説明

容器の供給装置

【課題】容器の噛み込みを確実に防止して容器を安定して円滑に供給すること。
【解決手段】少なくとも、サイドガイドのガイド面の端部とスターホイールの周面の間に形成される空間内で、スターホイールの周面に対して後退および前進を許容するように設けた空転ローラと、前記空転ローラをスターホイールの接近方向へ向けて付勢するバネとを具備し、前記空転ローラの空転と空転ローラの弾力的な後退により周溝に収容した容器の通過を許容するように構成した噛込防止装置を具備すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器の供給装置に関し、より詳細にはベルトコンベアに搭載した多数の容器を、スターホイールを経由して一列に整列して次工程へ供給する容器の供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベアとスターホイールとを具備した容器の供給装置が特許文献1に開示されている。
特許文献1の供給装置はベルトコンベア上にコンベアの横断方向に向けて可撓性ベルトを伸縮自在に設け、多数の容器群の後方から可撓性ベルトで抱持しながら、スターホイールの周面に凹設された各周溝へ容器を収容して次工程へ供給するように構成されている。
【0003】
図7は特許文献1の供給装置を構成するベルトコンベア60上に設けた下流側の固定ガイド61の先端部の周辺の拡大した平面図である。
固定ガイド61はベルトコンベア60の移送方向に対して斜めに向けて配置されている。
固定ガイド61の先端部はスターホイール63の周面に接近して設けられる。
スターホイール63の各周溝64に収容された容器10が移動する際に、スターホイール63の周囲の容器10を逆行方向へ押し戻す。このとき容器10の後退を許容するように、固定ガイド61のガイド面が湾曲して形成されている。
【0004】
一方、近時、医療用容器の素材として耐薬品性に優れたポリプロピレン樹脂(PP樹脂)等の樹脂系の素材が多用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−26315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の供給装置はつぎのような問題点がある。
(1)スターホイール63と固定ガイド61の間には僅かな隙間がある。
そのため、周溝64に対して容器10の入り込みが浅く、容器10の一部がスターホイール63の周面からはみ出していると、下流側の固定ガイド61を通過する際に、大半の容器10はガイド面の角部で弾かれてベルトコンベア60側へ戻される。
しかしながら、スターホイール63からはみ出した一部の容器は、下流側の固定ガイド61を通過する際に、逃げ場をなくし、スターホイール63と固定ガイド61の間に噛み込まれて、容器10を破損または損傷させてしまう。
特に容器10に高価な医薬品を収容している場合は、経済的な損失が大きい。
(2)容器10がガラス製の硬質容器であってもスターホイール63と固定ガイド61の間で噛み込みを生じるが、容器10が軟質容器になると噛み込みの発生頻度がより高くなる。
(3)殊に容器10がPP樹脂等の軟質樹脂製である場合には、容器10の噛み込みを頻発して、容器10の安定した供給をすることができない。
その理由は、PP樹脂特有の自己接着性に基づいて複数の容器10が互いに接着し合い、周溝64に対して容器10の入り込みが浅くなるためである。
以上のことから、自己付着性を有する軟質樹脂製の容器10に適した供給装置の提案が望まれている。
(4)容器10が硬質容器または軟質容器の何れの素材であっても、スターホイール63による容器10の供給速度が高速化するほど噛み込みが生じ易くなる。
そのため、容器10の高速供給を実現することが技術的に難しい。
(5)一般に容器の供給装置は製品の生産ラインの一部に組み込まれているためライン全体に与える影響が大きい。
そのため、容器の噛み込みを生じる都度、生産ラインを停止しなければならず、また容器の噛み込みを防止するために容器の供給速度を低く設定すると、製品の生産効率が悪化する。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは、つぎの何れかひとつの容器の供給装置を提供することにある。
(1)簡易な構成で以って容器の噛み込みを確実に防止できること。
(2)容器を安定して円滑に供給できること。
(3)容器の供給速度の高速化に対応できること。
(4)自己接着性を有する軟質容器に適した供給装置を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、鉛直な回転軸を中心に一方向に回転し、周面に形成した複数の周溝に容器を収容して一列に供給するスターホイールと、直立状態で搭載した多数の容器をスターホイールへ向けて移送するベルトコンベアと、ベルトの両側に設けられ、ベルトコンベアに搭載した多数の容器をベルトの中央へ誘導する一対の固定式のサイドガイドと、を具備する容器の供給装置であって、一方のサイドガイドの端部とスターホイールの間に配設した容器の噛込防止装置を具備し、前記容器の噛込防止装置は、少なくとも、前記一方のサイドガイドのガイド面の端部とスターホイールの周面の間に形成される空間内で、スターホイールの周面に対して後退および前進を許容するように設けた空転ローラと、前記空転ローラをスターホイールの接近方向へ向けて付勢するバネとを具備し、前記空転ローラの空転と空転ローラの弾力的な後退により周溝に収容した容器の通過を許容するように構成したことを特徴とする。
さらに本発明は、前記容器の噛込防止装置は、基台と、基台にスライド自在に搭載したアームと、アームの先端部に設けた空転ローラと、空転ローラをスターホイールの接近方向へ向けて付勢するバネとから構成することを特徴とする。
前記した容器の容器本体が硬質容器、または軟質容器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明はつぎの何れかひとつの効果を奏する。
(1)容器の供給装置が、少なくとも空転ローラとバネを具備した簡易な構成の噛込防止装置を有し、噛込防止装置は空転ローラの空転と空転ローラの弾力的な後退によりスターホイールの周溝に収容した容器の通過を許容する。
そのため、スターホイールと空転ローラの間で容器の噛み込みを確実に防止することができる。
したがって、容器内に高価な医薬品等が収容してあっても、容器の破損または損傷をなくして経済的な損失を回避することができる。
(2)噛込防止装置はスターホイールの周溝に対して入り込みが浅い容器が通過するときに、空転ローラの空転とバネの復元力によって容器を周溝の溝奥へ押し戻す。
したがって、スターホイールの周溝に対して容器の入り込み量に大小のバラツキがあっても、各容器を周溝の正しい収容位置へ修正することができる。
(3)容器の噛込防止装置による容器の噛み込み防止作用と、容器の収容位置の修整作用とにより、スターホイールを通じて容器を安定して円滑に供給することができる。
(4)容器の噛込防止装置を構成する空転ローラの前進及び後退動作は、通過する容器に応じて変化するバネのばね力を利用して行なうものであるから、容器が高速で移動しても追従することが容易である。
したがって、従来まで困難とされてきた容器の供給速度の高速化に対応することができる。
(5)容器が軟質容器であったり、自己付着性を有する樹脂製の容器であっても、空転ローラの空転と空転ローラの弾力的な後退により、容器の素材による弊害を解消することができる。
そのため、軟質容器または自己付着性を有する樹脂製の容器に適した供給装置を提供することができる。
(6)容器の供給装置における容器の噛み込み防止性能が高まるので、供給装置を組み込んだ容器の生産ライン全体として大幅な生産性の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る容器の供給装置の平面図
【図2】一部を省略した容器の噛込防止装置の斜視図
【図3】図1におけるIII−IIIの断面図
【図4】容器の噛込防止装置の作用を説明するためのモデル図
【図5】容器の噛込防止装置の作用を説明するためのモデル図
【図6】容器の噛込防止装置の作用を説明するためのモデル図
【図7】従来の容器の供給装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照しながら本発明に係る容器の供給装置の構成について説明する。
【0012】
(1)容器
図2に容器10の拡大図を示す。容器10は全体形状が円筒形を呈する容器本体11と、キャップ12を具備し、内部に薬液等の液体を収容している。
本例では容器本体11がポリプロピレン、ポリエチレン、シクロオレフィンポリマー等の軟質樹脂製である場合について説明するが、容器10の素材として変形し難い硬質樹脂やガラス等の素材を含むものである。
【0013】
(2)容器の供給装置の概要
図1に容器10の供給装置の平面面を示す。
供給装置は容器10を等間隔に揃えて一列に供給するスターホイール20と、多数の容器10をスターホイール20へ向けて移送するベルトコンベア30と、容器10の噛込防止装置50とを具備する。
【0014】
(3)スターホイール
スターホイール20は周面に容器10を収容可能な複数の周溝22を凹設した円板である。
スターホイール20はベルトコンベア30の左上方に配置され、鉛直方向の回転軸21を中心に一方向(図1では時計回り方向)に向けて回転自在である。
【0015】
(4)ベルトコンベア
ベルトコンベア30はスターホイール20へ向けて容器10を移送するコンベアである。
好ましくは上面のベルト33をスターホイール20へ向けて僅かな下り勾配となるように傾斜させておくと、後方へ向けた容器10の転倒を効果的に防止することができる。
【0016】
(5)サイドガイド
ベルトコンベア30の上面両側には、容器10の落下を規制しつつ、容器10をスターホイール20へ向けて誘導する固定式の一対のサイドガイド31,32が設けられている。
一対のサイドガイド31,32の左方は、多数の容器10をスターホイール20へ向けて収束できるように、対向距離が徐々に狭くなっている。
【0017】
スターホイール20の回転方向に対し、上流側(図の上方)に位置するサイドガイド31の左端は、スターホイール20の外周面にギリギリまで接近している。
スターホイール20の回転方向に対し、下流側(図の下方)に位置するサイドガイド32の左端は、スターホイール20の外周面から所定の距離を隔てて離隔している。
サイドガイド32の左端とスターホイール20の間に、容器10の噛込防止装置50を配設する。
【0018】
尚、既述したスターホイール20、一対のサイドガイド31,32および容器10の噛込防止装置50は、ベルトコンベア30のベルト33の上面から僅かに離隔した状態で支持されている。
【0019】
(6)容器の噛込防止装置
図2,3に基づいて容器10の噛込防止装置50について説明する。
容器10の噛込防止装置50は、少なくとも、下流側のサイドガイド32のガイド面の端部とスターホイール20の周面の間に形成される空間内で、スターホイール20の周面に対して後退および前進を許容するように設けた空転ローラ51と、空転ローラ51をスターホイール20の接近方向へ向けて付勢するバネ52とを具備する。
【0020】
本例の噛込防止装置50は、基台40と、基台40にスライド自在に搭載したアーム45と、アーム45の先端部に空転自在に設けた空転ローラ51と、空転ローラ51をスターホイール20の接近方向へ向けて付勢するバネ52とからなり、空転ローラ51の空転と空転ローラ51の弾力的な後退により周溝22に収容した容器10の通過を許容するように構成されている。
【0021】
[基台]
基台40の一部の側面には、下流側のサイドガイド32のガイド面を延長したガイド機能を有するガイド面41を形成している。
ガイド面41はサイドガイド32を延長してサイドガイド32に形成してもよい。
【0022】
[ガイドレール]
基台40の上面42にはスターホイール20へ向けてガイドレール43が敷設してある。
【0023】
[リニアガイド]
ガイドレール43はリニアガイド44を搭載している。リニアガイド44は多数のころを内蔵していて、ガイドレール43に沿って水平スライドが可能に係合している。
【0024】
[アーム]
リニアガイド44はその上面にスターホイール20へ向けて延出するアーム45を搭載している。
アーム45はリニアガイド44を介してガイドレール43に沿ってスライド自在である。
【0025】
[空転ローラ]
アーム45の自由端には、鉛直方向の支軸53を介して空転ローラ51が取付けてある。
ガイドレール43に沿った直線スライド運動をする空転ローラ51は、基台40とスターホイール20の間に形成される隙間を封鎖し、容器10の噛み込みを防止するとともに、入り込みの浅い容器10を周溝22へ押し込むために機能するローラである。
【0026】
空転ローラ51は、基台40のガイド面41の端部とスターホイール20の周面の間に形成される空間内で、スターホイール20の周面に対して後退および前進を許容するように設置することが肝要である。
空転ローラ51の配置位置について詳しく説明すると、空転ローラ51の前進時又は後退時のいずれにあっても、空転ローラ51の周面の一部が基台40のガイド面41の延長線上に位置するように構成されている。
【0027】
尚、空転ローラ51の径に制約は特にないが、機能上、容器10の径とほぼ同径のローラを用いることが好適である。
【0028】
[ストッパ]
ガイドレール43の両端部には、空転ローラ51を有するアーム45のスライドを一定範囲に規制するストッパ46,47が付設してある。
本例ではストッパ46,47をガイドレール43に付設した場合について示すが、アーム45の前後のスライドを一定範囲に規制できる位置であればストッパ46,47の取付け部材と取付け位置は問わない。
【0029】
アーム45の後退方向へ向けた停止位置は適宜の位置でよいが、アーム45の前進方向へ向けた停止位置は、空転ローラ51がスターホイール20の外周面に衝突せずに、スターホイール20の外周面に接近する位置とする。
すなわち、周溝22内で容器10を正常位置に収容できるように、空転ローラ51の前進停止位置を設定する。
【0030】
[バネ]
空転ローラ51を具備するアーム45は、バネ52のバネ力で以ってスターホイール20の接近方向へ向けて常時付勢されている。
本例では基台40とアーム45に立設した起立片48,49の間にバネ52を縮設した場合を示すが、バネ52の配設位置は図示した形態に限らず、アーム45をスターホイール20の接近方向へ向けて付勢できる位置であれば配設位置はどこでもよい。
バネ52の種類は、コイルスプリングに限らず、公知の各種ばねやバネの代替部材を適用可能である。
【0031】
バネ52のバネ力は、基台40とスターホイール20の間を容器10が通過する際に、複数の容器10が同時に通過することを阻止して、容器10を1つずつ通過できるようにバネ力が設定してある。
【0032】
(7)供給装置の作動
つぎに容器10の供給装置の作動について説明する。
【0033】
(7−1)容器の搭載セット
図1において、ベルトコンベア30のベルト32の載置面上に多数の容器10を直立状態で搭載する。
【0034】
(7−2)容器のベルト送り
ベルトコンベア30の回転に伴い、多数の容器10は直立状態を維持したままスターホイール20へ向けて移送される。
ベルトコンベア30の両側に立設した一対のサイドガイド31,32は、密集した容器10の落下を規制しつつ、多数の容器10をスターホイール20の周面へ向けて誘導する。
【0035】
(7−3)スターホイールによる容器の送り
ベルトコンベア30に搭載された容器10は、時計回り方向へ回転するスターホイール20の各周溝22に収容された後、噛込防止装置50へ向けて移送される。
スターホイール20の各周溝22に収容された容器10は、噛込防止装置50を経て、例えば容器10の周面にラベルの貼付や印刷等の処理をする次の作業工程へ供給される。
尚、図1において符号23,24は、容器10を次の作業工程へ誘導するガイドである。
【0036】
(8)容器の噛み込み防止作用
図4〜図6に基づいて容器10の噛込防止装置50の作用について説明する。図4〜図6において、容器10の噛込防止装置50をモデル化して示し、空転ローラ51とバネ52とにより、噛込防止装置50を構成している。
【0037】
(8−1)通過前の容器の自転
図4はバネ52で付勢された空転ローラ51がスターホイール20に対し最も前進したときの噛込防止装置50を示している。
【0038】
噛込防止装置50の作用を説明する前に、図4に基づいて、噛込防止装置50へ到達する前における周溝21内の容器10aの回転方向について説明する。
【0039】
スターホイール20による移送中、周溝21に収容された容器10aは、スターホイール20の周囲に位置する容器10c群と接触しながら移送されるため、周囲の容器10c群から回転抵抗を受けて反時計回り方向へ向けて自転する。
殊に容器本体11が自己接着性を有する樹脂製の素材であると、スターホイール20の周囲に位置する容器10c群が互いに接着し合って回転抵抗が大きくなるために、周溝21内の容器10aが自転し易くなる。
【0040】
容器10aが自転することで周溝21内から外へ飛び出そうとするが、周囲の容器10c群に押されて飛び出しを阻止される。
【0041】
(8−2)容器の押し込み
前記したようにスターホイール20により移送中の容器10は、各周溝22に対して入り込み位置にバラツキを有しながら、噛込防止装置50へ向けて接近する。
各周溝22に収容された容器10が噛込防止装置50を通過する都度、噛込防止装置50はつぎの作動により、容器10bの噛み込みを防止しつつ、入り込みの浅い容器10bを周溝21の溝奥へ押し込む。
【0042】
(8−2−1)空転ローラの空転
図4において、噛込防止装置50の空転ローラ51はバネ52のバネ力を受けながらスターホイール20の周面に接近した位置で待機している。
【0043】
周溝22から容器10bの一部がはみ出ていると、容器10bの周面は、スターホイール20の周溝22の溝壁と空転ローラ51の周面の二つの接点P1,P2で当接する。
容器10bと空転ローラ51の接点P2は、容器10bとスターホイール20の周溝22の溝壁の接点P1より常に外方に位置する。
【0044】
そのため、容器10bと空転ローラ51の双方に偏倚力が加わり、その結果、図5に示すように、空転ローラ51が反時計回り方向へ向けて空転するとともに、容器10bが時計回り方向へ自転する。
【0045】
すなわち、周溝22内の容器10bは空転ローラ51と接触することで、それまでの自転方向が逆方向へ切り替わる。
容器10bが時計回り方向へ自転することに伴い、容器10bは周溝21の溝奥へ入り込む。
【0046】
(8−2−2)空転ローラの後退
図4において、周溝22内の容器10bの周面が空転ローラ51に当接したとき、空転ローラ51に押し戻し力が作用する場合がある。
空転ローラ51はスライド自在に支持されているから、バネ52を収縮しながら空転ローラ51が僅かに後退して容器10bの通過を許容する。
【0047】
このようにスターホイール20と空転ローラ51の間で容器10bが挟まれそうになっても、バネ52を収縮しながら空転ローラ51が弾力的に後退するので、スターホイール20と空転ローラ51の間で容器10bを噛み込んだり、容器10bを押し潰すことがない。
【0048】
(8−2−3)バネによる押し込み
空転ローラ51が後退して容器10bの通過を許容する間、空転ローラ51と容器10bの周面の接触が維持される。
そのため、圧縮されたバネ52の復元力により空転ローラ51が前進して、容器10bを周溝21の正しい収容位置へ押し込む。
【0049】
したがって、スターホイール20の周溝22に対して容器10a(10b)の入り込み量に大小のバラツキがあっても、噛込防止装置50は各容器10bを周溝22の正しい収容位置へ修正することができる。
【0050】
以上は噛込防止装置50の作動の理解を助けるために、便宜的に複数の動作に分けて説明したが、実際には上記した複数の動作が同時に並行して行なわれる。
【0051】
図6は容器10bを周溝22内に押し戻した後における、バネ52で付勢された空転ローラ51がスターホイール20に対し最も前進したときの噛込防止装置50を示している。
空転ローラ51の前進停止位置は、周溝22内で容器10を正常位置に収容できる位置とほぼ一致している。
周溝22内に押し戻しされた容器10bは、空転ローラ51を空転しながら噛込防止装置50を通過する。
【0052】
このように本発明は容器10が例えばPP樹脂等の軟質樹脂製であっても、或いは変形しにくい硬質樹脂やガラス製の容器であっても、或いはスターホイール20の回転速度を高速化しても、容器10bの噛み込みを確実に防止しつつ、入り込みの浅い容器10を周溝22の正規の位置に押し戻することができる。
【0053】
さらに容器10が軟質容器であったり、自己付着性を有する樹脂製の容器であっても、空転ローラ51の空転と空転ローラ51の弾力的な後退により、容器10の素材による弊害を解消することができる。
そのため、軟質容器または自己付着性を有する樹脂製の容器に適した供給装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0054】
10・・・・・容器
20・・・・・スターホイール
21・・・・・スターホイールの周溝
30・・・・・ベルトコンベア
50・・・・・噛込防止装置
51・・・・・空転ローラ
52・・・・・バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直な回転軸を中心に一方向に回転し、周面に形成した複数の周溝に容器を収容して一列に供給するスターホイールと、直立状態で搭載した多数の容器をスターホイールへ向けて移送するベルトコンベアと、ベルトの両側に設けられ、ベルトコンベアに搭載した多数の容器をベルトの中央へ誘導する一対の固定式のサイドガイドと、を具備する容器の供給装置であって、
一方のサイドガイドの端部とスターホイールの間に配設した容器の噛込防止装置を具備し、
前記容器の噛込防止装置は、少なくとも、前記一方のサイドガイドのガイド面の端部とスターホイールの周面の間に形成される空間内で、スターホイールの周面に対して後退および前進を許容するように設けた空転ローラと、
前記空転ローラをスターホイールの接近方向へ向けて付勢するバネとを具備し、
前記空転ローラの空転と空転ローラの弾力的な後退により周溝に収容した容器の通過を許容するように構成したことを特徴とする、
容器の供給装置。
【請求項2】
請求項1において、前記容器の噛込防止装置は、基台と、基台にスライド自在に搭載したアームと、アームの先端部に設けた空転ローラと、空転ローラをスターホイールの接近方向へ向けて付勢するバネとから構成することを特徴とする、容器の供給装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、容器の容器本体が硬質容器であることを特徴とする、容器の供給装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、容器の容器本体が軟質容器であることを特徴とする、容器の供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−180047(P2010−180047A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27110(P2009−27110)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(391005949)光洋自動機株式会社 (39)
【Fターム(参考)】