説明

射出成形用金型および射出成形方法

【課題】 多様なアンダーカットに対応できかつ構造が簡略化できる射出成型用金型を提供する。
【解決手段】 型閉め時に成形用のキャビティ40を形成する固定型20および可動型30と、キャビティ40内で成形される成型品(プラグ90)にアンダーカット(鏃形状94)を形成する成形面52を有しかつキャビティ40内に進退可能に設置されたスライドコア50と、スライドコア50をアンダーカットの奥行き方向へ変位させる変位機構60とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形用金型および射出成形方法に関し、特にアンダーカットを有するプラスチック成型品の製造用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック成型品の製造には射出成形が利用されている。
通常の射出成型では、固定型に対して可動型を型閉めし、内部のキャビティに溶融した合成樹脂材料を射出し、再び型開きして成型品を取り出す。
このような通常の射出成形では、型閉めおよび型開きの方向には成型品の凹凸が作りやすいが、これに交差する方向の凹凸(アンダーカット)は形成が難しかった。これは、アンダーカットがあると、その部分が型開き時にひっかかり、成型品の取出しが困難になるからである。
【0003】
これに対し、固定型および可動型の何れかに進退自在なスライドコアを設け、アンダーカット部分がこのスライドコアで成型されるようにした金型が用いられるようになっている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−311791号公報
【特許文献2】特開平9−300362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述した特許文献1および特許文献2では、それぞれキャビティ内に突出するスライドコアを用いる。ここで、各々ではスライドコア自体が成型品のアンダーカットを形成するものである。このため、スライドコアはその長手方向に進退するように構成され、その進退方向はアンダーカットの奥行き方向に限定される。
このようにスライドコアの方向が限定されるため、スライドコアの駆動機構が簡略化できない等の問題があるとともに、成型品にアンダーカットと向かい合う部分がある場合にはスライドコアの配置が困難になるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、多様なアンダーカットに対応できかつ構造が簡略化できる射出成型用金型および射出成形方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の射出成形用金型は、型閉め時に成形用のキャビティを形成する固定型および可動型と、前記キャビティ内で成形される成型品にアンダーカットを形成するために前記キャビティ内に進退可能に設置されたスライドコアと、前記スライドコアを前記アンダーカットの奥行き方向へ変位させる変位機構とを有することを特徴とする。
【0008】
このような本発明では、スライドコアが変位機構によりアンダーカットの奥行き方向へ変位される。すなわち、スライドコアは型締め状態でアンダーカットの奥側へ変位され、型開き状態ではアンダーカットの外側(奥行き方向の反対側)へ変位される。このため、スライドコアは、型締め状態でキャビティに所定のアンダーカット形成用の成形面を形成できるとともに、型開き状態ではアンダーカット部分から逃げることができ、成型品の取出しを妨げることがない。
【0009】
ここで、本発明のスライドコアは変位機構によりアンダーカットの奥行き方向に変位されるものであり、スライドコアの進出方向はアンダーカットの奥行き方向に制約されない。このため、例えばスライドコアの進退駆動を型閉め機構あるいはイジェクタ機構と兼用することができ、スライドコアの駆動機構が簡略化できる。また、成型品にアンダーカットと向かい合う部分がある場合でも、変位機構による変位代が確保できればよく、スライドコアおよびその進退方向は自由に配置することができる。
【0010】
本発明の射出成形用金型において、前記スライドコアは前記固定型および可動型の型閉め方向に進退可能であることが望ましい。
このようにすれば、スライドコアの進退駆動に型締め型開き動作を流用することができ、スライドコアの駆動機構の簡略化が可能である。
【0011】
本発明の射出成形用金型において、前記固定型および可動型の何れかはイジェクタピンを有し、前記スライドコアは前記イジェクタピンと同期して進退されることが望ましい。
このようにすれば、スライドコアの進退駆動にイジェクタピンの駆動機構を流用することができ、スライドコアの駆動機構の簡略化が可能である。
【0012】
本発明の射出成形用金型において、前記変位機構は、前記固定型および可動型の何れかに形成されて前記スライドコアの進退をガイドするガイドスリーブと、前記ガイドスリープおよびスライドコアの互いに摺接する部分の何れかに形成されて前記スライドコアの進退方向に対して傾斜したカム形状とを含むことが望ましい。
このようにすれば、スライドコアを変位させる変位機構としてスライドコアの進退動作を流用することができ、駆動源を有する専用の変位機構を省略することが可能である。
なお、本発明は、油圧装置あるいはモータ等を用いた専用の変位機構を用いることを妨げない。
【0013】
本発明において、前記スライドコアは先端近傍に前記アンダーカットを形成する成形面を有し、型閉め状態では前記スライドコアのうち成形面だけが前記キャビティ内に露出することが望ましい。
このようにすれば、スライドコアの設置姿勢とアンダーカットを分離することができ、スライドコアの進退方向とアンダーカットの奥行き方向とを全く別にすることができる。
【0014】
本発明の射出成形用金型は、型閉め時に成形用のキャビティを形成する固定型および可動型と、前記キャビティ内で成形される成型品にアンダーカットを形成するために前記キャビティ内に進退可能に設置されたスライドコアと、前記スライドコアを前記アンダーカットの奥行き方向へ変位させる変位機構とを有する射出成形用金型を用い、
前記固定型および可動型を型閉めして成形用のキャビティを形成し、
前記キャビティ内に溶融樹脂を射出し、
前記溶融樹脂が固化した後、前記固定型および可動型を型開きするとともに、前記スライドコアを前進させ、かつ変位機構で前記スライドコアを前記アンダーカットの奥行き方向へ変位させ、これにより成型品を取り出すことを特徴とする射出成形方法。
このような本発明によれば、前述した本発明の射出成型用金型と同様な効果を得ることができる。
【0015】
本発明の射出成形用金型において、前記スライドコアを前記固定型および可動型の型閉め方向に進退させることが望ましい。
本発明の射出成形用金型において、前記固定型および可動型の何れかにイジェクタピンを設けておき、前記スライドコアと前記イジェクタピンとを同期して進出させることが望ましい。
本発明の射出成形用金型において、前記スライドコアとして、先端近傍に前記アンダーカットを形成する成形面を有し、型閉め状態では前記スライドコアのうち成形面だけが前記キャビティ内に露出するものを用いることが望ましい。
【0016】
このような本発明においては、前述した本発明の射出成型用金型と同様な効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3において、本実施形態の射出成型用金型10は固定型20および可動型30を有し、これらの内部には成型用のキャビティ40が形成される。
射出成型用金型10は、既存の射出成形機(図示省略)に装着されて使用される。固定型20は射出成型機の固定側に装着され、可動型30は同じく可動側に装着され、射出成型機の型締め機構により互いに型締めされる。そして、型締め状態(図1参照)において、キャビティ40内部に射出成型機の射出装置から溶融樹脂が射出され、冷却に伴って固化したものが成型品(後述するプラグ90)として得られるようになっている。
【0018】
成型品を取り出すために、固定型20にはイジェクタピン21が設置され、このイジェクタピン21は図示しない駆動機構によりキャビティ40内に進出し、成型品を突き出すことが可能である(図2および図3参照)。このイジェクタピン21の進出方向は固定型20および可動型30の型閉め型開き方向と同方向に設定されている。
【0019】
本実施形態において、射出成型用金型10の成型品は、ベルト等の接続に用いられるバックルの雄側であるプラグ90である。
プラグ90は、図4または図5に示すように、ベルトが装着される本体91を有し、その一端側には一対のロックアーム92およびガイドバー93を有する。ガイドバー93は、バックルの雌側であるソケット(図示省略)にプラグ90を挿入する際に、その挿入姿勢を適切にガイドするためのものであり、ロックアーム92はソケットに挿入された状態でソケットと係合し、接続状態を維持するものである。
【0020】
ここで、ロックアーム92は、ソケットとの係合を行うために先端部分に独自の鏃形状94を有する。この鏃形状94は、ロックアーム92の先端から基部に向けて外側に膨出されるとともに、ロックアーム92の中間部分で段差をなすことで形成されており、この部分の段差面は外側が基部寄りで内側がロックアーム92の先端寄りにすることでいわゆる鏃の形状を与えられている。
【0021】
鏃形状94は、前述した段差面の外側の辺縁がプラグ90の縦横方向に対して斜めに形成されている。つまり、図4または図5においては、図面の横方向がプラグ90の横方向、図面に直交する方向がプラグ90の縦方向である。鏃形状94の外側の辺縁は、図中外側が図面の奥側で図中内側(ガイドバー93に近い側、互いに向かいあう側)が図面の手前側となるように傾斜している。
以上のような鏃形状94は、プラグ90の成形にあたってアンダーカットとなっており、このアンダーカットはプラグ90の縦方向および横方向の何れとも交差する方向になる。すなわち、アンダーカットである鏃形状94の奥行き方向はプラグ90のロックアーム92の先端向きとなる。
【0022】
前述したプラグ90を成形するために、キャビティ40はプラグ90の輪郭に沿った内面形状を与えられる。固定型20および可動型30は、プラグ90の横方向(図4,図5の図面方向)に分割面を設定され、縦方向(図面直交方向)に型閉め型開きされる(図1〜図3参照)。
このような金型10において、前述したアンダーカットとしての鏃形状94があると、成型品であるプラグ90を単純に抜き出すことができない。そこで、本実施形態の金型10は、アンダーカット形成を行うために、キャビティ40内に進退可能に設置されたスライドコア50と、このスライドコア50をアンダーカットの奥行き方向へ変位させる変位機構60とを備えている。
【0023】
スライドコア50は、イジェクタピン21と並列に配置された角柱状の部材であり、固定型20に形成されたスリーブ51に挿通され、図中下方に設置される図示しない駆動機構により図中上下方向に進退駆動される。なお、本実施形態ではイジェクタピン21の駆動機構と兼用されている。
スライドコア50は、最も後退した状態(図1参照)でもその先端がキャビティ40内に突出する状態とされる。この先端部分はプラグ90のロックアーム92の外側で鏃形状94に隣接した空間とされ、成型品であるプラグ90と干渉するものではない。
【0024】
そして、スライドコア50の先端部分の一側表面には成形面52が形成されている。この成形面52が設けられる方向は、プラグ90のロックアーム92の先端が向く側、つまり前述したアンダーカット(鏃形状94)の奥行き方向とされている。
この成形面52には、前述したプラグ90のアンダーカット部分(鏃形状94)に対応した成型用の輪郭形状(アンダーカット奥行き方向の凹凸)が与えられ、型閉め状態ではスライドコア50で唯一キャビティ40内面に露出する部分となり、周囲に配置されるキャビティ40の他の内面に連続した成形面となり、全体としてプラグ90の輪郭表面を形成する。
【0025】
変位機構60は、スライドコア50をアンダーカットの奥行き方向へ変位させるものであり、型締め状態では成形面52をアンダーカットの奥行き方向へ変位させて保持し、型開きに伴ってアンダーカットの奥行き方向逆側へ引き離し、成形面52をアンダーカットである鏃形状94から待避させるものである。
このために、変位機構60は、スライドコア50の中間部分に形成された傾斜面61,63と、スリーブ51の各開口部に形成された当接部62,64とを備えている。ここで、傾斜面61は当接部62と摺接するカム形状とされ、傾斜面63は当接部64と摺接するカム形状とされている。
【0026】
スライドコア50の先端部分では、前述したアンダーカット奥行き方向の寸法がスリーブ51の同方向寸法と略一致され、スライドコア50の先端部分がスリーブ51内にある状態では当接部62周辺においてスライドコア50が確実に保持され、同方向に変位することはない(図1の状態)。
スライドコア50がキャビティ40内に進出すると、当接部62との当接部分は傾斜面61に沿って移動し、傾斜面61の変位分だけスライドコア50はアンダーカット奥行き方向と反対側へ移動が許容される状態になる(図2の状態)。
一方、スライドコア50の傾斜面63より基端側の部分はアンダーカット奥行き方向に寸法が大きく形成されている。このため、スライドコア50がキャビティ40内に進出する際に、当接部64との当接が傾斜面63にさしかかると、スライドコア50がこの傾斜面63によりアンダーカット奥行き方向と反対側へ変位される(図3の状態)。
これにより、前述したように成形面52をアンダーカットである鏃形状94から待避させるような変位が行われる。
【0027】
このような本実施形態においては、本発明の射出成形方法に基づいて以下の動作を行う。
先ず、固定型20および可動型30を型閉めし、イジェクタピン21およびスライドコア50を後退させ、キャビティ40内に所定の成形用の輪郭形状を準備する(図1の状態)。
この状態で、キャビティ40内に溶融樹脂を射出し、そのまま内部で冷却させ、成型品であるプラグ90として固化させる。この際、プラグ90には、スライドコア50の成形面52によりアンダーカットである鏃形状94が形成される。
【0028】
次に、固定型20および可動型30を型開きし、イジェクタピン21およびスライドコア50を進出させ、プラグ90を固定型20から取り出す。
この際、アンダーカットである鏃形状94とスライドコア50の成形面52とは、アンダーカット奥行き方向に凹凸嵌合した状態であり、スライドコア50とプラグ90とはそのままでは分離できない(図2の状態)。
しかし、イジェクタピン21およびスライドコア50を更に進出させると、スライドコア50は変位機構60によりアンダーカット奥行き方向と反対側へ変位され、前述した鏃形状94と成形面52との凹凸嵌合状態が解除され、プラグ90は自由に取り出せる状態となる(図3の状態)。
【0029】
このような本実施形態によれば以下のような効果がある。
すなわち、スライドコア50の側面にアンダーカットの凹凸形状に対応した成形面52を設け、変位機構60によりスライドコア50をアンダーカット奥行き方向と反対側へ変位させるようにしたので、成形面52でアンダーカットである鏃形状94が成型できるとともに、型開き状態ではアンダーカット部分から逃げることができ、成型品であるプラグ90の取出しを妨げることがない。
また、スライドコア5および変位機構60は、型締め状態ではスライドコア50の先端部分が移動規制されるようにしたため、溶融樹脂の射出圧をも確実に受けることができ、正確な成形を確保することができる。
【0030】
スライドコア50は変位機構60によりアンダーカットの奥行き方向に変位されるものであり、スライドコア50の進出方向はアンダーカットの奥行き方向に制約されない。このため、スライドコア50の進退駆動をイジェクタピン21の駆動機構と兼用することができ、構造の簡略化、動作制御の簡素化ができる。
また、前述した方向性の自由度により、本実施形態のプラグ90のように成型品にアンダーカットと向かい合う部分がある場合(鏃形状94に向かい合うようにプラグ本体91がある)でも、変位機構による変位代を確保でき、スライドコア50およびその進退方向は自由に配置することができる。
【0031】
スライドコア50は固定型20および可動型30の型閉め方向に進退するものとしたため、通常同方向に設置されるイジェクタピン21との同期動作が可能であるとともに、駆動機構の流用などが容易にできる。
【0032】
変位機構60は、ガイドスリーブ51の当接部62,64とスライドコア50の傾斜面61,63とを用いたカム形状としたため、スライドコア50の円滑な変位動作が行えるとともに、スライドコアの進退動作を流用することができ、機構の簡略化および動作制御の簡素化が実現できる。
【0033】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、イジェクタピン21、スライドコア50および変位機構60を、それぞれ固定型20側に設置したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、イジェクタピン21およびスライドコア50および変位機構60は可動型30に設置してもよい。但し、駆動機構の設置は固定側のほうが望ましいといえる。
【0034】
スライドコア50の進退駆動は、イジェクタ機構と兼用に限らず、型閉め機構と兼用してもよく、あるいは独自の駆動機構、例えば専用のモータやソレノイド、油圧シリンダ等を設けてもよい。
イジェクタピン21およびスライドコア50は必ずしも同方向に進退するものでなくてもよく、スライドコア50はアンダーカットの配置に応じて適宜な部位に配置することが望ましい。この場合には駆動機構の共用は難しくなるが、互いの方向や設置部位が異なっても適宜なリンク機構等を用いて共用することは可能である。
【0035】
変位機構60としては、前述したガイドスリーブ51の当接部62,64とスライドコア50の傾斜面61,63とを用いたカム形状に限らない。例えば、型閉め状態の位置規制を別のロック機構等で別途行うようにしてもよく、少なくとも実質的な変位動作を行うための当接部64と傾斜面63とのカム形状があればよい。
更に、変位機構60はスライドコア50に形成されるカム形状に限らず、独立した駆動機構により例えばガイドスリーブ51ごとスライドコア50を変位させるもの等であってもよい。
【0036】
本実施形態においては、成型品としてバックル用のプラグ90について説明したが、本発明はアンダーカットを有する多様な成形に利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、射出成形用金型に利用でき、特にアンダーカットを有するプラスチック成型品の製造用金型として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態の金型の型閉め状態を示す断面図。
【図2】前記実施形態の金型の型開き状態を示す断面図。
【図3】前記実施形態の金型の成型品の取出し状態を示す断面図。
【図4】前記図2の状態の成型品と金型の要部を示す平面図。
【図5】前記図3の状態の成型品と金型の要部を示す平面図。
【符号の説明】
【0039】
10 射出成型用金型
20 固定型
21 イジェクタピン
30 可動型
40 キャビティ
50 スライドコア
51 ガイドスリーブ
52 成形面
60 変位機構
61,63 傾斜面
62,64 当接部
90 プラグ
91 プラグ本体
92 ロックアーム
93 ガイドバー
94 鏃形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型閉め時に成形用のキャビティ(40)を形成する固定型(20)および可動型(30)と、前記キャビティ(40)内で成形される成型品(90)にアンダーカット(94)を形成するために前記キャビティ(40)内に進退可能に設置されたスライドコア(50)と、前記スライドコア(50)を前記アンダーカット(94)の奥行き方向へ変位させる変位機構(60)とを有することを特徴とする射出成形用金型(10)。
【請求項2】
前記スライドコア(50)は前記固定型(20)および可動型(30)の型閉め方向に進退可能であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形用金型(10)。
【請求項3】
前記固定型(20)および可動型(30)の何れかはイジェクタピン(21)を有し、前記スライドコア(50)は前記イジェクタピン(21)と同期して進退されることを特徴とする請求項2に記載の射出成形用金型(10)。
【請求項4】
前記変位機構(60)は、前記固定型(20)および可動型(30)の何れかに形成されて前記スライドコア(50)の進退をガイドするガイドスリーブ(51)と、前記ガイドスリープ(51)およびスライドコア(50)の互いに摺接する部分(61,62,63,64)の何れかに形成されて前記スライドコア(50)の進退方向に対して傾斜したカム形状(61,63)とを含むことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の射出成形用金型(10)。
【請求項5】
前記スライドコア(50)は先端近傍に前記アンダーカット(94)を形成する成形面(52)を有し、型閉め状態では前記スライドコア(50)のうち成形面(52)だけが前記キャビティ(40)内に露出することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の射出成形用金型(10)。
【請求項6】
型閉め時に成形用のキャビティ(40)を形成する固定型(20)および可動型(30)と、前記キャビティ(40)内で成形される成型品(90)にアンダーカット(94)を形成するために前記キャビティ(40)内に進退可能に設置されたスライドコア(50)と、前記スライドコア(50)を前記アンダーカット(94)の奥行き方向へ変位させる変位機構(60)とを有する射出成形用金型(10)を用い、
前記固定型(20)および可動型(30)を型閉めして成形用のキャビティ(40)を形成し、
前記キャビティ(40)内に溶融樹脂を射出し、
前記溶融樹脂が固化した後、前記固定型(20)および可動型(30)を型開きするとともに、前記スライドコア(50)を前進させ、かつ変位機構(60)で前記スライドコア(50)を前記アンダーカット(94)の奥行き方向へ変位させ、これにより成型品(90)を取り出すことを特徴とする射出成形方法。
【請求項7】
前記スライドコア(50)を前記固定型(20)および可動型(30)の型閉め方向に進退させることを特徴とする請求項6に記載の射出成形方法。
【請求項8】
前記固定型(20)および可動型(30)の何れかにイジェクタピン(21)を設けておき、前記スライドコア(50)と前記イジェクタピン(21)とを同期して進出させることを特徴とする請求項7に記載の射出成形方法。
【請求項9】
前記スライドコア(50)として、先端近傍に前記アンダーカット(94)を形成する成形面(52)を有し、型閉め状態では前記スライドコア(50)のうち成形面(52)だけが前記キャビティ(40)内に露出するものを用いることを特徴とする請求項6〜請求項8の何れかに記載の射出成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−289688(P2006−289688A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−111115(P2005−111115)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】