説明

導電性ボールの配列装置

【課題】ボールカップをジグザグに移動させて、落下する導電性ボールが、ボール配列マスクの挿入部のエッジとの間に挟まれ、導電性ボールが欠けて、異物が発生したり、導電性ボール自体が変形してしまう危険を回避することを目的とする。

【解決手段】導電性ボールの配列装置に次の手段を採用する。
第1に、導電性ボールの挿入部が所定の領域に形成された配列治具と下面に開口部が形成されると共に前記配列治具とで多数の導電性ボールを収容可能なボールカップと前記ボールカップを配列治具の上面に沿って移動させる移動手段とを備える。
第2に、多数の導電性ボールを収容したボールカップを配列治具の上面に沿って移動させることにより配列治具の挿入部に導電性ボールを落とし込んで配列する装置とする。
第3に、前記移動手段は、ボールカップをジグザグに移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ボールの収容されたボールカップが、配列治具上を移動することにより、導電性ボールを配列治具上に配列する装置の改良に関するもので、特に、ボールカップの移動に着目して開発された導電性ボールの配列装置である。
【背景技術】
【0002】
搭載対象物上に所定の配列パターンで形成された各電極に、粘着材料を塗布してから半田ボールを搭載する半田ボール搭載装置として、特許文献1に示すような配列板を有するボール搭載ヘッドに半田ボールを吸引配列して吸着してから搭載対象物上の各電極に半田ボールを搭載する装置が従来より存在した。しかし、ウエハ等の搭載対象製品の大型化に伴い、1回に搭載する半田ボール数は100万を越える状態となり、半田ボールの配列の欠陥や搭載時の欠陥を減少させることは困難であるのが現状であった。
【0003】
そこで、特許文献2に示すようなフラックスが印刷された搭載対象物である電子基板上に配列マスク(特許文献2ではテンプレート)を設け、配列マスク上をボールカップ(特許文献2では半田ボール収納部)が移動し、直接電子基板の電極上に半田ボールを落とす装置が提供されていた。しかし、この種導電性ボールの配列装置は、導電性ボールの変形や異物の発生が多く見られるものであった。
【0004】
この種配列装置は、図8(A)に示されるように半田ボール21をボールカップ23aで押して、半田ボール21を挿入部18に落とし込むものであるが、半田ボール21を真っ直ぐに押すと、落とし込まれる半田ボール21Aは、図8(B)に示されるように、その後に続く半田ボール21B、21Cに真っ直ぐ押されることになり、ボール配列マスク19の挿入部18のエッジ18Aとの間で挟まれる状況が頻繁に発生し、その力によっては半田ボール21Aが欠けて、異物が発生したり、半田ボール21A自体が変形してしまう危険があった。
【0005】
そのため特許文献2記載の半田ボール搭載装置のようにボールカップ(特許文献1では半田ボール収納部)を、らせん運動させながら水平移動させる手段が開発されてきた。しかし、らせん運動させることは、進行方向の逆方向への移動を伴うものであり、ボール搭載に時間がかかってしまうという問題や、進行方向への移動においては直線的部分が生じて、ボール欠けが発生しやすくなるという問題や、更には、らせん運動のために横方向への移動幅も無駄が多く、効率的でないという問題を有していた。
【0006】
【特許文献1】特開2001−358451号公開特許公報
【特許文献2】特許3271482号特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ボールカップをジグザグに移動させて、図8(C)に示されるように導電性ボールに進行方向斜めへ動きを与えることにより、挿入部に落下する導電性ボールが回りながら落下しやすくなると共に、ボールカップのジグザグの動きによりボールカップ内の導電性ボールをばらけさせて、落下する導電性ボールが、ボール配列マスクの挿入部のエッジとの間に挟まれ、導電性ボールが欠けて、異物が発生したり、導電性ボール自体が変形してしまう危険を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、上記課題を解決するため、導電性ボールの配列装置に次の手段を採用する。
第1に、導電性ボールの挿入部が所定の領域に形成された配列治具と下面に開口部が形成されると共に前記配列治具とで多数の導電性ボールを収容可能なボールカップと前記ボールカップを配列治具の上面に沿って移動させる移動手段とを備える。
第2に、多数の導電性ボールを収容したボールカップを配列治具の上面に沿って移動させることにより配列治具の挿入部に導電性ボールを落とし込んで配列する導電性ボールの配列装置とする。
第3に、前記移動手段は、ボールカップをジグザグに移動させることを特徴とする導電性ボールの配列装置とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明に、前記ボールカップの開口部が、前記領域の幅より狭い幅であり、前記移動手段が、ボールカップの進行方向を折り返す際に、進行方向と直交する方向へ移動するようにしたものであることを付加した導電性ボールの配列装置である。
【0010】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明に、ボールカップの進行方向と交差する方向のジグザグの幅が、上記配列治具の挿入部の同方向の配列ピッチの2分の1以下であるという手段を付加した導電性ボールの配列装置である。第4の発明は、第1の発明または第2の発明または第3の発明に、ボールカップ内に収容される導電性ボールの量を、所定の範囲に維持する手段を付加した導電性ボールの配列治具である。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明は、移動手段により、ボールカップをジグザグに移動させることを特徴とするので、導電性ボールに進行方向斜めへ動きを与えることになり、挿入部に落下する導電性ボールが回りながら落下しやすくなると共に、ボールカップのジグザグの動きによりボールカップ内の導電性ボールをばらけさせることになり、落下する導電性ボールが、ボール配列マスクの挿入部のエッジとの間に挟まれ、導電性ボールが欠けて、異物が発生したり、導電性ボール自体が変形してしまう危険を回避することができるものとなった。
【0012】
第2の発明は、ボールカップの開口部が、前記領域の幅より狭い幅であっても、移動手段が、ボールカップの進行方向を折り返す際に、進行方向と直交する方向へ移動するようにしたものであるので、ウエハ全面に半田ボールを効率的に配列することが可能となった。
第3の発明は、ボールカップの進行方向と交差する方向のジグザグの幅が、上記配列治具の挿入部の同方向の配列ピッチの2分の1以下であるので、導電性ボールが挿入された挿入部に2重にボールカップの移動を行うことを防止でき、無駄な動きをなくすことができた。
【0013】
第4の発明は、ボールカップ内に収容される導電性ボールの量を、所定の範囲に維持するようにしてあるため、ボールカップ内の導電性ボールが多すぎて、最下層で導電性ボール同士が強く押し合って動きが妨げられ、挿入部に落ちないという障害や、ボールカップ内の導電性ボールの数が少なすぎて、導電性ボールの抜けが発生するという障害をなくし、導電性ボールの配列装置の生産性向上させることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に従って、実施例と共に本発明の実施の形態について説明する。本発明において、導電性ボールの搭載対象物としては、半導体ウエハ(以後、単にウエハと表記する)や、電子回路基板や、セラミックス基板などがあるが、実施例ではウエハ14を用いている。また、粘着材料としては、フラックスや半田ペーストや導電性の接着剤などが用いられるが、実施例ではフラックスが用いられている。
【0015】
図1は、半田ボール搭載装置1の全体を示す概略平面図であり、該半田ボール搭載装置1は、図1中左方より、搬入用のウエハ受渡部2、フラックス印刷部3、ボール搭載部4、搬出用のウエハ受渡部5を有している。半田ボール搭載装置1の前工程には、ウエハ供給部6、一次アライメント部7及び搬入用ロボット8が存在し、後工程に反転ユニット9、ウエハ収納部10及び搬出用ロボット11が存在する。
【0016】
前工程の一次アライメント部7は、ウエハ14を水平面で回転するようになっており、ウエハ14を回転させることによって、ウエハ14のオリフラまたはノッチの位置を検出し、ウエハ14のおおまかな位置を補正すると共にウエハ受渡部2に載置するウエハ14を所定の方向にする部分である。他方、後工程の反転ユニット9は、ウエハ14を水平方向に回転させるものであり、ウエハ14のオリフラやノッチの位置が所定の位置となるよう回転させ、カセット32に収容する。
【0017】
半田ボール搭載装置1には、ウエハ受渡部2よりフラックス印刷部3、ボール搭載部4、ウエハ受渡部5へとウエハ14を搬送するウエハ搬送ステージ12及び搬送路13が形成されている。搬送路13には、図3に示されるように搬送ステージ12のX軸(図中左右方向)移動装置40が設けられている。
【0018】
フラックス印刷部3には、フラックス供給装置16と、ウエハ14に粘着材料であるフラックスを印刷するための印刷マスク15と、ウエハ14と印刷マスク15のアライメントマークを観察し、ウエハ14と印刷マスク15との位置合わせをするための上下観察カメラ31とが図3に示されるように配備されている。印刷マスク15は、ウエハ14上の電極のパターンに合わせて配列された貫通孔が形成されており、貫通孔形成領域38内の印刷マスク15の下面2カ所にはアライメントマーク(図示されていない)が表記され、型枠17に張り付けられ、更にフレームなどの固定部に保持されている。
【0019】
フラックス供給装置16は、印刷マスク15上面に沿ってスキージ(図示されていない)を移動することによってフラックスが印刷マスク15の貫通孔内に刷り込まれ、ウエハ14の電極上に供給されるようになっている。尚、図中33は、印刷マスク15に付着したフラックスを除去するクリーニングユニットである。
【0020】
ボール搭載部4には、半田ボール供給装置20と、ウエハ14上の電極のパターンに合わせて配列された挿入部18(図4及び図7に示される)が、複数形成された配列治具としてのボール配列マスク19と、ウエハ14とボール配列マスク19のアライメントマークを観察して位置合わせをするための上下観察カメラ34(図3に示される)とが配備されている。
【0021】
ボール配列マスク19の厚みは供給される半田ボール21の径と略同等であり、挿入部18の径は半田ボールの径より若干大きく形成してある。ボール配列マスク19での挿入部18の横方向の配列ピッチPは、図7に示されるように一般に挿入部18の孔径dの約2倍とされている。尚、ボール配列マスク19は、印刷マスク15と同様、挿入部形成領域36内の下面2カ所にアライメントマーク(図示されていない)が表記され、型枠37に張り付けられ、フレームなどの固定部に保持されている。
【0022】
半田ボール供給装置20は、図4に示すように、多数の半田ボール21を貯留したボールホッパ22と、ボール配列マスク19に半田ボール21を落とし込むボールカップ23aと、高さ測定手段としてのマスク高さ検出センサ27と、ボールカップ23a,bを図5に示されるX軸方向及びY軸方向に移動させるボールカップ移動手段24と、ボールカップ23a,bをZ軸方向に変移させる昇降手段45を有している。
【0023】
ボールカップ23a,bは、上部にボール供給用の長方形をした開口部63が形成され、下面にボール落下用の長方形をした開口部64が形成されており、ボールカップ23a,bの内壁は、開口部64に向かって狭くなるように傾斜して形成されている。
【0024】
このボールカップ23a,bの水平面での移動手段となるボールカップ移動手段24は、図5に示すようにX軸駆動機構25及びY軸駆動機構26を備えている。X軸駆動機構25は、昇降手段45を介してボールカップ23a,bが取り付けられたベース部材58を、X軸の駆動モータ54で回転するボールねじ55により、X軸ガイド56に沿ってX軸方向に移動させ、Y軸駆動機構26は、ベース部材58をX軸駆動機構25と共にY軸の駆動モータ52で回転するボールねじ53により、Y軸ガイド57に沿ってY軸方向に移動させる。ボールカップ23a,bの具体的移動は、Y軸駆動機構26及びX軸駆動機構25を連動させて、図5及び図6の矢印で示されるようにジグザグにY軸方向へ移動した後、X軸方向へ位置替えをし、その後、Y軸方向へ折り返しジグザグに移動する動作を繰り返し、ボール配列マスク19の挿入部18に半田ボール21を落とし込んで挿入する。このようにボールカップ23a,bをジグザグに移動することにより半田ボール21を押し込むボールカップ23a,bの内壁面に対し、常にボールカップ23a,bは斜め前方に移動するので、半田ボール21は挿入部18に落下しやすくなる。尚、このジグザグ移動のボールカップ23a,bの進行方向と交差する方向の幅Wは、図7に示すように挿入部18の同方向の配列ピッチPの2分の1以下である。
【0025】
ボールカップ23a,bは、図5に示されるように横方向(X軸方向)に、2つ並んで同一の取付ベース41に取り付けられ、両方のボールカップ23a,bで搭載エリア全面をカバーする。このように2つのボールカップ23a,bにより、ウエハ14の全面をカバーすることで生産性がアップする。尚、ボールカップ23a,bは挿入部形成領域36の幅より広い幅に形成したものとしてもよい。この場合X軸駆動機構25を設ける必要がなく、Y軸方向を往復させるだけでよい。
【0026】
ボールカップ23a,bの昇降手段45は、図4に示すようにボールカップ移動手段24のベース部材58に装備されたZ軸の駆動モータ50により回転するボールねじ51に取付ベース41をナット部材44を介して取り付け、該取付ベース41がガイドレール43に沿って上下動できるようになっている。該取付ベース41には、ボールカップ23aの取付傾きを調整するための傾き調整機構42を介してボールカップ23aが取り付けられている。尚、ボールカップ23a,bの取付傾きは、ボールカップ23a,bの組立時に行われる。
【0027】
ボールカップ23a,bのボール供給用開口部63の上方には、ボールホッパ22が配置されている。ボールホッパ22は、内部空間に多数の半田ボール21を貯留すると共に貯留した半田ボール21をボールカップ23a,bへと排出する供給口と、該供給口を開放閉鎖可能とする開閉手段たるシャッタ65を有しており、ボールホッパ22も、ボールカップ23a,bと同じ取付ベース41に取り付けられている。図中66は、シャッタ65を作動させるためのシリンダである。尚、ボールホッパ22は、半田ボール21のサイズと材料により交換される。
【0028】
ボールホッパ22のボール供給口の下方には、ボール検出機構付きの受け部67、左右のボールカップ23a,bへのボール供給を切り換える切換部68、ボールカップ23a,bへ半田ボール21を導き入れるボール導入部69が配置されている。受け部67に設けられたボール検出センサ70は、ボールホッパ22のボール供給口から供給される半田ボール21の供給量とボール詰まりを検出するもので、実施例では投受光型センサを用いている。また、切換部68は揺動型エアシリンダ71により揺動し、受け部67からの半田ボール21を左右のボール導入部69を介して左右のボールカップ23a,bへと振り分ける。
【0029】
ボールホッパ22のシャッタ65の開でボール補充動作となるが、シャッタ65の作動時期であるボール補充時期は、予め半田ボール配列数から求めておく。更に、シャッタ65の開でのボール供給時間に対するボール供給量も予め求めておく。尚、ボールカップ23a,b内の半田ボール21の収容量はボールホッパ22からのボール供給量とボールカップ23a,bの移動に伴うボールカップ23a,bからのボール排出量とから把握され最適なボールカップ23a,b内の半田ボール量を予め求めておく。
【0030】
ボール補充動作は、次のように行われる。まず、ボールホッパ22内の真空をONにしてボールホッパ22内に負圧を発生させる。ここでシャッタ65を開にする。次にボールホッパ22内の真空をOFFにすると、ボールホッパ22内の負圧が解除され、ボールホッパ22内の半田ボール21が、供給口から受け部67へと落下する。このとき受け部67へ落下した半田ボール21は、ボール検出センサ70で検出される。所定時間経過後、ボールホッパ22内の真空をONにして半田ボール21の落下を停止し、シャッタ65を閉とし真空をOFFとする。
【0031】
受け部67へ落下した半田ボール21は、切換部68及びボール導入部69を経て、一方のボールカップ23aへと補充される。一方への補充が完了すると、供給されるボールカップ23a,bを切り換えるため、揺動型エアシリンダ71が作動し、切換部68の導入方向が切り換わり、他方のボールカップ23bへのボール補充の準備が完了する。
【0032】
ここで再度、上記ボール補充動作を繰り返し、他方のボールカップ23bへボール補充を行う。以上の動作を繰り返してこまめなボール補充を行う。このボール補充動作はボールカップ23a,bを停止して行っても良いが、移動しながら行うことも可能である。
【0033】
マスク高さ検出センサ27は、ボールカップ23a,b近傍に取り付けられており、接触式、非接触式であるとを問わない。具体的にはレーザセンサや静電容量センサなどが用いられる。マスク高さ検出は、初期設定時や型替え時のボール配列マスク19の変更の際に、ボール配列マスク19の型枠37をフレーム側に設けられた支持部に固定した後に行う。具体的にはボール配列マスク19が固定された後、半田ボール21が空の状態のボールカップ23a,bが、予め挿入部形成領域36外に設定した複数の高さ検出点(実施例では4カ所設定されている)上に順次移動し、ボール配列マスク19の上面の高さを測定する。勿論、マスク高さ検出は、4カ所の検出点のみの測定ではなく、ボールカップ23a,bの移動に伴うマスク高さ検出センサ27の移動中に連続して測定しても良い。
【0034】
他方、挿入部形成領域36内におけるボール配列マスク19の上面の高さは、計算で求める。更に、ボールカップ23a,bに半田ボール21が収容されたときにかかる重量も考慮して各位置での高さを演算する。ボール搭載時には、この求めた高さをもとに、ボール配列マスク19上面とボールカップ23a,bの下面との隙間が所定距離を越えないように、ボールカップ23a,bの上下動を昇降手段45にて制御しながらボールカップ23a,bがX軸方向及びY軸方向に移動する。
【0035】
ウエハ搬送ステージ12は、ウエハ14を載置するステージであって、搬送路13上に搬送路13によってX軸方向に移動可能に装着されており、図3に示されるとおりウエハ14の搬送方向に直交する方向(Y軸方向)の移動手段であるY軸駆動機構28と回動手段であるθ軸駆動機構29と、上下動手段であるZ軸駆動機構30を有している。
【0036】
以下、図面に従って実施例の半田ボール搭載装置1の動作について説明する。まず、半田ボール21が搭載されるウエハ14は、ウエハ供給部6のカセット32に収納されている。そこで、搬入用ロボット8により、ウエハ供給部6のカセット32から1枚のウエハ14が取り出され、一次アライメント部7へ搬入される。一次アライメント部7では、ウエハ14を回転することによって、オリフラまたはノッチの位置を検出し、ウエハ14のおおまかな位置を補正すると共に、オリフラまたはノッチを所定位置となるようにする。続いて、ウエハ14は、搬入用ロボット8によって一次アライメント部7からウエハ受渡部2に待機しているウエハ搬送ステージ12に載置される。
【0037】
ウエハ14が載置されたウエハ搬送ステージ12は、搬送路13に沿ってフラックス印刷部3へと移動し、所定の位置で停止する。ここでウエハ14と印刷マスク15のアライメントマークを上下観察カメラ31により、それぞれ観察し、ウエハ搬送ステージ12を、搬送路13のX軸駆動機構40によりX軸方向、Y軸駆動機構28によりY軸方向、及びθ軸駆動機構29によりθ軸方向での位置決めをする。位置決め終了後、ウエハ搬送ステージ12は、Z軸駆動機構30により上昇し、フラックスが準備された印刷マスク15に対して所定の高さ位置で停止する。この状態で印刷マスク15上のY軸方向一端部にフラックスが供給され、スキージをY軸方向の一方の端部から他方の端部に向けて移動することにより印刷マスク15の貫通孔からウエハ14の電極上にフラックスが印刷される。
【0038】
フラックス印刷後、ウエハ搬送ステージ12は、Z軸駆動機構30により下降し、搬送路13によってボール搭載部4へ移動し、所定の位置で停止する。ここでも上下観察カメラ34によりウエハ14とボール配列マスク19のアライメントマークをそれぞれ観察して、ウエハ搬送ステージ12を、搬送路13のX軸駆動機構40によりX軸方向、Y軸駆動機構28及びθ軸駆動機構29によりY軸方向、θ軸方向で位置決めをする。その後、ウエハ搬送ステージ12は、Z軸駆動機構30により上昇し、ボール配列マスク19との間にウエハ14に印刷されたフラックスがボール配列マスク19に付着しない程度の隙間を残して停止する。
【0039】
これまでに半田ボール供給装置20は、ボールカップ23a,bをボール配列マスク19の挿入部形成領域36の外側に位置させ、ボールカップ23a,b内に所定量の半田ボール21を収容しておく。そしてウエハ14がボール配列マスク19の下方にセットされたら、ボール配列マスク19上を、ボールカップ23a,bがジグザグ移動によりY軸方向に移動して、ボール配列マスク19の挿入部18に半田ボール21を落として、ウエハ14上に半田ボール21を搭載する。その後、ボールカップ23a,bは、X軸方向に所定量移動した後、Y軸方向移動で戻ってくる往復移動をする。X軸方向への所定量の移動は、ボールカップ23a,bでの次の半田ボール21の落とし込み部分のX軸方向の位置よりボールカップ23aのカップ幅より4分の1から2分の1の距離分オーバーランさせた後、次のボール配列マスク19の半田ボール21の落とし込み部分まで戻すことにより行われる。この間、ボールカップ23a,b内の半田ボール量が、予め求められた最適な範囲を維持するようにボールホッパ22からボールカップ23a,bへと半田ボール21を補充する。
【0040】
ボールカップ23a,bへの半田ボール21の供給は、ボールホッパ22より行われるが、ウエハ14に印刷されたフラックスがボール配列マスク19に付着しない程度の隙間を残して、ボール配列マスク19を配置しているので、ボールカップ23a,b内に半田ボール21が多いと、半田ボール21が落下しないことが発生しやすい上、ボール配列マスク19のたわみ量が大きくなり、フラックス付着の危険が生じたり、半田ボール21が種々の原因で落ちにくくなるので、必要最小限の量となるようこまめに補充される。
【0041】
尚、ボール落とし込み後に、ボール配列マスク19をウエハ搬送ステージ12に対して、水平方向(X軸方向及びY軸方向)に相対的に微動させることによって、挿入部18内の半田ボール21の位置を補正する。
【0042】
半田ボール搭載後、ウエハ搬送ステージ12はZ軸駆動機構30により下降し、搬出用のウエハ受渡部5へ移動し、停止する。ウエハ収納部10では、搬出用ロボット11により、ウエハ14をウエハ搬送ステージ12から反転ユニット9へ移載し、オリフラまたはノッチが所定位置となるように回転させる。ウエハ14は、更に、搬出用ロボット11により、反転ユニット9からウエハ収納部10のカセット32に移載される。搬出用ロボット11がウエハ搬送ステージ12からウエハ14を取り出したら、ウエハ搬送ステージ12は元の位置であるウエハ受渡部2に戻り、1工程を完了する。本装置は以上の動作を繰り返す。
【0043】
図1に示す実施例では、半田ボール搭載装置1の前方にウエハ供給部6が設けられ、後方にウエハ収納部10が設けられているが、ウエハ搬送ステージ12が、上記のように元の位置に戻るものであるので、図2に示されるようにウエハ供給部6とウエハ収納部10を同一方向に設けたものであっても良い。
【0044】
このように構成することにより、搬出用ロボット11は、搬入用ロボット8で代用することができる上、搬入の際のウエハ14の方向と同一の方向でウエハ14が保持されて収納されるため反転ユニット9も省くことができ、更にはウエハ受渡部2,5も、一方のウエハ受渡部を省くことができるので構成部材の少数化を図ることができた。
【0045】
また、印刷マスク15及びボール配列マスク19とウエハ14の位置合わせ手段として、本実施例は、ウエハ搬送ステージ12の停止時にウエハ14と印刷マスク15またはボール配列マスク19とのアライメントマークを同時に撮影する上下観察カメラ31,34を用いているが、これに限定されるものではなく種々の構成が考えられる。
【0046】
本実施例は、ウエハ14上面の電極に直接半田ボール21を搭載するものであり、挿入部18がボール挿入部になるが、本発明は、一旦ボール収納凹部などが設けられた配列治具に半田ボール21を配列して、半田ボール吸着ヘッドで配列治具より半田ボールを吸着保持して、ウエハ14上の電極などの搭載対象物に半田ボール21を移載する場合にも適応できるものであり、この場合はボール収納凹部がボール挿入部となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施例にかかる半田ボール搭載装置の全体を示す概略平面図
【図2】ウエハ供給部とウエハ収納部を同一方向に設けた場合の概略平面図
【図3】ウエハ搬送ステージの移動を示す説明図
【図4】ボール搭載部を示す一部断面の側面説明図
【図5】ボール搭載部の平面図
【図6】ボールカップの移動示す説明図
【図7】ボールカップの進行方向と交差する方向のジグザグの幅の説明図
【図8】半田ボールと挿入部の関係を示す説明図で、(A)は、断面説明図で、(B)は、真っ直ぐ押された場合の平面説明図で、(C)は斜めに押された場合の平面説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1......半田ボール搭載装置
2,5....ウエハ受渡部
3......フラックス印刷部
4......ボール搭載部
6......ウエハ供給部
7......一次アライメント部
8......搬入用ロボット
9......反転ユニット
10.....ウエハ収納部
11.....搬出用ロボット
12.....ウエハ搬送ステージ
13.....搬送路
14.....ウエハ
15.....印刷マスク
16.....フラックス供給装置
17,37.型枠
18.....挿入部
18A...エッジ
19.....ボール配列マスク
20.....半田ボール供給装置
21、21A、21B、21C.....半田ボール
22.....ボールホッパ
23a、23b.....ボールカップ
24.....ボールカップ移動手段
25.....X軸駆動機構
26.....Y軸駆動機構
27.....マスク高さ検出センサ
28.....Y軸駆動機構
29.....θ軸駆動機構
30.....Z軸駆動機構
31,34.上下観察カメラ
32.....カセット
33.....クリーニングユニット
36.....挿入部形成領域
38.....貫通孔形成領域
40.....X軸駆動装置
41.....取付ベース
42.....傾き調整機構
43.....ガイドレール
44.....ナット部材
45.....昇降手段
50,52,54.....駆動モータ
51,53,55.....ボールねじ
56.....X軸ガイド
57.....Y軸ガイド
58.....ベース部材
63,64....開口部
65.....シャッタ
66.....シリンダ
67.....受け部
68.....切換部
69.....ボール導入部
70.....ボール検出センサ
71.....揺動型エアシリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ボールの挿入部が所定の領域に形成された配列治具と下面に開口部が形成されると共に前記配列治具とで多数の導電性ボールを収容可能なボールカップと前記ボールカップを配列治具の上面に沿って移動させる移動手段とを備え、多数の導電性ボールを収容したボールカップを配列治具の上面に沿って移動させることにより配列治具の挿入部に導電性ボールを落とし込んで配列する導電性ボールの配列装置において、
前記移動手段は、ボールカップをジグザグに移動させることを特徴とする導電性ボールの配列装置。
【請求項2】
前記ボールカップの開口部は、前記領域の幅より狭い幅であり、前記移動手段は、ボールカップの進行方向を折り返す際に、進行方向と直交する方向へ移動するようにしたものである請求項1記載の導電性ボールの配列装置。
【請求項3】
ボールカップの進行方向と交差する方向のジグザグの幅が、上記配列治具の挿入部の同方向の配列ピッチの2分の1以下である請求項1または2記載の導電性ボールの配列装置。
【請求項4】
ボールカップ内に収容される導電性ボールの量を、所定の範囲に維持するようにした請求項1または2または3記載の導電性ボールの配列装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−157740(P2007−157740A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−346414(P2005−346414)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】