出した臭気、湿度、煙の濃度のいずれかがまたはこれらの組み合わせが予め定めた設定値(許容上限値)を超えた場合、制御部40は、補助排気装置70に連動信号を発信して補助排気装置70を稼働させる。さらに、制御部40は、補助排気装置70が存在する方向に備えられた排気口20、即ち、本実施例では、右側面5RS側に設けられた排気口20のシャッター21を開き、その他の方向に備えられた排気口20のシャッター21を閉じる。こうすることにより、室内循環式レンジフード1の空気浄化能力を超えた汚染物が発生し、室内環境が悪化する恐れが生じた場合、清浄化しきれなかった汚染物を含む空気を、補助排気装置70の方に向けて排出することにより、周囲の汚染物を含んだ空気も巻き込みながら、効率良く屋外へ排気することができる。
【0027】
室内循環式レンジフード1は、人感センサ50をフード部5のそれぞれの側面に一つずつ、合計4つ備える。より具体的には、フード部5の正面5F、右側面5RS、左側面5LS、および、背面5Bに人感センサ50が取り付けられている。従って、室内循環式レンジフード1の正面側に人が存在する場合、即ちIH調理器K1の前辺りに人が存在する場合は正面5Fに取り付けられた人感センサ50が人の存在を感知する。同様に、室内循環式レンジフード1の背面側に人が存在する場合、即ちダイニングテーブルDT辺りに人が存在する場合、背面5Bに取り付けられた人感センサ50が人の存在を感知する。このように、排気口20が備えられる面の方向に人の存在を感知する人感センサ50を備えることにより、人の存在に応じて、排気口20から排気される空気の方向を制御することが可能となる。
【0028】
図4〜図6を参照し、制御部40の機能を説明する。図4は、室内循環式レンジフード1の制御部40と、排気口20、人感センサ50およびシャッター21との関係図を示す。図5と図6は、室内循環式レンジフード1の制御部のフローチャートを示す。図4に示す排気口1とは正面5F側に設けられた排気口20、排気口2とは右側面5RS側に設けられた排気口20、排気口3とは背面5B側に設けられた排気口20、排気口4とは左側面5LS側に設けられた排気口20を示す。排気口1と、正面5F側に取り付けられた人感センサ50である人感センサ1とが関係付けられており、また、排気口1と、排気口1に取り付けられたシャッター21であるシャッター1とが関係付けられている。他の排気口も同様である。
【0029】
例えば、人感センサ1が人の存在を感知すると制御部40へそれを示す信号が届く。この信号の届け方は、有線・無線、電気的・光学的・機械的であるかを問わない。逆に、人感センサ1が人の存在を感知しなくなると、人感センサ1が人の存在を感知することを示す信号が届かなくなる。従って、制御部40は、人感センサが人の存在を感知することを示す信号の有無により、その方向に人が存在するか否かを判断する。なお、制御部40の判断の仕方はこれに限定されず、例えば、人感センサが人の存在を感知しないことを示す信号を届け、それを以って、人が存在していないと判断してもよい。
【0030】
人感センサ50が人が存在すると感知し、制御部40が人が存在すると判断した場合、制御部40は、人が存在すると判断した方向と同じ方向の排気口20のシャッター21を閉じる指令を出す。例えば、人感センサ3から人の存在を感知したとの信号を受信した場合、制御部40は、排気口3に取り付けられたシャッター3に対して閉じる指令を出す。逆に、制御部40が人が存在しないと判断した場合、制御部40は、人が存在しないと判断した方向と同じ方向の排気口20のシャッター21を開ける指令を出す。指令を受けたシャッターは、電動機等により、シャッター部分を開閉することができる。これによれば、人感センサにより人がいる方向を感知し、それに基づき人がいる方向に清浄化された空気を排出することを確実に防止することができる。
【0031】
なお、一つの人感センサ50が人の存在を感知した場合だけでなく、2つの人感センサ50、例えば、流し台K2の前に人が存在し、正面5F側および左側面5LS側の人感センサ50(人感センサ1と人感センサ4)が人の存在を感知した場合も、制御部40は同様に制御可能である。
【0032】
また、人が存在することが多い方向を予め制御部40に設定しておくことにより、予めその方向の排気口のシャッターを閉じておくことも可能である。例えば、ダイニングテーブルDT辺りに人が存在することが多いことが想定できるので、予め制御部40に排気口3のシャッター3を閉じておくことを設定することができる。これによれば、室内循環式レンジフード1を稼働させるときには最初からシャッター3を閉じておくことができる。
【0033】
また、人感センサ50が排気口が備えられている方向すべてに人が存在すると感知した場合、制御部40は、すべての排気口20のシャッター21を開いてもよい。即ち、人感センサ1〜4のすべてが人の存在を感知したが場合、制御部40は、シャッター1〜4のすべてのシャッターを開ける指令を出してもよい。こうすることにより、排出される風量を分散させ、一つの排出口から排出される空気の風速を下げることができるため、風が直接人体に当たることによる不快感を軽減させることが可能となる。
【0034】
図5のフローチャートを参照しながら制御部40の制御方法を説明する。なお、ステップをSと略して記載する。S100において、室内循環式レンジフード1の運転を開始する。具体的には、室内循環式レンジフード1のスイッチをオンにする。ファンユニット8の制御とは独立してまたは従属して、S102において、すべての人感センサ50は人の存在の感知を試みる。S102は、室内循環式レンジフード1のスイッチがオンである間は、継続的・定期的に繰り返されることにより、制御部40は、人の存在の有無に関して最新の情報に基づき制御することができる。
【0035】
制御部40は、人の存在の有無に関するかかる最新の情報に基づき、S104において、人が存在する方向を特定する。例えば、室内循環式レンジフード1のスイッチをオンにした人が室内循環式レンジフード1の正面5F側にいる場合には、制御部40は、人が存在するのは正面5F側であることを特定する。また、仮に、ダイニングテーブルDTの辺りにも人が存在すると、制御部40は、人が存在するのは室内循環式レンジフード1の背面5B側でもあることを特定する。
【0036】
制御部40は、S106にて、すべての排気口の方向に人が存在するか否かをチェックする。上記想定だと、制御部40は、人が存在するのは正面5F側および背面5B側だけであるから、S108にて、人が存在する方向の排気口20のシャッター21を閉じて、その他の方向の排気口20のシャッター21を開く指令を出す。より具体的には、人が存在する正面5F側排気口1および背面5B側排気口3のシャッターを閉じ、人が存在しない右側面5RS側排気口2および左側面5LS側排気口4のシャッターを開ける。
【0037】
さらに、仮に、室内循環式レンジフード1の右側面5RS側および左側面5LS側にも人が存在すると、制御部40は、すべての排気口の方向に人が存在すると特定する。この場合、すべての方向の排気口のシャッターを閉じると汚染物を含む空気を吸入できなくなるので、好ましくない。従って、制御部40は、すべての排気口の方向に人が存在すると特定した場合、S110にて、すべての排気口20のシャッター21を開く。こうすることにより、仮に、すべての方向に人が存在した場合であっても、汚染物を含む空気を吸入できなくなることはなく、排出される風量を分散させ、一つの排出口から排出される空気の風速を下げることができるため、風が直接人体に当たることによる不快感を軽減させることが可能となる。
【0038】
また、人が存在することが多い方向を予め制御部40に設定されている場合は、S102にて、人感センサ50が感知する前に、人が存在する方向としてその方向の排気口20のシャッター21を閉じることができる。
【0039】
図6のフローチャートを参照しながら、環境検出手段60と補助排気装置70がある場合の制御部40の制御方法を説明する。S200において、室内循環式レンジフード1の運転を開始する。ファンユニット8の制御とは独立してまたは従属して、S202において、環境検出手段60は臭気等を検出する。制御部40は、S204にてS202で検出した臭気等の検出値が予め定められた設定値と比較し、検出値が設定値を上回らない場合には、S202に戻り再度環境検出手段60が臭気等を検出する。
【0040】
S204にて検出値が設定値を上回った場合、制御部40は、S206にて補助排気装置70を稼働させる。即ち、例えば臭気、煙、水蒸気などすべてをフード部5で捕捉できなくなるほどの臭気、煙、水蒸気などが調理により発生し、天井付近に備えられた環境検出手段60が設定値以上の臭気、煙、水蒸気を検出した場合、これらを室外(屋外)へ強制的に排出するために補助排気装置70を稼働させる。
【0041】
さらに、S208にて、補助排気装置70が存在する方向の排気口20のシャッター21を開き、その他の排気口20のシャッター21を閉じる。具体的には、補助排気装置70が存在する方向である右側面5RS側の排気口2のシャッター2を開き、その他の排気口1、3、4のシャッターを閉じる。このようにすることにより、室内循環式レンジフード1の空気浄化能力を超えた汚染物が発生した場合であっても、室内循環式レンジフード1は、清浄化しきれなかった汚染物を含む空気を、補助排気装置70の方に向けて排出することにより、周囲の汚染物を含んだ空気も巻き込みながら、効率良く屋外へ排気することができる。
【0042】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 室内循環式レンジフード
3 整流板
4 ダクトカバー
5 フード
8 ファンユニット
10 吸気口
20 排気口
21 シャッター
30 フィルタ
40 制御部
50 人感センサ
60 環境検出手段
70 補助排気装置
5F 正面
5B 背面
5RS 右側面
5LS 左側面
K キッチン台
K1 IH調理器
K2 流し台
W 壁
F 床
C 天井
DT ダイニングテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理により発生する汚染物を含む空気を吸引する吸気口と、該吸気口から吸引した前記空気を清浄化するフィルタと、該フィルタにより清浄化された前記空気を室内に排出する排気口とを備える室内循環式レンジフードであって、
前記室内循環式レンジフードの正面、右側面、左側面、背面の少なくとも2つの面に、それぞれに開閉制御可能なシャッターを備える前記排気口と、
前記シャッターの開閉を制御する制御部と、
を備える室内循環式レンジフード。
【請求項2】
前記排気口が備えられる面の方向に存在する人を感知する人感センサをさらに備え、前記制御部は、前記人感センサが人の存在を感知した方向の前記排気口の前記シャッターを閉じることを特徴とする請求項1に室内循環式レンジフード。
【請求項3】
前記人感センサが前記排気口が備えられている方向すべてに人が存在すると感知した場合、前記制御部は、すべての前記排気口の前記シャッターを開くことを特徴とする請求項2に室内循環式レンジフード。
【請求項4】
臭気センサ、湿度センサ、煙センサの少なくとも1つ以上を有する環境検出手段と、
室内の空気を室外に排出する補助排気装置と、をさらに備え、
前記環境検出手段が検出した検出値が予め定めた設定値を超えた場合、前記制御部は、前記補助排気装置に連動信号を発信して前記補助排気装置を稼働させると共に、前記補助排気装置が存在する方向に備えられた前記排気口の前記シャッターを開き、その他の方向に備えられた前記排気口の前記シャッターを閉じることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに室内循環式レンジフード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−104618(P2013−104618A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249043(P2011−249043)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000237374)富士工業株式会社 (112)
【Fターム(参考)】