容器用ヒートシール装置
【課題】コーヒー等のホット飲料、スープ類、米飯、パスタといった、温度が高い食品を入れた容器の上部開口部をフィルムでヒートシールする場合でも、低コストで確実にヒートシールを実現できる技術の開発が求められていた。
【解決手段】容器11をセットして機筐2内に搬入された受け皿52に対して、上方待機位置から下降させたヒータ盤41を、受け皿52上に張設されているフィルム12上から押圧する際に、ヒータ盤41の下降を、フィルム12上で一時停止させて、フィルム12を加熱(予熱)する予熱工程を行う機能を有する容器用ヒートシール装置を提供する。
【解決手段】容器11をセットして機筐2内に搬入された受け皿52に対して、上方待機位置から下降させたヒータ盤41を、受け皿52上に張設されているフィルム12上から押圧する際に、ヒータ盤41の下降を、フィルム12上で一時停止させて、フィルム12を加熱(予熱)する予熱工程を行う機能を有する容器用ヒートシール装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用容器の上部開口部を、開口周縁部へのフィルムの熱融着によって密閉する容器用ヒートシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品用容器の上部開口部を開口周縁部へのフィルムを熱融着によって密閉する容器用ヒートシール装置として、機筐側部に開口されたトレー出退口を介して機筐前面側に出退する容器受けトレーによって、フィルムの熱融着前の容器を機筐内に搬入し、機筐内にてフィルムを熱融着した容器を、機筐外へ搬出するタイプのものが提供されている。
このタイプの容器用ヒートシール装置は、小型化が容易であり、設置スペースが小さくて済むことから、例えば、食品を販売する小売店の店頭等への設置に適している。
【0003】
この容器用ヒートシール装置(以下、ヒートシール装置、と略称する場合がある)としては、フィルム原反から巻きだしたフィルムを容器開口部のヒートシールに用いるタイプ(以下、巻きだしタイプ)と、容器の開口周縁部への熱融着によって容器の上部開口部を密閉できる大きさのフィルムを、ヒートシールの度に容器の上部開口部上に載せてヒートシールに用いるタイプ(以下、枚葉タイプ)とがある。
ここで、巻きだしタイプのヒートシール装置は、ヒートシール作業の度に、フィルムをフィルム原反から巻きだして使用すれば良く、枚葉タイプに比べてフィルムの扱いが楽であり、容器に対するフィルムのヒートシール位置のずれも生じにくい、等の利点がある。
巻きだしタイプのヒートシール装置は、容器を載せた容器受けトレーを機筐に収納したときに、フィルム原反から巻きだしたフィルムを容器の上部開口部上を覆うように配置する機構(以下、フィルム配置機構)を具備し、このフィルム配置機構によって容器の上部開口部上に配置したフィルムを、機筐内で昇降されるヒートシール用のヒータ盤で上から容器の開口周縁部に押し付けてヒートシールする構造のものが一般的である(例えば、特許文献1)。また、ヒータ盤を容器に向かって押し付けた際に、ヒータ盤に取り付けられているカッターがフィルムをカットする。
【特許文献1】実開平6−10107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、コーヒー等のホット飲料、スープ類、米飯、パスタといった、温度が高い食品を入れた容器の上部開口部をフィルムでヒートシールする場合、食品から立ち上る湯気にフィルムが曝されてフィルムに微小な液滴が付着し、これがシール力(接着力)の低下の原因になることがある。
シール力の低下に対応するため、従来は、例えば、ヒータ盤でフィルムを容器の開口周縁部に押し付ける時間(シール時間)を長めに確保する等の対策が採られている。
しかしながら、この対策では、フィルムの加熱が過剰になって容器に対するフィルムのシール力が強くなりすぎるケースが生じるなど、シール力の調整が難しいといった問題が新たに発生する。また、容器の開口周縁部に対するフィルムの熱融着部分が目立つ等、の美観上の問題も発生していた。
また、高温食品用の専用の、水蒸気対策を施した特殊なフィルムを使用する案もあるが、フィルムのコストが高く付く上、食品の種類に応じて複数種類のフィルムを交換して使用するとなると交換の手間も掛かるといった問題がある。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みて、温度が高く水蒸気の発生量が多い食品を収納した容器の上部開口部をフィルムでヒートシールする場合であっても、ヒータ盤による容器の開口周縁部に対するフィルムの押し付け時間を延長する、などといった対策を採ることなく、ヒートシールを確実かつ簡単に行える容器用ヒートシール装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
本発明は、ヒータ盤を昇降させるヒータ盤機構と、前記ヒータ盤機構の前記ヒータ盤の昇降を制御する制御部とを具備し、前記ヒータ盤を、前記ヒータ盤の下の容器搬入空間に搬入された容器の上部開口部上に設置されたフィルムの上から前記容器の開口周縁部に押圧して、前記開口周縁部に前記フィルムを熱融着する容器用ヒートシール装置において、前記制御部は、前記容器搬入空間に搬入された容器より上方の待機位置から下降させて前記容器の開口周縁部に押圧する前記ヒータ盤の下降動作を、前記待機位置と容器上に設置されたフィルムとの間に設定したフィルム予熱位置で一時停止させて、フィルムを予熱した後、再開させる、予熱モード制御機能を具備することを特徴とする容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記制御部は、前記ヒータ盤を昇降上限の待機位置から下降させて前記容器の開口周縁部に押圧する際に、前記ヒータ盤をフィルム予熱位置で停止させることなく下降させて、容器の開口周縁部に前記フィルムを熱融着せしめる、予熱無し制御機能と、前記予熱モード制御機能とを具備し、前記予熱無し制御機能と前記予熱モード制御機能とを切り換えるための予熱モードON/OFF切り換えスイッチから入力される制御モード切り換え信号によって、予熱無し制御機能と予熱モード制御機能とが切り換えられることを特徴とする請求項1記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記ヒータ盤機構は、前記ヒータ盤を昇降自在に支持するヒータユニットと、前記ヒータ盤上に突設されてヒータユニット上に突出する押し下げ用突起を押し下げることで前記ヒータ盤を下降させるヒータ押し下げ機構と、前記ヒータ押し下げ機構によって押し下げられた前記ヒータ盤を付勢して待機位置に戻すヒータ盤戻しばねとを具備してなり、前記ヒータ押し下げ機構は、回転駆動されることによって、前記押し下げ用突起を前記ヒータ盤戻しばねの付勢力に抗して押し下げることで前記ヒータ盤を下降させるカムを具備してなることを特徴とする請求項1又は2記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記ヒータ押し下げ機構の前記カムの一方向への回転によって前記ヒータ盤が昇降されるようになっていることを特徴とする請求項3記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記ヒータ盤機構は、機筐に挿脱可能に組み込まれて前記ヒータ盤を昇降自在に支持するヒータユニットと、前記ヒータ盤上に突設されてヒータユニット上に突出する押し下げ用突起を押し下げることで前記ヒータ盤を下降させるヒータ押し下げ機構とを具備し、前記ヒータユニットは、前記機筐内に支持されるカバープレートと、このカバープレートの下側に配置され、前記カバープレートから下方に延出されたガイドバーに昇降自在に取り付けられた前記ヒータ盤と、前記ヒータ押し下げ機構によって押し下げられた前記ヒータ盤を付勢して待機位置に戻すヒータ盤戻しばねとを具備し、前記ヒータ盤戻しばねは、前記ガイドバーに外挿して、前記ヒータ盤と前記ガイドバーの前記ヒータ盤から下方に突出された下端部に設けられたばね受け部との間に介装され、前記ヒータ盤を前記カバープレートに向けて付勢する圧縮コイルばねであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記ヒータユニットは、前記カバープレートの両端の案内突部を、機筐の両側壁部に設けられたヒータユニット案内レールにスライド移動可能に支持して機筐内に組み込まれ、しかも、前記案内突部の前記ヒータユニット案内レールに沿ったスライド移動によって、機筐の前面側に開口するヒータユニット挿脱口から機筐に挿脱可能であり、前記カバープレートに取り付けられた、前記ヒータ盤の通電加熱用の通電コネクタが、前記ヒータユニットの前記機筐に対する挿脱によって、前記機筐内に取り付けられている内部通電コネクタに脱着されるようになっていることを特徴とする請求項5記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記機筐内に搬入された容器の上部開口部上に設置されたフィルムに蒸気孔形成ピンを突き刺して蒸気孔を形成する蒸気孔形成機構を具備することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記蒸気孔形成機構は、前記ヒータユニットに昇降自在に取り付けられた前記蒸気孔形成ピンと、前記ヒータ盤と一体に昇降される部材に取り付けられ、前記蒸気孔形成ピンを下降させるピン下降機構と、このピン下降機構によって下降された蒸気孔形成ピンを付勢して上昇させるピン戻しばねとを具備することを特徴とする請求項7記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、さらに、前記ヒータ盤の下の容器搬入空間に対する容器の搬入及び搬出を行う容器搬送機構を具備することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記容器搬送機構は、前記容器が設置される容器受け部を具備し、支持フレームによって前記ヒータ盤機構を支持した機体の側部から前記ヒータ盤の下の容器搬入空間に送り込まれる容器受けトレーと、ヒートシール用の帯状のフィルムを挟み込む、開閉可能な一対のクリップブロックを具備して構成され、前記容器搬入空間に送り込まれる前記容器受けトレーの前記容器受け部よりも送り込み方向前側に配置されて、前記容器受けトレーとともに一括して前記容器搬入空間に送り込まれるフィルムクリップ機構とを具備し、前記機体に設けられたフィルム誘導部によって前記容器搬入空間の入口に導かれて前記容器受けトレーに上から供給される前記フィルムを挟み込んだ前記フィルムクリップ機構が、前記容器受けトレーとともに前記容器搬入空間に送り込まれることで、前記容器受け部に設置された容器の上部開口部上に前記フィルムが設置されるようになっていることを特徴とする請求項9記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記容器受けトレーが、前記容器搬入空間内で前記容器を支持するシール位置に移動されたときに、前記フィルムが、前記フィルムクリップ機構の一対のクリップブロックと、前記フィルム誘導部の前記容器搬入空間の入口上に位置する終端との間で、上下方向に傾斜して、前記容器の上部開口部上に張設されることを特徴とする請求項10記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ヒータ盤機構の駆動を制御する制御部の予熱モード制御機能により、ヒータ盤の昇降上限の待機位置からの下降動作を、前記待機位置と容器上に設置されたフィルムとの間に設定したフィルム予熱位置で一時停止させて、フィルムを予熱した後、ヒータ盤の下降を再開させ、フィルム上から容器の開口周縁部に押圧して、フィルムを容器の開口周縁部に熱融着することができる。
フィルムの熱融着が可能な温度に加熱したヒータ盤をフィルム予熱位置で停止させてフィルムを加熱(予熱)することで、容器内に高温の食品を収納している場合でも、容器内の食品から立ち上る水蒸気によって微小な液滴がフィルムに付着することを抑制することができる。
このため、ヒータ盤でフィルムを容器の開口周縁部に押さえ込んで熱融着する時間(シール時間)を延長する、といった対策を採らなくても、容器の上部開口部のフィルムによるヒートシールを確実に行える。熱融着時間(シール時間)の過剰によって、フィルムの熱融着部分の美観を損なう、といった不都合も無くなる。
また、水蒸気対策を施した特殊なフィルムを使用するといった対策も不要であり、低コストで、ヒートシールを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施した容器用ヒートシール装置1(以下、ヒートシール装置、と略称する場合がある)について、図面を参照して説明する。
図1はヒートシール装置1の外観を示す斜視図、図2はヒートシール装置1の機筐2を示す正面図、図3はヒートシール装置1の構造を示す分解側面図、図4〜図7はヒートシール装置1の内部構造を示す図であり、図4は容器受けトレー5を機筐2前面側に突出させた状態を示す側断面図、図5は容器受けトレー5を機筐2内に収納した状態を示す側断面図、図6は予熱工程を示す側断面図、図7はシール工程を示す側断面図、図8は図4における容器受けトレー5付近を示す拡大図、図9は図6における容器受けトレー5付近を示す拡大図、図10は図7における容器受けトレー5付近を示す拡大図、図11(a)〜(c)は容器搬送機構3を示す平面図であって、(a)は容器受けトレー5を機筐2内に収納した状態、(b)は容器受けトレー5の前クリップブロック53と後クリップブロック7との間にフィルム12を挟み込んだ状態、(c)は容器受けトレー5を機筐2内に収納した状態、図12は図11(a)のA−A線断面矢視図、図13はヒータユニット42を示す正面図、図14はヒータ盤の下面図、図15は制御機構を示すブロック図である。
【0009】
なお、図1〜図10、図12において、上側を上、下側を下として説明する。
また、図3〜図10において、右側を前、左側を後として説明する。
図11(a)〜(c)においては、上側を前、下側を後として説明する。
また、図2においては、左側を左、右側を右として説明する。
【0010】
図1〜図7に示すように、ヒートシール装置1は、容器11上部の開口周縁部11aにフィルム12を熱融着して、容器11の上部開口部11bを密封するものである。
このヒートシール装置1は、箱形の機筐2に、該機筐2の前面側のトレー出退口21を介して機筐2前面側に出退する容器受けトレー5によって容器11を機筐2の内外に移動する容器搬送機構3と、前記容器受けトレー5によって機筐2内に搬入された容器11の上部の開口周縁部11aに、容器11の上部開口部11b上に配置されたフィルム12の上からヒータ盤41を押圧して前記フィルム12を開口周縁部11aに熱融着するヒータ盤機構4とを組み込んだ概略構成になっている。
【0011】
図4に示すように、ヒータ盤機構4は、ヒータ盤41と、このヒータ盤41を昇降させるヒータ盤昇降機構42とによって構成されており、機筐2の上部に取り付けて機筐2内に設けられている。
機筐2内には、ヒータ盤機構4の下に、容器搬送機構3によって容器11が搬入される容器搬入空間Sが確保されている。
前記機筐2は、本発明に係る支持フレームとして機能する。
ヒータ盤機構4と機筐2とは、ヒートシール装置1の機体1Aを構成する。
【0012】
フィルム12は、容器の開口部のヒートシールに用いられる周知のもので良く、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエチレン、EVA(ethylene vinyl acetate copolymer:エチレン−酢酸ビニル共重合体)からなる3層構造のもの(PETが基材層、ポリエチレンが中間層、EVAがヒートシール用接着層)等、片面にヒートシール用接着層を有する各種構造のものを採用できる。
【0013】
機筐2の上部には、帯状のフィルム12を巻き上げたフィルム原反13を設置するフィルム原反設置部2aが設けられている。
図1、図4に例示したように、前記ヒートシール装置1では、フィルム原反13をダンボール箱等の箱形容器14に収納してなるフィルムボックス15が、機筐2の天板22上に載せられるようになっている。フィルム原反設置部2aは、天板22と、天板22上に取り付けられ、天板22上でのフィルムボックス15の位置ずれを防止する保持枠23とによって構成されている。
なお、フィルム原反設置部2aとしては、例えば、フィルム原反13を直接、回転可能に軸支する構造のものであっても良い。
また、フィルム原反設置部2aの設置位置は、機筐2上部に限定されず、適宜変更可能である。
【0014】
図4に示すように、フィルム原反13のフィルム12は、前記箱形容器14の側壁部にスリット状に開口されたフィルム引出口14aからフィルムボックス15の外側に引き出され、機筐2上部に開口されたフィルム導入口22aから機筐2内に導入され、機筐2前面側に取り付けられたフロントカバー25に沿って上下に延在するようにして機筐2内に通される。フィルム12の下端は、機筐2前面側下部に設けられているトレー出退口21に上から垂れ下げられる。
前記フロントカバー25は、機筐2の前記トレー出退口21の上側に設けられており、機筐2の前面壁を構成する。このフロントカバー25は機体1Aに対して着脱可能であり、取り外すと、機筐2前面側全体が開放されることとなり、機筐2内のメンテナンス等を容易に行える。
【0015】
このヒートシール装置1では、機筐2内に設けられたフィルム案内部材24とフロントカバー25とが、フィルム12を、前記フィルム導入口22aから前記トレー出退口21に導くためのフィルム誘導部26を構成している。フロントカバー25、及び、機筐2内に組み込まれるヒータユニット42(後述)の前端に設けられている壁部材42a、フィルムガイドバー42b(図2、図9参照)もフィルム案内部材として機能している。
図8、図9、図10等に示すように、フィルム誘導部26によって前記フィルム導入口22a(フィルム誘導部26の始端)からトレー出退口21に導かれるフィルム12は、このフィルム誘導部26の、トレー出退口21上に位置する終端に設けられている一対のフィルム案内部材(ここではフロントカバー25下端と、該フロントカバー25下端との間に僅かな隙間を介して設けられているフィルムガイドバー42b)の間に確保した隙間である下端開口部26aからトレー出退口21に垂れ下げられる。
【0016】
(容器搬送機構)
図8〜図11に示すように、容器搬送機構3は、前記容器受けトレー5と、この容器受けトレー5を前後方向に移動するためのトレー駆動機構6と、前記容器受けトレー5に前後方向にスライド移動可能として取り付けられた後クリップブロック7と、この後クリップブロック7を前記容器受けトレー5に対して前側に付勢するクリップスプリング8とを具備して構成されている。
【0017】
(容器受けトレー)
図8〜図11に示すように、容器受けトレー5は、枠状の可動フレーム51と、この可動フレーム51の前端部に取り付けられた受け皿52と、容器受けトレー5の前後方向において受け皿52よりも後側にて前記可動フレーム51に固定された前クリップブロック53とを具備して構成されている。
図2に示すように、この容器受けトレー5は、機筐2の左右両側(図2左右)の側壁部2bの間に設けられる。そして、可動フレーム51が、機筐2の左右両側(図2左右)の両側壁部2bの内面側(両側壁部2bの間の機筐内部空間に臨む側)にそれぞれ設けられたトレー案内レール28に案内されながら、前後方向に移動する。
【0018】
この容器受けトレー5は、可動フレーム51に取り付けられたトレー駆動モータ61(図4、図8、図10等参照)の回転駆動力によって、前記トレー案内レール28に設けられたトレーラックギア28aに噛み合わされたトレー駆動ギア62(ピニオンギア)が回転されることで前後方向に移動される。
トレー駆動モータ61、トレー駆動ギア62、トレー駆動モータ61の駆動力をトレー駆動ギア62に伝達する駆動力伝達系(図中符号63の伝達ギア63を含む)は、前記トレー駆動機構6を構成する。
図8等に例示するように、このヒートシール装置1では、トレー駆動機構6は、容器受けトレー5に設けられている。
但し、トレー駆動機構6としては、容器受けトレー5(詳細には、後述する可動フレーム51)を前後方向に移動して、容器受けトレー5をトレー出退口21から機筐2の前面側に出退できる構成であれば良く、必ずしも容器受けトレー5に設けた構成に限定されず、例えば、機筐2に取り付けたモータの駆動力によって容器受けトレー5を移動する構成のもの等であっても良い。
【0019】
図8、図11に示すように、前記受け皿52は、容器11が挿入される容器挿入孔52aが中央部に開口された枠状の部材である。
ここで採用される容器11は、上部開口部11b(より具体的には容器本体部11dの上端部)から外側に張り出すフランジ状の鍔部11cを有するものである。
容器11は、上部開口部11bが上となる向きで、容器本体部11dを受け皿52の容器挿入孔52aに挿入される。鍔部11cは、前記受け皿52において、容器挿入孔52aの周囲に突設された鍔受け台部52bに載置される。容器本体部11dを容器挿入孔52aに挿入した容器11は、鍔受け台部52bに鍔部11cが下から支承されることで、受け皿52に支持される。
容器挿入孔52aは、容器11の容器本体部11dのみが挿入可能であり、鍔部11cは容器挿入孔52aに入り込まない。
【0020】
図1に示すように、受け皿52は、円形の容器挿入孔52aを有する。鍔受け台部52bは、容器挿入孔52aの外周に沿ったリング状の突起である。但し、容器挿入孔52aの形状は容器11の形状に応じて適宜変更可能であり、例えば、四角形等であっても良い。鍔受け台部52aは、容器挿入孔52aの外周に沿った形状であれば良く、例えば、容器挿入孔52aが受け皿52に形成された四角形の開口部である場合は、この容器挿入孔52aの外周に沿った四角形枠状の突起に形成される。
【0021】
容器11の開口周縁部11aは、容器11の上端部を指し、ここでは特に、フィルム12が熱融着されるシール面を形成する部分を指す。
例えば、図8に例示した容器11の鍔部11cは、容器本体部11dの上端部の外周にフランジ状に突出しており、シール面として機能する平坦な上面11eを有し、容器11の開口周縁部11aとして機能する。
【0022】
受け皿52の鍔受け台部52bは、容器11の開口周縁部11a(詳細には、鍔部11c)を下から支承する。
図10に示すように、ヒータ盤機構4のヒータ盤41でフィルム12を開口周縁部11aに熱融着する際に、鍔受け台部52bが、ヒータ盤41からの押圧力を負担して、開口周縁部11aにフィルム12がしっかりと押さえ込まれるようにする機能を果たす。
また、図示例の容器11の鍔部11cは、外周部から下方に突出する垂下部11gを有している。図8等に示すように、この垂下部11gは、容器11の容器本体部11dを、受け皿52の鍔受け台部52bの内側の容器挿入孔52aに挿入したときに、リング状の鍔受け台部52bの外側に配置される。垂下部11gは開口周縁部として機能しない。
容器11としては、垂下部11gを有していないものも採用可能である。
【0023】
容器受けトレー5の可動フレーム51は、トレー案内レール28上に載せられる左右のトレーレール51aを、複数の連結枠材51bで連結してなる、枠体である。
この可動フレーム51は、左右のトレーレール51aがトレー案内レール28に案内されながら、機筐2に対して前後方向にスライド移動する。
【0024】
受け皿52は、鍔受け台部52bが突設されている側の面(上面52c)が上となる向きで、左右のトレーレール51aに架け渡して、可動フレーム51に脱着可能に取り付けられている。
図8、図10に例示した容器受けトレー5では、受け皿52は、可動フレーム51の前端部に固定されたトレー前カバー54の後面54aに当接させて、可動フレーム51に取り付けられる。
【0025】
容器搬送機構3は、容器受けトレー5の前後方向への移動によって、受け皿52全体が機筐2前面側(機筐2の外側)に配置される位置(図4、図8における受け皿52の位置。以下、容器脱着位置。符号5A)と、受け皿52が機筐2内で昇降されるヒータ盤41の直下に配置されるシール位置(図5、図10における受け皿52の位置。符号5B)とを切り換えることができる。
容器受けトレー5が前記トレー出退口21から機筐2の前面側に突出されて容器脱着位置に配置されると、受け皿52に対する容器11の脱着を自由に行える。
容器受けトレー5がシール位置に配置されると、トレー前カバー54によって、機筐2のトレー出退口21が閉じられる。
【0026】
(後クリップブロック・クリップスプリング)
図11(a)〜(c)、図12に示すように、容器搬送機構3の後クリップブロック7は、受け皿52よりも後側にて容器受けトレー5の前後方向にスライド移動可能に設けられている。この後クリップブロック7は、前後方向のスライド移動によって、容器受けトレー5の前クリップブロック53に対して開閉でき、前クリップブロック53に対して閉じたときに、前クリップブロック53との間にフィルム12を挟み込むことができる。
前クリップブロック53と後クリップブロック7とは、前記容器受けトレー5の前後動によって開閉し、閉じたときに前記フィルム12を挟み込むフィルムクリップ機構を構成する。
【0027】
図8、図12に示すように、後クリップブロック7は、前クリップブロック53の後側にて、容器受けトレー5の可動フレーム51の左右のトレーレール51aに案内されて、容器受けトレー5に前後可能に設けられている。
可動フレーム51の左右のトレーレール51aは、後クリップブロック7の、可動フレーム51に対する前後方向の移動を案内する案内レールとして機能する。
図11、図12では、案内レールの具体例として、案内溝51dが前後方向に延在形成されたトレーレール51aを例示した。図11、図12に例示した構成では、後クリップブロック7は、該後クリップブロック7の左右両端に突設されているガイド用突起75を、案内溝51dに前後可能に挿入しており、ガイド用突起75が案内溝51d案内されて、可動フレーム51に対して前後方向にスライド移動するようになっている。
なお、後クリップブロック7を、可動フレーム51に対して前後方向にスライド移動可能に案内するための案内レールとしては、上述の案内溝51d付きのトレーレール51aに限定されず、例えば、案内溝付きの部材を、別途、可動フレーム51に取り付けた構成であっても良い。
【0028】
前記後クリップブロック7は、具体的には、前面側にて前クリップブロック53に対面配置される挟持板部71bを具備する後クリップ本体71と、この後クリップ本体71の左右両側(図11(a)〜(c)、図12の左右)に突設されたストッパ片72とを具備して構成されている。
後クリップ本体71は、左右のトレーレール51a上に架設状態に設けられるプレート状の本体プレート部71aと、この本体プレート部71aの前端に設けられた前記挟持板部71bとを有している。
前記ガイド用突起75は、後クリップ本体71の本体プレート部71aの左右両端部から、下方に突設されている。
【0029】
前クリップブロック53及び後クリップブロック7(詳細には後クリップ本体71)は、帯状のフィルム12の幅寸法よりも若干大きい左右方向寸法を有しており、帯状のフィルム12を挟持するための面積を充分に確保できる。
なお、図8、図10に示すように、本実施形態に係る容器搬送機構3においては、後クリップブロック7の挟持板部71b及び前クリップブロック53の互いに対向する面に、ラバー74、53bが取り付けられ、このラバー74、53bによって、後クリップブロック7の挟持板部71b及び前クリップブロック53の互いに対向するフィルム挟持面53a、71cが形成されている。
図8、図10に例示したクリップブロック53、7では、挟持したフィルム12を、フィルム12の滑り防止用のラバー53b、74によって強固に固定できる。
但し、ラバー53b、74は省略可能である。
【0030】
前記ストッパ片72は、機筐2の両側壁部2bの内面側に突設されているクリップストッパ2cに後側から当接されることで、後クリップブロック7の機筐2前側への移動を規制する機能を果たす。
後クリップブロック7は、ストッパ片72が機筐2のクリップストッパ2cに当接する位置が、可動範囲前端位置である。
【0031】
図8、図11等に示すように、図示例の容器搬送機構3において、クリップスプリング8は、可動フレーム51に固定されたスプリング受け壁55kと、後クリップブロック7の内の前記スプリング受け壁55kよりも前側に位置する部分との間に配置された圧縮コイルばねであり、スプリング受け壁55kに反力を取って後クリップブロック7を前側に付勢する。図8、図11等において、スプリング受け壁55kは、可動フレーム51に複数設けられている連結枠材51bの1つ(受圧用連結部材51e)に固定されている。
前記クリップスプリング8は、中心軸方向を前後方向に揃えて、容器搬送機構3に組み込まれている。
【0032】
前記容器搬送機構3において、具体的には、クリップスプリング8は、前記スプリング受け壁55kと、後クリップブロック7の挟持板部71bとの間に配置されている。ここで、スプリング受け壁55kと、後クリップブロック7の挟持板部71bとは、スプリング受け部として機能する。
なお、後クリップブロック7において、クリップスプリング8の前端によって押圧されるスプリング受け部は、スプリング受け壁55kよりも前側に位置する部分であれば良く、前記挟持壁部71bに限定されない。
【0033】
前記容器搬送機構3においては、前クリップブロック53と後クリップブロック7が閉じ合わされたときに、スプリング受け壁55kと後クリップブロック7のスプリング受け部(図示例では挟持壁部71b)との間の離隔距離L(図10参照)が最大となる。
クリップスプリング8の長さ(引っ張りや圧縮といった外力が作用していない定常状態における軸方向寸法)は、前クリップブロック53と後クリップブロック7が閉じ合わされたときのスプリング受け壁55kと後クリップブロック7のスプリング受け部(図示例では挟持壁部71b)との間の離隔距離Lよりも長く、クリップスプリング8は、スプリング受け壁55kと後クリップブロック7のスプリング受け部との間に圧縮して介装してある。このため、クリップスプリング8は、圧縮状態が常時保たれており、後クリップブロック7に前後方向前側への付勢力を常時作用させる。
【0034】
容器搬送機構3では、図4、図8、図11(a)に示すように、容器受けトレー5が容器脱着位置にあるときに、クリップスプリング8の付勢力によって、後クリップブロック7のストッパ片72が機筐2のクリップストッパ2cに押し当てられ、しかも、後クリップブロック7の後クリップ本体71(詳細には挟持板部71b)と前クリップブロック53との間に隙間Cが確保される。この隙間Cは、既述のフィルム誘導部26の下端開口部26aの真下に位置している。このため、フィルム原反13から巻き出されてフィルム誘導部26の下端開口部26aからトレー出退口21に垂れ下げられたフィルム12を、隙間Cに挿入することは容易である。
【0035】
フィルム原反13から巻き出されたフィルム12の端部を前記隙間Cに配置し、トレー駆動機構6によって、容器受けトレー5を容器脱着位置からシール位置(図5、図7、図10、図11(c)の容器受けトレー5の位置)に向かって移動すると、前クリップブロック53が後クリップブロック7に次第に接近して、後クリップブロック7の後クリップ本体71(詳細には挟持板部71b)との間にフィルム12を挟み込み(図11(b)の状態)、後クリップブロック7を押圧するようになる。このとき、フィルム12は、クリップスプリング8の付勢力によって、前後のクリップブロック53、7の間にしっかりと挟み込まれる。
【0036】
前後のクリップブロック53、7の間にフィルム12が挟み込まれた後、さらなる、容器受けトレー5の移動(前後方向後側への移動)の継続によって、容器受けトレー5と後クリップブロック7が一体となって前後方向後側へ移動する。この移動は、シール位置に到達したところで移動を停止する(図11(c)参照)。
容器受けトレー5によって押圧された後クリップブロック7が前後方向後側への移動を開始すれば、後クリップブロック7のストッパ片72が、機筐2側のクリップストッパ2cから後方へ離れることは言うまでも無い。
なお、後クリップブロック7について、容器受けトレー5がシール位置にあるときの位置が、可動範囲後端位置である。
【0037】
容器受けトレー5の移動の停止は、例えば、容器受けトレー5がシール位置に到達したことを検知するセンサ(例えば図4のトレーINセンサ502)からの検知信号によって、クリップ駆動機構6のトレー駆動モータ61の駆動を停止することによって行う。
トレー駆動モータ61としては、例えば、駆動用電流が給電されていないときに、出力軸を回転させようとする外力の作用に対して出力軸の回転を規制するブレーキ力が働く、DCモータを採用する。この場合、容器受けトレー5がシール位置に到達したことを検知したセンサからの検知信号によって、トレー駆動モータ61の駆動用電流の給電を停止することで、トレー駆動モータ61自体を、容器受けトレー5のシール位置からの位置ずれを防止する位置ずれ防止手段として機能させることができる。
また、シール位置に達した容器受けトレー5を、容器上部開口部12へのフィルム12のヒートシールが完了するまで、シール位置から位置ずれしないように停止させておくための位置ずれ防止手段としては、例えば、容器受けトレー5を磁気吸着力によって固定して移動を規制する電磁石を用いたもの等、様々なものを採用できる。
なお、容器搬送機構には、容器受けトレー5を容器脱着位置から位置ずれしないように停止させておく位置ずれ防止手段も設ける。この位置ずれ防止手段も、容器受けトレー5を容器脱着位置から位置ずれしないように停止させておく位置ずれ防止手段と同様のものを採用できる。
【0038】
図8、図10を参照して判るように、容器受けトレー5が容器脱着位置にあるとき(図8等参照)は、容器受けトレー5がシール位置にあるときに比べて、スプリング受け壁55kと後クリップブロック7のスプリング受け部(図示例では挟持壁部71b)との間の離隔距離Lが小さくなる。これは、容器受けトレー5がシール位置から容器脱着位置に移動したときに、後クリップブロック7がストッパ2cで止められて、それ以上、前方に移動できないために、前後のクリップブロック53、7間に隙間Cが確保され、この隙間Cの形成による前後のクリップブロック53、7間の離隔距離Lcに相当する長さだけ、スプリング受け壁55kと後クリップブロック7のスプリング受け部(図示例では挟持壁部71b)との間の離隔距離Lが小さくなるためである。
【0039】
前記容器搬送機構3では、スプリング受け壁55kと後クリップブロック7のスプリング受け部との間に圧縮介装されたクリップスプリング8の付勢力が、前後のクリップブロック53、7の間にフィルム12を挟持する挟持力として作用するため、前後のクリップブロック53、7の間にフィルム12がしっかりと挟み込まれた状態が確実に維持される。
クリップスプリング8の付勢力によって前後のクリップブロック53、7の間にフィルム12がしっかりと挟み込まれた状態は、容器脱着位置からシール位置へ容器受けトレー5を移動するときのみならず、フィルム12の熱融着による容器11のシール作業を完了した後に、シール位置から容器脱着位置へ容器受けトレー5を移動する場合でも、後クリップブロック7がクリップストッパ2cに当接するまで維持される。
【0040】
容器受けトレー5を容器脱着位置からシール位置に移動すると、フィルム12が、フィルム誘導部26の下端開口部26aから引き出され、受け皿52上に張設される。
容器脱着位置にて受け皿52に容器11を設置した容器受けトレー5をシール位置に移動すれば、フィルム12が、受け皿52に支持されている容器11の開口周縁部11a上に張設され、容器11の上部開口部11bを覆うように配置される。
【0041】
つまり、この容器搬送機構3であれば、機筐2の前面側に突出された容器受けトレー5が機筐2内に収納される動作によって、ヒートシール用のフィルム12が、受け皿52に設置されている容器11上に、自動的に張設される。
このため、このヒートシール装置1によれば、例えば既述の特許文献1のように、フィルムの挟み忘れや、挟持操作ミスが生じることは無く、フィルムを受け皿52に設置されている容器11上に確実に配置することができる。そもそも、容器11上にフィルム12を張設するための特別な作業が不要であり、極めて簡単な操作で、容器11上にフィルム12を張設できる。
【0042】
(ヒータ盤機構)
図4に示すように、ヒータ盤機構4は、ヒータ盤41が取り付けられているヒータユニット42と、ヒータユニット42のヒータ盤41を下降させて受け皿52に向けて押圧するためのヒータ押し下げ機構43とを具備して構成されている。
【0043】
図2、図3に示すように、ヒータユニット42は、機筐2の左右両側壁部2bの内面側に設けられたヒータユニット案内レール29に支持して機筐2内に収納される。また、このヒータユニット42は、ヒータユニット案内レール29に沿って前後方向にスライド移動でき、機筐2前面側から機筐2に対して挿脱できる。
機筐2の前面壁24には、ヒータユニット42を機筐2に対して挿脱するためのヒータユニット挿脱口24aが開口されている。このヒータユニット挿脱口24aは、フロントカバー25の開閉によって開閉される。
【0044】
図3、図8等に示すように、ヒータユニット42は、左右のヒータユニット案内レール29に前後方向に移動可能に支持されるカバープレート44と、このカバープレート44から下側に突出されたガイドバー44aに昇降自在に取り付けられたヒータ盤41と、このヒータ盤41をカバープレート44に向けて付勢するためのヒータ盤戻しばね45とを具備して構成されている。
図示例のヒータユニット42は、さらに、前記カバープレート44に昇降可能として取り付けられた蒸気孔形成ピン46と、ヒータ押し下げ機構43に設けられたピン下降機構47によって下降された蒸気孔形成ピン46を上昇させるためのピン戻しばね48(具体的には、引きばねとして機能するコイルばね)も、具備した構成になっている。
【0045】
図2に示すように、ヒータユニット42は、カバープレート44の左右両端部である案内突部44bを左右のヒータユニット案内レール29上に載せることで、左右のヒータユニット案内レール29に前後方向に移動可能に支持される。
案内突部44bは、ヒータユニット42の左右両側に突出する突片状になっている。
【0046】
図3、図13に示すように、カバープレート44上には、ヒータ盤41に設けられているヒータプレート41bに通電するための通電コネクタ44cが取り付けられている。ヒータプレート41bは、通電によって加熱される。
この通電コネクタ44cは、機筐2前面側から機筐2内に挿入したヒータユニット42を左右のヒータユニット案内レール29に沿って機筐2後側に向けて押し込んでいくことで、機筐2内に固定されている内部通電コネクタ2d(図3参照)と嵌合して、電気的に接続される(図10参照)。内部通電コネクタ2dには、ヒートシール装置1の外部の電源(図示略)と電気的接続するための通電コード2e(図3参照)が接続されている。したがって、通電コネクタ44cと内部通電コネクタ2dとの接続によって、ヒータ盤41のヒータプレート41bを、ヒートシール装置1の外部の電源(図示略)と接続できるようになる。
通電コネクタ44cは内部通電コネクタ2dに対して脱着自在であり、ヒータユニット42を機筐2から前面側に引き出すと、通電コネクタ44cが内部通電コネクタ2dから引き抜かれ、接続が解除される。
ヒータユニット42が機筐2に対して挿脱可能であることは、容器11の形状や材質等に対応するためのヒータ盤41の交換や、ヒータユニット42自体あるいは装置1内部のメンテナンスに有利である。
【0047】
図14は、ヒータ盤41を示す下面図である。
図8、図10、図14に示すように、ヒータ盤41は、カバープレート44に固定されているガイドバー45に案内されながら昇降するヒータ盤ベースプレート41aと、リング状の前記ヒータプレート41bと、リング状フィルム押さえ41cと、リング状カッター41dと、ストレートフィルム押さえ41eと、ストレートカッター41fとを具備している。
ヒータプレート41bと、リング状フィルム押さえ41cと、リング状カッター41dと、ストレートフィルム押さえ41eと、ストレートカッター41fとは、ヒータ盤ベースプレート41aの下面側に固定されている。
リング状カッター41dとストレートカッター41fとは、ヒータ盤41を下降させて、シール位置に配置されている受け皿52に押し付けたときに、受け皿52上に配置されているフィルム12を切断するものである。
【0048】
ストレートフィルム押さえ41eとストレートカッター41fとは、ヒータ盤ベースプレート41aの前後方向前側の端部に固定して、左右方向に延在配置されている。ストレートフィルム押さえ41eは、ストレートカッター41fの前後方向前側にて、ストレートカッター41fに近接配置されている。
ヒータプレート41bと、リング状フィルム押さえ41cと、リング状カッター41dとは、ストレートフィルム押さえ41e及びストレートカッター41fよりも前後方向後側にて、ヒータ盤ベースプレート41aに固定されている。
【0049】
ヒータプレート41bと、リング状フィルム押さえ41cと、リング状カッター41dとは、同心円状に配置されている。
リング状カッター41dは、リング状のヒータプレート41bの外側に配置され、リング状フィルム押さえ41cはリング状カッター41dの外側に配置されている。
但し、図示例のヒータ盤41では、リング状フィルム押さえ41cとリング状カッター41dとは、ヒータ盤ベースプレート41aの前後方向前側の端部付近で不連続になっている概略C形になっている。リング状フィルム押さえ41c及びリング状カッター41dの延在方向両端は、ストレートカッター41fに近接配置されている。また、ヒータ盤ベースプレート41aの前後方向前側の端部付近では、ヒータプレート41bの外周部も、ストレートカッター41fに近接配置されている。
【0050】
図8、図10等に示すように、ヒータ盤ベースプレート41aには、ヒータプレート41bの該ヒータ盤ベースプレート41aに対する上下動を案内するためのヒータプレートガイドバー41gが昇降自在(上下動自在)に設けられている。
前記ヒータプレートガイドバー41gは、ヒータ盤ベースプレート41aに形成された貫通孔であるガイドバー挿通孔41hに上下動自在に挿入されている。
ヒータプレートガイドバー41gの、ヒータ盤ベースプレート41a上に突出される上端部には、ヒータ盤ベースプレート41aに上から当接される抜け止め突起41g1が突設されている。
ヒータプレート41bは、前記ヒータプレートガイドバー41gの下端に固定されており、これによりヒータ盤ベースプレート41aに対して、ヒータプレートガイドバー41gと一体に上下動するようになっている。
図13、図14において、符号41g2は、ヒータプレートガイドバー41gの下端にヒータプレート41bを固定する止めねじである。
また、ヒータプレート41bは、ヒータプレートガイドバー41gに外挿してヒータプレート41bとヒータ盤ベースプレート41aとの間に介装された圧縮コイルばね41iによって、ヒータ盤ベースプレート41aに対して下方に付勢されている。
【0051】
図8、図10、図14に示すように、ヒータ盤ベースプレート41aの複数箇所には、カバープレート44から下側に突設されたガイドバー44aを通すためのガイドバー挿通孔41jが形成されている。但し、図14に示すように、ガイドバー44a及びガイドバー挿通孔41jは、ヒータ盤41aにおいて、リング状フィルム押さえ41cの外側に位置位置しており、ガイドバー44aは、ヒータプレート41b、リング状フィルム押さえ41c、リング状カッター41dと干渉しない。
ガイドバー44aのカバープレート44上に突出する上端には、カバープレート44に上から当接されることで、ガイドバー44aのカバープレート44から下方への移動を規制する抜け止め突起44a1が突設されている。
図示例のガイドバー44aはカバープレート44に対して上下動可能であるが、ガイドバー44aは上端をカバープレート44に固定しておいても良い。
ヒータ盤ベースプレート41aは、カバープレート44の下側にて、複数のガイドバー挿通孔41jにそれぞれ通されたガイドバー44aに案内されながら、カバープレート44に対して上下動する。
【0052】
各ガイドバー44aには、ヒータ盤戻しばね45が外挿されている。
ヒータ盤戻しばね45は、各ガイドバー44aに外挿して、ガイドバー44aの下端に鍔状に突設されているばね受け部44dとヒータ盤ベースプレート41aとの間に介装された圧縮コイルばねであり、ヒータ盤ベースプレート41aをカバープレート44に向けて付勢している。
【0053】
符号44gは、ヒータ盤ベースプレート41aに固定されたベアリングであり、前記ガイドバー44aに沿った昇降を円滑にする。
前記ベアリング44gは、ヒータ盤ベースプレート41aの下面側に固定されている。
ヒータ盤戻しばね45は、具体的には、上端がベアリング44gに押し当てられており、ベアリング44gと、ガイドバー44a下端のばね受け部44dとの間に介装されている。
【0054】
ヒータ盤ベースプレート41a上には、ヒータ押し下げ機構43によって該ヒータ盤ベースプレート41aを下方に押し下げるための押し下げ用突起41kが突設されている。
図示例のヒータユニット42において、押し下げ用突起41kはピン状であり、カバープレート44の押し下げ用突起挿通孔44eに上下動可能に通され、カバープレート44上に突出されている。
図14中、符号41k1は、押し下げ用突起41kをヒータ盤ベースプレート41aに固定するための止めねじである。
押し下げ用突起41kは、ヒータ盤41aにおいて、リング状フィルム押さえ41cの外側の複数箇所に突設されている。
【0055】
図3、図8に示すように、ヒータユニット42は、ヒータ盤戻しばね45の付勢力によって、ヒータ盤ベースプレート41aがカバープレート44に当接されるようになっている(但し、ヒータ盤ベースプレート41aとカバープレート44との間を離隔させる外力(例えば、押し下げ用突起41kをカバープレート44の下側に向けて押し込む押圧力など)が何等作用していないとき)。
このため、例えば、ヒータユニット42を、機筐2前面側から、機筐2に対して挿脱するときなどでは、ヒータ盤ベースプレート41aとカバープレート44とが一体となった状態が安定に維持されるため、挿脱作業を容易に行える、等の利点がある。
【0056】
また、このヒータユニット42では、押し下げ用突起41kをカバープレート44上からカバープレート44の下側に向けて押し込むと、ヒータ盤41全体がカバープレート44に対して下方に離隔する。
押し下げ用突起41kの押圧力を解除すると、ヒータ盤戻しばね45の付勢力によって、ヒータ盤ベースプレート41aがカバープレート44に当接された状態に戻ることは言うまでも無い。
【0057】
ヒータ押し下げ機構43は、機筐2上部に設けられたモータ43a(図3参照。以下、カムモータとも言う)と、このカムモータ43aによって回転される駆動シャフト43eに固定され、この駆動シャフト43eと一体的に回転するカム43b(偏心カム。図3参照)と、このカム43bの下側に昇降自在に配置されたプレスバー43cとを具備して構成され、機筐2上部に組み込まれている。
カム43bは、前記プレスバー43cに当接される円形の外周面(摺接面43b1。外周面の「円形」は、カムの回転軸線に対する垂直断面における外周面形状)を有する筒状(あるいは円柱状)の部材である。このカム43bは、円形の摺接面43b1の中心を駆動シャフト43eの中心からずらして駆動シャフト43eに取り付けられている。カム43bは、駆動シャフト43eの回転によって、駆動シャフト43eと一体に、ヒータ盤41の昇降方向に垂直の軸線回りに回転し、その結果、駆動シャフト43eから下方への突出寸法が増減するようになっている。
なお、以下、カム43bについて、駆動シャフト43eから下方への突出寸法が最小の向きになっている状態(図4、図5の状態)を「上突出位置」、駆動シャフト43eから下方への突出寸法が最大の向きになっている状態(図7、図10の状態)を「下突出位置」と称することとする。
【0058】
図5等に示すように、機筐2内に組み込まれたヒータユニット42(詳細にはヒータユニット42のカバープレート44)上に突出する押し下げ用突起41kは、ヒータ押し下げ機構43のプレスバー43cの下に配置される。プレスバー43cは、押し下げ用突起41kの上端に上から当接される。
押し下げ用突起41k上に載せられたプレスバー43cは、押し下げ用突起41kを上方付勢するヒータ盤戻しばね45の付勢力によってカム43bに下から押圧される。
このヒータ盤機構4では、ヒータ押し下げ機構43のカムモータ43aの駆動によってカム43bが回転されることで、プレスバー43cが、押し下げ用突起41kと一体的に昇降する。これにより、ヒータユニット42のヒータ盤41が昇降される。
【0059】
このヒートシール装置1では、容器受けトレー5が容器脱着位置にあるとき、カム43bは上突出位置にある(図4)。
容器脱着位置から移動された容器受けトレー5がシール位置に到達した後、ヒータ盤機構4のカムモータ43aが駆動されて、ヒータ盤41の下降が開始される。ヒータ盤41の下降は、前記ヒータ盤戻しばね45の付勢力に抗して、プレスバー43cが押し下げ用突起41kを下方に押し下げることによってなされる。カム43bが下突出位置に至る所が、ヒータ盤41の下限位置(昇降下限位置)となる(図7)。
ヒータ盤41が昇降下限位置に到達したときには、ヒータ盤41のヒータプレート41bが、容器受けトレー5の受け皿52にセットされている容器11の開口周縁部11aに、容器11上に張設されたフィルム12上から押圧される。これにより、容器11の開口周縁部11aに対するフィルム12の熱融着が行われる。ヒータ盤41が昇降下限位置にある状態(カム43bが下突出位置)は、予め設定しておいた所定時間だけ維持し、熱融着が確実に行われるようにする。
【0060】
容器11の開口周縁部11aに対するフィルム12の熱融着の完了後、カムモータ43aの駆動によってカム43bが回転され、上突出位置に至る。これにより、ヒータ盤41が、ヒータ盤戻しばね45の付勢力によって、上方に押し上げられる。押し下げ用突起41k及びプレスバー43cも上方に押し上げられる(図5)。
ヒータ盤41の昇降は、カム43bが上突出位置にあるときの位置が、上限位置(昇降上限位置)である。
ヒータ盤41が昇降上限位置に到達した後、容器受けトレー5がシール位置から容器脱着位置に移動される(図4)。
このヒータ盤機構4では、シール位置にある受け皿52にセットされている容器11にフィルム12をヒートシールするとき(シール動作時)以外は、カム43bは上突出位置にあり、ヒータ盤41が昇降上限位置に支持される。
【0061】
図2、図8、図10等に示すヒータ盤機構4では、ヒータユニット42上の複数箇所に突出されている押し下げ用突起41kが、プレスバー43cで一括して下方に押し下げられて、ヒータ盤41を、受け皿52に対して均等に押圧できる。
なお、カム43bの外周面は、プレスバー43c上に突設されているカム当接台43dに摺接されるようになっている。
【0062】
図10等に例示したヒータ盤機構4のカム43bは、回転中心からの突出寸法が最大の箇所と最小の箇所とが、回転中心を介して反対側に位置する形状になっている。
したがって、カム43bの180°回転で、プレスバー43cの、上方待機位置と押し下げ限界位置とが切り換えられるようになっている。
但し、回転中心からの突出寸法が最大の箇所と最小の箇所とが、回転中心を介して反対側に位置する形状のカムは、図示例の円形外周面を有するものに限定されず、例えば、楕円形外周面を有するもの等も採用可能である。
【0063】
ヒータ盤機構4は、カム43bの180°反転を繰り返して、プレスバー43cを上方待機位置と押し下げ限界位置との間で昇降させるように構成しても良いが、カム43bが一方向にのみ回転駆動されることで、プレスバー43cの位置を上方待機位置と押し下げ限界位置とに切り換えるように構成することが好ましい。この場合、カムの回転方向の反転の際の振動発生を抑制できるとともに(振動防止は、フィルム12の位置ずれ防止に寄与する)、ヒータ盤機構4の駆動制御の簡易化、低コスト化を図ることができる。
【0064】
カム43bの180°反転によってプレスバー43cを昇降させる構成では、カム43bの回転方向の反転時にモータ43aからカム43bまでの駆動力伝達系で生じるバックラッシュが、容器11に対する熱融着直後のフィルム12の接着状態に悪影響を与えたり、フィルム12の皺の原因になることを回避するため、駆動力伝達系の構成部品の精度要求を厳しくする等の対策が必要となる場合がある。
カム43bを一方向にのみ回転駆動して、プレスバー43cの位置を上方待機位置と押し下げ限界位置とに切り換える構成であれば、カム43bの回転方向の反転時に、モータ43aからカム43bまでの駆動力伝達系で生じるバックラッシュに起因する不都合の発生を回避でき、フィルム12によるシール性の確保、熱融着部分の美観確保等の点で有利である。
【0065】
(蒸気孔形成機構)
図8、図9、図10に示すように、ヒータユニット42のカバープレート44に昇降可能として取り付けられた蒸気孔形成ピン46と、ヒータ押し下げ機構43に設けられたピン下降機構47と、ピン下降機構47によって下降された蒸気孔形成ピン46を上昇させるためのピン戻しばね48(具体的には、引きばねとして機能するコイルばね)とは、容器脱着位置からシール位置への容器受けトレー5の移動によって容器11の上部開口部11b上に張設されたフィルム12に蒸気孔を形成する蒸気孔形成機構49を構成する。
【0066】
蒸気孔形成機構49は、蒸気孔形成ピン46下端の針状部46aをフィルム12に突き刺すことでフィルム12に蒸気孔を形成する。
この蒸気孔は、容器11内に収納物から発生する水蒸気(湯気。例えば、ホットコーヒー、スープ類等の、温度の高い飲料あるいは食品から発生する)を通過させて容器11の外に排出し、かつ、液体を漏出させない、微細孔である。
【0067】
ピン下降機構47は、具体的にはソレノイドである。
このピン下降機構47は、ヒータ押し下げ機構43のプレスバー43cに取り付けられており、プレスバー43cと一体的に昇降する。
このピン下降機構47は、プランジャ47aを突出させることで、ヒータユニット42に昇降可能に設けられた蒸気孔形成ピン46を下降させて、蒸気孔形成ピン46下端の針状部46aを、容器11の上部開口部11b上に張設されたフィルム12に突き刺す機能を果たすものである。
このピン下降機構47としては、通電によってプランジャ47aを突出させるソレノイドに限定されず、例えば、エアシリンダ、油圧シリンダ等も採用可能であるが、応答速度が良好(応答速度が速い)である点、ヒートシール装置の小型化、低コスト化で有利である点で、ソレノイドの採用が適している。
【0068】
図10、図13、図14に示すように、蒸気孔形成ピン46は、ヒータ盤41のヒータ盤ベースプレート41aにおいてリング状のヒータプレート41bの内側に位置する部分に形成されたピン用貫通孔41m(図14参照)と、ヒータユニット42のカバープレート44に形成されたピン用貫通孔44f(図8参照)とに通して、ヒータユニット42に昇降自在に設けられている。
この蒸気孔形成ピン46は、カバープレート44のピン用貫通孔44fからカバープレート44上に突出する上端部が、ピン下降機構47によって下押しされる。
また、蒸気孔形成ピン46の、ヒータ盤ベースプレート41aから下方に突出する下端の針状部46aは、受け皿52上に張設されたフィルム12の内、容器11上に張設された部分(具体的には容器11の開口周縁部11aで囲まれる内側領域上に張設された部分)に突き刺される。
【0069】
コイルばねであるピン戻しばね48は、蒸気孔形成ピン46に外挿して、カバープレート44の下側に配置されている。
このピン戻しばね48の上端はカバープレート44に連結され、下端は蒸気孔形成ピン46に連結されている。
ピン戻しばね48は、蒸気孔形成ピン46がピン下降機構47(ソレノイド)によって下降されたときに引き延ばされる。ピン下降機構47は、ピン戻しばね48の付勢力に抗して、蒸気孔形成ピン46を下降させる。
その後、ピン下降機構47(ソレノイド)への通電がOFFになると、ピン戻しばね48の付勢力によって、蒸気孔形成ピン46が迅速に上昇される。このとき、ソレノイドであるピン下降機構47のプランジャ47aも、ピン戻しばね48の付勢力によって、蒸気孔形成ピン46に押圧されて押し上げられる。
フィルム12に突き刺した蒸気孔形成ピン46が上昇によってフィルム12から引き抜かれることで、蒸気孔が開口されて、蒸気孔から、容器11内の水蒸気を放出させることができる。
【0070】
(制御機構)
次に、前記ヒートシール装置1に係る制御機構の一例を説明する。
図15はヒートシール装置1の制御系を示すブロック図である。
図15に示すように、ヒートシール装置1の各機構(例えば、容器搬送機構3、ヒータ盤機構4)は、制御部16に接続されており、その駆動が制御部16によって制御される。図2に示すように、制御部16は機筐2に組み込まれている。
【0071】
図15に示すように、制御部16には、信号入力用の入力部16aと、信号出力用の出力部16bとが設けられている。
制御部16の入力部16aには、容器受けトレー5が容器脱着位置に配置されたことを検知するトレーOUTセンサ501(図5参照)と、容器受けトレー5がシール位置に配置されたことを検知するトレーINセンサ502(図4参照)と、容器受けトレー5に搭載された容器検出センサ93と、予熱モード制御のON/OFF切り換え用の予熱モード制御ON/OFF切り換えスイッチSW(以下、予熱モードスイッチ、とも言う)とが接続されている。
制御部16の出力部16bには、容器搬送機構3のトレー駆動モータ61と、ヒータ盤機構4のカムモータ43aと、運転表示ランプP1と、異常報知アラーム音発生用のスピーカP2とが接続されている。
【0072】
(シール工程)
このヒートシール装置1によって、未シールの容器11(フィルム12の熱融着による上部開口部11bの封止を行う前の容器11)の上部開口部11bの開口周縁部11aにフィルム12を熱融着して、上部開口部11bを封止したシール済み容器を得る動作(シール工程)は、以下の(1)〜(3)の工程で構成されている。
(1)容器脱着位置に配置された容器受けトレー5の受け皿52にセットされた未シールの容器11が、容器受けトレー5の容器検出センサ93で検出されたときに、トレー駆動機構6の駆動によって、自動的に、容器受けトレー5を容器脱着位置からシール位置に移動させる容器搬入工程。
(2)容器搬入工程の完了後、ヒータ盤機構4が、昇降上限位置(図4、図8に示すヒータ盤41の位置。以下、ヒータ盤上方待機位置とも言う。)にあったヒータ盤41を下降させ、容器11上に、上部開口部11bを塞ぐように設けられたフィルム12を、容器11の開口周縁部11aに熱融着する(ヒートシール)するヒートシール工程。
(3)ヒートシール工程の完了後、トレー駆動機構6の駆動によって、容器受けトレー5を容器脱着位置に移動させる、容器搬出工程。
【0073】
但し、このヒートシール装置1では、後述する予熱モード制御のON、OFFの切り替えが可能である。
予熱モード制御をONにした場合は、ヒートシール工程は、ヒータ盤41の下降を、受け皿52上に張設されているフィルム12から僅かに離隔した上側に設定された予熱位置(図6、図9に示すヒータ盤41の位置)で、予め設定された時間(予熱時間)だけ停止させて、フィルム12を加熱(予熱)する予熱工程と、予熱工程の完了後、蒸気孔形成機構49を駆動して、容器11の上部開口部11b上に張設されたフィルム12に蒸気孔(微細孔)を穿孔する蒸気孔形成工程とを含む。この場合は、予熱工程の完了後、ヒータ盤41の下降を再開して、受け皿52に向かって押圧して、容器11の開口周縁部11aに対するフィルム12の熱融着を行う(予熱モード制御機能)。蒸気孔形成工程は、ヒータ盤41をフィルム12上から受け皿52に向けて押圧した状態で実行される。
予熱モード制御をOFFにした場合は、ヒータ盤41が、ヒータ盤上方待機位置から予熱位置で一時停止することなく下降されて、フィルム12上から受け皿52に押圧される(予熱無し制御機能)。
【0074】
(容器搬入工程)
容器搬入工程では、トレー駆動機構6の駆動によって、容器受けトレー5を容器脱着位置からシール位置に移動させ、受け皿52に支持された容器11を、ヒータ盤機構4のヒータ盤41の直下に配置する。
なお、ヒータ盤機構4は、容器脱着位置からシール位置への容器受けトレー5の移動が完了するまで、ヒータ盤41を昇降上限位置(図5、図8に示すヒータ盤41の位置)に配置し、ヒータ盤41が、容器脱着位置からシール位置への容器受けトレー5の移動の障害にならないようにする。
ヒータ盤41の昇降上限位置は、ヒータ盤41が、容器脱着位置からシール位置への容器受けトレー5の移動によって機筐2内に引き込まれて受け皿52に設置されている容器11上に張設されるフィルム12とも干渉しない位置である。
【0075】
(ヒートシール工程)
ここでは、予熱モード制御の場合を説明する。
このヒートシール工程は、容器搬入工程が完了(容器脱着位置から移動された容器受けトレー5がシール位置に到達)したら、ヒータ盤機構4がヒータ盤41を下降させ、容器11上に、上部開口部11bを塞ぐように設けられたフィルム12を、容器11の開口周縁部11aに熱融着(ヒートシール)するものである。
但し、予熱モード制御がONの場合は、ヒートシール工程は、予熱工程と、蒸気孔形成工程とを含む。
なお、予熱無し制御の場合(予熱モード制御がOFF)は、ヒートシール工程において、予熱工程及び蒸気孔形成工程が実行されず、ヒータ盤41が、ヒータ盤上方待機位置から予熱位置で一時停止することなく下降されて、フィルム12上から受け皿52に押圧され、容器11の開口周縁部11aに対するフィルム12のヒートシールに至る。
【0076】
「予熱モード制御」は、ホットコーヒー、スープ、米飯、揚げ物等の温度の高い食品(特に水蒸気の発生の多い食品。飲料を含む)を収納した容器11の上部開口部11bのヒートシールを行う場合に適した制御モードである。
容器搬入工程が完了したら、ヒータ盤上方待機位置から、シール位置に配置された受け皿52に向かって下降を開始したヒータ盤41が、受け皿52上に張設されているフィルム12から僅かに離隔した上側に設定された予熱位置(図6、図9に示すヒータ盤41の位置)で、予め設定された時間(予熱時間)だけ停止されて、フィルム12を加熱(予熱)した後、下降を再開して、受け皿52に向かって押圧される。
【0077】
図1、図2に示すように、予熱モードスイッチSWは、機筐2の前面側に取り付けられている。
但し、これに限定されず、予熱モードスイッチは、例えば、機筐2から外側に延びる電気コードに接続されたリモコンや、無線リモコン等に設けても良い。
【0078】
予熱工程の例を説明する。
ヒータプレート41bは、通電によって加熱して、例えば、130〜200℃(下面温度)が保たれるようにする。
そして、ヒータ盤上方待機位置から下降させたヒータ盤41を、ヒータプレート41bの下面が、受け皿52上に張設されたフィルム12から1〜3mmの範囲となる位置(予熱位置)に停止させて、フィルム12を加熱(予熱)する。ヒータ盤41を予熱位置に停止させておく時間(予熱時間)は、例えば0.5秒〜数秒に設定する。
予熱工程では、フィルム12が加熱されることで、フィルム12に付着していた液滴が蒸発されて、減少(あるいは全て除去)させることができる。また、容器11内の食品から立ち上る水蒸気による液滴がフィルム12の下面に付着しにくくなる。その結果、ヒータ盤41を受け皿52に押圧したときに、容器11の開口周縁部11aに対するフィルム12の熱融着を、食品からの水蒸気の発生が無い場合と同様に、良好に行うことができる。
但し、上述の予熱位置、予熱時間は、一例であって、フィルム材質、フィルムの厚さ、容器の開口周縁部のサイズ等に応じて、適宜変更し得ることは言うまでも無い。
【0079】
図6、図9では、フィルム12が、前後のクリップブロック53、7に挟み込まれた部分とフィルム誘導路26の下端開口部26aとの間で張設されて、下端開口部26aの側に比べて、前後のクリップブロック53、7に挟み込まれた部分の側が僅かに低くなるように、緩やかに傾斜されているが、シール盤41を予熱位置に停止させたときに、フィルム12の内の、受け皿52上に張設されて、前記容器11の開口周縁部11a上に位置する部分が、全て、ヒータプレート41bから1〜3mmの範囲に入ることで、予熱工程によって、水蒸気による液滴の付着量を効果的に抑えることができる。
【0080】
予熱工程が完了したら、ヒータ盤41の下降を再開する。
ヒータ盤41を下降させていくと、ヒータ盤41のリング状フィルム押さえ41cと、ストレートフィルム押さえ41eとが、フィルム12を、受け皿52との間に挟み込むようにして押さえ込むとともに、リング状カッター41dとストレートカッター41fとが受け皿52に押圧されて、フィルム12を切断する。
【0081】
リング状フィルム押さえ41cは、受け皿52上にリング状に突設されている鍔受け台部52bの外側に、鍔受け台部52bと同心円状に形成されたリング状の突条であるフィルム押さえ台部52d上に押圧されて、フィルム押さえ台部52dとの間にフィルム12を挟み込む。
ストレートフィルム押さえ41eは、受け皿52の前端部に突設されて左右に直線状に延在する突条であるフィルム押さえ台部52e上に押圧されて、フィルム押さえ台部52eとの間にフィルム12を挟み込む。
リング状カッター41dは、ヒータ盤41の下降によって、受け皿52の鍔受け台部52bとフィルム押さえ台部52dとの間の溝状の凹所52fに入り込み、フィルム12を切断(押し切り)する。
【0082】
ストレートカッター41fは、フィルム原反13から延びるフィルム12の端部を、帯状のフィルム12を横切る向き(フィルム12の長手方向に直交する方向)の切断線によって切断して、帯状のフィルム12から、容器11のヒートシールに用いる部分を分離する機能を果たす。
このストレートカッター41fは、ヒータ盤41の下降によって、フィルム押さえ台部52eの前後方向後側にフィルム押さえ台部52eに沿わせるようにして移動(下降)し、フィルム12を切断(押し切り)する。
【0083】
(蒸気孔形成工程)
蒸気孔形成工程は、蒸気孔形成機構49を駆動して、容器11の上部開口部11b上に張設されたフィルム12に蒸気孔(微細孔)を穿孔するものである。
この蒸気孔形成機構49による蒸気孔の形成は、ヒータユニット42に昇降可能に設けられた蒸気孔形成ピン46をピン下降機構47で下降させて、蒸気孔形成ピン46下端の針状部46aを、容器11の上部開口部11b上に張設されたフィルム12に突き刺すことによる。
ピン下降機構47(ソレノイド)は、ヒータ盤41のリング状フィルム押さえ41cとストレートフィルム押さえ41eとが、受け皿52との間に挟み込むようにしてフィルム12を押さえ込んだ後、直ちに蒸気孔形成ピン46を下降させ(通電によりプランジャ47aを突出させる)、容器11の上部開口部11b上に張設されたフィルム12に蒸気孔(微細孔)を穿孔する。
ピン下降機構47の駆動は、ヒータ盤41が昇降下限位置に達した直後に、蒸気孔形成ピン46を下降させるように、制御部16において駆動タイミングを調整しておく。
【0084】
ピン下降機構47は、蒸気孔形成ピン46を、下端の針状部46aでフィルム12に蒸気孔を形成するところまで下降させたら、直ちに、プランジャ47aを突出するための駆動用の給電が遮断される。
これにより、蒸気孔形成ピン46は、引きばねとして機能するコイルばねであるピン戻しばね48によって、直ちに上昇されて、フィルム12から引き抜かれる。
蒸気孔形成ピン46下端の針状部46aをフィルム12に突き刺している時間は出来るだけ短いことが好ましい。これにより、蒸気孔形成ピン46によって形成した蒸気孔を素早く開口させることができ、容器11内に収納する食品(飲料も含む)から発生する水蒸気による、フィルム12の膨れ等の不都合を回避できる。
【0085】
ところで、既述のように、このヒートシール装置1では、容器搬入工程を完了すると、フィルム12が、フィルム誘導路26の下端開口部26aの側に比べて、前後のクリップブロック53、7に挟み込まれた部分の側が僅かに低くなるように、緩やかに傾斜されて、受け皿52上で張設される。これにより、ヒートシール工程では、ヒータ盤41による容器11の開口周縁部11aに対するフィルム12の押さえ込みが完了する直前まで、容器11の開口周縁部11aとフィルム12との間に、容器11内の食品から立ち上る水蒸気の逃げ道となる隙間が確保される。しかも、容器11内から立ち上る水蒸気は、フィルム12の傾斜に従って、前記隙間の大きい側に向かう流れとなって、円滑に排出される。
つまり、フィルム12が、受け皿52上にて、傾斜して張設される構成であれば、フィルム12が容器11の開口周縁部11a(詳細には上面11e)の上方にて平行に張設される場合に比べて、容器11から放出された水蒸気が容器11の開口周縁部11a付近に滞留しにくい。このため、容器11の開口周縁部11aや、フィルム12の容器11上に位置する部分に付着する水蒸気を減少させる(あるいは無くす)ことができ、水蒸気の付着に起因するヒートシール不良の防止に有効に寄与する。
【0086】
(容器搬出工程)
ヒートシール工程が完了したら、トレー駆動機構6の駆動によって、容器受けトレー5を容器脱着位置に移動させる。
このとき、後クリップブロック7のストッパ片72が、クリップストッパ2cに当接して、前後のクリップブロック53、7の間が開放されるまで、前後のクリップブロック53、7の間にフィルム12が挟み込まれた状態が維持される。後クリップブロック7のストッパ片72が、クリップストッパ2cに当接して、前後のクリップブロック53、7の間が開放されると、前後のクリップブロック53、7の間に隙間Cが確保される。
【0087】
容器搬出工程が完了すると、一連のシール工程が完了となる。
容器搬出工程を完了し、受け皿52からシール済み容器11を取り出した後、未シールの容器11を受け皿52にセットし、この容器11が容器検出センサ93で検出されれば、以下、上述のシール工程が実行される。
【0088】
シール工程が完了したときには、前クリップブロック53と、後クリップブロック7の後クリップ本体71(詳細には挟持板部71b)との間に隙間Cが確保される。
シール動作の完了後に、容器受けトレー5がシール位置から容器脱着位置に移動されると、フィルム誘導部26の下端開口部26aの直下に前記隙間Cが確保されるため、フィルム原反13から延びるフィルム12の、ベース盤41のストレートカッター41fによって切断された端部が前記隙間Cに入り込む。
したがって、ヒートシール装置1の動作を再スタートしたときには、容器受けトレー5がシール位置に移動されると同時に、フィルム12が、受け皿52に設置された容器11の上部開口部11b上に張設されることになる。
なお、フィルム誘導部26の下端開口部26aは、機筐2のトレー出退口21付近にあるので、本シートシール装置2の使用者等が手作業で、フィルム原反13から延びるフィルム12の端部の、前記隙間Cに対する位置修正等の作業を行うことは容易である。
【0089】
前記ヒートシール装置1によれば、予熱モード制御を採用して予熱工程を実行することで、高温で水蒸気の発生量の多い食品を収納した容器11についても、フィルム12による上部開口部11bのヒートシールを確実に行える。
蒸気孔形成工程をも実行することで、フィルム12による容器11の上部開口部11bのヒートシールを一層確実に行える。
【0090】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、各種変更が可能である。
例えば、本発明は、容器受けトレーの前後動、及び/又は、ヒータ盤の昇降を、手動で行うように構成したヒートシール装置にも適用可能である。
容器受けトレーの前後動を手動で行うように構成された容器搬送機構を採用した場合でも、容器搬送機構は非常に簡単な構成で済み、しかも、上述したように、容器受けトレーを機筐前面側に突出する容器脱着位置から機筐内に収納されるシール位置に移動するだけで、受け皿に設置されている容器上へのフィルムの配置を自動的に実現できる。
容器搬送機構のフィルムクリップ機構としては、フィルムの挟持と挟持解除とを切り替えでき、しかも、容器受けトレーを、ヒータ盤機構4の下の容器搬入空間Sの外から容器搬入空間Sに送り込んだときに、容器受けトレーに設置されている容器上に、フィルムを張設できる構成になっていれば良く、前記実施形態にて例示したものに限定されず、様々なものを採用できる。
上述の実施形態では、機筐2の前面側に突出する容器脱着位置と、機筐2内に収納されるシール位置との間で往復動する容器受けトレーによって、容器を搬送する構成の容器搬送機構を例示したが、本発明に係る容器搬送機構としてはこれに限定されない。
例えば、容器を一方向のみに移動するコンベアタイプの容器搬送機構も採用可能である。この場合は、ヒートシール装置として、上述の実施形態のような機筐2を具備した構成とせず、例えば、柱状あるいは門形の支持フレームによってヒータ盤機構4を支持した構成の機体を採用し、この機体を、容器搬送機構によって構成される容器搬送ラインの途中に設置する。容器搬送機構は、ヒータ盤機構の下に確保した容器搬入空間に設置する。
さらに、本発明は、容器搬送機構を具備したものに限定されず、例えば、ヒータ盤の下に確保した容器搬入空間に、本装置のユーザーが直接、手を入れて容器の搬入出を行うようになっている容器搬入空間が、ヒータ盤の下に確保されている構成(すなわち、容器搬送機構が無い構成)等も採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に係るヒートシール装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1のヒートシール装置の機筐を示す正面図である。
【図3】図1のヒートシール装置の構造を示す分解側断面図である。
【図4】図1のヒートシール装置の内部構造を示す図であり、容器受けトレーを機筐前面側に突出させた状態を示す側断面図である。
【図5】図1のヒートシール装置の内部構造を示す図であり、容器受けトレーを機筐内に収納した状態を示す側断面図である。
【図6】図1のヒートシール装置の内部構造を示す図であり、予熱工程を示す側断面図である。
【図7】図1のヒートシール装置の内部構造を示す図であり、シール工程を示す側断面図である。
【図8】図4における容器受けトレー付近を示す拡大図である。
【図9】図6における容器受けトレー付近を示す拡大図である。
【図10】図7における容器受けトレー付近を示す拡大図である。
【図11】(a)〜(c)は容器受けトレーを示す平面図であって、(a)は容器受けトレーを機筐内に収納した状態、(b)は容器受けトレーの前クリップブロックと後クリップブロックとの間にフィルムを挟み込んだ状態、(c)は容器受けトレーを機筐内に収納した状態を示す。
【図12】図11(a)のA−A線断面矢視図である。
【図13】ヒータユニットを示す正面図である。
【図14】図1のヒートシール装置のヒータ盤を示す下面図である。
【図15】図1のヒートシール装置の制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0092】
1…容器用ヒートシール装置、11…容器、11a…開口周縁部、11b…上部開口部、12…フィルム、13…フィルム原反、2…機筐、2a…フィルム原反設置部、2d…内部通電コネクタ、21…トレー出退口、24a…ヒータユニット挿脱口、29…ヒータユニット案内レール、3…容器搬送機構、4…ヒータ盤機構、41…ヒータ盤、41k…押し下げ用突起、42…ヒータユニット、43…ヒータ押し下げ機構、44…カバープレート、44a…ガイドバー、44b…案内突部、44c…通電コネクタ、44d…ばね受け部、45…ヒータ盤戻しばね、46…蒸気孔形成ピン、47…ピン下降機構、48…ピン戻しばね、49…蒸気孔形成機構、5…容器受けトレー、16…制御部、SW…予熱モード制御ON/OFF切り換えスイッチ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用容器の上部開口部を、開口周縁部へのフィルムの熱融着によって密閉する容器用ヒートシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品用容器の上部開口部を開口周縁部へのフィルムを熱融着によって密閉する容器用ヒートシール装置として、機筐側部に開口されたトレー出退口を介して機筐前面側に出退する容器受けトレーによって、フィルムの熱融着前の容器を機筐内に搬入し、機筐内にてフィルムを熱融着した容器を、機筐外へ搬出するタイプのものが提供されている。
このタイプの容器用ヒートシール装置は、小型化が容易であり、設置スペースが小さくて済むことから、例えば、食品を販売する小売店の店頭等への設置に適している。
【0003】
この容器用ヒートシール装置(以下、ヒートシール装置、と略称する場合がある)としては、フィルム原反から巻きだしたフィルムを容器開口部のヒートシールに用いるタイプ(以下、巻きだしタイプ)と、容器の開口周縁部への熱融着によって容器の上部開口部を密閉できる大きさのフィルムを、ヒートシールの度に容器の上部開口部上に載せてヒートシールに用いるタイプ(以下、枚葉タイプ)とがある。
ここで、巻きだしタイプのヒートシール装置は、ヒートシール作業の度に、フィルムをフィルム原反から巻きだして使用すれば良く、枚葉タイプに比べてフィルムの扱いが楽であり、容器に対するフィルムのヒートシール位置のずれも生じにくい、等の利点がある。
巻きだしタイプのヒートシール装置は、容器を載せた容器受けトレーを機筐に収納したときに、フィルム原反から巻きだしたフィルムを容器の上部開口部上を覆うように配置する機構(以下、フィルム配置機構)を具備し、このフィルム配置機構によって容器の上部開口部上に配置したフィルムを、機筐内で昇降されるヒートシール用のヒータ盤で上から容器の開口周縁部に押し付けてヒートシールする構造のものが一般的である(例えば、特許文献1)。また、ヒータ盤を容器に向かって押し付けた際に、ヒータ盤に取り付けられているカッターがフィルムをカットする。
【特許文献1】実開平6−10107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、コーヒー等のホット飲料、スープ類、米飯、パスタといった、温度が高い食品を入れた容器の上部開口部をフィルムでヒートシールする場合、食品から立ち上る湯気にフィルムが曝されてフィルムに微小な液滴が付着し、これがシール力(接着力)の低下の原因になることがある。
シール力の低下に対応するため、従来は、例えば、ヒータ盤でフィルムを容器の開口周縁部に押し付ける時間(シール時間)を長めに確保する等の対策が採られている。
しかしながら、この対策では、フィルムの加熱が過剰になって容器に対するフィルムのシール力が強くなりすぎるケースが生じるなど、シール力の調整が難しいといった問題が新たに発生する。また、容器の開口周縁部に対するフィルムの熱融着部分が目立つ等、の美観上の問題も発生していた。
また、高温食品用の専用の、水蒸気対策を施した特殊なフィルムを使用する案もあるが、フィルムのコストが高く付く上、食品の種類に応じて複数種類のフィルムを交換して使用するとなると交換の手間も掛かるといった問題がある。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みて、温度が高く水蒸気の発生量が多い食品を収納した容器の上部開口部をフィルムでヒートシールする場合であっても、ヒータ盤による容器の開口周縁部に対するフィルムの押し付け時間を延長する、などといった対策を採ることなく、ヒートシールを確実かつ簡単に行える容器用ヒートシール装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
本発明は、ヒータ盤を昇降させるヒータ盤機構と、前記ヒータ盤機構の前記ヒータ盤の昇降を制御する制御部とを具備し、前記ヒータ盤を、前記ヒータ盤の下の容器搬入空間に搬入された容器の上部開口部上に設置されたフィルムの上から前記容器の開口周縁部に押圧して、前記開口周縁部に前記フィルムを熱融着する容器用ヒートシール装置において、前記制御部は、前記容器搬入空間に搬入された容器より上方の待機位置から下降させて前記容器の開口周縁部に押圧する前記ヒータ盤の下降動作を、前記待機位置と容器上に設置されたフィルムとの間に設定したフィルム予熱位置で一時停止させて、フィルムを予熱した後、再開させる、予熱モード制御機能を具備することを特徴とする容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記制御部は、前記ヒータ盤を昇降上限の待機位置から下降させて前記容器の開口周縁部に押圧する際に、前記ヒータ盤をフィルム予熱位置で停止させることなく下降させて、容器の開口周縁部に前記フィルムを熱融着せしめる、予熱無し制御機能と、前記予熱モード制御機能とを具備し、前記予熱無し制御機能と前記予熱モード制御機能とを切り換えるための予熱モードON/OFF切り換えスイッチから入力される制御モード切り換え信号によって、予熱無し制御機能と予熱モード制御機能とが切り換えられることを特徴とする請求項1記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記ヒータ盤機構は、前記ヒータ盤を昇降自在に支持するヒータユニットと、前記ヒータ盤上に突設されてヒータユニット上に突出する押し下げ用突起を押し下げることで前記ヒータ盤を下降させるヒータ押し下げ機構と、前記ヒータ押し下げ機構によって押し下げられた前記ヒータ盤を付勢して待機位置に戻すヒータ盤戻しばねとを具備してなり、前記ヒータ押し下げ機構は、回転駆動されることによって、前記押し下げ用突起を前記ヒータ盤戻しばねの付勢力に抗して押し下げることで前記ヒータ盤を下降させるカムを具備してなることを特徴とする請求項1又は2記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記ヒータ押し下げ機構の前記カムの一方向への回転によって前記ヒータ盤が昇降されるようになっていることを特徴とする請求項3記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記ヒータ盤機構は、機筐に挿脱可能に組み込まれて前記ヒータ盤を昇降自在に支持するヒータユニットと、前記ヒータ盤上に突設されてヒータユニット上に突出する押し下げ用突起を押し下げることで前記ヒータ盤を下降させるヒータ押し下げ機構とを具備し、前記ヒータユニットは、前記機筐内に支持されるカバープレートと、このカバープレートの下側に配置され、前記カバープレートから下方に延出されたガイドバーに昇降自在に取り付けられた前記ヒータ盤と、前記ヒータ押し下げ機構によって押し下げられた前記ヒータ盤を付勢して待機位置に戻すヒータ盤戻しばねとを具備し、前記ヒータ盤戻しばねは、前記ガイドバーに外挿して、前記ヒータ盤と前記ガイドバーの前記ヒータ盤から下方に突出された下端部に設けられたばね受け部との間に介装され、前記ヒータ盤を前記カバープレートに向けて付勢する圧縮コイルばねであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記ヒータユニットは、前記カバープレートの両端の案内突部を、機筐の両側壁部に設けられたヒータユニット案内レールにスライド移動可能に支持して機筐内に組み込まれ、しかも、前記案内突部の前記ヒータユニット案内レールに沿ったスライド移動によって、機筐の前面側に開口するヒータユニット挿脱口から機筐に挿脱可能であり、前記カバープレートに取り付けられた、前記ヒータ盤の通電加熱用の通電コネクタが、前記ヒータユニットの前記機筐に対する挿脱によって、前記機筐内に取り付けられている内部通電コネクタに脱着されるようになっていることを特徴とする請求項5記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記機筐内に搬入された容器の上部開口部上に設置されたフィルムに蒸気孔形成ピンを突き刺して蒸気孔を形成する蒸気孔形成機構を具備することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記蒸気孔形成機構は、前記ヒータユニットに昇降自在に取り付けられた前記蒸気孔形成ピンと、前記ヒータ盤と一体に昇降される部材に取り付けられ、前記蒸気孔形成ピンを下降させるピン下降機構と、このピン下降機構によって下降された蒸気孔形成ピンを付勢して上昇させるピン戻しばねとを具備することを特徴とする請求項7記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、さらに、前記ヒータ盤の下の容器搬入空間に対する容器の搬入及び搬出を行う容器搬送機構を具備することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記容器搬送機構は、前記容器が設置される容器受け部を具備し、支持フレームによって前記ヒータ盤機構を支持した機体の側部から前記ヒータ盤の下の容器搬入空間に送り込まれる容器受けトレーと、ヒートシール用の帯状のフィルムを挟み込む、開閉可能な一対のクリップブロックを具備して構成され、前記容器搬入空間に送り込まれる前記容器受けトレーの前記容器受け部よりも送り込み方向前側に配置されて、前記容器受けトレーとともに一括して前記容器搬入空間に送り込まれるフィルムクリップ機構とを具備し、前記機体に設けられたフィルム誘導部によって前記容器搬入空間の入口に導かれて前記容器受けトレーに上から供給される前記フィルムを挟み込んだ前記フィルムクリップ機構が、前記容器受けトレーとともに前記容器搬入空間に送り込まれることで、前記容器受け部に設置された容器の上部開口部上に前記フィルムが設置されるようになっていることを特徴とする請求項9記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
また、本発明は、前記容器受けトレーが、前記容器搬入空間内で前記容器を支持するシール位置に移動されたときに、前記フィルムが、前記フィルムクリップ機構の一対のクリップブロックと、前記フィルム誘導部の前記容器搬入空間の入口上に位置する終端との間で、上下方向に傾斜して、前記容器の上部開口部上に張設されることを特徴とする請求項10記載の容器用ヒートシール装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ヒータ盤機構の駆動を制御する制御部の予熱モード制御機能により、ヒータ盤の昇降上限の待機位置からの下降動作を、前記待機位置と容器上に設置されたフィルムとの間に設定したフィルム予熱位置で一時停止させて、フィルムを予熱した後、ヒータ盤の下降を再開させ、フィルム上から容器の開口周縁部に押圧して、フィルムを容器の開口周縁部に熱融着することができる。
フィルムの熱融着が可能な温度に加熱したヒータ盤をフィルム予熱位置で停止させてフィルムを加熱(予熱)することで、容器内に高温の食品を収納している場合でも、容器内の食品から立ち上る水蒸気によって微小な液滴がフィルムに付着することを抑制することができる。
このため、ヒータ盤でフィルムを容器の開口周縁部に押さえ込んで熱融着する時間(シール時間)を延長する、といった対策を採らなくても、容器の上部開口部のフィルムによるヒートシールを確実に行える。熱融着時間(シール時間)の過剰によって、フィルムの熱融着部分の美観を損なう、といった不都合も無くなる。
また、水蒸気対策を施した特殊なフィルムを使用するといった対策も不要であり、低コストで、ヒートシールを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施した容器用ヒートシール装置1(以下、ヒートシール装置、と略称する場合がある)について、図面を参照して説明する。
図1はヒートシール装置1の外観を示す斜視図、図2はヒートシール装置1の機筐2を示す正面図、図3はヒートシール装置1の構造を示す分解側面図、図4〜図7はヒートシール装置1の内部構造を示す図であり、図4は容器受けトレー5を機筐2前面側に突出させた状態を示す側断面図、図5は容器受けトレー5を機筐2内に収納した状態を示す側断面図、図6は予熱工程を示す側断面図、図7はシール工程を示す側断面図、図8は図4における容器受けトレー5付近を示す拡大図、図9は図6における容器受けトレー5付近を示す拡大図、図10は図7における容器受けトレー5付近を示す拡大図、図11(a)〜(c)は容器搬送機構3を示す平面図であって、(a)は容器受けトレー5を機筐2内に収納した状態、(b)は容器受けトレー5の前クリップブロック53と後クリップブロック7との間にフィルム12を挟み込んだ状態、(c)は容器受けトレー5を機筐2内に収納した状態、図12は図11(a)のA−A線断面矢視図、図13はヒータユニット42を示す正面図、図14はヒータ盤の下面図、図15は制御機構を示すブロック図である。
【0009】
なお、図1〜図10、図12において、上側を上、下側を下として説明する。
また、図3〜図10において、右側を前、左側を後として説明する。
図11(a)〜(c)においては、上側を前、下側を後として説明する。
また、図2においては、左側を左、右側を右として説明する。
【0010】
図1〜図7に示すように、ヒートシール装置1は、容器11上部の開口周縁部11aにフィルム12を熱融着して、容器11の上部開口部11bを密封するものである。
このヒートシール装置1は、箱形の機筐2に、該機筐2の前面側のトレー出退口21を介して機筐2前面側に出退する容器受けトレー5によって容器11を機筐2の内外に移動する容器搬送機構3と、前記容器受けトレー5によって機筐2内に搬入された容器11の上部の開口周縁部11aに、容器11の上部開口部11b上に配置されたフィルム12の上からヒータ盤41を押圧して前記フィルム12を開口周縁部11aに熱融着するヒータ盤機構4とを組み込んだ概略構成になっている。
【0011】
図4に示すように、ヒータ盤機構4は、ヒータ盤41と、このヒータ盤41を昇降させるヒータ盤昇降機構42とによって構成されており、機筐2の上部に取り付けて機筐2内に設けられている。
機筐2内には、ヒータ盤機構4の下に、容器搬送機構3によって容器11が搬入される容器搬入空間Sが確保されている。
前記機筐2は、本発明に係る支持フレームとして機能する。
ヒータ盤機構4と機筐2とは、ヒートシール装置1の機体1Aを構成する。
【0012】
フィルム12は、容器の開口部のヒートシールに用いられる周知のもので良く、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエチレン、EVA(ethylene vinyl acetate copolymer:エチレン−酢酸ビニル共重合体)からなる3層構造のもの(PETが基材層、ポリエチレンが中間層、EVAがヒートシール用接着層)等、片面にヒートシール用接着層を有する各種構造のものを採用できる。
【0013】
機筐2の上部には、帯状のフィルム12を巻き上げたフィルム原反13を設置するフィルム原反設置部2aが設けられている。
図1、図4に例示したように、前記ヒートシール装置1では、フィルム原反13をダンボール箱等の箱形容器14に収納してなるフィルムボックス15が、機筐2の天板22上に載せられるようになっている。フィルム原反設置部2aは、天板22と、天板22上に取り付けられ、天板22上でのフィルムボックス15の位置ずれを防止する保持枠23とによって構成されている。
なお、フィルム原反設置部2aとしては、例えば、フィルム原反13を直接、回転可能に軸支する構造のものであっても良い。
また、フィルム原反設置部2aの設置位置は、機筐2上部に限定されず、適宜変更可能である。
【0014】
図4に示すように、フィルム原反13のフィルム12は、前記箱形容器14の側壁部にスリット状に開口されたフィルム引出口14aからフィルムボックス15の外側に引き出され、機筐2上部に開口されたフィルム導入口22aから機筐2内に導入され、機筐2前面側に取り付けられたフロントカバー25に沿って上下に延在するようにして機筐2内に通される。フィルム12の下端は、機筐2前面側下部に設けられているトレー出退口21に上から垂れ下げられる。
前記フロントカバー25は、機筐2の前記トレー出退口21の上側に設けられており、機筐2の前面壁を構成する。このフロントカバー25は機体1Aに対して着脱可能であり、取り外すと、機筐2前面側全体が開放されることとなり、機筐2内のメンテナンス等を容易に行える。
【0015】
このヒートシール装置1では、機筐2内に設けられたフィルム案内部材24とフロントカバー25とが、フィルム12を、前記フィルム導入口22aから前記トレー出退口21に導くためのフィルム誘導部26を構成している。フロントカバー25、及び、機筐2内に組み込まれるヒータユニット42(後述)の前端に設けられている壁部材42a、フィルムガイドバー42b(図2、図9参照)もフィルム案内部材として機能している。
図8、図9、図10等に示すように、フィルム誘導部26によって前記フィルム導入口22a(フィルム誘導部26の始端)からトレー出退口21に導かれるフィルム12は、このフィルム誘導部26の、トレー出退口21上に位置する終端に設けられている一対のフィルム案内部材(ここではフロントカバー25下端と、該フロントカバー25下端との間に僅かな隙間を介して設けられているフィルムガイドバー42b)の間に確保した隙間である下端開口部26aからトレー出退口21に垂れ下げられる。
【0016】
(容器搬送機構)
図8〜図11に示すように、容器搬送機構3は、前記容器受けトレー5と、この容器受けトレー5を前後方向に移動するためのトレー駆動機構6と、前記容器受けトレー5に前後方向にスライド移動可能として取り付けられた後クリップブロック7と、この後クリップブロック7を前記容器受けトレー5に対して前側に付勢するクリップスプリング8とを具備して構成されている。
【0017】
(容器受けトレー)
図8〜図11に示すように、容器受けトレー5は、枠状の可動フレーム51と、この可動フレーム51の前端部に取り付けられた受け皿52と、容器受けトレー5の前後方向において受け皿52よりも後側にて前記可動フレーム51に固定された前クリップブロック53とを具備して構成されている。
図2に示すように、この容器受けトレー5は、機筐2の左右両側(図2左右)の側壁部2bの間に設けられる。そして、可動フレーム51が、機筐2の左右両側(図2左右)の両側壁部2bの内面側(両側壁部2bの間の機筐内部空間に臨む側)にそれぞれ設けられたトレー案内レール28に案内されながら、前後方向に移動する。
【0018】
この容器受けトレー5は、可動フレーム51に取り付けられたトレー駆動モータ61(図4、図8、図10等参照)の回転駆動力によって、前記トレー案内レール28に設けられたトレーラックギア28aに噛み合わされたトレー駆動ギア62(ピニオンギア)が回転されることで前後方向に移動される。
トレー駆動モータ61、トレー駆動ギア62、トレー駆動モータ61の駆動力をトレー駆動ギア62に伝達する駆動力伝達系(図中符号63の伝達ギア63を含む)は、前記トレー駆動機構6を構成する。
図8等に例示するように、このヒートシール装置1では、トレー駆動機構6は、容器受けトレー5に設けられている。
但し、トレー駆動機構6としては、容器受けトレー5(詳細には、後述する可動フレーム51)を前後方向に移動して、容器受けトレー5をトレー出退口21から機筐2の前面側に出退できる構成であれば良く、必ずしも容器受けトレー5に設けた構成に限定されず、例えば、機筐2に取り付けたモータの駆動力によって容器受けトレー5を移動する構成のもの等であっても良い。
【0019】
図8、図11に示すように、前記受け皿52は、容器11が挿入される容器挿入孔52aが中央部に開口された枠状の部材である。
ここで採用される容器11は、上部開口部11b(より具体的には容器本体部11dの上端部)から外側に張り出すフランジ状の鍔部11cを有するものである。
容器11は、上部開口部11bが上となる向きで、容器本体部11dを受け皿52の容器挿入孔52aに挿入される。鍔部11cは、前記受け皿52において、容器挿入孔52aの周囲に突設された鍔受け台部52bに載置される。容器本体部11dを容器挿入孔52aに挿入した容器11は、鍔受け台部52bに鍔部11cが下から支承されることで、受け皿52に支持される。
容器挿入孔52aは、容器11の容器本体部11dのみが挿入可能であり、鍔部11cは容器挿入孔52aに入り込まない。
【0020】
図1に示すように、受け皿52は、円形の容器挿入孔52aを有する。鍔受け台部52bは、容器挿入孔52aの外周に沿ったリング状の突起である。但し、容器挿入孔52aの形状は容器11の形状に応じて適宜変更可能であり、例えば、四角形等であっても良い。鍔受け台部52aは、容器挿入孔52aの外周に沿った形状であれば良く、例えば、容器挿入孔52aが受け皿52に形成された四角形の開口部である場合は、この容器挿入孔52aの外周に沿った四角形枠状の突起に形成される。
【0021】
容器11の開口周縁部11aは、容器11の上端部を指し、ここでは特に、フィルム12が熱融着されるシール面を形成する部分を指す。
例えば、図8に例示した容器11の鍔部11cは、容器本体部11dの上端部の外周にフランジ状に突出しており、シール面として機能する平坦な上面11eを有し、容器11の開口周縁部11aとして機能する。
【0022】
受け皿52の鍔受け台部52bは、容器11の開口周縁部11a(詳細には、鍔部11c)を下から支承する。
図10に示すように、ヒータ盤機構4のヒータ盤41でフィルム12を開口周縁部11aに熱融着する際に、鍔受け台部52bが、ヒータ盤41からの押圧力を負担して、開口周縁部11aにフィルム12がしっかりと押さえ込まれるようにする機能を果たす。
また、図示例の容器11の鍔部11cは、外周部から下方に突出する垂下部11gを有している。図8等に示すように、この垂下部11gは、容器11の容器本体部11dを、受け皿52の鍔受け台部52bの内側の容器挿入孔52aに挿入したときに、リング状の鍔受け台部52bの外側に配置される。垂下部11gは開口周縁部として機能しない。
容器11としては、垂下部11gを有していないものも採用可能である。
【0023】
容器受けトレー5の可動フレーム51は、トレー案内レール28上に載せられる左右のトレーレール51aを、複数の連結枠材51bで連結してなる、枠体である。
この可動フレーム51は、左右のトレーレール51aがトレー案内レール28に案内されながら、機筐2に対して前後方向にスライド移動する。
【0024】
受け皿52は、鍔受け台部52bが突設されている側の面(上面52c)が上となる向きで、左右のトレーレール51aに架け渡して、可動フレーム51に脱着可能に取り付けられている。
図8、図10に例示した容器受けトレー5では、受け皿52は、可動フレーム51の前端部に固定されたトレー前カバー54の後面54aに当接させて、可動フレーム51に取り付けられる。
【0025】
容器搬送機構3は、容器受けトレー5の前後方向への移動によって、受け皿52全体が機筐2前面側(機筐2の外側)に配置される位置(図4、図8における受け皿52の位置。以下、容器脱着位置。符号5A)と、受け皿52が機筐2内で昇降されるヒータ盤41の直下に配置されるシール位置(図5、図10における受け皿52の位置。符号5B)とを切り換えることができる。
容器受けトレー5が前記トレー出退口21から機筐2の前面側に突出されて容器脱着位置に配置されると、受け皿52に対する容器11の脱着を自由に行える。
容器受けトレー5がシール位置に配置されると、トレー前カバー54によって、機筐2のトレー出退口21が閉じられる。
【0026】
(後クリップブロック・クリップスプリング)
図11(a)〜(c)、図12に示すように、容器搬送機構3の後クリップブロック7は、受け皿52よりも後側にて容器受けトレー5の前後方向にスライド移動可能に設けられている。この後クリップブロック7は、前後方向のスライド移動によって、容器受けトレー5の前クリップブロック53に対して開閉でき、前クリップブロック53に対して閉じたときに、前クリップブロック53との間にフィルム12を挟み込むことができる。
前クリップブロック53と後クリップブロック7とは、前記容器受けトレー5の前後動によって開閉し、閉じたときに前記フィルム12を挟み込むフィルムクリップ機構を構成する。
【0027】
図8、図12に示すように、後クリップブロック7は、前クリップブロック53の後側にて、容器受けトレー5の可動フレーム51の左右のトレーレール51aに案内されて、容器受けトレー5に前後可能に設けられている。
可動フレーム51の左右のトレーレール51aは、後クリップブロック7の、可動フレーム51に対する前後方向の移動を案内する案内レールとして機能する。
図11、図12では、案内レールの具体例として、案内溝51dが前後方向に延在形成されたトレーレール51aを例示した。図11、図12に例示した構成では、後クリップブロック7は、該後クリップブロック7の左右両端に突設されているガイド用突起75を、案内溝51dに前後可能に挿入しており、ガイド用突起75が案内溝51d案内されて、可動フレーム51に対して前後方向にスライド移動するようになっている。
なお、後クリップブロック7を、可動フレーム51に対して前後方向にスライド移動可能に案内するための案内レールとしては、上述の案内溝51d付きのトレーレール51aに限定されず、例えば、案内溝付きの部材を、別途、可動フレーム51に取り付けた構成であっても良い。
【0028】
前記後クリップブロック7は、具体的には、前面側にて前クリップブロック53に対面配置される挟持板部71bを具備する後クリップ本体71と、この後クリップ本体71の左右両側(図11(a)〜(c)、図12の左右)に突設されたストッパ片72とを具備して構成されている。
後クリップ本体71は、左右のトレーレール51a上に架設状態に設けられるプレート状の本体プレート部71aと、この本体プレート部71aの前端に設けられた前記挟持板部71bとを有している。
前記ガイド用突起75は、後クリップ本体71の本体プレート部71aの左右両端部から、下方に突設されている。
【0029】
前クリップブロック53及び後クリップブロック7(詳細には後クリップ本体71)は、帯状のフィルム12の幅寸法よりも若干大きい左右方向寸法を有しており、帯状のフィルム12を挟持するための面積を充分に確保できる。
なお、図8、図10に示すように、本実施形態に係る容器搬送機構3においては、後クリップブロック7の挟持板部71b及び前クリップブロック53の互いに対向する面に、ラバー74、53bが取り付けられ、このラバー74、53bによって、後クリップブロック7の挟持板部71b及び前クリップブロック53の互いに対向するフィルム挟持面53a、71cが形成されている。
図8、図10に例示したクリップブロック53、7では、挟持したフィルム12を、フィルム12の滑り防止用のラバー53b、74によって強固に固定できる。
但し、ラバー53b、74は省略可能である。
【0030】
前記ストッパ片72は、機筐2の両側壁部2bの内面側に突設されているクリップストッパ2cに後側から当接されることで、後クリップブロック7の機筐2前側への移動を規制する機能を果たす。
後クリップブロック7は、ストッパ片72が機筐2のクリップストッパ2cに当接する位置が、可動範囲前端位置である。
【0031】
図8、図11等に示すように、図示例の容器搬送機構3において、クリップスプリング8は、可動フレーム51に固定されたスプリング受け壁55kと、後クリップブロック7の内の前記スプリング受け壁55kよりも前側に位置する部分との間に配置された圧縮コイルばねであり、スプリング受け壁55kに反力を取って後クリップブロック7を前側に付勢する。図8、図11等において、スプリング受け壁55kは、可動フレーム51に複数設けられている連結枠材51bの1つ(受圧用連結部材51e)に固定されている。
前記クリップスプリング8は、中心軸方向を前後方向に揃えて、容器搬送機構3に組み込まれている。
【0032】
前記容器搬送機構3において、具体的には、クリップスプリング8は、前記スプリング受け壁55kと、後クリップブロック7の挟持板部71bとの間に配置されている。ここで、スプリング受け壁55kと、後クリップブロック7の挟持板部71bとは、スプリング受け部として機能する。
なお、後クリップブロック7において、クリップスプリング8の前端によって押圧されるスプリング受け部は、スプリング受け壁55kよりも前側に位置する部分であれば良く、前記挟持壁部71bに限定されない。
【0033】
前記容器搬送機構3においては、前クリップブロック53と後クリップブロック7が閉じ合わされたときに、スプリング受け壁55kと後クリップブロック7のスプリング受け部(図示例では挟持壁部71b)との間の離隔距離L(図10参照)が最大となる。
クリップスプリング8の長さ(引っ張りや圧縮といった外力が作用していない定常状態における軸方向寸法)は、前クリップブロック53と後クリップブロック7が閉じ合わされたときのスプリング受け壁55kと後クリップブロック7のスプリング受け部(図示例では挟持壁部71b)との間の離隔距離Lよりも長く、クリップスプリング8は、スプリング受け壁55kと後クリップブロック7のスプリング受け部との間に圧縮して介装してある。このため、クリップスプリング8は、圧縮状態が常時保たれており、後クリップブロック7に前後方向前側への付勢力を常時作用させる。
【0034】
容器搬送機構3では、図4、図8、図11(a)に示すように、容器受けトレー5が容器脱着位置にあるときに、クリップスプリング8の付勢力によって、後クリップブロック7のストッパ片72が機筐2のクリップストッパ2cに押し当てられ、しかも、後クリップブロック7の後クリップ本体71(詳細には挟持板部71b)と前クリップブロック53との間に隙間Cが確保される。この隙間Cは、既述のフィルム誘導部26の下端開口部26aの真下に位置している。このため、フィルム原反13から巻き出されてフィルム誘導部26の下端開口部26aからトレー出退口21に垂れ下げられたフィルム12を、隙間Cに挿入することは容易である。
【0035】
フィルム原反13から巻き出されたフィルム12の端部を前記隙間Cに配置し、トレー駆動機構6によって、容器受けトレー5を容器脱着位置からシール位置(図5、図7、図10、図11(c)の容器受けトレー5の位置)に向かって移動すると、前クリップブロック53が後クリップブロック7に次第に接近して、後クリップブロック7の後クリップ本体71(詳細には挟持板部71b)との間にフィルム12を挟み込み(図11(b)の状態)、後クリップブロック7を押圧するようになる。このとき、フィルム12は、クリップスプリング8の付勢力によって、前後のクリップブロック53、7の間にしっかりと挟み込まれる。
【0036】
前後のクリップブロック53、7の間にフィルム12が挟み込まれた後、さらなる、容器受けトレー5の移動(前後方向後側への移動)の継続によって、容器受けトレー5と後クリップブロック7が一体となって前後方向後側へ移動する。この移動は、シール位置に到達したところで移動を停止する(図11(c)参照)。
容器受けトレー5によって押圧された後クリップブロック7が前後方向後側への移動を開始すれば、後クリップブロック7のストッパ片72が、機筐2側のクリップストッパ2cから後方へ離れることは言うまでも無い。
なお、後クリップブロック7について、容器受けトレー5がシール位置にあるときの位置が、可動範囲後端位置である。
【0037】
容器受けトレー5の移動の停止は、例えば、容器受けトレー5がシール位置に到達したことを検知するセンサ(例えば図4のトレーINセンサ502)からの検知信号によって、クリップ駆動機構6のトレー駆動モータ61の駆動を停止することによって行う。
トレー駆動モータ61としては、例えば、駆動用電流が給電されていないときに、出力軸を回転させようとする外力の作用に対して出力軸の回転を規制するブレーキ力が働く、DCモータを採用する。この場合、容器受けトレー5がシール位置に到達したことを検知したセンサからの検知信号によって、トレー駆動モータ61の駆動用電流の給電を停止することで、トレー駆動モータ61自体を、容器受けトレー5のシール位置からの位置ずれを防止する位置ずれ防止手段として機能させることができる。
また、シール位置に達した容器受けトレー5を、容器上部開口部12へのフィルム12のヒートシールが完了するまで、シール位置から位置ずれしないように停止させておくための位置ずれ防止手段としては、例えば、容器受けトレー5を磁気吸着力によって固定して移動を規制する電磁石を用いたもの等、様々なものを採用できる。
なお、容器搬送機構には、容器受けトレー5を容器脱着位置から位置ずれしないように停止させておく位置ずれ防止手段も設ける。この位置ずれ防止手段も、容器受けトレー5を容器脱着位置から位置ずれしないように停止させておく位置ずれ防止手段と同様のものを採用できる。
【0038】
図8、図10を参照して判るように、容器受けトレー5が容器脱着位置にあるとき(図8等参照)は、容器受けトレー5がシール位置にあるときに比べて、スプリング受け壁55kと後クリップブロック7のスプリング受け部(図示例では挟持壁部71b)との間の離隔距離Lが小さくなる。これは、容器受けトレー5がシール位置から容器脱着位置に移動したときに、後クリップブロック7がストッパ2cで止められて、それ以上、前方に移動できないために、前後のクリップブロック53、7間に隙間Cが確保され、この隙間Cの形成による前後のクリップブロック53、7間の離隔距離Lcに相当する長さだけ、スプリング受け壁55kと後クリップブロック7のスプリング受け部(図示例では挟持壁部71b)との間の離隔距離Lが小さくなるためである。
【0039】
前記容器搬送機構3では、スプリング受け壁55kと後クリップブロック7のスプリング受け部との間に圧縮介装されたクリップスプリング8の付勢力が、前後のクリップブロック53、7の間にフィルム12を挟持する挟持力として作用するため、前後のクリップブロック53、7の間にフィルム12がしっかりと挟み込まれた状態が確実に維持される。
クリップスプリング8の付勢力によって前後のクリップブロック53、7の間にフィルム12がしっかりと挟み込まれた状態は、容器脱着位置からシール位置へ容器受けトレー5を移動するときのみならず、フィルム12の熱融着による容器11のシール作業を完了した後に、シール位置から容器脱着位置へ容器受けトレー5を移動する場合でも、後クリップブロック7がクリップストッパ2cに当接するまで維持される。
【0040】
容器受けトレー5を容器脱着位置からシール位置に移動すると、フィルム12が、フィルム誘導部26の下端開口部26aから引き出され、受け皿52上に張設される。
容器脱着位置にて受け皿52に容器11を設置した容器受けトレー5をシール位置に移動すれば、フィルム12が、受け皿52に支持されている容器11の開口周縁部11a上に張設され、容器11の上部開口部11bを覆うように配置される。
【0041】
つまり、この容器搬送機構3であれば、機筐2の前面側に突出された容器受けトレー5が機筐2内に収納される動作によって、ヒートシール用のフィルム12が、受け皿52に設置されている容器11上に、自動的に張設される。
このため、このヒートシール装置1によれば、例えば既述の特許文献1のように、フィルムの挟み忘れや、挟持操作ミスが生じることは無く、フィルムを受け皿52に設置されている容器11上に確実に配置することができる。そもそも、容器11上にフィルム12を張設するための特別な作業が不要であり、極めて簡単な操作で、容器11上にフィルム12を張設できる。
【0042】
(ヒータ盤機構)
図4に示すように、ヒータ盤機構4は、ヒータ盤41が取り付けられているヒータユニット42と、ヒータユニット42のヒータ盤41を下降させて受け皿52に向けて押圧するためのヒータ押し下げ機構43とを具備して構成されている。
【0043】
図2、図3に示すように、ヒータユニット42は、機筐2の左右両側壁部2bの内面側に設けられたヒータユニット案内レール29に支持して機筐2内に収納される。また、このヒータユニット42は、ヒータユニット案内レール29に沿って前後方向にスライド移動でき、機筐2前面側から機筐2に対して挿脱できる。
機筐2の前面壁24には、ヒータユニット42を機筐2に対して挿脱するためのヒータユニット挿脱口24aが開口されている。このヒータユニット挿脱口24aは、フロントカバー25の開閉によって開閉される。
【0044】
図3、図8等に示すように、ヒータユニット42は、左右のヒータユニット案内レール29に前後方向に移動可能に支持されるカバープレート44と、このカバープレート44から下側に突出されたガイドバー44aに昇降自在に取り付けられたヒータ盤41と、このヒータ盤41をカバープレート44に向けて付勢するためのヒータ盤戻しばね45とを具備して構成されている。
図示例のヒータユニット42は、さらに、前記カバープレート44に昇降可能として取り付けられた蒸気孔形成ピン46と、ヒータ押し下げ機構43に設けられたピン下降機構47によって下降された蒸気孔形成ピン46を上昇させるためのピン戻しばね48(具体的には、引きばねとして機能するコイルばね)も、具備した構成になっている。
【0045】
図2に示すように、ヒータユニット42は、カバープレート44の左右両端部である案内突部44bを左右のヒータユニット案内レール29上に載せることで、左右のヒータユニット案内レール29に前後方向に移動可能に支持される。
案内突部44bは、ヒータユニット42の左右両側に突出する突片状になっている。
【0046】
図3、図13に示すように、カバープレート44上には、ヒータ盤41に設けられているヒータプレート41bに通電するための通電コネクタ44cが取り付けられている。ヒータプレート41bは、通電によって加熱される。
この通電コネクタ44cは、機筐2前面側から機筐2内に挿入したヒータユニット42を左右のヒータユニット案内レール29に沿って機筐2後側に向けて押し込んでいくことで、機筐2内に固定されている内部通電コネクタ2d(図3参照)と嵌合して、電気的に接続される(図10参照)。内部通電コネクタ2dには、ヒートシール装置1の外部の電源(図示略)と電気的接続するための通電コード2e(図3参照)が接続されている。したがって、通電コネクタ44cと内部通電コネクタ2dとの接続によって、ヒータ盤41のヒータプレート41bを、ヒートシール装置1の外部の電源(図示略)と接続できるようになる。
通電コネクタ44cは内部通電コネクタ2dに対して脱着自在であり、ヒータユニット42を機筐2から前面側に引き出すと、通電コネクタ44cが内部通電コネクタ2dから引き抜かれ、接続が解除される。
ヒータユニット42が機筐2に対して挿脱可能であることは、容器11の形状や材質等に対応するためのヒータ盤41の交換や、ヒータユニット42自体あるいは装置1内部のメンテナンスに有利である。
【0047】
図14は、ヒータ盤41を示す下面図である。
図8、図10、図14に示すように、ヒータ盤41は、カバープレート44に固定されているガイドバー45に案内されながら昇降するヒータ盤ベースプレート41aと、リング状の前記ヒータプレート41bと、リング状フィルム押さえ41cと、リング状カッター41dと、ストレートフィルム押さえ41eと、ストレートカッター41fとを具備している。
ヒータプレート41bと、リング状フィルム押さえ41cと、リング状カッター41dと、ストレートフィルム押さえ41eと、ストレートカッター41fとは、ヒータ盤ベースプレート41aの下面側に固定されている。
リング状カッター41dとストレートカッター41fとは、ヒータ盤41を下降させて、シール位置に配置されている受け皿52に押し付けたときに、受け皿52上に配置されているフィルム12を切断するものである。
【0048】
ストレートフィルム押さえ41eとストレートカッター41fとは、ヒータ盤ベースプレート41aの前後方向前側の端部に固定して、左右方向に延在配置されている。ストレートフィルム押さえ41eは、ストレートカッター41fの前後方向前側にて、ストレートカッター41fに近接配置されている。
ヒータプレート41bと、リング状フィルム押さえ41cと、リング状カッター41dとは、ストレートフィルム押さえ41e及びストレートカッター41fよりも前後方向後側にて、ヒータ盤ベースプレート41aに固定されている。
【0049】
ヒータプレート41bと、リング状フィルム押さえ41cと、リング状カッター41dとは、同心円状に配置されている。
リング状カッター41dは、リング状のヒータプレート41bの外側に配置され、リング状フィルム押さえ41cはリング状カッター41dの外側に配置されている。
但し、図示例のヒータ盤41では、リング状フィルム押さえ41cとリング状カッター41dとは、ヒータ盤ベースプレート41aの前後方向前側の端部付近で不連続になっている概略C形になっている。リング状フィルム押さえ41c及びリング状カッター41dの延在方向両端は、ストレートカッター41fに近接配置されている。また、ヒータ盤ベースプレート41aの前後方向前側の端部付近では、ヒータプレート41bの外周部も、ストレートカッター41fに近接配置されている。
【0050】
図8、図10等に示すように、ヒータ盤ベースプレート41aには、ヒータプレート41bの該ヒータ盤ベースプレート41aに対する上下動を案内するためのヒータプレートガイドバー41gが昇降自在(上下動自在)に設けられている。
前記ヒータプレートガイドバー41gは、ヒータ盤ベースプレート41aに形成された貫通孔であるガイドバー挿通孔41hに上下動自在に挿入されている。
ヒータプレートガイドバー41gの、ヒータ盤ベースプレート41a上に突出される上端部には、ヒータ盤ベースプレート41aに上から当接される抜け止め突起41g1が突設されている。
ヒータプレート41bは、前記ヒータプレートガイドバー41gの下端に固定されており、これによりヒータ盤ベースプレート41aに対して、ヒータプレートガイドバー41gと一体に上下動するようになっている。
図13、図14において、符号41g2は、ヒータプレートガイドバー41gの下端にヒータプレート41bを固定する止めねじである。
また、ヒータプレート41bは、ヒータプレートガイドバー41gに外挿してヒータプレート41bとヒータ盤ベースプレート41aとの間に介装された圧縮コイルばね41iによって、ヒータ盤ベースプレート41aに対して下方に付勢されている。
【0051】
図8、図10、図14に示すように、ヒータ盤ベースプレート41aの複数箇所には、カバープレート44から下側に突設されたガイドバー44aを通すためのガイドバー挿通孔41jが形成されている。但し、図14に示すように、ガイドバー44a及びガイドバー挿通孔41jは、ヒータ盤41aにおいて、リング状フィルム押さえ41cの外側に位置位置しており、ガイドバー44aは、ヒータプレート41b、リング状フィルム押さえ41c、リング状カッター41dと干渉しない。
ガイドバー44aのカバープレート44上に突出する上端には、カバープレート44に上から当接されることで、ガイドバー44aのカバープレート44から下方への移動を規制する抜け止め突起44a1が突設されている。
図示例のガイドバー44aはカバープレート44に対して上下動可能であるが、ガイドバー44aは上端をカバープレート44に固定しておいても良い。
ヒータ盤ベースプレート41aは、カバープレート44の下側にて、複数のガイドバー挿通孔41jにそれぞれ通されたガイドバー44aに案内されながら、カバープレート44に対して上下動する。
【0052】
各ガイドバー44aには、ヒータ盤戻しばね45が外挿されている。
ヒータ盤戻しばね45は、各ガイドバー44aに外挿して、ガイドバー44aの下端に鍔状に突設されているばね受け部44dとヒータ盤ベースプレート41aとの間に介装された圧縮コイルばねであり、ヒータ盤ベースプレート41aをカバープレート44に向けて付勢している。
【0053】
符号44gは、ヒータ盤ベースプレート41aに固定されたベアリングであり、前記ガイドバー44aに沿った昇降を円滑にする。
前記ベアリング44gは、ヒータ盤ベースプレート41aの下面側に固定されている。
ヒータ盤戻しばね45は、具体的には、上端がベアリング44gに押し当てられており、ベアリング44gと、ガイドバー44a下端のばね受け部44dとの間に介装されている。
【0054】
ヒータ盤ベースプレート41a上には、ヒータ押し下げ機構43によって該ヒータ盤ベースプレート41aを下方に押し下げるための押し下げ用突起41kが突設されている。
図示例のヒータユニット42において、押し下げ用突起41kはピン状であり、カバープレート44の押し下げ用突起挿通孔44eに上下動可能に通され、カバープレート44上に突出されている。
図14中、符号41k1は、押し下げ用突起41kをヒータ盤ベースプレート41aに固定するための止めねじである。
押し下げ用突起41kは、ヒータ盤41aにおいて、リング状フィルム押さえ41cの外側の複数箇所に突設されている。
【0055】
図3、図8に示すように、ヒータユニット42は、ヒータ盤戻しばね45の付勢力によって、ヒータ盤ベースプレート41aがカバープレート44に当接されるようになっている(但し、ヒータ盤ベースプレート41aとカバープレート44との間を離隔させる外力(例えば、押し下げ用突起41kをカバープレート44の下側に向けて押し込む押圧力など)が何等作用していないとき)。
このため、例えば、ヒータユニット42を、機筐2前面側から、機筐2に対して挿脱するときなどでは、ヒータ盤ベースプレート41aとカバープレート44とが一体となった状態が安定に維持されるため、挿脱作業を容易に行える、等の利点がある。
【0056】
また、このヒータユニット42では、押し下げ用突起41kをカバープレート44上からカバープレート44の下側に向けて押し込むと、ヒータ盤41全体がカバープレート44に対して下方に離隔する。
押し下げ用突起41kの押圧力を解除すると、ヒータ盤戻しばね45の付勢力によって、ヒータ盤ベースプレート41aがカバープレート44に当接された状態に戻ることは言うまでも無い。
【0057】
ヒータ押し下げ機構43は、機筐2上部に設けられたモータ43a(図3参照。以下、カムモータとも言う)と、このカムモータ43aによって回転される駆動シャフト43eに固定され、この駆動シャフト43eと一体的に回転するカム43b(偏心カム。図3参照)と、このカム43bの下側に昇降自在に配置されたプレスバー43cとを具備して構成され、機筐2上部に組み込まれている。
カム43bは、前記プレスバー43cに当接される円形の外周面(摺接面43b1。外周面の「円形」は、カムの回転軸線に対する垂直断面における外周面形状)を有する筒状(あるいは円柱状)の部材である。このカム43bは、円形の摺接面43b1の中心を駆動シャフト43eの中心からずらして駆動シャフト43eに取り付けられている。カム43bは、駆動シャフト43eの回転によって、駆動シャフト43eと一体に、ヒータ盤41の昇降方向に垂直の軸線回りに回転し、その結果、駆動シャフト43eから下方への突出寸法が増減するようになっている。
なお、以下、カム43bについて、駆動シャフト43eから下方への突出寸法が最小の向きになっている状態(図4、図5の状態)を「上突出位置」、駆動シャフト43eから下方への突出寸法が最大の向きになっている状態(図7、図10の状態)を「下突出位置」と称することとする。
【0058】
図5等に示すように、機筐2内に組み込まれたヒータユニット42(詳細にはヒータユニット42のカバープレート44)上に突出する押し下げ用突起41kは、ヒータ押し下げ機構43のプレスバー43cの下に配置される。プレスバー43cは、押し下げ用突起41kの上端に上から当接される。
押し下げ用突起41k上に載せられたプレスバー43cは、押し下げ用突起41kを上方付勢するヒータ盤戻しばね45の付勢力によってカム43bに下から押圧される。
このヒータ盤機構4では、ヒータ押し下げ機構43のカムモータ43aの駆動によってカム43bが回転されることで、プレスバー43cが、押し下げ用突起41kと一体的に昇降する。これにより、ヒータユニット42のヒータ盤41が昇降される。
【0059】
このヒートシール装置1では、容器受けトレー5が容器脱着位置にあるとき、カム43bは上突出位置にある(図4)。
容器脱着位置から移動された容器受けトレー5がシール位置に到達した後、ヒータ盤機構4のカムモータ43aが駆動されて、ヒータ盤41の下降が開始される。ヒータ盤41の下降は、前記ヒータ盤戻しばね45の付勢力に抗して、プレスバー43cが押し下げ用突起41kを下方に押し下げることによってなされる。カム43bが下突出位置に至る所が、ヒータ盤41の下限位置(昇降下限位置)となる(図7)。
ヒータ盤41が昇降下限位置に到達したときには、ヒータ盤41のヒータプレート41bが、容器受けトレー5の受け皿52にセットされている容器11の開口周縁部11aに、容器11上に張設されたフィルム12上から押圧される。これにより、容器11の開口周縁部11aに対するフィルム12の熱融着が行われる。ヒータ盤41が昇降下限位置にある状態(カム43bが下突出位置)は、予め設定しておいた所定時間だけ維持し、熱融着が確実に行われるようにする。
【0060】
容器11の開口周縁部11aに対するフィルム12の熱融着の完了後、カムモータ43aの駆動によってカム43bが回転され、上突出位置に至る。これにより、ヒータ盤41が、ヒータ盤戻しばね45の付勢力によって、上方に押し上げられる。押し下げ用突起41k及びプレスバー43cも上方に押し上げられる(図5)。
ヒータ盤41の昇降は、カム43bが上突出位置にあるときの位置が、上限位置(昇降上限位置)である。
ヒータ盤41が昇降上限位置に到達した後、容器受けトレー5がシール位置から容器脱着位置に移動される(図4)。
このヒータ盤機構4では、シール位置にある受け皿52にセットされている容器11にフィルム12をヒートシールするとき(シール動作時)以外は、カム43bは上突出位置にあり、ヒータ盤41が昇降上限位置に支持される。
【0061】
図2、図8、図10等に示すヒータ盤機構4では、ヒータユニット42上の複数箇所に突出されている押し下げ用突起41kが、プレスバー43cで一括して下方に押し下げられて、ヒータ盤41を、受け皿52に対して均等に押圧できる。
なお、カム43bの外周面は、プレスバー43c上に突設されているカム当接台43dに摺接されるようになっている。
【0062】
図10等に例示したヒータ盤機構4のカム43bは、回転中心からの突出寸法が最大の箇所と最小の箇所とが、回転中心を介して反対側に位置する形状になっている。
したがって、カム43bの180°回転で、プレスバー43cの、上方待機位置と押し下げ限界位置とが切り換えられるようになっている。
但し、回転中心からの突出寸法が最大の箇所と最小の箇所とが、回転中心を介して反対側に位置する形状のカムは、図示例の円形外周面を有するものに限定されず、例えば、楕円形外周面を有するもの等も採用可能である。
【0063】
ヒータ盤機構4は、カム43bの180°反転を繰り返して、プレスバー43cを上方待機位置と押し下げ限界位置との間で昇降させるように構成しても良いが、カム43bが一方向にのみ回転駆動されることで、プレスバー43cの位置を上方待機位置と押し下げ限界位置とに切り換えるように構成することが好ましい。この場合、カムの回転方向の反転の際の振動発生を抑制できるとともに(振動防止は、フィルム12の位置ずれ防止に寄与する)、ヒータ盤機構4の駆動制御の簡易化、低コスト化を図ることができる。
【0064】
カム43bの180°反転によってプレスバー43cを昇降させる構成では、カム43bの回転方向の反転時にモータ43aからカム43bまでの駆動力伝達系で生じるバックラッシュが、容器11に対する熱融着直後のフィルム12の接着状態に悪影響を与えたり、フィルム12の皺の原因になることを回避するため、駆動力伝達系の構成部品の精度要求を厳しくする等の対策が必要となる場合がある。
カム43bを一方向にのみ回転駆動して、プレスバー43cの位置を上方待機位置と押し下げ限界位置とに切り換える構成であれば、カム43bの回転方向の反転時に、モータ43aからカム43bまでの駆動力伝達系で生じるバックラッシュに起因する不都合の発生を回避でき、フィルム12によるシール性の確保、熱融着部分の美観確保等の点で有利である。
【0065】
(蒸気孔形成機構)
図8、図9、図10に示すように、ヒータユニット42のカバープレート44に昇降可能として取り付けられた蒸気孔形成ピン46と、ヒータ押し下げ機構43に設けられたピン下降機構47と、ピン下降機構47によって下降された蒸気孔形成ピン46を上昇させるためのピン戻しばね48(具体的には、引きばねとして機能するコイルばね)とは、容器脱着位置からシール位置への容器受けトレー5の移動によって容器11の上部開口部11b上に張設されたフィルム12に蒸気孔を形成する蒸気孔形成機構49を構成する。
【0066】
蒸気孔形成機構49は、蒸気孔形成ピン46下端の針状部46aをフィルム12に突き刺すことでフィルム12に蒸気孔を形成する。
この蒸気孔は、容器11内に収納物から発生する水蒸気(湯気。例えば、ホットコーヒー、スープ類等の、温度の高い飲料あるいは食品から発生する)を通過させて容器11の外に排出し、かつ、液体を漏出させない、微細孔である。
【0067】
ピン下降機構47は、具体的にはソレノイドである。
このピン下降機構47は、ヒータ押し下げ機構43のプレスバー43cに取り付けられており、プレスバー43cと一体的に昇降する。
このピン下降機構47は、プランジャ47aを突出させることで、ヒータユニット42に昇降可能に設けられた蒸気孔形成ピン46を下降させて、蒸気孔形成ピン46下端の針状部46aを、容器11の上部開口部11b上に張設されたフィルム12に突き刺す機能を果たすものである。
このピン下降機構47としては、通電によってプランジャ47aを突出させるソレノイドに限定されず、例えば、エアシリンダ、油圧シリンダ等も採用可能であるが、応答速度が良好(応答速度が速い)である点、ヒートシール装置の小型化、低コスト化で有利である点で、ソレノイドの採用が適している。
【0068】
図10、図13、図14に示すように、蒸気孔形成ピン46は、ヒータ盤41のヒータ盤ベースプレート41aにおいてリング状のヒータプレート41bの内側に位置する部分に形成されたピン用貫通孔41m(図14参照)と、ヒータユニット42のカバープレート44に形成されたピン用貫通孔44f(図8参照)とに通して、ヒータユニット42に昇降自在に設けられている。
この蒸気孔形成ピン46は、カバープレート44のピン用貫通孔44fからカバープレート44上に突出する上端部が、ピン下降機構47によって下押しされる。
また、蒸気孔形成ピン46の、ヒータ盤ベースプレート41aから下方に突出する下端の針状部46aは、受け皿52上に張設されたフィルム12の内、容器11上に張設された部分(具体的には容器11の開口周縁部11aで囲まれる内側領域上に張設された部分)に突き刺される。
【0069】
コイルばねであるピン戻しばね48は、蒸気孔形成ピン46に外挿して、カバープレート44の下側に配置されている。
このピン戻しばね48の上端はカバープレート44に連結され、下端は蒸気孔形成ピン46に連結されている。
ピン戻しばね48は、蒸気孔形成ピン46がピン下降機構47(ソレノイド)によって下降されたときに引き延ばされる。ピン下降機構47は、ピン戻しばね48の付勢力に抗して、蒸気孔形成ピン46を下降させる。
その後、ピン下降機構47(ソレノイド)への通電がOFFになると、ピン戻しばね48の付勢力によって、蒸気孔形成ピン46が迅速に上昇される。このとき、ソレノイドであるピン下降機構47のプランジャ47aも、ピン戻しばね48の付勢力によって、蒸気孔形成ピン46に押圧されて押し上げられる。
フィルム12に突き刺した蒸気孔形成ピン46が上昇によってフィルム12から引き抜かれることで、蒸気孔が開口されて、蒸気孔から、容器11内の水蒸気を放出させることができる。
【0070】
(制御機構)
次に、前記ヒートシール装置1に係る制御機構の一例を説明する。
図15はヒートシール装置1の制御系を示すブロック図である。
図15に示すように、ヒートシール装置1の各機構(例えば、容器搬送機構3、ヒータ盤機構4)は、制御部16に接続されており、その駆動が制御部16によって制御される。図2に示すように、制御部16は機筐2に組み込まれている。
【0071】
図15に示すように、制御部16には、信号入力用の入力部16aと、信号出力用の出力部16bとが設けられている。
制御部16の入力部16aには、容器受けトレー5が容器脱着位置に配置されたことを検知するトレーOUTセンサ501(図5参照)と、容器受けトレー5がシール位置に配置されたことを検知するトレーINセンサ502(図4参照)と、容器受けトレー5に搭載された容器検出センサ93と、予熱モード制御のON/OFF切り換え用の予熱モード制御ON/OFF切り換えスイッチSW(以下、予熱モードスイッチ、とも言う)とが接続されている。
制御部16の出力部16bには、容器搬送機構3のトレー駆動モータ61と、ヒータ盤機構4のカムモータ43aと、運転表示ランプP1と、異常報知アラーム音発生用のスピーカP2とが接続されている。
【0072】
(シール工程)
このヒートシール装置1によって、未シールの容器11(フィルム12の熱融着による上部開口部11bの封止を行う前の容器11)の上部開口部11bの開口周縁部11aにフィルム12を熱融着して、上部開口部11bを封止したシール済み容器を得る動作(シール工程)は、以下の(1)〜(3)の工程で構成されている。
(1)容器脱着位置に配置された容器受けトレー5の受け皿52にセットされた未シールの容器11が、容器受けトレー5の容器検出センサ93で検出されたときに、トレー駆動機構6の駆動によって、自動的に、容器受けトレー5を容器脱着位置からシール位置に移動させる容器搬入工程。
(2)容器搬入工程の完了後、ヒータ盤機構4が、昇降上限位置(図4、図8に示すヒータ盤41の位置。以下、ヒータ盤上方待機位置とも言う。)にあったヒータ盤41を下降させ、容器11上に、上部開口部11bを塞ぐように設けられたフィルム12を、容器11の開口周縁部11aに熱融着する(ヒートシール)するヒートシール工程。
(3)ヒートシール工程の完了後、トレー駆動機構6の駆動によって、容器受けトレー5を容器脱着位置に移動させる、容器搬出工程。
【0073】
但し、このヒートシール装置1では、後述する予熱モード制御のON、OFFの切り替えが可能である。
予熱モード制御をONにした場合は、ヒートシール工程は、ヒータ盤41の下降を、受け皿52上に張設されているフィルム12から僅かに離隔した上側に設定された予熱位置(図6、図9に示すヒータ盤41の位置)で、予め設定された時間(予熱時間)だけ停止させて、フィルム12を加熱(予熱)する予熱工程と、予熱工程の完了後、蒸気孔形成機構49を駆動して、容器11の上部開口部11b上に張設されたフィルム12に蒸気孔(微細孔)を穿孔する蒸気孔形成工程とを含む。この場合は、予熱工程の完了後、ヒータ盤41の下降を再開して、受け皿52に向かって押圧して、容器11の開口周縁部11aに対するフィルム12の熱融着を行う(予熱モード制御機能)。蒸気孔形成工程は、ヒータ盤41をフィルム12上から受け皿52に向けて押圧した状態で実行される。
予熱モード制御をOFFにした場合は、ヒータ盤41が、ヒータ盤上方待機位置から予熱位置で一時停止することなく下降されて、フィルム12上から受け皿52に押圧される(予熱無し制御機能)。
【0074】
(容器搬入工程)
容器搬入工程では、トレー駆動機構6の駆動によって、容器受けトレー5を容器脱着位置からシール位置に移動させ、受け皿52に支持された容器11を、ヒータ盤機構4のヒータ盤41の直下に配置する。
なお、ヒータ盤機構4は、容器脱着位置からシール位置への容器受けトレー5の移動が完了するまで、ヒータ盤41を昇降上限位置(図5、図8に示すヒータ盤41の位置)に配置し、ヒータ盤41が、容器脱着位置からシール位置への容器受けトレー5の移動の障害にならないようにする。
ヒータ盤41の昇降上限位置は、ヒータ盤41が、容器脱着位置からシール位置への容器受けトレー5の移動によって機筐2内に引き込まれて受け皿52に設置されている容器11上に張設されるフィルム12とも干渉しない位置である。
【0075】
(ヒートシール工程)
ここでは、予熱モード制御の場合を説明する。
このヒートシール工程は、容器搬入工程が完了(容器脱着位置から移動された容器受けトレー5がシール位置に到達)したら、ヒータ盤機構4がヒータ盤41を下降させ、容器11上に、上部開口部11bを塞ぐように設けられたフィルム12を、容器11の開口周縁部11aに熱融着(ヒートシール)するものである。
但し、予熱モード制御がONの場合は、ヒートシール工程は、予熱工程と、蒸気孔形成工程とを含む。
なお、予熱無し制御の場合(予熱モード制御がOFF)は、ヒートシール工程において、予熱工程及び蒸気孔形成工程が実行されず、ヒータ盤41が、ヒータ盤上方待機位置から予熱位置で一時停止することなく下降されて、フィルム12上から受け皿52に押圧され、容器11の開口周縁部11aに対するフィルム12のヒートシールに至る。
【0076】
「予熱モード制御」は、ホットコーヒー、スープ、米飯、揚げ物等の温度の高い食品(特に水蒸気の発生の多い食品。飲料を含む)を収納した容器11の上部開口部11bのヒートシールを行う場合に適した制御モードである。
容器搬入工程が完了したら、ヒータ盤上方待機位置から、シール位置に配置された受け皿52に向かって下降を開始したヒータ盤41が、受け皿52上に張設されているフィルム12から僅かに離隔した上側に設定された予熱位置(図6、図9に示すヒータ盤41の位置)で、予め設定された時間(予熱時間)だけ停止されて、フィルム12を加熱(予熱)した後、下降を再開して、受け皿52に向かって押圧される。
【0077】
図1、図2に示すように、予熱モードスイッチSWは、機筐2の前面側に取り付けられている。
但し、これに限定されず、予熱モードスイッチは、例えば、機筐2から外側に延びる電気コードに接続されたリモコンや、無線リモコン等に設けても良い。
【0078】
予熱工程の例を説明する。
ヒータプレート41bは、通電によって加熱して、例えば、130〜200℃(下面温度)が保たれるようにする。
そして、ヒータ盤上方待機位置から下降させたヒータ盤41を、ヒータプレート41bの下面が、受け皿52上に張設されたフィルム12から1〜3mmの範囲となる位置(予熱位置)に停止させて、フィルム12を加熱(予熱)する。ヒータ盤41を予熱位置に停止させておく時間(予熱時間)は、例えば0.5秒〜数秒に設定する。
予熱工程では、フィルム12が加熱されることで、フィルム12に付着していた液滴が蒸発されて、減少(あるいは全て除去)させることができる。また、容器11内の食品から立ち上る水蒸気による液滴がフィルム12の下面に付着しにくくなる。その結果、ヒータ盤41を受け皿52に押圧したときに、容器11の開口周縁部11aに対するフィルム12の熱融着を、食品からの水蒸気の発生が無い場合と同様に、良好に行うことができる。
但し、上述の予熱位置、予熱時間は、一例であって、フィルム材質、フィルムの厚さ、容器の開口周縁部のサイズ等に応じて、適宜変更し得ることは言うまでも無い。
【0079】
図6、図9では、フィルム12が、前後のクリップブロック53、7に挟み込まれた部分とフィルム誘導路26の下端開口部26aとの間で張設されて、下端開口部26aの側に比べて、前後のクリップブロック53、7に挟み込まれた部分の側が僅かに低くなるように、緩やかに傾斜されているが、シール盤41を予熱位置に停止させたときに、フィルム12の内の、受け皿52上に張設されて、前記容器11の開口周縁部11a上に位置する部分が、全て、ヒータプレート41bから1〜3mmの範囲に入ることで、予熱工程によって、水蒸気による液滴の付着量を効果的に抑えることができる。
【0080】
予熱工程が完了したら、ヒータ盤41の下降を再開する。
ヒータ盤41を下降させていくと、ヒータ盤41のリング状フィルム押さえ41cと、ストレートフィルム押さえ41eとが、フィルム12を、受け皿52との間に挟み込むようにして押さえ込むとともに、リング状カッター41dとストレートカッター41fとが受け皿52に押圧されて、フィルム12を切断する。
【0081】
リング状フィルム押さえ41cは、受け皿52上にリング状に突設されている鍔受け台部52bの外側に、鍔受け台部52bと同心円状に形成されたリング状の突条であるフィルム押さえ台部52d上に押圧されて、フィルム押さえ台部52dとの間にフィルム12を挟み込む。
ストレートフィルム押さえ41eは、受け皿52の前端部に突設されて左右に直線状に延在する突条であるフィルム押さえ台部52e上に押圧されて、フィルム押さえ台部52eとの間にフィルム12を挟み込む。
リング状カッター41dは、ヒータ盤41の下降によって、受け皿52の鍔受け台部52bとフィルム押さえ台部52dとの間の溝状の凹所52fに入り込み、フィルム12を切断(押し切り)する。
【0082】
ストレートカッター41fは、フィルム原反13から延びるフィルム12の端部を、帯状のフィルム12を横切る向き(フィルム12の長手方向に直交する方向)の切断線によって切断して、帯状のフィルム12から、容器11のヒートシールに用いる部分を分離する機能を果たす。
このストレートカッター41fは、ヒータ盤41の下降によって、フィルム押さえ台部52eの前後方向後側にフィルム押さえ台部52eに沿わせるようにして移動(下降)し、フィルム12を切断(押し切り)する。
【0083】
(蒸気孔形成工程)
蒸気孔形成工程は、蒸気孔形成機構49を駆動して、容器11の上部開口部11b上に張設されたフィルム12に蒸気孔(微細孔)を穿孔するものである。
この蒸気孔形成機構49による蒸気孔の形成は、ヒータユニット42に昇降可能に設けられた蒸気孔形成ピン46をピン下降機構47で下降させて、蒸気孔形成ピン46下端の針状部46aを、容器11の上部開口部11b上に張設されたフィルム12に突き刺すことによる。
ピン下降機構47(ソレノイド)は、ヒータ盤41のリング状フィルム押さえ41cとストレートフィルム押さえ41eとが、受け皿52との間に挟み込むようにしてフィルム12を押さえ込んだ後、直ちに蒸気孔形成ピン46を下降させ(通電によりプランジャ47aを突出させる)、容器11の上部開口部11b上に張設されたフィルム12に蒸気孔(微細孔)を穿孔する。
ピン下降機構47の駆動は、ヒータ盤41が昇降下限位置に達した直後に、蒸気孔形成ピン46を下降させるように、制御部16において駆動タイミングを調整しておく。
【0084】
ピン下降機構47は、蒸気孔形成ピン46を、下端の針状部46aでフィルム12に蒸気孔を形成するところまで下降させたら、直ちに、プランジャ47aを突出するための駆動用の給電が遮断される。
これにより、蒸気孔形成ピン46は、引きばねとして機能するコイルばねであるピン戻しばね48によって、直ちに上昇されて、フィルム12から引き抜かれる。
蒸気孔形成ピン46下端の針状部46aをフィルム12に突き刺している時間は出来るだけ短いことが好ましい。これにより、蒸気孔形成ピン46によって形成した蒸気孔を素早く開口させることができ、容器11内に収納する食品(飲料も含む)から発生する水蒸気による、フィルム12の膨れ等の不都合を回避できる。
【0085】
ところで、既述のように、このヒートシール装置1では、容器搬入工程を完了すると、フィルム12が、フィルム誘導路26の下端開口部26aの側に比べて、前後のクリップブロック53、7に挟み込まれた部分の側が僅かに低くなるように、緩やかに傾斜されて、受け皿52上で張設される。これにより、ヒートシール工程では、ヒータ盤41による容器11の開口周縁部11aに対するフィルム12の押さえ込みが完了する直前まで、容器11の開口周縁部11aとフィルム12との間に、容器11内の食品から立ち上る水蒸気の逃げ道となる隙間が確保される。しかも、容器11内から立ち上る水蒸気は、フィルム12の傾斜に従って、前記隙間の大きい側に向かう流れとなって、円滑に排出される。
つまり、フィルム12が、受け皿52上にて、傾斜して張設される構成であれば、フィルム12が容器11の開口周縁部11a(詳細には上面11e)の上方にて平行に張設される場合に比べて、容器11から放出された水蒸気が容器11の開口周縁部11a付近に滞留しにくい。このため、容器11の開口周縁部11aや、フィルム12の容器11上に位置する部分に付着する水蒸気を減少させる(あるいは無くす)ことができ、水蒸気の付着に起因するヒートシール不良の防止に有効に寄与する。
【0086】
(容器搬出工程)
ヒートシール工程が完了したら、トレー駆動機構6の駆動によって、容器受けトレー5を容器脱着位置に移動させる。
このとき、後クリップブロック7のストッパ片72が、クリップストッパ2cに当接して、前後のクリップブロック53、7の間が開放されるまで、前後のクリップブロック53、7の間にフィルム12が挟み込まれた状態が維持される。後クリップブロック7のストッパ片72が、クリップストッパ2cに当接して、前後のクリップブロック53、7の間が開放されると、前後のクリップブロック53、7の間に隙間Cが確保される。
【0087】
容器搬出工程が完了すると、一連のシール工程が完了となる。
容器搬出工程を完了し、受け皿52からシール済み容器11を取り出した後、未シールの容器11を受け皿52にセットし、この容器11が容器検出センサ93で検出されれば、以下、上述のシール工程が実行される。
【0088】
シール工程が完了したときには、前クリップブロック53と、後クリップブロック7の後クリップ本体71(詳細には挟持板部71b)との間に隙間Cが確保される。
シール動作の完了後に、容器受けトレー5がシール位置から容器脱着位置に移動されると、フィルム誘導部26の下端開口部26aの直下に前記隙間Cが確保されるため、フィルム原反13から延びるフィルム12の、ベース盤41のストレートカッター41fによって切断された端部が前記隙間Cに入り込む。
したがって、ヒートシール装置1の動作を再スタートしたときには、容器受けトレー5がシール位置に移動されると同時に、フィルム12が、受け皿52に設置された容器11の上部開口部11b上に張設されることになる。
なお、フィルム誘導部26の下端開口部26aは、機筐2のトレー出退口21付近にあるので、本シートシール装置2の使用者等が手作業で、フィルム原反13から延びるフィルム12の端部の、前記隙間Cに対する位置修正等の作業を行うことは容易である。
【0089】
前記ヒートシール装置1によれば、予熱モード制御を採用して予熱工程を実行することで、高温で水蒸気の発生量の多い食品を収納した容器11についても、フィルム12による上部開口部11bのヒートシールを確実に行える。
蒸気孔形成工程をも実行することで、フィルム12による容器11の上部開口部11bのヒートシールを一層確実に行える。
【0090】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、各種変更が可能である。
例えば、本発明は、容器受けトレーの前後動、及び/又は、ヒータ盤の昇降を、手動で行うように構成したヒートシール装置にも適用可能である。
容器受けトレーの前後動を手動で行うように構成された容器搬送機構を採用した場合でも、容器搬送機構は非常に簡単な構成で済み、しかも、上述したように、容器受けトレーを機筐前面側に突出する容器脱着位置から機筐内に収納されるシール位置に移動するだけで、受け皿に設置されている容器上へのフィルムの配置を自動的に実現できる。
容器搬送機構のフィルムクリップ機構としては、フィルムの挟持と挟持解除とを切り替えでき、しかも、容器受けトレーを、ヒータ盤機構4の下の容器搬入空間Sの外から容器搬入空間Sに送り込んだときに、容器受けトレーに設置されている容器上に、フィルムを張設できる構成になっていれば良く、前記実施形態にて例示したものに限定されず、様々なものを採用できる。
上述の実施形態では、機筐2の前面側に突出する容器脱着位置と、機筐2内に収納されるシール位置との間で往復動する容器受けトレーによって、容器を搬送する構成の容器搬送機構を例示したが、本発明に係る容器搬送機構としてはこれに限定されない。
例えば、容器を一方向のみに移動するコンベアタイプの容器搬送機構も採用可能である。この場合は、ヒートシール装置として、上述の実施形態のような機筐2を具備した構成とせず、例えば、柱状あるいは門形の支持フレームによってヒータ盤機構4を支持した構成の機体を採用し、この機体を、容器搬送機構によって構成される容器搬送ラインの途中に設置する。容器搬送機構は、ヒータ盤機構の下に確保した容器搬入空間に設置する。
さらに、本発明は、容器搬送機構を具備したものに限定されず、例えば、ヒータ盤の下に確保した容器搬入空間に、本装置のユーザーが直接、手を入れて容器の搬入出を行うようになっている容器搬入空間が、ヒータ盤の下に確保されている構成(すなわち、容器搬送機構が無い構成)等も採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に係るヒートシール装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1のヒートシール装置の機筐を示す正面図である。
【図3】図1のヒートシール装置の構造を示す分解側断面図である。
【図4】図1のヒートシール装置の内部構造を示す図であり、容器受けトレーを機筐前面側に突出させた状態を示す側断面図である。
【図5】図1のヒートシール装置の内部構造を示す図であり、容器受けトレーを機筐内に収納した状態を示す側断面図である。
【図6】図1のヒートシール装置の内部構造を示す図であり、予熱工程を示す側断面図である。
【図7】図1のヒートシール装置の内部構造を示す図であり、シール工程を示す側断面図である。
【図8】図4における容器受けトレー付近を示す拡大図である。
【図9】図6における容器受けトレー付近を示す拡大図である。
【図10】図7における容器受けトレー付近を示す拡大図である。
【図11】(a)〜(c)は容器受けトレーを示す平面図であって、(a)は容器受けトレーを機筐内に収納した状態、(b)は容器受けトレーの前クリップブロックと後クリップブロックとの間にフィルムを挟み込んだ状態、(c)は容器受けトレーを機筐内に収納した状態を示す。
【図12】図11(a)のA−A線断面矢視図である。
【図13】ヒータユニットを示す正面図である。
【図14】図1のヒートシール装置のヒータ盤を示す下面図である。
【図15】図1のヒートシール装置の制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0092】
1…容器用ヒートシール装置、11…容器、11a…開口周縁部、11b…上部開口部、12…フィルム、13…フィルム原反、2…機筐、2a…フィルム原反設置部、2d…内部通電コネクタ、21…トレー出退口、24a…ヒータユニット挿脱口、29…ヒータユニット案内レール、3…容器搬送機構、4…ヒータ盤機構、41…ヒータ盤、41k…押し下げ用突起、42…ヒータユニット、43…ヒータ押し下げ機構、44…カバープレート、44a…ガイドバー、44b…案内突部、44c…通電コネクタ、44d…ばね受け部、45…ヒータ盤戻しばね、46…蒸気孔形成ピン、47…ピン下降機構、48…ピン戻しばね、49…蒸気孔形成機構、5…容器受けトレー、16…制御部、SW…予熱モード制御ON/OFF切り換えスイッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータ盤(41)を昇降させるヒータ盤機構(4)と、前記ヒータ盤機構の前記ヒータ盤の昇降を制御する制御部(16)とを具備し、前記ヒータ盤を、前記ヒータ盤の下の容器搬入空間(S)に搬入された容器の上部開口部上に設置されたフィルム(12)の上から前記容器の開口周縁部(11a)に押圧して、前記開口周縁部に前記フィルムを熱融着する容器用ヒートシール装置において、
前記制御部は、前記容器搬入空間に搬入された容器より上方の待機位置から下降させて前記容器の開口周縁部に押圧する前記ヒータ盤の下降動作を、前記待機位置と容器上に設置されたフィルムとの間に設定したフィルム予熱位置で一時停止させて、フィルムを予熱した後、再開させる、予熱モード制御機能を具備することを特徴とする容器用ヒートシール装置(1)。
【請求項2】
前記制御部は、前記ヒータ盤を昇降上限の待機位置から下降させて前記容器の開口周縁部に押圧する際に、前記ヒータ盤をフィルム予熱位置で停止させることなく下降させて、容器の開口周縁部に前記フィルムを熱融着せしめる、予熱無し制御機能と、前記予熱モード制御機能とを具備し、
前記予熱無し制御機能と前記予熱モード制御機能とを切り換えるための予熱モードON/OFF切り換えスイッチ(SW)から入力される制御モード切り換え信号によって、予熱無し制御機能と予熱モード制御機能とが切り換えられることを特徴とする請求項1記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項3】
前記ヒータ盤機構は、前記ヒータ盤を昇降自在に支持するヒータユニット(42)と、前記ヒータ盤上に突設されてヒータユニット上に突出する押し下げ用突起(41k)を押し下げることで前記ヒータ盤を下降させるヒータ押し下げ機構(43)と、前記ヒータ押し下げ機構によって押し下げられた前記ヒータ盤を付勢して待機位置に戻すヒータ盤戻しばね(45)とを具備してなり、
前記ヒータ押し下げ機構は、回転駆動されることによって、前記押し下げ用突起を前記ヒータ盤戻しばねの付勢力に抗して押し下げることで前記ヒータ盤を下降させるカムを具備してなることを特徴とする請求項1又は2記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項4】
前記ヒータ押し下げ機構の前記カムの一方向への回転によって前記ヒータ盤が昇降されるようになっていることを特徴とする請求項3記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項5】
前記ヒータ盤機構は、機筐に挿脱可能に組み込まれて前記ヒータ盤を昇降自在に支持するヒータユニット(42)と、前記ヒータ盤上に突設されてヒータユニット上に突出する押し下げ用突起(41k)を押し下げることで前記ヒータ盤を下降させるヒータ押し下げ機構(43)とを具備し、
前記ヒータユニットは、前記機筐内に支持されるカバープレート(44)と、このカバープレートの下側に配置され、前記カバープレートから下方に延出されたガイドバー(44a)に昇降自在に取り付けられた前記ヒータ盤と、前記ヒータ押し下げ機構によって押し下げられた前記ヒータ盤を付勢して待機位置に戻すヒータ盤戻しばね(45)とを具備し、
前記ヒータ盤戻しばねは、前記ガイドバーに外挿して、前記ヒータ盤と前記ガイドバーの前記ヒータ盤から下方に突出された下端部に設けられたばね受け部(44d)との間に介装され、前記ヒータ盤を前記カバープレートに向けて付勢する圧縮コイルばねであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項6】
前記ヒータユニットは、前記カバープレートの両端の案内突部(44b)を、機筐の両側壁部に設けられたヒータユニット案内レール(29)にスライド移動可能に支持して機筐内に組み込まれ、しかも、前記案内突部の前記ヒータユニット案内レールに沿ったスライド移動によって、機筐の前面側に開口するヒータユニット挿脱口(24a)から機筐に挿脱可能であり、
前記カバープレートに取り付けられた、前記ヒータ盤の通電加熱用の通電コネクタ(44c)が、前記ヒータユニットの前記機筐に対する挿脱によって、前記機筐内に取り付けられている内部通電コネクタ(2d)に脱着されるようになっていることを特徴とする請求項5記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項7】
前記機筐内に搬入された容器の上部開口部上に設置されたフィルムに蒸気孔形成ピン(46)を突き刺して蒸気孔を形成する蒸気孔形成機構(49)を具備することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項8】
前記蒸気孔形成機構は、前記ヒータユニットに昇降自在に取り付けられた前記蒸気孔形成ピンと、前記ヒータ盤と一体に昇降される部材に取り付けられ、前記蒸気孔形成ピンを下降させるピン下降機構(47)と、このピン下降機構によって下降された蒸気孔形成ピンを付勢して上昇させるピン戻しばね(48)とを具備することを特徴とする請求項7記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項9】
さらに、前記ヒータ盤の下の容器搬入空間に対する容器(11)の搬入及び搬出を行う容器搬送機構(3)を具備することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項10】
前記容器搬送機構は、
前記容器が設置される容器受け部(52)を具備し、支持フレーム(2)によって前記ヒータ盤機構を支持した機体(1A)の側部から前記ヒータ盤の下の容器搬入空間(S)に送り込まれる容器受けトレー(5)と、
ヒートシール用の帯状のフィルムを挟み込む、開閉可能な一対のクリップブロック(53、7)を具備して構成され、前記容器搬入空間に送り込まれる前記容器受けトレーの前記容器受け部よりも送り込み方向前側に配置されて、前記容器受けトレーとともに一括して前記容器搬入空間に送り込まれるフィルムクリップ機構とを具備し、
前記機体に設けられたフィルム誘導部によって前記容器搬入空間の入口(21)に導かれて前記容器受けトレーに上から供給される前記フィルムを挟み込んだ前記フィルムクリップ機構が、前記容器受けトレーとともに前記容器搬入空間に送り込まれることで、前記容器受け部に設置された容器の上部開口部上に前記フィルムが設置されるようになっていることを特徴とする請求項9記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項11】
前記容器受けトレーが、前記容器搬入空間内で前記容器を支持するシール位置に移動されたときに、前記フィルムが、前記フィルムクリップ機構の一対のクリップブロックと、前記フィルム誘導部の前記容器搬入空間の入口上に位置する終端との間で、上下方向に傾斜して、前記容器の上部開口部上に張設されることを特徴とする請求項10記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項1】
ヒータ盤(41)を昇降させるヒータ盤機構(4)と、前記ヒータ盤機構の前記ヒータ盤の昇降を制御する制御部(16)とを具備し、前記ヒータ盤を、前記ヒータ盤の下の容器搬入空間(S)に搬入された容器の上部開口部上に設置されたフィルム(12)の上から前記容器の開口周縁部(11a)に押圧して、前記開口周縁部に前記フィルムを熱融着する容器用ヒートシール装置において、
前記制御部は、前記容器搬入空間に搬入された容器より上方の待機位置から下降させて前記容器の開口周縁部に押圧する前記ヒータ盤の下降動作を、前記待機位置と容器上に設置されたフィルムとの間に設定したフィルム予熱位置で一時停止させて、フィルムを予熱した後、再開させる、予熱モード制御機能を具備することを特徴とする容器用ヒートシール装置(1)。
【請求項2】
前記制御部は、前記ヒータ盤を昇降上限の待機位置から下降させて前記容器の開口周縁部に押圧する際に、前記ヒータ盤をフィルム予熱位置で停止させることなく下降させて、容器の開口周縁部に前記フィルムを熱融着せしめる、予熱無し制御機能と、前記予熱モード制御機能とを具備し、
前記予熱無し制御機能と前記予熱モード制御機能とを切り換えるための予熱モードON/OFF切り換えスイッチ(SW)から入力される制御モード切り換え信号によって、予熱無し制御機能と予熱モード制御機能とが切り換えられることを特徴とする請求項1記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項3】
前記ヒータ盤機構は、前記ヒータ盤を昇降自在に支持するヒータユニット(42)と、前記ヒータ盤上に突設されてヒータユニット上に突出する押し下げ用突起(41k)を押し下げることで前記ヒータ盤を下降させるヒータ押し下げ機構(43)と、前記ヒータ押し下げ機構によって押し下げられた前記ヒータ盤を付勢して待機位置に戻すヒータ盤戻しばね(45)とを具備してなり、
前記ヒータ押し下げ機構は、回転駆動されることによって、前記押し下げ用突起を前記ヒータ盤戻しばねの付勢力に抗して押し下げることで前記ヒータ盤を下降させるカムを具備してなることを特徴とする請求項1又は2記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項4】
前記ヒータ押し下げ機構の前記カムの一方向への回転によって前記ヒータ盤が昇降されるようになっていることを特徴とする請求項3記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項5】
前記ヒータ盤機構は、機筐に挿脱可能に組み込まれて前記ヒータ盤を昇降自在に支持するヒータユニット(42)と、前記ヒータ盤上に突設されてヒータユニット上に突出する押し下げ用突起(41k)を押し下げることで前記ヒータ盤を下降させるヒータ押し下げ機構(43)とを具備し、
前記ヒータユニットは、前記機筐内に支持されるカバープレート(44)と、このカバープレートの下側に配置され、前記カバープレートから下方に延出されたガイドバー(44a)に昇降自在に取り付けられた前記ヒータ盤と、前記ヒータ押し下げ機構によって押し下げられた前記ヒータ盤を付勢して待機位置に戻すヒータ盤戻しばね(45)とを具備し、
前記ヒータ盤戻しばねは、前記ガイドバーに外挿して、前記ヒータ盤と前記ガイドバーの前記ヒータ盤から下方に突出された下端部に設けられたばね受け部(44d)との間に介装され、前記ヒータ盤を前記カバープレートに向けて付勢する圧縮コイルばねであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項6】
前記ヒータユニットは、前記カバープレートの両端の案内突部(44b)を、機筐の両側壁部に設けられたヒータユニット案内レール(29)にスライド移動可能に支持して機筐内に組み込まれ、しかも、前記案内突部の前記ヒータユニット案内レールに沿ったスライド移動によって、機筐の前面側に開口するヒータユニット挿脱口(24a)から機筐に挿脱可能であり、
前記カバープレートに取り付けられた、前記ヒータ盤の通電加熱用の通電コネクタ(44c)が、前記ヒータユニットの前記機筐に対する挿脱によって、前記機筐内に取り付けられている内部通電コネクタ(2d)に脱着されるようになっていることを特徴とする請求項5記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項7】
前記機筐内に搬入された容器の上部開口部上に設置されたフィルムに蒸気孔形成ピン(46)を突き刺して蒸気孔を形成する蒸気孔形成機構(49)を具備することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項8】
前記蒸気孔形成機構は、前記ヒータユニットに昇降自在に取り付けられた前記蒸気孔形成ピンと、前記ヒータ盤と一体に昇降される部材に取り付けられ、前記蒸気孔形成ピンを下降させるピン下降機構(47)と、このピン下降機構によって下降された蒸気孔形成ピンを付勢して上昇させるピン戻しばね(48)とを具備することを特徴とする請求項7記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項9】
さらに、前記ヒータ盤の下の容器搬入空間に対する容器(11)の搬入及び搬出を行う容器搬送機構(3)を具備することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項10】
前記容器搬送機構は、
前記容器が設置される容器受け部(52)を具備し、支持フレーム(2)によって前記ヒータ盤機構を支持した機体(1A)の側部から前記ヒータ盤の下の容器搬入空間(S)に送り込まれる容器受けトレー(5)と、
ヒートシール用の帯状のフィルムを挟み込む、開閉可能な一対のクリップブロック(53、7)を具備して構成され、前記容器搬入空間に送り込まれる前記容器受けトレーの前記容器受け部よりも送り込み方向前側に配置されて、前記容器受けトレーとともに一括して前記容器搬入空間に送り込まれるフィルムクリップ機構とを具備し、
前記機体に設けられたフィルム誘導部によって前記容器搬入空間の入口(21)に導かれて前記容器受けトレーに上から供給される前記フィルムを挟み込んだ前記フィルムクリップ機構が、前記容器受けトレーとともに前記容器搬入空間に送り込まれることで、前記容器受け部に設置された容器の上部開口部上に前記フィルムが設置されるようになっていることを特徴とする請求項9記載の容器用ヒートシール装置。
【請求項11】
前記容器受けトレーが、前記容器搬入空間内で前記容器を支持するシール位置に移動されたときに、前記フィルムが、前記フィルムクリップ機構の一対のクリップブロックと、前記フィルム誘導部の前記容器搬入空間の入口上に位置する終端との間で、上下方向に傾斜して、前記容器の上部開口部上に張設されることを特徴とする請求項10記載の容器用ヒートシール装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−161336(P2007−161336A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−363219(P2005−363219)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000239138)株式会社エフピコ (98)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000239138)株式会社エフピコ (98)
【Fターム(参考)】
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