説明

対流燃焼炉

物品に施されたコーティングを焼き付けるためのオーブンアセンブリは、オーブン外部に配置されるベンチレータ(42)から加圧空気を受け取るヘッダ(52、54)を持つハウジング(32)を含む。ヒーター(48)はベンチレータ(42)から受け取った加圧空気へ熱を供給して、物品に施されたコーティングの硬化温度の約2倍から4倍の温度まで加圧空気の温度を上げる。ヘッダ(52、54)はヒーター(48)からハウジングの中まで伸びる。ヘッダ(52、54)は間隔を置いた場所に配置されるノズルを有し、物品に施されたコーティングの硬化温度の約2倍から4倍の温度の加圧空気を物体の予め決められた場所へ向ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品に施されたコーティングを硬化させるための発明的な炉(オーブン)に関するものである。特に、本発明は、物品に施されたコーティングを硬化させるための単純な設計を有する対流燃焼炉に関する。
【背景技術】
【0002】
生産環境において物品に塗られた塗料及びシーラーなどコーティングを硬化させるために多様な炉が使用されている。コーティングの一例は、1分に1台を超える速度で車体を処理するための既知の大量生産塗装工場において自動車の車体に塗られる装飾及び保護用の塗料である。
【0003】
典型的な炉は、車体に塗られた塗料を硬化させるために必要な量の熱を供給するために燃焼燃料を使用する。一般的に言って現在2つのタイプの炉が使用されている。すなわち対流熱炉及び輻射熱炉である。時には。塗料硬化仕様を満たすために単一の炉に対流及び輻射熱の組合せが使用される。対流熱炉は、オーブンハウジングへ加熱空気を送り込む前に加圧空気を加熱する天然ガスの炎などの熱源を使用する。第一のタイプの対流加熱は、オーブンハウジングへ送る前に燃焼熱を直接加圧空気に与えて、燃焼ガスを加圧空気と混合する。第二のタイプの対流加熱は間接的加熱プロセスを使用し、燃焼熱は熱交換器の中へ送られて、熱交換器は燃焼ガスを加圧空気と混合することなく加圧空気を加熱する。
【0004】
別の熱源は、車体に接近することによって車体に熱を伝達する輻射ヒーターによってオーブンハウジング内部に与えられる。当業者には既知のように、輻射ヒーターは、一般に、ラジエータの背後に位置する空間の中へ熱風を循環させることによって加熱される金属パネルである。
【0005】
従来の対流及び輻射炉は、建設に過度なコストが掛かり、かつ今日のエネルギーコストの高い市場においては望ましいエネルギー効率を示さないことが判明している。従来の炉の設計は図1の10として示される通りである。従来のオーブンアセンブリ10は、一般に2つの主要な構成成分、すなわちヒーターボックス12及びオーブンハウジング14を含む。ヒーターボックス12は一般にオーブンハウジングから間隔を置いて配置され、熱風ダクト16を介して熱及び加圧空気をオーブンハウジング14へ供給するための構成成分(図には示されていない)を含む。ヒーターボックス12はオーブンハウジング14を再循環させるためにオーブンハウジング内部から空気の大部分を引き寄せるリターンダクトを含む。ヒーターボックス12を通過する空気の最高90パーセントがリターンダクト16を介してオーブンハウジング14内部から得られる。一般的に言って、熱風ダクト1を介してオーブンハウジング14へ送られる空気の10パーセントだけが、オーブンハウジング14外部から引き込まれたフレッシュエアである。車体に施されたコーティングを硬化させるために均等な伝熱を最適化するために、熱風は熱風ヘッダ20を介してノズル22を通って車体へ向けられる。一般に、車体は、施されたコーティングを適切に硬化させるために予め決められた時に約135〜171°C(275〜340°F)まで加熱される。電着プライマーなど一部のコーティングはもっと高い上限の温度を必要とする。当業者には既知のように、要求される焼付け温度を得るためには車体の重量金属エリアへ向けてより多くの熱が向けられなければならない。
【0006】
長さ約24m(80フィート)の典型的オーブンゾーンを持つ従来の炉は、ヒーターボックスを使用する際約51,000m/h(30,000cfm)の実空気量を必要とする。施されたコーティングを硬化させるために必要な熱を車体に伝えるためにこのように大量の空気が必要とされる。従来の炉のノズル22における空気温度は一般に229°C(444°F)であり、要求される熱エネルギー量を伝達するためにノズル22における空気速度25.0m/s(4,930fpm)を必要とする。上述の運転パラメータは一般に6.6×106 Nm(4.9×106ft−lb)/秒2の運動量で467kW(1,595,000BTU/時)を生じる。熱風はヒーターボックス12に配置されるファンによって再循環されるので、また再循環される空気はファンによって加圧される前に多くの場合再加熱されるので、ファンは非常に丈夫な設計を必要とし、これが運転及び設置コストを増大する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の炉において現在使用されている容積及び流量は、要求される熱伝達を得るために必要であるとは思われない頑丈なファン及びヒーターシステムを必要とする。これは部分的には熱風がファンを通って再循環してオーブンハウジング12の中に戻ることが原因である。さらに、熱風が再循環されるために、熱の損失を減少し作業員が物理的に接触しないよう保護するためにヒーターボックス12及び熱風ダクト16の周りには相当量の断熱24が必要とされる。従って、従来のヒーターボックスに関連する広範囲の断熱及び複雑な装置を必要としない単純化されたオーブンアセンブリを設計することが望ましいだろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はオーブンアセンブリを貫いて運搬される物品に施されたコーティングを硬化させるためのオーブンアセンブリを開示している。オーブンアセンブリを貫いて物品を運搬するためにトランスポータはオーブンハウジングを貫いて伸びる。ファンは実質的にオーブンハウジング外部から引き込まれた加圧空気をオーブンハウジングの中へ供給する。ダクトはオーブンハウジングの中へ伸びる第一要素及びファンからオーブンハウジングの中へ加圧空気を運ぶためにファンと相互接続される第二要素を含む。オーブンハウジングの中へ運ばれる加圧空気を加熱するために、一般に第一要素と第二要素との間にバーナーが配置される。第一要素は加熱空気を物品へ向けるためにオーブンハウジング全体に間隔を置いて配置される複数の空気吹き出し口を形成する。第一要素はオーブンハウジング内部で実質的に断熱されて、バーナーによって発生した熱が空気吹き出し口を介する以外にダクトから漏出するのを抑制する。バーナーは、オーブンハウジングの中へ送られる加圧空気を、物品へ施されたコーティングの硬化温度の約3倍の温度まで加熱する。
【0009】
本発明のオーブンアセンブリは先行技術すなわち従来のオーブンアセンブリに関連する問題を解決する。特に、焼き付けられる物品へ熱を伝達するためにオーブンハウジングへ加圧空気を供給するために使用されるベンチレータまたはファンのサイズは2つの理由で大幅に減少する。まず、本発明の設計は加熱空気をオーブンハウジングの中へ戻さないので、ファンは主に周囲温度の空気を引き寄せるので、耐熱である必要がない。さらに、ダクトの第一要素へ導入される前に周囲温度の空気を加熱するために使用されルヒーターまたはバーナーは、オーブンハウジングに隣接する車体へ施されたコーティングの硬化温度の約2倍から4倍まで空気を加熱するよう構成される。この温度の空気は、高いノズル速度で炉内に導入されると、従来の24m(80フィート)の長さのオーブンゾーンの空気量を約51,000m/h(30,000scfm)から約3,400m/h(2,000scfm)に減少させる。このような空気量、空気温度及び空気速度が組み合わされると、ベンチレータを駆動するためにより少ないエネルギーを使用しかつ大幅に単純な通風及び加熱装置を備えながら、従来の炉と実質的に同様のBTU量/時が炉へ送られる。特に、現在従来の炉に使用されている複雑なヒーターボックスはもはや必要ないので、完全にこれが排除され、生産用炉の構造及び設計を大幅に単純化する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図2を参照すると、本発明のオーブンアセンブリは全体として参照番号30で示されている。オーブンアセンブリはオーブンハウジング32を含み、この中を貫いて例えば車体34など物品がトランスポータ36上で運搬される。当業者には既知のトランスポータ36は一般にキャリア38を運搬するコンベアとして設計され、キャリアの上に車体34が固定される。
【0011】
生産用塗装工場において、コーティングは車体34に施され、車体34を装飾及び保護塗装仕上げする。異なるコーティングは異なる焼付けまたは硬化要件を有し、これらの要件は車体タイプ及び生産量と共に、本発明のオーブンアセンブリ30の長さ及び熱の要件を決定する。例えば、電着プライマーは一般に約20分間約171°C(340°F)で硬化し、装飾トップコート及びクリアコートは同じく約20分間約141°C(285°F)で硬化する。説明を単純化するために、本発明のオーブンアセンブリ30の発明的コンセプトの説明は、典型的な24m(80フィート)の長さのオーブンゾーンを想定しており、約467kW(1,595,000(BTU/hr))の熱伝達を必要とする。
【0012】
加圧空気はベンチレータ42によってダクト40を介してオーブンハウジング32へ送り込まれる。好ましくは、ベンチレータ42は約3,400m/h(2,000scfm)の体積の周囲空気を移送することができる従来のファンである。ダクト40は、一般にオーブンハウジング32内部に伸びる第一要素44及び一般にベンチレータ42から第一要素44へ伸びる第二要素46を含む。ベンチレータ42によって送り込まれるときダクト40を通過する加圧空気に熱を供給するために、ヒーター48は第一要素44と第二要素46との間に配置される。好ましくは、ヒーター48は、車体34に施されたコーティングを適切に硬化させるためにダクト40を通過する加圧空気に要求される熱量を供給するためのサイズのガスバーナーである。ただし、上に示されるように加圧空気に熱を供給するために別のヒーターを使用することができることが当業者には分かるはずである。
【0013】
下でさらに説明するように、ヒーターは加圧空気の温度を約593°C(1,100°F)またはそれ以上に上げる。想定される1つの範囲は約371〜593°C(700°〜1,100°F)までである。望ましい温度は、下でさらに説明するようにコーティングの硬化温度の約2倍から4倍までの間になるように選択される。加熱された加圧空気がオーブンハウジング32の内部のみを通過するように、ヒーターは、好ましくはオーブンハウジング32に隣接してまたはほぼ隣接して配置される。これは、ダクト40を断熱する必要を減少する。またはもっと特定して言うと、ダクト40の第二要素46はさらにアセンブリコストを減少する。しかし、望ましい場所を除いて第一要素44を介してオーブンハウジング32の中へ熱が漏出することを防止するために、断熱材32はオーブンハウジング32内部のダクト40の第一要素44を被覆する。
【0014】
図2に示されるオーブンアセンブリ30は、オーブンハウジング32の対向する側に配置される2つのヒーター48を示している。それぞれのヒーターは対向する第一要素44に熱を供給する。従って、ダクト40の第一要素44はオーブンハウジング32を通過する車体34の対向する側に配置される。しかし、対向する第一要素44のほぼ中間にヒーター48を配置することによってダクト40の対向する第一要素44の各々に熱を供給するために1つのヒーター48を設置することが考えられることが分かるはずである。
【0015】
各第一要素44は、全体的に水平方向に伸びる上部ヘッダ52及び下部ヘッダ54を形成する。ノズル56は上部ヘッダ52及び下部ヘッダ54の各々に沿って間隔を置いて配置され、ノズルから加圧された加熱空気が車体34の予め決められた場所へ向かって放射される。図3は、上部ヘッダ52及び下部ヘッダ54に間隔を置いて配置されるノズル56の位置を良く表している。この形態については下でさらに説明する。図3から最もよく分かるように、フィードヘッダ58はヒーター48と第一要素44の下部ヘッダ54との間に伸びる。フィードヘッダ58はミキサとしての役割を果たし、ヒーター48によって生成された燃焼ガスがベンチレータ42によって供給される加圧空気と混合するための充分な時間を持つように、最初のノズル56とヒーター48との間に距離を与える。この例において、約8フィートの長さのフィードヘッダ58が24m(80フィート)のオーブンゾーンのためにベンチレータ42によって供給される加圧空気にヒーター48によって生成された燃焼ガスを混合するのに充分な時間を与えることが立証されている。異なる熱要件を持つ異なるサイズのオーブンアセンブリは異なる長さのフィードヘッダ58を必要とするだろう。図3に示される第一要素44において、フィードヘッダ58は下部ヘッダ54と直列に接続され、下部ヘッダは接続ヘッダ60によって上部ヘッダ52に接続される。この形態において、加圧空気はフィードヘッダ58を通過して下部ヘッダ54に達し、接続ヘッダ60を通過して上部ヘッダ52の遠位端62で成端する単一の経路を移動する。オーブンアセンブリ30の下部に配置されるヒーター48はまずフィードヘッダ58を介して上部ヘッダ52に接続されて、第一要素44を通過する加圧空気の方向が逆転することが、当業者には分かるはずである。
【0016】
再び図2及び3を参照すると、垂直温度プローブ68はオーブンハウジング32の天井から下向きに伸びて、オーブンハウジング32の内部温度を測定する。垂直温度プローブ68はコントローラ(図には示されていない)と通信し、コントローラは、必要な場合にはオーブンハウジング32の内部温度を調整するためにヒーター48に信号を発する。水平温度プローブ70は垂直温度プローブ68の下方に間隔を置いて配置され、垂直温度プローブ68と同様にハウジング32の下部領域においてオーブンの温度を測定する。ヘッダ温度プローブ72はフィードヘッダの中まで伸びて、垂直温度プローブ68について上に説明されるのと同様にフィードヘッダ58内部の加圧空気の温度を測定する。プローブの各々は、オーブンハウジング32の内部の温度を制御するためにコントローラと相互作用する。必要な場合には、第二要素46に沿って間隔を置いて追加のヘッダ温度プローブ72を配置することができる。より迅速な反応のために、垂直プローブまたは水平プローブをノズル56から0.3〜0.9m(1〜3フィート)間隔を置いてノズル56のすぐ前に配置することができる。
【0017】
図4を参照すると、上部ヘッダ52及び下部ヘッダ54のうちの一方の断面図が示されている。上述のとおり、断熱材50はヘッダ壁74を取り囲んで、ヘッダ壁を介してオーブンハウジング32の中への熱が損失するのを抑える。ノズル56はヘッダ壁74内部に配置され、遠位端76から一般にヘッダ壁74に隣接して配置される末端78へ向かって減少する直径を形成する。従って、第一要素44からの出て行くとき面積が減少するためにノズル56を通過する加圧空気が加速するように、ノズル56は全体的に凹面の円錐台形を形成する。ノズル56の形状は図5Aに示される斜視図に最もよく表されている。図5Bは、スウィベル80を持つ別のノズル57を示している。スウィベルは、別のノズル57を第一要素44内部で連接して加圧空気をより正確に予め決められた場所へ向けられるようにする。
【0018】
エダクタまたはベンチュリノズルの形式の別のノズルが図6に参照番号82として示されている。エダクタ82は図6においてヘッダ52、54外部のヘッダ壁74取り付けられる合わせ面86を持つ状態で示されている。合わせ面86は上部ヘッダ及び下部ヘッダ52、54の一方から加圧空気を受ける加圧空気取入れ口88を形成する。加圧空気はベンチュリチェンバー90を通過して、上述のように車体34の予め決められた場所に加圧空気を向けるエダクタノズル92を通ってエダクタ82から出て行く。熱風はオーブンハウジング32内部からベンチュリ入り口94を通って引き寄せられ、既知の通りベンチュリ効果によってベンチュリチェンバー90を通過する加圧空気によってエダクタノズル92の中へ送られる。これによって車体34の予め決められた場所へ向かう空気の体積流量は増大して、さらにベンチレータ42のエネルギー必要量を減少させる。
【0019】
さらに別の実施態様のノズルが図7において空気増幅器96として示されている。この図において、単純化のために図6と同様の参照番号が使用される。空気増幅器96は空気取り入れ口88を含み、ここで加圧空気は上部ヘッダ及び下部ヘッダ52、54の一方から強制的に送られる。加圧空気はベンチュリチェンバー90を通過して増幅器ノズル92の中へ入り、ノズルは加圧空気を車体34の予め決められた場所へ向ける。加熱空気はオーブンハウジング32の内部からベンチュリ効果によってベンチュリ入り口94を介して引き寄せられて、車体34へ向けられる加熱空気の体積流量を増大するので、さらにベンチレータ42のエネルギー必要量を減少する。
【0020】
上述の実施態様は車体34の重量金属部分を加熱するために望ましい。重量金属部分は車体34の薄い金属すなわちシートメタル部分より高い熱を必要とする。これらの実施態様において、エダクタ84及び空気増幅器96は各々車体の予め決められた場所へ向けられ、オーブンハウジング32内部から加熱空気を引き寄せて、車体34の重量金属部分へ向けられる熱エネルギーの量を最大限にする。上に説明されるように、加圧空気は、ノズル92から出て行く前に、ヘッダ52、54を通り、空気取り入れ口88を通って、ベンチュリチェンバー90の中へ入る。熱風はベンチュリ効果によってベンチュリ入り口94の中へ引き寄せられて、車体34へ向けられる熱風の体積流量を増大する。
【0021】
表1は上述の利点を持つ本発明のオーブンアセンブリ30の運転パラメータを示している。
【表1】

【0022】
表Iに示されるデータは、典型的な車体34の生産速度のときの典型的な24m(80フィート)の長さのオーブンセクション(すなわち、昇温ゾーン)に基づいている。それぞれの例において、要求される熱伝達は約467kW(1,595,000(BTU/hr))である。第一の欄は、従来の炉の設計において要求される熱を生成するための様々な運転要件を示しており、次の欄は本発明の炉の通常の設計を示しており、上限速度及び下限速度は一般的運転範囲を確立する。
【0023】
最も顕著なことは、標準出し容積が標準立法フィート/分(周囲温度)で大幅に減少されることである。当業者は、従来の炉においては熱風が図1に示されるヒーターボックス12によって炉を再循環するので、出し容積がほぼ51,000m/h(30,000acfm)であることが分かるだろう。従って、ファン容積を大幅に減少させることができる出し容積の減少は、実際には51,000m/h(30,000acfm)から3,398m/h(2,000scfm)への減少である。減少された出し容積で要求される熱伝達を維持するために、ノズル56における空気伝達温度は、従来のノズル22における従来の空気伝達温度約229°C(444°F)を上回って、新規の炉の設計においては約593°C(1,100°F)まで上げられる。さらに、ノズル直径は従来の直径約0.116m(0.38フィート)から約0.018m(0.06フィート)に減少され、その結果ノズルにおける空気速度は通常オーブンアセンブリ30において約18.9m/s(3,727fpm)から約163m/s(32,000fpm)に増大する。これによって、ノズルの通常ノズル速度/面積は約66751 m−秒(219,000ft−秒)となり、従来のノズル速度/面積約169m−秒(556ft−秒)よりずっと大きい。従って、発明者は、加圧空気がより高い空気速度でかつ大幅に小さい出し容積で車体に施されたコーティングの効果温度の最高3倍で送り出されるとき、熱エネルギーを伝達するために必要な運動量は一定であると判断した。研究に基づいて、車体に施されたコーティングの硬化温度(華氏)の2倍から4倍の温度が望ましい運転範囲であり、しかも、車体に施されたコーティングを硬化または焼付けするために十分な熱エネルギーを供給すると、考えられる。さらに、上に示される比は、ノズル56における空気速度対空気量の比、約150〜650対1(通常比率約400対1)を使用する。さらに、空気速度対ノズル面積の比は約15,240〜121,920対1(通常速度約66751対1)(m/秒)(50,000〜400,000対1(通常速度約220,000対1)(フィート/秒))であると判断される。
【0024】
望ましい熱及び運動量必要量を得ることが判明しているさらなる運転パラメータは、オーブンハウジングのフィート当たり約43m/h(25scfm)未満の空気量をオーブンハウジングへ供給することである。別の実施態様は、オーブンハウジングのフィート当たり約86m/h(50scfm)未満の空気量をオーブンハウジングへ供給する。さらに別の実施態様は、オーブンハウジングのフィート当たり約127m/h(75scfm)の率の空気量をオーブンハウジングへ供給する。これはオーブン長さ1フィート当たり約374m/h(220scfm)を必要し、本発明のオーブンアセンブリ30よりエネルギー使用量が大きい従来のオーブン設計より大幅に小さい数値である。
【0025】
加圧空気を約593°C(1,100°F)まで加熱することのもう1つの利点は、炉壁をコーティングするための既知のコーティング副産物の燃焼によって炉30をきれいにすることができることである。これによって手で炉壁を洗浄する必要(労働集約的作業である)を排除する。
【0026】
本発明は例として説明されており、使用される用語は限定の言葉ではなく説明の言葉の性質を持つことを意図している。
【0027】
以上の教示から本発明の多くの修正及び変形が可能であることは明らかである。従って、特許請求(参照番号は単に便宜上であり、決して限定的なものではない)の範囲内で本発明は明示される以外の形態で実施できるものと解釈されるべきである。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5A】

【図5B】

【図6】

【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に施されたコーティングを焼き付けるためのオーブンアセンブリであって、
ハウジングと、
該オーブン外部に配置されるベンチレータから加圧空気を受け取るヘッダと、
前記ベンチレータから受け取った前記加圧空気に熱を供給し、それによって前記物品に施された前記コーティングの硬化温度(華氏)の約2倍から4倍まで前記加圧空気の温度を上げるヒーターと、
を備えていて、
前記ヘッダが前記ヒーターから前記ハウジングの中まで伸び、
前記ヘッダが、間隔を置いた場所に配置されて前記物品に施された前記コーティングの前記硬化温度(華氏)の約2倍から4倍の温度の加圧空気を前記物品の予め決められた場所へ向けるノズルを有する、
ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
前記ヘッダが前記ヘッダ内部の熱を維持するために前記ノズルと前記ヒーターとの間で断熱される、ことを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記ヒーターが前記ベンチレータから供給される前記加圧空気に直火を与えるバーナーを備える、ことを特徴とする請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記ノズルが前記ヘッダ内部に配置される、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記ヘッダ内部に配置される前記ノズルが前記ヘッダからの出口へ向かって徐々に減少する直径を形成する、ことを特徴とする請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記ノズルが前記ヘッダから前記物品の予め決められた場所へ加圧空気を向けるためにスウィベルを備える、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記ノズルが、前記ハウジング内部から空気を引き寄せそれによって前記物品の予め決められた場所へ向けられる加圧空気の体積流量を増大するベンチュリノズルを備える、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記ノズルにおける空気速度対空気量の比が約150〜650対1である、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記ノズルの各々における空気速度対空気量の比が概ね400対1である、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
空気速度(フィート/秒)対ノズル面積(平方フィート)の比が約50,000〜400,000対1である、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記ヒーターが前記ベンチレータから受け取った前記加圧空気へ熱を供給し、それによって前記物体へ施された前記コーティングの硬化温度(華氏)の約3倍まで前記加圧空気の温度を上げる、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記ヘッダが前記オーブンハウジング内部において断熱され、それによって前記オーブンハウジング内部において前記ヘッダから損失される熱を減少する、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記ノズルが各々、前記燃焼ガスが前記加圧空気と混合するために必要な距離だけ前記ヒーターから間隔をおいて配置される、ことを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
オーブンハウジングを通過する物品に施されたコーティングを硬化させるための方法であって、前記コーティングが約T度(華氏)の硬化温度を有するものであって、
加圧空気源を用意するステップ(前記加圧空気源が前記オーブンハウジング外部から空気を引き込み、前記加圧空気を前記オーブンへ送る)と、
T度(華氏)の約3倍の温度まで前記加圧空気を加熱するステップと、
T度(華氏)の約3倍の温度を有する前記加圧空気を前記物品の予め決められた場所へ向けて送り、それによって前記物品に施された前記コーティングを硬化させるために必要な持続時間前記物品の温度を約T度(華氏)へ上げるステップと、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記オーブンハウジングへ加圧空気を送る前記ステップが、さらに、
約150〜650対1の空気速度対空気量の比の加圧空気を送ることを含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記オーブンハウジングへ加圧空気を送る前記ステップが、さらに約400対1の空気速度対空気量の加圧空気を送る、ことを特徴とする請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記オーブンハウジング外部から空気を引き込む前記ステップが、さらに、
前記オーブンハウジングへ送られる空気のほぼ全てを前記オーブンハウジング外部から引き込むことを含む、
ことを特徴とする請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
さらに、前記オーブンハウジングの中へ前記加熱空気を移動させる前に前記オーブンハウジングの内部から前記加熱空気を断熱するステップを含む、ことを特徴とする請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記オーブンハウジングへ加圧空気を送る前記ステップが、さらに、
オーブンハウジングのフィート当たり約42m/h(25scfm)未満の空気量の空気を送ることを含む、
ことを特徴とする請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記オーブンハウジングへ加圧空気を送る前記ステップが、さらに、
オーブンハウジングのフィート当たり約85m/h(50scfm)未満の空気量の空気を送ることを含む、
ことを特徴とする請求項14から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記オーブンハウジングへ加圧空気を送る前記ステップが、さらに、
オーブンハウジングのフィート当たり約127m/h(75scfm)の空気量の空気を送ることを含む、
ことを特徴とする請求項10から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記加圧空気を加熱する前記ステップが、さらに、
前記加圧空気へ直接燃焼ガスを当てることを含む、
ことを特徴とする請求項14から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記加圧空気を加熱する前記ステップが、さらに、
前記オーブンハウジングへ前記加圧空気を送り込む直前に前記加圧空気を加熱することを含む、
ことを特徴とする請求項14から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
オーブンアセンブリを貫いて運搬される物品に施されたコーティングを硬化させるためのオーブンアセンブリであって、
該オーブンアセンブリを貫いて前記物品を運搬するためにオーブンハウジングを貫いて伸びるトランスポータを有するオーブンハウジングと、
実質的に前記オーブンハウジング外部から空気を引き込んで前記オーブンハウジングの中へ加圧空気を供給するためのファンと、
前記オーブンハウジングの中まで伸びる第一要素及び前記ファンから前記オーブンハウジングの中へ加圧空気を運ぶために前記ファンと相互接続される第二要素を有するダクトと、
前記オーブンハウジングの中へ運ばれる前記加圧空気を加熱するために一般に前記第一要素と前記第二要素との間に配置されるバーナーと、
を備え、
前記第一要素が、前記加熱空気を前記物品へ向けるために前記オーブンハウジング全体に間隔をおいて配置される複数の空気出口を形成し、前記第一要素が前記オーブンハウジング内部において実質的に断熱され、それによって、前記空気出口を介する漏出を除いて前記バーナーによって生成される熱の前記ダクトからの漏出を減少する、
ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項25】
前記出口が前記オーブンハウジング内部に配置される前記物品の予め決められた場所に前記加圧空気を向けるためにノズルを備える、ことを特徴とする請求項24に記載のアセンブリ。
【請求項26】
前記ノズルが前記ダクト内部に配置され、かつ遠位端から前記出口へ向かって減少する直径を形成する、ことを特徴とする請求項25に記載のアセンブリ。
【請求項27】
前記出口が各々前記オーブンハウジング内部から空気を引き寄せそれによって前記オーブン内部における空気の体積流量を増大するエダクタを備える、ことを特徴とする請求項24から26のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項28】
前記バーナーが前記ダクトの前記第二要素から前記第一要素まで通過する前記加圧空気に直接炎を当てる、ことを特徴とする請求項24から27のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項29】
前記ファンが、オーブンハウジングのフィート当たり約42m/h(25scfm)未満の空気量の空気を前記オーブンハウジングへ供給するように構成される、ことを特徴とする請求項24から28のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項30】
前記ファンが、オーブンハウジングのフィート当たり約85m/h(50scfm)未満の空気量の空気を前記オーブンハウジングへ供給するように構成される、ことを特徴とする請求項24から29のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項31】
前記ファンが、オーブンハウジングのフィート当たり約127m/h(75scfm)未満の空気量の空気を前記オーブンハウジングへ供給するように構成される、ことを特徴とする請求項24から30のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項32】
前記出口が各々出口面積を形成し、前記ファンのサイズが、空気速度(フィート/秒)対出口面積(平方フィート)の比が約50,000及び400,000対1となるように定められる、ことを特徴とする請求項24から31のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項33】
オーブンハウジング内部に配置される物品に施されたコーティングを硬化させるための方法であって、
実質的に前記オーブンハウジング外部から引き込まれた周囲温度の加圧空気を前記オーブンハウジングへ送るステップと、
前記オーブンハウジングに近接して前記加圧空気を加熱し、それによって加熱された加圧空気を生成し、前記オーブンハウジング内部全体において間隔を置いた場所に前記加熱加圧空気を配分するステップと、
前記間隔を置いた場所を除いて前記オーブンハウジングの前記内部から前記加熱加圧空気を断熱し、それによって、前記間隔を置いた場所を介する熱伝達を除いて前記加熱加圧空気から前記オーブンハウジングの前記内部の中への熱伝達を減少するステップと、
を含む、方法。
【請求項34】
前記オーブンハウジングの前記内部全体に前記加熱加圧空気を配分する前記ステップが、さらに、
前記加熱加圧空気を前記オーブンハウジング内部に配置される前記物品の予め決められた場所へ向けることを含む、
ことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記加圧空気を加熱する前記ステップが、さらに
前記オーブンハウジング内部に配置される前記物品に施された前記コーティングの硬化温度(華氏)の約3倍の温度まで前記加圧空気を加熱することを含む、
ことを特徴とする請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記オーブンハウジング内部全体に前記加熱加圧空気を配分する前記ステップが、さらに、
約150〜650対1の空気速度対空気量の比で前記間隔を置いた場所を介して加圧空気を配分することを含む、
ことを特徴とする請求項33〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記オーブンハウジングの内部全体において間隔を置いた場所で前記加熱加圧空気を配分する前記ステップが、さらに、
約400対1の空気速度対空気量の比で前記間隔を置いた場所を介して加圧空気を配分することを含む、
ことを特徴とする請求項33〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記オーブンハウジングへ加圧空気を送る前記ステップが、さらに、
オーブンハウジングのフィート当たり約42m/h(25scfm)未満の空気量の加圧空気を送ることを含む、
ことを特徴とする請求項33〜37に記載の方法。
【請求項39】
前記オーブンハウジングへ加圧空気を送る前記ステップが、さらに、
オーブンハウジングのフィート当たり約85m/h(50scfm)未満の空気量の加圧空気を送ることを含む、
ことを特徴とする請求項33〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記オーブンハウジングへ加圧空気を送る前記ステップが、さらに、
オーブンハウジングのフィート当たり約85m/h(75scfm)未満の空気量の加圧空気を送ることを含む、
ことを特徴とする請求項33〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記加圧空気を加熱する前記ステップが、さらに、
前記加圧空気へ直接燃焼ガスを当てることを含む、
ことを特徴とする請求項33〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記オーブンハウジングに近接して加圧空気を加熱する前記ステップが、さらに、
前記オーブンハウジングへ前記加圧空気を送り込む直前に前記加圧空気を加熱することを含む、
ことを特徴とする請求項33〜41のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−540261(P2009−540261A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514705(P2009−514705)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005250
【国際公開番号】WO2007/144177
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(504389784)デュール システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (54)
【Fターム(参考)】