説明

小物入れ

【課題】多くの小物を収容し得、また、収容空間へ窮屈な程に小物を押し込んでも、その取出しに支障をきたさないようにする。
【解決手段】上面開口の閉じられた第1の収容空間Aを形成する内壁1と、内壁1の外周を一周し内壁1との間に上面開口の第2の収容空間Bを形成する外壁2と、第1の収容空間Aの底を形成する第1の底板3と、第2の収容空間Bの底を形成する第2の底板4と、内壁1と外壁2との間に設けられ第2の収容空間Bを複数の小空間に区分けする複数の仕切壁5a〜5fとを備えている。内壁1、外壁2、第1、第2の各底板3,4、および各仕切壁5a〜5fは弾性材料により一体に形成されている。内壁1および外壁2は、それぞれの肉厚が下端側に厚く上端側に薄くなるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、筆記具などの文具小物、スプーンなどのキッチン小物、アクセサリや化粧品などの化粧小物などの各種の小物を区分けして収容する小物入れに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より多数本の筆記具を区分けして収容することが可能な種々のペン立てが提案され、特に簡易なものとして、合成樹脂を射出成形して製作したものが広く用いられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−80544号公報
【0004】
この種のペン立てとして、図6に示すように、上面が開口した有底の筒容器100の内部へ仕切り101を嵌挿した構造のものがある。仕切り101は筒容器100の対角幅とほぼ一致する幅の板材102とその半分の幅の板材103とを直交させて一体接合したものである。この仕切り101を筒容器100の内部へ嵌挿すると、筒容器100の内部の収容空間は仕切り101によってやや広い小空間aとやや狭い小空間b,cとに区分けされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した構成のペン立ては、筒容器100や仕切り101が硬質のプラスチック製であるため、収容能力が固定され、仕切り101により収容空間が複数の小空間a〜cに区分けされると、筆記具110の収容可能本数にかなりの制限を受ける。各小空間a〜cへ1本でも多くの筆記具110を入れようとすると、筒容器100が破損したり、筆記具110が傷付けられたりするおそれがある。また、各小空間a〜cへ多数本の筆記具110を窮屈な程に差し込むと、それを取り出すのに支障をきたすという不都合もある。
【0006】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、多くの小物を収容し得、また、収容空間へ窮屈な程に小物を押し込んでも、その取出しに支障をきたすおそれのない小物入れを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による小物入れは、上面開口の閉じられた第1の収容空間を形成する内壁と、内壁の外周を一周し内壁との間に上面開口の第2の収容空間を形成する外壁と、第1の収容空間の底を形成する第1の底板と、第2の収容空間の底を形成する第2の底板と、内壁と外壁との間に設けられ第2の収容空間を複数の小空間に区分けする複数の仕切壁とを備えたものである。内壁、外壁、第1、第2の各底板、および各仕切壁は弾性材料により一体に形成されている。内壁および外壁は、それぞれの肉厚が下端側に厚く上端側に薄くなるように形成されている。
【0008】
この発明による小物入れは、筆記具、定規、消しゴムなどの文具小物、箸、スプーンなどのキッチン小物、アクセサリ、化粧品などの化粧小物などを収容する小物入れとして使用できるほか、時計、眼鏡、携帯電話などの身の回り品、ガムやチョコレートなどの菓子類などを収容する入れ物としても使用できる。
【0009】
上記した構成の小物入れは、内壁、外壁、第1、第2の各底板、および各仕切壁が弾性材料により一体に形成されているので、壁全体が撓んだり変形したりすることが可能である。そのうえ、内壁および外壁の肉厚は上端側が薄くて撓み易いので、第1、第2の各収容空間、さらには、第2の収容空間内の各小空間は上面の開口を押し広げることが可能である。その結果、収容したい小物が収容空間から多少はみ出すような形状や大きさであっても、壁面が変形して拡張し、その収容が可能となる。また、1個でも多くの小物を収容空間へ入れることが可能となり、小物の収容能力が増す。収容空間へ小物を押し込む際も、壁面が撓んだり変形したりするので、内壁、外壁、仕切壁が破損したり、小物が傷付けられたりすることもない。さらに、収容空間に多数個の小物を窮屈な程に押し込んだ場合、その取出しに際して、第1、第2の各収容空間、さらには、第2の収容空間内の各小空間は上面の開口を押し広げることができるので、取出しに支障をきたすこともない。
一方において、内壁および外壁の肉厚は下端側が厚く、そのうえ、内壁と外壁との間に設けられた仕切壁が補強リブとして機能するので、優れた強度と保形性が得られ、全体が型くずれすることもない。
【0010】
この発明の上記した構成において、仕切壁は、好ましくは、互いに直交する各方向に設けられた仕切壁を含むものである。この実施態様によると、仕切壁の補強リブとしての機能が直交する2方向に作用するので、良好な保形性が得られる。
【0011】
好ましい実施態様においては、内壁の対向部間に第1の収容空間を複数の小空間に区分けする仕切壁が設けられている。この実施態様によれば、小物を一層区分けして収容できるうえに、仕切壁が内壁の補強リブとして機能するので、内壁の保形性を向上できる。
【0012】
さらに好ましい実施態様においては、仕切壁が内壁および外壁の高さより低く形成されている。この実施態様によると、内壁および外壁の上端縁の部分は仕切壁によって拘束されていないから、第1、第2の収容空間の上面の開口を自在に押し広げることができ、各収容空間に対する小物の出し入れが一層容易となる。
【0013】
第1、第2の各底板は、同じ高さ位置に設けることもできるが、第2の底板は外壁の下端縁と内壁の下端縁との間に設け、第1の底板は内壁の下端縁より高い位置に設けることもできる。
この実施態様によると、第1の収容空間は底が浅く、第2の収容空間は底が深いので、収容する小物をその大きさに応じて区分けでき、小物の出し入れが容易となる。また、底面側から見ると、第2の底板に相当する部分に対して第1の底板に相当する部分は凹んでいるので、上下反転させて凹みの部分を小物の収容空間として用いることも可能である。
【0014】
内壁および外壁の各上端縁は 、高さが揃っていても揃っていなくてもよい。例えば、内壁および外壁の各上端縁を同方向へ斜めに傾斜させると、その傾斜位置に応じて第1、第2の各収容空間の深さが変わるので、小物の出し入れが容易となる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によると、壁面が撓んだり変形したりするうえに、各収容空間は上面の開口を押し広げることができるので、小物の収容能力が増し、小物の出し入れが容易である。また、収容空間へ小物を押し込む際、内壁、外壁、仕切壁が破損したり、小物が傷付けられたりすることもない。さらに、内壁および外壁の肉厚は下端の側が厚いうえに、内壁と外壁との間に設けられた仕切壁が補強リブとして機能するので、優れた強度と保形性が得られ、全体が型くずれすることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1および図2は、この発明の一実施例である小物入れの外観を示している。図示例では、この小物入れを文具小物を収容するためのペン立てとして用いているが、文具小物以外の小物を収容するのに用いることもできる。
【0017】
図示例の小物入れは、平面形状がハート型の閉じられた第1の収容空間Aを形成する内壁1と、平面形状がハート型であり内壁1の外周を一周する外壁2とを有している。内壁1と外壁2との間には周回する第2の収容空間Bが形成されている。内壁1の下端縁と外壁2の各下端縁とは、図3に示すように、同一平面で揃い、一方、内壁1および外壁2の各上端縁は 同方向へ斜めに傾斜している。第1、第2の各収容空間A,Bの底は、設置高さが異なる第1、第2の底板3,4により形成されている。第2の底板4は外壁2の下端縁と内壁1の下端縁との間に一体に設けられている。第1の底板3は内壁1の下端縁より高い位置に一体に設けられている。
【0018】
内壁1と外壁2との間には5個の仕切壁5a〜5fが一体に設けられている。各仕切壁5a〜5fは下端縁が第2の底板4に一体に連設され、上端縁は内壁1および外壁2の各上端縁より下方に位置し、内壁1および外壁2の高さより低くなっている。各仕切壁5a〜5fによって第2の収容空間Bが6個の小空間b1〜b6に区分けされている。各仕切壁5a〜5fは小物入れの中心に対して放射状となっている。仕切壁5a,5bと仕切壁5c,5dとは互いにほぼ直交している。内壁1および外壁2は上端縁が同方向へ傾斜しているので、小空間b1〜b6の各深さは、小空間b1,b2が深く、小空間b5,b6が浅く、小空間b3,b4が中くらいである。
【0019】
内壁1の対向部間には第1の収容空間Aを2個の小空間a1,a2に区分けする仕切壁6が設けられている。仕切壁6は、下端縁が第1の底板3に一体に連設され、上端縁は内壁1の上端縁より下方に位置し、内壁1の高さより低くなっている。この仕切壁6は前記仕切壁5a,5bとほぼ直交している。内壁1は上端縁が傾斜しているので、小空間a1,a2の深さは、小空間a1が深く、小空間a2が浅い。
【0020】
第1の収容空間Aは、第2の収容空間Bと較べて底の位置が高く、浅くて広いので、消しゴムやクリップなどを収容するのに好適である。第2の収容空間Bは幅が狭く、各小空間b1〜b6は深さが異なるので、長さの異なる筆記具10を立てた状態で区分けして収容するのに好適である。
また、図示例の小物入れは、図5に示すように、上下反転して用いることが可能である。この場合、第2の底板4に相当する部分に対して第1の底板3に相当する部分は凹んでいるので、この凹みの部分を小物の収容空間7として用いることができる。例えば、この収容空間7に携帯電話11を収容した場合、携帯電話11が着信等によって振動しても、その振動や振動音は弾性材料より成る壁面で吸収されるので、周囲に振動や振動音が伝わるのを防止できる。
【0021】
内壁1、外壁2、第1、第2の各底板3,4、および各仕切壁5a〜5f,6は天然ゴムまたは合成ゴムのような弾性材料により一体に形成されている。
内壁1および外壁2は、図4に示すように、それぞれの肉厚が下端側に厚く上端側に薄くなっている。同図中、d1は内壁1の下端縁の肉厚、d2は内壁1の上端縁の肉厚を示しており、d2<d1である。また、t1は外壁2の下端縁の肉厚、t2は外壁2の上端縁の肉厚を示しており、t2<t1である
【0022】
上記した構成の小物入れは、内壁1、外壁2、第1、第2の各底板3,4、および各仕切壁5a〜5f,6が弾性材料により一体に形成されているので、壁全体が柔軟であり、撓んだり変形したりすることが可能である。そのうえ、内壁1および外壁2の肉厚は上端側が薄いので、第1、第2の各収容空間A,B、さらには、収容空間A,B内の各小空間a1,a2.b1〜b6は、図4において一点鎖線で示すように、上面の開口を押し広げることが可能である。その結果、収容したい文具小物が収容空間A,Bから多少はみ出すような形状や大きさであっても、壁面が変形して拡張し、文具小物を収容することが可能となる。
【0023】
また、1個でも多くの文具小物を収容空間A,Bへ入れることが可能となり、文具小物の収容能力が増す。収容空間A,Bへ文具小物を押し込む際も、壁面が撓んだり変形したりするので、内壁1、外壁2、各仕切壁5a〜5f,6が破損したり、文具小物が傷付けられたりすることがない。さらに、収容空間A,Bに多数個の文具小物を窮屈な程に押し込んだ場合、その取出しに際して、第1、第2の各収容空間A,B、さらには、各収容空間A,B内の各小空間a1,a2,b1〜b6は上面の開口を押し広げることができるので、取出しに支障をきたすこともない。
【0024】
一方において、内壁1および外壁2の肉厚は下端の側が厚く、そのうえ、内壁1と外壁2との間に設けられた仕切壁5a〜5fおよび内壁1の仕切壁6が補強リブとして機能するので、優れた強度と保形性が得られ、全体が型くずれすることもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の一実施例である小物入れの外観を示す斜視図である。
【図2】図1の実施例の平面図である。
【図3】図2のC−C線に沿う断面図である。
【図4】図1の実施例の拡大断面図である。
【図5】図1の実施例の他の使用例を示す斜視図である。
【図6】従来のペン立ての一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 内壁
2 外壁
3 第1の底板
4 第2の底板
5a〜5f 仕切壁
6 仕切壁
A 第1の収容空間
B 第2の収容空間
a1,a2 小空間
b1〜b6 小空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口の閉じられた第1の収容空間を形成する内壁と、内壁の外周を一周し内壁との間に上面開口の第2の収容空間を形成する外壁と、第1の収容空間の底を形成する第1の底板と、第2の収容空間の底を形成する第2の底板と、内壁と外壁との間に設けられ第2の収容空間を複数の小空間に区分けする複数の仕切壁とを備え、内壁、外壁、第1、第2の各底板、および各仕切壁は弾性材料により一体に形成されており、内壁および外壁は、それぞれの肉厚が下端側に厚く上端側に薄くなるように形成されて成る小物入れ。
【請求項2】
仕切壁は、互いに直交する方向に設けられた仕切壁を含んでいる請求項1に記載された小物入れ。
【請求項3】
内壁の対向部間に第1の収容空間を複数の小空間に区分けする仕切壁が設けられている請求項1に記載された小物入れ。
【請求項4】
仕切壁が内壁および外壁の高さより低く形成されている請求項1〜3のいずれかに記載された小物入れ。
【請求項5】
第2の底板は外壁の下端縁と内壁の下端縁との間に設けられ、第1の底板は内壁の下端縁より高い位置に設けられている請求項1に記載された小物入れ。
【請求項6】
内壁および外壁の各上端縁は 同方向へ斜めに傾斜している請求項1に記載された小物入れ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−64333(P2010−64333A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231998(P2008−231998)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(307012344)株式会社構造総研 (6)
【Fターム(参考)】