説明

射出成形機のスクリュおよび射出成形機

【課題】超臨界状態の不活性流体を溶融樹脂に注入するとき、確実に所定の圧力以上に維持できる射出成形機のスクリュを提供する。
【解決手段】軸方向に分割可能な複数のスクリュピース(6a)からスクリュ(6)を構成する。スクリュピース(6a)に、加熱シリンダ(5)内を第1、2のエリア(A1、A2)に分離するシール(31)を設ける。スクリュピース(6a)内に、第1、2のエリア(A1、A2)を連通し、小径部(33e)を有する溶融樹脂流路(33)を設ける。スクリュピース(6a)の端面(37)からポペット格納穴(36)を明ける。ポペット格納穴(36)にポペット(35)と皿バネ(38)を挿入してリティナ(39)で締め付ける。小径部(33e)は皿バネ(38)によって付勢されたポペット頭部(35a)によって閉塞され、所定の圧力が作用すると開口する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱シリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられている射出成形機のスクリュと、このようなスクリュを備えた射出成形機に関するもので、限定するものではないが、表面改質物質が溶解した超臨界状態の二酸化炭素を加熱シリンダ内に注入して溶融樹脂に浸透・分散させ、加熱シリンダ内からガスを脱気して表面改質物質が浸透・分散した溶融樹脂を得て、そのような溶融樹脂を金型に射出して表面が改質された成形品を得る成形方法の実施に好適な射出成形機のスクリュと、このようなスクリュを備えた射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形により成形されるプラスチック成形品は、用途に応じてその表面に印刷、塗装等が施され、あるいは導電体や金属膜が形成される。または、成形品同士が接合されたり、その他の後加工が施される。このような後加工が施される場合には、加工性を向上させるために、プラスチック成形品の表面を活性化させる、いわゆる表面改質が実施されている。例えば、プラスチック成形品からなる電子機器の表面に金属導電膜を形成する手段として、無電解メッキ法が広く採用されている。しかし、無電解メッキ法を実施するには脱脂、エッチング、湿潤化、キャタリスト、アクセレータ等の複雑な前処理工程が必要でありコストが嵩んでしまうし、このような前処理工程においては有害物質を多く使わなければならないので、廃液の処理に費用がかかる。
そこで、射出成形を実施するだけで、表面全体、あるいは表面の選択された部分が改質された成形品を得ることができる射出成形方法が特許文献1によって提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4134194号公報
【0004】
特許文献1には、図3に示されているような射出成形機50が開示されている。この射出成形機50は、第1の射出ユニット51と、第2の射出ユニット52の2頭の射出ユニットから構成されている。第1の射出ユニット51は、外周部に複数枚のヒータが巻かれて温度を制御することができる第1の加熱シリンダ54、第1の加熱シリンダ54内で回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられている第1のスクリュ55等から構成されている。第1の加熱シリンダ54には、後方部寄りにホッパ59が設けられ、第1の加熱シリンダ54内に樹脂材料が供給されるようになっている。そして、第1の加熱シリンダ54の中央の所定の部分には超臨界状態の二酸化炭素を注入する注入装置61が、その前方には二酸化炭素を脱気する脱気装置62が、それぞれ設けられている。注入装置61は、金属錯体等の表面改質物質が溶解した超臨界状態の二酸化炭素を供給する供給装置64を備えており、弁装置65を操作すると表面改質物質が溶解した超臨界状態の二酸化炭素が第1の加熱シリンダ54内に注入されるようになっている。脱気装置62は、弁装置66、排気管67等から構成され、弁装置66を操作すると第1の加熱シリンダ54内で気化した二酸化炭素を排気管67を経由して外部に排気することができるようになっている。したがって、第1のスクリュ55を回転駆動して、ホッパ59から第1の加熱シリンダ54内に樹脂材料を供給すると、樹脂材料はヒータから与えられる熱と、第1のスクリュ55の回転による摩擦・剪断によって生じる熱とによって溶融されて前方に送られる。注入装置61から表面改質物質が溶解した超臨界状態の二酸化炭素を第1の加熱シリンダ54に注入すると、溶融樹脂中に浸透・分散する。溶融樹脂はさらに前方に送られて脱気装置62の近傍で減圧される。そうすると、溶融樹脂中に浸透・分散している超臨界状態の二酸化炭素が気化して脱気され、第1の加熱シリンダ54の前方に、表面改質物質が浸透・分散した溶融樹脂を計量することができる。
【0005】
第2の射出ユニット52は、ヒータが巻かれた第2の加熱シリンダ57と、第2の加熱シリンダ57内で回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられている第2のスクリュ58と、図3には示されていないホッパとから構成されている。したがって、従来周知のようにホッパから樹脂材料を供給すると樹脂材料は溶融され、第2の加熱シリンダ57の先端部に溶融樹脂を計量することができる。このような、第1、2の射出ユニット51、52の先端部は、内部に溶融樹脂の流路が設けられているサンドイッチノズル69に接続されている。このサンドイッチノズル69のノズル部は、金型71にタッチしている。サンドイッチノズル69内には、ロータリバルブ70が設けられている。
【0006】
前記射出成形機50において、既に説明したようにして、第1の射出ユニット51、すなわち第1の加熱シリンダ54の先端部に表面改質物質が浸透した溶融樹脂を計量する。次いで、第2の射出ユニット52、すなわち第2の加熱シリンダ57の先端部に溶融樹脂を計量する。ロータリバルブ70を回転して、第1の射出ユニット51から表面改質物質が浸透した溶融樹脂を所定量だけ射出する。そうすると、キャビティ72の表面に沿って溶融樹脂が流動して、スキン層が形成される。続いてロータリバルブ70を回転して第2の射出ユニット52から所定量の溶融樹脂を射出する。そうすると、コアが形成される。冷却固化を待って金型71を開くと表面が改質された成形品が得られることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の射出成形機50によっても、金属錯体等の表面改質物質が浸透・分散した樹脂からスキン層が形成されるので、すなわち、金型のスタンパの表面に表面改質物質が配置されるので、表面が改質されたプラスチック成形品が得られることになる。したがって、従来の無電解メッキ法で実施されているような複雑な前処理工程を要することなく、得られた成形品はそのまま無電解メッキすることができる。しかしながら、問題点、特に射出成形機に改良すべき問題点が認められる。具体的には、超臨界状態の二酸化炭素が注入される加熱シリンダにおいて、溶融樹脂の圧力を確実に高圧に維持することが困難であり、表面改質物質を溶融樹脂に確実に浸透・分散させることが保証できないという問題がある。特許文献1に記載の射出成形機50においては、表面改質物質が溶解した超臨界状態の二酸化炭素は、第1の加熱シリンダ54内の所定のエリア、すなわち、第1のスクリュ55の所定の2箇所の部分74、75に挟まれたエリアに注入される。このような2箇所の部分74、75においては、フライトの溝が比較的浅くなっているので、第1の加熱シリンダ54の内周面と第1のスクリュ55の外周面との間の溶融樹脂の厚さが薄くなって、ある程度のシール効果が得られる。したがって、このようなエリアの溶融樹脂の圧力は比較的高圧に維持することができる。しかしながら、溶融樹脂は、このような2箇所の部分74、75においても流動して前方に送られるようになっているので、シールの効果は必ずしも高いとは言えない。さらには、シールの効果は溶融樹脂の粘性抵抗、2箇所の部分74、75を流動する溶融樹脂の流速等に依存することになるので、異なる種類の樹脂材料を使用したりスクリュの回転速度、加熱シリンダの温度等の運転条件が異なる時には前記した2箇所の部分74、75において漏れが生じる恐れがあり、所望のシール効果が得られる保証がない。すなわち、エリア内の溶融樹脂が安定した高圧状態に維持される保証はない。このようなエリアに超臨界状態の二酸化炭素が注入されるとき、溶融樹脂の圧力が十分に高くないと、エリア内で二酸化炭素が気化して溶融樹脂から分離する。そうすると、表面改質物質が溶融樹脂に十分に浸透・分散しないのでムラになってしまい、所望の品質のスキン層が得られなくなる。さらには、十分に溶融樹脂に浸透できなかった表面改質物質が、気化した二酸化炭素と共に脱気装置62から外部に排出されるという問題もある。
【0008】
本発明は、上記したような問題点を解決した射出成形機のスクリュおよび射出成形機を提供することを目的としており、具体的には、樹脂材料の種類にかかわらず、あるいはスクリュの回転速度、加熱シリンダの温度等の運転条件にかかわらず、漏れが生じることがなく加熱シリンダ内の任意のエリアの溶融樹脂を所望の圧力に維持することができ、表面改質物質が溶解された超臨界状態の二酸化炭素を注入したときに、エリア内で二酸化炭素が気化・分離することなく、溶融樹脂に十分に浸透・分散させることができる射出成形機のスクリュおよびこのようなスクリュを備えた射出成形機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、加熱シリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュにおいて、その外周部に該加熱シリンダ内を第1、2のエリアに分離するシールを設ける。そしてスクリュ内部に第1のエリアと第2のエリアとを連通する溶融樹脂流路と、この流路を開閉するポペットとを設ける。このポペットは、スクリュ内に明けられている有底のポペット格納穴に所定のバネと共に格納する。溶融樹脂流路は、バネによって付勢されたポペットの頭部によって閉塞され、第1のエリアの溶融樹脂の圧力が所定値を越えると、ポペットの頭部がバネに抗して後退して開くように構成する。
【0010】
かくして、請求項1記載の発明は、上記目的を達成するために、加熱シリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられ、その外周部には前記加熱シリンダ内を第1、2のエリアに分離するシールが、その内部には前記第1のエリアと前記第2のエリアとを連通する溶融樹脂流路と該流路を開閉するポペットが設けられているスクリュであって、前記ポペットは、前記スクリュ内に明けられている有底のポペット格納穴に所定のバネと共に格納され、前記溶融樹脂流路は、前記バネによって付勢された前記ポペットの頭部によって閉塞され、前記第1のエリアの溶融樹脂の圧力が所定値を越えると、前記ポペットの頭部が前記バネに抗して後退して開くように構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスクリュにおいて、前記溶融樹脂流路内には小径部が、そして前記ポペットの頭部の端部には円錐部が形成され、前記溶融樹脂流路は、前記円錐部が前記小径部に着座することにより閉塞されるように構成される。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のスクリュにおいて、前記バネは、皿バネからなるように構成される。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかの項に記載のスクリュにおいて、前記スクリュは軸方向に分割可能な2個以上のスクリュピースから構成され、前記ポペット格納穴は、分割されたスクリュピースの端面から前記溶融樹脂流路に達するように明けられている軸方向の孔からなり、該孔の前記端面近傍の内周面には雌ネジが形成され、前記ポペットと前記バネは前記軸方向の孔に前記スクリュピースの端面の方から挿入され、そして前記雌ネジに螺合する雄ネジを有するリティナによって締め付けられるように構成される。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のスクリュにおいて、前記軸方向の孔に、所定の厚さのスペーサを挿入して前記バネのバネ力を調整できるように構成される。
【0011】
そして、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかの項に記載のスクリュと加熱シリンダとから構成され、前記加熱シリンダの前記第1のエリアに対応する所定の部位には、表面改質物質が溶解した超臨界状態の流体を前記加熱シリンダ内に注入する注入孔が明けられ、前記加熱シリンダの前記第2のエリアに対応する所定の部位には、ガスを脱気する脱気孔が明けられていることを特徴とする射出ユニットとして構成される。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の射出ユニットからなる第1の射出ユニットと、他の加熱シリンダと前記他の加熱シリンダ内で回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられている他のスクリュとから構成されている第2の射出ユニットとから構成され、前記第1の射出ユニットからスキン層用の溶融樹脂が、前記第2の射出ユニットからコア用の溶融樹脂が、それぞれ射出されるようになっていることを特徴とするサンドイッチ成形用の射出成形機として構成される。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によると、加熱シリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュには、その外周面に、加熱シリンダ内を第1、2のエリアに分離する所定のシールが設けられている。すなわち、シールによって遮断されるので、シールの部分においては漏れは生じない。また、スクリュの内部には、第1のエリアと第2のエリアとを連通する溶融樹脂流路と、この流路を開閉するポペットが設けられている。この溶融樹脂流路は、ポペットの頭部によって閉塞され、第1のエリアの溶融樹脂の圧力が所定値を越えると、ポペットの頭部が後退して開くように構成されているので、溶融樹脂はポペットが開いたときだけ第1のエリアから第2のエリアに流動することができ、ポペットの構造から溶融樹脂は一方向にのみ流動して逆流することもない。そしてポペットは、スクリュ内に明けられている有底のポペット格納穴に所定のバネと共に格納され、溶融樹脂流路は、バネによって付勢されたポペットの頭部によって閉塞されるようになっている。すなわち、ポペットを付勢して溶融樹脂流路を閉塞しているバネは、溶融樹脂流路内にではなくポペット格納穴に格納されているので、バネは溶融樹脂に晒されない。従って、バネに溶融樹脂が付着しないので、ポペットの頭部の押付力が変化することはなく、溶融樹脂の種類やスクリュの回転速度、加熱シリンダの温度等の運転条件が異なっても、ポペットが開放される溶融樹脂の圧力は一定に維持されることが保障される。つまり第1のエリアの溶融樹脂の圧力を確実に一定に維持することができ、超臨界状態の流体を注入しても、溶融樹脂の圧力が所定の圧力以下に低下しないことを保証することができ、第1のエリアで気化・分離することはなく、表面改質物質を溶融樹脂に確実に浸透・拡散させることができる。また、バネは溶融樹脂に晒されないので劣化したり腐食されることもなく、格別に耐摩耗材料や耐腐食材料から形成する必要もない。さらにはバネに溶融樹脂が付着することがないので、スクリュの分解および清掃も容易に実施することができる。そして、溶融樹脂流路内にはバネ等の障害物がないので、溶融樹脂が滞留する滞留部は形成されない。従って溶融樹脂の流動抵抗は小さくなり、溶融樹脂が劣化して発生する、いわゆる焼け・黒点などの成形不良も防止することができる。
【0013】
また他の発明によると、溶融樹脂流路内には小径部が、そしてポペットの頭部の端部には円錐部が形成され、溶融樹脂流路は円錐部が小径部に着座することにより閉塞されるようになっているので、溶融樹脂流路が開放される溶融樹脂の圧力は容易に計算することができる。あるいは第1のエリアの溶融樹脂の圧力を維持するために必要なバネ力は計算することができる。つまりポペットの頭部には小径部の断面積の大きさだけ溶融樹脂の圧力がかかるので、小径部の断面積に溶融樹脂の圧力を乗じたものが、バネ力を上回ったときに溶融樹脂流路が開放されることになる。従って、溶融樹脂流路が開放される溶融樹脂の圧力や必要なバネ力は容易に計算することができる。さらに他の発明によると、バネは皿バネからなるので、皿バネの向きを変更したり枚数を増減して、バネ力を容易に調整することができる。また他の発明によると、スクリュは軸方向に分割可能な2個以上のスクリュピースから構成され、ポペット格納穴は、分割されたスクリュピースの端面から溶融樹脂流路に達するように明けられている軸方向の孔からなるので、孔明けは容易である。そしてこの軸方向の孔の前記端面近傍の内周面には雌ネジが形成され、ポペットとバネは軸方向の孔にスクリュピースの端面の方から挿入され、そして雌ネジに螺合する雄ネジを有するリティナによって締め付けられているので、容易にスクリュを組み立てることが可能になる。従ってスクリュのメンテナンスが容易になる。さらに他の発明によると、軸方向の孔に、所定の厚さのスペーサを挿入してバネのバネ力を調整できるようになっているので、バネ力の調整はさらに容易にできる。
【0014】
また、他の発明によると、上記したようなスクリュと、加熱シリンダとから射出ユニットが構成され、加熱シリンダの第1のエリアに対応する所定の部分には、表面改質物質が溶解した超臨界流体を加熱シリンダ内に注入する注入孔が明けられ、加熱シリンダの第2のエリアに対応する所定の部分には、ガスを脱気する脱気孔が明けられているので、溶融樹脂に表面改質物質を確実かつ容易に浸透・分散させることができ、不要なガスを脱気することが可能になる。さらに、このような射出ユニットからなる第1の射出ユニットと、他の加熱シリンダと他のスクリュとからなる第2の射出ユニットとから構成され、第1の射出ユニットからスキン層用の溶融樹脂が、第2の射出ユニットからコア用の溶融樹脂が、それぞれ射出できるように構成されている射出成形機によると、コアは通常の樹脂から形成され、スキン層だけ表面改質された成形品を容易に得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る射出成形機を示す側面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る射出成形機のスクリュを構成しているスクリュピースの要部を示す側面断面図である。
【図3】従来の射出成形機を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る射出成形機1は、図1に示されているように、第1、2の射出ユニット2、3の2頭の射出ユニットから構成されており、第1の射出ユニット2からスキン層用の溶融樹脂を、第2の射出ユニット3からコア用の溶融樹脂を、それぞれ射出する、いわゆるサンドイッチ成形用の射出成形機として構成されている。第1の射出ユニット2は、所定の径からなる第1の加熱シリンダ5、第1の加熱シリンダ5内で回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられている第1のスクリュ6、第1の加熱シリンダ5の後端部寄りに設けられているホッパ7、等から構成されている。そして、図1には示されていないが、第1の加熱シリンダ5の外周面には、複数枚のバンドヒータが巻かれており、第1の加熱シリンダ5の各部分の温度を個別に加熱して温度を制御することができるようになっている。このような第1の射出ユニット2には、後で説明するように、溶融樹脂に金属錯体等の表面改質物質を注入・浸透させる装置が設けられているので、表面改質物質が浸透・分散した溶融樹脂を計量して、射出することができる。
【0017】
第2の射出ユニット3は、従来周知の射出ユニットと同様に、所定の径からなる第2の加熱シリンダ9と、第2の加熱シリンダ9内で回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられている第2のスクリュ10と、図1には示されていないが、第2の加熱シリンダ9の後端部寄りに設けられているホッパとから構成されている。第2の加熱シリンダ9の外周面にも、図1には示されていないが、複数枚のバンドヒータが巻かれており、第2の加熱シリンダ9の各部分を個別に加熱して温度を制御することができるようになっている。
【0018】
このような第1の射出ユニット2と、第2の射出ユニット3とは、所定の接続用ブロックによって結合されている。すなわち、第1の加熱シリンダ5の先端部には第1の接続用ブロック12が、第2の加熱シリンダ9の先端部には第2の接続用ブロック13がそれぞれ接続され、第1の接続用ブロック12の先端部が、第2の接続用ブロック13の中間部に接続されている。このようにして、第1、2の射出ユニット2、3は結合されている。第2の接続用ブロック13には、先端部に射出ノズル14が、中央部にロータリ弁15がそれぞれ設けられている。そして、第1、2の接続用ブロック12、13のそれぞれに設けられ、第1、2の加熱シリンダ5、9と連通している溶融樹脂の流路16、17は、それぞれロータリ弁15に通じており、ロータリ弁15からは、流路18が射出ノズル14に通じている。したがって、ロータリ弁15を所定の位置に回転して流路16、18を連通させると、第1の射出ユニット2から溶融樹脂を射出することができ、他の位置に回転して流路17、18を連通させると、第2の射出ユニット3から溶融樹脂を射出することができる。なお、図1には示されていないが、第1、2の接続用ブロック12、13の外周面にも複数枚のバンドヒータが巻かれているので、第1、2の射出ユニット2、3から射出される溶融樹脂は、流路16、17、18において冷却されることはなく、適正な温度に維持されて射出ノズル14から射出されることになる。このような射出ノズル14は、金型20に設けられているスプル21に当接している。
【0019】
第1の射出ユニット2について、詳しく説明する。第1の射出ユニット2を構成している第1のスクリュ6は、本実施の形態においては軸方向に分割可能な2本のスクリュピース6a、6bから構成されている。図1において、点線Zで示されている部分から後方のスクリュピースは第1のスクリュピース6a、前方のスクリュピースは第2のスクリュピース6bである。第1のスクリュピース6aには、後で詳しく説明する本実施の形態に係る圧力調整機構23が設けられている。これらの第1、2のスクリュピース6a、6bはそれぞれの端面において結合され、第1のスクリュ6が構成されている。
【0020】
このように結合されている第1のスクリュ6は、ホッパ7寄りから先端部に向かって、スクリュに形成されているフライトの溝の深さが変化している。すなわち、フライトの溝は、符号S1、S2、S3で示されている部分において浅くなっており、符号S4で示されている部分はわずかに深く、符号S5で示されている部分は比較的深くなっている。そして本実施の形態に係る圧力調整機構23は、符号S2で示される部分の近傍に位置している。第1の加熱シリンダ5内で溶融・混練される溶融樹脂は、フライトの溝が浅い部分においてシール作用を受け、圧力調整機構23には後で説明するようにシールが設けられているので、このようなフライトの溝が浅い部分と圧力調整機構23のシールとによって、第1の加熱シリンダ5内には2つのエリアが形成されることになる。すなわち、符号S1で示されている部分と圧力調整機構23で区画された第1のエリアA1と、圧力調整機構23と符号S3で示されている部分で区画された第2のエリアA2とが形成されている。そして、第1の加熱シリンダ5には、第1のエリアA1に対応する所定の位置に注入孔24が、第2のエリアA2に対応する所定の位置に脱気孔25が、それぞれ明けられている。第1のスクリュ6は、軸方向に移動するので、第1、2のエリアA1、A2も移動するが、これらのエリアA1、A2は注入孔24と脱気孔25をそれぞれカバーする長さになっている。注入孔24には、注入装置がバルブ29を介して接続されている。注入装置は、二酸化炭素ボンベ26と、二酸化炭素を加圧および加熱して超臨界状態にする超臨界流体発生装置27と、金属錯体等の表面改質物質を超臨界状態の二酸化炭素に溶解させる溶解槽28とから構成されている。したがって金属錯体等の表面改質物質が溶解された超臨界状態の二酸化炭素を、注入孔24から第1のエリアA1に注入することができる。また脱気孔25には、バルブ30を介して排気処理装置が接続され、第2のエリアA2で減圧されて気化した二酸化炭素を外部に排気できるようになっている。排気処理装置は図1には示されていない。このように構成されているので、第1のエリアA1は、溶融樹脂に表面改質物質が溶解した超臨界状態の二酸化炭素が注入され浸透・分散する浸透・分散エリアA1になっており、第2のエリアA2は、溶融樹脂に溶解している二酸化炭素が減圧され脱気される脱気エリアA2になっている。
【0021】
本実施の形態に係る圧力調整機構23について説明する。図2には、第1のスクリュピース6aの、端面近傍部分が断面で示されている。図2に示されているように、圧力調整機構23は、第1のスクリュピース6aの外周部に設けられているシール31と、第1のスクリュピース6aの内部に設けられている溶融樹脂流路33と、この溶融樹脂流路33内を流れる溶融樹脂の流動を制御するポペット機構32とから構成されている。第1の加熱シリンダ5内は、このシール31により前述した第1のエリアA1と第2のエリアA2とに分けられている。シール31は、摩擦係数が小さく耐摩耗性に優れた材料、例えばテフロン(登録商標)/ブロンズ材料から形成されている所定の幅のリング状のシールであり、一部が切断されて不連続になっている。このシール31は軸方向から見ると略C字形状を呈している。このような不連続部分は、ピストンリングのように、実際には重ね代が設けられ、一方の端部と他方の端部に所定の段部が形成されて重ね合わされるようになっているので、不連続部分には実質的に隙間は生じない。このように不連続部分が設けられているので、シール31はわずかに弾性変形することができ、高いシール効果を得ることができる。このようなシール31は、第1のスクリュ6に形成されている溝6cに嵌められており、シール31の外周面と第1の加熱シリンダ5の内周面との隙間は微小になる。さらに、シール31はスクリュの軸方向に所定の幅を有しているので、溶融樹脂がこのような隙間を通って、第1のエリアA1から第2のエリアA2に流動することは実質的に不可能である。シール31は、摩耗したり劣化したら第1のスクリュ6から外して容易に交換することができる。
【0022】
溶融樹脂流路33は、第1のエリアA1と第2のエリアA2とを連通している溶融樹脂の流路であり、直線状の第1〜5の流路33a〜33eから形成されている。第1、2の流路33a、33bは、第1のエリアA1側において第1のスクリュピース6aに明けられている断面形状が円形の孔である。これらは軸心に対して対称に、それぞれ反対側の外周面から軸心に達するように斜め方向に明けられ連通している。第3、4の流路33c、33dは、第2のエリアA2側において第1のスクリュピース6aに明けられている断面形状が円形の孔であり、軸心に対して対称に、それぞれ反対側の外周面から軸心に達するように斜め方向に明けられ同様に連通している。第5の流路33eは、第1、2の流路33a、33bと、第3、4の流路33c、33dとを連通する軸方向の孔である。第5の流路33eも断面形状が円形の孔であるが、第1〜4の流路33a〜33dよりも小径に形成されている。この第5の流路33eの第2のエリアA2側の開口部近傍は拡径され、後で説明するポペットの頭部が着座する着座面34となっている。
【0023】
ポペット機構32は、ポペット35と、このポペット35を格納しているポペット格納穴36と、ポペット格納穴36に入れられポペット35を軸方向に付勢している皿バネ38、38、…と、ポペット格納穴36の底面を形成していると共に皿バネ38、38、…を押さえているリティナ39とから構成されている。
【0024】
ポペット格納穴36は、第1のスクリュピース6aに、その端面37から軸方向に明けられている所定の大きさの第1〜3の穴41a〜41cから構成されている。第1の穴41aは、第1のスクリュピース6aの端面37から軸方向に所定の深さだけ明けられている。第1の穴41aは大径の穴であり、その内周面には雌ネジが形成されリティナ39が螺合するようになっている。第2の穴41bは、第1の穴41aよりも小径の穴で、第1の穴41aの底面42aから軸方向に所定の深さだけ明けられている。第2の穴41bは皿バネ38、38、…が格納される穴である。第3の穴41cは、第2の穴41bよりもさらに小径の穴で、第2の穴41bの底面42bから軸方向に明けられており、溶融樹脂流路33に達している。第3の穴41cは、ポペット35の頭部あるいは軸部が挿通される穴である。既に説明した第5の流路33eは、第1〜3の穴41a〜41cが明けられた後に、第1のスクリュピース6aの端面37から挿入されたドリルによって明けられ、第3の穴41cよりも小径になっている。本実施の形態においては、スクリュ6は第1、2のスクリュピース6a、6bに分割できるので、第1〜3の穴41a〜41cと第5の流路33eは、端面37から容易に加工することができる。
【0025】
ポペット35は、円柱状を呈するポペット頭部35aと、ポペット頭部35aに接続されているポペット軸部35bとから構成されている。ポペット頭部35aの外径は、第3の穴41cの内径よりもわずかに小さく形成されているので、ポペット頭部35aは第3の穴41cに摺動可能に挿通されることになる。しかしながら、ポペット頭部35aと第3の穴41cの隙間はわずかで溶融樹脂がこの隙間から侵入することはない。ポペット頭部35aの先端部は略円錐状に形成され円錐部35cとなっている。この円錐部35cが着座面34に着座して第5の流路33eを閉塞することになる。ポペット軸部35bは、ポペット頭部35aよりも小径の軸であり、穴が明けられている皿バネ38、38、…が挿通されるようになっている。リティナ39は、皿バネ38、38、…を押さえ、それによってポペット35を押さえるための押さえ部材であり、外周部には雄ネジが形成されている。リティナ39の一方の端面には、大径の浅い第4の穴43aと、この第4の穴43aの底面43cに形成されている所定の深さの第5の穴43bとが明けられている。第4の穴43aの内径は第2の穴41bの内径と等しく、第5の穴43bの内径はポペット軸部35bの外径よりもわずかに大きい。第4の穴43aの底面43cは皿バネ38、38、…を押さえる押さえ面になっている。
【0026】
ポペット機構32は次のようにして組み立てられている。第1のスクリュピース6aの端面37の方から、ポペット35をその頭部35aを先にして穴41a〜41cに挿入する。そうすると、ポペット頭部35aは第3の穴41cに挿通される。ポペット軸部35bに所定の枚数の皿バネ38、38、…を通す。皿バネ38、38、…の枚数を増減したり、交互に重ねる方向を変えると全体としてのバネ定数を調整することができ、ポペット35が開栓される溶融樹脂の圧力を調整することができる。環状を呈する所定の厚さのスペーサあるいはシム44をポペット軸部35bに通す。このスペーサ44はバネ力を調整するためのものである。皿バネ38、38、…の枚数や向きを変えてもバネ力を調整できるので、スペーサ44は必ずしも必須の部材ではないが、スペーサ44は厚さを調整することによって容易に、かつ精密にバネ力を調整することができる。リティナ39を第1の穴41aに螺合させ締め付ける。ポペット軸部35bは第5の穴43bに摺動自在に挿通され、スペーサ44は第4の穴43aの底面43cに押し付けられる。そうすると、皿バネ38、38、…によってポペット頭部35aの円錐部35cは着座面34に着座し、第5の流路33eが閉塞される。このようにしてポペット機構32が組み立てられた第1のスクリュピース6aと第2のスクリュピース6bを、従来周知のように、互いの端面において接続し第1のスクリュ6を組み立てる。組み立てられた第1のスクリュ6を第1の射出ユニット2にセットする。
【0027】
次に、本実施の形態に係る射出成形機1によって、表面が改質された成形品を得る成形方法について説明する。第1の射出ユニット2において、第1の加熱シリンダ5をヒータによって加熱して、第1のスクリュ6を回転する。ホッパ7から樹脂材料を供給する。そうすると、ヒータから与えられる熱と、スクリュの回転によって生じる摩擦・剪断による熱によって樹脂は溶融され前方に送られる。第1のエリアA1に送られた溶融樹脂に、金属錯体等の表面改質物質が溶解した超臨界状態の流体、例えば炭酸ガスのような不活性流体を注入孔24から注入する。圧力調整機構23によって、第1のエリアA1の溶融樹脂の圧力は所定の圧力以上に維持されているので、超臨界状態の流体は第1のエリアA1で気化し溶融樹脂から分離することはない。したがって、第1のスクリュ6を回転すると、表面改質物質は超臨界状態の流体と共に、溶融樹脂中に十分に浸透して拡散される。第1のエリアA1の溶融樹脂の圧力は、第5の流路33eを閉塞しているポペット頭部35aの円錐部35cに作用する。すなわち、円錐部35cのうち第5の流路33eの断面積に相当する部分が受圧面46になっている。溶融樹脂がポペット35を押す力は、溶融樹脂の圧力と受圧面46の面積の積で与えられ、矢印Y1方向に作用する。このような力が皿バネ38、38、…のバネ力より大きくなると、円錐部35cが着座面34から離間して第5の流路33eが開口する。溶融樹脂が溶融樹脂流路33を経由して第1のエリアA1から第2のエリアA2に流動する。第1のエリアA1の溶融樹脂の圧力が低下するとポペット35は皿バネ38、38、…のバネ力によって軸方向に駆動され、第5の流路33eは閉塞される。したがって、第1のエリアA1の溶融樹脂の圧力は一定に維持されることになる。第2のエリアA2に流動した溶融樹脂は、第2のエリアA2において減圧される。そうすると、溶融樹脂中に溶けていた炭酸ガスが気化し、溶融樹脂から分離する。ガスを脱気孔25から排出する。表面改質物質が浸透・拡散した溶融樹脂が第1の加熱シリンダ5の前方に送られ蓄積される。蓄積される溶融樹脂の圧力によって第1のスクリュ6は後退する。後退しても、第1、2のエリアA1、A2は軸方向に所定量だけ長いので、注入孔24から表面改質物質が溶解した超臨界流体を注入することもできるし、脱気孔25からガスを脱気することもできる。表面改質物質が浸透・拡散した溶融樹脂を所定量だけ計量したら、第1のスクリュ6の回転を停止して、ホッパ7からの樹脂材料の供給を停止する。
【0028】
第2の射出ユニット3において、第2の加熱シリンダ9を加熱して第2のスクリュ10を回転する。樹脂材料を供給すると、従来周知のように樹脂材料は溶融され第2の加熱シリンダ9の前方に溶融樹脂が計量される。所定量の溶融樹脂を計量したら第2のスクリュ10の回転を停止して、材料の供給を停止する。ロータリ弁15を回転して、流路16、18を連通させる。第1のスクリュ6を軸方向に駆動して、第1の射出ユニット2から表面改質物質が浸透・拡散した溶融樹脂を所定量だけ射出する。そうすると、金型20内に構成されているキャビティCの壁面に沿って溶融樹脂が流れてスキン層が形成される。次いで、ロータリ弁15を回転して、流路17、18を連通させ、第2の射出ユニット3の第2のスクリュ10を軸方向に駆動して溶融樹脂を射出する。そうすると、コアが形成される。冷却固化を待って金型20を開く。表面が改質された成形品が得られる。以下同様にして成形する。
【0029】
本実施の形態においては、ポペット挿入穴36は有底の穴になっており、唯一の開口部である第3の穴41cには、既に説明したようにポペット頭部35aがわずかな隙間を介して挿通されている。従って、溶融樹脂は第2の穴41b内に侵入することはなく、皿バネ38、38に溶融樹脂は付着しない。従って、長期間運転してもバネ力は変化することなく一定に維持される。
【0030】
本発明の実施の形態は色々な変形が可能である。例えば、射出成形機を1頭の射出ユニットから構成することもできる。このようにすると、スキン層とコアの区別がなくなって成形品の樹脂全体に表面改質物質が含まれてしまうことになるが、射出成形機がシンプルになるので、安価に成形品を得ることが可能になる。また、本実施の形態においては、圧力調整機構23は第1のスクリュ6の符号S2で示されている部分の近傍の1箇所だけに設けられているように説明されているが、複数箇所に設けられていても良く、例えば符号S1で示される部分の近傍にも設けることができる。そうすると、2箇所に設けられている圧力調整機構23によって、第1のエリアA1の溶融樹脂の圧力は、さらに精度良く所定の圧力に維持されることになる。
【符号の説明】
【0031】
1 射出成形機 2 第1の射出ユニット
3 第2の射出ユニット 5 第1の加熱シリンダ
6 第1のスクリュ
6a、6b 第1、2のスクリュピース
9 第2の加熱シリンダ 10 第2のスクリュ
23 圧力調整機構 24 注入孔
25 脱気孔 31 シール
32 ポペット機構 33 溶融樹脂流路
35 ポペット 35a ポペット頭部
35c 円錐部 36 ポペット格納穴
37 端面 38 皿バネ
39 リティナ 44 スペーサ
41a〜41c 第1〜3の穴
A1 第1のエリア A2 第2のエリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱シリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられ、その外周部には前記加熱シリンダ内を第1、2のエリアに分離するシールが、その内部には前記第1のエリアと前記第2のエリアとを連通する溶融樹脂流路と該流路を開閉するポペットが設けられているスクリュであって、
前記ポペットは、前記スクリュ内に明けられている有底のポペット格納穴に所定のバネと共に格納され、
前記溶融樹脂流路は、前記バネによって付勢された前記ポペットの頭部によって閉塞され、前記第1のエリアの溶融樹脂の圧力が所定値を越えると、前記ポペットの頭部が前記バネに抗して後退して開くことを特徴とする射出成形機のスクリュ。
【請求項2】
請求項1に記載のスクリュにおいて、前記溶融樹脂流路内には小径部が、そして前記ポペットの頭部の端部には円錐部が形成され、前記溶融樹脂流路は、前記円錐部が前記小径部に着座することにより閉塞されるようになっていることを特徴とする射出成形機のスクリュ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスクリュにおいて、前記バネは、皿バネからなることを特徴とする射出成形機のスクリュ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの項に記載のスクリュにおいて、前記スクリュは軸方向に分割可能な2個以上のスクリュピースから構成され、
前記ポペット格納穴は、分割されたスクリュピースの端面から前記溶融樹脂流路に達するように明けられている軸方向の孔からなり、該孔の前記端面近傍の内周面には雌ネジが形成され、前記ポペットと前記バネは前記軸方向の孔に前記スクリュピースの端面の方から挿入され、そして前記雌ネジに螺合する雄ネジを有するリティナによって締め付けられていることを特徴とする射出成形機のスクリュ。
【請求項5】
請求項4に記載のスクリュにおいて、前記軸方向の孔に、所定の厚さのスペーサを挿入して前記バネのバネ力を調整できるようになっていることを特徴とする射出成形機のスクリュ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの項に記載のスクリュと加熱シリンダとから構成され、前記加熱シリンダの前記第1のエリアに対応する所定の部位には、表面改質物質が溶解した超臨界状態の流体を前記加熱シリンダ内に注入する注入孔が明けられ、前記加熱シリンダの前記第2のエリアに対応する所定の部位には、ガスを脱気する脱気孔が明けられていることを特徴とする射出ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の射出ユニットからなる第1の射出ユニットと、他の加熱シリンダと前記他の加熱シリンダ内で回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられている他のスクリュとから構成されている第2の射出ユニットとから構成され、前記第1の射出ユニットからスキン層用の溶融樹脂が、前記第2の射出ユニットからコア用の溶融樹脂が、それぞれ射出されるようになっていることを特徴とするサンドイッチ成形用の射出成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−207160(P2011−207160A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79173(P2010−79173)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】