説明

家庭用ゲーム機の入力デバイスを使った効率的な日本語入力システム

【課題】
家庭用ゲーム機には、従来から言語入力手段が提供されていた。その多くは、画面に文字を一覧表示して、十字キーなどの方向を示すキーで文字を選び、特定のボタンを押下して確定して、文字を一つずつ入力する方式であった。このような画面上で文字を選択する方式では、ゲーム機は思考の補助をするコンピューターとなりえない。人間が文章を構築するときに想起するのは、ことばの「音」であり、文字の形状や色調では無いからである。
【解決手段】
家庭用ゲーム機のハードウェアの形状と計算能力をそのまま活かしながら、思考に集中しながら効率的に文字列を入力することが可能になり、家庭用ゲーム機がパーソナルコンピューターが果たしている役割の代替手段として機能することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
家庭用ゲーム機の日本語入力システムに関する。家庭用ゲーム機には、従来から言語入力手段が提供されていた。その多くは、画面に文字を一覧表示して、十字キーなどの方向を示すキーで文字を選び、特定のボタンを押下して確定して、文字を一つずつ入力する方式であった。このような画面上で文字を選択する方式では、ゲーム機は思考の補助をするコンピューターとなりえない。人間が文章を構築するときに想起するのは、ことばの「音」であり、文字の形状や色調では無いからである。
【背景技術】
【0002】
広範に普及しているパーソナル・コンピューターの入力デバイスは、依然としてキーボードとマウスである。
キーボードの形状の起源はタイプライターであり、パーソナルコンピューターでも同じキー配列が使われていて、アルファベットの中から出現頻度の高い文字が打ちやすいようにキーが並んでいる。
日本人は英字キーボードを用いて難なくローマ字入力を行いて文章を作成する。このことは、人間が脳内で文章を構築するときに脳内では言葉の音の記憶を想起していることを裏付けている。
キーボード上のjのキーの上に右手の人差し指を置き、hのキーの上に左手の人差し指を置き、その位置をホームポジションとし、左右五本の指先をほぼ満遍なく駆使する。一本の指につき、約15mm〜20mm程度の移動動作が行われる。
キーボード入力には慣れが必要であり、若干の修練を必要とするが、慣れてくると、脳が意識するよりも先に指がキーを押すようになる。脳で文章を構成する思考を行い、音を想起するのと同時に、もしくはそれよりも先に指先が反応してキーボードのキーを押下し、文字入力を行う。
実験によると、人が脳で意図を意識するよりも先に、腕などの動作を司る神経細胞の方が反応していることが指摘されている。脳の中の「動かそう」と意図する働きを担う部分と、筋肉を動かそうと指令する運動神経が、どんなタイミングで活動するかを計測してみると、筋肉を動かすための運動神経の指令は、心が「動かそう」と意図する脳活動よりも先に反応を示している。(カリフォルニア大学のリベット博士は実験によってそれを示しているし、国内でも機械工学の前野隆司教授が、その著作の中でその実験事例紹介している。)
コンピューターの処理能力は年々向上し、記憶を補助する機能という側面のみならず、人間の思考を補助する機能という側面の向上が期待される。
一般的に人間は思考に集中すればする程、その他の身体的活動が疎かになる。思考をしながら入力デバイスを使うとき、指先や手などの人間の身体的機能の駆動に要するエネルギー消費をより少なく出来ることが望ましい。また、脳内で音を想起するのとほぼ同時に入力デイバスに対して入力指令を与えたい。
人間が辞書を脇に置き、紙に鉛筆を用いて手書きによる文章作成は、キーボードを用いた文章作成よりも消費カロリーが高い。
昨今、ペンタブレットやタッチペンなどの手書き入力システムが開発されているが、これらは概して身体的消費カロリーが高いと言える。人間は手書き入力の教育を幼児期及び児童期に行っているので、それらの入力システムのコンセプトは受け入れられるものの、現実的に手書き入力とペンタブレット入力には差異があり、新規に慣れなくてはならず、十分には普及していない。
以上の考察から、今後、コンピューターの入力デバイスは肉体的消費カロリーを軽減する方向に進化し、思考を補助する機器として進化するべきと考える。すなわち、コンピューターの入力デバイスは、肉体的消費カロリーを軽減する方向で進化すると捉える。
パーソナルコンピューターが高性能化し、広範に普及するのに並行して、家庭用ゲーム機も広範に普及し、処理能力が向上してきた。ゲーム機は基本的には家庭用コンピューターであり、パーソナルコンピューターとしても機能する性能を持ち、凌駕している点さえある。
家庭用ゲーム機の入力デバイスは特殊な形状をしている。家庭用ゲーム機の入力デバイスは人間の手で持ちやすいように設計されている。しかしゲーム機本体のシステム・ソフトウェアは言語入力を考慮していない。使用者は文字入力を行う機会は殆ど無く、ゲームの進行画面に併せて十字キーを操作したりボタンを連打するのみであった。
従来から、家庭用ゲーム機には、言語入力手段が提供されていた。その多くは、画面に文字を一覧表示して、十字キーなどの方向を示すキーで文字を選び、特定のボタンを押下して確定して、文字を一つずつ入力する方式であった。
画面上で文字を選択する方式では、思考の補助をする入力デバイスとなりえない。人間が文章を構築するときに想起するのは、ことばの「音」であり、文字の形状や色調では無いからである。
日本語の文章では、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベットを混在する。文字の一覧を画面に表示することは難しい。
文字を選択するカーソルが目的位置に移動するまで、カーソルの移動を眼で認知しながら、一方で指はコントローラのボタンを押し続ける。カーソルの移動速度と移動位置は意識せざるをえず、文章の構築と言葉の音の想起に影響し、「文字を入力しながら思考する」、「思考しながら文字を入力する」、という入力デバイスという程の利便性に至らない。
人間は本来、猿やイルカと同様に音を使ってコミュニケーションをする動物である。人間は、書き言葉と話言葉のうち、話言葉を先に習得する。幼児は一歳を過ぎる頃から、「マンマ」、「ママ」、「パパ」といった一語文を習得し、発声するようになる。それから4、5歳といった幼児期の一定の年齢に達すると、言語は思考の道具として機能し始める。
言語を思考の道具に使うとき、文字の形状や色彩の記憶を想起して思考するよりも、ことばの音を想起して思考するのが一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の考察から、「コンピューターの入力デバイスは、肉体的消費カロリーを軽減する方向で進化する。」という仮定を前提とすることができる。
既存の家庭用ゲーム機の入力デバイスを活用し、出現頻度の高い音であればある程、身体的駆動が少なくなるように配慮した言語入力システムを実現し、言語入力システムを操作しながら、脳内で音を想起して思考をシームレスに続けることが出来るようにする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
家庭用ゲーム機のコントローラーを用いて、子音を表すボタンと母音を表すボタンを同時に押下することによって、手と腕の位置を手の指の位置を殆ど動かさずに日本語を入力することができる日本語入力システムを提供する。
ゲーム機コントローラのアナログスティックはマウスの役割を果すことができる。通常のパーソナルコンピューターでは、キーボードをマウスを同時に使うことは出来ないが、当該入力システムでは、ゲーム機コントローラを手放すことなく、文字入力とポインタ操作を同時に行うことができる。すなわち、より少ない身体的消費カロリーで従来のマウス入力とキーボード入力相当の機能を実現出来る。
【発明の効果】
【0005】
当該文字列入力システムを用いることによって、家庭用ゲーム機のハードウェアの形状と計算能力をそのまま活かしながら、思考に集中しながら文字列を入力することが可能になり、家庭用ゲーム機がパーソナルコンピューターが果たしている役割の代替手段として機能することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は家庭用ゲーム機の典型的な入力デバイスの図である。
両手の人差し指と中指で、R1ボタン、R2ボタン、R3ボタン、R4ボタンの上に指を置いたままに出来る。この四つのボタンのONとOFFで五十音の発音の子音を表現できる。五十音の子音は「Aあ」「Kか」「Sさ」「Tた」「Nな」「Hは」「Mま」「Yや」「Rら」「Wわ」「Gが」「Dだ」「Bば」だが、この順番が出現頻度順でもあり、出現頻度の高い子音程、押下しなければならないボタンが少なくなるようにする。

0:ボタンを押さない(OFF)
1:ボタンを押す(ON)

「Aあ」R1:0 R2:0 L1:0 L2:0
「Kか」R1:1 R2:0 L1:0 L2:0
「Sさ」R1:0 R2:1 L1:0 L2:0
「Tた」R1:0 R2:0 L1:1 L2:0
「Nな」R1:0 R2:0 L1:0 L2:1
「Hは」R1:1 R2:1 L1:0 L2:0
「Mま」R1:0 R2:1 L1:1 L2:0
「Yや」R1:0 R2:0 L1:1 L2:1
「Rら」R1:1 R2:0 L1:0 L2:1
「Wわ」R1:1 R2:1 L1:1 L2:0
「Gが」R1:0 R2:1 L1:1 L2:1
「Dだ」R1:1 R2:0 L1:1 L2:1
「Bば」R1:1 R2:1 L1:0 L2:1

十字キーで八方向の指示ができるので、母音の指示、変換の指示、カーソル移動の指示、することができる。十字キーで「Aあ」「Iい」「Uう」「Eえ」「Oお」の母音の指示が出来、△ボタン、○ボタン、×ボタン、□ボタンを用いて、漢字かなカナ変換の指示、変換確定の指示、スペース(空白)入力の指示、句点入力の指示、を実現することができる。
また、ゲーム機コントローラのアナログスティックはマウスの役割を果すことができる。通常のパーソナルコンピューターでは、キーボードをマウスを同時に使うことは出来ないが、当該入力システムでは、ゲーム機コントローラを手放すことなく、文字入力とポインタ操作を同時に行うことができる。すなわち、より少ない身体的消費カロリーで従来のマウス入力とキーボード入力相当の機能を実現出来る。
アルファベットと数字だけであれば、画面に一覧表示することも可能であり、カーソルで文字を選択して確定する従来通りの入力方式を併用しても良い。
例えばWEBサイトのURLを入力したいときは、エイチティーティーピーと音で想起して変換をするよりも、従来の画面上のカーソル移動による文字選択方式の方が効率的になることがある。
URLや電話番号や電子メールアドレスなど、アルファベットや数字のみを用いた文字列は、日本人にとって母国語ではないので、文字列を母国語の音では記憶せずに、人それぞれの覚え方をすることがある。従って、音で想起して、子音と母音を指定して変換する入力方式が非効率になることがある。
家庭用ゲーム機は、コンピューターである。しかし、ゲーム機は、本来、娯楽用途の製品であり、効率的な言語入力手段や思考ツールとしての機能的側面は無視されてきた。しかし、昨今の家庭用ゲーム機はパーソナル・コンピューターをも凌駕する性能を持つことがあり、これらの機能的側面への期待が高まることが予想される。
当該文字列入力システムを用いることによって、家庭用ゲーム機のハードウェアの形状と計算能力をそのまま活かしながら、思考に集中しながら文字列を入力することが可能になり、家庭用ゲーム機がパーソナルコンピューターが果たしている役割の代替手段として機能することが可能になる。
【実施例】
【0007】
これらの操作をを短期間に習熟するための機能を提供する。簡単な言葉遊びクイズなどの対話式のコンテンツから、「音」を出力するのと同時に、「音を表す文字」を表示し、さらに「該当する音を入力するために、コントローラのどのボタンを押すべきかを示す図」を画面に表示する。
該当する音を入力するために、コントローラのどのボタンを押すべきかを身体的に学習することによって、短期間での習得が可能になる。言語によって思考をするときに、脳内では音を想起しているので指先の動作を身体的に学習するだけで効率的な入力手段を習得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】家庭用ゲーム機の入力デバイスの平面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用ゲーム機のコントローラーを用いた、日本語入力システムであって、子音を表すボタンと母音を表すボタンを同時に押下することによって、手と腕の位置と手の指の位置を殆ど動かさずに日本語を入力することができる日本語入力システム。
【請求項2】
家庭用ゲーム機のコントローラーを用いた、子音を表すボタンと母音を表すボタンを同時に押下することによって、手と腕の位置と手の指の位置を殆ど動かさずに日本語を入力することができる日本語入力システムであって、十字キーあるいはアナログスティックを用いてマウスポインタの移動とクリックとダブルクリックを実現することができる日本語入力システム。
【請求項3】
家庭用ゲーム機のコントローラーを用いた、日本語入力システムであって、操作方法をを短期間に習熟するための機能として、簡単な言葉遊びクイズなどの対話式のコンテンツから、「音」を出力するのと同時に、「音を表す文字」を表示し、さらに「該当する音を入力するために、コントローラのどのボタンを押すべきかを示す図」を画面に表示する機能を有する日本語入力システム。

【図1】
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【公開番号】特開2008−161647(P2008−161647A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−589(P2007−589)
【出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【出願人】(306045741)
【Fターム(参考)】