説明

容器

【課題】蓋体と容器本体に分離でき、かつ、互いに嵌合できるフランジを具備する容器に対し、その外側をシュリンクフィルムで被覆した場合、容器本体と蓋体をしっかり固定し、かつ一旦シュリンクフィルムを破壊したら復元できない安全性とを維持したまま、シュリンクフィルムの使用量を必要最低限ですますことのできる容器を提供すること。
【解決手段】容器本体30と蓋体20と容器本体及び蓋体の境界を含んで被覆するシュリンクフィルム40とを含む容器10であって、容器本体及び蓋体がそれぞれ周縁側方部に延設され、互いに嵌合している各フランジ部を具備し、シュリンクフィルムは、蓋体フランジ部22の側方および上方とを被覆し、かつ、容器本体フランジ部32の側方および下方とを被覆し、シュリンクフィルムの上下辺が容器本体及び蓋部に接触する位置または接触する位置までに終端を有するようにしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として食品を封入する、蓋体と容器本体に分離でき、その外側をシュリンクフィルムで被覆した容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
惣菜、弁当、ハムや鮮魚などの生食、乾麺、スープの素の固形物などの食品等の封入する容器では、店頭展示販売用にプラスチック製の容器が多く用いられ、かかる容器の多くに、蓋体と容器に分離でき、かつ容器の内容物が流出しないように、蓋体と容器本体は、それぞれ周縁側方部に延設され、互いに嵌合可能なフランジ部を具備するものが使われている。かかる容器は、外側から内容物が確認できるように、蓋体が透明或いは半透明であることが多い。さらに容器自身を持ち上げても蓋体と容器本体が外れないようにするため、異物混入を防止するため、一旦開封した場合に復元できなくするため、或いは衛生上の観点などから、容器外側からシュリンクフィルムで、容器本体と蓋体の境界部位一周を含めて被覆された容器も存在する(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−095334号公報
【0003】
一般に、シュリンクフィルムとは、熱によって収縮するフィルムである。かかるシュリンクフィルムを容器の外周に沿わせて巻きつけ、熱風やスチームなどでシュリンクフィルムの上下端をシュリンク(収縮)させることにより、容器の蓋体と容器本体とをしっかり固定できる。一旦シュリンクフィルムを破壊した場合、復元させることができないので、外部から異物等の侵入を防ぐことができる。
【0004】
また、お茶や清涼飲料水などの飲料用のPET容器などの外装に用いられるシュリンクフィルムでは、印刷ができるシュリンクフィルムも知られており、印刷されたシュリンクフィルムをPET容器の外側に被覆し、その上下端付近をシュリンクさせることで、PET容器にデザインを施している場合もある。
【0005】
しかしながら、近年、エコロジー、省資源の観点から、特に上記蓋体付き容器においては、シュリンクフィルムによる容器の更なる被覆(包装)が敬遠される傾向にある。とはいえ、単にシュリンクフィルムによる容器の被覆をしない場合、或いはシュリンクフィルムによる被覆に替えて例えば輪ゴムなどで容器の蓋体と容器本体を固定した場合などでは、特に内容物が食品であり、食品の入った容器が店頭に陳列される場合に、店頭で一旦、容器本体から蓋体を取り外して再度取り付けたとしても、蓋体を取り外した形跡が残らないので、衛生面上、安全面上の問題が残る。
【0006】
さらに、特にフランジ部を具備する容器の場合、フランジ部近辺では容器の形状が複雑であるため、シュリンクフィルムで容器全体を被覆した場合、フランジ近辺で皺などが生じやすい。特に蓋体が透明または半透明の場合、外側から内容物が確認できるようにしたにも拘らず、内容物の見栄えが悪くなるなどの問題があった。これは、特許文献1のような蓋体が略水平形状の容器よりも、図1に示したような蓋体が凸型形状の容器で顕著な問題であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記現状を鑑みて、本発明が解決しようとする問題は、蓋体と容器本体に分離でき、かつ、それぞれ周縁側方部に延設され、互いに嵌合できるフランジ部を具備し、蓋体が透明または半透明で内容物が外側から確認できる容器に対し、その外側をシュリンクフィルムで被覆した場合、容器本体と蓋体をしっかり固定し、かつ一旦シュリンクフィルムを破壊したら復元できない安全性とを維持したまま、シュリンクフィルムの使用量を必要最低限ですますことのできる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、
容器本体と、蓋体と、前記容器本体及び蓋体の境界を含んで被覆するシュリンクフィルムとを含む容器であって、
前記容器本体及び前記蓋体が、それぞれ周縁側方部に延設され、互いに嵌合している各フランジ部を具備し、
前記シュリンクフィルムは、前記蓋体フランジ部の側方および上方とを被覆し、かつ、前記容器本体フランジ部の側方および下方とを被覆し、前記シュリンクフィルムの上下辺が前記容器本体及び前記蓋部に接触する位置または接触する位置までに終端を有する容器であることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の容器では、シュリンクフィルムが、容器本体及び蓋体の境界を被覆して、一旦シュリンクフィルムを破壊すると復元できなくなるので、衛生面、安全面に優れる。またシュリンクフィルムは、蓋体フランジ部の側方および上方とを被覆し、かつ、容器本体フランジ部の側方および下方とを被覆するので、各フランジ部を上下方向から押さえ、各フランジの嵌合を確実することができる。その一方、シュリンクフィルムの上下辺は、容器本体及び蓋部に接触する位置または接触する位置までに終端を有するので、必要最低限のシュリンクフィルムの使用量ですますことができる。
【0010】
また容器の蓋体が透明または半透明である場合には、シュリンクフィルムは、フランジ以外の蓋体の部位を被覆しないので、蓋体のフランジ近辺に余計な皺も発生することもなく、内容物の見栄えがよくなる。
【0011】
また、その一部または全部に印刷が施されたシュリンクフィルムを用いることで、かかる容器の外側から内容物が確認できる機能を害することなく、容器のフランジの外装に新たにデザインを付与することもできる。
【0012】
また、印刷が施されたシュリンクフィルムを用いる場合、容器被覆前のシュリンクフィルムが、前記容器としての使用時に、両フランジ部の終端に相当する位置から前記容器中心に相当する位置に向かって、扇状に拡がるデザインが印刷されたものであることで、容器に被覆してシュリンクさせた場合のデザインが、比率正しく表現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面を用いて発明を更に詳説するが、本発明は図面に示された様態に限られるものではない。図1は本発明の容器10の全体斜視図であり、図2は本発明の容器10の要部垂直断面図である。なお、図1中の灰色部分は、シュリンクフィルム40が被覆されている箇所を示す。
【0014】
(容器)
本発明の容器10の一つの様態は、例えば、図1に示すような、主として弁当や小分けされた惣菜などの食品を保持するプラスチック製の容器10である。かかる容器10は、通常、容器本体30と蓋体20とからなり、容器本体30と蓋体20はそれぞれの周縁側方部に延設されて各フランジ部を具備し(容器本体フランジ部32、蓋体フランジ部22)、これらは互いに嵌合可能である。また蓋体20は内容物を確認できるように、透明または半透明であることが多い。また蓋体20は略水平形状ではなく、上方に凸形状をしているものが多い。本発明の容器10では、更に容器本体30及び蓋体20の境界を含んで被覆するシュリンクフィルム40を含むものである。
【0015】
(容器本体、蓋体)
本発明に用いる容器本体30及び蓋体20に用いる材料には、衛生面に優れ、シュリンクフィルム40を熱収縮させる際の耐熱性を有する材料であれば、特に制限なく用いることができるが、主流はプラスチック材料である。例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系樹脂、ポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフイン系樹脂、ポリ塩化ビニルポリカーボネート、アリレート樹脂などの熱可塑性樹脂などが挙げられる。これら樹脂は、2種以上をブレンドして用いることもできる。
【0016】
あるいは、耐熱性や耐水性が改善された、コーティング紙などの紙系の材料も使用できる。ただし紙系材料は一般に不透明なので、蓋体20を透明或いは半透明とする場合の材料としては適さない。
【0017】
容器本体30の形状は、食品などを内部に封入するため、深皿型、ドーム型、トレイ型などの形状が好ましい。一方、蓋体20の形状は、略水平形状とすることもできるが、蓋体20が透明或いは半透明の場合、図1に示したような上方に凸形状の場合に本発明の効果が特に大きい。蓋体20が上部に凸形状の場合、特に蓋体20と蓋体フランジ部22の切り替え部分にシュリンクフィルム40の皺が発生しやすいからである。なお、蓋体20は蓋体フランジ部22を具備しなければならないので、ある程度の定形保持性が必要とされる。したがって、単に食品を乗せたトレイの上からラップを被せただけ場合の該ラップは本発明にいう蓋体20ではない。
【0018】
容器本体30及び蓋体20の成形には、公知の成形方法を用いることができ、例えばインジェクション成形、ブロー成形、プレス加工、シート成形などを用いることができる。
【0019】
容器本体30前記蓋体20は、それぞれ周縁側方部に延設され、互いに嵌合可能なフランジ部(容器本体フランジ部32、蓋体フランジ部22)を具備する。両フランジ部22,32の嵌合により、蓋体20は容器本体30に固定される。かかる各フランジ部22の形状としては、図2に示したようなコの字状、矩形波状であることが好ましい。容器10の可撓性からフランジ部による嵌合は容易に行うことができるが、その反面、容易に外れやすい。本発明ではシュリンクフィルム40の両フランジ部22,32における上下方向からの被覆により、容器本体30と蓋体20の固定を更に強固にする。
【0020】
(シュリンクフィルム)
本発明で用いるシュリンクフィルム40の材料には、熱収縮する公知の材料が用いられ、例えば、ポリプロピレン(P.P)、ポリエチレン(P.E)などのポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル(P.V.C)、ポリスチレン(P.S)、ポリエチレンテレフタレート(P.E.T)、さらにエチレン‐プロピレン共重合体、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐アクリル酸共重合体、エチレン‐アクリル酸メチル共重合体、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体などの共重合体、アイオノマー樹脂や、近年、その生分解性により注目されるポリ乳酸系重合体などを挙げることができる。これら樹脂を用いたフィルムは、一軸延伸や二軸延伸のフィルムとして使用することができる。またこれら樹脂をラミネートした積層フィルムも使用できる。特に、シュリンクフィルム40に印刷を施す場合には、印刷の容易なP.PやP.E.Tなどのフィルム、或いはこれらを印刷面側に用いた積層フィルムなどが好ましい。
【0021】
シュリンクフィルム40は、容器本体30と蓋体20の境界部分を一周囲んで被覆することで、蓋体20と容器本体30のいずれの隙間からも異物が混入しないようにしている。本発明の場合、容器本体30と蓋体20の境界部分は、互いのフランジ部22,32の部分の接合部に相当し、本発明で用いるシュリンクフィルム40は、かかるフランジ部22,32の境界(接合部)を一周覆うように被覆し、その上下辺(蓋体側辺と容器本体側辺)を両フランジ部22,32にシュリンクさせる。これにより、シュリンクフィルム40を破壊しない限り、容器本体30と蓋体20とは分離させることができないので、異物混入などを防ぐことができ、衛生面、安全面に優れる。
【0022】
その一方、図2に示したように本発明に用いるシュリンクフィルム40の上辺(蓋体側の辺)は、蓋体20と接触する位置または接触する位置までに終端を有し、下辺(容器本体側辺)は、容器本体30と接触する位置または接触する位置までに終端を有する。すなわち蓋体側では、蓋体フランジ部22部分のみを被覆し、蓋体20のその他の部分は被覆しない。また容器本体側では、容器本体フランジ部32部分のみを被覆し、容器本体30のその他の部分は被覆しない。容器本体30と蓋体20とを固定するためには、両フランジ部22,32の被覆で十分である。
【0023】
また、本発明で用いるシュリンクフィルム40としては、その一部または全部に印刷が施されたシュリンクフィルム40を用いることができる。通常印刷されたシュリンクフィルム40は、例えばお茶や清涼飲料水などのPETボトルの容器の外装に用いられることが多いが、弁当や惣菜などを封入するのによく用いられる、互いに嵌合するフランジ部を具備する蓋体と容器本体からなる容器にはほとんど用いられていない。これは、従来のやり方によって印刷されたシュリンクフィルムで容器全体を被覆した場合、内容物を確認できなくなるからである。本発明ではシュリンクフィルム40が、蓋体側において蓋体フランジ部22以外の部分を被覆しないため、印刷を施されたものであって、外から内容物を確認することができつつ、容器10としてのデザイン上の効果も付与できる。
【0024】
また、印刷が施されたシュリンクフィルム40を用いる場合、容器被覆前のシュリンクフィルムが、前記容器としての使用時に、両フランジ部22,32の終端に相当する位置から前記容器10中心に相当する位置に向かって、扇状に拡がるデザインが印刷されたものであることが好ましい。すなわち、水平方向に出っ張った両フランジ部22,32を覆って、印刷が施されたシュリンクフィルムをシュリンクさせる場合、容器中心に近付くにつれ、シュリンク度合いが大きくなるので、容器被覆前のシュリンクフィルムでは、位置ごとのシュリンク度合いの差異をキャンセルするような印刷を予め施すことにより、容器10に被覆してシュリンクさせた場合のデザインについて、その比率を正しく表現させることができる。
【0025】
さらに、容器10の各フランジ部22,32の位置における水平断面形状が円ではなく、図1に示したような角(曲率の増加部位含む)を持つ場合(図1では略四角形)、角と辺の部分のシュリンク度合いの差異も考慮に入れる必要がある。角にあたる位置よりも辺にあたる位置の方においてシュリンク度合いが大きいので、予め辺にあたる部分のデザインを間隔の広い扇状とすることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の容器は、上述のとおり、主に惣菜、弁当、ハムや鮮魚などの生食、乾麺、スープの素の固形物などの食品等の封入する蓋付き容器であって、安心、衛生的に店頭に展示しておくことができ、かつ、かつエコロジー的にも優れるので、食品メーカー、スーパー、コンビニエンスストア、百貨店食品売り場などでの利用価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の容器10の全体斜視図である。
【図2】本発明の容器10の要部垂直断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10 容器
20 蓋体
22 蓋体フランジ部
30 容器本体
32 容器本体フランジ部
40 シュリンクフィルム



【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、蓋体と、前記容器本体及び前記蓋体の境界を含んで被覆するシュリンクフィルムとを含む容器であって、
前記容器本体及び前記蓋体は、それぞれ周縁側方部に延設され、互いに嵌合している各フランジ部を具備し、
前記シュリンクフィルムは、前記蓋体フランジ部の側方および上方とを被覆し、かつ、前記容器本体フランジ部の側方および下方とを被覆し、前記シュリンクフィルムの上下辺が前記容器本体及び前記蓋部に接触する位置または接触する位置までに終端を有する容器。
【請求項2】
前記蓋体が、透明または半透明である請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記シュリンクフィルムの一部または全部に印刷が施された、請求項1または2記載の容器。
【請求項4】
請求項3記載の容器に用いられる被覆前のシュリンクフィルムであって、前記容器としての使用時に、前記両フランジ部の終端に相当する位置から前記容器中心に相当する位置に向かって、扇状に拡がるデザインが印刷されたシュリンクフィルム。



【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−70208(P2010−70208A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238610(P2008−238610)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】