説明

射出延伸ブロー成形物品およびそこで使用するためのポリマー

射出延伸ブロー成形(ISBM)物品およびそれを形成する方法がこの明細書では述べられている。このISBM物品は、一般に、少なくとも1つがゴムの性質を有する、2つ以上の識別できる相を有するコポリマーとして規定される、プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーを含む。エチレン−プロピレンゴムなどのゴム相が機械的ブレンド、共重合または他の方法によりポリマーマトリックスの中に組み込まれ得る。この明細書で述べられている物品および方法において有用な耐衝撃コポリマーは、プロピレンのコポリマーと、約1.0パーセントから約15.0パーセントの1つ以上のコモノマーを含むことができる。このコモノマーはエチレンである。一つの具体的な態様においては、飲料もしくは乳製品の容器として有用であることができる本発明の物品は、不透明もしくは半不透明であることができ、改善された耐衝撃性を示し、ならびに以前に可能であったものよりも高い生産速度で製造可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般に、射出延伸ブロー成形における使用に適合させたポリマーに関する。特に、本発明明の態様は、射出延伸ブロー成形における使用に適合させたプロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
射出延伸ブロー成形(ISBM)用途向けにプロピレンをベースとするランダムコポリマーもしくはホモポリマーを使用する試みがなされてきた。しかしながら、ランダムコポリマーおよびホモポリマーから形成されるISBM物品は、特に低温において劣った落下衝撃強度を呈することができる。ISBM物品は冷蔵された食品および飲料の容器として良好な候補であるので、低温落下衝撃強度は望ましい特性である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それゆえ、改善された落下衝撃強度を有するISBM物品を製造するISBM製造方法の対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の態様は射出延伸ブロー成形(ISBM)物品を含む。
このISBM物品は、一般に、プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーを含む。
【0005】
本発明の態様は、約1dg/分から約150dg/分のメルトフローレート、23gの重量において少なくとも約160Nの最大の頂部負荷、および少なくとも約6フィートの低温落下耐衝撃性を呈するプロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーを含む半不透明性射出延伸ブロー成形(ISBM)飲料容器をさらに含む。
【0006】
態様は、プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーを準備すること、プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーをプリフォームに射出成形すること、およびプリフォームを物品に延伸ブローすることを含んでなる、射出延伸ブロー成形(ISBM)物品を形成する方法をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】耐衝撃コポリマーから形成されるISBM瓶の頂部負荷強度を図示する。
【図2】耐衝撃コポリマーから形成されるISBM瓶のバンパー圧縮強度を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
序論および定義
詳細な説明を提供する。添付のクレームの各々は、抵触の目的でクレーム中で特定されている種々の要素または制約の同等物を含むものとして認識される、別々の発明を定義する。文脈によって、「本発明」の下記のすべての参照は、いくつかの場合にはある特定の態様のみに言及し得る。他の場合には、「本発明」の参照は、クレームの必ずしもすべてでないが1つ以上で挙げられている主題事項に言及しているということが分かるであろう。本発明の各々は、具体的な態様、バージョン、および例を含めて下記でさらに詳細に説明されるが、本発明は、この特許中の情報を入手可能な情報および技術と合体すれば、当業者ならば本発明を作製し、使用することを可能とせしめる、これらの態様、バージョン、および例に限定されない。
【0009】
この明細書中で使用される種々の用語を下記に示す。クレームで使用される用語が下記
に定義されていない範囲において、用語は、印刷刊行物および出願時点で公開されている特許中で反映されている、当業者がその用語に与えた最も広い定義を与えられるべきである。さらに、特記しない限り、この明細書中で述べられているすべての化合物は置換もしくは非置換であり得、化合物の列挙はこれらの誘導体を含む。
【0010】
種々の範囲を下記にさらに挙げる。特記しない限り、終点は互換的でなければならないということが意図されているということを認識しなければならない。さらに、その範囲内の任意の点は、この明細書で開示されているものと考えられる。
【0011】
この明細書で使用される時、「低温」は、標準の冷蔵方法の典型的な温度の範囲を指し、数度の温度の違いは、落下衝撃試験など、試験の対象になっている現象には問題とならないということを意味する。ある環境においては、低温は、約0℃から約10℃(32°Fから50°F)の温度を含み得、それに対して他の環境においては、低温は、例えば約2℃から約8℃(35.6°Fから46.4°F)の温度を含み得る。この明細書で述べる低温落下衝撃試験の目的には、約4℃(39.2°F)の温度での試験が当業界では慣用的である。しかしながら、室温測定は、一般に、工程の温度の綿密なモニターを含まず、それゆえ、このような列挙は、この明細書で述べられている態様を任意の所定の温度範囲に結びつけることを意図しない。
【0012】
この明細書で使用される時、「不透明」は物品が可視光に対して不透過性であることを意味する。すなわち不透明物体は実質的にすべての可視光の透過を妨げる。「透過性」は、実質的にすべての可視光が物品を通過することを意味する。用語「半不透明」は、すべてではないが、一部の可視光が物品を通過することを意味する。
【0013】
本発明の態様は、一般に、ヘテロ相ポリマーと、射出延伸ブロー成形によりヘテロ相ポリマーから物品を形成する方法を含む。この明細書中で述べる時、用語「ヘテロ相」は、一般に、2つ以上の相を有するポリマーを指す。ポリマーマトリックスの中にゴム相を組み込むことは、一般に、耐衝撃性を改善する。結果として、ヘテロ相ポリマーは、この明細書中では耐衝撃コポリマー(ICP)とも呼ばれ得る。
【0014】
触媒系
オレフィンモノマーの重合に有用な触媒系は、当業者に既知のいかなる触媒系も含む。例えば、この触媒系は、例えばメタロセン触媒系、単一活性点触媒系、チーグラー・ナッタ触媒系またはこれらの組み合わせ物を含み得る。当業界で既知であるように、この触媒は以降の重合のために活性化されてもよく、担体材料と組み合わされても、されなくともよい。このような触媒系の簡潔な説明が下記に包含されているが、本発明の範囲をこのような触媒に限定するように意図されてるものではない。
【0015】
例えば、チーグラー・ナッタ触媒系は、一般に、例えば金属成分(例えば、触媒)と触媒担体、共触媒および/または1つ以上の電子供与体などの1つ以上のさらなる成分との組み合わせから形成される。
【0016】
メタロセン触媒は、一般に、π結合により遷移金属と配位した1つ以上のシクロペンタジエニル(Cp)基(置換もしくは非置換でもよく、各置換は同一もしくは異なる)を組み込んだ配位化合物として特徴付けられ得る。Cp上の置換基は、例えば線状、分岐もしくは環状のヒドロカルビル基であり得る。環状ヒドロカルビル基は、例えばインデニル、アズレニル、およびフルオレニル基を含む、他の隣接する環構造をさらに形成し得る。これらの隣接する環構造は、また、例えばCからC20ヒドロカルビル基などのヒドロカルビル基により置換されていてもよく、もしくは非置換であってもよい。
【0017】
重合方法
この明細書中で示すように、ポリオレフィン組成物の形成に触媒系が使用される。上述の、ならびに/もしくは当業者に既知である触媒系を作製したならば、この組成物を用いて種々の方法が実施され得る。重合工程で使用される装置、工程条件、反応物質、添加物、および他の材料は、形成されるポリマーの所望の組成および性質によって所定の工程中で変化する。このような方法は、例えば液相法、気相法、スラリー相法、バルク相法、高圧法またはこれらの組み合わせを含み得る(参照によりこの明細書中に組み込まれている、米国特許第5,525,678号;米国特許第6,420,580号;米国特許第6,380,328号;米国特許第6,359,072号;米国特許第6,346,586号;米国特許第6,340,730号;米国特許第6,339,134号;米国特許第6,300,436号;米国特許第6,274,684号;米国特許第6,271,323号;米国特許第6,248,845号;米国特許第6,245,868号;米国特許第6,245,705号;米国特許第6,242,545号;米国特許第6,211,105号;米国特許第6,207,606号;米国特許第6,180,735号、および米国特許第6,147,173号を参照のこと)。
【0018】
ある態様においては、上述の方法は、一般に、1つ以上のオレフィンモノマーを重合して、ポリマーを形成することを含む。このオレフィンモノマーは、例えばCからC30オレフィンモノマーまたはCからC12オレフィンモノマー(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテン、およびデセン)を含み得る。このモノマーは、例えばオレフィン系不飽和モノマー、CからC18ジオレフィン、共役もしくは非共役ジエン、ポリエン、ビニルモノマー、および環状オレフィンを含み得る。他のモノマーの非限定的な例は、例えばノルボルネン、ノルボナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、およびシクロペンテンを含み得る。形成されるポリマーは、例えばホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーを含み得る。
【0019】
溶液法の例は、参照によりこの明細書中に組み込まれている、米国特許第4,271,060号、米国特許第5,001,205号、米国特許第5,236,998号、および米国特許第5,589,555号で述べられている。
【0020】
気相重合法の1つの例は、循環ガス流(さもなくば、再循環流または流動化媒体として知られている)を重合熱により反応器中で加熱する連続的な循環系を含む。この熱は、反応器の外部の冷却系によりサイクルの別な部分において循環ガス流から除去される。1つ以上のモノマーを含有する循環ガス流は、反応性条件下で触媒の存在において流動床に連続的に循環され得る。循環ガス流は、一般に、流動床から取り出され、反応器の中に戻されて再循環される。同時に、ポリマー生成物を反応器から取り出し、新鮮なモノマーを添加して、重合されたモノマーを置き換えてもよい。気相法における反応器圧力は、例えば約100psigから約500psigまで、もしくは約200psigから約400psigまで、もしくは約250psigから約350psigまで変化し得る。気相法における反応器温度は、例えば約30℃から約120℃まで、もしくは約60℃から約115℃まで、もしくは約70℃から約110℃まで、もしくは約70℃から約95℃まで変化し得る。(例えば、参照によりこの明細書中に組み込まれている、米国特許第4,543,399号;米国特許第4,588,790号;米国特許第5,028,670号;米国特許第5,317,036号;米国特許第5,352,749号;米国特許第5,405,922号;米国特許第5,436,304号;米国特許第5,456,471号;米国特許第5,462,999号;米国特許第5,616,661号;米国特許第5,627,242号;米国特許第5,665,818号;米国特許第5,677,375号、および米国特許第5,668,228号を参照のこと)。
【0021】
スラリー相法は、一般に、固体、特に粒子状のポリマーの懸濁液を液体の重合媒体中で形成し、これにモノマーと、場合によっては水素を触媒と共に添加することを含む。懸濁液(希釈剤を含み得る)は、反応器から間歇的もしくは連続的に除去され得、ここで揮発性成分をポリマーから分離し、場合によっては蒸留後で反応器に再循環することができる。重合媒体において使用される液化希釈剤は、例えばCからCのアルカン(例えば、ヘキサンまたはイソブタン)を含み得る。使用される媒体は、一般に、重合条件下で液体であり、比較的不活性である。バルク相法は、バルク相法においては液体媒体が反応物質(例えば、モノマー)でもあるということを除いて、スラリー法のそれと類似している。しかしながら、方法は、例えばバルク法、スラリー法またはバルクスラリー法であり得る。
【0022】
具体的な態様においては、スラリー法またはバルク法は、1つ以上のループ反応器中で連続的に行われ得る。触媒は、例えば希釈剤中で生長ポリマー粒子の循環スラリーにより充填することができる反応器ループにスラリーとしてもしくは乾燥した自由流動性粉末として規則的に注入され得る。場合によっては、生成ポリマーの分子量制御のためなどに水素が工程に添加され得る。ループ反応器は、例えば約27バールから約50バールの、もしくは約35バールから約45バールの圧力、および約38℃から約121℃の温度に維持され得る。反応熱は、例えば二重ジャケット付きパイプまたは熱交換器などの当業者に既知のいかなる方法によってもループ壁から除去され得る。
【0023】
別法としては、例えば直列、並列もしくはこれらの組み合わせの攪拌反応器など、他のタイプの重合法が使用され得る。反応器から取り出した時、ポリマーは、例えば添加物の添加および/または押し出しなどのさらなる処理のためにポリマー回収系に受け渡され得る。
【0024】
本発明の態様は、一般に、ヘテロ相ポリマーと、それからISBM物品を形成する方法を含む。上述のように、ヘテロ相ポリマーは、一般に、2つ以上の相を含む。例えば、第1の相はポリプロピレンなどのホモポリマーを含み得る。特記しない限り、用語「ホモポリマー」は、主としてポリプロピレンなどのポリマーと、コモノマーが例えばポリマーの約0.5重量%未満、もしくは約0.3重量%未満、もしくは約0.1重量%未満を占める、エチレンなどの限定された量の他のコモノマーから構成されるポリマーを含む。
【0025】
第2の相は、一般に、好適な方法によりポリマーマトリックスの中に組み込まれたエチレン−プロピレンゴム(EPR)などのゴム相を含む。例えば、ゴム相は、例えば機械的ブレンドまたは共重合によりポリマーマトリックスの中に組み込まれ得る。この共重合法は、第1のポリマー、概ねホモポリマー(例えば、ポリプロピレン)が第1の反応域で生成され、その生成物がコモノマーおよびさらなるモノマー(例えば、プロピレン)との接触のために第2の反応域に移送されて、ヘテロ相コポリマーのゴム成分を生成する、少なくとも2段階を含み得る。
【0026】
ポリマー生成物
この明細書で述べられている方法により形成されるポリマー(およびこれらのブレンド)は、限定ではないが、例えば線状低密度ポリエチレン、エラストマー、プラストマー、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリプロピレンコポリマーを含み得る。
【0027】
特に表示しない限り、すべての試験方法は出願時点での使用されている方法である。
【0028】
1つ以上の態様においては、このポリマーはプロピレンをベースとするポリマーを含む。この明細書中で使用される時、用語「プロピレンをベースとする」は、用語「プロピレ
ンポリマー」もしくはポリプロピレン」と互換的に使用され、例えばポリマーの全重量に対して少なくとも約50重量%の、もしくは少なくとも約70重量%の、もしくは少なくとも約75重量%の、もしくは少なくとも約80重量%の、もしくは少なくとも約85重量%の、もしくは少なくとも約90重量%のポリプロピレンを有するポリマーを指す。
【0029】
このプロピレンをベースとするポリマーは、例えば約1.5から約20の、もしくは約2から約12の分子量分布(M/M)を有し得る。
【0030】
このプロピレンをベースとするポリマーは、例えば少なくとも約110℃の、もしくは約115℃から約175℃の融点(T)(DSCにより測定して)を有し得る。
【0031】
1つ以上の態様においては、このポリマーはプロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーを含む。特記しない限り、用語「プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマー」は、主としてプロピレンと、コモノマーが例えばポリマーの全重量に対して約1.0重量%から約15重量%の、もしくは約3.0重量%から約11重量%の、もしくは約5.0重量%から約10重量%の量で存在する、他のコモノマーから構成されるコポリマーを指す。このコモノマーはCからC10のアルケンから選択され得る。例えば、このコモノマーは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、およびこれらの組み合わせ物から選択され得る。一つの具体的な態様においては、このコモノマーはエチレンを含む。一つ以上の態様においては、このコモノマーはエチレンである。
【0032】
一つの以上の態様においては、このプロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーは、例えば少なくとも約1dg/分の、もしくは約1.5dg/分から約150dg/分の、もしくは約2dg/分から約30dg/分のメルトフローレートを有する。
【0033】
製品の用途
このポリマーとこれらのブレンドは、成形操作(例えば、フィルム、シート、パイプ、および繊維押し出し、および共押し出しならびにブロー成形、射出成形、および回転成形)など、当業者に既知の用途において有用である。フィルムは、例えば食品接触および非食品接触の用途における、収縮フィルム、食品包装用フィルム、延伸フィルム、シールフィルム、配向フィルム、スナック包装、重袋、野菜袋、焼いた食品および冷凍食品包装、医療用包装、工業用裏地、および膜として有用である、押し出しまたは共押し出しまたは積層により形成されるブロー、配向もしくはキャストフィルムを含む。繊維は、例えば袋、バッグ、ロープ、より糸、カーペット裏打ち、カーペット糸、フィルター、おむつ布、医療用着衣、およびジオテキスタイルを製造するために織布または不織布で使用される、スリットフィルム、モノフィラメント、溶融紡糸、溶液紡糸、およびメルトブロー繊維操作を含む。押し出し物品は、例えば医療用チューブ、電線電纜被覆品、シート、熱形成シート、ジオメンブラン、および池の中敷を含む。成形物品は、例えば瓶、タンク、大型中空物品、合成食品容器、および玩具の形の多層および多層構造品を含む。
【0034】
一つ以上の態様において、このポリマーは、ISBM物品の形成に射出延伸ブロー成形(ISBM)法で使用される。ISBM物品は、例えば薄壁の瓶および他のタイプの容器を含み得る。ISBM物品はいかなる好適な方法によっても形成され得る。例えば、ISBM法は、例えばポリマーをプリフォームに射出成形すること、プリフォームを再加熱すること、および引き続いてプリフォームを所望の最終の形に延伸ブローすることを含み得る。
【0035】
一つ以上の態様においては、プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーは、上述のようにISBM物品の形成に使用される。
【0036】
一つ以上の態様においては、ISBM物品は冷蔵された物品である。一つ以上の態様においては、冷蔵された物品は冷蔵された飲料容器を含む。乳製品およびジュースは、例えば冷蔵された物品中の貯蔵、輸送、および販売可能な冷蔵された飲料の典型である。
【0037】
プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーから形成される冷蔵された物品は、冷蔵された物品に対する重要な性質である、改善された低温衝撃強度を呈する。約4フィート未満の最大の低温落下衝撃強度を有し得るランダムコポリマーから形成される冷蔵された物品に対比して、プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーから形成される冷蔵された物品は、例えば少なくとも約4フィートもしくは少なくとも約5フィートもしくは少なくとも約6フィートの低温落下衝撃強度(水平および垂直方向の両方を含めて)を呈する。
【0038】
一つ以上の態様においては、ISBM物品は不透明もしくは半不透明である。例えば、ISBM物品は、少なくとも約10%の、もしくは少なくとも約20%の、もしくは少なくとも約30%(ヘーズメーターにより測定して)のヘーズを呈し得る。
【0039】
ISBM物品内に入れられる多数の製品は、光敏感性(例えば、可視光または紫外光は製品により吸収され、潜在的に製品の分解を生じ得る)である。光敏感性は、光に暴露された時に栄養価を喪失し、望ましくない風味を獲得し得る冷蔵された製品に対して特に重要である。しかしながら、この明細書中で述べられているISBM物品のISBM不透明性(または半不透明性)は、光への暴露の結果としての製品の劣化を最少とする。
【0040】
一つ以上の態様においては、ISBM物品(例えば、23g)は、例えば少なくとも約140Nの、もしくは少なくとも約150Nの、もしくは少なくとも約160Nの最大の頂部負荷強度を呈し得る。
【0041】
一つ以上の態様においては、ISBM物品(例えば、23g)は、例えば少なくとも約70Nの、もしくは少なくとも約75Nの、もしくは少なくとも約80Nの最大のバンパー圧縮強度を呈し得る。
【実施例】
【0042】
ポリマー「A」は、TOTAL Petrochemicals USA,Inc.から市販されている、低MFR(1.3dg/分)の核形成されたポリプロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーのTOTAL Petrochemicals 4280Wを指す。
【0043】
ポリマー「B」は、10dg/分のMFRを有するプロピレンをベースとするランダムコポリマーであり、TOTAL Petrochemicals USA,Inc.から市販されている、TOTAL Petrochemicals 7525MZを指す。
【0044】
このポリマー試料を瓶に射出延伸ブロー成形(ISBM)した。このプリフォームを室温で少なくとも24時間コンディショニングし、その後ADS G62線形射出延伸ブロー成形機で瓶に延伸ブロー成形した。
【0045】
次に、この瓶を頂部負荷強度、バンパー圧縮強度、および落下衝撃強度について試験した。
【0046】
図1に図示するように、ポリマーAから形成されるISBM瓶は、2000個物品/時間の生産速度で約140N以上の、ならびに3000個物品/時間の生産速度で約160N以上の最大負荷の良好な頂部負荷強度を呈した。これらの値は、ポリマーBから形成さ
れる瓶に対する値に類似している。
【0047】
図2に図示するように、ポリマーAから形成されるISBM瓶は、2000個物品/時間および3000個物品/時間の各生産速度で約80N以上の最大負荷の良好なバンパー圧縮強度を呈した。これらの値は、ポリマーBから形成される瓶に対する値にも類似している。この頂部負荷強度およびバンパー圧縮強度の結果は、耐衝撃コポリマーが瓶の機械的性質の点でランダムコポリマーと同様の少なくとも良好な性能を示さなければならないということを示す。
【0048】
ポリマーAから形成されるISBM瓶は、ポリマーBから形成される瓶よりも著しく良好な低温(4℃)落下衝撃強度を呈した。ポリマーAから形成されるISBM瓶はすべて、垂直および水平の落下方向で6フィートまでの高さから落下させた場合に構造的な完全性を維持した。6フィートが落下衝撃試験装置の限界であったので、さらに高い落下衝撃強度の評点が期待される。対照的に、ポリマーBから形成される瓶は、4℃落下衝撃強度試験での標準の4フィートをほとんど合格しない。
【0049】
ポリマーAから形成される瓶は高度のヘーズまたは半不透明性を呈した。このことは、高透明性または透過性が所望される用途においては難点となる一方で、光から保護されるならば多くの製品が良好に貯蔵される。
【0050】
前出は本発明の態様に関するものであるが、本発明の他の態様およびさらなる態様は、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく案出され得、本発明の範囲は次に続くクレームにより決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーを含む、射出延伸ブロー成形(ISBM)物品。
【請求項2】
プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーがエチレンを含む、請求項1に記載のISBM物品。
【請求項3】
プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーが約15重量%までの1つ以上のコモノマーを含む、請求項2に記載のISBM物品。
【請求項4】
プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーが約1dg/分から約150dg/分のメルトフローレートを呈する、請求項1に記載のISBM物品。
【請求項5】
物品が不透明もしくは半不透明である、請求項1に記載のISBM物品。
【請求項6】
物品が飲料容器である、請求項1に記載のISBM物品。
【請求項7】
物品が乳製品容器である、請求項6に記載のISBM物品。
【請求項8】
物品が23gの重量において少なくとも約160Nの最大頂部負荷強度を呈する、請求項1に記載のISBM物品。
【請求項9】
物品が23gの重量において少なくとも約80Nの最大バンパー圧縮強度を呈する、請求項1に記載のISBM物品。
【請求項10】
物品が少なくとも約6フィートの低温落下耐衝撃性を呈する、請求項1に記載のISBM物品。
【請求項11】
約1dg/分から約150dg/分のメルトフローレート;23gの重量における少なくとも約160Nの最大頂部負荷強度;および少なくとも約6フィートの低温落下耐衝撃性を呈するプロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーを含む、半不透明性射出延伸ブロー成形(ISBM)飲料容器。
【請求項12】
プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーを準備すること;
プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーをプリフォームに射出成形すること;およびプリフォームを物品に延伸ブロー成形すること
を含んでなる、射出延伸ブロー成形(ISBM)物品を形成する方法。
【請求項13】
物品が1時間当り少なくとも約1000個の物品の生産速度で延伸ブロー成形される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
物品が1時間当り少なくとも約3000個の物品の生産速度で延伸ブロー成形される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーがエチレンを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーが約15重量%までのエチレンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
プロピレンをベースとする耐衝撃コポリマーが約1dg/分から約150dg/分までのメルトフローレートを呈する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
物品が乳製品容器である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
物品が不透明もしくは半不透明である、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−525157(P2011−525157A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514771(P2011−514771)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/047611
【国際公開番号】WO2009/155318
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】