容器緩衝用ベルト
【課題】 液化ガス容器への装着状態での占有面積の増加を抑制するとともに、運搬時における液化ガス容器同士の接触による衝突音の発生および疵の発生を防止できる容器緩衝用ベルトを提供する。
【解決手段】 容器の円筒状の外周面から隆起しかつ周方向に延びる隆起部が覆われるように装着され、可撓性および弾発性材料からなる無端状の容器緩衝用ベルトであって、容器緩衝用ベルトは、環状の基部と基部の幅方向各一端に連なる一対の環状の連結部と連結部の基部とは反対側の幅方向の一端に連なる一対の環状のテーパ部とからなり、基部は周方向に延びかつ内方に開放するとともに、容器緩衝用ベルトが容器に装着された状態で隆起部が嵌り込む環状の凹溝を有し、連結部は周方向に延びかつ内方に突出する環状の凸部を有し、テーパ部は各連結部から幅方向外方に離反するにつれて先細状に形成されるとともに、内方に突出する内周部分を有する。
【解決手段】 容器の円筒状の外周面から隆起しかつ周方向に延びる隆起部が覆われるように装着され、可撓性および弾発性材料からなる無端状の容器緩衝用ベルトであって、容器緩衝用ベルトは、環状の基部と基部の幅方向各一端に連なる一対の環状の連結部と連結部の基部とは反対側の幅方向の一端に連なる一対の環状のテーパ部とからなり、基部は周方向に延びかつ内方に開放するとともに、容器緩衝用ベルトが容器に装着された状態で隆起部が嵌り込む環状の凹溝を有し、連結部は周方向に延びかつ内方に突出する環状の凸部を有し、テーパ部は各連結部から幅方向外方に離反するにつれて先細状に形成されるとともに、内方に突出する内周部分を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスボンベ等の液化ガス容器等の円筒形容器の運搬時に、互いに隣接して載置される容器同士の接触に対する緩衝材として有用な容器緩衝用ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
金属製の液化ガス容器が運搬される際には、一度にできるだけ多くの液化ガス容器を運搬するために複数の液化ガス容器は運搬車両の荷台に起立し、かつ隣接する液化ガス容器同士の間隔をできるだけ狭くした状態で載置して運搬される。したがって、運搬車両が走行し、荷台が振動することによって、液化ガス容器の外周面同士が接触するので、当該接触によって金属音等の接触音が生じ、かつ液化ガス容器の外周面に疵がついてしまうという問題がある。
【0003】
このような問題を解決するための従来技術として、たとえば特許文献1には、液化ガス容器の外周面の一部を緩衝材で覆うことによって、液化ガス容器の外周面同士が直接接触するのを防ぐことのできるガスボンベ保護用成形体に関する技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、保護用成形体の厚み分だけ液化ガス容器を載置するのに必要な占有面積が増加してしまうので、保護用成形体で液化ガス容器を覆わない場合に比べて、一度に運搬することのできる液化ガス容器の本数が減少してしまうという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63−115698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、液化ガス容器への装着状態での占有面積の増加を抑制するとともに、運搬時における液化ガス容器同士の接触による衝突音の発生および疵の発生を防止することのできる容器緩衝用ベルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、円筒状の外周面から隆起しかつ周方向に延びる隆起部を有する容器の前記隆起部が覆われるように装着される、可撓性および弾発性材料からなる無端状の容器緩衝用ベルトであって、
前記容器緩衝用ベルトは、環状の基部と、基部の幅方向各一端に連なる一対の環状の連結部と、連結部の基部とは反対側の幅方向の一端に連なる一対の環状のテーパ部とからなり、
前記基部は、周方向に延びかつ内方に開放するとともに、容器緩衝用ベルトが容器に装着された状態で前記隆起部が嵌り込む環状の凹溝を有し、
前記連結部は、周方向に延びかつ内方に突出する環状の凸部を有し、
前記テーパ部は、各連結部から幅方向外方に離反するにつれて先細状に形成されるとともに、内方に突出する内周部分を有することを特徴とする容器緩衝用ベルトである。
【0008】
また本発明は、各連結部には、周方向に間隔をあけて複数の貫通孔が形成されることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、各連結部は、基部よりも剛性が低いことを特徴とする。
また本発明は、各テーパ部は、基部および各連結部よりも柔軟性の高い材料から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器の円筒状の外周面から隆起する隆起部が凹溝に嵌り込んで基部によって覆われるので、運搬時において各容器の隆起部同士が直接接触することを防ぐことができる。また、容器緩衝用ベルトは、可撓性および弾発性を有する材料からなるので、容器緩衝用ベルト同士が接触した場合において、大きな接触音の発生を抑制するとともに、容器の外周面に疵が生じることを防止することができる。
【0011】
また、基部が容器緩衝用ベルトが容器に装着された状態で隆起部が嵌り込む環状の凹溝を有するので、容器緩衝用ベルトが容器に装着された状態において容器を載置するのに必要な占有面積の増加を抑制することができ、一度に運搬することのできる容器の本数の減少を抑制することができる。
【0012】
また、連結部が周方向に延びかつ内方に突出する環状の凸部を有するので、容器緩衝用ベルトに引張力を加えた場合であっても、凸部の先端寄りの位置に容器緩衝用ベルトの重心をおくことができ、凸部の先端側の変形を抑制することができる。このように凸部の先端側の変形を抑制することができるので、連結部の変形を抑制でき、連結部に連なるテーパ部が各連結部の容器の外周面に接触する内周面よりも反り返ることを防ぐことができ、テーパ部を容器の外周面に弾発的に当接させることができる。
【0013】
また、テーパ部は、内方に突出する内周部分を有するので、容器に容器緩衝用ベルトを装着する際にテーパ部の反り返りが発生したとしても、容器の外周面に容器緩衝用ベルトを密着させた状態で装着させることができ、容器と容器緩衝用ベルトとの間に雨水等の水分が浸入するのを防ぐことができる。
【0014】
また本発明によれば、各連結部には、周方向に間隔をあけて複数の貫通孔が形成されるので、仮に容器と容器緩衝用ベルトとの間に雨水等の水分が浸入した場合であっても、各貫通孔から水分を排出することができる。また容器と容器緩衝用ベルトとの間に、貫通孔を介して外気が導入、排出されるので、浸入した水分の蒸発を促進させることができる。
【0015】
また本発明によれば、各連結部は、基部よりも剛性が低いので、容器に装着した状態で容器緩衝用ベルトには引張力が作用しているので、テーパ部を連結部の復元力によって、容器の外周面に弾発的に当接することができ、これによって容器緩衝用ベルトと容器の外周面との間に水などの液体が浸入することが防がれる。
【0016】
また本発明によれば、各テーパ部は、基部および各連結部よりも柔軟性の高い材料から成るので、テーパ部を容器の外周面に密着させて容器緩衝用ベルトを容器に装着させることができる。このようにテーパ部を容器の外周面に密着させて装着することができるので、雨水などの水分が容器と容器緩衝用ベルトとの間に浸入することをより効果的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態の容器緩衝用ベルト1を示す拡大断面図である。
【図2】容器緩衝用ベルト1の正面図である。
【図3】容器緩衝用ベルト1の平面図である。
【図4】図3の切断面線A−Aから見た容器緩衝用ベルト1の断面図である。
【図5】容器緩衝用ベルト1が液化ガス容器2に装着された状態を示す正面図である。
【図6】容器緩衝用ベルト1が装着された液化ガス容器2が運搬される際の状態を示す正面図である。
【図7】液化ガス容器2の正面図である。
【図8A】条件(1−1)および(2−1)における音圧を示すグラフである。
【図8B】条件(1−2)および(2−2)における音圧を示すグラフである。
【図8C】条件(1−3)および(2−3)における音圧を示すグラフである。
【図8D】条件(1−4)および(2−4)における音圧を示すグラフである。
【図8E】条件(1−5)および(2−5)における音圧を示すグラフである。
【図9A】条件(1−1)における周波数特性を示すグラフである。
【図9B】条件(1−2)における周波数特性を示すグラフである。
【図9C】条件(1−3)における周波数特性を示すグラフである。
【図9D】条件(1−4)における周波数特性を示すグラフである。
【図9E】条件(1−5)における周波数特性を示すグラフである。
【図9F】条件(2−1)における周波数特性を示すグラフである。
【図9G】条件(2−2)における周波数特性を示すグラフである。
【図9H】条件(2−3)における周波数特性を示すグラフである。
【図9I】条件(2−4)における周波数特性を示すグラフである。
【図9J】条件(2−5)における周波数特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態の容器緩衝用ベルト1を示す拡大断面図である。また図2は、容器緩衝用ベルト1の正面図であり、図3は、容器緩衝用ベルト1の平面図であり、図4は、図3の切断面線A−Aから見た容器緩衝用ベルト1の断面図である。なお、図1は図4に示す断面図の一部を拡大した図である。
【0019】
容器緩衝用ベルト1は、液化ガス容器2の外周面3に当接するように装着して使用される無端状のベルトであって、液化ガス容器2同士が接触した際の接触音の発生を抑制し、液化ガス容器2の外周面3に疵が発生することを防止するために用いられる。液化ガス容器2は、液化プロパンガス(略称LPG)を運搬する際などに用いる容器である。
【0020】
以下の説明において、容器緩衝用ベルト1の厚みに沿う方向を厚み方向Xとし、容器緩衝用ベルト1の長手方向に相当する方向を周方向Yとし、厚み方向Xおよび周方向Yに垂直な方向を幅方向Zとする。また、容器緩衝用ベルト1の表面のうち、液化ガス容器2に装着した際に液化ガス容器2の外周面3に対向する表面を内周面といい、厚み方向Xにおいて内周面と反対側の表面を外周面という。また、容器緩衝用ベルトの外周面を含む外周面側の部分を外周面部7とし、内周面を含む内周面側の部分を内周面部8とする。
【0021】
容器緩衝用ベルト1は、液化ガス容器2に装着した状態において、液化ガス容器2の中心軸線と共通な一直線をなす軸線mに関して大略的に円環状である。容器緩衝用ベルト1は、環状の基部4と、幅方向Zにおいて基部4に連なる一対の環状の連結部5a,5bと、幅方向Zにおいて連結部5a,5bの基部4とは反対側に連なる一対の環状のテーパ部6a,6bとを含む。
【0022】
基部4は、容器緩衝用ベルト1の幅方向Z中央に形成され、容器緩衝用ベルト1を幅方向Zに沿って切断した場合における切断面が凹状に形成される。また基部4の外周面18は幅方向Zと平行にかつ平坦に形成される。幅方向Zにおける外周面18の両端部のうち、後述する連結部5a側の端部を18aとし、連結部5b側の端部を18bとする。基部4には、厚み方向Xにおいて外周面部7から内周面部8にかけて開口する凹溝9が形成される。後述するように底面10と頂面11a,11bと湾曲面12a,12bとからなる基部4の内周面31の幅方向Z両端部4a,4b間の距離L1は、10mm〜15mmの範囲内であればよく、本実施形態では12mmに選ばれる。幅方向Zにおける外周面18の両端部18a,18b間の距離も距離L1と同じ長さに形成される。
【0023】
厚み方向Xにおいて基部4の幅方向Z各端部4a,4bから基部4の外周面18までの距離L2は2.5mm〜5mmの範囲内であればよく、本実施形態では3mmに選ばれ、凹溝9の形成される部分の厚み方向Xの距離L3、すなわち凹溝9の底面10から外周面18までの距離は1mm〜3mmの範囲内であればよく、本実施形態では1.5mmに選ばれる。
【0024】
凹溝9は、幅方向Zに平行で平坦な底面10と頂面11a,11bと両頂面11a,11bから底面10に湾曲して連なる湾曲面12a,12bとからなる。凹溝9は基部4の内周面31に、基部4の幅方向Zにおける各端部4a,4bからそれぞれ一定の距離L4をあけて形成される頂部13a,13bから内周面側から外周面側に凹んで形成される。距離L4は、1.0mm〜1.5mmの範囲内であればよく、本実施形態では1.2mmに選ばれる。
【0025】
また凹溝9は、幅方向Zにおいて容器緩衝用ベルト1の中央部であって、かつ基部4の中央部に形成され、周方向Yに沿って延びるように形成される。凹溝9の幅方向Zにおける頂部13aから13bの距離L5は9mm〜10mmの範囲内であればよく、本実施形態では9.6mmに選ばれる。また厚み方向Xにおいて、両頂部13a,13bから底面10までの距離L7は、1.5mm〜2.0mmの範囲内であればよく、本実施形態では1.5mmに選ばれる。
【0026】
連結部5a,5bは、幅方向Zにおいて基部4の両端部4a,4bに連なり、基部4と周方向において平行に延びて形成される。両連結部5a,5bおよびテーパ部6a,6bは基部4に関して対称に形成され同様の構成となるため、以下では連結部5aおよびテーパ部6aについて説明し、連結部5bおよびテーパ部6bについての説明は省略する。
【0027】
なお、連結部5a,5bおよびテーパ部6a,6bにおける同じ部位については同一の参照符を付し、連結部5aおよびテーパ部6aを構成する部位には同一の数字に添え字aを付し、連結部5b、テーパ部6bを構成する部位には同一の数字に添え字bを付す。
【0028】
連結部5aは、その内周面部に第1凹溝14a、第2凹溝15a、および幅方向Zにおいて、第1凹溝14aと第2凹溝15aとの間に形成される補強部16aを有し、外周面部に第3凹溝27aを有する。連結部5aの外周面19aは、幅方向Zに平行でかつ平坦に形成される。補強部16a,16bは、凸部を構成する。
【0029】
第1凹溝14aは、基部4の端部4aを一方の頂部とし、後述する補強部16aの一方の端部21aを他方の頂部とし、周方向Yにおいて凹溝9と平行に延びて形成される。また、第1凹溝14aは、周方向に平行な環状の凹溝である。第1凹溝14aは、厚み方向Xにおいて外周面部7から内周面部8にかけて開口して形成される。また第1凹溝14aは、基部4の端部4aと補強部16aの端部21aを両頂部とし、各頂部4a,21aから外周面部7側に向って厚み方向Xに凹み、幅方向Zに平行でかつ平坦な底面17aを有して形成される。
【0030】
幅方向Zにおける第1凹溝14aの各頂部4a、21a間の距離L8は、2.5mm〜4.5mmの範囲内であればよく、本実施形態では3.5mmに選ばれ、第1凹溝14aの底面17aと連結部5aの外周面19aとの厚み方向Xにおける距離L9は、1mm〜3mmの範囲内であればよく、本実施形態では1.2mmに選ばれる。また、厚み方向Xにおいて、各頂部4a,21aから第1凹溝14aの底面17aまでの距離L10は、0.5mm〜1.5mmの範囲内であればよく、本実施形態では0.8mmに選ばれる。
【0031】
補強部16aは、厚み方向Xにおいて第1凹溝14aの底面17aおよび後述する第2凹溝15aの底面23aから内方に向って突出して、周方向に平行な環状に形成される。内方とは、外周面部7から内周面部8に向う方向である。また補強部16aは、周方向Yにおいて凹溝9と平行に延びて形成される。補強部16aの内周面20aは、幅方向Zに平行でかつ平坦に形成される。
【0032】
補強部16aの内周面20aから連結部5aの外周面19aまでの距離L11は、1.5mm〜4.5mmの範囲内であればよく、本実施形態では2mmに選ばれ、内周面20から第1凹溝14aの底面17aおよび第2凹溝15aの底面23aまでの距離は、前記距離L10と等しく形成される。補強部16aの幅方向Zにおける両端部21a,22a間の距離L12は、1.5mm〜3.0mmの範囲内であればよく、本実施形態では2mmに選ばれる。両端部21a,22aのうち、端部21aが幅方向Zにおける第1凹溝14a側の端部であり、端部22aが幅方向Zにおける第2凹溝15a側の端部である。内周面20は、基部4の頂面11a,11bと幅方向Zにおいて平行に形成される。
【0033】
第2凹溝15aは、補強部の一端部22aを一方の頂部とし、後述するテーパ部6aの一端部24aを他方の頂部とし、周方向Yにおいて凹溝9と平行に延びて形成される。第2凹溝15aは、厚み方向Xにおいて外周面部7から内周面部8にかけて開口して形成される。また、第2凹溝15aは、補強部16aの一端部22aとテーパ部6aの一端部24aを両頂部とし、両頂部22a,24aから外周面部7側に向って厚み方向Xと平行に凹み、幅方向Zと平行でかつ平坦な底面23aを有して形成される。
【0034】
幅方向Zにおける第2凹溝15aの両頂部22a,24a間の距離L13は、2.5mm〜4.5mmの範囲内であればよく、本実施形態では3.5mmに選ばれ、第2凹溝15aの底面23aと連結部5aの外周面19aとの厚み方向Xにおける距離L14は、1mm〜3mmの範囲内であればよく、本実施形態では1.2mmに選ばれる。また、厚み方向Xにおける頂部22aから第2凹溝の底面23aまでの距離L15は、0.5mm〜1.5mmの範囲内であればよく、本実施形態では0.8mmに選ばれる。頂部24aから第2凹溝の底面23aまでの距離はL15と同じ距離に形成される。
【0035】
第3凹溝27aは、基部4の外周面18の一端部18aおよび後述するテーパ部6aの外周面側の端部26aを両頂部とし、外周面部から内周面部に向って厚み方向Xと平行に凹んで形成される。また、幅方向Zにおける両頂部18a,26a間の距離L17は、連結部5aの幅方向Zにおける距離と等しく形成され、6.5mm〜12mmの範囲内であればよく、本実施形態では9mmに選ばれる。また、距離L8、距離L12および距離L13の合計距離は距離L17と等しくなるように形成される。
【0036】
このように、連結部5aは、第1凹溝14a、第2凹溝15a、および第3凹溝27aを有し、さらに第1および第2凹溝14a,15a間に両凹溝14a,15aの底面17a,23aから突出する補強部16を有するので、容器緩衝用ベルト1を幅方向Zに沿って切断した切断面の形状が凸状に形成される。
【0037】
また連結部5aは、第1〜第3凹溝14a,15a,27aを有して形成されるので、第1〜第3凹溝14a,15a,27aを有さない場合と比べて、幅方向Zに沿って容器緩衝用ベルト1を切断した場合における断面の面積が小さくなる。したがって、第1〜第3凹溝14a,15a,27aを有さない場合と比べて連結部5aの剛性、特に曲げ剛性を低くすることができる。
【0038】
テーパ部6aは、幅方向Zにおいて連結部5aの基部4とは反対側の一端に連なって形成される。内周面29aにおけるテーパ部6aの幅方向Z両端部24a,25aのうち、端部24aは連結部5a側の端部である。また端部25aは連結部5aとは反対側の端部であり、容器緩衝用ベルト1の幅方向Zにおける一端部である。
【0039】
テーパ部6aは、内周面29aの端部24aおよび外周面の端部26aから端部25aに向って先細状に形成されるとともに、端部25aが補強部16aの内周面20aよりも内方に突出するように形成され、内方に突出するように形成されている部分は内周部分である。内方とは、外周面部7から内周面部8に向う方向である。幅方向Zにおける、端部24aから端部25aまでの距離L16は、4mm〜6mmの範囲内であればよく、本実施形態では5mmに選ばれる。テーパ部6aの内周面29a、すなわち端部24aと端部25aとの間の面は、直線に形成される。テーパ部6aの外周面30a、すなわち端部26aと端部25aとの間の面は、外周面側から内周面側に向って湾曲するように形成される。
【0040】
容器緩衝用ベルト1の、幅方向Zにおける距離L18、すなわち端部25aから端部25bまでの距離は、距離L1に距離L17の2倍の距離および距離L16の2倍の距離を加えたものと一致し、31mm〜51mmの範囲内であればよく、本実施形態では40mmに選ばれる。また、容器緩衝用ベルト1の厚みは距離L2と等しく形成される。
【0041】
このように容器緩衝用ベルト1には、多くの溝が形成されるので、溝が形成されない場合に比べて、必要とする材料の量を低減することができる。したがって、溝が形成されない場合に比べて、安価に製造することができる。
【0042】
また、容器緩衝用ベルト1は、第1凹溝14a,14b、第2凹溝15a,15b、および両凹溝14a,14b,15a,15b間に各凹溝14a,14b,15a,15bの底面17a,17b,23a,23bから突出する補強部16a,16bを有し、容器緩衝用ベルト1を幅方向Zに沿って切断した切断面の形状が凸状に形成される一対の連結部5a,5bを有するので、連結部5a,5bの重心を凸状部の先端部寄りの位置、すなわち両補強部16a,16bの内周面20a,20b寄りの位置に設けることができる。
【0043】
このように形成することによって、後述するように容器緩衝用ベルト1を液化ガス容器2に装着する際に引張力を加えた場合であっても、補強部16aの内周面20a寄りの位置に容器緩衝用ベルト1の重心をおくことができ、内周面部側の変形を外周面部側の変形に比べて抑制することができる。したがって、テーパ部6a,6bの端部25a,25bが外側に反り返ることを防ぐことができるので、内周面29a,29bを液化ガス容器2の外周面に弾発的に当接させることができる。
【0044】
本実施形態では、容器緩衝用ベルト1は同一材料による一層構造に構成され、一体成型によって実現される。容器緩衝用ベルト1の材料としては、可撓性および弾発性を有するものであればよく、より好ましくは、ショアA硬度50〜70の材料が望ましい。可撓性および弾発性を有する材料としては、熱可塑性合成樹脂や熱硬可塑性合成樹脂、合成ゴムなどが挙げられる。本実施形態ではポリ塩化ビニール90重量%、ポリウレタン10重量%からなる樹脂を材料として用いている。なお、ポリ塩化ビニールとポリウレタンの割合は上記割合に限られず、ポリ塩化ビニールが90重量%でポリウレタンが10重量%〜ポリ塩化ビニールが70重量%でポリウレタンが30重量%の範囲内であればよい。このように可撓性および弾発性を有する材料から形成されるので、液化ガス容器2同士が接触した場合における、接触音の発生を抑制し、かつ液化ガス容器2の外周面に疵が生じることを防止することができる。
【0045】
図5は、容器緩衝用ベルト1が液化ガス容器2に装着された状態を示す正面図であり、図6は、容器緩衝用ベルト1が装着された液化ガス容器2が運搬される際の状態を示す正面図であり、図7は、液化ガス容器2の正面図である。
【0046】
図5に示すように、容器緩衝用ベルト1は、液化ガス容器2に装着して使用され、具体的には後述する溶接部102が基部4の凹溝9に嵌り込むように装着して使用される。液化ガス容器2は金属製であり、円筒状の胴部100と胴部100の上部に連なって形成される頭部101と胴部100の下部に連なって形成される脚部103とからなり、胴部100と頭部101との境目および胴部100と脚部103との境目には、胴部100、頭部101および脚部103の外周面から外方に隆起して形成される隆起部である溶接部102が形成される。
【0047】
このように容器緩衝用ベルト1の基部4には、溶接部102が嵌り込む、厚み方向Xにおいて外周面部7から内周面部8にかけて開口する凹溝9が形成されるので、凹溝9が形成されない場合に比べて、液化ガス容器2に容器緩衝用ベルト1を装着した際における液化ガス容器2を載置するのに必要な占有面積の増加を抑制することができる。このように、1本の液化ガス容器2を載置するのに必要な占有面積の増加を抑制することができるので、一度に運搬することのできるボンベの本数の減少を抑制することができる。
【0048】
また、凹溝9は、底面10と頂面11a,11bと両頂面11a,11bから底面10に湾曲して連なる湾曲面12a,12bとからなるので、溶接部102が凹溝9に正確に嵌り込むように装着されていなくても、溶接部102が湾曲面12a,12bを摺動して、正確な位置に嵌り込むことができる。したがって、容器緩衝用ベルト1を液化ガス容器2に対して容易に装着することができる。
【0049】
図6に示すように、通常液化ガス容器2は複数本が隣接し、起立した状態で運搬されるので、隣接する液化ガス容器2の溶接部102同士、または溶接部102と外周面とが接触し、金属音を発生させるとともに、液化ガス容器2の外周面に疵を生じさせてしまう。
【0050】
容器緩衝用ベルト1は、可撓性および弾発性を有する材料からなり、溶接部102が嵌り込む凹溝9を有して形成されるので、容器緩衝用ベルト1を液化ガス容器2に装着させることで、溶接部102同士もしくは溶接部102と外周面とが直接接触することを防ぐことができる。これによって接触による不快な金属音の発生を防止し、接触音の音圧レベルを下げることができ、発生する音の周波数を低くすることができ、外周面に疵が生じることを防止することができる。したがって、運搬中における、近隣への騒音を防止するとともに、外周面の疵から生じる外周面の腐食、塗膜の剥がれ等を防ぐことができる。
【0051】
以下では、容器緩衝用ベルトを液化ガス容器に装着した場合に、装着しない場合と比較して接触音の音圧および周波数特性がどの程度変化するかの測定結果について説明する。接触音の音圧および周波数特性の測定は、以下のようにして行った。
【0052】
[接触音の測定方法]
接触音の音圧および周波数特性の測定は、後述する測定条件毎にLPG50kg容器(以下、「LPG容器」という。)の上部同士を接触させて、発生した接触音を騒音計(リオン株式会社製、NL−02A)で計測することで行った。また、LPG容器から騒音計までの距離は120cmとし、地面から80cmの位置に騒音計を設置した。また、LPG容器と地面との接触による接触音の発生を防止するために、LPG容器を厚さ4.5mmの防振ゴムシート上に載置した状態で、LPG容器同士を接触させた。また、各条件につき8回の接触音の測定を行い、その平均値を各条件の測定結果とした。
【0053】
測定条件は、以下に示す10通りである。
(1)LPG容器に容器緩衝用ベルトが装着されていない。
(1−1)ガスが充填されていない容器(充填量0%容器)同士を接触させる。
(1−2)充填量0%容器とガスが容器の容量の半分だけ充填されている容器(充填量50%容器)とを接触させる。
(1−3)充填量0%容器とガスが容器の容量の満杯充填されている容器(充填量100%容器)とを接触させる。
(1−4)充填量50%容器と充填量100%容器とを接触させる。
(1−5)充填量100%容器同士を接触させる。
(2)LPG容器に容器緩衝用ベルトが装着されている。
(2−1)充填量0%容器同士を接触させる。
(2−2)充填量0%容器と充填量50%容器とを接触させる。
(2−3)充填量0%容器と充填量100%容器とを接触させる。
(2−4)充填量50%容器と充填量100%容器とを接触させる。
(2−5)充填量100%容器同士を接触させる。
【0054】
[接触音の音圧測定結果]
図8は、各条件(1−1)〜(1−5),(2−1)〜(2−5)における音圧を示すグラフである。図8Aは、条件(1−1)および(2−1)における音圧を示すグラフであり、図8Bは、条件(1−2)および(2−2)における音圧を示すグラフであり、図8Cは、条件(1−3)および(2−3)における音圧を示すグラフであり、図8Dは、条件(1−4)および(2−4)における音圧を示すグラフであり、図8Eは、条件(1−5)および(2−5)における音圧を示すグラフである。グラフの縦軸は音圧(dB)を示し、横軸は接触してからの時間(sec)を示す。
【0055】
図8A〜図8Eから明らかなように、LPG容器に容器緩衝用ベルトが装着されている場合には、LPG容器に容器緩衝用ベルトが装着されていない場合に比べ接触音の音圧が低減されていることがわかる。表1は各条件(1−1)〜(1−5)および(2−1)〜(2−5)における音圧の最大値をまとめた表である。
【表1】
【0056】
LPG容器に容器緩衝用ベルトが装着されていない場合には、各条件(1−1)〜(1−5)における音圧の最大値が90dBを越えているのに対して、LPG容器に容器緩衝用ベルトが装着されている場合には、各条件(2−1)〜(2−5)における音圧の最大値が80dBよりも低い値となっており、容器緩衝用ベルトを装着することによって、音圧の最大値が約20dB低減されていることがわかる。
【0057】
[接触音の周波数特性]
図9は、各条件(1−1)〜(1−5),(2−1)〜(2−5)における周波数特性を示すグラフである。図9Aは、条件(1−1)における周波数特性を示すグラフであり、図9Bは、条件(1−2)における周波数特性を示すグラフであり、図9Cは、条件(1−3)における周波数特性を示すグラフであり、図9Dは、条件(1−4)における周波数特性を示すグラフであり、図9Eは、条件(1−5)における周波数特性を示すグラフであり、図9Fは、条件(2−1)における周波数特性を示すグラフであり、図9Gは、条件(2−2)における周波数特性を示すグラフであり、図9Hは、条件(2−3)における周波数特性を示すグラフであり、図9Iは、条件(2−4)における周波数特性を示すグラフであり、図9Jは、条件(2−5)における周波数特性を示すグラフである。グラフの縦軸は強度(Pa・s)を示し、横軸は周波数(Hz)を示す。
【0058】
図9A〜図9Eから明らかなように、LPG容器に容器緩衝用ベルトが装着されていない場合には、約1500Hzの周波域までの周波数が発生している。それに対して、図9F〜図9Jから明らかなように、LPG容器に容器緩衝用ベルトが装着されている場合には、約500Hzの周波域までの周波数しか発生していない。このことから、LPG容器に容器緩衝用ベルトを装着することによって、LPG容器の接触によって発生する接触音の周波数が、LPG容器に容器緩衝用ベルトを装着しない場合と比較して、低い周波域に移行することがわかる。
【0059】
前記測定結果から、容器緩衝用ベルトを液化ガス容器に装着させることで、接触によって発生する接触音の周波数を低減できる、換言すれば人間にとって不快な金属音の発生を抑制することができ、接触音の音圧レベルを低減できることがわかる。
【0060】
容器緩衝用ベルト1は、前述のような材料から形成されるので、容器緩衝用ベルト1は温度によって多少伸縮する。したがって、容器緩衝用ベルト1の内径r1は、夏季の気温によって伸びても液化ガス容器2から外れず、冬季の気温によって縮んでも破れたりすることがない大きさに形成される。具体的には、容器緩衝用ベルト1の内径r1は液化ガス容器2の溶接部102における外径r2よりも少し小さく形成され、290〜310mmの範囲内であればよく、本実施形態では305mmに形成される。なお、液化ガス容器2の外径r2は365mm〜370mmである。
【0061】
容器緩衝用ベルト1の内径r1は、液化ガス容器2の外径r2よりも小さく形成されるので、容器緩衝用ベルト1を液化ガス容器2に装着する際には、容器緩衝用ベルト1に内周面部から外周面部に向う引張力を加えて、液化ガス容器2の外径r2よりも容器緩衝用ベルト1の内径r1を大きくして装着する必要がある。したがって装着時には、容器緩衝用ベルト1に引張力を加えるので容器緩衝用ベルト1が変形し、容器緩衝用ベルト1の両端部25a,25bが外周面側に反り返る場合がある。
【0062】
しかしながら、本実施形態の容器緩衝用ベルト1は、端部25a,25bが補強部16a,16bの内周面20よりも内方に突出するように形成されるので、両端部25a,25bが反り返ったとしても、内周面20よりも外方に、すなわち内周面部から外周面部に向かって反り返るのを防ぐことができる。したがって、容器緩衝用ベルト1を液化ガス容器2の外周面に密着させた状態で装着させることができ、容器緩衝用ベルト1と液化ガス容器2との間に雨水などの水分が浸入することを防ぐことができる。また、雨水などの水分の浸入を防ぐことができるので、液化ガス容器2の外周面の腐食、塗膜の剥がれ等を防止することができる。
【0063】
本実施形態では形成されていないが、連結部5a,5bには厚み方向Xにおいて、外周面から内周面にむかって貫通する貫通孔が周方向Yに沿って複数形成されてもよい。このような貫通孔を形成することによって、仮に容器緩衝用ベルト1と液化ガス容器2との間に雨水などの水分が浸入した場合であっても、各貫通孔から水分を排出することができる。また容器緩衝用ベルト1と液化ガス容器2との間に、貫通孔を通じて外気が導入、排出されるので、浸入した水分の蒸発を促進させることができる。したがって、液化ガス容器2の外周面の腐食、塗膜の剥がれ等を防止することができる。
【0064】
本実施形態では、材料としてポリ塩化ビニールとポリウレタンとからなる樹脂を用いているが、材料の中にワイヤーやアラミド繊維などの化学繊維を補強材として含んで形成してもよい。このような補強材が含んで形成されることによって、容器緩衝用ベルト1の強度を高めることができるので耐久性を高めることができ、長期間安定して使用することができる。
【0065】
また、材料の中に着色剤を混入し、容器緩衝用ベルト1に色を付してもよい。このように着色剤を混入して形成することによって、液化ガス容器2の所有者を明確にすることができるので、液化ガス容器2の取り間違えなどを防止することができる。
【0066】
また、容器緩衝用ベルト1の内周面部と外周面部とを剛性の異なる材料で形成してもよく、たとえば、内周面部の材料を外周面部の材料に比べて剛性の低い材料で形成してもよい。このようにすることによって、液化ガス容器2の外周面の微小な凹凸に容器緩衝用ベルト1の内周面が沿うように当接し装着することができるので、密着して装着させることができるとともに、他の液化ガス容器等と接触した場合であっても、容器緩衝用ベルト1が損傷するのを抑制することができる。
【0067】
また、両テーパ部6a,6bを基部4および両連結部5a,5bよりも柔軟性の高い材料から形成してもよい。このように形成することによって、テーパ部6a,6bの内周面29a,29bが液化ガス容器2の外周面の微小な凹凸に沿うように当接し装着することができる。したがって、雨水などの浸入をより防ぐことができ、液化ガス容器2の外周面の腐食、塗膜の剥がれ等を防止することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 容器緩衝用ベルト
2 液化ガス容器
3 外周面
4 基部
5a,5b 連結部
6a,6b テーパ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスボンベ等の液化ガス容器等の円筒形容器の運搬時に、互いに隣接して載置される容器同士の接触に対する緩衝材として有用な容器緩衝用ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
金属製の液化ガス容器が運搬される際には、一度にできるだけ多くの液化ガス容器を運搬するために複数の液化ガス容器は運搬車両の荷台に起立し、かつ隣接する液化ガス容器同士の間隔をできるだけ狭くした状態で載置して運搬される。したがって、運搬車両が走行し、荷台が振動することによって、液化ガス容器の外周面同士が接触するので、当該接触によって金属音等の接触音が生じ、かつ液化ガス容器の外周面に疵がついてしまうという問題がある。
【0003】
このような問題を解決するための従来技術として、たとえば特許文献1には、液化ガス容器の外周面の一部を緩衝材で覆うことによって、液化ガス容器の外周面同士が直接接触するのを防ぐことのできるガスボンベ保護用成形体に関する技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、保護用成形体の厚み分だけ液化ガス容器を載置するのに必要な占有面積が増加してしまうので、保護用成形体で液化ガス容器を覆わない場合に比べて、一度に運搬することのできる液化ガス容器の本数が減少してしまうという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63−115698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、液化ガス容器への装着状態での占有面積の増加を抑制するとともに、運搬時における液化ガス容器同士の接触による衝突音の発生および疵の発生を防止することのできる容器緩衝用ベルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、円筒状の外周面から隆起しかつ周方向に延びる隆起部を有する容器の前記隆起部が覆われるように装着される、可撓性および弾発性材料からなる無端状の容器緩衝用ベルトであって、
前記容器緩衝用ベルトは、環状の基部と、基部の幅方向各一端に連なる一対の環状の連結部と、連結部の基部とは反対側の幅方向の一端に連なる一対の環状のテーパ部とからなり、
前記基部は、周方向に延びかつ内方に開放するとともに、容器緩衝用ベルトが容器に装着された状態で前記隆起部が嵌り込む環状の凹溝を有し、
前記連結部は、周方向に延びかつ内方に突出する環状の凸部を有し、
前記テーパ部は、各連結部から幅方向外方に離反するにつれて先細状に形成されるとともに、内方に突出する内周部分を有することを特徴とする容器緩衝用ベルトである。
【0008】
また本発明は、各連結部には、周方向に間隔をあけて複数の貫通孔が形成されることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、各連結部は、基部よりも剛性が低いことを特徴とする。
また本発明は、各テーパ部は、基部および各連結部よりも柔軟性の高い材料から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器の円筒状の外周面から隆起する隆起部が凹溝に嵌り込んで基部によって覆われるので、運搬時において各容器の隆起部同士が直接接触することを防ぐことができる。また、容器緩衝用ベルトは、可撓性および弾発性を有する材料からなるので、容器緩衝用ベルト同士が接触した場合において、大きな接触音の発生を抑制するとともに、容器の外周面に疵が生じることを防止することができる。
【0011】
また、基部が容器緩衝用ベルトが容器に装着された状態で隆起部が嵌り込む環状の凹溝を有するので、容器緩衝用ベルトが容器に装着された状態において容器を載置するのに必要な占有面積の増加を抑制することができ、一度に運搬することのできる容器の本数の減少を抑制することができる。
【0012】
また、連結部が周方向に延びかつ内方に突出する環状の凸部を有するので、容器緩衝用ベルトに引張力を加えた場合であっても、凸部の先端寄りの位置に容器緩衝用ベルトの重心をおくことができ、凸部の先端側の変形を抑制することができる。このように凸部の先端側の変形を抑制することができるので、連結部の変形を抑制でき、連結部に連なるテーパ部が各連結部の容器の外周面に接触する内周面よりも反り返ることを防ぐことができ、テーパ部を容器の外周面に弾発的に当接させることができる。
【0013】
また、テーパ部は、内方に突出する内周部分を有するので、容器に容器緩衝用ベルトを装着する際にテーパ部の反り返りが発生したとしても、容器の外周面に容器緩衝用ベルトを密着させた状態で装着させることができ、容器と容器緩衝用ベルトとの間に雨水等の水分が浸入するのを防ぐことができる。
【0014】
また本発明によれば、各連結部には、周方向に間隔をあけて複数の貫通孔が形成されるので、仮に容器と容器緩衝用ベルトとの間に雨水等の水分が浸入した場合であっても、各貫通孔から水分を排出することができる。また容器と容器緩衝用ベルトとの間に、貫通孔を介して外気が導入、排出されるので、浸入した水分の蒸発を促進させることができる。
【0015】
また本発明によれば、各連結部は、基部よりも剛性が低いので、容器に装着した状態で容器緩衝用ベルトには引張力が作用しているので、テーパ部を連結部の復元力によって、容器の外周面に弾発的に当接することができ、これによって容器緩衝用ベルトと容器の外周面との間に水などの液体が浸入することが防がれる。
【0016】
また本発明によれば、各テーパ部は、基部および各連結部よりも柔軟性の高い材料から成るので、テーパ部を容器の外周面に密着させて容器緩衝用ベルトを容器に装着させることができる。このようにテーパ部を容器の外周面に密着させて装着することができるので、雨水などの水分が容器と容器緩衝用ベルトとの間に浸入することをより効果的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態の容器緩衝用ベルト1を示す拡大断面図である。
【図2】容器緩衝用ベルト1の正面図である。
【図3】容器緩衝用ベルト1の平面図である。
【図4】図3の切断面線A−Aから見た容器緩衝用ベルト1の断面図である。
【図5】容器緩衝用ベルト1が液化ガス容器2に装着された状態を示す正面図である。
【図6】容器緩衝用ベルト1が装着された液化ガス容器2が運搬される際の状態を示す正面図である。
【図7】液化ガス容器2の正面図である。
【図8A】条件(1−1)および(2−1)における音圧を示すグラフである。
【図8B】条件(1−2)および(2−2)における音圧を示すグラフである。
【図8C】条件(1−3)および(2−3)における音圧を示すグラフである。
【図8D】条件(1−4)および(2−4)における音圧を示すグラフである。
【図8E】条件(1−5)および(2−5)における音圧を示すグラフである。
【図9A】条件(1−1)における周波数特性を示すグラフである。
【図9B】条件(1−2)における周波数特性を示すグラフである。
【図9C】条件(1−3)における周波数特性を示すグラフである。
【図9D】条件(1−4)における周波数特性を示すグラフである。
【図9E】条件(1−5)における周波数特性を示すグラフである。
【図9F】条件(2−1)における周波数特性を示すグラフである。
【図9G】条件(2−2)における周波数特性を示すグラフである。
【図9H】条件(2−3)における周波数特性を示すグラフである。
【図9I】条件(2−4)における周波数特性を示すグラフである。
【図9J】条件(2−5)における周波数特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態の容器緩衝用ベルト1を示す拡大断面図である。また図2は、容器緩衝用ベルト1の正面図であり、図3は、容器緩衝用ベルト1の平面図であり、図4は、図3の切断面線A−Aから見た容器緩衝用ベルト1の断面図である。なお、図1は図4に示す断面図の一部を拡大した図である。
【0019】
容器緩衝用ベルト1は、液化ガス容器2の外周面3に当接するように装着して使用される無端状のベルトであって、液化ガス容器2同士が接触した際の接触音の発生を抑制し、液化ガス容器2の外周面3に疵が発生することを防止するために用いられる。液化ガス容器2は、液化プロパンガス(略称LPG)を運搬する際などに用いる容器である。
【0020】
以下の説明において、容器緩衝用ベルト1の厚みに沿う方向を厚み方向Xとし、容器緩衝用ベルト1の長手方向に相当する方向を周方向Yとし、厚み方向Xおよび周方向Yに垂直な方向を幅方向Zとする。また、容器緩衝用ベルト1の表面のうち、液化ガス容器2に装着した際に液化ガス容器2の外周面3に対向する表面を内周面といい、厚み方向Xにおいて内周面と反対側の表面を外周面という。また、容器緩衝用ベルトの外周面を含む外周面側の部分を外周面部7とし、内周面を含む内周面側の部分を内周面部8とする。
【0021】
容器緩衝用ベルト1は、液化ガス容器2に装着した状態において、液化ガス容器2の中心軸線と共通な一直線をなす軸線mに関して大略的に円環状である。容器緩衝用ベルト1は、環状の基部4と、幅方向Zにおいて基部4に連なる一対の環状の連結部5a,5bと、幅方向Zにおいて連結部5a,5bの基部4とは反対側に連なる一対の環状のテーパ部6a,6bとを含む。
【0022】
基部4は、容器緩衝用ベルト1の幅方向Z中央に形成され、容器緩衝用ベルト1を幅方向Zに沿って切断した場合における切断面が凹状に形成される。また基部4の外周面18は幅方向Zと平行にかつ平坦に形成される。幅方向Zにおける外周面18の両端部のうち、後述する連結部5a側の端部を18aとし、連結部5b側の端部を18bとする。基部4には、厚み方向Xにおいて外周面部7から内周面部8にかけて開口する凹溝9が形成される。後述するように底面10と頂面11a,11bと湾曲面12a,12bとからなる基部4の内周面31の幅方向Z両端部4a,4b間の距離L1は、10mm〜15mmの範囲内であればよく、本実施形態では12mmに選ばれる。幅方向Zにおける外周面18の両端部18a,18b間の距離も距離L1と同じ長さに形成される。
【0023】
厚み方向Xにおいて基部4の幅方向Z各端部4a,4bから基部4の外周面18までの距離L2は2.5mm〜5mmの範囲内であればよく、本実施形態では3mmに選ばれ、凹溝9の形成される部分の厚み方向Xの距離L3、すなわち凹溝9の底面10から外周面18までの距離は1mm〜3mmの範囲内であればよく、本実施形態では1.5mmに選ばれる。
【0024】
凹溝9は、幅方向Zに平行で平坦な底面10と頂面11a,11bと両頂面11a,11bから底面10に湾曲して連なる湾曲面12a,12bとからなる。凹溝9は基部4の内周面31に、基部4の幅方向Zにおける各端部4a,4bからそれぞれ一定の距離L4をあけて形成される頂部13a,13bから内周面側から外周面側に凹んで形成される。距離L4は、1.0mm〜1.5mmの範囲内であればよく、本実施形態では1.2mmに選ばれる。
【0025】
また凹溝9は、幅方向Zにおいて容器緩衝用ベルト1の中央部であって、かつ基部4の中央部に形成され、周方向Yに沿って延びるように形成される。凹溝9の幅方向Zにおける頂部13aから13bの距離L5は9mm〜10mmの範囲内であればよく、本実施形態では9.6mmに選ばれる。また厚み方向Xにおいて、両頂部13a,13bから底面10までの距離L7は、1.5mm〜2.0mmの範囲内であればよく、本実施形態では1.5mmに選ばれる。
【0026】
連結部5a,5bは、幅方向Zにおいて基部4の両端部4a,4bに連なり、基部4と周方向において平行に延びて形成される。両連結部5a,5bおよびテーパ部6a,6bは基部4に関して対称に形成され同様の構成となるため、以下では連結部5aおよびテーパ部6aについて説明し、連結部5bおよびテーパ部6bについての説明は省略する。
【0027】
なお、連結部5a,5bおよびテーパ部6a,6bにおける同じ部位については同一の参照符を付し、連結部5aおよびテーパ部6aを構成する部位には同一の数字に添え字aを付し、連結部5b、テーパ部6bを構成する部位には同一の数字に添え字bを付す。
【0028】
連結部5aは、その内周面部に第1凹溝14a、第2凹溝15a、および幅方向Zにおいて、第1凹溝14aと第2凹溝15aとの間に形成される補強部16aを有し、外周面部に第3凹溝27aを有する。連結部5aの外周面19aは、幅方向Zに平行でかつ平坦に形成される。補強部16a,16bは、凸部を構成する。
【0029】
第1凹溝14aは、基部4の端部4aを一方の頂部とし、後述する補強部16aの一方の端部21aを他方の頂部とし、周方向Yにおいて凹溝9と平行に延びて形成される。また、第1凹溝14aは、周方向に平行な環状の凹溝である。第1凹溝14aは、厚み方向Xにおいて外周面部7から内周面部8にかけて開口して形成される。また第1凹溝14aは、基部4の端部4aと補強部16aの端部21aを両頂部とし、各頂部4a,21aから外周面部7側に向って厚み方向Xに凹み、幅方向Zに平行でかつ平坦な底面17aを有して形成される。
【0030】
幅方向Zにおける第1凹溝14aの各頂部4a、21a間の距離L8は、2.5mm〜4.5mmの範囲内であればよく、本実施形態では3.5mmに選ばれ、第1凹溝14aの底面17aと連結部5aの外周面19aとの厚み方向Xにおける距離L9は、1mm〜3mmの範囲内であればよく、本実施形態では1.2mmに選ばれる。また、厚み方向Xにおいて、各頂部4a,21aから第1凹溝14aの底面17aまでの距離L10は、0.5mm〜1.5mmの範囲内であればよく、本実施形態では0.8mmに選ばれる。
【0031】
補強部16aは、厚み方向Xにおいて第1凹溝14aの底面17aおよび後述する第2凹溝15aの底面23aから内方に向って突出して、周方向に平行な環状に形成される。内方とは、外周面部7から内周面部8に向う方向である。また補強部16aは、周方向Yにおいて凹溝9と平行に延びて形成される。補強部16aの内周面20aは、幅方向Zに平行でかつ平坦に形成される。
【0032】
補強部16aの内周面20aから連結部5aの外周面19aまでの距離L11は、1.5mm〜4.5mmの範囲内であればよく、本実施形態では2mmに選ばれ、内周面20から第1凹溝14aの底面17aおよび第2凹溝15aの底面23aまでの距離は、前記距離L10と等しく形成される。補強部16aの幅方向Zにおける両端部21a,22a間の距離L12は、1.5mm〜3.0mmの範囲内であればよく、本実施形態では2mmに選ばれる。両端部21a,22aのうち、端部21aが幅方向Zにおける第1凹溝14a側の端部であり、端部22aが幅方向Zにおける第2凹溝15a側の端部である。内周面20は、基部4の頂面11a,11bと幅方向Zにおいて平行に形成される。
【0033】
第2凹溝15aは、補強部の一端部22aを一方の頂部とし、後述するテーパ部6aの一端部24aを他方の頂部とし、周方向Yにおいて凹溝9と平行に延びて形成される。第2凹溝15aは、厚み方向Xにおいて外周面部7から内周面部8にかけて開口して形成される。また、第2凹溝15aは、補強部16aの一端部22aとテーパ部6aの一端部24aを両頂部とし、両頂部22a,24aから外周面部7側に向って厚み方向Xと平行に凹み、幅方向Zと平行でかつ平坦な底面23aを有して形成される。
【0034】
幅方向Zにおける第2凹溝15aの両頂部22a,24a間の距離L13は、2.5mm〜4.5mmの範囲内であればよく、本実施形態では3.5mmに選ばれ、第2凹溝15aの底面23aと連結部5aの外周面19aとの厚み方向Xにおける距離L14は、1mm〜3mmの範囲内であればよく、本実施形態では1.2mmに選ばれる。また、厚み方向Xにおける頂部22aから第2凹溝の底面23aまでの距離L15は、0.5mm〜1.5mmの範囲内であればよく、本実施形態では0.8mmに選ばれる。頂部24aから第2凹溝の底面23aまでの距離はL15と同じ距離に形成される。
【0035】
第3凹溝27aは、基部4の外周面18の一端部18aおよび後述するテーパ部6aの外周面側の端部26aを両頂部とし、外周面部から内周面部に向って厚み方向Xと平行に凹んで形成される。また、幅方向Zにおける両頂部18a,26a間の距離L17は、連結部5aの幅方向Zにおける距離と等しく形成され、6.5mm〜12mmの範囲内であればよく、本実施形態では9mmに選ばれる。また、距離L8、距離L12および距離L13の合計距離は距離L17と等しくなるように形成される。
【0036】
このように、連結部5aは、第1凹溝14a、第2凹溝15a、および第3凹溝27aを有し、さらに第1および第2凹溝14a,15a間に両凹溝14a,15aの底面17a,23aから突出する補強部16を有するので、容器緩衝用ベルト1を幅方向Zに沿って切断した切断面の形状が凸状に形成される。
【0037】
また連結部5aは、第1〜第3凹溝14a,15a,27aを有して形成されるので、第1〜第3凹溝14a,15a,27aを有さない場合と比べて、幅方向Zに沿って容器緩衝用ベルト1を切断した場合における断面の面積が小さくなる。したがって、第1〜第3凹溝14a,15a,27aを有さない場合と比べて連結部5aの剛性、特に曲げ剛性を低くすることができる。
【0038】
テーパ部6aは、幅方向Zにおいて連結部5aの基部4とは反対側の一端に連なって形成される。内周面29aにおけるテーパ部6aの幅方向Z両端部24a,25aのうち、端部24aは連結部5a側の端部である。また端部25aは連結部5aとは反対側の端部であり、容器緩衝用ベルト1の幅方向Zにおける一端部である。
【0039】
テーパ部6aは、内周面29aの端部24aおよび外周面の端部26aから端部25aに向って先細状に形成されるとともに、端部25aが補強部16aの内周面20aよりも内方に突出するように形成され、内方に突出するように形成されている部分は内周部分である。内方とは、外周面部7から内周面部8に向う方向である。幅方向Zにおける、端部24aから端部25aまでの距離L16は、4mm〜6mmの範囲内であればよく、本実施形態では5mmに選ばれる。テーパ部6aの内周面29a、すなわち端部24aと端部25aとの間の面は、直線に形成される。テーパ部6aの外周面30a、すなわち端部26aと端部25aとの間の面は、外周面側から内周面側に向って湾曲するように形成される。
【0040】
容器緩衝用ベルト1の、幅方向Zにおける距離L18、すなわち端部25aから端部25bまでの距離は、距離L1に距離L17の2倍の距離および距離L16の2倍の距離を加えたものと一致し、31mm〜51mmの範囲内であればよく、本実施形態では40mmに選ばれる。また、容器緩衝用ベルト1の厚みは距離L2と等しく形成される。
【0041】
このように容器緩衝用ベルト1には、多くの溝が形成されるので、溝が形成されない場合に比べて、必要とする材料の量を低減することができる。したがって、溝が形成されない場合に比べて、安価に製造することができる。
【0042】
また、容器緩衝用ベルト1は、第1凹溝14a,14b、第2凹溝15a,15b、および両凹溝14a,14b,15a,15b間に各凹溝14a,14b,15a,15bの底面17a,17b,23a,23bから突出する補強部16a,16bを有し、容器緩衝用ベルト1を幅方向Zに沿って切断した切断面の形状が凸状に形成される一対の連結部5a,5bを有するので、連結部5a,5bの重心を凸状部の先端部寄りの位置、すなわち両補強部16a,16bの内周面20a,20b寄りの位置に設けることができる。
【0043】
このように形成することによって、後述するように容器緩衝用ベルト1を液化ガス容器2に装着する際に引張力を加えた場合であっても、補強部16aの内周面20a寄りの位置に容器緩衝用ベルト1の重心をおくことができ、内周面部側の変形を外周面部側の変形に比べて抑制することができる。したがって、テーパ部6a,6bの端部25a,25bが外側に反り返ることを防ぐことができるので、内周面29a,29bを液化ガス容器2の外周面に弾発的に当接させることができる。
【0044】
本実施形態では、容器緩衝用ベルト1は同一材料による一層構造に構成され、一体成型によって実現される。容器緩衝用ベルト1の材料としては、可撓性および弾発性を有するものであればよく、より好ましくは、ショアA硬度50〜70の材料が望ましい。可撓性および弾発性を有する材料としては、熱可塑性合成樹脂や熱硬可塑性合成樹脂、合成ゴムなどが挙げられる。本実施形態ではポリ塩化ビニール90重量%、ポリウレタン10重量%からなる樹脂を材料として用いている。なお、ポリ塩化ビニールとポリウレタンの割合は上記割合に限られず、ポリ塩化ビニールが90重量%でポリウレタンが10重量%〜ポリ塩化ビニールが70重量%でポリウレタンが30重量%の範囲内であればよい。このように可撓性および弾発性を有する材料から形成されるので、液化ガス容器2同士が接触した場合における、接触音の発生を抑制し、かつ液化ガス容器2の外周面に疵が生じることを防止することができる。
【0045】
図5は、容器緩衝用ベルト1が液化ガス容器2に装着された状態を示す正面図であり、図6は、容器緩衝用ベルト1が装着された液化ガス容器2が運搬される際の状態を示す正面図であり、図7は、液化ガス容器2の正面図である。
【0046】
図5に示すように、容器緩衝用ベルト1は、液化ガス容器2に装着して使用され、具体的には後述する溶接部102が基部4の凹溝9に嵌り込むように装着して使用される。液化ガス容器2は金属製であり、円筒状の胴部100と胴部100の上部に連なって形成される頭部101と胴部100の下部に連なって形成される脚部103とからなり、胴部100と頭部101との境目および胴部100と脚部103との境目には、胴部100、頭部101および脚部103の外周面から外方に隆起して形成される隆起部である溶接部102が形成される。
【0047】
このように容器緩衝用ベルト1の基部4には、溶接部102が嵌り込む、厚み方向Xにおいて外周面部7から内周面部8にかけて開口する凹溝9が形成されるので、凹溝9が形成されない場合に比べて、液化ガス容器2に容器緩衝用ベルト1を装着した際における液化ガス容器2を載置するのに必要な占有面積の増加を抑制することができる。このように、1本の液化ガス容器2を載置するのに必要な占有面積の増加を抑制することができるので、一度に運搬することのできるボンベの本数の減少を抑制することができる。
【0048】
また、凹溝9は、底面10と頂面11a,11bと両頂面11a,11bから底面10に湾曲して連なる湾曲面12a,12bとからなるので、溶接部102が凹溝9に正確に嵌り込むように装着されていなくても、溶接部102が湾曲面12a,12bを摺動して、正確な位置に嵌り込むことができる。したがって、容器緩衝用ベルト1を液化ガス容器2に対して容易に装着することができる。
【0049】
図6に示すように、通常液化ガス容器2は複数本が隣接し、起立した状態で運搬されるので、隣接する液化ガス容器2の溶接部102同士、または溶接部102と外周面とが接触し、金属音を発生させるとともに、液化ガス容器2の外周面に疵を生じさせてしまう。
【0050】
容器緩衝用ベルト1は、可撓性および弾発性を有する材料からなり、溶接部102が嵌り込む凹溝9を有して形成されるので、容器緩衝用ベルト1を液化ガス容器2に装着させることで、溶接部102同士もしくは溶接部102と外周面とが直接接触することを防ぐことができる。これによって接触による不快な金属音の発生を防止し、接触音の音圧レベルを下げることができ、発生する音の周波数を低くすることができ、外周面に疵が生じることを防止することができる。したがって、運搬中における、近隣への騒音を防止するとともに、外周面の疵から生じる外周面の腐食、塗膜の剥がれ等を防ぐことができる。
【0051】
以下では、容器緩衝用ベルトを液化ガス容器に装着した場合に、装着しない場合と比較して接触音の音圧および周波数特性がどの程度変化するかの測定結果について説明する。接触音の音圧および周波数特性の測定は、以下のようにして行った。
【0052】
[接触音の測定方法]
接触音の音圧および周波数特性の測定は、後述する測定条件毎にLPG50kg容器(以下、「LPG容器」という。)の上部同士を接触させて、発生した接触音を騒音計(リオン株式会社製、NL−02A)で計測することで行った。また、LPG容器から騒音計までの距離は120cmとし、地面から80cmの位置に騒音計を設置した。また、LPG容器と地面との接触による接触音の発生を防止するために、LPG容器を厚さ4.5mmの防振ゴムシート上に載置した状態で、LPG容器同士を接触させた。また、各条件につき8回の接触音の測定を行い、その平均値を各条件の測定結果とした。
【0053】
測定条件は、以下に示す10通りである。
(1)LPG容器に容器緩衝用ベルトが装着されていない。
(1−1)ガスが充填されていない容器(充填量0%容器)同士を接触させる。
(1−2)充填量0%容器とガスが容器の容量の半分だけ充填されている容器(充填量50%容器)とを接触させる。
(1−3)充填量0%容器とガスが容器の容量の満杯充填されている容器(充填量100%容器)とを接触させる。
(1−4)充填量50%容器と充填量100%容器とを接触させる。
(1−5)充填量100%容器同士を接触させる。
(2)LPG容器に容器緩衝用ベルトが装着されている。
(2−1)充填量0%容器同士を接触させる。
(2−2)充填量0%容器と充填量50%容器とを接触させる。
(2−3)充填量0%容器と充填量100%容器とを接触させる。
(2−4)充填量50%容器と充填量100%容器とを接触させる。
(2−5)充填量100%容器同士を接触させる。
【0054】
[接触音の音圧測定結果]
図8は、各条件(1−1)〜(1−5),(2−1)〜(2−5)における音圧を示すグラフである。図8Aは、条件(1−1)および(2−1)における音圧を示すグラフであり、図8Bは、条件(1−2)および(2−2)における音圧を示すグラフであり、図8Cは、条件(1−3)および(2−3)における音圧を示すグラフであり、図8Dは、条件(1−4)および(2−4)における音圧を示すグラフであり、図8Eは、条件(1−5)および(2−5)における音圧を示すグラフである。グラフの縦軸は音圧(dB)を示し、横軸は接触してからの時間(sec)を示す。
【0055】
図8A〜図8Eから明らかなように、LPG容器に容器緩衝用ベルトが装着されている場合には、LPG容器に容器緩衝用ベルトが装着されていない場合に比べ接触音の音圧が低減されていることがわかる。表1は各条件(1−1)〜(1−5)および(2−1)〜(2−5)における音圧の最大値をまとめた表である。
【表1】
【0056】
LPG容器に容器緩衝用ベルトが装着されていない場合には、各条件(1−1)〜(1−5)における音圧の最大値が90dBを越えているのに対して、LPG容器に容器緩衝用ベルトが装着されている場合には、各条件(2−1)〜(2−5)における音圧の最大値が80dBよりも低い値となっており、容器緩衝用ベルトを装着することによって、音圧の最大値が約20dB低減されていることがわかる。
【0057】
[接触音の周波数特性]
図9は、各条件(1−1)〜(1−5),(2−1)〜(2−5)における周波数特性を示すグラフである。図9Aは、条件(1−1)における周波数特性を示すグラフであり、図9Bは、条件(1−2)における周波数特性を示すグラフであり、図9Cは、条件(1−3)における周波数特性を示すグラフであり、図9Dは、条件(1−4)における周波数特性を示すグラフであり、図9Eは、条件(1−5)における周波数特性を示すグラフであり、図9Fは、条件(2−1)における周波数特性を示すグラフであり、図9Gは、条件(2−2)における周波数特性を示すグラフであり、図9Hは、条件(2−3)における周波数特性を示すグラフであり、図9Iは、条件(2−4)における周波数特性を示すグラフであり、図9Jは、条件(2−5)における周波数特性を示すグラフである。グラフの縦軸は強度(Pa・s)を示し、横軸は周波数(Hz)を示す。
【0058】
図9A〜図9Eから明らかなように、LPG容器に容器緩衝用ベルトが装着されていない場合には、約1500Hzの周波域までの周波数が発生している。それに対して、図9F〜図9Jから明らかなように、LPG容器に容器緩衝用ベルトが装着されている場合には、約500Hzの周波域までの周波数しか発生していない。このことから、LPG容器に容器緩衝用ベルトを装着することによって、LPG容器の接触によって発生する接触音の周波数が、LPG容器に容器緩衝用ベルトを装着しない場合と比較して、低い周波域に移行することがわかる。
【0059】
前記測定結果から、容器緩衝用ベルトを液化ガス容器に装着させることで、接触によって発生する接触音の周波数を低減できる、換言すれば人間にとって不快な金属音の発生を抑制することができ、接触音の音圧レベルを低減できることがわかる。
【0060】
容器緩衝用ベルト1は、前述のような材料から形成されるので、容器緩衝用ベルト1は温度によって多少伸縮する。したがって、容器緩衝用ベルト1の内径r1は、夏季の気温によって伸びても液化ガス容器2から外れず、冬季の気温によって縮んでも破れたりすることがない大きさに形成される。具体的には、容器緩衝用ベルト1の内径r1は液化ガス容器2の溶接部102における外径r2よりも少し小さく形成され、290〜310mmの範囲内であればよく、本実施形態では305mmに形成される。なお、液化ガス容器2の外径r2は365mm〜370mmである。
【0061】
容器緩衝用ベルト1の内径r1は、液化ガス容器2の外径r2よりも小さく形成されるので、容器緩衝用ベルト1を液化ガス容器2に装着する際には、容器緩衝用ベルト1に内周面部から外周面部に向う引張力を加えて、液化ガス容器2の外径r2よりも容器緩衝用ベルト1の内径r1を大きくして装着する必要がある。したがって装着時には、容器緩衝用ベルト1に引張力を加えるので容器緩衝用ベルト1が変形し、容器緩衝用ベルト1の両端部25a,25bが外周面側に反り返る場合がある。
【0062】
しかしながら、本実施形態の容器緩衝用ベルト1は、端部25a,25bが補強部16a,16bの内周面20よりも内方に突出するように形成されるので、両端部25a,25bが反り返ったとしても、内周面20よりも外方に、すなわち内周面部から外周面部に向かって反り返るのを防ぐことができる。したがって、容器緩衝用ベルト1を液化ガス容器2の外周面に密着させた状態で装着させることができ、容器緩衝用ベルト1と液化ガス容器2との間に雨水などの水分が浸入することを防ぐことができる。また、雨水などの水分の浸入を防ぐことができるので、液化ガス容器2の外周面の腐食、塗膜の剥がれ等を防止することができる。
【0063】
本実施形態では形成されていないが、連結部5a,5bには厚み方向Xにおいて、外周面から内周面にむかって貫通する貫通孔が周方向Yに沿って複数形成されてもよい。このような貫通孔を形成することによって、仮に容器緩衝用ベルト1と液化ガス容器2との間に雨水などの水分が浸入した場合であっても、各貫通孔から水分を排出することができる。また容器緩衝用ベルト1と液化ガス容器2との間に、貫通孔を通じて外気が導入、排出されるので、浸入した水分の蒸発を促進させることができる。したがって、液化ガス容器2の外周面の腐食、塗膜の剥がれ等を防止することができる。
【0064】
本実施形態では、材料としてポリ塩化ビニールとポリウレタンとからなる樹脂を用いているが、材料の中にワイヤーやアラミド繊維などの化学繊維を補強材として含んで形成してもよい。このような補強材が含んで形成されることによって、容器緩衝用ベルト1の強度を高めることができるので耐久性を高めることができ、長期間安定して使用することができる。
【0065】
また、材料の中に着色剤を混入し、容器緩衝用ベルト1に色を付してもよい。このように着色剤を混入して形成することによって、液化ガス容器2の所有者を明確にすることができるので、液化ガス容器2の取り間違えなどを防止することができる。
【0066】
また、容器緩衝用ベルト1の内周面部と外周面部とを剛性の異なる材料で形成してもよく、たとえば、内周面部の材料を外周面部の材料に比べて剛性の低い材料で形成してもよい。このようにすることによって、液化ガス容器2の外周面の微小な凹凸に容器緩衝用ベルト1の内周面が沿うように当接し装着することができるので、密着して装着させることができるとともに、他の液化ガス容器等と接触した場合であっても、容器緩衝用ベルト1が損傷するのを抑制することができる。
【0067】
また、両テーパ部6a,6bを基部4および両連結部5a,5bよりも柔軟性の高い材料から形成してもよい。このように形成することによって、テーパ部6a,6bの内周面29a,29bが液化ガス容器2の外周面の微小な凹凸に沿うように当接し装着することができる。したがって、雨水などの浸入をより防ぐことができ、液化ガス容器2の外周面の腐食、塗膜の剥がれ等を防止することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 容器緩衝用ベルト
2 液化ガス容器
3 外周面
4 基部
5a,5b 連結部
6a,6b テーパ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の外周面から隆起しかつ周方向に延びる隆起部を有する容器の前記隆起部が覆われるように装着される、可撓性および弾発性材料からなる無端状の容器緩衝用ベルトであって、
前記容器緩衝用ベルトは、環状の基部と、基部の幅方向各一端に連なる一対の環状の連結部と、連結部の基部とは反対側の幅方向の一端に連なる一対の環状のテーパ部とからなり、
前記基部は、周方向に延びかつ内方に開放するとともに、容器緩衝用ベルトが容器に装着された状態で前記隆起部が嵌り込む環状の凹溝を有し、
前記連結部は、周方向に延びかつ内方に突出する環状の凸部を有し、
前記テーパ部は、各連結部から幅方向外方に離反するにつれて先細状に形成されるとともに、内方に突出する内周部分を有することを特徴とする容器緩衝用ベルト。
【請求項2】
各連結部には、周方向に間隔をあけて複数の貫通孔が形成されることを特徴とする請求項1に記載の容器緩衝用ベルト。
【請求項3】
各連結部は、基部よりも剛性が低いことを特徴とする請求項1または2に記載の容器緩衝用ベルト。
【請求項4】
各テーパ部は、基部および各連結部よりも柔軟性の高い材料から成ることを特徴とする請求項1または2に記載の容器緩衝用ベルト。
【請求項1】
円筒状の外周面から隆起しかつ周方向に延びる隆起部を有する容器の前記隆起部が覆われるように装着される、可撓性および弾発性材料からなる無端状の容器緩衝用ベルトであって、
前記容器緩衝用ベルトは、環状の基部と、基部の幅方向各一端に連なる一対の環状の連結部と、連結部の基部とは反対側の幅方向の一端に連なる一対の環状のテーパ部とからなり、
前記基部は、周方向に延びかつ内方に開放するとともに、容器緩衝用ベルトが容器に装着された状態で前記隆起部が嵌り込む環状の凹溝を有し、
前記連結部は、周方向に延びかつ内方に突出する環状の凸部を有し、
前記テーパ部は、各連結部から幅方向外方に離反するにつれて先細状に形成されるとともに、内方に突出する内周部分を有することを特徴とする容器緩衝用ベルト。
【請求項2】
各連結部には、周方向に間隔をあけて複数の貫通孔が形成されることを特徴とする請求項1に記載の容器緩衝用ベルト。
【請求項3】
各連結部は、基部よりも剛性が低いことを特徴とする請求項1または2に記載の容器緩衝用ベルト。
【請求項4】
各テーパ部は、基部および各連結部よりも柔軟性の高い材料から成ることを特徴とする請求項1または2に記載の容器緩衝用ベルト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図9H】
【図9I】
【図9J】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図9H】
【図9I】
【図9J】
【公開番号】特開2011−208653(P2011−208653A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73847(P2010−73847)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(507104968)大阪ガスLPG株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(507104968)大阪ガスLPG株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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