説明

家電機器のユーザを自動的に特定するための処理および装置

家電機器および家電機器の制御方法について開示する。家電機器の制御モジュールには、ユーザ特定部が組み込まれてもよい。家電機器のユーザは、家電機器の通常使用時のユーザから生じるメトリックにより一意に特定される。ユーザの特性に基づくコンテンツを、機器に、あるいは、機器から提供可能である。ユーザは、メトリックを提供するためのバイオメトリック・センサにより一意に特定されてもよい。機器に、あるいは、機器から提供されたコンテンツ、あるいは、機器の他のパフォーマンス特性は、ユーザの特性に基づいて、ユーザごとに調整されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電機器に関連し、より詳しくは、ユーザ特有のコンテンツを提供するために、機器のユーザを一意に特定するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家電機器は、ますます、ウェブ・ベース・アプリケーションとともに使用されるようになりつつある。こういった機器の例として、パーソナル・コンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯電話、テレビ、テレビゲーム・モジュールを挙げることができる。こういった機器は至る所に存在するといっても過言ではないため、こういった機器を介した商品やサービスの広告について潜在する市場は膨大である。しかし、機器使用者についての情報の欠如により、ウェブベース・広告の大部分はターゲットを絞り込めていない。機器のユーザに特有の関心を狙えれば、広告対象をより明確化できる。機器ユーザに関する情報は、通常、機器のユーザに対する何らかの問いかけにより取得される。ユーザは、通常、機器登録時やオンライン・サービス契約時に、情報の提供を求められる。また、機器の使用を監視することにより情報を取得することもできる。たとえば、オンライン・ゲームのプロバイダは、既知のユーザに対して登録済みの機器により、どのゲームがアクセスされているかを監視できる。しかし、テレビゲーム・コンソールのような家電機器の多くは、同一家族のメンバーのように複数のユーザに使用されることが多い。こういったユーザ達は、機器を登録したユーザとは異なる可能性がある。残念ながら、現存の技術では、コンテンツ・プロバイダは機器を追跡できても、機器のユーザそれぞれを識別できていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術として、パーソナル・コンピュータなどの機器のセキュリティ・システムでは、パスワード入力の代替手段として、指紋センサなどのバイオメトリック・センサが使われてきた。しかしながら、こういったセキュリティ・システムは、機器使用中におけるユーザの特定に基づくものではない。代わりに、ユーザが機器を起動するときだけ、ユーザを認証する。いったん機器を起動すれば、誰でもその機器を使用できる。このため、このような従来技術におけるセキュリティ・システムには、簡単に抜け道ができてしまう。
【0004】
それゆえ、上記課題を解決するための方法および装置が、当該技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明のある態様は、家電機器および家電機器を制御するための方法に関する。本発明のある態様においては、家電機器のユーザは、通常の機器使用中においてユーザに基づくメトリック(測定基準)により、一意に特定される。ユーザに基づくコンテンツを機器に、あるいは、機器から提供できる。ある態様として、ユーザは、メトリックを提供するバイオメトリック・センサにより一意に特定されてもよい。好適なバイオメトリック・センサの例としては、指紋センサ、掌センサ(hand sensor)、顔認証システム、虹彩スキャナ、網膜スキャナ、声紋アナライザやDNAアナライザなどを挙げることができる。バイオメトリック・センサは、機器の通常使用中にユーザの生体情報を測定する。本発明のある態様においては、ユーザ特定部が機器の制御モジュールに組み込まれる。
【0006】
本発明の示すところは、添付の図面とともに以下の説明を参照することによって、直ちに理解可能であろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
説明のため、以下の記述は多くの具体的な詳細を含むが、当業者であれば、次に述べる詳細に対する多くのバリエーションや変更もまた本発明の範囲内にあることは理解されるところであろう。したがって、以下に示す本発明の実施例は、請求対象となる発明の一般性を損なうものでも限定を強制するものでもない。
【0008】
本実施例において、家電機器の内部には(たとえば、ハードウェア、および/または、ソフトウェアにより実装される)制御モジュールが組み込まれているので、機器は機器の各ユーザを一意に特定できる。このため、ユーザに基づくコンテンツをユーザに提示したり、ユーザから取得できる。
【0009】
制御モジュールは、リモート・ユニットであってもよいし、機器自体に組み込まれてもよい。制御モジュールにおいては、通常の機器使用中にユーザを特定するメトリックを取得できるように、センサが設置されている。認証要求への応答としてユーザにパスワードや生体情報を入力させる代わりに、このセンサは、機器の通常使用中にメトリックを取得する。制御モジュールにバイオメトリック・センサを組み込むことにより、この機器は、実際の機器使用者を一意に特定できる。
【0010】
以下において「機器を通常通り使用する」や「機器の通常使用」といった用語は、ユーザ特定という明確な目的のために別のステップ、機能、操作を実行する必要なく、本来の目的のために機器を使用すること、を意味する。制約的な意味でない例として、この機器がカメラの場合、カメラの通常使用には、カメラで写真を撮ること、が含まれる。テレビ・ゲームの場合、通常使用には、ゲームの実行、ゲームの一時停止やセーブ、ゲーム・オプションの選択、などが含まれる。コンピュータ・マウスの場合、通常使用には、特定プログラムの使用に付随する「クリック」や「ドラッグ」といった操作のために、マウスボタンを押下すること、が含まれる。このプログラムがウェブブラウザの場合、通常使用には、インターネットを渡り歩くためにウェブのリンクをクリックすること、が含まれる。「ユーザ特定という明確な目的のためのステップ、機能、操作」の例としては、ユーザ特定要求に対する応答として、パスワードや生体情報を入力すること、を挙げることができる。
【0011】
機器に、あるいは、機器から提供されるコンテンツや、機器の他のパフォーマンス特性を、ユーザの特性に基づき、ユーザごとに適応させてもよい。以下において「ユーザごとに適応させる」という表現は、一般的には、機器の動作が、なんらかの点において、あるユーザと別のユーザでは異なること、を意味する。制約的な意味でない例として、この機器がデジタルカメラである場合、一意に特定されたあるユーザが撮影した写真を自動的に、そのユーザに対応するフォルダに保存することにより、ユーザと動作を適応させてもよい。
【0012】
本発明の実施の形態は、図1および図2を同時参照することにより理解されるであろう。図1は本実施例において、家電機器の基本動作過程100のフローチャートを示す。図2に示すように、家電機器200は、プロセッサ201とメモリ202を含んでもよい。プロセッサは、家電機器において広く用いられているタイプのマイクロ・プロセッサやマイクロ・コントローラのチップであってもよい。たとえば、アリゾナのチャンドラー(Chandler)・マイクロチップ・テクノロジー・インクのPICマイクロ・コントローラであってもよい。メモリ202は、集積回路形態であってもよい。たとえば、RAM、DRAM、ROMなどである。コンピュータ・プログラム203は、プロセッサにて読み取り可能な命令であって、プロセッサ201上において実行可能な形式にて、メモリ202に保存されてもよい。プログラム203の命令は、図1の過程100や下記に示す各ステップを含んでもよい。機器200は、更に、制御モジュール206を含んでもよい。制御モジュールは、機械的に機器200に搭載されてもよいし、物理的に機器200に組み込まれてもよい。あるいは、制御モジュール206は、ケーブル接続やワイアレス接続などの通信接続により、機器の他部分と通信するリモート・ユニットであってもよい。
【0013】
機器200は、また、入出力(I/O)部211、電源(P/S)212、クロック(CLK)213、キャッシュ214などの既知のサポート機能210を含んでもよい。機器200は、プログラム、および/または、データを保存するために、ディスク・ドライブ、CD−ROMドライブ、テープ・ドライブなどの大容量ストレージ215を追加的に含んでもよい。機器200は、機器200とユーザが関わるための表示部216、ユーザインタフェース部218を追加的に含んでもよい。表示部216は、カソード・レイ・チューブ(CRT)やフラット・パネル・スクリーンの形態にて、文字、数字、記号、画像等を表示させてもよい。ユーザ・インタフェース218は、キーボード、マウス、ジョイスティック、ライトペンその他のデバイスを含んでもよい。図2に示す例のように、ユーザ・インタフェース218を制御モジュール206に組み込んでもよい。機器200は、インターネットなどのネットワークを介して、他の機器と通信するためのネットワーク・インタフェース220を含んでもよい。これらの要素は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、あるいは、これらの2以上の組み合わせとして実装されてもよい。
【0014】
図1におけるステップ102において、ユーザは機器の通常使用中に一意に特定される。ユーザを特定しやすくするため、機器200は、ユーザIDセンサ208を含んでもよい。ユーザIDセンサは、制御モジュール206に組み込まれてもよい。一例として、ユーザIDセンサ208は、バイオメトリック・センサであってもよい。バイオメトリック・センサは、ユーザによる機器の通常使用中に、ユーザの生体情報を測定する。バイオメトリック・センサの例として、指紋センサ、掌センサ、顔認証システム、虹彩スキャナ、網膜スキャナ、声紋アナライザ、DNAアナライザ等を挙げることができる。このようなセンサを機器200や制御モジュール206に組み込む方法はさまざまである。
【0015】
たとえば、図3Aは、機器がテレビゲーム・ユニット300で、制御モジュールがジョイスティック・コントローラ302であるときの実装例を示している。ゲーム・ユニット300は、一般的な方法にてテレビ・モニタ306と接続されるゲーム・モジュール304を含んでもよい。ジョイスティック・コントローラは、ジョイスティック308と制御ボタン309、310を含む。コントロール・ボタン310(以下においては、「ジョイスティック・ボタン」とよぶ)の一つは、ジョイスティック308上において、コントローラ使用中にユーザの親指が位置するような場所に設置されてもよい。ボタン309、310においては、ジョイスティック・モジュール302、ゲーム・ユニット300の通常機能が維持されている。ただし、これらの機能に加えて、指紋センサ311をジョイステック・ボタン310に組み込んでもよい。一度に一人のユーザしかジョイスティック308を使用せず、ユーザはゲーム・ユニット300の通常使用の一環としてジョイスティックを使用するので、こういったセンサ構成によれば、ゲーム・ユニット300の通常使用中にユーザを一意に特定できる。適切な指紋センサが、商業的に使用可能となっている。たとえば、カリフォルニアのバークレーにあるUPEK・インクが出している、シリコン・指紋センサのタッチ・チップ(登録商標)およびタッチ・ストリップ(商標)を挙げることができる。別例として、所望のユーザを特定するために、指紋センサを別のボタン309に組み込んでもよい。指紋センサの代わりに、ユーザの生体液(たとえば、血液)の少量サンプルを小さな針で引っ掻き出して、ユーザ特有のDNAシグネチャをそのサンプルによって特定するDNAセンサを使ってもよい。
【0016】
別例として、図3Bに示すように、1以上の指紋センサ312をジョイスティック・コントローラ302の背面に設置してもよい。この場合、ゲーム操作中にユーザの指が位置しそうな場所にセンサ312を設置することが望ましい。ジョイスティック・コントローラの人間工学に基づくデザインに合わせてセンサ312の設置場所を選ぶことにより、ユーザは、センサによる指紋計測位置に指を置きやすくなる。たとえば、ジョイスティック・コントローラ302は、ユーザの指に適合する形状のくぼみ314を含んでもよい。そして、これらのくぼみのうちの一つの表面にセンサを配置してもよい。ジョイスティック・コントローラ302は、ゲーム中にコントローラ・ユニットの動きを測定する慣性センサ316を備えてもよい。たとえば、センサ316は、加速度計であってもよい。加速度計の出力と時間から、ジョイスティックの速度を特定できる。そして、速度から変位を特定できる。加速度、および/または、速度、および/または、変位に関する情報により、ユーザのプレー・スタイルに関する情報、たとえば、ユーザはゲーム中に座っているのか、それとも物理的に動いているのか、といった情報、を引き出すことができる。
【0017】
図3Cは、コードレス電話のハンドセットや携帯電話などの電話ユニット320に組み込まれるバイオメトリック・センサを例示する。電話機において共通する1以上の機能ボタン322、324や数字キー326に指紋センサを組み込んでもよい。電話ユニット320は、通常、マイク328を含む。電話ユニット320は、また、人間工学に基づいてデザインされた指くぼみ327を含んでもよく、ここに指紋センサを設置できる。あるいは、マイクに話しかけるユーザの声紋を分析するためのソフトウェアに、音声認識システムを導入してもよい。このようなソフトウェアは、電話ユニット上で実行されてもよいし、あるいは、リモート・サーバ上にて実行されてもよい。電話がデジタルカメラ329を含む場合、このカメラは、顔や虹彩、網膜を認識するために電話ユニットやリモート・サーバ上で実行される適切に構成されたソフトウェアに対して、ユーザの顔や虹彩、網膜の画像を提供してもよい。
【0018】
本発明の別例として、図3Dに示すように、ノートパソコン330のキーボード332のキーに指紋センサを組み込んでもよい。指紋センサは、また、コンピュータ330のマウス・パッド334に組み込まれてもよい。更に、WEBカメラ336により、上記したような顔や虹彩、網膜認識を実装してもよい。図3Eに示すように、コンピュータ・マウス340の1以上のキーに指紋センサ342を組み込んでもよい。コンピュータのキーボードやマウスにおける本発明の実装例と先行技術におけるセキュリティ・システムの重要な違いは、本実施例においてはセンサ332がコンピュータの通常使用中にユーザを特定することである。その反対に、先行技術におけるセキュリティ・システムは、通常、ユーザがログインしたときだけ作動する。コンピュータは、ログイン後に別ユーザがキーボードを使ってもそれを認識できない。本実施例においては、センサ332は、通常使用中にユーザを特定できるように設置されている。
【0019】
更に、図3Fに示すように、テレビ、ビデオ・カセット・レコーダ(VCR)、DVDプレーヤー、その他同様の家電機器と共に使用されるリモート・コントロール・ユニット350の機能ボタン352、354や数字キー356に指紋センサを組み込んでもよい。機能ボタンの例としては、チャンネルや局を切り換えるためのボタンや電源ボタン、入力ボタンなどがある。図3Gに示すように、リモート・コントロール・ユニット350の背面に人間工学に基づいて指紋センサ358を組み込んでもよい。センサ358は、ユーザがリモート・コントロール・ユニット358を握って操作しているときにユーザの指のかたちにフィットするように作られたくぼみ359の中に設置されている。テレビのリモコンにこのようなセンサを設置すれば、特に、個々の視聴者の視聴傾向を追跡する上で有効である。
【0020】
ユーザIDセンサ206として使われるバイオメトリック・センサは、ユーザの生体情報と関連づけられるデジタルIDを生成してもよい。たとえば、指紋読取器は、通常、指紋画像を指紋画像内のパターンに基づくハッシュ値に変換する。理想的には、このようなセンサは、指紋ごとに一意のハッシュ値を提供する。ただし、本実施例の目的を果たす上では、およそ80〜90%の認識精度があれば十分である。
【0021】
本発明のある態様においては、ユーザ・プロファイルをステップ104において生成してもよい。たとえば、機器は、通常行われているように、ユーザに質問を投げかけてもよい。あるいは、ユーザの行動を監視し、ユーザの行動パターンから得られる情報をプロファイルの一部としてもよい。プロファイルにより、特定ユーザに対する機器の動作を調整することもできる。たとえば、インターネットから音楽をダウンロードするデジタル・ミュージック・プレーヤの場合、ユーザ・プロファイルには、ユーザがダウンロードしたアーティストや音楽の好みに関する情報が含まれてもよい。ビデオ・ゲーム・コンソールの場合、ユーザ・プロファイルには、ユーザがダウンロードしたゲームのタイプ、たとえば、格闘ゲームではなくてレーシング・ゲーム、といった情報が含まれてもよい。ユーザ・プロファイルは、ステップ106において、ユーザIDと関連づけられてもよい。たとえば、ユーザ・プロファイルは、ユーザIDセンサ206が生成する一意のハッシュ値を含んでもよい。特定のユーザに広告などのコンテンツを提供する上では、ユーザの名前や住所、電話番号その他の個人情報は不要である。特定ユーザと、そのユーザのオンライン上の行動パターンを関連づければ十分である。
【0022】
記録保持目的のため、家電機器の生産者(メーカ)登録が一般的に行われている。このような登録ステップ105は、ユーザが機器200を使い始める前、途中、後、のいつ実行されてもよい。こういった登録に際しては、通常、機器IDと機器所有者が対応づけられる。本実施例においては、ステップ107において、機器200についての1以上のユーザについてのIDを、機器IDと対応づけてもよい。
【0023】
いったんユーザIDとユーザ・プロファイルを対応づければ、機器200の使用中にユーザを特定できる。ユーザ・プロファイルから得られる情報は、ユーザに提供可能なコンテンツを選択するために使用できる。こういったコンテンツは、遠隔地から、たとえば、ネットワークを介して提供することもできるし、ローカルに、たとえば、コンパクト・ディスクや大容量記録デバイス215における他メディアにより提供することもできる。ローカルに提供されるコンテンツやネットワークを介して提供されるコンテンツの場合、特定ユーザによる特定コンテンツへのアクセス禁止を判定する上でユーザIDを使うことができる。たとえば、ユーザが子供である場合、親は子供が特定コンテンツへのアクセスできないようにプログラム203を設定してもよい。たとえば、テレビ番組、ウェブサイト、ダウンロードされたビデオや音楽、Eメール、電子文書、フォルダ、などである。
【0024】
ユーザIDに基づいて、ローカルに生成されたコンテンツを提供する例として、図4は、どのユーザにより生成されたコンテンツであるかに応じて、ユーザが生成したコンテンツを分類可能な家電機器400の構成例を示す。機器400において、マイクロ・プロセッサなどのコントローラ402とIDセンサ401が接続されている。コントローラ402は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、あるいは、これらの2以上の組み合わせとして実装されるコンテンツ生成機404およびメモリ406とも接続される。ユーザAが機器を使ってコンテンツを生成したとき、IDセンサ401は、このユーザAに対応づけられている一意のユーザIDをコントローラに提供する。IDセンサ401は、他のユーザB、Cが機器400を使ってコンテンツを生成するときには、ユーザB、Cについての別々のユーザIDをコントローラ402に提供する。一意のユーザIDとユーザが生成したコンテンツを対応づけることにより、コントローラ402は、別々のユーザA、B、Cのために、別々のフォルダ408A、408B、408Cにコンテンツを振り分けることができる。後でユーザAが彼のコンテンツにアクセスしたいときには、そのコンテンツはユーザBやユーザCが生成したコンテンツとは分離されているので、簡単に目的のコンテンツを見つけ出すことができる。
【0025】
一般性を失わせない意味の例として、図5に示すように、機器400はデジタルカメラ500であってもよい。この例において、カメラ500の各ユーザは、デジタル写真を撮ることによってコンテンツを生成する。デジタルカメラにおいて写真撮影に関係する一般部品、たとえば、レンズ、フラッシュ、電子画像デバイス、画像ソフトウェアなどが、コンテンツ生成機能を提供する。デジタルカメラ500において、シャッターボタン504には指紋センサ502が組み込まれている。写真を撮るとき、通常、ユーザは指でシャッターボタン504を押すので、カメラ500は、ユーザごとの写真を別々のフォルダに分けることができる。このように、カメラの動作を、カメラのユーザに応じて変えることができる。
【0026】
本発明のある態様において、コンテンツは、遠隔地にあるソースから機器200に提供されてもよい。たとえば、図6に示すように、機器200は、ネットワーク・インタフェース220を介してネットワーク600と接続されてもよい。1以上のコンテンツ・サーバ602もネットワーク220に接続されてもよい。機器200がネットワーク600にアクセスするときには、ネットワーク600を介して、コンテンツ・サーバ602に自己の存在を信号により伝える。ユーザIDセンサ208が生成するユーザID604は、ネットワーク・インタフェース605を介して、ネットワーク上を伝送され、コンテンツ・サーバ602に到達可能となっている。また、コンテンツ・サーバ602は、ユーザの好みに関する情報や機器200の登録情報を受信してもよい。こういった情報は、他のユーザのプロファイルと共に、コンテンツ・サーバ602におけるユーザ・プロファイル606内に保存可能である。他のユーザとは、同一機器のユーザであってもよいし、別の機器のユーザであってもよい。別態様として、ユーザ・プロファイル606をプロキシ・サーバ603に保存してもよいし、機器200のローカル・メモリに保存してもよい。ユーザが機器200を使ってネットワーク600と接続するとき、コンテンツ・サーバ602は、コンテンツサーバ602のコンテンツ生成機608において、ユーザID604を使用する。コンテンツ生成機608は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、あるいは、これらの2以上の組み合わせとして実装されてもよい。ユーザ・プロファイル606から得られる情報を使用することにより、コンテンツ生成機608は、ユーザID604と対応づけられる特定ユーザに適合したコンテンツ610を生成する。コンテンツ610は、ネットワーク・インタフェース605とネットワーク600を介して、機器200に提供可能となっている。
【0027】
ネットワークを介したユーザへのコンテンツ提供例として、ユーザによる機器200の使用パターンに基づく広告をユーザに提供してもよい。たとえば、音楽やビデオをダウンロードして再生する機器200の場合、コンテンツ生成機608はダウンロード対象となる音楽やビデオをユーザに提案するリコメンデーション・エンジン(推奨エンジン)を含んでもよい。オンライン・ゲームのための機器200でれば、コンテンツ生成機608は、ユーザにあわせてゲーム内広告を作成し、ゲームの邪魔にならないように出現するテクスチャの形式にてゲーム中に広告を挿入することもできる。テレビセットの場合であれば、一意にユーザIDを取得可能な他の機器のユーザによる使用内容から特定される音楽やビデオに対するユーザの好みや、ユーザの視聴傾向に基づいて、ライブ配信中にユーザに送信可能で配信内容に応じたコンテンツを含む泡状の文字を生成してもよい。機器200がインターネットをブラウジングするコンピュータであれば、コンテンツ生成機608は、ユーザによるウェブの閲覧習慣に基づいてバナー広告を選択し、それらをユーザが訪れるウェブサイトに表示させるリコメンデーション・エンジンを含んでもよい。
【0028】
本発明のある態様によれば、オンライン・アカウントが無断共有されるのを防ぐことができる。オンライン・コンテンツの通常使用中に生成される生体情報ID、たとえば、指紋IDによれば、コンテンツ・サーバ602は、オンライン・アカウントにアクセスしようとしているユーザが、そのアカウントに対応したユーザか否かを判定できる。
【0029】
オンライン・コンテンツの配布に関わる別の問題は、ダウンロードされたコンテンツの違法コピーや違法配布を防ぐことである。インターネットは、音楽、映画、文学、コンピュータソフト、コンピュータゲームなどの電子生成されたコンテンツを大量に配布可能な環境を提供している。しかし、インターネットはまた、そのようなコンテンツの無断コピーや無断配布をするための環境も同様に提供している。現在、ユーザがコンテンツを購入したりダウンロードするとき、不可能ではないにせよ、コンテンツの無断コピーや無断配布を防ぐのはむずかしい。対策技術として、ユーザ・マシンへのダウンロードを「ロック」することにより、ダウンロードされたコンテンツがそのマシンだけでアクセス可能となるようにする方法がある。しかし、もし、ユーザがそのマシンを売り払ってしまうと、お金を払ってダウンロードしたコンテンツを移動できなくなってしまう。コンテンツと認証ユーザとを対応づければ、各ダウンロードは一意に識別されるので、認証ユーザ(たとえば、コンテンツを購入したユーザ)だけがそのコンテンツにアクセスできる。こういったやり方であれば、音楽やソフト、テレビゲームその他の著作物を盗むためのハッキングやコピーを防ぐことができる。
【0030】
ユーザへのコンテンツ提供に加えて、本発明のある態様は、ユーザからコンテンツを取得する上でも有用である。たとえば、図7に示す機器200は、電子的なテレビ視聴率監視ユニット706と共に使用されるテレビ704用リモコン702であり、この監視ユニットは遠隔地にある視聴率サービス・サーバ710と接続されてもよい。リモコン702に組み込まれているバイオメトリック・センサ708により、視聴率監視ユニット706は、個々の視聴者のテレビ視聴の好みに関する情報をサーバ710に提供できる。同様のセンサ712をテレビセット704のコントロール・パネル上に設置してもよい。センサ712は、テレビセット704のユーザが通常時に操作する標準的なコントロールに組み込めばよい。このようなコントローラとしては、たとえば、ON・OFFボタン、音量コントロール、チャンネル・コントロールなどがある。このような情報は、監視ユニットが設置されている家庭における視聴傾向を示す情報であるため、視聴率サービスにとっていっそう有用な情報となりうる。バイオメトリック・センサにより、監視ユニット706、および/あるいは、サーバ710は、テレビ704の個々の視聴者に関する人口統計的な情報(demographic information)と彼らの視聴傾向とを関連づけることができる。こういった人口統計的な情報は、監視ユニットの初期設定中にアップロードされてもよい。
【0031】
以上は、本発明の最適な実施例の完全な記述であるが、さまざまな変更、変形、等価物への置き換えが可能である。それゆえ、本発明の範囲は、上記記述に関してではなく、請求項により定義されるべきであり、完全な等価物の範囲も含まれる。記述された特徴は、それが好ましいものであれ、そうでないものであれ、上記したさまざまな特徴と組み合わされてもよい。請求項においては、通常、特に断らない限りは、各要素は1またはそれ以上の数量を想定している。請求項の記載事項は、「〜手段」のような記載によって、明示される場合のほかは、いわゆるミーンズ・プラス・ファンクション特有の限定的意味で解してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施例における家電機器の操作を示すフローチャートである。
【図2】本実施例における家電機器のブロック図である。
【図3A−3G】本実施例における家電機器を例示する図である。
【図4】変形例における家電機器のブロック図である。
【図5】本実施例におけるカメラの3次元概要図である。
【図6】本実施例に関し、ネットワーク上における家電機器の操作過程を示すブロック図である。
【図7】本実施例において、視聴率システムの実装を示す概要図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を通常使用中のユーザから生じるメトリック(測定値)により、前記機器のユーザを一意に特定するステップと、
前記機器に、あるいは、前記機器からコンテンツを提供するステップと、を含み、
前記コンテンツは、前記ユーザに特有のコンテンツであることを特徴とする家電製品の制御方法。
【請求項2】
前記機器に、または、前記機器からコンテンツを提供するステップは、前記機器に、または、前記機器から提供されるコンテンツや前記機器の他のパフォーマンス特性を前記ユーザの特性に基づいて調整するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザを一意に特定するステップにおいては、前記メトリックを提供するバイオメトリック・センサを使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記バイオメトリック・センサは、指紋センサ、掌センサ(hand sensor)、顔認証システム、虹彩スキャナ、網膜スキャナ、声紋アナライザ、あるいは、DNAアナライザであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記バイオメトリック・センサの使用に際しては、前記ユーザによる前記機器の通常操作中に前記バイオメトリック・センサにより前記ユーザの生体情報を測定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザの生体情報に対応するデジタルIDを生成するステップ、を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ネットワークを介して前記機器と接続されるリモート・サーバに対して、前記デジタルIDを送信するステップ、を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザにコンテンツを提供するステップは、前記ユーザのプロファイルと前記デジタルIDを対応づけるステップ、を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザにコンテンツを提供するステップは、前記プロファイルに基づいて前記コンテンツを生成、または、選択するステップ、を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コンテンツを提供するステップは、前記ユーザのプロファイルに基づいて前記ユーザに提供すべき広告を決定するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コンテンツを提供するステップは、前記ユーザのプロファイルに基づいて、前記コンテンツ、または、前記機器に対するアクセスを許可または禁止するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記コンテンツを提供するステップは、前記ユーザにより提供される情報に基づいて、前記ユーザのプロファイルを生成するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記コンテンツを提供するステップは、リモート・サーバから前記機器に前記コンテンツを送信するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記コンテンツを提供するステップは、リモート・サーバに前記機器を登録するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記コンテンツを提供するステップは、テレビゲームに対して、ゲーム内広告を送信するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記テレビゲームは、前記機器上で実行されるオンラインのテレビゲームであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コンテンツを提供するステップは、前記コンテンツを生成した前記ユーザの特性に応じて、ユーザが生成したコンテンツを分類するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記ユーザに、または、前記ユーザからコンテンツを提供するステップは、ユーザの行動を監視して、ユーザ・プロファイルを生成するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記機器はテレビであって、前記ユーザに、または、前記ユーザからコンテンツを提供するステップは、前記メトリックにより一意に特定された視聴者のテレビ視聴傾向を監視するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記機器は、音楽やビデオをダウンロードおよび再生するために使用され、前記ユーザに、または、前記ユーザからコンテンツを提供するステップは、前記ユーザによりダウンロードの対象となる音楽、または、ビデオを推奨するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記機器はオンライン・ゲームのために使用され、前記ユーザに、または、前記ユーザからコンテンツを提供するステップは、前記メトリックにより特定されたユーザに合ったゲーム内広告を生成するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記機器はテレビであって、前記ユーザに、または、前記ユーザからコンテンツを提供するステップは、状況に応じたコンテンツ(context-sensitive content)を生成し、ライブ配信中に前記ユーザに送信するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記状況に応じたコンテンツは、ユーザの視聴選好に基づいて生成されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記状況に応じたコンテンツは、一意のユーザIDを取得可能な他の機器の前記ユーザによる使用内容から決定される、音楽またはビデオに対する前記ユーザの好みに基づいて生成されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記機器は、インターネットをブラウジングするコンピュータであって、前記ユーザに、または、前記ユーザからコンテンツを提供するステップは、前記ユーザによるウェブの閲覧習慣に基づいてバナー広告を選択し、それらを前記ユーザが訪れるウェブサイトに表示させるステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項26】
機器を使用中のユーザから生じるメトリック(測定値)により、前記機器のユーザを一意に特定する手段と
前記機器にコンテンツを提供する手段と、を備え、
前記コンテンツは、前記ユーザに特有のコンテンツであることを特徴とする家電機器。
【請求項27】
機器の制御方法を実装するための命令群であって、プロセッサにより読み取り可能な命令群を保持する記録媒体であって、
前記制御方法は、
前記機器を使用中のユーザから生じるメトリック(測定値)により、前記機器のユーザを一意に特定するステップと、
前記機器に、または、前記機器からコンテンツを提供するステップと、を含み、
前記コンテンツは、ユーザに特有のコンテンツであることを特徴とする、プロセッサにて読み取り可能な記録媒体。
【請求項28】
制御モジュールと、
前記制御モジュールに組み込まれるユーザ特定部と、を備え、
前記ユーザ特定部は、前記機器を使用中のユーザから生じるメトリック(測定値)により、前記機器のユーザを一意に特定可能に構成されることを特徴とする家電機器。
【請求項29】
前記機器に、または、前記機器から提供されるコンテンツや前記機器の他のパフォーマンス特性を、前記機器を使用するユーザの特性に基づいて調整可能に構成されることを特徴とする請求項28に記載の機器。
【請求項30】
前記特定部は、ユーザの生体情報の形式にて前記メトリックを提供可能に構成されたバイオメトリック・センサを含むことを特徴とする請求項28に記載の機器。
【請求項31】
前記ユーザによる前記機器の通常使用中において前記バイオメトリック・センサが前記生体情報を計測できるように、前記バイオメトリック・センサが前記制御モジュールに設置されることを特徴とする請求項30に記載の機器。
【請求項32】
前記バイオメトリック・センサは、指紋センサ、掌センサ(hand sensor)、顔認証システム、虹彩スキャナ、網膜スキャナ、声紋アナライザ、あるいは、DNAアナライザであることを特徴とする請求項30に記載の機器。
【請求項33】
前記バイオメトリック・センサは、指紋センサであることを特徴とする請求項28に記載の機器。
【請求項34】
前記指紋センサは、前記制御モジュールの制御ボタン上に設置されることを特徴とする請求項33に記載の機器。
【請求項35】
前記制御モジュールは、リモート・コントロールであることを特徴とする請求項34に記載の機器。
【請求項36】
前記制御モジュールは、ゲーム・コントローラであることを特徴とする請求項34に記載の機器。
【請求項37】
前記制御モジュールはコンピュータのマウスであって、前記制御ボタンはマウスのボタンであることを特徴とする請求項34に記載の機器。
【請求項38】
カメラであって、前記制御ボタンはシャッターボタンであることを特徴とする請求項34に記載の機器。
【請求項39】
前記指紋センサを、人間工学に基づいて、前記制御モジュール上における、前記機器の通常使用中にユーザの指が置かれやすい場所に設置することを特徴とする請求項33に記載の機器。
【請求項40】
前記制御モジュールはゲーム・コントローラであって、前記指紋センサは前記ゲーム・コントローラの背面に設置されることを特徴とする請求項39に記載の機器。
【請求項41】
前記コンテンツを生成したユーザの特性に応じて、ユーザにより生成されたコンテンツを分類するように構成されたことを特徴とする請求項28に記載の機器。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−510645(P2009−510645A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534562(P2008−534562)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/037337
【国際公開番号】WO2007/044214
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】