説明

封止用シートおよび光半導体素子装置

【課題】封止樹脂層におけるブリードを抑制でき、光半導体素子装置の美観性の向上を図ることができる封止用シート、および、その封止用シートにより封止された光半導体素子装置を提供すること。
【解決手段】
封止樹脂層7と、封止樹脂層7に積層される波長変換層8とを備え、波長変換層8が、バリア層6と蛍光体層5とが積層され形成され、バリア層6が、透光性樹脂組成物から形成され、厚みが200μm〜1,000μmであり、蛍光体層5が、蛍光体を含有するように封止用シート1を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止用シートおよび光半導体素子装置、詳しくは、光学用途に用いられる光半導体素子装置、および、それに用いられる封止用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高エネルギーの光を発光できる発光装置として、白色発光装置が知られている。
【0003】
白色光装置は、例えば、光半導体により青色光を発光させ、その発光の一部を、蛍光体を含有する蛍光体層により黄色光に変換して、それら青色光および黄色光を混合することにより、白色光を発光する。
【0004】
近年、このような白色発光装置において、光半導体からの光取り出し効率の向上や、色味の角度依存性の低減のために、光半導体と蛍光体層とを離間する構成が検討されている。
【0005】
そのような白色発光装置としては、例えば、LEDと、LEDを内部空間に収容する蛍光カバーと、LEDと蛍光カバーとの間の空間を充填する樹脂封止体とを備える半導体発光装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−358368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の半導体発光装置では、発光に伴なうLEDおよび蛍光カバーの発熱により、樹脂封止体の温度が上昇し、樹脂封止体中の残存モノマー(未反応液状樹脂)のブリードを生じる場合がある。これにより、半導体発光装置の外観を損なうという不具合が生じる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、封止樹脂層におけるブリードを抑制でき、光半導体素子装置の美観性の向上を図ることができる封止用シート、および、その封止用シートにより封止される光半導体素子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の封止用シートは、封止樹脂層と、前記封止樹脂層に積層される波長変換層とを備え、前記波長変換層は、透光性樹脂組成物から形成され、厚みが200μm〜1,000μmであるバリア層と、蛍光体を含有する蛍光体層とが積層されてなることを特徴としている。
【0010】
また、本発明では、前記透光性樹脂組成物が、シリコーン樹脂を含有することが好適である。
【0011】
また、本発明では、前記バリア層の弾性率が、3MPa〜500MPaであることが好適である。
【0012】
また、本発明では、前記バリア層が、前記封止樹脂層に積層されてもよく、前記蛍光体層が、前記封止樹脂層に積層されてもよい。
【0013】
また、本発明の光半導体素子装置は、光半導体素子と、上記した封止用シートから形成され、前記光半導体素子を封止する封止層とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の封止用シートでは、バリア層および蛍光体層が積層される波長変換層が、封止樹脂層に積層されている。
【0015】
そのため、本発明の封止用シートにより、光半導体素子を封止した光半導体素子装置では、発光に伴ない光半導体素子および蛍光体層が発熱しても、バリア層により、封止樹脂層中の残存モノマー(未反応液状樹脂)のブリードを抑制することができる。その結果、光半導体素子装置の美観性の向上を図ることができる。
【0016】
したがって、本発明の封止用シートは、封止樹脂層中の残存モノマー(未反応液状樹脂)のブリードを抑制することができ、光半導体素子装置の美観性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の封止用シートの一実施形態を示す側断面図である。
【図2】本発明の封止用シートの一実施形態を製造する工程を示す工程図であって、(a)は、離型シートを用意する工程、(b)は、蛍光体層を形成する工程、(c)は、バリア層を積層する工程、(d)は、封止樹脂層を積層する工程を示す。
【図3】本発明の封止用シートの一実施形態により光半導体素子を封止して光半導体素子装置を作製する工程を示す工程図であって、(a)は、封止用シートと光半導体素子とを用意する工程、(b)は、封止用シートを基板に貼着して、光半導体素子を封止する工程、(c)は、封止用シートを加熱して硬化させる工程を示す。
【図4】本発明の封止用シートの一実施形態を、金属金型により加圧成形する工程を示す工程図であって、(a)は、金属金型を配置する工程、(b)は、封止用シートを金属金型により加圧成形する工程を示す。
【図5】本発明の封止用シートの他の実施形態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すように、封止用シート1は、封止樹脂層7と、封止樹脂層7に積層される波長変換層8とを備えている。
【0019】
封止樹脂層7は、封止用樹脂組成物から、略シート形状に形成されている。
【0020】
封止用樹脂組成物は、光半導体素子の封止に用いられる公知の透明性樹脂を含み、透明性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0021】
このような透明性樹脂は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0022】
また、このような透明性樹脂のなかでは、好ましくは、熱硬化性樹脂が挙げられ、耐久性、耐熱性および耐光性の観点から、さらに好ましくは、シリコーン樹脂が挙げられる。
【0023】
このような封止用樹脂組成物のなかでは、好ましくは、シリコーン樹脂を含有する樹脂組成物(以下、シリコーン樹脂組成物とする。)が挙げられる。
【0024】
シリコーン樹脂組成物としては、例えば、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、ヘテロ原子含有変性シリコーン樹脂組成物、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、無機酸化物含有シリコーン樹脂組成物などが挙げられる。
【0025】
このようなシリコーン樹脂組成物のなかでは、封止樹脂層7の硬化前の柔軟性、および硬化後の強度の観点から、好ましくは、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物およびヘテロ原子含有変性シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
【0026】
縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、縮合反応および付加反応(具体的には、ヒドロシリル化反応)をすることができるシリコーン樹脂組成物であって、より具体的には、加熱によって、縮合反応して、半硬化状態となることができ、次いで、さらなる加熱によって、付加反応して、硬化(完全硬化)状態となることができるシリコーン樹脂組成物である。
【0027】
縮合反応としては、例えば、シラノール縮合反応が挙げられ、付加反応としては、例えば、エポキシ開環反応およびヒドロシリル化反応が挙げられる。
【0028】
縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、例えば、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系不飽和炭化水素基含有ケイ素化合物(以下、エチレン系ケイ素化合物とする。)、エポキシ基含有ケイ素化合物およびオルガノハイドロジェンシロキサンを含有している。
【0029】
なお、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物は、縮合原料(縮合反応に供される原料)であり、エチレン系ケイ素化合物およびオルガノハイドロジェンシロキサンは、付加原料(付加反応に供される原料)である。
【0030】
シラノール基両末端ポリシロキサンは、分子の両末端にシラノール基(SiOH基)を含有するオルガノシロキサンであって、具体的には、下記一般式(1)で示される。
一般式(1):
【0031】
【化1】

【0032】
(一般式(1)中、Rは、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。また、nは、1以上の整数を示す。)
上記一般式(1)中、Rで示される1価の炭化水素基において、飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など)、例えば、炭素数3〜6のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)などが挙げられる。
【0033】
また、上記一般式(1)中、Rで示される1価の炭化水素基において、芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基(フェニル基、ナフチル基)などが挙げられる。
【0034】
上記一般式(1)において、Rは、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0035】
1価の炭化水素基としては、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、透明性、熱安定性および耐光性の観点から、さらに好ましくは、メチル基が挙げられる。
【0036】
上記一般式(1)おいて、nは、好ましくは、安定性および/または取り扱い性の観点から、1〜10,000の整数、さらに好ましくは、1〜1,000の整数である。
【0037】
なお、上記一般式(1)におけるnは、平均値として算出される。
【0038】
シラノール基両末端ポリシロキサンとしては、具体的には、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン、シラノール基両末端ポリメチルフェニルシロキサン、シラノール基両末端ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0039】
このようなシラノール基両末端ポリシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0040】
また、このようなシラノール基両末端ポリシロキサンのなかでは、好ましくは、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0041】
シラノール基両末端ポリシロキサンは、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0042】
シラノール基両末端ポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および/または取り扱い性の観点から、例えば、100〜1,000,000、好ましくは、200〜100,000である。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレンで換算されて算出される。後述するシラノール基両末端ポリシロキサン以外の原料の数平均分子量についても、上記と同様にして算出される。
【0043】
このようなシラノール基両末端ポリシロキサンにおける、シラノール基当量は、例えば、0.002〜25mmol/g、好ましくは、0.02〜25mmol/gである。
【0044】
シラノール基両末端ポリシロキサンの配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、1〜99.99質量部、好ましくは、50〜99.9質量部、さらに好ましくは、80〜99.5質量部である。
【0045】
エチレン系ケイ素化合物は、エチレン系不飽和炭化水素基、および、シラノール縮合反応における脱離基を併有するシラン化合物であって、具体的には、下記一般式(2)で示される。
一般式(2):
−Si(X (2)
(一般式(2)中、Rは、1価のエチレン系不飽和炭化水素基を示し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、またはアセトキシ基を示す。但し、Xは、同一または互いに相異なっていてもよい。)
上記一般式(2)において、Rで示されるエチレン系不飽和炭化水素基としては、置換または非置換のエチレン系不飽和炭化水素基が挙げられ、例えば、アルケニル基、シクロアルケニル基などが挙げられる。
【0046】
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基などの炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
【0047】
シクロアルケニル基としては、例えば、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基などの炭素数3〜10のシクロアルケニル基が挙げられる。
【0048】
エチレン系不飽和炭化水素基としては、ヒドロシリル基との反応性の観点から、好ましくは、アルケニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜5のアルケニル基、とりわけ好ましくは、ビニル基が挙げられる。
【0049】
上記一般式(2)におけるXは、シラノール縮合反応における脱離基であり、上記一般式(2)におけるSiX基は、シラノール縮合反応における反応性官能基である。
【0050】
上記一般式(2)において、Xで示されるハロゲン原子としては、例えば、臭素、塩素、フッ素、ヨウ素などが挙げられる。
【0051】
上記一般式(2)において、Xで示されるアルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基を有するアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基など)、例えば、炭素数3〜6のシクロアルキル基を有するアルコキシ基(シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基など)などが挙げられる。
【0052】
上記一般式(2)において、Xは、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0053】
このような上記一般式(2)のXのなかでは、好ましくは、アルコキシ基が挙げられ、さらに好ましくは、メトキシ基が挙げられる。
【0054】
このようなエチレン系ケイ素化合物としては、例えば、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリハロゲン化シラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリフェノキシシラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアセトキシシランなどが挙げられる。
【0055】
このようなエチレン系ケイ素化合物は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0056】
このようなエチレン系ケイ素化合物のなかでは、好ましくは、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランが挙げられる。
【0057】
エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランとしては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシランなどのビニルトリアルコキシシラン、例えば、アリルトリメトキシシラン、プロペニルトリメトキシシラン、ブテニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0058】
また、このようなエチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランのなかでは、好ましくは、ビニルトリアルコキシシラン、さらに好ましくは、ビニルトリメトキシシランが挙げられる。
【0059】
エチレン系ケイ素化合物の配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、0.01〜90質量部、好ましくは、0.01〜50質量部、さらに好ましくは、0.01〜10質量部である。
【0060】
エチレン系ケイ素化合物は、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0061】
エポキシ基含有ケイ素化合物は、エポキシ基および、シラノール縮合反応における脱離基を併有するシラン化合物あって、具体的には、下記一般式(3)で示される。
一般式(3):
−Si(X (3)
(一般式(3)中、Rは、エポキシ構造含有基を示し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、またはアセトキシ基を示す。但し、Xは、同一または互いに相異なっていてもよい。)
一般式(3)において、Rで示されるエポキシ構造含有基としては、例えば、エポキシ基、例えば、グリシジルエーテル基、例えば、エポキシシクロヘキシル基などのエポキシシクロアルキル基などが挙げられる。
【0062】
このようなエポキシ構造含有基のなかでは、好ましくは、グリシジルエーテル基が挙げられる。グリシジルエーテル基は、具体的には、下記一般式(4)で示されるグリシドキシアルキル基である。
一般式(4):
【0063】
【化2】

【0064】
(一般式(4)中、Rは、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される2価の炭化水素基を示す。)
上記一般式(4)中、Rで示される2価の炭化水素基において、飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキレン基(メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、例えば、炭素数3〜8のシクロアルキレン基(シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基など)などが挙げられる。
【0065】
また、上記一般式(4)中、Rで示される2価の炭化水素基において、芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜10のアリーレン基(フェニレン基、ナフチレン基など)などが挙げられる。
【0066】
このような2価の炭化水素基としては、好ましくは、炭素数1〜6のアルキレン基、さらに好ましくは、プロピレン基が挙げられる。
【0067】
グリシジルエーテル基としては、具体的には、グリシドキシメチル基、グリシドキシエチル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシシクロヘキシル基、グリシドキシフェニル基などが挙げられる。
【0068】
このようなグリシジルエーテル基のなかでは、好ましくは、グリシドキシプロピル基が挙げられる。
【0069】
上記一般式(3)におけるXは、シラノール縮合反応における脱離基であり、上記一般式(3)におけるSiX基は、シラノール縮合反応における反応性官能基である。
【0070】
上記一般式(3)において、Xで示されるハロゲン原子としては、上記一般式(2)のXで示されるハロゲン原子と同様のものが挙げられる。
【0071】
上記一般式(3)において、Xで示されるアルコキシ基としては、上記一般式(2)のXで示されるアルコキシ基と同様のものが挙げられる。
【0072】
上記一般式(3)において、Xは、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0073】
このような上記一般式(3)のXとしては、好ましくは、アルコキシ基が挙げられ、さらに好ましくは、メトキシ基が挙げられる。
【0074】
このようなエポキシ基含有ケイ素化合物としては、例えば、エポキシ基含有トリアルコキシシラン、エポキシ基含有トリハロゲン化シラン、エポキシ基含有トリフェノキシシラン、エポキシ基含有トリアセトキシシランなどが挙げられる。
【0075】
このようなエポキシ基含有ケイ素化合物は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0076】
また、このようなエチレン系ケイ素化合物のなかでは、好ましくは、エポキシ基含有トリアルコキシシランが挙げられる。
【0077】
エポキシ基含有トリアルコキシシランとしては、具体的には、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランなどのグリシドキシアルキルトリメトキシシラン、例えば、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリプロポキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリイソプロポキシシランなどが挙げられる。
【0078】
また、このようなエポキシ基含有トリアルコキシシランのなかでは、好ましくは、グリシドキシメチルトリアルコキシシラン、さらに好ましくは、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランが挙げられる。
【0079】
エポキシ基含有ケイ素化合物の配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、0.01〜90質量部、好ましくは、0.01〜50質量部、さらに好ましくは、0.01〜1質量部である。
【0080】
エポキシ基含有ケイ素化合物は、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0081】
エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物の反応性官能基(SiX基およびSiX基)に対する、シラノール基両末端ポリシロキサンのシラノール基(SiOH基)のモル比(SiOH/(SiX+SiX))は、例えば、20/1〜0.2/1、好ましくは、10/1〜0.5/1、さらに好ましくは、実質的に1/1である。
【0082】
モル比が上記範囲を超える場合には、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、適度な靭性を有する半硬化状物(半硬化物)を得られない場合があり、一方、モル比が上記範囲に満たない場合には、エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物の配合割合が過度に多く、そのため、得られる封止樹脂層7の耐熱性が低下する場合がある。
【0083】
また、モル比が上記範囲内(好ましくは、実質的に1/1)であれば、シラノール基両末端ポリシロキサンのシラノール基(SiOH基)と、エチレン系ケイ素化合物の反応性官能基(SiX基)およびエポキシ基含有ケイ素化合物の反応性官能基(SiX基)とを過不足なく縮合反応させることができる。
【0084】
エポキシ基含有ケイ素化合物に対する、エチレン系ケイ素化合物のモル比は、例えば、10/90〜99/1、好ましくは、50/50〜97/3、さらに好ましくは、80/20〜95/5である。
【0085】
モル比が上記した範囲内であれば、硬化物の強度を確保しつつ、接着性を向上できる利点がある。
【0086】
オルガノハイドロジェンシロキサンは、エチレン系不飽和炭化水素基を含まず、少なくとも2つのヒドロシリル基を1分子中に有するオルガノシロキサンである。
【0087】
オルガノハイドロジェンシロキサンは、具体的には、水素側鎖含有オルガノポリシロキサン、水素両末端オルガノポリシロキサンなどが挙げられる。
【0088】
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンは、主鎖から分岐する側鎖として水素原子を有するオルガノハイドロジェンシロキサンであって、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン、エチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン−co−メチルフェニルポリシロキサンなどが挙げられる。
【0089】
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、例えば、100〜1,000,000である。
【0090】
また、水素両末端オルガノポリシロキサンは、主鎖の両末端に水素原子を有するオルガノハイドロジェンシロキサンであって、例えば、ヒドロシリル基両末端ポリジメチルシロキサン、ヒドロシリル基両末端ポリメチルフェニルシロキサン、ヒドロシリル基両末端ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0091】
水素両末端オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および/または取り扱い性の観点から、例えば100〜1,000,000、さらに好ましくは、100〜100,000である。
【0092】
このようなオルガノハイドロジェンシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0093】
また、このようなオルガノハイドロジェンシロキサンのなかでは、好ましくは、水素側鎖含有オルガノポリシロキサンが挙げられ、さらに好ましくは、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
【0094】
オルガノハイドロジェンシロキサンの25℃における粘度は、例えば、10〜100,000mPa・S、好ましくは、20〜50,000mPa・Sである。なお、粘度は、B型粘度計により測定される。
【0095】
オルガノハイドロジェンシロキサンにおける、ヒドロシリル基当量は、例えば、0.1〜30mmol/g、好ましくは、1〜20mmol/gである。
【0096】
オルガノハイドロジェンシロキサンは、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0097】
オルガノハイドロジェンシロキサンの配合割合は、エチレン系ケイ素化合物のエチレン系不飽和炭化水素基(上記一般式(2)のR)とオルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)とのモル比にもよるが、例えば、エチレン系ケイ素化合物100質量部に対して、例えば、10〜10,000質量部、好ましくは、100〜1,000質量部である。
【0098】
また、オルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)に対する、エチレン系ケイ素化合物のエチレン系不飽和炭化水素基(上記一般式(2)のR)のモル比(R/SiH)は、例えば、20/1〜0.05/1、好ましくは、20/1〜0.1/1、さらに好ましくは、10/1〜0.1/1、とりわけ好ましくは、10/1〜0.2/1、もっとも好ましくは、5/1〜0.2/1である。また、例えば、1/1未満、0.05/1以上に設定することもできる。
【0099】
モル比が20/1を超える場合には、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、適度な靭性を有する半硬化物を得られない場合があり、モル比が0.05/1に満たない場合には、オルガノハイドロジェンシロキサンの配合割合が過度に多く、そのため、得られる封止樹脂層7の耐熱性および靭性が不十分となる場合がある。
【0100】
また、モル比が1/1未満、0.05/1以上であれば、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、モル比が20/1〜1/1である縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物に比べて、半硬化状態へ迅速に移行させることができる。
【0101】
縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、上記したシラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物、エポキシ基含有ケイ素化合物およびオルガノハイドロジェンシロキサン)を、触媒とともに、配合して、攪拌混合することにより調製される。
【0102】
触媒としては、例えば、縮合触媒および付加触媒(ヒドロシリル化触媒)などが挙げられる。
【0103】
縮合触媒は、シラノール基と反応性官能基(上記一般式(2)のSiX基および上記一般式(3)のSiX基)との縮合反応の反応速度を向上させる物質であれば特に限定されず、例えば、塩酸、酢酸、ギ酸、硫酸などの酸、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基、例えば、アルミニウム、チタン、亜鉛、スズなどの金属などが挙げられる。
【0104】
このような縮合触媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0105】
また、このような縮合触媒のなかでは、相溶性および熱分解性の観点から、好ましくは、塩基、さらに好ましくは、水酸化テトラメチルアンモニウムが挙げられる。
【0106】
このような縮合触媒の配合割合は、シラノール基両末端ポリシロキサン100モルに対して、例えば、0.1〜50モル、好ましくは、0.5〜5モルである。
【0107】
付加触媒は、付加反応、つまり、エチレン系不飽和炭化水素基とSiHとのヒドロシリル化反応の反応速度を向上させる物質であれば、特に限定されず、例えば、白金黒、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金一カルボニル錯体、白金−アセチルアセテートなどの白金触媒、例えば、パラジウム触媒、ロジウム触媒などの金属触媒が挙げられる。
【0108】
このような付加触媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0109】
また、このような付加触媒のなかでは、相溶性、透明性および触媒活性の観点から、好ましくは、白金触媒、さらに好ましくは、白金−カルボニル錯体が挙げられる。
【0110】
付加触媒の配合割合は、付加触媒の金属量の質量部数として、オルガノハイドロジェンシロキサン100質量部に対して、例えば、1.0×10−4〜1.0質量部、好ましくは、1.0×10−4〜0.5質量部、さらに好ましく、1.0×10−4〜0.05質量部である。
【0111】
なお、上記した触媒は、固体状態のものをそのまま用いてもよく、あるいは、取扱性の観点から、溶媒に溶解または分散させた溶液または分散液として用いることもできる。
【0112】
溶媒としては、例えば、水、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコールなどが挙げられ、好ましくは、アルコールが挙げられる。
【0113】
縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を調製するには、例えば、上記した原料(縮合原料および付加原料)と、触媒とを一度に加えてもよく、あるいは、各原料および各触媒を異なるタイミングでそれぞれ加えることもできる。さらには、一部の成分を一度に加え、残部の各成分を、異なるタイミングでそれぞれ加えることもできる。
【0114】
このような縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物の調製方法のなかでは、好ましくは、まず、縮合原料および縮合触媒を一度に加え、次いで、付加原料を加え、その後、付加触媒を加える方法が挙げられる。
【0115】
具体的には、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物(つまり、縮合原料)と、縮合触媒とを、上記した割合で一度に配合して、それらを、例えば、5分間〜24時間攪拌する。
【0116】
また、配合および攪拌時には、縮合原料の相溶性および取扱性を向上させるために、例えば、0〜60℃に温度調整することもできる。
【0117】
また、原料および縮合触媒の配合時に、それらの相溶性を向上させるための相溶化剤を適宜の割合で加えることもできる。
【0118】
相溶化剤としては、例えば、メタノールなどのアルコールなどの有機溶媒が挙げられる。なお、相溶化剤は、縮合触媒が有機溶媒の溶液または分散液として調製されている場合には、その有機溶媒を相溶化剤として供することもできる。
【0119】
その後、系を、必要により減圧することにより、揮発成分(有機溶媒)を除去する。
【0120】
次いで、得られる縮合原料および縮合触媒の混合物に、オルガノハイドロジェンシロキサンを配合して、例えば、1〜120分間攪拌する。
【0121】
配合および攪拌時には、混合物およびオルガノハイドロジェンシロキサンの相溶性および取扱性を向上させるために、例えば、0〜60℃に温度調整することもできる。
【0122】
その後、系に、付加触媒を配合して、例えば、1〜60分間で攪拌する。
【0123】
これにより、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を調製することができる。
【0124】
調製された縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、例えば、液状(オイル状)であって、後述するようにバリア層6上に塗布した後、加熱することにより、縮合原料が縮合反応し、後述するように発光ダイオード11を封止後、さらに加熱することにより、付加原料が付加反応して、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂を形成する。
【0125】
ヘテロ原子含有変性シリコーン樹脂組成物は、例えば、シラノール基両末端ポリシロキサンと、ヘテロ原子錯体とを含有している。
【0126】
シラノール基両末端ポリシロキサンとしては、例えば、上記一般式(1)で示されるシラノール基両末端ポリシロキサンと同様のものが挙げられる。
【0127】
このようなシラノール基両末端ポリシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0128】
また、このようなシラノール基両末端ポリシロキサンのなかでは、好ましくは、上記一般式(1)おける、nが1〜1,000の整数であるシラノール基両末端ポリシロキサンが挙げられる。
【0129】
ヘテロ原子錯体は、Si、O、C、H以外のヘテロ原子の錯体であって、具体的には、下記一般式(5)で示されるヘテロ原子錯体が挙げられる。
一般式(5):
M−(OY) (5)
(一般式(5)中、Mは、Si、O、C、H以外のヘテロ原子を示し、Yは、水素原子、または、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。nは、ヘテロ原子の価数を示す。但し、Yは、同一または互いに相異なっていてもよい。)
上記一般式(5)において、Mで示されるヘテロ原子としては、例えば、アルミニウム、チタンなどの金属原子、例えば、ホウ素、例えば、リンなどが挙げられる。
【0130】
このようなヘテロ原子のなかでは、好ましくは、金属原子が挙げられ、さらに好ましくは、アルミニウムが挙げられる。
【0131】
また、上記一般式(5)おいて、nは、ヘテロ原子の価数と同数であって、例えば、1〜6の整数、好ましくは、3〜5の整数である。
【0132】
上記一般式(5)において、Yで示される1価の炭化水素基としては、例えば、上記一般式(1)で示される1価の炭化水素基と同様の炭化水素基が挙げられる。
【0133】
このような1価の炭化水素基のなかでは、好ましくは、飽和炭化水素基が挙げられ、さらに好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、とりわけ好ましくは、イソプロピル基が挙げられる。
【0134】
このようなヘテロ原子錯体としては、例えば、アルミニウムアルコシド、チタンアルコキシド、ホウ素アルコキシド、リンアルコキシドなどが挙げられる。
【0135】
このようなヘテロ原子錯体は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0136】
また、このようなヘテロ原子錯体のなかでは、好ましくは、アルミニウムアルコシドが挙げられる。
【0137】
アルミニウムアルコシドとしては、具体的には、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリプロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシドなどが挙げられ、好ましくは、アルミニウムトリイソプロポキシドが挙げられる。
【0138】
ヘテロ原子錯体の配合割合は、シラノール基両末端ポリシロキサン100質量部に対して、例えば、0.01〜20質量部、好ましくは、0.1〜10質量部である。
【0139】
ヘテロ原子含有変性シリコーン樹脂組成物は、シラノール基両末端ポリシロキサンおよびヘテロ原子錯体を上記した配合割合で配合して、それらを室温で攪拌混合することにより調製される。
【0140】
なお、ヘテロ原子含有変性シリコーン樹脂組成物(アルミニウム含有変性シリコーン樹脂組成物)は、特開2009−127021号公報および特開2009−235376号公報の記載などに準拠して調製することもできる。
【0141】
調製されたヘテロ原子含有変性シリコーン樹脂組成物は、例えば、液状(オイル状)であって、後述するようにバリア層6上に塗布した後、加熱することにより、発光ダイオード11を封止後、さらに加熱することにより、含有するシラノール基両末端ポリシロキサンおよびヘテロ原子錯体が縮合反応して、ヘテロ原子含有変性シリコーン樹脂を形成する。
【0142】
ヘテロ原子含有変性シリコーン樹脂は、シロキサン骨格中のSi原子と、上記したヘテロ原子とが酸素原子を介して結合するシリコーン樹脂(Si−O−M結合を含有するシリコーン樹脂)であって、例えば、アルミノシロキサン樹脂(Si−O−Al結合を含有)、チタナーシロキサン樹脂(Si−O−Ti結合を含有)、ボロシロキサン樹脂(Si−O−B結合を含有)、ホスファーシロキサン樹脂(Si−O−P結合を含有)などが挙げられる。
【0143】
また、封止用樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤およびシランカップリング剤を添加することもできる。
【0144】
充填剤としては、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、硫酸バリウム、炭酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、層状マイカ、カーボンブラック、珪藻土、ガラス繊維、シリコーン樹脂微粒子などが挙げられる。
【0145】
このような充填剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0146】
また、このような充填剤のなかでは、好ましくは、シリカ(二酸化ケイ素)およびシリコーン樹脂微粒子が挙げられる。
【0147】
シリコーン樹脂微粒子は、架橋構造を有するポリシロキサン(硬化後)の微粒子であって、その屈折率が、シリコーン樹脂組成物(硬化後の封止樹脂層7(封止層10))の屈折率と近似する。
【0148】
そのため、封止用樹脂組成物と充填剤との組み合わせとしては、封止シート1の透明性、つまり、LED装置2(後述)の輝度(後述)を考慮すると、好ましくは、シリコーン樹脂組成物とシリコーン樹脂微粒子との組み合わせが挙げられる。
【0149】
シリコーン樹脂組成物にシリコーン樹脂微粒子を添加すれば、封止層10の硬度の向上を図ることができるとともに、他の充填剤を添加した場合と比較して、封止層10における後方散乱を防止することができる。その結果、LED装置2(後述)の輝度ロスを抑制でき、LED装置2(後述)の輝度の向上を図ることができる。
【0150】
なお、輝度ロスとは、充填剤が添加されていない封止用樹脂組成物を用いたLED装置2(後述)における全光束の初期輝度(以下、基準輝度とする。)に対する、基準輝度から充填剤が添加された封止用樹脂組成物を用いたLED装置2(後述)における全光束の初期輝度(以下、輝度とする。)を減じた値の百分率である。
【0151】
また、シリコーン樹脂微粒子としては、例えば、ポリシルセスキオキサン微粒子が挙げられ、硬度(バリア層6に対する封止層10の補強効果)を考慮すると、好ましくは、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子が挙げられる。
【0152】
また、シリコーン樹脂微粒子の平均粒子径(最大長さの平均)は、例えば、0.2〜40μm、好ましくは、0.5〜10μmである。シリコーン樹脂微粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定される。
【0153】
充填剤がシリカ(二酸化ケイ素)である場合、その添加割合は、封止用樹脂組成物100質量部に対して、例えば、1〜50質量部、好ましくは、5〜20質量部である。
【0154】
また、充填剤がシリコーン樹脂微粒子である場合、その添加割合は、封止用樹脂組成物100質量部に対して、例えば、1〜60質量部、好ましくは、10〜50質量部である。
【0155】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルシラン型シランカップリング剤、メタクリル型シランカップリング剤などが挙げられる。
【0156】
このようなシランカップリング剤のなかでは、好ましくは、メタクリル型シランカップリング剤が挙げられる。
【0157】
シランカップリング剤の添加割合は、封止用樹脂組成物100質量部に対して、例えば、1〜50質量部、好ましくは、5〜20質量部である。
【0158】
なお、上記した封止用樹脂組成物には、さらに必要に応じて、老化防止剤、変性剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤などの公知の添加物を適宜の割合で添加することができる。
【0159】
また、封止用樹脂組成物は、必要に応じて、その調製後に脱泡される。
【0160】
脱泡方法としては、例えば、減圧脱泡(真空脱泡)、遠心脱泡、超音波脱泡などの公知の脱泡方法が挙げられ、好ましくは、減圧脱泡(真空脱泡)が挙げられる。
【0161】
脱泡方法が減圧脱泡(真空脱泡)である場合、脱泡条件としては、温度が、例えば、10〜40℃、好ましくは、15〜35℃、時間が、例えば、10分以上、好ましくは、30分以上である。
【0162】
封止樹脂層7は、熱硬化性樹脂(好ましくは、シリコーン樹脂)を含有する封止用樹脂組成物から形成されている場合、好ましくは、半硬化(Bステージ)状態の封止用樹脂組成物から形成される。
【0163】
また、封止樹脂層7(半硬化状態の封止樹脂層7)の圧縮弾性率(25℃)は、例えば、封止性および取扱性の観点から、0.01MPa以上、好ましくは、0.01〜0.1MPaである。
【0164】
封止樹脂層7の圧縮弾性率が上記下限値に満たない場合には、封止樹脂層7の保形性が低下する場合がある。さらに、封止樹脂層7の25℃における圧縮弾性率が上記範囲内にあれば、発光ダイオード11(後述、図2参照)を確実に埋設することができながら、ワイヤ12および発光ダイオード11(後述、図2参照)の損傷を防止することができる。
【0165】
封止樹脂層7の圧縮弾性率は、精密加重測定機を用いる圧縮試験により求められる。
【0166】
封止樹脂層7の厚みは、特に制限されず、後述する発光ダイオード11の封止時に、発光ダイオード11およびワイヤ12を埋設できるように適宜調整される。
【0167】
また、発光ダイオード11と蛍光体層5(後述)とが近傍に位置すると、LED装置2(後述)の点灯時に蛍光体層5の発熱量が増加するため、封止樹脂層7の厚みは、発光ダイオード11と蛍光体層5との間隔(封止樹脂層7およびバリア層6(後述)の厚みの総和)が、例えば、1mm以上となるように適宜調整される。
【0168】
具体的には、封止樹脂層7の厚みは、例えば、300〜3,000μm、好ましくは、500〜2,000μmである。
【0169】
このような封止樹脂層7は、一層から形成されていてもよく、あるいは、複数層から形成されていてもよい。
【0170】
封止樹脂層7に積層される波長変換層8は、バリア層6と蛍光体層5とが積層されて形成される。詳しくは、封止樹脂層7にバリア層6が積層され、バリア層6に蛍光体層5が積層されている。
【0171】
バリア層6は、透光性樹脂組成物から、略シート形状に形成される。
【0172】
透光性樹脂組成物としては、光半導体素子の封止に用いられる公知の透明性樹脂を含み、透明性樹脂としては、例えば、上記した透明性樹脂と同様の透明性樹脂が挙げられる。
【0173】
このような透明性樹脂は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0174】
また、このような透明性樹脂のなかでは、好ましくは、熱硬化性樹脂が挙げられ、耐久性、耐熱性および耐光性の観点から、さらに好ましくは、シリコーン樹脂が挙げられる。
【0175】
このような透光性樹脂組成物のなかでは、好ましくは、シリコーン樹脂を含有する樹脂組成物(シリコーン樹脂組成物)が挙げられる。
【0176】
シリコーン樹脂組成物としては、例えば、上記したシリコーン樹脂組成物と同様のシリコーン樹脂組成物などが挙げられ、好ましくは、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、無機酸化物含有シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
【0177】
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、主剤となるエチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンと、架橋剤となるオルガノハイドロジェンシロキサンを含有する。
【0178】
エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンは、エチレン系不飽和炭化水素基を、両末端、または、側鎖に有する液状ポリシロキサンである。
【0179】
エチレン系不飽和炭化水素基としては、例えば、上記したエチレン系不飽和炭化水素基などが挙げられ、好ましくは、アルケニル基、さらに好ましくは、ビニル基が挙げられる。
【0180】
このようなエチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンとしては、例えば、アルケニル基含有ポリジメチルシロキサン、アルケニル基含有ポリメチルフェニルシロキサン、アルケニル基含有ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0181】
このようなエチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0182】
オルガノハイドロジェンシロキサンとしては、例えば、上記したオルガノハイドロジェンシロキサンと同様のオルガノハイドロジェンシロキサンが挙げられる。
【0183】
このようなオルガノハイドロジェンシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0184】
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物では、通常、エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンと、オルガノハイドロジェンシロキサンとが、別々のパッケージで提供される。具体的には、主剤(エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサン)を含有するA液と、架橋剤(オルガノハイドロジェンシロキサン)を含有するB液との2液として提供される。なお、両者の付加反応に必要な公知の触媒は、オルガノハイドロジェンシロキサンに添加されている。
【0185】
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物としては、市販品(商品名:KER-2500、信越化学工業社製 ジメチルシロキサン骨格誘導体、商品名:LR-7665、旭化成ワッカー社製、ジメチルシロキサン骨格誘導体)を用いることができる。
【0186】
このような付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、主剤(A液)と架橋剤(B液)とを混合し、後述するように蛍光体層5に塗布した後、加熱乾燥することにより、含有するエチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンとオルガノハイドロジェンシロキサンとが付加反応して、シリコーンエラストマーを形成する。
【0187】
無機酸化物含有シリコーン樹脂組成物は、例えば、アルコキシシリル基含有ポリシロキサン、および、反応性官能基含有無機酸化物粒子を含有する。
【0188】
アルコキシシリル基含有ポリシロキサンは、少なくとも2つのアルコキシシリル基を1分子中に有するポリシロキサンであって、例えば、下記一般式(6)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサン、下記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサン、下記一般式(6)および下記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンなどが挙げられる。
【0189】
一般式(6):
【0190】
【化3】

【0191】
(一般式(6)中、RおよびRは、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。)
一般式(7):
【0192】
【化4】

【0193】
(一般式(7)中、RおよびRは、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。)
一般式(6)および(7)において、Rで示される1価の炭化水素基としては、上記一般式(1)で示される1価の炭化水素基と同様の炭化水素基が挙げられる。
【0194】
このような1価の炭化水素基のなかでは、好ましくは、飽和炭化水素基が挙げられ、さらに好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、とりわけ好ましくは、メチル基が挙げられる。
【0195】
一般式(6)および(7)において、Rで示される1価の炭化水素基としては、上記一般式(1)で示される1価の炭化水素基と同様の炭化水素基が挙げられる。
【0196】
このような1価の炭化水素基のなかでは、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、さらに好ましくは、メチル基が挙げられる。
【0197】
上記一般式(6)に示すシリコーン単量体としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどのジアルキルジアルコキシシラン、例えば、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアリールジアルコキシシラン、例えば、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシランなどのアルキルアリールジアルコキシシランなどが挙げられる。
【0198】
このような上記一般式(6)に示すシリコーン単量体のなかでは、好ましくは、ジアルキルジアルコキシシランが挙げられ、さらに好ましくは、ジメチルジメトキシシランが挙げられる。
【0199】
上記一般式(6)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンは、上記一般式(6)に示すシリコーン単量体の縮合物であって、その基本構成単位が、D単位(下記一般式(8))である。
【0200】
一般式(8):
【0201】
【化5】

【0202】
(一般式(8)中、Rは、上記一般式(6)のRと同様の1価の炭化水素基を示す。)
このような上記一般式(6)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンとしては、例えば、アルコキシシリル基両末端ポリジメチルシロキサン、アルコキシシリル基両末端ポリメチルフェニルシロキサン、アルコキシシリル基両末端ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0203】
このような上記一般式(6)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0204】
また、このような上記一般式(6)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンのなかでは、好ましくは、メトキシシリル基両末端ポリシロキサンが挙げられ、さらに好ましくは、メトキシシリル基両末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0205】
このような一般式(6)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンにおける、アルコキシシリル基含有量は、例えば、20〜65質量%、好ましくは、24〜62質量%である。
【0206】
上記一般式(7)に示すシリコーン単量体としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシラン、例えば、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどのアリールトリアルコキシシラン、例えば、メチルフェニルトリメトキシシラン、メチルフェニルトリエトキシシランなどのアルキルアリールトリアルコキシシランなどが挙げられる。
【0207】
このような上記一般式(7)に示すシリコーン単量体のなかでは、好ましくは、アルキルトリアルコキシシランが挙げられ、さらに好ましくは、メチルトリメトキシシランが挙げられる。
【0208】
上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンは、上記一般式(7)に示すシリコーン単量体の部分縮合物であって、その基本構成単位が、T単位(下記一般式(9))であり、また、構成単位中に下記一般式(10)に示す構成単位および/または下記一般式(11)に示す構成単位を含有する。
【0209】
一般式(9):
【0210】
【化6】

【0211】
(一般式(9)中、Rは、上記一般式(7)のRと同様の1価の炭化水素基を示す。)
一般式(10):
【0212】
【化7】

【0213】
(一般式(10)中、RおよびRは、上記一般式(7)のRおよびRと同様の1価の炭化水素基を示す。)
一般式(11):
【0214】
【化8】

【0215】
(一般式(11)中、RおよびRは、上記一般式(7)のRおよびRと同様の1価の炭化水素基を示す。)
このような上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンとしては、例えば、アルコキシシリル基含有シルセスキオキサンなどが挙げられる。
【0216】
アルコキシシリル基含有シルセスキオキサンとしては、例えば、ランダム構造、ラダー構造、カゴ構造など種々の構造のアルコキシシリル基含有シルセスキオキサンが挙げられる。
【0217】
このようなアルコキシシリル基含有シルセスキオキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0218】
また、このようなアルコキシシリル基含有シルセスキオキサンのなかでは、好ましくは、ランダム構造のアルコキシシリル基含有シルセスキオキサンが挙げられ、さらに好ましくは、メトキシシリル基含有シルセスキオキサンが挙げられ、とりわけ好ましくは、メトキシシリル基含有ポリメチルシルセスキオキサンが挙げられる。
【0219】
このようなアルコキシシリル基含有シルセスキオキサンにおける、アルコキシシリル基含有量は、例えば、15〜80質量%、好ましくは、20〜76質量%である。
【0220】
このような上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンは、市販品(商品名:X−40−9225、信越化学工業社製)を用いることができる。
【0221】
上記一般式(6)および上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンは、上記一般式(6)に示すシリコーン単量体と、上記一般式(7)に示すシリコーン単量体との任意の割合の部分縮合物であって、その構成単位中に、D単位(上記一般式(8))およびT単位(上記一般式(9))を含有する。
【0222】
また、上記一般式(6)および上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンは、さらに、その構成単位中に、例えば、下記一般式(12)に示す構成単位を含有する。
一般式(12):
【0223】
【化9】

【0224】
(一般式(12)中、RおよびRは、上記一般式(6)のRおよびRと同様の1価の炭化水素基を示す。)
上記一般式(6)および上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンのアルコキシシリル基含有量は、例えば、5〜55質量%、好ましくは、10〜30質量%である。
【0225】
このような上記一般式(6)および上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンは、市販品(商品名:X−40−9246、信越化学工業社製)を用いることができる。
【0226】
このようなアルコキシシリル基含有ポリシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0227】
また、このようなアルコキシシリル基含有ポリシロキサンのなかでは、好ましくは、上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサン、および、上記一般式(6)および上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンが挙げられ、さらに好ましくは、上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンと、上記一般式(6)および上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンとの併用が挙げられる。
【0228】
このようなアルコキシシリル基含有ポリシロキサンの配合割合は、無機酸化物含有シリコーン樹脂組成物100質量部に対して、例えば、60〜95質量部、好ましくは、70〜90質量部である。
【0229】
また、アルコキシシリル基含有ポリシロキサンが、上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンを含有する場合、上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンの配合割合は、無機酸化物含有シリコーン樹脂組成物100質量部に対して、例えば、10〜50質量部、好ましくは、20〜40質量部である。
【0230】
また、アルコキシシリル基含有ポリシロキサンが、上記一般式(6)および上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンを含有する場合、上記一般式(6)および上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサンの配合割合は、無機酸化物含有シリコーン樹脂組成物100質量部に対して、例えば、20〜70質量部、好ましくは、30〜60質量部である。
【0231】
反応性官能基含有無機酸化物粒子は、粒子表面に反応性官能基を有する無機酸化物粒子である。
【0232】
反応性官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、イソシアネート基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシ基、エポキシ基、ビニル型不飽和基、ハロゲン基、イソシアヌレート基などの反応性官能基が挙げられる。
【0233】
このような反応性官能基のなかでは、好ましくは、ヒドロキシル基が挙げられる。
【0234】
無機酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、チタン酸鉛、シリカ(二酸化ケイ素)などが挙げられる。
【0235】
このような無機酸化物粒子は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0236】
このような無機酸化物粒子のなかでは、好ましくは、シリカ(二酸化ケイ素)が挙げられる。
【0237】
このような反応性官能基含有無機酸化物粒子は、例えば、無機酸化物粒子のゾルとして調製されており、好ましくは、コロイダルシリカゾルが挙げられる。
【0238】
このような反応性官能基含有無機酸化物粒子の配合割合は、アルコキシシリル基含有ポリシロキサン100質量部に対して、例えば、5〜50質量部、好ましくは、10〜40質量部である。
【0239】
また、このような反応性官能基含有無機酸化物粒子は、市販品(商品名:スノーテックスOS、日産化学社製)を用いることができる。
【0240】
無機酸化物含有シリコーン樹脂組成物は、アルコキシシリル基含有ポリシロキサンおよび反応性官能基含有無機酸化物粒子を上記した割合で配合して、それらを混合することにより、調製される。
【0241】
なお、無機酸化物含有シリコーン樹脂組成物は、特開2010−150342号公報の記載などに準拠して調製することができる。
【0242】
調製された無機酸化物含有シリコーン樹脂組成物は、例えば、液状(オイル状)であって、後述するように蛍光体層5上に塗布した後、加熱することにより、含有するアルコキシシリル基含有ポリシロキサン(具体的には、上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサン、および、上記一般式(6)および上記一般式(7)に示すシリコーン単量体から形成されるポリシロキサン)が縮合反応して、無機酸化物含有シリコーン樹脂を形成する。
【0243】
さらに、上記した透光性樹脂組成物には、充填剤(無機粒子)、さらに必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤、老化防止剤、変性剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤などの公知の添加物を適宜の割合で添加することができる。
【0244】
充填剤としては、例えば、上記した充填剤などが挙げられる。
【0245】
このような充填剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0246】
また、このような充填剤のなかでは、好ましくは、シリカ(二酸化ケイ素)およびシリコーン樹脂微粒子が挙げられる。
【0247】
また、透光性樹脂組成物と充填剤との組み合わせとしては、LED装置2(後述)の輝度を考慮すると、好ましくは、シリコーン樹脂組成物とシリコーン樹脂微粒子との組み合わせが挙げられる。
【0248】
シリコーン樹脂組成物にシリコーン樹脂微粒子を添加すれば、硬化後のバリア層6の硬度の向上を図ることができるとともに、他の充填剤を添加した場合と比較して、バリア層6における後方散乱を防止することができる。その結果、LED装置2(後述)の輝度ロスを抑制でき、LED装置2(後述)の輝度の向上を図ることができる。
【0249】
シリコーン樹脂微粒子としては、例えば、ポリシルセスキオキサン微粒子が挙げられ、硬化後のバリア層6の硬度を考慮すると、好ましくは、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子が挙げられる。
【0250】
また、シリコーン樹脂微粒子の平均粒子径(最大長さの平均)は、例えば、0.2〜40μm、好ましくは、0.5〜10μmである。
【0251】
充填剤がシリカ(二酸化ケイ素)である場合、その添加割合は、透光性樹脂組成物100質量部に対して、例えば、1〜60質量部、好ましくは、5〜50質量部である。
【0252】
また、充填剤がシリコーン樹脂微粒子である場合、その添加割合は、透光性樹脂組成物100質量部に対して、例えば、1〜60質量部、好ましくは、10〜50質量部である。
【0253】
また、透光性樹脂組成物は、必要に応じて、その調製後に脱泡される。
【0254】
脱泡方法としては、例えば、上記した公知の脱泡方法が挙げられ、好ましくは、減圧脱泡(真空脱泡)が挙げられる。
【0255】
脱泡方法が減圧脱泡(真空脱泡)である場合、脱泡条件としては、温度が、例えば、10〜40℃、好ましくは、15〜35℃、時間が、例えば、10分以上、好ましくは、30分以上である。
【0256】
バリア層6の厚みは、例えば、200〜1,000μm、好ましくは、200〜800μmである。
【0257】
バリア層6の厚みが、200μm未満の場合、ブリードの抑制効果が不十分である場合があり、1,000μmを超過すると、コストが上昇する場合がある。
【0258】
また、バリア層6の弾性率は、例えば、2MPa〜500MPaであり、好ましくは、3MPa〜300MPaである。
【0259】
バリア層6の弾性率が3MPaに満たない場合、封止層10(後述)の保形性が低下する場合がある。また、バリア層6の弾性率が500MPaを超過する場合、封止用シート1の取扱性が低下する場合がある。
【0260】
なお、バリア層6の弾性率は、引張試験機(島津製作所社製、オートグラフAGS-J)により求められる。
【0261】
このようなバリア層6は、一層から形成されていてもよく、あるいは、複数層から形成されていてもよい。
【0262】
蛍光体層5は、蛍光体含有樹脂組成物から、略シート状に形成されている。
【0263】
蛍光体含有樹脂組成物は、少なくとも1種の蛍光体と、樹脂組成物とを含有する。
【0264】
蛍光体は、波長変換機能を有する粒子であって、光半導体素子装置に用いられる公知の蛍光体であれば、特に制限されないが、例えば、青色光を黄色光に変換することのできる黄色蛍光体、青色光を赤色光に変換することのできる赤色蛍光体などの公知の蛍光体が挙げられる。
【0265】
黄色蛍光体としては、例えば、YAl12:Ce(YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)、TbAl12:Ce(TAG(テルビウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)などのガーネット型結晶構造を有するガーネット型蛍光体、例えば、Ca−α−SiAlONなどの酸窒化物蛍光体などが挙げられる。
【0266】
赤色蛍光体としては、例えば、CaAlSiN:Eu、CaSiN:Euなどの窒化物蛍光体などが挙げられる。
【0267】
このような蛍光体のなかでは、好ましくは、黄色蛍光体が挙げられ、さらに好ましくは、Ca−α−SiAlONおよびYAG:Ceが挙げられ、とりわけ好ましくは、YAG:Ceが挙げられる。
【0268】
このような蛍光体は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0269】
また、蛍光体は、粒子状であり、その形状は、特に限定されず、例えば、略球形状、略平板形状、略針形状などが挙げられる。
【0270】
また、蛍光体の平均粒子径(最大長さの平均)は、例えば、0.1〜500μm、好ましくは、0.2〜200μmである。蛍光体粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定される。
【0271】
樹脂組成物は、例えば、光半導体素子の封止に用いられる公知の透明性樹脂を含み、透明性樹脂としては、例えば、上記した透明性樹脂と同様の透明性樹脂が挙げられる。
【0272】
このような透明性樹脂は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0273】
また、このような透明性樹脂のなかでは、好ましくは、熱硬化性樹脂が挙げられ、耐久性、耐熱性および耐光性の観点から、さらに好ましくは、シリコーン樹脂が挙げられる。
【0274】
このような樹脂組成物のなかでは、好ましくは、シリコーン樹脂を含有する樹脂組成物(シリコーン樹脂組成物)が挙げられる。
【0275】
シリコーン樹脂組成物は、例えば、上記したシリコーン樹脂組成物と同様のシリコーン樹脂組成物などが挙げられ、好ましくは、上記した付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
【0276】
樹脂組成物が付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物である場合、蛍光体層5が外力や封止時の圧力によっても、一定の厚みを維持する低弾性を有するように、シロキサン骨格の架橋数を、公知の方法により適宜調整することができる。
【0277】
このような付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、市販品(例えば、旭化成ワッカー社製のLR7665)を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0278】
蛍光体含有樹脂組成物を調製するには、上記した蛍光体および樹脂組成物(好ましくは、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物)を配合して、攪拌混合する。
【0279】
樹脂組成物が付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物である場合、具体的には、主剤(A液)と架橋剤(B液)とを混合した混合液に、蛍光体を配合して攪拌混合する。
【0280】
蛍光体の配合割合は、蛍光体の種類、蛍光体層の厚みおよび封止用シートの形状などによって白色化の程度が異なることから、特に制限されないが、例えば、蛍光体含有樹脂組成物に対して、1〜50質量%、好ましくは、10〜40質量%である。
【0281】
攪拌温度は、例えば、室温(約25℃)〜50℃であり、攪拌時間は、例えば、1分間〜180分間である。
【0282】
そして、蛍光体を配合された混合液は、後述するように離型シート9に塗布した後、加熱乾燥することにより、含有するエチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンとオルガノハイドロジェンシロキサンとが付加反応して、蛍光体を含有するシリコーンエラストマーを形成する。
【0283】
なお、蛍光体含有樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤(無機粒子)、硬化剤、硬化促進剤、老化防止剤、変性剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤などの公知の添加物を適宜の割合で添加することができる。
【0284】
また、蛍光体含有樹脂組成物は、必要に応じて、その調製後に脱泡される。
【0285】
脱泡方法としては、例えば、上記した公知の脱泡方法が挙げられ、好ましくは、減圧脱泡(真空脱泡)が挙げられる。
【0286】
脱泡方法が減圧脱泡(真空脱泡)である場合、脱泡条件としては、温度が、例えば、10〜40℃、好ましくは、15〜35℃、時間が、例えば、10分以上、好ましくは、30分以上である。
【0287】
また、蛍光体層5の厚みは、特に制限されないが、例えば、20〜300μm、白色化の観点から、好ましくは、30〜200μm、さらに好ましくは、70〜120μmである。
【0288】
次に、封止用シート1を製造する方法について、図2を参照して説明する。
【0289】
この方法では、まず、図2(a)に示すように、離型シート9を用意する。
【0290】
離型シート9は、封止用シート1の表面(蛍光体層5)を被覆保護する保護シートや、封止用シート1の塗工基材として用いられる。
【0291】
離型シート9としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのポリエステルフィルム、例えば、ポリカーボネートフィルム、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、例えば、ポリスチレンフィルム、例えば、アクリルフィルム、例えば、シリコーン樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルムなどの樹脂フィルムなどが挙げられる。
【0292】
このような離型シート9のなかでは、好ましくは、ポリエステルフィルムが挙げられる。
【0293】
なお、離型シート9の表面(蛍光体層5が形成される側の面)には、蛍光体層5からの離型性を高めるため、必要により、離型処理が施されている。
【0294】
離型シート9の厚みは、特に制限されないが、例えば、取扱性、コストの観点から、例えば、20〜100μm、好ましくは、30〜80μmである。
【0295】
次いで、図2(b)に示すように、蛍光体層5を離型シート9に積層する。
【0296】
蛍光体層5を離型シート9に積層する方法(蛍光体層5の積層方法)としては、特に制限されず、例えば、離型シート9に直接蛍光体層5を形成する方法、蛍光体層5を別のフィルム上などに形成した後、その蛍光体層5を離型シート9に貼り付ける方法などが挙げられる。
【0297】
このような積層方法のなかでは、好ましくは、離型シート9に、直接蛍光体層5を形成する方法が挙げられる。詳しくは、まず、蛍光体含有樹脂組成物を、離型シート9に、例えば、キャスト、スピン、ロールなどの公知の塗布方法によって、上記した厚みに塗布することにより、蛍光体層5を形成する。
【0298】
そして、蛍光体含有樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含有している場合、蛍光体層5を加熱乾燥することにより、蛍光体層5を硬化させる。
【0299】
硬化条件としては、加熱温度が、例えば、80〜150℃、好ましくは、90〜150℃であり、加熱時間が、例えば、1〜100分間、好ましくは、5〜15分間である。
【0300】
次いで、図2(c)に示すように、蛍光体層5にバリア層6を積層する。
【0301】
詳しくは、バリア層6を、蛍光体層5の上面(蛍光体層5における離型シート9が接触している他方面と反対側の一方面)に積層する。
【0302】
バリア層6を蛍光体層5に積層するには、例えば、蛍光体層5に直接バリア層6を形成する方法、バリア層6を別のフィルム上などに形成した後、そのバリア層6を蛍光体層5に貼り付ける方法などが挙げられる。
【0303】
蛍光体層5に直接バリア層6を形成する方法としては、まず、透光性樹脂組成物を、蛍光体層5の一方面全面に、例えば、キャスト、スピン、ロールなどの公知の塗布方法によって塗布することにより、バリア層6を形成する。
【0304】
そして、透光性樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合、バリア層6を加熱して、透光性樹脂組成物からなるバリア層6を硬化状態に形成する。
【0305】
加熱条件としては、温度が、例えば、50〜250℃、好ましくは、100〜200℃であり、加熱時間が、例えば、1〜100分間、好ましくは、5〜15分間である。
【0306】
また、バリア層6を別のフィルム上などに形成した後、そのバリア層6を蛍光体層5に貼り付ける方法としては、まず、透光性樹脂組成物を、他のフィルム上に、例えば、キャスト、スピン、ロールなどの公知の塗布方法によって塗布することにより、バリア層6を形成する。
【0307】
そして、透光性樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合、バリア層6を加熱して、透光性樹脂組成物からなるバリア層6を硬化させる。
【0308】
乾燥条件としては、温度が、例えば、50〜300℃、好ましくは、80〜250℃であり、時間が、例えば、1〜100分間、好ましくは、10〜80分間である。
【0309】
また、乾燥は、必要により2段階で乾燥する。具体的には、1段階目において、低温条件下で乾燥させ、2段階目において、高温条件下で乾燥させる。
【0310】
低温乾燥条件としては、例えば、温度が、50〜150℃、好ましくは、80〜120℃、時間が、例えば、1〜80分間、好ましくは、10〜60分間である。
【0311】
また、高温乾燥条件としては、例えば、温度が、150〜300℃、好ましくは、180〜220℃、時間が、例えば、1〜120分間、好ましくは、30〜80分間である。
【0312】
次いで、バリア層6を別のフィルム上から剥離し、そのバリア層6を、例えば、ラミネータ、熱圧着などにより蛍光体層5に貼り付ける。
【0313】
具体的には、蛍光体層5の表面に、上記した付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物などを塗工した後、その塗工面にバリア層6を貼り合わせる。
【0314】
これにより、蛍光体層5の上面に、バリア層6が積層されて、波長変換層8が形成される。
【0315】
次いで、図2(d)に示すように、封止樹脂層7を、波長変換層8の上面に積層する。
【0316】
詳しくは、封止樹脂層7を、バリア層6の上面(バリア層6における蛍光体層5が接触している他方面と反対側の一方面)に積層する。
【0317】
封止樹脂層7をバリア層6に積層するには、例えば、封止用樹脂組成物を、バリア層6の一方面全面に、例えば、キャスト、スピン、ロールなどの公知の塗布方法によって塗布することにより、封止樹脂層7を形成する。
【0318】
そして、封止用樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合、封止樹脂層7を加熱して、封止用樹脂組成物からなる封止樹脂層7を半硬化させる。
【0319】
加熱条件としては、温度が、例えば、50〜150℃、好ましくは、80〜120℃であり、加熱時間が、例えば、1〜100分間、好ましくは、5〜15分間である。
【0320】
これにより、バリア層6の上面に、封止樹脂層7が積層される。
【0321】
以上によって、封止用シート1が調製される。
【0322】
このような封止用シート1は、図1に示すように、封止樹脂層7にバリア層6が積層され、バリア層6に蛍光体層5が積層されている。
【0323】
封止用シート1の大きさは、発光ダイオード11およびワイヤ12(後述)を封止することができれば、特に制限されないが、例えば、発光ダイオード11およびワイヤ12(後述)の上下方向の投影面の外周線から、1〜20mm大きく、好ましくは、2〜10mm大きい。なお、複数個の発光ダイオード11およびワイヤ12を一括封止する場合には、最外方に位置する発光ダイオード11およびワイヤ12の上下方向の投影面の外周線から、1〜20mm大きく、好ましくは、2〜10mm大きい。
【0324】
封止用シート1の大きさが、上記範囲未満であると、発光ダイオード11(後述)から発光される青色光が、十分に黄色光に変更されず、白色光の白色性が低下する場合があり、上記範囲を超過すると、色目の角度依存性に劣り、かつ、コストが上昇する場合がある。
【0325】
なお、上記した封止用シート1は、略矩形状に形成されたが、これに制限されず、必要に応じて適宜変更することができる。具体的には、略円柱形状、略テーパ状円柱形状(上部が先細り形状)などに形成することもできる。
【0326】
次に、封止用シート1を用いて、光半導体素子の一例としての発光ダイオード11を封止して、光半導体素子装置の一例としてのLED装置2を製造する方法について、図3を参照して説明する。
【0327】
この方法では、まず、図3(a)に示すように、封止用シート1と、基板14とを用意する。
【0328】
基板14は、封止用シート1より大きい略平板形状に形成されている。
【0329】
また、基板14には、その上面に形成される端子(図示せず)と、中央部分に実装される発光ダイオード11と、発光ダイオード11と端子(図示せず)とを電気的に接続するワイヤ12とが備えられている。なお、基板14には、必要により、発光ダイオード11を複数個実装することもできる。
【0330】
発光ダイオード11は、例えば、青色光を発光できる光半導体素子であって、断面略矩形状に形成されている。
【0331】
また、発光ダイオード11およびワイヤ12は、外力や成形時の圧力により破損することを防止するために、ポッテイング樹脂組成物13により保護(被覆)することもできる。
【0332】
ポッテイング樹脂組成物13としては、光半導体素子の封止に用いられる公知の樹脂組成物であれば、特に制限されず、例えば、上記した封止用樹脂組成物と同様の樹脂組成物が挙げられる。
【0333】
このようなポッテイング樹脂組成物13は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0334】
また、このようなポッテイング樹脂組成物13のなかでは、耐久性、耐熱性および耐光性の観点から、好ましくは、上記したシリコーン樹脂組成物が挙げられる。
【0335】
このようなポッテイング樹脂組成物13の使用量は、発光ダイオード11およびワイヤ12を被覆できれば、特に制限されないが、例えば、2〜20mg、好ましくは、3〜10mgである。
【0336】
ポッテイング樹脂組成物13の使用量が20mgを超過すると、封止用シート1により、発光ダイオード11およびワイヤ12が封止された際に、封止樹脂層7の成形不良を生じる場合がある。また、ポッテイング樹脂組成物13の使用量が2mg未満であると、発光ダイオード11およびワイヤ12を十分に被覆できない場合がある。
【0337】
なお、ポッテイング樹脂組成物13には、必要に応じて、充填剤(無機粒子)を適宜の割合で添加することができる。
【0338】
充填剤(無機粒子)としては、例えば、上記した充填剤が挙げられる。
【0339】
このような充填剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0340】
そして、図3(a)に示すように、用意した基板14の上側に、封止用シート1を配置する。
【0341】
詳しくは、封止用シート1の封止樹脂層7と、基板14に実装された発光ダイオード11とが、上下方向において対向するように配置する。
【0342】
次いで、図3(b)に示すように、封止用シート1を基板14に貼着して、発光ダイオード11およびワイヤ12を封止する。
【0343】
詳しくは、封止用シート1が所定条件で平板プレスされることにより、発光ダイオード11およびワイヤ12が封止用シート1により被覆され、封止用シート1は、発光ダイオード11および基板14と接着する。
【0344】
プレス条件としては、温度が、例えば、80〜220℃、好ましくは、100〜200℃であり、圧力が、例えば、0.01〜1MPa、好ましくは、0.01〜0.5MPaである。
【0345】
このとき、発光ダイオード11およびワイヤ12は、封止樹脂層7中に収容される。
【0346】
なお、図3(b)においては、封止用シート1は、所定条件で平板プレスされ、発光ダイオード11および基板14と接着されているが、これに限定されず、例えば、図4に示すように、所定条件で金属金型を押し付けて(図4(a)参照)、封止用シート1を所定形状(例えば、側面視略五角形状)に成形しつつ(図4(b)参照)、発光ダイオード11および基板14と接着させることもできる。
【0347】
次いで、封止用シート1の封止樹脂層7が熱硬化性樹脂からなる場合、封止樹脂層7を、所定条件において硬化させ、封止用シート1を封止層10として形成する。
【0348】
硬化条件は、上記した封止樹脂層7の熱硬化性樹脂が完全硬化する条件であって、封止用樹脂組成物が、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物である場合、付加反応(ヒドロシリル化反応)が進行する条件であり、封止用樹脂組成物が、ヘテロ原子含有変性シリコーン樹脂組成物である場合には、それらの反応が完全に進行する条件である。
【0349】
具体的には、加熱温度が、例えば、80〜200℃、好ましくは、100〜180℃、加熱時間が、例えば、1〜30分間、好ましくは、1〜10分間である。
【0350】
次いで、離型シート9を剥離する。
【0351】
以上によって、封止用シート1により、発光ダイオード11が封止されたLED装置2が作製される。
【0352】
また、封止樹脂層7が熱硬化性樹脂からなる場合、発光ダイオード11と、発光ダイオード11を封止する封止層10とを備えるLED装置2が作製される。
【0353】
なお、LED装置2では、離型シート9を剥離する前に、平板プレスにより加圧成型して、封止用シート1と、発光ダイオード11および基板14とを接着しているが、これに限定されず、例えば、離型シート9が剥離された後に、平板プレスまたは金属金型により加圧成型して、発光ダイオード11および基板14と接着させた後、離型シート9を剥離することもできる。
【0354】
封止用シート1では、バリア層6および蛍光体層5が積層される波長変換層8が、封止樹脂層7に積層されている。詳しくは、封止樹脂層7にバリア層6が積層され、バリア層6に蛍光体層5が積層されている。
【0355】
そのため、封止用シート1により、発光ダイオード11を封止したLED装置2では、発光に伴ない発光ダイオード11および蛍光体層5が発熱しても、バリア層6により、封止樹脂層7中の残存モノマー(未反応液状樹脂)のブリードを抑制することができる。その結果、LED装置2の美観性の向上を図ることができる。
【0356】
また、上記した封止用シート1では、封止樹脂層7にバリア層6を積層し、バリア層6に蛍光体層5を積層したが、図5に示すように、封止樹脂層7に蛍光体層5を積層し、蛍光体層5にバリア層6を積層することもできる。
【0357】
これによっても、上記した封止用シート1と同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0358】
以下に、調製例、実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何らそれらに限定されない。
<蛍光体含有樹脂組成物の調製>
調製例1
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(LR7665、旭化成ワッカーシリコーン社製)のA液(エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサン)と、B液(オルガノハイドロジェンシロキサン)とを混合した混合溶液(混合比率(A/B)=1/1)74gに、YAG:Ce26gを混合し、1時間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0359】
これにより、蛍光体含有樹脂組成物を調製した(蛍光体濃度26質量%)。
<封止用樹脂組成物の調製>
調製例2
(封止用樹脂組成物Aの調製)
40℃に加温したシラノール基両末端ポリジメチルシロキサン(シラノール基両末端ポリシロキサン、一般式(1)中、Rがすべてメチル、nの平均が155、数平均分子量11,500、シラノール基当量0.174mmol/g)2031g(0.177モル)に対して、ビニルトリメトキシシラン(エチレン系ケイ素化合物)15.76g(0.106モル)、および、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(エポキシ基含有ケイ素化合物)2.80g(0.0118モル)とを配合して、攪拌混合した。
【0360】
なお、ビニルトリメトキシシランおよび(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランのSiOCH基に対する、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサンのSiOH基のモル比(SiOH基のモル数/SiOCH基の総モル数)は、1/1であった。
【0361】
攪拌混合後、水酸化テトラメチルアンモニウムのメタノール溶液(縮合触媒、濃度10質量%)0.97mL(0.766g、触媒含量:0.88ミリモル、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン100モルに対して0.50モルに相当)を加え、40℃で1時間撹件した。得られた混合物(オイル)を40℃の減圧下(10mmHg)で、1時間撹挫しながら、揮発分(メタノールなど)を除去した。
【0362】
その後、系を常圧に戻した後、反応物に、オルガノハイドロジェンシロキサン(信越化学工業社製、平均分子量2,000、ヒドロシリル基当量7.14mmol/g)44.5g(0.022モル)を加え、40℃で1時間攪拌した。
【0363】
なお、オルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)に対する、ビニルトリメトキシシランのビニル基(CH=CH−)のモル比(CH=CH−/SiH)は、1/3であった。
【0364】
その後、系に、白金−カルボニル錯体のシロキサン溶液(付加触媒、白金濃度2質量%)0.13g(0.13mL、白金含量2質量%、白金として、オルガノハイドロジェンシロキサン100質量部に対して5.8×10−3質量部に相当)を加えて、40℃で10分間攪拌して、混合物(オイル)を得た。
【0365】
次いで、その混合物(オイル)90gに対して、充填剤A(二酸化ケイ素、商品名:FB−3SDC、電気化学工業社製、平均粒子径3.4μm)10gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0366】
これにより、封止用樹脂組成物Aを調製した(充填剤含有量10質量%)。
【0367】
調製例3
(封止用樹脂組成物Bの調製)
両末端シラノール型シリコーンオイル(商品名:KF−9701、信越化学工業社製、平均分子量3000)600g(0.200モル)、および、アルミニウムイソプロポキシド8.22g(40.2モル)を、室温(25℃)において、24時間攪拌混合して、混合物を調製した。
【0368】
次いで、得られた混合物を遠心分離して、不溶物を除去し、減圧下、50℃において、2時間濃縮して、ポリアルミノシロキサンオイルを得た。
【0369】
次いで、得られたポリアルミノシロキサンオイル100質量部に対して、メタクリル型シランカップリング剤(商品名:KBM−503、信越化学工業社製)10質量部を添加して、減圧下、80℃において、10分間攪拌した。
【0370】
次いで、そのポリアルミノシロキサンオイル90gに対して、充填剤A(二酸化ケイ素、商品名:FB−3SDC、電気化学工業社製、平均粒子径3.4μm)10gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0371】
これにより、封止用樹脂組成物Bを調製した(充填剤含有量10質量%)。
【0372】
調製例4
調製例2における上記混合物(オイル)80gに対して、充填剤D(シリコーン樹脂微粒子(ポリメチルシルセスキオキサン粒子)、商品名:トスパール 2000B、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、平均粒子径6.0μm)20gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0373】
これにより、封止用樹脂組成物Cを調製した(充填剤含有量20質量%)。
【0374】
調製例5
調製例2における上記混合物(オイル)70gに対して、充填剤D(シリコーン樹脂微粒子(ポリメチルシルセスキオキサン粒子)、商品名:トスパール 2000B、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、平均粒子径6.0μm)30gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0375】
これにより、封止用樹脂組成物Dを調製した(充填剤含有量30質量%)。
【0376】
調製例6
調製例2における上記混合物(オイル)50gに対して、充填剤D(シリコーン樹脂微粒子(ポリメチルシルセスキオキサン微粒子)、商品名:トスパール 2000B、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、平均粒子径6.0μm)50gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0377】
これにより、封止用樹脂組成物Eを調製した(充填剤含有量50質量%)。
【0378】
調製例7
充填剤D20gに代えて、充填剤E(シリコーン樹脂微粒子(ポリメチルシルセスキオキサン微粒子)、商品名:トスパール 145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、平均粒子径4.5μm)20gを用いた点以外は、調製例4と同様にして、封止用樹脂組成物Fを調製した(充填剤含有量20質量%)。
【0379】
調製例8
充填剤D20gに代えて、充填剤F(シリコーン樹脂微粒子(ポリメチルシルセスキオキサン微粒子)、商品名:シリコーンパウダーKMP590、信越化学工業社製、平均粒子径2.0μm)20gを用いた点以外は、調製例4と同様にして、封止用樹脂組成物Gを調製した(充填剤含有量20質量%)。
【0380】
調製例9
充填剤D20gに代えて、充填剤G(シリコーン樹脂微粒子(ポリメチルシルセスキオキサン微粒子)、商品名:シリコーンパウダーMSP−N050、日興リカ社製、平均粒子径0.5μm)20gを用いた点以外は、調製例4と同様にして、封止用樹脂組成物Hを調製した(充填剤含有量20質量%)。
【0381】
調製例10
充填剤D20gに代えて、充填剤H(シリコーン樹脂微粒子(ポリメチルシルセスキオキサン微粒子)、商品名:シリコーンパウダーMSP−N080、日興リカ社製、平均粒子径0.8μm)20gを用いた点以外は、調製例4と同様にして、封止用樹脂組成物Iを調製した(充填剤含有量20質量%)。
【0382】
調製例11
調製例2における上記混合物(オイル)に対して、充填剤を添加しなかった点以外は、調製例2と同様にして、封止用樹脂組成物Jを調製した(充填剤含有量0質量%)。
<透光性樹脂組成物の調製>
調製例12
(透光性樹脂組成物aの調製)
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(商品名:KER−2500、信越化学工業社製、ジメチルシロキサン誘導体)のA液とB液とを1/1で混合して混合液を調製した。
【0383】
次いで、混合液90gに対して、充填剤A(二酸化ケイ素、商品名:FB−3SDC、電気化学工業社製、平均粒子径3.4μm)10gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0384】
これにより、透光性樹脂組成物aを調製した(充填剤含有量10質量%)。
【0385】
調製例13
(透光性樹脂組成物bの調製)
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(商品名:KER−2500、信越化学工業社製、ジメチルシロキサン誘導体)のA液とB液とを1/1で混合して混合液を調製した。
【0386】
次いで、混合液90gに対して、充填剤A(二酸化ケイ素、商品名:FB−3SDC、電気化学工業社製、平均粒子径3.4μm)10g、および充填剤B(二酸化ケイ素、商品名:AEROSIL R976S、アエロジル社製、平均粒子径7nm)5gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0387】
これにより、透光性樹脂組成物bを調製した(充填剤含有量14.2質量%)。
【0388】
調製例14
(透光性樹脂組成物cの調製)
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(商品名:KER−2500、信越化学工業社製、ジメチルシロキサン誘導体)のA液とB液とを1/1で混合して混合液を調製した。
【0389】
次いで、混合液50gに対して、充填剤C(二酸化ケイ素、商品名:FB−40S、電気化学工業社製、平均粒子径40μm)50gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0390】
これにより、透光性樹脂組成物cを調製した(充填剤含有量50質量%)。
【0391】
調製例15
(透光性樹脂組成物dの調製)
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(商品名:KER−2500、信越化学工業社製、ジメチルシロキサン誘導体)のA液とB液とを1/1で混合して混合液を調製した。
【0392】
次いで、混合液100gに対して、充填剤B(二酸化ケイ素、商品名:AEROSIL R976S、アエロジル社製、平均粒子径7nm)5g、および充填剤C(二酸化ケイ素、商品名:FB−40S、電気化学工業社製、平均粒子径40μm)100gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0393】
これにより、透光性樹脂組成物dを調製した(充填剤含有量51.2質量%)。
【0394】
調製例16
(透光性樹脂組成物eの調製)
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(商品名:LR−7665、旭化成ワッカー社製、ジメチルシロキサン誘導体)のA液とB液とを1/1で混合して混合液を調製した。
【0395】
次いで、混合液90gに対して、充填剤A(二酸化ケイ素、商品名:FB−3SDC、電気化学工業社製、平均粒子径3.4μm)10gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0396】
これにより、透光性樹脂組成物eを調製した(充填剤含有量10質量%)。
【0397】
調製例17
(透光性樹脂組成物fの調製)
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(商品名:LR−7665、旭化成ワッカー社製、ジメチルシロキサン誘導体)のA液とB液とを1/1で混合して混合液を調製した。
【0398】
次いで、混合液90gに対して、充填剤A(二酸化ケイ素、電気化学工業社製、商品名:FB−3SDC、平均粒子径3.4μm)10g、および、充填剤B(二酸化ケイ素、アエロジル社製、商品名:AEROSIL R976S、平均粒子径7nm)5gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0399】
これにより、透光性樹脂組成物fを調製した(充填剤含有量14.2質量%)。
【0400】
調製例18
(透光性樹脂組成物gの調製)
還流器、滴下ロートを備えた反応容器に、コロイダルシリカ30.0g(商品名:スノーテックスOS、日産化学社製、固形分濃度20質量%、平均粒子径8〜10nm)、2−プロパノール30.0g、2−メトキシエタノール6.0gを添加した。次いで、濃硝酸を加え、pHを2.5〜3.3の範囲に調整した。反応容器を70℃に昇温し、アルコキシシリル基含有ポリメチルシルセスキオキサン(商品名:X−40−9225、信越化学工業社製、メトキシシリル基含有量24質量%)50.0gを、2−プロパノール50gに溶解したポリメチルシルセスキオキサン溶液を、滴下ロートを用いて1時間かけて滴下した。次いで、アルコキシシリル基含有ポリメチルシロキサン(商品名:X−40−9246、信越化学工業社製、メトキシシリル基含有量12質量%)70gを、2−プロパノール70gに溶解したポリメチルシロキサン溶液を、滴下ロートを用いて1時間かけて滴下した。滴下後、100℃において、1時間加熱攪拌し、反応させた。反応終了後、減圧下において、低沸分を留去したのち、トルエン120gを添加し、再度100℃において、1時間加熱攪拌した。そして、室温に冷却し、トルエン溶媒を留去した。留去後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0401】
これにより、シリカ微粒子を含有する粘性液体である透光性樹脂組成物gを調製した。
【0402】
調製例19
(透光性樹脂組成物hの調製)
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(商品名:LR−7665、旭化成ワッカー社製、ジメチルシロキサン誘導体)のA液とB液とを1/1で混合して混合液を調製した。
【0403】
次いで、混合液80gに対して、充填剤D(シリコーン樹脂微粒子(ポリメチルシルセスキオキサン微粒子)、商品名:トスパール 2000B、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、平均粒子径6.0μm)20gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0404】
これにより、透光性樹脂組成物hを調製した(充填剤含有量20質量%)。
【0405】
調製例20
(透光性樹脂組成物iの調製)
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(商品名:LR−7665、旭化成ワッカー社製、ジメチルシロキサン誘導体)のA液とB液とを1/1で混合して混合液を調製した。
【0406】
次いで、混合液70gに対して、充填剤D(シリコーン樹脂微粒子(ポリメチルシルセスキオキサン微粒子)、商品名:トスパール 2000B、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、平均粒子径6.0μm)30gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0407】
これにより、透光性樹脂組成物iを調製した(充填剤含有量30質量%)。
【0408】
調製例21
(透光性樹脂組成物jの調製)
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(商品名:LR−7665、旭化成ワッカー社製、ジメチルシロキサン誘導体)のA液とB液とを1/1で混合して混合液を調製した。
【0409】
次いで、混合液50gに対して、充填剤D(シリコーン樹脂微粒子(ポリメチルシルセスキオキサン微粒子)、商品名:トスパール 2000B、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、平均粒子径6.0μm)50gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0410】
これにより、透光性樹脂組成物jを調製した(充填剤含有量50質量%)。
【0411】
調製例22
(透光性樹脂組成物kの調製)
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(商品名:LR−7665、旭化成ワッカー社製、ジメチルシロキサン誘導体)のA液とB液とを1/1で混合して混合液を調製した。
【0412】
次いで、混合液80gに対して、充填剤E(シリコーン樹脂微粒子(ポリメチルシルセスキオキサン微粒子)、商品名:トスパール 145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、平均粒子径4.5μm)20gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0413】
これにより、透光性樹脂組成物kを調製した(充填剤含有量20質量%)。
【0414】
調製例23
(透光性樹脂組成物lの調製)
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(商品名:LR−7665、旭化成ワッカー社製、ジメチルシロキサン誘導体)のA液とB液とを1/1で混合して混合液を調製した。
【0415】
次いで、混合液80gに対して、充填剤F(シリコーン樹脂微粒子(ポリメチルシルセスキオキサン微粒子)、商品名:シリコーンパウダーKMP590、信越化学工業社製、平均粒子径2.0μm)20gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0416】
これにより、透光性樹脂組成物lを調製した(充填剤含有量20質量%)。
【0417】
調製例24
(透光性樹脂組成物mの調製)
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(商品名:LR−7665、旭化成ワッカー社製、ジメチルシロキサン誘導体)のA液とB液とを1/1で混合して混合液を調製した。
【0418】
次いで、混合液80gに対して、充填剤G(シリコーン樹脂微粒子(ポリメチルシルセスキオキサン微粒子)、商品名:シリコーンパウダーMSP−N050、日興リカ社製、平均粒子径0.5μm)20gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0419】
これにより、透光性樹脂組成物mを調製した(充填剤含有量20質量%)。
【0420】
調製例25
(透光性樹脂組成物nの調製)
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(商品名:LR−7665、旭化成ワッカー社製、ジメチルシロキサン誘導体)のA液とB液とを1/1で混合して混合液を調製した。
【0421】
次いで、混合液80gに対して、充填剤H(シリコーン樹脂微粒子(ポリメチルシルセスキオキサン微粒子)、商品名:シリコーンパウダーMSP−N080、日興リカ社製、平均粒子径0.8μm)20gを添加し、室温(20℃)において10分間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
【0422】
これにより、透光性樹脂組成物nを調製した(充填剤含有量20質量%)。
【0423】
実施例1
ポリエステルフィルム(商品名:SS4C、ニッパ社製、厚み50μm)製の離型シート(図2(a)参照)の上面に、調製例1の蛍光体含有樹脂組成物を、厚み100μmに塗工し、100℃で10分間乾燥することにより、離型シート上に蛍光体層を形成した(図2(b)参照)。
【0424】
次いで、調製例12の透光性樹脂組成物aを、蛍光体層の上面に、厚み500μmに塗工し、150℃で10分間乾燥することにより、蛍光体層上にバリア層を形成した(図2(c)参照)。
【0425】
このようなバリア層の弾性率は、8.2MPaであった。
【0426】
なお、弾性率は、引張試験機(島津製作所社製、オートグラフAGS-J)により測定した。
【0427】
次いで、調製例2の封止用樹脂組成物Aを、バリア層の上面に、厚み500μmに塗工し、105℃で9分間乾燥して、封止用樹脂組成物Aを半硬化状態とすることで、バリア層上に封止樹脂層を形成した(図2(d)参照)。
【0428】
以上により、封止用シートを調製した。
【0429】
次いで、封止用シートを、発光ダイオードを搭載した基板に対して、封止樹脂層が発光ダイオードに対向するように配置した(図3(a)参照)。そして、金属平板により、160℃、5分間、0.1MPaのプレス条件において、封止用シートをプレスして、封止用シートを発光ダイオードおよび基板に圧着させた(図3(b)参照)。
【0430】
これによって、封止樹脂層を硬化させて、封止層を形成し、発光ダイオードを封止した。次いで、離型シートを剥離した(図3(c)参照)。
【0431】
以上により、LED装置を作製した。
【0432】
実施例2
調製例12の透光性樹脂組成物aに代えて、調製例13の透光性樹脂組成物bを用いた点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0433】
なお、バリア層の弾性率は、10.7MPaであった。
【0434】
実施例3
調製例12の透光性樹脂組成物aに代えて、調製例14の透光性樹脂組成物cを用いた点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0435】
なお、バリア層の弾性率は、8.8MPaであった。
【0436】
実施例4
調製例12の透光性樹脂組成物aに代えて、調製例15の透光性樹脂組成物dを用いた点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0437】
なお、バリア層の弾性率は、15MPaであった。
【0438】
実施例5
調製例12の透光性樹脂組成物aに代えて、調製例16の透光性樹脂組成物eを用いた点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0439】
なお、バリア層の弾性率は、2.5MPaであった。
【0440】
実施例6
調製例12の透光性樹脂組成物aに代えて、調製例17の透光性樹脂組成物fを用いた点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0441】
なお、バリア層の弾性率は、3.7MPaであった。
【0442】
実施例7
調製例12の透光性樹脂組成物aを、蛍光体層の上面に、厚み300μmに塗工した点、調製例2の封止用樹脂組成物Aを、バリア層の上面に、厚み700μmに塗工した点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0443】
なお、バリア層の弾性率は、8.2MPaであった。
【0444】
実施例8
調製例2の封止用樹脂組成物Aを、バリア層の上面に、厚み1,000μmに塗工した点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0445】
なお、バリア層の弾性率は、8.2MPaであった。
【0446】
実施例9
調製例12の透光性樹脂組成物aを、蛍光体層の上面に、厚み1,000μmに塗工した点、以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0447】
なお、バリア層の弾性率は、8.2MPaであった。
【0448】
実施例10
ポリエステルフィルム(商品名:SS4C、ニッパ社製、厚み50μm)製の離型シートの上面に、調製例1の蛍光体含有樹脂組成物を、厚み100μmに塗工し、100℃で10分間乾燥することにより、離型シート上に蛍光体層を形成した。
【0449】
別途、調製例18の透光性樹脂組成物gを、ポリエステルフィルム(商品名:SS4C、ニッパ社製、厚み50μm)製の離型シートの上面に、厚み200μmに塗工し、100℃で30分間乾燥し、さらに、200℃で1時間乾燥することにより、離型シート上にバリア層を形成した。バリア層の弾性率は、146MPaであった。
【0450】
次いで、蛍光体層上に、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(信越化学工業社製、商品名:KER−2500、ジメチルシロキサン誘導体)のA液とB液とを1/1で混合して混合液を調製した。その混合液を、厚み10μm以下となるように塗工し、その上に、離型シートを剥離したバリア層を貼り合わせた。次いで、150℃で10分間乾燥させることにより、蛍光体層とバリア層とから形成される波長変換層を得た。
【0451】
次いで、波長変換層のバリア層上に、調製例2の封止用樹脂組成物Aを厚み800μmに塗工し、105℃で9分間乾燥して、封止用樹脂組成物Aを半硬化状態とすることで、封止用シートを作製した。
【0452】
次いで、実施例1と同様にして、LED装置を作製した。
【0453】
実施例11
調製例1の蛍光体含有樹脂組成物を、離型シートの上面に、厚み300μmに塗工した点、調製例18の透光性樹脂組成物gを、離型シートの上面に、厚み700μmに塗工した点以外は、実施例10と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0454】
なお、封止用シートの弾性率は、146MPaであった。
【0455】
実施例12
調製例2の封止用樹脂組成物Aに代えて、調製例3の封止用樹脂組成物Bを、バリア層の上面に、厚み500μmに塗工し、100℃で10分間乾燥した点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0456】
なお、バリア層の弾性率は、8.2MPaであった。
【0457】
実施例13
ポリエステルフィルム(商品名:SS4C、ニッパ社製、厚み50μm)製の離型シート(図2(a)参照)の上面に、調製例13の透光性樹脂組成物bを、厚み500μmに塗工し、150℃で10分間乾燥することにより、離型シート上にバリア層を形成した。バリア層の弾性率は、8.2MPaであった。
【0458】
次いで、調製例1の蛍光体含有樹脂組成物を、バリア層の上面に、厚み100μmに塗工し、100℃で10分間乾燥することにより、バリア層上に蛍光体層を形成した。
【0459】
次いで、調製例2の封止用樹脂組成物Aを、蛍光体層の上面に、厚み1,000μmに塗工し、105℃で9分間乾燥して、封止用樹脂組成物Aを半硬化状態とすることで、バリア層上に封止樹脂層を形成した。
【0460】
以上により、封止用シートを調製した(図5参照)。
【0461】
次いで、実施例1と同様にして、LED装置を作製した。
【0462】
実施例14
調製例12の透光性樹脂組成物aに代えて、調製例19の透光性樹脂組成物hを用いた点、および、調製例2の封止用樹脂組成物Aに代えて、調製例4の封止用樹脂組成物Cを用いた点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0463】
なお、バリア層の弾性率は、6.3MPaであった。
【0464】
実施例15
調製例12の透光性樹脂組成物aに代えて、調製例20の透光性樹脂組成物iを用いた点、および、調製例2の封止用樹脂組成物Aに代えて、調製例5の封止用樹脂組成物Dを用いた点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0465】
なお、バリア層の弾性率は、6.5MPaであった。
【0466】
実施例16
調製例12の透光性樹脂組成物aに代えて、調製例21の透光性樹脂組成物jを用いた点、および、調製例2の封止用樹脂組成物Aに代えて、調製例6の封止用樹脂組成物Eを用いた点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0467】
なお、バリア層の弾性率は、15.9MPaであった。
【0468】
実施例17
調製例12の透光性樹脂組成物aに代えて、調製例22の透光性樹脂組成物kを用いた点、および、調製例2の封止用樹脂組成物Aに代えて、調製例7の封止用樹脂組成物Fを用いた点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0469】
なお、バリア層の弾性率は、5.9MPaであった。
【0470】
実施例18
調製例12の透光性樹脂組成物aに代えて、調製例23の透光性樹脂組成物lを用いた点、および、調製例2の封止用樹脂組成物Aに代えて、調製例8の封止用樹脂組成物Gを用いた点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0471】
なお、バリア層の弾性率は、8.3MPaであった。
【0472】
実施例19
調製例12の透光性樹脂組成物aに代えて、調製例24の透光性樹脂組成物mを用いた点、および、調製例2の封止用樹脂組成物Aに代えて、調製例9の封止用樹脂組成物Hを用いた点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0473】
なお、バリア層の弾性率は、4.5MPaであった。
【0474】
実施例20
調製例12の透光性樹脂組成物aに代えて、調製例25の透光性樹脂組成物nを用いた点、および、調製例2の封止用樹脂組成物Aに代えて、調製例10の封止用樹脂組成物Iを用いた点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0475】
なお、バリア層の弾性率は、4.6MPaであった。
【0476】
比較例1
バリア層を設けなかった点、調製例2の封止用樹脂組成物Aを、蛍光体層の上面に、厚み1,000μmに塗工した点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。つまり、比較例1の封止用シートは、封止樹脂層と、封止樹脂層に積層される蛍光体層のみから形成される。
【0477】
比較例2
調製例12の透光性樹脂組成物aを、蛍光体層の上面に、厚み100μmに塗工した点、調製例2の封止用樹脂組成物Aを、バリア層の上面に、厚み900μmに塗工した点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0478】
なお、バリア層の弾性率は、8.2MPaであった。
【0479】
比較例3
調製例12の透光性樹脂組成物aに代えて、調製例16の透光性樹脂組成物eを、蛍光体層の上面に、厚み100μmに塗工した点、調製例2の封止用樹脂組成物Aを、バリア層の上面に、厚み900μmに塗工した点以外は、実施例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0480】
なお、バリア層の弾性率は、2.5MPaであった。
【0481】
比較例4
調製例2の封止用樹脂組成物Aに代えて、調製例11の封止用樹脂組成物Jを用いた点以外は、比較例1と同様にして、封止用シートおよびLED装置を作製した。
【0482】
(評価)
1.液状樹脂の析出試験(ブリード試験)および形状変化試験
各実施例および各比較例のLED装置を、それぞれ85℃、85%相対湿度(RH)に設定された恒温恒湿槽内において、発光ダイオードに250mAの電流を流して、発光ダイオードを連続点灯させた。そして、下記の試験を実施した。
1)液状樹脂の析出試験(ブリード試験)
連続点灯開始後24時間後に、目視および光学顕微鏡により、LED装置の表面に液状樹脂のブリードが確認されないものを○、確認されたものを×と評価した。結果を表1に示す。
2)形状変化試験
連続点灯開始後24時間後に、目視により、LED装置の表面に形状変化が確認されないものを○、確認されたものを×と評価した。結果を表1に示す。
【0483】
2.輝度試験
各実施例および各比較例のLED装置における全光束の初期輝度を、発光ダイオードに250mAの電流を流して、輝度測定装置(大塚電子社製、MCPD9800)および積分球(大塚電子社製、ハーフムーン)により測定した。
【0484】
そして、比較例4におけるLED装置の輝度を、基準輝度(輝度ロス0%)として、各実施例および各比較例のLED装置の輝度ロス(%)を算出した。結果を表1に示す。
【0485】
【表1】

【符号の説明】
【0486】
1 封止用シート
2 LED装置
5 蛍光体層
6 バリア層
7 封止樹脂層
10 封止層
11 発光ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止樹脂層と、
前記封止樹脂層に積層される波長変換層とを備え、
前記波長変換層が、
透光性樹脂組成物から形成され、厚みが200μm〜1,000μmであるバリア層と、
蛍光体を含有する蛍光体層とが積層されてなることを特徴とする、封止用シート。
【請求項2】
前記透光性樹脂組成物が、シリコーン樹脂を含有することを特徴とする、請求項1に記載の封止用シート。
【請求項3】
前記バリア層の弾性率が、3MPa〜500MPaであることを特徴とする、請求項1または2に記載の封止用シート。
【請求項4】
前記バリア層が、前記封止樹脂層に積層されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の封止用シート。
【請求項5】
前記蛍光体層が、前記封止樹脂層に積層されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の封止用シート。
【請求項6】
光半導体素子と、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の封止用シートから形成され、前記光半導体素子を封止する封止層とを備えることを特徴とする、光半導体素子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−21284(P2013−21284A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228921(P2011−228921)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】