説明

小型車両用パワーユニットにおけるギヤ室の潤滑構造

【課題】ギヤケース内のギヤ室に、ドライブギヤと、駆動輪の車軸に設けられたファイナルギヤと、該ファイナルギヤおよび前記ドライブギヤ間に配設されるカウンターギヤとを有するギヤ機構が前記ギヤ室内に収容される小型車両用パワーユニットにおいて、ファイナルギヤの撥ね掛けによる給油性能を確保しつつ回転フリクショの低減を可能とする。
【解決手段】ギヤ室内のオイルに下部を浸すファイナルギヤ85の回転軸線C1が、ドライブギヤ84およびカウンターギヤ86,87の回転軸線C2,C3よりも上方に配置され、ファイナルギヤ85の上方に配置されてファイナルギヤ85側に延びる給油リブ104がギヤケースに突設され、ギヤ室内の下部のオイルを給油リブ104に導くようにしてファイナルギヤ85の歯先に沿って円弧状に形成されるオイルガイド壁105が、ギヤケースに設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にクランク室を形成するクランクケースを含むエンジン本体に付設されるギヤケース内に、前記クランク室とは分離したギヤ室が形成され、前記クランクケースで回転自在に支承されるクランク軸から動力が伝達されるドライブギヤと、駆動輪の車軸に設けられたファイナルギヤと、該ファイナルギヤおよび前記ドライブギヤ間に配設されるカウンターギヤとを有するギヤ機構が前記ギヤ室内に収容される小型車両用パワーユニットに関し、特にギヤ室の潤滑構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
オイルポンプ等の給油源からの給油を受けないギヤ室内で、ギヤによる撥ね掛けオイルをリブ等で集めて導くことで潤滑を行うようにしたものが、特許文献1で既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平04−277361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1で開示されるものでは、ギヤ機構を構成するギヤのうちファイナルギヤの回転軸線が他のギヤよりも下方位置にあり、ファイナルギヤによるオイルの撥ね掛けで潤滑を行うようにしており、ギヤの撥ね掛けによる給油が可能となるものの、ファイナルギヤがオイルを撹拌することによる回転フリクションについては考慮されておらず、回転フリクションについては課題が残る。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、撥ね掛けによる給油性能を確保しつつ回転フリクショの低減を可能とした小型車両用パワーユニットにおけるギヤ室の潤滑構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、内部にクランク室を形成するクランクケースを含むエンジン本体に付設されるギヤケース内に、前記クランク室とは分離したギヤ室が形成され、前記クランクケースで回転自在に支承されるクランク軸から動力が伝達されるドライブギヤと、駆動輪の車軸に設けられたファイナルギヤと、該ファイナルギヤおよび前記ドライブギヤ間に配設されるカウンターギヤとを有するギヤ機構が前記ギヤ室内に収容される小型車両用パワーユニットにおいて、前記ギヤ室内の下部に貯留されるオイルに下部を浸す前記ファイナルギヤの回転軸線が、前記ドライブギヤおよび前記カウンターギヤの回転軸線よりも上方に配置され、前記ファイナルギヤの上方に配置されて前記ファイナルギヤ側に延びる給油リブが前記ギヤケースに突設され、前記ギヤ室内の下部に貯留されるオイルを前記給油リブに導くようにして前記ファイナルギヤの歯先に沿って円弧状に形成されるオイルガイド壁が、前記ギヤケースに設けられることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記ギヤケースが、前記クランクケースに連設されて前記駆動輪の側方に延びるとともに前記クランク軸および前記ドライブギヤ間に設けられるベルト式無段変速機を収容する伝動ケースの後部に付設され、前記ドライブギヤおよび前記カウンターギヤの上方かつ前記ファイナルギヤの前方で前記ギヤケースに、上下に延びるブリーザ室が形成されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記ブリーザ室および前記オイルガイド壁間に配置される前記給油リブが、その先端を前記ファイナルギヤの歯先に近接させるようにして前記ギヤケースの天井壁から垂下されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第3の特徴の構成に加えて、前記ギヤケースが、前記伝動ケースの一部を構成して前記クランクケースに一体に連設されるケース主体と、該ケース主体との間に前記ギヤ室を形成して該ケース主体の後部に結合されるカバーとから成り、前記車軸の一端部が前記ケース主体に軸受部材を介して回転自在に支承され、前記軸受部材側に寄った位置で前記車軸に前記ファイナルギヤが設けられ、前記ケース主体に、前記ファイナルギヤ側に延出して前記車軸を少なくとも下方から囲む囲い壁と、その囲い壁側にオイルを導くようにして前記給油リブの下方に配置される導入壁とが設けられることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第4の特徴の構成に加えて、前記導入壁が、前後方向に延びて形成されることを第5の特徴とする。
【0011】
さらに本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記給油リブが前記ケース主体に突設され、前記オイルガイド壁および前記ファイナルギヤ間を流通するオイルの流通方向で該オイルガイド壁の下流側で前記ガイド壁および前記給油リブ間に配置されるセンサが、前記ファイナルギヤの歯先に先端を近接させるようにして前記ケース主体に取付けられることを第6の特徴とする。
【0012】
なお実施の形態の第2カバー60が本発明のカバーに対応し、実施の形態のボールベアリング100が本発明の軸受部材に対応し、実施の形態の車輪速センサ135が本発明のセンサに対応し、実施の形態の後輪WRが本発明の駆動輪に対応する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の特徴によれば、ギヤ室内の下部に貯留されるオイルに下部を浸すファイナルギヤの回転軸線がギヤ室内の他のギヤの回転軸線よりも上方に配置され、ファイナルギヤの歯先に沿う円弧状のオイルガイド壁がギヤケースに設けられるので、ファイナルギヤのオイルへの浸漬量を小さくするとともにファイナルギヤへのオイルつれ回り量を少なくして回転フリクションを低減し、ファイナルギヤ側に延びるようにしてギヤケースに突設された給油リブにオイルガイド壁でオイルを導くようにすることで撥ね掛けオイルをファイナルギヤ側に導くようにして給油性能を確保することができる。
【0014】
また本発明の第2の特徴によれば、ベルト式無段変速機を収容する伝動ケースの後部に付設されるギヤケースに、ドライブギヤおよびカウンターギヤの上方かつファイナルギヤの前方に位置するようにして上下に延びるブリーザ室が形成されるので、ファイナルギヤの回転軸線をドライブギヤおよびカウンターギヤの回転軸線よりも上方に配置することで、ファイナルギヤの前方かつドライブギヤおよびカウンターギヤの上方に、充分な気液分離性能を達成し得るようにして上下に延びるブリーザ室を配置するスペースを、ギヤケースの大型化を回避しつつ確保することが可能となり、気液分離性能の向上を図ることができる。
【0015】
本発明の第3の特徴によれば、給油リブが、ブリーザ室およびオイルガイド壁間でギヤケースの天井壁から垂下され、給油リブの先端がファイナルギヤの歯先に近接するので、ギヤケースの大型化を回避しつつ給油リブのオイルガイド壁側に臨む面積を確保し、給油リブでより多く集めてのオイルを捕捉してファイナルギヤ側に滴下することで潤滑性を高めることができる。
【0016】
本発明の第4の特徴によれば、ギヤケースの一部を構成するケース主体および車軸の一端部間に設けられる軸受部材側に寄った位置で車軸にファイナルギヤが設けられ、そのファイナルギヤ側に延出して車軸を少なくとも下方から囲む囲い壁と、囲い壁側にオイルを導くようにして給油リブの下方に配置される導入壁とがケース主体に設けられるので、給油リブから滴下されたオイルを導入壁から囲い壁側に導くことで、ケース主体および車軸間にオイルを有効に導いて潤滑性能を高めることができる。
【0017】
本発明の第5の特徴によれば、導入壁が前後方向に延びているので、給油リブから滴下されたオイルをより多く囲い壁側に導くようにして、潤滑性能をより一層高めることができる。
【0018】
さらに本発明の第6の特徴によれば、オイルガイド壁でガイドされてきたオイルがセンサに当たることでセンサのオイルによる洗浄効果を得ることができるとともに、センサに当たって側方に飛散したオイルがセンサのオイルによる洗浄効果を得ることができるとともに、センサに当たって側方に飛散したオイルがケース主体の内面を伝わって給油リブ側に移動することで、より多くのオイルを給油リブから滴下させるようにして潤滑性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】自動二輪車の左側面図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】図2の3矢示部の拡大図である。
【図4】図2の4−4線矢視図である。
【図5】図2の5−5線矢視図である。
【図6】図5からガスケットを外した状態を示す図である。
【図7】図4の7−7線断面図である。
【図8】図4の8−8線断面図である。
【図9】図6の9−9線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図1〜図9を参照しながら説明する。なお以下の説明で前後、上下および左右の各方向は自動二輪車に搭乗した乗員から見た方向を言うものとする。
【0021】
先ず図1において、この小型車両は低床式のフロア11を有するスクータ型自動二輪車であり、その車体フレームFは、前輪WFを軸支するフロントフォーク12を操向可能に支承するヘッドパイプ13と、該ヘッドパイプ13に前端部が接合される左右一対のサイドフレーム14…とを備える。サイドフレーム14は、ヘッドパイプ13から下方に垂下されるダウンフレーム部14aと、ダウンフレーム部14aの下端に連なるとともに前記フロア11の下方で後方に延びるとともに後半部が後ろ上がりに傾斜するように形成されるロアフレーム部14bと、ロアフレーム部14bの後端に連なるとともに前記フロア11の後方で上方に立ち上がる立ち上がりフレーム部14cと、乗車用シート15を支持すべく立ち上がりフレーム部14cの後端から後方に延びるシートレール部14dとを一体に有して、単一のパイプが屈曲成形されて成る。
【0022】
前記サイドフレーム14…におけるロアフレーム部14b…の後部およびシートレール部14d…の前部間には、サイドフレーム14…におけるロアフレーム部14b…の下方かつ立ち上がりフレーム部14c…の後方に位置するようにしてリヤサブフレーム16…が設けられており、両サイドフレーム14…および両リヤサブフレーム16…間にピボットプレート17…が設けられる。
【0023】
前記ピボットプレート17…には、駆動輪である後輪WRの前方側に配置されるエンジンEと、後輪WRの左側方に配置される伝動装置Mとから成るパワーユニットPが、上下に揺動することを可能としてリンク機構18を介して上下揺動可能に支承され、後輪WRはパワーユニットPの後部に軸支される。
【0024】
図2において、単気筒の水冷4サイクルエンジンである前記エンジンEのエンジン本体19は、左右に2分割された左右クランクケース半体20L,20Rが結合されて成るとともにクランク室34が内部に形成されるクランクケース20と、該クランクケース20に結合されるシリンダブロック21と、該シリンダブロック21に結合されるシリンダヘッド22と、該シリンダヘッド22に結合されるヘッドカバー23とを備え、前上がりにわずかに傾斜したシリンダ軸線を有してシリンダブロック21に設けられるシリンダボア24にピストン25が摺動可能に嵌合される。前記クランクケース20には、車体フレームFの幅方向に延びるクランク軸26が回転自在に支承されており、該クランク軸26に前記ピストン25が連接される。
【0025】
前記クランクケース20における右クランクケース半体20Rを回転自在に貫通するクランク軸26の右側端部にはアウターロータ27が固定され、該アウターロータ27とともに発電機29を構成するようにしてアウターロータ27で囲繞されるインナーステータ28が、右クランクケース半体20Rに締結される支持板30に固定される。
【0026】
前記右クランクケース半体20Rには、前記発電機29を囲む筒状の発電機カバー31が結合されており、この発電機カバー31の右側にラジエータ32が配設される。前記クランク軸26には、前記ラジエータ32に冷却風を流通させるための冷却ファン33が、前記発電機29および前記ラジエータ32間に配置されるようにして固定される。
【0027】
ところで、前記ピストン25の頂部を臨ませてシリンダブロック21およびシリンダヘッド22間に形成される燃焼室35への吸気を制御する吸気弁(図示せず)ならびに前記燃焼室35からの排気を制御する排気弁(図示せず)を開閉駆動する動弁装置36が、シリンダヘッド22およびヘッドカバー23間に収容されており、この動弁装置36が備えるカム軸37が、前記クランク軸26と平行な軸線まわりに回転することを可能としてシリンダヘッド22に支承される。
【0028】
前記クランク軸26および前記カム軸37間には、前記クランクケース20から前記シリンダヘッド22にわたって前記エンジン本体19に形成されるカムチェーン室38を走行するカムチェーン39を含む調時伝動装置40が設けられ、この調時伝動機構40によってクランク軸26からの動力が1/2の減速比で前記カム軸37に伝達される。また前記カム軸37には、前記シリンダヘッド22の右側面に取付けられる冷却水ポンプ41のポンプ軸42が同軸にかつ相対回転不能に連結されており、冷却水ポンプ41はサーモスタット43を介して前記ラジエータ32に接続される。
【0029】
図1に注目して、エンジン本体19におけるシリンダヘッド22の上部側面には吸気装置44が接続されるものであり、この吸気装置44は、エアクリーナ45と、該エアクリーナ45に上流端が接続されるインレットパイプ46と、該インレットパイプ46の下流端およびシリンダヘッド22間に設けられるスロットルボディ47とを備え、スロットルボディ47で計量された空気中に燃料を噴射する燃料噴射弁48がシリンダヘッド22に取付けられる。また前記シリンダヘッド22の下部側面に接続される排気装置49は、シリンダヘッド22の下部に接続されるとともにエンジン本体19の右側下部から後輪WRの右側方側に延出される排気管50と、該排気管50に接続されて後輪WRの右側方に配置される排気マフラー51とを備える。
【0030】
前記伝動装置Mは、前記クランクケース20に連設されて後輪WRの左側方に延びる伝動ケース54内に収容されるベルト式無段変速機52と、該無段変速機52の出力を減速して後輪WRの車軸56に伝達するギヤ機構53とを備え、ギヤ機構53は、前記伝動ケース54の後部に付設されるギヤケース55内に収容される。
【0031】
前記伝動ケース54は、クランクケース20の左クランクケース半体20Lに一体に連なって後輪WRの左側方まで後方に延びるケース主体58と、該ケース主体58を外側から覆う第1カバー59とから成り、前記吸気装置44のエアクリーナ45は、該エアクリーナ45の下方に配置される前記ケース主体58で支持される。前記ギヤケース55は、前記ケース主体58の後部と、該ケース主体58の後部に内側から結合される第2カバー60とから成る。前記伝動ケース54内には、ベルト式無段変速機52を収容する変速機室61が形成され、前記ギヤケース55内には前記ギヤ機構53を収容するギヤ室62が、前記クランクケース20内のクランク室34とは分離して形成される。
【0032】
ベルト式無段変速機52は、前記クランク軸26に設けられる駆動プーリ63と、伝動軸66に設けられる従動プーリ64と、駆動プーリ63および従動プーリ64に巻き掛けられる無端状のVベルト65とを備えるものであり、前記クランクケース20から変速機室61内に突入する前記クランク軸26の一端部に前記駆動プーリ63が設けられ、クランク軸26と平行な軸線を有してケース主体58、第1カバー59および第2カバー60で回転自在に支承される前記伝動軸66に従動プーリ64が設けられる。
【0033】
駆動プーリ63は、クランク軸26に固定された固定プーリ半体67と、固定プーリ半体67に対して近接・離間が可能な可動プーリ半体68とを備え、可動プーリ半体68は、クランク軸26に固定されたランププレート69および可動プーリ半体68間に配置されるウエイトローラ70に作用する遠心力によって軸方向に駆動される。
【0034】
従動プーリ64は、伝動軸66を同軸に囲繞しつつ該伝動軸66に相対回転可能に支承される円筒状の内筒140に固定される固定プーリ半体72と、前記内筒140に対する軸方向相対移動および相対回動を可能として前記内筒140を同軸に囲繞する外筒141に固定されることで前記固定プーリ半体72に対する近接・離反を可能とした可動プーリ半体73とで構成され、固定プーリ半体72および可動プーリ半体73間にVベルト65が巻き掛けられる。また可動プーリ半体73および固定プーリ半体72間の相対回転位相差に応じて両プーリ半体72,73間に軸方向の分力を作用せしめるトルクカム機構74が、前記内筒140および前記外筒141間に設けられ、可動プーリ半体73はコイルスプリング75によって固定プーリ半体72側に向けて弾発付勢され、前記内筒140および伝動軸66間には、エンジン回転数が設定回転数を超えるのに伴って動力伝達状態となる遠心クラッチ76が設けられる。
【0035】
ところで固定プーリ半体72および可動プーリ半体73は、同一形状のプーリ半体を180度反転させて用いられるものであり、固定プーリ半体72の内周部は前記内筒140の一端部にリングマッシュ溶接によって固着される。また可動プーリ半体73の内周部は前記外筒141の一端部にリングマッシュ溶接によって固着される。このように同一形状のプーリ半体を用いて従動プーリ64を構成することによって部品の種類を減少させることができ、リングマッシュ溶接を用いて固着することで生産性を高めることができる。
【0036】
而して従動プーリ64における固定プーリ半体72および可動プーリ半体73間の軸方向間隔は、前記トルクカム機構74によって生じる軸方向の力と、コイルスプリング75によって生じる軸方向の弾性力と、固定プーリ半体72および可動プーリ半体73間の間隔をあける方向に作用するVベルト65からの力とのバランスにより決定され、駆動プーリ63において可動プーリ半体68を固定プーリ半体67に近接させることによりVベルト65の駆動プーリ63への巻き掛け半径が大きくなると、Vベルト65の従動プーリ64への巻き掛け半径が小さくなる。
【0037】
前記伝動ケース54における第1カバー59には、キック軸77が回転自在に支承されており、該キック軸77の外端にキックペダル78が設けられる。また第1カバー59の内面側で前記キック軸77および前記クランク軸26間には、キックペダル78の踏み込み操作に応じたキック軸77の回転動力を前記クランク軸26に伝達可能としたキック式始動装置79が設けられる。また駆動プーリ63における固定プーリ半体67の外面には、伝動ケース54内に冷却風を流通させる冷却ファンとしての機能を前記固定プーリ半体67に果たさせるための複数のフィン80…が突設される。
【0038】
後輪WRの車軸56の一端部は、第2カバー60を気密に貫通してギヤケース55内に突入されており、この車軸56の一端部はケース主体58および第2カバー60で回転自在に支承され、前記伝動軸66および前記車軸56間に設けられるギヤ機構53がギヤ室62に収納される。
【0039】
またエンジン本体19のクランクケース20に連設されたスイングアーム81が後輪WRの右側に配置されており、このスイングアーム81の後部に前記車軸56の他端部が回転自在に支承される。さらに図1で示すように、前記伝動ケース54におけるケース主体58の後部と、車体フレームFにおける左側のシートレール部14dの後部との間には、リヤクッションユニット82が設けられる。
【0040】
図3において、前記ギヤ機構53は、前記クランク軸26からの回転動力が伝達される伝動軸66に一体に設けられるドライブギヤ84と、前記後輪WRの車軸56に設けられるファイナルギヤ85と、該ファイナルギヤ85および前記ドライブギヤ84間に配設される第1および第2カウンターギヤ86,87とを有して、前記ギヤ室62に収容される。
【0041】
前記ギヤケース55を協働して構成する前記ケース主体58および第2カバー60にはカウンター軸88の両端部が回転自在に支承されており、ドライブギヤ84よりも大径である第1カウンターギヤ86は、ドライブギヤ84に噛合するようにして前記カウンター軸88に固定され、第1カウンターギヤ86および前記ファイナルギヤ85よりも小径である第2カウンターギヤ87が、前記ファイナルギヤ85に噛合するようにして前記カウンター軸88に一体に設けられる。
【0042】
図4を併せて参照して、前記ケース主体58には、前記伝動軸66の中間部を回転自在に貫通させる第1貫通孔89が設けられるとともに、前記カウンター軸88の一端部を挿入、配置せしめるようにして前記ギヤ室62に臨む第1支持凹部90ならびに前記車軸56の一端部を挿入、配置せしめるようにして前記ギヤ室62に臨む第2支持凹部91が設けられる。
【0043】
図5および図6を併せて参照して、第2カバー60には、前記車軸56の中間部を回転自在に貫通せしめる第2貫通孔92が設けられるとともに、前記伝動軸66の他端部を挿入、配置せしめるようにして前記ギヤ室62に臨む第3支持凹部93ならびに前記カウンター軸88の他端部を挿入、配置せしめるようにして前記ギヤ室62に臨む第4支持凹部94が設けられる。
【0044】
第1貫通孔89の内周および前記伝動軸66の外周間には、前記変速機室61側から順に環状のシール部材95およびボールベアリング96が介装され、前記伝動軸66の他端部外周および第3支持凹部93の内周間にはボールベアリング97が介装される。また前記カウンター軸88の一端部外周および第1支持凹部90の内周間にはボールベアリング98が介装され、前記カウンター軸88の他端部外周および第4支持凹部94の内周間にはボールベアリング99が介装される。さらに後輪WRの車軸56の一端部外周および第2支持凹部91の内周間にはボールベアリング100が介装され、前記車軸56の中間部外周および第2貫通孔92の内周間には、前記ギヤ室62側から順に環状のシール部材101およびボールベアリング102が介装される。
【0045】
前記伝動軸66、前記カウンター軸88および前記車軸56は、前方から順に前記伝動軸66、前記カウンター軸88および前記車軸56が並ぶとともに、前記車軸56の回転軸線すなわちファイナルギヤ85の回転軸線C1が、前記伝動軸66の回転軸線すなわちドライブギヤ84の回転軸線C2ならびに前記カウンター軸88の回転軸線すなわち第1および第2カウンターギヤ86,87の回転軸線C3よりも上方に位置するように配置される。
【0046】
前記ギヤ室62内には、潤滑を果たすためのオイルが貯留されるものであり、前記ギヤ機構53を構成するギヤ84〜87のうち最大径である前記ファイナルギヤ85の下部は、ギヤ室62内の下部にレベルLまで貯留されているオイルに浸漬される。
【0047】
図7を併せて参照して、前記ギヤケース55には給油リブ104が突設されており、この給油リブ104は、自動二輪車の前進時に矢印で示す回転方向103(図4参照)に前記ファイナルギヤ85が回転する際に、当該ファイナルギヤ85の歯先によって連れ回されたオイルをファイナルギヤ85側に戻すべく、前記ファイナルギヤ85の上方に配置されて該ファイナルギヤ85側に延びるように形成される。
【0048】
また前記ギヤ室62内の下部に貯留されるオイルを前記給油リブ104に導くようにして前記ファイナルギヤ85の歯先に沿って円弧状に形成されるオイルガイド壁105が、ギヤケース55に設けられるものであり、この実施の形態では、ギヤケース55を協働して構成するケース主体58および第2カバー60に面一に連なるようにして前記オイルガイド壁105が設けられる。
【0049】
ところで前記ファイナルギヤ85は、前記ギヤケース55のうちケース主体58および前記車軸56の一端部間に介装される軸受部材であるボールベアリング100側に寄った位置で前記車軸56に設けられるものであり、前記ギヤケース55の天井壁から垂下される前記給油リブ104は、前記ギヤケース55のうちケース主体58に設けられ、この給油リブ104の先端は前記ファイナルギヤ85の歯先に近接して配置される。
【0050】
図8を併せて参照して、前記ギヤケース55のうちケース主体58には、前記ファイナルギヤ85側に延出して前記車軸56を少なくとも下方から囲む囲い壁106と、その囲い壁106側にオイルを導くようにして前記給油リブ104の下方に配置される導入壁107,108とが設けられる。
【0051】
前記囲い壁106は、前記車軸56の一端部を支持するために前記ケース主体58に設けられた第2支持凹部91の開口端に突設されるものであり、この実施の形態では、前記車軸56の下半部および前記車軸56の後部を囲むようにして円弧状に形成される。また導入壁107は、前記囲い壁106の後端部に一体に連なるものであり、前下がりに傾斜しつつ前後方向に延びるように形成され、導入壁108は、前記囲い壁106の上方かつ前記給油リブ104の直下に配置されるものであり、前記囲い壁106の後端部側に向けて後ろ下がりに傾斜しつつ前後方向に延びるように形成される。
【0052】
図9を併せて参照して、前記ギヤケース55のうち第2カバー60には、第1カウンターギヤ67側に延出してカウンター軸88を下方から囲む円弧状の囲い壁109が、前記カウンター軸88の他端部を支持するために第2カバー60に設けられた第4支持凹部94の開口端から突出するようにして一体に設けられる。
【0053】
また第2カバー60の内面には、第4支持凹部94の後方斜め上方に配置される導入壁110が突設され、この導入壁110は、ギヤケース55内の上部から滴下されるオイルを前記囲い壁109側に導くようにして、前下がりに傾斜しつつ前後に延びるように形成される。
【0054】
前記ドライブギヤ84、第1カウンターギヤ86、第2カウンターギヤ87および前記ファイナルギヤ85の前方で前記ギヤケース55には、ギヤ室62内のオイル温度の上昇に伴うガスの熱膨張時にガスを外部に排出するための上下に延びるブリーザ室111が形成され、前記給油リブ104は、そのブリーザ室111および前記オイルガイド壁105間に配置される。
【0055】
前記ブリーザ室111は、前記ケース主体58および第2カバー60の外周壁の一部と、それらの外周壁の内方で前記ケース主体58および第2カバー60間にそれぞれ突設されるリブ状の側壁113,114との間に形成されるものであり、前記ケース主体58および第2カバー60間に挟まれるガスケット115および第2カバー60間には、リザーバ室111の一部を構成する第1、第3および第6室116,118,121が形成され、前記ガスケット115およびケース主体58間には、前記リザーバ室111の一部を構成する第2、第4および第5室117,119,120が形成される。
【0056】
第2カバー60における側壁113の下端部には凹部122が設けられており、ギヤ室62内のガスは、その凹部122および前記ガスケット115間を通って前記ブリーザ室111の第1室116内に導かれる。
【0057】
ケース主体58には、その側壁113およびケース主体58の外周壁間を結ぶ第1仕切り壁123がガスケット115に当接して第2および第4室117,119間を隔てるように設けられるとともに、第4室119および第5室120間に介在して側壁113およびケース主体58の外周壁間を結ぶ第2仕切り壁124が設けられ、第2仕切り壁124は、前記ガスケット115との間にガスの流通を許容する隙間を形成して第4室119から第5室120にガスが流通するように形成される。
【0058】
第2カバー60には、第1室116および第3室118間に介在して側壁114および第2カバー60の外周壁間を結ぶ第3仕切り壁125が設けられ、第3仕切り壁125は、前記ガスケット115との間にガスの流通を許容する隙間を形成して第1室116から第3室118にガスが流通するように形成される。また第2カバー60には、その側壁114および第2カバー60の外周壁間を結ぶ第4仕切り壁126がガスケット115に当接して第3および第6室116,121間を隔てるように設けられる。
【0059】
前記ガスケット115には、第1および第2室116,117の下部間を連通させる第1透孔127と、第1および第2室116,117の上部間を連通させる第2透孔128と、第3室118および第4室119の下部間を連通させる第3透孔129と、第3室118および第4室119の上部間を連通させる第4透孔130と、第5室120および第6室121の下部間を連通させる第5透孔131と、第5室120および第6室121の上部間を連通させる第6透孔132とが設けられ、第1、第3および第5透孔127,129,131は、第2、第4および第6透孔128,130,132よりも小径に形成される。
【0060】
而してブリーザ室111の第1室116に流入したガスは、第1および第2透孔127,128を介して第2室117との間で流通し、第1室116から第3室118に導かれたガスは、第3および第4透孔129,130を介して第4室119に導かれ、第4室119から第5室120に導かれたガスは第5および第6透孔131,132を介して第6室121に導かれることになり、第1〜第6室116〜121を迷路状に連通させることでガスに同伴したオイル分がブリーザ室111内でガスから分離することになる。また第1〜第6室116〜121でガスから分離したオイルは、第1、第3および第5透孔127,129,131を介して順次下方の室に流通し、側壁113の下端部の凹部122からギヤ室62側に戻される。
【0061】
第2カバー60には、第6室121内に先端部を突入させた導出管133が第2カバー60から上方に立ち上がるようにして設けられており、この導出管133の外端部に図示しないブリーザチューブが接続される。
【0062】
前記ギヤケース55のケース主体58には、前記給油リブ104および前記側壁113間を結ぶリブ状の連結壁142と、第2支持凹部91を形成するようにして前記ケース主体58に一体に形成される円筒状の軸受ハウジング143および前記連結壁142間を結ぶリブ状の連結壁144とが一体に設けられており、前記給油リブ104、前記側壁113および前記軸受ハウジング143を前記連結壁142,144を介して連結することで、前記給油リブ104、前記側壁113および前記軸受ハウジング143を補強するとともにケース主体58を鋳造する際の湯回りの向上を果たすことができる。
【0063】
また前記ギヤケース55のうちケース主体58には、センサたとえば車輪速センサ135がその先端を前記ファイナルギヤ85の歯先に近接させるようにしてボルト136で取付けられるものであり、該車輪速センサ135は、前記オイルガイド壁105および前記ファイナルギヤ85間を流通するオイルの流通方向で該オイルガイド壁105の下流側で、前記オイルガイド壁105および前記給油リブ104間に配置される。
【0064】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、ギヤケース55内に形成されるギヤ室62内に、クランク軸26からの回転動力が伝達される伝動軸66に一体に設けられるドライブギヤ84と、後輪WRの車軸56に設けられるファイナルギヤ85と、該ファイナルギヤ85および前記ドライブギヤ84間に配設される第1および第2カウンターギヤ86,87とを有するギヤ機構53が収容され、ギヤ室62内の下部に貯留されるオイルに下部を浸す前記ファイナルギヤ85の回転軸線C1が、前記ドライブギヤ84の回転軸線C2ならびに第1および第2カウンターギヤ86,87の回転軸線C3よりも上方に配置され、ファイナルギヤ85の上方に配置されてファイナルギヤ85側に延びる給油リブ104がギヤケース55に突設され、ギヤ室62内の下部に貯留されるオイルを前記給油リブ104に導くようにしてファイナルギヤ85の歯先に沿って円弧状に形成されるオイルガイド壁105がギヤケース55に設けられている。
【0065】
したがってファイナルギヤ85のオイルへの浸漬量を小さくするとともにファイナルギヤ85へのオイルつれ回り量を少なくして回転フリクションを低減し、ファイナルギヤ85側に延びるようにしてギヤケース55に突設された給油リブ104にオイルガイド壁105でオイルを導くようにすることで撥ね掛けオイルをファイナルギヤ85側に導くようにして給油性能を確保することができる。
【0066】
またギヤケース55が、エンジン本体19のクランクケース20に連設されて後輪WRの側方に延びるとともにクランク軸26およびドライブギヤ84間に設けられるベルト式無段変速機52を収容する伝動ケース54の後部に付設され、ドライブギヤ84、第1および第2カウンターギヤ86,87の上方かつ前記ファイナルギヤ85の前方で前記ギヤケース55に、上下に延びるブリーザ室111が形成されるので、ファイナルギヤ85の回転軸線C1をドライブギヤ85およびカウンターギヤ86,87の回転軸線C2,C31よりも上方に配置することで、ファイナルギヤ85の前方かつドライブギヤおよびカウンターギヤの上方に、充分な気液分離性能を達成し得るようにして上下に延びるブリーザ室111を配置するスペースを、ギヤケース55の大型化を回避しつつ確保することが可能となり、気液分離性能の向上を図ることができる。
【0067】
またブリーザ室111およびオイルガイド壁105間に配置される給油リブ104が、その先端を前記ファイナルギヤ85の歯先に近接させるようにして前記ギヤケース55の天井壁から垂下されるので、ギヤケース55の大型化を回避しつつ給油リブ104のオイルガイド壁105側に臨む面積を確保し、給油リブ104でより多く集めてのオイルを捕捉してファイナルギヤ85側に滴下することで潤滑性を高めることができる。
【0068】
またギヤケース55が、伝動ケース54の一部を構成してクランクケース20に一体に連設されるケース主体58と、該ケース主体58との間にギヤ室62を形成して該ケース主体58の後部に結合されるカバー60とから成り、後輪WRの車軸56の一端部が前記ケース主体58にボールベアリング100を介して回転自在に支承され、前記ボールベアリング100側に寄った位置で前記車軸56にファイナルギヤ85が設けられ、前記ケース主体58に、ファイナルギヤ85側に延出して前記車軸56を少なくとも下方から囲む囲い壁106と、その囲い壁106側にオイルを導くようにして前記給油リブ104の下方に配置される導入壁107,108とが設けられるので、給油リブ104から滴下されたオイルを導入壁107,108から囲い壁106側に導くことで、ケース主体58および車軸56間にオイルを有効に導いて潤滑性能を高めることができる。
【0069】
また導入壁107,108が前後方向に延び手形成されるので、給油リブ104から滴下されたオイルをより多く囲い壁106側に導くようにして、潤滑性能をより一層高めることができる。
【0070】
しかも給油リブ104がケース主体58に突設されており、前記オイルガイド壁105およびファイナルギヤ85間を流通するオイルの流通方向で該オイルガイド壁105の下流側でガイド壁105および給油リブ104間に配置される車輪速センサ135が、ファイナルギヤ85の歯先に先端を近接させるようにしてケース主体58に取付けられるので、オイルガイド壁105でガイドされてきたオイルが車輪速センサ135に当たることで車輪速センサ135のオイルによる洗浄効果を得ることができるとともに、車輪速センサ135に当たって側方に飛散したオイルがケース主体58の内面を伝わって前記給油リブ104側に移動することで、より多くのオイルを給油リブ104から滴下させるようにして潤滑性の向上を図ることができる。
【0071】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0072】
たとえば本発明は、上記実施の形態で示した自動二輪車だけでなく、自動三輪車用パワーユニットに適用可能であり、またクランクケース内に、クランク室と分離したギヤ室が形成されるようにしたパワーユニットにも本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
19・・・エンジン本体
20・・・クランクケース
26・・・クランク軸
34・・・クランク室
52・・・ベルト式無段変速機
53・・・ギヤ機構
54・・・伝動ケース
55・・・ギヤケース
56・・・車軸
58・・・ケース主体
60・・・カバーである第2カバー
62・・・ギヤ室
84・・・ドライブギヤ
85・・・ファイナルギヤ
86,87・・・カウンターギヤ
100・・・軸受部材であるボールベアリング
104・・・給油リブ
105・・・オイルガイド壁
106・・・囲い壁
107,108・・・導入壁
111・・・ブリーザ室
135・・・センサである車輪速センサ
C1・・・ファイナルギヤの回転軸線
C2・・・ドライブギヤの回転軸線
C3・・・カウンターギヤの回転軸線
P・・・パワーユニット
WR・・・駆動輪である後輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にクランク室(34)を形成するクランクケース(20)を含むエンジン本体(19)に付設されるギヤケース(55)内に、前記クランク室(34)とは分離したギヤ室(62)が形成され、前記クランクケース(20)で回転自在に支承されるクランク軸(26)から動力が伝達されるドライブギヤ(84)と、駆動輪(WR)の車軸(56)に設けられたファイナルギヤ(85)と、該ファイナルギヤ(85)および前記ドライブギヤ(84)間に配設されるカウンターギヤ(86,87)とを有するギヤ機構(53)が前記ギヤ室(62)内に収容される小型車両用パワーユニットにおいて、前記ギヤ室(62)内の下部に貯留されるオイルに下部を浸す前記ファイナルギヤ(85)の回転軸線(C1)が、前記ドライブギヤ(84)および前記カウンターギヤ(86,87)の回転軸線(C2,C3)よりも上方に配置され、前記ファイナルギヤ(85)の上方に配置されて前記ファイナルギヤ(85)側に延びる給油リブ(104)が前記ギヤケース(55)に突設され、前記ギヤ室(62)内の下部に貯留されるオイルを前記給油リブ(104)に導くようにして前記ファイナルギヤ(85)の歯先に沿って円弧状に形成されるオイルガイド壁(105)が、前記ギヤケース(55)に設けられることを特徴とする小型車両用パワーユニットにおけるギヤ室の潤滑構造。
【請求項2】
前記ギヤケース(55)が、前記クランクケース(20)に連設されて前記駆動輪(WR)の側方に延びるとともに前記クランク軸(26)および前記ドライブギヤ(84)間に設けられるベルト式無段変速機(52)を収容する伝動ケース(54)の後部に付設され、前記ドライブギヤ(84)および前記カウンターギヤ(86,87)の上方かつ前記ファイナルギヤ(85)の前方で前記ギヤケース(55)に、上下に延びるブリーザ室(111)が形成されることを特徴とする請求項1記載の小型車両用パワーユニットにおけるギヤ室の潤滑構造。
【請求項3】
前記ブリーザ室(111)および前記オイルガイド壁(105)間に配置される前記給油リブ(104)が、その先端を前記ファイナルギヤ(85)の歯先に近接させるようにして前記ギヤケース(55)の天井壁から垂下されることを特徴とする請求項2記載の小型車両用パワーユニットにおけるギヤ室の潤滑構造。
【請求項4】
前記ギヤケース(55)が、前記伝動ケース(54)の一部を構成して前記クランクケース(20)に一体に連設されるケース主体(58)と、該ケース主体(58)との間に前記ギヤ室(62)を形成して該ケース主体(58)の後部に結合されるカバー(60)とから成り、前記車軸(56)の一端部が前記ケース主体(58)に軸受部材(100)を介して回転自在に支承され、前記軸受部材(100)側に寄った位置で前記車軸(56)に前記ファイナルギヤ(85)が設けられ、前記ケース主体(58)に、前記ファイナルギヤ(85)側に延出して前記車軸(56)を少なくとも下方から囲む囲い壁(106)と、その囲い壁(106)側にオイルを導くようにして前記給油リブ(104)の下方に配置される導入壁(107,108)とが設けられることを特徴とする請求項3記載の小型車両用パワーユニットにおけるギヤ室の潤滑構造。
【請求項5】
前記導入壁(107,108)が、前後方向に延びて形成されることを特徴とする請求項4記載の小型車両用パワーユニットにおけるギヤ室の潤滑構造。
【請求項6】
前記給油リブ(104)が前記ケース主体(58)に突設され、前記オイルガイド壁(105)および前記ファイナルギヤ(85)間を流通するオイルの流通方向で該オイルガイド壁(105)の下流側で前記ガイド壁(105)および前記給油リブ(104)間に配置されるセンサ(135)が、前記ファイナルギヤ(85)の歯先に先端を近接させるようにして前記ケース主体(58)に取付けられることを特徴とする請求項2記載の小型車両用パワーユニットにおけるギヤ室の潤滑構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−19500(P2013−19500A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154464(P2011−154464)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】