説明

小型電動車両

【課題】小型電動車両(電動車いす)の特殊性を考慮してさらなる視認性の向上を図ることを可能にするとともに、車両の通過する周辺状況に応じて一般歩行者や周辺車両のドライバに注意を促すことを可能にする。
【解決手段】車体に乗員12が着座する座席13が設けられ、バッテリ25に蓄えられた電力が電動モータ26に供給され、この電動モータ26の駆動力を車輪(後輪)28,28に伝えて走行する小型電動車両10において、座席13の背当て部35に、乗員12の背面12aを照らす照射手段37を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩道を走行することが可能であり、高齢者等の移動手段として利用が可能な電動車いすなどの小型電動車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小型電動車両の中には、車いすなどの車両が含まれ、一般歩行者や周辺車両からの視認性の向上を図ったものが知られている。
この種の小型電動車両は、側面及び背後からの視認性を確保するために、車両側面には方向指示器や反射板が取付けられ、車両後方には点滅するLED及び反射板が取付けられるものが一般的であった。
【0003】
このような小型電動車両として、さらなる視認性の向上のための部材を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−190224公報
【特許文献2】特開2004−275580公報
【0004】
特許文献1の小型電動車両(車いす)は、車輪及びシートを取付けた車体フレームに電動モータ及びバッテリを搭載し、電動モータによって車輪を駆動するものであり、シートのシートバック背面に、キー操作又は手動スイッチの操作に連動させるとともに、上下方向又はシートバックと略平行に伸縮可能なポールユニットを設け、ポールユニットのポールの先端に発光手段を設けたものである。
発光手段は、ポールの先端に取付けられ、断続発光する発光素子であり、ポールが伸長した状態でバッテリから給電される。
【0005】
特許文献2の小型電動車両(電動車いす)は、点滅光を発する警告灯を備えた車両(車いす)であり、警告灯の灯体が支柱を介してシートに設置され、支柱が乗員の頭部よりも高い位置まで延長できるように形成されたものであり、灯体が、球状に形成されるとともに、灯体の上半部が外部からの照射光を反射するように、且つ灯体の下半部を光が透過するように形成されたものである。
【0006】
しかし、特許文献1,2の小型電動車両(電動車いす)では、高さ109cm、巾70cm、全長120cm未満と規制されており、例えば、反射板、灯火器類を効果的に取付けたり、高さのあるポールを設けることが難しいという問題がある。
さらに、上記の小型電動車両では、周辺車両(自動車等)に比べ、速度が遅いため、走行時に追い抜かれることが多く、交差点の通過や道路横断に時間がかかり、さらなる視認性の向上が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高さ109cm、巾70cm、全長120cm未満と規制された車両の特殊性を考慮してさらなる視認性の向上を図るとともに、車両の通過する周辺状況に応じて一般歩行者や周辺車両のドライバに注意を促すことができる小型電動車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車体に乗員が着座する座席が設けられ、バッテリに蓄えられた電力が電動モータに供給され、この電動モータの駆動力を車輪に伝えて走行する小型電動車両において、座席の背当て部又はその近傍に、乗員の背面を照らす照射手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、車体に周辺車両を検知する周辺車両検知手段が設けられ、この周辺車両検知手段が、自車両の所定範囲内に周辺車両の進入を検知したときに、照射手段の点灯状態を変更することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、照射手段が、複数の発光体にて構成され、乗員の背中の全面を照らすように配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、車体に乗員が着座する座席が設けられ、バッテリに蓄えられた電力が電動モータに供給され、この電動モータの駆動力を車輪に伝えて走行する。小型電動車両(電動車いす)は、高さ109cm、巾70cm、全長120cm未満と規制された車両であり、この車両の特殊性を考慮して座席の背当て部又はその近傍に、乗員の背面を照らす照射手段を備えた。
これにより、座席の背当て部又はその近傍に取付けた照射手段により乗員を照らし、乗員の輪郭をはっきり見せられるとともに、小型電動車両(電動車いす)をより大きく見せることができる。この結果、周辺車両の運転者が小型電動車両の発見を容易にすることができる。すなわち、規制された車両サイズ内で他の部品のレイアウト性を損ねることなく、小型電動車両(電動車いす)の視認性の向上を図ることができる。
【0012】
請求項2に係る発明では、車体に、例えば、レーダなどの周辺車両を検知する周辺車両検知手段が設けられる。この周辺車両検知手段が自車両の所定範囲内に周辺車両の進入を検知したときに、照射手段の点灯状態を変更する。これにより、小型電動車両(電動車いす)の存在を際立たせることができる。
【0013】
請求項3に係る発明では、照射手段が、複数の発光体にて構成され、乗員の背中の全面を照らすように配置された。すなわち、乗員の背中全体に発光体の光が照射されるので、さらなる視認性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る小型電動車両の側面図であり、図2は図1に示される小型電動車両の平面図であり、図3は図1に示される小型電動車両の正面図であり、図4は図1に示される小型電動車両の背面図である。
小型電動車両10は、乗員12が着座する座席(車両用シート)13と、乗員12の足を載せるフロアステップ14と、乗員12が車両を操舵するハンドル15と、車体前方を覆うフロントカウル16と、車体後方を覆うリヤカウル17と、座席13の側方下部に設けられ、座席13の下部を囲うサイドカウル(囲い)18,18(一方不図示)と、車体前面に設けられ、前方を照らす前照灯(ヘッドライト)21,21と、フロントカウル16上部に配置され、乗員12が後方確認する左右のバックミラー23,24と、フロアステップ14の下部に配置され、電力を蓄えるバッテリ25と、座席13の下部に配置され、バッテリ25から電力の供給を受ける電動モータ26と、車体の前方下部に回転自在且つ操舵自在に配置された前輪(車輪)27,27と、車体の後方下部に回転自在に配置され、電動モータ26で駆動される後輪(車輪)28,28と、上端にハンドル15が取付けられるとともに下端に前輪27,27が接続され、前輪27,27を操舵するためのステアリングシャフト29と、ハンドル15の中央に配置され、車両の運転操作のための操作パネル31と、フロントカウル16内に配置され、GPS(global positioning system)による位置検出機能を利用したナビゲーションシステム32と、フロントカウル16の上部中央に設けられ、運転情報やナビゲーション情報が表示される表示装置(車両用メータ)33とを主要構成とする車両である。
【0015】
さらに、小型電動車両10は、最高速度が6km/h(1.67m/sec)に制限され、車体寸法が高さ109cm、巾70cm、全長120cm未満と規制された車両であり、具体的には、高齢者等が移動手段として利用する電動車いすである。従って、道路横断時に別車両が接近しても、自ら退避することは難しく、視認性を向上させることは非常に重要である。
【0016】
座席(車両用シート)13は、車体垂直軸廻りに回転可能に車体に取付けることで、乗降の利便性を高めた回転シートであり、乗員12の腰部を支持する座部(シートクッション)34と、乗員12の背中12aを支持する背当て部(シートバック)35とからなる。
【0017】
背当て部35は、左右側方から前方に延出され乗員12の側方を支えるステー部36,36と、上端前方に設けられ、乗員12の背中(背面)12aを照らす照射手段(照明手段)37と、上端後方に設けられ、進路変更や道路横断中であるときに点灯状態を変える後部灯火器(高位置テールランプ)38と、背面に設けられ前照灯21,21のON時に同時点灯させるシート背面ランプ39と、側方に設けられた左右のシート側方向指示器41,42と、左右側方に設けられ、周辺車両等の光を受けて反射する側部反射板43,43(一方不図示)とを備える。
【0018】
後部灯火器38は、一般歩行者や周辺車両に自車両が進路変更や道路横断中であることを知らせる警告手段である。
図2に示されるように、照射手段37は、複数の発光体37a〜37gにて構成され、発光体37a〜37gは、照射の向きを変えたものであり、乗員12の背中12aの全面を照らすように配置される。
【0019】
前照灯21,21は、反射器付きの2灯ヘッドライトである。
フロアステップ14は、左右側方に設けられ、前照灯21,21のON時に同時点灯させるサイドランプ44,44(一方不図示)と、座席13の下部をサイドカウル18,18で囲われた手荷物スペース45を有する。
【0020】
フロントカウル16は、前照灯21,21のON時に同時点灯させるフロントランプ47と、前方に駐車車両などの障害物があることを検知する前部のソナー48,48とを備える。前部のソナー48,48は、車両前方で見えない部分の障害物を検知する障害物検知手段である。
【0021】
リヤカウル17は、前照灯21,21のON時に同時点灯させるリヤランプ53と、後方の障害物の存在を検知する後部のソナー49,49と、後輪28,28の上部を覆うリヤフェンダ51,51と、これらのリヤフェンダ51,51の後方に取付けられ、周辺車両等の光を受けて反射する後部反射板52と、左右の後部方向指示器(後部ウインカ)57,58とを備える。後部のソナー49,49は、後方の障害物を検知する障害物検知手段である。
【0022】
前輪27,27は、パンクレスタイヤを装備した車輪であり、一般歩行者や周辺車両に目立たせるための反射シール付きホイールキャップ54,54(一方の54は不図示)と、ハンドル15を操舵したときに前輪27,27に連れて回転可能な、独立したフロントフェンダ55,55とを備える。
【0023】
フロントフェンダ55,55は、前輪27,27に連れて回転するので、乗員12は着座したままの姿勢で前輪27,27の切れ角度を確認することができる。これにより、後進時の車両の動きが解り易くすることができる。
【0024】
後輪28,28は、一般歩行者や周辺車両に目立たせるための反射シール付きホイールキャップ56,56を備え、リヤカウル17に一体的に形成されたリヤフェンダ51,51で上部が覆われる。なお、後輪28,28も、パンクレスタイヤを装備した車輪である。
【0025】
ステアリングシャフト29は、ハンドル15側を車体の後方に傾斜させて回動自在に車体に取付けられる。すなわち、ステアリングシャフト29の中心線C1は、ハンドル15側(上端)を車体の後方に傾斜したものである。
【0026】
図5は図1に示される小型電動車両のハンドル及びバックミラーの平面図である。
ハンドル15は、略水平に形成されたバーハンドルであり、バー状のハンドル本体(不図示)と、このハンドル本体の左右に設けられ、乗員12が握る左右のハンドルグリップ63,64と、これらのハンドルグリップ63,64の端部に設けられ、進路変更や道路横断中であるときに点灯状態を変えるハンドル側灯火器65,66とから構成される。
ハンドル側灯火器65,66は、一般歩行者や周辺車両に自車両が進路変更や道路横断中であることを知らせる警告手段である。
【0027】
左右のバックミラー23,24は、図3及び図5に示されたように、車体の正面視でハンドルグリップ63,64の全体を覆う位置に配置される。
【0028】
さらに、左右のバックミラー23,24は、左右のミラーハウジング71,72と、左右のミラーハウジング71,72内方に設けられ、後方の状況を写し出す左右のミラー本体73,74と、左右のミラーハウジング71,72の内方下部に複数の発光体75a〜75f,76a〜76fが略水平方向に配置され、後方の障害物の位置を表示する左右の位置表示ランプ75,76と、左右のミラーハウジング71,72外方に形成された左右の前部方向指示器(前部ウインカ)77,78(図3参照)と、左右のミラーハウジング71,72外方に形成され、進路変更や道路横断中であるときに点灯状態を変える左右のミラー側灯火器81,82(図3参照)とからなる。
【0029】
左右の位置表示ランプ75,76は、乗員12の可視可能範囲内に複数の発光体75a〜75f,76a〜76fが略水平方向に配置され、車両の後進時に後部ソナー49,49が車両後方に障害物を検知した際に、この障害物の位置に応じて発光体75a〜75f,76a〜76fの発光状態を変えるようにしたものである。
左右のミラー側灯火器81,82は、一般歩行者や周辺車両に自車両が進路変更や道路横断中であることを知らせる警告手段である。
【0030】
操作パネル31は、ハンドルグリップ63,64の前方に設けられた左右の走行レバー85,86と、バッテリ25の電源をONにするメインスイッチ(スイッチボタン)87と、走行速度を設定する走行速度設定ノブ88と、前進/後進の切換操作をする前進ボタン91及び後進ボタン92と、左右の前部方向指示器77,78、左右のシート側方向指示器41,42及び左右の後部方向指示器57,58を点灯させる左右の方向指示器点灯ボタン93,94と、ナビゲーションシステム32の起動/解除するナビゲーションボタン95と、緊急時に介助を要請するときに使用する緊急時コールボタン101とからなる。
【0031】
左右の走行レバー85,86は、どちらのレバーを操作しても同一機能の操作が可能なレバーであり、握り込み停止機能付きのレバーであり、強く握り締めるとブレーキがかかる。
走行速度設定ノブ88は、時速1〜6kmを無段階に設定できるノブであり、時速4km以上に設定された場合にはハンドル15を操作した(切った)ときに自動減速機能が働く。
【0032】
表示装置33は、バッテリ25の残量を表示するバッテリ残量表示部96と、左右の前部方向指示器77,78、左右のシート側方向指示器41,42及び左右の後部方向指示器57,58の点灯(点滅)状態であることを表示する左右の方向指示器表示部97,98と、運転情報やナビゲーション情報が表示される液晶パネル99とからなる。
【0033】
図6は図1に示される小型電動車両のブロック図である。
図6に示されるように、小型電動車両10(図1参照)は、先に説明したメインスイッチ87の状態と、照射手段37を点灯する点灯スイッチ151の状態と、自車両後方の周辺車両を検知する周辺車両検知手段(レーダ)152の情報とがコントローラ154に入力される。
【0034】
コントローラ154は、周辺車両検知手段152が自車両の所定範囲内に周辺車両の進入を検知したときに、照射手段37の点灯状態を変更する点灯状態変更手段155を備え、周辺車両検知手段152が自車両の所定範囲内に周辺車両の進入を検知したときに、点灯状態が変更される照射手段37を制御する。
点灯状態変更手段155は、照射手段37を点灯状態から点灯状態に変化を加えて、ハンドル側灯火器65,66を点灯状態から点滅状態に変更する手段である。
【0035】
図7は図1に示される小型電動車両のフロー図である。なお、ST××はステップ番号を示す(符号は図6参照)。
ST01:メインスイッチ87をONする。同時に夜間の場合は、図2に示した前照灯21,21及び後部灯火器38のライト類のスイッチをONにする。
ST02:照射手段37を点灯する点灯スイッチ151がONであるかどうか判断する。YESの場合はST03に進み、NOの場合はST02を繰り返す。
【0036】
ST03:周辺車両検知手段152で、自車両10の所定範囲内に周辺車両の接近があるかどうか判断する。YESの場合はST04に進み。NOの場合はST03を繰り返す。
ST04:点灯状態変更手段155で、点灯状態の照射手段37を点滅状態に変更する。
【0037】
ST05:周辺車両検知手段152で、自車両10の側部後方まで周辺車両が接近したかどうか判断する。YESの場合はST06に進み。NOの場合はST03に戻る。これは、周辺車両が途中で停止若しくは途中で曲がってしまい、自車両10の所定範囲内に周辺車両の存在がなくなる場合を考慮したものである。
ST06:周辺車両159(図8参照)側に位置するハンドル側灯火器65,66のどちらかを点灯状態から点滅状態に変更する。なお、照射手段37の点滅状態は継続されたままである。
【0038】
小型電動車両(電動車いす)10では、車体に、例えば、レーダなどの周辺車両を検知する周辺車両検知手段152が設けられる。この周辺車両検知手段152が、自車両の所定範囲内に周辺車両の進入を検知したときに、照射手段37の点灯状態を変更する。これにより、小型電動車両(電動車いす)10の存在を際立たせることができる。
【0039】
図8(a),(b)は図1に示された小型電動車両の照射手段を使用したときの作用説明図であり、(a)は小型電動車両10及び乗員12の側面を示し、(b)は小型電動車両10及び乗員12の背面を示す。
(a)において、照射手段(照明手段)37は、先にも説明したように、座部34の背当て部35に設けられ、乗員12の背中(背面)12aを照らす照射手段37であり、小型電動車両10を大きく見せる効果を有する。
【0040】
(b)において、周辺車両検知手段152が自車両の所定範囲内に周辺車両159の進入を検知したときに、照射手段37は、点灯状態から点滅状態に変更され、周辺車両159に小型電動車両(電動車いす)10の存在に注意を促す。なお、小型電動車両10の側面からは、乗員12の背中12aの側方も明るく認識される。
【0041】
(c)において、周辺車両159が自車両(小型電動車両)10の側方に接近したときには、照射手段37を点灯状態に変化を加えて点滅状態にし、周辺車両159側に位置するハンドル側灯火器65,66を点灯状態から点滅状態に変更し、さらに、小型電動車両(電動車いす)10を目立たさせ、小型電動車両10の存在を主張する。
【0042】
すなわち、小型電動車両10では、車体に乗員12が着座する座席13が設けられ、バッテリ25(図1参照)に蓄えられた電力が電動モータ26に供給され、この電動モータ26の駆動力を車輪(後輪)28,28に伝えて走行する。小型電動車両(電動車いす)10は、高さ109cm、巾70cm、全長120cm未満と規制された車両であり、この車両の特殊性を考慮して座席の背当て部に、乗員12の背面12aを照らす照射手段を備えた。
【0043】
これにより、座席13の背当て部35に取付けた照射手段37により乗員12を照らし、乗員12の輪郭をはっきり見せられるとともに、小型電動車両(電動車いす)10をより大きく見せることができる。この結果、周辺車両159の運転者が小型電動車両10の発見を容易にすることができる。すなわち、規制された車両サイズ内で他の部品のレイアウト性を損ねることなく、小型電動車両(電動車いす)10の視認性の向上を図ることができる。
【0044】
図9(a)〜(d)は図1に示された小型電動車両の照射手段の構成の説明図である。
図2、図9(a)において、図2に示された照射手段37は、複数の発光体37a〜37gで構成され、これらの発光体37a〜37gの照射の向きを変え、乗員12の背中12aの全面が照らされる。
【0045】
図2、図9(b)において、複数の発光体37a〜37gの内の発光体37c,37d,37eは、中央に配置され、乗員12の首から頭部を狙って照射する。なお、図9(b)〜図9(d)の二点鎖線で示した範囲は発光体37a〜37gの照射の周辺範囲である。
【0046】
図2、図9(c)において、複数の発光体37a〜37gの内の発光体37b,37fは、37c,37d,37eの側方に配置され、乗員12の肩口の近傍を狙って照射する。
図2、図9(d)において、複数の発光体37a〜37gの内の発光体37a,37gは左右端部に配置され、乗員12の脇の下方を狙って照射する。
【0047】
すなわち、照射手段37は、複数の発光体37a〜37gにて構成され、乗員12の背中12aの全面を照らすように配置された。すなわち、乗員12の背中12a全体に発光体37a〜37gの光が照射されるので、さらなる視認性の向上を図ることができる。
【0048】
尚、本発明に係る小型電動車両は、図8に示すように、照射手段37を点灯状態から点滅状態に変化させるとともに、周辺車両側に位置するハンドル側灯火器65,66を点灯状態から点滅状態に変化させたが、これに限るものではなく、点滅状態の照射手段37及び点灯状態のハンドル側灯火器65,66の点滅パターンを変えるものであってもよい。
さらに、点灯状態の照射手段37等の照度を上げるものでもよく、これらを、適宜、組合わせるものであってもよい。
【0049】
例えば、点灯状態の照射手段37を周辺車両の接近状態によって、点滅状態に変え、さらに接近した場合に照射手段の照度を上げるとともに速い点滅状態に変えることなどが考えされる。これにより、小型電動車両(電動車いす)10の存在に対して周辺車両にさらなる注意を促すことができる。
【0050】
本発明に係る小型電動車両は、図2に示すように、照射手段37が、複数の発光体にて構成され、乗員12の背中の全面を照らすように配置されたが、さらに、乗員12に反射機能を有する衣類の着用を推奨し、視認性のさらなる向上を図るものであってもよい。
【0051】
本発明に係る小型電動車両は、図2に示すように、照射手段37が、複数の発光体37a〜37gにて構成され、これらの発光体37a〜37gの照射の向きを変え、乗員12の背中12aの全面を照らすように配置されたが、発光体にレンズを備え、レンズの向きを変えて乗員の背中の全面を照らすようにしたものであってもよい。
【0052】
本発明に係る小型電動車両は、図2に示すように、座席13の背当て部35に、乗員12の背面12aを照らす照射手段37を設けたが、照射手段37は乗員12の背面12aを照らすことが可能な背当て部近傍の部位(例えば、アームレスト等)に設けたものでもよい。
【0053】
本発明に係る小型電動車両は、図1に示すように、電動モータ26の駆動力を後輪28,28に伝えて走行する車両であったが、前輪に伝え走行するようにしたものでもよい。
【0054】
本発明に係る小型電動車両は、図8に示すように、周辺車両159が自車両10の側方に位置したときに、周辺車両159側に位置するハンドル側灯火器65,66を点灯状態から点滅させたが、これに限るものではなく、例えば、方向指示器などを色調を変えて点灯/点滅させたり、その他灯火器類を準備してもよい。
【0055】
本発明に係る小型電動車両は、図8に示すように、周辺車両等の接近をレーダ152で検出したが、これに限るものではなく、その他の通信手段(例えば、赤外線カメラ)を用いるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る小型電動車両は、高齢者等が利用する電動車いすに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る小型電動車両の側面図である。
【図2】図1に示される小型電動車両の平面図である。
【図3】図1に示される小型電動車両の正面図である。
【図4】図1に示される小型電動車両の背面図である。
【図5】図1に示される小型電動車両のハンドル及びバックミラーの平面図である
【図6】図1に示される小型電動車両のブロック図である。
【図7】図1に示される小型電動車両のフロー図である。
【図8】図1に示された小型電動車両の照射手段を使用したときの作用説明図である。
【図9】図1に示された小型電動車両の照射手段の構成の説明図である。
【符号の説明】
【0058】
10…小型電動車両、13…座席、25…バッテリ、26…電動モータ、27,28…車輪(前輪/後輪)、34…座部、35…背当て部、37…照射手段、37a〜37g…発光体、152…周辺車両検知手段(レーダ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に乗員が着座する座席が設けられ、バッテリに蓄えられた電力が電動モータに供給され、この電動モータの駆動力を車輪に伝えて走行する小型電動車両において、
前記座席の背当て部又はその近傍に、前記乗員の背面を照らす照射手段を備えたことを特徴とする小型電動車両。
【請求項2】
前記車体に周辺車両を検知する周辺車両検知手段が設けられ、この周辺車両検知手段が、自車両の所定範囲内に周辺車両の進入を検知したときに、前記照射手段の点灯状態を変更することを特徴とする請求項1記載に小型電動車両。
【請求項3】
前記照射手段は、複数の発光体にて構成され、前記乗員の背中の全面を照らすように配置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の小型電動車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−90710(P2009−90710A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260720(P2007−260720)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】