説明

容器のキャップの構造

【課題】容器のキャップのヒンジ部材は第1ヒンジ部材と第2ヒンジ部材とで上、下に配置した2重のヒンジ部材にすることにより、ヒンジ部材の破断現象を著しく軽減することができる技術を提供する。
【解決手段】容器のキャップ18は、容器のキャップ本体19と、開口部20と、蓋21と、第1ヒンジ部材22及び第2ヒンジ部材23とを備えている。ヒンジ部材Cは該第1ヒンジ部材22及び第2ヒンジ部材23で構成されている。そして該第1ヒンジ部材22は上側に、該第2ヒンジ部材23は下側に配置構成されている。容器のキャップ18は容器のキャップ本体19の外周の一部に容器本体や収納袋体等と連結、結合して使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ部材が第1ヒンジ部材と第2ヒンジ部材を上下に配置した2重のヒンジ部材にすることにより、ヒンジ部材の破断現象を著しく軽減すると共に該第2ヒンジ部材の肉厚・長さを調整することにより、バネ弾性を変更可能とすることができる容器のキャップの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の容器のキャップの構造の第1の例としては、図5に示す特開2001−151259号に開示した技術がある。これについて説明すれば、上蓋1と下蓋2とを回動自在なヒンジ3で一体に結合するとともに、上蓋1と下蓋2とを連結しかつ上蓋1の開閉時にスナップ作用を生じさせるストラップ4をヒンジ3に並設し、さらに上蓋1と下蓋2の少なくともいずれか一方には、ヒンジ3を挟んで形成した一対のスリット5、5を介してヒンジ3と一体的なベンド部としてのベンド板6を形成し、上蓋1の開閉時にベンド板6が変形してストラップ4がヒンジ3の回動軸心を通過するようにしてある。
【0003】
図5において、スナップヒンジキャップ7は、円筒状の合成樹脂製の上蓋1と下蓋2をヒンジ3で一体に結合し、その上蓋1と下蓋2間に、開閉時にスナップ作用を生じさせるためのストラップ4を設けた構成を有する。スナップヒンジキャップ7は、下蓋2の正面に設けた操作用窪み(図示せず)に親指をおき、上蓋1の正面に設けた操作用突起(図示せず)を上に跳ね上げることで、開状態へと開閉操作できるようになっている。そして、上蓋1を下蓋2に対して閉じることで、下蓋2の頂面の中央に膨出させて設けた注出口に対し、上蓋1の裏面中央に突設した栓体を挿入することで、注出口を液密に封止できる構造となっている。図中、3aはヒンジ3の軸心、4aはストラップ4を収納するための凹部である。
【0004】
さらに、従来この種の容器のキャップの構造の第2の例としては、図6に示す特開2001−180711号に開示した技術がある。これについて説明すれば、ヒンジ8は一対の帯状部分9,9と外側連結帯部分10、10とからなる。一対の帯状部分9、9は、蓋11が開の状態で、上面が略水平であって、キャップ本体12と蓋11との中間位置に折り曲げ溝13が夫々形成されている。ヒンジ8は専らこの折り曲げ溝13を中心に開閉動する。そして、外側連結帯部分10、10は、一対の帯状部分9、9の夫々の外側に一体となって接続されており、蓋11の開の状態で、全体として下方外方に向かって傾斜しており、その外縁10Aは側面視で水平又は僅かに上方に湾曲している。また、外側連結帯部分10、10の殆どの部分は、帯状部分9、9より肉薄に形成され、略梯形状を呈している。そして、外側連結帯部分10、10の、キャップ本体12及び蓋11の外壁に接する部位の裏面に沿って肉厚部分が一体に形成されている。
【0005】
また、従来この種の容器のキャップの構造に於ける第3の例としては、図7に示すような構造がある。これについて説明すれば、14はキャップ本体、15は開閉自在となる蓋、16は該キャップ本体14の開口部である。17は一方は該キャップ本体14に、他方は該蓋15に連結されたヒンジであってその中央に平板状第1ヒンジ17aを、該平板状第1ヒンジ17aの両側にそれぞれ平板状第2ヒンジ17b、17bを備えた構成である。
前記キャップ本体14は下方側に容器本体や収納袋等を止着するため袴14aを備えると共にその上方に筒状部14bを形成している。該筒状部14bの外表面にはストッパー14cを突起状に周設してあり、前記蓋15を開口部16に閉止した際、該蓋15の下縁がこのストッパー14cにより止着する。また、蓋15をキャップ本体14から開放する際、使用者の指が蓋15の下縁に接触するように該ストッパー14cの一部に切欠14dが形成されている。
【特許文献1】特開2001−151259号公開特許公報
【特許文献2】特開2001−180711号公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の第1の例に於いては、上蓋1と下蓋2とを回動自在で一体に結合するためのヒンジが単一のヒンジ3のみで構成され、ヒンジ3の両側に併設したストラップ4は上蓋1をスナップアクションを行なうための補助的部材であり、ヒンジの作用を担っていない。上蓋1と下蓋2とを自在に回動させるためにはストラップ4の長さに余裕を持たせる必要があるが、上蓋1をスナップアクションで開閉するためには、上蓋1の開閉動作中にストラップ4に引っ張り応力を生じさせる必要がある。すなわちストラップ4の長さに余裕を持たせることはできず、長期の使用に際し、ストラップ4が破断するという問題点があった。
【0007】
また、ヒンジ3とストラップ4を上蓋1および下蓋2の円周方向に配列しているため、該上蓋1及び下蓋2に於ける円周部位の広域に渉り、ヒンジ関連機能部品が備えられ、構造が複雑であり一旦ストラップ4が破断すると、ヒンジ3が上蓋1の閉止位置が不安定となって、上蓋1の開閉動作が困難になり閉止不能になるという問題点があった。さらに上蓋1のスナップアクションを有効に機能させるためにはヒンジ3の回動軸心部を薄くしておくことが必要であるが、そのためにヒンジ3の回動軸心部が破断しやすいという問題点もあった。
【0008】
次に上述した従来の第2の例に於いては、ヒンジ8を構成する一対の帯状部分9,9と外側連結帯部分10、10があり、外側連結帯部分10、10は、一対の帯状部分9、9の夫々の略同一面状であってその外側に一体となって配置されている。また、外側連結帯部分10、10の殆んどの部分は、帯状部分9、9より肉薄に形成されている。そのため蓋11の開閉動作により、肉薄に形成されている外側連結帯部分10、10が破断しやすく、外側連結帯部分10、10のどちらか一方に亀裂が入ると、亀裂の入った側に蓋11の開閉動作による引張り応力が集中するので破断へと進展する。
【0009】
従来の第2の例の容器のキャップの構造においては、外側連結帯部分10、10の一方が破断すると蓋11を開けたとき破断していない外側連結帯部分10側に蓋11が引っ張られ傾くので、蓋11を閉める際に、所定の位置に蓋11を収めることが困難となるという問題点があった。
【0010】
さらに、上述した従来の第3の例に於いては、キャップ本体14に対して蓋15の開閉動作を容易にするために、略同一面状位置に平板状第1ヒンジ17a及び平板状第2ヒンジ17b、17bを設けこの平板状第2ヒンジ17b、17bに折り曲げ溝部を設けている。ところが平板状第2ヒンジ17b、17bを平板状第1ヒンジ17aの両側に配置しているために、蓋15の開閉動作時に前記折り曲げ溝部に圧縮応力が集中し、該圧縮応力により該折り曲げ溝部にずれ力が生じて、該折り曲げ溝部が破断し、蓋15が遥動し蓋15をキャップ本体14の開口部16に閉止するということが困難であるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る容器のキャップの構造は、上述した従来技術の問題点を解決すべく発明したものであって、次の構成、手段から成立する。
【0012】
請求項1記載の発明によれば、容器のキャップ本体と、該容器のキャップ本体の開口部にヒンジ部材により開放閉止する蓋とでなる容器のキャップにおいて、前記ヒンジ部材が第1ヒンジ部材と第2ヒンジ部材を上、下に配置してなり、該第1ヒンジ部材および該第2ヒンジ部材の一方、他方が前記キャップ本体と前記蓋に一体成形されたことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の構成において前記第1ヒンジ部材はその表面又は裏面に幅方向の切欠き溝を形成したこと特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の構成において前記第2ヒンジ部材は、断面略カール形状でなることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の構成において前記第2ヒンジ部材は、第1ヒンジ部材の切欠き溝の厚さに比し、第2ヒンジ部材の帯状部分の厚さを厚く設定したことを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、請求項2記載の構成において前記第1ヒンジ部材は前記切欠き溝の前端及び後端を略V字状に形成したことを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、容器のキャップ本体と、該容器のキャップ本体の開口部にヒンジ部材により開放閉止する蓋とでなる容器のキャップにおいて、前記ヒンジ部材が第1ヒンジ部材と第2ヒンジ部を上、下に配置してなり、該第1ヒンジ部材および該第2ヒンジ部材の一方、他方が前記キャップ本体と前記蓋に一体成形され、かつ前記容器のキャップ本体の外周面に前記蓋の下縁を閉止する際に接合する突起状ストッパを一体成形し、該突起状ストッパの一部を切欠きし、この切欠き位置に相当する蓋の周縁に把手を一体成形したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る容器のキャップ構造は叙上の構成を有するので次の効果がある。
【0019】
すなわち、請求項1記載の発明によれば、容器のキャップ本体と、該容器のキャップ本体の開口部にヒンジ部材により開放閉止する蓋とでなる容器のキャップにおいて、前記ヒンジ部材が第1ヒンジ部材と第2ヒンジ部を上、下に配置してなり、該第1ヒンジ部材および該第2ヒンジ部材の一方、他方が前記キャップ本体と前記蓋に一体成形されたことを特徴とする容器のキャップの構造を提供する。
このような構成としたので、ヒンジ部材が第1ヒンジ部材と第2ヒンジ部材を上、下に配置して2重のヒンジ部材にすることにより、蓋の開閉時に於けるストレスを分散させて、ヒンジ部材の破断現象を著しく軽減することができる。また仮に1方のヒンジ部材が破断しても他方のヒンジ部材がヒンジ機能を担うことができ、低密度ポリエチレン・低密度直鎖状ポリエチレン(LLDPE)又はポリプロピレン等の材料を使用しても安全なキャップを提供できる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば前記第1ヒンジ部材はその表面又は裏面に幅方向の切欠き溝を形成したこと特徴とする請求項1記載の容器のキャップの構造を提供する。
このような構成としたので、切欠き溝の位置を回転中心として蓋が回動するので、容器のキャップ本体に蓋を閉止する際に、位置決めが容易となり、蓋の開放閉止操作が円滑であるという効果がある。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、前記第2ヒンジ部材は、断面略カール形状でなることを特徴とする請求項1記載の容器のキャップの構造を提供する。
このような構成としたので、前記第2ヒンジ部材の長さ辺を長く設定することが可能となり、蓋を開放、閉止する際に前記第1ヒンジ部材の切欠き溝を中心に第1ヒンジ部材と第2ヒンジ部材が干渉することなく、前記蓋を回動させることができるという効果がある。また、第2ヒンジ部材が断面略カール形状で構成され蓋を開放、閉止する際リアクション作用を伴い、該蓋を開放したとき常に中間位置で該蓋を停止させ、次の蓋の閉止動作を容易にするという効果がある。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、前記第2ヒンジ部材は、第1ヒンジ部材の切欠き溝の厚さに比し、第2ヒンジ部材の厚さを厚く設定したことを特徴とする請求項1記載の容器のキャップの構造を提供する。
このような構成としたので、前記第2ヒンジ部材の内部応力が前記第1ヒンジ部材の内部応力を上回るので、前記蓋の開放動作において、第1ヒンジ部材の内部応力と第2ヒンジ部材の内部応力が均衡した位置で前記蓋を停止さることが可能である。第2ヒンジ部材へ応力が肉厚分、分散するので、第1ヒンジ部材を劣化させずヒンジ機能の品質を高めるという効果がある。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、前記第1ヒンジ部材は前記切欠き溝の前端及び後端を略V字状に形成したことを特徴とする請求項2記載の容器のキャップの構造を提供する。
このような構成としたので、第1ヒンジ部材の幅を狭くすることができ、蓋の開閉動作を円滑に行えるという効果がある。さらに第1ヒンジ部材の幅を狭くすることで、第1ヒンジ部材に設けた切欠き溝の両端において蓋の開閉動作によって発生する引っ張り応力を減少させることが可能となり、蓋の繰り返し開閉動作による切欠き溝の疲労破壊を防止でき、第1ヒンジ部材の破断を防止することができるという効果がある。
【0024】
請求項6記載の発明によれば、容器のキャップ本体と、該容器のキャップ本体の開口部にヒンジ部材により開放閉止する蓋とでなる容器のキャップにおいて、前記ヒンジ部材が第1ヒンジ部材と第2ヒンジ部材を上、下に配置してなり、該第1ヒンジ部材および該第2ヒンジ部材の一方、他方が前記キャップ本体と前記蓋に一体成形され、かつ前記容器のキャップ本体の外周面に前記蓋の下縁を閉止する際に接合する突起状ストッパを一体成形し、該突起状ストッパの頂点の一部を切欠きし、この切欠き位置に相当する蓋の周縁に把手を一体成形したことを特徴とする容器のキャップの構造を提供する。
このような構成としたので、使用者が蓋の下縁に指を掛けて開けることが容易となり、容器のキャップ本体に蓋を強固に閉止したときにも容器のキャップ本体から容易に開放することが可能となり、容器内に収容した飲料水などの衛生維持に好適であるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る容器のキャップの構造の実施の形態について添付図面に基づき詳細に説明する。図1ないし図4は本発明の実施の形態を示したもので、図1は容器のキャップの外観を示す斜視図、図2はその平面図、図3は該平面図2の矢視A―A線方向の断面図、図4は図3に示すB部分であるヒンジ部材の拡大断面図である。
【0026】
容器のキャップ18について概観すると、液体状の食品、薬品、日用品ないしは飲料を収納する容器に使用する容器のキャップ18は、収容物を取り出す際に蓋21が容器本体から分離する形態の容器のキャップと、蓋21がヒンジ部材Cを介して容器本体に付着いている形態の容器のキャップ18に大別でき、本発明は該ヒンジ部材Cを備えた容器のキャップ18に係る。
【0027】
18は容器のキャップであって、容器のキャップ本体19と、開口部20と、蓋21と、第1ヒンジ部材22及び第2ヒンジ部材23とを備えている。ヒンジ部材Cは該第1ヒンジ部材22及び第2ヒンジ部材23で構成されている。そして該第1ヒンジ部材22は上側に、該第2ヒンジ部材23は下側に配置構成されている。容器のキャップ18は容器のキャップ本体19の外周の一部に図示しない容器本体や収納袋体等と連結、結合して使用する。容器のキャップ本体19と容器本体との結合方法は、接着、圧入、熱融着や、超音波融着等、容器のキャップ18と容器本体の材質を考慮して、該容器のキャップ18と容器本体等を密着する。ここで容器本体は折り畳み可能な容器から強固な形状の容器まで用途に合わせて適宜選択する。容器に収納する収容物は液体、ジェル状体、顆粒体、粉体等が可能で、食品、薬品、飲料水、飼料等多岐に亘る。
【0028】
前記容器のキャップ18は各種の材料で成形され例えば、低密度ポリエチレン・低密度直鎖状ポリエチレン(LLDPE)又はポリプロピレン等の材料で一体成形されている。前記容器のキャップ本体19は、その開口部20を形成した筒状部19Aと、袴部19Bを備えている。該袴部19Bは上方に鍔19aを形成している。前記筒状部19Aは外周面に突起状ストッパ19bを周設している。この突起状ストッパ19bの頂点の一部は切欠き部19cを形成している。また、該突起状ストッパ19bと、前記開口部20の間には蓋21を開口部20に閉止するとき仮止め機能を有する蓋固定突起19dを周設形成している。前記蓋21の内面には側壁21aから隙間Sを有して壁部21bを周設かつ下方に突設している。そして使用者が該蓋21を開口部20に閉止すれば、先ず、該開口部20が前記隙間Sに挿入し、さらに、該蓋21を押込むと該蓋21の下縁21c(側壁21aの下縁)が蓋固定突起19dを乗り越え、前記突起状ストッパ19bで停止し、該蓋21が開口部20を閉止する。
【0029】
尚、図中19Cは容器のキャップ本体19の開放栓でありこれを使用者の指で引張ると該開放栓19Cが開放し、容器(図示せず)等に収容した飲料水等を容器から取出すことができる。また、前記容器のキャップ本体19は、図1に示すように筒状部19Aや袴部19Bを備えたが、本発明はこれに限定せず、この筒状部19A等を省略し直接に開口部20を形成してもよい。
【0030】
次に、前記ヒンジ部材Cについて説明する。該ヒンジ部材Cは第1ヒンジ部材22とこの第1ヒンジ部材22の真下側に配置された第2ヒンジ部材23とでなる。而して、第1ヒンジ部材22と第ヒンジ部材23は図1ないし図4に示すように上、下に配置した2重ヒンジとなる構成である。該第1及び第ヒンジ部材22,23の一方は容器のキャップ本体19に、その他方は蓋21にそれぞれ一体成形され、かつ該第1ヒンジ部材22と該第ヒンジ部材23は略同一幅長で形成されている。そして該第1ヒンジ部材22と該第ヒンジ部材23は容器のキャップ本体19及び蓋21と同材質例えばLDPE・LLDPE又はポリプロピレン等で構成される。
【0031】
前記第1ヒンジ部材22は表面又は裏面に幅方向に例えば図4に示すように切欠き溝22aを形成する。この切欠き溝22aは断面が略V字状またはU字状の形状等で作成し図4に示すものは該第1ヒンジ部材22の裏面に形成している。また該切欠き溝22aの前端及び後端は、図2に示すように略V字状凹部22bを形成する。これにより蓋21を容器のキャップ本体19の開口部20に開放、閉止する際、該蓋21の開閉動作が円滑化する。また第1ヒンジ部材22の幅を狭くすることで、第1ヒンジ部材22に設けた切欠き溝22aの両端において蓋21の開閉動作によって発生する引っ張り応力を減少させることが可能となり、蓋21の繰り返し開閉動作による切欠き溝22aの疲労破壊を防止でき、第1ヒンジ部材22の破断を防止することができる。前記第2ヒンジ部材23は図4に示すように、断面略カール状で構成する。
【0032】
また、図4に示すように前記第2ヒンジ部材23の厚さt2は、前記第1ヒンジ部材22の切欠き溝22aの厚さt1よりも厚く設定する。つまり、第2ヒンジ部材23の厚さt2>第1ヒンジ部材22の切欠き溝22aの厚さt1の不等式が成立する。そこで第2ヒンジ部材23の内部応力が第1ヒンジ部材22の内部応力を上回り、蓋21の開放動作において、該第1ヒンジ部材22の内部応力と第2ヒンジ部材23の内部応力が均衡した位置、つまり図1に示す蓋21の全開位置である180度の基準ラインL0から蓋21の全閉位置である0度までの中間位置ラインL1で蓋21を停止させ、第2ヒンジ部材23の内部応力によって、蓋21を180度以上開放せず、第1ヒンジ部材22に過大な応力を生じさせず蓋21を開放した状態に保持できる。
【0033】
前記容器のキャップ本体19の袴部19Bは、飲料水等の収容物を収納する固形化した容器本体や不定形の収納袋体を装着する。そして、例えば、図3に示すように該袴部19Bの下面には複数の係止片19eを垂下している。この係止片19eその一部に爪を形成し、容器本体等を固着し易くしている。この容器のキャップ本体19を作成するとき、ヒンジ部材Cが単純な割金型構造とすることが可能であり、それの製作製が容易である。
【0034】
次に上述した本発明に係る容器のキャップの構造に於ける実施の形態について、作用等を説明する。
図3に示すように、蓋21が容器のキャップ本体19の開口部20に閉止した状態であるとき、使用者は指を突起状ストッパ19bの切欠き部19cに接触させ該蓋21を反転動作させ開放する。このとき、該切欠き部19cは突起状ストッパ19bの頂点を切欠きすること、つまり平坦化形成したので、指での開放動作が円滑化するに加えて該突起状ストッパ19bを微かに厚みを残存させており、この厚みが蓋21の下縁21cと密着性を確保し、容器本体内の収容物を外気から完全に遮断し、該収容物の品質維持に努めている。そして、該蓋21は第1ヒンジ部材22の切欠き溝22aを中心として反転する。
【0035】
このとき第2ヒンジ部材23は断面略カール形状に成形し、長さ辺を長く設定しその機能により内部応力、つまり図1の矢印D方向に反力が働きいわゆるスナップ効果を奏し、該蓋21は180度の基準ラインL0(180度全開放位置)から中間位置のラインL1に保持される。そこで、該第1ヒンジ部材22の切欠き溝22aに過大なストレスが加わらず、長期の使用に際しても、該切欠き溝22aの切断事故に至らない。また、仮に該第1ヒンジ部材22が切断したとき、該第2ヒンジ部材23がこのヒンジ機能を代用できると共に、蓋21が常に安定した位置に保持され、容器のキャップ本体19の開口部20に該蓋21の開閉動作を円滑に行なうことができる。
【0036】
該蓋21が開放されると、使用者は開放栓19Cを引張り開口部20の閉止部分(図示せず)を剥離し容器本体等内の収容物を取出す。
【0037】
該蓋21を図1に示す中間位置のラインL1から容器のキャップ本体19の開口部20に閉止するときは、使用者は該蓋21の側壁21aに形成した把手21dを掴み、容器のキャップ本体19の開口部20に当接しながら、該蓋21の隙間S内に該開口部20を挿装する。そこで、容器のキャップ本体19の蓋固定突起19dに仮止め固定し、更に該蓋21を押し込むことにより蓋21の下縁21cは該蓋固定突起19dを乗り越え、該蓋21を突起状ストッパ19bに密着状態に固定する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る容器のキャップの構造に於ける実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る容器のキャップの構造に於ける実施の形態を示す平面図である。
【図3】図2の矢視A―A線方向から見た断面図である。
【図4】図3においてB部の領域の拡大断面図である。
【図5】従来の技術の第1の例に於ける容器のキャップの構造の斜視図である。
【図6】従来の技術の第2の例に於ける容器のキャップの構造の平面図である。
【図7】従来の技術の第3の例に於ける容器のキャップの構造の斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
18 容器のキャップ
19 容器のキャップの本体
19A 容器のキャップの本体の筒状部
19b 容器のキャップの本体の筒状部の突起状ストッパ
19c 容器のキャップの本体の筒状部の突起状ストッパの切欠部
19B 容器のキャップの本体の袴部
19a 容器のキャップの本体の袴部の鍔
19C 容器のキャップの本体の開放栓
19d 容器のキャップの本体の蓋固定突起
19e 容器のキャップの本体の袴部の係止片
20 容器のキャップの本体の開口部
21 蓋
21a 蓋の側壁
21b 蓋の壁部
21c 蓋の下縁
21d 蓋の把手
22 第1ヒンジ部材
22a 第1ヒンジ部材の切欠き溝
22b 第1ヒンジ部材の略V字状凹部
23 第2ヒンジ部材
C ヒンジ部材
t1 第1ヒンジ部材の切欠き溝の厚さ
t2 第2ヒンジ部材の厚さ
S 隙間
L0 180度の基準ライン(蓋の全開位置)
L1 中間位置ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器のキャップ本体と、該容器のキャップ本体の開口部にヒンジ部材により開放閉止する蓋とでなる容器のキャップにおいて、前記ヒンジ部材が第1ヒンジ部材と第2ヒンジ部材を上、下に配置してなり、該第1ヒンジ部材および該第2ヒンジ部材の一方、他方が前記キャップ本体と前記蓋に一体成形されたことを特徴とする容器のキャップの構造。
【請求項2】
前記第1ヒンジ部材はその表面又は裏面に幅方向の切欠き溝を形成したこと特徴とする請求項1記載の容器のキャップの構造。
【請求項3】
前記第2ヒンジ部材は、断面略カール形状でなることを特徴とする請求項1記載の容器のキャップの構造。
【請求項4】
前記第2ヒンジ部材は、第1ヒンジ部材の切欠き溝の厚さに比し、第2ヒンジ部材の厚さを厚く設定したことを特徴とする請求項1記載の容器のキャップの構造。
【請求項5】
前記第1ヒンジ部材は前記切欠き溝の前端及び後端を略V字状凹部を形成したことを特徴とする請求項2記載の容器のキャップの構造。
【請求項6】
容器のキャップ本体と、該容器のキャップ本体の開口部にヒンジ部材により開放閉止する蓋とでなる容器のキャップにおいて、前記ヒンジ部材が第1ヒンジ部材と第2ヒンジ部材を上、下に配置してなり、該第1ヒンジ部材および該第2ヒンジ部材の一方、他方が前記キャップ本体と前記蓋に一体成形され、かつ前記容器のキャップ本体の外周面に前記蓋の下縁を閉止する際に接合する突起状ストッパを一体成形し、該突起状ストッパの頂点の一部を切欠きし、この切欠き位置に相当する蓋の周縁に把手を一体成形したことを特徴とする容器のキャップの構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−150070(P2008−150070A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339364(P2006−339364)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】