封入されたマーカバンドを備えたチップを含むカテーテルチップ組立体及びその製造方法
【課題】封入されたマーカバンドを備えたチップを含むカテーテルチップ組立体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】カテーテルチップ組立体は、マーカバンドとカテーテルチップとからなり、カテーテルチップはその内部を貫通する内腔を画定し、同カテーテルチップは外側部と内側部とからなるとともにマーカバンドが同外側部と同内側部との間に配置され、かつ外側部はマーカバンドを封入するべく内側部に融合されている。その製造方法は、コアピンを提供する工程と、コアピンの周囲にポリマー管を配置する工程と、ポリマー管の周囲にマーカバンドを配置する工程と、カテーテルチップ用の材料を溶融する工程と、マーカバンド及びポリマー管の上にカテーテルチップを成形して冷却する前にカテーテルチップ用の溶融材料をポリマー管と融合する工程と、を含む。
【解決手段】カテーテルチップ組立体は、マーカバンドとカテーテルチップとからなり、カテーテルチップはその内部を貫通する内腔を画定し、同カテーテルチップは外側部と内側部とからなるとともにマーカバンドが同外側部と同内側部との間に配置され、かつ外側部はマーカバンドを封入するべく内側部に融合されている。その製造方法は、コアピンを提供する工程と、コアピンの周囲にポリマー管を配置する工程と、ポリマー管の周囲にマーカバンドを配置する工程と、カテーテルチップ用の材料を溶融する工程と、マーカバンド及びポリマー管の上にカテーテルチップを成形して冷却する前にカテーテルチップ用の溶融材料をポリマー管と融合する工程と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカテーテルに関し、より詳細には、非限定的ではあるが、ステント、移植体、ステント−移植体、大静脈フィルタのような一つ以上の移植可能な医療装置又はその他の移植可能な医療装置を体腔に送達かつ展開するために使用され得る組立体及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療処置時にカテーテルを体腔内に進行させる際、同カテーテルの位置をより良好に決定するために放射線不透過性のマーカバンドを時としてチップ内に包含させる。
例えば本明細書中にて参照として援用される特許文献1に記載されているような送達カテーテルが当該技術分野においては知られている。そのようなカテーテルは、例えば本明細書中にて参照として援用される特許文献2、特許文献3及び特許文献4に記載されているようなマーカバンドとステント固定リングとを含み得る。
【0003】
マーカバンドを備えた公知のカテーテルチップの幾らかは射出成形され、それにより同マーカバンドの外径はチップ内に成形される一方、同マーカバンドの内径は内腔又はガイドワイヤ腔に露出されている。この露出により、ガイドワイヤの挿入時又はガイドワイヤの後退時に、同マーカが遊離したり、同マーカが損傷を受けやすくなったりするので、それが安全上の問題となる。
【0004】
上記に参照された技術及び/又は記載された技術は、本明細書において参照されているいかなる特許、文献又はその他の情報も本発明に関する「従来技術」であることの承認を構成することを意図していない。加えて、このセクションは、サーチがなされたこと、又は米国特許法施行規則第1.56(a)条に定義されているようなその他の関連情報が存在していないことを意味するものと解釈されるべきではない。
【0005】
本明細書中に記載されている全ての米国特許、米国特許出願及びその他の刊行物は、その全体が本明細書中にて参照として援用される。
本発明の範囲を制限することなく、本発明のクレームされた実施形態のいくらかの要約を以下に記載する。本発明の要約化された実施形態の更なる詳細及び/又は本発明の更なる実施形態は以下に記載の発明の詳細な説明にて見出せ得る。
【0006】
本明細書中の技術的な開示の短い要約は、米国特許法施行規則第1.72条に適合する目的にて同様に提供されている。要約は、特許請求の範囲を解釈するために使用されることを意図していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6007543号明細書
【特許文献2】米国特許第6530947号明細書
【特許文献3】米国特許第6315790号明細書
【特許文献4】米国特許第6395008号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、封入されたマーカバンドを備えたチップを含むカテーテルチップ組立体及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を解決するために、請求項1に記載の発明は、マーカバンドとカテーテルチップとからなるカテーテルチップ組立体であって、カテーテルチップはその内部を貫通する内腔を画定し、同カテーテルチップは、外側部と内側部とからなるとともにマーカバンドが同外側部と同内側部との間に配置され、外側部は、マーカバンドを封入するべく内側部に融合されている、カテーテルチップ組立体、を提供する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体において、内側部はマーカバンドを内腔から完全に分離する、ことをその要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体において、外側部と内側部とはいずれもポリマー材料から構成されている、ことをその要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体において、外側部と内側部とはいずれも、熱可塑性ポリウレタン、ポリオレフィン、シリコン又はそれらの組み合わせからなる群より選択される材料から構成されている、ことをその要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体において、同カテーテルチップ組立体がカテーテルに取り付けられている、ことをその要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体を製造する方法であって、同方法は、コアピンを提供する工程と、コアピンの周囲にポリマー管を配置する工程と、ポリマー管の周囲にマーカバンドを配置する工程と、カテーテルチップ用の材料を溶融する工程と、マーカバンド及びポリマー管の上にカテーテルチップを成形して、冷却する前にカテーテルチップ用の溶融材料をポリマー管と融合する工程と、を含む、方法を提供する。
【0013】
少なくとも一つの実施形態において、カテーテルチップ組立体は、マーカバンドとカテーテルチップとを含み、同カテーテルチップは同チップを貫通する内腔を有する。カテーテルチップは、外側部と内側部とを有し、両者の間にマーカバンドが配置されている。少なくとも一つの実施形態において、内側部は外側部とは異なる材料から構成され得る。
【0014】
少なくとも一つの実施形態において、内側部はマーカバンドを内腔から完全に分離する。少なくとも一つの実施形態において、マーカバンドはカテーテルチップの内側部と外側部との間に封入されるものとして特徴づけられる。
【0015】
少なくとも一つの実施形態において、外側部は、熱可塑性ポリウレタン(例えば、ダウ(Dow)社から入手可能なペレタン(Pelethane)(登録商標))、ポリオレフィン、シリコン等からなる群より選択される材料から構成され得る。
【0016】
少なくとも一つの実施形態において、内側部は、熱可塑性ポリウレタン(例えば、ダウ社から入手可能なペレタン(登録商標))、ポリオレフィン、シリコン等からなる群より選択される材料から構成され得る。
【0017】
少なくとも一つの実施形態において、外側部は内側部に融合され得る。
少なくとも一つの実施形態において、カテーテルチップ組立体はカテーテルに固定され得る。
【0018】
少なくとも一つの実施形態において、外側部及び/又は内側部の全体は、マーカバンドの全長に対して長手方向に延びている。少なくとも一つの実施形態において、内側部はストリップからなる。
【0019】
少なくとも一つの実施形態において、内側部はマーカバンドを内腔から完全には分離していない。
少なくとも一つの実施形態において、本発明は、カテーテルチップ組立体を製造する一つ以上の方法に関する。
【0020】
本発明のこれらの実施形態及びその他の実施形態は本願に添付されるとともに本願の一部を構成する特許請求の範囲において特定して指摘されている。しかしながら、本発明を更に理解するために、その使用により得られるその利点及び目的、参照は、本願の更なる一部を構成する図面及びそれに関連する記載にてなされるべきであり、それらは本発明の種々の実施形態を例示及び記載するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、封入されたマーカバンドを備えたチップを含むカテーテルチップ組立体及びその製造方法が提供された。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に従うカテーテルチップ組立体の一実施形態の側方断面図を示す。
【図2】本発明のカテーテルチップの一実施形態の線A−Aにおける断面図を示す。
【図3】コアピン又はマンドレルの周囲に配置されたカテーテルチップ組立体において使用される管及びマーカバンドの側方断面図を示す。
【図3a】コアピン又はマンドレルの周囲に配置されたカテーテルチップ組立体において使用される管及びフレア状マーカバンドの側方断面図を示す。
【図3b】マーカバンドの一部を広げるための装置及び同装置上に配置されたマーカバンドの側面図を示す。
【図3c】マーカバンドの一部を広げるための装置、同装置上に配置されるとともに広げられた部分を有するマーカバンドの側面図を示す。
【図4】本発明に従うカテーテルチップ組立体の一実施形態の側方断面図を示す。
【図5】本発明のカテーテルチップの一実施形態の線B−Bにおける断面図を示す。
【図6】長手方向の溝を有するコアピン又はマンドレルの側面図を示す。
【図7】長手方向の溝を有するコアピン又はマンドレルの断面図を示す。
【図8】長手方向の溝を有するコアピン又はマンドレル及び同マンドレルの周囲に配置されたマーカバンドの断面図を示す。
【図9】カテーテルに固定されたカテーテルチップ組立体の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の詳細な説明は、図面を特に参照して、以下に記載される。
本発明は種々の異なる形態にて具現化され得るが、本明細書中において、本発明の特定の実施形態が詳細に記載されている。この記載は本発明の原理を例示するものであり、例示された特定の実施形態に本発明を制限することを意図していない。
【0024】
この開示の目的のために、図面における同一の符号は、特に指摘されていない限り、同様の特徴を有するものとして参照される。
図1を参照すると、カテーテルチップ組立体10の側方断面図が示されている。カテーテルチップ組立体10は、ガイドワイヤ(図示しない)が貫通する通路となるような内腔30を備えたカテーテルチップ20を含む。図示された内腔30は基端領域30aと、中間領域30bと、先端領域30cとを含む。内腔の領域30a、30b及び30cは同一の直径又は異なる直径を有し得る。内腔30の任意の部分の周囲にはマーカバンド40が設けられている。図示された実施形態において、マーカバンドは内腔30の中間領域30bの周囲に配置されている。少なくとも一つの実施形態において、基端領域30aは図9に示されるカテーテル5のようなカテーテルの内側シャフトに嵌合するようにサイズ化されている。チップ20が図9に示されるようにカテーテルシャフト15に嵌合されると、中間領域30bがカテーテルシャフト15の先端6に直接隣接する。マーカバンド40はまた、先端領域30c及び/又は基端領域30aにも配置され得ることを明記したい。さらに、一つ以上のマーカバンド40が、カテーテルチップ10において、領域30a、30b及び30cのいずれか、若しくは全て、又は同領域の一部の周囲に配置され得ることも明記したい。付随的に、マーカバンド40は図3a及び3cに示されるようにフレア部42を有し得る。
【0025】
図1に示されるカテーテルチップ20は、外側チップ部25と内側チップ部35とを含む。本実施形態において、外側チップ部25はカテーテルチップ20の大部分を含む。幾らかの実施形態において、内側チップ部35はカテーテルチップ20の大部分を含む。幾らかの実施形態において、外側チップ部25はマーカバンド40及び内側チップ部35を除くカテーテルチップ組立体10の全てを含む。幾らかの実施形態において、内側チップ部は管であり、幾らかの実施形態において、より詳細には、同内側チップ部はポリマー管である。幾らかの実施形態において、外側チップ部25はマーカバンド40の周囲に配置される。幾らかの実施形態において、マーカバンド40は内側チップ部35の周囲に配置される。図2は、カテーテルチップ組立体10の線A−Aに沿った断面図であり、外側チップ部がマーカバンド40の周囲に配置され、かつマーカバンド40が内側チップ部35の周囲に配置されている状態を更に示す。幾らかの実施形態において、外側部、内側部及びマーカバンドの長手方向の長さは異なっており、マーカバンドは内側部と外側部との境界面の全長にわたって延びている必要はない。
【0026】
少なくとも一つの実施形態において、外側チップ部25及び内側チップ部35は異なる材料から構成される。少なくとも一つの実施形態において、外側チップ部25は、熱可塑性ポリウレタン(例えば、ダウ社から入手可能なペレタン(Pelethane)(登録商標))、ポリオレフィン、シリコン、ダイナフレックス(Dynaflex)、クラトン(Kraton)等のような柔軟かつ弾性を備えたポリマーから構成される。
【0027】
少なくとも一つの実施形態において、外側チップ部25及び/又は内側チップ部35は、ポリマー及び市販されているそれらのコポリマーのような任意の適切な材料から構成されており、同材料としては、イーストマンケミカル(Eastman Chemical)社(テネシー州、キングスポート所在)からEKTAR(登録商標)の商品名で市販されているポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロへキシレンテレフタレート(PCT);ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、イーストマンケミカル社からEASTAR(登録商標)の商品名で市販されているPCTG及びポリ(シクロヘキサンジメタノール−コ−エチレンテレフタレート)(PETG)コポリマー、イーストマンケミカル社からDURASTAR(登録商標)の商品名で市販されているPCTA、デュポン(DuPont)社(デラウエア州、ウィルミントン所在)からTEONEX(登録商標)の商品名で市販されているポリ(エチレンナフタレート)(PEN)等のようなポリアルキレンテレフタレート類、ポリエステルエラストマー(PEELs)、非結晶性ナイロン及びエルフアトケム(ElfAtochem)社からCRISTAMID(登録商標)の商品名で市販されているナイロン12及びイーエムエス−アメリカングリロン(EMS−American Grilon)社(サウスカロライナ州、サムター所在)から市販されているGRILAMID(登録商標)TR−55−LXナイロン12ポリエーテル−ブロック−アミドのようなそのコポリマー等のポリアミド類、ジーイープラスチックス(GE Plastics)社からULTEM(登録商標)の商品名で市販されているポリエーテルイミド類、ポリスチレン及び発泡ポリスチレン(EPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、PPO及びEPSの共重合体、ポリエーテルケトン類(PEEK)、低密度、中密度、及びイクイスターケミカルズ(Equistar Chemicals)社からALATHON(登録商標)の商品名で市販されているHDPEのような高密度のものを含むポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレフィン類、非結晶性ポリオレフィン類、エルフアトケム社からPEBAX(登録商標)の商品名で市販されているポリエーテル−ブロック−アミド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリエーテル類、シリコン類並びにそれらの任意のコポリマーを含む。上記リストは、例示のみの目的にて意図されたものであり、本発明の範囲を制限することを意図していない。当業者はそのようなポリマー材料の知識を有する。
【0028】
少なくとも一つの実施形態において、マーカバンド40は放射線不透過性マーカバンド、MRIに適したマーカバンド等を含む。マーカバンド40は、任意の適切な形状であり、かつ望ましくは一つ以上の円周バンドを含む。少なくとも一つの実施形態において、マーカバンド40は金属からなる。少なくとも一つの実施形態において、マーカバンド40の金属は、金、白金、白金イリジウム又はそれらの任意の組み合わせである。
【0029】
少なくとも一つの実施形態において、マーカバンド40は、内腔30と連通していない。図1及び2に示されるような幾らかの実施形態において、内側チップ部35は一枚のシート状材料から構成されており、それにより、マーカバンド40は内側チップ部35と外側チップ部25との間にて封入される。そのような一実施形態において、内腔30はマーカバンド40から離間されており、それにより送達時にマーカバンドが内腔と接触することはない。
【0030】
少なくとも一つの実施形態において、カテーテルチップ組立体10の製造は、図3に示されるように、コアピン又はマンドレル50に内側部35を配置する工程を含む。内側部35は好ましくは、マーカバンド40の縁部を越えて延びており、それによりカテーテルチップ20が成形される際に内側部35の端部が外側部25に融合される。少なくとも一つの実施形態において、図3に配置されているように、マンドレル又はコアピン50及び内側部35及びマーカバンド40は、射出成形型37内に配置され、同型内において、カテーテルチップ20が形成される際に内側部35が溶融した外側部25と融合する。
【0031】
少なくとも一つの実施形態において、マーカバンド40は、図3aに示されるようにフレア状になっている。マーカバンド40のフレア部42はカテーテルチップ20(図1に示されるチップ20)のチップ材料中へのマーカバンドの埋め込みを容易にすることができる。フレア部42は、チップが対象に対して押された場合にマーカバンドが押出されないような更なる抵抗性を与える。
【0032】
少なくとも一つの実施形態において、マーカバンド40のフレア部42は、図3b及び3cに示されるように、丸みを備えた端部46を有するハイポチューブ44と真っ直ぐな端部47を有するハイポチューブ45とを使用して形成され得る。ハイポチューブの代わりに任意の管又は円筒状装置を使用可能であり、かつ丸みを備えた端部は、代替的に円錐又は円錐台の端部とすることもできることを明記したい。幾らかの例において、一つのチューブ44又は45のみが使用される。
【0033】
図3bにおいて、非フレア状のマーカバンド40及びハイポチューブ44及び45がマンドレル30’の周囲に配置されている。図3cにおいて、丸みを備えた端部46を有するハイポチューブ44が回転され、かつマンドレル30’に沿って長手方向に移動される。丸みを備えた端部46はマーカバンド40の内腔内にて部分的に押圧され、それによりマーカバンド40の端部が広げられる。次に、マーカバンド40はマンドレル30’から除去され、図3aに示されるように、マンドレル/ピン30の周囲に配置される。
【0034】
必要ではないが、マーカバンド40は図3b及び3cに示されるように、小さな孔49を備え得る。孔はバンド40のカテーテルチップへの密着性を高める。
幾らかの実施形態において、内側部35は外側部25と同時に(又は別に)形成され得る。幾らかの実施形態において、内側部35及び外側部25は図4に示されるものと同じ材料から構成される。許容される材料の幾らかは、5頁の9行から始まるように既に記載されている。
【0035】
少なくとも一つの実施形態において、図5に示される例は、内側部35が間隙60により分離される長手方向に延びる材料のストリップ37から構成されている。幾らかの実施形態において、ストリップは、マーカバンド40が内腔30内に配置されたガイドワイヤと接触することを回避する。幾らかの実施形態ではストリップ37は一つのみであり、別の実施形態ではストリップ37は複数存在する。単一のストリップが、小さな間隙60のみを残して、マーカバンド40全体をほぼ完全に覆うように設計することもできる。
【0036】
少なくとも一つの実施形態において、カテーテルチップ組立体10の成形時に、図6及び7に示されるような溝70を有するコアピン又はマンドレル50を使用した場合に、ストリップ37が形成される。溝70はマンドレル50の全長に延びている。幾らかの実施形態において、溝70は、マンドレル50の長手軸と平行に延びている。幾らかの実施形態において、溝は、マンドレル50の周囲を旋廻する又は螺旋状に巻かれるか、又は幾らかのその他のパターン若しくは配置にて延びている。幾らかの実施形態において、溝は、間断的であるか、及び/又はマンドレル50の全長に延びていないか、及び/又はマーカバンド40の全長に延びていない。
【0037】
幾らかの実施形態において、カテーテルチップ組立体は成形工程により製造され、図8に示されるように溝70を有するマンドレル50の周囲にマーカバンド40を配置する工程を含む。少なくとも一つの実施形態において、図8に配置されているようなマンドレル50及びマーカバンド40は射出成形型内に配置され、同型において、溶融しているカテーテルチップ材料がマーカバンド40上及び同マーカバンド40の下側のマンドレルの溝70内を流れ、カテーテルチップの外側部及び内側部の両方が形成される。
【0038】
図9は、カテーテル5の内側シャフト15に取り付けられたカテーテルチップ組立体10を示す。少なくとも一つの実施形態において、カテーテルチップ組立体10はカテーテル内側シャフト15上に成形され、それにより同カテーテルチップ組立体はカテーテルシャフトと結合する。少なくとも一つの実施形態において、カテーテルチップ組立体10は射出成形され、次にカテーテルシャフト15に接着結合される、及び/又は熱結合される。少なくとも一つの実施形態において、組立体10はカテーテル5と機械的に係合され得る。少なくとも一つの実施形態において、組立体10はネジ式に係合され得る。
【0039】
上述の開示は、例示的な目的にて意図されたものであり、包括的なものではない。この記載は当業者に対して種々の変更例及び代替例を提示するであろう。これらの代替例及び変更例の全ては請求の範囲内に含まれるべきであることが意図されており、該請求の範囲において、「からなる(comprising)」という用語は「含むが、それらに限定されるものではない」ことを意味する。当業者は、本明細書に記載された特殊な実施形態に対してその他の均等物を認識することができ、該均等物はまた請求の範囲に包含されるべきであることが意図されている。
【0040】
更に、従属請求項に例示されている特殊な特徴は、本発明の範囲内においてその他の様式にて互いに結合可能であり、それにより、本発明は従属請求項の特徴のその他の可能な組み合わせを有する他の実施形態を特定するものとしても認識されるべきである。例えば、請求の範囲の公開の目的のために、以下に記載の任意の従属請求項は、多数項従属の様式が法律の範囲内において許容可能な様式である場合、該従属請求項において参照される全ての先行的基礎を有する該請求項より前の全ての請求項からの多数項従属の形態に代替的に書かれたものとして受け入れられるべきである(例えば、請求項1に直接従属する各請求項を該請求項より前の全ての請求項に従属するように代替的に受け入れられるべきである)。多数項従属の様式が制限される法律においては、以下に記載の従属請求項の各々は、以下に示す該従属請求項に挙げられた特定の請求項以外の請求項であって、かつそれより前の先行的基礎を有する請求項への従属性を作出する各単一の従属請求項の様式に代替的に書かれたものとして受け入れられるべきである。
【0041】
これは本発明の種々の実施形態の記載を完了する。当業者は、本明細書に記載されている特定の実施形態に対してその他の均等物を認識することができ、該均等物はまた請求の範囲に包含されるべきであることが意図されている。
【技術分野】
【0001】
本発明はカテーテルに関し、より詳細には、非限定的ではあるが、ステント、移植体、ステント−移植体、大静脈フィルタのような一つ以上の移植可能な医療装置又はその他の移植可能な医療装置を体腔に送達かつ展開するために使用され得る組立体及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療処置時にカテーテルを体腔内に進行させる際、同カテーテルの位置をより良好に決定するために放射線不透過性のマーカバンドを時としてチップ内に包含させる。
例えば本明細書中にて参照として援用される特許文献1に記載されているような送達カテーテルが当該技術分野においては知られている。そのようなカテーテルは、例えば本明細書中にて参照として援用される特許文献2、特許文献3及び特許文献4に記載されているようなマーカバンドとステント固定リングとを含み得る。
【0003】
マーカバンドを備えた公知のカテーテルチップの幾らかは射出成形され、それにより同マーカバンドの外径はチップ内に成形される一方、同マーカバンドの内径は内腔又はガイドワイヤ腔に露出されている。この露出により、ガイドワイヤの挿入時又はガイドワイヤの後退時に、同マーカが遊離したり、同マーカが損傷を受けやすくなったりするので、それが安全上の問題となる。
【0004】
上記に参照された技術及び/又は記載された技術は、本明細書において参照されているいかなる特許、文献又はその他の情報も本発明に関する「従来技術」であることの承認を構成することを意図していない。加えて、このセクションは、サーチがなされたこと、又は米国特許法施行規則第1.56(a)条に定義されているようなその他の関連情報が存在していないことを意味するものと解釈されるべきではない。
【0005】
本明細書中に記載されている全ての米国特許、米国特許出願及びその他の刊行物は、その全体が本明細書中にて参照として援用される。
本発明の範囲を制限することなく、本発明のクレームされた実施形態のいくらかの要約を以下に記載する。本発明の要約化された実施形態の更なる詳細及び/又は本発明の更なる実施形態は以下に記載の発明の詳細な説明にて見出せ得る。
【0006】
本明細書中の技術的な開示の短い要約は、米国特許法施行規則第1.72条に適合する目的にて同様に提供されている。要約は、特許請求の範囲を解釈するために使用されることを意図していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6007543号明細書
【特許文献2】米国特許第6530947号明細書
【特許文献3】米国特許第6315790号明細書
【特許文献4】米国特許第6395008号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、封入されたマーカバンドを備えたチップを含むカテーテルチップ組立体及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を解決するために、請求項1に記載の発明は、マーカバンドとカテーテルチップとからなるカテーテルチップ組立体であって、カテーテルチップはその内部を貫通する内腔を画定し、同カテーテルチップは、外側部と内側部とからなるとともにマーカバンドが同外側部と同内側部との間に配置され、外側部は、マーカバンドを封入するべく内側部に融合されている、カテーテルチップ組立体、を提供する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体において、内側部はマーカバンドを内腔から完全に分離する、ことをその要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体において、外側部と内側部とはいずれもポリマー材料から構成されている、ことをその要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体において、外側部と内側部とはいずれも、熱可塑性ポリウレタン、ポリオレフィン、シリコン又はそれらの組み合わせからなる群より選択される材料から構成されている、ことをその要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体において、同カテーテルチップ組立体がカテーテルに取り付けられている、ことをその要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体を製造する方法であって、同方法は、コアピンを提供する工程と、コアピンの周囲にポリマー管を配置する工程と、ポリマー管の周囲にマーカバンドを配置する工程と、カテーテルチップ用の材料を溶融する工程と、マーカバンド及びポリマー管の上にカテーテルチップを成形して、冷却する前にカテーテルチップ用の溶融材料をポリマー管と融合する工程と、を含む、方法を提供する。
【0013】
少なくとも一つの実施形態において、カテーテルチップ組立体は、マーカバンドとカテーテルチップとを含み、同カテーテルチップは同チップを貫通する内腔を有する。カテーテルチップは、外側部と内側部とを有し、両者の間にマーカバンドが配置されている。少なくとも一つの実施形態において、内側部は外側部とは異なる材料から構成され得る。
【0014】
少なくとも一つの実施形態において、内側部はマーカバンドを内腔から完全に分離する。少なくとも一つの実施形態において、マーカバンドはカテーテルチップの内側部と外側部との間に封入されるものとして特徴づけられる。
【0015】
少なくとも一つの実施形態において、外側部は、熱可塑性ポリウレタン(例えば、ダウ(Dow)社から入手可能なペレタン(Pelethane)(登録商標))、ポリオレフィン、シリコン等からなる群より選択される材料から構成され得る。
【0016】
少なくとも一つの実施形態において、内側部は、熱可塑性ポリウレタン(例えば、ダウ社から入手可能なペレタン(登録商標))、ポリオレフィン、シリコン等からなる群より選択される材料から構成され得る。
【0017】
少なくとも一つの実施形態において、外側部は内側部に融合され得る。
少なくとも一つの実施形態において、カテーテルチップ組立体はカテーテルに固定され得る。
【0018】
少なくとも一つの実施形態において、外側部及び/又は内側部の全体は、マーカバンドの全長に対して長手方向に延びている。少なくとも一つの実施形態において、内側部はストリップからなる。
【0019】
少なくとも一つの実施形態において、内側部はマーカバンドを内腔から完全には分離していない。
少なくとも一つの実施形態において、本発明は、カテーテルチップ組立体を製造する一つ以上の方法に関する。
【0020】
本発明のこれらの実施形態及びその他の実施形態は本願に添付されるとともに本願の一部を構成する特許請求の範囲において特定して指摘されている。しかしながら、本発明を更に理解するために、その使用により得られるその利点及び目的、参照は、本願の更なる一部を構成する図面及びそれに関連する記載にてなされるべきであり、それらは本発明の種々の実施形態を例示及び記載するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、封入されたマーカバンドを備えたチップを含むカテーテルチップ組立体及びその製造方法が提供された。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に従うカテーテルチップ組立体の一実施形態の側方断面図を示す。
【図2】本発明のカテーテルチップの一実施形態の線A−Aにおける断面図を示す。
【図3】コアピン又はマンドレルの周囲に配置されたカテーテルチップ組立体において使用される管及びマーカバンドの側方断面図を示す。
【図3a】コアピン又はマンドレルの周囲に配置されたカテーテルチップ組立体において使用される管及びフレア状マーカバンドの側方断面図を示す。
【図3b】マーカバンドの一部を広げるための装置及び同装置上に配置されたマーカバンドの側面図を示す。
【図3c】マーカバンドの一部を広げるための装置、同装置上に配置されるとともに広げられた部分を有するマーカバンドの側面図を示す。
【図4】本発明に従うカテーテルチップ組立体の一実施形態の側方断面図を示す。
【図5】本発明のカテーテルチップの一実施形態の線B−Bにおける断面図を示す。
【図6】長手方向の溝を有するコアピン又はマンドレルの側面図を示す。
【図7】長手方向の溝を有するコアピン又はマンドレルの断面図を示す。
【図8】長手方向の溝を有するコアピン又はマンドレル及び同マンドレルの周囲に配置されたマーカバンドの断面図を示す。
【図9】カテーテルに固定されたカテーテルチップ組立体の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の詳細な説明は、図面を特に参照して、以下に記載される。
本発明は種々の異なる形態にて具現化され得るが、本明細書中において、本発明の特定の実施形態が詳細に記載されている。この記載は本発明の原理を例示するものであり、例示された特定の実施形態に本発明を制限することを意図していない。
【0024】
この開示の目的のために、図面における同一の符号は、特に指摘されていない限り、同様の特徴を有するものとして参照される。
図1を参照すると、カテーテルチップ組立体10の側方断面図が示されている。カテーテルチップ組立体10は、ガイドワイヤ(図示しない)が貫通する通路となるような内腔30を備えたカテーテルチップ20を含む。図示された内腔30は基端領域30aと、中間領域30bと、先端領域30cとを含む。内腔の領域30a、30b及び30cは同一の直径又は異なる直径を有し得る。内腔30の任意の部分の周囲にはマーカバンド40が設けられている。図示された実施形態において、マーカバンドは内腔30の中間領域30bの周囲に配置されている。少なくとも一つの実施形態において、基端領域30aは図9に示されるカテーテル5のようなカテーテルの内側シャフトに嵌合するようにサイズ化されている。チップ20が図9に示されるようにカテーテルシャフト15に嵌合されると、中間領域30bがカテーテルシャフト15の先端6に直接隣接する。マーカバンド40はまた、先端領域30c及び/又は基端領域30aにも配置され得ることを明記したい。さらに、一つ以上のマーカバンド40が、カテーテルチップ10において、領域30a、30b及び30cのいずれか、若しくは全て、又は同領域の一部の周囲に配置され得ることも明記したい。付随的に、マーカバンド40は図3a及び3cに示されるようにフレア部42を有し得る。
【0025】
図1に示されるカテーテルチップ20は、外側チップ部25と内側チップ部35とを含む。本実施形態において、外側チップ部25はカテーテルチップ20の大部分を含む。幾らかの実施形態において、内側チップ部35はカテーテルチップ20の大部分を含む。幾らかの実施形態において、外側チップ部25はマーカバンド40及び内側チップ部35を除くカテーテルチップ組立体10の全てを含む。幾らかの実施形態において、内側チップ部は管であり、幾らかの実施形態において、より詳細には、同内側チップ部はポリマー管である。幾らかの実施形態において、外側チップ部25はマーカバンド40の周囲に配置される。幾らかの実施形態において、マーカバンド40は内側チップ部35の周囲に配置される。図2は、カテーテルチップ組立体10の線A−Aに沿った断面図であり、外側チップ部がマーカバンド40の周囲に配置され、かつマーカバンド40が内側チップ部35の周囲に配置されている状態を更に示す。幾らかの実施形態において、外側部、内側部及びマーカバンドの長手方向の長さは異なっており、マーカバンドは内側部と外側部との境界面の全長にわたって延びている必要はない。
【0026】
少なくとも一つの実施形態において、外側チップ部25及び内側チップ部35は異なる材料から構成される。少なくとも一つの実施形態において、外側チップ部25は、熱可塑性ポリウレタン(例えば、ダウ社から入手可能なペレタン(Pelethane)(登録商標))、ポリオレフィン、シリコン、ダイナフレックス(Dynaflex)、クラトン(Kraton)等のような柔軟かつ弾性を備えたポリマーから構成される。
【0027】
少なくとも一つの実施形態において、外側チップ部25及び/又は内側チップ部35は、ポリマー及び市販されているそれらのコポリマーのような任意の適切な材料から構成されており、同材料としては、イーストマンケミカル(Eastman Chemical)社(テネシー州、キングスポート所在)からEKTAR(登録商標)の商品名で市販されているポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロへキシレンテレフタレート(PCT);ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、イーストマンケミカル社からEASTAR(登録商標)の商品名で市販されているPCTG及びポリ(シクロヘキサンジメタノール−コ−エチレンテレフタレート)(PETG)コポリマー、イーストマンケミカル社からDURASTAR(登録商標)の商品名で市販されているPCTA、デュポン(DuPont)社(デラウエア州、ウィルミントン所在)からTEONEX(登録商標)の商品名で市販されているポリ(エチレンナフタレート)(PEN)等のようなポリアルキレンテレフタレート類、ポリエステルエラストマー(PEELs)、非結晶性ナイロン及びエルフアトケム(ElfAtochem)社からCRISTAMID(登録商標)の商品名で市販されているナイロン12及びイーエムエス−アメリカングリロン(EMS−American Grilon)社(サウスカロライナ州、サムター所在)から市販されているGRILAMID(登録商標)TR−55−LXナイロン12ポリエーテル−ブロック−アミドのようなそのコポリマー等のポリアミド類、ジーイープラスチックス(GE Plastics)社からULTEM(登録商標)の商品名で市販されているポリエーテルイミド類、ポリスチレン及び発泡ポリスチレン(EPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、PPO及びEPSの共重合体、ポリエーテルケトン類(PEEK)、低密度、中密度、及びイクイスターケミカルズ(Equistar Chemicals)社からALATHON(登録商標)の商品名で市販されているHDPEのような高密度のものを含むポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレフィン類、非結晶性ポリオレフィン類、エルフアトケム社からPEBAX(登録商標)の商品名で市販されているポリエーテル−ブロック−アミド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリエーテル類、シリコン類並びにそれらの任意のコポリマーを含む。上記リストは、例示のみの目的にて意図されたものであり、本発明の範囲を制限することを意図していない。当業者はそのようなポリマー材料の知識を有する。
【0028】
少なくとも一つの実施形態において、マーカバンド40は放射線不透過性マーカバンド、MRIに適したマーカバンド等を含む。マーカバンド40は、任意の適切な形状であり、かつ望ましくは一つ以上の円周バンドを含む。少なくとも一つの実施形態において、マーカバンド40は金属からなる。少なくとも一つの実施形態において、マーカバンド40の金属は、金、白金、白金イリジウム又はそれらの任意の組み合わせである。
【0029】
少なくとも一つの実施形態において、マーカバンド40は、内腔30と連通していない。図1及び2に示されるような幾らかの実施形態において、内側チップ部35は一枚のシート状材料から構成されており、それにより、マーカバンド40は内側チップ部35と外側チップ部25との間にて封入される。そのような一実施形態において、内腔30はマーカバンド40から離間されており、それにより送達時にマーカバンドが内腔と接触することはない。
【0030】
少なくとも一つの実施形態において、カテーテルチップ組立体10の製造は、図3に示されるように、コアピン又はマンドレル50に内側部35を配置する工程を含む。内側部35は好ましくは、マーカバンド40の縁部を越えて延びており、それによりカテーテルチップ20が成形される際に内側部35の端部が外側部25に融合される。少なくとも一つの実施形態において、図3に配置されているように、マンドレル又はコアピン50及び内側部35及びマーカバンド40は、射出成形型37内に配置され、同型内において、カテーテルチップ20が形成される際に内側部35が溶融した外側部25と融合する。
【0031】
少なくとも一つの実施形態において、マーカバンド40は、図3aに示されるようにフレア状になっている。マーカバンド40のフレア部42はカテーテルチップ20(図1に示されるチップ20)のチップ材料中へのマーカバンドの埋め込みを容易にすることができる。フレア部42は、チップが対象に対して押された場合にマーカバンドが押出されないような更なる抵抗性を与える。
【0032】
少なくとも一つの実施形態において、マーカバンド40のフレア部42は、図3b及び3cに示されるように、丸みを備えた端部46を有するハイポチューブ44と真っ直ぐな端部47を有するハイポチューブ45とを使用して形成され得る。ハイポチューブの代わりに任意の管又は円筒状装置を使用可能であり、かつ丸みを備えた端部は、代替的に円錐又は円錐台の端部とすることもできることを明記したい。幾らかの例において、一つのチューブ44又は45のみが使用される。
【0033】
図3bにおいて、非フレア状のマーカバンド40及びハイポチューブ44及び45がマンドレル30’の周囲に配置されている。図3cにおいて、丸みを備えた端部46を有するハイポチューブ44が回転され、かつマンドレル30’に沿って長手方向に移動される。丸みを備えた端部46はマーカバンド40の内腔内にて部分的に押圧され、それによりマーカバンド40の端部が広げられる。次に、マーカバンド40はマンドレル30’から除去され、図3aに示されるように、マンドレル/ピン30の周囲に配置される。
【0034】
必要ではないが、マーカバンド40は図3b及び3cに示されるように、小さな孔49を備え得る。孔はバンド40のカテーテルチップへの密着性を高める。
幾らかの実施形態において、内側部35は外側部25と同時に(又は別に)形成され得る。幾らかの実施形態において、内側部35及び外側部25は図4に示されるものと同じ材料から構成される。許容される材料の幾らかは、5頁の9行から始まるように既に記載されている。
【0035】
少なくとも一つの実施形態において、図5に示される例は、内側部35が間隙60により分離される長手方向に延びる材料のストリップ37から構成されている。幾らかの実施形態において、ストリップは、マーカバンド40が内腔30内に配置されたガイドワイヤと接触することを回避する。幾らかの実施形態ではストリップ37は一つのみであり、別の実施形態ではストリップ37は複数存在する。単一のストリップが、小さな間隙60のみを残して、マーカバンド40全体をほぼ完全に覆うように設計することもできる。
【0036】
少なくとも一つの実施形態において、カテーテルチップ組立体10の成形時に、図6及び7に示されるような溝70を有するコアピン又はマンドレル50を使用した場合に、ストリップ37が形成される。溝70はマンドレル50の全長に延びている。幾らかの実施形態において、溝70は、マンドレル50の長手軸と平行に延びている。幾らかの実施形態において、溝は、マンドレル50の周囲を旋廻する又は螺旋状に巻かれるか、又は幾らかのその他のパターン若しくは配置にて延びている。幾らかの実施形態において、溝は、間断的であるか、及び/又はマンドレル50の全長に延びていないか、及び/又はマーカバンド40の全長に延びていない。
【0037】
幾らかの実施形態において、カテーテルチップ組立体は成形工程により製造され、図8に示されるように溝70を有するマンドレル50の周囲にマーカバンド40を配置する工程を含む。少なくとも一つの実施形態において、図8に配置されているようなマンドレル50及びマーカバンド40は射出成形型内に配置され、同型において、溶融しているカテーテルチップ材料がマーカバンド40上及び同マーカバンド40の下側のマンドレルの溝70内を流れ、カテーテルチップの外側部及び内側部の両方が形成される。
【0038】
図9は、カテーテル5の内側シャフト15に取り付けられたカテーテルチップ組立体10を示す。少なくとも一つの実施形態において、カテーテルチップ組立体10はカテーテル内側シャフト15上に成形され、それにより同カテーテルチップ組立体はカテーテルシャフトと結合する。少なくとも一つの実施形態において、カテーテルチップ組立体10は射出成形され、次にカテーテルシャフト15に接着結合される、及び/又は熱結合される。少なくとも一つの実施形態において、組立体10はカテーテル5と機械的に係合され得る。少なくとも一つの実施形態において、組立体10はネジ式に係合され得る。
【0039】
上述の開示は、例示的な目的にて意図されたものであり、包括的なものではない。この記載は当業者に対して種々の変更例及び代替例を提示するであろう。これらの代替例及び変更例の全ては請求の範囲内に含まれるべきであることが意図されており、該請求の範囲において、「からなる(comprising)」という用語は「含むが、それらに限定されるものではない」ことを意味する。当業者は、本明細書に記載された特殊な実施形態に対してその他の均等物を認識することができ、該均等物はまた請求の範囲に包含されるべきであることが意図されている。
【0040】
更に、従属請求項に例示されている特殊な特徴は、本発明の範囲内においてその他の様式にて互いに結合可能であり、それにより、本発明は従属請求項の特徴のその他の可能な組み合わせを有する他の実施形態を特定するものとしても認識されるべきである。例えば、請求の範囲の公開の目的のために、以下に記載の任意の従属請求項は、多数項従属の様式が法律の範囲内において許容可能な様式である場合、該従属請求項において参照される全ての先行的基礎を有する該請求項より前の全ての請求項からの多数項従属の形態に代替的に書かれたものとして受け入れられるべきである(例えば、請求項1に直接従属する各請求項を該請求項より前の全ての請求項に従属するように代替的に受け入れられるべきである)。多数項従属の様式が制限される法律においては、以下に記載の従属請求項の各々は、以下に示す該従属請求項に挙げられた特定の請求項以外の請求項であって、かつそれより前の先行的基礎を有する請求項への従属性を作出する各単一の従属請求項の様式に代替的に書かれたものとして受け入れられるべきである。
【0041】
これは本発明の種々の実施形態の記載を完了する。当業者は、本明細書に記載されている特定の実施形態に対してその他の均等物を認識することができ、該均等物はまた請求の範囲に包含されるべきであることが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーカバンドとカテーテルチップとからなるカテーテルチップ組立体であって、
前記カテーテルチップはその内部を貫通する内腔を画定し、前記カテーテルチップは、外側部と内側部とからなるとともに前記マーカバンドが同外側部と同内側部との間に配置され、前記外側部は、前記マーカバンドを封入するべく前記内側部に融合されている、カテーテルチップ組立体。
【請求項2】
前記内側部は前記マーカバンドを前記内腔から完全に分離する、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体。
【請求項3】
前記外側部と前記内側部とはいずれもポリマー材料から構成されている、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体。
【請求項4】
前記外側部と前記内側部とはいずれも、熱可塑性ポリウレタン、ポリオレフィン、シリコン又はそれらの組み合わせからなる群より選択される材料から構成されている、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体。
【請求項5】
カテーテルに取り付けられている、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体。
【請求項6】
請求項1に記載のカテーテルチップ組立体を製造する方法であって、前記方法は、
コアピンを提供する工程と、
前記コアピンの周囲にポリマー管を配置する工程と、
前記ポリマー管の周囲にマーカバンドを配置する工程と、
前記カテーテルチップ用の材料を溶融する工程と、
前記マーカバンド及び前記ポリマー管の上にカテーテルチップを成形して、冷却する前に前記カテーテルチップ用の溶融材料を前記ポリマー管と融合する工程と、
を含む、方法。
【請求項1】
マーカバンドとカテーテルチップとからなるカテーテルチップ組立体であって、
前記カテーテルチップはその内部を貫通する内腔を画定し、前記カテーテルチップは、外側部と内側部とからなるとともに前記マーカバンドが同外側部と同内側部との間に配置され、前記外側部は、前記マーカバンドを封入するべく前記内側部に融合されている、カテーテルチップ組立体。
【請求項2】
前記内側部は前記マーカバンドを前記内腔から完全に分離する、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体。
【請求項3】
前記外側部と前記内側部とはいずれもポリマー材料から構成されている、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体。
【請求項4】
前記外側部と前記内側部とはいずれも、熱可塑性ポリウレタン、ポリオレフィン、シリコン又はそれらの組み合わせからなる群より選択される材料から構成されている、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体。
【請求項5】
カテーテルに取り付けられている、請求項1に記載のカテーテルチップ組立体。
【請求項6】
請求項1に記載のカテーテルチップ組立体を製造する方法であって、前記方法は、
コアピンを提供する工程と、
前記コアピンの周囲にポリマー管を配置する工程と、
前記ポリマー管の周囲にマーカバンドを配置する工程と、
前記カテーテルチップ用の材料を溶融する工程と、
前記マーカバンド及び前記ポリマー管の上にカテーテルチップを成形して、冷却する前に前記カテーテルチップ用の溶融材料を前記ポリマー管と融合する工程と、
を含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−240165(P2011−240165A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184533(P2011−184533)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【分割の表示】特願2008−511109(P2008−511109)の分割
【原出願日】平成18年3月21日(2006.3.21)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【分割の表示】特願2008−511109(P2008−511109)の分割
【原出願日】平成18年3月21日(2006.3.21)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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