説明

導電性ポリアセタール樹脂組成物

【課題】 ポリアセタール樹脂本来の優れた機械的物性を損なうことなく、導電性、耐衝撃性、耐熱安定性、低ホルムアルデヒド臭気放散性に優れる導電性ポリアセタール樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 ポリアセタール樹脂100重量部に対し、導電性カーボンブラック3〜15重量部、熱可塑性樹脂が1〜60重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤0〜1重量部、ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物0〜5重量部からなる導電性ポリアセタール樹脂組成物であり、熱可塑性樹脂がポリアセタール樹脂の相に平均粒子径0.5μm以下で分散していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ポリアセタール樹脂組成物に関する。更に詳しくは、導電性を維持しつつ、耐衝撃性、耐熱安定性が良好な導電性ポリアセタール樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリアセタール樹脂はその優れた機械的強度、熱的特性、摺動特性、成形性、成形品の寸法安定性、クリープ特性、電気特性を有するため、例えば自動車部品、電子・電気部品、産業用機械部品など広範な分野の構造材料や構造部品として広く使用されている。
【0003】
しかしながら、ポリアセタール樹脂は他の樹脂と同様に電気絶縁体であるため、導電性が必要な用途に於いては、カーボンファイバー、金属繊維、導電性カーボンブラック等の導電性付与材を配合することでポリアセタール樹脂に導電性を付与する方法が従来から広く実施されている。特に導電性カーボンブラックは、他の導電性付与材に比べコストが比較的安価なこと、また、ポリアセタール樹脂の大きな特徴である摺動性を損なわないこと、摺動時に相手材を激しく摩耗させない等の理由により広く使用されている。
【0004】
特許文献1には特定の導電性カーボンブラックとエラストマー性ポリウレタンを添加する事で耐衝撃性の改善を図りながら良好な導電性を得る方法が開示されている。しかしながら、本方法では導電性ポリアセタール樹脂の耐衝撃性の向上が未だ充分ではない。
【0005】
また、特許文献2には導電性カーボンブラックとポリウレタンとポリウレタンエラストマーとエチレン重合体を添加することで耐衝撃性、耐熱性の改善を図りながら良好な導電性を得る方法が開示されている。しかしながら、本方法では導電性ポリアセタール樹脂から発生するホルムアルデヒド臭を低減する効果は期待できない。
【0006】
特許文献3では、ストラクチャーレベル(DBP吸油量)が低く、かつ粒径の大きい(表面積小)導電性カーボンブラックを使用し、それにエラストマーポリウレタンを添加することで耐衝撃性、流動性に優れた導電性ポリアセタール樹脂を提案している。しかしながら、本方法では所望の導電性を得るためには、導電性カーボンブッラクを多量に添加する必要があり、加工性に難があることおよび耐熱安定性が著しく低下するため実用性に欠けている。
【0007】
特許文献4にはポリエーテルエステルアミドと酸変性オレフィン系樹脂とエポキシ化合物を添加する方法が、特許文献5にはシリコーンオイルを添加する方法が開示されている。しかしながらこれらの方法では導電性ポリアセタール樹脂の耐衝撃性は改善できても、耐熱安定性の向上やホルムアルデヒド臭気の低減には何ら言及しておらず、これらの改善は望めないことから、各特性にバランス良く優れる材料への更なる改善が望まれていた。
【特許文献1】特開平1−268749号公報(第1頁)
【特許文献2】特開平1−201356号公報(第1頁)
【特許文献3】特開2001−503559号公報(第2頁)
【特許文献4】特開2004−10803号公報(第2頁)
【特許文献5】特開2002−20581号公報(第2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ポリアセタール樹脂本来の優れた機械的物性を損なうことなく、導電性、耐衝撃性、耐熱安定性、低ホルムアルデヒド臭気放散性の各特性にバランス良く優れる導電性ポリアセタール樹脂組成物を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリアセタール樹脂に、導電性カーボンブラック、熱可塑性樹脂、および/または、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、および/または、ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物が配合された導電性ポリアセタール樹脂であって、熱可塑性樹脂がポリアセタール樹脂の相に平均粒子径0.5μm以下で分散していることを特徴とする導電性ポリアセタール樹脂組成物が上記課題を解決することを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち本発明は、ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対し、導電性カーボンブラック(B)3〜15重量部、熱可塑性樹脂(C)1〜60重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)0〜1重量部、ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(E)0〜5重量部からなる導電性ポリアセタール樹脂組成物であり、熱可塑性樹脂(C)がポリアセタール樹脂(A)の相に平均粒子径0.5μm以下で分散していることを特徴とする導電性ポリアセタール樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の導電性ポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂本来の優れた機械的物性を損なうことなく、導電性、耐衝撃性、耐熱安定性、低ホルムアルデヒド臭気放散性の各特性にバランス良く優れるため、自動車用樹脂製燃料系ブラケット部品や燃料ポンプユニット部品の他に、導電性が必要とされる、メンブレンスイッチ、キースイッチ、複写機ドラムフランジ、複写機ドラムギア、複写機チャージャー、電子ライター着火部材等各種電気・電子部品、建築部材、自動車部品、および日用品等各種用途に利用することができる。また、安定した耐熱安定性、低ホルムアルデヒド臭気放散性を有するため、その他一般の射出成形品、押出成形品、およびブロー成形に供し、成形品を得ることにも適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明に用いられるポリアセタール樹脂(A)とは、オキシメチレン単位を主たる繰り返し単位とするポリマーであり、ホルムアルデヒドもしくはトリオキサンを主原料とする重合反応によって得られるいわゆるポリアセタールホモポリマー、および主としてオキシメチレン単位からなり、主鎖中に2〜8個の隣接する炭素原子を有するオキシアルキレン単位を15重量%以下含有するいわゆるポリアセタールコポリマーのいずれであってもよく、また他の構造単位を含有するコポリマー、つまりブロックコポリマー、ターポリマーおよび架橋ポリマーのいずれであってもよい。これらは1種または2種以上で用いることができるが、熱安定性の観点からはポリアセタールコポリマーの使用が好ましい。
【0014】
ポリアセタール樹脂の製造方法については特に制限はなく、公知の方法により製造することができる。ポリアセタールホモポリマーの代表的な製造方法の例としては、高純度のホルムアルデヒドを有機アミン、有機あるいは無機の錫化合物、金属水酸化物のような塩基性重合触媒を含有する有機溶媒中に導入して重合し、重合体を濾別した後、無水酢酸中、酢酸ナトリウムの存在下で加熱してポリマー末端をアセチル化することにより製造する方法などが挙げられる。
【0015】
また、代表的なポリアセタールコポリマーの製造方法の例としては、高純度のトリオキサンおよびエチレンオキシドや1,3−ジオキソランなどの共重合成分をシクロヘキサンのような有機溶媒中に導入し、三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体のようなルイス酸触媒を用いてカチオン重合した後、触媒の失活と末端基の安定化を行うことにより製造する方法、あるいは溶媒を全く使用せずに、セルフクリーニング型撹拌機の中へトリオキサン、共重合成分および触媒を導入して塊状重合した後、さらに不安定末端を分解除去することにより製造する方法などが挙げられる。
【0016】
これらポリマーの粘度は、成形材料として使用できる程度のものであれば特に制限はないが、ASTM D1238法によるメルトフローレート(MFR)が測定可能であり、測定荷重2,160gの条件下においてMFRが0.1〜100g/10分の範囲のものであることが好ましく、1.0〜50g/10分のものであることが特に好ましい。
【0017】
本発明で使用する導電性カーボンブラック(B)には、一般に市販されている導電性カーボンブラックを使用することができるが、特に、その粒子径が小さいかまたは表面積が大きく鎖状構造の発達したものが好ましく、粒子径を表わすBET比表面積が600m/g以上であり、かつその一次粒子の凝集体であるストラクチャーを表わすDBP吸油量が300ml/100g以上のものが好ましく利用される。具体的な導電性カーボンブラックは、例えば、ケッチェンブラックEC〔DBP:365ml/100g、BET:800m/g〕、EC−600JD〔DBP:495ml/100g、BET:1400m/g〕(ライオン社製)、などがある。また、これら導電性カーボンブラックは単独でも、また2種以上の導電性カーボンブラックを併用して用いても良い。
【0018】
本発明において、導電性カーボンブラック(B)の添加量は、ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対して、3〜15重量部であり、好ましくは、4〜10重量部である。導電性カーボンブラック(B)の添加量が3重量部未満の場合には、所望の導電性を得ることが難しく、また、15重量部を越える場合には、添加容積が大きくなり過ぎ、ポリアセタール樹脂(A)への添加定量性が著しく悪化することおよびポリアセタール樹脂(A)の耐熱性が著しく低下するため好ましくない。
【0019】
本発明で用いる熱可塑性樹脂(C)としては、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマーが挙げられる。
【0020】
オレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレン、ペンテンなどのオレフィン類を重合または共重合して得られるポリオレフィン樹脂を不飽和カルボン酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1種類の化合物をグラフト共重合させた変性ポリオレフィン樹脂である。ポリオレフィン樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ1−ブテン、ポリ−1ペンテン、ポリメチルペンテンなどの単独重合体、エチレン/α−オレフィン共重合体、ビニルアルコールエステル単独重合体、ビニルアルコールエステル単独重合体の少なくとも一部を加水分解して得られる重合体、[(エチレンおよび/またはプロピレン)とビニルアルコールエステルとの共重合体の少なくとも一部を加水分解して得られる重合体]、[(エチレンおよび/またはプロピレン)と(不飽和カルボン酸および/またはプロピレン)と(不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステル)との共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属塩化した共重合体]、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とのブロック共重合体、および、そのブロック共重合体の水素化物などが用いられる。
【0021】
なかでも、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/α−オレフィン共重合体、[(エチレンおよび/またはプロピレン)と(不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステル)との共重合体]、[(エチレンおよび/またはプロピレン)と(不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステル)との共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属塩化した共重合体]が好ましい。
【0022】
また、ここでいうエチレン/α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンの少なくとも1種以上との共重合体であり、前記の炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンおよびこれらの組合せが挙げられる。これらα−オレフィンの中でも、炭素数3〜12のα−オレフィンを用いた共重合体が機械的強度の向上の点から好ましい。このエチレン/α−オレフィン系共重合体は、α−オレフィン含量が好ましくは1〜30モル%、より好ましくは2〜25モル%、更に好ましくは3〜20モル%である。
【0023】
更に1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエン、5−エチリデンノルボルネン、5−エチル−2,5−ノルボルナジエン、5−(1’−プロペニル)−2−ノルボルネンなどの非共役ジエンの少なくとも1種が共重合されていてもよい。
【0024】
また、[(エチレンおよび/またはプロピレン)と(不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステル)との共重合体]において用いられる不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸のいずれかあるいはその混合物であり、不飽和カルボン酸エステルとしてはこれら不飽和カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステルなど、あるいはこれらの混合物が挙げられるが、特にエチレンとメタクリル酸との共重合体、エチレン、メタクリル酸およびアクリル酸エステルとの共重合体が好ましい。
【0025】
これらポリオレフィン樹脂の中でも、低、中および高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/α−オレフィン共重合体が好ましい。特に好ましくは、エチレン/α−オレフィン共重合体である。
【0026】
アクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸またはこれらのエステルの単位を主成分とする単独または共重合体、例えば、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル−スチレン共重合体、アクリルゴムなどが挙げられる。
【0027】
スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−エチレン共重合、スチレン系ブロックコポリマーなどが挙げられる。
【0028】
ポリエステル系エラストマーとしては、芳香族ジカルボン酸および/又はそのエステル誘導体、数平均分子量500以下のジオールおよび数平均分子量500以上のポリ(アルキレンオキシド)グリコールを縮重合して得られるものであり、芳香族ジカルボン酸と数平均分子量500以下のジオールからなるハードセグメントと芳香族ジカルボン酸と数平均分子量500以上のポリ(アルキレンオキシド)グリコールからなるソフトセグメントを有するポリエーテルエステルブロック共重合体である。このポリエーテルエステルブロック共重合体を構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸やナフタリンカルボン酸が主として使用されるが、30モル%以下の少量であれば、イソフタル酸、フタル酸、ナトリウムスルホイソフタル酸のような他の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸のような脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸のような脂還族ジカルボン酸等が含有されていても使用することができる。
【0029】
また、ポリエーテルエステルブロック共重合体を構成する数平均分子量500以下のジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオールが使用できる。また、これらのジオールは、単独であっても混合物であっても使用することができる。これらのジオール成分の中でも、ポリエーテルエステルブロック共重合体の重合性、結晶性の点から、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールが特に好ましく使用される。
【0030】
更に、ポリエーテルエステルブロック共重合体を構成する数平均分子量500以上のポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分としては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド/テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合物などが使用できる。これらのポリ(アルキレンオキシド)グリコールの数平均分子量は、500以上であれば特に限定されるものではないが、耐衝撃性改良とポリアセタール樹脂との相溶性の点からは、数平均分子量500〜20,000のものが好ましく使用される。
【0031】
ポリエーテルエステルブロック共重合体の共重合組成は、特に限定されるものではないが、芳香族ジカルボン酸とポリ(アルキレンオキシド)グリコールから誘導される単位すなわちソフトセグメントが、ポリエーテルエステルブロック共重合体中の5〜95重量%でることが好ましい。特に好ましくは、10〜90重量%である。5重量%未満の場合には、耐衝撃性の改良効果が小さく、また、95重量%を越える場合には、機械的強度低下が著しくなり使用できない。
【0032】
ポリウレタン系エラストマーとしては、ハードセグメントとして、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、などのジイソシアネートとエチレングリコール、テトラメチレングリコールなどのグリコールとを反応させることにより得られるウレタン、ソフトセグメントとしてポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペートなどのポリエステルジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルジオールを組み合わせたポリウレタン系エラストマーがある。
【0033】
ポリスチレン系エラストマーとしては、ハードセグメントとしてポリスチレン、ソフトセグメントとしてポリブタジエン、ポリイソプロピレンなどのジエン系、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンなどの水素添加ジエン系を組み合わせたポリスチレン系エラストマーがある。
【0034】
本発明において、熱可塑性樹脂(C)の添加量は、ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対して1〜60重量部であり、好ましくは1〜45重量部であり、特に好ましくは3〜30重量部である。熱可塑性樹脂(C)を2種以上併用する場合の添加割合は特に制限無い。熱可塑性樹脂(C)の添加量が1重量部より小さいと、耐衝撃性の改良が充分でなく、60重量部を越えると、機械的強度低下が著しくなり好ましくない。
【0035】
本発明で用いるヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)は、具体的には、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−t−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレン−ビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N、N’−ビス[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド等がある。好ましくは、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンである。これらの酸化防止剤は1種類用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。また、ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対して、0〜1重量部、すなわち0重量部又は1重量部以下配合することが好ましい。
【0036】
本発明で用いるホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(E)は、例えば、メラミンまたはその誘導体、またはヒドラジン化合物または4元共重合ナイロンである。そ
の例としては、ナイロン4−6、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12などのポリアミド樹脂、およびこれらの共重合物、例えば、ナイロン6/6−6/6−10、ナイロン6/6−12、ナイロン6/6−6/6−10/12などが挙げられる。またアクリルアミドおよびその誘導体、アクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体やアミノ置換基を有するホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む化合物を挙げることができる。アクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体の例としては、アクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られたポリ−β−アラニン共重合体を挙げることができる。また、アミノ置換基を有するホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む化合物の例としては、グアナミン(2,4−ジアミノ−sym−トリアジン)、メラミン(2,4,6−トリアミノーsym−トリアジン)、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N’,N’’−トリフェニルメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’,N’’−トリメチロールメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、アセトグアナミン(2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、2,4−ジオキシ−6−アミノ−sym−トリアジン、2−オキシ−4,6−ジアミノ−sym−トリアジン、N,N’−テトラシアノエチルベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、エチレンジメランミン、トリグアナミン、メラミンシアヌレート、エチレンジメラミンシアヌレート、トリグアナミンシアヌレート、アンメリン、アセトグアナミンなどのトリアジン誘導体、カルボニルジヒドラジドなどのモノカルボン酸ジヒドラジド、ジカルボン酸モノヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジカルボン酸ジヒドラジド、ポリカルボン酸ポリヒドラジドなどのヒドラジド化合物が挙げられる。これらホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体または化合物の中でも、メラミンおよびその誘導体、ヒドラジド化合物、ナイロン6/6−6/6−10/12四元共重合体が特に好ましい。これらホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体または化合物は1種類用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。ポリアセタール樹脂100重量部に対して、好ましくは0〜5重量部、すなわち0重量部又は5重量部以下配合される。
【0037】
さらに、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、所望に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、従来ポリアセタール樹脂で用いられる各種の添加剤、例えば、潤滑剤(アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステルおよびシリコーンオイル、シリコーンガム、ポリオレフィンにシリコーンガムや緩やかにグラフトしたポリオレフィングラフトシリコーンなどのシリコーン化合物)、各種無機充填材(繊維状充填材としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ワラステナイト、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮などの金属繊維などの無機質繊維が挙げられる)を含有しても良い。
【0038】
粉末状充填材としては、石英粉末、ケイ酸アルミニウム、カオリン、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、フェライト、マイカ、タルク、各種金属粉末などが挙げられる。これらの無機充填材はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上組み合わせて用いても良い。これらの無機充填材は未処理のものも使用できるが、シラン系、チタネート系、ジルコニウム系、ボラン系などのカップリング剤で予め表面処理されているものがより好ましい。
【0039】
[分散粒子径の測定方法]
TEM(透過型電子顕微鏡)観察により得られた写真からポリアセタール樹脂中に分散している熱可塑性樹脂の粒子100個の直径を測定し、平均して算出する。なお、分散粒子の断面が楕円形であるなど非円形形状の場合は長径と短径の平均値を粒子径とみなす。
【0040】
[熱可塑性樹脂の分布]
本発明の導電性ポリアセタール樹脂組成物において、添加される熱可塑性樹脂(C)はポリアセタール樹脂(A)相に細かく存在している。これは、ポリアセタール樹脂(A)の相に、熱可塑性樹脂(C)の分散粒子径が0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下であることが特徴である。これは、ポリアセタール樹脂(A)の相中で、熱可塑性樹脂(C)が微分散化していることを意味し、導電性カーボンブラック(B)が熱可塑性樹脂(C)に凝集しにくい効果が発揮される。導電性カーボンブラック(B)が凝集しにくくなることにより、導電性カーボンブラック(B)の添加量が比較的少量で良好な導電性を付与することが可能であり、導電性カーボンブラック(B)添加量に起因する耐衝撃性、加工性および耐熱安定性の向上が可能となる。
【0041】
[導電性ポリアセタール樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリアセタール樹脂組成物の製造方法は、ポリアセタール樹脂(A)、熱可塑性樹脂(C)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)、ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(E)を予めドライブレンドした混合物を溶融混練したものに導電性カーボンブラックを添加することを特徴としており、これらの溶融混練の際には一般的に使用されている機械を用いることができる。溶融混練機としては、ニーダー、ロールミル、単軸押出機、2軸押出機、多軸押出機などが挙げられ、2軸押出機での製造がより好ましい。2軸押出機とは2本の回転軸を有したものであり、同方向回転式および異方向回転式があるが、本発明では共に使用可能である。ポリアセタール樹脂(A)、熱可塑性樹脂(C)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)、ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(E)のマスターペレットを作成し、マスターペレットと導電性カーボンブラック(B)とを2軸押出機を用い溶融混練することも可能であるが、図1に示したように、ポリアセタール樹脂(A)、熱可塑性樹脂(C)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)、ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(E)をホッパー1から2軸押出機に投入し、2軸押出機にてこれらを溶融混練したものに導電性カーボンブラック(B)を、2軸押出機の長さ(L)に対し、導電性カーボンブラック(B)以外の原料投入位置(L0)、すなわちホッパー1の投入口位置からL/5〜4L/5の範囲内で添加し製造することがより好ましい。2軸押出機のスクリューアレンジメントは特に制限無いが、この時の加工温度は180〜240℃であることが好ましく、品質や作業環境の保持のためには不活性ガスによる置換や一段および二段ベントで脱気することが好ましい。
【0042】
また、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、安定した導電性と耐衝撃性、耐熱安定性を有するため、自動車用燃料ブラケット部品や燃料ポンプユニット部品の他に、導電性が必要とされる、メンブレンスイッチ、キースイッチ、複写機ドラムフランジ、複写機ドラムギア、複写機チャージャー、電子ライター着火部品など各種電気・電子部品、建築部材、自動車部品、および日用品など各種用途に利用することができる。また、安定した耐熱性、低ホルムアルデヒド放散性を有するため、その他一般の射出成形、押出成形、およびブロー成形に供し、成形品を得ることにも適している。
【実施例】
【0043】
本発明を更に具体的に説明するために以下実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
[実施例1〜12]
東レ(株)製ポリアセタール樹脂(A)“アミラス”S731(MFR:27g/10min)100重量部に対して、熱可塑性樹脂(C−1、C−2、C−3、C−4、C−5)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)、ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(E−1、E−2)を表1に示した割合で混合した配合物を、図2に示した、内径D=57mmφ、L/D=27(L=1,540mm)のベント付き2軸押出機のホッパー1のL0の位置から投入し、シリンダー温度200℃、ベント圧1.3kPa、スクリュー回転数150rpmで溶融混練し、図2に示した押出機中段(L0から900mmの位置)のサイドフィード供給口5から導電性カーボンブラック(B−1、B−2)を表1に示した割合でサイドフィードしてペレットを得た。このペレットを熱風循環オーブン中、80℃で5時間乾燥した後、シリンダー温度200℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(東芝IS−80)を用いて、射出時間10秒、冷却時間10秒で、ASTM1号ダンベル、1辺80mm、厚さ1mmの角板を成形し、各種評価を行った。これらの結果と配合処方を表1に示す。
【0045】
なお、図2中、6は減圧脱気用ベント口を表わす。また、2はフルフライトスクリューエレメントを、3はニーディングスクリューエレメントを、4は逆フライトスクリューエレメントをそれぞれ表わす。
【0046】
[比較例1〜11]
実施例1〜12で使用したポリアセタール樹脂、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーヒンダードフェノール系酸化防止剤、ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物、導電性カーボンブラック(B−1、B−2、B−3)を用いて表2に記載の比率で混合した配合物を図3に示した2軸押出機のホッパー1のL0の位置から投入し、実施例1〜29と同様の製造条件でペレットを得た。評価については、実施例1〜29と同様の方法でASTM1号ダンベルおよび角板を作成し、同様の方法で評価を行った。
【0047】
[体積抵抗値測定]
射出成形して得られた80×80×1mmtの角板を23℃、50%RHの室内に24時間放置した後、IEC60093に従って、加電圧100Vにて体積抵抗値を測定した。値が小さい方が導電性優れる。
【0048】
[衝撃強度測定]
射出成形して得られたASTM1号ダンベルより長さ65mm、幅12mm、厚さ3.2mmtの試験片を切り出し、ASTM D256に従ってノッチを入れ、ノッチ付きIzod衝撃強さを測定した。値が大きい方が衝撃強度が大きく、機械的物性に優れる。
【0049】
[加熱分解率K230測定]
加熱分解率K230は、230℃で60min放置した時の分解率を意味し、熱天秤装置(セイコー電子(株)製TG/DTA200)を使用して、役10mmgのサンプルを空気雰囲気下、230℃で放置し下記式から求めた。
K230=(W0−W1)×100/W0(%)
【0050】
ここで、W0は加熱前のサンプル重量、W1は加熱後のサンプル重量を意味する。値の小さい方が熱安定性に優れる。
【0051】
[ホルムアルデヒド臭気(FA臭気)の評価]
射出成形して得られた80×80×1mmtの角板を室内に1時間放置した後、その成形品が1g、表面積にして16cmになるよう切り出し精秤する。切り出した1g、表面積にして16cmの成形品を内容量1,000mlの三角フラスコに入れ密栓した。このサンプル入り三角フラスコを80℃に設定した熱風循環オーブンで5時間熱処理した。冷却後、三角フラスコ内を光明理化学工業社製北川式ホルムアルデヒド検知管を用いてホルムアルデヒド臭気(FA臭気)を測定した。値の小さい方が臭気が少なく、低ホルムアルデヒド臭気放散性に優れる。
【0052】
また、実施例および比較例に用いた物質は次の通りである。
(B−1)導電性カーボンブラック“ケッチェンブラックEC”[DBP:365ml/100g、BET:800m/g](ライオン社製)
(B−2)導電性カーボンブラック“ケッチェンブラックEC−600JD”[DBP:495ml/100g、BET:1400m/g](ライオン社製)
(B−3)導電性カーボンブラック“三菱カーボンブラック#3350B”[DBP:16ml/100g、BET:125m/g]
(C−1)変性ポリオレフィン樹脂“フサボンドN MN493D”(デュポン社製、無水マレイン酸変性エチレン−オクテン共重合体)
(C−2)未変性ポリオレフィン樹脂“ハイゼックス1300J”(三井化学社製、高密度ポリエチレン)
(C−3)変性ポリオレフィン樹脂“EEA A−709”(三井・デュポンポリケミカル社製、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂)
(C−4)ポリエーテルエステルブロック共重合体“コペルKP3340”(コーロン社製、表面硬度:D40)
(C−5)熱可塑性ポリウレタンエラストマー“エラストラン1190A”(BASF社製、ポリエーテルポリオール系、表面硬度:D42)
(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤“イルガノックス245”(チバスペシャリティーケミカルズ社製、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート])
(E−1)イソフタル酸ジヒドラジド(日本ヒドラジン工業社製)
(E−2)ポリアミド6/66/610/12四元共重合体(共重合組成6/66/610/12=22/12/16/50(重量部))
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
表1および表2から実施例に示すように、本組成物は比較例に比べ、体積抵抗値、衝撃強度、K230、FA臭気にバランス良く優れていることが判る。
【0056】
TEM(透過型電子顕微鏡)観察により、比較例8の組成物を観察したところ、図4に示したように熱可塑性樹脂(C−4)の粒子径が大きく(平均粒子径:1.0μm)、図5に示すような熱可塑性樹脂(C−4)粒子周辺に導電性カーボンブラックが凝集した形態が確認された。同様に実施例12の組成物を観察したところ、図6に示したように熱可塑性樹脂(C−4)の粒子径が比較例11に比べ細かく(平均粒子径:0.2μm)、図7に示すような熱可塑性エラストマー(C−4)周辺への導電性カーボンブラックの凝集も少ないことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施例の溶融混練機として使用した2軸押出機の概要を示す軸方向断面図であり、導電性カーボンブラックの添加位置の範囲を示した模式図である。
【図2】本発明の実施例で使用した2軸押出機の概要を示す軸方向断面図であり、各種原材料の添加位置を示した模式図である。
【図3】比較例で使用した2軸押出機の概要を示す軸方向断面図であり、各種原材料の添加位置を示した模式図である。
【図4】比較例11で得られたASTM1号ダンベルのTEM(透過型電子顕微鏡)観察写真である。
【図5】図4のTEM観察写真の形態をモデル化した模式図である。
【図6】実施例12で得られたASTM1号ダンベルのTEM(透過型電子顕微鏡)観察写真である。
【図7】図6のTEM観察写真の形態をモデル化した模式図である。
【符号の説明】
【0058】
1 ホッパー
2 フルフライトスクリューエレメント
3 ニーディングスクリューエレメント
4 逆フライトスクリューエレメント
5 サイドフィード供給口
6 減圧脱気用ベント口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対し、導電性カーボンブラック(B)3〜15重量部、熱可塑性樹脂(C)1〜60重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)0〜1重量部、ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(E)0〜5重量部からなる導電性ポリアセタール樹脂組成物であり、熱可塑性樹脂(C)がポリアセタール樹脂(A)の相に平均粒子径0.5μm以下で分散していることを特徴とする導電性ポリアセタール樹脂組成物。
【請求項2】
前記導電性カーボンブラック(B)のBET比表面積が600m/g以上、且つDBP吸油量が300ml/100g以上の導電性カーボンブラックである請求項1記載の導電性ポリアセタール樹脂組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂(C)がオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、およびポリスチレン系エラストマーの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の導電性ポリアセタール樹脂組成物。
【請求項4】
前記ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(E)がメラミンまたはその誘導体、またはヒドラジン化合物または4元共重合ナイロンである請求項1記載の導電性ポリアセタール樹脂組成物。
【請求項5】
ポリアセタール樹脂(A)、熱可塑性樹脂(C)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)、ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(E)を予めドライブレンドした混合物を溶融混練したものに導電性カーボンブラック(B)を添加する請求項1〜4記載の導電性ポリアセタール樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
2軸押出機にてポリアセタール樹脂(A)、熱可塑性樹脂(C)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)、ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(E)の溶融混練したものに導電性カーボンブラック(B)を添加する位置が、2軸押出機の長さ(L)に対し、導電性カーボンブラック(B)以外の原料投入位置(L0)からL/5〜4L/5の範囲内である請求項1〜4記載の導電性ポリアセタール樹脂組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−299154(P2006−299154A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−125057(P2005−125057)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【出願人】(599091759)株式会社 ケイティーピー (4)
【Fターム(参考)】