射撃模擬装置
【課題】 撮影手段の撮影範囲とプロジェクタの投影範囲の一致の必要がなく、撮影手段又は射撃者が任意の位置に存在可能な射撃模擬装置を提供する。
【解決手段】 標的を含む画像の画像データ出力装置、同画像を投影する画像投影装置、標的座標値を検出する第1座標検出手段、画像投影面にレーザービームを発射する射撃手段、可視光線除去フィルタを介して画像投影面を撮影し、画像投影面に発生するビームポイントの画像データを取得する撮影手段、撮影範囲に対して歪み補正を行う画像処理手段、歪み補正後の撮影画像中のビームポイントの座標値を検出する第2座標検出手段、標的座標値とビームポイント座標値を照合して命中したか否かを判定する命中判定手段、命中判定時は被弾画像を、外れ判定時は着弾画像を標的を含む画像に合成する画像合成手段を有する。スクリーン形状や射撃者位置により歪み補正された画像が投影又は表示される。
【解決手段】 標的を含む画像の画像データ出力装置、同画像を投影する画像投影装置、標的座標値を検出する第1座標検出手段、画像投影面にレーザービームを発射する射撃手段、可視光線除去フィルタを介して画像投影面を撮影し、画像投影面に発生するビームポイントの画像データを取得する撮影手段、撮影範囲に対して歪み補正を行う画像処理手段、歪み補正後の撮影画像中のビームポイントの座標値を検出する第2座標検出手段、標的座標値とビームポイント座標値を照合して命中したか否かを判定する命中判定手段、命中判定時は被弾画像を、外れ判定時は着弾画像を標的を含む画像に合成する画像合成手段を有する。スクリーン形状や射撃者位置により歪み補正された画像が投影又は表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン又は表示装置に表示されている画像中の標的を狙って模擬レーザー銃を発射した時、命中した場合は標的の被弾画像を、外れた場合は着弾画像を表示する射撃模擬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタからスクリーンに標的を含む画像を投影し、射撃者が模擬レーザー銃(以下、単にレーザー銃という。)を用いて光ビームをスクリーン上の標的に向けて発射した時、命中したか否かを判定し、命中したときは被弾画像を投影するようにした射撃模擬装置は、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開平5−322187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示された先行技術は、スクリーンを撮影する撮影手段が出力する画像信号からスクリーン上の着弾点、すなわち光ビームがスクリーン上に到達した点に生じる光点(以下、ビームポイントという。)の座標を演算する座標演算手段と、演算されたビームポイント座標と標的の表示位置の座標とを照合して、光ビームが標的に命中したか否かを判定する命中判定手段と、命中判定の結果に基づいて原画像に被弾画像又は着弾画像を合成して表示させる画像合成手段とを含むものである。そして、座標演算手段は、クロックパルスを出力するパルス発生部と、撮影手段の画像信号の垂直同期信号が出力されてからビームポイント検出信号が出力されるまでの間、クロックパルスをカウントするカウンタ部と、そのカウント値を所定の基準パルス数(画像の水平方向を走査するのに要する時間に相当するパルス数)で除算してスクリーン上のビームポイントのX座標及びY座標を演算出力する演算部とからなるものである。
【0004】
上記先行技術による着弾点検出方法は、ハードウェアによるパルスカウンタを用い、撮影手段の画像信号の垂直同期信号が出力されてからビームポイント検出信号が出力されるまでの間、クロックパルスをカウントするものである。従って、その前提として、撮影手段の撮影範囲をプロジェクタの画像投影範囲と一致させる必要がある(特許文献1の段落0030)。そして、プロジェクタの投影範囲とビデオカメラの撮影範囲を一致させるには、スクリーンの正面中央にプロジェクタとビデオカメラとを設置する必要がある。射撃者がスクリーンの正面の一番良く見える位置に存在する場合は、スクリーンへの写り込みが発生し、又は射撃者の眼の前にプロジェクタ又はカメラを設置する必要がある。このように、機器及び射撃者の存在位置が制約を受けていた。
【0005】
スクリーンへの写り込みが発生しない位置からプロジェクタで映像をスクリーンに投影する場合、又は、スクリーンへの写り込みが発生しない位置で射撃者がスクリーンの画像を見る場合は、プロジェクタの位置・投射方向など(以下、投影条件という。)及び観察者の位置など(以下、観察条件という。)により映像が歪んで見える。このような映像の歪みを解消する方法の一つとして、スクリーンの距離、傾斜角及び方位角などのパラメータを算出し、入力する原画像を上記パラメータを用いて補正(透視変換)して補正画像を出力するものが、特許文献2に開示されているが、上記従来方法は、具体的な実装方法についての記述がなく、処理速度に関する考慮もなされていない。従って、動画像の再生などのように、補正処理に高速性を要求されるアプリケーションへの適用が可能であるか甚だ疑問である。
【特許文献2】特開2001−61121号公報
【0006】
また、特許文献1の先行技術では、スクリーンに照射された光ビームのみを検出し、それ以外の画像を排除するために、撮影手段の前に透過フィルタを備えて、レーザービームと及びその近傍の帯域の光を選択的に通過させている。しかし、特許文献1に記載された透過フィルタは、レーザービームの近傍の帯域の光としか記述されておらず、使用波長が特定されていない。従って、射撃者には視認可能な光ビームで射撃することが趣向に富み望ましいが、上記先行技術は可視光レベルのレーザービームで実施する場合は、実現が不可能に近い。
【0007】
さらに、上記先行技術では、ビームポイントの座標取得を、レーザービームの近傍を透過フィルタ及び絞りを通して撮影して行っている。そして、光学的透過フィルタを介して、ビデオ画像などに含まれるノイズを全て除去することとしている。しかしながら、透過フィルタと絞りだけでは、ノイズは取り切れないので、着弾点の座標を特定することは困難であると考えられる。
【0008】
さらに、上記先行技術においては、ビームポイント撮影画像は二つの出力保持回路A、Bにより各フレーム毎に1フレーム以上遅れてゲーム演算回路22に送信される(特許文献1の段落0034〜0038)。従って、レーザービーム発射後の被弾画像又は着弾画像の投影に遅れがあるため、不自然であり、興ざめの原因となっている。
【0009】
加えて、先行技術においては、複数人の射撃者が射撃できるようにするための方法として、レーザー銃が射撃模擬装置の信号処理部に有線で電気的に接続されている。そして、順次を予め定められたレーザー銃からレーザービームが1フレーム毎に交互に出力するように制御している(特許文献1の段落0044)。従って、射撃者は光ビーム発射操作タイミングが規制されるので、複数人が文字通り同時に発射することはできず、任意の標的の狙いと発射の自由性に欠けているという印象が強い。さらに、複数人で射撃をする場合は、各人の光ビーム発射タイミングと標的の被弾画像又は着弾画像の投影タイミングの間の時差があるため、違和感がある。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、解決しようとする第一の課題は、撮影手段の撮影範囲とプロジェクタの投影範囲又はディスプレイの表示範囲とを一致させる必要がなく、また、撮影手段又は射撃者が任意の位置に存在することができる射撃模擬装置を提供することにある。
【0011】
本発明の第二の課題は、光ビーム発射タイミングと標的の被弾画像又は着弾画像の投影タイミングの間の時差の最小化が可能とされた射撃模擬装置を提供することにある。
【0012】
本発明の第三の課題は、プロジェクタでスクリーンに投影させる画像に歪みを発生させないようにして、射撃が容易にでき、かつ、命中判定が正確に行なわれるようにしたことができる射撃模擬装置を提供することにある。
【0013】
本発明の第四の課題は、複数人の射撃者が有線接続されていないレーザー銃を用いて同時に又はランダムな時刻に射撃することができ、かつ、各射撃者に対する命中判定を正確に行うことができる射撃模擬装置を提供することにある。
【0014】
本発明の第五の課題は、発射したビームポイントが標的からある程度の距離を外れた場合にも命中と判定されて着弾画像が投影又は表示されることにより、射撃命中の満足感が得られるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記第1の課題を解決するため、標的を含む画像のデータを出力する画像データ出力装置と、前記画像データ出力装置から画像データを入力して画像を投影する画像投影装置又は同画像を表示する画像表示装置と、前記画像データに基づいて前記画像投影装置の画像投影面又は前記画像表示装置の画像表示面に表示される画像に含まれる標的の座標値を検出する第1座標検出手段と、前記画像投影装置の画像投影面又は前記画像表示装置の画像表示面に近赤外線レベルのレーザービームを発射する射撃手段と、可視光線を除去するための光学フィルタを介して又は可視光線除去機能を有して、前記画像投影装置の画像投影面又は前記画像表示装置の画像表示面を撮影し、前記画像投影面又は画像表示面に前記レーザービームが到達して発生するビームポイントの画像データを取得する撮影手段と、前記撮影手段による撮影範囲に対して歪み補正などの幾何学的変換を行う画像処理手段と、歪み補正などをされた後の撮影画像の中のビームポイントの座標値を検出する第2座標検出手段と、前記標的の座標値と前記ビームポイントの座標値とを照合して両座標値が一致するか否かにより前記射撃手段からのレーザービームが前記標的に命中したか否かを判定する命中判定手段と、命中と判定されたときは被弾画像を、外れと判定されたときは着弾画像を前記画像データ出力装置から出力される標的を含む画像に合成する画像合成手段とを有することを特徴としている(請求項1)。
上記構成により、撮影される画像の歪みが投影画像と一致するように補正されるから、撮影手段側で撮影範囲を投影範囲と一致させる必要がない。従って、射撃者のスクリーンへの写り込みを生じることなく、射撃模擬を楽しむことができる。
【0016】
本発明は、画像投影装置が映像プロジェクタであり、画像投影面がスクリーンである場合に、画像データ出力装置は、射撃者の位置などの観察条件、前記映像プロジェクタの位置・方向・画角・アスペクト比などの投影条件及び前記スクリーンの形状を表す多角形メッシュをパラメータとして記憶しておく記憶部と、投影時に、入力した原画像を前記パラメータを含む所定の演算式により演算して透視変換を行い、かつ、透視変換後の座標系をテクスチャ座標系に変換し、そのテクスチャ座標系を用いてテクスチャマッピング機能により補正画像をフレームバッファに描画して、その補正画像を映像信号として前記映像プロジェクタに出力するグラフィックス・アクセラレータとを有することを特徴としている(請求項2)。
上記構成により、射撃者が射撃模擬中に一定の位置から射撃する場合は、投影される原画像に対してその位置に基づいた歪み補正処理がなされるので、射撃者は歪みのない投影画像に含まれる標的に向かって射撃を行うことができる。そして、撮影された画像の歪みが投影画像と一致するように補正されるから、撮影手段側で撮影範囲を投影範囲と一致させる必要がなく、かつ、命中判定が正確に行われる。
【0017】
本発明は、さらに、画像投影装置が映像プロジェクタであり、画像投影面がスクリーンである場合に、画像データ出力装置は、前記映像プロジェクタの位置・方向・画角・アスペクト比などの投影条件及び前記スクリーンの形状を表す多角形メッシュをパラメータとして記憶しておく記憶部と、射撃者の位置、視線方向、視野角などにより決定される視錘台のパラメータを随時取込み、そのパラメータ及び記憶部から読出した映像プロジェクタの位置、投影方向、画角などにより決定される投影錘台のパラメータ及び前記スクリーンの形状のパラメータを含む所定の演算式により演算して入力された原画像の透視変換を行い、かつ、透視変換後の座標系をテクスチャ座標系に変換し、そのテクスチャ座標系を用いてテクスチャマッピング機能により補正画像をフレームバッファに描画して、その補正画像を映像信号として前記映像プロジェクタに出力するグラフィックス・アクセラレータとを有することを特徴としている(請求項3)。
上記構成により、射撃者が射撃模擬中に移動しながら、又は移動した後に、射撃する場合は、投影される原画像に対してその移動した位置に基づいた歪み補正処理がなされるので、射撃者は常に歪みのない投影画像に含まれる標的に向かって射撃を行うことができる。そして、撮影された画像の歪みが投影画像と一致するように補正されるから、撮影手段側で撮影範囲を投影範囲と一致させる必要がなく、かつ、命中判定が正確に行われる。
【0018】
射撃手段は、画像投影装置の画像投影面又は前記画像表示装置の画像表示面に到達したとき発生するビームポイントが予め定められた互いに異なる形状となるレーザービームを発射する複数個が備えられ、歪み補正などをされた後の撮影画像の中のビームポイントが予め登録された形状のいずれであるかを認識するビームポイント形状認識手段と、命中判定手段が命中と判定した場合は、それぞれ当該ビームポイントの形状に対応して識別可能に命中表示を前記画像投影面又は前記画像表示面の中もくしは外に行う命中表示手段とが備えられていることが望ましい(請求項4)。
上記構成により、1台の撮影手段で複数人の射撃者が、各自の射撃手段を用いて射撃模擬を行うと、ビームポイントの形状がビームポイント形状認識手段により予め登録されたいずれであるかを認識する。命中判定手段が命中と判定したときは、命中表示手段が当該ビームポイントの形状に対応して命中表示を画像投影面又は前記画像表示面の中もくしは外に行う。この命中表示により、どの形状のビームポイントを発射した射撃手段が命中したかが判る。すなわち、複数人で射撃しても、命中表示から誰が命中したかが判る。
【0019】
射撃手段は、波長が互いに異なるレーザービームを発射する複数個が備えられ、撮影手段は前記レーザービームの波長の内、特定の波長のみを透過させるフィルタをそれぞれ備えた複数個が備えられ、命中判定手段が命中と判定した場合は、命中判定手段が命中と判定した場合は、その命中判定に供されたビームポイントの座標値を与えた撮影手段に対応して識別可能に命中表示を前記画像投影面又は前記画像表示面の中もくしは外に行う命中表示手段が備えられていることが望ましい(請求項5)。
上記構成により、複数人の射撃者が同時に又は異時に一つのスクリーン上の標的に向けて発射すると、一つの撮影手段は特定の波長のレーザービームのみを撮影する。各撮影手段からの撮影画像に含まれるビームポイントの座標値は標的の座標値と照合されて命中判定が行われる。そして、命中と判定されたときは、命中表示手段はその命中判定に供されたビームポイントの座標値を与えた撮影手段に対応して識別可能に命中表示を画像投影面又は画像表示面の中もくしは外に行う。こうして、複数人が同時又は異時に射撃しても、誰が命中したかが判るので、射撃模擬を楽しむことができる。
【0020】
標的の座標値を検出する第1座標検出手段とビームポイントの座標値を検出する第2座標検出手段の一方又は双方に、当該座標検出手段が得た座標値を拡大処理して一定の広がりを有するエリア座標値を求める座標値拡大手段を接続し、その座標値拡大手段により得られたエリア座標値を命中判定のために命中判定手段に与えるように構成することが好ましい(請求項6)。
上記構成により、射撃者が標的に向かって発射した場合、標的から外れた位置にレーザービームが到達したときは、そのビームポイントの座標値が拡大処理により拡大される。そして、命中判定においては、その拡大されたビームポイントのエリア座標値と標的の座標値とが照合される。又は、投影もしくは表示される画像の標的の座標値が拡大処理により拡大され、ビームポイントの座標値はその拡大された標的のエリア座標値と照合される。従って、命中確率が上昇する。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、撮影される画像の歪みが投影画像と一致するように補正されるから、撮影手段側で撮影範囲を投影範囲と一致させる必要がなく、従って、射撃者のスクリーンへの写り込みや機器の設置位置に制約を生じることなく、射撃模擬を楽しむことができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、射撃者が射撃模擬中に一定の位置から射撃する場合は、投影される原画像に対してその位置に基づいた歪み補正処理がなされるので、射撃者は歪みのない投影画像に含まれる標的に向かって射撃を行うことができ、撮影された画像の歪みが投影画像と一致するように補正されるから、撮影手段側で撮影範囲を投影範囲と一致させる必要がなく、かつ、命中判定が正確に行われる。
【0023】
請求項3の発明によれば、射撃者が射撃模擬中に移動しながら、又は移動した後に、射撃する場合は、投影される原画像に対してその移動した位置に基づいた歪み補正処理がなされるので、射撃者は常に歪みのない投影画像に含まれる標的に向かって射撃を行うことができる。そして、撮影された画像の歪みが投影画像と一致するように補正されるから、撮影手段側で撮影範囲を投影範囲と一致させる必要がなく、かつ、命中判定が正確に行われる。
【0024】
請求項4の発明によれば、1台の撮影手段で複数人の射撃者が、各自の射撃手段を用いて射撃模擬を行うことができ、複数人で射撃しても、命中表示から誰が命中したかが判る。
【0025】
請求項5の発明によれば、複数個の撮影手段と各射撃者の波長の異なる射撃手段を用いることにより、同時に又は異時に複数人の射撃者が一つのスクリーン上の標的に向けて発射しても、命中表示から誰が命中したかが判るので、射撃模擬を楽しむことができる。
【0026】
請求項6の発明によれば、標的の座標値を検出する第1座標検出手段とビームポイントの座標値を検出する第2座標検出手段の一方又は双方に、当該座標検出手段が得た座標値を拡大処理して一定の広がりを有するエリア座標値を求める座標値拡大手段を接続し、その座標値拡大手段により得られたエリア座標値を命中判定のために命中判定手段に与えるようにしたので、命中判定においては、ビームポイントのエリア座標値と標的の座標値、又は、ビームポイントの座標値と標的のエリア座標値、あるいは、いずれも拡大されたビームポイントのエリア座標値と標的のエリア座標値が照合される。従って、発射したレーザービームが標的からある程度外れた位置に到達しても、命中確率が上昇する。従って、細いレーザービームを発射するレーザー銃を用いる場合の命中困難性が軽減されるので、座標値拡大比率の設定により射撃レベルの応じた射撃練習又は射撃模擬を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の実施の形態を、標的を含む画像を、画像投影装置及び投影面がそれぞれプロジェクタ及びスクリーンである場合について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の射撃模擬装置の基本的構成要素を示す概念図、図2は主として画像データ出力装置の構成を示すブロック図、図3は射撃台移動装置の一例を示す側面図、図4は射撃台位置検出装置の一例を示す回路図、図5は投影処理時のフローチャート、図6はグラフィックス・アクセラレータによるテクスチャ座標変換及び頂点座標変換を説明する概念図、図7は本発明に関連するライブラリを静止画像表示プログラムに組み込んで使用する場合のフローチャート、図8は本発明に関連するライブラリを動画像表示プログラムに組み込んで使用する場合のフローチャート、図9は本発明に関連するライブラリをリアルタイムCGプログラムに組み込んで使用する場合のフローチャート、図10は標的とビームポイントの座標演算、命中判定及び判定結果に基づく画像表示の制御に係る構成及び作用を示すブロック図、図11は主として補正画像の表示後の処理内容を説明するフローチャート、図12は撮影手段からの画像データの取り込みとその後の処理内容を説明するフローチャートである。
【0028】
本発明装置の基本的構成を示す図1において、100は画像データ出力装置、200は画像投影手段の一例としてのプロジェクタ、300は画像表示媒体の一例としてのスクリーン、400は撮影手段の一例としてのビデオカメラ又はCCDカメラもしくは赤外線カメラ、500はモニタ、600はレーザー銃である。
【0029】
画像データ出力装置100は、
[1]標的を含む画像の画像データを格納し、画像表示モードの際にその画像データを読み出して、プロジェクタ200を介してスクリーン300に投影させる画像投影機能と、[2]投影された画像の中から標的を認識し、その標的の座標値を求める標的座標検出機能と、
[3]スクリーン300を撮影するビデオカメラ400から入力するビームポイントの画像データからそのビームポイントの座標値を求めるビームポイント座標検出機能と、
[4]標的座標値とビームポイント座標値とを用いて、レーザー銃600がスクリーンに向けて発射したビームが標的に命中したか否かを判定する命中判定機能と、
[5]命中判定において命中と判定された場合は被弾画像を呼び出してスクリーンに投影される投影画像と合成し、外れと判定した場合は着弾画像を呼び出してスクリーンに投影される投影画像と合成する画像合成機能とを有している。
その合成画像に基づいて、スクリーンには命中した標的が被弾した画像が投影され、又は外れた標的の付近に着弾した画像が投影されるようになっている。
以下に、上記各機能について順次区分けして説明する。
【0030】
[1]画像投影
本発明による画像データ出力装置100は、図2に示すように、各種の演算及び各部の制御を司るCPU101と、各種プログラム、原画像、被弾画像及び着弾画像の各画像データを格納しているハードディスク102と、主たる機能を実現する基本的構成要素としてのグラフィックス・アクセラレータ103と、データバスDBを介して入力するデータの格納、CPU11による展開のためのデータの授受、前記グラフィックス・アクセラレータ103へのデータの入出力を行うメインメモリ104と、ビデオカメラ400から入力されるビデオ映像に対して歪み補正を行うためのビデオキャプチャ105とを有している。
【0031】
画像データ出力装置100は、また、撮影画像の有効範囲を設定するためのキーボード106や、撮影された画像及び補正後の画像を確認するためのモニタ500がグラフィックス・アクセラレータ103に接続されている。
【0032】
本発明による射撃模擬装置を用いての射撃模擬(以下、単に射撃という。)の態様には、スクリーンに投影されている画像に含まれている標的に目掛けて射撃者が固定の場所から発射する態様と、ゲーム中に射撃者が移動して異なる場所から発射する態様とがあり得る。いずれの場合も、プロジェクタがスクリーンの正面中央に設置されている場合は、スクリーンには上下水平で左右が垂直の矩形画面が投影されるが、射撃者が画像に写り込むので、これを防止するため通常はプロジェクタは左右又は上下に寄った位置に設置される。スクリーンへの射撃者の写り込みが生じない位置にプロジェクタが設置される場合は、射撃者のスクリーンに対する位置によって、スクリーンに投影される画像が歪んで見える。そこで、本発明では、画像投影時にその画像の歪みを補正するための画像処理がなされる。
【0033】
画像補正方法は、射撃者が射撃中に移動しないか、移動するかにより、補正のためのパラメータの取得方法が異なる。
射撃中に移動しないで、一定の位置から射撃する場合は、画像データ出力装置100には、射撃者の位置などの観察条件、プロジェクタ200の位置・方向・画角・アスペクト比などの投影条件及びスクリーン300の形状を表す多角形メッシュをパラメータとして記憶しておく記憶部(外部記憶装置)と、投影時に、入力した原画像を前記パラメータを含む後記の所定の演算式1,2を演算実行して透視変換を行い、かつ、透視変換後の座標系をテクスチャ座標系に変換し、そのテクスチャ座標系を用いてテクスチャマッピング機能により補正画像をフレームバッファに描画して、その補正画像を映像信号として映像プロジェクタ200に出力するグラフィックス・アクセラレータ103とが備えられる。
【数1】
【数2】
【0034】
これに対して、射撃者が射撃準備中に移動する場合は、画像データ出力装置100には、プロジェクタ200の位置・方向・画角・アスペクト比などの投影条件及びスクリーン300の形状を表す多角形メッシュをパラメータとして記憶しておく記憶部(外部記憶装置)と、射撃者の位置、視線方向、視野角などにより決定される視錘台のパラメータを随時取込み、そのパラメータ及び記憶部から読出した映像プロジェクタの位置、投影方向、画角などにより決定される投影錘台のパラメータ及びスクリーン300の形状のパラメータを含む上記演算式1,2を演算実行して入力された原画像の透視変換を行い、かつ、透視変換後の座標系をテクスチャ座標系に変換し、そのテクスチャ座標系を用いてテクスチャマッピング機能により補正画像をフレームバッファに描画して、その補正画像を映像信号としてプロジェクタ200に出力するグラフィックス・アクセラレータ103とが備えられる。
【0035】
以下には、射撃者が射撃準備中に移動する場合(すなわち、視点が随時又は連続的に移動する場合)の画像補正について説明し、射撃者が移動せずに、固定の場所で射撃をする場合の画像補正については、付随的に説明する。
射撃者が射撃準備中に随時又は連続的に移動する場合に対応する付加構成要素として、図3に例示するような移動射撃台(観察台)が設けられ、その射撃台に付属する位置検出装置700(図2)がインタフェース(図示省略)を介してデータバスDBに接続されている。
【0036】
グラフィックス・アクセラレータ103は、原画像を格納するのに充分な容量のテクスチャメモリ103a及び1フレーム分の映像データを格納可能なフレームバッファ103bを有するともに、描画パイプラインの一部として、3つの機能、すなわち、(ア)テクスチャマッピング機能、(イ)テクスチャ座標変換機能、(ウ)頂点座標変換機能を有する。
【0037】
テクスチャマッピング機能は、三次元モデルであるスクリーン形状(ポリゴン座標系)にテクスチャメモリ103aに格納されている二次元画像であるテクスチャを貼り付ける機能である。テクスチャ座標変換機能は、設定された行列により、入力されたテクスチャ座標を変換してテクスチャメモリ103a内の画素位置として出力する機能である。また、頂点座標変換機能は、設定された行列により、入力された各ポリゴンの頂点座標を変換してフレームバッファ103b内の画素位置として出力する機能である。
現在市販されているパーソナルコンピュータ(PC)用グラフィックス・アクセラレータ及びグラフィックスワークステーション(WS)の大多数は、上記3機能を提供している。
【0038】
移動射撃台10は、図3に示すように、これに射撃者が乗り込み、スクリーン300に投影された画像を観察し、その画像に登場する標的に向けてレーザー銃600から光ビームを発射するためのものであり、第1テーブル11に固定されている。図3において、移動射撃台10の左側がスクリーン300に対向する前方であり、右側が後方である。第1テーブル11は、第1サーボモータM1により駆動される昇降手段12により昇降される。13は、射撃台10を負荷とする第1テーブル11の昇降時及び射撃者乗降の際のバランスを保つためのコイルスプリング又はガススプリングなどの弾性支持手段である。
【0039】
昇降手段12及び弾性支持手段13の下端部は、第2テーブル14の上面に固定されている。第1サーボモータM1の回転により、射撃台10は上下方向、すなわち、Z軸方向に移動可能である。
【0040】
第2テーブル14の下面には、一例として、4個の車輪15が矩形の各角部に相当する位置に設けられ、少なくとも後方の一対の車輪は第2サーボモータM2により正方向又は逆方向に回転されるようになっている。
【0041】
前記4個の車輪15は、その下側に設置されていて、前後方向に長い第3テーブル16の上面に図3の紙面に垂直方向に平行に隔てて敷設してある2本のレール17に沿って転動可能である。そして、第2サーボモータM2の回転により、射撃台10は前後方向、すなわち、Y軸方向に移動可能である。18は、前後両終端で第2テーブル14を止めるストッパである。
【0042】
第3テーブル16は、その前後方向の複数箇所において、映像投影室の床面19に突設された支持レール110の上面に回転自在に設けられたローラ111よって支持されている。そして、第3テーブル16の下面に突設されたガイドローラ112が各支持レール110の互いに反対側の面に当接されて、一定の位置で左右方向(図3の紙面に垂直方向)に移動自在に支持されている。その少なくとも1個のガイドローラ112が第3サーボモータM3により回転されて、第3テーブル16は、スクリーン300方向に対して直角方向、すなわち、X軸方向に移動されるようになっている。こうして、射撃台10は、X,Y,Zの座標値により決められる任意の位置に移動可能である。
【0043】
通常は、射撃台10がスクリーン300の中心を通る水平直線上(支持レール110の長手方向中央)、レール17の前後方向の中央、第1テーブル11の最下位に存在するときが、X,Y,Zの座標値0(X0,Y0,Z0)、すなわち、原点とされ、その原点より右側が+X,左側が−X,原点から前方が+Y,後方が−Y,原点から上方が+Z,下方が−Zなどに決定することができる。
【0044】
そして、射撃台10の時々刻々変わりうる現在位置を座標データで表すために位置検出装置700が備えられている。図4に示すように、位置検出装置700は、各モータM1,M2,M3により回転されるロータリーエンコーダE1,E2,E3と、各ロータリーエンコーダから出力されるパルスを入力して計数するカウンタC1,C2,C3と、各カウント値を座標値に変換するコンバータCNVとからなっている。このコンバータCNVの出力値がデータバスDBを介して記憶部(RAM)に随時取り込まれるようになっている。
【0045】
なお、第3テーブル16の支持機構及び移動機構、並びに位置検出装置は、上述されたものに限られない。とくに、位置検出装置700は、レーザー光や赤外線等を用いる光学的位置検出方法、レールに沿って設けた磁気的検出方法などの既知の方法を用いることができる。
【0046】
射撃準備中に射撃台が移動する場合の実施例においては、スクリーン300に投影される画像の歪みを補正するために、準備処理として、3種のパラメータである観察条件パラメータ(視錘台)、投影条件パラメータ(投影錘台)、及びスクリーンの形状パラメータのうち、変動のない投影条件パラメータとスクリーン形状パラメータは、外部記憶装置に記録されている。しかし、観察条件パラメータについては、投影処理時に、上記位置検出装置から随時入力されるデータを用いるようになっている。射撃準備中に射撃者が移動しない場合は、準備処理として、上記3種のパラメータが全て外部記憶装置に記録される。
【0047】
次に、このパラメータの取込み処理について詳細に説明する。
錘台は透視変換を表現するため一般的に用いられる概念であり、頂点(Apex)を基準としたl(left),r(right );b(bottom),t(top );n(near),f(far )の6つの値により決定されるが、上記位置検出送致から取り込まれる座標値−X,+X;−Y,+Y;−Z,+Zがそれぞれl(left),r(right );n(near),f(far );b(bottom),t(top )に相当する。
【0048】
準備処理における視錘台・投影錘台の指定は、下記のいずれかの方法で行う。
1)l,r,b,t,n,fを直接指定する。
2)視野角/画角、アスペクト比、n,fにより間接的にl,r,b,tを指定する。 ただし、左右上下に非対称な錘台を指定する場合は、1)の方法を用いる必要がある。 スクリーン形状は、何らかの方法、例えば、スクリーン設計時のCADデータを使用したり、三次元形状スキャナを使用したりなどにより、多角形メッシュとして表現され得るものである。準備処理では、この多角形メッシュを構成する頂点配列をパラメータとして指定する。
準備処理において指定する全てのパラメータは、原点の位置、座標系(XYZ各軸の方向と、回転の正負方向)及び単位系(メートル、ラジアンなど)の情報を共有する必要がある。
【0049】
続いて、図5及び図6に基づいて投影時の画像歪み補正処理を詳細に説明する。図5は投影時処理のフローチャート、図6はグラフィックス・アクセラレータによるテクスチャ座標変換及び頂点座標変換を説明する概念図である。
投影時の処理は、上述の記録されたパラメータを用いて、次の処理を行うことにより、フレームバッファ103bに補正済み画像を格納する。そして、そのフレームバッファ103bに格納された補正済み画像を、映像信号としてプロジェクタ200に出力するようになっているが、投影時の処理においては、まず、
1)S41において、入力する原画像をテクスチャメモリ103aに転送して格納する。 原画像をテクスチャメモリに格納するには、下記の幾通りかの方法が採用可能である。すなわち、(ア)ビデオキャプチャ105により入力した画像をテクスチャメモリ103aに転送する方法。(イ)フレームバッファ103b上の画像をテクスチャメモリ103aに複写する方法。及び、(ウ)テクスチャメモリ103aに対して直接描画する方法である。
2)次に、S42において、射撃台100の位置検出装置700から随時取り込まれる観察条件に従って、スクリーン形状の各頂点にテクスチャ座標を設定する。実際の処理では、図6に示すように、上記演算式1の行列Moを上述されたグラフィックス・アクセラレータ103のテクスチャ座標変換機構131に設定する。
3)また、S43において、投影条件に従って、スクリーン形状の各頂点を座標変換する。実際の処理では、図6に示すように、上記演算式2の行列Mpをグラフィックス・アクセラレータ103の頂点座標変換機構132に設定する。
4)そして、S44において、頂点座標変換機構132及びテクスチャ座標変換機構131にスクリーン形状の頂点座標Vを入力することにより、スクリーン形状を描画する。 結果として、図6に示すように、テクスチャとして参照される原画像の画素座標Rから出力画像の画素座標R’への転送(R→R’)が行われる。これをスクリーン形状の全頂点に対して連続的に行って、スクリーン形状を描画することにより、フレームバッファ103bに補正済み画像を得る。この補正済み画像が、映像信号として図2のプロジェクタ200などに出力される。
なお、フレームバッファ103bの各R’の間の画素は、グラフィックス・アクセラレータにより適宜補間された値が設定される。
【0050】
上述した画像歪み補正方法を実行するプログラムは、画像投影アプリケーションプログラムの一部に組み込んで使用される単体プログラムとして、すなわち、歪み補正ソフトウェアライブラリ(以下、補正ライブラリ)として、次の内容を有して提供可能である。
補正ライブラリは、下記の特徴を有している。
補正ライブラリは、ANSI(American National Standard Institute)C/C++規格に準拠して記述されており、様々なプラットフォームに容易に移植可能である。また、補正ライブラリは、グラフィックス・アクセラレータへのインタフェースとして、広く一般的に使用されているプラットフォームであるOpenGL又はDirectXのいずれかを選択的に使用可能になっており、両者のいずれかをサポートするグラフィックス・アクセラレータを使用可能である。
【0051】
補正ライブラリは、アプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)として、下記の関数群をエクスポートする。
1)初期化関数
これは、準備処理において、ハードディスクなどで構成されるファイルシステム上のファイル(以下、設定ファイルという)に記録された、観察条件、投影条件、スクリーン形状などの各種パラメータを読み込み、歪み補正処理に必要な実行環境を整えるものである。
2)テクスチャメモリへの画像転送関数
これは、メインメモリ104上に展開された原画像又はフレームバッファ103b上の原画像をテクスチャメモリ103aへ転送するものである。
3)歪み補正実行関数
これは、グラフィックス・アクセラレータ103の前記テクスチャ座標変換機構131及び頂点座標変換機構132を適宜設定し、スクリーン形状を描画することにより、フレームバッファ103b上に補正済み画像を得るものである。
4)終了関数
これは、前記初期化関数で確保した各種システムリソース(メインメモリ領域、テクスチャメモリ領域など)を解放して、上記画像歪み補正処理を終了するためのものである。
【0052】
上記のような補正ライブラリは、前記APIを通じて、画像歪み補正処理を必要とする様々なユーザプログラムに組み込んで利用することが可能である。例として、下記の3種のユーザプログラムに組み込んで使用する場合を、項を分けて説明する。
【0053】
1)静止画像表示プログラムの場合
このプログラムは、ハードディスクなどに記録された、静止標的を含む画像の画像ファイルを読み込み、これを描画(すなわち、フレームバッファ103bに転送)し、画像出力する類のプログラムである。この種のプログラムに画像歪み補正機能を組み込むには、補正ライブラリを図7に示すように使用する。
このプログラムは、S61において、補正ライブラリの初期化関数を呼び出すことにより、設定ファイルを読み込み、上記演算式1及び上記演算式2の行列Mo、Mpを作成してメインメモリに記憶し、原画像を格納するために必要なテクスチャメモリ領域を確保する。
S62において、任意の方法により対象となる画像ファイルを特定して、画像データをメインメモリに展開する。
S63において、補正ライブラリの画像転送関数を呼び出すことにより、メインメモリに展開された画像データをテクスチャメモリに転送する。
S64において、補正ライブラリの歪み補正実行関数を呼び出すことにより、フレームバッファに補正済み画像を得る。
S65おいてプログラム終了時には、S66おいて、補正ライブラリの終了関数を呼び出すことにより、初期化関数で確保した各種システムリソースを解放して、処理を終了する。
【0054】
2)動画像表示プログラムの場合
このプログラムは、ハードディスクなどに記録された、移動標的を含む画像の動画ファイルから1フレームずつ連続して画像データを読み込み・描画し、動画像として画像出力する類のプログラムである。この種のプログラムに画像歪み補正機能を組み込むには、補正ライブラリを図8のように使用する。すなわち、
このプログラムは、S71において、補正ライブラリの初期化関数を呼び出すことにより、設定ファイルを読み込み、演算式1・2の行列Mo、Mpを作成してメインメモリに記憶し、原画像を格納する為に必要なテクスチャメモリ領域を確保する。
S72において、任意の方法により対象となる動画ファイルを特定して、データストリームへのハンドルを得る(すなわち、オープンする)。
S73において、データストリームから1フレーム分の画像データを読み込み、メインメモリ104に展開する。
S74において、補正ライブラリの画像転送関数を呼び出すことにより、メインメモリ104に展開された画像データをテクスチャメモリ103aに転送する。
S75において、補正ライブラリの歪み補正実行関数を呼び出すことにより、フレームバッファ103bに補正済み画像を得る。
S76において、最終フレームの処理を終えたら、S77において、動画ファイルのデータストリームを解放する(すなわち、クローズする)。
S78において、プログラム終了時には、S79において、補正ライブラリの終了関数を呼び出すことにより、初期化関数で確保した各種システムリソースを解放して、処理を終了する。
【0055】
3)リアルタイムCGプログラムの場合
このプログラムは、ユーザの入力などのイベントにより動的に変化するシーンを1フレームずつ描画していく類のプログラムである。この種のプログラムに映像歪み補正機能を組み込むには、補正ライブラリを図9のように使用する。
このプログラムは、S81において、補正ライブラリの初期化関数を呼び出すことにより、設定ファイルを読み込み、演算式1・2の行列Mo、Mpを作成してメインメモリに記憶し、原画像を格納するために必要なテクスチャメモリ領域を確保する。
【0056】
S82において、キーボード、マウス入力などのイベントに応じて、表示すべきシーンの内容を適宜変化させる。
S84において、シーンを描画し、フレームバッファ103bに1フレーム分の画像を得る。
S83において、プログラム未終了時には、S84において、補正ライブラリの画像転送関数を呼び出すことにより、フレームバッファ上の画像データをテクスチャメモリに複写する。(ただし、グラフィックス・アクセラレータによっては、テクスチャメモリに対して直接描画することができる場合がある。この場合は、S85の処理は不要となる。) S86において、補正ライブラリの歪み補正実行関数を呼び出すことにより、フレームバッファ103bに補正済み画像を得る。
S83においてプログラム終了時には、S87において、補正ライブラリの終了関数を呼び出すことにより、初期化関数で確保した各種システムリソースを解放して、処理を終了する。
【0057】
上記実施の形態において、図5のS41,S42,S43,S44はそれぞれ、入力する原画像をテクスチャメモリに転送する手段、観察条件に従ってスクリーン形状の各頂点にテクスチャ座標を設定する手段、投影条件に従ってスクリーン形状の各頂点を座標変換する手段、座標変換をされたスクリーン形状を描画する手段を構成する。また、図8の131及び132は、それぞれS42による設定に基づきテクスチャ座標を変換するテクスチャ座標変換手段、S43による設定に基づきスクリーン形状の各頂点の座標を変換する頂点座標変換手段を構成している。
【0058】
[2]標的の認識及び座標検出
画像データ出力装置100のグラフィックス・アクセラレータ103は、メインメモリ104から受け取った画像データの中の各画素に対応する濃度値の特徴を調べて、当該画像の中に所定の標的が存在するか否かを識別する標的検出手段(図示せず)を有している。濃度値の特徴とは、濃度値に急激な変化がある部分である。標的は、例えば、車両や動物や記号などの特定の形状を有しているので、その標的の輪郭は一般的に急激な濃度値の変化を有している。標的検出手段は、その濃度値の特徴からその輪郭形状を認識するものである。そして、認識された形状は、ハードディスク102の標的形状データファイルに格納されている形状と比較され、一致する形状が存在する場合には、標的が存在するものと判定され、図10に示すように、その標的検出信号を入力された標的座標値検出手段103cがその濃度値の急激な変化が検出された時の画素の座標値を、その標的の座標値として出力するようになっている。
【0059】
[3]スクリーンの撮影及びビームポイント座標検出
画像データ出力装置100のデータバスDBには、撮影手段であるCCDカメラ(以下、単にカメラという。)400が接続され、そのカメラで撮影された画像データがビデオキャプチャ105の撮影画像データ格納部に格納されるようになっている(図12のS21)。
カメラ400は、レーザー銃600の標的が投影されるスクリーン300を撮影するものであり、その目的は、レーザー銃から発射されるビームのスクリーン上の到達点(ビームポイント)を検出することである。
そして、カメラ400は、そのカメラレンズの前に可視光線、すなわち、波長が例えば800nm以下の光線を除去し、例えば波長802nm以上の赤外線のみを透過させる光学フィルタ400Fを置いて用いられる。レーザー銃600には、フィルタ400Fでは除去されない、例えば波長802nm以上の赤外線のレーザービームを発射するものが用いられる。従って、スクリーンに投影されている様々な形状及び色彩の画像の中から、レーザー銃から照射され、スクリーンに到達したビームポイントの画像のみがフィルタ400Fを透過してカメラ400に撮影される。
【0060】
スクリーン300にレーザー銃から発射されたレーザービームがスクリーン300に投影された画像の中の標的に命中したことを確認するには、ビームポイントの座標値と標的の座標値とが一致したか否かを判定しなければならない。それには、ビームポイントの座標系と標的の座標系とを一致させた上で、両座標値を照合する必要がある。ところで、カメラの撮影画像は、そのスクリーンに対する相対的位置関係により、ウィンドウの大きさ、フレームの形状が大きく異なり、一般的には画像に歪みが生じる。そこで、本発明では、カメラから入力する画像に対して、撮影画像(表示画像)に対する歪み補正と同じ原理で、グラフィックス・アクセラレータ105の幾何学的変換手段103dにより主として歪み補正のための、必要時には拡大や回転のための、画像処理を行っている(S22)。すなわち、カメラからメインメモリに格納された撮影画像データの各画素に対して周知の方法により幾何学的変換を行っている。
【0061】
この撮影画像の補正方法には、次の2つがある。その一つは、図2に示すように、グラフィックス・アクセラレータ105には、モニタ500が接続されているので、カメラ400で撮影された画像をモニタ500に映し出しながら、キーボード106又はマウス(図示省略)を操作して、モニタ上の撮影画像の左右上下の4頂点を指定することにより、撮影画像形状をスクリーン上の投影画像形状と一致するように調整して、歪みを補正し、かつ、撮影画像データの取得範囲を指定する方法である。
【0062】
他の方法は、スクリーン300上の所要の4点にレーザー銃で発射してビームポイントにより撮影画像の4頂点を指定し、これをカメラ400で撮影し、その撮影画像の歪み補正(幾何学的変換)処理により撮影画像形状をスクリーン上の投影画像形状と一致させることにより、撮影画像の補正を自動的に行う方法である。
【0063】
このようにして撮影画像データの座標系が投影画像データの座標系と一致された後、ビームポイント座標検出手段103eにより撮影画像データの中のビームポイントの座標値が検出される(S23)。そのビームポイントの画像が何番目の画素に存在するかにより座標値が決定される(図12のS23)。そのビームポイント座標値は命中判定のために送信される(S24)。
【0064】
[4]命中判定
図11のS12において、両座標値検出手段103c,103eにより得られた座標値が入力する(S12でY)とCPUにおいて命中判定が行われる。
続いて、図10に示すように、投影画像の中から順次検出される標的の座標値データと、撮影画像の中から順次検出されるビームポイントの座標値データは、画像データ出力装置100のCPUにより構成されている命中判定手段101aに随時与えられ、両座標値が一致するか否かにより、レーザー銃600による射撃が標的に命中したか、外れたかが判定される。
ハードディスク102には、1種又は複数種の被弾画像データ、すなわち、レーザービームが標的に命中した時の爆発・発炎・破壊などのイメージ画像のデータと、1種又は複数種の着弾画像データ、すなわち、外れた弾丸が着弾して発煙・発炎等のイメージ画像のデータが格納されている。
そして、この射撃模擬装置が起動されたときに、それらの画像データがメインメモリ104に転送され、命中判定手段101aが命中と判定した場合は、被弾画像データがメインメモリ104から読み出され、テクスチャメモリ103aに転送されて、画像合成手段103fにより、投影画像データと被弾画像データが合成され、その合成画像データがフレームバッファ103bに与えられ、プロジェクタ200に出力される。これにより、スクリーン300上に当該標的が被弾した画像が投影されるようになっている。また、命中判定手段101aが外れと判定した場合は、着弾画像データがメインメモリ104から読み出され、テクスチャメモリ103aに転送され、画像合成手段103fにより投影画像データと着弾画像データが合成され、その合成画像データがフレームバッファ103bに与えられてプロジェクタ200に出力される。これにより、スクリーン300上に当該標的から外れた位置に着弾した画像が投影されるようになっている。
【0065】
ハードディスク102に、複数種の被弾画像データと、複数種の着弾画像データが格納されている場合は、投影画像の中に登場する標的の種類をも認識する手段を付加し、その認識した標的の種類に対応して予め定めた被弾画像を合成して出力することができ、標的の違いに応じて変化に富んだ被弾画像又は着弾画像を表示することができる。
【0066】
続いて、他の実施例について説明する。図1に示された実施例は、射撃者が一人である場合の例であって、この場合は、一つのレーザー銃600により発射されたビームポイントを一つのカメラ400で撮影する。これに対して、図13に示すように、形状の互いに異なるビームポイントPA 〜PC を発射できる複数のレーザー銃600A ,600B ,600C を複数人が用い、かつ、ハードディスク102に予めビームポイントの形状を記憶させておいて、カメラ400から入力したビームポイントの形状がその記憶させてある形状のいずれかと一致する場合は、そのビームポイントについて命中判定を行うことができる。従って、この実施例では、1台のカメラ400だけで同時に複数人の射撃者が模擬射を行うことができる。
【0067】
また、図14に示すように、複数人の射撃者がそれぞれ発射ビームの周波数が異なる複数のレーザー銃6001 ,6002 ,6003 …を用い、射撃者と同数のカメラ4001 ,4002 ,4003 …に、それぞれ透過可能な周波数がそれぞれのレーザー銃の発射光線の周波数と等しい透過フィルタ400F1 ,400F2 ,400F3 を装備することにより、ビームポイントの形状を相互に変えなくとも、同時に遊戯する射撃者のうち誰が命中したかを識別することができる。
【0068】
上述の実施例において、標的が登場する画像を表示する手段は、プロジェクタとスクリーンの組み合わせに限定されるものではない。壁をスクリーン代わりに用いることもできる。また、プロジェクタを用いずに、フレームバッファ103bからのビデオ信号を直接に入力されて標的が登場する画像を表示するCRT(ブラウン管ディスプレイ)、LCD(液晶ディスプレイ)あるいはPD(プラズマディスプレイ)等の画像表示装置であっても良い。
【0069】
さらに、上述の実施例において、レーザー銃600,600A〜600C,6001 〜6003 は光ビーム発射手段の形状の一例に過ぎない。光ビーム発射手段は、各種の模擬火器、模擬発射機器、発射玩具、例えばロケットランチャー、消火器、消火ホース等とすることもできる。
【0070】
上述の命中判定においては、ビームポイントの座標値が標的の座標値と完全に一致したときを命中と判定して、被弾画像を表示するようにした。しかし、レーザー銃の操作や狙い方に不慣れの者には、命中はなかなか困難である。容易に被弾画像が表示されない場合は、興味が殺がれる恐れがある。そこで、好ましい実施例では、ビームポイントの座標値設定を少し緩やかに行うことが良い。すなわち、検出した座標値に一定の広がりのある座標値を付加することにより、ビームポイントが標的から若干外れても命中と判定して、被弾画像を表示するように余裕をもたせることができる。また、ビームポイントの大きさや形状によって、命中判定基準を広めることにより、例えば、ビーム発射手段が破壊力の大きい模擬火器である場合は、標的から多少外れても標的が被弾して破壊又は焼失されるなど、実際の被弾状況に近似する情景を表示して、迫真性に富む射撃模擬を行うことができる。
【0071】
命中判定基準を緩やかにすることは、図10の標的座標検出手段103cとビームポイント座標検出手段103eの一方又は双方に、当該座標検出手段103c,103eが得た座標値を拡大処理して一定の広がりを有するエリア座標値を求める座標値拡大手段(図示せず)を接続し、その座標値拡大手段により得られたエリア座標値を命中判定手段101aに与えることにより実現することができる。標的の座標値を拡大するには、図10のグラフィックス・アクセラレータ103より得られる画像データの中の標的のボリュームのデータを用い、これを上記のエリア座標値の代替データとして命中判定手段101aに与えることもできる。
【0072】
上記実施例は、投影画像(又は表示画像)の補正、撮影画像の補正、標的及びビームポイントの座標検出、命中判定、投影画像(又は表示画像)と被弾画像又は着弾画像の画像合成等の処理を1台の画像データ出力装置100で実行する場合の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、概念的には、画像データ出力装置100を第1装置と第2装置に分割し、第1装置には投影画像(又は表示画像)の補正、標的座標検出、命中判定及び画像合成の処理を実行させ、第2装置には撮影画像の補正、ビームポイント座標検出の処理を実行させることもできる。
【0073】
上記の本発明による射撃ゲーム装置の特長を挙げると、次の通りである。
(1)撮影される画像は、画像処理によりスクリーンの投影範囲又はディスプレイの表示範囲及び射撃有効範囲と自動的に整合されるので、撮影手段による撮影範囲を投影範囲又は表示範囲及び射撃有効範囲と一致させる操作が不要である。
(2)スクリーンの形状パラメータの歪みを補正する式に、ビデオカメラの画像との変換式へ渡す数値を渡すことにより、撮影画像及び/又は投影画像を画像処理により補正しているので、平面に投影される画像と射撃範囲の設定はもちろん、歪んだスクリーンにも対応させることができる。
(3)ビーム発射手段は、画像データ出力装置と電気的に接続される必要がなく、独立している。従って、射撃者はコード接続などで拘束されることなく、自由な射撃行動をとることができる。
(4)射撃手段が発射するレーザービームには可視光線以外の、例えば800nm以上の赤外線を用い、可視光線をカットするフィルタを用いて撮影手段で撮影するので、スクリーン上の可視光線によるノイズの影響を受けずにビームポイント検出を確実に行うことができる。
(5)上記実施例では、レーザー銃から発射するビームの波長を800nm台としたので、ノイズ除去のためにフィルタを必要とした。しかし、CCDカメラの中には波長が900nm台の赤外線のみを透過させる、フィルタ機能を備えたもの(赤外線カメラ)があるので、このようなカメラを用いる場合は、可視光線カット用フィルタの使用が不要となる。さらに、自然界に存在しない1550nm台のビームを発射するレーザー銃を使用する場合は、可視光線カット用フィルタを用いずに屋外で投影画像又は表示画像に発射されるビームのビームポイント座標取得が可能である。従って、屋外での発射訓練を効果的に行うことができる。
(6)ビームの波長を800nm台とする場合は、可視光線カットフィルタを用いるだけでは、全てのノイズを除去することはできない。さらにカメラの絞りを使っても、全てのノイズを除去することはできない。本発明では、カメラで取得する画像をCGによる画像処理の閾値を利用しているので、ビームポイント(着弾点)の特定(認識)が可能である。
(7)本発明では、射撃手段ごとに異なる形状のビームを発射するために、1フレームで複数のビームポイントの座標検出が可能であり、複数人が同時に射撃に参加することができる。
(8)また、複数の発射手段からそれぞれ異なる波長のビームを発射させ、カメラにはそれぞれ異なるカット領域を有するフィルタを用いる場合は、一度に複数人の着弾点の座標取得が可能である。従って、複数人の同時又は随時の射撃が可能である。
(9)本発明は、レーザー銃が標的に命中する度にルールに従ってポイントを加算し、その最終得点により勝敗を決定する射撃ゲーム装置として用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の射撃模擬装置の基本的構成要素を示す概念図。
【図2】主として画像データ出力装置の構成を示すブロック図。
【図3】射撃台移動装置の一例を示す側面図。
【図4】射撃台位置検出装置の一例を示す回路図。
【図5】表示画像に対する処理の内容を説明するフローチャート。
【図6】投影処理時のフローチャート。
【図7】本発明に係るライブラリを静止画像表示プログラムに組み込んで使用する場合のフローチャート。
【図8】本発明に係るライブラリを動画像表示プログラムに組み込んで使用する場合のフローチャート。
【図9】本発明に係るライブラリをリアルタイムCGプログラムに組み込んで使用する場合のフローチャート。
【図10】標的とビームポイントの座標演算、命中判定及び判定結果に基づく画像表示の制御に係る構成及び作用を示すブロック図。
【図11】主として補正画像の表示後の処理内容を説明するフローチャート。
【図12】撮影手段からの画像データの取り込みとその後の処理内容を説明するフローチャート。
【図13】他の実施例の概念図。
【図14】さらに他の実施例の概念図。
【符号の説明】
【0075】
100 画像データ出力装置
200 プロジェクタ(画像投影装置)
300 スクリーン
400 CCDカメラ、ビデオカメラ(撮影手段)
500 モニタ
600 レーザー銃
700 射撃台位置検出装置
10 射撃台
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン又は表示装置に表示されている画像中の標的を狙って模擬レーザー銃を発射した時、命中した場合は標的の被弾画像を、外れた場合は着弾画像を表示する射撃模擬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタからスクリーンに標的を含む画像を投影し、射撃者が模擬レーザー銃(以下、単にレーザー銃という。)を用いて光ビームをスクリーン上の標的に向けて発射した時、命中したか否かを判定し、命中したときは被弾画像を投影するようにした射撃模擬装置は、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開平5−322187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示された先行技術は、スクリーンを撮影する撮影手段が出力する画像信号からスクリーン上の着弾点、すなわち光ビームがスクリーン上に到達した点に生じる光点(以下、ビームポイントという。)の座標を演算する座標演算手段と、演算されたビームポイント座標と標的の表示位置の座標とを照合して、光ビームが標的に命中したか否かを判定する命中判定手段と、命中判定の結果に基づいて原画像に被弾画像又は着弾画像を合成して表示させる画像合成手段とを含むものである。そして、座標演算手段は、クロックパルスを出力するパルス発生部と、撮影手段の画像信号の垂直同期信号が出力されてからビームポイント検出信号が出力されるまでの間、クロックパルスをカウントするカウンタ部と、そのカウント値を所定の基準パルス数(画像の水平方向を走査するのに要する時間に相当するパルス数)で除算してスクリーン上のビームポイントのX座標及びY座標を演算出力する演算部とからなるものである。
【0004】
上記先行技術による着弾点検出方法は、ハードウェアによるパルスカウンタを用い、撮影手段の画像信号の垂直同期信号が出力されてからビームポイント検出信号が出力されるまでの間、クロックパルスをカウントするものである。従って、その前提として、撮影手段の撮影範囲をプロジェクタの画像投影範囲と一致させる必要がある(特許文献1の段落0030)。そして、プロジェクタの投影範囲とビデオカメラの撮影範囲を一致させるには、スクリーンの正面中央にプロジェクタとビデオカメラとを設置する必要がある。射撃者がスクリーンの正面の一番良く見える位置に存在する場合は、スクリーンへの写り込みが発生し、又は射撃者の眼の前にプロジェクタ又はカメラを設置する必要がある。このように、機器及び射撃者の存在位置が制約を受けていた。
【0005】
スクリーンへの写り込みが発生しない位置からプロジェクタで映像をスクリーンに投影する場合、又は、スクリーンへの写り込みが発生しない位置で射撃者がスクリーンの画像を見る場合は、プロジェクタの位置・投射方向など(以下、投影条件という。)及び観察者の位置など(以下、観察条件という。)により映像が歪んで見える。このような映像の歪みを解消する方法の一つとして、スクリーンの距離、傾斜角及び方位角などのパラメータを算出し、入力する原画像を上記パラメータを用いて補正(透視変換)して補正画像を出力するものが、特許文献2に開示されているが、上記従来方法は、具体的な実装方法についての記述がなく、処理速度に関する考慮もなされていない。従って、動画像の再生などのように、補正処理に高速性を要求されるアプリケーションへの適用が可能であるか甚だ疑問である。
【特許文献2】特開2001−61121号公報
【0006】
また、特許文献1の先行技術では、スクリーンに照射された光ビームのみを検出し、それ以外の画像を排除するために、撮影手段の前に透過フィルタを備えて、レーザービームと及びその近傍の帯域の光を選択的に通過させている。しかし、特許文献1に記載された透過フィルタは、レーザービームの近傍の帯域の光としか記述されておらず、使用波長が特定されていない。従って、射撃者には視認可能な光ビームで射撃することが趣向に富み望ましいが、上記先行技術は可視光レベルのレーザービームで実施する場合は、実現が不可能に近い。
【0007】
さらに、上記先行技術では、ビームポイントの座標取得を、レーザービームの近傍を透過フィルタ及び絞りを通して撮影して行っている。そして、光学的透過フィルタを介して、ビデオ画像などに含まれるノイズを全て除去することとしている。しかしながら、透過フィルタと絞りだけでは、ノイズは取り切れないので、着弾点の座標を特定することは困難であると考えられる。
【0008】
さらに、上記先行技術においては、ビームポイント撮影画像は二つの出力保持回路A、Bにより各フレーム毎に1フレーム以上遅れてゲーム演算回路22に送信される(特許文献1の段落0034〜0038)。従って、レーザービーム発射後の被弾画像又は着弾画像の投影に遅れがあるため、不自然であり、興ざめの原因となっている。
【0009】
加えて、先行技術においては、複数人の射撃者が射撃できるようにするための方法として、レーザー銃が射撃模擬装置の信号処理部に有線で電気的に接続されている。そして、順次を予め定められたレーザー銃からレーザービームが1フレーム毎に交互に出力するように制御している(特許文献1の段落0044)。従って、射撃者は光ビーム発射操作タイミングが規制されるので、複数人が文字通り同時に発射することはできず、任意の標的の狙いと発射の自由性に欠けているという印象が強い。さらに、複数人で射撃をする場合は、各人の光ビーム発射タイミングと標的の被弾画像又は着弾画像の投影タイミングの間の時差があるため、違和感がある。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、解決しようとする第一の課題は、撮影手段の撮影範囲とプロジェクタの投影範囲又はディスプレイの表示範囲とを一致させる必要がなく、また、撮影手段又は射撃者が任意の位置に存在することができる射撃模擬装置を提供することにある。
【0011】
本発明の第二の課題は、光ビーム発射タイミングと標的の被弾画像又は着弾画像の投影タイミングの間の時差の最小化が可能とされた射撃模擬装置を提供することにある。
【0012】
本発明の第三の課題は、プロジェクタでスクリーンに投影させる画像に歪みを発生させないようにして、射撃が容易にでき、かつ、命中判定が正確に行なわれるようにしたことができる射撃模擬装置を提供することにある。
【0013】
本発明の第四の課題は、複数人の射撃者が有線接続されていないレーザー銃を用いて同時に又はランダムな時刻に射撃することができ、かつ、各射撃者に対する命中判定を正確に行うことができる射撃模擬装置を提供することにある。
【0014】
本発明の第五の課題は、発射したビームポイントが標的からある程度の距離を外れた場合にも命中と判定されて着弾画像が投影又は表示されることにより、射撃命中の満足感が得られるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記第1の課題を解決するため、標的を含む画像のデータを出力する画像データ出力装置と、前記画像データ出力装置から画像データを入力して画像を投影する画像投影装置又は同画像を表示する画像表示装置と、前記画像データに基づいて前記画像投影装置の画像投影面又は前記画像表示装置の画像表示面に表示される画像に含まれる標的の座標値を検出する第1座標検出手段と、前記画像投影装置の画像投影面又は前記画像表示装置の画像表示面に近赤外線レベルのレーザービームを発射する射撃手段と、可視光線を除去するための光学フィルタを介して又は可視光線除去機能を有して、前記画像投影装置の画像投影面又は前記画像表示装置の画像表示面を撮影し、前記画像投影面又は画像表示面に前記レーザービームが到達して発生するビームポイントの画像データを取得する撮影手段と、前記撮影手段による撮影範囲に対して歪み補正などの幾何学的変換を行う画像処理手段と、歪み補正などをされた後の撮影画像の中のビームポイントの座標値を検出する第2座標検出手段と、前記標的の座標値と前記ビームポイントの座標値とを照合して両座標値が一致するか否かにより前記射撃手段からのレーザービームが前記標的に命中したか否かを判定する命中判定手段と、命中と判定されたときは被弾画像を、外れと判定されたときは着弾画像を前記画像データ出力装置から出力される標的を含む画像に合成する画像合成手段とを有することを特徴としている(請求項1)。
上記構成により、撮影される画像の歪みが投影画像と一致するように補正されるから、撮影手段側で撮影範囲を投影範囲と一致させる必要がない。従って、射撃者のスクリーンへの写り込みを生じることなく、射撃模擬を楽しむことができる。
【0016】
本発明は、画像投影装置が映像プロジェクタであり、画像投影面がスクリーンである場合に、画像データ出力装置は、射撃者の位置などの観察条件、前記映像プロジェクタの位置・方向・画角・アスペクト比などの投影条件及び前記スクリーンの形状を表す多角形メッシュをパラメータとして記憶しておく記憶部と、投影時に、入力した原画像を前記パラメータを含む所定の演算式により演算して透視変換を行い、かつ、透視変換後の座標系をテクスチャ座標系に変換し、そのテクスチャ座標系を用いてテクスチャマッピング機能により補正画像をフレームバッファに描画して、その補正画像を映像信号として前記映像プロジェクタに出力するグラフィックス・アクセラレータとを有することを特徴としている(請求項2)。
上記構成により、射撃者が射撃模擬中に一定の位置から射撃する場合は、投影される原画像に対してその位置に基づいた歪み補正処理がなされるので、射撃者は歪みのない投影画像に含まれる標的に向かって射撃を行うことができる。そして、撮影された画像の歪みが投影画像と一致するように補正されるから、撮影手段側で撮影範囲を投影範囲と一致させる必要がなく、かつ、命中判定が正確に行われる。
【0017】
本発明は、さらに、画像投影装置が映像プロジェクタであり、画像投影面がスクリーンである場合に、画像データ出力装置は、前記映像プロジェクタの位置・方向・画角・アスペクト比などの投影条件及び前記スクリーンの形状を表す多角形メッシュをパラメータとして記憶しておく記憶部と、射撃者の位置、視線方向、視野角などにより決定される視錘台のパラメータを随時取込み、そのパラメータ及び記憶部から読出した映像プロジェクタの位置、投影方向、画角などにより決定される投影錘台のパラメータ及び前記スクリーンの形状のパラメータを含む所定の演算式により演算して入力された原画像の透視変換を行い、かつ、透視変換後の座標系をテクスチャ座標系に変換し、そのテクスチャ座標系を用いてテクスチャマッピング機能により補正画像をフレームバッファに描画して、その補正画像を映像信号として前記映像プロジェクタに出力するグラフィックス・アクセラレータとを有することを特徴としている(請求項3)。
上記構成により、射撃者が射撃模擬中に移動しながら、又は移動した後に、射撃する場合は、投影される原画像に対してその移動した位置に基づいた歪み補正処理がなされるので、射撃者は常に歪みのない投影画像に含まれる標的に向かって射撃を行うことができる。そして、撮影された画像の歪みが投影画像と一致するように補正されるから、撮影手段側で撮影範囲を投影範囲と一致させる必要がなく、かつ、命中判定が正確に行われる。
【0018】
射撃手段は、画像投影装置の画像投影面又は前記画像表示装置の画像表示面に到達したとき発生するビームポイントが予め定められた互いに異なる形状となるレーザービームを発射する複数個が備えられ、歪み補正などをされた後の撮影画像の中のビームポイントが予め登録された形状のいずれであるかを認識するビームポイント形状認識手段と、命中判定手段が命中と判定した場合は、それぞれ当該ビームポイントの形状に対応して識別可能に命中表示を前記画像投影面又は前記画像表示面の中もくしは外に行う命中表示手段とが備えられていることが望ましい(請求項4)。
上記構成により、1台の撮影手段で複数人の射撃者が、各自の射撃手段を用いて射撃模擬を行うと、ビームポイントの形状がビームポイント形状認識手段により予め登録されたいずれであるかを認識する。命中判定手段が命中と判定したときは、命中表示手段が当該ビームポイントの形状に対応して命中表示を画像投影面又は前記画像表示面の中もくしは外に行う。この命中表示により、どの形状のビームポイントを発射した射撃手段が命中したかが判る。すなわち、複数人で射撃しても、命中表示から誰が命中したかが判る。
【0019】
射撃手段は、波長が互いに異なるレーザービームを発射する複数個が備えられ、撮影手段は前記レーザービームの波長の内、特定の波長のみを透過させるフィルタをそれぞれ備えた複数個が備えられ、命中判定手段が命中と判定した場合は、命中判定手段が命中と判定した場合は、その命中判定に供されたビームポイントの座標値を与えた撮影手段に対応して識別可能に命中表示を前記画像投影面又は前記画像表示面の中もくしは外に行う命中表示手段が備えられていることが望ましい(請求項5)。
上記構成により、複数人の射撃者が同時に又は異時に一つのスクリーン上の標的に向けて発射すると、一つの撮影手段は特定の波長のレーザービームのみを撮影する。各撮影手段からの撮影画像に含まれるビームポイントの座標値は標的の座標値と照合されて命中判定が行われる。そして、命中と判定されたときは、命中表示手段はその命中判定に供されたビームポイントの座標値を与えた撮影手段に対応して識別可能に命中表示を画像投影面又は画像表示面の中もくしは外に行う。こうして、複数人が同時又は異時に射撃しても、誰が命中したかが判るので、射撃模擬を楽しむことができる。
【0020】
標的の座標値を検出する第1座標検出手段とビームポイントの座標値を検出する第2座標検出手段の一方又は双方に、当該座標検出手段が得た座標値を拡大処理して一定の広がりを有するエリア座標値を求める座標値拡大手段を接続し、その座標値拡大手段により得られたエリア座標値を命中判定のために命中判定手段に与えるように構成することが好ましい(請求項6)。
上記構成により、射撃者が標的に向かって発射した場合、標的から外れた位置にレーザービームが到達したときは、そのビームポイントの座標値が拡大処理により拡大される。そして、命中判定においては、その拡大されたビームポイントのエリア座標値と標的の座標値とが照合される。又は、投影もしくは表示される画像の標的の座標値が拡大処理により拡大され、ビームポイントの座標値はその拡大された標的のエリア座標値と照合される。従って、命中確率が上昇する。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、撮影される画像の歪みが投影画像と一致するように補正されるから、撮影手段側で撮影範囲を投影範囲と一致させる必要がなく、従って、射撃者のスクリーンへの写り込みや機器の設置位置に制約を生じることなく、射撃模擬を楽しむことができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、射撃者が射撃模擬中に一定の位置から射撃する場合は、投影される原画像に対してその位置に基づいた歪み補正処理がなされるので、射撃者は歪みのない投影画像に含まれる標的に向かって射撃を行うことができ、撮影された画像の歪みが投影画像と一致するように補正されるから、撮影手段側で撮影範囲を投影範囲と一致させる必要がなく、かつ、命中判定が正確に行われる。
【0023】
請求項3の発明によれば、射撃者が射撃模擬中に移動しながら、又は移動した後に、射撃する場合は、投影される原画像に対してその移動した位置に基づいた歪み補正処理がなされるので、射撃者は常に歪みのない投影画像に含まれる標的に向かって射撃を行うことができる。そして、撮影された画像の歪みが投影画像と一致するように補正されるから、撮影手段側で撮影範囲を投影範囲と一致させる必要がなく、かつ、命中判定が正確に行われる。
【0024】
請求項4の発明によれば、1台の撮影手段で複数人の射撃者が、各自の射撃手段を用いて射撃模擬を行うことができ、複数人で射撃しても、命中表示から誰が命中したかが判る。
【0025】
請求項5の発明によれば、複数個の撮影手段と各射撃者の波長の異なる射撃手段を用いることにより、同時に又は異時に複数人の射撃者が一つのスクリーン上の標的に向けて発射しても、命中表示から誰が命中したかが判るので、射撃模擬を楽しむことができる。
【0026】
請求項6の発明によれば、標的の座標値を検出する第1座標検出手段とビームポイントの座標値を検出する第2座標検出手段の一方又は双方に、当該座標検出手段が得た座標値を拡大処理して一定の広がりを有するエリア座標値を求める座標値拡大手段を接続し、その座標値拡大手段により得られたエリア座標値を命中判定のために命中判定手段に与えるようにしたので、命中判定においては、ビームポイントのエリア座標値と標的の座標値、又は、ビームポイントの座標値と標的のエリア座標値、あるいは、いずれも拡大されたビームポイントのエリア座標値と標的のエリア座標値が照合される。従って、発射したレーザービームが標的からある程度外れた位置に到達しても、命中確率が上昇する。従って、細いレーザービームを発射するレーザー銃を用いる場合の命中困難性が軽減されるので、座標値拡大比率の設定により射撃レベルの応じた射撃練習又は射撃模擬を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の実施の形態を、標的を含む画像を、画像投影装置及び投影面がそれぞれプロジェクタ及びスクリーンである場合について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の射撃模擬装置の基本的構成要素を示す概念図、図2は主として画像データ出力装置の構成を示すブロック図、図3は射撃台移動装置の一例を示す側面図、図4は射撃台位置検出装置の一例を示す回路図、図5は投影処理時のフローチャート、図6はグラフィックス・アクセラレータによるテクスチャ座標変換及び頂点座標変換を説明する概念図、図7は本発明に関連するライブラリを静止画像表示プログラムに組み込んで使用する場合のフローチャート、図8は本発明に関連するライブラリを動画像表示プログラムに組み込んで使用する場合のフローチャート、図9は本発明に関連するライブラリをリアルタイムCGプログラムに組み込んで使用する場合のフローチャート、図10は標的とビームポイントの座標演算、命中判定及び判定結果に基づく画像表示の制御に係る構成及び作用を示すブロック図、図11は主として補正画像の表示後の処理内容を説明するフローチャート、図12は撮影手段からの画像データの取り込みとその後の処理内容を説明するフローチャートである。
【0028】
本発明装置の基本的構成を示す図1において、100は画像データ出力装置、200は画像投影手段の一例としてのプロジェクタ、300は画像表示媒体の一例としてのスクリーン、400は撮影手段の一例としてのビデオカメラ又はCCDカメラもしくは赤外線カメラ、500はモニタ、600はレーザー銃である。
【0029】
画像データ出力装置100は、
[1]標的を含む画像の画像データを格納し、画像表示モードの際にその画像データを読み出して、プロジェクタ200を介してスクリーン300に投影させる画像投影機能と、[2]投影された画像の中から標的を認識し、その標的の座標値を求める標的座標検出機能と、
[3]スクリーン300を撮影するビデオカメラ400から入力するビームポイントの画像データからそのビームポイントの座標値を求めるビームポイント座標検出機能と、
[4]標的座標値とビームポイント座標値とを用いて、レーザー銃600がスクリーンに向けて発射したビームが標的に命中したか否かを判定する命中判定機能と、
[5]命中判定において命中と判定された場合は被弾画像を呼び出してスクリーンに投影される投影画像と合成し、外れと判定した場合は着弾画像を呼び出してスクリーンに投影される投影画像と合成する画像合成機能とを有している。
その合成画像に基づいて、スクリーンには命中した標的が被弾した画像が投影され、又は外れた標的の付近に着弾した画像が投影されるようになっている。
以下に、上記各機能について順次区分けして説明する。
【0030】
[1]画像投影
本発明による画像データ出力装置100は、図2に示すように、各種の演算及び各部の制御を司るCPU101と、各種プログラム、原画像、被弾画像及び着弾画像の各画像データを格納しているハードディスク102と、主たる機能を実現する基本的構成要素としてのグラフィックス・アクセラレータ103と、データバスDBを介して入力するデータの格納、CPU11による展開のためのデータの授受、前記グラフィックス・アクセラレータ103へのデータの入出力を行うメインメモリ104と、ビデオカメラ400から入力されるビデオ映像に対して歪み補正を行うためのビデオキャプチャ105とを有している。
【0031】
画像データ出力装置100は、また、撮影画像の有効範囲を設定するためのキーボード106や、撮影された画像及び補正後の画像を確認するためのモニタ500がグラフィックス・アクセラレータ103に接続されている。
【0032】
本発明による射撃模擬装置を用いての射撃模擬(以下、単に射撃という。)の態様には、スクリーンに投影されている画像に含まれている標的に目掛けて射撃者が固定の場所から発射する態様と、ゲーム中に射撃者が移動して異なる場所から発射する態様とがあり得る。いずれの場合も、プロジェクタがスクリーンの正面中央に設置されている場合は、スクリーンには上下水平で左右が垂直の矩形画面が投影されるが、射撃者が画像に写り込むので、これを防止するため通常はプロジェクタは左右又は上下に寄った位置に設置される。スクリーンへの射撃者の写り込みが生じない位置にプロジェクタが設置される場合は、射撃者のスクリーンに対する位置によって、スクリーンに投影される画像が歪んで見える。そこで、本発明では、画像投影時にその画像の歪みを補正するための画像処理がなされる。
【0033】
画像補正方法は、射撃者が射撃中に移動しないか、移動するかにより、補正のためのパラメータの取得方法が異なる。
射撃中に移動しないで、一定の位置から射撃する場合は、画像データ出力装置100には、射撃者の位置などの観察条件、プロジェクタ200の位置・方向・画角・アスペクト比などの投影条件及びスクリーン300の形状を表す多角形メッシュをパラメータとして記憶しておく記憶部(外部記憶装置)と、投影時に、入力した原画像を前記パラメータを含む後記の所定の演算式1,2を演算実行して透視変換を行い、かつ、透視変換後の座標系をテクスチャ座標系に変換し、そのテクスチャ座標系を用いてテクスチャマッピング機能により補正画像をフレームバッファに描画して、その補正画像を映像信号として映像プロジェクタ200に出力するグラフィックス・アクセラレータ103とが備えられる。
【数1】
【数2】
【0034】
これに対して、射撃者が射撃準備中に移動する場合は、画像データ出力装置100には、プロジェクタ200の位置・方向・画角・アスペクト比などの投影条件及びスクリーン300の形状を表す多角形メッシュをパラメータとして記憶しておく記憶部(外部記憶装置)と、射撃者の位置、視線方向、視野角などにより決定される視錘台のパラメータを随時取込み、そのパラメータ及び記憶部から読出した映像プロジェクタの位置、投影方向、画角などにより決定される投影錘台のパラメータ及びスクリーン300の形状のパラメータを含む上記演算式1,2を演算実行して入力された原画像の透視変換を行い、かつ、透視変換後の座標系をテクスチャ座標系に変換し、そのテクスチャ座標系を用いてテクスチャマッピング機能により補正画像をフレームバッファに描画して、その補正画像を映像信号としてプロジェクタ200に出力するグラフィックス・アクセラレータ103とが備えられる。
【0035】
以下には、射撃者が射撃準備中に移動する場合(すなわち、視点が随時又は連続的に移動する場合)の画像補正について説明し、射撃者が移動せずに、固定の場所で射撃をする場合の画像補正については、付随的に説明する。
射撃者が射撃準備中に随時又は連続的に移動する場合に対応する付加構成要素として、図3に例示するような移動射撃台(観察台)が設けられ、その射撃台に付属する位置検出装置700(図2)がインタフェース(図示省略)を介してデータバスDBに接続されている。
【0036】
グラフィックス・アクセラレータ103は、原画像を格納するのに充分な容量のテクスチャメモリ103a及び1フレーム分の映像データを格納可能なフレームバッファ103bを有するともに、描画パイプラインの一部として、3つの機能、すなわち、(ア)テクスチャマッピング機能、(イ)テクスチャ座標変換機能、(ウ)頂点座標変換機能を有する。
【0037】
テクスチャマッピング機能は、三次元モデルであるスクリーン形状(ポリゴン座標系)にテクスチャメモリ103aに格納されている二次元画像であるテクスチャを貼り付ける機能である。テクスチャ座標変換機能は、設定された行列により、入力されたテクスチャ座標を変換してテクスチャメモリ103a内の画素位置として出力する機能である。また、頂点座標変換機能は、設定された行列により、入力された各ポリゴンの頂点座標を変換してフレームバッファ103b内の画素位置として出力する機能である。
現在市販されているパーソナルコンピュータ(PC)用グラフィックス・アクセラレータ及びグラフィックスワークステーション(WS)の大多数は、上記3機能を提供している。
【0038】
移動射撃台10は、図3に示すように、これに射撃者が乗り込み、スクリーン300に投影された画像を観察し、その画像に登場する標的に向けてレーザー銃600から光ビームを発射するためのものであり、第1テーブル11に固定されている。図3において、移動射撃台10の左側がスクリーン300に対向する前方であり、右側が後方である。第1テーブル11は、第1サーボモータM1により駆動される昇降手段12により昇降される。13は、射撃台10を負荷とする第1テーブル11の昇降時及び射撃者乗降の際のバランスを保つためのコイルスプリング又はガススプリングなどの弾性支持手段である。
【0039】
昇降手段12及び弾性支持手段13の下端部は、第2テーブル14の上面に固定されている。第1サーボモータM1の回転により、射撃台10は上下方向、すなわち、Z軸方向に移動可能である。
【0040】
第2テーブル14の下面には、一例として、4個の車輪15が矩形の各角部に相当する位置に設けられ、少なくとも後方の一対の車輪は第2サーボモータM2により正方向又は逆方向に回転されるようになっている。
【0041】
前記4個の車輪15は、その下側に設置されていて、前後方向に長い第3テーブル16の上面に図3の紙面に垂直方向に平行に隔てて敷設してある2本のレール17に沿って転動可能である。そして、第2サーボモータM2の回転により、射撃台10は前後方向、すなわち、Y軸方向に移動可能である。18は、前後両終端で第2テーブル14を止めるストッパである。
【0042】
第3テーブル16は、その前後方向の複数箇所において、映像投影室の床面19に突設された支持レール110の上面に回転自在に設けられたローラ111よって支持されている。そして、第3テーブル16の下面に突設されたガイドローラ112が各支持レール110の互いに反対側の面に当接されて、一定の位置で左右方向(図3の紙面に垂直方向)に移動自在に支持されている。その少なくとも1個のガイドローラ112が第3サーボモータM3により回転されて、第3テーブル16は、スクリーン300方向に対して直角方向、すなわち、X軸方向に移動されるようになっている。こうして、射撃台10は、X,Y,Zの座標値により決められる任意の位置に移動可能である。
【0043】
通常は、射撃台10がスクリーン300の中心を通る水平直線上(支持レール110の長手方向中央)、レール17の前後方向の中央、第1テーブル11の最下位に存在するときが、X,Y,Zの座標値0(X0,Y0,Z0)、すなわち、原点とされ、その原点より右側が+X,左側が−X,原点から前方が+Y,後方が−Y,原点から上方が+Z,下方が−Zなどに決定することができる。
【0044】
そして、射撃台10の時々刻々変わりうる現在位置を座標データで表すために位置検出装置700が備えられている。図4に示すように、位置検出装置700は、各モータM1,M2,M3により回転されるロータリーエンコーダE1,E2,E3と、各ロータリーエンコーダから出力されるパルスを入力して計数するカウンタC1,C2,C3と、各カウント値を座標値に変換するコンバータCNVとからなっている。このコンバータCNVの出力値がデータバスDBを介して記憶部(RAM)に随時取り込まれるようになっている。
【0045】
なお、第3テーブル16の支持機構及び移動機構、並びに位置検出装置は、上述されたものに限られない。とくに、位置検出装置700は、レーザー光や赤外線等を用いる光学的位置検出方法、レールに沿って設けた磁気的検出方法などの既知の方法を用いることができる。
【0046】
射撃準備中に射撃台が移動する場合の実施例においては、スクリーン300に投影される画像の歪みを補正するために、準備処理として、3種のパラメータである観察条件パラメータ(視錘台)、投影条件パラメータ(投影錘台)、及びスクリーンの形状パラメータのうち、変動のない投影条件パラメータとスクリーン形状パラメータは、外部記憶装置に記録されている。しかし、観察条件パラメータについては、投影処理時に、上記位置検出装置から随時入力されるデータを用いるようになっている。射撃準備中に射撃者が移動しない場合は、準備処理として、上記3種のパラメータが全て外部記憶装置に記録される。
【0047】
次に、このパラメータの取込み処理について詳細に説明する。
錘台は透視変換を表現するため一般的に用いられる概念であり、頂点(Apex)を基準としたl(left),r(right );b(bottom),t(top );n(near),f(far )の6つの値により決定されるが、上記位置検出送致から取り込まれる座標値−X,+X;−Y,+Y;−Z,+Zがそれぞれl(left),r(right );n(near),f(far );b(bottom),t(top )に相当する。
【0048】
準備処理における視錘台・投影錘台の指定は、下記のいずれかの方法で行う。
1)l,r,b,t,n,fを直接指定する。
2)視野角/画角、アスペクト比、n,fにより間接的にl,r,b,tを指定する。 ただし、左右上下に非対称な錘台を指定する場合は、1)の方法を用いる必要がある。 スクリーン形状は、何らかの方法、例えば、スクリーン設計時のCADデータを使用したり、三次元形状スキャナを使用したりなどにより、多角形メッシュとして表現され得るものである。準備処理では、この多角形メッシュを構成する頂点配列をパラメータとして指定する。
準備処理において指定する全てのパラメータは、原点の位置、座標系(XYZ各軸の方向と、回転の正負方向)及び単位系(メートル、ラジアンなど)の情報を共有する必要がある。
【0049】
続いて、図5及び図6に基づいて投影時の画像歪み補正処理を詳細に説明する。図5は投影時処理のフローチャート、図6はグラフィックス・アクセラレータによるテクスチャ座標変換及び頂点座標変換を説明する概念図である。
投影時の処理は、上述の記録されたパラメータを用いて、次の処理を行うことにより、フレームバッファ103bに補正済み画像を格納する。そして、そのフレームバッファ103bに格納された補正済み画像を、映像信号としてプロジェクタ200に出力するようになっているが、投影時の処理においては、まず、
1)S41において、入力する原画像をテクスチャメモリ103aに転送して格納する。 原画像をテクスチャメモリに格納するには、下記の幾通りかの方法が採用可能である。すなわち、(ア)ビデオキャプチャ105により入力した画像をテクスチャメモリ103aに転送する方法。(イ)フレームバッファ103b上の画像をテクスチャメモリ103aに複写する方法。及び、(ウ)テクスチャメモリ103aに対して直接描画する方法である。
2)次に、S42において、射撃台100の位置検出装置700から随時取り込まれる観察条件に従って、スクリーン形状の各頂点にテクスチャ座標を設定する。実際の処理では、図6に示すように、上記演算式1の行列Moを上述されたグラフィックス・アクセラレータ103のテクスチャ座標変換機構131に設定する。
3)また、S43において、投影条件に従って、スクリーン形状の各頂点を座標変換する。実際の処理では、図6に示すように、上記演算式2の行列Mpをグラフィックス・アクセラレータ103の頂点座標変換機構132に設定する。
4)そして、S44において、頂点座標変換機構132及びテクスチャ座標変換機構131にスクリーン形状の頂点座標Vを入力することにより、スクリーン形状を描画する。 結果として、図6に示すように、テクスチャとして参照される原画像の画素座標Rから出力画像の画素座標R’への転送(R→R’)が行われる。これをスクリーン形状の全頂点に対して連続的に行って、スクリーン形状を描画することにより、フレームバッファ103bに補正済み画像を得る。この補正済み画像が、映像信号として図2のプロジェクタ200などに出力される。
なお、フレームバッファ103bの各R’の間の画素は、グラフィックス・アクセラレータにより適宜補間された値が設定される。
【0050】
上述した画像歪み補正方法を実行するプログラムは、画像投影アプリケーションプログラムの一部に組み込んで使用される単体プログラムとして、すなわち、歪み補正ソフトウェアライブラリ(以下、補正ライブラリ)として、次の内容を有して提供可能である。
補正ライブラリは、下記の特徴を有している。
補正ライブラリは、ANSI(American National Standard Institute)C/C++規格に準拠して記述されており、様々なプラットフォームに容易に移植可能である。また、補正ライブラリは、グラフィックス・アクセラレータへのインタフェースとして、広く一般的に使用されているプラットフォームであるOpenGL又はDirectXのいずれかを選択的に使用可能になっており、両者のいずれかをサポートするグラフィックス・アクセラレータを使用可能である。
【0051】
補正ライブラリは、アプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)として、下記の関数群をエクスポートする。
1)初期化関数
これは、準備処理において、ハードディスクなどで構成されるファイルシステム上のファイル(以下、設定ファイルという)に記録された、観察条件、投影条件、スクリーン形状などの各種パラメータを読み込み、歪み補正処理に必要な実行環境を整えるものである。
2)テクスチャメモリへの画像転送関数
これは、メインメモリ104上に展開された原画像又はフレームバッファ103b上の原画像をテクスチャメモリ103aへ転送するものである。
3)歪み補正実行関数
これは、グラフィックス・アクセラレータ103の前記テクスチャ座標変換機構131及び頂点座標変換機構132を適宜設定し、スクリーン形状を描画することにより、フレームバッファ103b上に補正済み画像を得るものである。
4)終了関数
これは、前記初期化関数で確保した各種システムリソース(メインメモリ領域、テクスチャメモリ領域など)を解放して、上記画像歪み補正処理を終了するためのものである。
【0052】
上記のような補正ライブラリは、前記APIを通じて、画像歪み補正処理を必要とする様々なユーザプログラムに組み込んで利用することが可能である。例として、下記の3種のユーザプログラムに組み込んで使用する場合を、項を分けて説明する。
【0053】
1)静止画像表示プログラムの場合
このプログラムは、ハードディスクなどに記録された、静止標的を含む画像の画像ファイルを読み込み、これを描画(すなわち、フレームバッファ103bに転送)し、画像出力する類のプログラムである。この種のプログラムに画像歪み補正機能を組み込むには、補正ライブラリを図7に示すように使用する。
このプログラムは、S61において、補正ライブラリの初期化関数を呼び出すことにより、設定ファイルを読み込み、上記演算式1及び上記演算式2の行列Mo、Mpを作成してメインメモリに記憶し、原画像を格納するために必要なテクスチャメモリ領域を確保する。
S62において、任意の方法により対象となる画像ファイルを特定して、画像データをメインメモリに展開する。
S63において、補正ライブラリの画像転送関数を呼び出すことにより、メインメモリに展開された画像データをテクスチャメモリに転送する。
S64において、補正ライブラリの歪み補正実行関数を呼び出すことにより、フレームバッファに補正済み画像を得る。
S65おいてプログラム終了時には、S66おいて、補正ライブラリの終了関数を呼び出すことにより、初期化関数で確保した各種システムリソースを解放して、処理を終了する。
【0054】
2)動画像表示プログラムの場合
このプログラムは、ハードディスクなどに記録された、移動標的を含む画像の動画ファイルから1フレームずつ連続して画像データを読み込み・描画し、動画像として画像出力する類のプログラムである。この種のプログラムに画像歪み補正機能を組み込むには、補正ライブラリを図8のように使用する。すなわち、
このプログラムは、S71において、補正ライブラリの初期化関数を呼び出すことにより、設定ファイルを読み込み、演算式1・2の行列Mo、Mpを作成してメインメモリに記憶し、原画像を格納する為に必要なテクスチャメモリ領域を確保する。
S72において、任意の方法により対象となる動画ファイルを特定して、データストリームへのハンドルを得る(すなわち、オープンする)。
S73において、データストリームから1フレーム分の画像データを読み込み、メインメモリ104に展開する。
S74において、補正ライブラリの画像転送関数を呼び出すことにより、メインメモリ104に展開された画像データをテクスチャメモリ103aに転送する。
S75において、補正ライブラリの歪み補正実行関数を呼び出すことにより、フレームバッファ103bに補正済み画像を得る。
S76において、最終フレームの処理を終えたら、S77において、動画ファイルのデータストリームを解放する(すなわち、クローズする)。
S78において、プログラム終了時には、S79において、補正ライブラリの終了関数を呼び出すことにより、初期化関数で確保した各種システムリソースを解放して、処理を終了する。
【0055】
3)リアルタイムCGプログラムの場合
このプログラムは、ユーザの入力などのイベントにより動的に変化するシーンを1フレームずつ描画していく類のプログラムである。この種のプログラムに映像歪み補正機能を組み込むには、補正ライブラリを図9のように使用する。
このプログラムは、S81において、補正ライブラリの初期化関数を呼び出すことにより、設定ファイルを読み込み、演算式1・2の行列Mo、Mpを作成してメインメモリに記憶し、原画像を格納するために必要なテクスチャメモリ領域を確保する。
【0056】
S82において、キーボード、マウス入力などのイベントに応じて、表示すべきシーンの内容を適宜変化させる。
S84において、シーンを描画し、フレームバッファ103bに1フレーム分の画像を得る。
S83において、プログラム未終了時には、S84において、補正ライブラリの画像転送関数を呼び出すことにより、フレームバッファ上の画像データをテクスチャメモリに複写する。(ただし、グラフィックス・アクセラレータによっては、テクスチャメモリに対して直接描画することができる場合がある。この場合は、S85の処理は不要となる。) S86において、補正ライブラリの歪み補正実行関数を呼び出すことにより、フレームバッファ103bに補正済み画像を得る。
S83においてプログラム終了時には、S87において、補正ライブラリの終了関数を呼び出すことにより、初期化関数で確保した各種システムリソースを解放して、処理を終了する。
【0057】
上記実施の形態において、図5のS41,S42,S43,S44はそれぞれ、入力する原画像をテクスチャメモリに転送する手段、観察条件に従ってスクリーン形状の各頂点にテクスチャ座標を設定する手段、投影条件に従ってスクリーン形状の各頂点を座標変換する手段、座標変換をされたスクリーン形状を描画する手段を構成する。また、図8の131及び132は、それぞれS42による設定に基づきテクスチャ座標を変換するテクスチャ座標変換手段、S43による設定に基づきスクリーン形状の各頂点の座標を変換する頂点座標変換手段を構成している。
【0058】
[2]標的の認識及び座標検出
画像データ出力装置100のグラフィックス・アクセラレータ103は、メインメモリ104から受け取った画像データの中の各画素に対応する濃度値の特徴を調べて、当該画像の中に所定の標的が存在するか否かを識別する標的検出手段(図示せず)を有している。濃度値の特徴とは、濃度値に急激な変化がある部分である。標的は、例えば、車両や動物や記号などの特定の形状を有しているので、その標的の輪郭は一般的に急激な濃度値の変化を有している。標的検出手段は、その濃度値の特徴からその輪郭形状を認識するものである。そして、認識された形状は、ハードディスク102の標的形状データファイルに格納されている形状と比較され、一致する形状が存在する場合には、標的が存在するものと判定され、図10に示すように、その標的検出信号を入力された標的座標値検出手段103cがその濃度値の急激な変化が検出された時の画素の座標値を、その標的の座標値として出力するようになっている。
【0059】
[3]スクリーンの撮影及びビームポイント座標検出
画像データ出力装置100のデータバスDBには、撮影手段であるCCDカメラ(以下、単にカメラという。)400が接続され、そのカメラで撮影された画像データがビデオキャプチャ105の撮影画像データ格納部に格納されるようになっている(図12のS21)。
カメラ400は、レーザー銃600の標的が投影されるスクリーン300を撮影するものであり、その目的は、レーザー銃から発射されるビームのスクリーン上の到達点(ビームポイント)を検出することである。
そして、カメラ400は、そのカメラレンズの前に可視光線、すなわち、波長が例えば800nm以下の光線を除去し、例えば波長802nm以上の赤外線のみを透過させる光学フィルタ400Fを置いて用いられる。レーザー銃600には、フィルタ400Fでは除去されない、例えば波長802nm以上の赤外線のレーザービームを発射するものが用いられる。従って、スクリーンに投影されている様々な形状及び色彩の画像の中から、レーザー銃から照射され、スクリーンに到達したビームポイントの画像のみがフィルタ400Fを透過してカメラ400に撮影される。
【0060】
スクリーン300にレーザー銃から発射されたレーザービームがスクリーン300に投影された画像の中の標的に命中したことを確認するには、ビームポイントの座標値と標的の座標値とが一致したか否かを判定しなければならない。それには、ビームポイントの座標系と標的の座標系とを一致させた上で、両座標値を照合する必要がある。ところで、カメラの撮影画像は、そのスクリーンに対する相対的位置関係により、ウィンドウの大きさ、フレームの形状が大きく異なり、一般的には画像に歪みが生じる。そこで、本発明では、カメラから入力する画像に対して、撮影画像(表示画像)に対する歪み補正と同じ原理で、グラフィックス・アクセラレータ105の幾何学的変換手段103dにより主として歪み補正のための、必要時には拡大や回転のための、画像処理を行っている(S22)。すなわち、カメラからメインメモリに格納された撮影画像データの各画素に対して周知の方法により幾何学的変換を行っている。
【0061】
この撮影画像の補正方法には、次の2つがある。その一つは、図2に示すように、グラフィックス・アクセラレータ105には、モニタ500が接続されているので、カメラ400で撮影された画像をモニタ500に映し出しながら、キーボード106又はマウス(図示省略)を操作して、モニタ上の撮影画像の左右上下の4頂点を指定することにより、撮影画像形状をスクリーン上の投影画像形状と一致するように調整して、歪みを補正し、かつ、撮影画像データの取得範囲を指定する方法である。
【0062】
他の方法は、スクリーン300上の所要の4点にレーザー銃で発射してビームポイントにより撮影画像の4頂点を指定し、これをカメラ400で撮影し、その撮影画像の歪み補正(幾何学的変換)処理により撮影画像形状をスクリーン上の投影画像形状と一致させることにより、撮影画像の補正を自動的に行う方法である。
【0063】
このようにして撮影画像データの座標系が投影画像データの座標系と一致された後、ビームポイント座標検出手段103eにより撮影画像データの中のビームポイントの座標値が検出される(S23)。そのビームポイントの画像が何番目の画素に存在するかにより座標値が決定される(図12のS23)。そのビームポイント座標値は命中判定のために送信される(S24)。
【0064】
[4]命中判定
図11のS12において、両座標値検出手段103c,103eにより得られた座標値が入力する(S12でY)とCPUにおいて命中判定が行われる。
続いて、図10に示すように、投影画像の中から順次検出される標的の座標値データと、撮影画像の中から順次検出されるビームポイントの座標値データは、画像データ出力装置100のCPUにより構成されている命中判定手段101aに随時与えられ、両座標値が一致するか否かにより、レーザー銃600による射撃が標的に命中したか、外れたかが判定される。
ハードディスク102には、1種又は複数種の被弾画像データ、すなわち、レーザービームが標的に命中した時の爆発・発炎・破壊などのイメージ画像のデータと、1種又は複数種の着弾画像データ、すなわち、外れた弾丸が着弾して発煙・発炎等のイメージ画像のデータが格納されている。
そして、この射撃模擬装置が起動されたときに、それらの画像データがメインメモリ104に転送され、命中判定手段101aが命中と判定した場合は、被弾画像データがメインメモリ104から読み出され、テクスチャメモリ103aに転送されて、画像合成手段103fにより、投影画像データと被弾画像データが合成され、その合成画像データがフレームバッファ103bに与えられ、プロジェクタ200に出力される。これにより、スクリーン300上に当該標的が被弾した画像が投影されるようになっている。また、命中判定手段101aが外れと判定した場合は、着弾画像データがメインメモリ104から読み出され、テクスチャメモリ103aに転送され、画像合成手段103fにより投影画像データと着弾画像データが合成され、その合成画像データがフレームバッファ103bに与えられてプロジェクタ200に出力される。これにより、スクリーン300上に当該標的から外れた位置に着弾した画像が投影されるようになっている。
【0065】
ハードディスク102に、複数種の被弾画像データと、複数種の着弾画像データが格納されている場合は、投影画像の中に登場する標的の種類をも認識する手段を付加し、その認識した標的の種類に対応して予め定めた被弾画像を合成して出力することができ、標的の違いに応じて変化に富んだ被弾画像又は着弾画像を表示することができる。
【0066】
続いて、他の実施例について説明する。図1に示された実施例は、射撃者が一人である場合の例であって、この場合は、一つのレーザー銃600により発射されたビームポイントを一つのカメラ400で撮影する。これに対して、図13に示すように、形状の互いに異なるビームポイントPA 〜PC を発射できる複数のレーザー銃600A ,600B ,600C を複数人が用い、かつ、ハードディスク102に予めビームポイントの形状を記憶させておいて、カメラ400から入力したビームポイントの形状がその記憶させてある形状のいずれかと一致する場合は、そのビームポイントについて命中判定を行うことができる。従って、この実施例では、1台のカメラ400だけで同時に複数人の射撃者が模擬射を行うことができる。
【0067】
また、図14に示すように、複数人の射撃者がそれぞれ発射ビームの周波数が異なる複数のレーザー銃6001 ,6002 ,6003 …を用い、射撃者と同数のカメラ4001 ,4002 ,4003 …に、それぞれ透過可能な周波数がそれぞれのレーザー銃の発射光線の周波数と等しい透過フィルタ400F1 ,400F2 ,400F3 を装備することにより、ビームポイントの形状を相互に変えなくとも、同時に遊戯する射撃者のうち誰が命中したかを識別することができる。
【0068】
上述の実施例において、標的が登場する画像を表示する手段は、プロジェクタとスクリーンの組み合わせに限定されるものではない。壁をスクリーン代わりに用いることもできる。また、プロジェクタを用いずに、フレームバッファ103bからのビデオ信号を直接に入力されて標的が登場する画像を表示するCRT(ブラウン管ディスプレイ)、LCD(液晶ディスプレイ)あるいはPD(プラズマディスプレイ)等の画像表示装置であっても良い。
【0069】
さらに、上述の実施例において、レーザー銃600,600A〜600C,6001 〜6003 は光ビーム発射手段の形状の一例に過ぎない。光ビーム発射手段は、各種の模擬火器、模擬発射機器、発射玩具、例えばロケットランチャー、消火器、消火ホース等とすることもできる。
【0070】
上述の命中判定においては、ビームポイントの座標値が標的の座標値と完全に一致したときを命中と判定して、被弾画像を表示するようにした。しかし、レーザー銃の操作や狙い方に不慣れの者には、命中はなかなか困難である。容易に被弾画像が表示されない場合は、興味が殺がれる恐れがある。そこで、好ましい実施例では、ビームポイントの座標値設定を少し緩やかに行うことが良い。すなわち、検出した座標値に一定の広がりのある座標値を付加することにより、ビームポイントが標的から若干外れても命中と判定して、被弾画像を表示するように余裕をもたせることができる。また、ビームポイントの大きさや形状によって、命中判定基準を広めることにより、例えば、ビーム発射手段が破壊力の大きい模擬火器である場合は、標的から多少外れても標的が被弾して破壊又は焼失されるなど、実際の被弾状況に近似する情景を表示して、迫真性に富む射撃模擬を行うことができる。
【0071】
命中判定基準を緩やかにすることは、図10の標的座標検出手段103cとビームポイント座標検出手段103eの一方又は双方に、当該座標検出手段103c,103eが得た座標値を拡大処理して一定の広がりを有するエリア座標値を求める座標値拡大手段(図示せず)を接続し、その座標値拡大手段により得られたエリア座標値を命中判定手段101aに与えることにより実現することができる。標的の座標値を拡大するには、図10のグラフィックス・アクセラレータ103より得られる画像データの中の標的のボリュームのデータを用い、これを上記のエリア座標値の代替データとして命中判定手段101aに与えることもできる。
【0072】
上記実施例は、投影画像(又は表示画像)の補正、撮影画像の補正、標的及びビームポイントの座標検出、命中判定、投影画像(又は表示画像)と被弾画像又は着弾画像の画像合成等の処理を1台の画像データ出力装置100で実行する場合の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、概念的には、画像データ出力装置100を第1装置と第2装置に分割し、第1装置には投影画像(又は表示画像)の補正、標的座標検出、命中判定及び画像合成の処理を実行させ、第2装置には撮影画像の補正、ビームポイント座標検出の処理を実行させることもできる。
【0073】
上記の本発明による射撃ゲーム装置の特長を挙げると、次の通りである。
(1)撮影される画像は、画像処理によりスクリーンの投影範囲又はディスプレイの表示範囲及び射撃有効範囲と自動的に整合されるので、撮影手段による撮影範囲を投影範囲又は表示範囲及び射撃有効範囲と一致させる操作が不要である。
(2)スクリーンの形状パラメータの歪みを補正する式に、ビデオカメラの画像との変換式へ渡す数値を渡すことにより、撮影画像及び/又は投影画像を画像処理により補正しているので、平面に投影される画像と射撃範囲の設定はもちろん、歪んだスクリーンにも対応させることができる。
(3)ビーム発射手段は、画像データ出力装置と電気的に接続される必要がなく、独立している。従って、射撃者はコード接続などで拘束されることなく、自由な射撃行動をとることができる。
(4)射撃手段が発射するレーザービームには可視光線以外の、例えば800nm以上の赤外線を用い、可視光線をカットするフィルタを用いて撮影手段で撮影するので、スクリーン上の可視光線によるノイズの影響を受けずにビームポイント検出を確実に行うことができる。
(5)上記実施例では、レーザー銃から発射するビームの波長を800nm台としたので、ノイズ除去のためにフィルタを必要とした。しかし、CCDカメラの中には波長が900nm台の赤外線のみを透過させる、フィルタ機能を備えたもの(赤外線カメラ)があるので、このようなカメラを用いる場合は、可視光線カット用フィルタの使用が不要となる。さらに、自然界に存在しない1550nm台のビームを発射するレーザー銃を使用する場合は、可視光線カット用フィルタを用いずに屋外で投影画像又は表示画像に発射されるビームのビームポイント座標取得が可能である。従って、屋外での発射訓練を効果的に行うことができる。
(6)ビームの波長を800nm台とする場合は、可視光線カットフィルタを用いるだけでは、全てのノイズを除去することはできない。さらにカメラの絞りを使っても、全てのノイズを除去することはできない。本発明では、カメラで取得する画像をCGによる画像処理の閾値を利用しているので、ビームポイント(着弾点)の特定(認識)が可能である。
(7)本発明では、射撃手段ごとに異なる形状のビームを発射するために、1フレームで複数のビームポイントの座標検出が可能であり、複数人が同時に射撃に参加することができる。
(8)また、複数の発射手段からそれぞれ異なる波長のビームを発射させ、カメラにはそれぞれ異なるカット領域を有するフィルタを用いる場合は、一度に複数人の着弾点の座標取得が可能である。従って、複数人の同時又は随時の射撃が可能である。
(9)本発明は、レーザー銃が標的に命中する度にルールに従ってポイントを加算し、その最終得点により勝敗を決定する射撃ゲーム装置として用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の射撃模擬装置の基本的構成要素を示す概念図。
【図2】主として画像データ出力装置の構成を示すブロック図。
【図3】射撃台移動装置の一例を示す側面図。
【図4】射撃台位置検出装置の一例を示す回路図。
【図5】表示画像に対する処理の内容を説明するフローチャート。
【図6】投影処理時のフローチャート。
【図7】本発明に係るライブラリを静止画像表示プログラムに組み込んで使用する場合のフローチャート。
【図8】本発明に係るライブラリを動画像表示プログラムに組み込んで使用する場合のフローチャート。
【図9】本発明に係るライブラリをリアルタイムCGプログラムに組み込んで使用する場合のフローチャート。
【図10】標的とビームポイントの座標演算、命中判定及び判定結果に基づく画像表示の制御に係る構成及び作用を示すブロック図。
【図11】主として補正画像の表示後の処理内容を説明するフローチャート。
【図12】撮影手段からの画像データの取り込みとその後の処理内容を説明するフローチャート。
【図13】他の実施例の概念図。
【図14】さらに他の実施例の概念図。
【符号の説明】
【0075】
100 画像データ出力装置
200 プロジェクタ(画像投影装置)
300 スクリーン
400 CCDカメラ、ビデオカメラ(撮影手段)
500 モニタ
600 レーザー銃
700 射撃台位置検出装置
10 射撃台
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的を含む画像のデータを出力する画像データ出力装置と、前記画像データ出力装置から画像データを入力して画像を投影する画像投影装置又は同画像を表示する画像表示装置と、前記画像データに基づいて前記画像投影装置の画像投影面又は前記画像表示装置の画像表示面に表示される画像に含まれる標的の座標値を検出する第1座標検出手段と、前記画像投影装置の画像投影面又は前記画像表示装置の画像表示面に近赤外線レベルのレーザービームを発射する射撃手段と、可視光線を除去するための光学フィルタを介して又は可視光線除去機能を有して、前記画像投影装置の画像投影面又は前記画像表示装置の画像表示面を撮影し、前記画像投影面又は画像表示面に前記レーザービームが到達して発生するビームポイントの画像データを取得する撮影手段と、前記撮影手段による撮影範囲に対して歪み補正などの幾何学的変換を行う画像処理手段と、歪み補正などをされた後の撮影画像の中のビームポイントの座標値を検出する第2座標検出手段と、前記標的の座標値と前記ビームポイントの座標値とを照合して両座標値が一致するか否かにより前記射撃手段からのレーザービームが前記標的に命中したか否かを判定する命中判定手段と、命中と判定されたときは被弾画像を、外れと判定されたときは着弾画像を前記画像データ出力装置から出力される標的を含む画像に合成する画像合成手段とを有する射撃模擬装置。
【請求項2】
画像投影装置は映像プロジェクタであり、画像投影面がスクリーンである場合に、画像データ出力装置は、射撃者の位置などの観察条件、前記映像プロジェクタの位置・方向・画角・アスペクト比などの投影条件及び前記スクリーンの形状を表す多角形メッシュをパラメータとして記憶しておく記憶部と、投影時に、入力した原画像を前記パラメータを含む所定の演算式により演算して透視変換を行い、かつ、透視変換後の座標系をテクスチャ座標系に変換し、そのテクスチャ座標系を用いてテクスチャマッピング機能により補正画像をフレームバッファに描画して、その補正画像を映像信号として前記映像プロジェクタに出力するグラフィックス・アクセラレータとを有することを特徴とする請求項1に記載の射撃模擬装置。
【請求項3】
画像投影装置は映像プロジェクタであり、画像投影面がスクリーンである場合に、画像データ出力装置は、前記映像プロジェクタの位置・方向・画角・アスペクト比などの投影条件及び前記スクリーンの形状を表す多角形メッシュをパラメータとして記憶しておく記憶部と、射撃者の位置、視線方向、視野角などにより決定される視錘台のパラメータを随時取込み、そのパラメータ及び記憶部から読出した映像プロジェクタの位置、投影方向、画角などにより決定される投影錘台のパラメータ及び前記スクリーンの形状のパラメータを含む所定の演算式により演算して入力された原画像の透視変換を行い、かつ、透視変換後の座標系をテクスチャ座標系に変換し、そのテクスチャ座標系を用いてテクスチャマッピング機能により補正画像をフレームバッファに描画して、その補正画像を映像信号として前記映像プロジェクタに出力するグラフィックス・アクセラレータとを有することを特徴とする請求項1に記載の射撃模擬装置。
【請求項4】
射撃手段は、画像投影装置の画像投影面又は前記画像表示装置の画像表示面に到達したとき発生するビームポイントが予め定められた互いに異なる形状となるレーザービームを発射する複数個が備えられ、歪み補正などをされた後の撮影画像の中のビームポイントが予め登録された形状のいずれであるかを認識するビームポイント形状認識手段と、命中判定手段が命中と判定した場合は、それぞれ当該ビームポイントの形状に対応して識別可能に命中表示を前記画像投影面又は前記画像表示面の中もくしは外に行う命中表示手段とが備えられていることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の射撃模擬装置。
【請求項5】
射撃手段は、波長が互いに異なるレーザービームを発射する複数個が備えられ、撮影手段は前記レーザービームの波長の内、特定の波長のみを透過させるフィルタをそれぞれ備えた複数個が備えられ、命中判定手段が命中と判定した場合は、その命中判定に供されたビームポイントの座標値を与えた撮影手段に対応して識別可能に命中表示を前記画像投影面又は前記画像表示面の中もくしは外に行う命中表示手段とを備えられていることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の射撃模擬装置。
【請求項6】
標的の座標値を検出する第1座標検出手段とビームポイントの座標値を検出する第2座標検出手段の一方又は双方に、当該座標検出手段が得た座標値を拡大処理して一定の広がりを有するエリア座標値を求める座標値拡大手段を接続し、その座標値拡大手段により得られたエリア座標値を命中判定のために命中判定手段に与えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の射撃模擬装置。
【請求項1】
標的を含む画像のデータを出力する画像データ出力装置と、前記画像データ出力装置から画像データを入力して画像を投影する画像投影装置又は同画像を表示する画像表示装置と、前記画像データに基づいて前記画像投影装置の画像投影面又は前記画像表示装置の画像表示面に表示される画像に含まれる標的の座標値を検出する第1座標検出手段と、前記画像投影装置の画像投影面又は前記画像表示装置の画像表示面に近赤外線レベルのレーザービームを発射する射撃手段と、可視光線を除去するための光学フィルタを介して又は可視光線除去機能を有して、前記画像投影装置の画像投影面又は前記画像表示装置の画像表示面を撮影し、前記画像投影面又は画像表示面に前記レーザービームが到達して発生するビームポイントの画像データを取得する撮影手段と、前記撮影手段による撮影範囲に対して歪み補正などの幾何学的変換を行う画像処理手段と、歪み補正などをされた後の撮影画像の中のビームポイントの座標値を検出する第2座標検出手段と、前記標的の座標値と前記ビームポイントの座標値とを照合して両座標値が一致するか否かにより前記射撃手段からのレーザービームが前記標的に命中したか否かを判定する命中判定手段と、命中と判定されたときは被弾画像を、外れと判定されたときは着弾画像を前記画像データ出力装置から出力される標的を含む画像に合成する画像合成手段とを有する射撃模擬装置。
【請求項2】
画像投影装置は映像プロジェクタであり、画像投影面がスクリーンである場合に、画像データ出力装置は、射撃者の位置などの観察条件、前記映像プロジェクタの位置・方向・画角・アスペクト比などの投影条件及び前記スクリーンの形状を表す多角形メッシュをパラメータとして記憶しておく記憶部と、投影時に、入力した原画像を前記パラメータを含む所定の演算式により演算して透視変換を行い、かつ、透視変換後の座標系をテクスチャ座標系に変換し、そのテクスチャ座標系を用いてテクスチャマッピング機能により補正画像をフレームバッファに描画して、その補正画像を映像信号として前記映像プロジェクタに出力するグラフィックス・アクセラレータとを有することを特徴とする請求項1に記載の射撃模擬装置。
【請求項3】
画像投影装置は映像プロジェクタであり、画像投影面がスクリーンである場合に、画像データ出力装置は、前記映像プロジェクタの位置・方向・画角・アスペクト比などの投影条件及び前記スクリーンの形状を表す多角形メッシュをパラメータとして記憶しておく記憶部と、射撃者の位置、視線方向、視野角などにより決定される視錘台のパラメータを随時取込み、そのパラメータ及び記憶部から読出した映像プロジェクタの位置、投影方向、画角などにより決定される投影錘台のパラメータ及び前記スクリーンの形状のパラメータを含む所定の演算式により演算して入力された原画像の透視変換を行い、かつ、透視変換後の座標系をテクスチャ座標系に変換し、そのテクスチャ座標系を用いてテクスチャマッピング機能により補正画像をフレームバッファに描画して、その補正画像を映像信号として前記映像プロジェクタに出力するグラフィックス・アクセラレータとを有することを特徴とする請求項1に記載の射撃模擬装置。
【請求項4】
射撃手段は、画像投影装置の画像投影面又は前記画像表示装置の画像表示面に到達したとき発生するビームポイントが予め定められた互いに異なる形状となるレーザービームを発射する複数個が備えられ、歪み補正などをされた後の撮影画像の中のビームポイントが予め登録された形状のいずれであるかを認識するビームポイント形状認識手段と、命中判定手段が命中と判定した場合は、それぞれ当該ビームポイントの形状に対応して識別可能に命中表示を前記画像投影面又は前記画像表示面の中もくしは外に行う命中表示手段とが備えられていることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の射撃模擬装置。
【請求項5】
射撃手段は、波長が互いに異なるレーザービームを発射する複数個が備えられ、撮影手段は前記レーザービームの波長の内、特定の波長のみを透過させるフィルタをそれぞれ備えた複数個が備えられ、命中判定手段が命中と判定した場合は、その命中判定に供されたビームポイントの座標値を与えた撮影手段に対応して識別可能に命中表示を前記画像投影面又は前記画像表示面の中もくしは外に行う命中表示手段とを備えられていることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の射撃模擬装置。
【請求項6】
標的の座標値を検出する第1座標検出手段とビームポイントの座標値を検出する第2座標検出手段の一方又は双方に、当該座標検出手段が得た座標値を拡大処理して一定の広がりを有するエリア座標値を求める座標値拡大手段を接続し、その座標値拡大手段により得られたエリア座標値を命中判定のために命中判定手段に与えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の射撃模擬装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−71403(P2007−71403A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−255333(P2005−255333)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(301055240)株式会社リアルビズ (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(301055240)株式会社リアルビズ (4)
【Fターム(参考)】
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