説明

容器

【課題】少量の内容物を正確に注出可能な容器を提供する。
【解決手段】注出口2を備え、注出口2に着脱自在に取り付けられる、先端に開口3を形成しうる錘状のノズル4を備える紙容器(容器)1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出口を備えた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の容器は、例えば、図7に示すように、内容物として液体の充填された紙容器21は、矩形の底部B’と底部B’の各辺から直立して形成される側部S’と、向かい合う1組の側部S’の上方に延設される傾斜部I3’と傾斜部I3’の上端に形成される尾根部R’と、別の向かい合う1組の側部S’の上方に延設される三角形部I4b’などから構成される。傾斜部I3’には、注出するための注出口22が形成されるとともに、その注出口22と係合する外蓋25を備えている。なお、注出口22の外周には、雄ネジが設けられる一方、外蓋25の内周には、雌ネジが設けられ、両者を係合することによって注出口22を外蓋25で覆うように構成されている。
【0003】
また、未使用時において、注出口22内には、一体成形されたシール部を備える。使用時には、外蓋25を回転させて、外蓋25を注出口22から分離させ、シール部の引掛部に指を引っ掛けて注出口22から分離することで、注出口22に開口部を形成する。そして、注出口22より液体を注ぎ出す。注出後には、注出口22に外蓋25を係合させて注出口22を覆う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−162679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このように構成された紙容器21の注出口22は、少量の液体を注ぎ出したいとき、注出量を調節することが困難であり、不必要に大量の液体を注出してしまうという問題があった。そこでこの発明の目的は、少量の内容物を正確に注出可能な容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため請求項1に記載の発明は、注出口を備えた容器において、前記注出口に着脱自在に取り付けられる、先端に開口を形成しうる錘状のノズルを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の容器において、前記開口の断面積を大きくするべく、ノズルを輪切りにするための目安となる切断誘導部をノズルの外周に備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の容器において、前記切断誘導部を複数設けることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の容器において、前記開口を覆うキャップを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の容器において、前記キャップと前記ノズルを連結する連結部を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の容器において、前記開口が斜切りに形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、注出口を備えた容器において、注出口に着脱自在に取り付けられる、先端に開口を形成しうる錘状のノズルを備えるので、注出量を調節することが容易であり、少量の内容物を正確に注出可能な容器を提供することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、開口の断面積を大きくするべく、ノズルを輪切りにするための目安となる切断誘導部をノズルの外周に備えるので、注出量を調節する注出口を容易に形成可能な容器を提供することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、切断誘導部を複数設けるので、所望の大きさの注出口を形成可能な容器を提供することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、開口を覆うキャップ備えるので、開口から異物混入を防止させ、衛生的な容器を提供することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、キャップとノズルを連結する連結部を備えるので、容易に蓋の遺失防止ができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、開口が斜切りに形成されるので、注出終了時の液垂れなどを防ぎ、より一層注出しやすい容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の紙容器の斜視図である。
【図2】(a)は、図1のノズル及びキャップの拡大側面図であり、(b)は、A矢視平面図である。
【図3】紙容器を構成する展開図である。
【図4】(a)は、図1のノズルの切断誘導部を切断した拡大側面図であり、(b)は、図4(a)で形成された開口にキャップで覆ったときの拡大側面図である。
【図5】図1のノズルを構成する別の形状を示した図であり、(a)は、切断誘導部を本体部に対して凸型に形成した拡大側面図、(b)は、切断誘導部を着色させた拡大側面図である。
【図6】図1のノズルの先端を斜切りにした状態の拡大側面図である。
【図7】従来の紙容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の紙容器(容器)1の斜視図を示してある。紙容器1内には、例えば、濃縮飲料を内容物として充填している。紙容器1は、矩形の底部Bと底部Bの各辺から直立して形成される側部S1、S2、S3、S4と、向かい合う1組の側部S3の上方に延設される傾斜部I3と傾斜部I3の上端に形成される尾根部Rと、別の向かい合う1組の側部S2、S4の上方に延設される三角形部I2bなどから構成される。傾斜部I3には、濃縮飲料を注出するための注出口2(図2(a)参照)が形成されるとともに、その注出口2と係合するノズル4を備えている。なお、製品出荷時、紙容器1の注出口2には、外蓋が係合しており、使用時にこの外蓋を外して注出口2に取り付けるものであり、図1はこの状態を示したものである。また、注出口2の外周には、雄ネジが設けられる一方、ノズル4の内周には、雌ネジが設けられ、両者を係合することによって注出口2をノズル4で覆うように構成されている。
【0020】
図2(a)は、ノズル4の拡大側面図であり、図2(b)は、(a)のA矢視平面図である。ノズル4は、ノズル本体12、キャップ5、及び連結部6から構成される。ノズル本体12は、先端12aから後端12bに向かって断面積が大きくなるように錘状に形成され、その間に周辺よりも外径の小さな切断誘導部7を備える。切断誘導部7は、ノズル本体12の外周に一定間隔に複数設けてある。また、後端12bに連続して取付部8を設ける。更に、ノズル本体12の略中央には、嵌合部14を設ける。
【0021】
取付部8の内周には、注出口2の外周に形成された雄ネジ16aと係合させるための雌ネジ16bを形成している。嵌合部14は、被嵌合部15と嵌合するように形成される。なお、ノズル本体12を形成する切断誘導部7、取付部8、嵌合部14以外に本体部13を設ける。
【0022】
なお、図2(b)において、注出口2の側面にある雄ネジ16aとノズル本体12の内周にある雌ネジ16bとで係合したときに、注出口2の上部から内周までを覆い、ノズル本体12の後端12bの内周から起立した係合補助部11を設ける。
【0023】
キャップ5は、ノズル本体12の先端12a側を覆うものである。なお、キャップ5の連結部6と反対側にはつまみ9を設ける。また、取付部8には、キャップ5を連結させるための連結部6が延設されている。なお、図2(a)のノズル4は、樹脂などで一体成形される。
【0024】
図3は、紙容器1を構成する展開図である。符号Pは、包材であり、この包材は不図示の板紙等を支持材とする多層構造を有し、この支持材の表面及び、裏面にポリエチレン樹脂などのポリオレフィン系の樹脂によって板紙の表裏に樹脂層を形成させる。また、この支持材と樹脂層との間にガスバリア性の樹脂、アルミ箔及び蒸着フィルム等からなるバリア層を形成させることもできる。
【0025】
包材Pは、互いに隣接させて形成されたパネルP1、パネルP2、パネルP3、パネルP4、及びパネルP5から構成される。
【0026】
パネルP1は、紙容器1の側面を構成する矩形部S1、傾斜上面を構成する矩形部I1、底面Bの一部を構成する六角形部B1、及び尾根部を構成する六角形部R1から構成される。
【0027】
パネルP2は、紙容器1の側面を構成する矩形部S2、傾斜上面を構成する三角形部I2b、矩形部I1、I3とそれぞれ合わせられる三角形部I2a、I2c、底面Bの一部を構成する三角形部B2a、B2b、B2c、及び横シール部を構成する矩形部R2a、R2bから構成される。
【0028】
パネルP3は、紙容器1の側面を構成する矩形部S3、傾斜上面を構成する矩形部I3、底面Bの一部を構成する突片B0を有する矩形部B3、及び尾根部を構成する六角形部R3から構成される。なお、矩形部I3には、開口部3を構成するための円形の穴10が空けてある。
【0029】
パネルP4は、紙容器1の側面を構成する矩形部S4、傾斜上面を構成する三角形部I4b、矩形部I3、I1とそれぞれ合わせられる三角形部I4a、I4c、底面Bの一部を構成する三角形部B4a、B4b、B4c、及び横シール部を構成する矩形部R4a、R4bから構成される。
【0030】
パネルP5は、紙容器1の側面を構成する矩形部S5、傾斜上面を構成する矩形部I5、底面Bの一部を構成する矩形部B5、及び尾根部を構成する矩形部R5から構成される。なお、パネルP5は、縦シール部を構成し、パネルP1と熱融着される。
【0031】
なお、底面Bは、矩形部B1、B3、B5、三角形部B2a、B2b、B2c、B4a、B4b、B4c、及び突片B0によって形成される。また、紙容器1を形成するとき、符号mは山折り、符号vは谷折りにする罫線を示している。
【0032】
包材Pから、紙容器1を形成する方法を説明する。包材Pにおいて、パネルP1とパネルP5とを熱融着して、包材Pを筒状に成形し、三角形部I2b、I4bを筒状の中央に向けて押し込み、六角形部R1と矩形部R2a、R4bとを、また、六角形部R3と矩形部R4a、R2bとをそれぞれ合わせて熱融着することによって、紙容器1の上壁を形成することができる。このとき、矩形部I1と三角形部I2a、I4cとによって、また、矩形部I3と三角形部I4a、I2cとによって、それぞれ耳片が形成されるとともに、六角形部R1と六角形部R3とによって、尾根部Rが形成される。
【0033】
一方、三角形部B2b、B4bを内側に向けて折り込み、三角形部B2bと三角形部B2a、B2cとを、また、三角形部B4bと三角形部B4a、B4cとを合わせ、かつパネルP1と突片B0とを合わせて熱融着することによって、紙容器1の底壁を形成することができる。このとき、六角形部B1と三角形部B2a、B4cとが、矩形部B3と三角形部B4a、B2cとが、三角形部B2bと三角形部B2a、B2cとが、三角形部B4bと三角形部B4a、B4cとが、パネルP1と突片B0とがそれぞれ熱融着される。
【0034】
なお、矩形部I3の所定位置には、内容物の注出口2としての円形の穴10が設けてあり、樹脂などで成形された注出口2を紙容器1に熱融着させる。また、未使用時において、注出口2内には、一体成形されたシール部を備える。紙容器1を組み立てる所定の段階にて濃縮飲料を紙容器1内に充填する。
【0035】
この紙容器1により、濃縮飲料を注ぎ出す方法について説明する。最初に、不図示の外蓋を回転させて、外蓋を紙容器1から分離させ、注出口2と一体成形された引掛部を有する注出口内部にある内蓋を指に引っ掛けて分離することにより注出口2を形成する。次に、取付部8の内周にある雌ネジ16bを注出口2の外周にある雄ネジ16aと係合させ、ノズル4を固定する。そして、ノズル4にある所望の切断誘導部7をはさみなどで切断して、所望の大きさの開口3を形成させる(図4(a)参照)。そして、ノズル4より濃縮飲料を注ぎ出す。注出後には、開口3にキャップ5を嵌合させ、開口3を覆うことで、キャップ5がノズル本体12より外れにくくなる(図4(b)参照)。詳しくは、嵌合部14に被嵌合部15を嵌め付けることにより、キャップ5がノズル本体12に固定される。再び、濃縮飲料を注出するときは、キャップ5にあるつまみ9を摘んでキャップ5をノズル本体12から外す。
【0036】
図5は、ノズル4の他の構成を示した例である。図5(a)のノズル4Aは、本体部13Aに対し、凸型に成形させた切断誘導部7Aを備えたノズル4Aであり、図5(b)のノズル4Bは、紙容器内の内容物の色とは別色でかつ、本体部13Bと区別できる色に着色させた切断誘導部7Bを備えたノズル4Bである。なお、注出口2及び取付部8取付方法はネジに限定されるものではない。また、連結部6の位置も図2(a)に示した位置に限定しない。更に、キャップ5の形状は、開口3を覆うことができる形状であれば特に限定しない。
【0037】
加えて、図6のように、取付部8Aに隣接している本体部13Cを除いた本体部13Cを、取付部8Cに対して傾斜させた切断誘導部7C及び本体部13Cを構成するようにしてもよい。この場合、切断誘導部7Cを切断したときに形成される斜切りの切り口の外周で尖った部分が下となるように取付部8Cを注出口2にネジ付けるのではなく嵌め付けるようにするとよい。このように構造に形成することで、液垂れ防止可能なより一層注出しやすい構造に形成できる。
【0038】
以上詳述したように、この発明の紙容器(容器)1は、注出口2を備え、注出口2に着脱自在に取り付けられる、先端に開口3を形成しうる錘状のノズル4を備え、開口3の断面積を大きくするべく、ノズル4を輪切りにするための目安となる切断誘導部7をノズル4の外周に備える。また、切断誘導部7を複数設け、更に、開口3を覆うキャップ5を備え、キャップ5とノズル4を連結する連結部6を備える。或いは、ノズル4の先端にある開口3が斜切りに形成される紙容器1であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、内容物を収容可能なすべての容器に適用しうる。
【符号の説明】
【0040】
1 紙容器(容器)
2 注出口
3、3C 開口
4、4A、4B、4C ノズル
5 キャップ
6 連結部
7、7A、7B、7C 切断誘導部
8 取付部
9 つまみ
10 穴
11 係合補助部
12 ノズル本体
12a 先端
12b 後端
13、13A、13B、13C 本体部
14 嵌合部
15 被嵌合部
16a 雄ネジ
16b 雌ネジ
B 底部
B0 突片
R 尾根部
P 包材
P1、P2、P3、P4、P5 パネル
R2a、R2b、R4a、R4b、R5、I1、I3、I5、S1、S2、S3、S4、S5、B0、B1、B3、B5 矩形部
I2a、I2b、I2c、I4a、I4b、I4c、B2a、B2b、B2c、B4a、B4b、B4c 三角形部
R1、R3、B1 六角形部
m 山折り
v 谷折り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注出口を備えた容器において、
前記注出口に着脱自在に取り付けられる、先端に開口を形成しうる錘状のノズルを備えることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記開口の断面積を大きくするべく、前記ノズルを輪切りにするための目安となる切断誘導部を前記ノズルの外周に備えることを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記切断誘導部を複数設けることを特徴とする、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記開口を覆うキャップを備えることを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記キャップと前記ノズルを連結する連結部を備えることを特徴とする、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記開口が斜切りに形成されることを特徴とする、請求項2に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−73733(P2011−73733A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227160(P2009−227160)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】