説明

容器

【課題】 容器において、予め成形済みのスプーンを箱体に収容しておくとともに、該スプーンが内容物中にもぐることを防止し、かつ箱体の把持力によるゆがみを防止すること。
【解決手段】 箱体11に内容物Aとスプーン30を収容し、該箱体11の開口11Eを蓋12により覆う容器10であって、箱体11は、底板11Dと上面の開口11Eにつながる正面板11Aと背面板11B、両側板11Cとを有し、箱体11の相対する正面板11Aと背面板11Bにおける、外面の把持予定領域Hに対応する内面にスプーン引掛け部21A、21Bを設け、スプーン30は、柄31と計量部32を有し、柄31の基端に設けた平面視で直線状をなす端部30Aと、計量部32の先端外縁の平面視で広幅直線状をなす端部30Bを上記スプーン引掛け部21A、21Bのそれぞれに引掛け可能とし、スプーン引掛け部21A、21Bは、少なくともスプーン30を載せる段部を備えるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器に関する。
【背景技術】
【0002】
洗剤等の容器として、蓋によって覆われる箱体に内容物とスプーンを収容してなるものがある。スプーンにより、内容物を計量し、小出しできる。
【0003】
また、特許文献1の洗剤等の容器として、箱体の開口に封着される封止材にスプーン構成部を設けたものがある。容器の開封後にその開口から封止材を切取り、更にこの封止材からスプーン構成部を分離し、スプーン構成部の折罫線に沿ってスプーンを折り上げ、使用に供するものである。
【0004】
また、特許文献2の洗剤等の容器として、箱体の内壁に設けた切込みに、スプーンの計量部の先端縁を係止させたものがある。容器の開封後に、スプーンを箱体の内壁から取外し、使用に供するものである。
【特許文献1】特開平10-297665
【特許文献2】実開平7-22916
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の容器では、スプーンが内容物の上に単に載置される態様で箱体に収容されるから、物流過程での反転等により、スプーンが内容物の中にもぐる可能性がある。このため、容器を開封した使用者は、内容物の中からスプーンを探し出す必要があるし、内容物で手も汚れるという不都合がある。
【0006】
また、特許文献1の容器では、開封後に、封止材からスプーン構成部を分離し、スプーン構成部からスプーンを折り上げる作業が必要になり、使用者にとって極めて煩雑である。
【0007】
また、特許文献2の容器では、スプーンの使い勝手は向上するが、使用者が箱体の相対する側壁を把持して持ち上げるとき、把持力により箱体がゆがんで損傷したり、箱体と蓋の接着剥がれを生ずる。
【0008】
本発明の課題は、容器において、予め成形済みのスプーンを箱体に収容しておくとともに、該スプーンが内容物中にもぐることを防止し、かつ箱体の把持力によるゆがみを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、箱体に内容物とスプーンを収容し、該箱体の開口を蓋により覆う容器であって、箱体は、底板と上面の開口につながる正面板と背面板、両側板とを有し、箱体の相対する正面板と背面板における、外面の把持予定領域に対応する内面にスプーン引掛け部を設け、スプーンは、柄と計量部を有し、柄の基端に設けた平面視で直線状をなす端部と、計量部の先端外縁の平面視で広幅直線状をなす端部を上記スプーン引掛け部のそれぞれに引掛け可能とし、スプーン引掛け部は、少なくともスプーンを載せる段部を備えるようにしたものである。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は実施例1の容器を示す模式図、図2は実施例1の容器を示す断面図、図3は実施例2の容器を示す模式図、図4は実施例2の容器を示す断面図、図5はスプーンを示す模式図である。
【実施例】
【0016】
(実施例1)(図1、図2、図5)
容器10は、例えば粉体洗剤を内容物Aとするものであり、図1、図2に示す如く、箱体11に内容物とスプーン30を収容し、箱体11の開口を蓋12により覆う。容器を10開封した使用者は、スプーン30により内容物Aを計量し、小出しできる。
【0017】
箱体11は、紙だけ、又は紙を主材料としたプラスチックフィルムをラミネートされた素材を折り曲げて組立てたものであり、正面板11A、背面板11B、両側板11C、底板11Dを有し、上面に開口11Eを有する。箱体11は、正面板11A、背面板11B、両側板11Cを上側辺で折り返した内側折り返し片11Fを備え、この折り返し片11Fを内折り接着してある。
【0018】
箱体11は、正面板11A、背面板11B、両側板11Cとそれらの内側折り返し片11Fの相並ぶ面一の上端面に、蓋12又は封緘片を接着可能にする。このとき、正面板11A、背面板11B、両側板11Cに対する折り返し片11Fの折り返し部を半切りすることにて、正面板11A、背面板11B、両側板11Cとそれらの折り返し片11Fの上端面の面積を広くし、結果として、蓋12又は封緘片のための接着面積を大きく、接着強度を強くし、密封性を向上できる。
【0019】
蓋12は、紙だけ、又は紙を主材料としたプラスチックフィルムをラミネートされた素材を折り曲げて組立てたものであり、前板12A、後板12B、両側板12C、天板12Dを有する。蓋12は、箱体11の背面板11Bに接着されるヒンジ結合部12Eを後板12Bに備え、箱体11の開口11Eを覆う。蓋12は、前板12Aの下縁中央部につまみ片12Fを突出させ、つまみ片12Fの裏面を箱体11の正面板11Aの外面に貼り付け、箱体11の開口11Eを封止する。
【0020】
容器10は、箱体11の正面板11A、背面板11B、両側板11Cを側壁とし、これらの側壁の上側辺から一定高さ範囲H(5〜30mm、好適には5〜10mm)に渡る外面を把持予定領域とする。使用者は、箱体11の相対する側壁の把持予定領域Hを手指で掴み、容器10を持ち上げ可能にする。本実施例では、箱体11の短手方向で相対する正面板11A、背面板11Bの上記範囲Hに渡る外面を把持予定領域として用いる。
【0021】
容器10は、箱体11の相対する正面板11A、背面板11Bの内面、本実施例ではそれらの折返し片11Fのそれぞれに、溝状(スリット状)のスプーン引掛け部21A、21Bを設け、スプーン30の両端部30A、30Bのそれぞれをそれらのスプーン引掛け部21A、21Bに引掛けて留置する状態で、スプーン30を容器10に収容可能にする。このとき、スプーン引掛け部21A、21Bは、箱体11の前述した相対する正面板11A、背面板11Bの把持予定領域Hに対応する内面に設けられる。
【0022】
尚、容器10の箱体11における折り返し片11Fに設けるスプーン引掛け部21A、21Bを溝状としたことにより、前述した蓋12又は封緘片が接着される折り返し片11Fの上端面を確保できる。
【0023】
スプーン30は、図5に示す如く、柄31と計量部32を有し、柄31の基端に平面視(図5(B))で直線状突部をなす端部30A(幅w1、厚みt1)を設け、計量部32の先端外縁に平面視(図5(B))で広幅の直線状突部をなす端部30B(幅w2、厚みt2)を設けてある。スプーン30の端部30Aは箱体11のスプーン引掛け部21Aの溝に、端部30Bはスプーン引掛け部21Bの溝に係入される。スプーン引掛け部21A、21B溝幅s1、s2はスプーン30の端部30A、30Bの厚みt1、t2より僅かに大きく設定される。スプーン30は、端部30A、30Bが直線状突部をなしてスプーン引掛け部21A、21Bに係入され、それらの直線状突部を正面板11A、背面板11Bの内面に当接又は近接せしめられ、図1(A)の平面視でスプーン引掛け部21A、21Bに対して自由に旋回動する等が抑えられ、物流過程で作用する振動等によりスプーン引掛け部21A、21Bから脱落することがない。
【0024】
本実施形態によれば以下の作用効果を奏する。
(a)スプーン30の両端部30A、30Bのそれぞれを、箱体11の相対する正面板11A、背面板11Bの内面のそれぞれに設けたスプーン引掛け部21A、21Bに引掛けるものであるから、予め成形済みのスプーン30を容器10の内部に概ね固定的に留置できる。従って、容器10が物流過程で反転等しても、スプーン30がその正立復元後まで内容物Aの中にもぐることがない。容器10を開封した使用者は、スプーン30を内容物Aの中から探し出す必要がないし、手を内容物Aで汚すおそれもなく、直ちにスプーン30を用いて内容物Aを取り出しでき、使い勝手が良い。
【0025】
(b)箱体11の正面板11A、背面板11Bの把持予定領域Hに対応する内面にスプーン引掛け部21A、21Bを設けたから、使用者が箱体11の相対する正面板11A、背面板11Bに把持力を加えたとき、スプーン引掛け部21A、21Bに引掛けてあるスプーン30がこの把持力に対する突っ張りになる。把持力による箱体11のゆがみを防止できる。紙容器10(箱体11と蓋12が紙製の容器10)においてメリットが大きい。
【0026】
(c)箱体11の正面板11A、背面板11Bの折返し片11Fにスプーン引掛け部21A、21Bを形成することにより、箱体11に格別の部品を付加することなく、箱体11の密封性を損なうこともなく、簡易にスプーン引掛け部21A、21Bを設けることができる。
【0027】
(d)スプーン引掛け部21A、21Bを溝状にすることにより、スプーン30の端部30A、30Bを溝に入れ、スプーン30をより安定的に留置できる。
【0028】
(実施例2)(図3、図4)
実施例2の容器10が実施例1と異なる点は、箱体11の正面板11A、背面板11Bの内面、本実施例ではそれらの折返し片11Fのそれぞれに設けるスプーン引掛け部21A、21Bを、段状にしたことにある。
【0029】
尚、段状のスプーン引掛け部21A、21Bは、折返し片11Fに設けるものとせず、箱体11と別体の紙片等を正面板11A、背面板11Bの内面に貼着する等により設けたものでも良い。
【0030】
本実施例によれば、スプーン引掛け部21A、21Bを段状にすることにより、スプーン30の端部30A、30Bを段の上に載せるだけで、スプーン30を容易に留置できる。
【0031】
尚、本発明は、箱体の側壁が四角状をなすものに限らず、丸形状等をなすものでも良く、その場合にも、相対する側壁の内面のそれぞれにスプーン引掛け部が設けられる。
【0032】
また、本発明は、箱体の相対する側壁の一方に溝状のスプーン引掛け部を設け、他方に段状のスプーン引掛け部を設けるものでも良い。
【0033】
また、本発明は、容器の材質、スプーンの材質として、板紙、段ボール、プラスチック等を採用でき、これらに限定されない。尚、スプーンの材質としては、使用者の把持力に対する箱体の補強の観点から、板紙であれば、坪量210〜600、より好ましくは坪量450〜550のものが好ましく、プラスチックであれば、剛性、曲げ疲労性の点からポリプロピレン樹脂が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は実施例1の容器を示す模式図である。
【図2】図2は実施例1の容器を示す断面図である。
【図3】図3は実施例2の容器を示す模式図である。
【図4】図4は実施例2の容器を示す断面図である。
【図5】図5はスプーンを示す模式図である。
【符号の説明】
【0035】
10 容器
11 箱体
11A 正面板
11B 背面板
11C 側板
11D 底板
11E 開口
12 蓋
21A、21B スプーン引掛け部
30 スプーン
30A、30B 端部
31 柄
32 計量部
A 内容物
H 把持予定領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体に内容物とスプーンを収容し、該箱体の開口を蓋により覆う容器であって、
箱体は、底板と上面の開口につながる正面板と背面板、両側板とを有し、
箱体の相対する正面板と背面板における、外面の把持予定領域に対応する内面にスプーン引掛け部を設け、
スプーンは、柄と計量部を有し、柄の基端に設けた平面視で直線状をなす端部と、計量部の先端外縁の平面視で広幅直線状をなす端部を上記スプーン引掛け部のそれぞれに引掛け可能とし、
スプーン引掛け部は、少なくともスプーンを載せる段部を備える容器。
【請求項2】
前記スプーン引掛け部は、相対する正面板と背面板の内面に形成された溝状であって、該溝の下側段部にスプーンを載せてスプーンを留置する請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記スプーン引掛け部は、箱体の開口における短手方向で相対する正面板、背面板の内面に設けられたスプーン引掛け部に引掛け可能とされる請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記スプーンの柄は補強用リブを有する請求項1〜3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
前記蓋は箱体の背面板にヒンジ結合され、閉蓋時に該箱体の開口を覆う請求項1〜4のいずれかに記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−63009(P2008−63009A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303450(P2007−303450)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【分割の表示】特願2003−418762(P2003−418762)の分割
【原出願日】平成15年12月16日(2003.12.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】