説明

導電性付与剤及び導電性樹脂組成物

【課題】熱可塑性樹脂、紫外線硬化型樹脂、ゴムまたは粘着剤などへ混練する際に、高濃度にイオン導電剤を含有させた場合においても安全であり、相溶性良く簡便に混練することができ、生産性に優れた導電性付与剤を提供すること。また、導電性、環境安定性に優れ、樹脂あるいはゴム等表面へのブリードが改善された導電性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】イオン性液体と含フッ素有機アニオン塩類とがポリエーテルポリオールに溶解されてなる導電性付与剤において、イオン性液体がピリジン誘導体のオニウム塩である導電性付与剤。ピリジン誘導体のオニウム塩及び含フッ素有機アニオン塩類の陰イオンが、パーフルオロアルカンスルホン酸、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド酸、環状パーフルオロアルキレンジスルホンイミド酸、パーフルオロアルカンジスルホン酸、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド酸であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂、紫外線硬化型樹脂、ゴムまたは粘着剤などに添加することで、良好な導電性を付与できる導電性付与剤、及び該導電性付与剤が添加されてなる導電性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂、紫外線硬化型樹脂、ゴムまたは粘着剤等に導電性付与剤が添加されてなる導電性樹脂組成物は、防塵シート、帯電防止フィルム、除電マット、帯電防止床材などの導電性シート、電子写真式プリンターや複写機の導電性ロール(帯電ロール、現像ロール、転写ロールなど)、磁気記録媒体用基材、半導体用素材、液晶ディスプレイなどの保護フィルムなど多用途に用いられている。
【0003】
導電性付与剤は、ポリエーテルポリオールに代表されるポリエーテル類に、アルカリ金属塩に代表されるイオン導電剤を添加してなるものが知られている。
【0004】
従来使用されているイオン導電剤として、過塩素酸リチウムが知られている(例えば特許文献1参照)。過塩素酸リチウムは、他のイオン導電剤と比較して帯電防止性、すなわち導電性に優れ、さらに安価であるためコスト的に非常に有利なイオン導電剤であるが、該化合物は消防法に定める危険物第1類に属する酸化性固体であり、可燃物と混合すると発熱、発火の危険性があるため、取り扱い上、特段の注意を要し、樹脂等への添加量が制限される。すなわち、導電性に優れた導電性材料を得るべく、過塩素酸リチウムを高濃度に添加した導電性付与剤の製造は、安全面から困難を伴うものである。
【0005】
また、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウムやトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン酸リチウム等のイオン導電剤が知られている(例えば特許文献2参照)。該イオン導電剤は、導電性が高く、熱的安定性に優れ、取り扱いが容易である一方、樹脂に対する相溶性が必ずしも良好ではないため、ブリード等を発生しやすく、汚染の原因や、電気特性劣化の問題があった。
【0006】
従って、熱可塑性樹脂、紫外線硬化型樹脂、ゴムまたは粘着剤等に、イオン導電剤を高濃度で混練させた場合でも、発熱、発火の危険性がなく、かつ、樹脂に対する相溶性が良好でブリード等を発生せず、電気特性の品質安定性、環境安定性に優れた導電性付与剤が望まれている。
【0007】
【特許文献1】特開平8−176255号公報
【特許文献2】特開2002−146178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、熱可塑性樹脂、紫外線硬化型樹脂、ゴムまたは粘着剤などへ混練する際に、高濃度にイオン導電剤を含有させた場合においても安全であり、相溶性良く簡便に混練することができ、生産性に優れた導電性付与剤を提供することである。また、導電性、環境安定性に優れ、樹脂あるいはゴム等表面へのブリードが改善された導電性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、イオン導電剤として、特定のイオン性液体であるピリジン誘導体のオニウム塩と含フッ素有機アニオン塩類とをポリエーテルポリオールに溶解してなる導電性付与剤が、前記課題を解決し得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、以下の(1)〜(15)に示すものである。
【0011】
(1)イオン性液体と含フッ素有機アニオン塩類から選択される少なくとも1種とがポリエーテルポリオールに溶解されてなる導電性付与剤において、該イオン性液体がピリジン誘導体のオニウム塩であることを特徴とする導電性付与剤。
【0012】
(2)前記ピリジン誘導体のオニウム塩が、一般式〔1〕及び/または一般式〔2〕で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の導電性付与剤。
【0013】
【化1】

(式中、Rは炭素数3〜18のアルキル基を、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。Aは陰イオンを表す。)
【0014】
【化2】

(式中、Rは炭素数3〜18のアルキル基を、R及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を表す。Aは陰イオンを表す。)
【0015】
(3)前記ピリジン誘導体のオニウム塩の陰イオンAが、パーフルオロアルカンスルホン酸、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド酸、環状パーフルオロアルキレンジスルホンイミド酸、パーフルオロアルカンジスルホン酸、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド酸、からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の導電性付与剤。
【0016】
(4)前記ピリジン誘導体のオニウム塩の陰イオンAが、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミド酸、シクロヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド酸、パーフルオロプロパンジスルホン酸、トリス(トリフルオロメタン)スルホニルメチド酸、からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の導電性付与剤。
【0017】
(5)前記含フッ素有機アニオン塩類がアルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩であり、そのアニオンが、パーフルオロアルカンスルホン酸、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド酸、環状パーフルオロアルキレンジスルホンイミド酸、パーフルオロアルカンジスルホン酸、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド酸からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)から(4)のいずれか1つに記載の導電性付与剤。
【0018】
(6)前記含フッ素有機アニオン塩類がアルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩であり、そのアニオンが、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミド酸、シクロヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド酸、パーフルオロプロパンジスルホン酸、トリス(トリフルオロメタン)スルホニルメチド酸、からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする(1)から(4)に記載の導電性付与剤。
【0019】
(7)前記含フッ素有機アニオン塩類がリチウム塩であることを特徴とする前記(1)から(6)のいずれか1つに記載の導電性付与剤。
【0020】
(8)前記(1)から(7)のいずれか1つに記載の導電性付与剤において、含フッ素有機アニオン塩類とピリジン誘導体のオニウム塩との重量混合比が1:10〜10:1の範囲であることを特徴とする導電性付与剤。
【0021】
(9)前記(1)から(8)のいずれか1つに記載の導電性付与剤において、ピリジン誘導体のオニウム塩と含フッ素有機アニオン塩類とからなる導電性付与剤が、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシエチレングリコール−ポリオキシプロピレングリコールブロック共重合体、ポリエチレン−ポリオキシアルキレングリコールグラフト共重合体からなる群の少なくとも1種のポリエーテルポリオールに溶解されてなり、かつ該ポリエーテルポリオールとピリジン誘導体のオニウム塩との総重量100重量部に対して、含フッ素有機アニオン塩類が1〜50重量部含有されてなることを特徴とする導電性付与剤。
【0022】
(10)熱可塑性樹脂100重量部に対し、前記(1)から(9)のいずれか1つに記載の導電性付与剤が、0.1〜50重量部添加されてなることを特徴とする導電性樹脂組成物。
【0023】
(11)ゴムまたはエラストマー100重量部に対し、前記(1)から(9)のいずれか1つに記載の導電性付与剤が、0.1〜50重量部添加されてなることを特徴とする導電性樹脂組成物。
【0024】
(12)紫外線硬化型樹脂100重量部に対し、前記(1)から(9)のいずれか1つに記載の導電性付与剤が、0.1〜50重量部添加されてなることを特徴とする導電性樹脂組成物。
【0025】
(13)粘着剤100重量部に対し、前記(1)から(9)のいずれか1つに記載の導電性付与剤が、0.1〜50質量部添加されてなることを特徴とする導電性樹脂組成物。
【0026】
(14)前記(9)から(13)のいずれか1つに記載の導電性樹脂組成物を用いて成型されたことを特徴とする導電性樹脂フィルム。
【0027】
(15)前記(9)から(13)のいずれか1つに記載の導電性樹脂組成物がコーティングされてなることを特徴とするコーティング組成物。
【発明の効果】
【0028】
本発明の導電性付与剤は、イオン性液体と含フッ素有機アニオン塩類とが含有されてなり、特定のイオン性液体であるピリジンのオニウム塩を用いたことにより、樹脂等への相溶性、特にポリエーテルポリオールとの相溶性に優れた導電性付与剤が得られ、該導電性付与剤を含む導電性樹脂組成物は、樹脂あるいはゴム表面へのブリードによる汚染が低減されるという効果を有する。また、含フッ素有機アニオン塩類とイオン性液体であるピリジンのオニウム塩とを含有させることによって、高イオン濃度でも安全性を損なわれることない導電性付与剤が得られ、該導電性付与剤を用いた導電性樹脂組成物は導電性が高く、かつ、耐熱性、環境安定性にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の導電性付与剤について詳細に説明する。
【0030】
本発明は、含フッ素有機アニオン塩類と、イオン性液体であるピリジン誘導体のオニウム塩とがポリエーテルポリオールに溶解されてなることを特徴とする導電性付与剤である。本発明に用いられるピリジン誘導体のオニウム塩は、常温で液状を呈するイオン性液体であり、このピリジン誘導体のオニウム塩は導電性、耐熱性に優れ、また、樹脂等との相溶性、特にポリエーテルポリオールとの相溶性に優れる。
【0031】
ピリジン誘導体のオニウム塩においては、前記一般式〔1〕及び/または一般式〔2〕で表されるピリジン誘導体のオニウム塩が特に好適である。
【0032】
本発明に用いられるピリジン誘導体のオニウム塩のカチオンとしては、具体的にN−イソプロピル−3−メチルピリジニウムイオン、N−n−ブチル−3−メチルピリジニウムイオン、N−n−ブチル−3−メチルピリジニウムイオン、N−n−ヘキシル−3−メチルピリジニウムイオン、N−n−オクチル−3−メチルピリジニウムイオン、N−n−ラウリル−3−メチルピリジニウムイオン、N−イソプロピル−3−エチルピリジニウムイオン、N−n−ブチル−3−エチルピリジニウムイオン、N−n−ブチル−3−エチルピリジニウムイオン、N−n−ヘキシル−3−エチルピリジニウムイオン、N−n−オクチル−3−エチルピリジニウムイオン、N−n−ラウリル−3−エチルピリジニウムイオン、などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0033】
イオン性液体であるピリジンのオニウム塩を構成する陰イオンAは、該オニウム塩が常温で液状を呈するイオン性液体となるものであれば特に限定されない。そのような陰イオンとして具体的に、パーフルオロアルカンスルホン酸、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド酸、環状パーフルオロアルキレンジスルホンイミド酸、パーフルオロアルカンジスルホン酸、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド酸などが挙げられる。
【0034】
前記パーフルオロアルカンスルホン酸としては、具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSO)、パーフルオロエタンスルホン酸(CSO)、パーフルオロプロパンスルホン酸(CSO)、パーフルオロブタンスルホン酸(CSO)、パーフルオロオクタンスルホン酸(C17SO)などがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0035】
また、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド酸としては、具体的には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸((CFSO2)N)、ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミド酸((CSO2)N)、ビス(パーフルオロプロパンスルホニル)イミド酸((CSO2)N)、ビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミド酸((CSO2)N)、N,N−トリフルオロメタンスルホニルパーフルオロエタンスルホニルイミド酸((CFSO2)(CSO2)N)、N,N−トリフルオロメタンスルホニルパーフルオロプロパンスルホニルイミド酸((CFSO2)(CSO2)N)、N,N−パーフルオロエタンスルホニルパーフルオロプロパンスルホニルイミド酸((CFSO)(CSO2)N)、N,N−トリフルオロメタンスルホニルパーフルオロブタンスルホニルイミド酸((CFSO2)(CSO2)N)、N,N−パーフルオロエタンスルホニルパーフルオロブタンスルホニルイミド酸((CSO2)(CSO2)N)、N,N−パーフルオロプロパンスルホニルパーフルオロブタンスルホニルイミド酸((CSO2)(CSO2)N)などがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0036】
環状パーフルオロアルキレンジスルホンイミド酸は、下記一般式〔3〕で表される化合物が挙げられる。シクロテトラフルオロエタン−1,2−ビス(スルホニル)イミド酸、シクロヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド酸、シクロオクタフルオロブタン−1,4−ビス(スルホニル)イミド酸などがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0037】
【化3】

(式中、nは2〜8の整数)
【0038】
また、パーフルオロアルカンジスルホン酸としては、具体的には、ジフルオロメタンジスルホン酸、パーフルオロエタンジスルホン酸、パーフルオロプロパンジスルホン酸、パーフルオロブタンジスルホン酸、パーフルオロオクタンジスルホン酸などがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0039】
また、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド酸としては、具体的には、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド酸((CFSO2)C)、トリス(パーフルオロエタンスルホニル)メチド酸((CSO2)C)、トリス(パーフルオロブタンスルホニル)メチド酸((CSO2)C)、トリス(パーフルオロオクタンスルホニル)メチド酸(C17SOCなどがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0040】
前記例示した陰イオンAのなかでも、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミド酸、シクロヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド酸、パーフルオロプロパンジスルホン酸、トリス(トリフルオロメタン)スルホニルメチド酸は、導電性が高く、耐熱性に優れ、より好ましい。
【0041】
また、本発明に使用されるもう一方の含フッ素有機アニオン塩類である含フッ素有機アニオン塩類としては、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩であり、パーフルオロアルカンスルホン酸塩類、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド酸塩類、環状パーフルオロアルキレンジスルホンイミド酸塩類、パーフルオロアルカンジスルホン酸塩類、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド酸塩類からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0042】
前記パーフルオロアルカンスルホン酸塩類としては、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSO)、パーフルオロエタンスルホン酸(CSO)、パーフルオロプロパンスルホン酸(CSO)、パーフルオロブタンスルホン酸(CSO)、パーフルオロヘキサンスルホン酸(C13SO)、パーフルオロオクタンスルホン酸(C17SO)などのアルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩などがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0043】
前記ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド酸塩類としては、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸((CFSO2)N)、ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミド酸((CSO2)N)、ビス(パーフルオロプロパンスルホニル)イミド酸((CSO2)N)、ビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミド酸((CSO2)N)、N,N−トリフルオロメタンスルホニルパーフルオロエタンスルホニルイミド酸((CFSO2) (CSO2)N)、N,N−トリフルオロメタンスルホニルパーフルオロプロパンスルホニルイミド酸((CFSO2) (CSO2)N)、N,N−パーフルオロエタンスルホニルパーフルオロプロパンスルホニルイミド酸((CSO) (CSO2)N)、N,N−トリフルオロメタンスルホニルパーフルオロブタンスルホニルイミド酸((CFSO2) (CSO2)N)、N,N−パーフルオロエタンスルホニルパーフルオロブタンスルホニルイミド酸((CSO2) (CSO2)N)、N,N−パーフルオロプロパンスルホニルパーフルオロブタンスルホニルイミド酸((CSO2) (CSO2)N)などのアルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩があげられるが、これに限定されるものではない。
【0044】
前記環状パーフルオロアルキレンジスルホンイミド酸塩類としては、下記一般式〔4〕及び〔5〕で表される環状パーフルオロアルキレンジスルホンイミド酸のアルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩があげられる。具体的には、シクロテトラフルオロエタン−1,2−ビス(スルホニル)イミド酸、シクロヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド酸、シクロオクタフルオロブタン−1,4−ビス(スルホニル)イミド酸などなどのアルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0045】
【化4】

(式中、nは2〜8の整数、Mは1価のアルカリ金属イオンを示す)
【0046】
【化5】

(式中、nは2〜8の整数、Mは2価のアルカリ土類金属イオンを示す)
【0047】
前記パーフルオロアルカンジスルホン酸塩類としては、ジフルオロメタンジスルホン酸、パーフルオロエタンジスルホン酸、パーフルオロプロパンジスルホン酸、パーフルオロブタンジスルホン酸、パーフルオロオクタンジスルホン酸などのアルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩があげられるが、これに限定されるものではない。
【0048】
前記トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド酸塩類としては、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド酸((CFSO2)3C)、トリス(パーフルオロエタンスルホニル)メチド酸((CSO2)3C)、トリス(パーフルオロブタンスルホニル)メチド酸((CSO2)3C)、トリス(パーフルオロオクタンスルホニル)メチド酸((C17SO2)3C)などのアルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩があげられるが、これに限定されるものではない。
【0049】
前記含フッ素有機アニオン塩類のアルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩としては、リチウム塩が好適である。
【0050】
本発明の導電性付与剤中に溶解させる含フッ素有機アニオン塩類において、含フッ素有機アニオン塩類の割合が多くなると、危険性が増大することから、含フッ素有機アニオン塩類とピリジン誘導体のオニウム塩との配合割合は、通常、重量混合比が、1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1、より好ましくは1:3〜3:1の範囲である。
【0051】
以上のように導電性が高い含フッ素有機アニオン塩類と、導電性が高く、発熱、発火等の危険性がなく、取り扱いの容易なピリジンのオニウム塩とを、所定の割合で配合し、ポリエーテルポリオールに溶解させることにより、安全性が高く、環境安定性の高い、高導電性の導電性付与剤が得られる。
【0052】
前記ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシエチレングリコール−ポリオキシプロピレングリコールブロック共重合体、ポリエチレン−ポリオキシアルキレングリコールグラフト共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることにより、導電性を高めるとともに、熱可塑性樹脂またはゴムへの相溶性を向上させることができ好ましい。ポリエーテルポリオールとピリジン誘導体のオニウム塩との総重量100重量部に対して、含フッ素有機アニオン塩類が1から50重量部含有されてなることが、安全性の面から好適である。
【0053】
次に、本発明の導電性樹脂組成物について、以下に説明する。
【0054】
本発明は、熱可塑性樹脂、ゴムまたはエラストマー、紫外線硬化型樹脂または粘着剤100質量部に対し、本発明の導電性付与剤が、0.1〜50質量部添加されてなることを特徴とする導電性樹脂組成物である。
【0055】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアセタール、ポリアクリレート、アクリル樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、エポキシ樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、フラン、ポリカーボネートフラン等があげられる。得られる導電性樹脂組成物の導電性に優れる点から、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂の少なくとも1種が好ましい。
【0056】
また、本発明に用いられるゴムまたはエラストマーとしては、ウレタンゴム、アクリルゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリン/エチレンオキサイド共重合ゴム、シリコンゴム、フルオロオレフィン/ビニルエーテル共重合体ウレタンゴム、スチレン/ブタジエン共重合体ゴム及びそれらの発泡体からなる群から選ばれる少なくとも1種があげられる。
【0057】
本発明に用いられる紫外線硬化型樹脂に導電性付与剤を含有させる方法としては、本発明の含フッ素有機アニオン塩類を含有するポリエーテルポリオールをジイソシアネート類と反応させることによりウレタン化し、ついで単官能基あるいは多官能基を有するアクリレートと反応させることによってポリウレタンアクリレートからなる紫外線硬化型樹脂を得ることができる。また、本発明の含フッ素有機アニオン塩類を含有するポリエーテルポリオールをアクリル酸またはメタクリル酸と脱水エステル化反応させることによっても得ることが可能である。
【0058】
ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコールとポリオキシプロピレングリコールのブロック共重合体などがあげられる。ジイソシアネート類としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどがあげられる。また、アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートなどがあげられる。
【0059】
また、本発明に用いられる粘着剤としてはゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。ゴム系粘着剤としては天然ゴム、SBR、あるいはポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレンなどのブロック共重合体からなる粘着剤が挙げられる。アクリル系粘着剤としてはアクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸エチル、アクリル酸などからなる粘着剤、及びエネルギー線硬化性無溶剤型アクリル系粘着剤の原料としてはラウリルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート、エチルアクリレートなどが挙げられる。
【0060】
本発明の導電性樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂、紫外線硬化型樹脂、ゴムまたはエラストマー、粘着剤等に、本発明の導電性付与剤を所定量添加、混練し、フィルム状、シート状あるいはロール状等に成形することにより得られる。
【0061】
また、本発明の導電性付与剤と、熱可塑性樹脂、紫外線硬化型樹脂、ゴムまたは粘着剤とを、可溶性溶媒に溶解させることにより、コーティング液組成物として用いることができ、該コーティング液組成物を、樹脂フィルム、ガラス等の基材に塗布した後、乾燥、硬化させることにより、これら基材表面に導電性塗膜を形成させることが可能である。
【0062】
前記熱可塑性樹脂、ゴム、紫外線硬化型樹脂または粘着剤100質量部に、本発明の導電性付与剤が、0.1〜50質量部添加されてなることを特徴とする導電性材料において、含フッ素有機アニオン塩類の添加量が0.1質量部未満の場合、導電性材料の導電性が不十分となる場合があり、また、50質量部より超の場合、導電性は十分であるが、ブリードが発生しやすくなる場合がある。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を、実施例によりさらに詳細に説明する。なお、本発明は実施例により、なんら限定されない。なお実施例中、「部」は「重量部」を表す。
【0064】
実施例1
ポリエーテルポリオールであるポリエチレン−ポリオキシエチレングリコールグラフト共重合体(住友化学工業(株)、スミエード300G)(以下、「PE−PEGグラフト共重合体」と略記する。)80部に、含フッ素有機アニオン塩類であるトリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)(以下、「TSL」と略記する。)10部とピリジン誘導体のオニウム塩として、N−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、「BPTSI」と略記する。)10部を加えた後、温度70℃で加熱混練し導電性付与剤を得た。
【0065】
ついで、熱可塑性樹脂であるポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業(株)、パンデックスT−8190N)(以下、「PU」と略記する。)90部に、先に得られた導電性付与剤10部を添加し、テストロール機(日新科学(株)製、HR−2型)中、温度100℃で加熱、混練させた後、加熱加圧成型機により厚さ1mmの導電性シートを得た。
【0066】
得られた導電性シートの温度25℃、湿度40%における表面抵抗を、表面抵抗測定機(三菱化学(株)製、HT−210)を用いて測定した。また、温度60℃湿度90%RHで72時間保持した後の表面状態を観察しブリードの有無を目視により観察した。結果を、表1に示す。
【0067】
実施例2
ポリエーテルポリオールであるPE−PEGグラフト共重合体(スミエード300G)85部に、含フッ素有機アニオン塩類であるビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウム(以下、「TSIL」と略記する。)10部とN−オクチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩(以下「OMPTS」と略記する)5部とを加えた後、温度70℃で加熱混練し導電性付与剤を得た。
【0068】
ついで、熱可塑性樹脂であるメタクリル樹脂(三菱レーヨン(株)、アクリペットIR H−70)(以下、「PMMA」と略記する。)90部に、先に得られた導電性付与剤10部を添加し、テストロール機中、温度180℃で加熱、混練させて、厚さ1mmの導電性シートを得た。
【0069】
得られた導電性シートについて、実施例1と同様にして、評価した。結果を表1に示す。
【0070】
実施例3
ポリエーテルポリオールであるPE−PEGグラフト共重合体(スミエード300G)80部に、含フッ素有機アニオン塩類であるトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド酸((CFSO2)C)リチウム(以下「TSML」と略記する)10部とN−ヘキシル−3−メチルピリジニウムシクロヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド酸塩(以下「HPHSI」と略記する)10部とを加えた後、温度70℃で加熱混練し導電性付与剤を得た。
【0071】
発泡性ゴムであるウレタン(日本ポリウレタン工業(株)、商品名:ニッポラン5119)(以下、「U」と略記する。)90部に、先に得られた導電性付与剤10部を添加し、温度110℃で加熱、混練させて発泡及び架橋させた後、成型用金型に流し込んで、厚み12mmの導電性ゴム成型体を得た。
【0072】
得られた導電性ゴム成型体について、実施例1と同様にして、評価した。結果を表1に示す。
【0073】
実施例4
ポリエーテルポリオールであるPE−PEGグラフト共重合体(スミエード300G)80部に、含フッ素有機アニオン塩類であるパーフルオロプロパンジスルホン酸リチウム(以下「FPSL」と略記する)10部とN−n−ラウリル−3−メチルピリジニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩(以下「LPBS」と略記する)10部とを加えた後、温度70℃で加熱混練し導電性付与剤を得た。
【0074】
発泡性ゴムであるエピクロルヒドリン((株)ダイソー、エピクロマーCG−102)(以下、「EP」と略記する。)90部に、実施例2と同様にして得られた導電性付与剤10部を添加し、ついで、温度100℃で加熱、混練させて発泡及び架橋させた後、成型用金型に流し込んで、厚み12mmの導電性ゴム成型体を得た。
【0075】
得られた導電性ゴム成型体について、実施例1と同様にして、評価した。結果を表1に示す。
【0076】
比較例1
含フッ素有機アニオン塩類にトリフルオロメタンスルホン酸リチウム10部とイオン性液体である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸塩(以下、「EITSI」と略記する。)10部を用いた以外は、実施例1と同様にして、導電性シートを得た。得られた導電性シートについて、実施例1と同様にして、評価した。結果を表1に示す。実施例1から実施例4との比較において、EITSIを用いた場合、表面抵抗値は同等であったが、ポリエーテルポリオールとの相溶性が悪く、ブリードが発生した。
【0077】
【表1】

【0078】
実施例5
ポリエーテルポリオールであるポリオキシエチレングリコール−ポリオキシプロピレングリコールのブロック共重合体(以下、「PEO−PPO共重合体」と略記する。)(日本油脂(株)、プロノン201)80部に、含フッ素有機アニオン塩類として、シクロヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド酸リチウム(以下「HSIL」と略記する)10部とN−n−ブチル−3−エチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩(以下、「BEPTS」と略記する。)10部を添加、溶解させ、導電性付与剤を得た。
【0079】
得られた導電性付与剤100部に、ポリイソシアネートであるコロネートL(日本ポリウレタン工業(株))30部を添加し、さらに有機溶媒として、メチルエチルケトン100部を添加、溶解させて、導電性材料被覆用塗工液を得た。
【0080】
得られた塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PET」と略記する。)上に、バーコーター(#20コーティングロッド)を用いて塗布後、乾燥、硬化させて、厚み10μmのウレタン樹脂からなる導電性被膜を形成させた。
【0081】
得られた導電性フィルムについて、実施例1と同様にして、評価した。結果を表2に示す。
【0082】
実施例6
ポリエーテルポリオールであるPEO−PPO共重合体(三洋化成工業(株)、ニューポールPE−62)80部に、含フッ素有機アニオン塩類であるトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド酸リチウム5部と、N−n−オクチル−3−メチルピリジニウムビス(パーフルオロメタンスルホニル)イミド酸塩(以下、「OPSI」と略記する。)15部を添加、溶解させ、導電性付与剤を得た。
【0083】
得られた導電性付与剤100部に、コロネートL30部を添加し、さらに溶媒として、メチルエチルケトン100部を添加、溶解させて、導電性材料被覆用塗工液を得た。
【0084】
得られた塗工液を用い、実施例5と同様にして、PETフィルム上に厚み10μmのウレタン樹脂からなる導電性被膜を形成させ、該フィルムを評価した。結果を表2に示す。
【0085】
比較例2
含フッ素有機アニオン塩類にパーフルオロブタンスルホン酸リチウム(以下、「BSL」と略記する。)10部と1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸塩10部を用いた以外は、実施例5と同様にしてウレタン樹脂からなる導電性被膜を形成させた。得られた導電性被膜について、実施例5及び実施例6との比較において、EITSIを用いた場合、表面抵抗値は同等であったがブリードが発生した。
【0086】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の導電性付与剤は、含フッ素有機アニオン塩類である含フッ素有機アニオン塩類類及びイオン性液体であるピリジンのオニウム塩が所定の割合で配合されており、該導電性付与剤は樹脂等への相溶性が良く、導電性が高く、樹脂あるいはゴムに混練させても、表面コーティング剤として使用してもブリードの発生がない為品質安定性、環境安定性に優れ、粘着剤等への使用も出来る為、幅広い分野での用途が可能な優れた導電性付与剤である。
【0088】
また、本発明の導電性付与剤を用いてなる導電性樹脂組成物は、耐ブリード性、耐熱性、帯電防止性に優れ、長期間安定した特性を持続でき、また透明性にも優れているので、防塵シート、除電マット及び帯電防止床材などの導電性シート、帯電防止フィルム、帯電防止剥離フィルム、各種ディスプレイの帯電防止剤、粘着剤、導電性塗料、導電性コーティング剤、電子写真式プリンターや複写機の導電性ロール(帯電ロール、クリーニングロール、現像ロールなど)、ポリマー2次電池などの電気化学デバイス用電解質、磁気記録媒体用基材、半導体用素材、液晶ディスプレイの保護フィルムなどへ適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン性液体と含フッ素有機アニオン塩類から選択される少なくとも1種とがポリエーテルポリオールに溶解されてなる導電性付与剤において、該イオン性液体がピリジン誘導体のオニウム塩であることを特徴とする導電性付与剤。
【請求項2】
前記ピリジン誘導体のオニウム塩が、一般式〔1〕及び/または一般式〔2〕で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の導電性付与剤。
【化1】

(式中、Rは炭素数3〜18のアルキル基を、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。Aは陰イオンを表す。)
【化2】

(式中、Rは炭素数3〜18のアルキル基を、R及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を表す。Aは陰イオンを表す。)
【請求項3】
前記ピリジン誘導体のオニウム塩の陰イオンAが、パーフルオロアルカンスルホン酸、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド酸、環状パーフルオロアルキレンジスルホンイミド酸、パーフルオロアルカンジスルホン酸、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド酸、からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性付与剤。
【請求項4】
前記ピリジン誘導体のオニウム塩の陰イオンAが、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミド酸、シクロヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド酸、パーフルオロプロパンジスルホン酸、トリス(トリフルオロメタン)スルホニルメチド酸、からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性付与剤。
【請求項5】
前記含フッ素有機アニオン塩類がアルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩であり、そのアニオンが、パーフルオロアルカンスルホン酸、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド酸、環状パーフルオロアルキレンジスルホンイミド酸、パーフルオロアルカンジスルホン酸、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド酸、からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の導電性付与剤。
【請求項6】
前記含フッ素有機アニオン塩類がアルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩であり、そのアニオンが、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミド酸、シクロヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド酸、パーフルオロプロパンジスルホン酸、トリス(トリフルオロメタン)スルホニルメチド酸、からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の導電性付与剤。
【請求項7】
前記含フッ素有機アニオン塩類がリチウム塩であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の導電性付与剤。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の導電性付与剤において、含フッ素有機アニオン塩類とピリジン誘導体のオニウム塩との重量混合比が1:10〜10:1の範囲であることを特徴とする導電性付与剤。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の導電性付与剤において、ピリジン誘導体のオニウム塩と含フッ素有機アニオン塩類とからなる導電性付与剤が、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシエチレングリコール−ポリオキシプロピレングリコールブロック共重合体、ポリエチレン−ポリオキシアルキレングリコールグラフト共重合体からなる群の少なくとも1種のポリエーテルポリオールに溶解されてなり、かつ該ポリエーテルポリオールとピリジン誘導体のオニウム塩との総重量100重量部に対して、含フッ素有機アニオン塩類が1〜50重量部含有されてなることを特徴とする導電性付与剤。
【請求項10】
熱可塑性樹脂100重量部に対し、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の導電性付与剤が、0.1〜50重量部添加されてなることを特徴とする導電性樹脂組成物。
【請求項11】
ゴムまたはエラストマー100重量部に対し、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の導電性付与剤が、0.1〜50重量部添加されてなることを特徴とする導電性樹脂組成物。
【請求項12】
紫外線硬化型樹脂100重量部に対し、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の導電性付与剤が、0.1〜50重量部添加されてなることを特徴とする導電性樹脂組成物。
【請求項13】
粘着剤100重量部に対し、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の導電性付与剤が、0.1〜50質量部添加されてなることを特徴とする導電性樹脂組成物。
【請求項14】
請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物を用いて成型されたことを特徴とする導電性樹脂フィルム。
【請求項15】
請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物がコーティングされてなることを特徴とするコーティング組成物。

【公開番号】特開2007−321115(P2007−321115A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155592(P2006−155592)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(000228349)日本カーリット株式会社 (269)
【Fターム(参考)】