説明

封入された試薬を長期貯蔵するためのリザーバを備えたミクロ流体カートリッジ

試薬又は同種のものを長期間貯蔵するための少なくとも1つのリザーバ(12a,12b,12c,52a,52b,52c)を含んでいるミクロ流体カートリッジ(10,50)が開示されている。或る代表的な実施形態では、リザーバの壁の少なくとも一部は、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTEE)ホモポリマー及び/又はコポリマーの様な疎水性材料を含んでいる。疎水性材料は、試薬又はその成分の1つが、リザーバから浸出、蒸発、拡散、及び/又は他の移動を行うのを低減するのに役立つ。試薬又は同種のものが凍結乾燥されている場合には、疎水性材料は、水、水蒸気、及び/又は他の気体又は液体が、ミクロ流体カートリッジ(10,50)の使用前に、リザーバに流入しないようにするのに役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的には、ミクロ流体カートリッジに関し、より厳密には、試薬の様な1つ又はそれ以上の物質を一定期間貯蔵するための1つ又はそれ以上のリザーバを含んでいるミクロ流体カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
化学的及び生物学的情報を得るためのミクロ流体システムの製造及び使用に対する関心が高まっている。ミクロ流体システムは、協力して様々な所望の機能を果たす、ナノメートルから数百ミクロン程度の寸法を有する機構を備えた各種装置を含んでいる。例えば、ミクロ流体装置は、化学的、生物学的及び/又は物理学的分析の様な材料分析及び操作機能を果たすように構成されている。多くのミクロ流体システムには、反応時間が長く、必要な試料の量が少なく、且つ試薬消費量が少ない、という利点がある。有害物質が使用され又は生成される場合には、ミクロ流体量で反応を行うことは、安全性を高め廃棄量を減らすことにもなる。
【0003】
ミクロ流体カートリッジは、カートリッジリーダーと共に使用される場合もある。カートリッジリーダーは、例えば、ミクロ流体カートリッジに対する支援機能を提供する。例えば、カートリッジリーダーは、電気制御信号、光線及び/又は光検出器、空圧制御流、電気流体駆動野、信号処理、及び/又は他の支援機能を提供している場合もある。
【0004】
ミクロ流体カートリッジの中には、化学的、生物学的及び/又は物理学的分析の様な、所望の材料分析及び/又は操作機能を果たすために使用される試薬などを貯蔵するために搭載リザーバが設けられているものもある。多くの場合、それらリザーバは、試薬などを長期間貯蔵できるように作られてはいない。それ故、正確な結果を確保するためには、試薬などは、カートリッジの使用直前にリザーバに装填せねばならない。しかしながら、多くの用途では、試薬などを、少なくともリザーバの内の幾つかに、ミクロ流体カートリッジが実際に使用されるかなり前に装填するのが望ましい。こうすれば、例えば、リザーバ内の試薬の品質及び量に対する更に精度の高い制御ができるようになると共に、現場でのミクロ流体カートリッジの使用が更に容易になる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、試薬などを長期間貯蔵するための少なくとも1つのリザーバを含んでいるミクロ流体カートリッジに着眼している。或る代表的な実施形態では、リザーバの壁の少なくとも一部は、必要に応じて、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーの様な疎水性の材料を含んでいる。疎水性の材料は、試薬又はその成分の内の1つの、リザーバからの浸出、蒸発、拡散、及び/又は他の移動を低減するのに役立つ。試薬などが凍結乾燥されている場合には、疎水性材料は、水、水蒸気、及び/又は他の気体又は液体が、ミクロ流体カートリッジの使用前に、リザーバに流入しないようにするのに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明のこの他の目的及び本発明に伴う利点の多くは、添付図面と関連付けて以下の詳細な説明を参照することにより、本発明への理解が更に深まれば、容易に認識されるはずであり、図面中、同じ部分には同じ符号を付して示している。
【0007】
図1は、本発明によるミクロ流体カートリッジの概略上面図である。なお、全体を符号10で示しているミクロ流体カートリッジは単なる一例であり、本発明は、形態、機能、又は構成に関わり無く、あらゆるミクロ流体カートリッジに適用することができるものと理解されたい。例えば、ミクロ流体カートリッジは、血液学、フローサイトメトリー、臨床化学、電解質測定など、に使用することができる。代表的なミクロ流体カートリッジ10は、例えば、ガラス、シリコン、1つ又はそれ以上のポリマー類、又は他の適した材料又は材料系、又は前記材料又は材料系の組み合わせを含む、あらゆる適した材料又は材料系で形成することができるとも考えている。
【0008】
代表的なミクロ流体カートリッジ10は、3つのリザーバ12a、12b及び12cを含んでいる。それらリザーバ12a、12b及び12cの内の少なくとも1つは、用途に応じて、試料、試薬又は同種のものの様な物質又は材料を受け入れて貯蔵できるように作られている。試料としては、例えば、血液試料がある。試薬としては、例えば、溶解剤、シース液、又は必要に応じて液体、気体、又は固体形態のあらゆる他の適した試薬又は物質がある。
【0009】
代表的な実施形態の中には、リザーバ12a、12b及び12cの中の1つ又はそれ以上が、緩衝液、試薬液、溶解液、球状化液、希釈剤、被覆液、蛍光染料、細胞化学的着色剤、洗剤、単クローン抗体、蛍光染料付着単クローン抗体、リン酸緩衝生理食塩水、電解液、酵素洗浄剤、及び/又は分析試料液、を貯蔵することができるものもある。
【0010】
中には、球状化液が、赤血球を球状化するようになっている球状化試薬である場合もある。洗剤液は、例えば、洗剤III及び/又は洗剤IIIAで、すすぎ及びヘモグロビンブランキング用希釈剤として使用される平衡電解液である。希釈剤は、例えば、血球を数え及び/又はその大きさを測定する場合の希釈剤として使用される平衡電解液である。溶解液は、例えば、ヘモグロビンと白血球の同時定量を行う場合に役立つ液である。溶解液は、例えば、ヘモグロビンを定量する場合には、ヘモグロビン/溶解でもある。酵素洗浄剤は、例えば、自動式又は半自動式血液学器具用に製造された酵素濃縮洗浄剤である。電解液は、例えば、血球を数え及び/又はその大きさを測定する場合の希釈剤として使用される平衡電解液である。上記は、本発明と共に使用するのに適した流体の一例でしかない。
【0011】
この代表的な実施形態では、各リザーバ12a、12b及び12cは、それぞれチャネル14a、14b及び14cを含んでいる。チャネル14a、14b及び14cは、試料、試薬、及び/又は他の適した物質を、対応するリザーバ12a、12b及び12cから、ミクロ流体カートリッジ10上の流体回路(明示的には図示していない)に送り込むのに使用される。流体回路は、例えば、場合によっては血球計算を含む、化学的、生物学的、及び/又は物理的分析の様な、所望の材料分析及び/又は操作機能を行うのに使用される。中には、図1の代表的な実施形態に示すように、リザーバ12a、12b及び12cの内の少なくとも幾つかのリザーバから流体回路の様々な部分に流入する流れを制御するのを助けるため、更に1つ又はそれ以上の弁16a、16b及び16cが設けられている場合もある。
【0012】
この代表的な実施形態によれば、リザーバ12a、12b及び12cの内の1つ又はそれ以上は、試薬又は他の物質を長期間貯蔵できるように作られている。これは、ミクロ流体カートリッジの貯蔵寿命を延ばすのに役立つ。或る代表的な実施形態では、リザーバ12a、12b及び12cの少なくとも1つの壁の少なくとも一部は、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーの様な疎水性材料を含んでいる。疎水性材料は、試薬又は他の物質、又はその成分の中の1つが、リザーバから浸出、蒸発、拡散、及び/又は他の移動を行うのを低減するのに役立つ。試薬又は他の物質が凍結乾燥されている場合には、疎水性材料は、水、水蒸気、及び/又は他の気体又は液体が、ミクロ流体カートリッジの使用前に、リザーバに流入しないようにするのに役立つ。凍結乾燥した物質は、使用前に、例えば、チャネル又は同種のものを介して水和液をリザーバに供給することにより水和される。水和液は、必要に応じて別のリザーバに貯蔵される。中には、凍結乾燥した物質と水和液は、水和液が凍結乾燥した物質を含んでいるリザーバに輸送されると直ぐに混ぜ合わされる場合もある。また、凍結乾燥した物質と水和液は、必要に応じて、ミクロポンプ、バイブレータ、可動パドル、又は他の適したミキサーを使用して現場で混ぜ合わされる場合もある。
【0013】
図2は、本発明の代表的な実施形態の、図1のA−A線に沿う側断面図である。この代表的な実施形態では、ミクロ流体カートリッジ10’又は少なくともリザーバ12a’、12b’及び12c’を含んでいる部分は、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーの様な疎水性材料20で形成されている。適したPCTFE材料を具体的に1つ挙げると、商標名ACLARとしてHoneywell International社から市販されている材料がある。PCTFEは、他の多くの材料よりも性能が優れていると考えられているが、他の代表的な材料として、例えば、ポリ二塩化ビニリデン(PVdC)ホモポリマー及び/又はコポリマー、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレンホモポリマー及び/又はコポリマー、ヘキサフルオロプロピレンホモポリマー及び/又はコポリマー、フッ化ビリニデンホモポリマー及び/又はコポリマー、又は他の適した疎水性材料、を挙げることができる。リザーバ12a’、12b’及び12c’は、必要に応じて、疎水性材料20に、モールド成形、レーザー切断、又は他の適したやり方で形成される。
【0014】
図3は、本発明の別の代表的な実施形態の、図1のA−A線に沿う断面図である。この代表的な実施形態では、ミクロ流体カートリッジ10”又は少なくともリザーバ12a”、12b”及び12c”を含んでいる部分は、第1層22と、第2層24と、1つ又はそれ以上の中間層26とを含んでいる。この代表的な実施形態では、1つ又はそれ以上の中間層26は、それぞれ、貫通して伸張する3つの孔を含んでおり、これによりリザーバ12a”、12b”及び12c”の側壁が画定されている。この代表的な実施形態では、第1層22と、1つ又はそれ以上の中間層26と、第2層24とは、一体に重ね合わされているが、必要に応じて他の適した接合技法を使用してもよい。
【0015】
この代表的な実施形態では、第1層22は、リザーバ12a”、12b”及び12c”にそれぞれ面している内面28a、28b及び28cを有している。実施形態の中には、内面28a、28b及び28cの少なくとも1つが、ポリモノクロロトリテトラフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーの様な疎水性材料を含んでいるものもある。また、中には、第1層22全体が、疎水性材料で形成されているものもあれば、内面28a、28b及び28cの少なくとも1つが疎水性材料で被覆されているものもある。これは、試薬又はその成分の1つが、対応するリザーバから浸出、蒸発、拡散、及び/又はその他の移動を行うのを低減するのに役立つ。試薬又は同種のものが凍結乾燥されている場合には、疎水性材料は、水、水蒸気、及び/又は他の気体又は液体が、ミクロ流体カートリッジ10”の使用前に、対応するリザーバに流入しないようにするのに役立つ。
【0016】
同じく、この代表的な実施形態では、第2層24は、リザーバ12a”、12b”及び12c”にそれぞれ面している内面30a、30b及び30cを有している。上記のように、実施形態の中には、内面30a、30b及び30cの内の少なくとも1つが、ポリモノクロロトリテトラフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーの様な疎水性材料を含んでいるものもある。また、中には、第2層24全体が、疎水性材料で形成されているものもあれば、内面30a、30b及び30cの少なくとも1つが疎水性材料で被覆されているものもある。この場合も、これは、試薬又はその成分の1つが、対応するリザーバから浸出、蒸発、拡散、及び/又はその他の移動を行うのを低減するのになお一層役立つ。試薬又は同種のものが凍結乾燥されている場合には、疎水性材料は、水、水蒸気、及び/又は他の気体又は液体が、ミクロ流体カートリッジ10”の使用前に、対応するリザーバに流入しないようにするのに役立つ。
【0017】
上で指摘したように、この代表的な実施形態では、1つ又はそれ以上の中間層26は、それぞれ、貫通して伸張する3つの孔を含んでおり、これによりリザーバ12a”、12b”及び12c”の側壁が画定されている。実施形態の中には、側壁32a、32b及び32cの少なくとも幾つかが、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーの様な疎水性材料を含んでいることを考えているものもある。実施形態の中には、1つ又はそれ以上の中間層26のそれぞれが疎水性材料で形成されているものもあれば、側壁32a、32b及び32cの内の少なくとも幾つかが疎水性材料で単に被覆されているだけのものもある。疎水性材料を使用すれば、試薬又はその成分の1つが、対応するリザーバから浸出、蒸発、拡散、及び/又はその他の移動を行うのを低減するのになお一層役立つ。試薬又は同種のものが凍結乾燥されている場合には、疎水性材料は、水、水蒸気、及び/又は他の気体又は液体が、ミクロ流体カートリッジ10”の使用前に、対応するリザーバに流入しないようにするのに役立つ。
【0018】
図4は、本発明の更に別の実施形態の、やはり図1のA−A線に沿う断面図である。この代表的な実施形態は、図3に関連して図示し説明したものと同様である。しかしながら、リザーバの内の少なくとも幾つかは、疎水性材料40a、40b及び40cを、リザーバ12a'''、12b'''及び12c'''を画定している壁の少なくとも幾つかの上に又はこれらに隣接して含んでいる。実施形態の中には、疎水性材料40a、40b及び40cが、少なくとも選択されたリザーバ12a'''、12b'''及び12c'''を画定している壁の上に又はこれらに隣接して設けられた被覆であるものもある。
【0019】
他の実施形態では、疎水性材料40a、40b及び40cが、少なくとも選択されたリザーバ12a'''、12b'''及び12c'''のそれぞれに嵌め込まれたインサートの形態で設けられている。このインサートは、1つ又はそれ以上の試薬及び/又は他の物質を貯蔵するように作られており、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーの様な疎水性材料で形成され又は被覆されている。
【0020】
実施形態の中には、インサート40a、40b及び40cが、流体カートリッジ10'''の残り部分とは別に形成され、第1層22が第2層24及び1つ又はそれ以上の中間層26に組み付けられる前に、該当するリザーバ12a'''、12b'''及び12c'''に装着されるものもある。インサート40a、40b及び40cは、対応するリザーバ12a'''、12b'''及び12c'''に嵌め込まれる前の時点で、所望の試薬又は他の物質を含んでいる。代わりのやり方では、インサート40a、40b及び40cは、対応するリザーバ12a'''、12b'''及び12c'''に嵌め込まれた後に装填される。場合によっては、対応するリザーバ12a'''、12b'''及び12c'''の形状に沿わせるために、インサート40a、40b及び40cが加熱されるものもある。インサートは、必要に応じて、開かれると、対応するチャネル14a、14b及び14cと流体連通するアクセスチャネル又は開口部を含んでいる。
【0021】
図5は、本発明による別の代表的なミクロ流体カートリッジ50の概略上面図である。この代表的な実施形態は、図1に示したものと同様であるが、ミクロ流体回路の少なくとも一部を形成するように作られた複数の薄い層を重ね合わせた積層部を更に含んでいる。なお、ミクロ流体カートリッジ50は単なる一例であり、本発明は、形態、機能、又は構成に関わり無く、あらゆるミクロ流体カートリッジに適用することができるものと理解されたい。代表的なミクロ流体カートリッジ50は、必要に応じて、例えば、ガラス、シリコン、1つ又はそれ以上のポリマー層、何らかの他の適した材料又は材料系、又は前記材料又は材料系の組み合わせを含む、あらゆる適した材料又は材料系で作ることができる。
【0022】
上記のものと同じく、この代表的なミクロ流体カートリッジ50は、3つのリザーバ52a、52b及び52cを含んでいる。これらリザーバ52a、52b及び52cの内の少なくとも1つは、試料、試薬、又はあらゆる他の適した物質、の様な物質又は材料を受け入れて、長期間貯蔵できるように作られている。試料としては、例えば、血液試料がある。試薬としては、例えば、溶解剤、シース液、又は必要に応じて液体、気体、又は固体形態で提供されるあらゆる他の適した試薬又は物質がある。
【0023】
この代表的な実施形態では、各リザーバ52a、52b及び52cは、それぞれチャネル54a、54b及び54cを含んでいる。チャネル54a、54b及び54cは、試料、試薬、及び/又は何らかの他の適した物質を、対応するリザーバ52a、52b及び52cから、ミクロ流体カートリッジ50上の流体回路又は同種のものに送り込むのに使用される。この代表的な実施形態では、チャネル54a、54b及び54cは、流体を、1つ又はそれ以上の薄い層を重ね合わせた積層部に又はその上に形成されている流体回路の1つ又はそれ以上の微小チャネルに送り込む、下向きに伸張するポート55a、55b及び55cそれぞれに、流体接続されている(以下を参照)。
【0024】
流体回路は、例えば、場合によっては血球計算を含む、化学的、生物学的、及び/又は物理的分析の様な、所望の材料分析及び/又は操作機能を行うのに使用される。中には、図5の代表的な実施形態に示すように、リザーバ52a、52b及び52cの内の少なくとも幾つかのリザーバから流体回路の各部分に流入する流れを制御するのを助けるため、1つ又はそれ以上の弁56a、56b及び56cが設けられている場合もある。
【0025】
この代表的な実施形態によれば、リザーバ52a、52b及び52cの内の1つ又はそれ以上は、試薬又は他の物質を長期間貯蔵できるように作られており、而して、ミクロ流体カートリッジ50の貯蔵寿命を延ばしている。或る代表的な実施形態では、これは、リザーバ52a、52b及び52cの少なくとも1つの壁の少なくとも一部を、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーの様な疎水性材料で作ることにより達成されている。疎水性材料は、試薬又は他の物質、又はその成分の1つが、リザーバから浸出、蒸発、拡散、及び/又は他の移動を行うのを低減するのに役立つ。試薬又は他の物質が凍結乾燥されている場合には、疎水性材料は、水、水蒸気、及び/又は他の気体又は液体が、ミクロ流体カートリッジ50の使用前に、リザーバに流入しないようにするのに役立つ。
【0026】
フローサイトメトリーシステムの様な或る種のシステムでは、流体推進システムが試料液及び複数の支持液又は試薬を、リザーバ52a、52b及び52cの内の1つ又はそれ以上のリザーバから、流体回路に送り込む。この流体回路は、例えば、通常は流体力学的集束法を使って粒子を単一のファイルに配列する。これに基づき、図5に示した代表的なミクロ流体カートリッジ50は、積層部の1つ又はそれ以上の層部の集束チャネル59を示している。集束チャネル59は、この流体力学的集束を行うために使用される。
【0027】
図6は、本発明の代表的な実施形態の、図5のB−B線に沿う側断面図である。この代表的な実施形態は、図2に示したものと同様であるが、ミクロ流体回路の少なくとも一部を形成するように作られた複数の薄い層を重ね合わせた積層部63を更に含んでいる。この代表的な実施形態では、7枚のポリマーシート又は層を一体に重ね合せて、薄い層の積層部63が形成されている。代表的な実施形態では、各層又はシートは、約25ミクロンの比較的制御された厚さを有しており、孔、スロット、又は他の形状が貫通して伸張しているパターンが形成されている。7枚の重ねられたポリマーシートをひとまとめにしてパターンが形成され、所望のミクロ流体回路の少なくとも一部が形成されている。図6には7枚の重ねられたポリマーシート又は層を示しているが、どの様な適した材料で形成された任意の数の層又はシートを使用してもよいと考えている。
【0028】
この代表的な実施形態では、リザーバ52a、52b及び52cを形成するのに、厚さがあまり厳密に規定されていない厚めの層が使用されている。この代表的な実施形態では、厚さ3〜4ミルの層65を形成しているリザーバが設けられており、薄い層を重ね合わせた積層部63に接着されている。リザーバ52a’、52b’及び52c’は、必要に応じて、モールド成形、レーザー切断、又は何らかの他の適したやり方で、リザーバ形成層65内に形成されている。
【0029】
この代表的な実施形態では、リザーバ形成層65、又は少なくともリザーバ52a’、52b’及び52c’を含んでいる部分は、ポリモノクロロフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー又はコポリマーの様な疎水性材料20で形成されている。PCTFEは、他の多くの材料よりも性能が優れていると考えられているが、他の代表的な材料として、例えば、ポリ二塩化ビニリデン(PVdC)ホモポリマー及び/又はコポリマー、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレンホモポリマー及び/又はコポリマー、ヘキサフルオロプロピレンホモポリマー及び/又はコポリマー、フッ化ビリニデンホモポリマー及び/又はコポリマー、又は何らかの他の適した疎水性材料、を挙げることができる。
【0030】
図7は、本発明の別の代表的な実施形態の、図5のB−B線に沿う側断面図である。この代表的な実施形態は、図3に示したものと同様であるが、図6のように、ミクロ流体経路の少なくとも一部を形成するように作られた複数の薄い層を重ね合わせた積層部63’を更に含んでいる。或る代表的な実施形態では、7枚のポリマーシート又は層を一体に重ね合せて、薄い層の積層部63’が形成されている。この代表的な実施形態では、各シートは、約25ミクロンの比較的制御された厚さを有しており、孔、スロット、又は他の形状が貫通して伸張しているパターンが形成されている。7枚の重ねられたポリマーシートをひとまとめにしてパターンが形成され、所望のミクロ流体回路が形成されている。図7には7枚の重ねられたポリマーシート又は層を示しているが、どの様な適した材料で作られた任意の数の層又はシートを使用してもよいと考えている。
【0031】
図7の代表的な実施形態では、ミクロ流体カートリッジ50”又は少なくともリザーバ52a”、52b”及び52c”を含んでいる部分は、第1層62と、第2層64と、1つ又はそれ以上の中間層66とを含んでいる。この代表的な実施形態では、1つ又はそれ以上の中間層66は、貫通形成された3つの孔を含んでおり、これによりリザーバ52a”、52b”及び52c”の側部境界が画定されている。第1層62と、1つ又はそれ以上の中間層66と、第2層64とは、図示のように、1つ又はそれ以上の中間層66と第1層62と第2層64による孔が、リザーバ52a”、52b”及び52c”を少なくとも実質的に画定するように、一体に重ね合わされ固着されている。実施形態の中には、第1層62と、1つ又はそれ以上の中間層66と、第2層64が、一体に重ね合わされているものもあるが、必要に応じて他の適した接合技法を使用してもよい。
【0032】
この代表的な実施形態では、第1層62は、リザーバ52a”、52b”及び52c”それぞれに面している内面68a、68b及び68cを有している。実施形態の中には、内面68a、68b及び68cの少なくとも1つが、ポリモノクロロトリテトラフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーの様な疎水性材料を含んでいるものもある。また、中には、第1層62全体が、疎水性材料で形成されているものもあれば、内面28a、28b及び28cの内の少なくとも1つが疎水性材料で被覆されているものもある。これは、試薬又はその成分の1つが、リザーバから浸出、蒸発、拡散、及び/又は他の移動を行うのを低減するのに役立つ。試薬又は同種のものが凍結乾燥されている場合には、疎水性材料は、水、水蒸気、及び/又は他の気体又は液体が、ミクロ流体カートリッジ50”の使用前に、対応するリザーバに流入しないようにするのに役立つ。
【0033】
同じく、第2層64は、リザーバ52a”、52b” 及び52c”それぞれに面している内面70a、70b及び70cを有している。上記と同じく、実施形態の中には、内面70a、70b及び70cの内の少なくとも1つが、ポリモノクロロトリテトラフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーの様な疎水性材料を含んでいるものもある。また、中には、第2層64全体が、疎水性材料で形成されているものもあれば、内面70a、70b及び70cの内の少なくとも1つが疎水性材料で被覆されているものもある。この場合も、これは、試薬又はその成分の1つが、リザーバから浸出、蒸発、拡散、及び/又は他の移動を行うのを低減するのになお一層役立つ。試薬又は同種のものが凍結乾燥されている場合には、疎水性材料は、水、水蒸気、及び/又は他の気体又は液体が、ミクロ流体カートリッジ50”の使用前に、対応するリザーバに流入しないようにするのに役立つ。
【0034】
上で指摘したように、この代表的な実施形態では、1つ又はそれ以上の中間層66は、貫通形成された3つの孔を含んでおり、これによりリザーバ52a”、52b”及び52c”の側壁が画定されている。実施形態の中には、側壁72a、72b及び72cの少なくとも幾つかが、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーの様な疎水性材料を含んでいるものもあると考えている。実施形態の中には、1つ又はそれ以上の中間層66の各層が疎水性材料で形成されているものもあれば、側壁72a、72b及び72cの内の少なくとも一部が疎水性材料で被覆されているものもある。このことは、試薬又はその成分の1つが、対応するリザーバから浸出、蒸発、拡散、及び/又はその他の移動を行うのを低減するのになお一層役立つ。試薬又は同種のものが凍結乾燥されている場合には、疎水性材料は、水、水蒸気、及び/又は他の気体又は液体が、ミクロ流体カートリッジ50”の使用前に、対応するリザーバに流入しないようにするのにも役立つ。
【0035】
図8は、本発明の更に別の実施形態の、図5のB−B線に沿う断面図である。この代表的な実施形態は、図7に関連して図示し説明したものと同様である。しかしながら、リザーバ52a'''、52b'''及び52c'''の内の少なくとも幾つかは、疎水性材料80a、80b及び80cを、リザーバ52a'''、52b'''及び52c'''を画定している側壁の少なくとも幾つかの上に又はこれに隣接して含んでいる。実施形態の中には、疎水性材料80a、80b及び80cが、少なくとも選択されたリザーバ52a'''、52b'''及び52c'''を画定している内壁上に又はこれに隣接して設けられた被覆であるものもある。
【0036】
他の実施形態では、疎水性材料80a、80b及び80cが、少なくとも選択されたリザーバ52a'''、52b'''及び52c'''嵌め込まれたインサートの形態として設けられている。このインサートは、1つ又はそれ以上の試薬及び/又は他の物質を貯蔵するようになっており、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーの様な疎水性材料で形成され又は被覆されている。
【0037】
実施形態の中には、インサート80a、80b及び80cが、流体カートリッジ50'''の残り部分とは別に形成され、第1層62が第2層64及び1つ又はそれ以上の中間層66に組み付けられる前に、該当するリザーバ52a'''、52b'''及び52c'''に装着されるものもある。インサート80a、80b及び80cは、対応するリザーバ52a'''、52b'''及び52c'''に嵌め込まれる前の時点で、所望の試薬又は他の物質を含んでいる。代わりのやり方では、インサート80a、80b及び80cは、対応するリザーバ52a'''、52b'''及び52c'''に嵌め込まれた後に装填される。実施形態の中には、対応するリザーバ52a'''、52b'''及び52c'''の形状に沿わせるために、インサート80a、80b及び80cが加熱されるもの、及び/又はブリスターパックの形態であるものもある。インサートは、必要に応じて、開かれると、対応するチャネル54a、54b及び54cと流体連通するアクセスチャネル又は開口部を含んでいるか、含むように作られている。
【0038】
図5から図8に示しているように、代表的なミクロ流体カートリッジ50は、流体力学的集束を行うために、薄い層を重ね合わせた積層部63の1つ又はそれ以上の層部に集束チャネル59を含んでいる。図8を参照すると、集束チャネル59は、薄い層を重ね合わせた積層部63”の1つ又はそれ以上の層の間に設置されている。代表的な実施形態では、集束チャネル59は、層90(図8に図示)に設けられている。隣接している層の内の1つ又はそれ以上の層は、ひとまとまりで集束チャネル59の上方(及び、場合によっては下方)の開口部92を形成する貫通形成された孔を含んでいる。
【0039】
全体を符号94で示している光源及び付帯する光学系は、図示のように、1つ又はそれ以上の薄い層を重ね合わせた積層部63”の層に隣接して配置されている。1つ又はそれ以上の薄い層を重ね合わせた積層部63は、比較的制御された厚さを有しているので、集束チャネル59の光源94に対する垂直方向の位置を制御することができる。これは、必要に応じて、光源及び付帯する光学系94が、光を集束チャネル59に集束するのを助ける。この代表的な実施形態では、1つ又はそれ以上の光検出器(及び、場合により付帯する光学系)は、集束チャネル59を通して、時には光散乱を含む光信号を受け取るために、集束チャネル59の上方に配置されている。これは、集束チャネル59を通って流れている材料の或る特定の特性を同定するのに役立つ。
【0040】
図9は、本発明による代表的なリザーバの概略側断面図である。この代表的な実施形態では、リザーバ100は、内側の第1材料102と、外側の第2材料106と、中間の第3材料104とによって画定されている。リザーバ100の内面は、内側の第1材料102によって画定されている。実施形態の中には、内側の第1材料102が、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーの様な疎水性材料であるものもある。これらの実施形態では、外側の第2材料106と、中間の第3材料104は、疎水性材料である必要は無い。他の実施形態では、中間の第3材料104は、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーの様な疎水性材料であるが、内側の第1材料102と外側の第2材料106は、疎水性材料である必要は無い。また、外側の第2材料106と中間の第3材料104が、共通の材料で作られた共通の層である場合もある。
【0041】
以上、本発明の好適な実施形態を説明してきたが、当業者には容易に理解頂けるように、ここに示した教示は、特許請求の範囲に記載の内容の範囲内で、更に他の実施形態にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による代表的なミクロ流体カートリッジの概略上面図である。
【図2】本発明の代表的な実施形態の、図1のA−A線に沿う側断面図である。
【図3】本発明の別の代表的な実施形態の、図1のA−A線に沿う側断面図である。
【図4】本発明の更に別の代表的な実施形態の、図1のA−A線に沿う側断面図である。
【図5】本発明による別の代表的ミクロ流体カートリッジの概略上面図である。
【図6】本発明の代表的な実施形態の、図5のB−B線に沿う側断面図である。
【図7】本発明の別の代表的な実施形態の、図5のB−B線に沿う側断面図である。
【図8】本発明の更に別の代表的な実施形態の、図5のB−B線に沿う側断面図である。
【図9】本発明による代表的なリザーバの概略側断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロ流体カートリッジにおいて、
流体を、前記ミクロ流体カートリッジ内の第1位置から、第2位置へ、輸送するためのチャネルと、
前記流体の少なくとも一部を貯蔵するために、前記チャネルと少なくとも選択的に流体連通しており、前記流体と接触するようになっている内面を有している、リザーバであって、前記リザーバの前記内面の少なくとも一部は、ポリモノクロロトリテトラフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーを含んでいる、リザーバーと、を備えているミクロ流体カートリッジ。
【請求項2】
前記流体が前記リザーバと前記チャネルの間を選択的に通過できるようにするための弁を更に備えている、請求項1に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項3】
前記チャネルは、前記ミクロ流体カートリッジ内の光学的窓を通っている、請求項1に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項4】
前記リザーバは、少なくとも実質的には、上壁、底壁、及び1つ又はそれ以上の側壁によって画定されており、前記上壁、前記底壁、及び/又は前記1つ又はそれ以上の側壁の内の少なくとも1つは、ポリモノクロロトリテトラフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーを含んでいる内面を有している、請求項1に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項5】
前記リザーバは、上壁、底壁、及び1つ又はそれ以上の側壁によって画定されており、前記上壁及び前記底壁は、ポリモノクロロトリテトラフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーを含んでいる内面を有している、請求項1に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項6】
前記リザーバは、上壁、底壁、及び1つ又はそれ以上の側壁によって画定されており、前記上壁、前記底壁、及び前記1つ又はそれ以上の側壁は、ポリモノクロロトリテトラフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーを含んでいる内面を有している、請求項1に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項7】
前記リザーバは、前記ミクロ流体カートリッジ内のキャビティによって画定されており、前記キャビティの少なくとも一部を画定している前記ミクロ流体カートリッジの少なくとも一部は、ポリモノクロロトリテトラフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーで形成されている、請求項1に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項8】
前記リザーバは、前記ミクロ流体カートリッジ内の1つ又はそれ以上の内壁を有するキャビティによって画定されており、前記キャビティの前記内壁の少なくとも一部は、ポリモノクロロトリテトラフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーの被覆を含んでいる、請求項1に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項9】
前記リザーバ内の前記流体を混和するためのミキサーを更に備えている、請求項1に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項10】
前記流体は、緩衝液、試薬液、溶解液、球状化液、希釈剤、被覆液、蛍光染料、細胞化学的着色剤、洗剤、単クローン抗体、蛍光染料付着単クローン抗体、リン酸緩衝生理食塩水、電解液、酵素洗浄剤、及び/又は分析試料液、である、請求項1に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項11】
ミクロ流体カートリッジにおいて、
流体と接触するようになっている内面を有する、流体を貯蔵するためのリザーバを備えており、前記リザーバの前記内面の少なくとも一部は、疎水性物質を含んでいる、ミクロ流体カートリッジ。
【請求項12】
前記疎水性物質は、ポリ二塩化ビニリデン(PVdC)ホモポリマー及び/又はコポリマーを含んでいる、請求項11に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項13】
前記疎水性物質は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーを含んでいる、請求項11に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項14】
前記疎水性物質は、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマーを含んでいる、請求項11に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項15】
前記疎水性物質は、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマーを含んでいる、請求項11に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項16】
前記疎水性物質は、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー(FEP)を含んでいる、請求項11に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項17】
前記疎水性物質は、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、を含んでいる、請求項11に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項18】
前記疎水性物質は、ポリフッ化ビニリデンを含んでいる、請求項11に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項19】
前記疎水性物質は、ポリフッ化ビニルを含んでいる、請求項11に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項20】
前記疎水性物質は、ポリ塩化ビニリデンを含んでいる、請求項11に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項21】
前記疎水性物質は、テトラフルオロエチレンホモポリマー及び/又はコポリマーを含んでいる、請求項11に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項22】
前記疎水性物質は、ヘキサフルオロプロピレンホモポリマー及び/又はコポリマー、を含んでいる、請求項11に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項23】
前記疎水性物質は、フッ化ビリニデンホモポリマー及び/又はコポリマー、を含んでいる、請求項11に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項24】
前記リザーバ内の前記流体を混和するためのミキサーを更に備えている、請求項11に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項25】
前記流体は、緩衝液、試薬液、溶解液、球状化液、希釈剤、被覆液、蛍光染料、細胞化学的着色剤、洗剤、単クローン抗体、蛍光染料付着単クローン抗体、リン酸緩衝生理食塩水、電解液、酵素洗浄剤、及び/又は分析試料液、である、請求項11に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項26】
ミクロ流体カートリッジにおいて、
第1層と、
第2層と、
前記第1層と前記第2層の間の1つ又はそれ以上の中間層と、を備えており、
前記1つ又はそれ以上の中間層は、貫通して伸張する孔を含んでおり、前記第1層と、前記1つ又はそれ以上の中間層と、前記第2層は、前記孔と前記第1層と前記第2層が少なくとも実質的にリザーバを画定するように、重ね合わせて一体に固着されており、
前記第1層と前記第2層の内の少なくとも一方は、前記リザーバに面している内面を有しており、前記内面の少なくとも一部は、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーを含んでいる、ミクロ流体カートリッジ。
【請求項27】
前記ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーは、被覆である、請求項26に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項28】
前記第1層と前記第2層の内の少なくとも一方は、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーで形成されている、請求項26に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項29】
前記第1層と、前記第2層と、前記1つ又はそれ以上の中間層の内の少なくとも1つの層は、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーで形成されている、請求項28に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項30】
前記リザーバは流体を貯蔵する、請求項28に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項31】
前記流体は、緩衝液、試薬液、溶解液、球状化液、希釈剤、被覆液、蛍光染料、細胞化学的着色剤、洗剤、単クローン抗体、蛍光染料付着単クローン抗体、リン酸緩衝生理食塩水、電解液、酵素洗浄剤、及び/又は分析試料液、である、請求項30に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項32】
前記リザーバ内の前記流体を混和するためのミキサーを更に備えている、請求項30に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項33】
前記リザーバは、凍結乾燥した試薬又は物質を貯蔵している、請求項28に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項34】
前記リザーバは、水和液を、前記リザーバ内の前記凍結乾燥した物質に添加するためのポートを含んでいる、請求項33に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項35】
前記リザーバ内の前記水和液と前記凍結乾燥した物質を混和するためのミキサーを更に備えている、請求項34に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項36】
ミクロ流体カートリッジにおいて、
リザーバと、
流体を貯蔵するためのインサートであって、前記リザーバに嵌め込まれるようになっており、且つポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーを含むようになっている、インサートと、を備えているミクロ流体カートリッジ。
【請求項37】
前記インサートは、別に形成され、その後、リザーバに装着される、請求項36に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項38】
前記インサートは、ブリスターパックである、請求項37に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項39】
前記流体は、緩衝液、試薬液、溶解液、球状化液、希釈剤、被覆液、蛍光染料、細胞化学的着色剤、洗剤、単クローン抗体、蛍光染料付着単クローン抗体、リン酸緩衝生理食塩水、電解液、酵素洗浄剤、及び/又は分析試料液、である、請求項36に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項40】
ミクロ流体カートリッジにおいて、
1つ又はそれ以上のリザーバ壁によって画定され又は実質的に画定されているリザーバであって、前記1つ又はそれ以上のリザーバ壁の少なくとも一部は、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーを含んでいる、リザーバと、
前記リザーバ内の流体と、を備えているミクロ流体カートリッジ。
【請求項41】
前記流体が前記リザーバから選択的に流れ出るようにするための弁を更に備えている、請求項40に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項42】
前記1つ又はそれ以上のリザーバ壁の全て、又は前記1つ又はそれ以上のリザーバ壁の実質的に全ては、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーを含んでいる、請求項40に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項43】
前記流体は、緩衝液、試薬液、溶解液、球状化液、希釈剤、被覆液、蛍光染料、細胞化学的着色剤、洗剤、単クローン抗体、蛍光染料付着単クローン抗体、リン酸緩衝生理食塩水、電解液、酵素洗浄剤、及び/又は分析試料液、である、請求項40に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項44】
前記リザーバと少なくとも選択的に流体連通するチャネルを更に備えている、請求項40に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項45】
前記チャネルは、1つ又はそれ以上のチャネル壁によって画定されており、前記1つ又はそれ以上のチャネル壁の少なくとも一部は、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーを含んでいる、請求項44に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項46】
前記チャネルは、1つ又はそれ以上のチャネル壁によって画定されており、前記1つ又はそれ以上のチャネル壁の全て又は実質的に全ては、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーを含んでいる、請求項44に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項47】
ミクロ流体カートリッジにおいて、
1つ又はそれ以上のリザーバ壁によって画定され又は実質的に画定されているリザーバであって、前記1つ又はそれ以上のリザーバ壁の少なくとも一部は、疎水性材料を含んでいる、リザーバと、
前記リザーバに入れられた凍結乾燥した物質と、を備えているミクロ流体カートリッジ。
【請求項48】
前記リザーバは、水和液を、前記リザーバ内の前記凍結乾燥した物質に添加するためのポートを含んでいる、請求項47に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項49】
前記リザーバ内の前記水和液と前記凍結乾燥した物質とを混和するためのミキサーを更に備えている、請求項48に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項50】
前記疎水性材料は、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーを含んでいる、請求項47に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項51】
前記1つ又はそれ以上のリザーバ壁の、疎水性材料を含んでいる前記部分は、前記リザーバの内面を含んでいる、請求項47に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項52】
ミクロ流体カートリッジにおいて、
それぞれが1つ又はそれ以上のリザーバ壁によって画定され又は実質的に画定されている、少なくとも2つのリザーバであって、前記少なくとも2つのリザーバのそれぞれの前記1つ又はそれ以上のリザーバ壁の少なくとも一部は、疎水性材料を含んでいる、少なくとも2つのリザーバを備えており、
前記少なくとも2つのリザーバの内の第1のリザーバは、溶解剤を含んでおり、
前記少なくとも2つのリザーバの内の第2のリザーバは、被覆液を含んでいる、ミクロ流体カートリッジ。
【請求項53】
前記少なくとも2つのリザーバの内の第3のリザーバは、採取された試料を含むようになっている、請求項52に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項54】
前記疎水性材料は、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ホモポリマー及び/又はコポリマーを含んでいる、請求項52に記載のミクロ流体カートリッジ。
【請求項55】
ミクロ流体カートリッジを製作する方法において、
ミクロ流体カートリッジに少なくとも1つのリザーバを設ける段階であって、前記リザーバは、1つ又はそれ以上の内壁で画定されている、リザーバを設ける段階と、
疎水性材料を、前記リザーバの前記1つ又はそれ以上の内壁の少なくとも一部の上に又はこれに隣接して設ける段階と、から成る方法。
【請求項56】
前記ミクロ流体カートリッジは、2つ又はそれ以上の部分から組み立てられ、前記疎水性材料は、前記2つ又はそれ以上の部分が組み立てられる前に、前記リザーバの前記1つ又はそれ以上の内壁の少なくとも一部の上に又はこれに隣接して設けられる、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記ミクロ流体カートリッジは、2つ又はそれ以上の部分から組み立てられ、前記疎水性材料は、前記2つ又はそれ以上の部分が組み立てられた後に、前記リザーバの前記1つ又はそれ以上の内壁の少なくとも一部に又はこれに隣接して設けられている、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記疎水性材料は、被覆として設けられている、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記疎水性材料は、インサートして設けられている、請求項55に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−513946(P2009−513946A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508817(P2008−508817)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/026293
【国際公開番号】WO2006/118586
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】