容量検出回路及び容量検出方法
【課題】 被検出対象物からのノイズの影響を受けずに、良好な形状検出を行う容量検出型センサを提供する。
【解決手段】 本発明の容量検出回路は、複数の駆動配線に対して検出配線が交差して配線されると共に、交差する駆動配線及び検出配線間で容量を形成する検出電極がセンサ面内に形成され、被検出物によって変化する検出電極の容量変化を電圧値として検出する容量検出回路であり、駆動配線を駆動させる列配線駆動手段と、複数の検出配線から所定の検出配線を選択する検出配線選択手段と、検出電極の近傍に配置され、被検出物の電位を参照電位として検出する参照電極と、参照電位と、検出電極の容量に対応した電流から求めた検出電位とに基づいて、容量変化に対応した電圧値を求める容量演算部とを有する。
【解決手段】 本発明の容量検出回路は、複数の駆動配線に対して検出配線が交差して配線されると共に、交差する駆動配線及び検出配線間で容量を形成する検出電極がセンサ面内に形成され、被検出物によって変化する検出電極の容量変化を電圧値として検出する容量検出回路であり、駆動配線を駆動させる列配線駆動手段と、複数の検出配線から所定の検出配線を選択する検出配線選択手段と、検出電極の近傍に配置され、被検出物の電位を参照電位として検出する参照電極と、参照電位と、検出電極の容量に対応した電流から求めた検出電位とに基づいて、容量変化に対応した電圧値を求める容量演算部とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指の指紋等の被検出対象物(被検出物)の凹凸を検出する容量検出回路及び容量検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検出対象物の凹凸を検出する容量検出型センサとして、アレイ状に配置した検出電極と被検出物との間の静電容量を検出して、この容量変化を周辺回路で測定するものが提案されている。
この容量検出型センサには、容量検出を行う周辺回路において、例えば、図13に示すチャージアンプ回路が良く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このチャージアンプ回路は外部からのノイズの影響が無い場合、周辺回路へ信号を伝達する行配線の寄生容量の影響を受けずに、容量変化に対応した電圧値に変換する機能を有している。
しかし、チャージアンプ回路は被検出対象物からのノイズの影響がある場合、被検出物から入力されるノイズが、上記チャージアンプ回路に接続される行配線により形成される全ての検出容量素子から入力されるため、チャージアンプ回路の出力電圧Voは以下に示す(1)式で表される電圧値となる。
Vo = −Cx・Vi/Cf − Cn・Vn/Cf …(1)
ここで、Viは入力電圧であり、Vnは入力されるノイズの電圧値であり、Cxは選択された検出容量素子の容量値であり、Cnは寄生容量値であり、Cfはチャージアンプ回路における帰還容量の容量値である。
【0004】
これに対し、被検出対象物から入力されるノイズの影響を低減する方法として被検出対象物の接地を確実にとる方法が考えられる。
例えば、容量検出型センサ105aの表面において、検出電極105の周囲にアース電極106を形成する方法(図14参照)は、容量検出素子を静電破壊から防護する静電気対策として提案されたものである(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上述した静電気対策の構成は、被検出対象物から入力されるノイズの影響を低減する効果も有していると考えられる。
【特許文献1】特開2001−46359号公報
【特許文献2】特開2001−324303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている容量検出型センサには、容量変化に対応する電流を検出回路へ伝達する列配線に多くの容量検出素子が接続されているため、通常考えられる寄生容量Cnは、実際に測定対象となっている容量検出素子1つの容量値Cxの数百倍となるので、微小な容量変化を検出するためにチャージアンプ回路の感度を上げると、被検出対象物から寄生容量Cnを介して混入するノイズによる電圧値によって、チャージアンプ回路の出力信号が変化してしまい、測定対象の容量検出素子の容量の測定が正確に行えないという欠点がある。
【0006】
また、特許文献2に記載されている容量検出型センサは、図示されるように、限られた接地面積により、被検出対象物からのノイズを「0」に近いレベルまで、接地させることができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、被検出対象物からのノイズの影響を受けずに、良好な形状検出を行う容量検出型センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の容量検出回路は、複数の駆動配線に対して検出配線が交差して配線されると共に、交差する駆動配線及び検出配線間で容量を形成する検出電極がセンサ面内に形成され、被検出物によって変化する前記検出電極の容量変化を電圧値として検出する容量検出回路であり、前記駆動配線を駆動させる列配線駆動手段と、複数の検出配線から所定の検出配線を選択する検出配線選択手段と、前記検出電極の近傍に配置され、被検出物の電位を参照電位として検出する参照電極と、前記参照電位と、前記検出電極の容量に対応した電流から求めた検出電位とに基づいて、前記容量変化に対応した電圧値を求める容量演算部とを有する。
本発明の容量検出方法は、複数の駆動配線に対して検出配線が交差して配線されると共に、交差する駆動配線及び検出配線間で容量を形成する検出電極がセンサ面内に形成され、被検出物によって変化する前記検出電極の容量変化を電圧値として検出する容量検出方法であり、前記駆動配線を駆動させる列配線駆動過程と、複数の検出配線から所定の検出配線を選択する検出配線選択過程と、前記検出電極の近傍に配置された参照電極により、被検出物の電位を参照電位として検出する参照電位検出過程と、前記参照電位と、前記検出電極の容量に対応した電流から求めた検出電位とに基づいて、前記容量変化に対応した電圧値を求める容量演算過程とを有する。
この構成により、本発明の容量検出型センサは、検出電極の周辺に参照電極を配置することにより、被検出対象から入力されるノイズによる電圧を含む参照電位として、検出電極により測定される測定電圧と、上記参照電位との差分を演算することにより、検出配線ににかかるノイズとほぼ同等の電圧が参照電極の参照電位に含まれているため、実質的に、測定電圧に重畳するノイズ電圧の影響をキャンセルすることができ、被検出物と検出電極との間の静電容量による電圧を、従来例に比較して高い精度により測定することができる。
【0008】
本発明の容量検出回路は、前記検出配線選択手段が第1及び第2の検出配線を選択し、前記容量演算部が、前記第1及び第2の検出配線に対応する各検出電極の容量に対応する電流値を差動増幅し、前記検出電位として出力する検出電位出力手段と、時系列に入力される前記検出電位により、前記各交差部の容量に対応する電圧値を求める演算手段とを有する。
この構成により、本発明の容量検出回路は、選択された検出電極の容量変化を、該当する一方の検出配線の電流に基づく測定電圧と、参照電位に含まれる電流、または同時に選択された他方の検出配線の電流に基づく測定電圧とを、差動増幅して得られた検出電位を検出して、所定の演算により、順次、検出配線毎の測定データに分離するので、人体などから伝搬する外来ノイズの影響を同相成分として効果的に削減でき、かつ、検出配線毎の容量の違い、配線の引き回しや、初段セレクタの寄生抵抗及び寄生容量のばらつきの影響を除去することが可能となる。
【0009】
本発明の容量検出回路は、前記検出配線選択手段が、検出期間において、前記第1の検出配線として、前記参照電極が接続された参照電位検出配線と、第2の検出配線として前記参照電位検出配線近傍の検出配線とを選択した後に、前記複数の検出配線から近傍にある検出配線を、第1及び第2の検出配線として選択し、前記演算手段が時系列に入力される検出電位を累積的に加算演算して、交差部の容量に対応する電圧値を求める。
本発明の容量検出回路は、前記検出配線選択手段が、前記検出期間内で前記第1及び第2の検出配線としてそれぞれ選択された参照電位検出配線及び及びこの参照電位検出配線近傍の検出配線に連続して、順次、近傍の検出配線を、それぞれ第1及び第2の検出配線として選択する。
本発明の容量検出回路は、第1の検出配線と第2の検出配線とに流れる電流値から前記検出電位を求める差動アンプが、差動増幅を行う検出配線毎に複数設けられており、所定の差動アンプが前記参照電位検出配線及び第1の検出配線間の検出電位を求め、他の複数の差動アンプが該第1の検出配線を含めた検出配線間の検出電位を求める。
この構成により、本発明の容量検出回路は、参照電位検出配線を用い、選択された検出配線の被検出物の近接による容量変化の測定において、参照電位検出配線と、所定の検出配線との測定電圧の差分値を差動増幅器により求め、以降、第1の検出配線と、この第1の検出配線の近傍の第2の検出配線との測定電圧の差分値を求め、…と近傍の検出配線間の測定電圧の差分値を時系列に求め、これらを順次累積加算していくことにより、参照電位に対応する電圧値と、累積加算毎の加算電圧値とから、簡単な演算処理により各検出配線に対応する測定電圧を容易に得ることができ、加えて、検出配線の検出信号に重畳するノイズ電圧を除去することが可能となる。
【0010】
本発明の容量検出回路は、前記複数の検出配線が検出配線群に分割されており、この検出配線群毎に前記検出配線選択手段を有し、前記演算手段が前記検出配線選択手段が各々選択する検出配線を単位として、前記検出電極の容量に対応する電圧値を求める。
この構成により、本発明の容量検出回路は、行配線数分のチャージアンプを準備する必要が無いため、回路規模と消費電流とを削減するとともに、各検出電極の容量に対応する電圧値を求める際の累積演算による誤差の蓄積や、参照電位を用いた差動演算によっても完全に除去できないノイズ電圧の累積による誤差電圧の影響を低減することが可能となる。
すなわち、本発明の容量検出回路は、近傍の検出配線間における測定データの差分値の累積加算が、列配線グループの範囲内に抑えられるため、差分値に含まれる検出誤差などの累積値が削減され、より高い精度で交差部の容量の測定が行うことができる。
【0011】
本発明の容量検出回路は、前記参照電極が前記センサ面に複数設けられており、該参照電極各々が電気的に接続されている。
この構成により、本発明の容量検出回路は、参照電極の配設された場所によっての参照電位としてのばらつきを抑えることができ、被検出物がいずれかの参照電極に接触したとしても、センサ面全ての検出電極に対する参照電位として用いることが可能となる。
【0012】
本発明の指紋センサは、上記いずれかに記載の容量検出回路を有するので、検出電極の容量変化を検出することが可能であり、高い精度で指紋の形状を検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の容量検出回路によれば、被検出物の電位を参照電位として検出する参照電極の構成と、この参照電位及び近傍の検配線間の差分値の累積値から、駆動された検出配線における検出電極の容量の分離を行う構成と、を兼ね備えることにより、高い分解能を有しており、検出電極の微少な容量値や、被検出物の近接による検出電極の容量の変化量を高い精度にて検出することができるという効果が得られる。
【0014】
また、本発明の容量検出回路によれば、指紋検出時等に、人体などから入力されるノイズ成分を除去するため、近傍の検出配線間の差動検出の代わりに、各検出配線の出力との差分値をとる基準を、検出配線とは別に参照電位検出配線として設けることにより、容量検出のDCレベルが安定し、高い精度で容量を測定することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の容量検出回路は、複数の駆動配線に対して検出配線が交差して配線されると共に、交差する駆動配線及び検出配線間で容量を形成する検出電極がセンサ面内に形成され、被検出物によって変化する検出電極の容量変化を電圧値として検出する容量検出回路であり、駆動配線を駆動させる列配線駆動回路と、複数の検出配線から所定の検出配線を選択する検出配線選択回路と、検出電極の近傍に配置され、被検出物の電位を参照電位として検出する参照電極と、この参照電位と、前記検出電極の容量に対応した電流から求めた検出電位とに基づいて、検出電極の容量変化に対応した電圧値を求める容量演算部とを有している。
また、上記容量検出型センサが基板上に行配線と列配線とをマトリクス状に配設して形成され、これら駆動配線と検出配線との交差点における両配線間の容量変化により、被検出物の凹凸を検出するように構成されている。
【0016】
以下、本発明の一実施形態による容量検出型センサを図面を参照して説明する。図1は同実施形態の一構成例の平面視の構成を示す概念図であり、図2は図1の線分Aにおける断面を示す概念図である。
この図において、検出部Sには、所定のピッチ、例えば50μmピッチでn×m(n及びmは自然数である複数)の検出電極1が設けられている。
設けられる検出部Sの周囲には、複数の参照電極102が検出電極101と同様のピッチで設けられている(ここでは、検出部Sの上下左右に一列であるが、複数列でもかまわない)。
【0017】
また、検出電極101及び参照電極102の周囲は、所定のスペース(電気的に接続しないように空間的に絶縁されている)を有して設けられたグランド電極103により囲まれている。ここで、参照電極102は全てが電気的に接続されて配設されている。
すなわち、本発明で使用する容量検出型センサは、トランジスタ等によるスイッチング素子を有さない、外部から駆動配線及び検出配線に加えられる制御信号により動作する容量検出型センサの一例であり、図1の検出電極101を拡大した図3及びこの図3の線分Bによる線示断面図である図4に示すように、センサ基板104上に駆動配線112と検出配線113とをマトリクス状に配設されたものであり、駆動配線112と検出配線113との交差部において、この駆動配線112から延在された駆動電極105と、この駆動電極105と対をなし、駆動電極105に隣接して検出配線113から延在された感知電極106と、層間絶縁膜107を介して駆動電極105及び感知電極106上部に配設されたフローティング状の検出電極101とを有し、被検出物109と検出電極101との距離(容量結合状態)に応じて変化する、駆動電極105から感知電極106に流れる変位電流を検出する。
【0018】
ここで、図3に示すように、駆動電極105及び感知電極106とが上記検出電極101と重なるように形成され、すなわち、容量結合されており、駆動電極105から感知電極106に対して、この検出電極101を介して変位電流が流れる構成となっている。
この図3において、駆動電極105及び感知電極106とは、同一層で形成して検出電極101と容量結合させることが望ましく、また、駆動配線112及び検出配線113が異なる配線層で形成されているため、駆動配線112から延在させる感知電極105はコンタクト114により電気的に接続されている。
【0019】
また、検出電極101の上面には、この検出電極101を保護するためのパッシべーション膜110が設けられることもある。
図2に戻り、駆動回路から検出パルスが駆動電極105に対して出力されると、被検出物、例えば指109が検出電極101に対して十分な距離を有している場合(指109が触れていないまたは指109の谷線が検出電極101に対応した場合)、検出電極101と指109との容量Cxが非常に小さいため、駆動電極105に与えられた検出パルスの電圧に対応した変位電流が検出電極101を介在して、感知電極106に流れることになる。ここで、図におけるZは所定のインピーダンス値である。
【0020】
一方、被検出物、例えば指109が検出電極101に対して近傍にある場合(指109の隆線が検出電極101に対応した場合)、検出電極101と指109との容量Cxが無視できない値となり(人体の電位によりシールドされ)、駆動電極105に与えられた検出パルスの電圧に対応した変位電流が検出電極101を介在して、指109及び感知電極106の双方に流れ、感知電極106に流れる変位電流が減少することになる。
これにより、指109における指紋の谷線と隆線との距離に応じて、駆動電極105と感知電極106との結合(カップリング)度合いがアナログ的に変化して、変位電流がこれに伴い変化するので、この変化量を検出することで、指紋の凹凸の度合いを検出する。
【0021】
次に、本発明の一実施形態による上述したセンサ素子の容量変化を検出する容量検出回路を図面を参照して説明する。図5は同実施形態の構成例を示すブロック図である。
センサ部1は、駆動配線群2の複数の駆動配線112と、検出配線群3の複数の検出配線113とがマトリクス状に交差し、図1から図4において説明したセンサ素子により形成されている。
また、図6は、センサ部1の駆動配線112および検出配線113間の容量素子(センサ素子)55のマトリクスを示す概念図である。
センサ部1は、マトリクス状のセンサ素子55,55・・・から構成され、列配線駆動部4と容量検出回路100とが、各々駆動配線112,検出配線113を介して接続されている。すなわち、列配線駆動部4に制御される駆動配線群2と、検出配線113を選択する初段セレクタ5に入力される検出配線群3とが交差し、交差部がセンサ素子55を形成している。
【0022】
列配線駆動部4は、駆動配線112に印加する駆動パルスを生成し、駆動配線群2の駆動配線112に供給する。
容量検出回路100は、初段セレクタ回路5,チャージアンプ回路6,差動検出回路7,参照電位入力回路8,サンプルホールド回路9,後段セレクタ回路10,A/D変換回路11,演算制御回路12及びタイミング制御回路13を有している。
以下、容量検出回路100の説明を行う。
【0023】
初段セレクタ回路5は、検出配線群3が所定の本数ずつの検出配線113毎に分割された複数の検出配線ブロック毎に設けられており、この検出配線ブロックからいずれか1本の検出配線113を選択し、選択した検出配線を、チャージアンプ回路6を介して、差動検出回路7の非反転入力端子に接続する。
通常、指紋の凹凸は、200μmから500μm程度の周期と言われており、単純に隣接ラインとの差電圧を検出する場合、指紋の凹凸による信号の変化は小さくなる。
そこで各検出ブロックに含まれる検出配線113の数を適切に設定することにより、各検出ブロック間で選択されるため、差電圧を求める際の、各々の検出配線の距離が保てることとなり、隣接する検出ブロック間の差電圧の信号レベルは比較的大きくなるため、S/N比の面で有利となる。
【0024】
チャージアンプ回路6は、電流を電圧に変換するものであり、初段セレクタ回路5から入力される検出配線113に流れるセンサ素子55の変位電流を電圧信号に変換して、自身の所属する検出配線113の検出配線ブロックに対応する差動検出回路7の(+)端子、すなわち非反転入力端子と、近傍の他の検出配線ブロックに対応する差動検出回路7の(−)端子、すなわち反転入力端子とへ出力する。
ここで、チャージアンプ回路6は、図7に示すように、差動増幅器121の出力端子が反転入力端子と出力端子との間に、帰還容量125(容量値Cf)と、この帰還容量125の電荷を放電させるためのアナログスイッチ124とが並列に接続され、非反転入力端子に所定の電圧が電圧基準として入力されている。
また、チャージアンプ回路6のアナログスイッチ124は、通常オフ(オープン)状態であり、タイミング制御回路13からリセット信号が入力されると、アナログスイッチ124をオン状態とし、帰還容量125の電荷を放電する。
【0025】
差動検出回路7は、他の検出配線ブロックに対応するチャージアンプ回路6から反転入力端子に入力される電圧信号と、自身の検出配線ブロックに対応するチャージアンプ回路6から非反転入力端子に入力される電圧信号との差分値を検出して、すなわち、近傍の検出配線に流れる変位電流による電圧の差を差動信号として出力する。
参照電位入力回路8は、図1に示す参照電極102に近接した被検出物109のノイズを含んだ電位を参照電位として入力して、差動検出回路7のいずれか一つの反転入力端子にこの参照電位を出力する。
【0026】
図1における参照電極102は、すでに述べたように、各々がフローティング状態に形成されているわけではなく、全てが電気的に参照電位検出配線15に接続されている。
このため、各参照電極102に入力される電位は、混合されることで平均化され、被検出物109の凹凸による影響をほとんど受けることなく、参照電位として用いることが可能となる。
【0027】
また、参照電極102は配線抵抗や配線容量を考慮しなければ、被検出物109からノイズ信号をそのまま伝達する配線として機能することになる。
このとき、検出電極101から入力される検出信号に重畳しているノイズ成分と、参照電極102から入力されるノイズ成分とは同相とみなせるが、センサ部1における検出電極101と参照電極102とで、構造やノイズ信号の伝搬の状態が異なるため、フローティング状態にある検出電極101から混入するノイズ成分と、参照電極102から入力されるノイズ信号とのレベルは異なっている。
【0028】
そのため、参照電位入力回路8は、反転入力端子に直列に接続されている入力容量128(容量値CIR)を介して入力される、参照電極102からのノイズ信号による電流を電圧に変換するものであり、図8に示すように、差動増幅器122において反転入力端子と出力端子の間に接続された帰還容量127と、この帰還容量127(容量値CFR)の電荷を放電させるためのアナログスイッチ126とが並列に接続されて構成され、非反転入力端子に所定の電圧が電圧基準として入力されている。
【0029】
これにより、参照電位入力回路8は、帰還容量127の容量値をチャージアンプ回路の帰還容量125と同様とすると、入力容量128と帰還容量127との容量比を適切に調整することにより、検出電極101から入力されるノイズ成分と、参照電極102から入力されるノイズ成分との電圧レベルを、差動検出回路7に入力する段階において概略同一とすることが可能となる。
また、参照電位入力回路8のアナログスイッチ126は、通常オフ(オープン)状態であり、タイミング制御回路13からリセット信号が入力されると、アナログスイッチ126をオン状態とし、帰還容量127の電荷を放電する。
【0030】
サンプルホールド回路9は、タイミング制御回路13から、サンプルホールド(S/H)信号が入力されることにより、このサンプルホールド信号に同期して、検出配線113の検出配線ブロックに対応する差動検出回路7からの差動信号の電圧レベルを電圧情報として一時的に保持する。
後段セレクタ回路10は、上記複数のサンプルホールド回路9から入力される電圧情報を、タイミング制御回路13からの切り替え信号により、順次1つずつ選択して次段のA/D変換回路11へ出力する。
A/D変換回路11は、演算制御回路12から入力されるA/Dクロックに同期して、後段セレクタ回路10から出力される電圧情報の電圧レベルを、デジタル値に変換し、上記演算制御回路12へ出力する。
【0031】
また、差動検出回路7は、検出配線群3が分割された複数の検出配線ブロック単位毎に設けられており、すでに述べたように、他の検出配線ブロックに対応するチャージアンプ回路6から反転入力端子に入力される電圧信号と、自身の検出配線ブロックに対応するチャージアンプ回路6から非反転入力端子に入力される電圧信号との差分値を検出する。
しかしながら、最初の上記検出配線ブロックに対応する差動検出回路7の反転入力端子には対応する他の検出配線ブロックが存在しないため、ノイズ成分を含む参照電位を出力する参照電位入力回路8からの参照電位が入力される。
これにより、最初の検出配線ブロックに対応する差動検出回路7は、チャージアンプ回路6から入力される検出信号に含まれるノイズ成分を差動検出によりほぼ除去することができる。
【0032】
ここで、差動検出回路7は、図9に示すように、差動増幅器123は、非反転入力端子に抵抗130を介して所定の電圧が電圧基準として入力されており、反転入力端子が抵抗131を介して出力端子に接続され、反転入力端子に直列に抵抗132が接続され、非反転入力端子に直列に抵抗133が接続されている。これにより、差動増幅器123は、抵抗130,131,132及び133各々の抵抗値により設定された増幅度により、抵抗132を介して入力される電圧信号と、抵抗133を介して入力される電圧信号との差分値の増幅を行う。
【0033】
また、初段セレクタ回路5は、例えば、図10に示す構成をしている。
この初段セレクタ回路5は、検出配線群3の検出配線113の数を256本とした場合、例えば8つの検出配線ブロックに分割されていると、それぞれの検出配線ブロック毎に設けられるため、容量検出回路100内に8つ配設されることとなる。
初段セレクタ回路5各々は、検出配線ブロック内の検出配線113である検出配線R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7…各々が接続されたスイッチ端子S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,…を有している。
また、初段セレクタ回路5は、出力端子Soが次段のチャージアンプ回路6の入力端子に接続されており、順次、タイミング制御回路13からの切り替え信号により、出力端子Soがスイッチ端子S1,S2,…,S7,…に接続する。
【0034】
これにより、初段セレクタ回路5は、検出配線ブロック内のR1,R2,R3,R4,R5,R6,R7…の検出信号を、順次、次段のチャージアンプ回路6へ出力する。
タイミング制御回路13は、行配線群3の分割された各検出配線ブロックそれぞれから1本の検出配線を順次選択するため、すなわち、これらの検出配線を測定する近傍の検出配線単位とするため、時系列に接続する切り替え信号を、上述したように、初段セレクタ回路5へ出力する。
【0035】
次に、上記構成からなる、本発明の一実施形態に係る容量検出回路100の動作例を、図5及び図10を参照して説明する。
演算制御回路12が外部から容量検出の開始、すなわち指紋センサ(センサ部1)での指紋の採取を行う信号が入力されたとする。
これにより、演算制御回路12は、タイミング制御回路13に対して、検出開始を指示する開始信号を出力する。次に、タイミング制御回路13は、初段セレクタ回路5に、順次、所定の検出間隔にて切り替え信号を出力する。
そして、初段セレクタ回路5は、時系列に入力される上記切り替え信号により、順次、内部各スイッチの切り替えを行う(各時刻から開始される測定に対応させる)。
【0036】
図10(a)に示すように、時刻t1において(時刻t1から開始される測定期間において)、初段セレクタ回路5各々は、検出配線ブロック内の検出配線R1の接続されたスイッチ端子S1を出力端子Soへ接続し、検出配線R1の検出信号を次段のチャージアンプ回路6の入力端子へ出力する。
このとき、初段セレクタ回路5は、他のスイッチ端子S2〜S7,…をフローティング状態または、グランドかチャージアンプ回路6の基準電位のいずれかに接続した状態とする。
【0037】
そして、タイミング制御回路13は、チャージアンプ回路6,差動検出回路7及び列配線駆動部4に対してリセットを供給し、これらチャージアンプ回路6,差動検出回路7と列配線駆動部4とを初期化し、列配線駆動部4がクロックの入力に同期して、駆動配線群2における駆動配線112に駆動パルスを出力するよう初期設定を行う。
ここで、図示しないが、駆動配線群2は、複数の駆動配線112から構成され、測定において順次選択されて駆動パルスが出力される。
【0038】
次に、タイミング制御回路13は、列配線駆動部4に対してクロックを出力し、列配線を駆動する駆動パルスを出力させる(Hレベルに立ち上げる)。
これにより、列配線駆動部4は、駆動配線群2における所定の駆動配線112に対して、上記クロックに同期して、駆動パルスを出力する。
そして、チャージアンプ回路6各々は、初段セレクタ回路5を介して入力される、印加された上記駆動パルスの電圧レベルとセンサ素子55の容量とによる変位電流(検出電流)を、電圧信号に変換して、次段の差動検出回路7に対して、測定電圧として出力する。
【0039】
これにより、差動検出回路7は、自身に対応する検出配線ブロックにおいて選択された検出配線R1の検出信号に対応する測定電圧を非反転入力端子に入力し、他の検出配線ブロック、例えば組合せとして指定される隣接する検出配線ブロックからの測定電圧を反転入力端子に入力し、両電圧の差分を所定の増幅を行い、差電圧として出力する。
ここで、他検出配線ブロックとの組合せから外れた差動検出回路7(例えば図5の差動検出回路71)は、反転入力端子に参照電位入力回路8の出力する参照電位が入力されることとなる。
【0040】
次に、タイミング制御回路13は、駆動パルスの印加から所定の時間間隔が経過した後、サンプルホールド回路9にサンプルホールド(S/H)信号を出力する。
これにより、サンプルホールド回路9は、入力される上記サンプルホールド信号に同期して、差動検出回路7の出力している差電圧の電圧レベルを一時的に保持し(電圧情報として記憶し)、この電圧レベルと同一の電圧レベルの信号を、後段セレクタ回路10に対して出力する。
そして、列配線駆動部4は、サンプルホールド信号に同期して、駆動パルスの出力を停止する(Lレベルに立ち下げ)。
【0041】
次に、タイミング制御回路13は、各サンプルホールド回路9の出力する差電圧の電圧情報を、順次選択してA/D変換回路11へ出力させる切り替え信号を、後段セレクタ回路10に対して出力する。
この時点では、タイミング制御回路13は、差動検出回路7(71)からの差電圧の電圧情報をA/D変換回路11へ出力させる切り替え信号を、後段セレクタ回路10に対して出力する。
これにより、後段セレクタ回路10は、順次入力される上記切り替え信号により、各サンプルホールド回路9から入力される複数の差電圧の電圧情報を、この切り替え信号に同期させて選択して出力する。
次に、タイミング制御回路13は、この切り替え信号を出力して所定の時間が過した後、演算制御回路12に変換信号を出力する。
【0042】
そして、演算制御回路12は、上記変換信号に同期して、A/D変換回路11に対してA/Dクロックを出力する。
これにより、A/D変換回路11は、上記A/Dクロックに同期して、後段セレクタ回路10から入力されている電圧レベルを、デジタルデータの測定データに変換し、この測定データを演算制御回路12へ出力する。
このときの測定データは、
d1=V1−Vref+Vofs
である。ここで、V1は差動検出回路7(71)の非反転入力端子に入力される1番目の検出配線ブロックの行配線R1に流れる電流を電圧に変換した値であり、Vrefは参照電位入力回路8から入力される参照電位の電圧値であり、Vofs出力データを符号ビットなしの8ビット値(ビット数は任意)で表すためのオフセット値である。
【0043】
次に、タイミング制御回路13は、後段セレクタ回路10に対して、各サンプルホールド回路9の出力する差電圧の電圧情報を、順次選択してA/D変換回路11に対して出力させる切り替え信号を出力する。
この時点では、タイミング制御回路13は、差動検出回路7(72)からの差電圧の電圧情報をA/D変換回路11へ出力させる切り替え信号を、後段セレクタ回路10に対して出力する。
これにより、後段セレクタ回路10は、順次入力される上記切り替え信号により、差動検出回路7(72)に対応するサンプルホールド回路9から入力される差電圧の電圧情報を、この切替信号に同期させて選択して出力する。
次に、タイミング制御回路13は、この切り替え信号を出力して所定の時間が過した後、演算制御回路12に変換信号を出力する。
【0044】
そして、演算制御回路12は、上記変換信号に同期して、A/D変換回路11に対してA/Dクロックを出力する。
これにより、A/D変換回路11は、上記A/Dクロックに同期して、後段セレクタ回路10から入力されている電圧レベルを、デジタルデータの測定データに変換し、この測定データを演算制御回路12へ出力する。
このときの測定データは、
d2=V2−V1+Vofs
である。ここで、V2は差動検出回路7(72)の非反転入力端子に入力される2番目の検出配線ブロックの検出配線R1に流れる電流を電圧に変換した値である。
【0045】
上述した処理を、タイミング制御回路13は、検出配線群3を分割した検出配線ブロックの数(n個)の回数分繰り返して、各検出配線ブロックの検出配線R1の検出信号に対応する差電圧の電圧情報dを、演算制御回路12に全て取得させる。
次に、タイミング制御回路13は、図10(b)に示すように、時刻t2において(時刻t2から開始される測定において)、検出配線ブロック内の検出配線R2の検出信号を出力させる切り替え信号を、初段セレクタ回路5に対して出力する。
これにより、初段セレクタ回路5各々は、検出配線ブロック内の検出配線R2の接続されたスイッチ端子S2を出力端子Soへ接続し、検出配線R2の検出信号を次段のチャージアンプ回路5の入力端子へ出力する。
このとき、初段セレクタ回路5は、他のスイッチ端子S1,S3〜S7,…をフローティング状態または、グランドかチャージアンプ回路6の基準電位のいずれかに接続した状態とする。
なお、上述した後段セレクタ回路10の切替え動作とA/D変換回路11のA/D変換処理は、次の検出電圧をサンプルホールド回路9でサンプルホールドする期間の前に完了させるように、時間的にオーバーラップさせてもよい。
【0046】
次に、タイミング制御回路13は、すでに説明した各検出配線ブロックの検出配線R1の検出信号に対してと同様な測定処理を行う。
そして、タイミング制御回路13は、時刻t3以降においても、同様な処理を行い、各検出配線ブロックの全ての検出配線R1,…の測定処理が終了すると、すなわち検出配線群3がn個の検出配線ブロックに分割され、各検出配線ブロックが検出配線R1〜Rmのm本で構成されているとすると、各検出配線ブロックの検出配線R1の測定が開始され、各検出配線ブロックの検出配線Rm測定まで、各検出配線の測定において駆動配線103が駆動パルスにより活性化されて測定が行われる。
これにより、演算制御回路12には、駆動配線112と、検出配線R1〜Rn(×m)とにおける各交差部の容量に対応した測定データd1〜dn(×m)が、1本の駆動配線112に対応して記憶されている。
【0047】
ここで、駆動配線群2が例えば255本の駆動配線から構成されているとすると、上記処理を駆動配線群2における他の駆動配線112の254本分についても、参照電位及び各検出配線ブロックから選択された1本の検出配線の検出信号との組合せの測定を行い、各駆動配線に対応する測定データを得、演算制御回路12に各駆動配線に対応して記憶される。
ここで、初段セレクタ回路5は、検出配線ブロックに含まれる検出配線の測定が全て終了すると、タイミング制御回路13に対して、検出配線測定終了を示す信号を出力する。
【0048】
そして、タイミング制御回路13は、検出配線測定行配線対終了を示す上記信号が入力されると、次の列配線駆動部4に対するクロックの前に、列配線駆動部4が、次の駆動配線112に対して駆動パルスを出力するように設定を変更する制御信号を出力する。
これにより、タイミング制御回路13は、次にクロックが入力されると、このクロックに同期して、検出配線群3が分割された各検出配線ブロックにおいて、新たに検出配線R1から選択されるよう、初段セレクタ回路5を初期化し、1本目の駆動配線112を駆動したときと同様に、2本目の駆動配線112に対して駆動パルスを出力し、2本目の駆動配線112と各検出配線113との交差部におけるセンサ素子55の容量測定を行う。
このように、演算制御回路12は、駆動配線群2における全ての駆動配線112に渡り、順次、駆動配線を駆動することで、検出配線群3の各検出配線ブロックにおける検出配線間での差電圧の測定が終了すると、得られた差電圧の測定データから、各交差部のセンサ素子55の容量に対応した電圧データを求める演算を行う。
【0049】
ここで、演算制御回路12は、得られた測定データを、駆動配線単位において、各検出配線ブロックで順次選択される検出配線の組み、例えば各検出配線ブロックの検出配線R1の組みや検出配線R2等の組み毎に累積的に加算していくことにより、各列配線と行配線との各交差部の容量に対応した電圧データを求めることが出来る。
例えば、1本目の駆動配線112と、各検出配線ブロックにおける検出配線R1の交差部のセンサ素子55の容量に対応する演算を行う。
演算制御回路12は、参照電位の電圧データをdr(すなわちVref)とし、駆動配線112と1番目の検出配線ブロックにおける検出配線R1との交差部のセンサ素子55の容量に対応する測定データをd1(時刻t1における測定データ)とし、求めるこの交差部の電圧データをds1とすると、電圧データds1は
ds1=d1+dr=V1−Vref+Vofs+Vref=V1+Vofs
表すことができる。
【0050】
また、同様に、駆動配線112と2番目の検出配線ブロックにおける検出配線R1との交差部のセンサ素子55の容量に対応する測定データをd2とし、また、3番目の検出配線ブロックにおける検出配線R1との交差部のセンサ素子55の容量に対応する測定データをd3とすると、求める各々の交差部の電圧データをds2,ds3としたとき、
ds2=d2+ds1=V2−V1+V1+Vofs=V2+Vofs
ds3=d3+ds2=V3−V2+V2+Vofs=V3+Vofs
と、順次、測定データを累積加算することにより、各交差部の容量に対応した電圧値を得ることができる。
【0051】
次に、上述した測定においては、駆動パルスの立ち上がり(第2の電圧から第1の電圧への遷移;第1の電圧>第2の電圧)における容量測定のみを行っているが、駆動パルスの立ち上がり及び立ち下がり(第1の電圧から第2の電圧への遷移における測定を行うことにより、時間的差動演算により不要なオフセットを除去することができ、計算精度を向上させることができる。
すなわち、上述した駆動パルスの立ち上がりのみ用いた測定においては、図11に示すように、出力OUTがアンプの基準電位から下降する場合も、上昇する場合も、アナログスイッチ124(または126)のフィードスルー電流によるオフセットVkが+方向に発生する。
図11は、チャージアンプ回路6における差動増幅器121(または参照電位入力回路8における差動増幅器122)の動作を示す波形図である。この実施形態のように、検出対象の交差部の容量値が数十から数百フェムトファラッドの場合はこのフィードスルーによるオフセットを無視できない。
【0052】
上記の参照電位の測定において、(差動増幅器122における測定)
−Vuref0=−Vuref+Vka
が検出対象の容量値に比例する電圧となるが、測定される電圧はVurefであり、この電圧Vurefにはオフセットによる誤差Vkが含まれてしまう。
Vuref=Vuref0+Vka
そこで、この実施形態においては、参照検出対象容量CSRの放電時の電圧Vdrefも測定する。(参照電極102は意図的に駆動パルスにより駆動されていないが、近傍を駆動配線が通るので、実効的な参照検出対象容量CSRが生じる。)
ここで、電圧Vdref0が以下に示すように、
Vdref0=Vdref−Vka
が容量CSRに比例する電圧であり、測定される電圧は
Vdref=Vdref0+Vka
となる。
【0053】
同様に、1番目の検出配線ブロックにおける検出配線R1の測定において、(差動増幅器121における測定)
−Vu10=−Vu1+Vkb
が検出対象の交差部の容量値に比例する電圧となるが、測定される電圧はVu1であり、この電圧Vu1にはオフセットによる誤差Vkが含まれてしまう。
Vu1=Vu10+Vkb
そこで、この実施形態においては、検出対象容量Csの放電時の電圧Vd1も測定する。
ここで、電圧Vd10が以下に示すように、
Vd10=Vd1−Vkb
が容量Csに比例する電圧であり、測定される電圧は
Vd1=Vd10+Vkb
となる。
【0054】
そして、差動検出回路7は、駆動パルスの立ち上がり時には、増幅度を「1」とすると
Vsu1=Vu1−Vuref+Vof
=Vu10+Vkb−(Vuref0+Vka)+Vof
=Vu10−Vuref0+Vkb−Vka+Vof
となる。VofはA/D変換回路11におけるオフセット成分である。
同様に、差動検出回路7は、駆動パルスの立ち下がり時には、
Vsd1=Vd1−Vdref+Vof
=Vd10+Vkb−(Vdref0+Vka)+Vof
=Vd10−Vdref0+Vkb−Vka+Vof
と求められる。
【0055】
これらの測定電圧Vsu1及びVsd1が順次サンプルホールド回路9において保持され、次いでホールドされた電圧を、A/D変換回路11により各々測定電圧毎に、測定データdsu1及びdsd1にA/D(アナログ/デジタル)変換し、演算制御回路12内のメモリに記憶させる。
そして、演算制御回路12において、
d1=dsd1−dsu1+Vofs
=(Vd10−Vdref0+Vkb−Vka+Vof)
−(Vu10−Vuref0+Vkb−Vka+Vof)+Vofs
=Vd10−Vu10−(Vdref0−Vuref0)+Vofs
となる演算を行い、これにより、フィードスルー電流によるオフセット誤差及びA/D変換回路11における変換時のオフセットVofを含まない測定値測定データdを得ることができる(ここで、Vofsは、出力データを符号ビットなしの8ビット値(ビット数は任意)で満たすためのオフセット値)。
【0056】
以降の各交差部のセンサ素子55の容量に対応した電圧データdsを求める処理は、すでに述べた累積加算を行う方法と同様である。
上述の説明において、容量検出回路100が、検出処理により得られた測定データを一時的に保持し、駆動配線群2における全ての駆動配線に渡り容量測定が終了した後に、センサ部1における各交差部のセンサ素子55の容量に対応させて電圧データを求める演算を行うように記述した。しかしながら、容量検出回路100が、得られた測定データを随時累積加算して、容量検出の動作と並行して(ほぼ同時に)電圧データを求める演算を行うようにしてもよい。
【0057】
また、参照電位入力回路8における入力容量128の容量値の設定、すなわち、入力容量128及び帰還容量127とで設定されるゲインについては以下のように決定することとなる。
選択される各検出配線113に誘導されるノイズ成分に対するチャージアンプ回路6のゲインは、各センサ素子55の容量値の総和Csumと、周辺の他の検出配線113から容量結合される容量Cextとの合計値である、下記の式によるノイズ成分に対する実質的な入力容量Csnに関係している。
Csn=Csum+Cext
したがって、チャージアンプ回路6の帰還容量CFとしたとき、各検出配線113に誘導されるノイズのゲインGsnは、以下の式により定義される。
Gsn=CF/Csn
【0058】
一方、ノイズ成分を含む参照電位検出配線15に誘導されるノイズ成分に対する参照電位入力回路8のゲインは、参照電極2がキャパシタの構造として形成されない場合、参照電位検出配線105と差動増幅器122との間に直列に設けられた入力容量128の容量値CIRと、及び帰還容量127の容量値CFRから、参照電位検出配線15に誘導されるノイズのゲインGrnは、以下の式により定義される。
Grn=CFR/CIR
【0059】
ここで、ノイズの同相成分を差動検出回路7により除去するため、各検出配線113に誘導されるノイズのゲインGsnと、参照電位検出配線15に誘導されるノイズのゲインGrnとが、以下の式に示すように、ほぼ同一の数値である必要がある。
Gsn=(CF/Csn)≒Grn=(CFR/CIR)
したがって、
CIR≒(CFR×Csn)/CF
となる。
ここで、本実施形態の場合、差動検出回路7及び参照電位入力回路8における帰還容量を同一の値CFとするため、
CIR≒Csn
と簡略化される。
【0060】
また、センサ部1における検出電極101,参照電極102及びグランド電極103の配置構成としては、図1に示す構成ではなく、図12に示すように基準電極102及びグランド電極103各々を櫛状に形成して、互い違いに検出電極101を挟み込むように構成してもよい。
【0061】
しかしながら、各検出配線113にかかる実質的な入力容量Csnは、センサ部1の構造とノイズ成分の迂回成分に起因するため、シミュレーションのみでは計算できない場合が多い。
このため、参照電位検出配線15に対応する入力容量208の容量値を暫定的にCIR1と設定しておき、センサ部1の作成後に観測されるノイズのゲインをGrn1としたとき、入力容量208の補正値CIR'は以下の式により記述することができる。
CIR'≒(Gsn×CIR)/Grn1
したがって、参照電位検出配線15に対応する入力容量208を上記CIR'の容量値に変更すれば、検出配線113に誘導されるノイズのゲインGsnと、参照電位検出配線15に誘導されるノイズのゲインGrnとを略同一に設定することができる。
【0062】
なお、図5における容量検出回路100の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより容量検出の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0063】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態による容量検出型センサの一構成例の構造を示す平面図である。
【図2】図1の容量検出型センサの線分Aにおける断面構造を示す概念図である。
【図3】図1の容量検出型センサにおける検出電極101部分の構造を示す詳細図である。
【図4】図3の検出電極101部分の線分Bにおける断面構造を示す線示断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による容量検出回路及び図1の容量検出型センサを用いた指紋センサの一構成例を示すブロック図である。
【図6】図5のエリアセンサ型(2次元センサ)であるセンサ部1において、駆動配線112及び検出配線113との各々の交差部で形成されるセンサ素子55の構成例を説明する概念図である。
【図7】図5のチャージアンプ回路6の構成例を示すブロック図である。
【図8】図5の参照電位入力回路8の構成例を示すブロック図である。
【図9】図5の差動検出回路7の構成例を示すブロック図である。
【図10】図5の初段セレクタ回路5の構成例を示すブロック図である。
【図11】図7の差動増幅器121及び図8の差動増幅器122の動作を説明する波形図である。
【図12】本発明の一実施形態による容量検出型センサの一構成例の他の構造を示す平面図である。
【図13】従来例の容量検出型センサに用いられているチャージアンプ回路の構成を示す概念図である。
【図14】従来の容量検出型センサの平面構造を示す平面図である。
【符号の説明】
【0065】
1…センサ部 2…駆動配線群
3…検出配線群 4…列配線駆動部
5…初段セレクタ回路 6…チャージアンプ回路
7,71,72,7n…差動検出回路 8…参照電位入力回路
9…サンプルホールド回路 10…後段セレクタ回路
11…A/D変換回路 12…演算制御回路
13…タイミング制御回路 112…駆動配線
113…検出配線 121,122,123…差動増幅器
124,126…アナログスイッチ 125,127…帰還容量
128…入力容量 131,132,133…抵抗
【技術分野】
【0001】
本発明は、指の指紋等の被検出対象物(被検出物)の凹凸を検出する容量検出回路及び容量検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検出対象物の凹凸を検出する容量検出型センサとして、アレイ状に配置した検出電極と被検出物との間の静電容量を検出して、この容量変化を周辺回路で測定するものが提案されている。
この容量検出型センサには、容量検出を行う周辺回路において、例えば、図13に示すチャージアンプ回路が良く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このチャージアンプ回路は外部からのノイズの影響が無い場合、周辺回路へ信号を伝達する行配線の寄生容量の影響を受けずに、容量変化に対応した電圧値に変換する機能を有している。
しかし、チャージアンプ回路は被検出対象物からのノイズの影響がある場合、被検出物から入力されるノイズが、上記チャージアンプ回路に接続される行配線により形成される全ての検出容量素子から入力されるため、チャージアンプ回路の出力電圧Voは以下に示す(1)式で表される電圧値となる。
Vo = −Cx・Vi/Cf − Cn・Vn/Cf …(1)
ここで、Viは入力電圧であり、Vnは入力されるノイズの電圧値であり、Cxは選択された検出容量素子の容量値であり、Cnは寄生容量値であり、Cfはチャージアンプ回路における帰還容量の容量値である。
【0004】
これに対し、被検出対象物から入力されるノイズの影響を低減する方法として被検出対象物の接地を確実にとる方法が考えられる。
例えば、容量検出型センサ105aの表面において、検出電極105の周囲にアース電極106を形成する方法(図14参照)は、容量検出素子を静電破壊から防護する静電気対策として提案されたものである(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上述した静電気対策の構成は、被検出対象物から入力されるノイズの影響を低減する効果も有していると考えられる。
【特許文献1】特開2001−46359号公報
【特許文献2】特開2001−324303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている容量検出型センサには、容量変化に対応する電流を検出回路へ伝達する列配線に多くの容量検出素子が接続されているため、通常考えられる寄生容量Cnは、実際に測定対象となっている容量検出素子1つの容量値Cxの数百倍となるので、微小な容量変化を検出するためにチャージアンプ回路の感度を上げると、被検出対象物から寄生容量Cnを介して混入するノイズによる電圧値によって、チャージアンプ回路の出力信号が変化してしまい、測定対象の容量検出素子の容量の測定が正確に行えないという欠点がある。
【0006】
また、特許文献2に記載されている容量検出型センサは、図示されるように、限られた接地面積により、被検出対象物からのノイズを「0」に近いレベルまで、接地させることができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、被検出対象物からのノイズの影響を受けずに、良好な形状検出を行う容量検出型センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の容量検出回路は、複数の駆動配線に対して検出配線が交差して配線されると共に、交差する駆動配線及び検出配線間で容量を形成する検出電極がセンサ面内に形成され、被検出物によって変化する前記検出電極の容量変化を電圧値として検出する容量検出回路であり、前記駆動配線を駆動させる列配線駆動手段と、複数の検出配線から所定の検出配線を選択する検出配線選択手段と、前記検出電極の近傍に配置され、被検出物の電位を参照電位として検出する参照電極と、前記参照電位と、前記検出電極の容量に対応した電流から求めた検出電位とに基づいて、前記容量変化に対応した電圧値を求める容量演算部とを有する。
本発明の容量検出方法は、複数の駆動配線に対して検出配線が交差して配線されると共に、交差する駆動配線及び検出配線間で容量を形成する検出電極がセンサ面内に形成され、被検出物によって変化する前記検出電極の容量変化を電圧値として検出する容量検出方法であり、前記駆動配線を駆動させる列配線駆動過程と、複数の検出配線から所定の検出配線を選択する検出配線選択過程と、前記検出電極の近傍に配置された参照電極により、被検出物の電位を参照電位として検出する参照電位検出過程と、前記参照電位と、前記検出電極の容量に対応した電流から求めた検出電位とに基づいて、前記容量変化に対応した電圧値を求める容量演算過程とを有する。
この構成により、本発明の容量検出型センサは、検出電極の周辺に参照電極を配置することにより、被検出対象から入力されるノイズによる電圧を含む参照電位として、検出電極により測定される測定電圧と、上記参照電位との差分を演算することにより、検出配線ににかかるノイズとほぼ同等の電圧が参照電極の参照電位に含まれているため、実質的に、測定電圧に重畳するノイズ電圧の影響をキャンセルすることができ、被検出物と検出電極との間の静電容量による電圧を、従来例に比較して高い精度により測定することができる。
【0008】
本発明の容量検出回路は、前記検出配線選択手段が第1及び第2の検出配線を選択し、前記容量演算部が、前記第1及び第2の検出配線に対応する各検出電極の容量に対応する電流値を差動増幅し、前記検出電位として出力する検出電位出力手段と、時系列に入力される前記検出電位により、前記各交差部の容量に対応する電圧値を求める演算手段とを有する。
この構成により、本発明の容量検出回路は、選択された検出電極の容量変化を、該当する一方の検出配線の電流に基づく測定電圧と、参照電位に含まれる電流、または同時に選択された他方の検出配線の電流に基づく測定電圧とを、差動増幅して得られた検出電位を検出して、所定の演算により、順次、検出配線毎の測定データに分離するので、人体などから伝搬する外来ノイズの影響を同相成分として効果的に削減でき、かつ、検出配線毎の容量の違い、配線の引き回しや、初段セレクタの寄生抵抗及び寄生容量のばらつきの影響を除去することが可能となる。
【0009】
本発明の容量検出回路は、前記検出配線選択手段が、検出期間において、前記第1の検出配線として、前記参照電極が接続された参照電位検出配線と、第2の検出配線として前記参照電位検出配線近傍の検出配線とを選択した後に、前記複数の検出配線から近傍にある検出配線を、第1及び第2の検出配線として選択し、前記演算手段が時系列に入力される検出電位を累積的に加算演算して、交差部の容量に対応する電圧値を求める。
本発明の容量検出回路は、前記検出配線選択手段が、前記検出期間内で前記第1及び第2の検出配線としてそれぞれ選択された参照電位検出配線及び及びこの参照電位検出配線近傍の検出配線に連続して、順次、近傍の検出配線を、それぞれ第1及び第2の検出配線として選択する。
本発明の容量検出回路は、第1の検出配線と第2の検出配線とに流れる電流値から前記検出電位を求める差動アンプが、差動増幅を行う検出配線毎に複数設けられており、所定の差動アンプが前記参照電位検出配線及び第1の検出配線間の検出電位を求め、他の複数の差動アンプが該第1の検出配線を含めた検出配線間の検出電位を求める。
この構成により、本発明の容量検出回路は、参照電位検出配線を用い、選択された検出配線の被検出物の近接による容量変化の測定において、参照電位検出配線と、所定の検出配線との測定電圧の差分値を差動増幅器により求め、以降、第1の検出配線と、この第1の検出配線の近傍の第2の検出配線との測定電圧の差分値を求め、…と近傍の検出配線間の測定電圧の差分値を時系列に求め、これらを順次累積加算していくことにより、参照電位に対応する電圧値と、累積加算毎の加算電圧値とから、簡単な演算処理により各検出配線に対応する測定電圧を容易に得ることができ、加えて、検出配線の検出信号に重畳するノイズ電圧を除去することが可能となる。
【0010】
本発明の容量検出回路は、前記複数の検出配線が検出配線群に分割されており、この検出配線群毎に前記検出配線選択手段を有し、前記演算手段が前記検出配線選択手段が各々選択する検出配線を単位として、前記検出電極の容量に対応する電圧値を求める。
この構成により、本発明の容量検出回路は、行配線数分のチャージアンプを準備する必要が無いため、回路規模と消費電流とを削減するとともに、各検出電極の容量に対応する電圧値を求める際の累積演算による誤差の蓄積や、参照電位を用いた差動演算によっても完全に除去できないノイズ電圧の累積による誤差電圧の影響を低減することが可能となる。
すなわち、本発明の容量検出回路は、近傍の検出配線間における測定データの差分値の累積加算が、列配線グループの範囲内に抑えられるため、差分値に含まれる検出誤差などの累積値が削減され、より高い精度で交差部の容量の測定が行うことができる。
【0011】
本発明の容量検出回路は、前記参照電極が前記センサ面に複数設けられており、該参照電極各々が電気的に接続されている。
この構成により、本発明の容量検出回路は、参照電極の配設された場所によっての参照電位としてのばらつきを抑えることができ、被検出物がいずれかの参照電極に接触したとしても、センサ面全ての検出電極に対する参照電位として用いることが可能となる。
【0012】
本発明の指紋センサは、上記いずれかに記載の容量検出回路を有するので、検出電極の容量変化を検出することが可能であり、高い精度で指紋の形状を検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の容量検出回路によれば、被検出物の電位を参照電位として検出する参照電極の構成と、この参照電位及び近傍の検配線間の差分値の累積値から、駆動された検出配線における検出電極の容量の分離を行う構成と、を兼ね備えることにより、高い分解能を有しており、検出電極の微少な容量値や、被検出物の近接による検出電極の容量の変化量を高い精度にて検出することができるという効果が得られる。
【0014】
また、本発明の容量検出回路によれば、指紋検出時等に、人体などから入力されるノイズ成分を除去するため、近傍の検出配線間の差動検出の代わりに、各検出配線の出力との差分値をとる基準を、検出配線とは別に参照電位検出配線として設けることにより、容量検出のDCレベルが安定し、高い精度で容量を測定することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の容量検出回路は、複数の駆動配線に対して検出配線が交差して配線されると共に、交差する駆動配線及び検出配線間で容量を形成する検出電極がセンサ面内に形成され、被検出物によって変化する検出電極の容量変化を電圧値として検出する容量検出回路であり、駆動配線を駆動させる列配線駆動回路と、複数の検出配線から所定の検出配線を選択する検出配線選択回路と、検出電極の近傍に配置され、被検出物の電位を参照電位として検出する参照電極と、この参照電位と、前記検出電極の容量に対応した電流から求めた検出電位とに基づいて、検出電極の容量変化に対応した電圧値を求める容量演算部とを有している。
また、上記容量検出型センサが基板上に行配線と列配線とをマトリクス状に配設して形成され、これら駆動配線と検出配線との交差点における両配線間の容量変化により、被検出物の凹凸を検出するように構成されている。
【0016】
以下、本発明の一実施形態による容量検出型センサを図面を参照して説明する。図1は同実施形態の一構成例の平面視の構成を示す概念図であり、図2は図1の線分Aにおける断面を示す概念図である。
この図において、検出部Sには、所定のピッチ、例えば50μmピッチでn×m(n及びmは自然数である複数)の検出電極1が設けられている。
設けられる検出部Sの周囲には、複数の参照電極102が検出電極101と同様のピッチで設けられている(ここでは、検出部Sの上下左右に一列であるが、複数列でもかまわない)。
【0017】
また、検出電極101及び参照電極102の周囲は、所定のスペース(電気的に接続しないように空間的に絶縁されている)を有して設けられたグランド電極103により囲まれている。ここで、参照電極102は全てが電気的に接続されて配設されている。
すなわち、本発明で使用する容量検出型センサは、トランジスタ等によるスイッチング素子を有さない、外部から駆動配線及び検出配線に加えられる制御信号により動作する容量検出型センサの一例であり、図1の検出電極101を拡大した図3及びこの図3の線分Bによる線示断面図である図4に示すように、センサ基板104上に駆動配線112と検出配線113とをマトリクス状に配設されたものであり、駆動配線112と検出配線113との交差部において、この駆動配線112から延在された駆動電極105と、この駆動電極105と対をなし、駆動電極105に隣接して検出配線113から延在された感知電極106と、層間絶縁膜107を介して駆動電極105及び感知電極106上部に配設されたフローティング状の検出電極101とを有し、被検出物109と検出電極101との距離(容量結合状態)に応じて変化する、駆動電極105から感知電極106に流れる変位電流を検出する。
【0018】
ここで、図3に示すように、駆動電極105及び感知電極106とが上記検出電極101と重なるように形成され、すなわち、容量結合されており、駆動電極105から感知電極106に対して、この検出電極101を介して変位電流が流れる構成となっている。
この図3において、駆動電極105及び感知電極106とは、同一層で形成して検出電極101と容量結合させることが望ましく、また、駆動配線112及び検出配線113が異なる配線層で形成されているため、駆動配線112から延在させる感知電極105はコンタクト114により電気的に接続されている。
【0019】
また、検出電極101の上面には、この検出電極101を保護するためのパッシべーション膜110が設けられることもある。
図2に戻り、駆動回路から検出パルスが駆動電極105に対して出力されると、被検出物、例えば指109が検出電極101に対して十分な距離を有している場合(指109が触れていないまたは指109の谷線が検出電極101に対応した場合)、検出電極101と指109との容量Cxが非常に小さいため、駆動電極105に与えられた検出パルスの電圧に対応した変位電流が検出電極101を介在して、感知電極106に流れることになる。ここで、図におけるZは所定のインピーダンス値である。
【0020】
一方、被検出物、例えば指109が検出電極101に対して近傍にある場合(指109の隆線が検出電極101に対応した場合)、検出電極101と指109との容量Cxが無視できない値となり(人体の電位によりシールドされ)、駆動電極105に与えられた検出パルスの電圧に対応した変位電流が検出電極101を介在して、指109及び感知電極106の双方に流れ、感知電極106に流れる変位電流が減少することになる。
これにより、指109における指紋の谷線と隆線との距離に応じて、駆動電極105と感知電極106との結合(カップリング)度合いがアナログ的に変化して、変位電流がこれに伴い変化するので、この変化量を検出することで、指紋の凹凸の度合いを検出する。
【0021】
次に、本発明の一実施形態による上述したセンサ素子の容量変化を検出する容量検出回路を図面を参照して説明する。図5は同実施形態の構成例を示すブロック図である。
センサ部1は、駆動配線群2の複数の駆動配線112と、検出配線群3の複数の検出配線113とがマトリクス状に交差し、図1から図4において説明したセンサ素子により形成されている。
また、図6は、センサ部1の駆動配線112および検出配線113間の容量素子(センサ素子)55のマトリクスを示す概念図である。
センサ部1は、マトリクス状のセンサ素子55,55・・・から構成され、列配線駆動部4と容量検出回路100とが、各々駆動配線112,検出配線113を介して接続されている。すなわち、列配線駆動部4に制御される駆動配線群2と、検出配線113を選択する初段セレクタ5に入力される検出配線群3とが交差し、交差部がセンサ素子55を形成している。
【0022】
列配線駆動部4は、駆動配線112に印加する駆動パルスを生成し、駆動配線群2の駆動配線112に供給する。
容量検出回路100は、初段セレクタ回路5,チャージアンプ回路6,差動検出回路7,参照電位入力回路8,サンプルホールド回路9,後段セレクタ回路10,A/D変換回路11,演算制御回路12及びタイミング制御回路13を有している。
以下、容量検出回路100の説明を行う。
【0023】
初段セレクタ回路5は、検出配線群3が所定の本数ずつの検出配線113毎に分割された複数の検出配線ブロック毎に設けられており、この検出配線ブロックからいずれか1本の検出配線113を選択し、選択した検出配線を、チャージアンプ回路6を介して、差動検出回路7の非反転入力端子に接続する。
通常、指紋の凹凸は、200μmから500μm程度の周期と言われており、単純に隣接ラインとの差電圧を検出する場合、指紋の凹凸による信号の変化は小さくなる。
そこで各検出ブロックに含まれる検出配線113の数を適切に設定することにより、各検出ブロック間で選択されるため、差電圧を求める際の、各々の検出配線の距離が保てることとなり、隣接する検出ブロック間の差電圧の信号レベルは比較的大きくなるため、S/N比の面で有利となる。
【0024】
チャージアンプ回路6は、電流を電圧に変換するものであり、初段セレクタ回路5から入力される検出配線113に流れるセンサ素子55の変位電流を電圧信号に変換して、自身の所属する検出配線113の検出配線ブロックに対応する差動検出回路7の(+)端子、すなわち非反転入力端子と、近傍の他の検出配線ブロックに対応する差動検出回路7の(−)端子、すなわち反転入力端子とへ出力する。
ここで、チャージアンプ回路6は、図7に示すように、差動増幅器121の出力端子が反転入力端子と出力端子との間に、帰還容量125(容量値Cf)と、この帰還容量125の電荷を放電させるためのアナログスイッチ124とが並列に接続され、非反転入力端子に所定の電圧が電圧基準として入力されている。
また、チャージアンプ回路6のアナログスイッチ124は、通常オフ(オープン)状態であり、タイミング制御回路13からリセット信号が入力されると、アナログスイッチ124をオン状態とし、帰還容量125の電荷を放電する。
【0025】
差動検出回路7は、他の検出配線ブロックに対応するチャージアンプ回路6から反転入力端子に入力される電圧信号と、自身の検出配線ブロックに対応するチャージアンプ回路6から非反転入力端子に入力される電圧信号との差分値を検出して、すなわち、近傍の検出配線に流れる変位電流による電圧の差を差動信号として出力する。
参照電位入力回路8は、図1に示す参照電極102に近接した被検出物109のノイズを含んだ電位を参照電位として入力して、差動検出回路7のいずれか一つの反転入力端子にこの参照電位を出力する。
【0026】
図1における参照電極102は、すでに述べたように、各々がフローティング状態に形成されているわけではなく、全てが電気的に参照電位検出配線15に接続されている。
このため、各参照電極102に入力される電位は、混合されることで平均化され、被検出物109の凹凸による影響をほとんど受けることなく、参照電位として用いることが可能となる。
【0027】
また、参照電極102は配線抵抗や配線容量を考慮しなければ、被検出物109からノイズ信号をそのまま伝達する配線として機能することになる。
このとき、検出電極101から入力される検出信号に重畳しているノイズ成分と、参照電極102から入力されるノイズ成分とは同相とみなせるが、センサ部1における検出電極101と参照電極102とで、構造やノイズ信号の伝搬の状態が異なるため、フローティング状態にある検出電極101から混入するノイズ成分と、参照電極102から入力されるノイズ信号とのレベルは異なっている。
【0028】
そのため、参照電位入力回路8は、反転入力端子に直列に接続されている入力容量128(容量値CIR)を介して入力される、参照電極102からのノイズ信号による電流を電圧に変換するものであり、図8に示すように、差動増幅器122において反転入力端子と出力端子の間に接続された帰還容量127と、この帰還容量127(容量値CFR)の電荷を放電させるためのアナログスイッチ126とが並列に接続されて構成され、非反転入力端子に所定の電圧が電圧基準として入力されている。
【0029】
これにより、参照電位入力回路8は、帰還容量127の容量値をチャージアンプ回路の帰還容量125と同様とすると、入力容量128と帰還容量127との容量比を適切に調整することにより、検出電極101から入力されるノイズ成分と、参照電極102から入力されるノイズ成分との電圧レベルを、差動検出回路7に入力する段階において概略同一とすることが可能となる。
また、参照電位入力回路8のアナログスイッチ126は、通常オフ(オープン)状態であり、タイミング制御回路13からリセット信号が入力されると、アナログスイッチ126をオン状態とし、帰還容量127の電荷を放電する。
【0030】
サンプルホールド回路9は、タイミング制御回路13から、サンプルホールド(S/H)信号が入力されることにより、このサンプルホールド信号に同期して、検出配線113の検出配線ブロックに対応する差動検出回路7からの差動信号の電圧レベルを電圧情報として一時的に保持する。
後段セレクタ回路10は、上記複数のサンプルホールド回路9から入力される電圧情報を、タイミング制御回路13からの切り替え信号により、順次1つずつ選択して次段のA/D変換回路11へ出力する。
A/D変換回路11は、演算制御回路12から入力されるA/Dクロックに同期して、後段セレクタ回路10から出力される電圧情報の電圧レベルを、デジタル値に変換し、上記演算制御回路12へ出力する。
【0031】
また、差動検出回路7は、検出配線群3が分割された複数の検出配線ブロック単位毎に設けられており、すでに述べたように、他の検出配線ブロックに対応するチャージアンプ回路6から反転入力端子に入力される電圧信号と、自身の検出配線ブロックに対応するチャージアンプ回路6から非反転入力端子に入力される電圧信号との差分値を検出する。
しかしながら、最初の上記検出配線ブロックに対応する差動検出回路7の反転入力端子には対応する他の検出配線ブロックが存在しないため、ノイズ成分を含む参照電位を出力する参照電位入力回路8からの参照電位が入力される。
これにより、最初の検出配線ブロックに対応する差動検出回路7は、チャージアンプ回路6から入力される検出信号に含まれるノイズ成分を差動検出によりほぼ除去することができる。
【0032】
ここで、差動検出回路7は、図9に示すように、差動増幅器123は、非反転入力端子に抵抗130を介して所定の電圧が電圧基準として入力されており、反転入力端子が抵抗131を介して出力端子に接続され、反転入力端子に直列に抵抗132が接続され、非反転入力端子に直列に抵抗133が接続されている。これにより、差動増幅器123は、抵抗130,131,132及び133各々の抵抗値により設定された増幅度により、抵抗132を介して入力される電圧信号と、抵抗133を介して入力される電圧信号との差分値の増幅を行う。
【0033】
また、初段セレクタ回路5は、例えば、図10に示す構成をしている。
この初段セレクタ回路5は、検出配線群3の検出配線113の数を256本とした場合、例えば8つの検出配線ブロックに分割されていると、それぞれの検出配線ブロック毎に設けられるため、容量検出回路100内に8つ配設されることとなる。
初段セレクタ回路5各々は、検出配線ブロック内の検出配線113である検出配線R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7…各々が接続されたスイッチ端子S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,…を有している。
また、初段セレクタ回路5は、出力端子Soが次段のチャージアンプ回路6の入力端子に接続されており、順次、タイミング制御回路13からの切り替え信号により、出力端子Soがスイッチ端子S1,S2,…,S7,…に接続する。
【0034】
これにより、初段セレクタ回路5は、検出配線ブロック内のR1,R2,R3,R4,R5,R6,R7…の検出信号を、順次、次段のチャージアンプ回路6へ出力する。
タイミング制御回路13は、行配線群3の分割された各検出配線ブロックそれぞれから1本の検出配線を順次選択するため、すなわち、これらの検出配線を測定する近傍の検出配線単位とするため、時系列に接続する切り替え信号を、上述したように、初段セレクタ回路5へ出力する。
【0035】
次に、上記構成からなる、本発明の一実施形態に係る容量検出回路100の動作例を、図5及び図10を参照して説明する。
演算制御回路12が外部から容量検出の開始、すなわち指紋センサ(センサ部1)での指紋の採取を行う信号が入力されたとする。
これにより、演算制御回路12は、タイミング制御回路13に対して、検出開始を指示する開始信号を出力する。次に、タイミング制御回路13は、初段セレクタ回路5に、順次、所定の検出間隔にて切り替え信号を出力する。
そして、初段セレクタ回路5は、時系列に入力される上記切り替え信号により、順次、内部各スイッチの切り替えを行う(各時刻から開始される測定に対応させる)。
【0036】
図10(a)に示すように、時刻t1において(時刻t1から開始される測定期間において)、初段セレクタ回路5各々は、検出配線ブロック内の検出配線R1の接続されたスイッチ端子S1を出力端子Soへ接続し、検出配線R1の検出信号を次段のチャージアンプ回路6の入力端子へ出力する。
このとき、初段セレクタ回路5は、他のスイッチ端子S2〜S7,…をフローティング状態または、グランドかチャージアンプ回路6の基準電位のいずれかに接続した状態とする。
【0037】
そして、タイミング制御回路13は、チャージアンプ回路6,差動検出回路7及び列配線駆動部4に対してリセットを供給し、これらチャージアンプ回路6,差動検出回路7と列配線駆動部4とを初期化し、列配線駆動部4がクロックの入力に同期して、駆動配線群2における駆動配線112に駆動パルスを出力するよう初期設定を行う。
ここで、図示しないが、駆動配線群2は、複数の駆動配線112から構成され、測定において順次選択されて駆動パルスが出力される。
【0038】
次に、タイミング制御回路13は、列配線駆動部4に対してクロックを出力し、列配線を駆動する駆動パルスを出力させる(Hレベルに立ち上げる)。
これにより、列配線駆動部4は、駆動配線群2における所定の駆動配線112に対して、上記クロックに同期して、駆動パルスを出力する。
そして、チャージアンプ回路6各々は、初段セレクタ回路5を介して入力される、印加された上記駆動パルスの電圧レベルとセンサ素子55の容量とによる変位電流(検出電流)を、電圧信号に変換して、次段の差動検出回路7に対して、測定電圧として出力する。
【0039】
これにより、差動検出回路7は、自身に対応する検出配線ブロックにおいて選択された検出配線R1の検出信号に対応する測定電圧を非反転入力端子に入力し、他の検出配線ブロック、例えば組合せとして指定される隣接する検出配線ブロックからの測定電圧を反転入力端子に入力し、両電圧の差分を所定の増幅を行い、差電圧として出力する。
ここで、他検出配線ブロックとの組合せから外れた差動検出回路7(例えば図5の差動検出回路71)は、反転入力端子に参照電位入力回路8の出力する参照電位が入力されることとなる。
【0040】
次に、タイミング制御回路13は、駆動パルスの印加から所定の時間間隔が経過した後、サンプルホールド回路9にサンプルホールド(S/H)信号を出力する。
これにより、サンプルホールド回路9は、入力される上記サンプルホールド信号に同期して、差動検出回路7の出力している差電圧の電圧レベルを一時的に保持し(電圧情報として記憶し)、この電圧レベルと同一の電圧レベルの信号を、後段セレクタ回路10に対して出力する。
そして、列配線駆動部4は、サンプルホールド信号に同期して、駆動パルスの出力を停止する(Lレベルに立ち下げ)。
【0041】
次に、タイミング制御回路13は、各サンプルホールド回路9の出力する差電圧の電圧情報を、順次選択してA/D変換回路11へ出力させる切り替え信号を、後段セレクタ回路10に対して出力する。
この時点では、タイミング制御回路13は、差動検出回路7(71)からの差電圧の電圧情報をA/D変換回路11へ出力させる切り替え信号を、後段セレクタ回路10に対して出力する。
これにより、後段セレクタ回路10は、順次入力される上記切り替え信号により、各サンプルホールド回路9から入力される複数の差電圧の電圧情報を、この切り替え信号に同期させて選択して出力する。
次に、タイミング制御回路13は、この切り替え信号を出力して所定の時間が過した後、演算制御回路12に変換信号を出力する。
【0042】
そして、演算制御回路12は、上記変換信号に同期して、A/D変換回路11に対してA/Dクロックを出力する。
これにより、A/D変換回路11は、上記A/Dクロックに同期して、後段セレクタ回路10から入力されている電圧レベルを、デジタルデータの測定データに変換し、この測定データを演算制御回路12へ出力する。
このときの測定データは、
d1=V1−Vref+Vofs
である。ここで、V1は差動検出回路7(71)の非反転入力端子に入力される1番目の検出配線ブロックの行配線R1に流れる電流を電圧に変換した値であり、Vrefは参照電位入力回路8から入力される参照電位の電圧値であり、Vofs出力データを符号ビットなしの8ビット値(ビット数は任意)で表すためのオフセット値である。
【0043】
次に、タイミング制御回路13は、後段セレクタ回路10に対して、各サンプルホールド回路9の出力する差電圧の電圧情報を、順次選択してA/D変換回路11に対して出力させる切り替え信号を出力する。
この時点では、タイミング制御回路13は、差動検出回路7(72)からの差電圧の電圧情報をA/D変換回路11へ出力させる切り替え信号を、後段セレクタ回路10に対して出力する。
これにより、後段セレクタ回路10は、順次入力される上記切り替え信号により、差動検出回路7(72)に対応するサンプルホールド回路9から入力される差電圧の電圧情報を、この切替信号に同期させて選択して出力する。
次に、タイミング制御回路13は、この切り替え信号を出力して所定の時間が過した後、演算制御回路12に変換信号を出力する。
【0044】
そして、演算制御回路12は、上記変換信号に同期して、A/D変換回路11に対してA/Dクロックを出力する。
これにより、A/D変換回路11は、上記A/Dクロックに同期して、後段セレクタ回路10から入力されている電圧レベルを、デジタルデータの測定データに変換し、この測定データを演算制御回路12へ出力する。
このときの測定データは、
d2=V2−V1+Vofs
である。ここで、V2は差動検出回路7(72)の非反転入力端子に入力される2番目の検出配線ブロックの検出配線R1に流れる電流を電圧に変換した値である。
【0045】
上述した処理を、タイミング制御回路13は、検出配線群3を分割した検出配線ブロックの数(n個)の回数分繰り返して、各検出配線ブロックの検出配線R1の検出信号に対応する差電圧の電圧情報dを、演算制御回路12に全て取得させる。
次に、タイミング制御回路13は、図10(b)に示すように、時刻t2において(時刻t2から開始される測定において)、検出配線ブロック内の検出配線R2の検出信号を出力させる切り替え信号を、初段セレクタ回路5に対して出力する。
これにより、初段セレクタ回路5各々は、検出配線ブロック内の検出配線R2の接続されたスイッチ端子S2を出力端子Soへ接続し、検出配線R2の検出信号を次段のチャージアンプ回路5の入力端子へ出力する。
このとき、初段セレクタ回路5は、他のスイッチ端子S1,S3〜S7,…をフローティング状態または、グランドかチャージアンプ回路6の基準電位のいずれかに接続した状態とする。
なお、上述した後段セレクタ回路10の切替え動作とA/D変換回路11のA/D変換処理は、次の検出電圧をサンプルホールド回路9でサンプルホールドする期間の前に完了させるように、時間的にオーバーラップさせてもよい。
【0046】
次に、タイミング制御回路13は、すでに説明した各検出配線ブロックの検出配線R1の検出信号に対してと同様な測定処理を行う。
そして、タイミング制御回路13は、時刻t3以降においても、同様な処理を行い、各検出配線ブロックの全ての検出配線R1,…の測定処理が終了すると、すなわち検出配線群3がn個の検出配線ブロックに分割され、各検出配線ブロックが検出配線R1〜Rmのm本で構成されているとすると、各検出配線ブロックの検出配線R1の測定が開始され、各検出配線ブロックの検出配線Rm測定まで、各検出配線の測定において駆動配線103が駆動パルスにより活性化されて測定が行われる。
これにより、演算制御回路12には、駆動配線112と、検出配線R1〜Rn(×m)とにおける各交差部の容量に対応した測定データd1〜dn(×m)が、1本の駆動配線112に対応して記憶されている。
【0047】
ここで、駆動配線群2が例えば255本の駆動配線から構成されているとすると、上記処理を駆動配線群2における他の駆動配線112の254本分についても、参照電位及び各検出配線ブロックから選択された1本の検出配線の検出信号との組合せの測定を行い、各駆動配線に対応する測定データを得、演算制御回路12に各駆動配線に対応して記憶される。
ここで、初段セレクタ回路5は、検出配線ブロックに含まれる検出配線の測定が全て終了すると、タイミング制御回路13に対して、検出配線測定終了を示す信号を出力する。
【0048】
そして、タイミング制御回路13は、検出配線測定行配線対終了を示す上記信号が入力されると、次の列配線駆動部4に対するクロックの前に、列配線駆動部4が、次の駆動配線112に対して駆動パルスを出力するように設定を変更する制御信号を出力する。
これにより、タイミング制御回路13は、次にクロックが入力されると、このクロックに同期して、検出配線群3が分割された各検出配線ブロックにおいて、新たに検出配線R1から選択されるよう、初段セレクタ回路5を初期化し、1本目の駆動配線112を駆動したときと同様に、2本目の駆動配線112に対して駆動パルスを出力し、2本目の駆動配線112と各検出配線113との交差部におけるセンサ素子55の容量測定を行う。
このように、演算制御回路12は、駆動配線群2における全ての駆動配線112に渡り、順次、駆動配線を駆動することで、検出配線群3の各検出配線ブロックにおける検出配線間での差電圧の測定が終了すると、得られた差電圧の測定データから、各交差部のセンサ素子55の容量に対応した電圧データを求める演算を行う。
【0049】
ここで、演算制御回路12は、得られた測定データを、駆動配線単位において、各検出配線ブロックで順次選択される検出配線の組み、例えば各検出配線ブロックの検出配線R1の組みや検出配線R2等の組み毎に累積的に加算していくことにより、各列配線と行配線との各交差部の容量に対応した電圧データを求めることが出来る。
例えば、1本目の駆動配線112と、各検出配線ブロックにおける検出配線R1の交差部のセンサ素子55の容量に対応する演算を行う。
演算制御回路12は、参照電位の電圧データをdr(すなわちVref)とし、駆動配線112と1番目の検出配線ブロックにおける検出配線R1との交差部のセンサ素子55の容量に対応する測定データをd1(時刻t1における測定データ)とし、求めるこの交差部の電圧データをds1とすると、電圧データds1は
ds1=d1+dr=V1−Vref+Vofs+Vref=V1+Vofs
表すことができる。
【0050】
また、同様に、駆動配線112と2番目の検出配線ブロックにおける検出配線R1との交差部のセンサ素子55の容量に対応する測定データをd2とし、また、3番目の検出配線ブロックにおける検出配線R1との交差部のセンサ素子55の容量に対応する測定データをd3とすると、求める各々の交差部の電圧データをds2,ds3としたとき、
ds2=d2+ds1=V2−V1+V1+Vofs=V2+Vofs
ds3=d3+ds2=V3−V2+V2+Vofs=V3+Vofs
と、順次、測定データを累積加算することにより、各交差部の容量に対応した電圧値を得ることができる。
【0051】
次に、上述した測定においては、駆動パルスの立ち上がり(第2の電圧から第1の電圧への遷移;第1の電圧>第2の電圧)における容量測定のみを行っているが、駆動パルスの立ち上がり及び立ち下がり(第1の電圧から第2の電圧への遷移における測定を行うことにより、時間的差動演算により不要なオフセットを除去することができ、計算精度を向上させることができる。
すなわち、上述した駆動パルスの立ち上がりのみ用いた測定においては、図11に示すように、出力OUTがアンプの基準電位から下降する場合も、上昇する場合も、アナログスイッチ124(または126)のフィードスルー電流によるオフセットVkが+方向に発生する。
図11は、チャージアンプ回路6における差動増幅器121(または参照電位入力回路8における差動増幅器122)の動作を示す波形図である。この実施形態のように、検出対象の交差部の容量値が数十から数百フェムトファラッドの場合はこのフィードスルーによるオフセットを無視できない。
【0052】
上記の参照電位の測定において、(差動増幅器122における測定)
−Vuref0=−Vuref+Vka
が検出対象の容量値に比例する電圧となるが、測定される電圧はVurefであり、この電圧Vurefにはオフセットによる誤差Vkが含まれてしまう。
Vuref=Vuref0+Vka
そこで、この実施形態においては、参照検出対象容量CSRの放電時の電圧Vdrefも測定する。(参照電極102は意図的に駆動パルスにより駆動されていないが、近傍を駆動配線が通るので、実効的な参照検出対象容量CSRが生じる。)
ここで、電圧Vdref0が以下に示すように、
Vdref0=Vdref−Vka
が容量CSRに比例する電圧であり、測定される電圧は
Vdref=Vdref0+Vka
となる。
【0053】
同様に、1番目の検出配線ブロックにおける検出配線R1の測定において、(差動増幅器121における測定)
−Vu10=−Vu1+Vkb
が検出対象の交差部の容量値に比例する電圧となるが、測定される電圧はVu1であり、この電圧Vu1にはオフセットによる誤差Vkが含まれてしまう。
Vu1=Vu10+Vkb
そこで、この実施形態においては、検出対象容量Csの放電時の電圧Vd1も測定する。
ここで、電圧Vd10が以下に示すように、
Vd10=Vd1−Vkb
が容量Csに比例する電圧であり、測定される電圧は
Vd1=Vd10+Vkb
となる。
【0054】
そして、差動検出回路7は、駆動パルスの立ち上がり時には、増幅度を「1」とすると
Vsu1=Vu1−Vuref+Vof
=Vu10+Vkb−(Vuref0+Vka)+Vof
=Vu10−Vuref0+Vkb−Vka+Vof
となる。VofはA/D変換回路11におけるオフセット成分である。
同様に、差動検出回路7は、駆動パルスの立ち下がり時には、
Vsd1=Vd1−Vdref+Vof
=Vd10+Vkb−(Vdref0+Vka)+Vof
=Vd10−Vdref0+Vkb−Vka+Vof
と求められる。
【0055】
これらの測定電圧Vsu1及びVsd1が順次サンプルホールド回路9において保持され、次いでホールドされた電圧を、A/D変換回路11により各々測定電圧毎に、測定データdsu1及びdsd1にA/D(アナログ/デジタル)変換し、演算制御回路12内のメモリに記憶させる。
そして、演算制御回路12において、
d1=dsd1−dsu1+Vofs
=(Vd10−Vdref0+Vkb−Vka+Vof)
−(Vu10−Vuref0+Vkb−Vka+Vof)+Vofs
=Vd10−Vu10−(Vdref0−Vuref0)+Vofs
となる演算を行い、これにより、フィードスルー電流によるオフセット誤差及びA/D変換回路11における変換時のオフセットVofを含まない測定値測定データdを得ることができる(ここで、Vofsは、出力データを符号ビットなしの8ビット値(ビット数は任意)で満たすためのオフセット値)。
【0056】
以降の各交差部のセンサ素子55の容量に対応した電圧データdsを求める処理は、すでに述べた累積加算を行う方法と同様である。
上述の説明において、容量検出回路100が、検出処理により得られた測定データを一時的に保持し、駆動配線群2における全ての駆動配線に渡り容量測定が終了した後に、センサ部1における各交差部のセンサ素子55の容量に対応させて電圧データを求める演算を行うように記述した。しかしながら、容量検出回路100が、得られた測定データを随時累積加算して、容量検出の動作と並行して(ほぼ同時に)電圧データを求める演算を行うようにしてもよい。
【0057】
また、参照電位入力回路8における入力容量128の容量値の設定、すなわち、入力容量128及び帰還容量127とで設定されるゲインについては以下のように決定することとなる。
選択される各検出配線113に誘導されるノイズ成分に対するチャージアンプ回路6のゲインは、各センサ素子55の容量値の総和Csumと、周辺の他の検出配線113から容量結合される容量Cextとの合計値である、下記の式によるノイズ成分に対する実質的な入力容量Csnに関係している。
Csn=Csum+Cext
したがって、チャージアンプ回路6の帰還容量CFとしたとき、各検出配線113に誘導されるノイズのゲインGsnは、以下の式により定義される。
Gsn=CF/Csn
【0058】
一方、ノイズ成分を含む参照電位検出配線15に誘導されるノイズ成分に対する参照電位入力回路8のゲインは、参照電極2がキャパシタの構造として形成されない場合、参照電位検出配線105と差動増幅器122との間に直列に設けられた入力容量128の容量値CIRと、及び帰還容量127の容量値CFRから、参照電位検出配線15に誘導されるノイズのゲインGrnは、以下の式により定義される。
Grn=CFR/CIR
【0059】
ここで、ノイズの同相成分を差動検出回路7により除去するため、各検出配線113に誘導されるノイズのゲインGsnと、参照電位検出配線15に誘導されるノイズのゲインGrnとが、以下の式に示すように、ほぼ同一の数値である必要がある。
Gsn=(CF/Csn)≒Grn=(CFR/CIR)
したがって、
CIR≒(CFR×Csn)/CF
となる。
ここで、本実施形態の場合、差動検出回路7及び参照電位入力回路8における帰還容量を同一の値CFとするため、
CIR≒Csn
と簡略化される。
【0060】
また、センサ部1における検出電極101,参照電極102及びグランド電極103の配置構成としては、図1に示す構成ではなく、図12に示すように基準電極102及びグランド電極103各々を櫛状に形成して、互い違いに検出電極101を挟み込むように構成してもよい。
【0061】
しかしながら、各検出配線113にかかる実質的な入力容量Csnは、センサ部1の構造とノイズ成分の迂回成分に起因するため、シミュレーションのみでは計算できない場合が多い。
このため、参照電位検出配線15に対応する入力容量208の容量値を暫定的にCIR1と設定しておき、センサ部1の作成後に観測されるノイズのゲインをGrn1としたとき、入力容量208の補正値CIR'は以下の式により記述することができる。
CIR'≒(Gsn×CIR)/Grn1
したがって、参照電位検出配線15に対応する入力容量208を上記CIR'の容量値に変更すれば、検出配線113に誘導されるノイズのゲインGsnと、参照電位検出配線15に誘導されるノイズのゲインGrnとを略同一に設定することができる。
【0062】
なお、図5における容量検出回路100の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより容量検出の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0063】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態による容量検出型センサの一構成例の構造を示す平面図である。
【図2】図1の容量検出型センサの線分Aにおける断面構造を示す概念図である。
【図3】図1の容量検出型センサにおける検出電極101部分の構造を示す詳細図である。
【図4】図3の検出電極101部分の線分Bにおける断面構造を示す線示断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による容量検出回路及び図1の容量検出型センサを用いた指紋センサの一構成例を示すブロック図である。
【図6】図5のエリアセンサ型(2次元センサ)であるセンサ部1において、駆動配線112及び検出配線113との各々の交差部で形成されるセンサ素子55の構成例を説明する概念図である。
【図7】図5のチャージアンプ回路6の構成例を示すブロック図である。
【図8】図5の参照電位入力回路8の構成例を示すブロック図である。
【図9】図5の差動検出回路7の構成例を示すブロック図である。
【図10】図5の初段セレクタ回路5の構成例を示すブロック図である。
【図11】図7の差動増幅器121及び図8の差動増幅器122の動作を説明する波形図である。
【図12】本発明の一実施形態による容量検出型センサの一構成例の他の構造を示す平面図である。
【図13】従来例の容量検出型センサに用いられているチャージアンプ回路の構成を示す概念図である。
【図14】従来の容量検出型センサの平面構造を示す平面図である。
【符号の説明】
【0065】
1…センサ部 2…駆動配線群
3…検出配線群 4…列配線駆動部
5…初段セレクタ回路 6…チャージアンプ回路
7,71,72,7n…差動検出回路 8…参照電位入力回路
9…サンプルホールド回路 10…後段セレクタ回路
11…A/D変換回路 12…演算制御回路
13…タイミング制御回路 112…駆動配線
113…検出配線 121,122,123…差動増幅器
124,126…アナログスイッチ 125,127…帰還容量
128…入力容量 131,132,133…抵抗
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動配線に対して検出配線が交差して配線されると共に、交差する駆動配線及び検出配線間で容量を形成する検出電極がセンサ面内に形成され、被検出物によって変化する前記検出電極の容量変化を電圧値として検出する容量検出回路であり、
前記駆動配線を駆動させる列配線駆動手段と、
複数の検出配線から所定の検出配線を選択する検出配線選択手段と、
前記検出電極の近傍に配置され、被検出物の電位を参照電位として検出する参照電極と、
前記参照電位と、前記検出電極の容量に対応した電流から求めた検出電位とに基づいて、前記容量変化に対応した電圧値を求める容量演算部と
を有することを特徴とする容量検出回路。
【請求項2】
前記検出配線選択手段が第1及び第2の検出配線を選択し、
前記容量演算部が、
前記第1及び第2の検出配線に対応する各交差部の容量に対応する電流値を差動増幅し、前記検出電位として出力する検出電位出力手段と、
時系列に入力される前記検出電位により、前記各交差部の容量に対応する電圧値を求める演算手段と
を有することを特徴とする請求項1記載の容量検出回路。
【請求項3】
前記検出配線選択手段が、
検出期間において、
前記第1の検出配線として、前記参照電極が接続された参照電位検出配線と、第2の検出配線として前記参照電位検出配線近傍の検出配線とを選択した後に、
前記複数の検出配線から近傍にある検出配線を、第1及び第2の検出配線として選択し、
前記演算手段が時系列に入力される検出電位を累積的に加算演算して、前記検出電極の容量に対応する電圧値を求めることを特徴とする請求項2記載の容量検出回路。
【請求項4】
前記検出配線選択手段が、
前記検出期間内で前記第1及び第2の検出配線としてそれぞれ選択された参照電位検出配線及びこの参照電位検出配線近傍の検出配線に連続して、順次、近傍の検出配線を、それぞれ第1及び第2の検出配線として選択することを特徴とする請求項3記載の容量検出回路。
【請求項5】
第1の検出配線と第2の検出配線とに流れる電流値から前記検出電位を求める差動アンプが、差動増幅を行う検出配線毎に複数設けられており、所定の差動アンプが前記参照電位検出配線及び第1の検出配線間の検出電位を求め、他の複数の差動アンプが該第1の検出配線を含めた検出配線間の検出電位を求めることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の容量検出回路。
【請求項6】
前記複数の検出配線が検出配線群に分割されており、この検出配線群毎に前記検出配線選択手段を有し、前記演算手段が前記検出配線選択手段が各々選択する検出配線を単位として、前記検出電極の容量に対応する電圧値を求めることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載の容量検出回路。
【請求項7】
前記参照電極が前記センサ面に複数設けられており、該参照電極各々が電気的に接続されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の容量検出回路。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の容量検出回路を有することを特徴とする指紋センサ。
【請求項9】
複数の駆動配線に対して検出配線が交差して配線されると共に、交差する駆動配線及び検出配線間で容量を形成する検出電極がセンサ面内に形成され、被検出物によって変化する前記検出電極の容量変化を電圧値として検出する容量検出方法であり、
前記駆動配線を駆動させる列配線駆動過程と、
複数の検出配線から所定の検出配線を選択する検出配線選択過程と、
前記検出電極の近傍に配置された参照電極により、被検出物の電位を参照電位として検出する参照電位検出過程と、
前記参照電位と、前記検出電極の容量に対応した電流から求めた検出電位とに基づいて、前記容量変化に対応した電圧値を求める容量演算過程と
を有することを特徴とする容量検出方法。
【請求項1】
複数の駆動配線に対して検出配線が交差して配線されると共に、交差する駆動配線及び検出配線間で容量を形成する検出電極がセンサ面内に形成され、被検出物によって変化する前記検出電極の容量変化を電圧値として検出する容量検出回路であり、
前記駆動配線を駆動させる列配線駆動手段と、
複数の検出配線から所定の検出配線を選択する検出配線選択手段と、
前記検出電極の近傍に配置され、被検出物の電位を参照電位として検出する参照電極と、
前記参照電位と、前記検出電極の容量に対応した電流から求めた検出電位とに基づいて、前記容量変化に対応した電圧値を求める容量演算部と
を有することを特徴とする容量検出回路。
【請求項2】
前記検出配線選択手段が第1及び第2の検出配線を選択し、
前記容量演算部が、
前記第1及び第2の検出配線に対応する各交差部の容量に対応する電流値を差動増幅し、前記検出電位として出力する検出電位出力手段と、
時系列に入力される前記検出電位により、前記各交差部の容量に対応する電圧値を求める演算手段と
を有することを特徴とする請求項1記載の容量検出回路。
【請求項3】
前記検出配線選択手段が、
検出期間において、
前記第1の検出配線として、前記参照電極が接続された参照電位検出配線と、第2の検出配線として前記参照電位検出配線近傍の検出配線とを選択した後に、
前記複数の検出配線から近傍にある検出配線を、第1及び第2の検出配線として選択し、
前記演算手段が時系列に入力される検出電位を累積的に加算演算して、前記検出電極の容量に対応する電圧値を求めることを特徴とする請求項2記載の容量検出回路。
【請求項4】
前記検出配線選択手段が、
前記検出期間内で前記第1及び第2の検出配線としてそれぞれ選択された参照電位検出配線及びこの参照電位検出配線近傍の検出配線に連続して、順次、近傍の検出配線を、それぞれ第1及び第2の検出配線として選択することを特徴とする請求項3記載の容量検出回路。
【請求項5】
第1の検出配線と第2の検出配線とに流れる電流値から前記検出電位を求める差動アンプが、差動増幅を行う検出配線毎に複数設けられており、所定の差動アンプが前記参照電位検出配線及び第1の検出配線間の検出電位を求め、他の複数の差動アンプが該第1の検出配線を含めた検出配線間の検出電位を求めることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の容量検出回路。
【請求項6】
前記複数の検出配線が検出配線群に分割されており、この検出配線群毎に前記検出配線選択手段を有し、前記演算手段が前記検出配線選択手段が各々選択する検出配線を単位として、前記検出電極の容量に対応する電圧値を求めることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載の容量検出回路。
【請求項7】
前記参照電極が前記センサ面に複数設けられており、該参照電極各々が電気的に接続されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の容量検出回路。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の容量検出回路を有することを特徴とする指紋センサ。
【請求項9】
複数の駆動配線に対して検出配線が交差して配線されると共に、交差する駆動配線及び検出配線間で容量を形成する検出電極がセンサ面内に形成され、被検出物によって変化する前記検出電極の容量変化を電圧値として検出する容量検出方法であり、
前記駆動配線を駆動させる列配線駆動過程と、
複数の検出配線から所定の検出配線を選択する検出配線選択過程と、
前記検出電極の近傍に配置された参照電極により、被検出物の電位を参照電位として検出する参照電位検出過程と、
前記参照電位と、前記検出電極の容量に対応した電流から求めた検出電位とに基づいて、前記容量変化に対応した電圧値を求める容量演算過程と
を有することを特徴とする容量検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−71579(P2006−71579A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258232(P2004−258232)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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