容器
【課題】 添加物を内包した付属容器を収容可能で、蓋をしたまま容器本体内に添加物を注入することができ、その際に別の器具を必要としない容器を提供する。
【解決手段】 上方に向けて開口する容器本体1と、容器本体1の開口部10に被せる蓋体2と、容器本体1内に注入するための添加物を内包する付属容器3とを備え、蓋体2の上面には、付属容器3を収容する凹部20を設けてあり、凹部20の底面21には、注入孔22と、注入孔22の周縁部から上方へ向けて延出する破断部23とが形成してあり、付属容器3は、破断部23により破断可能な脆弱面30を有する。また、注入孔22の周縁部から下方へ向けて延出する案内部24を有する。さらに、付属容器3が略円錐台形状で、その大径底面を脆弱面30としてあり、小径底面を下にして凹部20に収容すると、破断部23が付属容器3の側面31を係止する。
【解決手段】 上方に向けて開口する容器本体1と、容器本体1の開口部10に被せる蓋体2と、容器本体1内に注入するための添加物を内包する付属容器3とを備え、蓋体2の上面には、付属容器3を収容する凹部20を設けてあり、凹部20の底面21には、注入孔22と、注入孔22の周縁部から上方へ向けて延出する破断部23とが形成してあり、付属容器3は、破断部23により破断可能な脆弱面30を有する。また、注入孔22の周縁部から下方へ向けて延出する案内部24を有する。さらに、付属容器3が略円錐台形状で、その大径底面を脆弱面30としてあり、小径底面を下にして凹部20に収容すると、破断部23が付属容器3の側面31を係止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に食品を収容し、さらに食品の添加物を内包する付属容器を備えた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体と蓋体とを備える容器に食品を収容して販売・提供する際、食品の添加物が、別の付属容器に内包されて付属する場合がある。具体例としては、コーヒーや紅茶にシロップやミルクを付けたり、サラダにドレッシングを付けたりする場合が挙げられる。この場合に、容器本体および蓋体と付属容器とが分離していると、持ち運びに不便である。
また、そのような付属容器としては、略円錐台形状で、その大径底面が開口しており、開口部がポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートやアルミニウムの薄膜で密封されているものが一般的であるが、これを開封する際に、内包した添加物が飛散したり、手が汚れたりすることがあった。さらに、付属容器を片手で開封することはできず、片手で容器本体を持ったまま、もう片方の手で付属容器を開封するといったことは困難であった。また、添加物を注入後、空になった付属容器の置き場に困ることもあった。
そこで、文献1において、容器の蓋に凹部を設けて、付属容器を収容できるようにしたものが提案されている。また、文献2において、カップ用蓋に設けた孔に付属容器を嵌め込み、貫通具で付属容器に孔を開けて添加物を注入するものが提案されている。さらに、文献3において、蓋自体に添加物の収容部を設け、蓋を変形させて蓋と容器本体の仕切を破断することで添加物を注入するものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−6117号公報
【特許文献2】特開2004−155467号公報
【特許文献3】特開2006−306401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、文献1の発明は、付属容器を蓋に収容するだけであり、添加物を注入するためには蓋を開け、さらに付属容器を開封しなければならない。また、文献2の発明は、付属容器に孔を開ける貫通具が必要なので、付属品が増えてしまい、使用後の処理の手間も増える。さらに、文献3の発明は、他の付属品を必要としないが、あらかじめ蓋自体に添加物を内包させておかなければならないので、市販の付属容器を収容したり、好みの添加物が内包された付属容器を自由に選択して組み合わせたりすることはできない。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、添加物を内包した付属容器を収容可能で、蓋をしたまま容器本体内に添加物を注入することができ、その際に別の器具を必要としない容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1の発明は、上方に向けて開口する容器本体と、該容器本体の開口部に被せる蓋体と、前記容器本体内に注入するための添加物を内包する付属容器とを備え、前記蓋体の上面には、前記付属容器を収容する凹部を設けてあり、該凹部の底面には、注入孔と、該注入孔の周縁部から上方へ向けて延出する破断部とが形成してあり、前記付属容器は、前記破断部により破断可能な脆弱面を有することを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項2の発明は、前記注入孔の周縁部から下方へ向けて延出する案内部を有することを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項3の発明は、前記付属容器が略円錐台形状で、その大径底面を脆弱面としてあり、小径底面を下にして前記凹部に収容すると、前記破断部が前記付属容器の側面を係止することを特徴とする。
【0009】
本発明のうち請求項4の発明は、前記付属容器が略円錐台形状で、その大径底面を脆弱面としてあり、前記蓋体が、前記底面に接し水平方向に開口する係合孔を有しており、前記付属容器を、大径底面を下にして前記凹部に収容すると、前記付属容器の一部が前記係合孔に係合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のうち請求項1の発明によれば、凹部に付属容器を収容することで持ち運びに便利であり、付属容器の脆弱面を下に向けて凹部に収容すれば、凹部の底面の破断部が付属容器の脆弱面を破断し、内包された添加物が注入孔から容器本体内へ注入される。そして注入時には、蓋体を外す必要がないので衛生的であり、添加物が飛散したり手が汚れたりすることもない。また、凹部に付属容器を収容するだけでよいので、片手で注入することができ、他の付属品も不要である。さらに注入後、飲料であれば蓋体に付属容器を収容したまま飲むことができるので、空の付属容器の処理の手間がかからず、飲み終わった後、ひとまとめにして捨てることができる。なお、本発明は、付属容器の脆弱面を下に向けて凹部に収容した場合に必ず脆弱面が破断部により破断されるものに限られない。すなわち、脆弱面を下に向けた状態で破断部を回避して収容することができ、添加物を注入する際には脆弱面を下に向けたまま破断部の位置へ移動させるものであってもよい。
【0011】
本発明のうち請求項2の発明によれば、注入した添加物が底面の下面に伝わることなく、効率よく容器本体内に投下される。
【0012】
本発明のうち請求項3の発明によれば、最も一般的な円錐台形状の付属容器の場合において、破断部が付属容器を係止するので、より確実に付属容器を固定・収容できる。付属容器が市販品である場合、同じ円錐台形状であっても、形状や大きさは異なりうるが、一般的な大きさのもの(例えば、飲料一杯分のシロップやミルクを内包するものなど)であれば、破断部が傾斜した側面の何処かを係止する。
【0013】
本発明のうち請求項4の発明によれば、添加物を注入した後の付属容器が係合孔に係合して確実に固定されるので、容器を傾けたり、容器が倒れたりした場合でも、付属容器が落ちにくく、内容物がこぼれにくい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の容器の第一実施形態を示す斜視図。
【図2】第一実施形態の注入孔部分の斜視図および断面図。
【図3】蓋体に付属容器を収容した状態を示す斜視図。
【図4】蓋体に付属容器を収容した状態を示す断面図。
【図5】第二実施形態の斜視図。
【図6】第三実施形態および第四実施形態の注入孔部分の斜視図。
【図7】第五実施形態の注入孔部分の斜視図および断面図。
【図8】第六実施形態の注入孔部分の斜視図および断面図。
【図9】第七実施形態および第八実施形態の注入孔部分の斜視図および断面図。
【図10】第九実施形態の注入孔部分の斜視図および断面図。
【図11】第十実施形態の注入孔部分の斜視図および断面図。
【図12】第十一実施形態の蓋体の斜視図。
【図13】第十二実施形態の注入孔部分の斜視図および断面図。
【図14】第十三実施形態の蓋体の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の容器の具体的な構成について、各図面に基づいて説明する。図1は、容器の第一実施形態の分解斜視図であり、図2は、注入孔22部分を拡大したもので、(a)は底面21の上面を、(b)は底面21の下面を示し、(c)は(a)のA−A線断面図である。この容器は、容器本体1と、蓋体2と、付属容器3とを備える。容器本体1は、水平断面円形で上方に向けて開口した、一般的なカップの形状である。蓋体2は、この容器本体1の開口部10に被せるもので、略円錐台形状である。下縁部には係合鍔部26が形成してあり、容器本体1の開口部10の周縁部に係合する。蓋体2の上面の一部には、後述の付属容器3を収容するための凹部20が形成してある。凹部20は、付属容器3の形状に合わせて円形に掘り込んである。そして、凹部20の底面21には、円形の注入孔22が二つ形成してあり、容器本体1の開口部10と連通している。それぞれの注入孔22の周縁部からは、上方に向けて破断部23が延出しており、下方に向けて案内部24が延出している。破断部23および案内部24は、ともに注入孔22を底面とする円錐の一部を切り取った形状である。そして案内部24については、その下端が係合鍔部26の下端よりも上方であることが望ましい。そのような形状であれば、蓋体2を単独で机上などに安定して置くことができ、また案内部24が机上面に接触しないので衛生的だからである。なお、蓋体2の製造時や移送時には、複数の蓋体2を積み重ねることもありうるが、その場合、破断部23や案内部24は隣接する蓋体2の注入孔22に嵌り込むので、積み重ねには支障がない。さらに、蓋体2の凹部20ではない部分には、略円形の切り込みを形成し、ストローを挿すための挿込口25としてある。なお、挿込口25の代わりに、直接口をつけて飲料を飲むための飲み口を設けてもよい。付属容器3は、容器本体1内に注入するための添加物を内包しており、略円錐台形状で、その大径底面部分が開口しており、そこをアルミニウムの薄膜で覆って脆弱面30としてある。また、一般にこのような付属容器3の開口縁部には、薄膜を剥がしやすくするためのクチバシ32が形成してある。
【0016】
次に、付属容器3を蓋体2に収容した状態について説明する。図3(a)は、二個の付属容器3を蓋体2の凹部20に収容した状態の斜視図であり、図4(a)は、その際の蓋体2部分の断面図である。凹部20は付属容器3の直径および高さに合わせて形成してあり、二個の付属容器3が丁度収まる大きさである。付属容器3は脆弱面30を上にして収容されているが、この際、付属容器3の上縁の一部は凹部20の側壁27と接し、さらに付属容器3の側面31を破断部23が係止して固定される。なお、付属容器3の大きさによっては、付属容器3の上縁の一部が、側壁27の上縁と接する場合や、側壁27の上縁よりも上方へはみ出す場合もある。そして、より確実に固定するために、上から粘着テープを貼ったり、さらに別の蓋を被せたりしてもよい。
【0017】
次に、付属容器3に内包された添加物を容器本体1内に注入する方法について説明する。図3(b)は、二個の付属容器3から添加物を注入している状態の斜視図であり、図4(b)は、その際の蓋体2部分の断面図である。図に示すように、添加物を注入するには、付属容器3の脆弱面30を下にして凹部20に収容する。すると、破断部23が脆弱面30を破断し、この破断部分から添加物Sが流出する。添加物Sは、注入孔22を通り、案内部24を伝って容器本体1内に注入される。
【0018】
このように形成した本発明の容器によれば、凹部に付属容器を収容することで、容器本体および付属容器をまとめて片手で持ち運ぶことができる。凹部に収容する付属容器は、脆弱面を有するものであればよく、市販されているものをそのまま使用することができる。そして、添加物を注入するには、付属容器の脆弱面を下に向けて凹部に収容するだけでよい。よって、蓋体を外す必要がないので衛生的であり、添加物が飛散したり手が汚れたりすることもない。また、片手で注入することができ、他の付属品も不要であるし、動作が簡易で強い力も必要ないので、子供や障害者でも容易に注入できる。さらに注入後、飲料であれば蓋体に付属容器を収容したまま飲むことができるので、空の付属容器の処理の手間がかからず、飲み終わった後、ひとまとめにして捨てることができる。また、惣菜や菓子の場合、添加物を注入後、蓋体を被せたまま容器本体を振って内容物を混ぜ合わせることができる。その際、付属容器が蓋体から外れないように押さえておく必要があるが、蓋体にさらに別の蓋を被せておけば、付属容器を確実に押さえることができる。なお、惣菜や菓子を食べるためには蓋体を外さなければならないが、蓋体には添加物が付着し汚れている。この場合、上記の蓋体に被せた別の蓋があれば、この蓋を蓋体の受け皿として利用することができるので便利である。さらに、案内部を設けたことで、注入した添加物が底面の下面に伝わることなく、効率よく容器本体内に投下される。また、破断部が付属容器を係止するので、確実に付属容器を固定・収容できる。
【0019】
次に、本容器の第二実施形態について、図5に基づき説明する。第二実施形態は、付属容器3が一つのもので、凹部20もそれに合わせた形状であり、さらに注入孔22も一つである。第二実施形態においても、第一実施形態と同様、付属容器3の脆弱面30を上にして凹部20に収容することで、付属容器3の側面31を破断部23が係止して固定し、脆弱面30を下にして収容することで、破断部23が脆弱面30を破断し、添加物が容器本体1内に注入される。
【0020】
さらに以下において、注入孔、破断部および案内部の形状の別実施形態について説明する。図6に示すのは、第三実施形態および第四実施形態である。図6(a)の第三実施形態は、底面21にZ字状の切り込みを入れ、一部を上方に折り曲げて三角形の破断部23としてあり、一部を下方に折り曲げて三角形の案内部24としてあり、このようにして形成される四角形の孔を注入孔22としてある。図6(b)の第四実施形態は、底面21にくの字状の切り込みを二重に入れ、内側部分を上方に折り曲げて三角形の破断部23としてあり、外側部分を下方に折り曲げて三角形の案内部24としてあり、このようにして形成される三角形の孔を注入孔22としてある。第三実施形態および第四実施形態は非常に製造加工が容易であり、また切り込みを入れた状態では蓋体に孔が開いていないので衛生的である。
【0021】
図7に示すのは、第五実施形態であり、(a)および(c)は斜視図、(b)および(d)はそれぞれB−B線断面図およびC−C線断面図である。第五実施形態は、底面21が球状に隆起しており、その頂点に円錐台形の段部40が形成してあり、さらにその上面から上方に向けて円錐形の破断部23が延出している。そして段部40の周囲には略円形の切り込みが入っており円形部41を形成しているが、当該円形部41はその周囲と一部で繋がっており、完全には分断されていない((a)、(b))。この破断部23に上方から付属容器の脆弱面を押し付けると、まず、破断部23、段部40および周囲の円形部41が押し下げられる((c)、(d))。すると、押し下げられた部分とそれ以外の部分との間に隙間が生じ、この隙間が注入孔22となる。そして、押し下げられた円形部41の周縁が、下方に向けて突出しており、案内部24となる。続いてさらに押し付けることで、破断部23により脆弱面が破断される。なお、各部の構造や素材によっては、先に脆弱面が破断され、その後円形部41などが押し下げられる場合もありうるが、注入孔22が形成される前に脆弱面が破断されると添加物が周囲に流れ出してしまうおそれがあるので、先に円形部41などが押し下げられるか、または円形部41などの押し下げと脆弱面の破断とが同時に行われるような構造・素材とすることが望ましい。第五実施形態は、初期状態では蓋体に孔が開いていないので衛生的である。
【0022】
図8に示すのは、第六実施形態であり、(a)は斜視図、(b)はD−D線断面図である。第六実施形態は、底面21が球状に陥没しており、陥没部の中央に略長方形状の注入孔22が形成してある。注入孔22の上部には底面21が延出して橋状部42を形成しており、この橋状部42の上面に円錐形の破断部23が形成してある。また、陥没部の注入孔22の周縁が案内部24となる。
【0023】
図9に示すのは、第七実施形態および第八実施形態であり、(a)および(c)は斜視図、(b)および(d)はそれぞれE−E線断面図およびF−F線断面図である。第七実施形態および第八実施形態は、いずれも底面21から下方に向けてすり鉢状の案内部24が延出し、その下縁から上方に向けて円錐状の破断部23が延出している。そして、第七実施形態では、案内部24から破断部23を貫通して注入孔22が形成してある((a)、(b))。一方、第八実施形態では案内部24のすり鉢状部分に扇形の注入孔22が形成してある((c)、(d))。
【0024】
図10に示すのは、第九実施形態であり、(a)は斜視図、(b)はG−G線断面図である。第九実施形態は、底面21に半円弧状の切り込みを入れ、下方に折り曲げて半円形の案内部24としてあり、このようにして形成される半円形の孔を注入孔22としてある。そしてその弦部分に接して上方に延出する三角形の破断部23が設けてある。第九実施形態においては、破断部23を底面21に寝かせるようにして畳めば、蓋体を積み重ねる際の障害にならない。
【0025】
図11に示すのは、第十実施形態であり、(a)は斜視図、(b)はH−H線断面図である。第十実施形態は、底面21に円形の注入孔22を設け、その上部にV字形の破断部23が上面視して十字に設けてある。そして注入孔22の周縁部下面には三角形の案内部24が設けてあり、破断部23と案内部24とは一体に形成してある。
【0026】
また、以下においては蓋体に付属容器を係合するための係合孔を形成した実施形態について説明する。図12に示すのは、第十一実施形態の蓋体2である。第十一実施形態は第一実施形態と略同一であるが、蓋体2の凹部20の側壁27の下端に、底面21に接して係合孔28が形成してある。係合孔28の形状は、水平方向に長く、付属容器3のクチバシ32の厚さよりわずかに高い。付属容器3の添加物を注入するには、付属容器3の脆弱面30を下にして凹部20に収容するが、その際、クチバシ32を係合孔28に挿入することで、付属容器3を蓋体2に確実に固定することができる。
【0027】
図13に示すのは、第十二実施形態の注入孔部分であり、(a)は斜視図、(b)はJ−J線断面図、(c)は蓋体に付属容器を収容した状態を示す断面図である。第十二実施形態は、底面21に円形の注入孔22を設け、その周縁部からは、上方に向けて破断部23が延出しており、下方に向けて案内部24が延出している。破断部23は、注入孔22を底面とする円錐を、中心軸を通る面で切り取り、この切り取り面に水平方向に突出する返し部29を形成したもので、返し部29の下側が係合孔28となっている。案内部24は、注入孔22を底面とする円錐の一部を切り取った形状である。付属容器3の添加物を注入するには、付属容器3の脆弱面30を破断部23により破断するが、この際、脆弱面30が係合孔28に進入し、返し部29に引っ掛かるので、付属容器3を蓋体に確実に固定することができる。なお、返し部29は、円錐の一部により構成するなど、水平方向に突出して係合孔28を形成するものであればどのような形状であってもよい。
【0028】
このように蓋体に係合孔を設けることで、添加物を注入した後の付属容器が係合孔に係合して確実に固定されるので、容器を傾けたり、容器が倒れたりした場合でも、付属容器が落ちにくく、内容物がこぼれにくい。直接口をつけて飲料を飲む方式の容器の場合、飲む際には容器を大きく傾けることになるので、とくに有効である。また、内容物が惣菜や菓子の場合に、添加物を注入後、蓋体を被せたまま容器本体を振って内容物を混ぜ合わせる際にも、付属容器が外れにくいので有効である。
【0029】
なお、第十一実施形態の係合孔と、第十二実施形態の係合孔とを両方備える蓋体であってもよい。この場合、付属容器が両方の係合孔に係合するのでより確実に固定できる。例えば、第十三実施形態は、図14に示すように、側壁27の係合孔28aと、破断部23の係合孔28bとを、付属容器3の大径底面の直径と略同じ距離を隔てて互いに向き合うように形成したものである。このように形成すると、添加物の注入前においては、付属容器3のクチバシ32を側壁27の係合孔28aに挿入し、クチバシ32の反対側の開口縁部を破断部23の係合孔28bに係合させれば、付属容器3が両側から確実に固定される(図14(a))。そして添加物を注入する際には、付属容器3を移動して破断部23により脆弱面30を破断すればよく、添加物の注入後においては、付属容器3のクチバシ32の先端部が側壁27の係合孔28aに挿入されており、破断された脆弱面30が破断部23の係合孔28bに進入して返し部29に引っ掛かるから、やはり付属容器3が二箇所で確実に固定される(図14(b))。
【0030】
本発明は上記の実施形態に限定されない。付属容器の形状は、円錐台形以外にも、三角錐台形、四角錐台形など、機能や意匠性を考慮して自由に設定することができ、凹部の形状もそれに合わせて変形しうる。さらに、上記の各実施形態において、容器本体および蓋体は、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートからなる使い捨てのものを想定しているが、その他紙製であってもよいし、あるいは陶器や金属からなる繰り返し使用可能な容器であってもよい。また、容器本体には取っ手を設けて使い勝手を向上させてもよい。さらに、販売する際の方法として、あらかじめ特定の添加物が内包された付属容器を蓋体に収容してあってもよいし、需要者が好みの添加物が内包された付属容器を自由に選べるようにしてもよい。また、容器本体の内容物は、食品に限られず、薬品や、油などの工業用品などでもよく、内容物に異物が混入すると問題がある場合や、内容物に直接触れると危険な場合などに便利である。
【符号の説明】
【0031】
1 容器本体
2 蓋体
3 付属容器
10 開口部
20 凹部
21 底面
22 注入孔
23 破断部
24 案内部
28 係合孔
30 脆弱面
31 側面
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に食品を収容し、さらに食品の添加物を内包する付属容器を備えた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体と蓋体とを備える容器に食品を収容して販売・提供する際、食品の添加物が、別の付属容器に内包されて付属する場合がある。具体例としては、コーヒーや紅茶にシロップやミルクを付けたり、サラダにドレッシングを付けたりする場合が挙げられる。この場合に、容器本体および蓋体と付属容器とが分離していると、持ち運びに不便である。
また、そのような付属容器としては、略円錐台形状で、その大径底面が開口しており、開口部がポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートやアルミニウムの薄膜で密封されているものが一般的であるが、これを開封する際に、内包した添加物が飛散したり、手が汚れたりすることがあった。さらに、付属容器を片手で開封することはできず、片手で容器本体を持ったまま、もう片方の手で付属容器を開封するといったことは困難であった。また、添加物を注入後、空になった付属容器の置き場に困ることもあった。
そこで、文献1において、容器の蓋に凹部を設けて、付属容器を収容できるようにしたものが提案されている。また、文献2において、カップ用蓋に設けた孔に付属容器を嵌め込み、貫通具で付属容器に孔を開けて添加物を注入するものが提案されている。さらに、文献3において、蓋自体に添加物の収容部を設け、蓋を変形させて蓋と容器本体の仕切を破断することで添加物を注入するものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−6117号公報
【特許文献2】特開2004−155467号公報
【特許文献3】特開2006−306401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、文献1の発明は、付属容器を蓋に収容するだけであり、添加物を注入するためには蓋を開け、さらに付属容器を開封しなければならない。また、文献2の発明は、付属容器に孔を開ける貫通具が必要なので、付属品が増えてしまい、使用後の処理の手間も増える。さらに、文献3の発明は、他の付属品を必要としないが、あらかじめ蓋自体に添加物を内包させておかなければならないので、市販の付属容器を収容したり、好みの添加物が内包された付属容器を自由に選択して組み合わせたりすることはできない。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、添加物を内包した付属容器を収容可能で、蓋をしたまま容器本体内に添加物を注入することができ、その際に別の器具を必要としない容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1の発明は、上方に向けて開口する容器本体と、該容器本体の開口部に被せる蓋体と、前記容器本体内に注入するための添加物を内包する付属容器とを備え、前記蓋体の上面には、前記付属容器を収容する凹部を設けてあり、該凹部の底面には、注入孔と、該注入孔の周縁部から上方へ向けて延出する破断部とが形成してあり、前記付属容器は、前記破断部により破断可能な脆弱面を有することを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項2の発明は、前記注入孔の周縁部から下方へ向けて延出する案内部を有することを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項3の発明は、前記付属容器が略円錐台形状で、その大径底面を脆弱面としてあり、小径底面を下にして前記凹部に収容すると、前記破断部が前記付属容器の側面を係止することを特徴とする。
【0009】
本発明のうち請求項4の発明は、前記付属容器が略円錐台形状で、その大径底面を脆弱面としてあり、前記蓋体が、前記底面に接し水平方向に開口する係合孔を有しており、前記付属容器を、大径底面を下にして前記凹部に収容すると、前記付属容器の一部が前記係合孔に係合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のうち請求項1の発明によれば、凹部に付属容器を収容することで持ち運びに便利であり、付属容器の脆弱面を下に向けて凹部に収容すれば、凹部の底面の破断部が付属容器の脆弱面を破断し、内包された添加物が注入孔から容器本体内へ注入される。そして注入時には、蓋体を外す必要がないので衛生的であり、添加物が飛散したり手が汚れたりすることもない。また、凹部に付属容器を収容するだけでよいので、片手で注入することができ、他の付属品も不要である。さらに注入後、飲料であれば蓋体に付属容器を収容したまま飲むことができるので、空の付属容器の処理の手間がかからず、飲み終わった後、ひとまとめにして捨てることができる。なお、本発明は、付属容器の脆弱面を下に向けて凹部に収容した場合に必ず脆弱面が破断部により破断されるものに限られない。すなわち、脆弱面を下に向けた状態で破断部を回避して収容することができ、添加物を注入する際には脆弱面を下に向けたまま破断部の位置へ移動させるものであってもよい。
【0011】
本発明のうち請求項2の発明によれば、注入した添加物が底面の下面に伝わることなく、効率よく容器本体内に投下される。
【0012】
本発明のうち請求項3の発明によれば、最も一般的な円錐台形状の付属容器の場合において、破断部が付属容器を係止するので、より確実に付属容器を固定・収容できる。付属容器が市販品である場合、同じ円錐台形状であっても、形状や大きさは異なりうるが、一般的な大きさのもの(例えば、飲料一杯分のシロップやミルクを内包するものなど)であれば、破断部が傾斜した側面の何処かを係止する。
【0013】
本発明のうち請求項4の発明によれば、添加物を注入した後の付属容器が係合孔に係合して確実に固定されるので、容器を傾けたり、容器が倒れたりした場合でも、付属容器が落ちにくく、内容物がこぼれにくい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の容器の第一実施形態を示す斜視図。
【図2】第一実施形態の注入孔部分の斜視図および断面図。
【図3】蓋体に付属容器を収容した状態を示す斜視図。
【図4】蓋体に付属容器を収容した状態を示す断面図。
【図5】第二実施形態の斜視図。
【図6】第三実施形態および第四実施形態の注入孔部分の斜視図。
【図7】第五実施形態の注入孔部分の斜視図および断面図。
【図8】第六実施形態の注入孔部分の斜視図および断面図。
【図9】第七実施形態および第八実施形態の注入孔部分の斜視図および断面図。
【図10】第九実施形態の注入孔部分の斜視図および断面図。
【図11】第十実施形態の注入孔部分の斜視図および断面図。
【図12】第十一実施形態の蓋体の斜視図。
【図13】第十二実施形態の注入孔部分の斜視図および断面図。
【図14】第十三実施形態の蓋体の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の容器の具体的な構成について、各図面に基づいて説明する。図1は、容器の第一実施形態の分解斜視図であり、図2は、注入孔22部分を拡大したもので、(a)は底面21の上面を、(b)は底面21の下面を示し、(c)は(a)のA−A線断面図である。この容器は、容器本体1と、蓋体2と、付属容器3とを備える。容器本体1は、水平断面円形で上方に向けて開口した、一般的なカップの形状である。蓋体2は、この容器本体1の開口部10に被せるもので、略円錐台形状である。下縁部には係合鍔部26が形成してあり、容器本体1の開口部10の周縁部に係合する。蓋体2の上面の一部には、後述の付属容器3を収容するための凹部20が形成してある。凹部20は、付属容器3の形状に合わせて円形に掘り込んである。そして、凹部20の底面21には、円形の注入孔22が二つ形成してあり、容器本体1の開口部10と連通している。それぞれの注入孔22の周縁部からは、上方に向けて破断部23が延出しており、下方に向けて案内部24が延出している。破断部23および案内部24は、ともに注入孔22を底面とする円錐の一部を切り取った形状である。そして案内部24については、その下端が係合鍔部26の下端よりも上方であることが望ましい。そのような形状であれば、蓋体2を単独で机上などに安定して置くことができ、また案内部24が机上面に接触しないので衛生的だからである。なお、蓋体2の製造時や移送時には、複数の蓋体2を積み重ねることもありうるが、その場合、破断部23や案内部24は隣接する蓋体2の注入孔22に嵌り込むので、積み重ねには支障がない。さらに、蓋体2の凹部20ではない部分には、略円形の切り込みを形成し、ストローを挿すための挿込口25としてある。なお、挿込口25の代わりに、直接口をつけて飲料を飲むための飲み口を設けてもよい。付属容器3は、容器本体1内に注入するための添加物を内包しており、略円錐台形状で、その大径底面部分が開口しており、そこをアルミニウムの薄膜で覆って脆弱面30としてある。また、一般にこのような付属容器3の開口縁部には、薄膜を剥がしやすくするためのクチバシ32が形成してある。
【0016】
次に、付属容器3を蓋体2に収容した状態について説明する。図3(a)は、二個の付属容器3を蓋体2の凹部20に収容した状態の斜視図であり、図4(a)は、その際の蓋体2部分の断面図である。凹部20は付属容器3の直径および高さに合わせて形成してあり、二個の付属容器3が丁度収まる大きさである。付属容器3は脆弱面30を上にして収容されているが、この際、付属容器3の上縁の一部は凹部20の側壁27と接し、さらに付属容器3の側面31を破断部23が係止して固定される。なお、付属容器3の大きさによっては、付属容器3の上縁の一部が、側壁27の上縁と接する場合や、側壁27の上縁よりも上方へはみ出す場合もある。そして、より確実に固定するために、上から粘着テープを貼ったり、さらに別の蓋を被せたりしてもよい。
【0017】
次に、付属容器3に内包された添加物を容器本体1内に注入する方法について説明する。図3(b)は、二個の付属容器3から添加物を注入している状態の斜視図であり、図4(b)は、その際の蓋体2部分の断面図である。図に示すように、添加物を注入するには、付属容器3の脆弱面30を下にして凹部20に収容する。すると、破断部23が脆弱面30を破断し、この破断部分から添加物Sが流出する。添加物Sは、注入孔22を通り、案内部24を伝って容器本体1内に注入される。
【0018】
このように形成した本発明の容器によれば、凹部に付属容器を収容することで、容器本体および付属容器をまとめて片手で持ち運ぶことができる。凹部に収容する付属容器は、脆弱面を有するものであればよく、市販されているものをそのまま使用することができる。そして、添加物を注入するには、付属容器の脆弱面を下に向けて凹部に収容するだけでよい。よって、蓋体を外す必要がないので衛生的であり、添加物が飛散したり手が汚れたりすることもない。また、片手で注入することができ、他の付属品も不要であるし、動作が簡易で強い力も必要ないので、子供や障害者でも容易に注入できる。さらに注入後、飲料であれば蓋体に付属容器を収容したまま飲むことができるので、空の付属容器の処理の手間がかからず、飲み終わった後、ひとまとめにして捨てることができる。また、惣菜や菓子の場合、添加物を注入後、蓋体を被せたまま容器本体を振って内容物を混ぜ合わせることができる。その際、付属容器が蓋体から外れないように押さえておく必要があるが、蓋体にさらに別の蓋を被せておけば、付属容器を確実に押さえることができる。なお、惣菜や菓子を食べるためには蓋体を外さなければならないが、蓋体には添加物が付着し汚れている。この場合、上記の蓋体に被せた別の蓋があれば、この蓋を蓋体の受け皿として利用することができるので便利である。さらに、案内部を設けたことで、注入した添加物が底面の下面に伝わることなく、効率よく容器本体内に投下される。また、破断部が付属容器を係止するので、確実に付属容器を固定・収容できる。
【0019】
次に、本容器の第二実施形態について、図5に基づき説明する。第二実施形態は、付属容器3が一つのもので、凹部20もそれに合わせた形状であり、さらに注入孔22も一つである。第二実施形態においても、第一実施形態と同様、付属容器3の脆弱面30を上にして凹部20に収容することで、付属容器3の側面31を破断部23が係止して固定し、脆弱面30を下にして収容することで、破断部23が脆弱面30を破断し、添加物が容器本体1内に注入される。
【0020】
さらに以下において、注入孔、破断部および案内部の形状の別実施形態について説明する。図6に示すのは、第三実施形態および第四実施形態である。図6(a)の第三実施形態は、底面21にZ字状の切り込みを入れ、一部を上方に折り曲げて三角形の破断部23としてあり、一部を下方に折り曲げて三角形の案内部24としてあり、このようにして形成される四角形の孔を注入孔22としてある。図6(b)の第四実施形態は、底面21にくの字状の切り込みを二重に入れ、内側部分を上方に折り曲げて三角形の破断部23としてあり、外側部分を下方に折り曲げて三角形の案内部24としてあり、このようにして形成される三角形の孔を注入孔22としてある。第三実施形態および第四実施形態は非常に製造加工が容易であり、また切り込みを入れた状態では蓋体に孔が開いていないので衛生的である。
【0021】
図7に示すのは、第五実施形態であり、(a)および(c)は斜視図、(b)および(d)はそれぞれB−B線断面図およびC−C線断面図である。第五実施形態は、底面21が球状に隆起しており、その頂点に円錐台形の段部40が形成してあり、さらにその上面から上方に向けて円錐形の破断部23が延出している。そして段部40の周囲には略円形の切り込みが入っており円形部41を形成しているが、当該円形部41はその周囲と一部で繋がっており、完全には分断されていない((a)、(b))。この破断部23に上方から付属容器の脆弱面を押し付けると、まず、破断部23、段部40および周囲の円形部41が押し下げられる((c)、(d))。すると、押し下げられた部分とそれ以外の部分との間に隙間が生じ、この隙間が注入孔22となる。そして、押し下げられた円形部41の周縁が、下方に向けて突出しており、案内部24となる。続いてさらに押し付けることで、破断部23により脆弱面が破断される。なお、各部の構造や素材によっては、先に脆弱面が破断され、その後円形部41などが押し下げられる場合もありうるが、注入孔22が形成される前に脆弱面が破断されると添加物が周囲に流れ出してしまうおそれがあるので、先に円形部41などが押し下げられるか、または円形部41などの押し下げと脆弱面の破断とが同時に行われるような構造・素材とすることが望ましい。第五実施形態は、初期状態では蓋体に孔が開いていないので衛生的である。
【0022】
図8に示すのは、第六実施形態であり、(a)は斜視図、(b)はD−D線断面図である。第六実施形態は、底面21が球状に陥没しており、陥没部の中央に略長方形状の注入孔22が形成してある。注入孔22の上部には底面21が延出して橋状部42を形成しており、この橋状部42の上面に円錐形の破断部23が形成してある。また、陥没部の注入孔22の周縁が案内部24となる。
【0023】
図9に示すのは、第七実施形態および第八実施形態であり、(a)および(c)は斜視図、(b)および(d)はそれぞれE−E線断面図およびF−F線断面図である。第七実施形態および第八実施形態は、いずれも底面21から下方に向けてすり鉢状の案内部24が延出し、その下縁から上方に向けて円錐状の破断部23が延出している。そして、第七実施形態では、案内部24から破断部23を貫通して注入孔22が形成してある((a)、(b))。一方、第八実施形態では案内部24のすり鉢状部分に扇形の注入孔22が形成してある((c)、(d))。
【0024】
図10に示すのは、第九実施形態であり、(a)は斜視図、(b)はG−G線断面図である。第九実施形態は、底面21に半円弧状の切り込みを入れ、下方に折り曲げて半円形の案内部24としてあり、このようにして形成される半円形の孔を注入孔22としてある。そしてその弦部分に接して上方に延出する三角形の破断部23が設けてある。第九実施形態においては、破断部23を底面21に寝かせるようにして畳めば、蓋体を積み重ねる際の障害にならない。
【0025】
図11に示すのは、第十実施形態であり、(a)は斜視図、(b)はH−H線断面図である。第十実施形態は、底面21に円形の注入孔22を設け、その上部にV字形の破断部23が上面視して十字に設けてある。そして注入孔22の周縁部下面には三角形の案内部24が設けてあり、破断部23と案内部24とは一体に形成してある。
【0026】
また、以下においては蓋体に付属容器を係合するための係合孔を形成した実施形態について説明する。図12に示すのは、第十一実施形態の蓋体2である。第十一実施形態は第一実施形態と略同一であるが、蓋体2の凹部20の側壁27の下端に、底面21に接して係合孔28が形成してある。係合孔28の形状は、水平方向に長く、付属容器3のクチバシ32の厚さよりわずかに高い。付属容器3の添加物を注入するには、付属容器3の脆弱面30を下にして凹部20に収容するが、その際、クチバシ32を係合孔28に挿入することで、付属容器3を蓋体2に確実に固定することができる。
【0027】
図13に示すのは、第十二実施形態の注入孔部分であり、(a)は斜視図、(b)はJ−J線断面図、(c)は蓋体に付属容器を収容した状態を示す断面図である。第十二実施形態は、底面21に円形の注入孔22を設け、その周縁部からは、上方に向けて破断部23が延出しており、下方に向けて案内部24が延出している。破断部23は、注入孔22を底面とする円錐を、中心軸を通る面で切り取り、この切り取り面に水平方向に突出する返し部29を形成したもので、返し部29の下側が係合孔28となっている。案内部24は、注入孔22を底面とする円錐の一部を切り取った形状である。付属容器3の添加物を注入するには、付属容器3の脆弱面30を破断部23により破断するが、この際、脆弱面30が係合孔28に進入し、返し部29に引っ掛かるので、付属容器3を蓋体に確実に固定することができる。なお、返し部29は、円錐の一部により構成するなど、水平方向に突出して係合孔28を形成するものであればどのような形状であってもよい。
【0028】
このように蓋体に係合孔を設けることで、添加物を注入した後の付属容器が係合孔に係合して確実に固定されるので、容器を傾けたり、容器が倒れたりした場合でも、付属容器が落ちにくく、内容物がこぼれにくい。直接口をつけて飲料を飲む方式の容器の場合、飲む際には容器を大きく傾けることになるので、とくに有効である。また、内容物が惣菜や菓子の場合に、添加物を注入後、蓋体を被せたまま容器本体を振って内容物を混ぜ合わせる際にも、付属容器が外れにくいので有効である。
【0029】
なお、第十一実施形態の係合孔と、第十二実施形態の係合孔とを両方備える蓋体であってもよい。この場合、付属容器が両方の係合孔に係合するのでより確実に固定できる。例えば、第十三実施形態は、図14に示すように、側壁27の係合孔28aと、破断部23の係合孔28bとを、付属容器3の大径底面の直径と略同じ距離を隔てて互いに向き合うように形成したものである。このように形成すると、添加物の注入前においては、付属容器3のクチバシ32を側壁27の係合孔28aに挿入し、クチバシ32の反対側の開口縁部を破断部23の係合孔28bに係合させれば、付属容器3が両側から確実に固定される(図14(a))。そして添加物を注入する際には、付属容器3を移動して破断部23により脆弱面30を破断すればよく、添加物の注入後においては、付属容器3のクチバシ32の先端部が側壁27の係合孔28aに挿入されており、破断された脆弱面30が破断部23の係合孔28bに進入して返し部29に引っ掛かるから、やはり付属容器3が二箇所で確実に固定される(図14(b))。
【0030】
本発明は上記の実施形態に限定されない。付属容器の形状は、円錐台形以外にも、三角錐台形、四角錐台形など、機能や意匠性を考慮して自由に設定することができ、凹部の形状もそれに合わせて変形しうる。さらに、上記の各実施形態において、容器本体および蓋体は、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートからなる使い捨てのものを想定しているが、その他紙製であってもよいし、あるいは陶器や金属からなる繰り返し使用可能な容器であってもよい。また、容器本体には取っ手を設けて使い勝手を向上させてもよい。さらに、販売する際の方法として、あらかじめ特定の添加物が内包された付属容器を蓋体に収容してあってもよいし、需要者が好みの添加物が内包された付属容器を自由に選べるようにしてもよい。また、容器本体の内容物は、食品に限られず、薬品や、油などの工業用品などでもよく、内容物に異物が混入すると問題がある場合や、内容物に直接触れると危険な場合などに便利である。
【符号の説明】
【0031】
1 容器本体
2 蓋体
3 付属容器
10 開口部
20 凹部
21 底面
22 注入孔
23 破断部
24 案内部
28 係合孔
30 脆弱面
31 側面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に向けて開口する容器本体(1)と、該容器本体(1)の開口部(10)に被せる蓋体(2)と、前記容器本体(1)内に注入するための添加物を内包する付属容器(3)とを備え、
前記蓋体(2)の上面には、前記付属容器(3)を収容する凹部(20)を設けてあり、該凹部(20)の底面(21)には、注入孔(22)と、該注入孔(22)の周縁部から上方へ向けて延出する破断部(23)とが形成してあり、
前記付属容器(3)は、前記破断部(23)により破断可能な脆弱面(30)を有することを特徴とする容器。
【請求項2】
前記注入孔(22)の周縁部から下方へ向けて延出する案内部(24)を有することを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記付属容器(3)が略円錐台形状で、その大径底面を脆弱面(30)としてあり、
小径底面を下にして前記凹部(20)に収容すると、前記破断部(23)が前記付属容器(3)の側面(31)を係止することを特徴とする請求項1または2記載の容器。
【請求項4】
前記付属容器(3)が略円錐台形状で、その大径底面を脆弱面(30)としてあり、
前記蓋体(2)が、前記底面(21)に接し水平方向に開口する係合孔(28)を有しており、
前記付属容器(3)を、大径底面を下にして前記凹部(20)に収容すると、前記付属容器(3)の一部が前記係合孔(28)に係合することを特徴とする請求項1、2または3記載の容器。
【請求項1】
上方に向けて開口する容器本体(1)と、該容器本体(1)の開口部(10)に被せる蓋体(2)と、前記容器本体(1)内に注入するための添加物を内包する付属容器(3)とを備え、
前記蓋体(2)の上面には、前記付属容器(3)を収容する凹部(20)を設けてあり、該凹部(20)の底面(21)には、注入孔(22)と、該注入孔(22)の周縁部から上方へ向けて延出する破断部(23)とが形成してあり、
前記付属容器(3)は、前記破断部(23)により破断可能な脆弱面(30)を有することを特徴とする容器。
【請求項2】
前記注入孔(22)の周縁部から下方へ向けて延出する案内部(24)を有することを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記付属容器(3)が略円錐台形状で、その大径底面を脆弱面(30)としてあり、
小径底面を下にして前記凹部(20)に収容すると、前記破断部(23)が前記付属容器(3)の側面(31)を係止することを特徴とする請求項1または2記載の容器。
【請求項4】
前記付属容器(3)が略円錐台形状で、その大径底面を脆弱面(30)としてあり、
前記蓋体(2)が、前記底面(21)に接し水平方向に開口する係合孔(28)を有しており、
前記付属容器(3)を、大径底面を下にして前記凹部(20)に収容すると、前記付属容器(3)の一部が前記係合孔(28)に係合することを特徴とする請求項1、2または3記載の容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−189062(P2010−189062A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4264(P2010−4264)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(509020664)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(509020664)
【Fターム(参考)】
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