説明

室内環境改善方法

【課題】木炭の効力により室内の環境をマイナスイオンが豊富な環境にしつつ、室内の状態を変化させることによってより高い効果を得られるようにすること。
【解決手段】室内壁面に木炭粉末を含有した塗料を塗布、または木炭粉末を含有した塗料を塗布した成形体を用い、地中に埋設した接地電極を前記壁面または成形体に接続して室内の環境を改善する方法であって、前記室内を密閉状態にし、該室内の気圧が高圧の環境にすることにより、室内で長時間過ごすだけで、入室者の乳酸値を低下させることができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内壁面に木炭粉末を含有した塗料を塗布、または木炭粉末を含有した塗料を塗布した成形体を用いることで、壁面をマイナスに帯電させて周囲のプラスイオンを吸着させて、室内の環境をプラスイオンが少なくてマイナスイオンが豊富な環境に改善する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば、木炭粉末を含有した塗料を室内の壁面に塗布して室内の環境を改善する方法であって、前記室内の床面を絶縁体で形成し、前記壁面を地中に埋設した接地電極に接続して接地電位にすることを特徴とする室内環境改善方法がある(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1の公知技術においては、壁面に接地電極を接続することによって、壁面を接地電位にし、壁面に塗布された木炭の効力を維持し、室内の環境をマイナスイオンが豊富な環境にするというものである。
【0004】
【特許文献1】特開2004−244837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の公知技術においては、壁面に塗布された木炭の効力を維持して室内の環境を改善できるものであり、この室内環境改善効果だけであっても該室内に居住する人にとって十分な効果を享受できるものであるが、単に壁面に接地電極を接続させただけでは、より高い効果を期待することは困難である。
【0006】
従って、本発明においては、木炭の効力により室内の環境をマイナスイオンが豊富な環境にしつつ、室内の状態を変化させることによってより高い効果を得られるようにするということに解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した従来例の課題を解決する具体的手段として本発明に係る室内環境改善方法は、室内壁面に木炭粉末を含有した塗料を塗布、または木炭粉末を含有した塗料を塗布した成形体を用い、地中に埋設した接地電極を前記壁面または成形体に接続して室内の環境を改善する方法であって、前記室内を密閉状態にし、該室内の気圧が高圧の環境にすることを最も主要な特徴とする。
【0008】
この発明において、前記高圧の環境は、室内の気圧が略1.05〜1.1気圧の範囲であること;前記木炭粉末を含有した塗料は、ナイロン(登録商標)6と、ナイロン(登録商標)66と、ナイロン(登録商標)12と、ナイロン(登録商標)610とからなる高融点型ナイロン(登録商標)樹脂、ナイロン(登録商標)6と、ナイロン(登録商標)66と、ナイロン(登録商標)12とからなる低融点型ナイロン(登録商標)樹脂またはナイロン(登録商標)6と、ナイロン(登録商標)66と、ナイロン(登録商標)12とからなる高融点型ナイロン(登録商標)樹脂と、これらのナイロン(登録商標)樹脂の溶剤と、木炭粉末とを含有した塗料組成物であること;前記接地電極は、有底筒体に形成された金属製の本体の内部に木炭と触媒とが収納された電極であること;を付加的な要件として含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る室内環境改善方法は、室内壁面に木炭粉末を含有した塗料を塗布、または木炭粉末を含有した塗料を塗布した成形体を用い、地中に埋設した接地電極を前記壁面または成形体に接続して室内の環境を改善する方法であって、前記室内を密閉状態にし、該室内の気圧が高圧の環境にすることにより、木炭の効力により室内の環境をマイナスイオンが豊富な環境にしつつ、室内の気圧を高圧に変化させることによって、室内で長時間過ごすだけで、入室者の乳酸値を低下させることができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明を具体的な実施の形態に基づいて詳しく説明する。
本発明の実施の形態に係る室内環境改善方法を図1を用いて説明する。調整室1は、図示していない扉を閉めた状態でその室内全体が密閉された空間になるように形成されている。
【0011】
調整室1には、室内の気圧を調整できる気圧調整装置2が設けられている。この気圧調整装置2は、例えば、ファン等によって空気を送風する構成になっており、該送風した空気の量によって調整室1内の気圧を調整できるようになっている。また、気圧調整装置2には、配管3を介してフィルター等からなる空気清浄装置4が接続されており、空気清浄装置4から気圧調整装置2に送気される空気は常に清浄な状態が維持されるようになっている。
【0012】
気圧調整装置2は、調整室1に設けられた通気口5を介して室内と接続されており、気圧調整装置2から調整室1の内部に送気される空気量によって調整室1内の気圧を調整できるようになっている。本発明においては、調整室1内の気圧が略1.05〜1.1気圧の範囲の高圧の環境になるように調整している。
【0013】
調整室1の室内壁面1aには、木炭粉末を含有した塗料を塗布してある。この木炭粉末を含有した塗料を塗布した壁面1aは、少なくとも1つの壁面1aがあれば良く、天井面や床面等に塗布しても良い。また、木炭粉末を含有した塗料を室内壁面1aに塗布することに替え、木炭粉末を含有した塗料を塗布した成形体を用いても良い。
【0014】
この木炭粉末を含有した塗料としては、例えば、ナイロン(登録商標)6と、ナイロン(登録商標)66と、ナイロン(登録商標)12と、ナイロン(登録商標)610とからなる高融点型ナイロン(登録商標)樹脂、ナイロン(登録商標)6と、ナイロン(登録商標)66と、ナイロン(登録商標)12とからなる低融点型ナイロン(登録商標)樹脂またはナイロン(登録商標)6と、ナイロン(登録商標)66と、ナイロン(登録商標)12とからなる高融点型ナイロン(登録商標)樹脂と、これらのナイロン(登録商標)樹脂の溶剤と、木炭粉末とを含有した塗料組成物である、ヘルスコート(登録商標:ア−テック工房(株)社製)等を使用することが好ましい。
【0015】
この木炭粉末としては、白炭または黒炭等の木炭を粉末状にしたものを使用できるが、白炭または黒炭のいずれか一種、またはこれらを適宜混合して使用することができる。
【0016】
壁面1aには、電線等の導体6が接続されている。該導体6を前記壁面1aに接続させる場合には、例えば、図示していない合板や銅板等を介して接続させても良い。この導体6は、他端が地中に埋設された接地電極7に接続されている。
【0017】
このように、壁面1aに木炭粉末を含有した塗料を塗布、または木炭粉末を含有した塗料を塗布した成形体を用いることで、壁面1aをマイナスに帯電させて周囲のプラスイオンを吸着させて、室内の環境をプラスイオンが少なくてマイナスイオンが豊富な環境に改善し、更に、地中に埋設した接地電極7を前記壁面1aまたは成形体に接続することによって、塗料に含まれる木炭粉末の電気的なバランスが調整されて木炭の効力が長期間維持されるようになり、この木炭の効力により調整室1内をマイナスイオンが豊富な環境に維持することができるようになる。
【0018】
前記接地電極7としては、例えば、金属製の棒等であっても良いが、特開2004−244837号公報に開示された有底筒体に形成された金属製の本体の内部に木炭と触媒とが収納された電極を用いることが好ましい。
【0019】
[実施例1]
この実施例1においては、調整室1の壁面1aの全体に木炭粉末を含有した塗料を塗布し、該壁面1aと地中に埋設した接地電極7を接続し、調整室1内の気圧を1.05気圧と、1.1気圧とに変化させた環境を用いた。
【0020】
[比較例1〜3]
この比較例1においては、調整室1の壁面1aの全体に木炭粉末を含有した塗料を塗布しただけの環境(調整室1内の気圧は1気圧)を用い、比較例2においては、調整室1の壁面1aの全体に木炭粉末を含有した塗料を塗布し、該壁面1aと地中に埋設した接地電極7を接続した環境(調整室1内の気圧は1気圧)を用い、比較例3においては、調整室1の壁面1aの全体に木炭粉末を含有した塗料を塗布し、調整室1内の気圧を1.05気圧〜1.3気圧まで変化させた環境を用いた。
【0021】
[試験例1]
この試験例1においては、調整室1として6帖洋室の環境を用い、木炭粉末を含有した塗料として前記ヘルスコート(登録商標:ア−テック工房(株)社製)を用い、接地電極7として特開2004−244837号公報に開示された接地電極装置を用いた。また、試験例1においては、前記前記実施例1と、前記比較例1〜3とを試験の対象とした。
【0022】
この調整室1内に被験者それぞれ10名入室し、その入室時間を3時間とした。その入室前後の乳酸値と血糖値とをそれぞれ測定し、その変化の平均値を調査した。この試験例1における前記実施例1と、前記比較例1〜3との結果を表1に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
この表1より理解できるように、本発明に係る実施例1は、木炭の効力により室内の環境をマイナスイオンが豊富な環境にしつつ、室内の気圧の高圧に変化させたことで、比較例1〜3と比較して、試験の前後(入室の前後)において特に被験者の乳酸値を低下させることができることが理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る室内環境改善方法を提供するための調整室を略示的に示した断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 調整室
1a 調整室の室内壁面
2 気圧調整装置
3 配管
4 空気清浄装置
5 通気口
6 導体
7 接地電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内壁面に木炭粉末を含有した塗料を塗布、または木炭粉末を含有した塗料を塗布した成形体を用い、地中に埋設した接地電極を前記壁面または成形体に接続して室内の環境を改善する方法であって、
前記室内を密閉状態にし、
該室内の気圧が高圧の環境にすること
を特徴とする室内環境改善方法。
【請求項2】
前記高圧の環境は、
室内の気圧が略1.05〜1.1気圧の範囲であること
を特徴とする請求項1に記載の室内環境改善方法。
【請求項3】
前記木炭粉末を含有した塗料は、
ナイロン6と、ナイロン66と、ナイロン12と、ナイロン610とからなる高融点型ナイロン樹脂、ナイロン6と、ナイロン66と、ナイロン12とからなる低融点型ナイロン樹脂またはナイロン6と、ナイロン66と、ナイロン12とからなる高融点型ナイロン樹脂と、これらのナイロン樹脂の溶剤と、木炭粉末とを含有した塗料組成物であること
を特徴とする請求項1に記載の室内環境改善方法。
【請求項4】
前記接地電極は、
有底筒体に形成された金属製の本体の内部に木炭と触媒とが収納された電極であること
を特徴とする請求項4に記載の室内環境改善方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−75409(P2008−75409A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258535(P2006−258535)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(503474065)ヘルスコート・クリアウェイ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】