説明

導電性シ−ト用樹脂組成物とその成形品

【課題】真空成形トレ−やキャリアテ−プでは、予め導電性シ−トを製造し、これを用い成形加工が行なわれる。 しかし、導電性シ−トの製造では、熱可塑性樹脂に相溶性の乏しいカ−ボンブラックを配合しているため均一な混練が困難で、メヤニの発生し易い原因となっている。メヤニの発生が少ない導電性シート用樹脂組成物とその成形品を提供する。
【解決手段】ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、エチレン−エチルアクリレ−ト共重合体15〜40重量部、カ−ボンブラック5〜50重量部、フッ素ゴム0.01〜2重量部、及び無機フィラ−0.001〜5重量部からなることを特徴とする導電性シ−ト用樹脂組成物及びそれを使用したキャリアテ−プ用シ−ト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気伝導性が良好であり、エンボス成形や真空成形によるキャリアテ−プの成形が容易な導電性シ−ト用樹脂組成物と、その成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりICやICを用いた電子機器部品の熱可塑性樹脂使用の包装容器の形態として真空成形トレ−、エンボスキャリアテ−プ等が知られている。
これら真空成形トレ−やエンボスキャリアテ−プの原反となる導電性プラスチックシ−ト(以後導電性シ−トと省略)は、一般にその表面は比抵抗値が高いため、非常に帯電し易くICの機能を破壊する可能性があり、これを改善するため(1)容器の表面に帯電防止剤を塗布する方法、(2)導電性塗料を塗布する方法、(3)カ−ボンブラックや金属粉等を樹脂中に練りこむ方法等が提案されている。
【0003】
しかしながら、(1)の方法では、塗布直後は帯電防止効果を示すが、長時間使用している間に帯電防止剤が付着した水分により流失したり、成形品表面の摩擦により帯電防止剤が離脱する欠点がある。
(2)では、導電塗料のプラスチックシ−トへの密着性の観点から対象となる基材が限定され、且つ、塗布が不均一となり易く、摩擦に弱いため導電層が剥離し帯電防止性を失い易い欠点がある。
【0004】
(3)のカ−ボンブラックや金属粉等の導電性付与材の場合は、帯電防止効果の持続性と表面抵抗値の観点からは非常に有効な方法である。
この場合、導電性シ−トの製造では、熱可塑性樹脂に相溶性の乏しい導電性付与剤を多量に混合し成形するためには比較的MI値の大きな熱可塑性樹脂を使用した方が混練し易くシ−トの製造も容易となるが、この様な組成物を用い長時間のシ−ト成形する場合には、運転途中の成形ダイのリップ部に熱可塑性樹脂の酸化劣化によると思われる所謂メヤニが発生し、このため成形シ−ト上にも凹凸や汚れが付着して、このため真空成形、圧空成形、熱板成形等二次加工成形性も低下しい易い欠点がある。また、得られた製品表面の美的感覚にも劣り好ましくない。
【0005】
これらの改善策として特開平1−43622号公報において基材層及び導電層からなる導電性シ−トの製造を行いプラスチック容器の製造を行なっているが、該製造法ではエンボス成形や真空成形によるキャリア−テ−プの製造には不適当である。
また特開平9−255820号公報では、インフレ−ションフイルムの製造において、メヤニの発生を防止するためフッソ素系加工剤を添加して処理することが記載されているが、上記のような導電性のポリスチレン系樹脂を用いた導電性シ−トの製造において、メヤニの発生を防止し、安定して長時間連続操業が可能な導電性シ−ト用樹脂組成物の製造には、不適当である。
【特許文献1】特開平1−43622
【特許文献1】特開平9−255820
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、カ−ボンブラックを含有するポリスチレン系樹脂に対して、エチレン−エチルアクリレ−ト共重合体、フッ素ゴム、及び無機フィラ−を特定割合で配合することで、導電性シ−トの製造も安定化し、かつ、二次加工適性にも優れており、機械的強度が良好な表面抵抗値が安定した導電性シ−ト用樹脂組成物及びその成形品を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、請求項1は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、エチレン−エチルアクリレ−ト共重合体15〜40重量部、カ−ボンブラック5〜50重量部、フッ素ゴム0.01〜2重量部及び無機フィラ−0.001〜5重量部からることを特徴とする導電性シ−ト用樹脂組成物である。
【0008】
本発明で使用するポリスチレン系樹脂としては、耐衝撃性を考慮してゴム成分を10〜20重量%含有する耐衝撃性ポリスチレン樹脂、又は耐衝撃性ポリスチレン樹脂と汎用のポリスチレン樹脂の混合物が使用できる。
本発明で使用するエチレン−エチルアクリレ−ト共重合体は、エチルアクリレ−ト含有量5〜25重量%のものが好ましい。
【0009】
本発明で使用するフッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・プロピレン共重合体、及びテトラフルオロエチレン・ビニリデンフルオライド・ヘキサフルオロプロピレン共重合体が挙げられる。
これらのフッ素ゴムは、ガラス転移点が−35〜−5℃位であり、常温ではゴム弾性領域にあり、高温になっても融点を示さないものである。
【0010】
本発明では、ポリスチレン系樹脂からなる導電性シ−トに耐衝撃性と柔軟性を与えるためにエチレン−エチルアクリレ−ト共重合体を一定割合で配合するものである。
そして、その効果は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対してエチレン−エチルアクリレ−ト共重合体を15〜40重量部を配合することで得られる、15重量部より少ないと耐衝撃性が低下する欠点を生じ、また40重量部より多いとキャリアテ−プの成形性が低下して好ましくない。
【0011】
本発明で使用のカ−ボンブラックとしては、ファ−ネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、カ−ボン純度98%以上、揮発分含有量が1.5%以下が好ましい。
本発明は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対してカ−ボンブラックを5〜50重量部を配合する、5重量部より少ないとキャリアテ−プを製造の際に表面抵抗値が1010Ω以下にならず好ましい導電性が得られない、また50重量部より多いとキャリアテ−プの機械的強度が低下して好ましくない。
【0012】
本発明で使用する好ましいフッ素ゴムには、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共合重体、又はテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体が挙げられ、これらを使用した場合に、メヤニ発生防止に優れた効果が発揮されるので好ましい。
本発明で使用の無機フィラ−としては、タルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。尚、無機フィラ−の平均粒径としては樹脂用配合剤として使用されているものであれば良く、通常1〜30μm程度である。
【0013】
フッ素ゴムの使用量は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部を配合する、0.01重量部より少ないと十分なメヤニ発生防止効果が発揮されず、また2重量部より多いと本発明の樹脂組成物の機械的強度が低下して好ましくない。
無機フィラ−使用量は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部を配合する、0.001重量部より少ないと十分なメヤニ発生防止効果が発揮されず、また5重量部より多いと本発明の樹脂組成物の機械的強度が低下して好ましくない。
【0014】
本発明では、無機フィラ−により、シリンダ−やスクリュ−表面に付着し易い樹脂類を掻き落とすことによりメヤニの発生原因となる物質の発生を阻止している。一方、フッ素ゴムは練り込み等の強い力を加えられたときに可塑性を示し流動性を示し潤滑剤として働きメヤニ発生の原因となる物質の滞留を防ぎ全体の流動性を助けている。
以上の通り、メヤニ防止剤の働きをフッ素ゴムと無機フィラ−を一定割合で併用し配合することで非常に優れた効果を発揮するものである。
【0015】
請求項2は、請求項1記載の導電性シ−ト用樹脂組成物を用いて成形されてなる表面抵抗値1010Ω以下であることを特徴とするキャリアテ−プ用シ−トである。
本発明では、請求項1で得られた導電性シ−ト用樹脂組成物を使用して、汎用の方法で導電性シ−トを製造するとメヤニの発生が殆ど見られないために、従来品においてメヤニを原因とする導電性シ−ト表面上の突起も全く発生せず、成形加工の容易なキャリアテ−プ用シ−トを提供するものである。
これによって、真空成形、圧空成形、熱板成形等二次加工成形性も容易な表面抵抗値が1010Ω以下であることを特徴とするキャリアテ−プ用シ−トを提供するものである。
【0016】
請求項3は、請求項1記載の導電性シ−ト用樹脂組成物の製造方法の一例を示すものであり、
(A)成分として、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、エチレン−エチルアクリレ−ト共重合体15〜40重量部、カ−ボンブラック5〜50重量部を配合してなる導電性樹脂、
及び、(B)成分としてポリスチレン系樹脂100重量部に、フッ素ゴム2〜10重量部、及び無機フィラ−0.2〜20重量部を配合してなる分散剤マスタ−バッチ、
即ち、予め上記の(A)成分と(B)成分を個々に製造した後に、その後で(A)導電性樹脂100重量部に対して(B)分散剤マスタ−バッチを0.5〜5重量部を混合して、更に該混合物を溶融混練してなることを特徴とする請求項1記載の導電性シ−ト用樹脂組成物の製造法である。
請求項3は、予め製造の(B)分散剤マスタ−バッチを(A)成分に添加することで、メヤニ発生を著しく減少したキャリアテ−プ用導電性シ−ト製造の作業性向上を図ったものである。
【0017】
請求項4は、請求項1記載の無機フィラ−が、タルクである導電性シ−ト用樹脂組成物である。
無機フィラ−として、タルクを使用することでシリンダ−やスクリュ−表面に付着する樹脂が減少するためにメヤニの発生が抑えられるので好ましい。
請求項5は、請求項1記載の無機フィラ−が、タルク及びシリカである導電性シ−ト用樹脂組成物である。
無機フィラ−として、タルクとシリカを併用するとシリンダ−やスクリュ−表面に付着する樹脂が減少するためにメヤニの発生が著しく抑えられるので好ましい。
【0018】
請求項6は、請求項1記載のフッ素ゴムが、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体である導電性シ−ト用樹脂組成物である。
フッ素ゴムとして、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を使用すると、導電性シ−ト用樹脂組成物の製造において、メヤニの発生が殆ど見られず作業操作性も向上するので好ましい。
請求項7は、請求項1記載のフッ素ゴムが、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体である導電性シ−ト用樹脂組成物である。
フッ素ゴムとして、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体を使用すると、導電性シ−ト用樹脂組成物の製造において、メヤニの発生が殆ど見られず作業操作性も向上するので好ましい。
【0019】
本発明の導電性シ−ト用樹脂組成物とそれを用いて得られるキャリアテ−プ用シ−トの製造法は、特に制限はなく、一般的な方法で行なえば良く、2軸押出機、連続混練機などによってペレット化した後に、次いでシ−トを製造する。
この際に、必要に応じて酸化防止剤、滑剤など各種添加剤を添加することができ、更に機械的特性を著しく低下させない程度に充填剤を添加しても良い。
本発明のキャリアテ−プ用シ−トは、JIS−C−0806及びEIA−481−A等に代表される製品の製造にも充分にかなえるものである。
本発明のキャリアテ−プ用シ−トを用い得られる成形品は、IC製品の包装用キャリアテ−プ、ソフトトレ−等に使用できる。該成形品を得るためには、真空成形、圧空成形、熱板成形等の公知の方法により行なえば良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明品の導電性シ−ト用樹脂組成物及びキャリアテ−プ用シ−トの製造では、メヤニの発生が著しく改善・減少しているために、長時間連続した操業が可能である。
このため、キャリアテ−プ用シ−トの製造では、該シ−ト表面にメヤニ発生による突起の発生も見られず、この後に行なうキャリアテ−プの成形作業、真空成形、圧空成形、熱板成形等での操業も極めて容易に行えるため作業性が向上している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
そこで、本発明では、柔軟性と耐衝撃性を向上するためにカ−ボンブラックを配合したポリスチレン系樹脂にエチレン−エチルアクリレ−ト共重合体を加え、更にメヤニ発生を防止するため無機フィラ−とフッ素ゴムを併用することで目的を達成したのである。
以下に実施例及び比較例を記載する。尚、重量部は部と記載する。
【0022】
実施例1
耐衝撃性ポリスチレン樹脂(PSジャパン株式会社製品:HIPS408)100部、エチレン−エチルアクリレ−ト共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製品:エバフレックスEEA−A702)30部、平均粒径35μmのカ−ボンブラック(電気化学工業株式会社製品:デンカブラック粒状)35部、フッ化ビニリデン/ヘキサンフルオロプロピレン共重合体0.5部、及びタルク0.1部をvブレンダ−を用い混合した後に、30mm二軸押出機を用い溶融混練した後にペレット化して、本発明の導電性シ−ト用樹脂組成物を得る。
該導電性シ−ト用樹脂組成物をTダイスの設置された30mm押出機を使用して肉厚が0.1mmの本発明のキャリアテ−プ用シ−トを製造した。
【0023】
次に、下記の評価試験(イ)、(ロ)、(ハ)及び(ニ)を行い、その結果を表1に記載する。尚、実施例2〜5、及び比較例1〜5についても、その結果を同様に記載する。
(イ)メヤニの評価
製造したキャリアテ−プ用シ−トについて、その表面を目視によって、下記の規準で評価した。
○‥‥表面が均一、 △‥‥表面にやや凹凸を生じ汚れが見られる、×‥‥表面にかなり凹凸を生じ汚れが見られる。
【0024】
(ロ)表面抵抗値の測定
製造したキャリアテ−プ用シ−トについて、JIS−K7194に準拠して表面抵抗値を測定した。
【0025】
(ハ)メルトフロ−インデックスの測定
製造した本発明の導電性シ−ト用樹脂組成物について、JIS−k−7210に準拠して200℃、5kg荷重下で測定する。尚、同測定により得られる好ましい数値としては、導電性シ−トの作業性を考慮すると、0.3〜10が適当である。
(ニ)アイゾット衝撃値の測定
JIS−K7110に従い、試料を製作し測定する。尚、衝撃値としては、100J/m以上が好ましい。
【0026】
【表1】

【0027】
実施例2
(A)成分として、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(PSジャパン株式会社製品:HIPS−408)100部、エチレン−エチルアクリレ−ト共重合体(三井・デュポンポリケミカル株式会社製品:エバフレックス−EEA−A702)30部、平均粒径35μmのカ−ボンブラック(電気化学工業株式会社製品:デンカブラック粒状)35部を混合した後、30mm二軸押出機を用い溶融混練した後にペレット化して(A)成分を得る。
(B)成分として、汎用ポリスチレン樹脂(PSジャパン株式会社製:GPPS679)100部、フッ化ビニリデン/ヘキサンフルオロプロピレン共重合体3部、及び、タルク0.6部を30mm二軸押出機を用いて溶融混練した後に、ペレット化して(B)成分を得る。
【0028】
更に、上記の(A)成分100部に(B)成分3部をvブレンダ−を用い混合して、本発明の導電性シ−ト用樹脂組成物を得る。
該導電性シ−ト用樹脂組成物をTダイスの設置された30mm押出機を使用して肉厚が0.1mmの本発明のキャリアテ−プ用シ−トを製造した。
【0029】
実施例3
耐衝撃性ポリスチレン樹脂(PSジャパン株式会社製品:HIPS408)80部、汎用ポリスチレン樹脂(PSジャパン株式会社製品:GPPS679)20部、エチレン−エチルアクリレ−ト共重合体(三井・デュポンポリケミカル株式会社製品:エバフレックス−EEA−A702)30部、平均粒径35μmのカ−ボンブラック(電気化学工業株式会社製品:デンカブラック粒状)35部、フッ化ビニリデン/ヘキサンフルオロプロピレン共重合体0.5部、及びタルク0.1部を混合した後に、30mm二軸押出機を用い溶融混練した後にペレット化して、本発明の導電性シ−ト用樹脂組成物を得る。
該導電性シ−ト用樹脂組成物をTダイスの設置された30mm押出機を使用して肉厚が0.1mmの本発明のキャリアテ−プ用シ−トを製造した。
【0030】
実施例4
実施例2で使用の(B)成分について、汎用ポリスチレン樹脂(PSジャパン株式会社製:GPPS679)100 部、フッ化ビニリデン/ヘキサンフルオロプロピレン共重合体3部、シリカ0.3部、及びタルク0.3部を30mm二軸押出機を用い溶融混練した後にペレット化して(B)成分を得る。
更に、上記の(A)成分100部に(B)成分を3部混合して、本発明の導電性シ−ト用樹脂組成物を得る。
該導電性シ−ト用樹脂組成物をTダイスの設置された30mm押出機を使用して肉厚が0.1mmの本発明のキャリアテ−プ用シ−トを製造した。
【0031】
実施例5
実施例2で使用のカ−ボンブラックをファ−ネスタイプのカ−ボンブラック(キャボット・スペシャリティケミカルズインク社製品:バルカンXC72)に代える以外は、実施例2と同じである。
【0032】
実施例6
実施例1で使用のフッ化ビニリデン/ヘキサンフルオロプロピレン共重合体を、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体に代える以外は、実施例1と同じである。
【0033】
比較例1
実施例1のフッ化ビニリデン/ヘキサンフルオロプロピレン共重合体の使用量を0.005部とする以外は、実施例1と同じである。
比較例2
実施例1のフッ化ビニリデン/ヘキサンフルオロプロピレン共重合体の使用量を10部とする以外は、実施例1と同じである。
【0034】
比較例3
実施例2のフッ化ビニリデン/ヘキサンフルオロプロピレン共重合体の使用量を0.1部とする以外は、実施例2と同じである。
比較例4
実施例2のフッ化ビニリデン/ヘキサンフルオロプロピレン共重合体の使用量を20部とする以外は、実施例2と同じである。
【0035】
比較例5
実施例1のタルクの使用量を0.0005部とする以外は、実施例1と同じである。
比較例6
実施例1のタルクの使用量を20部とする以外は、実施例1と同じである。
比較例7
実施例2のタルクの使用量を0.01部とする以外は、実施例2と同じである。
比較例8
実施例2のタルクの使用量を150部とする以外は、実施例2と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上の通り、本発明の導電性シ−ト用樹脂組成物及びキャリアテ−プ用シ−トの製造では、従来品に比較してメヤニの発生が著しく改善されており、製造では長時間操業が可能であり、作業性が大いに改善されている。
また、得られたキャリアテ−プ用シ−トは、導電性が良好であり、メヤニを原因とするシ−ト表面上の突起も見られず、エンボス成形や真空成形が容易に可能な製品を提供するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、エチレン−エチルアクリレ−ト共重合体15〜40重量部、カ−ボンブラック5〜50重量部、フッ素ゴム0.01〜2重量部及び無機フィラ−0.001〜5重量部からなることを特徴とする導電性シ−ト用樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1記載の導電性シ−ト用樹脂組成物を用いて成形されてなる表面抵抗値1010Ω以下であることを特徴とするキャリアテ−プ用シ−ト。
【請求項3】
(A)ポリスチレン系樹脂100重量部に、エチレン−エチルアクリレ−ト共重合体15〜40重量部、カ−ボンブラック5〜50重量部を配合してなる導電性樹脂、
(B)ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、フッ素ゴム2〜10重量部、及び無機フィラ−0.2〜20重量部を配合してなる分散剤マスタ−バッチ、
上記の(A)導電性樹脂100重量部に対して、(B)分散剤マスタ−バッチを0.5〜5重量部を混合した後に、該混合物を溶融混練してなることを特徴とする請求項1記載の導電性シ−ト用樹脂組成物の製造法。
【請求項4】
請求項1記載の無機フィラ−が、タルクである導電性シ−ト用樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1記載の無機フィラ−が、タルク及びシリカである導電性シ−ト用樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1記載のフッ素ゴムが、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体である導電性シ−ト用樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1記載のフッ素ゴムが、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体である導電性シ−ト用樹脂組成物。

【公開番号】特開2006−233020(P2006−233020A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−49850(P2005−49850)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000219912)東京インキ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】