説明

密封装置

【課題】外装リップを備えたものでありながら回転トルクの増大を抑え、シール性に優れ且つシール寿命の長い密封装置を提供する。
【解決手段】相互に軸回転する同心の外側部材6及びフランジ部4dを有する内側部材3間に装着され、前記外側部材に圧入嵌合される芯金10と、該芯金に一体に固着されたシールリップを備えた弾性シール部材11とよりなる密封装置8であって、前記シールリップは、前記フランジ部に弾性摺接するサイドリップ13と、前記サイドリップの更に外径側にあって前記フランジ部に向くよう形成される外装リップ12とを備え、前記外装リップには前記フランジ部に向かって突き出た突出部12aが形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封装置に関し、特に自動車用車輪を回転自在に支持するハブベアリングにおいて、ハブフランジ側の外輪とハブ輪との間に装着される密封装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような密封装置としては、下記特許文献1〜下記特許文献3のような密封装置が挙げられる。
下記特許文献1及び下記特許文献2には、密封装置が外側部材の内周端部に装着されハブ輪に摺接する第1のシールと、外側部材の外周端部に装着されハブ輪に摺接する第2のシールとの2部材に分けて構成された密封装置が記載されている。これによれば、外側部材の外周端部に装着されハブ輪に摺接するサイドリップを備えた第2のシールによって、第1のシールに泥水などが浸入することを阻止しシール性を向上させることができるとされている。
【0003】
下記特許文献3には、ハブフランジに摺接される3枚のサイドリップのうち、最も外側のサイドリップを外側部材の外周面の位置から外向きに傾斜して立ち上げ形成されたものが記載されている。これによれば、3枚のサイドリップのそれぞれのシメシロが内側に行くほど順次小さく設定されているので、シールトルクを抑制して適切なシールトルクが設定できるとともに、リップ摩耗速度を異ならせてシール耐久性を向上させることができるとされている。
【0004】
しかしながら下記特許文献1〜下記特許文献3のように、サイドリップの先端がハブ輪側に向かうように形成されたものの場合は、サイドリップの先端が外部からの泥水などによって直接攻撃されることがある。最外径に設けられたサイドリップが外部からの泥水などによってどのように攻撃を受け、これによってどのような悪影響が生じるかについて、図を参照しながら以下、説明する。
【0005】
図15はハブフランジ側の外輪とハブ輪との間に装着される従来の密封装置800を示した例であり、拡大図には、密封装置800の外装シール120の先端が泥水などの攻撃によってどのような影響を受けるかを矢印で示している。
図中、100は芯金、110はシール部材、120は外装リップ、120aは外輪600の外周側に配置されるシール部材110の外周側リップ基部、120bは外装リップの先端部、130はサイドリップ、140はラジアルリップ、400はハブフランジ、600は外輪、800は密封装置を示している。また部分拡大図中、実線で示す矢印は外装リップ120及び外周側リップ基部120aに直撃する泥水の動き、点線で示す矢印は外周側リップ基部120aに当たって跳ね返る泥水の動きを示している。
【0006】
図15に示すようにシール部材110に形成された外装リップ120は、サイドリップ130の更に外径側にあってハブフランジ400に向くように形成され、その先側はハブフランジ400に近接して配置されている。よって通常時は外装リップ120の存在で回転トルクを増大させることなく外輪600とハブフランジ400の間を良好にシールすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−100827号公報
【特許文献2】特開2007−303490号公報
【特許文献3】特開2007−100826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながらこのような形状の外装リップ120は、外装リップ120の先端部120bを直接攻撃する泥水(実線矢印)の他、外周側リップ基部120aや外輪600の外周に当たって跳ね返った泥水(点線矢印)によって攻撃される場合もある。このように泥水によって外装リップ120の先端120bが攻撃されると(部分拡大図参照)、軸受ユニット外部からの泥水などの浸入を阻止できず、外装リップ120の先端120bとハブフランジ400の外周面との微小隙間から泥水などを通過させてしまう。すると浸入した泥水や塵埃などによってサイドリップ130の摺接部分が摩耗し、シール寿命の長期化が図れない。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、外装リップを備えたものでありながら回転トルクを抑え、シール性に優れ且つシール寿命の長い密封装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明に係る密封装置は、相互に軸回転する同心の外側部材及びフランジ部を有する内側部材間に装着され、前記外側部材に圧入嵌合される芯金と、該芯金に一体に固着されたシールリップを備えた弾性シール部材とよりなる密封装置であって、前記シールリップは、前記フランジ部に弾性摺接するサイドリップと、前記サイドリップの更に外径側にあって前記フランジ部に向くよう形成される外装リップとを備え、前記外装リップには前記フランジ部に向かって突き出た突出部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
また請求項2の発明に係る密封装置は、相互に軸回転する同心の外側部材及びフランジ部を有する内側部材間に装着され、前記外側部材に圧入嵌合される芯金と、該芯金に一体に固着されたシールリップを備えた弾性シール部材と、前記内側部材に嵌合される嵌合円筒部と前記嵌合円筒部の一端部にその径方向に延出形成された鍔状部とを備えたスリンガとよりなる密封装置であって、前記シールリップは、前記スリンガの前記鍔状部に弾性摺接するサイドリップと、前記サイドリップの更に外径側にあって前記フランジ部に向くよう形成される外装リップとを備え、前記外装リップには前記フランジ部に向かって突き出た突出部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明に係る密封装置は、相互に軸回転する同心の外側部材及びフランジ部を有する内側部材間に装着され、前記外側部材の外周端部に嵌合される第1のシール装置と、前記外側部材の内周端部に嵌合される第2のシール装置とよりなる密封装置であって、前記第1のシール装置は、前記外側部材の外周端部に嵌合される芯金と、該芯金に一体に固着されたシールリップを備えた弾性シール部材とよりなり、前記シールリップは、前記フランジ部に向くよう形成される外装リップを備え、前記外装リップには前記フランジ部に向かって突き出た突出部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明は請求項4の発明のように、前記外装リップは、前記弾性シール部材の基部から前記フランジ部に向かって延びる傾斜部と、該傾斜部の先側より反フランジ部に向かって延びるよう連設される先側部とを備えており、前記傾斜部と前記先側部との屈曲部が前記突出部とされているものとすることができる。
これによれば、外装リップが配置されるスペースが狭い場合にも外装リップを備えた密封装置を構成することができる。またこの形状によれば、傾斜部に当たった泥水などは外装リップの先側部でブロックされ、外装リップの先端を直接攻撃する泥水などを少なくすることができる。よって外装リップを通過して浸入する泥水などの量が少なくなり、サイドリップの摩耗を防いでシール性の低下、シール寿命の短期化を防ぐことができる。
【0014】
また、請求項5の発明のように、外装リップは、前記弾性シール部材の基部から前記フランジ部に向かって延びる傾斜部と、前記フランジ部に対して平行状態に延出形成される平行部とを備えており、前記傾斜部と前記平行部との境に前記突出部が形成されているものとすることができる。
これによれば、外装リップの傾斜部に当たった泥水などを外側部材側へ跳ね返し、跳ね返った泥水などは平行部でブロックできる。また外装リップに平行部が形成されているので、平行部の外径先側部から突出部までのフランジ部とのラビリンス部分(隙間)を径方向に幅広く確保することができ、泥水などが浸入してくるときの勢いを弱め、サイドリップ側への泥水などの浸入を効果的に防ぐことができる。
【0015】
更に請求項6の発明のように、外装リップは、前記弾性シール部材の基部から前記フランジ部に向かって延びる傾斜部と、前記フランジ部に対して平行状態に延出形成される平行部と、反フランジ部に向かって延びる先側部とを備えており、前記傾斜部と前記平行部との境に前記突出部が形成されているものとすることができる。
これによれば、上述の傾斜部、平行部を備えた外装リップの効果に加えて、先側部を備えていることにより、外側部材からの跳ね返りが高い泥水などを確実にブロックし、様々な跳ね返り態様に対応できるので、サイドリップ側への泥水などの浸入を効果的に防ぐことができる。
【0016】
そして請求項7の発明のように、突出部は、前記フランジ部に接触或いは非接触の状態に配置されるよう形成されているものとすることができる。
突出部がフランジ部に接触する状態に配置されるよう形成されたものとした場合は、外部からサイドリップ側への泥水などの浸入を確実に防ぐことができる。
突出部がフランジ部に非接触の状態に配置されるよう形成されたものとした場合は、回転トルクの増大をもたらすことなく、シール寿命の長期化を図ることができる。
【0017】
また請求項8の発明のように、ハブベアリングの軸受空間を密封するものであって、前記外側部材がハブベアリングの外輪、前記内側部材がハブベアリングの内輪としてのハブ輪、前記フランジ部が該ハブ輪の一部を構成するハブフランジとすることができる。
これによれば、ハブベアリングのハブフランジ側における上述の問題点が解消され、ハブベアリングの軸受空間のシール性が向上させることができる。また、軸受空間内への泥水、塵埃の浸入や潤滑剤の漏出を防止するシール性を維持しつつ、外装リップを備えたものでありながら回転トルクの増大を抑えることができるので、自動車用ハブベアリングに適用される場合は、燃費を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る密封装置は、相互に軸回転する同心の外側部材及びフランジ部を有する内側部材間に装着され、フランジ部に弾性摺接するサイドリップの外径側にあって前記フランジ部に向くよう形成される外装リップには前記フランジ部に向かって突き出た突出部が形成されている。よって、密封装置はサイドリップの外径側に形成された外装リップによって、サイドリップ側に泥水などが浸入することを阻止しシール性を向上させることができる。また泥水などが直接外装リップを攻撃しても、外装リップの突出部によって泥水などを跳ね返すことができ、外装リップによって跳ね返された泥水などが再び浸入することも防ぐことができる。よってサイドリップ側に浸入する泥水などの浸入を少なくすることができるので、サイドリップの摺接部分の摩耗を防ぎ、シール性の低下及びシール寿命の短期化を防ぐことができる。
更に本発明に係る密封装置は、スリンガを備えた密封装置に適用可能であり、第1のシール装置と第2のシール装置との2部材よりなる密封装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態の密封装置を組み込んだ軸受の一例を示す縦断面図である。
【図2】図1におけるX部の拡大図であり、更に要部の拡大図を含む図である。
【図3】図2に示す実施形態の変形例を示す図2のX部の拡大図と同様図である。
【図4】図2に示す実施形態の別の変形例を示す図2のX部の拡大図と同様図である。
【図5】図2に示す実施形態の更に別の変形例を示す図2のX部の拡大図と同様図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す図2のX部の拡大図と同様図である。
【図7】図6に示す実施形態の変形例を示す図2のX部の拡大図と同様図である。
【図8】図6に示す実施形態の別の変形例を示す図2のX部の拡大図と同様図である。
【図9】本発明の第3の実施形態を示す図2のX部の拡大図と同様図である。
【図10】図9に示す実施形態の変形例を示す図2のX部の拡大図と同様図である。
【図11】図9に示す実施形態の変形例を示す図2のX部の拡大図と同様図である。
【図12】本発明の第4の実施形態を図2のX部の拡大図と同様図である。
【図13】図12に示す実施形態の変形例を示す図2のX部の拡大図と同様図である。
【図14】図12に示す実施形態の変形例を示す図2のX部の拡大図と同様図である。
【図15】従来の密封装置を示す図2と同様図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
まずは本発明の第1の実施形態について、図1〜図5を参照しながら説明する。
図1は、自動車の車輪を回転自在に支持するハブベアリング2の構造の一例を示すものであり、内輪(内側部材)3を構成するハブ輪4のハブフランジ4aにボルト4bによりタイヤホイール(不図示)が固定される。また、ハブ輪4に形成されたスプライン孔4cには駆動シャフト1がスプライン嵌合され且つハブ輪4に一体固定されて、該駆動シャフト1の回転駆動力がハブ輪4を介してタイヤホイールに駆動伝達される。そしてハブ輪4は内輪部材5と共に内輪3を構成する。
【0021】
6は外輪(外側部材)であり、車体の懸架装置(不図示)に不図示のボルトによって取付固定される。この外輪6と内輪3(ハブ輪4及び内輪部材5)との間に2列の転動体(玉)7・・・がリテーナ7aで保持された状態で介装されている。8、9は上記転動体7・・・の転動部に装填されるグリース等の潤滑剤の漏出を防止し、或いは外部からの泥水や塵埃等の浸入を防止するための密封装置(シールリング)であって、反車体側(ハブフランジ4a側)に装着される密封装置8が本発明の密封装置に相当し、外輪6と内輪3との間に圧入される。両側の密封装置8、9と内輪3及び外輪6とにより囲まれた部位が被密封部位S(軸受空間)とされ、図中外輪6の外周を6a、内周を6bとする。
【0022】
図2は、反車体側における密封装置8の装着部の拡大断面図及び要部の更に拡大図を示し、図2を参照して密封装置8の構造を説明する。部分拡大図中、実線で示す矢印は外装リップ12に直撃する泥水の動き、点線で示す矢印は外装リップ12に当たって跳ね返る泥水の動きを示している。
密封装置8は、外輪6の内周6bに圧入嵌合されるリング状の芯金10と、弾性材からなり芯金10に固着された弾性シール部材11とが組合わさって構成されている。密封装置8は、ハブフランジ4aに向かって立ち上がるハブ輪4の外周面と外輪6との間をシールし、ハブ輪4の外周面は、アキシャル面4d(フランジ部)と、凹曲面部4eを介して連続するラジアル面4fとを備えている。
芯金10は、リング状の鋼板部材を折曲げ加工して形成されるもので、外輪6に嵌合一体とされる嵌合円筒部10aと、この嵌合円筒部10aの被密封部位Sに対して外側に位置する一端部からその径方向へ連成される内向鍔状部10bとよりなり、上記内向鍔状部10bは、上記一端部から上記径方向へと弾性シール部材11の形状に応じて屈折形成されている。弾性シール部材11は、芯金10の嵌合円筒部10aの上記一端部から内向鍔部10bの内周縁部に亘って固着一体とされている。
【0023】
図例の弾性シール部材11は、4枚の同心状に形成されたシールリップを備えており、軸方向に形成されアキシャル面4dに弾性摺接されるよう形成された2枚のサイドリップ13と、サイドリップ13の更に外径側にあってアキシャル面4dに弾性摺接されるよう形成された1枚の外装リップ12と、径方向に形成されラジアル面4fに弾性摺接される1枚のラジアルリップ14とで構成されている。また弾性シール部材11は、芯金10の嵌合円筒部10aの被密封部位Sに対して外側に位置する一端部から外輪6の内周6b側に向かって突条に形成された突部12eを備えている。
外装リップ12には、アキシャル面4dに向かって突き出た突出部12aが形成されており、外装リップ12は、弾性シール部材11の基部11aからアキシャル面4dに向かって拡径状に斜めに延びる傾斜部12bと、該傾斜部12bの先側から反アキシャル面側(外輪6側)に向かって連設して延びる先側部12cとを備え、傾斜部12bと先側部12cとの屈曲部が突出部12aとされている。
密封装置8の芯金10を外輪6の内周6bに圧入嵌合し、外輪6とハブ輪4とを組み付けて、ハブ輪4のアキシャル面4dに外装リップ12及びサイドリップ13、ラジアル面4fにラジアルリップ14が弾接すると、図の2点鎖線の位置から実線位置に弾性変形する。ここで、外装リップ12の突出部12aは断面が倒山形形状からなり、アキシャル面4dに接触する場合でも、軽く線接触する程度に構成されているので、回転トルクが増大してしまう懸念はない。
【0024】
斯くして、内輪3と外輪6との間に圧入嵌合された密封装置8においては、内輪3の軸回転に伴い、弾性シール部材11の外装リップ12、サイドリップ13がアキシャル面4dに弾性的に相対摺接し、これによって、外部から被密封部位S内への塵埃や泥水などの浸入が阻止される。また芯金10が外輪6の内周6b側に圧入されるのに伴い、弾性シール部材11の突部12eも外輪6の内周6bに押圧された状態で装着される。よって嵌合円筒部10aと内周6bとの間は、突部12eの復元しようとする力によってシールすることができ、上述の外装リップ12による泥水などの侵入防止効果と相乗して、より高いシール性を実現することができる。
更に図2に示すように外装リップ12が屈曲して形成されているので、外輪6とアキシャル面4dとの間のスペースが狭い場所にも装着することができる。更に1部材で構成されたものでありながら、サイドリップ13の外径側(最外周側)に形成された外装リップ12によって、傾斜部12bに当たった泥水などは外装リップ12の先側部12cでブロックされ、外装リップ12の先端を直接攻撃する泥水などを少なくすることができる。よって外装リップ12を通過して浸入する泥水などの量が少なくなり、サイドリップ13がアキシャル面4dに摺接する際の摩耗を防いでシール性の低下及びシール寿命の短期化を防ぐことができる。
すなわち図2の部分拡大図に示すように泥水などが直接外装リップ12を攻撃しても(実線矢印参照)、外装リップ12の先側部12cによって泥水などが跳ね返される。また突出部12aによって、外装リップ12とアキシャル面4dとの隙間に浸入する泥水などの量が従来に比べて格段に少なくすることができるのである。
【0025】
そして外部からの泥水や塵埃などをブロックする先側部12c及び突出部12aを備えた外装リップ12がサイドリップ13の外径側に構成されているので、例えばその内径側に配置されているサイドリップ13及びラジアルリップ14の締め代を小さくし回転トルクが小さくなるよう設計しても、密封装置8のシール性が低下することがないものとすることができる。また密封装置8が1部材よりなるので、2部材よりなる場合と比べて部品点数及び取付工数を減らすことができる。
【0026】
ここで芯金10は圧延鋼板或いはステンレス鋼板等の金属板製で、板金加工して形成されるが、不錆性のSUSや防錆処理が施された鋼板を用いれば、錆の発生を防ぐことができる。また弾性シール部材11は、NBR、H−NBR、ACM、AEM、FKM等を中心とするゴム等の弾性材が採用され、芯金10に対して、これらの弾性材の加硫成型或いは接着剤等により貼着一体される。上記弾性材の他、弾性を有する軟プラスチック類を採用してもよく、これを射出成型し芯金10に接着剤等で貼着するものとしてもよい。
【0027】
図3は、第1の実施形態の変形例であり、図2の例とは外装リップ12の突出部12aが非接触タイプとなっており、アキシャル面4dと突出部12aとの間にラビリンスrが形成される点で異なるものである。
このように外装リップ12には、アキシャル面4dに向かって突き出た突出部12aが形成されているので、突出部12aがアキシャル面4dに非接触の状態で配置された場合でも、泥水などの浸入を少なくしサイドリップ13の摩耗を抑制しシール寿命の長期化を図ることができる。また外装リップ12を備えたものであっても回転トルクが増大することがなく、自動車の燃費向上に寄与することができる。
その他の構成及び作用は上記例と同様であるので、共通部分には同一の符号を付し、その説明を割愛する。
【0028】
図4は、図2に示す例とは外装リップ12の形状が異なるものである。
図4に示す例は、外装リップ12が、弾性シール部材11の基部11aからアキシャル面4dに向かって拡径状に延びる傾斜部12bと、アキシャル面4dに対して略平行状態に延出形成される平行部12dとを備えており、傾斜部12bと平行部12dとの境にアキシャル面4dに向かって突き出た突出部12aが形成されている。突出部12aはアキシャル面4dに軽く線接触するよう形成されている点は図2に示す例と同じである。
これによれば、外装リップ12の傾斜部12bによって泥水などを外輪6側へ跳ね返すことができるとともに、外装リップ12に平行部12dが形成されているので、平行部12dの外径先側部12daから突出部12aまでのアキシャル面4dとのラビリンス部分を径方向に幅広く確保することができ、泥水などが浸入してくるときの勢いを弱め、サイドリップ13側への泥水などの浸入を効果的に防ぐことができる。
もちろんこの平行部12dによっても、上述の先側部12cと同様、傾斜部12bや外輪6に当たって跳ね返った泥水などの浸入をブロックできる。
その他の構成及び効果は上記例と同様であるので、共通部分には同一の符号を付し、その説明を割愛する。
【0029】
図5は、図2に示す例とは外装リップ12の形状が異なるものである。
図5に示す例は、外装リップ12が、弾性シール部材11の基部11aからアキシャル面4dに向かって拡径状に延びる傾斜部12bと、該傾斜部からアキシャル面4dに対して略平行状態に延出形成される平行部12dと、該平行部から反アキシャル面4d側(外輪6側)に向かって延びるように連設される先側部12cとを備えており、傾斜部12bと平行部12dとの境にアキシャル面4dに向かって突き出た突出部12aが形成されている。突出部12aはアキシャル面4dに軽く線接触するよう形成されている点は図2に示す例と同じである。
これによれば、上述の傾斜部12b、平行部12dを備えた外装リップ12の効果に加えて、更に先側部12cを備えていることにより、外輪6からの跳ね返りが高い泥水などを確実にブロックし、様々な跳ね返り態様に対応できるので、サイドリップ13側への泥水などの浸入をより一層効果的に防ぐことができる。
その他の構成及び効果は上記例と同様であるので、共通部分には同一の符号を付し、その説明を割愛する。
【0030】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態について、図6〜図8を参照しながら説明する。
図6は、図1におけるX部の拡大図に相当する図であり、第1の実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を割愛する。
第2の実施形態における密封装置8は、リング状の芯金10が外輪6の外周6aに圧入嵌合される点で第1の実施形態と異なるものである。
弾性シール部材11が4枚の同心状に形成されたシールリップを備えており、軸方向に形成されアキシャル面4dに弾性摺接される2枚のサイドリップ13と、サイドリップ13の更に外径側にあってアキシャル面4dに弾性摺接される1枚の外装リップ12と、径方向に形成されラジアル面4fに弾性摺接される1枚のラジアルリップ14とで構成されている点は図2に示す例と同様であり、外装リップ12に構成される突出部12aがアキシャル面4dに向かって突き出て形成されている点なども図2と同様である。
このように芯金10が外輪6の外周6aに圧入嵌合されるものとした場合は、芯金10が内周6bに圧入される(第1の実施形態)場合よりもシール空間を大きく確保できるので、シール設計の自由度が増す。
【0031】
図7は、図6に示す第2の実施形態とは外装リップ12の形状が異なるものである。
図7に示す例は、外装リップ12が、アキシャル面4dに向かって延びる傾斜部12bと、アキシャル面4dに対して略平行状態に延出形成される平行部12dとを備えており、傾斜部12bと平行部12dとの境にアキシャル面4dに向かって突き出た突出部12aが形成されており、その構成及び効果は第1の実施形態の図4に示す例と同じである。
これによれば、上述のように効果のほか、外装リップ12に平行部12dが形成されているので、平行部12dの外径先側部12daから突出部12aまでのアキシャル面4dとのラビリンス部分(隙間)を径方向に幅広く確保することができる。
よって、図6に示す例よりも更に外装リップ12の平行部12dによって泥水などが浸入してくるときの勢いを弱めることができ、外装リップ12の突出部12aでほとんどの泥水などの浸入を阻止することができる。
【0032】
図8は、図6に示す例とは外装リップ12の形状が異なるものである。
図8に示す例は、外装リップ12が、弾性シール部材11の基部11aからアキシャル面4dに向かって拡径状に延びる傾斜部12bと、該傾斜部12bからアキシャル面4dに対して略平行状態に延出形成される平行部12dと、該平行部12dから反アキシャル面4d側(外輪6側)に向かって延設して延びる先側部12cとを備え、傾斜部12bと平行部12dとの境にアキシャル面4dに向かって突き出た突出部12aが形成されており、その構成及び効果は第1の実施形態の図5に示す例と同じである。
これによれば、上述の芯金10が外輪6の外周6aに圧入されるよう形成されていることにより奏する効果、傾斜部12b、平行部12dを備えた外装リップ12の効果に加えて、更に先側部12cを備えていることにより、外輪6からの跳ね返りが高い泥水などを確実にブロックし、様々な跳ね返り態様に対応できるので、サイドリップ13側への泥水などの浸入を効果的に防ぐことができる。
【0033】
(第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態について、図9〜図11を参照しながら説明する。
図9は、図1におけるX部の拡大図に相当する図であり、第1の実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を割愛する。
第3の実施形態における密封装置8は、リング状の芯金10と、弾性材からなり芯金10に固着された弾性シール部材11と、内輪3の外周に外嵌固定されるスリンガ15とが組合わさって、図のようにパックシールタイプのシールリングとして構成されており、スリンガ15を備えている点で第1の実施形態及び第2の実施形態とは異なるものである。
【0034】
スリンガ15は内輪部材5の外周に外嵌固定される嵌合円筒部15aと、この嵌合円筒部15aの被密封部位Sに対して外側に位置する一端部にその径方向(遠心方向)に延出形成された外向鍔部(鍔状部)15bとよりなる。芯金10は、外輪6の内周6bに圧入嵌合される嵌合円筒部10aと、この嵌合円筒部10aの被密封部位S側に位置する一端部にその径方向(求心方向)に延出形成された内向鍔部10bとよりなる。そして、スリンガ15と芯金10とは断面略L字形とされ、両者が互いに向き合うように組合わされる。
ここでスリンガ15は圧延鋼板或いはステンレス鋼板などの金属板製からなり、芯金10と同様に不錆性のSUSや防錆処理が施された鋼板を用いれば、錆の発生を防ぐことができ、サイドリップ13及びラジアルリップ14のリップ摺動部の耐防錆性能を大幅に向上させることができる。
【0035】
図例の弾性シール部材11は、4枚のシールリップを備えており、軸方向に形成されスリンガ15における外向鍔部15bの被密封部位S側内面に弾性摺接されるよう形成された1枚の同心状サイドリップ13と、サイドリップ13の更に外径側にあってアキシャル面4dに弾性摺接されるよう形成された1枚の外装リップ12と、径方向に形成されスリンガ15における嵌合円筒部15aの周面に摺接する2枚のラジアルリップ14とで構成されている。また弾性シール部材11は、芯金10の嵌合円筒部10aの被密封部位Sに対して外側に位置する一端部から外輪6の内周6b側に向かって突条に形成された突部12eを備えている点は図2の例と同様であり、同様の効果を奏する。
外装リップ12には、アキシャル面4dに向かって突き出た突出部12aが形成されており、アキシャル面4dに向かって外向きに斜めに延びる傾斜部12bと、反アキシャル面側(外輪6側)に向かって延びる先側部12cとが連設され、傾斜部12bと先側部12cとの屈曲部が突出部12aとされている。
よって芯金10の嵌合円筒部10aの一端部から弾性シール部材11のうち、外装リップ12のみがアキシャル面4dに向かって突出するように形成されている。
【0036】
これによれば、泥水などが直接外装リップ12を攻撃しても、外装リップ12の先側部12cによって泥水などを跳ね返すことができ、突出部12aによって泥水などの浸入をかなり少なくすることができる。よって、サイドリップ13の摩耗を防いでシール性の低下、シール寿命の短期化を防ぐことができる。また反車体側に装着される密封装置8においてスリンガ15を備えたものであっても、外装リップ12によって泥水などの浸入を阻止することができるので、ハブ輪4の凹曲面部4eとスリンガ15との間に泥水などが溜まることを防ぐことができる。
【0037】
図10は、図9に示す例とは外装リップ12の形状が異なるものである。
図10に示す例は、外装リップ12が、弾性シール材11の基部11aからアキシャル面4dに向かって延びる傾斜部12bと、該傾斜部12bからアキシャル面4dに対して略平行状態に延出形成される平行部12dとを備えており、傾斜部12bと平行部12dとの境にアキシャル面4dに向かって突き出た突出部12aが形成されており、その構成及び効果は第1の実施形態の図4に示す例と同じである。
これによれば、上述のように外部から浸入してくる泥水などをスリンガ15及びサイドリップ13側に至る前に外装リップ12で阻止することができるとともに、外装リップ12に平行部12dが形成されているので、平行部12dの先側12daから突出部12aまでのアキシャル面4dとのラビリンス部分を径方向に幅広く確保することができる。
よって、外装リップ12の平行部12dによって泥水などが浸入してくるときの勢いを弱めることができるので、外装リップ12の突出部12aでほとんどの泥水などの浸入を阻止することができる。
【0038】
図11は、図9に示す例とは外装リップ12の形状が異なるものである。
図11に示す例は、外装リップ12が、弾性シール材11の基部11aからアキシャル面4dに向かって延びる傾斜部12bと、該傾斜部12bからアキシャル面4dに対して略平行状態に延出形成される平行部12dと、該平行部12dから反アキシャル面4d側(外輪6側)に向かって延びるよう連設される先側部12cとを備え、傾斜部12bと平行部12dとの境にアキシャル面4dに向かって突き出た突出部12aが形成されており、その構成及び効果は第1の実施形態の図5に示す例と同じである。
これによれば、上述のように外部から浸入してくる塵埃や泥水などをスリンガ15及びサイドリップ13側に至る前に外装リップ12で阻止することができるとともに、上述の傾斜部12b、平行部12dを備えた外装リップ12の効果に加えて、更に先側部12cを備えていることにより、外輪6からの跳ね返りが高い泥水などを確実にブロックし、様々な跳ね返り態様に対応できるので、サイドリップ13側への泥水などの浸入を効果的に防ぐことができる。
ここでは芯金10が外輪6の内周6bに嵌合される例について説明したが、図9〜図11に示す第3の実施形態において、芯金10を外輪6の外周6aに圧入嵌合させる構成としてもよい。
【0039】
(第4の実施形態)
次に本発明の第4の実施形態について、図12〜図14を参照しながら説明する。
図12は、図1におけるX部の拡大図に相当する図であり、第1の実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を割愛する。
第4の実施形態における密封装置8は、外輪6の外周6a端部に嵌合される第1のシール装置8aと、外輪6の内周6b端部に嵌合される第2のシール装置8bとの2部材よりなる点で上述の実施形態とは異なるものである。
【0040】
第1のシール装置8aは、外輪6の外周6a端部に嵌合される第1の芯金10aと、第1の芯金10aに一体に固着されたシールリップを備えた弾性シール部材11とよりなり、シールリップは、アキシャル面4dに向くよう形成される1枚の外装リップ12を備えている。弾性シール部材11は、外輪6に第1の芯金10aが装着された状態で第1の芯金10aのアキシャル面4d側を包持するように形成されている。そして外装リップ12はアキシャル面4dに向かって突き出た突出部12aが形成されており、弾性シール部材11の基部11aからアキシャル面4dに向かって拡径状に斜めに延びる傾斜部12bと、該傾斜部12bの先側から反アキシャル面側(外輪6側)に向かって連設して延びる先側部12cとを備え、傾斜部12bと先側部12cとの屈曲部が突出部12aとされている。
【0041】
第2のシール装置8bは、外輪6の内周6b端部に嵌合される第2の芯金10bと、第2の芯金10bに一体に固着されたシールリップを備えた弾性シール部材11とよりなり、3枚の同心状に形成されたシールリップを備えており、軸方向に形成されアキシャル面4dに弾性摺接されるよう形成された2枚のサイドリップ13と、径方向に形成されラジアル面4fに弾性摺接される1枚のラジアルリップ14とで構成されている。また弾性シール部材11は、第2の芯金10bの嵌合円筒部10baの被密封部位Sに対して外側に位置する一端部から外輪6の内周6b側に向かって突条に形成された突部13aを備えている。該突部13aは外輪6の内周6b側の端部に形成された段部6baに嵌め入れられるように形成される。
第1のシール装置8aの第1の芯金10aを外輪6の外周6a端部に、第2のシール装置8bの第2の芯金10bを外輪6の内周6b端部に、それぞれ圧入嵌合し、外輪6とハブ輪4とを組み付けて、ハブ輪4のアキシャル面4dに外装リップ12及びサイドリップ13、ラジアル面4fにラジアルリップ14が弾接すると、図の2点鎖線の位置から実線位置に弾性変形する。
【0042】
これによれば、従来の2部材よりなるものと比べて外装リップ12の形状が異なるので、泥水などが直接第1のシール装置8aの外装リップ12を攻撃しても、外装リップ12の先側部12cによって泥水などを跳ね返すことができ、突出部12aによって泥水などの浸入をかなり少なくすることができる。よって、第2のシール装置8b側へ浸入する泥水などの量が少なくなり、サイドリップ13の摩耗を防いでシール性の低下を防ぎ、密封装置8全体としてのシール寿命の短期化を防ぐことができる。また第2の芯金10bが外輪6の内周6b側に圧入されるのに伴い、弾性シール部材11の突部13aも外輪6の段部6baに押圧された状態で装着される。よって第2の芯金10bの嵌合円筒部10baと内周6bとの間は、突部13aの復元しようとする力によってシールすることができ、上述の外装リップ12による泥水などの侵入防止効果と相乗して、より高いシール性を実現することができる。
【0043】
図13は、図12に示す例とは第1のシール装置8aにおける外装リップ12の形状が異なるものである。
図13に示す例は、外装リップ12が、弾性シール材11の基部11aからアキシャル面4dに向かって延びる傾斜部12bと、該傾斜部12bからアキシャル面4dに対して略平行状態に延出形成される平行部12dとを備えており、傾斜部12bと平行部12dとの境にアキシャル面4dに向かって突き出た突出部12aが形成されており、その構成及び効果は第1の実施形態の図4に示す例と同じである。
これによれば、上述のように外部から浸入してくる泥水などを第2のシール装置8bに至る前に外装リップ12で阻止することができるとともに、外装リップ12に平行部12dが形成されているので、平行部12dの先側12daから突出部12aまでのアキシャル面4dとのラビリンス部分を径方向に幅広く確保することができる。
よって、外装リップ12の平行部12dによって泥水などが浸入してくるときの勢いを弱めることができるので、第1のシール装置8aでほとんどの泥水などの浸入を阻止することができる。
【0044】
図14は、図12に示す例とは外装リップ12の形状が異なるものである。
図14に示す例は、外装リップ12が、弾性シール材11の基部11aからアキシャル面4dに向かって延びる傾斜部12bと、該傾斜部12bからアキシャル面4dに対して略平行状態に延出形成される平行部12dと、該平行部12dから反アキシャル面4d側(外輪6側)に向かって延びるよう連設される先側部12cとを備え、傾斜部12bと平行部12dとの境にアキシャル面4dに向かって突き出た突出部12aが形成されており、その構成及び効果は第1の実施形態の図5に示す例と同じである。
これによれば、上述のように外部から浸入してくる塵埃や泥水などを第2のシール装置8bに至る前に外装リップ12で阻止することができるとともに、上述の傾斜部12b、平行部12dを備えた外装リップ12の効果に加えて、更に先側部12cを備えていることにより、外輪6からの跳ね返りが高い泥水などを確実にブロックし、様々な跳ね返り態様に対応できるので、第2のシール装置8b側への泥水などの浸入を効果的に防ぐことができる。
【0045】
なお、上記実施形態では、内輪3が回転側部材となる内側部材、外輪6が固定側部材となる外側部材としたが、これらが逆であっても良く、シールリップは4枚に限らず、4枚以下或いは5枚以上としてもよい。またサイドリップ13、ラジアルリップ14の構成、形状は図例に限定されるものではない。更に、上記実施形態では、自動車の駆動シャフトにタイヤホイールを支持する軸受ユニットに適用した例を述べたが、他の密封を必要とされる機構にも適用され得ることも当然である。
そして、図4〜図14の外装リップ12はいずれも接触タイプの突出部12aの例を示しているが、これに限定されず図3に示すように外装リップ12の突出部12aが非接触に配置されるように形成されたものとしてもよい。また図2、図9、図12にのみ弾性シール部材11に突部12e、13aを示し、これについて説明したが、第1、第3、第4の実施形態であれば、いずれの例においても適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
2 ハブベアリング
3 内輪(内側部材)
4 ハブ輪
4a ハブフランジ
4d アキシャル面(フランジ部)
6 外輪(外側部材)
8 密封装置
10 芯金
11 弾性シール部材
12 外装リップ
12a 突出部
12b 傾斜部
12c 先側部
12d 平行部
S 被密封空間(軸受空間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に軸回転する同心の外側部材及びフランジ部を有する内側部材間に装着され、前記外側部材に圧入嵌合される芯金と、該芯金に一体に固着されたシールリップを備えた弾性シール部材とよりなる密封装置であって、
前記シールリップは、前記フランジ部に弾性摺接するサイドリップと、前記サイドリップの更に外径側にあって前記フランジ部に向くよう形成される外装リップとを備え、
前記外装リップには前記フランジ部に向かって突き出た突出部が形成されていることを特徴とする密封装置。
【請求項2】
相互に軸回転する同心の外側部材及びフランジ部を有する内側部材間に装着され、前記外側部材に圧入嵌合される芯金と、該芯金に一体に固着されたシールリップを備えた弾性シール部材と、前記内側部材に嵌合される嵌合円筒部と前記嵌合円筒部の一端部にその径方向に延出形成された鍔状部とを備えたスリンガとよりなる密封装置であって、
前記シールリップは、前記スリンガの前記鍔状部に弾性摺接するサイドリップと、前記サイドリップの更に外径側にあって前記フランジ部に向くよう形成される外装リップとを備え、
前記外装リップには前記フランジ部に向かって突き出た突出部が形成されていることを特徴とする密封装置。
【請求項3】
相互に軸回転する同心の外側部材及びフランジ部を有する内側部材間に装着され、前記外側部材の外周端部に嵌合される第1のシール装置と、前記外側部材の内周端部に嵌合される第2のシール装置とよりなる密封装置であって、
前記第1のシール装置は、前記外側部材の外周端部に嵌合される芯金と、該芯金に一体に固着されたシールリップを備えた弾性シール部材とよりなり、
前記シールリップは、前記フランジ部に向くよう形成される外装リップを備え、
前記外装リップには前記フランジ部に向かって突き出た突出部が形成されていることを特徴とする密封装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の密封装置において、
前記外装リップは、前記弾性シール部材の基部から前記フランジ部に向かって延びる傾斜部と、該傾斜部の先側より反フランジ部に向かって延びるよう連設される先側部とを備えており、前記傾斜部と前記先側部との屈曲部が前記突出部とされていることを特徴とする密封装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の密封装置において、
前記外装リップは、前記弾性シール部材の基部から前記フランジ部に向かって延びる傾斜部と、前記フランジ部に対して平行状態に延出形成される平行部とを備えており、前記傾斜部と前記平行部との境に前記突出部が形成されていることを特徴とする密封装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の密封装置において、
前記外装リップは、前記弾性シール部材の基部から前記フランジ部に向かって延びる傾斜部と、前記フランジ部に対して平行状態に延出形成される平行部と、反フランジ部に向かって延びる先側部とを備えており、前記傾斜部と前記平行部との境に前記突出部が形成されていることを特徴とする密封装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の密封装置において、
前記突出部は、前記フランジ部に接触或いは非接触の状態に配置されるよう形成されていることを特徴とする密封装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の密封装置において、
ハブベアリングの軸受空間を密封するものであって、前記外側部材がハブベアリングの外輪、前記内側部材がハブベアリングの内輪としてのハブ輪、前記フランジ部が該ハブ輪の一部を構成するハブフランジであることを特徴とする密封装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−236568(P2010−236568A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82293(P2009−82293)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000225359)内山工業株式会社 (204)
【Fターム(参考)】