説明

容量差検出回路

【課題】消費電流を低減しつつ、微小な容量変化をより高速かつ高精度で検出することが可能な容量差検出回路を提供する。
【解決手段】容量差検出回路100のタイミングジェネレータ14は、電流切換スイッチ回路6の切換動作を制御する電流切換パルス信号を出力し、第1、第2の可変容量キャパシタ2、3に第1、第2の充電電圧が充電されている期間中にこの第1、2の充電電圧を検出するように、チョッパ型アンプ7を制御するゲートパルス信号を出力し、第1の充電電圧を検出する期間中にチョッパ型アンプ7の出力信号をサンプルホールドするように、第1のサンプルホールド回路8を制御する第1のサンプルパルス信号を出力し、第2の充電電圧を検出する期間中にチョッパ型アンプ7の出力信号をサンプルホールドするように、第2のサンプルホールド回路9を制御する第2のサンプルパルス信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサの微小容量変化を検出する容量差検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のMEMSセンサの微小容量変化を検出する容量差検出回路として、例えば、センサ容量を利用した2つのLC発振回路と、その差周波数を生成するミキサ回路と、このミキサ回路出力の周波数を電圧に変換するF/V変換(例えばPLL)回路と、を備えるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記従来の容量差検出回路は、例えば、PLL回路を用いるため、構成が複雑であり、消費電力も大きいという問題がある。
【0004】
また、他の従来の容量差検出回路は、主増幅器と、補償電圧生成回路と、サンプルホールド回路とを設けて微少容量検出回路を構成する。MEMSセンサの2つの可変容量キャパシタを放電クリア状態とし、この状態で、スイッチドキャパシタ回路がオフセット電圧を出力する。そして、補償電圧生成回路が該主増幅器を介して該オフセット電圧を検出しオフセット電圧を零にする補償電圧を生成し、サンプルホールド回路が補償電圧をサンプルホールドする。次に、2つの該可変容量キャパシタの容量差を電圧に変換して該スイッチドキャパシタ回路からの補償電圧で容量差電圧のオフセット電圧成分を除去してノイズやドリフトが抑制された容量差電圧を増幅し出力する(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
上記従来の容量差検出回路は、スイッチドキャパシタ回路での検出ゲインは、ゲインと検出回路側の帰還容量の値で変動し、この帰還容量のばらつきが検出ゲインばらつきとなる。
【0006】
また、上記従来の容量差検出回路は、可変容量キャパシタの共通端子はスイッチドキャパシタアンプの動作に非常に敏感な反転入力端子(仮想接地点)に接続する必要がある。通常、センサから該反転入力端子までの配線は長くなるため、外乱の影響を非常に受けることになる。また、配線の寄生容量などにより当該アンプが発振し検出が不能となる可能性がある。
【0007】
また、上記従来の容量差検出回路は、スイッチドキャパシタアンプの帰還路スイッチの寄生容量によるオフセットを低減するためにセンサ入力側に多くのスイッチ部品を配置する。このため、スイッチのオン抵抗のばらつきやスイッチング時間のばらつきが大きなオフセットを生じる可能性がある。
【特許文献1】特開2005−326285号公報
【特許文献2】特開平9−72757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、消費電流を低減しつつ、微小な容量変化をより高速かつ高精度で検出することが可能な容量差検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る実施例に従った容量差検出回路は、
その容量値の和が一定となる第1の可変容量キャパシタと第2の可変容量キャパシタに対して充電されるそれぞれの電圧を検出し、これらの電圧に対応した信号を出力端子にそれぞれ出力する容量差検出回路であって、
前記第1、第2の可変容量キャパシタに充電電流を供給する電流源と、
前記電流源と前記第1、第2の可変容量キャパシタとの間に接続され、前記電流源から出力される電流を、前記第1の可変容量キャパシタと第2の可変容量キャパシタに相補的に供給するための切換動作をする電流切換スイッチ回路と、
前記第1の可変容量キャパシタに充電された第1の充電電圧、および第2の可変容量キャパシタに充電された第2の充電電圧を検出するチョッパ型アンプと、
前記チョッパ型アンプの出力に接続され、前記第1の充電電圧に対応する前記チョッパ型アンプの出力信号をサンプルホールドする第1のサンプルホールド回路と、
前記チョッパ型アンプの出力に接続され、前記第2の充電電圧に対応する前記チョッパ型アンプの出力信号をサンプルホールドする第2のサンプルホールド回路と、
前記第1のサンプルホールド回路の出力が反転入力端子に入力されるとともに、前記第2のサンプルホールド回路の出力が非反転入力端子に入力され、信号を前記出力端子に出力する差動増幅回路と、
入力されるクロック信号に基づいて信号を出力するタイミングジェネレータと、を備え、
前記タイミングジェネレータは、
前記電流切換スイッチ回路の切換動作を制御する電流切換パルス信号を出力し、
前記第1の可変容量キャパシタに前記第1の充電電圧が充電されている期間中にこの第1の充電電圧を検出するとともに前記第2の可変容量キャパシタに前記第2の充電電圧が充電されている期間中にこの第2の充電電圧を検出するように、前記チョッパ型アンプを制御するゲートパルス信号を出力し、
前記第1の充電電圧を検出する期間中に前記チョッパ型アンプの出力信号をサンプルホールドするように、前記第1のサンプルホールド回路を制御する第1のサンプルパルス信号を出力し、
前記第2の充電電圧を検出する期間中に前記チョッパ型アンプの出力信号をサンプルホールドするように、前記第2のサンプルホールド回路を制御する第2のサンプルパルス信号を出力することを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様に係る実施例に従った容量差検出回路は、
その容量値の和が一定となる第1の可変容量キャパシタと第2の可変容量キャパシタに対して充電されるそれぞれの電圧を検出し、これらの電圧に対応した差動信号を第1の出力端子、第2の出力端子にそれぞれ出力する容量差検出回路であって、
前記第1、第2の可変容量キャパシタに電流を供給する電流源と、
前記電流源と前記第1、第2の可変容量キャパシタとの間に接続され、前記電流源から出力される電流を、前記第1の可変容量キャパシタと第2の可変容量キャパシタに相補的に供給するための切換動作をする電流切換スイッチ回路と、
前記第1の可変容量キャパシタに充電された第1の充電電圧、および第2の可変容量キャパシタに充電された第2の充電電圧を検出するチョッパ型アンプと、
前記チョッパ型アンプの出力に一端が接続された第1のサンプルホールド用スイッチ回路と、前記第1のチョッパ用スイッチ回路の他端と接地との間に接続された第1のキャパシタとを有し、前記第1の充電電圧に対応する前記チョッパ型アンプの出力を、電圧として前記第1のキャパシタに充電することにより、サンプルホールドする第1のサンプルホールド回路と、
前記チョッパ型アンプの出力に一端が接続された第2のサンプルホールド用スイッチ回路と、前記第2のサンプルホールド用スイッチ回路の他端と前記接地との間に接続された第2のキャパシタとを有し、前記第2の充電電圧に対応する前記チョッパ型アンプの出力を、電圧として前記第2のキャパシタに充電することにより、サンプルホールドする第2のサンプルホールド回路と、
前記第1のキャパシタの電圧が非反転入力端子に入力され、信号を前記第1の出力端子に出力する第1の差動増幅回路と、
前記第2のキャパシタの電圧が非反転入力端子に入力され、信号を前記第2の出力端子に出力する第2の差動増幅回路と、
前記第1の差動増幅回路の出力と反転入力端子との間に接続された第1の抵抗と、
前記第1の差動増幅回路の反転入力端子に一端が接続された第2の抵抗と、
前記第2の差動増幅回路の出力と反転入力端子との間に接続され、前記第1の抵抗と同じ抵抗値を有する第3の抵抗と、
前記第2の差動増幅回路の反転入力端子と前記第2の抵抗の他端との間に接続され、前記第2の抵抗と同じ抵抗値を有する第4の抵抗と、
入力されるクロック信号に基づいて信号を出力するタイミングジェネレータと、
前記第2の抵抗と前記第4の抵抗との間の電圧を積分増幅して前記電流源を制御する制御増幅器と、
を備え、
前記タイミングジェネレータは、
前記電流切換スイッチ回路の切換動作を制御する電流切換パルス信号を出力し、
前記第1の可変容量キャパシタに前記第1の充電電圧が充電されている期間中にこの第1の充電電圧を検出するとともに前記第2の可変容量キャパシタに前記第2の充電電圧が充電されている期間中にこの第2の充電電圧を検出するように、前記チョッパ型アンプを制御するゲートパルス信号を出力し、
前記第1の充電電圧を検出する期間中に前記チョッパ型アンプの出力信号をサンプルホールドするように、前記第1のサンプルホールド回路の第1のサンプルホールド用スイッチ回路を制御する第1のサンプルパルス信号を出力し、
前記第2の充電電圧を検出する期間中に前記チョッパ型アンプの出力信号をサンプルホールドするように、前記第2のサンプルホールド回路の第2のサンプルホールド用スイッチ回路を制御する第2のサンプルパルス信号を出力し、
前記制御増幅器は、
前記第2の抵抗と前記第4の抵抗との間の電圧が一定の基準値になるように前記電流源の前記充電電流を制御することを特徴とする。
【0011】
本発明のさらに他の態様に係る実施例に従った容量差検出回路は、
その容量値の和が一定となる第1の可変容量キャパシタと第2の可変容量キャパシタに対して充電されるそれぞれの電圧を検出し、これらの電圧に対応した信号を出力端子にそれぞれ出力する容量差検出回路であって、
前記第1、第2の可変容量キャパシタに充電電流を供給する電流源と、
前記電流源と前記第1、第2の可変容量キャパシタとの間に接続され、前記電流源から出力される電流を、前記第1の可変容量キャパシタと第2の可変容量キャパシタに相補的に供給するための切換動作をする電流切換スイッチ回路と、
前記第1の充電電圧に対応する信号をサンプルホールドする第1のサンプルホールド回路と、
前記第2の充電電圧に対応する信号をサンプルホールドする第2のサンプルホールド回路と、
前記第1のサンプルホールド回路の出力が反転入力端子に入力されるとともに、前記第2のサンプルホールド回路の出力が非反転入力端子に入力され、信号を前記出力端子に出力する差動増幅回路と、
入力されるクロック信号に基づいて信号を出力するタイミングジェネレータと、
前記第1のサンプルホールド回路の出力と前記第2のサンプルホールド回路の出力とを加算し、その加算結果を増幅する加算増幅器と、
前記加算増幅器の出力が一定の基準値になるように、前記加算増幅器の出力を積分増幅した制御電圧を前記電流源に出力することにより前記充電電流を制御する制御増幅器と、を備え、
前記タイミングジェネレータは、
前記電流切換スイッチ回路の切換動作を制御する電流切換パルス信号を出力し、
前記第1の可変容量キャパシタに前記第1の充電電圧が充電されている期間中に、前記第1の充電電圧に対応する信号をサンプルホールドするように、前記第1のサンプルホールド回路を制御する第1のサンプルパルス信号を出力し、
前記第2の可変容量キャパシタに前記第2の充電電圧が充電されている期間中に、前記第2の充電電圧に対応する信号をサンプルホールドするように、前記第2のサンプルホールド回路を制御する第2のサンプルパルス信号を出力する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る容量差検出回路によれば、消費電流を低減しつつ、微小な容量変化をより高速かつ高精度で検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施例について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の一態様である実施例1に係る容量差検出回路の要部の構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、容量差検出回路100は、MEMSセンサ1を構成する、その容量値の和が一定となる第1の可変容量キャパシタ2と第2の可変容量キャパシタ3に対して充電されるそれぞれの電圧を検出する。そして、容量差検出回路100は、検出したこれらの電圧に対応した信号を出力端子4にそれぞれ出力する。
【0016】
この容量差検出回路100は、第1、第2の可変容量キャパシタ2、3に充電電流を供給する電流源5と、この電流源5と第1、第2の可変容量キャパシタ2、3との間に接続された電流切換スイッチ回路6と、を備える。
【0017】
電流源5は、ここでは、定電流源である。
【0018】
電流切換スイッチ回路6は、電流源5から出力される充電電流Icを、第1の可変容量キャパシタ2と第2の可変容量キャパシタ3に相補的に供給するための切換動作をする。
【0019】
また、容量差検出回路100は、第1の可変容量キャパシタ2に充電された第1の充電電圧V1、および第2の可変容量キャパシタ3に充電された第2の充電電圧V2を検出するチョッパ型アンプ7と、このチョッパ型アンプ7の出力に接続された第1のサンプルホールド回路8と、チョッパ型アンプ7の出力に接続された第2のサンプルホールド回路9と、を備える。
【0020】
チョッパ型アンプ7は、第1の可変容量キャパシタ2に一端が接続された第1のチョッパ用スイッチ回路7aと、第2の可変容量キャパシタ3に接続された第2のチョッパ用スイッチ回路7bと、を有する。
【0021】
さらに、チョッパ型アンプ7は、第1のチョッパ用スイッチ回路7aの他端および第2のチョッパ用スイッチ回路7bの他端に入力が接続され、入力された信号を増幅し、第1のサンプルホールド回路8および第2のサンプルホールド回路9に出力する演算増幅回路7c、を有する。
【0022】
なお、ここでは、演算増幅回路7cのゲインをK0とする。
【0023】
また、第1のサンプルホールド回路8は、第1の充電電圧V1に対応するチョッパ型アンプ7の出力信号をサンプルホールドするようになっている。
【0024】
すなわち、この第1のサンプルホールド回路8は、式(1)で表されるピーク電圧Vp1(第1の充電電圧V1)を保持する。なお、電流源の出力電流をIo、第1、第2の可変容量キャパシタの充電期間をTo、通常時の容量をCo、この容量の微少変化量をΔCとする。また、式(1)において、ΔP=ΔC/Co、ΔP≪1と近似する。
Vp1(V1)=IcTo/(Co+ΔC) ≒IcTo(1−ΔP)/Co・・・式(1)
【0025】
また、第2のサンプルホールド回路9は、第2の充電電圧V2に対応するチョッパ型アンプ7の出力信号をサンプルホールドするようになっている。
【0026】
すなわち、この第2のサンプルホールド回路9は、式(2)で表されるピーク電圧Vp2(第2の充電電圧V2)を保持する。なお、式(2)において、式(1)の場合と同様に、ΔP=ΔC/Co、ΔP≪1とする。
Vp2(V2)=IcTo/(Co−ΔC) ≒IcTo(1+ΔP)/Co・・・式(2)
【0027】
また、容量差検出回路100は、第1のサンプルホールド回路8の出力が反転入力端子に入力されるとともに、第2のサンプルホールド回路9の出力が非反転入力端子に入力され、信号を出力端子4に出力する差動増幅回路10を備える。
【0028】
また、容量差検出回路100は、第1の可変容量キャパシタ2と接地との間に接続された第1のリセットスイッチ回路11と、第2の可変容量キャパシタ3と接地との間に接続された第2のリセットスイッチ回路12と、を備える。
【0029】
なお、ここでは、差動増幅回路10のゲインをK1とする。この差動増幅回路10の出力(すなわち、容量差検出回路100の出力Vo)は、式(1)および式(2)から、式(3)のように表される。
Vo=K0K1(−V1+V2)≒2IcToΔPK0K1/Co・・・式(3)
【0030】
第1のリセットスイッチ回路11は、オンすることにより、第1の可変容量キャパシタ2と接地とを導通させて、この第1の可変容量キャパシタ2に充電された電荷を放電させるようになっている。
【0031】
第2のリセットスイッチ回路12は、オンすることにより、第2の可変容量キャパシタ3と接地とを導通させて、この第2の可変容量キャパシタ3に充電された電荷を放電させるようになっている。
【0032】
また、容量差検出回路100は、クロック信号入力端子13を介して入力されるクロック信号に基づいて、各回路構成を制御するための信号を出力するタイミングジェネレータ14を備える。
【0033】
このタイミングジェネレータ14は、電流切換スイッチ回路6の切換動作を制御する電流切換パルス信号P1を出力するようになっている。
【0034】
また、タイミングジェネレータ14は、第1の可変容量キャパシタ2に第1の充電電圧V1が充電されている期間中にこの第1の充電電圧V1を検出するように、チョッパ型アンプ7を制御するゲートパルス信号P4を出力するようになっている。すなわち、タイミングジェネレータ14は、第1の可変容量キャパシタ2に第1の充電電圧V1が充電されている期間中に、第1のチョッパ用スイッチ回路7aをオンするように制御する第1のゲートパルス信号P4を出力する。
【0035】
さらに、タイミングジェネレータ14は、第2の可変容量キャパシタ3に第2の充電電圧V2が充電されている期間中にこの第2の充電電圧V2を検出するように、チョッパ型アンプ7を制御するゲートパルス信号P5を出力するようになっている。すなわち、タイミングジェネレータ14は、第2の可変容量キャパシタ2に第2の充電電圧V2が充電されている期間中に、第2のチョッパ用スイッチ回路7bをオンするように制御する第2のゲートパルス信号P5を出力する。
【0036】
また、タイミングジェネレータ14は、第1の充電電圧V1を検出する期間中に、チョッパ型アンプ7の出力信号をサンプルホールドするように、第1のサンプルホールド回路8を制御する第1のサンプルパルス信号P6を出力するようになっている。
【0037】
さらに、タイミングジェネレータ14は、第2の充電電圧V2を検出する期間中にチョッパ型アンプ7の出力信号をサンプルホールドするように、第2のサンプルホールド回路9を制御する第2のサンプルパルス信号P7を出力するようになっている。
【0038】
ここで、以上のような構成を有する容量差検出回路100の動作について説明する。
【0039】
図2は、図1のタイミングジェネレータが出力するパルス信号の波形、および第1、第2の可変容量キャパシタの電圧の波形の一例を示す図である。
【0040】
図2に示すように、時間t1で、電流切換パルス信号P1が“Low”から“High”になり電流切換スイッチ回路6が切換られて、第1の可変容量キャパシタ2に充電電流Icが流れる。さらに、第1のリセットパルス信号P2が“High”から“Low”になり、第1のリセットスイッチ回路11がオフする。これにより、第1の可変容量キャパシタ2の充電が開始されて第1の可変容量キャパシタ2の端子電圧が上昇する。
【0041】
また、時間t1で、第2のゲートパルス信号P5が“Low”から“High”になり、第2のチョッパ用スイッチ回路7bがオンして、演算増幅回路7cに第2の充電電圧V2が供給される。そして、第2のサンプルパルス信号P7が“Low”から“High”になることにより、第2のサンプルホールド回路9が第2の充電電圧V2をサンプルホールドする。
【0042】
次に、時間t2で、第2のリセットパルス信号P3が“Low”から“High”になり、第2のリセットスイッチ回路12がオンする。これにより、第2の可変容量キャパシタ3が放電し、第2の可変容量キャパシタ3の端子電圧が接地VSSになる。
【0043】
また、時間t2で、第2のゲートパルス信号P5が“High”から“Low”になり、第2のチョッパ用スイッチ回路7bがオフする。さらに、第2のサンプルパルス信号P7が“High”から“Low”になり、第2の充電電圧V2のサンプルホールドを終了する。
【0044】
次に、時間t3で、電流切換パルス信号P1が“High”から“Low”になり電流切換スイッチ回路6が切換られて第2の可変容量キャパシタ3に充電電流Icが流れる。さらに、第2のリセットパルス信号P3が“High”から“Low”になり、第2のリセットスイッチ回路12がオフする。これにより、第2の可変容量キャパシタ3の充電が開始されて第2の可変容量キャパシタ3の端子電圧が上昇する。
【0045】
また、時間t3で、第1のゲートパルス信号P4が“Low”から“High”になり、第1のチョッパ用スイッチ回路7aがオンして、演算増幅回路7cに第1の充電電圧V1が供給される。そして、第1のサンプルパルス信号P6が“Low”から“High”になることにより、第1のサンプルホールド回路8が第1の充電電圧V1をサンプルホールドする。
【0046】
次に、時間t4で、第1のリセットパルス信号P2が“Low”から“High”になり、第1のリセットスイッチ回路11がオンする。これにより、第1の可変容量キャパシタ2が放電し、第1の可変容量キャパシタ2の端子電圧が接地VSSになる。
【0047】
また、時間t4で、第1のゲートパルス信号P4が“High”から“Low”になり、第1のチョッパ用スイッチ回路7aがオフする。さらに、第1のサンプルパルス信号P6が“High”から“Low”になり、第1の充電電圧V1のサンプルホールドを終了する。
【0048】
次の時間t5以降は、時間t1以降と同様の動作が実施される。
【0049】
なお、タイミングジェネレータ14は、電流源5から充電電流Icを供給して第1の可変容量キャパシタ2を充電する期間(時間t1〜時間t3)と、電流源5から充電電流Icを供給して第2の可変容量キャパシタ3を充電する期間(時間t3〜時間t5)と、が同じになるように、電流切換パルス信号P1を電流切換スイッチ回路6に出力する。
【0050】
このように、差動構成された可変容量キャパシタに所望の期間交互に微小電流で充放電を行う。そして、可変容量キャパシタの各端子に鋸波を生成してその波高値を交互にサンプリングして同一アンプで増幅する。その後、この増幅出力から交互に2つのサンプルホールド回路で信号を独立に検出して差分演算する。これにより、微小容量変化を電圧に変換する。
【0051】
初段の演算増幅回路を共用することにより、検出出力のオフセットを除去することができる。
【0052】
以上のように、本実施例に係る容量差検出回路によれば、微小な容量変化を、より高速かつ高精度で検出することができる。
【0053】
なお、第1のゲートパルス信号P4と第1のサンプルパルス信号P6は、同じ信号であってもよい。また、同様に、第2のゲートパルス信号P5と第1のサンプルパルス信号P7は、同じ信号であってもよい。
【実施例2】
【0054】
実施例1では、可変容量キャパシタに電流を供給する電流源は、定電流源として説明した。
【0055】
本実施例では、容量差検出回路の出力が一定の基準値になるように、電流源の電流を調整する構成について述べる。
【0056】
図3は、本発明の一態様である実施例2に係る容量差検出回路の要部の構成を示す図である。なお、図中、実施例1の図1と同じ符号を付された構成は、実施例1と同様の構成を示す。
【0057】
図3に示すように、容量差検出回路200は、実施例1と比較して、第1のサンプルホールド回路8の出力と第2のサンプルホールド回路9の出力とを加算し、この加算値を積分増幅して制御電圧Vcntを電流源25に出力する制御増幅器15をさらに備える。電流源25は、ここでは、可変電流源である。
【0058】
制御増幅器15は、サンプルホールド出力V1’とサンプルホールド出力V2’との加算値が一定の基準値になるように(下記のように、基準電圧Vrを基準として演算されるため、該加算値が基準電圧Vrになるように)、電流源25の充電電流Icを制御する。なお、ここでは、基準電圧Vrをゼロとする。
【0059】
ここで、第1の充電電圧V1は、式(4)で表される。
V1=Vr−ΔPVr・・・式(4)
【0060】
また、第2の充電電圧V2は、式(5)で表される。
V2=Vr+ΔPVr・・・式(5)
【0061】
したがって、容量差検出回路200の出力Voは、式(6)で表される。
Vo=K0K1(−V1+V2)=2K0K1ΔPVr・・・式(6)
【0062】
このように、容量差検出回路200は、出力の加算値が一定値になるように充電電流Icを制御してMEMSセンサに起因する出力のばらつきを補正する。
【0063】
さらに、この加算値を一定値に制御することで、微小変化の割合が正規化されMEMSセンサのばらつきを自動補正する。
【0064】
なお、容量差検出回路200の動作は、該加算値により充電電流Icを制御する動作以外は、実施例1と同様である。
【0065】
以上のように、本実施例に係る容量差検出回路によれば、出力のばらつきを自動補正しつつ、微小な容量変化を、より高速かつ高精度で検出することができる。
【実施例3】
【0066】
実施例2では、容量差検出回路の出力が一定の基準値になるように、電流源の電流を調整する構成の一例について説明した。
【0067】
本実施例では、容量差検出回路の出力が一定の基準値になるように、電流源の電流を調整する他の構成について述べる。
【0068】
図4は、本発明の一態様である実施例3に係る容量差検出回路の要部の構成を示す図である。なお、図4に示す容量差検出回路300において、実施例2の図3の容量差検出回路200と比較して異なる第1、第2のサンプルホールド回路、演算増幅回路および制御増幅器に相当する構成以外は、同様であるため省略している。
【0069】
図4に示すように、容量差検出回路300は、その容量値の和が一定となる第1の可変容量キャパシタ2と第2の可変容量キャパシタ3に対して充電されるそれぞれの第1、第2の充電電圧V1、V2を検出し、これらの第1、第2の充電電圧V1、V2に対応した差動信号Vo、−Voを第1の出力端子34a、第2の出力端子34bにそれぞれ出力する。
【0070】
容量差検出回路300は、図4において省略された既述の構成以外に、第1のサンプルホールド回路28と、第2のサンプルホールド29と、制御増幅器215と、を備える。
【0071】
第1のサンプルホールド回路28は、チョッパ型アンプ7の出力に一端が接続された第1のサンプルホールド用スイッチ回路28aと、この第1のサンプルホールド用スイッチ回路28aの他端と接地VSSとの間に接続された第1のキャパシタ28bとを有する。
【0072】
この第1のサンプルホールド回路28は、第1の充電電圧V1に対応するチョッパ型アンプ7の出力を、電圧として第1のキャパシタ28bに充電することにより、サンプルホールドするようになっている。
【0073】
第2のサンプルホールド回路29は、チョッパ型アンプ7の出力に一端が接続された第2のサンプルホールド用スイッチ回路29aと、この第2のサンプルホールド用スイッチ回路29aの他端と接地VSSとの間に接続された第2のキャパシタ29bとを有する。
【0074】
この第2のサンプルホールド回路29は、第2の充電電圧V2に対応するチョッパ型アンプ7の出力を、電圧として第2のキャパシタ29bに充電することにより、サンプルホールドするようになっている。
【0075】
また、容量差検出回路300は、第1のキャパシタ28bの電圧が非反転入力端子に入力され、信号Voを第1の出力端子34aに出力する第1の差動増幅回路16aと、第2のキャパシタ29bの電圧が非反転入力端子に入力され、信号を第2の出力端子34bに出力する第2の差動増幅回路16bと、を備える。
【0076】
また、容量差検出回路300は、第1の差動増幅回路16aの出力と反転入力端子との間に接続された第1の抵抗17と、第1の差動増幅回路16aの反転入力端子に一端が接続された第2の抵抗18と、第2の差動増幅回路16bの出力と反転入力端子との間に接続され、第1の抵抗17と同じ抵抗値R2を有する第3の抵抗19と、第2の差動増幅回路16bの反転入力端子と第2の抵抗18の他端との間に接続され、第2の抵抗18と同じ抵抗値R1を有する第4の抵抗20と、を備える。
【0077】
タイミングジェネレータ14(図3に示すものと同様)は、第1の充電電圧V1を検出する期間中にチョッパ型アンプ7の出力信号をサンプルホールドするように、第1のサンプルホールド用スイッチ回路28aを制御する第1のサンプルパルス信号P6を出力するようになっている。
【0078】
また、タイミングジェネレータ14は、第2の充電電圧V2を検出する期間中にチョッパ型アンプ7の出力信号をサンプルホールドするように、第2のサンプルホールド用スイッチ回路29aを制御する第2のサンプルパルス信号P7を出力するようになっている。
【0079】
ここで、制御増幅器215は、第2の抵抗18と第4の抵抗20との間の電圧を積分増幅して電流源25を制御するようになっている。この制御増幅器215は、サンプルホールド出力V1’とサンプルホールド出力V2’との加算値が一定の基準値(ここではゼロ)になるように、すなわち、基準電圧Vrを基準として演算されるためその加算値が基準電圧Vrになるように電流源25の充電電流Icを制御するようになっている。
【0080】
ここで、容量差検出回路300の出力Voは、式(7)で表される。
Vo=R2/R1(Vp1−Vp2)・・・式(7)
【0081】
このように、容量差検出回路300は、演算増幅回路を含む構成を、インスツルメンテーションアンプ構成とすることにより、第1、第2のサンプルホールド回路28、29は第1、第2のサンプルホールド用スイッチ回路28a、29aと第1、第2のキャパシタのみで構成できる。すなわち、サンプルホールド回路の構成を簡略化することができる。
【0082】
なお、容量差検出回路300の動作は、実施例2と同様である。
【0083】
以上のように、本実施例に係る容量差検出回路によれば、出力のばらつきを補正しつつ、微小な容量変化を、より高速かつ高精度で検出することができる。
【実施例4】
【0084】
本実施例2では、容量差検出回路の出力が一定の基準値になるように、電流源の電流を調整する構成について述べた。
【0085】
本実施例4では、MEMSセンサの容量変化に対する容量差検出回路の出力変化の線形性を向上するように、電流源の電流を調整する他の構成例について述べる。
【0086】
図5は、本発明の一態様である実施例4に係る容量差検出回路の要部の構成を示す図である。なお、図中、実施例2の図2と同じ符号を付された構成は、実施例2と同様の構成を示す。
【0087】
図5に示すように、容量差検出回路400は、MEMSセンサ1を構成する、その容量値の和が一定となる第1の可変容量キャパシタ2と第2の可変容量キャパシタ3に対して充電されるそれぞれの電圧を検出する。そして、容量差検出回路400は、検出したこれらの電圧に対応した信号を出力端子4にそれぞれ出力する。
【0088】
この容量差検出回路400は、第1、第2の可変容量キャパシタ2、3に充電電流Icを供給する電流源25と、この電流源25と第1、第2の可変容量キャパシタ2、3との間に接続された電流切換スイッチ回路6と、を備える。
【0089】
電流源25は、ここでは、可変電流源である。
【0090】
電流切換スイッチ回路6は、電流源25から出力される充電電流Icを、第1の可変容量キャパシタ2と第2の可変容量キャパシタ3に相補的に供給するための切換動作をする。
【0091】
また、容量差検出回路400は、第1の可変容量キャパシタ2に入力が接続された第1のサンプルホールド回路8を備える。この第1のサンプルホールド回路8は、第1のサンプルパルス信号P6に応じて、第1の可変容量キャパシタ2に充電された第1の充電電圧V1をサンプルホールドする。
【0092】
また、容量差検出回路400は、第2の可変容量キャパシタ3に入力が接続された第2のサンプルホールド回路9を備える。この第2のサンプルホールド回路9は、第2のサンプルパルス信号P7に応じて、第2の可変容量キャパシタ2に充電された第2の充電電圧V2をサンプルホールドする。
【0093】
上述のように、第1のサンプルホールド回路8は、第1の充電電圧V1に対応する信号をサンプルホールドするようになっている。すなわち、この第1のサンプルホールド回路8は、既述の式(1)で表されるピーク電圧Vp1(第1の充電電圧V1)を保持する。
【0094】
また、第2のサンプルホールド回路9は、第2の充電電圧V2に対応する信号をサンプルホールドするようになっている。すなわち、この第2のサンプルホールド回路9は、既述の式(2)で表されるピーク電圧Vp2(第2の充電電圧V2)を保持する。
【0095】
また、容量差検出回路400は、第1のサンプルホールド回路8の出力が反転入力端子に入力されるとともに、第2のサンプルホールド回路9の出力が非反転入力端子に入力され、信号を出力端子4に出力する差動増幅回路10を備える。
【0096】
なお、ここでは、差動増幅回路10のゲインをK1とする。この差動増幅回路10の出力(すなわち、容量差検出回路400の出力Vo)は、式(8)のように表される。
Vo=K1(−V1+V2)・・・式(8)
【0097】
また、容量差検出回路400は、第1の可変容量キャパシタ2と接地との間に接続された第1のリセットスイッチ回路11と、第2の可変容量キャパシタ3と接地との間に接続された第2のリセットスイッチ回路12と、を備える。
【0098】
第1のリセットスイッチ回路11は、オンすることにより、第1の可変容量キャパシタ2と接地とを導通させて、この第1の可変容量キャパシタ2に充電された電荷を放電させるようになっている。
【0099】
第2のリセットスイッチ回路12は、オンすることにより、第2の可変容量キャパシタ3と接地とを導通させて、この第2の可変容量キャパシタ3に充電された電荷を放電させるようになっている。
【0100】
また、容量差検出回路400は、クロック信号入力端子13を介して入力されるクロック信号に基づいて、各回路構成を制御するための信号を出力するタイミングジェネレータ14を備える。
【0101】
このタイミングジェネレータ14は、電流切換スイッチ回路6の切換動作を制御する電流切換パルス信号P1を出力するようになっている。
【0102】
また、タイミングジェネレータ14は、第1の可変容量キャパシタ2に第1の充電電圧V1が充電されている期間中に、この第1の充電電圧V1に対応する信号をサンプルホールドするように、第1のサンプルホールド回路8を制御する第1のサンプルパルス信号P6を出力するようになっている。
【0103】
さらに、タイミングジェネレータ14は、第2の可変容量キャパシタ3に第2の充電電圧V2が充電されている期間中にこの第2の充電電圧V2に対応する信号をサンプルホールドするように、第2のサンプルホールド回路9を制御する第2のサンプルパルス信号P7を出力するようになっている。
【0104】
また、容量差検出回路400は、第1のサンプルホールド回路8の出力と第2のサンプルホールド回路9の出力とを加算し、この加算値を増幅して電圧Vcを出力する加算増幅器401をさらに備える。この加算増幅器401のゲインK2は、ここでは、例えば、0.5に設定される。
【0105】
また、容量差検出回路400は、加算増幅器401が出力した電圧Vcと設定電圧Vsとを比較し、電圧Vcと設定電圧Vsとが等しくなるように電流源25を制御する制御増幅器415を備える。
【0106】
この制御増幅器415は、サンプルホールド出力V1’(第1の充電電圧V1)とサンプルホールド出力V2’ (第2の充電電圧V2)との加算値(加算増幅器401の出力)が一定の基準値になるように、加算増幅器401の出力を積分増幅して得られた制御電圧Vcntを電流源25に出力する。これにより、制御増幅器415は、充電電流Icを制御する。ここでは、例えば、制御増幅器415は、該加算値の1/2が設定電圧Vsになるように、電流源の充電電流Icを制御する。
【0107】
ここで、以上のような構成を有する容量差検出回路400の動作について説明する。
【0108】
図6は、図5のタイミングジェネレータが出力するパルス信号の波形、および第1、第2の可変容量キャパシタの電圧の波形の一例を示す図である。
【0109】
図6に示すように、時間t1で、電流切換パルス信号P1が“Low”から“High”になり電流切換スイッチ回路6が切換られて、第1の可変容量キャパシタ2に充電電流Icが流れる。さらに、第1のリセットパルス信号P2が“High”から“Low”になり、第1のリセットスイッチ回路11がオフする。これにより、第1の可変容量キャパシタ2の充電が開始されて第1の可変容量キャパシタ2の端子電圧が上昇する。
【0110】
また、時間t1で、第2のサンプルパルス信号P7が“Low”から“High”になることにより、第2のサンプルホールド回路9が第2の充電電圧V2をサンプルホールドする。
【0111】
次に、時間t2で、第2のリセットパルス信号P3が“Low”から“High”になり、第2のリセットスイッチ回路12がオンする。これにより、第2の可変容量キャパシタ3が放電し、第2の可変容量キャパシタ3の端子電圧が接地VSSになる。
【0112】
また、時間t2で、第2のサンプルパルス信号P7が“High”から“Low”になり、第2の充電電圧V2のサンプルホールドを終了する。
【0113】
次に、時間t3で、電流切換パルス信号P1が“High”から“Low”になり電流切換スイッチ回路6が切換られて第2の可変容量キャパシタ3に充電電流Icが流れる。さらに、第2のリセットパルス信号P3が“High”から“Low”になり、第2のリセットスイッチ回路12がオフする。これにより、第2の可変容量キャパシタ3の充電が開始されて第2の可変容量キャパシタ3の端子電圧が上昇する。
【0114】
また、時間t3で、第1のサンプルパルス信号P6が“Low”から“High”になることにより、第1のサンプルホールド回路8が第1の充電電圧V1をサンプルホールドする。
【0115】
次に、時間t4で、第1のリセットパルス信号P2が“Low”から“High”になり、第1のリセットスイッチ回路11がオンする。これにより、第1の可変容量キャパシタ2が放電し、第1の可変容量キャパシタ2の端子電圧が接地VSSになる。
【0116】
また、時間t4で、第1のサンプルパルス信号P6が“High”から“Low”になり、第1の充電電圧V1のサンプルホールドを終了する。
【0117】
次の時間t5以降は、時間t1以降と同様の動作が実施される。
【0118】
なお、タイミングジェネレータ14は、電流源25から充電電流Icを供給して第1の可変容量キャパシタ2を充電する期間(時間t1〜時間t3)と、電流源25から充電電流Icを供給して第2の可変容量キャパシタ3を充電する期間(時間t3〜時間t5)と、が同じになるように、電流切換パルス信号P1を電流切換スイッチ回路6に出力する。
【0119】
このように、差動構成された可変容量キャパシタに所望の期間交互に微小電流で充放電を行う。そして、可変容量キャパシタの各端子に鋸波を生成してその波高値を交互にサンプリングして同一アンプで増幅する。その後、この増幅出力から交互に2つのサンプルホールド回路で信号を独立に検出して差分演算する。これにより、微小容量変化を電圧に変換する。
【0120】
ここで、以上のような構成・機能を有する容量差検出回路400の特性について検討する。
【0121】
先ず、比較のため、従来の容量差検出回路の特性について検討する。なお、従来の容量差検出回路の充電電流を供給する電流源は定電流源である。
【0122】
図7は、従来の容量差検出回路の各電圧とMEMSセンサの可変容量キャパシタの容量変化率との関係を示す図である。図7に示すように、充電電流が一定であるため、可変容量キャパシタの容量変化率が大きくなると、容量差検出回路の充電電圧V1、V2と出力Voとの間において非線形性が顕著になる。
【0123】
すなわち、従来の容量差検出回路では、可変容量キャパシタの容量変化が大きくなると、正確な容量差の検出が困難になる。
【0124】
次に、本実施例に係る容量差検出回路400の特性について検討する。図8は、容量差検出回路の各電圧とMEMSセンサの可変容量キャパシタの容量変化率との関係を示す図である。
【0125】
充電電流をIc、充電期間をTcとして、各検出電圧は
V1=IcTc/ ・・・(9)
V2=IcTc/(C−ΔC) ・・・(10)
加算電圧Vcは、
Vc=K2(V1+V2)
=2K2IcTcC/((C+ΔC)(C−ΔC))
【0126】
既述のように、制御増幅器415の充電電流Icの制御によりVc=Vsが維持されれば、 加算増幅器401の出力Vcは、式(9)が成立する。
Vs=Vc=2K2IcTcC/((C+ΔC)(C−ΔC))・・・式(11)
制御される充電電流Icは、Vs=1,K2=0.5とすると
Ic=−((C+ΔC)(C−ΔC)/TcC) ・・・式(12)
検出電圧V1は、式(9)、(12)より式(13)で表される。
V1=(C−ΔC)/C ・・・式(13)
検出電圧V2は、式(10)、(12)より式(14)で表される。
V2=(C+ΔC)/C ・・・式(14)
【0127】
したがって、容量差検出回路400の出力Voは、式(13)、(14)より、式(15)で表されΔCに比例した電圧出力となる。
Vo=V1+V2
=−2ΔC ・・・式(15)
【0128】
すなわち、制御増幅器415の充電電流Icの制御によりVc=Vsが維持されれば、容量差検出回路400の出力Voと充電電圧V1、V2と間の線形性が実現される。
【0129】
このように、容量差検出回路400は、サンプルホールド出力の加算値が一定値になるように充電電流Icを制御して、出力Voと充電電圧V1、V2との線形性が向上される。
【0130】
したがって、本実施例に係る容量差検出回路400は、従来の容量差検出回路と比較して、可変容量キャパシタの容量変化が大きくなっても、より正確な容量差の検出ができる。
【0131】
以上のように、本実施例に係る容量差検出回路によれば、容量変化を、より高速かつ高精度で検出することができる。
【0132】
なお、本実施例に対して、実施例1、2に示すチョッパ型アンプを適用してもよい。この場合、さらに、実施例3に示すインスツルメンテーションアンプ構成の適用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の一態様である実施例1に係る容量差検出回路の要部の構成を示す図である。
【図2】図1のタイミングジェネレータが出力するパルス信号の波形、および第1、第2の可変容量キャパシタの電圧の波形の一例を示す図である。
【図3】本発明の一態様である実施例2に係る容量差検出回路の要部の構成を示す図である。
【図4】本発明の一態様である実施例3に係る容量差検出回路の要部の構成を示す図である。
【図5】本発明の一態様である実施例4に係る容量差検出回路の要部の構成を示す図である。
【図6】図5のタイミングジェネレータが出力するパルス信号の波形、および第1、第2の可変容量キャパシタの電圧の波形の一例を示す図である。
【図7】従来の容量差検出回路の各電圧とMEMSセンサの可変容量キャパシタの容量変化率との関係を示す図である。
【図8】容量差検出回路の各電圧とMEMSセンサの可変容量キャパシタの容量変化率との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0134】
1 MEMSセンサ
2 第1の可変容量キャパシタ
3 第2の可変容量キャパシタ
4 出力端子
5、25 電流源
6 電流切換スイッチ回路
7 チョッパ型アンプ
7a 第1のチョッパ用スイッチ回路
7b 第2のチョッパ用スイッチ回路
7c 演算増幅回路
8、28 第1のサンプルホールド回路
9、29 第2のサンプルホールド回路
10 差動増幅回路
11 第1のリセット用スイッチ回路
12 第2のリセット用スイッチ回路
13 クロック信号入力端子
14 タイミングジェネレータ
15、215、415 制御増幅器
16a 第1の差動増幅回路
16b 第2の差動増幅回路
17 第1の抵抗
18 第2の抵抗
19 第3の抵抗
20 第4の抵抗
28a 第1のサンプルホールド用スイッチ回路
28b 第1のキャパシタ
29a 第2のサンプルホールド用スイッチ回路
29b 第2のキャパシタ
34a 第1の出力端子
34b 第2の出力端子
100、200、300 容量差検出回路
401 加算増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その容量値の和が一定となる第1の可変容量キャパシタと第2の可変容量キャパシタに対して充電されるそれぞれの電圧を検出し、これらの電圧に対応した信号を出力端子にそれぞれ出力する容量差検出回路であって、
前記第1、第2の可変容量キャパシタに充電電流を供給する電流源と、
前記電流源と前記第1、第2の可変容量キャパシタとの間に接続され、前記電流源から出力される電流を、前記第1の可変容量キャパシタと第2の可変容量キャパシタに相補的に供給するための切換動作をする電流切換スイッチ回路と、
前記第1の可変容量キャパシタに充電された第1の充電電圧、および第2の可変容量キャパシタに充電された第2の充電電圧を検出するチョッパ型アンプと、
前記チョッパ型アンプの出力に接続され、前記第1の充電電圧に対応する前記チョッパ型アンプの出力信号をサンプルホールドする第1のサンプルホールド回路と、
前記チョッパ型アンプの出力に接続され、前記第2の充電電圧に対応する前記チョッパ型アンプの出力信号をサンプルホールドする第2のサンプルホールド回路と、
前記第1のサンプルホールド回路の出力が反転入力端子に入力されるとともに、前記第2のサンプルホールド回路の出力が非反転入力端子に入力され、信号を前記出力端子に出力する差動増幅回路と、
入力されるクロック信号に基づいて信号を出力するタイミングジェネレータと、を備え、
前記タイミングジェネレータは、
前記電流切換スイッチ回路の切換動作を制御する電流切換パルス信号を出力し、
前記第1の可変容量キャパシタに前記第1の充電電圧が充電されている期間中にこの第1の充電電圧を検出するとともに前記第2の可変容量キャパシタに前記第2の充電電圧が充電されている期間中にこの第2の充電電圧を検出するように、前記チョッパ型アンプを制御するゲートパルス信号を出力し、
前記第1の充電電圧を検出する期間中に前記チョッパ型アンプの出力信号をサンプルホールドするように、前記第1のサンプルホールド回路を制御する第1のサンプルパルス信号を出力し、
前記第2の充電電圧を検出する期間中に前記チョッパ型アンプの出力信号をサンプルホールドするように、前記第2のサンプルホールド回路を制御する第2のサンプルパルス信号を出力する
ことを特徴とする容量差検出回路。
【請求項2】
前記第1のサンプルホールド回路の出力と前記第2のサンプルホールド回路の出力とを加算し、この加算値を積分増幅して前記電流源を制御する制御増幅器をさらに備え、
前記電流源は、前記加算値が一定の基準値になるように前記充電電流を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の容量差検出回路。
【請求項3】
前記タイミングジェネレータは、前記電流源から前記充電電流を供給して前記第1の可変容量キャパシタを充電する期間と、前記電流源から前記充電電流を供給して前記第2の可変容量キャパシタを充電する期間と、が同じになるように、電流切換パルス信号を前記電流切換スイッチ回路に出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の容量差検出回路。
【請求項4】
前記チョッパ型アンプは、
前記第1の可変容量キャパシタに一端が接続され、前記タイミングジェネレータにより制御される第1のチョッパ用スイッチ回路と、
前記第2の可変容量キャパシタに接続され、前記タイミングジェネレータにより制御される第2のチョッパ用スイッチ回路と、前記第1のチョッパ用スイッチ回路の他端および前記第2のチョッパ用スイッチ回路の他端に入力が接続され、入力された信号を増幅し、前記第1のサンプルホールド回路および前記第2のサンプルホールド回路に出力する演算増幅回路と、を有し、
前記タイミングジェネレータは、
前記第1の可変容量キャパシタに前記第1の充電電圧が充電されている期間中に、前記第1のチョッパ用スイッチ回路をオンする第1のゲートパルス信号を出力し、
前記第2の可変容量キャパシタに前記第2の充電電圧が充電されている期間中に、前記第2のチョッパ用スイッチ回路をオンする第2のゲートパルス信号を出力する
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の容量差検出回路。
【請求項5】
その容量値の和が一定となる第1の可変容量キャパシタと第2の可変容量キャパシタに対して充電されるそれぞれの電圧を検出し、これらの電圧に対応した差動信号を第1の出力端子、第2の出力端子にそれぞれ出力する容量差検出回路であって、
前記第1、第2の可変容量キャパシタに電流を供給する電流源と、
前記電流源と前記第1、第2の可変容量キャパシタとの間に接続され、前記電流源から出力される電流を、前記第1の可変容量キャパシタと第2の可変容量キャパシタに相補的に供給するための切換動作をする電流切換スイッチ回路と、
前記第1の可変容量キャパシタに充電された第1の充電電圧、および第2の可変容量キャパシタに充電された第2の充電電圧を検出するチョッパ型アンプと、
前記チョッパ型アンプの出力に一端が接続された第1のサンプルホールド用スイッチ回路と、前記第1のチョッパ用スイッチ回路の他端と接地との間に接続された第1のキャパシタとを有し、前記第1の充電電圧に対応する前記チョッパ型アンプの出力を、電圧として前記第1のキャパシタに充電することにより、サンプルホールドする第1のサンプルホールド回路と、
前記チョッパ型アンプの出力に一端が接続された第2のサンプルホールド用スイッチ回路と、前記第2のサンプルホールド用スイッチ回路の他端と前記接地との間に接続された第2のキャパシタとを有し、前記第2の充電電圧に対応する前記チョッパ型アンプの出力を、電圧として前記第2のキャパシタに充電することにより、サンプルホールドする第2のサンプルホールド回路と、
前記第1のキャパシタの電圧が非反転入力端子に入力され、信号を前記第1の出力端子に出力する第1の差動増幅回路と、
前記第2のキャパシタの電圧が非反転入力端子に入力され、信号を前記第2の出力端子に出力する第2の差動増幅回路と、
前記第1の差動増幅回路の出力と反転入力端子との間に接続された第1の抵抗と、
前記第1の差動増幅回路の反転入力端子に一端が接続された第2の抵抗と、
前記第2の差動増幅回路の出力と反転入力端子との間に接続され、前記第1の抵抗と同じ抵抗値を有する第3の抵抗と、
前記第2の差動増幅回路の反転入力端子と前記第2の抵抗の他端との間に接続され、前記第2の抵抗と同じ抵抗値を有する第4の抵抗と、
入力されるクロック信号に基づいて信号を出力するタイミングジェネレータと、
前記第2の抵抗と前記第4の抵抗との間の電圧を積分増幅して前記電流源を制御する制御増幅器と、
を備え、
前記タイミングジェネレータは、
前記電流切換スイッチ回路の切換動作を制御する電流切換パルス信号を出力し、
前記第1の可変容量キャパシタに前記第1の充電電圧が充電されている期間中にこの第1の充電電圧を検出するとともに前記第2の可変容量キャパシタに前記第2の充電電圧が充電されている期間中にこの第2の充電電圧を検出するように、前記チョッパ型アンプを制御するゲートパルス信号を出力し、
前記第1の充電電圧を検出する期間中に前記チョッパ型アンプの出力信号をサンプルホールドするように、前記第1のサンプルホールド回路の第1のサンプルホールド用スイッチ回路を制御する第1のサンプルパルス信号を出力し、
前記第2の充電電圧を検出する期間中に前記チョッパ型アンプの出力信号をサンプルホールドするように、前記第2のサンプルホールド回路の第2のサンプルホールド用スイッチ回路を制御する第2のサンプルパルス信号を出力し、
前記制御増幅器は、
前記第2の抵抗と前記第4の抵抗との間の電圧が一定の基準値になるように前記電流源の前記充電電流を制御する
ことを特徴とする容量差検出回路。
【請求項6】
その容量値の和が一定となる第1の可変容量キャパシタと第2の可変容量キャパシタに対して充電されるそれぞれの電圧を検出し、これらの電圧に対応した信号を出力端子にそれぞれ出力する容量差検出回路であって、
前記第1、第2の可変容量キャパシタに充電電流を供給する電流源と、
前記電流源と前記第1、第2の可変容量キャパシタとの間に接続され、前記電流源から出力される電流を、前記第1の可変容量キャパシタと第2の可変容量キャパシタに相補的に供給するための切換動作をする電流切換スイッチ回路と、
前記第1の充電電圧に対応する信号をサンプルホールドする第1のサンプルホールド回路と、
前記第2の充電電圧に対応する信号をサンプルホールドする第2のサンプルホールド回路と、
前記第1のサンプルホールド回路の出力が反転入力端子に入力されるとともに、前記第2のサンプルホールド回路の出力が非反転入力端子に入力され、信号を前記出力端子に出力する差動増幅回路と、
入力されるクロック信号に基づいて信号を出力するタイミングジェネレータと、
前記第1のサンプルホールド回路の出力と前記第2のサンプルホールド回路の出力とを加算し、その加算結果を増幅する加算増幅器と、
前記加算増幅器の出力が一定の基準値になるように、前記加算増幅器の出力を積分増幅した制御電圧を前記電流源に出力することにより前記充電電流を制御する制御増幅器と、を備え、
前記タイミングジェネレータは、
前記電流切換スイッチ回路の切換動作を制御する電流切換パルス信号を出力し、
前記第1の可変容量キャパシタに前記第1の充電電圧が充電されている期間中に、前記第1の充電電圧に対応する信号をサンプルホールドするように、前記第1のサンプルホールド回路を制御する第1のサンプルパルス信号を出力し、
前記第2の可変容量キャパシタに前記第2の充電電圧が充電されている期間中に、前記第2の充電電圧に対応する信号をサンプルホールドするように、前記第2のサンプルホールド回路を制御する第2のサンプルパルス信号を出力する
ことを特徴とする容量差検出回路。
【請求項7】
前記第1の可変容量キャパシタと前記第2の可変容量キャパシタは、MEMSセンサを構成する
ことを特徴とする請求項1ないし6に記載の容量差検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−157917(P2008−157917A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269968(P2007−269968)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】