説明

導電性樹脂積層フィルム及びその製造方法

【課題】導電性材料の混合比率が少なくても、優れた導電性を有し、耐酸性のある導電性樹脂積層フィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】導電性を有する基材層の少なくとも片面の最外層に、厚み方向への体積抵抗値が0.1〜1.0Ωcmの低電気抵抗層を設けてなる導電性樹脂積層フィルムであり、前記低電気抵抗層の厚み方向への体積抵抗値が、前記基材層の厚み方向への体積抵抗値の1/5以下であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性に優れた熱可塑性樹脂からなる積層フィルムに係り、特に耐蝕性に優れた微細な炭素繊維を含有してなる低電気抵抗層を設けてなる導電性樹脂積層フィルム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロニクス分野において、使用する高分子材料に求められる主要特性は製品や用途によって異なるが、成形性、耐熱性、耐久性、高導電性、耐蝕性、リサイクル性、電磁波遮蔽性等がある。通常、この分野で使用される高分子材料としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等に代表される熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンオキサイド、液晶ポリマー、ポリイミド、ポリカーボネート等に代表されるエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
【0003】
しかしながら、上記に挙げた各機能を総合的に具備した材料に対する要望は強いものがあるが、技術的に困難であり、価格面で不利となることが多いという問題があった。そのような要求特性のひとつに導電性があり、更に耐蝕性を兼ね備えた高分子材料が求められている。
【0004】
このような特性を要求される製品として水系電解液を用いる電気二重層コンデンサーがある。水系電解液を用いる電気二重層コンデンサーにおいては、より高い出力電圧を得る目的で、複数のコンデンサーを、直列や並列にて接続し使用することがあるが、これらコンデンサーの複合体全体が有する内部抵抗が大きくなってしまい、低い出力電流しか得られない場合がある。このようなことから、個々のコンデンサーが有する内部抵抗を出来るだけ小さくすることが望まれている。
尚、個々のコンデンサーが有する内部抵抗は、水系電解液、分極性電極、集電体やこれらの界面などによって生じることが知られており、従来、例えば、集電体が有する体積抵抗値を小さくすることで、コンデンサーが有する内部抵抗を小さくすることなどが行われてきた。
また、水系電解液を用いる電気二重層コンデンサーは、電解液として25〜50%程度の硫酸水溶液を使用するため、集電体に対しては同時に耐酸性も要求されている。
【0005】
上記集電体としてはフィルム中に含まれる導電性材料に金属を用いた導電性樹脂フィルムが知られているが、酸性環境下では導電性が不安定であるという欠点がある。導電性材料として耐蝕性に優れた貴金属を用いると極めて高価になるという問題があり、炭素系の導電材料は金属に比べて導電性が低く、充分な導電性が得られないという欠点がある。
【0006】
そこで、熱可塑性樹脂と導電性カーボンを有機溶剤中に分散し、剥離可能なフィルム上にバーコーターで流延後、乾燥させて得られる導電性フィルムが知られている。
しかしながら、このような流延法によるフィルムでは、(1)フィルムに歪みが発生しやすい、(2)フィルムにピンホールが発生しやすい、(3)残留溶剤が残りやすい(4)厚膜フィルムにするのが難しい、(5)生産性が悪い等の問題がある。
【0007】
また、特許文献1には、導電性に優れた微細な炭素繊維が導電性材料として示されている。しかしながら、このような微細な炭素繊維を樹脂に混合した場合、樹脂への分散性に劣り、充分な導電性が得られないという問題がある。
【0007】
具体的には、特許文献2に示されている通り、樹脂80%(重量比)に対して微細な炭素繊維20%(重量比)を、ドライブレンドで混合した後、押出機にて成形したものは、体積抵抗値が1Ωcm程度と大きく、充分な導電性が得られない。
【0008】
【特許文献1】
特公平3−77288号公報
【特許文献2】
特開平7−102112号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れた導電性を有するとともに、耐酸性のある導電性樹脂積層フィルム及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の問題点を解消でき、電気二重層コンデンサー用の集電体として好適に使用できる導電性樹脂積層フィルム及びその製造方法を見出したものであり、その要旨とするところは、導電性を有する基材層の少なくとも片面の最外層に、厚み方向への体積抵抗値が0.1〜1.0Ωcmの低電気抵抗層を設けてなる導電性樹脂積層フィルムにある。
この低電気抵抗層の厚み方向への体積抵抗値は、前記基材層の厚み方向への体積抵抗値の1/5以下であることが好ましく、前記低電気抵抗層に含まれる導電剤が、繊維径が0.08〜0.5μm、繊維長が0.1〜100μmである微細な炭素繊維であること、低電気抵抗層の厚みが1〜50μmの範囲であること、基材層に含まれる導電剤が、黒鉛粉、膨張黒鉛、カーボンブラック、カーボン繊維、カーボンナノファイバー、金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属繊維及び金属粉末から選ばれてなることが含まれている。
【0011】
また、本発明は、微細な炭素繊維と熱可塑性樹脂を溶媒中に溶解、又は分散させてなる液状組成物を、支持体の平滑面に塗工し、乾燥又は硬化した後、得られる被膜を、導電性を有する基材層の少なくとも片面の最外層に低電気抵抗層として接合することを特徴とする導電性樹脂積層フィルムの製造方法にある。
上記導電性樹脂積層フィルムは、電気二重層コンデンサー用集電体に好適に使用できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の導電性樹脂積層フィルムに使用する熱可塑性樹脂としては特に制限はない。例えば、エチレンを含む単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン(PO)系樹脂又はポリオレフィン系エラストマー、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂(APO)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS等のポリスチレン系樹脂又はSEBS等の水素添加されたスチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、共重合アクリル等のアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド(PA)系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(THV)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、等のフッ素系樹脂又はエラストマー、(メタ)アクリレート系樹脂などが挙げられる。
【0013】
上記熱可塑性樹脂の中では、耐熱性、耐酸性に優れるポリオレフィン(PO)系樹脂又はポリオレフィン系エラストマー、SEBS等の水素添加されたスチレン系エラストマー及びフッ素系樹脂又はフッ素系エラストマーの使用が好ましい。
【0014】
本発明の導電性樹脂積層フィルムは、基材層の少なくとも片側の最外層に特定の導電性を有する低電気抵抗層を有しており、低電気抵抗層の体積抵抗値を基材層より小さくすることで、被接触体との接触抵抗が大幅に低減できる。
特に本発明の導電性樹脂積層フィルムを電気二重層コンデンサー用集電体として使用する場合、被接触体は炭素系電極や外装ケース(ステンレス製ケース等)となるが、導電性樹脂積層フィルム中の低電気抵抗層の体積抵抗値を基材層より小さくすることで、被接触体との接触抵抗が低減でき、電気二重層コンデンサーの内部抵抗値を小さくすることができる。
【0015】
低電気抵抗層の厚み方向への体積抵抗値は0.1〜1.0Ωcmの範囲とする必要があり、1.0Ωcmを超えると優れた導電性が得られ難い。低電気抵抗層の厚み方向への体積抵抗値は、基材層の厚み方向への体積抵抗値の1/5以下、好ましくは1/8以下にするのが良く、低電気抵抗層の厚み方向への体積抵抗値が、基材層の厚み方向への体積抵抗値の1/5より大きいと、被接触体との接触抵抗が大きくなり易い。
【0016】
低電気抵抗層及び基材層の厚み方向への体積抵抗値は以下の方法で評価できる。
1. 測定装置
抵抗計:YMR−3型((株)山崎精機研究所社製)
負荷装置:YSR−8型((株)山崎精機研究所社製)
電極:真鍮製平板2枚(面積6.45cm、鏡面仕上げ、表面金メッキ)
2. 測定条件
方法:4端子法
印加電流:10mA(交流、287Hz)
開放端子電圧:20mVピーク以下
荷重:1.8MPa(18.6kgf/cm
3.測定方法
図1に示した測定装置により測定した。
4. 体積抵抗算出方法
上記方法で測定された抵抗値R(Ω)と電極面積(6.45cm)及びサンプル厚みt(cm)から厚み方向への体積抵抗値は
厚み方向への体積抵抗値(Ωcm)=R×(6.45cm/t)
で算出できる。
【0017】
低電気抵抗層に含まれる導電剤には、耐蝕性と、導電性に優れる微細な炭素繊維が好適に使用できる。微細な炭素繊維の繊維径は0.08〜0.5μm、好ましくは0.08〜0.2μmの範囲が良く、繊維長は0.1〜100μm、好ましくは1〜50μmの範囲が導電性に優れており好ましい。
【0018】
低電気抵抗層の熱可塑性樹脂と微細な炭素繊維の割合は、低電気抵抗層の厚み方向への体積抵抗値が基材層の厚み方向への体積抵抗値の1/5以下になるように適意決めればよいが、熱可塑性樹脂と微細な炭素繊維の体積比率が15/85〜85/15の範囲が好ましい。
【0019】
低電気抵抗層の厚みは1〜50μm、好ましくは、3〜20μmの範囲が良く、 低電気抵抗層の厚みが1μm未満では、厚みが薄いために低電気抵抗層にピンホールが発生しやすく、体積抵抗値の大きくなる部位ができやすい。また、低電気抵抗層の厚みが50μmを越えると、導電性性樹脂フィルムが脆くなるという問題が発生しやすい。また低電気抵抗層は基材層の片面でも、両面に設けてもよい。
【0020】
基材層に含まれる導電剤は、天然黒鉛、熱分解黒鉛、キッシュ黒鉛等の黒鉛粉、酸性溶液に前述した黒鉛を浸漬させた後、加熱して膨張させた膨張黒鉛、ケッチェンブラック、アセチレンブラックやファーネス法等で作られたカーボンブラック、PAN系、ピッチ系等のカーボン繊維、アーク放電法、レーザ蒸着法、気相成長法等で作られたカーボンナノファイバー、タングステンカーバイト、シリコンカーバイト、炭化ジルコニウム、炭化タンタル、炭化チタン、炭化ニオブ、炭化モリブデン、炭化バナジウムなどの金属炭化物、酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化インジウムなどの金属酸化物、窒化クロム、窒化アルミニウム、窒化モリブデン、窒化ジルコニウム、窒化タンタル、窒化チタン、窒化ガリウム、窒化ニオブ、窒化バナジウム、窒化ホウ素などの金属窒化物、鉄繊維、銅繊維、ステンレス繊維などの金属繊維、チタン粉、ニッケル粉、錫紛、タンタル紛、ニオブ粉などの金属粉末が挙げられる。
上記導電剤の中でも特に耐酸性の優れる、カーボンブラックの使用が好ましい。
【0021】
前記基材層の熱可塑性樹脂と導電剤との体積比率は、特に制限はないが、30/70〜90/10の範囲が良い。熱可塑性樹脂と導電剤との体積比率が30/70未満では、導電剤の割合が多いため、樹脂の流動性が悪く薄膜化が困難であり、また導電性樹脂積層フィルムが脆くなりやすい。また、熱可塑性樹脂と導電剤との体積比率が90/10を越えると導電剤の割合が少ないため、導電性に劣るという問題が発生しやすい。
基材層の製造方法は特に制限はないが、通常の押出成形法やロール成形法によればよい。
【0022】
また、低電気抵抗層の製造方法は、微細な炭素繊維と熱可塑性樹脂を溶媒中に溶解、分散させてなる液状組成物を、支持体の平滑面に塗工し、乾燥又は硬化した後、予め形成しておいた基材層の片面又は両面に、基材層と低電気抵抗層塗工面が向き合うように配置し、熱圧着法等により、基材層と低電気抵抗層を一体化した後、支持体を剥離する方法が好ましい。
【0023】
上記支持体としては、公知の各種フィルムを用いることができる。例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、セロハン、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン等のフィルムが挙げられる。なかでも、ポリプロピレンフィルムが、剥離容易性などの点から好ましい。
【0024】
また、上記支持体の厚みは、5〜500μm、好ましくは10〜300μmの範囲であり、5μm未満では基材フィルムとして充分な強度が得られず皺が入りやすくなり、500μmを越えると腰が強くなりすぎて、取り扱いにくく作業性が悪いという問題がある。
【0025】
本発明の製造方法によって形成された低電気抵抗層は、微細な炭素繊維が樹脂中に均一に分散できるため、微細な炭素繊維の割合が少なくても、優れた導電性が発現でき、更には微細な炭素繊維が導電性性樹脂フィルムの表面に露出するため、被接触体との接触抵抗を大幅に低減することができる。
【0026】
本発明の導電性樹脂積層フィルムの用途は、導電性に優れ、特に被接触体との接触抵抗を大幅に低減することができるため、蓄電デバイスや発電機等の部材として使用した場合、その内部抵抗を格段に小さくすることができる。また、耐酸性にも優れるため、特に水系電解液を用いる電気二重層コンデンサーの集電体として使用できる。
【0027】
以下、実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<基材層の作製>
熱可塑性樹脂と導電剤を表1に記載した割合で2軸押出機(押出機温度230℃)にて混合した。
作成した混合物を、単軸押出機(押出機温度230℃)にて口金から押出して導電性を有する基材フィルムを作成した。
得られた基材フィルムの厚みはいずれも100μmであり、フィルムの厚さ方向への体積抵抗値を表1に示した。
なお、表1記載の熱可塑性樹脂及び導電剤は以下のものを使用した。
【0028】
1.ポリオレフィン系エラストマー:
出光興産(株)製 「T310E」 比重0.88
2.スチレン系エラストマー:
旭化成(株)製 「タフテックH1041」 比重0.91
3.フッ素系エラストマー:
住友スリーエム(株)製 「THV220G」 比重2
4.カーボンブラック:
ライオン(株)製 「ケッチェンブラックEC600JD」 比重1.5
5.人造黒鉛粉:
昭和電工(株)製 「UFG−30」 比重2.2
6.炭化チタン:
(株)アライドマテリアル製 「チタンカーバイド」 比重4.9
【0029】
<低電気抵抗層Aの作製>
SEBS(旭化成(株)製 「タフテックH1041」 比重0.91)と微細な炭素繊維(昭和電工(株)製 「気相法炭素繊維VGCF」 比重2)を体積比で60/40の割合で、固形分濃度8重量%になるように、それぞれTHF(テトラヒドロフラン)に分散し、分散液を作製した。
使用した微細な炭素繊維は、繊維径150nm、繊維長10〜20μm、嵩比重0.035g/cc、真比重2.0g/ccのものを使用した。
この分散液を支持体(ポリプロピレンフィルム:厚み50μm)上にバーコータ(「松尾産業製」#70番)で塗布し、80℃で乾燥し、支持体−低電気抵抗層の複合体を得た。
得られた支持体−低電気抵抗層の複合体から低電気抵抗層Aを剥離し、厚みと体積抵抗値を測定した結果、低電気抵抗層Aの厚みは20μmであり、フィルムの厚さ方向への体積抵抗値は0.94Ωcmであった。
【0030】
<低電気抵抗層Bの作製>
フッ素系エラストマー(住友スリーエム(株)製 「THV220G」 比重2)と微細な炭素繊維(昭和電工(株)製 「気相法炭素繊維VGCF」 比重2)を体積比で60/40の割合で、固形分濃度8重量%になるように、それぞれMIBK(メチルイソブチルケトン)に分散し、分散液を作製した。
使用した微細な炭素繊維は、繊維径150nm、繊維長10〜20μm、嵩比重0.035g/cc、真比重2.0g/ccのものを使用した。
この分散液を支持体(ポリプロピレンフィルム:厚み50μm)上にバーコータ(「松尾産業製」#70番)で塗布し、80℃で乾燥し、支持体−低電気抵抗層複合体を得た。
得られた支持体−低電気抵抗層の複合体から低電気抵抗層Bを剥離し、厚みと体積抵抗値を測定した結果、低電気抵抗層Bの厚みは20μmであり、フィルムの厚さ方向への体積抵抗値は0.73Ωcmであった。
【0031】
[実施例1〜6]
<導電性樹脂積層フィルムの作製>
上記方法で得られた基材フィルムと、低電気抵抗層A、Bを、表2記載の組み合わせで、低電気抵抗層/基材層/低電気抵抗層の順に配置し、熱プレスにて一体化し、導電性樹脂積層フィルムを作製した。
熱プレス法の条件は、加熱温度140℃、圧力4.9×10Pa(50kgf/cm)であった。
得られた導電性樹脂積層フィルムの厚みはいずれも130μmであり、フィルムの厚さ方向への体積抵抗値は表2に示した。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
表2に示す通り、本発明の方法にて作製した低電気抵抗層を有する導電性樹脂積層フィルムは、低電気抵抗層を設けていない表1の導電フィルムに比べ、フィルムの厚さ方向への体積抵抗値が、格段に小さく、導電性に優れることが分かる。
【0036】
【発明の効果】
上述したように、本発明は、優れた導電性が発現する導電性樹脂積層フィルム及びその製造方法である。特に、フィルムの厚さ方向への体積抵抗値が小さく、耐蝕性に優れ、比較的低コストで生産可能なことから、電気二重層コンデンサー用集電体などへの利用性が大きい。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【図1】厚み方向への体積抵抗値を測定する装置の概略図。
【符号の説明】
1:真鍮製電極(表面金メッキ)
2:サンプル(導電シート)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する基材層の少なくとも片面の最外層に、厚み方向への体積抵抗値が0.1〜1.0Ωcmの低電気抵抗層を設けてなる導電性樹脂積層フィルム。
【請求項2】
前記低電気抵抗層の厚み方向への体積抵抗値が、前記基材層の厚み方向への体積抵抗値の1/5以下であることを特徴とする請求項1記載の導電性樹脂積層フィルム。
【請求項3】
前記低電気抵抗層に含まれる導電剤が、繊維径が0.003〜0.5μm、繊維長が0.1〜100μmである微細な炭素繊維であることを特徴とする請求項1又は2記載の導電性樹脂積層フィルム。
【請求項4】
前記低電気抵抗層の厚みが1〜50μmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の導電性樹脂積層フィルム。
【請求項5】
基材層に含まれる導電剤が、黒鉛粉、膨張黒鉛、カーボンブラック、カーボン繊維、カーボンナノファイバー、金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属繊維及び金属粉末から選ばれてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の導電性樹脂積層フィルム。
【請求項6】
電気二重層コンデンサー用集電体に用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の導電性樹脂積層フィルム。
【請求項7】
微細な炭素繊維と熱可塑性樹脂を溶媒中に溶解、又は分散させてなる液状組成物を、支持体の平滑面に塗工し、乾燥又は硬化した後、得られる被膜を、導電性を有する基材層の少なくとも片面の最外層に低電気抵抗層として接合することを特徴とする導電性樹脂積層フィルムの製造方法。
【請求項8】
積層フィルムを電気二重層コンデンサー用集電体に用いることを特徴とする請求項7記載の導電性樹脂積層フィルムの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−15109(P2007−15109A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−341121(P2002−341121)
【出願日】平成14年11月25日(2002.11.25)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】