小分子によるヒト癌におけるGLIタンパク質ターゲティング
本発明は、GLIポリペプチド、特にGLI1、GLI2、またはGLI3ポリペプチドを発現する癌の診断および治療のための組成物、方法、およびキットを提供する。本発明は、GLIポリペプチドの転写活性化ドメインを模倣する小分子化合物を提供する。本発明の小分子阻害剤は、GLIポリペプチドのアクチベーター機能を特異的に遮断するが、GLI3のリプレッサー機能を遮断しない。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】
[式中、
X1およびX2は、各々独立に、NまたはCであり、X1およびX2のうちの1つはNであり、X1およびX2のうちの1つはCであり、環のNは、X1およびX2のうちのいずれかCであるものと二重結合を形成し、
R1、R2およびR3は、C1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルからなる群から各々独立に選択され、それらは場合によって、H、ハロゲン、C1〜C6アルキル、−OR7、−C(O)R7、−OC(O)R7、−N(R7,R7)、−NR7S(O)2R7、−C(O)N(R7,R7)、−N(R7)C(O)R7、−N(R7)C(O)N(R7,R7)、−C(NR7)N(R7,R7)、−N(R7)C(NR7)N(R7,R7)およびS(O)mR7(下付き文字mは、0、1または2である)からなる群からそれぞれ独立に選択される0〜3個のR6基で置換されていてもよく、
Yは、直接結合であるか、C1〜C4アルキルであり、
Zは、C1〜C4アルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択されるメンバーであり、
R4は、H、ハロゲン、−OR7、−OC(O)R7、−C(O)OR7、−N(R7,R7)、−NR7S(O)2R7、−C(O)N(R7,R7)、−N(R7)C(O)N(R7,R7)、−C(NR7)N(R7,R7)、NR7C(O)R7、およびS(O)mR7(下付き文字mは、0、1または2である)であり、
R5は、H、C1〜C6アルキルであるか、場合によって、Yと一緒になって5から6員の複素環を形成し、
R7は、各々独立にHまたはC1〜C6アルキルである]
の小分子化合物、ならびにその塩、水和物、溶媒和物、異性体およびプロドラッグ。
【請求項2】
R1、R2およびR3が各々アリールである、請求項1に記載の小分子化合物。
【請求項3】
R1、R2およびR3が各々フェニルである、請求項2に記載の小分子化合物。
【請求項4】
R4がヒドロキシである、請求項2に記載の小分子化合物。
【請求項5】
ZがC1〜C4アルキルである、請求項4に記載の小分子化合物。
【請求項6】
Zがアリールである、請求項4に記載の小分子化合物。
【請求項7】
Zがフェニルである、請求項6に記載の小分子化合物。
【請求項8】
R1、R2およびR3が各々フェニルであり、
YがC1〜C4アルキルであり、
ZがC1〜C4アルキルまたはフェニルであり、
R4がヒドロキシである、
請求項1に記載の小分子化合物。
【請求項9】
X1がCであり、X2がNである、請求項8に記載の小分子化合物。
【請求項10】
下記構造:
【化2】
を有する、請求項9に記載の小分子化合物。
【請求項11】
下記構造:
【化3】
を有する、請求項9に記載の小分子化合物。
【請求項12】
X1がNであり、X2がCである、請求項8に記載の小分子化合物。
【請求項13】
下記構造:
【化4】
を有する、請求項12に記載の小分子化合物。
【請求項14】
下記構造:
【化5】
を有する、請求項12に記載の小分子化合物。
【請求項15】
(i)請求項1に記載の小分子化合物、および
(ii)製薬的に許容される担体
を含む医薬組成物。
【請求項16】
GLIタンパク質を発現する腫瘍細胞を誘発することによってアポトーシスを起こすための方法であって、
(a)前記腫瘍細胞を、十分な量の請求項1に記載の小分子化合物と接触させる工程を含み、
前記接触させる工程が、前記腫瘍細胞のアポトーシスの誘発をもたらす方法。
【請求項17】
前記腫瘍細胞が、大腸癌、黒色腫、中皮腫、肺癌、腎細胞癌、乳癌、前立腺癌、肉腫、卵巣癌、食道癌、胃癌、肝細胞癌、上咽頭癌、膵癌、および神経膠腫の細胞からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記GLIタンパク質が、GLI1、GLI2、またはGLI3である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
インビトロで実行される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
インビボで実行される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記小分子化合物が、癌治療療法の一部として投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
細胞の不必要な増殖、過剰増殖、または生存のうちの少なくとも1つを阻害するための方法であって、
(a)前記細胞がGli遺伝子を発現するかどうかを判定する工程、および
(b)前記細胞を、有効量の請求項1に記載の小分子化合物と接触させる工程を含み、
工程(b)が、前記細胞の不必要な増殖、過剰増殖、または生存のうちの少なくとも1つの阻害をもたらす方法。
【請求項23】
癌性疾患を患っている対象を治療するための方法であって、
(a)前記対象に、治療有効量の請求項1に記載の小分子化合物を投与する工程を含み、
前記癌性疾患が、GLIタンパク質を発現することによって特徴付けられ、工程(a)が、前記対象の治療をもたらす方法。
【請求項24】
細胞中のGLIタンパク質の活性を阻害するための方法であって、
(a)前記細胞を請求項1に記載の小分子化合物と接触させる工程を含み、
前記接触させる工程が、前記細胞中のGLIタンパク質の活性の阻害をもたらす方法。
【請求項25】
前記GLI活性が、GLIタンパク質とTAFタンパク質との間のタンパク質間相互作用である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
遺伝子のプロモーターに作動可能に連結したGLIタンパク質DNA結合部位を有する遺伝子の発現を阻害するための方法であって、
(a)前記遺伝子を発現する細胞を、請求項1に記載の小分子化合物と接触させる工程を含み、
前記接触させる工程が、前記遺伝子の発現の阻害をもたらす方法。
【請求項27】
前記遺伝子がWnt2遺伝子である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記Wnt2遺伝子がヒトである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
細胞の不要な増殖、過剰増殖、または生存のうちの少なくとも1つを阻害するための医薬の製造における、請求項1に記載の小分子化合物の使用。
【請求項30】
癌の治療のための医薬の製造における、請求項1に記載の小分子化合物の使用。
【請求項31】
細胞のアポトーシスを誘発するための医薬の製造における、請求項1に記載の小分子化合物の使用。
【請求項32】
細胞中のGLIタンパク質シグナル伝達を阻害するための医薬の製造における、請求項1に記載の小分子化合物の使用。
【請求項33】
GLIタンパク質とTAFII31タンパク質との間のタンパク質間相互作用を阻害することのできる候補化合物を同定するための方法であって、
(a)候補化合物を、GLIタンパク質およびTAFII31タンパク質を含む試料と接触させる工程、および
(b)前記GLIタンパク質の前記TAFII31タンパク質への結合を判定する工程であって、
前記候補化合物の不在下での前記GLIタンパク質の前記TAFII31への結合と比較して、前記候補化合物の存在下で、前記GLIタンパク質の前記TAFII31への結合が減少することが、前記候補化合物が、前記GLIタンパク質と前記TAFII31タンパク質との間の相互作用を阻害できることを示す工程を含む方法。
【請求項34】
GLIタンパク質依存性転写活性を調節する化合物を同定するための方法であって、
(a)試料を候補化合物と接触させる工程であって、前記試料は、レポーター遺伝子に作動可能に連結した1つまたは複数のGLI DNA結合部位を有する発現レポーターコンストラクトを含む工程、および
(b)ある場合には、GLIタンパク質依存性転写活性のレベルに対する候補化合物の効果を判定する工程を含む方法。
【請求項35】
前記試料が細胞を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項1】
下記式:
【化1】
[式中、
X1およびX2は、各々独立に、NまたはCであり、X1およびX2のうちの1つはNであり、X1およびX2のうちの1つはCであり、環のNは、X1およびX2のうちのいずれかCであるものと二重結合を形成し、
R1、R2およびR3は、C1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルからなる群から各々独立に選択され、それらは場合によって、H、ハロゲン、C1〜C6アルキル、−OR7、−C(O)R7、−OC(O)R7、−N(R7,R7)、−NR7S(O)2R7、−C(O)N(R7,R7)、−N(R7)C(O)R7、−N(R7)C(O)N(R7,R7)、−C(NR7)N(R7,R7)、−N(R7)C(NR7)N(R7,R7)およびS(O)mR7(下付き文字mは、0、1または2である)からなる群からそれぞれ独立に選択される0〜3個のR6基で置換されていてもよく、
Yは、直接結合であるか、C1〜C4アルキルであり、
Zは、C1〜C4アルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択されるメンバーであり、
R4は、H、ハロゲン、−OR7、−OC(O)R7、−C(O)OR7、−N(R7,R7)、−NR7S(O)2R7、−C(O)N(R7,R7)、−N(R7)C(O)N(R7,R7)、−C(NR7)N(R7,R7)、NR7C(O)R7、およびS(O)mR7(下付き文字mは、0、1または2である)であり、
R5は、H、C1〜C6アルキルであるか、場合によって、Yと一緒になって5から6員の複素環を形成し、
R7は、各々独立にHまたはC1〜C6アルキルである]
の小分子化合物、ならびにその塩、水和物、溶媒和物、異性体およびプロドラッグ。
【請求項2】
R1、R2およびR3が各々アリールである、請求項1に記載の小分子化合物。
【請求項3】
R1、R2およびR3が各々フェニルである、請求項2に記載の小分子化合物。
【請求項4】
R4がヒドロキシである、請求項2に記載の小分子化合物。
【請求項5】
ZがC1〜C4アルキルである、請求項4に記載の小分子化合物。
【請求項6】
Zがアリールである、請求項4に記載の小分子化合物。
【請求項7】
Zがフェニルである、請求項6に記載の小分子化合物。
【請求項8】
R1、R2およびR3が各々フェニルであり、
YがC1〜C4アルキルであり、
ZがC1〜C4アルキルまたはフェニルであり、
R4がヒドロキシである、
請求項1に記載の小分子化合物。
【請求項9】
X1がCであり、X2がNである、請求項8に記載の小分子化合物。
【請求項10】
下記構造:
【化2】
を有する、請求項9に記載の小分子化合物。
【請求項11】
下記構造:
【化3】
を有する、請求項9に記載の小分子化合物。
【請求項12】
X1がNであり、X2がCである、請求項8に記載の小分子化合物。
【請求項13】
下記構造:
【化4】
を有する、請求項12に記載の小分子化合物。
【請求項14】
下記構造:
【化5】
を有する、請求項12に記載の小分子化合物。
【請求項15】
(i)請求項1に記載の小分子化合物、および
(ii)製薬的に許容される担体
を含む医薬組成物。
【請求項16】
GLIタンパク質を発現する腫瘍細胞を誘発することによってアポトーシスを起こすための方法であって、
(a)前記腫瘍細胞を、十分な量の請求項1に記載の小分子化合物と接触させる工程を含み、
前記接触させる工程が、前記腫瘍細胞のアポトーシスの誘発をもたらす方法。
【請求項17】
前記腫瘍細胞が、大腸癌、黒色腫、中皮腫、肺癌、腎細胞癌、乳癌、前立腺癌、肉腫、卵巣癌、食道癌、胃癌、肝細胞癌、上咽頭癌、膵癌、および神経膠腫の細胞からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記GLIタンパク質が、GLI1、GLI2、またはGLI3である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
インビトロで実行される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
インビボで実行される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記小分子化合物が、癌治療療法の一部として投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
細胞の不必要な増殖、過剰増殖、または生存のうちの少なくとも1つを阻害するための方法であって、
(a)前記細胞がGli遺伝子を発現するかどうかを判定する工程、および
(b)前記細胞を、有効量の請求項1に記載の小分子化合物と接触させる工程を含み、
工程(b)が、前記細胞の不必要な増殖、過剰増殖、または生存のうちの少なくとも1つの阻害をもたらす方法。
【請求項23】
癌性疾患を患っている対象を治療するための方法であって、
(a)前記対象に、治療有効量の請求項1に記載の小分子化合物を投与する工程を含み、
前記癌性疾患が、GLIタンパク質を発現することによって特徴付けられ、工程(a)が、前記対象の治療をもたらす方法。
【請求項24】
細胞中のGLIタンパク質の活性を阻害するための方法であって、
(a)前記細胞を請求項1に記載の小分子化合物と接触させる工程を含み、
前記接触させる工程が、前記細胞中のGLIタンパク質の活性の阻害をもたらす方法。
【請求項25】
前記GLI活性が、GLIタンパク質とTAFタンパク質との間のタンパク質間相互作用である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
遺伝子のプロモーターに作動可能に連結したGLIタンパク質DNA結合部位を有する遺伝子の発現を阻害するための方法であって、
(a)前記遺伝子を発現する細胞を、請求項1に記載の小分子化合物と接触させる工程を含み、
前記接触させる工程が、前記遺伝子の発現の阻害をもたらす方法。
【請求項27】
前記遺伝子がWnt2遺伝子である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記Wnt2遺伝子がヒトである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
細胞の不要な増殖、過剰増殖、または生存のうちの少なくとも1つを阻害するための医薬の製造における、請求項1に記載の小分子化合物の使用。
【請求項30】
癌の治療のための医薬の製造における、請求項1に記載の小分子化合物の使用。
【請求項31】
細胞のアポトーシスを誘発するための医薬の製造における、請求項1に記載の小分子化合物の使用。
【請求項32】
細胞中のGLIタンパク質シグナル伝達を阻害するための医薬の製造における、請求項1に記載の小分子化合物の使用。
【請求項33】
GLIタンパク質とTAFII31タンパク質との間のタンパク質間相互作用を阻害することのできる候補化合物を同定するための方法であって、
(a)候補化合物を、GLIタンパク質およびTAFII31タンパク質を含む試料と接触させる工程、および
(b)前記GLIタンパク質の前記TAFII31タンパク質への結合を判定する工程であって、
前記候補化合物の不在下での前記GLIタンパク質の前記TAFII31への結合と比較して、前記候補化合物の存在下で、前記GLIタンパク質の前記TAFII31への結合が減少することが、前記候補化合物が、前記GLIタンパク質と前記TAFII31タンパク質との間の相互作用を阻害できることを示す工程を含む方法。
【請求項34】
GLIタンパク質依存性転写活性を調節する化合物を同定するための方法であって、
(a)試料を候補化合物と接触させる工程であって、前記試料は、レポーター遺伝子に作動可能に連結した1つまたは複数のGLI DNA結合部位を有する発現レポーターコンストラクトを含む工程、および
(b)ある場合には、GLIタンパク質依存性転写活性のレベルに対する候補化合物の効果を判定する工程を含む方法。
【請求項35】
前記試料が細胞を含む、請求項34に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18−1】
【図18−2】
【図19−1】
【図19−2】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18−1】
【図18−2】
【図19−1】
【図19−2】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2009−519909(P2009−519909A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544584(P2008−544584)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/047231
【国際公開番号】WO2007/067814
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/047231
【国際公開番号】WO2007/067814
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】
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