説明

小型レギュレータ

【課題】 小型レギュレータにおいて、ハンドルの下方位置から上端位置への移動、及び上端位置でハンドルの回転を確実に行うことができるようにすることを課題とする。
【解決手段】 ハンドル20を上下動させ、ハンドル20の上端位置でのみハンドル20を回転させることができる。ハンドル20の上方に直径の大きい第1摘み部21が形成され、ハンドル20の第1摘み部21以外の部分には直径の小さい第2摘み部22が形成されている。第1摘み部21と第2摘み部22との間に段差部23が配設され、第1摘み部21の外周には滑り止め用のローレット目26が刻まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の設定圧力又は設定流量を変更するためのハンドルを有する小型レギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
流体の設定圧力又は設定流量を変更するためのハンドルを有するレギュレータにおいて、ハンドルを回転させないときにはハンドルをロック状態にしておき、ハンドルを回転させたいときにのみハンドルをアンロック状態とすることが行われている。特許文献1は、従来のゲージハンドル形減圧弁(従来例1)であって、ハンドルを上下の2つの位置に移動することができ、ハンドルが下方位置のときは、ハンドルがロック状態でハンドルを回転させることができない。そして、ハンドルが上端位置のときは、ハンドルがアンロック状態でハンドルを回転させて設定圧力を変更することができる。このようなレギュレータを小型化して、多数のレギュレータを隣接して使用することがある。
【特許文献1】実開平1−116808号公報 図3は、従来の小型レギュレータのハンドル10(従来例2)を示す。小型レギュレータは、従来例1と同様に、ハンドル10を上下の2つの位置に移動することができ、ハンドル10が下方位置のときは、ロック状態でハンドル10を回転させることができない。そして、ハンドル10が上端位置のときは、アンロック状態でハンドル10を回転させて設定圧力又は設定流量を変更することができる。ハンドル10は略円柱状であり、ハンドル側面の僅かな上下幅の下端部12は円周面である。ハンドル側面の下端部12を除く摘み部13には、上面視で下端部12と同一半径の4個の突出部14と、下端部12よりも半径が小さい4個の窪み部15とがある。上面視で突出部14と窪み部15とは滑らかな曲線で接続されている。ハンドル10の摘み部13は、上端から下端まで同一形状であり、指先で上方へ引っ掛ける部分がないため、摘み部13を指先で摘んで上端へ移動させようとするとき、油分が付着した場合には指先が滑って、ハンドル10の下端位置から上端位置への移動を行い難い。また、上面視で突出部14と窪み部15とは滑らかな曲線で接続されているので、ハンドル10が上端位置にあるとき、油分が付着した場合には指先が滑って、ハンドル10の回転を行い難い。
【0003】
図4は、従来の小型レギュレータのハンドル17(従来例3)を示す。従来例2のハンドル17は、従来例1のハンドル10の上端に突出板18を突出させたものである。突出板18は、所定厚み(図4(a) の前後幅)で長方形の平板であり、ハンドル17が上端位置にあるとき、ハンドル17を回転させ易くするために設けられた。しかし、従来例2では、ハンドル17を下端位置から上端位置へ移動させることは実施例1と同様に困難であり、突出板18が小さいので突出板18を指先で摘んでハンドル17を回転させることも困難である。突出板18を設けたので、その分だけ小型レギュレータのハンドルが大きくなり、小型化の要請に合致しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、小型レギュレータにおいて、ハンドルを大きくすることなく、ハンドルの下方位置から上端位置への移動、及び上端位置でのハンドルの回転を確実に行うことができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を達成するために、ハンドルを上下動させて、ハンドルを回転させないときにはハンドルを下方位置のロック状態にしておき、ハンドルを回転させたいときにのみハンドルを上端位置のアンロック状態とする小型レギュレータにおいて、
ハンドルの上方に直径の大きい第1摘み部が形成され、ハンドルの第1摘み部以外の部分には直径の小さい第2摘み部が形成され、第1摘み部と第2摘み部との間に段差部が配設され、第1摘み部の外周には滑り止め用のローレット目が刻まれたことを第1構成とする。
【0006】
本発明は、第1構成において、ハンドルの上面には六角穴が開口されたことを第2構成とする。
【0007】
本発明は、第1構成及び第2構成において、第2摘み部の側面に複数個の縦方向に伸びた突出部及び窪み部が形成されたことを第3構成とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、直径の大きい第1摘み部と直径の小さい第2摘み部との間に段差部が配設されたので、ハンドルを上端へ移動させてアンロック状態とする際に、操作者の指先が段差部に接触するので、ハンドルを大きくすることなく、段差部に上方への力が伝わり、ハンドルを確実に上端へ移動することができる。また、第1摘み部の外周には滑り止め用のローレット目が刻まれたので、アンロック状態のとき、操作者の指先がローレット目に接触し、ローレット目に回転力が伝わり、ハンドルを確実に回転させることができる。そして、ハンドルの上面には六角穴が開口されたので、六角レンチを使ってハンドルを回転させることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、ハンドルを大きくすることなく、ハンドルの下方位置から上端位置への移動、及び上端位置でのハンドルの回転を確実に行うことができるようにするという課題を、ハンドルの上方に直径の大きい第1摘み部が形成され、ハンドルの第1摘み部以外の部分には直径の小さい第2摘み部が形成され、第1摘み部と第2摘み部との間に段差部が配設され、第1摘み部の外周には滑り止め用のローレット目が刻まれたという簡単な構成により実現させた。
【実施例1】
【0010】
図1,図2は、本発明の小型レギュレータの実施例を示す。本発明の実施例の小型レギュレータは、従来例1と同様に、ハンドル20を上下の2つの位置に移動することができ、ハンドル20が下方位置のときは、ロック状態でハンドル20を回転させることができない。ハンドル20が上端位置のときは、アンロック状態でハンドル20を回転させて設定圧力又は設定流量を変更することができる。ハンドル20の形状は概ね円柱状であり、ハンドル20の上方には直径の大きい第1摘み部21が形成され、ハンドルの第1摘み部21以外の部分には直径の小さい第2摘み部22が形成されている。第1摘み部21と第2摘み部22との間に段差部23が配設されている。そして、第1摘み部21の外周には上下幅の小さい下端部27が形成され、第1摘み部21の外周の下端部27以外の部分には、滑り止めのための細かい模様のローレット目26が刻まれている。ローレット目26には網目、平目、右斜目、左斜目、丸平目等がある。
【0011】
ハンドル20の上面の中央部には六角穴24が開口されており、六角穴24の上下幅は六角穴24に不図示の六角レンチを嵌合させて、六角レンチでハンドル20を回転操作するのに適した大きさである。ハンドル20の下面の中央部には、ハンドル20の回転力を他の部材に伝えるためのマイナス穴25が形成されている。第2摘み部22は、下面視で下端部27と同一半径の6個の突出部28と、下端部27よりも半径が小さい6個の窪み部29とが形成されている。下面視で突出部28と窪み部29とは滑らかな曲線で接続されており、突出部28と窪み部29と接続部は、縦方向に伸びており上端から下端まで同一形状である。
【0012】
図1は5個の小型レギュレータが狭い間隔で連設された例を示す。このように狭い間隔で連設されていても、ハンドル20を下方位置から上端位置へ移動させたいときは、操作者の指先が第1摘み部、段差部23及び第2摘み部に接触するので、指先に油分が付着していても、ハンドルを確実にアンロック状態の上端位置へ移動することができる。また、第1摘み部の外周には滑り止め用のローレット目が刻まれたので、アンロック状態のとき、操作者の指先がローレット目に接触するので、指先に油分が付着していても、ハンドル20を確実に回転させることができる。そして、ハンドル20の上面には六角穴24が開口されたので、六角レンチを使ってハンドル20を回転させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
小型レギュレータにおいて、ハンドルが下方位置(ロック状態)のときはハンドルを回転させることができず、ハンドルが上端位置(アンロック状態)のときはハンドルを回転させて流体の設定圧力や設定流量を変更することができる。本発明では、ハンドルの上方の第1摘み部とそれ以外の第2摘み部との間に段差部が配設され、摘み部にローレット目が刻まれたので、ハンドルの上下方向の移動と回転を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例の連設された小型レギュレータの外面を示し、図1(a) は上面図、図1(b) は正面図、図1(c) は右側面図である。
【図2】本発明の実施例の小型レギュレータのハンドルを示し、第2図(a) は上面図、第2図(b) は正面図、第2図(c) は第2図(b) の下方向からみた図、第2図(d) は第2図(a) のA−A断面を矢印の方向から見た断面図である。
【図3】従来の小型レギュレータのハンドル(従来例2)を示し、図3(a) は上面図、図3(b) は正面図である。
【図4】従来の小型レギュレータのハンドル(従来例3)を示し、図3(a) は上面図、図3(b) は正面図である。
【符号の説明】
【0015】
20 ハンドル
21 第1摘み部
22 第2摘み部
24 六角穴
23 段差部
26 ローレット目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルを上下動させて、ハンドルを回転させないときにはハンドルを下方位置のロック状態にしておき、ハンドルを回転させたいときにのみハンドルを上端位置のアンロック状態とする小型レギュレータにおいて、
ハンドルの上方に直径の大きい第1摘み部が形成され、ハンドルの第1摘み部以外の部分には直径の小さい第2摘み部が形成され、第1摘み部と第2摘み部との間に段差部が配設され、第1摘み部の外周には滑り止め用のローレット目が刻まれたことを特徴とする小型レギュレータ。
【請求項2】
ハンドルの上面には六角穴が開口された請求項1の小型レギュレータ。
【請求項3】
第2摘み部の側面に複数個の縦方向に伸びた突出部及び窪み部が形成された請求項1又は2の小型レギュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−146653(P2006−146653A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337137(P2004−337137)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】