小型電動車両の操縦装置
【課題】操向ハンドルの左右のグリップとアクセルレバーの左右の操作部との間の間隔を充分に確保しながら,上記操作部の操作性を良好にし得る,小型電動車両の操縦装置を提供する。
【解決手段】操向ハンドル3と一体となって回動する支持体112に,アクセルレバー114を取り付け,このアクセルレバー114には,操向ハンドル3の左右のグリップ3g,3gの前方にそれぞれ配置され,運転者Dが左右のグリップ3を把持した左右何れの手Hでも操作可能な左右一対の操作部114b,114bを設けた,小型電動車両の操縦装置において,左右のグリップ3gの後面に,それを把持する運転者の手Hの親指Haの根元が嵌まる窪み136を形成した。
【解決手段】操向ハンドル3と一体となって回動する支持体112に,アクセルレバー114を取り付け,このアクセルレバー114には,操向ハンドル3の左右のグリップ3g,3gの前方にそれぞれ配置され,運転者Dが左右のグリップ3を把持した左右何れの手Hでも操作可能な左右一対の操作部114b,114bを設けた,小型電動車両の操縦装置において,左右のグリップ3gの後面に,それを把持する運転者の手Hの親指Haの根元が嵌まる窪み136を形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,電動車椅子のように,歩道を走行できて高齢者等による利用に好適な小型電動車両に関し,特に,乗車用シートの前方に配設されるハンドルコラムに回転自在に支承されるステアリング軸の上端に,左右一対のグリップを有する操向ハンドルを結合し,この操向ハンドルと一体となって回動する支持体に,車両駆動用の電動モータの出力を制御するアクセルレバーを取り付け,このアクセルレバーには,前記左右のグリップの前方にそれぞれ配置され,運転者が左右のグリップを把持した左右何れの手でも操作可能な左右一対の操作部を設けた,小型電動車両の操縦装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝる小型電動車両の操縦装置は,特許文献1に開示されるように,既に知られている。
【特許文献1】特開平9−150783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かゝる小型電動車両の操縦装置では,運転者が左右のグリップを把持した左右何れの手でも,また両方の手でもアクセル操作が可能であって便利である。ところで,アクセルレバーの左右の操作部は,互いに連動していて,一方の操作部を操作すると,同時に他方の操作部も動くことになるため,例えば左手は左側のグリップを把持したまゝにして,右手で右側の操作部を手前に引く加速操作をした場合には,左側の操作部が,左側のグリップを把持したまゝの左手に迫ってきて圧迫感を与えることが考えられる。そこで,両グリップとアクセルレバーの両操作部との間の間隔を大きく設定して,上記のような圧迫感をなくすることも考えられるが,単にそうしたものでは,比較的手が小さい運転者に対しては,操作部の操作性を低下させることになる。
【0004】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,両グリップとアクセルレバーの両操作部との間の間隔を充分に確保しながら,操作部の操作性を良好にし得る,前記小型電動車両の操縦装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために,本発明は,乗車用シートの前方に配設されるハンドルコラムに回転自在に支承されるステアリング軸の上端に,左右一対のグリップを有する操向ハンドルを結合し,この操向ハンドルと一体となって回動する支持体に,車両駆動用の電動モータの出力を制御するアクセルレバーを取り付け,このアクセルレバーには,前記左右のグリップの前方にそれぞれ配置され,運転者が左右のグリップを把持した左右何れの手でも操作可能な左右一対の操作部を設けた,小型電動車両の操縦装置において,前記左右のグリップの後面に,それを把持する運転者の手の親指の根元が嵌まる窪みを形成したことを第1の特徴とする。
【0006】
尚,前記支持体は,後述する本発明の実施例中の回動板112に対応する。
【0007】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記操向ハンドルを,左右一対のU字状部の一端部相互を連結部を介して一体に連結すると共に,他端部を相互に離間した自由端部としてなるループ型に構成し,この操向ハンドルのループ内に前記操作部を配置したことを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の特徴によれば,左右のグリップとアクセルレバーの左右の操作部との間に,物の挟まりを防ぐ充分な間隔を確保しながらも,運転者がグリップを把持する手の親指の根元を前記窪みに収めることで,指全体をアクセルレバーに極力近接させることができ,比較的手が小さい運転者でも,操作部に容易に操作力を加えることができ,操作性が良好となる。
【0009】
本発明の第2の特徴によれば,アクセルレバーの操作部に対して前方や側方から近接する障害物を操向ハンドルで阻止して,上記操作部を保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態を,図面に示す本発明の好適な実施例に基づき以下に説明する。
【0011】
図1は本発明の実施例に係る小型電動車両の斜視図,図2は同小型電動車両の正面図,図3は同小型電動車両の側面図,図4は同小型電動車両の車体フレームを示す側面図,図5は同車体フレームを示す平面図,図6は図3の6−6線断面図,図7は図6の7−7線断面図,図8は図3の8−8線断面図,図9は図8の9−9線断面図,図10は操向ハンドル部を示す平面図(図3の10矢視拡大図),図11は制御ボックスを外した状態で操向ハンドル部を示す,図10との対応図,図12は図11の要部を示す拡大図,図13は図12の13−13線断面図,図14は図12の14−14線断面図,図15は図12の15−15線断面図,図16は図12の16−16線断面図,図17は図12の17−17線断面図,図18は緊急ブレーキ操作時の作用を示す,図13との対応図,図19はアクセルレバーの操作荷重特性線図である。
【0012】
図1〜図5において,小型電動車両Vは,車体フレーム1,この車体フレーム1の前端部に転向可能に懸架される左右一対の前輪2f,2f,操向ハンドル3,この操向ハンドル3の動きを両前輪2f,2fに伝達するステアリング機構4,車体フレーム1の後端部に懸架されるパワーユニット5,このパワーユニット5の左右両側に配置されと共に,その出力により駆動される左右一対の後輪2r,2r,車体フレーム1に支持されてパワーユニット5の上方に配置される乗車用シート6,並びにレッグシールド7等の車体カバー類を備えており,これらについて以下に順次詳細に説明する。尚,以下の説明中,左右・前後とは,小型電動車両Vを基準にして言うものである。
【0013】
先ず,車体フレーム1は,図4及び図5に示すように,左右に離隔して配置される一対のパイプ状のメインフレーム10,10を有する。各メインフレーム10は,前端から後ろ下がりに傾斜して延びるフレーム前部10aと,このフレーム前部10aの後端から後方へ水平に延びるフレーム中間部10bと,このフレーム中間部10bの後端から後ろ上がりに傾斜して延びるフレーム後部10cとからなっており,両メインフレーム10,10のフレーム前部10a,10aは互いに平行するように配置され,フレーム中間部10b,10bは,相互の間隔を後方に向かって広げるように配置され,フレーム後部10c,10cは互いに平行に配置される。フレーム前部10a,10aには,これらを相互に連結する鋼板製のサブフレーム11が溶接され,フレーム中間部10b,10bの後端には,これらを相互に連結するパイプ状のクロスメンバ12が溶接され,さらにフレーム中間部10b,10bの上部には,これらを相互に連結する方形のフロアパネル13が溶接される。フレーム後部10c,10cの上端には,これらを相互に連結するシートレール16が溶接される。またフレーム前部10a,10aの前端部には,後方にやゝ傾いた左右一対の支柱17,17の下端部が溶接される。以上により車体フレーム1が構成される。
【0014】
シートレール16には運転者用のシート6が取り付けられる。またフレーム後部10c,10c間には,前面側からバッテリ19等の補機を収容する補機収納箱18が取り付けられる。
【0015】
図2,図3及び図6に示すように,前記サブフレーム11に左右の前輪2f,2fがそれぞれ前部懸架装置20,20を介して独立懸架される。各前部懸架装置20は,内端側を前後二股状に分岐させたA型のフロントサスペンションアーム21と伸縮型のフロントダンパ22とを備える。フロントサスペンションアーム21は,その内端の前後一対のボス部21a,21aが,前記サブフレーム11に固設されて前後方向に延びる前後一対の枢軸23,23に弾性ブッシュ24,24を介して支持され,上記枢軸23,23周りに上下揺動し得るようになっており,各フロントサスペンションアーム21と,これと同側の支柱17との間に,フロントサスペンションアーム21の上下揺動を緩衝する前記フロントダンパ22が連結される。
【0016】
フロントサスペンションアーム21の外端,即ち揺動端には,それと同側の前輪2fを回転自在に支持するアクスル25を持ったナックル26がキングピン27を介して転向可能に連結される。
【0017】
一方,サブフレーム11及び左右の支柱17,17によって支持されるハンドルコラム28は,両支柱17,17間の中央部に配設され,このハンドルコラム28の上方に配設される前記操向ハンドル3がステアリング機構4を介して左右のナックル26,26に連動連結される。
【0018】
ステアリング機構4は,ハンドルコラム28に回転可能に支承されて上端部に前記操向ハンドル3が結合されるステアリング軸29と,このステアリング軸29の下端部に一体的に形成されて該軸29の後方に延びるステアリングアーム30と,このステアリングアーム30を左右のナックル26,26のナックルアーム26a,26aに連結する左右一対のタイロッド31,31とで構成される。ナックルアーム26aは,ナックル26の下端部からキングピン27より後方に延出しており,操向ハンドル3の操舵に応じてキングピン27周りに回動し,左右の前輪2f,2fを転向させることができる。
【0019】
図1,図2,図6及び図7に示すように,各前輪2fの上方には,その前輪2fの上部の略半周面を覆う可動フェンダ35が配設され,この可動フェンダ35は,対応する前輪2fと一体となって転向し得るように対応する前記ナックル26に次のように取り付けられる。即ち,可動フェンダ35は合成樹脂製であって,前輪2fの外周面上部を覆う円弧状の周壁部35aと,前輪2fの内側面上部を覆う内側壁部35bと,前輪2fの外側面上部周縁を覆う外側壁部35cとを一体に連ねて構成され,その内側壁部35bには,その中央部に鉛直方向の第1取り付け部36が形成され,また後端部に水平方向の第2取り付け部37が形成される。一方,ナックル26には,その上端に起立する前後一対のブラケット38,38が形成され,これらブラケット38,38に第1取り付け部36がボルト39,39により締結され,またナックルアーム26aに第2取り付け部37がボルト40により締結される。上記ボルト39,40を外せば,可動フェンダ35をナックル26から取り外すことができる。
【0020】
左右の可動フェンダ35,35は,その少なくとも前端部がシート6に座った運転者Dの視界Z内に入るように配置される(図2参照)。
【0021】
而して,運転者Dは,小型電動車両Vの運転中,左右の前輪2f,2fと共に転向する可動フェンダ35,35を目視することにより,道路上の前輪2f,2fの位置及び向きを的確に確認することができ,したがって悪路や狭い曲がり角での操縦を容易に行うことができる。
【0022】
しかも可動フェンダ35,35は,前輪2f,2fの直上を覆うだけの比較的小面積のもので足りるので,従来の小型電動車両の車体と一体の固定式フロントフェンダのように,転向する前輪を広範囲で覆うべく形成したものに比し,車体幅の縮小に寄与することができ,歩道での走行中,歩行者に威圧感を与えずに済む。
【0023】
また各可動フェンダ35の取り付けは,その内側壁部35bの第1及び第2取り付け部37を,前輪2fを軸支するナックル26のブラケット38,38及びナックルアーム26aにボルト止めすることにより簡単に行うことができると共に,可動フェンダ35,35の前輪2f,2fとの同時転向を確実にすることができる。
【0024】
さらに各可動フェンダ35は,単体でナックル26に脱着が可能であるので,その損傷時には,可動フェンダ35のみを他の部材に関係なく新規部品と交換することができて,メンテナンスコストの低減を図ることができる。
【0025】
可動フェンダ35のナックル26への取り付け構造について更に詳しく説明する。可動フェンダ35の内側壁部35bに形成される鉛直方向の第1取り付け部36には,前輪2fの回転軸線を含む鉛直面P(図7参照)を挟むように配置される前後一対の第1取り付け孔36a,36aが設けられ,また同内側壁部35bの下端部に形成される水平方向の第2取り付け部37には第2取り付け孔37aが設けられる。
【0026】
こうして可動フェンダ35の第1取り付け部36は,前輪2fの回転軸線を含む鉛直面Pを挟むように配置される前後二箇所でナックル26に支持されるので,第2取り付け部37の支持と相俟って,可動フェンダ35全体を強固にナックル26に支持させることができる。しかも第1及び第2取り付け部36a,37aは,互いに直角をなしているので,可動フェンダ35の支持剛性が高く,可動フェンダ35の取り付け姿勢を安定化と振動防止に寄与し得る。
【0027】
図1,図4〜図6において,車体フレーム1の前部の左右両側には,同側のフロントダンパ22を囲みながら同側の前輪2f,2fの上方まで張り出す左右一対のガード部材32,32が配設される。各ガード部材32は,パイプ材をループ状に曲げてなるもので,前後方向に延びる直線状のグリップ部32gと,このグリップ部32gの両端から下方へ屈曲して延びる前後一対の脚部32a,32bとでループ状に形成されており,後側の脚部32bを前記メインフレーム10のフレーム前部10aの外側面に,また前側の脚部32aを同側の支柱17の外側面にそれぞれボルト等により固着することにより,車体フレーム1に支持される。そして両脚部32a,32bは,フロントダンパ22の前後両側を通り且つフロントカバー91,フロントサイドカバー90及びレッグシールド7と前輪2fとの間を通るよう,外端上向きに傾斜して配置され,グリップ部32gは前輪2f及び可動フェンダ35の上方位置を占めるようになっている。
【0028】
而して,左右のガード部材32,32は,落下物等の障害物がフロントカバー91及び前輪2f,2f間に侵入することを防ぎ,またその障害物から可動フェンダ35,前輪2f及びフロントダンパ22等を保護することができる。
【0029】
また各ガード部材32のグリップ部32gは,可動フェンダ35の上方に露出しているから,補助者が小型電動車両V前部の持ち上げる際には,そのグリップ部32gをフロントカバー91等に邪魔されることなく容易に把持することができて,持ち上げ作業性が向上する。またそのグリップ部32gは,可動フェンダ35の上方に配置されるので,前輪2fの飛散泥水を可動フェンダ35が受け止めることで,グリップ部32gの泥水による汚れを回避することができ,したがって上記補助者の手を汚すこともない。こうして,小型電動車両V前部の持ち上げ時の補助者の負担は軽減される。
【0030】
さらにガード部材32の両脚部32a,32bは,車体フレーム1に固着されるので,ガード部材32の支持強度が高く,持ち上げ荷重に充分に耐えることができる。
【0031】
図3,図8及び図9において,メインフレーム10の後部に後部懸架装置51を介してパワーユニット5が懸架され,このパワーユニット5に左右一対の後輪2r,2rが支持される。パワーユニット5のケーシング52は,リダクションケース52aと,このリダクションケース52aの下部の左右両側壁に一体的に突設される左右一対のアクスルケース52b,52bとからなっており,リダクションケース52aの上部一側に,前記バッテリ19を電源とする電動モータ53が取り付けられ,この電動モータ53の出力軸53aは,その先端部に形成されるピニオンギヤ54がリダクションケース52a内に突入するように配置される。
【0032】
リダクションケース52a内には,差動装置55のデフケース56が左右のアクスルケース52b,52bと同軸上に配置され,その左右両端部がボールベアリング57,57を介してリダクションケース52aに回転自在に支承される。このデフケース56には大径のファイナルギヤ58がスプライン結合される。またリダクションケース52a内では中間伝動軸59が出力軸53aとアクスルケース52b,52bとの中間部に配置され,その左右両端部がリダクションケース52aに回転自在に支承される。この中間伝動軸59には,前記ピニオンギヤ54に噛合する大径ギヤ60と,前記ファイナルギヤ58に噛合する小径ギヤ61とが固設されている。而して,上記ピニオンギヤ54,大径ギヤ60,小径ギヤ61及びファイナルギヤ58は,電動モータ53の出力軸53aの回転をデフケース56に一定の減速比をもって伝達する減速装置62を構成するもので,この減速装置62の上方に電動モータ53は配置される。
【0033】
デフケース56の両端部の内周面により,左右のアクスルケース52b,52bを貫通する左右の後車軸63,63がそれぞれ相対回転自在に支承され,これら後車軸63,63の,デフケース56内に突入した内端部にサイドギヤ64,64がそれぞれスプライン結合される。またデフケース56には,その回転軸線と直交すピニオン軸65が取り付けられ,上記両サイドギヤ64,64に噛合する一対のピニオンギヤ66,66がこのピニオン軸65に回転自在に支承される。而して,上記デフケース56,ピニオンギヤ66,66及びサイドギヤ64,64は,ファイナルギヤ58の回転を左右の後車軸63,63に分配する差動装置55を構成する。
【0034】
左右の後車軸63,63は,左右のアクスルケース52b,52bの外端部にボールベアリング67,67を介して支承される。左右のアクスルケース52b,52bの各外端から突出した左右の後車軸63,63の先端部に左右の後輪2r,2rが一体的に取り付けられる。したがって,後輪2r,2rは,後車軸63,63を介してアクスルケース52b,52bに支持されることになる。
【0035】
後部懸架装置51は,左右一対のリアサスペンションアーム70,70と,左右一対の伸縮型リアダンパ71,71とで構成される。各リアサスペンションアーム70は,その前端のボス部70aが,前記フレーム中間部10bの後端部のブラケット69に固着されて左右方向に延びる枢軸72に前部弾性ブッシュ73を介して支持され,上記枢軸72周りに上下揺動し得るようになっている。
【0036】
各リアサスペンションアーム70の後端部には前後一対の支持台75,75が溶接により固設されており,これら支持台75,75の上方に配置される前後一対の支持腕76,76′が同側のアクスルケース52bの前後両面に一体に突設される。これら支持腕76,76′には軸線を上下に向ける後部弾性ブッシュ77,77が次のように設けられる。
【0037】
即ち,各後部弾性ブッシュ77は,その内外周面に互いに同心に配置される外筒78及び内筒79が焼き付けられており,前後の後部弾性ブッシュ77,77の外筒78,78が支持腕76,76′にそれぞれ圧入される。そして前後の後部弾性ブッシュ77,77の内筒79,79が,これらを貫通するボルト80,80を介して前記支持台75,75及び押え板83間に挟持されて固着されるのである。
【0038】
以上において,各前部弾性ブッシュ73は,上下方向の弾性率が前後方向の弾性率より小さくなるように形成される。また各後部弾性ブッシュ77は,左右方向の弾性率が前後方向の弾性率より小さくなるように形成される。
【0039】
前側の各支持腕76には上方に起立するブラケット81が固着され,このブラケット81と前記フレーム後部10cの上端部とにリアダンパ71の両端部が連結される。
【0040】
而して,パワーユニット5の出力による後輪2r,2rの駆動時,ケーシング52に作用する反力トルクは,アクスルケース52bの支持腕76,76′から前後一対の後部弾性ブッシュ77,77,ボルト80,80及び支持台75,75を介してリアサスペンションアーム70に伝達して受け止められる。その間,前後の後部弾性ブッシュ77,77の弾性変形により反力トルクの衝撃が適度に緩和されるのであるが,後部弾性ブッシュ77,77が後車軸63を挟んで前後に配置されていて,反力トルクに対する抗力を充分に発揮し得ること,並びにこれら後部弾性ブッシュ77の前後方向の弾性率が比較的大きく設定されることにより,パワーユニット5の支持剛性を高めることができ,したがって上記反力トルクによるパワーユニット5全体の過度の揺動を抑え,後輪2r,2rへの動力伝達を的確に行うことができる。
【0041】
またアクスルケース52b,52bの前側の左右の支持腕部76,76に連結された一対のリアダンパ71,71も,パワーユニット5の反力トルクに対抗するように働くので,パワーユニット5の支持剛性の強化に寄与することになる。
【0042】
小型電動車両Vの走行中,路面から左右の後輪2r,2rに異なる衝撃力が加わったときには,前部弾性ブッシュ73及び後部弾性ブッシュ77,77の弾性変形により,アクスルケース52b,52bは,路面からの衝撃力の大きい側を上向きにするように比較的容易に傾くことになり,それに応じて左右のリアサスペンションアーム70,70を相対的に上下揺動させることで,左右の後輪2r,2rの個別の昇降が可能となって,各後輪2rの接地性を高めることができ,乗り心地の向上に寄与し得る。特に,各後部弾性ブッシュ77の左右方向の弾性率を比較的小さく設定することは,左右のリアサスペンションアーム70,70の相対揺動を促進させて,各後輪2rの接地性の更なる向上を図る上に有効である。
【0043】
また旋回走行時,後輪2r,2rが横荷重を受けても,前後一対,左右二組の後部弾性ブッシュ77,77;77,77が互いに協働して充分な抗力を発揮し得るので,後輪2r,2rの横方向支持剛性を高め,後輪2r,2rの姿勢安定化を図ることができる。
【0044】
このような後部懸架装置51は,構造が簡単で組立てが容易であるので,安価に提供することができる。
【0045】
図1,図3〜図5において,前記シート6直下の車体フレーム1,即ちフレーム後部10cの上端部には,斜め下向きに突出する左右一対の第4ブラケット85,85が溶接され,これら第4ブラケット85,85に,パワーユニット5の電動モータ53を囲むようにコ字状をなしたリアバンパ86の両端部がボルト87により着脱可能に固着される。即ちリアバンパ86は,第4ブラケット85,85から電動モータ53の左右両側面に対向するように斜め後方に延びる左右一対の側面ガード部86a,86aと,これら側面ガード部86a,86aの後端部間を一体に連結して前記電動モータ53の後面に対向する後面ガード部86bとで構成される。
【0046】
こうしてリアバンパ86は,後輪2r,2rの懸架と関係なく車体フレーム1に固着されることになり,したがってこのリアバンパ86が障害物の衝突により変形しても,後輪2r,2rのアライメントに狂いが生じることを回避することができる。しかもリアバンパ86は,その左右一対の側面ガード部86a,86aと後面ガード部86bとにより電動モータ53を,その左右側方及び後方から接近する障害物から保護することができる。
【0047】
またリアバンパ86は,その後面ガード部86bを,車体持ち上げ用グリップとして使用可能であり,補助者による車体後部の持ち上げ性が良好であり,さらに小型電動車両Vの運搬車両への搭載時,後面ガード部86bは,小型電動車両Vを荷台に保持するための保持具の係止部としても使用でき,利便性が高い。
【0048】
しかも,リアバンパ86を車体フレーム1から取り外して,パワーユニット5のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0049】
図3〜図5において,フレーム後部10c,10cの上端部間を連結する前記シートレール16の中間には,後方に突出する左右一対の第5ブラケット105,105が溶接されており,これら第5ブラケット105,105には,パワーユニット5上を後輪2r,2rの後方まで略水平に延びる左右のキャリア部材106,106がボルト104,104により着脱可能に固着される。これらキャリア部材106,106は,その後端から下方前向きに鋭角で屈曲する支持脚106a,106aを一体に備えており,各支持脚106aの下端部に溶接された取り付け片107が,前記リアバンパ86の後面ガード部86bの中間部に,それを貫通するボルト108により着脱可能に固着される。左右のキャリア部材106,106は,例えばそれらの上面に荷籠109を取り付けて使用される。この場合,荷籠109は左右のキャリア部材106,106間を連結して,それらの補強部材の役割を果たす。
【0050】
こうして,キャリア部材106,106は,パワーユニット5の上方空間を利用して配設することができ,またキャリア部材106,106を,支持脚106a,106aを介してリアバンパ86に強固に支持することができる。
【0051】
再び図1〜図3において,左右の前記支柱17,17には,これら支柱の左右両側面を覆うフロントサイドカバー90,90と,支柱17,17及びハンドルコラム28の前面を覆うと共に両フロントサイドカバー90,90間を連結するフロントカバー91と,支柱17,17及びハンドルコラム28の後面を覆うと共に両フロントサイドカバー90,90間を連結するレッグシールド7とがボルト(図示せず)により取り外し可能に固着される。こうして,レッグシールド7は,ハンドルコラム28の左右外側方に張り出して,前記シート6に座る運転者Dの両脚を前方から覆うに配置される。このレッグシールド7の横幅は,前記フロアパネル13と同様に,歩道ですれ違う歩行者に威圧感を極力与えないように,横幅が左右の可動フェンダ35,35の内側縁間距離より短く設定され,このレッグシールド7の下端には,それより幅広で左右の可動フェンダ35,35の後部及びその間を覆う後ろ下がりに傾斜した補助カバー92が一体に連設され,この補助カバー92の後端はフロアパネル13にボルト結合される。この補助カバー92の,左右の可動フェンダ35の後部を覆う両端部92a,92aは,可動フェンダ35の半径方向外方に膨出し且つ可動フェンダ35の外周に沿って円弧状に形成される。フロアパネル13の上面には,補助カバー92の結合部を覆うようにしてフロアマット14が敷詰められる。これらフロアパネル13及びフロアマット14により,運転者Dの足置き部,即ちステップフロア15が構成される。
【0052】
而して,上記補助カバー92は,レッグシールド7及びステップフロア15間に亙って左右の可動フェンダ35,35の後部及びその間を覆うようにレッグシールド7より横幅が広くなっているから,可動フェンダ35,35から漏れて後方へ飛散する泥水等を補助カバー92で受け止めることができる。
【0053】
しかも補助カバー92は,レッグシールド7の下部に連設されるので,その横幅がレッグシールド7より広くなっていても,歩行者に威圧感を及ぼすことがない。
【0054】
さらに補助カバー92の,左右の可動フェンダ35の後部を覆う両端部92a,92aは,可動フェンダ35の半径方向外方に膨出し且つ可動フェンダ35の外周に沿って円弧状に形成されるので,可動フェンダ35,35と補助カバー92との間の間隙を充分確保して,前輪2f,2fの転向時,可動フェンダ35,35と補助カバー92との干渉を回避することができる。
【0055】
さらにまた補助カバー92は,レッグシールド7及びステップフロア15間に配設されること,その横幅がレッグシールド7より広いこと,並びに後ろ下がりに傾斜していることから,この補助カバー92を,運転者Dが足を突っ張り状態で載せ得る補助ステップとしても利用することができ,居住性の向上に寄与し得る。
【0056】
フロントカバー91の下部には左右一対のヘッドライト93,93が取り付けられ,左右のフロントサイドカバー90,90の上部にはフロントフロントウインカ94,94が取り付けられる。またメインフレーム10の後部には,パワーユニット5及び左右の後輪2r,2rを覆うリアカバー95が固着され,このリアカバー95の後面にテイルライト96が取り付けられる。
【0057】
運転者用のシート6は,シートレール16に支持されるシートクッション6aと,このシートクッション6aの後端部から起立するシートバック6bとで構成される。シートバック6bは,その左右両側面に支持板97,97を一体に備えており,これら支持板97,97に左右一対のアームレスト98,98が,水平の使用位置と上方に起立した退去位置との間を回動し得るように軸支される。これらアームレスト98,98より上方の支持板97,97の上部にリアントウインカ95,95が取り付けられる。
【0058】
また図1及び図3に明示するように,メインフレーム10のフレーム中間部10b及びフレーム後部10cには,それらを覆うL字状のリアサイドカバー100が取り付けられる。このリアサイドカバー100,フロントサイドカバー90及び支持板97は,小型電動車両Vの車体の平坦な側面を代表するもので,これらの外面にその略全域に亙り反射体101もしくは発光体が付設される。反射体101にはメタリック塗膜,淡色系のグレー塗膜,反射鏡等が適当であり,メタリック塗膜,特にシルバーメタリック塗膜を採用する場合は,塗装により反射体101を簡単に構成することができ,しかも照射光に対する反射性が比較的高いので,視認性が良好である。
【0059】
また発光体には,蓄光性材料もしくは蛍光性材料が適当であり,これを採用する場合には,他車のヘッドライト等の照射光を受けると,積極的に発光するので,視認性が高い。
【0060】
また前輪2f,2f及び後輪2r,2rの外側面にも上記と同様の反射体102もしくは発光体が付設される。
【0061】
而して,夜間,小型電動車両Vによる車道の横断中,その車体側面に他車のヘッドライトが照射されると,上記反射体101,102の反射光もしくは発光体の発光によりリアサイドカバー100,フロントサイドカバー90及び支持板97,並びに前輪2f及び後輪2rが浮かび上がるので,小型電動車両Vの略全体を他車のドライバに容易に認識させることができ,夜間における小型電動車両Vの良好な側方視認性を得ることができる。
【0062】
次に,図10〜図18を参照しながら,この小型電動車両Vの,前記操向ハンドル3を含む操縦装置について説明する。
【0063】
図10〜図13において,前記ステアリング軸29の上端にはハンドルベース板110が固着されており,このハンドルベース板110の後端部に立設されるステー111に操向ハンドル3が溶接等により固着される。
【0064】
操向ハンドル3はパイプ材をループ型に曲げて構成されるもので,各屈曲部を外方に向けた左右一対のU字状部3A,3Aと,これらU字状部3A,3Aの一端部間を一体に連結すると共に前記ステー111に固着される連結部3Bとよりなっており,左右のU字状部3A,3Aの他端部は相互に離間,対向する自由端部3e,3eとされる。そして,この操向ハンドル3は,自由端部3e,3e側が車両前方を向くと共に,連結部3B側が車両後方を向くように配置され,左右のU字状部3A,3Aの,連結部3B側の直線部に運転者Dが把持する左右一対のグリップ3g,3gが形成される。左右の自由端部3e,3e相互の間隔は,左右のグリップ3g,3gの内端相互の間隔に略等しく設定される。
【0065】
またハンドルベース板110上に回動板112が設置される。この回動板112とハンドルベース板110との関係については後述する。
【0066】
図12〜図17に示すように,回動板112には,左右一対の軸受台113,113が固着され,これら軸受台113,113によってアクセルレバー114の軸部114aが回転自在に且つグリップ3g,3gと平行に支承される。アクセルレバー114は,上記軸部114aの,軸受台113,113外側方へ突出する両端部に操作部114b,114bをクランク状に連設して構成され,操作部114b,114bは,運転者Dがグリップ3g,3gを把持する手Hの指でグリップ3g,3g寄りに押し下げ操作されるもので,操作部114b,114bを押し下げるとき軸部114aを加速方向Aへ回転させ,押し上げ力を解除すると,軸部114aは減速方向Rへ回転するようになっている。図16に明示するように,軸部114aの中間には,その半径方向に突出する可動ストッパ部材115が固着され,これに対応する固定ストッパ部材116が回動板112に固着され,この固定ストッパ部材116の第1ストッパ面116aに可動ストッパ部材115が当接することにより,軸部114aの減速方向Rの回転限界,即ちアクセルレバー114の無負荷位置Nが規制され,固定ストッパ部材116の第2ストッパ面116bに可動ストッパ部材115が当接することにより,軸部114aの加速方向Aの回転限界,即ちアクセルレバー114の全負荷位置Fが規制されるようになっている。
【0067】
この軸部114aの加速方向Aへの回転角度を検出するアクセルセンサ117の一対の取り付けフランジ117a,117aが回動板112の上面に立設される支柱119にビス118,118で固定される。アクセルセンサ117は,例えばポテンショメータで構成される。このアクセルセンサ117の入力軸117bに連動機構120を介して前記アクセルレバー114が連結される。
【0068】
この連動機構120は,アクセルレバー114の軸部114a中間に固着されてその半径方向に延びる駆動アーム121と,アクセルセンサ117の入力軸117bに固着されてその半径方向に延びる従動アーム122とを備えており,駆動アーム121の先端部側面に突設される連動ピン123が,従動アーム122に形成される長孔124に摺動可能に係合され,軸部が駆動アーム121に与える回転を,連動ピン123を介して従動アーム122から入力軸117bに伝達し得るようになっている。そして軸部114aを減速方向Rに向かって所定のセット荷重で付勢する,引っ張りコイルばねよりなる第1戻しばね125が,駆動アーム121と,回動板112に設けられるばね係止部126との間に縮設される。
【0069】
上記駆動アーム121及び第1戻しばね125は,該ばね125の引っ張り力作用線Lと駆動アーム121の回動中心との間の距離S1が,駆動アーム121を加速方向Aに回動するのに応じて短縮されるように配置される。したがって,アクセルレバー114を無負荷位置Nから加速方向Aに回動すると,第1戻しばね125のばね力は増加するものゝ,そのばね力が駆動アーム121に与える戻しモーメントは減少することになる(図19の線a参照)。
【0070】
また前記入力軸117bには,従動アーム122を回動付勢する,捩じりコイルばねよりなる第2戻しばね127が装着され,この第2戻しばね127のばね力の,従動アーム122に対する作用方向は,第1戻しばね125のばね力が連動ピン123を介して従動アーム122に作用する方向と同方向である。
【0071】
ところで,駆動アーム121及び従動アーム122は,駆動アーム121の連動ピン123の中心と従動アーム122の回動中心との間の距離S2が,駆動アーム121をアクセルレバー114の無負荷位置Nから所定の中間作動位置(駆動アーム121の回動中心,連動ピン123の中心及び従動アーム122の回動中心が一直線上に並ぶとき)まで回動する間では次第に減少し,駆動アーム121をアクセルレバー114の上記中間作動位置から全負荷位置Fまで回動する間では次第に増加するように配置される。
【0072】
前記距離S2は,従動アーム122の有効長に相当するものであり,この有効長さS2が上記のように変化するのに対して,連動ピン123を一体に備える駆動アーム121の有効長,即ち駆動アーム121の回動中心及び連動ピン123の中心間の距離は変化しないから,従動アーム122の有効長S2が減少するときは,第2戻しばね127のばね力が従動アーム122を介して駆動アーム121に与える戻しトルクが増加し,反対に従動アーム122の有効長S2が増加するときは,第2戻しばね127のばね力が従動アーム122を介して駆動アーム121に与える戻しトルクが減少することになる。
【0073】
したがって,アクセルレバー114を無負荷位置Nから全負荷位置Fまで回動するとき,第2戻しばね127のばね力が従動アーム122及び連動ピン123を介して駆動アーム121に与える戻しモーメントは,図19の線bに示すように,回動前半で増加傾向となり,回動後半では減少傾向となる。
【0074】
而して,アクセルレバー114には,第1及び第2戻しばね125,127のばね力による戻しトルクが同時に作用するので,アクセルレバー114の操作荷重は,図19の線cに示すように,アクセルレバー114を無負荷位置Nから全負荷位置Fまで回動する間,その回動前半で増加傾向を示し,回動後半で減少傾向を示す。即ち,アクセルレバー114の所定の中間作動位置で操作荷重のピーク値が現れることになる。このようなアクセルレバー114の操作荷重特性は,運転者にアクセル操作の軽快感を与え,特に使用時間が長い全負荷位置Fでのアクセルレバー114の保持を容易に行うことができ,運転者の疲労軽減に寄与することができる。
【0075】
アクセルセンサ117は,連動機構120を介してアクセルレバー114の無負荷位置Nからの回動角度を検出すると,それに応じた信号を図示しない電子制御ユニットに出力する。すると,その信号に応じて電子制御ユニットは前記電動モータ53の出力を制御する。具体的には,アクセルレバー114が無負荷位置Nに保持されるときは,前記電動モータ53に設けられる電磁ブレーキ(図示せず)を作動状態にして小型電動車両Vの停車状態を保持し,アクセルレバー114が無負荷位置Nから加速方向Aに回動されると,上記電磁ブレーキが不作動状態にされると共に,電動モータ53の出力が増大して,小型電動車両Vを発進,加速させることができる。
【0076】
また走行中,アクセルレバー114を解放すると,該レバー114は,第1及び第2戻しばね125,127の付勢力により無負荷位置Nに戻され,それに伴ない前記電動モータ53では回生ブレーキ力を発生して小型電動車両Vを減速させ,所定車速以下となると前記電磁ブレーキが作動するようになっている。このように,第1及び第2戻しばね125,127の使用によれば,万一,一方の戻しばね125又は127が破損した場合でも,正常な他方の戻しばねにより,アクセルレバー114を無負荷位置Nまで確実に戻すことができる。
【0077】
アクセルレバー114は,その左右両端部に,左右のグリップ3g,3gの前方に配置される一対の操作部114b,114bを備えているので,運転者Dは,左右何れか一方の手でも,また両方の手でもアクセル操作が可能であり,特に両手による場合には,片手が負担する操作荷重は半減するので,アクセル操作を軽快に行うことができ,操作性が良好である。
【0078】
さて,図13及び図18を参照しながら,回動板112とハンドルベース板110との関係について説明する。
【0079】
回動板112は,後端部に左右一対の耳部112a,112a′を起立させており,これら耳部112a,112a′に,それらを貫通するグリップ3g,3gと平行に延びる支持筒130が固着される。この支持筒130は,ハンドルベース板110の左右両側端から起立する一対の側壁110a,110a間に挟まれると共に,これら側壁110a,110aにグリップ3g,3gと平行に延びる枢軸131により回動可能に連結される。而して,回動板112は,下方の非作動位置U(図13)と,上方のブレーキ作動位置B(図18)との間を枢軸131周り回動し得るもので,その非作動位置Uは回動板112の下面から突出した突起129がハンドルベース板110の上面に当接することにより規制され,ブレーキ作動位置Bは,前記アクセルレバー114の軸部114aが左右の側壁110a,110aに形成されるストッパ部135,135に当接することにより規制されるようになっており,この回動板112を非作動位置Uに向かって所定のセット荷重で付勢する第3戻しばね132が一方の耳部112a′とハンドルベース板110上のばね係止部133との間に張設される。第3戻しばね132のセット荷重は,第1戻しばね125のそれよりも大きく設定されていて,通常,ハンドルベース板110を前記非作動位置Uに保持している。したがって,運転者Dがアクセルレバー114の操作部114b,114bに与えるアクセル操作によっては回動しない。
【0080】
回動板112には,前記電磁ブレーキを作動し得るブレーキスイッチ134が取り付けられ,このブレーキスイッチ134は,その作動片134aをハンドルベース板110の上面に当接させるように配置される。このブレーキスイッチ134は,回動板112が非作動位置Uに保持されるときは,作動片134aがハンドルベース板110により押圧されることでオフ状態となって,前記電磁ブレーキを不作動状態に保ち,また回動板112が非作動位置Uからブレーキ作動位置Bに向かって回動されると,作動片134aがスイッチ本体から離れることでオン状態となって,前記電磁ブレーキを作動状態にすると同時に,電動モータ53を回生ブレーキ状態にするようになっている。
【0081】
したがって,緊急ブレーキが必要な場合には,アクセルレバー114の操作部114b,114bをグリップ3g,3gと共に強く把持して,アクセルレバー114をグリップ3g,3g側に強く引き寄せれば,図18に示すように,アクセルレバー114に対する強い引き寄せ力が軸受台113,113を介して回動板112に伝達し,第3戻しばね132のセット荷重に抗して回動板112をブレーキ作動位置B側に直ちに回動させるので,ブレーキスイッチ134がオン状態となって前記電磁ブレーキを作動させると共に,電動モータ53を回生ブレーキ状態にし,小型電動車両Vを急停車させることができる。
【0082】
その際,回動板112が枢軸131周りに回動することは,アクセルレバー114の操作部114b,114bのグリップ3g,3g側への引き寄せ方向の個人差によるばらつきに関係なく,常に回動板112のスムーズな回動を得る上に有効であり,しかも回動板112のスムーズな回動を確保するための特別な保守点検も不要である。
【0083】
またアクセルレバー114の操作部114b,114bをグリップ3g,3g側に引き寄せる緊急ブレーキ操作は,通常,該操作部114b,114bに与える下向きのアクセル操作とは,操作方向が異なるので,上記緊急ブレーキ操作により,回動板112を確実に回動することができる。
【0084】
またアクセルレバー114が,可動ストッパ部材115を固定ストッパ部材116の第2ストッパ面116bに当接させる全負荷位置Fに来ているときに,上記の緊急ブレーキ操作が行われても,その操作力は,上記両ストッパ部材115,116を介して回動板112を即座に回動することができ,操作力に無駄が無い。
【0085】
しかもアクセル操作の場合と同様に,運転者は,左右何れの手でも,両方の手でも,緊急ブレーキ操作を行うことができるので,操作性が良好である。
【0086】
図10及び図11に示すように,左右のグリップ3g,3gの後面には,該グリップ3g,3gを把持する運転者Dの手の親指Haの根元が嵌まる窪み136,136が形成される。こうすることで,左右のグリップ3g,3gとアクセルレバー114の左右の操作部114b,114bとの間に,物の挟まりを防ぐ充分な間隔を確保しながらも,運転者Dがグリップ3g,3gを把持する手Hの親指Haの根元を前記窪み136に収めることで,指全体をアクセルレバー114に極力近接させることができ,比較的手が小さい運転者でも,操作部114bに容易に操作力を加えることができ,操作性が良好となる。
【0087】
上記のように,左右それぞれのグリップ3g,3g及びアクセルレバー114間に,物の挟まりを防ぐ充分な間隔を確保するということは,例えば,図10に示すように,左手は左側のグリップ3gを把持したまゝにして,右手でアクセルレバー114の右側の操作部114bを手前に引く加速操作をした場合に,左側の操作部114bが,左側のグリップを把持したまゝの左手に向かってきても,その左手に圧迫感を与えない,という効果をもたらす。このような効果は,片手で一方の操作部114bをグリップ3g側に強く引き寄せる,前述の緊急ブレーキ操作時にも同様にもたらされる。
【0088】
しかも,アクセルレバー114の両操作部114b,114bは,ループ型操向ハンドル3のループ内に配置されるので,上記操作部114b,114bに対して前方や側方から近接する障害物を操向ハンドル3で阻止して,操作部114b,114bを保護することができる。
【0089】
また前記操向ハンドル3を支持するステー111には,後方へ突出する左右一対のブラケット111a,111aが形成され,これらブラケット111a,111aとハンドルベース板110に,操向ハンドル3のループ内に配置される制御ボックス139が取り付けられる。この制御ボックス139は,アクセルレバー114の軸部114a,操向ハンドル3の連結部3Bの他,アクセルレバー114により作動される制御装置,即ち連動機構120,アクセルセンサ117,回動板112,緊急ブレーキスイッチ134等を収容するように構成される。
【0090】
この制御ボックス139の上面には,前部にバッテリ残量等を表示するディスプレイ140が,また中間部に制限車速設定ダイヤル141,前後進切換スイッチ142,ホーンスイッチ143が,後部に電源スイッチ144,左右のウインカスイッチ145,145が設置される。
【0091】
而して,ループ型の操向ハンドル3は,自由端部3e,3e側が車両前方を向くと共に連結部3B側が車両後方を向くように配置され,左右のU字状部3A,3Aの,連結部3B側の直線部にグリップ3g,3gが形成されるので,運転者Dは,グリップ3g,3gを把持した状態で,互いに離間する自由端部3e,3e間のスペースを通して車体直前の路面状態を容易に確認でき,運転者Dの視野が広がることになる。
【0092】
また操向ハンドル3のループ内スペースを利用して配設される制御ボックス139の大部分は,グリップ3g,3gの前方位置を占めることになるので,制御ボックス139の視認性も良好であると共に,制御ボックス139上のスイッチ類を容易に操作することができる。しかも制御ボックス139は,アクセルレバー114により作動される制御部,即ち連動機構120,アクセルセンサ117,回動板112,緊急ブレーキスイッチ134等を覆うので,外観を良好にすることができる。
【0093】
同じく図10及び図11に示すように,操向ハンドル3において,左右のU字状部3A,3Aの互いに離間した自由端部3e,3eには,円筒状のミラーホルダ147,147が嵌合して固着され,各ミラーホルダ147には,バックミラー148の支持ステー149を取り付けられる。
【0094】
このように,左右のU字状部3A,3Aの自由端部3e,3eを利用することで,円筒状のミラーホルダ147,147を容易に取り付けることができると共に,良好な外観を得ることができる。しかもこれらミラーホルダ147,147に支持されるバックミラーは,グリップ3g,3gから前方に離れて配置されることになるから,運転者Dからも前方に離れることになり,運転者は,視線を大きくずらすことなく,バックミラー148を容易に見ることができ,バックミラー148に対する視認性が向上して後方視野を広げることができる。
【0095】
図10に示すように,一方のミラーホルダ147,147には,パーキングブレーキレバー150が取り付けられ,そのブレーキ操作によれば,減速装置62に設けられるドラムブレーキ151(図8参照)が作動するようになっている。
【0096】
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,後輪2rを単輪にして小型電動車両Vを三輪車に構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施例に係る小型電動車両の斜視図である。
【図2】同小型電動車両の正面図である。
【図3】同小型電動車両の側面図。
【図4】同小型電動車両の車体フレームを示す側面図である。
【図5】同車体フレームを示す平面図。
【図6】図3の6−6線断面図。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】図3の8−8線断面図である。
【図9】図8の9−9線断面図である。
【図10】操向ハンドル部を示す平面図(図3の10矢視拡大図)である。
【図11】制御ボックスを外した状態で操向ハンドル部を示す,図10との対応図である。
【図12】図11の要部を示す拡大図である。
【図13】図12の13−13線断面図である。
【図14】図12の14−14線断面図である。
【図15】図12の15−15線断面図である。
【図16】図12の16−16線断面図である。
【図17】図12の17−17線断面図である。
【図18】緊急ブレーキ操作時の作用を示す,図13との対応図である。
【図19】アクセルレバーの操作荷重特性線図である。
【符号の説明】
【0098】
V・・・・・小型電動車両
D・・・・・運転者
H・・・・・運転者の手
Ha・・・・親指
3・・・・・操向ハンドル
3A・・・・U字状部
3B・・・・連結部
3e・・・・自由端部
6・・・・・シート
28・・・・ハンドルコラム
29・・・・ステアリング軸
53・・・・電動モータ
114・・・アクセルレバー
114a・・軸部
114b・・操作部
【技術分野】
【0001】
本発明は,電動車椅子のように,歩道を走行できて高齢者等による利用に好適な小型電動車両に関し,特に,乗車用シートの前方に配設されるハンドルコラムに回転自在に支承されるステアリング軸の上端に,左右一対のグリップを有する操向ハンドルを結合し,この操向ハンドルと一体となって回動する支持体に,車両駆動用の電動モータの出力を制御するアクセルレバーを取り付け,このアクセルレバーには,前記左右のグリップの前方にそれぞれ配置され,運転者が左右のグリップを把持した左右何れの手でも操作可能な左右一対の操作部を設けた,小型電動車両の操縦装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝる小型電動車両の操縦装置は,特許文献1に開示されるように,既に知られている。
【特許文献1】特開平9−150783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かゝる小型電動車両の操縦装置では,運転者が左右のグリップを把持した左右何れの手でも,また両方の手でもアクセル操作が可能であって便利である。ところで,アクセルレバーの左右の操作部は,互いに連動していて,一方の操作部を操作すると,同時に他方の操作部も動くことになるため,例えば左手は左側のグリップを把持したまゝにして,右手で右側の操作部を手前に引く加速操作をした場合には,左側の操作部が,左側のグリップを把持したまゝの左手に迫ってきて圧迫感を与えることが考えられる。そこで,両グリップとアクセルレバーの両操作部との間の間隔を大きく設定して,上記のような圧迫感をなくすることも考えられるが,単にそうしたものでは,比較的手が小さい運転者に対しては,操作部の操作性を低下させることになる。
【0004】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,両グリップとアクセルレバーの両操作部との間の間隔を充分に確保しながら,操作部の操作性を良好にし得る,前記小型電動車両の操縦装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために,本発明は,乗車用シートの前方に配設されるハンドルコラムに回転自在に支承されるステアリング軸の上端に,左右一対のグリップを有する操向ハンドルを結合し,この操向ハンドルと一体となって回動する支持体に,車両駆動用の電動モータの出力を制御するアクセルレバーを取り付け,このアクセルレバーには,前記左右のグリップの前方にそれぞれ配置され,運転者が左右のグリップを把持した左右何れの手でも操作可能な左右一対の操作部を設けた,小型電動車両の操縦装置において,前記左右のグリップの後面に,それを把持する運転者の手の親指の根元が嵌まる窪みを形成したことを第1の特徴とする。
【0006】
尚,前記支持体は,後述する本発明の実施例中の回動板112に対応する。
【0007】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記操向ハンドルを,左右一対のU字状部の一端部相互を連結部を介して一体に連結すると共に,他端部を相互に離間した自由端部としてなるループ型に構成し,この操向ハンドルのループ内に前記操作部を配置したことを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の特徴によれば,左右のグリップとアクセルレバーの左右の操作部との間に,物の挟まりを防ぐ充分な間隔を確保しながらも,運転者がグリップを把持する手の親指の根元を前記窪みに収めることで,指全体をアクセルレバーに極力近接させることができ,比較的手が小さい運転者でも,操作部に容易に操作力を加えることができ,操作性が良好となる。
【0009】
本発明の第2の特徴によれば,アクセルレバーの操作部に対して前方や側方から近接する障害物を操向ハンドルで阻止して,上記操作部を保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態を,図面に示す本発明の好適な実施例に基づき以下に説明する。
【0011】
図1は本発明の実施例に係る小型電動車両の斜視図,図2は同小型電動車両の正面図,図3は同小型電動車両の側面図,図4は同小型電動車両の車体フレームを示す側面図,図5は同車体フレームを示す平面図,図6は図3の6−6線断面図,図7は図6の7−7線断面図,図8は図3の8−8線断面図,図9は図8の9−9線断面図,図10は操向ハンドル部を示す平面図(図3の10矢視拡大図),図11は制御ボックスを外した状態で操向ハンドル部を示す,図10との対応図,図12は図11の要部を示す拡大図,図13は図12の13−13線断面図,図14は図12の14−14線断面図,図15は図12の15−15線断面図,図16は図12の16−16線断面図,図17は図12の17−17線断面図,図18は緊急ブレーキ操作時の作用を示す,図13との対応図,図19はアクセルレバーの操作荷重特性線図である。
【0012】
図1〜図5において,小型電動車両Vは,車体フレーム1,この車体フレーム1の前端部に転向可能に懸架される左右一対の前輪2f,2f,操向ハンドル3,この操向ハンドル3の動きを両前輪2f,2fに伝達するステアリング機構4,車体フレーム1の後端部に懸架されるパワーユニット5,このパワーユニット5の左右両側に配置されと共に,その出力により駆動される左右一対の後輪2r,2r,車体フレーム1に支持されてパワーユニット5の上方に配置される乗車用シート6,並びにレッグシールド7等の車体カバー類を備えており,これらについて以下に順次詳細に説明する。尚,以下の説明中,左右・前後とは,小型電動車両Vを基準にして言うものである。
【0013】
先ず,車体フレーム1は,図4及び図5に示すように,左右に離隔して配置される一対のパイプ状のメインフレーム10,10を有する。各メインフレーム10は,前端から後ろ下がりに傾斜して延びるフレーム前部10aと,このフレーム前部10aの後端から後方へ水平に延びるフレーム中間部10bと,このフレーム中間部10bの後端から後ろ上がりに傾斜して延びるフレーム後部10cとからなっており,両メインフレーム10,10のフレーム前部10a,10aは互いに平行するように配置され,フレーム中間部10b,10bは,相互の間隔を後方に向かって広げるように配置され,フレーム後部10c,10cは互いに平行に配置される。フレーム前部10a,10aには,これらを相互に連結する鋼板製のサブフレーム11が溶接され,フレーム中間部10b,10bの後端には,これらを相互に連結するパイプ状のクロスメンバ12が溶接され,さらにフレーム中間部10b,10bの上部には,これらを相互に連結する方形のフロアパネル13が溶接される。フレーム後部10c,10cの上端には,これらを相互に連結するシートレール16が溶接される。またフレーム前部10a,10aの前端部には,後方にやゝ傾いた左右一対の支柱17,17の下端部が溶接される。以上により車体フレーム1が構成される。
【0014】
シートレール16には運転者用のシート6が取り付けられる。またフレーム後部10c,10c間には,前面側からバッテリ19等の補機を収容する補機収納箱18が取り付けられる。
【0015】
図2,図3及び図6に示すように,前記サブフレーム11に左右の前輪2f,2fがそれぞれ前部懸架装置20,20を介して独立懸架される。各前部懸架装置20は,内端側を前後二股状に分岐させたA型のフロントサスペンションアーム21と伸縮型のフロントダンパ22とを備える。フロントサスペンションアーム21は,その内端の前後一対のボス部21a,21aが,前記サブフレーム11に固設されて前後方向に延びる前後一対の枢軸23,23に弾性ブッシュ24,24を介して支持され,上記枢軸23,23周りに上下揺動し得るようになっており,各フロントサスペンションアーム21と,これと同側の支柱17との間に,フロントサスペンションアーム21の上下揺動を緩衝する前記フロントダンパ22が連結される。
【0016】
フロントサスペンションアーム21の外端,即ち揺動端には,それと同側の前輪2fを回転自在に支持するアクスル25を持ったナックル26がキングピン27を介して転向可能に連結される。
【0017】
一方,サブフレーム11及び左右の支柱17,17によって支持されるハンドルコラム28は,両支柱17,17間の中央部に配設され,このハンドルコラム28の上方に配設される前記操向ハンドル3がステアリング機構4を介して左右のナックル26,26に連動連結される。
【0018】
ステアリング機構4は,ハンドルコラム28に回転可能に支承されて上端部に前記操向ハンドル3が結合されるステアリング軸29と,このステアリング軸29の下端部に一体的に形成されて該軸29の後方に延びるステアリングアーム30と,このステアリングアーム30を左右のナックル26,26のナックルアーム26a,26aに連結する左右一対のタイロッド31,31とで構成される。ナックルアーム26aは,ナックル26の下端部からキングピン27より後方に延出しており,操向ハンドル3の操舵に応じてキングピン27周りに回動し,左右の前輪2f,2fを転向させることができる。
【0019】
図1,図2,図6及び図7に示すように,各前輪2fの上方には,その前輪2fの上部の略半周面を覆う可動フェンダ35が配設され,この可動フェンダ35は,対応する前輪2fと一体となって転向し得るように対応する前記ナックル26に次のように取り付けられる。即ち,可動フェンダ35は合成樹脂製であって,前輪2fの外周面上部を覆う円弧状の周壁部35aと,前輪2fの内側面上部を覆う内側壁部35bと,前輪2fの外側面上部周縁を覆う外側壁部35cとを一体に連ねて構成され,その内側壁部35bには,その中央部に鉛直方向の第1取り付け部36が形成され,また後端部に水平方向の第2取り付け部37が形成される。一方,ナックル26には,その上端に起立する前後一対のブラケット38,38が形成され,これらブラケット38,38に第1取り付け部36がボルト39,39により締結され,またナックルアーム26aに第2取り付け部37がボルト40により締結される。上記ボルト39,40を外せば,可動フェンダ35をナックル26から取り外すことができる。
【0020】
左右の可動フェンダ35,35は,その少なくとも前端部がシート6に座った運転者Dの視界Z内に入るように配置される(図2参照)。
【0021】
而して,運転者Dは,小型電動車両Vの運転中,左右の前輪2f,2fと共に転向する可動フェンダ35,35を目視することにより,道路上の前輪2f,2fの位置及び向きを的確に確認することができ,したがって悪路や狭い曲がり角での操縦を容易に行うことができる。
【0022】
しかも可動フェンダ35,35は,前輪2f,2fの直上を覆うだけの比較的小面積のもので足りるので,従来の小型電動車両の車体と一体の固定式フロントフェンダのように,転向する前輪を広範囲で覆うべく形成したものに比し,車体幅の縮小に寄与することができ,歩道での走行中,歩行者に威圧感を与えずに済む。
【0023】
また各可動フェンダ35の取り付けは,その内側壁部35bの第1及び第2取り付け部37を,前輪2fを軸支するナックル26のブラケット38,38及びナックルアーム26aにボルト止めすることにより簡単に行うことができると共に,可動フェンダ35,35の前輪2f,2fとの同時転向を確実にすることができる。
【0024】
さらに各可動フェンダ35は,単体でナックル26に脱着が可能であるので,その損傷時には,可動フェンダ35のみを他の部材に関係なく新規部品と交換することができて,メンテナンスコストの低減を図ることができる。
【0025】
可動フェンダ35のナックル26への取り付け構造について更に詳しく説明する。可動フェンダ35の内側壁部35bに形成される鉛直方向の第1取り付け部36には,前輪2fの回転軸線を含む鉛直面P(図7参照)を挟むように配置される前後一対の第1取り付け孔36a,36aが設けられ,また同内側壁部35bの下端部に形成される水平方向の第2取り付け部37には第2取り付け孔37aが設けられる。
【0026】
こうして可動フェンダ35の第1取り付け部36は,前輪2fの回転軸線を含む鉛直面Pを挟むように配置される前後二箇所でナックル26に支持されるので,第2取り付け部37の支持と相俟って,可動フェンダ35全体を強固にナックル26に支持させることができる。しかも第1及び第2取り付け部36a,37aは,互いに直角をなしているので,可動フェンダ35の支持剛性が高く,可動フェンダ35の取り付け姿勢を安定化と振動防止に寄与し得る。
【0027】
図1,図4〜図6において,車体フレーム1の前部の左右両側には,同側のフロントダンパ22を囲みながら同側の前輪2f,2fの上方まで張り出す左右一対のガード部材32,32が配設される。各ガード部材32は,パイプ材をループ状に曲げてなるもので,前後方向に延びる直線状のグリップ部32gと,このグリップ部32gの両端から下方へ屈曲して延びる前後一対の脚部32a,32bとでループ状に形成されており,後側の脚部32bを前記メインフレーム10のフレーム前部10aの外側面に,また前側の脚部32aを同側の支柱17の外側面にそれぞれボルト等により固着することにより,車体フレーム1に支持される。そして両脚部32a,32bは,フロントダンパ22の前後両側を通り且つフロントカバー91,フロントサイドカバー90及びレッグシールド7と前輪2fとの間を通るよう,外端上向きに傾斜して配置され,グリップ部32gは前輪2f及び可動フェンダ35の上方位置を占めるようになっている。
【0028】
而して,左右のガード部材32,32は,落下物等の障害物がフロントカバー91及び前輪2f,2f間に侵入することを防ぎ,またその障害物から可動フェンダ35,前輪2f及びフロントダンパ22等を保護することができる。
【0029】
また各ガード部材32のグリップ部32gは,可動フェンダ35の上方に露出しているから,補助者が小型電動車両V前部の持ち上げる際には,そのグリップ部32gをフロントカバー91等に邪魔されることなく容易に把持することができて,持ち上げ作業性が向上する。またそのグリップ部32gは,可動フェンダ35の上方に配置されるので,前輪2fの飛散泥水を可動フェンダ35が受け止めることで,グリップ部32gの泥水による汚れを回避することができ,したがって上記補助者の手を汚すこともない。こうして,小型電動車両V前部の持ち上げ時の補助者の負担は軽減される。
【0030】
さらにガード部材32の両脚部32a,32bは,車体フレーム1に固着されるので,ガード部材32の支持強度が高く,持ち上げ荷重に充分に耐えることができる。
【0031】
図3,図8及び図9において,メインフレーム10の後部に後部懸架装置51を介してパワーユニット5が懸架され,このパワーユニット5に左右一対の後輪2r,2rが支持される。パワーユニット5のケーシング52は,リダクションケース52aと,このリダクションケース52aの下部の左右両側壁に一体的に突設される左右一対のアクスルケース52b,52bとからなっており,リダクションケース52aの上部一側に,前記バッテリ19を電源とする電動モータ53が取り付けられ,この電動モータ53の出力軸53aは,その先端部に形成されるピニオンギヤ54がリダクションケース52a内に突入するように配置される。
【0032】
リダクションケース52a内には,差動装置55のデフケース56が左右のアクスルケース52b,52bと同軸上に配置され,その左右両端部がボールベアリング57,57を介してリダクションケース52aに回転自在に支承される。このデフケース56には大径のファイナルギヤ58がスプライン結合される。またリダクションケース52a内では中間伝動軸59が出力軸53aとアクスルケース52b,52bとの中間部に配置され,その左右両端部がリダクションケース52aに回転自在に支承される。この中間伝動軸59には,前記ピニオンギヤ54に噛合する大径ギヤ60と,前記ファイナルギヤ58に噛合する小径ギヤ61とが固設されている。而して,上記ピニオンギヤ54,大径ギヤ60,小径ギヤ61及びファイナルギヤ58は,電動モータ53の出力軸53aの回転をデフケース56に一定の減速比をもって伝達する減速装置62を構成するもので,この減速装置62の上方に電動モータ53は配置される。
【0033】
デフケース56の両端部の内周面により,左右のアクスルケース52b,52bを貫通する左右の後車軸63,63がそれぞれ相対回転自在に支承され,これら後車軸63,63の,デフケース56内に突入した内端部にサイドギヤ64,64がそれぞれスプライン結合される。またデフケース56には,その回転軸線と直交すピニオン軸65が取り付けられ,上記両サイドギヤ64,64に噛合する一対のピニオンギヤ66,66がこのピニオン軸65に回転自在に支承される。而して,上記デフケース56,ピニオンギヤ66,66及びサイドギヤ64,64は,ファイナルギヤ58の回転を左右の後車軸63,63に分配する差動装置55を構成する。
【0034】
左右の後車軸63,63は,左右のアクスルケース52b,52bの外端部にボールベアリング67,67を介して支承される。左右のアクスルケース52b,52bの各外端から突出した左右の後車軸63,63の先端部に左右の後輪2r,2rが一体的に取り付けられる。したがって,後輪2r,2rは,後車軸63,63を介してアクスルケース52b,52bに支持されることになる。
【0035】
後部懸架装置51は,左右一対のリアサスペンションアーム70,70と,左右一対の伸縮型リアダンパ71,71とで構成される。各リアサスペンションアーム70は,その前端のボス部70aが,前記フレーム中間部10bの後端部のブラケット69に固着されて左右方向に延びる枢軸72に前部弾性ブッシュ73を介して支持され,上記枢軸72周りに上下揺動し得るようになっている。
【0036】
各リアサスペンションアーム70の後端部には前後一対の支持台75,75が溶接により固設されており,これら支持台75,75の上方に配置される前後一対の支持腕76,76′が同側のアクスルケース52bの前後両面に一体に突設される。これら支持腕76,76′には軸線を上下に向ける後部弾性ブッシュ77,77が次のように設けられる。
【0037】
即ち,各後部弾性ブッシュ77は,その内外周面に互いに同心に配置される外筒78及び内筒79が焼き付けられており,前後の後部弾性ブッシュ77,77の外筒78,78が支持腕76,76′にそれぞれ圧入される。そして前後の後部弾性ブッシュ77,77の内筒79,79が,これらを貫通するボルト80,80を介して前記支持台75,75及び押え板83間に挟持されて固着されるのである。
【0038】
以上において,各前部弾性ブッシュ73は,上下方向の弾性率が前後方向の弾性率より小さくなるように形成される。また各後部弾性ブッシュ77は,左右方向の弾性率が前後方向の弾性率より小さくなるように形成される。
【0039】
前側の各支持腕76には上方に起立するブラケット81が固着され,このブラケット81と前記フレーム後部10cの上端部とにリアダンパ71の両端部が連結される。
【0040】
而して,パワーユニット5の出力による後輪2r,2rの駆動時,ケーシング52に作用する反力トルクは,アクスルケース52bの支持腕76,76′から前後一対の後部弾性ブッシュ77,77,ボルト80,80及び支持台75,75を介してリアサスペンションアーム70に伝達して受け止められる。その間,前後の後部弾性ブッシュ77,77の弾性変形により反力トルクの衝撃が適度に緩和されるのであるが,後部弾性ブッシュ77,77が後車軸63を挟んで前後に配置されていて,反力トルクに対する抗力を充分に発揮し得ること,並びにこれら後部弾性ブッシュ77の前後方向の弾性率が比較的大きく設定されることにより,パワーユニット5の支持剛性を高めることができ,したがって上記反力トルクによるパワーユニット5全体の過度の揺動を抑え,後輪2r,2rへの動力伝達を的確に行うことができる。
【0041】
またアクスルケース52b,52bの前側の左右の支持腕部76,76に連結された一対のリアダンパ71,71も,パワーユニット5の反力トルクに対抗するように働くので,パワーユニット5の支持剛性の強化に寄与することになる。
【0042】
小型電動車両Vの走行中,路面から左右の後輪2r,2rに異なる衝撃力が加わったときには,前部弾性ブッシュ73及び後部弾性ブッシュ77,77の弾性変形により,アクスルケース52b,52bは,路面からの衝撃力の大きい側を上向きにするように比較的容易に傾くことになり,それに応じて左右のリアサスペンションアーム70,70を相対的に上下揺動させることで,左右の後輪2r,2rの個別の昇降が可能となって,各後輪2rの接地性を高めることができ,乗り心地の向上に寄与し得る。特に,各後部弾性ブッシュ77の左右方向の弾性率を比較的小さく設定することは,左右のリアサスペンションアーム70,70の相対揺動を促進させて,各後輪2rの接地性の更なる向上を図る上に有効である。
【0043】
また旋回走行時,後輪2r,2rが横荷重を受けても,前後一対,左右二組の後部弾性ブッシュ77,77;77,77が互いに協働して充分な抗力を発揮し得るので,後輪2r,2rの横方向支持剛性を高め,後輪2r,2rの姿勢安定化を図ることができる。
【0044】
このような後部懸架装置51は,構造が簡単で組立てが容易であるので,安価に提供することができる。
【0045】
図1,図3〜図5において,前記シート6直下の車体フレーム1,即ちフレーム後部10cの上端部には,斜め下向きに突出する左右一対の第4ブラケット85,85が溶接され,これら第4ブラケット85,85に,パワーユニット5の電動モータ53を囲むようにコ字状をなしたリアバンパ86の両端部がボルト87により着脱可能に固着される。即ちリアバンパ86は,第4ブラケット85,85から電動モータ53の左右両側面に対向するように斜め後方に延びる左右一対の側面ガード部86a,86aと,これら側面ガード部86a,86aの後端部間を一体に連結して前記電動モータ53の後面に対向する後面ガード部86bとで構成される。
【0046】
こうしてリアバンパ86は,後輪2r,2rの懸架と関係なく車体フレーム1に固着されることになり,したがってこのリアバンパ86が障害物の衝突により変形しても,後輪2r,2rのアライメントに狂いが生じることを回避することができる。しかもリアバンパ86は,その左右一対の側面ガード部86a,86aと後面ガード部86bとにより電動モータ53を,その左右側方及び後方から接近する障害物から保護することができる。
【0047】
またリアバンパ86は,その後面ガード部86bを,車体持ち上げ用グリップとして使用可能であり,補助者による車体後部の持ち上げ性が良好であり,さらに小型電動車両Vの運搬車両への搭載時,後面ガード部86bは,小型電動車両Vを荷台に保持するための保持具の係止部としても使用でき,利便性が高い。
【0048】
しかも,リアバンパ86を車体フレーム1から取り外して,パワーユニット5のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0049】
図3〜図5において,フレーム後部10c,10cの上端部間を連結する前記シートレール16の中間には,後方に突出する左右一対の第5ブラケット105,105が溶接されており,これら第5ブラケット105,105には,パワーユニット5上を後輪2r,2rの後方まで略水平に延びる左右のキャリア部材106,106がボルト104,104により着脱可能に固着される。これらキャリア部材106,106は,その後端から下方前向きに鋭角で屈曲する支持脚106a,106aを一体に備えており,各支持脚106aの下端部に溶接された取り付け片107が,前記リアバンパ86の後面ガード部86bの中間部に,それを貫通するボルト108により着脱可能に固着される。左右のキャリア部材106,106は,例えばそれらの上面に荷籠109を取り付けて使用される。この場合,荷籠109は左右のキャリア部材106,106間を連結して,それらの補強部材の役割を果たす。
【0050】
こうして,キャリア部材106,106は,パワーユニット5の上方空間を利用して配設することができ,またキャリア部材106,106を,支持脚106a,106aを介してリアバンパ86に強固に支持することができる。
【0051】
再び図1〜図3において,左右の前記支柱17,17には,これら支柱の左右両側面を覆うフロントサイドカバー90,90と,支柱17,17及びハンドルコラム28の前面を覆うと共に両フロントサイドカバー90,90間を連結するフロントカバー91と,支柱17,17及びハンドルコラム28の後面を覆うと共に両フロントサイドカバー90,90間を連結するレッグシールド7とがボルト(図示せず)により取り外し可能に固着される。こうして,レッグシールド7は,ハンドルコラム28の左右外側方に張り出して,前記シート6に座る運転者Dの両脚を前方から覆うに配置される。このレッグシールド7の横幅は,前記フロアパネル13と同様に,歩道ですれ違う歩行者に威圧感を極力与えないように,横幅が左右の可動フェンダ35,35の内側縁間距離より短く設定され,このレッグシールド7の下端には,それより幅広で左右の可動フェンダ35,35の後部及びその間を覆う後ろ下がりに傾斜した補助カバー92が一体に連設され,この補助カバー92の後端はフロアパネル13にボルト結合される。この補助カバー92の,左右の可動フェンダ35の後部を覆う両端部92a,92aは,可動フェンダ35の半径方向外方に膨出し且つ可動フェンダ35の外周に沿って円弧状に形成される。フロアパネル13の上面には,補助カバー92の結合部を覆うようにしてフロアマット14が敷詰められる。これらフロアパネル13及びフロアマット14により,運転者Dの足置き部,即ちステップフロア15が構成される。
【0052】
而して,上記補助カバー92は,レッグシールド7及びステップフロア15間に亙って左右の可動フェンダ35,35の後部及びその間を覆うようにレッグシールド7より横幅が広くなっているから,可動フェンダ35,35から漏れて後方へ飛散する泥水等を補助カバー92で受け止めることができる。
【0053】
しかも補助カバー92は,レッグシールド7の下部に連設されるので,その横幅がレッグシールド7より広くなっていても,歩行者に威圧感を及ぼすことがない。
【0054】
さらに補助カバー92の,左右の可動フェンダ35の後部を覆う両端部92a,92aは,可動フェンダ35の半径方向外方に膨出し且つ可動フェンダ35の外周に沿って円弧状に形成されるので,可動フェンダ35,35と補助カバー92との間の間隙を充分確保して,前輪2f,2fの転向時,可動フェンダ35,35と補助カバー92との干渉を回避することができる。
【0055】
さらにまた補助カバー92は,レッグシールド7及びステップフロア15間に配設されること,その横幅がレッグシールド7より広いこと,並びに後ろ下がりに傾斜していることから,この補助カバー92を,運転者Dが足を突っ張り状態で載せ得る補助ステップとしても利用することができ,居住性の向上に寄与し得る。
【0056】
フロントカバー91の下部には左右一対のヘッドライト93,93が取り付けられ,左右のフロントサイドカバー90,90の上部にはフロントフロントウインカ94,94が取り付けられる。またメインフレーム10の後部には,パワーユニット5及び左右の後輪2r,2rを覆うリアカバー95が固着され,このリアカバー95の後面にテイルライト96が取り付けられる。
【0057】
運転者用のシート6は,シートレール16に支持されるシートクッション6aと,このシートクッション6aの後端部から起立するシートバック6bとで構成される。シートバック6bは,その左右両側面に支持板97,97を一体に備えており,これら支持板97,97に左右一対のアームレスト98,98が,水平の使用位置と上方に起立した退去位置との間を回動し得るように軸支される。これらアームレスト98,98より上方の支持板97,97の上部にリアントウインカ95,95が取り付けられる。
【0058】
また図1及び図3に明示するように,メインフレーム10のフレーム中間部10b及びフレーム後部10cには,それらを覆うL字状のリアサイドカバー100が取り付けられる。このリアサイドカバー100,フロントサイドカバー90及び支持板97は,小型電動車両Vの車体の平坦な側面を代表するもので,これらの外面にその略全域に亙り反射体101もしくは発光体が付設される。反射体101にはメタリック塗膜,淡色系のグレー塗膜,反射鏡等が適当であり,メタリック塗膜,特にシルバーメタリック塗膜を採用する場合は,塗装により反射体101を簡単に構成することができ,しかも照射光に対する反射性が比較的高いので,視認性が良好である。
【0059】
また発光体には,蓄光性材料もしくは蛍光性材料が適当であり,これを採用する場合には,他車のヘッドライト等の照射光を受けると,積極的に発光するので,視認性が高い。
【0060】
また前輪2f,2f及び後輪2r,2rの外側面にも上記と同様の反射体102もしくは発光体が付設される。
【0061】
而して,夜間,小型電動車両Vによる車道の横断中,その車体側面に他車のヘッドライトが照射されると,上記反射体101,102の反射光もしくは発光体の発光によりリアサイドカバー100,フロントサイドカバー90及び支持板97,並びに前輪2f及び後輪2rが浮かび上がるので,小型電動車両Vの略全体を他車のドライバに容易に認識させることができ,夜間における小型電動車両Vの良好な側方視認性を得ることができる。
【0062】
次に,図10〜図18を参照しながら,この小型電動車両Vの,前記操向ハンドル3を含む操縦装置について説明する。
【0063】
図10〜図13において,前記ステアリング軸29の上端にはハンドルベース板110が固着されており,このハンドルベース板110の後端部に立設されるステー111に操向ハンドル3が溶接等により固着される。
【0064】
操向ハンドル3はパイプ材をループ型に曲げて構成されるもので,各屈曲部を外方に向けた左右一対のU字状部3A,3Aと,これらU字状部3A,3Aの一端部間を一体に連結すると共に前記ステー111に固着される連結部3Bとよりなっており,左右のU字状部3A,3Aの他端部は相互に離間,対向する自由端部3e,3eとされる。そして,この操向ハンドル3は,自由端部3e,3e側が車両前方を向くと共に,連結部3B側が車両後方を向くように配置され,左右のU字状部3A,3Aの,連結部3B側の直線部に運転者Dが把持する左右一対のグリップ3g,3gが形成される。左右の自由端部3e,3e相互の間隔は,左右のグリップ3g,3gの内端相互の間隔に略等しく設定される。
【0065】
またハンドルベース板110上に回動板112が設置される。この回動板112とハンドルベース板110との関係については後述する。
【0066】
図12〜図17に示すように,回動板112には,左右一対の軸受台113,113が固着され,これら軸受台113,113によってアクセルレバー114の軸部114aが回転自在に且つグリップ3g,3gと平行に支承される。アクセルレバー114は,上記軸部114aの,軸受台113,113外側方へ突出する両端部に操作部114b,114bをクランク状に連設して構成され,操作部114b,114bは,運転者Dがグリップ3g,3gを把持する手Hの指でグリップ3g,3g寄りに押し下げ操作されるもので,操作部114b,114bを押し下げるとき軸部114aを加速方向Aへ回転させ,押し上げ力を解除すると,軸部114aは減速方向Rへ回転するようになっている。図16に明示するように,軸部114aの中間には,その半径方向に突出する可動ストッパ部材115が固着され,これに対応する固定ストッパ部材116が回動板112に固着され,この固定ストッパ部材116の第1ストッパ面116aに可動ストッパ部材115が当接することにより,軸部114aの減速方向Rの回転限界,即ちアクセルレバー114の無負荷位置Nが規制され,固定ストッパ部材116の第2ストッパ面116bに可動ストッパ部材115が当接することにより,軸部114aの加速方向Aの回転限界,即ちアクセルレバー114の全負荷位置Fが規制されるようになっている。
【0067】
この軸部114aの加速方向Aへの回転角度を検出するアクセルセンサ117の一対の取り付けフランジ117a,117aが回動板112の上面に立設される支柱119にビス118,118で固定される。アクセルセンサ117は,例えばポテンショメータで構成される。このアクセルセンサ117の入力軸117bに連動機構120を介して前記アクセルレバー114が連結される。
【0068】
この連動機構120は,アクセルレバー114の軸部114a中間に固着されてその半径方向に延びる駆動アーム121と,アクセルセンサ117の入力軸117bに固着されてその半径方向に延びる従動アーム122とを備えており,駆動アーム121の先端部側面に突設される連動ピン123が,従動アーム122に形成される長孔124に摺動可能に係合され,軸部が駆動アーム121に与える回転を,連動ピン123を介して従動アーム122から入力軸117bに伝達し得るようになっている。そして軸部114aを減速方向Rに向かって所定のセット荷重で付勢する,引っ張りコイルばねよりなる第1戻しばね125が,駆動アーム121と,回動板112に設けられるばね係止部126との間に縮設される。
【0069】
上記駆動アーム121及び第1戻しばね125は,該ばね125の引っ張り力作用線Lと駆動アーム121の回動中心との間の距離S1が,駆動アーム121を加速方向Aに回動するのに応じて短縮されるように配置される。したがって,アクセルレバー114を無負荷位置Nから加速方向Aに回動すると,第1戻しばね125のばね力は増加するものゝ,そのばね力が駆動アーム121に与える戻しモーメントは減少することになる(図19の線a参照)。
【0070】
また前記入力軸117bには,従動アーム122を回動付勢する,捩じりコイルばねよりなる第2戻しばね127が装着され,この第2戻しばね127のばね力の,従動アーム122に対する作用方向は,第1戻しばね125のばね力が連動ピン123を介して従動アーム122に作用する方向と同方向である。
【0071】
ところで,駆動アーム121及び従動アーム122は,駆動アーム121の連動ピン123の中心と従動アーム122の回動中心との間の距離S2が,駆動アーム121をアクセルレバー114の無負荷位置Nから所定の中間作動位置(駆動アーム121の回動中心,連動ピン123の中心及び従動アーム122の回動中心が一直線上に並ぶとき)まで回動する間では次第に減少し,駆動アーム121をアクセルレバー114の上記中間作動位置から全負荷位置Fまで回動する間では次第に増加するように配置される。
【0072】
前記距離S2は,従動アーム122の有効長に相当するものであり,この有効長さS2が上記のように変化するのに対して,連動ピン123を一体に備える駆動アーム121の有効長,即ち駆動アーム121の回動中心及び連動ピン123の中心間の距離は変化しないから,従動アーム122の有効長S2が減少するときは,第2戻しばね127のばね力が従動アーム122を介して駆動アーム121に与える戻しトルクが増加し,反対に従動アーム122の有効長S2が増加するときは,第2戻しばね127のばね力が従動アーム122を介して駆動アーム121に与える戻しトルクが減少することになる。
【0073】
したがって,アクセルレバー114を無負荷位置Nから全負荷位置Fまで回動するとき,第2戻しばね127のばね力が従動アーム122及び連動ピン123を介して駆動アーム121に与える戻しモーメントは,図19の線bに示すように,回動前半で増加傾向となり,回動後半では減少傾向となる。
【0074】
而して,アクセルレバー114には,第1及び第2戻しばね125,127のばね力による戻しトルクが同時に作用するので,アクセルレバー114の操作荷重は,図19の線cに示すように,アクセルレバー114を無負荷位置Nから全負荷位置Fまで回動する間,その回動前半で増加傾向を示し,回動後半で減少傾向を示す。即ち,アクセルレバー114の所定の中間作動位置で操作荷重のピーク値が現れることになる。このようなアクセルレバー114の操作荷重特性は,運転者にアクセル操作の軽快感を与え,特に使用時間が長い全負荷位置Fでのアクセルレバー114の保持を容易に行うことができ,運転者の疲労軽減に寄与することができる。
【0075】
アクセルセンサ117は,連動機構120を介してアクセルレバー114の無負荷位置Nからの回動角度を検出すると,それに応じた信号を図示しない電子制御ユニットに出力する。すると,その信号に応じて電子制御ユニットは前記電動モータ53の出力を制御する。具体的には,アクセルレバー114が無負荷位置Nに保持されるときは,前記電動モータ53に設けられる電磁ブレーキ(図示せず)を作動状態にして小型電動車両Vの停車状態を保持し,アクセルレバー114が無負荷位置Nから加速方向Aに回動されると,上記電磁ブレーキが不作動状態にされると共に,電動モータ53の出力が増大して,小型電動車両Vを発進,加速させることができる。
【0076】
また走行中,アクセルレバー114を解放すると,該レバー114は,第1及び第2戻しばね125,127の付勢力により無負荷位置Nに戻され,それに伴ない前記電動モータ53では回生ブレーキ力を発生して小型電動車両Vを減速させ,所定車速以下となると前記電磁ブレーキが作動するようになっている。このように,第1及び第2戻しばね125,127の使用によれば,万一,一方の戻しばね125又は127が破損した場合でも,正常な他方の戻しばねにより,アクセルレバー114を無負荷位置Nまで確実に戻すことができる。
【0077】
アクセルレバー114は,その左右両端部に,左右のグリップ3g,3gの前方に配置される一対の操作部114b,114bを備えているので,運転者Dは,左右何れか一方の手でも,また両方の手でもアクセル操作が可能であり,特に両手による場合には,片手が負担する操作荷重は半減するので,アクセル操作を軽快に行うことができ,操作性が良好である。
【0078】
さて,図13及び図18を参照しながら,回動板112とハンドルベース板110との関係について説明する。
【0079】
回動板112は,後端部に左右一対の耳部112a,112a′を起立させており,これら耳部112a,112a′に,それらを貫通するグリップ3g,3gと平行に延びる支持筒130が固着される。この支持筒130は,ハンドルベース板110の左右両側端から起立する一対の側壁110a,110a間に挟まれると共に,これら側壁110a,110aにグリップ3g,3gと平行に延びる枢軸131により回動可能に連結される。而して,回動板112は,下方の非作動位置U(図13)と,上方のブレーキ作動位置B(図18)との間を枢軸131周り回動し得るもので,その非作動位置Uは回動板112の下面から突出した突起129がハンドルベース板110の上面に当接することにより規制され,ブレーキ作動位置Bは,前記アクセルレバー114の軸部114aが左右の側壁110a,110aに形成されるストッパ部135,135に当接することにより規制されるようになっており,この回動板112を非作動位置Uに向かって所定のセット荷重で付勢する第3戻しばね132が一方の耳部112a′とハンドルベース板110上のばね係止部133との間に張設される。第3戻しばね132のセット荷重は,第1戻しばね125のそれよりも大きく設定されていて,通常,ハンドルベース板110を前記非作動位置Uに保持している。したがって,運転者Dがアクセルレバー114の操作部114b,114bに与えるアクセル操作によっては回動しない。
【0080】
回動板112には,前記電磁ブレーキを作動し得るブレーキスイッチ134が取り付けられ,このブレーキスイッチ134は,その作動片134aをハンドルベース板110の上面に当接させるように配置される。このブレーキスイッチ134は,回動板112が非作動位置Uに保持されるときは,作動片134aがハンドルベース板110により押圧されることでオフ状態となって,前記電磁ブレーキを不作動状態に保ち,また回動板112が非作動位置Uからブレーキ作動位置Bに向かって回動されると,作動片134aがスイッチ本体から離れることでオン状態となって,前記電磁ブレーキを作動状態にすると同時に,電動モータ53を回生ブレーキ状態にするようになっている。
【0081】
したがって,緊急ブレーキが必要な場合には,アクセルレバー114の操作部114b,114bをグリップ3g,3gと共に強く把持して,アクセルレバー114をグリップ3g,3g側に強く引き寄せれば,図18に示すように,アクセルレバー114に対する強い引き寄せ力が軸受台113,113を介して回動板112に伝達し,第3戻しばね132のセット荷重に抗して回動板112をブレーキ作動位置B側に直ちに回動させるので,ブレーキスイッチ134がオン状態となって前記電磁ブレーキを作動させると共に,電動モータ53を回生ブレーキ状態にし,小型電動車両Vを急停車させることができる。
【0082】
その際,回動板112が枢軸131周りに回動することは,アクセルレバー114の操作部114b,114bのグリップ3g,3g側への引き寄せ方向の個人差によるばらつきに関係なく,常に回動板112のスムーズな回動を得る上に有効であり,しかも回動板112のスムーズな回動を確保するための特別な保守点検も不要である。
【0083】
またアクセルレバー114の操作部114b,114bをグリップ3g,3g側に引き寄せる緊急ブレーキ操作は,通常,該操作部114b,114bに与える下向きのアクセル操作とは,操作方向が異なるので,上記緊急ブレーキ操作により,回動板112を確実に回動することができる。
【0084】
またアクセルレバー114が,可動ストッパ部材115を固定ストッパ部材116の第2ストッパ面116bに当接させる全負荷位置Fに来ているときに,上記の緊急ブレーキ操作が行われても,その操作力は,上記両ストッパ部材115,116を介して回動板112を即座に回動することができ,操作力に無駄が無い。
【0085】
しかもアクセル操作の場合と同様に,運転者は,左右何れの手でも,両方の手でも,緊急ブレーキ操作を行うことができるので,操作性が良好である。
【0086】
図10及び図11に示すように,左右のグリップ3g,3gの後面には,該グリップ3g,3gを把持する運転者Dの手の親指Haの根元が嵌まる窪み136,136が形成される。こうすることで,左右のグリップ3g,3gとアクセルレバー114の左右の操作部114b,114bとの間に,物の挟まりを防ぐ充分な間隔を確保しながらも,運転者Dがグリップ3g,3gを把持する手Hの親指Haの根元を前記窪み136に収めることで,指全体をアクセルレバー114に極力近接させることができ,比較的手が小さい運転者でも,操作部114bに容易に操作力を加えることができ,操作性が良好となる。
【0087】
上記のように,左右それぞれのグリップ3g,3g及びアクセルレバー114間に,物の挟まりを防ぐ充分な間隔を確保するということは,例えば,図10に示すように,左手は左側のグリップ3gを把持したまゝにして,右手でアクセルレバー114の右側の操作部114bを手前に引く加速操作をした場合に,左側の操作部114bが,左側のグリップを把持したまゝの左手に向かってきても,その左手に圧迫感を与えない,という効果をもたらす。このような効果は,片手で一方の操作部114bをグリップ3g側に強く引き寄せる,前述の緊急ブレーキ操作時にも同様にもたらされる。
【0088】
しかも,アクセルレバー114の両操作部114b,114bは,ループ型操向ハンドル3のループ内に配置されるので,上記操作部114b,114bに対して前方や側方から近接する障害物を操向ハンドル3で阻止して,操作部114b,114bを保護することができる。
【0089】
また前記操向ハンドル3を支持するステー111には,後方へ突出する左右一対のブラケット111a,111aが形成され,これらブラケット111a,111aとハンドルベース板110に,操向ハンドル3のループ内に配置される制御ボックス139が取り付けられる。この制御ボックス139は,アクセルレバー114の軸部114a,操向ハンドル3の連結部3Bの他,アクセルレバー114により作動される制御装置,即ち連動機構120,アクセルセンサ117,回動板112,緊急ブレーキスイッチ134等を収容するように構成される。
【0090】
この制御ボックス139の上面には,前部にバッテリ残量等を表示するディスプレイ140が,また中間部に制限車速設定ダイヤル141,前後進切換スイッチ142,ホーンスイッチ143が,後部に電源スイッチ144,左右のウインカスイッチ145,145が設置される。
【0091】
而して,ループ型の操向ハンドル3は,自由端部3e,3e側が車両前方を向くと共に連結部3B側が車両後方を向くように配置され,左右のU字状部3A,3Aの,連結部3B側の直線部にグリップ3g,3gが形成されるので,運転者Dは,グリップ3g,3gを把持した状態で,互いに離間する自由端部3e,3e間のスペースを通して車体直前の路面状態を容易に確認でき,運転者Dの視野が広がることになる。
【0092】
また操向ハンドル3のループ内スペースを利用して配設される制御ボックス139の大部分は,グリップ3g,3gの前方位置を占めることになるので,制御ボックス139の視認性も良好であると共に,制御ボックス139上のスイッチ類を容易に操作することができる。しかも制御ボックス139は,アクセルレバー114により作動される制御部,即ち連動機構120,アクセルセンサ117,回動板112,緊急ブレーキスイッチ134等を覆うので,外観を良好にすることができる。
【0093】
同じく図10及び図11に示すように,操向ハンドル3において,左右のU字状部3A,3Aの互いに離間した自由端部3e,3eには,円筒状のミラーホルダ147,147が嵌合して固着され,各ミラーホルダ147には,バックミラー148の支持ステー149を取り付けられる。
【0094】
このように,左右のU字状部3A,3Aの自由端部3e,3eを利用することで,円筒状のミラーホルダ147,147を容易に取り付けることができると共に,良好な外観を得ることができる。しかもこれらミラーホルダ147,147に支持されるバックミラーは,グリップ3g,3gから前方に離れて配置されることになるから,運転者Dからも前方に離れることになり,運転者は,視線を大きくずらすことなく,バックミラー148を容易に見ることができ,バックミラー148に対する視認性が向上して後方視野を広げることができる。
【0095】
図10に示すように,一方のミラーホルダ147,147には,パーキングブレーキレバー150が取り付けられ,そのブレーキ操作によれば,減速装置62に設けられるドラムブレーキ151(図8参照)が作動するようになっている。
【0096】
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,後輪2rを単輪にして小型電動車両Vを三輪車に構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施例に係る小型電動車両の斜視図である。
【図2】同小型電動車両の正面図である。
【図3】同小型電動車両の側面図。
【図4】同小型電動車両の車体フレームを示す側面図である。
【図5】同車体フレームを示す平面図。
【図6】図3の6−6線断面図。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】図3の8−8線断面図である。
【図9】図8の9−9線断面図である。
【図10】操向ハンドル部を示す平面図(図3の10矢視拡大図)である。
【図11】制御ボックスを外した状態で操向ハンドル部を示す,図10との対応図である。
【図12】図11の要部を示す拡大図である。
【図13】図12の13−13線断面図である。
【図14】図12の14−14線断面図である。
【図15】図12の15−15線断面図である。
【図16】図12の16−16線断面図である。
【図17】図12の17−17線断面図である。
【図18】緊急ブレーキ操作時の作用を示す,図13との対応図である。
【図19】アクセルレバーの操作荷重特性線図である。
【符号の説明】
【0098】
V・・・・・小型電動車両
D・・・・・運転者
H・・・・・運転者の手
Ha・・・・親指
3・・・・・操向ハンドル
3A・・・・U字状部
3B・・・・連結部
3e・・・・自由端部
6・・・・・シート
28・・・・ハンドルコラム
29・・・・ステアリング軸
53・・・・電動モータ
114・・・アクセルレバー
114a・・軸部
114b・・操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗車用シート(6)の前方に配設されるハンドルコラム(28)に回転自在に支承されるステアリング軸(29)の上端に,左右一対のグリップ(3g,3g)を有する操向ハンドル(3)を結合し,この操向ハンドル(3)と一体となって回動する支持体(112)に,車両駆動用の電動モータ(53)の出力を制御するアクセルレバー(114)を取り付け,このアクセルレバー(114)には,前記左右のグリップ(3g,3g)の前方にそれぞれ配置され,運転者(D)が左右のグリップ(3)を把持した左右何れの手(H)でも操作可能な左右一対の操作部(114b,114b)を設けた,小型電動車両の操縦装置において,
前記左右のグリップ(3g)の後面に,それを把持する運転者の手(H)の親指(Ha)の根元が嵌まる窪み(136)を形成したことを特徴とする,小型電動車両の操縦装置。
【請求項2】
請求項1記載の小型電動車両の操縦装置において,
前記操向ハンドル(3)を,左右一対のU字状部(3A,3A)の一端部相互を連結部(3B)を介して一体に連結すると共に,他端部を相互に離間した自由端部(3e,3e)としてなるループ型に構成し,この操向ハンドル(3)のループ内に前記操作部(114b,114b)を配置したことを特徴とする,小型電動車両の操縦装置。
【請求項1】
乗車用シート(6)の前方に配設されるハンドルコラム(28)に回転自在に支承されるステアリング軸(29)の上端に,左右一対のグリップ(3g,3g)を有する操向ハンドル(3)を結合し,この操向ハンドル(3)と一体となって回動する支持体(112)に,車両駆動用の電動モータ(53)の出力を制御するアクセルレバー(114)を取り付け,このアクセルレバー(114)には,前記左右のグリップ(3g,3g)の前方にそれぞれ配置され,運転者(D)が左右のグリップ(3)を把持した左右何れの手(H)でも操作可能な左右一対の操作部(114b,114b)を設けた,小型電動車両の操縦装置において,
前記左右のグリップ(3g)の後面に,それを把持する運転者の手(H)の親指(Ha)の根元が嵌まる窪み(136)を形成したことを特徴とする,小型電動車両の操縦装置。
【請求項2】
請求項1記載の小型電動車両の操縦装置において,
前記操向ハンドル(3)を,左右一対のU字状部(3A,3A)の一端部相互を連結部(3B)を介して一体に連結すると共に,他端部を相互に離間した自由端部(3e,3e)としてなるループ型に構成し,この操向ハンドル(3)のループ内に前記操作部(114b,114b)を配置したことを特徴とする,小型電動車両の操縦装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−137191(P2007−137191A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331962(P2005−331962)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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