説明

容器収納装置

【課題】収納部材の開口部を開閉する開閉部材を用いて、収納部材に収納された容器が倒れるのを抑制することができる容器収納装置を得る。
【解決手段】一方の開閉部材24Aを開放させると、第1連動手段によって他方の開放部材24Bも開放される。一対の開放部材24は、開放位置で、開口部20から立ち上がって停止する。このため、収納部材22の開口部20を開閉する開閉部材24を用いて、収納部材22に収納されたカップ等の容器が倒れるのを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ等の容器を収納する容器収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の容器ホルダ装置(容器収納装置)には、不使用時に、容器を保持する収納部材の開口部を覆う蓋体(開閉部材)が設けられている。そして、この収納部材に容器を保持させる際には、この蓋体は容器の底面に押されて下方へ移動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−221993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の容器収納装置では、収納部材に容器を保持される際には、収納部材の開口部を開閉する開閉部材が下方へ移動する構成となっている。このため、収納部材に保持された容器が倒れるのをこの開閉部材で抑制することができなかった。
【0005】
本発明の課題は、収納部材の開口部を開閉する開閉部材を用いて、収納部材に収納された容器が倒れるのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る容器収納装置は、開口部を備える箱状の収納部材と、一端部が対向するように前記収納部材の開口部に設けられ、他端側が前記収納部材に軸支されると共に、前記収納部材の前記開口部を開放して前記開口部から立ち上がる開放位置と前記収納部材の前記開口部を閉止する閉止位置とに回動可能とされる一対の開閉部材と、一対の前記開閉部材の開閉動作を連動させる第1連動手段と、前記収納部材の内部に設けられ、前記収納部材に収納される容器を保持する保持部材と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、収納部材の開口部を開閉する一対の開閉部材は、一端部が対向するように収納部材の開口部に設けられ、他端側が収納部材に軸支されている。そして、一対の開閉部材は、収納部材の開口部を開放して開口部から立ち上がる開放位置と、収納部材の開口部を閉止する閉止位置とに移動可能とされる。また、第1連動手段が一対の開閉部材の開閉動作を連動させる。
【0008】
さらに、収納部材の内部に設けられる保持部材が、一対の開閉部材が開放位置へ移動して開口部が開放され収納部材に収納される容器を保持する。
【0009】
ここで、収納部材に容器が収納された状態では、一対の開閉部材は、開口部から立ち上がる開放位置に移動している。このように、開閉部材が、開口部から立ち上がっているため、収納部材の開口部を開閉する開閉部材を用いて、収納部材に収納された容器が倒れるのを抑制することができる。
【0010】
本発明の請求項2に係る容器収納装置は、請求項1記載において、前記第1連動手段は、一方の前記開閉部材に設けられ、一方の前記開閉部材を回動させるとこの回動動作に伴って回動する第1回動ギアと、前記第1回動ギアと係合し、前記第1回動ギアを回動させると前記収納部材の前記開口部の開口方向に移動する第1移動ギアと、他方の前記開閉部材に設けられ、他方の前記開閉部材を回動させるとこの回動動作に伴って回動する第2回動ギアと、前記第2回動ギアと係合し、前記第2回動ギアが回動させると前記収納部材の前記開口部の開口方向に移動する第2移動ギアと、前記第1移動ギアと前記2移動ギアとを連結させる連結部材と、を備え、前記連結部材の外形形状は、前記第1回動ギア、前記第1移動ギア、前記第2回動ギア、前記第2移動ギアが外部から視認されるのを防止するように決められる。
【0011】
上記構成によれば、閉止位置に配置される一方の開閉部材を回動させると第1回動ギアが回動する。また、第1回動ギアを回動させることで第1移動ギアが収納部材の開口部の開口方向に移動する。第1移動ギアが開口方向に移動すると、連結部材によって第1移動ギアと連結されている第2移動ギアが開口方向に移動する。第2移動ギアが開口方向に移動することで、第2回動ギアが回動して他方の開閉部材が回動する。このように、一対の開閉部材の開閉動作が連動する。
【0012】
ここで、連結部材は、第1回動ギア、第1移動ギア、第2回動ギア、第2移動ギアが外部から視認されるのを防止するように決められているため、第1回動ギア、第1移動ギア、第2回動ギア、第2移動ギアは外部から視認することができず、外観品質を向上させることができる。
【0013】
本発明の請求項3に係る容器収納装置は、請求項1又は2に記載において、前記開閉部材が閉止位置に移動したときは、前記保持部材を前記収納部材の内部に収納される収納位置に移動させ、前記開閉部材が開放位置に移動したときは、前記保持部材を前記収納部材の前記開口部から外部に少なくとも一部を突出させる突出位置に移動させる第2連動手段が設けられる。
【0014】
上記構成によれば、開閉部材を閉止位置に移動させたときは、第2連動手段が保持部材を収納部材の内部に収納される収納位置に移動させ、開閉部材を開放位置に移動させたときは、第2連動手段が保持部材を収納部材の開口部から外部に少なくとも一部を突出させる突出位置に移動させる。
【0015】
このように、第2連動手段が、保持部材を収納部材の開口部から突出させることで、収納部材に収納された容器が倒れるのを効果的に抑制することができる。
【0016】
本発明の請求項4に係る容器収納装置は、請求項3に記載において、前記第2連動手段は、前記保持部材に形成され、前記収納部材の前記開口部の開口方向に対して交差する方向に延びる長溝と、前記開閉部材に設けられると共に、前記開閉部材の軸支部から離れて配置され、前記長溝にスライド可能に係合する係合ピンと、を備える。
【0017】
上記構成によれば、開閉部材を閉止位置から開放位置へ回動させると、開閉部材に設けられた係合ピンも回動する。開閉部材の回動に伴って回動する係合ピンは、保持部材に形成された長溝をスライドしながら保持部材を収納位置から突出位置へ移動させる。
【0018】
これに対し、開閉部材を開放位置から閉止位置へ回動させると、開閉部材に設けられた係合ピンも回動する。開閉部材の回動に伴って回動する係合ピンは、保持部材に形成された長溝をスライドしながら保持部材を突出位置から収納位置へ移動させる。
【0019】
このように簡易な構成で、保持部材を収納位置又は突出位置に移動させることができる。
【0020】
本発明の請求項5に係る容器収納装置は、請求項3又は4に記載において、前記連結部材の外形形状は、前記第2連動手段が外部から視認されるのを防止するように決められる。
【0021】
上記構成によれば、連結部材は、第2連動手段が外部から視認されるのを防止するように設けられているため、さらに、外観品質を向上させることができる。
【0022】
本発明の請求項6に係る容器収納装置は、請求項1〜5の何れか1項に記載において、一端が前記収納部材に取り付けられ、他端が一対の前記開閉部材に直接又は間接的に取り付けられ、一対の前記開閉部材の所定の開閉位置から前記開閉部材を開放方向に移動させると前記開閉部材に開放方向のモーメントを発生させ、又は一対の前記開閉部材の所定の開閉位置から前記開閉部材を閉止方向に移動させると前記開閉部材に閉止方向のモーメントを発生させる付勢部材を備える。
【0023】
上記構成によれば、一方が収納部材に取り付けられ、他方が一対の開閉部材に直接又は間接的に取り付けられた付勢部材は、開閉部材の所定の開閉位置から開閉部材を開放方向に移動させると開閉部材に開放方向のモーメントを発生させ、開閉部材の所定の開閉位置から開閉部材を閉止方向に移動させると開閉部材に閉止方向のモーメントを発生させる。
【0024】
このように、付勢部材が、開閉部材に開放方向又は閉止方向のモーメントを発生させることで、容易に開閉部材を開放位置又は閉止位置に移動させることができる。
【0025】
本発明の請求項7に係る容器収納装置は、請求項6に記載において、前記開閉部材の開閉速度を制動するダンパが設けられる。
【0026】
上記構成によれば、ダンパが、付勢部材によって開放又は閉止される開閉部材の開閉速度を制動する。これにより、開閉部材の開放又は閉止動作の質感を向上させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、収納部材の開口部を開閉する開閉部材を用いて、収納部材に収納された容器が倒れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係る容器収納装置を示した斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る容器収納装置を示した斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る容器収納装置を示した斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る容器収納装置を示した拡大斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る容器収納装置を示した拡大斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る容器収納装置を示した拡大斜視図である。
【図7】(A)(B)(C)本発明の実施形態に係る容器収納装置を示した断面図である。
【図8】(A)(B)(C)本発明の実施形態に係る容器収納装置に用いられた第1連動手段等を示した断面図である。
【図9】(A)(B)(C)本発明の実施形態に係る容器収納装置に用いられた第2連動手段等を示した断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る容器収納装置を示した分解斜視図である。
【図11】(A)(B)本発明の実施形態に係る容器収納装置を示した断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る容器収納装置が用いられた車内を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態に係る容器収納装置の一例について図1〜図12に従って説明する。なお、図中に示すUPは、鉛直方向上方を示す。
【0030】
(全体構成)
図12に示されるように、容器収納部材の一例としてのカップホルダー12は、自動車のセンターコンソール14の下方であってシフトレバー16の後方に配置されている。
【0031】
(要部構成)
図10に示されるように、カップホルダー12は、上方が開放された開口部20を備えると共に一方向に延びる箱状の収納部材22と、この開口部20を閉止する一対の開閉部材24とを備えて構成されている。
【0032】
一対の開閉部材24は、一方の開閉部材24Aと、他方の開閉部材24Bとから構成され、開口部20を閉止する閉止位置では、一対の開閉部材24は、一端部が対向するように設けられている(図3参照)。さらに、開閉部材24の他端側は収納部材22に軸支部26で軸支されている。これにより、一対の開閉部材24は、開口部20を閉止する閉止位置(図3参照)と、収納部材22の開口部20を開放して開口部20から立ち上がる開放位置(図1参照)とに回動可能とされている。
【0033】
また、一対の開閉部材24の開閉動作を連動させる第1連動手段30が、収納部材22の長手方向(図10に示す矢印A方向、以下単に長手方向と言う)両端側に設けられている。
【0034】
詳細には、一方の開閉部材24Aの軸支部26には、開閉部材24Aの回動方向に対して直交するように扇状の板部材32が、開閉部材24Aと一体的に設けられている。また、この板部材32には、一方の開閉部材24Aを回動させるとこの回動動作に伴って回動する第1回動ギア34が、軸支部26を中心とする円弧に沿って形成されている。
【0035】
さらに、第1回動ギア34と係合し、第1回動ギア34を回動させると収納部材22の開口部20の開口方向(本実施形態では、一例として鉛直方向と同一方向)に移動する第1移動ギア36が、板状の連結部材40に形成されている。
【0036】
同様に、他方の開閉部材24Bの軸支部26には、開閉部材24Bの回動方向に対して直交するように扇状の板部材42が、開閉部材24Bと一体的に設けられている。また、この板部材42には、他方の開閉部材24Bを回動させるとこの回動動作に伴って回動する第2回動ギア44が、軸支部26を中心とする円弧に沿って形成されている。
【0037】
さらに、第2回動ギア44と係合し、第2回動ギア44を回動させると開口方向(鉛直方向)に移動する第2移動ギア46が、第1移動ギア36と同様に連結部材40に形成されている。つまり、連結部材40によって第1移動ギア36と第2移動ギア46とが連結されている。
【0038】
また、第1移動ギア36及び第2移動ギア46は、板状の連結部材40の内面(長手方向内側に向いた面)に形成されている。
【0039】
さらに、連結部材40の外面には、鉛直方向に延びる凹状の縦溝48が形成されており、この縦溝48は、収納部材22の内壁面に設けられ凸状のレール部52へ移動可能に嵌るようになっている。つまり、連結部材40は、収納部材22に対して鉛直方向に移動可能とされる構成となっている。
【0040】
以上の構成により、図6、図8(A)に示されるように、開閉部材24の閉止位置では、第1回動ギア34及び第2回動ギア44は、第1移動ギア36及び第2移動ギア46の鉛直方向上方と係合している。
【0041】
図4、図5、図8(B)(C)に示されるように、例えば、一方の開閉部材24Aを開放方向に回動させると、第1回動ギア34が回動し、これに伴って第1回動ギア34と係合する第1移動ギア36が鉛直方向上方へ移動するようになっている。これにより、連結部材40によって第1移動ギア36と連結される第2移動ギア46も鉛直方向上方へ移動する。そして、第2移動ギア46の鉛直方向上方への移動により、第2回動ギア44が回動し、他方の開閉部材24Bが開放方向に回動するようになっている。そして、一対の開閉部材24は、収納部材22の開口部20を開放して開口部20から立ち上がる開放位置へ移動し、図示せぬストッパーと当って停止するようになっている。
【0042】
このように、第1連動手段30を設けることで、一対の開閉部材24の開閉動作が連動するようになっている。そして、第1連動手段30は、第1回動ギア34、第1移動ギア36、第2回動ギア44、第2移動ギア46、及び連結部材40を含んで構成されている。
【0043】
一方、図10に示されるように、長手方向両端側に設けられた連結部材40に挟まれるように、収納部材22に収納されるカップ等の容器を保持する保持部材50が設けられている。
【0044】
そして、この保持部材50には、カップが挿入される円孔50Aが長手方向に並んで2個形成されている。また、円孔50Aに挿入されたカップを押圧してカップの姿勢を安定させる押圧部材53と、この押圧部材53をカップに向って付勢する付勢部材51とが夫々の円孔50Aに設けられている(図11(A)(B)参照)。
【0045】
また、開閉部材24を閉止位置に移動させたときは、保持部材50を収納部材22の内部に収納される収納位置(図9(A)参照)に移動させ、開閉部材24を開放位置に移動させたときは、保持部材50を収納部材22の開口部20から外部に少なくとも一部を突出させる突出位置(図9(C)参照)に移動させる第2連動手段54が、設けられている。
【0046】
詳細には、第2連動手段54は、保持部材50の長手方向両端側に設けられており、保持部材50の長手方向両端部に設けられた外壁面に形成され、鉛直方向に対して交差する方向(本実施形態では直交する方向)に延びる長溝56を備えている。また、長溝56の
中央側には、鉛直方向に延びる凸部58が設けられており、長溝56は、凸部58により第1長溝56Aと第2長溝56Bとに分割されている。
【0047】
さらに、一方の開閉部材24Aの板部材32には、軸支部26から離れて配置されると共に、第1長溝56Aにスライド可能に係合する第1係合ピン60が設けられている。同様に、他方の開閉部材24Bの板部材42には、軸支部26から離れて配置されると共に、第2長溝56Bにスライド可能に係合する第2係合ピン62が設けられている。
【0048】
また、連結部材40の内面には、保持部材50の外壁面に形成された鉛直方向に延びる凸部58が嵌る凹部64が設けられている。つまり、保持部材50は、連結部材40に対して移動方向が鉛直方向に規制されるようになっている。また、前述したように、連結部材40は、縦溝48とレール部52とが係合することで、収納部材22に対して移動方向が鉛直方向に規制されている。すなわち、保持部材50は、収納部材22に対して移動方向が鉛直方向に規制されるようになっている。
【0049】
以上の構成により、図6、図9(A)に示されるように、開閉部材24の閉止位置では、保持部材50は収納部材22の内部に収納される収納位置に配置され、第1係合ピン60は第1長溝56Aに係合し、第2係合ピン62は第2長溝56Bに係合している。
【0050】
図4、図5、図9(B)(C)に示されるように、例えば、一方の開閉部材24Aを開放方向に回動させると、第1連動手段30により、他方の開閉部材24Bも連動して開放方向に回動する。
【0051】
一対の開閉部材24が連動して開放方向に回動すると、第1係合ピン60及び第2係合ピン62が同様に回動しながら鉛直方向上方へ移動する。そうすると、第1係合ピン60及び第2係合ピン62が、第1長溝56A及び第2長溝56B内をスライドしながら第1長溝56A及び第2長溝56Bを鉛直方向上方へ移動させる。
【0052】
このように、第1長溝56A及び第2長溝56Bを鉛直方向上方へ移動させることで、保持部材50が、収納部材22の開口部20から外部に少なくとも一部が突出する突出位置(図4、図9(C)参照)に移動するようになっている。
【0053】
以上説明したように、第2連動手段54は、第1係合ピン60、第2係合ピン62、第1長溝56A 及び第2長溝56Aを含んで構成されている。
【0054】
また、前述した連結部材40の外形形状は、第1連動手段30及び第2連動手段54が外部から視認されるのを防止するように決められている。つまり、開閉部材24を開放位置と閉止位置との間を移動させる際に、第1連動手段30及び第2連動手段54が移動する移動範囲、並びに連結部材40の移動範囲を考慮して、連結部材40の外形形状が決められている。
【0055】
一方、図10に示されるように、一端66Aが収納部材22の側壁に取り付けられ、他端66Bが連結部材40に固定される付勢部材の一例としての捩じりコイルスプリング66(以下単にスプリングと言う)が、保持部材50の長手方向一端側に設けられている。つまり、スプリング66の他端66Bは、連結部材40を構成部品として含む第1連動手段30を介して開閉部材24に取り付けられている。
【0056】
図6、図7(A)に示されるように、開閉部材24の閉止位置では、スプリング66の他端66Bが、一端66Aに対して鉛直方向下方に配置されている。これにより、連結部材40が鉛直方向下方に付勢(図7(A)矢印参照)され、第1連動手段30を介して開閉部材24に閉止方向のモーメントが発生するようになっている。
【0057】
図5、図7(B)に示されるように、開閉部材24の閉止位置と開放位置との中間である所定の開閉位置(以下中間位置と言う)では、スプリング66が回転してスプリング66の他端66Bと一端66Aとが鉛直方向において同位置に配置される。これにより、連結部材40が水平方向に付勢(図7(B)矢印参照)されるため、開閉部材24に開放方向又は閉止方向のモーメントが発生しないようになっている。
【0058】
図4、図7(B)、図7(C)に示されるように、一対の開閉部材24を中間位置から開放位置に向けて回動させると、スプリング66が回転してスプリング66の他端66Bが、一端66Aに対して鉛直方向上方に配置されている。これにより、連結部材40が鉛直方向上方に付勢(図7(C)矢印参照)され、第1連動手段30を介して開閉部材24に開放方向のモーメントが発生するようになっている。
【0059】
以上より、開閉部材24の中間位置より開閉部材24を開放方向に移動させると、スプリング66の付勢力によって開閉部材24に開放方向のモーメントが発生し、開閉部材24の中間位置より開閉部材24を閉止方向に移動させると、スプリング66の付勢力によって開閉部材24に閉止方向のモーメントが発生するようになっている。
【0060】
一方、図10に示されるように、開閉部材24の開閉速度を回転して制動するダンパ70が設けられ、保持部材50の長手方向両端部に設けられた外壁面には、このダンパ70が取り付けられる凹状の取付部76が形成されている。
【0061】
また、ダンパ70の外周面には係合ギア70Aが設けられ、この係合ギア70Aと係合する被係合ギア72が、鉛直方向に延びて連結部材40の内面に形成されている。
【0062】
(作用・効果)
先ず、閉止位置に配置された一対の開閉部材24を開放させる動作について説明する。
【0063】
図3、図6に示されるように、開閉部材24の閉止位置では、開閉部材24が収納部材22の開口部20を閉止しており、スプリング66は第1連動手段30を介して開閉部材24に閉止方向のモーメントを発生させている(図7(A)参照)。つまり、開閉部材24は閉止方向に付勢されている。また、保持部材50は、収納部材22の内部に収納されている。
【0064】
カップホルダー12を使用する際には、先ずユーザは、例えば一方の開閉部材24Aの一端部を把持して、一方の開閉部材24Aをスプリング66の付勢力に対抗して開方向へ回動させる。
【0065】
一方の開閉部材24Aを回動させると、図8(A)(B)(C)に示されるように、第1回動ギア34が軸支部26を中心に回動し、これに伴って第1回動ギア34と係合する第1移動ギア36が鉛直方向上方へ移動する。これにより、連結部材40によって第1移動ギア36と連結される第2移動ギア46も鉛直方向上方へ移動する。つまり、連結部材40が鉛直方向上方へ移動する。
【0066】
そして、第2移動ギア46の鉛直方向上方への移動により、第2移動ギア46と係合する第2回動ギア44が回動し、他方の開閉部材24Bが開放方向に回動し、一対の開閉部材24が連動して中間位置(図2、図5参照)へ移動する。
【0067】
また、連結部材40が鉛直方向上方に移動することで、連結部材40に形成された被係合ギア72も鉛直方向上方に移動する。そして、被係合ギア72と係合している係合ギア70Aを備えるダンパ70が回転し、開閉部材24の開閉速度を回転して制動する。
【0068】
一方、図9(A)、(B)に示されるように、一対の開閉部材24が閉止位置から中間位置に回動すると、第1係合ピン60及び第2係合ピン62が同様に回動しながら鉛直方向上方へ移動する。そうすると、第1係合ピン60及び第2係合ピン62が、第1長溝56A及び第2長溝56B内をスライドしながら第1長溝56A及び第2長溝56Bを鉛直方向上方へ移動させる。そして、第1長溝56A及び第2長溝56Bを鉛直方向上方へ移動させることで、保持部材50が鉛直方向上方へ移動する。
【0069】
なお、連結部材40の鉛直方向上方への移動量は、第1回動ギア34、第2回動ギア44が第1係合ピン60、第2係合ピン62に対して軸支部26に近い位置に配置されているため、保持部材50の鉛直方向上方への移動量より小さくなるようになっている。つまり、連結部材40が保持部材50より上方に突出しないようになっている。
【0070】
また、図7(B)に示されるように、一対の開閉部材24が中間位置に到達すると、スプリング66が回転してスプリング66の他端66Bと一端66Aとが鉛直方向において同位置に配置される。これにより、連結部材40が水平方向に付勢されるため、開閉部材24に開放方向又は閉止方向のモーメントが発生しない(デットポイント)。
【0071】
さらに、中間位置に配置された一対の開閉部材24を開放位置に向けて移動させる際には、ユーザは、例えば一方の開閉部材24Aの一端部を把持して、開放方向へ回動させる。
【0072】
図7(B)(C)に示されるように、一対の開閉部材24が中間位置から開放位置に向けて回動する。これにより、スプリング66が回転してスプリング66の他端66Bが、一端66Aに対して鉛直方向上方に配置されている。これにより、連結部材40が鉛直方向上方に付勢され、第1連動手段30を介して一対の開閉部材24に開放方向のモーメントが発生し、一対の開閉部材24は開放位置へ移動する。
【0073】
詳細には、図8(B)(C)に示されるように、連結部材40が鉛直方向上方へ移動することで、第1移動ギア36及び第2移動ギア46が鉛直方向上方へ移動する。これにより、第1移動ギア36及び第2移動ギア46と係合する第1回動ギア34及び第2回動ギア44が軸支部26を中心に回動する。そして、一対の開閉部材24は、中間位置から収納部材22の開口部20を開放して開口部20から立ち上がる開放位置(図1、図4参照)へと移動し、図示せぬストッパーと当って停止する。
【0074】
また、連結部材40が鉛直方向上方へ移動することで、連結部材40に形成された被係合ギア72も鉛直方向上方に移動する。そして、被係合ギア72と係合している係合ギア70Aを備えるダンパ70が回転し、開閉部材24の開閉速度を制動する。
【0075】
一方、図9(B)、(C)に示されるように、一対の開閉部材24が中間位置から開放位置に回動すると、第1係合ピン60及び第2係合ピン62が同様に回動しながら鉛直方向上方へ移動する。そうすると、第1係合ピン60及び第2係合ピン62が、第1長溝56A及び第2長溝56B内をスライドしながら第1長溝56A及び第2長溝56Bを鉛直方向上方へ移動させる。そして、第1長溝56A及び第2長溝56Bを鉛直方向上方へ移動させることで、保持部材50が鉛直方向上方へ移動し、保持部材50は突出位置へ移動する。これにより、カップがカップホルダー12に収納可能となる。
【0076】
なお、一対の開閉部材24を開放位置から閉止位置へ移動させる場合には、前述した工程の逆工程を行うことで、開閉部材24は開放位置から閉止位置へ移動する。
【0077】
以上説明したように、開閉部材24の開放位置では、開閉部材24が、開口部20から立ち上がっているため、収納部材22の開口部20を開閉する開閉部材24を用いて、収納部材22に収納されたカップ等の容器が倒れるのを抑制することができる。
【0078】
また、連結部材40の外形形状は、第1連動手段30及び第2連動手段54が外部から視認されるのを防止するように決められているため、外観品質を向上させることができる。
【0079】
また、開閉部材24を開放位置へ移動させると、第2連動手段54が、保持部材50を収納部材22の開口部20から突出させる。これにより、収納部材22に収納されたカップ等の容器が倒れるのを効果的に抑制することができる。つまり、より高い位置で容器の上方を支持することができる。
【0080】
また、第1係合ピン60及び第2係合ピン62と、第1係合ピン60及び第2係合ピン62がスライド可能に係合する第1長溝56A及び第2長溝56Bとを設けることで、簡易な構成で、保持部材50を収納位置又は突出位置に移動させることができる。
【0081】
また、スプリング66が、開閉部材24に開放方向又は閉止方向のモーメントを発生させることで、容易に開閉部材24を開閉位置又は閉止位置に移動させることができる。
【0082】
また、ダンパ70が、スプリング66の付勢力によって開放又は閉止される開閉部材24の開閉速度を制動するため、開閉部材24の開放又は閉止動作の質感を向上させることができる。
【0083】
また、連結部材40の鉛直方向上方への移動量は、保持部材50の鉛直方向上方への移動量より小さくなるようになっている。これにより、保持部材50が突出位置へ移動しても、連結部材40が保持部材50から突出するのを防止することができる。
【0084】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、スプリング66を保持部材50の長手方向一端側に設けたが、長手方向両側に設けてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、収納部材22の開口部20の開口方向が、鉛直方向となる場合を例にとって説明したが、特にこれに限定されることなく、開口部の開口方向が、鉛直方向と異なっていてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、スプリング66の他端66Bを第1連動手段30及び保持部材50を介して開閉部材24に取り付けたが、特にこれに限定されることなく、スプリングの他端を直接開閉部材に取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0087】
12 カップホルダー(容器収納装置)
20 開口部
22 収納部材
24 開閉部材
26 軸支部
30 第1連動手段
34 第1回動ギア
36 第1移動ギア
40 連結部材
44 第2回動ギア
46 第2移動ギア
50 保持部材
54 第2連動手段
56 長溝
56A 第1長溝
56B 第2長溝
60 第1係合ピン
62 第2係合ピン
66 スプリング(付勢部材)
70 ダンパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を備える箱状の収納部材と、
一端部が対向するように前記収納部材の開口部に設けられ、他端側が前記収納部材に軸支されると共に、前記収納部材の前記開口部を開放して前記開口部から立ち上がる開放位置と前記収納部材の前記開口部を閉止する閉止位置とに回動可能とされる一対の開閉部材と、
一対の前記開閉部材の開閉動作を連動させる第1連動手段と、
前記収納部材の内部に設けられ、前記収納部材に収納される容器を保持する保持部材と、
を備える容器収納装置。
【請求項2】
前記第1連動手段は、
一方の前記開閉部材に設けられ、一方の前記開閉部材を回動させるとこの回動動作に伴って回動する第1回動ギアと、
前記第1回動ギアと係合し、前記第1回動ギアを回動させると前記収納部材の前記開口部の開口方向に移動する第1移動ギアと、
他方の前記開閉部材に設けられ、他方の前記開閉部材を回動させるとこの回動動作に伴って回動する第2回動ギアと、
前記第2回動ギアと係合し、前記第2回動ギアが回動させると前記収納部材の前記開口部の開口方向に移動する第2移動ギアと、
前記第1移動ギアと前記2移動ギアとを連結させる連結部材と、を備え、
前記連結部材の外形形状は、前記第1回動ギア、前記第1移動ギア、前記第2回動ギア、前記第2移動ギアが外部から視認されるのを防止するように決められる請求項1項に記載の容器収納装置。
【請求項3】
前記開閉部材が閉止位置に移動したときは、前記保持部材を前記収納部材の内部に収納される収納位置に移動させ、前記開閉部材が開放位置に移動したときは、前記保持部材を前記収納部材の前記開口部から外部に少なくとも一部を突出させる突出位置に移動させる第2連動手段が設けられた請求項1又は2に記載の容器収納装置。
【請求項4】
前記第2連動手段は、
前記保持部材に形成され、前記収納部材の前記開口部の開口方向に対して交差する方向に延びる長溝と、
前記開閉部材に設けられると共に、前記開閉部材の軸支部から離れて配置され、前記長溝にスライド可能に係合する係合ピンと、
を備える請求項3に記載の容器収納装置。
【請求項5】
前記連結部材の外形形状は、前記第2連動手段が外部から視認されるのを防止するように決められる請求項3又は4に記載の容器収納装置。
【請求項6】
一端が前記収納部材に取り付けられ、他端が一対の前記開閉部材に直接又は間接的に取り付けられ、一対の前記開閉部材の所定の開閉位置から前記開閉部材を開放方向に移動させると前記開閉部材に開放方向のモーメントを発生させ、又は一対の前記開閉部材の所定の開閉位置から前記開閉部材を閉止方向に移動させると前記開閉部材に閉止方向のモーメントを発生させる付勢部材を備える請求項1〜5の何れか1項に記載の容器収納装置。
【請求項7】
前記開閉部材の開閉速度を制動するダンパが設けられる請求項6に記載の容器収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−56533(P2012−56533A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204378(P2010−204378)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】