説明

少なくとも1つのオルトジフェノール、1つの金属塩、過酸化水素及び(重)炭酸塩を含む組成物から出発する染髪方法

【課題】オルトジフェノールから出発して、特に、オルトジフェノールが豊富な天然抽出物から出発して、強力な着色を得る一方、ケラチン繊維の脱色を抑えることが可能な染色方法を開発する必要性がある。特に、髪に対する侵襲性が低いと同時に、外部因子(光、悪天候、シャンプー処理)に耐え、持続的かつ均質であるが、強力性及び染色性を維持する着色を得る必要性がある。
【解決手段】本発明の主題は、i)少なくとも1つのオルトジフェノール誘導体、ii)少なくとも1つの金属塩、iii)少なくとも過酸化水素、または過酸化水素を生成する少なくとも1つの系及びiv)少なくとも(重)炭酸塩をケラチン繊維に塗布することによって前記繊維を染色するための方法である。本発明の別の主題は、成分i)、ii)、iii)及びiv)を含む多区画デバイスである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、i)少なくとも1つのオルトジフェノール誘導体、ii)少なくとも1つの金属塩、iii)少なくとも1つの過酸化水素、または過酸化水素を生成する少なくとも1つの系及びiv)少なくとも(重)炭酸塩でケラチン繊維を処理することによって前記繊維を染色するための方法である。
【背景技術】
【0002】
オルトまたはパラフェニレンジアミン、オルトまたはパラアミノフェノール及び複素環式化合物などの、酸化塩基として広く知られている酸化染料前駆体を含む染色組成物を用いて「恒久的」着色を得ることが知られている。これらの酸化塩基は、酸化性物質と組み合わせると、酸化カップリングプロセスによって着色化合物を生成する無色または淡色の化合物である。これらの酸化塩基とカップラーまたは着色調節剤を組み合わせることによって得られる色調を変化させることが可能であることも知られており、着色調節剤は、特に、芳香族メタジアミン、メタアミノフェノール、メタジフェノール、及びインドール化合物などの特定の複素環式化合物から選択される。この酸化染色方法は、塩基、または塩基及びカップラーの酸化剤としての過酸化水素(H2O2もしくは過酸化水素水溶液)との混合物をケラチン繊維に塗布し、拡散させ、次いで繊維を濯ぐことである。それから得られる着色は、恒久的であり、強力であり、外部因子、特に、光、悪天候、洗浄処理、蒸散及び擦り作用に対して耐性を有する。
【0003】
しかし、それらを含む市販の染髪料は、汚染、または臭い、快適性及びケラチン繊維の分解の問題などの欠点を示し得る。これは、特に、酸化染色処理に当てはまる。
【0004】
染色の分野において、金属塩、特にマンガン及び/または亜鉛塩の存在下で、オルトジフェノール化合物から出発して髪または皮膚などのケラチン物質を染色することも知られている。特に、特許出願の仏国特許第2814943号、仏国特許第2814945号、仏国特許第2814946号及び仏国特許第2814947号は、少なくとも1つのオルトジフェノール、特定のマンガン、亜鉛/炭酸水素の比率で、マンガン及び/または亜鉛塩及び酸化物、炭酸水素型のアルカリ剤、ならびに任意に酵素を含む染料前駆体を含む、皮膚またはケラチン繊維を染色するための組成物を提供する。これらの文献によれば、過酸化水素を使用せずに強度の着色を得ることが可能である。しかし、得られた着色は、特に髪繊維の場合、強度が不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】仏国特許第2814943号
【特許文献2】仏国特許第2814945号
【特許文献3】仏国特許第2814946号
【特許文献4】仏国特許第2814947号
【特許文献5】米国特許第5008093号
【特許文献6】米国特許第3376110号
【特許文献7】米国特許第5183901号
【特許文献8】仏国特許第2586913号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オルトジフェノールから出発して、特に、オルトジフェノールが豊富な天然抽出物から出発して、強力な着色を得る一方、ケラチン繊維の脱色を抑えることが可能な染色方法を開発する必要性がある。特に、髪に対する侵襲性が低いと同時に、外部因子(光、悪天候、シャンプー処理)に耐え、持続的かつ均質であるが、強力性及び染色性を維持する着色を得る必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、その主題が、
ケラチン繊維を染色するための方法であって、前記繊維を
i)1つまたは複数のオルトジフェノール誘導体、
ii)1つまたは複数の金属塩、
iii)過酸化水素、または過酸化水素を生成する1つまたは複数の系、及び
iv)1つまたは複数の(重)炭酸塩
で処理し、
方法が、過酸化水素を生成する1つまたは複数の系を実施し、前記方法が2つ以上の段階で行われるときは、(重)炭酸塩を金属塩と一緒にケラチン繊維に塗布することはできないことを条件とする方法である本発明によって達成される。
【0008】
本発明の別の主題は、ケラチン繊維を染色するための化粧品組成物であって、
i)1つまたは複数のオルトジフェノール誘導体、
ii)1つまたは複数の金属塩、
iii)過酸化水素、または過酸化水素を生成する1つまたは複数の系、及び
iv)1つまたは複数の(重)炭酸塩、を含む。本発明の具体的な実施形態によれば、該組成物は、水性組成物である。
【0009】
本発明の別の主題は、上に定義されているi)からiv)の成分を含む多区画デバイスに関する。
【0010】
本発明による方法は、ヒトケラチン繊維を染色して、その結果、洗浄処理、発汗、皮脂及び光に対して耐性を有し、さらに前記繊維に有害な変化をもたらすことなく存続する強力かつ染色性のある着色をもたらすという利点を有する。また、該方法から出発して得られる着色では、繊維の根から先端までにわたって均一の色が得られる(染色選択性が低い)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
i)オルト-ジフェノール誘導体
本発明の具体的な形態は、オルトジフェノール誘導体、または芳香族環の2個の隣接する炭素原子によって担持される少なくとも2個のヒドロキシル(OH)基を含む少なくとも1個の芳香族環、好ましくはベンゼン環を含む化合物の混合物に関する。本発明による1つまたは複数のオルトジフェノール誘導体は、特に、インドール単位を含む自動酸化性誘導体ではない。より特定すると、オルトジフェノール誘導体は、5,6-ジヒドロキシインドール以外である。
【0012】
芳香族環は、より特定すると、縮合アリール環または縮合複素環式芳香族環、すなわち1個または複数のヘテロ原子を任意に含む、環、例えば、ベンゼン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、インダン、インデン、アントラセン、フェナントレン、イソインドール、インドリン、イソインドリン、ベンゾフラン、ジヒドロベンゾフラン、クロマン、イソクロマン、クロメン、イソクロメン、キノリン、テトラヒドロキノリン及びイソキノリンであってよく、前記芳香族環は、芳香族環の2個の隣接する炭素原子によって担持される少なくとも2個のヒドロキシル基を含む。好ましくは、本発明によるオルトジフェノール誘導体の芳香族環は、ベンゼン環である。
【0013】
縮合環は、少なくとも2個の飽和または不飽和の複素環式または非複素環式環が共通の結合を示す、すなわち少なくとも1個の環が、別の環と隣接して配置されていることを意味するものと理解される。
【0014】
本発明によるオルトジフェノールは、塩の形態または遊離形態であってよい。それらは、(結合糖のない)無糖体の形態またはグリコシル化化合物の形態で存在することもできる。
【0015】
より特定すると、オルトジフェノール誘導体i)は、塩の形態または遊離形態の、式(I)の化合物またはそのオリゴマーの1つを表す。
【0016】
【化1】

【0017】
式(I)において、置換基は以下の通りである。
・R1からR4は、同一または異なり、
-水素原子、
-ハロゲン原子、
-ヒドロキシル基、
-カルボキシル基、
-アルキルカルボキシレートまたはアルコキシカルボニル基、
-任意に置換された、アミノ基、
-任意に置換された、直鎖状または分枝状アルキル基、
-任意に置換された、直鎖状または分枝状アルケニル基、
-任意に置換された、シクロアルキル基、
-アルコキシ基、
-アルコキシアルキル基、
-アリール基が任意に置換されていてよい、アルコキシアリール基、
-アリール基、
-置換アリール基、
-カチオンまたはアニオン電荷を担持し、または担持せず、任意に置換されており、かつ/または特に1個または複数のヒドロキシルもしくはグリコシルオキシ基で任意に置換された、芳香族環、好ましくはベンゼン環と任意に縮合された、飽和または不飽和複素環式基、
-1個または複数の珪素原子を含む基を表し、あるいは
・2個の隣接する炭素原子によって担持される置換基の2つ、R1-R2、R2-R3またはR3-R4は、それらを担持する炭素原子と一緒になって、1個または複数のヘテロ原子を任意に含み、1個または複数のヘテロ原子を任意に含む、1個または複数の飽和または不飽和環と任意に縮合された、飽和または不飽和の芳香族または非芳香族環を形成する。特に、R1からR4は、一緒になって、1から4個の環を形成する。
【0018】
本発明の具体的な実施形態は、その2個の隣接する置換基R1-R2、R2-R3またはR3-R4が、それらを担持する炭素原子とピロリル基を形成することができない式(I)のオルトジフェノール誘導体に関する。より特定すると、R2及びR3は、2つのヒドロキシルを担持するベンゼン環に縮合されたピロリル基を形成することができない。
【0019】
飽和または不飽和の任意に縮合された環は、任意に置換されていてもよい。
【0020】
アルキル基は、飽和の直鎖状または分枝状炭化水素基、一般にはC1〜C20基、特にC1〜C10基、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルなどのC1〜C6アルキル基である。
【0021】
アルケニル基は、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、2-メチルプロピレン及びデシレンなどの、好ましくは少なくとも1つの二重結合を含むC2〜C20不飽和の直鎖状または分枝状の炭化水素基である。
【0022】
アリール基は、好ましくは6から30個の炭素原子を含み、芳香族である少なくとも1個の環を有する、縮合されていてもいなくてもよい単環式または多環式炭素含有基であり;好ましくは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インデニル、アントラセニル及びテトラヒドロナフチルがアリール基から選択される。
【0023】
アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ及びブトキシなどの、上に定義されているアルキル、好ましくはC1〜C10アルキルを有するアルキルオキシ基である。
【0024】
アルコキシアルキル基は、好ましくは、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル及びエトキシエチル等の(C1〜C20)アルコキシ(C1〜C20)アルキル基である。
【0025】
シクロアルキル基は、一般にはC4〜C8シクロアルキル基、好ましくはシクロペンチル及びシクロヘキシル基である。シクロアルキル基は、置換シクロアルキル基、特に、アルキル、アルコキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、アミン及びケトン基で置換されたシクロアルキル基であり得る。
【0026】
アルキルまたはアルケニル基は、それらが任意に置換されているとき、
-ハロゲン原子;
-ヒドロキシル基;
-C1〜C2アルコキシ基;
-C1〜C10アルコキシカルボニル基;
-(ポリ)ヒドロキシ(C2〜C4)アルコキシ基;
-アミノ基;
-5員または6員ヘテロシクロアルキル基;
-任意にカチオン性の、5員または6員ヘテロアリール基、好ましくは、(C1〜C4)アルキル基、好ましくはメチル基で任意に置換された、イミダゾリウム基;
-少なくとも以下の基:
*1個のヒドロキシル基、
*それらが結合された窒素原子と一緒になって、窒素原子以外または窒素原子と同じ少なくとも1個の他のヘテロ原子を任意に含む、飽和または不飽和の任意に置換された、5から7員複素環を形成することが可能である、1個または2個の任意に置換された、C1〜C3アルキル基で任意に置換された、1個のアミノ基、
*R'、R''及びR'''が、同一または異なり、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表し、M-が、対応する有機酸、無機酸またはハロゲン化物の対イオンを表す1個の四級アンモニウム基-N+R'R''R'''M-、あるいは
*1個の、任意にカチオン性の、5員または6員ヘテロアリール基、好ましくは、(C1〜C4)アルキル基、好ましくはメチル基で任意に置換された、イミダゾリウム基
を任意に担持する、1個または2個の同一または異なるC1〜C6アルキル基で置換されたアミノ基;
-R基が水素原子、または少なくとも1個のヒドロキシル基を任意に担持する、C1〜C4アルキル基であり、R'基がC1〜C2アルキル基であるアシルアミノ(-NR-COR')基;R基が同一または異なり、水素原子、または少なくとも1個のヒドロキシル基を任意に担持する、C1〜C4アルキル基を表すカルバモイル((R)2N-CO-)基;R基が水素原子、または少なくとも1個のヒドロキシル基を任意に担持する、C1〜C4アルキル基を表し、R'基がC1〜C4アルキル基またはフェニル基を表すアルキルスルホニルアミノ(R'SO2-NR-)基;R基が、同一または異なり、水素原子、または少なくとも1個のヒドロキシル基を任意に担持する、C1〜C4アルキル基を表すアミノスルホニル((R)2N-SO2-)基、
-酸の形態、または塩(好ましくは、アルカリ金属または置換もしくは非置換のアンモニウムとの塩)の形態のカルボキシル基;
-シアノ基;
-ニトロ基;
-カルボキシルまたはグリコシルカルボニル基;
-1個または複数のヒドロキシル基で任意に置換された、フェニルカルボニルオキシ基;
-グリコシルオキシ基;及び
-1個または複数のヒドロキシル基で任意に置換された、フェニル基から選択される、少なくとも1個の炭素原子によって担持される少なくとも1個の置換基で置換されていてよい。
【0027】
アリールもしくは複素環式基または該基のアリールもしくは複素環部は、それらが任意に置換されているときは、
-以下の基:ヒドロキシル、C1〜C2アルコキシ、(ポリ)ヒドロキシ(C2〜C4)アルコキシ、アシルアミノ、あるいは少なくとも1個のヒドロキシル基を任意に担持し、またはそれらが結合された窒素原子とともに、窒素と同じまたは異なる別のヘテロ原子を任意に含む、飽和または不飽和の任意に置換された、5から7員、好ましくは5員または6員の複素環を形成することが可能である2個の同一または異なるC1〜C4アルキル基で置換されたアミノから選択される1個または複数の基で任意に置換された、C1〜C10、好ましくはC1〜C8アルキル基;
-ハロゲン原子;
-ヒドロキシル基;
-C1〜C2アルコキシ基;
-C1〜C10アルコキシカルボニル基;
-(ポリ)ヒドロキシ(C2〜C4)アルコキシ基;
-アミノ基;
-5員または6員ヘテロシクロアルキル基;
-任意にカチオン性の、5員または6員ヘテロアリール基、好ましくは、(C1〜C4)アルキル基、好ましくはメチル基で任意に置換された、イミダゾリウム基;
-少なくとも以下の基:
*1個のヒドロキシル基、
*それらが結合された窒素原子と一緒になって、窒素原子以外または窒素原子と同じ少なくとも1個の他のヘテロ原子を任意に含む、飽和または不飽和の任意に置換された、5から7員複素環を形成することが可能である1個または2個の任意に置換された、C1〜C3アルキル基で任意に置換された、1個のアミノ基、
*R'、R''及びR'''が、同一または異なり、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表し、M-が、対応する有機酸、無機酸またはハロゲン化物の対イオンを表す1個の四級アンモニウム基-N+R'R''R'''M-、あるいは
*1つの、任意にカチオン性の、5員または6員ヘテロアリール基、好ましくは、(C1〜C4)アルキル基、好ましくはメチル基で任意に置換された、イミダゾリウム基
を任意に担持する、1個または2個の同一または異なるC1〜C6アルキル基で置換されたアミノ基;
-R基が水素原子、または少なくとも1個のヒドロキシル基を任意に担持する、C1〜C4アルキル基であり、R'基がC1〜C2アルキル基であるアシルアミノ(-NR-COR')基;R基が、同一または異なり、水素原子、または少なくとも1個のヒドロキシル基を任意に担持する、C1〜C4アルキル基を表すカルバモイル((R)2N-CO-)基;R基が水素原子、または少なくとも1個のヒドロキシル基を任意に担持する、C1〜C4アルキル基を表し、R'基がC1〜C4アルキル基またはフェニル基を表すアルキルスルホニルアミノ(R'SO2-NR-)基;あるいは、R基が、同一または異なり、水素原子、または少なくとも1個のヒドロキシル基を任意に担持する、C1〜C4アルキル基を表すアミノスルホニル((R)2N-SO2-)基、
-酸の形態、または塩(好ましくは、アルカリ金属または置換もしくは非置換のアンモニウムとの塩)の形態のカルボキシル基;
-シアノ基;
-ニトロ基;
-ポリハロアルキル基、好ましくはトリフルオロメチル;
-カルボキシルまたはグリコシルカルボニル基;
-1個または複数のヒドロキシル基で任意に置換された、フェニルカルボニルオキシ基;
-グリコシルオキシ基;及び
-1個または複数のヒドロキシル基で任意に置換された、フェニル基から選択される、少なくとも1個の炭素原子によって担持される少なくとも1個の置換基で置換されていてよい。
【0028】
グリコシル基は、単糖類または多糖類に由来する基を指すものと理解される。
【0029】
1個または複数の珪素原子を含む基は、好ましくは、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジメチルフェニルシロキサンまたはステアロキシジメチコン基である。
【0030】
複素環式基は、一般には、特に、1つまたは複数のアルキル、アルコキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、アミンまたはケトン基で任意に置換されたO、N及びS、好ましくはOまたはNから選択される1個または複数のヘテロ原子を少なくとも1つの環に含む基である。これらの環は、複素環の炭素原子上に1個または複数のオキソ基を含むことができる。
【0031】
使用できる複素環式基の中では、フリル、ピラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジルまたはチエニル基を挙げることができる。
【0032】
より特定すると、複素環式基は、ベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、インドリル、イソインドリル、キノリル、イソキノリル、クロマニル、イソクロマニル、インドリニル、イソインドリニル、クマリニルまたはイソクマリニル基などの縮合環であり、これらの基を特に1つまたは複数のOH基で置換することが可能である。
【0033】
本発明の方法に使用されるオルトジフェノールは、天然物または合成物であり得る。天然のオルトジフェノールは、自然に存在することができ、化学的(準)合成によって再生される化合物を含む。
【0034】
本発明のオルトジフェノールの塩は、酸または塩基の塩であり得る。酸は、無機または有機酸であり得る。好ましくは、酸は、塩化物をもたらす塩酸である。
【0035】
塩基は、無機または有機塩基であり得る。特に、塩基は、ナトリウム塩をもたらす水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物である。
【0036】
本発明の具体的な実施形態によれば、該組成物は、成分i)として、自然に存在しない1つまたは複数の合成オルトジフェノール誘導体を含む。
【0037】
本発明の別の好適な実施形態によれば、ケラチン繊維を染色するための方法は、成分i)として、1つまたは複数の天然オルトジフェノール誘導体を使用する。
【0038】
より特定すると、i)による本発明の方法に使用できるオルトジフェノールは、特に、
-カテキン及びエピカテキン没食子酸塩などのフラバノール、
-クエルセチンなどのフラボノール、
-シアニジン、デルフィニジンまたはペツニジンなどのアントシアニジン、
-ミルチリンなどのアントシアニンまたはアントシアン、
-オルトヒドロキシベンゾエート、例えば没食子酸塩、
-ルテオリンなどのフラボン、
-ヒドロキシスチルベン、例えば、任意にオキシル化された(例えば、グルコシル化された)、3,3',4,5'-テトラヒドロキシスチルベン、
-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン及びその誘導体、
-2,3-ジヒドロキシフェニルアラニン及びその誘導体、
-4,5-ジヒドロキシフェニルアラニン及びその誘導体、
-カフェー酸及びクロロゲン酸などのジヒドロキシシンナメート、
-オルトポリヒドロキシクマリン、
-オルトポリヒドロキシイソクマリン、
-オルトポリヒドロキシクマロン、
-オルトポリヒドロキシイソクマロン、
-オルトポリヒドロキシカルコン、
-オルトポリヒドロキシクロモン、
-オルトポリヒドロキシキノン、
-オルトポリヒドロキシキサントン、
-1,2-ジヒドロキシベンゼン及びその誘導体、
-1,2,4-トリヒドロキシベンゼン及びその誘導体、
-1,2,3-トリヒドロキシベンゼン及びその誘導体、
-2,4,5-トリヒドロキシトルエン及びその誘導体、
-プロアントシアニジン、特にプロアントシアニジンA1、A2、B1、B2、B3及びC1、
-プロアントシアニン、
-タンニン酸、
-エラグ酸、及び
-上記化合物の混合物である。
【0039】
染色前駆体がD及びL形を示すときは、いずれの形もラセミ体も本発明による組成物に使用することができる。
【0040】
一実施形態によれば、天然のオルトジフェノールは、それらの全体または一部が使用される動物、細菌、真菌、藻類または植物の抽出物に由来する。特に植物に関して、該抽出物は、柑橘類果実を含む果実、野菜、樹木または低木などの植物または植物の部分に由来する。上に定義されているオルトジフェノールが豊富なこれらの抽出物の混合物を使用することもできる。
【0041】
好ましくは、本発明の天然の1つまたは複数のオルトジフェノールは、植物または植物の部分の抽出物に由来する。
【0042】
本発明の意味の範囲内において、前記抽出物は、全体として化合物i)と見なされることになる。
【0043】
該抽出物は、例えば、根、木、樹皮、葉、花、果実、種子、殻または皮などの植物の様々な部分の抽出によって得られる。
【0044】
植物の抽出物の中では、茶葉またはローズの抽出物を挙げることができる。
【0045】
果実の抽出物の中では、リンゴまたはブドウ(特にブドウの種子)の抽出物あるいはココア豆及び/または豆果の抽出物を挙げることができる。
【0046】
野菜の抽出物の中では、ジャガイモまたはタマネギの皮の抽出物を挙げることができる。
【0047】
樹木の抽出物の中では、松樹皮の抽出物またはログウッドの抽出物を挙げることができる。
【0048】
植物抽出物の混合物を使用することもできる。
【0049】
本発明の具体的な実施形態によれば、1つまたは複数のオルトジフェノール誘導体は、オルトジフェノールが豊富な天然抽出物である。好適な形態によれば、1つまたは複数のオルトジフェノール誘導体は、もっぱら天然の抽出物である。
【0050】
本発明による天然抽出物を粉末または液体の形で提供することができる。好ましくは、本発明の抽出物は、粉末の形態で提供される。
【0051】
本発明によれば、本発明による方法に使用される1つまたは複数の組成物における成分i)として使用される合成または天然オルトジフェノール誘導体及び/または天然抽出物は、好ましくは、1つまたは複数のオルトジフェノールあるいは1つまたは複数の抽出物を含む1つまたは複数の組成物の全重量の0.001重量%から20重量%を占める。
【0052】
純粋のオルトジフェノールに関して、それらを含む1つまたは複数の組成物における含有量は、好ましくは、これらの組成物の各々の0.001から5重量%である。
【0053】
抽出物に関して、抽出物そのものを含む1つまたは複数の組成物における含有量は、好ましくは、これらの組成物の各々の0.5から20重量%である。
【0054】
ii)金属塩
本発明の方法は、金属塩である1つまたは複数の成分ii)を使用する。
【0055】
特に、金属塩は、マンガン(Mn)及び亜鉛(Zn)塩から選択される。
【0056】
本発明の意味の範囲内において、塩は、これらの金属の酸化物、及び特に金属に対する酸の作用に起因する適正な塩を指すものと理解される。好ましくは、塩は酸化物ではない。塩の中では、塩化物、フッ化物及びヨウ化物などのハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、及びカルボン酸の塩、及び前記塩を支持するポリマー複合体、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。
【0057】
より特定すると、マンガン塩は、炭酸マンガン、炭酸水素マンガンまたは炭酸二水素マンガン以外である。
【0058】
前記塩を支持することができるポリマー複合体の例として、ピロリドンカルボン酸マンガンを挙げることができる。
【0059】
本発明に使用できるカルボン酸の塩としては、グルコン酸塩などのヒドロキシル化カルボン酸の塩を挙げることもできる。
【0060】
例として、塩化マンガン、フッ化マンガン、酢酸マンガン四水和物、乳酸マンガン三水和物、リン酸マンガン、ヨウ化マンガン、硝酸マンガン三水和物、臭化マンガン、過塩素酸マンガン四水和物、硫酸マンガン一水和物及びグルコン酸マンガンを挙げることができる。有利に使用される塩は、グルコン酸マンガン及び塩化マンガンである。
【0061】
亜鉛塩の中では、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、塩化亜鉛、乳酸亜鉛、酢酸亜鉛、グリシン酸亜鉛及びアスパラギン酸亜鉛を挙げることができる。
【0062】
マンガン塩及び亜鉛塩は、固体の形で組成物に導入され得るか、あるいはこれらのイオンが豊富な天然の鉱水もしくは温水、または海水(特に死海水)に由来し得る。それらは、また、クレイ(例えばグリーンクレイ)などの土壌または鉱石などの無機化合物、あるいはそれらを含む植物抽出物に由来し得る(例えば、特許文献の仏国特許第2814943号参照)。
【0063】
特に、本発明の金属塩は、Mn(II)及びZn(II)のように2の酸化状態を有する。
【0064】
本発明の好適な実施形態によれば、使用される金属塩は、このまたはこれらの金属塩を含む組成物の全重量の約0.001重量%から10重量%、より好ましくは約0.05重量%から0.1重量%を占める。
【0065】
iii)過酸化水素、または過酸化水素を生成する系
本発明に関して、第3の構成成分は、過酸化水素、あるいは
a)尿素過酸化水素;
b)特に粉末の形態で提供される、ポリビニルピロリドン/H2O2などの、過酸化水素を放出するポリマー複合体、ならびに米国特許第5008093号、米国特許第3376110号及び米国特許第5183901号に記載されている他のポリマー複合体;
c)適切な基質(例えば、グルコースオキシダーゼの場合はグルコース、またはウリカーゼを含む尿酸)の存在下で過酸化水素を生成するオキシダーゼ;
d)過酸化カルシウムまたは過酸化マグネシウムなどの、水中で過酸化水素を生成する金属過酸化物;
e)ペルボレート;または
f)ペルカーボネート
などの、過酸化水素を生成する1つまたは複数の系である。
【0066】
本発明の好適な実施形態によれば、1つまたは複数の組成物は、a)尿素過酸化水素;b)ポリビニルピロリドン/H2O2などの、過酸化水素を放出するポリマー複合体;c)オキシダーゼ; e)ペルボレート;またはf)過炭酸塩から選択される、過酸化水素を生成する1つまたは複数の系を含む。
【0067】
特に、第3の構成成分は、過酸化水素である。
【0068】
また、過酸化水素または過酸化水素生成系を含む、1つまたは複数の組成物は、以下のvi)に定義されている髪を染色するための組成物に従来使用されている様々な補助剤を含むこともできる。
【0069】
本発明の具体的な形態によれば、使用される過酸化水素、または過酸化水素を生成する系は、それまたはそれらを含む1つまたは複数の組成物の全重量に対して、過酸化水素の0.001重量%から12重量%、より好ましくは0.2重量%から2.7重量%を占める。
【0070】
iv)(重)炭酸塩
本発明に関して、第4の成分は、(重)炭酸塩から選択される。
【0071】
(重)炭酸塩は、
a)Met'がアルカリ土類金属を表し、Metがアルカリ金属を表し、R''が、同一または異なり、水素原子、またはヒドロキシエチル基などの、任意に置換された、(C1〜C6)アルキル基を表す、アルカリ金属(Met+2 CO32-)、アルカリ土類金属(Met'2+ CO32-)、アンモニウム((R''4N+)2 CO32-)またはホスホニウム((R''4P+)2 CO32-)の炭酸塩;及び
b)以下の式:
R'+HCO3-(R'が水素原子、アルカリ金属またはアンモニウムR''4N+もしくはホスホニウムR''4P+基を表し、R''が、同一または異なり、水素原子、またはヒドロキシエチル基などの、任意に置換された、(C1〜C6)アルキル基を表し、R'が水素原子を表すときは、炭酸水素塩が、炭酸二水素塩(CO2、H2O)と称する);及び
Met'2+(HCO3-)2(Met'がアルカリ土類金属を表す)を有する炭酸水素塩としても知られる重炭酸塩を指すものと理解される。
【0072】
より特定すると、第4の成分は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属(重)炭酸塩、好ましくはアルカリ金属(重)炭酸塩から選択される。
【0073】
炭酸または炭酸水素ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム及びそれらの混合物、特に炭酸水素ナトリウムを挙げることができる。これらの炭酸水素塩は、天然水、例えば、Vichy川またはLa Roche-PosayもしくはRadoit水からの湧水に由来し得る(例えば、特許文献の仏国特許第2814943号参照)。特に、炭酸ナトリウム[497-19-8]=Na2CO3、炭酸水素ナトリウムまたは重炭酸ナトリウム[144-55-8]=NaHCO3及び炭酸二水素ナトリウム=Na(HCO3)2を挙げることができる。
【0074】
本発明によれば、使用される1つまたは複数の(重)炭酸塩剤は、好ましくは、1つまたは複数の(重)炭酸塩剤を含む1つまたは複数の組成物の全重量の0.001重量%から10重量%、より好ましくは0.005重量%から5重量%を占める。
【0075】
v)水:
本発明の一実施形態によれば、好ましくは、本発明の方法には水が含まれる。それは、ケラチン繊維の湿り及び/または上に定義されている化合物i)からiv)を含む1つまたは複数の組成物、または1つまたは複数の他の組成物に由来し得る。好ましくは、水は、少なくとも、上に定義されているi)からiv)から選択される少なくとも1つの化合物を含む組成物に由来する。
【0076】
vi)化粧品組成物
本発明による化粧品組成物は、化粧品として許容し得る。すなわち、それらは、一般には、水または水と1つもしくは複数の有機溶媒との混合物、または有機溶媒の混合物を含む着色媒体を含む。
【0077】
有機溶媒は、別の物質を化学的に変性させることなく溶解または分散させることが可能な有機物を指すものと理解される。
【0078】
有機溶媒:
有機溶媒としては、例えば、エタノール及びイソプロパノールなどの低級C1〜C4アルカノール、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルまたはヘキシレングリコールなどのポリオール及びポリオールエーテル、ならびにベンゼンアルコールまたはフェノキシエタノールなどの芳香族アルコールを挙げることができる。
【0079】
有機溶媒は、好ましくは、染色組成物の全重量に対して、約1から40重量%、より好ましくは約5から30重量%の割合で存在する。
【0080】
補助剤
本発明による着色方法の1つまたは複数の組成物は、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性もしくは両性イオン性界面活性剤またはそれらの混合物、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性もしくは両性イオン性ポリマーまたはそれらのブレンド、無機または有機増粘剤、特に、アニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性ポリマー結合性増粘剤、酸化防止剤、滲透剤、金属イオン封鎖剤、芳香剤、緩衝剤、分散剤、例えば揮発性もしくは不揮発性の変性もしくは非変性シリコーンなどの調湿剤、膜形成剤、セラミド、防腐剤または乳白剤などの、髪を染色するための組成物に従来使用されている様々な補助剤を含むこともできる。
【0081】
前記補助剤は、好ましくは、アニオン性またはノニオン性界面活性剤またはそれらの混合物などの界面活性剤、及び無機または有機増粘剤から選択される。
【0082】
上記補助剤は、一般には、それらの各々について、組成物の重量に対して、0.01から40重量%、好ましくは、組成物の重量に対して0.1から20重量%の量で存在する。
【0083】
勿論、当業者は、本発明による着色方法に使用される組成物に本質的に付随する有利な特性が、想定される1つまたは複数の追加物による悪影響を受けない、または実質的に受けないように、このまたはこれらの任意の追加的な化合物を注意して選択することになる。
【0084】
追加の染料
上に定義されている成分i)からv)を使用する方法、または上に定義されている成分i)からv)を含む本発明による化粧品組成物は、1つまたは複数の追加的な直接染料をさらに使用または含むことができる。これらの直接染料は、例えば、直接染色に従来使用されている直接染料から選択され、それらの中では、中性、酸性またはカチオン性ニトロベンゼン直接染料、中性、酸性またはカチオン性アゾ直接染料、オルトジフェノール以外の天然直接染料、中性、酸性またはカチオン性キノン、特に、アントラキノン直接染料、アジン、トリアリールメタンまたはインドアミン直接染料、メチン、スチリル、ポルフィリン、メタロポルフィリン、フタロシアニン、メチンシアニン及び蛍光染料などの、広く使用されているすべての芳香族及び/または非芳香族染料を挙げることができる。これらの追加の染料のすべては、本発明によるオルトジフェノール誘導体と異なる。
【0085】
天然直接染料の中では、ローソン、ジュグロン、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジンまたはオルセインを挙げることができる。これらの天然染料を含む抽出物または煎出物、特に、パップまたはヘンナ系抽出物を使用することができる。
【0086】
1つまたは複数の組成物に使用される1つまたは複数の追加の直接染料は、好ましくは、それらを含む組成物の全重量の約0.001重量%から10重量%、より好ましくは、約0.05重量%から5重量%を占める。
【0087】
上に定義されている成分i)からv)を使用する方法の組成物、または上に定義されている成分i)からv)を含む本発明による化粧品組成物は、ケラチン繊維の染色に従来使用されている1つもしくは複数の酸化塩基及び/または1つもしくは複数のカップラーを使用または含むこともできる。
【0088】
酸化塩基の中では、パラフェニレンジアミン、ビスフェニルアルキレンジアミン、パラアミノフェノール、ビスパラアミノフェノール、オルトアミノフェノール、複素環式塩基及びそれらの付加塩を挙げることができる。
【0089】
これらのカップラーの中では、メタフェニレンジアミン、メタアミノフェノール、メタジフェノール、ナフタレンカップラー、複素環式カップラー及びそれらの付加塩を特に挙げることができる。
【0090】
組成物に存在する酸化塩基は、一般には、それぞれ、対応する組成物の全重量の0.001から10重量%の量で存在する。
【0091】
本発明の化粧品組成物を粉剤、ローション剤、泡剤、クリーム剤またはゲル剤などの様々な製剤の形、あるいはケラチン繊維の染色を実施するのに適切な任意の他の形で提供することができる。それを、噴射剤を含まないポンプ作用スプレーとして、または噴射剤の存在下におけるエアロゾル容器中加圧下で梱包し、泡を形成させることもできる。
【0092】
組成物のpH
本発明の具体的な形態によれば、1つまたは複数の(重)炭酸塩を含む1つまたは複数の組成物のpHは、7を超え、好ましくは8から12、特に8から10である。
【0093】
1つまたは複数の組成物が(重)炭酸塩を含まない場合は、過酸化水素、または過酸化水素を生成する系を含む1つまたは複数の組成物のpHは、好ましくは、7未満、より特に1から5である。
【0094】
好ましくは、本発明の1つまたは複数のオルトジフェノールを含み、(重)炭酸塩を含まない1つまたは複数の組成物は、pHが7未満、好ましくは3から6.5である。
【0095】
本発明の具体的な形態によれば、1つまたは複数の金属塩を含み、(重)炭酸塩を含まない組成物は、pHが7未満、好ましくは3から6.5である。
【0096】
ケラチン繊維の染色に広く使用されている酸性化または塩基性化剤を使用して、または従来の緩衝剤系を使用して、これらの組成物のpHを所望の値に調整することができる。
【0097】
本発明に使用される組成物の酸性化剤の中では、例として、塩酸、オルトリン酸、硫酸、酢酸、酒石酸、クエン酸もしくは乳酸などのカルボン酸、またはスルホン酸などの無機または有機酸を挙げることができる。
【0098】
有利な一代替形態は、1つまたは複数の(重)炭酸塩を含む染色方法の1つまたは複数の組成物に塩基性化剤を添加することである。より特定すると、この塩基性剤は、アンモニア水溶液、アルカリ金属炭酸塩、モノ、ジ及びトリエタノールアミンなどのアルカノールアミン及びそれらの誘導体、ナトリウムまたは水酸化カリウム、及び以下の式(II)の化合物から選択される。
【0099】
【化2】

【0100】
(式中、Wは、ヒドロキシル基またはC1〜C4アルキル基で任意に置換された、プロピレン残基であり、Ra、Rb、Rc及びRdは、同一または異なり、水素原子、C1〜C4アルキル基またはC1〜C4ヒドロキシアルキル基を表す。)
【0101】
vii)1段または多段着色方法
本発明の具体的な一実施形態によれば、染色方法は、1つまたは複数の段階で、化粧品組成物中に一緒にまたは個別に以下の成分:
i)1つまたは複数のオルトジフェノール誘導体、
ii)好ましくは、Mn塩及びZn塩から選択される1つまたは複数の金属塩、
iii)過酸化水素、または過酸化水素を生成する1つまたは複数の系、及び
iv)1つまたは複数の(重)炭酸塩、あるいは(重)炭酸塩を生成する1つまたは複数の系を含む1つまたは複数の化粧品組成物をケラチン繊維に塗布することによって実施され、前記組成物の少なくとも1つが水性であることが理解される。
【0102】
1つまたは複数の成分i)、ii)、iii)及び/またはiv)を含む組成物の塗布の段階の間の放置時間は、3から120分、好ましくは10から60分、特に15から45分に設定される。
【0103】
ケラチン繊維は予め湿らせても、予め湿らせなくてもよい。
【0104】
より特定すると、本発明の方法において、1つまたは複数の化合物iv)は、
-成分i)、ii)及びiii)との混合物で存在するか、または
-成分i)、ii)及びiii)を含む化粧品組成物の塗布後に個別に塗布されるか、または
-成分i)及びii)を含む化粧品組成物の塗布後に成分iii)とともに塗布される。
【0105】
本発明の具体的な実施形態は、1段階または2段階着色方法である。
【0106】
本発明の具体的な形態によれば、ケラチン繊維を着色するための方法は、1段階で、上に定義されているi)、ii)、iii)及びiv)を含む水性化粧品染料組成物をケラチン染料に塗布することによって実施される。
【0107】
塗布後の放置時間は、一般には、3から120分、好ましくは10から60分、より好ましくは15から45分に設定される。
【0108】
本発明の別の具体的な実施形態によれば、ケラチン繊維を着色するための方法は、2段階で実施される。
【0109】
2段階方法の第1の代替的な形態において、第1の段階は、上に定義されている成分i)、ii)及びiii)を含む化粧品組成物を前記繊維に塗布する工程であり、次いで第2の段階において、上に定義されている成分iv)を含む化粧品組成物を前記繊維に塗布する。2つの組成物の少なくとも1つが水性であることが理解される。
【0110】
2段階でケラチン繊維を着色するための方法の第2の代替的な形において、第1の段階は、上に定義されている成分i)及びii)を含む組成物を前記繊維に塗布する工程であり、次いで第2の段階において、上に定義されている成分iii)及びiv)を含む第2の化粧品組成物を前記繊維に塗布する。好ましくは2つの組成物の少なくとも1つが水性であることが理解される。
【0111】
本発明の具体的な実施形態によれば、ケラチン繊維を着色するための方法は、成分iv)によるケラチン繊維処理で終わる少なくとも2つの段階で実施され、その後に、古典的な洗髪を利用した洗髪段階、特に水による濯ぎ段階及び/または以降に定義されるような熱処理によるケラチン繊維乾燥段階などの後処理段階を実施することができるが、ただし、前記プロセスは、成分iv)を実施する工程の直前に中間濯ぎ段階を含まない。
【0112】
優先的には、ケラチン繊維を着色するための方法は、2段階で実施される。第1の段階において、成分i)及びii)を一緒にケラチン繊維に塗布し、次いで第2の段階において、成分iii)及びiv)をケラチン繊維に塗布するか、あるいは第1の段階において成分i)、ii)及びiii)を一緒にケラチン繊維に塗布し、次いで第2の段階において成分iv)をケラチン繊維に塗布する。これらのプロセスの後に、特に水による濯ぎ段階及び/または古典的な洗髪を利用した洗髪段階、及び/または以降に定義されるような熱処理によるケラチン繊維乾燥段階などの1つまたは複数の段階を含む後処理を実施することができる。非常に重要な実施形態によれば、少なくとも2段階でケラチン繊維を着色するための方法は、第1の段階と第2の段階との間、すなわち成分i)、ii)、iii)及びiv)の混合物によるケラチン繊維の処理の間、または成分i)、ii)の混合物及びiii)、iv)の混合物によるケラチン繊維の処理の間に、中間濯ぎ段階を含めては実施されない。
【0113】
本発明のケラチン繊維を着色するための方法の非常に具体的な形態によれば、ケラチン繊維は、成分iv)を実施する工程の直前に、
a)以降に定義されるように機械的に拭かれる;
b)以降に定義されるような熱処理によって乾燥される;または
c)濯がれない、すなわち段階が連続的に実施される。
【0114】
より特定すると、前記方法の第1の段階と第2の段階との間で、ケラチン繊維は、
a)以降に記載されるように機械的に拭かれる;
b)以降に記載されるような熱処理によって乾燥される;または
c)濯がれない、すなわち段階が連続的に実施される。
【0115】
より優先的には、第1の段階と第2の段階との間で、ケラチン繊維は、特に、タオル、特にテリータオルまたはディッシュタオルなどの布である吸収性物品、あるいはキッチンタオルなどの吸収紙を介して拭かれ、あるいはケラチン繊維は、特に60から220℃、優先的には120から200℃の温度の熱処理による加熱によって乾燥される。
【0116】
少なくとも2段階でケラチン繊維を着色するための方法の別の具体的な実施形態は、第1の段階と第2の段階の間、すなわち成分i)、ii)、iii)及びiv)の混合物によるケラチン繊維の処理の間、または成分i)、ii)の混合物及びiii)、iv)の混合物によるケラチン繊維の処理の間に非常に高速の中間濯ぎ段階を含めて実施される。濯ぎ段階の時間は、水道水、または強力水噴射による水道シャワー水の下で、1秒から1分、より特に1秒から30秒、優先的には2秒などの2から5秒である。後者の高速濯ぎ段階の後に、以降に定義されるような機械的拭取りが行われる。
【0117】
これらの後者の方法では、第1の段階の化粧品組成物の塗布後の放置時間は、一般には、3から120分、好ましくは10から60分、より好ましくは15から45分に設定される。第2の段階の第2の化粧品組成物の塗布後の放置時間は、一般には、3から120分、好ましくは3から60分、より好ましくは5から30分に設定される。
【0118】
いずれの塗布方法でも、塗布温度は、一般には、室温(15から25℃)から80℃、より特に15から45℃である。したがって、有利には、本発明による組成物の塗布後に、髪を30から60℃の温度で加熱することによって熱処理することが可能である。実際、整髪フード、ヘアドライヤー、赤外線のディスペンサ及び他の従来の加熱装置を使用してこの処理を実施することができる。
【0119】
加熱手段及び髪を滑らかにする手段の両方として、60から220℃、好ましくは120から200℃の温度で加熱アイロンを使用することができる。
【0120】
本発明の具体的な形態は、室温(25℃)で実施される着色方法に関する。
【0121】
上記の方法のすべての具体的な形態及びすべての代替的な形において、言及される組成物は、使用時に2つ以上の組成物、特に染色キットに存在する組成物を混合することによって得ることができるすぐに使用できる組成物である。
【0122】
viii)機械的拭取り及び/または乾燥の段階:
本発明によるケラチン繊維を染色するための方法は、繊維の機械的拭取り及び/または乾燥の少なくとも1つの中間段階を含む。
【0123】
機械的拭取り及び乾燥段階は、強力水噴射の下での<<濯ぎ落とし>>、及び発色の第2の段階にそのまま進む<<非濯ぎ>>段階または<<放置>>と区別するために、<<制御放置>>とも呼ばれる。
【0124】
繊維の機械的拭取りは、繊維を吸収性物品で擦ること、及び吸収性物品を介して、繊維に滲透していない余剰の成分を物理的に除去することを指すものと理解される。吸収性物品は、タオル、特にテリータオルもしくはディッシュタオルなどの布、またはキッチンタオルなどの吸収紙であり得る。
【0125】
本発明の非常に興味深い実施形態によれば、ケラチン繊維を着色するための方法は、機械的拭取りを行い、ケラチン繊維を完全に乾燥させずに、湿った状態にする。
【0126】
乾燥は、上に定義されている1つまたは複数の成分i)からiv)を含む、または含まない、本発明の方法に使用される1つまたは複数の組成物に存在する有機溶媒及び/または水を蒸発させる作用を指すものと理解される。1つまたは複数の溶媒を蒸発させるのに必要な例えば空気などの高温ガスを送ることによって、熱源(対流、伝導または放射)を介して乾燥を実施することができる。熱源としては、フードヘアドライヤーを含むヘアドライヤー、髪を滑らかにするためのアイロン、赤外線のディスペンサ及び他の従来の加熱装置を挙げることができる。
【0127】
ix)染色デバイスまたは「キット」:
本発明の別の主題は、染色「キット」または多区画デバイスである。有利には、このキットは、i)1つまたは複数のオルトジフェノール誘導体、ii)1つまたは複数の金属塩、iii)過酸化水素または過酸化水素を生成する1つまたは複数の系、及びiv)1つまたは複数の(重)炭酸塩であり、前記組成物が水性または粉末状であり、特に、これらの組成物の少なくとも1つが水性である2つから5つの組成物を含む2つから5つの区画を含む。
【0128】
第1の代替的な形によれば、キットは、5つの区画を含み、最初の4つの区画は、上に定義されている成分i)、ii)、iii)及びiv)をそれぞれ粉末として含み、第5の区画は、水などの水性組成物を含む。この場合、1つまたは複数の化合物iii)は、過酸化水素前駆体である。
【0129】
別の代替的な形は、その1つが水性組成物を少なくとも含む、5つの区画を含み、上に定義されている成分i)からiv)を含むキットに関する。
【0130】
別の代替的な形において、このデバイスは、第1の区画が、i)1つまたは複数のオルトジフェノール誘導体を含む化粧品組成物を含み、第2の区画が、ii)1つまたは複数の金属塩を含む組成物を含み、第3の区画が、iii)過酸化水素または過酸化水素を生成する1つまたは複数の系を含む組成物を含み、第4の区画が、iv)1つまたは複数の(重)炭酸塩を含む組成物を含み、好ましくは、これらの組成物の少なくとも1つが水性である4つの区画を含む。
【0131】
別の好適な実施形態は、以下の3つの区画を含むデバイスに関する。
(a)第1の区画は、
i)1つまたは複数のオルトジフェノールを含む組成物を含み;
(b)第2の区画は、
ii)1つまたは複数の金属塩;
iii)過酸化水素または過酸化水素を生成する1つまたは複数の系を含む組成物を含み;
(c)第3の区画は、iv)1つまたは複数の(重)炭酸塩を含む。
【0132】
この他の実施形態において、3つの組成物の少なくとも1つは、好ましくは水性であり、1つまたは複数のオルトジフェノールは、粉末の形であり得る。
【0133】
i)1つまたは複数のオルトジフェノール及びii)1つまたは複数の金属塩を含む組成物を含む第1の区画a)、iii)過酸化水素または過酸化水素を生成する系を含む組成物を含む第2の区画b)、ならびにiv)(重)炭酸塩剤を含む組成物を含む第3の区画c)の3つの区画を含むキットを有することも可能である。この他のキットにおいて、組成物の少なくとも1つは、好ましくは水性である。この組成物は、好ましくは過酸化水素を含む。
【0134】
本発明の具体的な形態によれば、キットは、i)1つまたは複数のオルトジフェノール誘導体、ii)1つまたは複数の金属塩及びiii)過酸化水素または過酸化水素を生成する1つまたは複数の系を含む組成物を含む第1の区画、ならびにiv)1つまたは複数の(重)炭酸塩を含む第2の区画の2つの区画を含む。
【0135】
2つの区画を含むキットとしては、第1の区画に、上に定義されている化合物i)、ii)及びiv)を含む組成物を含み、第2の区画に、上に定義されている化合物iii)を含む組成物を含むキットを挙げることもできる。
【0136】
2つの区画を含むキットのこれらの2つの代替的な形において、i)、ii)及びiii)またはi)、ii)及びiv)を含む第1の区画に存在する第1の組成物は、粉末の形であり、好ましくは、第2の組成物は、水性である。
【0137】
代替的な形によれば、本発明によるデバイスは、また、1つまたは複数の処理剤を含む追加的な組成物(c)を含む。
【0138】
本発明によるデバイスの組成物は、目の細かいブラシを含むブラシ、またはスポンジなどの同一または異なる適切な塗布手段が任意に付随した、個別の区画に梱包される。
【0139】
例えば、特許の仏国特許第2586913号に記載されているデバイスのように、所望の混合物を髪に送達することを可能にする手段を、以上に挙げたデバイスに装備することもできる。
【0140】
(染色実施例)
(実施例1)
【0141】
以下の組成物を調製した。
【0142】
【表1】

【0143】
組成物(a1)を、90%の白髪を含む乾燥した自然の髪に髪1g当たり製剤5gの浴比で塗布する。続いて、処理した髪を、45℃で乾燥フードを使用して30分間展開させる。
【0144】
続いて、組成物(b1)を室温で10分間の展開時間にわたって髪に塗布する。数分後、非常に濃い赤銅色の着色が現れる。
【0145】
髪サンプルを濯ぎ、洗髪し、乾燥した後、いずれも濃い銅色の色彩に染色する。着色は、洗浄処理及び光に対して非常に強い耐性を有する。
(実施例2)
【0146】
以下の組成物を調製した。
【0147】
【表2】

【0148】
組成物(a2)を、90%の白髪を含む乾燥した自然の髪に髪1g当たり製剤5gの浴比で塗布する。続いて、処理した髪を室温で45分間展開させる。
【0149】
続いて、組成物(b1)を、室温で10分間の展開時間にわたって髪に塗布する。
【0150】
髪サンプルを濯ぎ、洗髪し、乾燥した後、それぞれ自然の薄い金色の色彩に染色する。着色は、洗浄処理及び光に対して非常に強い耐性を有する。
【0151】
I)比較例
以下の組成物を調製した。
【0152】
【表3】

【0153】
90%の白髪を含む乾燥した自然髪の房及び90%の白髪を含む乾燥したパーマ髪の房に、組成物Aを髪1g当たり製剤5gの浴比で塗布する。続いて、処理した髪を50℃の温度で30分間発色させる。
【0154】
最後に、余剰の製剤を除去するために、吸収性紙タオルを使用して、組成物が含浸された髪を拭く。
【0155】
【表4】

【0156】
続いて、組成物Bを髪に、髪房1g当たり4gの浴比で塗布する。発色時間は、室温で10分である。数分後、非常に濃い色が現れる。
【0157】
続いて、髪を水で濯ぎ、従来のシャンプーで洗浄し、フードの下で乾燥させる。
【0158】
比色結果
髪の染色状態を視覚的に評価し、L*、a*、b*比色測定を行うために、ミノルタ分光比色計(CM3600d、光源D65、角度10°、SCI値)で読み取る。
【0159】
このL*、a*、b*システムにおいて、L*は、色の強度を表し、a*は、緑色/赤色軸を示し、b*は、青色/黄色軸を示す。Lの値が小さいほど、色が濃い、または強い。A*の値が大きいほど、色彩が赤く、b*の値が大きいほど、色彩が黄色い。
【0160】
未処理(対照)の着色された自然/パーマの白髪の房と処理後のそれらとの染色差を、以下の式に従ってΔE*で定義する。
【0161】
【数1】

【0162】
この式において、L*、a*及びb*は、90%の白髪を含む自然/パーマの髪を染色した後に測定した値を表し、L0*、a0*及びb0*は、90%の白髪を含む未処理の自然/パーマの髪に対して測定した値を表す。
【0163】
ΔEの値が大きいほど、対照の髪房と染色した髪房との色の違いが大きい。
【0164】
着色は、洗浄処理及び光に対して非常に強い耐性を有する。
【0165】
【表5】

【0166】
上記表から、本発明による組成物で処理した自然またはパーマの白髪の房は、比較試験による組成物より有意に鮮やかに染色することを可能にすることが明らかである(A1+B1対A3+B1;ならびにA2+B1対A4+B1及びA5+B1参照)。また、本発明による組成物は、比較試験で得られたものよりはるかに濃い色の髪を提供する(本発明による組成物の方がL*が小さい)。
【0167】
II)他の比較例
以下の組成物を調製した。
【0168】
【表6】

【0169】
組成物A'を、90%の白髪を含む乾燥した自然の髪の房に、髪1g当たり製剤5gの浴比で塗布する。続いて、処理した髪を50℃の温度で30分間発色させる。
【0170】
最後に、余剰の製剤を除去するために、吸収性紙タオルを使用して、第1の組成物が含浸した髪を拭く。
【0171】
【表7】

【0172】
続いて、組成物B'を髪に、髪房1g当たり4gの浴比で塗布する。発色時間は、室温で10分である。数分後、非常に濃い色が現れる。続いて、髪を水で濯ぎ、従来のシャンプーで洗浄し、フードの下で乾燥させる。
【0173】
比色結果
髪の色を視覚的に評価し、L*、a*、b*比色測定を行うために、ミノルタ分光比色計(CM3600d、光源D65、角度10°、SCI値)で読み取る。
【0174】
色度:C*
CIE L*、a*、b*比色システムにおける色度を以下の色に従って計算する。
【0175】
【数2】

【0176】
C*の値が大きいほど、色度が大きい。
【0177】
【表8】

【0178】
上記表から、本発明による組成物で処理した自然またはパーマの白髪の房は、比較試験による組成物より有意に鮮やかに染色することを可能にすることが明らかである(A’1+B’1対A’2+B’2;ならびにA’3+B’3対A’4+B’4参照)。また、本発明による組成物は、比較試験で得られたものよりはるかに濃い色の髪を提供する(本発明による組成物の方がL*が小さい)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維を染色するための方法であって、前記繊維を、
i)1つまたは複数のオルトジフェノール誘導体、
ii)1つまたは複数の金属塩、
iii)過酸化水素、または過酸化水素を生成する1つまたは複数の系、及び
iv)1つまたは複数の(重)炭酸塩
で処理し、
方法が、過酸化水素を生成する1つまたは複数の系を実施し、前記方法が2つ以上の段階で行われるときは、(重)炭酸塩を金属塩と一緒にケラチン繊維に塗布することはできないことを条件とする、方法。
【請求項2】
オルトジフェノールが、天然オルトジフェノール誘導体から選択される、請求項1に記載の染色方法。
【請求項3】
成分i)が、ベンゼン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、インダン、インデン、アントラセン、フェナントレン、イソインドール、インドリン、イソインドリン、ベンゾフラン、ジヒドロベンゾフラン、クロマン、イソクロマン、クロメン、イソクロメン、キノリン、テトラヒドロキノリン及びイソキノリンから選択される芳香族環を含むオルトジフェノールであり、前記芳香族環は、芳香族環の2個の隣り合う隣接原子によって担持される少なくとも2個のヒドロキシル基を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
成分i)が、塩の形態または遊離形態の、下記式(I):
【化1】

[式中、置換基は以下の通りである:
・R1からR4は、同一または異なり、
-水素原子、
-ハロゲン原子、
-ヒドロキシル基、
-カルボキシル基、
-アルキルカルボキシレートまたはアルコキシカルボニル基、
-任意に置換された、アミノ基、
-任意に置換された、直鎖状または分枝状アルキル基、
-任意に置換された、直鎖状または分枝状アルケニル基、
-任意に置換された、シクロアルキル基、
-アルコキシ基、
-アルコキシアルキル基、
-アリール基が任意に置換されていてよい、アルコキシアリール基、
-アリール基、
-置換アリール基、
-カチオンまたはアニオン電荷を担持し、または担持せず、任意に置換されており、かつ/または任意に置換された、芳香族環と任意に縮合された、飽和または不飽和複素環式基、
-1個または複数の珪素原子を含む基
を表し、あるいは
・2個の隣接する炭素原子によって担持される置換基の2つ、R1-R2、R2-R3またはR3-R4は、一緒になって、1個または複数のヘテロ原子を任意に含み、1個または複数のヘテロ原子を任意に含む、1つまたは複数の飽和または不飽和の任意に置換された、環と任意に縮合された、飽和または不飽和の芳香族または非芳香族の置換または非置換環を形成する]
の化合物またはそのオリゴマーの1つである、請求項1から3のいずれか一項に記載の染色方法。
【請求項5】
オルトジフェノールが、
-フラボノール、
-アントシアニジン、
-アントシアニンまたはアントシアン、
-オルトヒドロキシベンゾエート、
-フラボン、
-ヒドロキシスチルベン、
-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン及びその誘導体、
-2,3-ジヒドロキシフェニルアラニン及びその誘導体、
-4,5-ジヒドロキシフェニルアラニン及びその誘導体、
-ジヒドロキシシンナメート、
-オルトポリヒドロキシクマリン、
-オルトポリヒドロキシイソクマリン、
-オルトポリヒドロキシクマロン、
-オルトポリヒドロキシイソクマロン、
-オルトポリヒドロキシカルコン、
-オルトポリヒドロキシクロモン、
-オルトポリヒドロキシキノン、
-オルトヒドロキシキサントン、
-1,2-ジヒドロキシベンゼン及びその誘導体、
-1,2,4-トリヒドロキシベンゼン及びその誘導体、
-1,2,3-トリヒドロキシベンゼン及びその誘導体、
-2,4,5-トリヒドロキシトルエン及びその誘導体、
-プロアントシアニジン、
-プロアントシアニン、
-タンニン酸、
-エラグ酸、及び
-上記化合物の混合物
から選択される、請求項4に記載の染色方法。
【請求項6】
天然オルトジフェノールi)が、動物、細菌、真菌、藻類または植物の抽出物から選択される、請求項2から5のいずれか一項に記載の染色方法。
【請求項7】
天然オルトジフェノールi)が、
茶葉の抽出物、ローズマリー葉の抽出物及びマテ茶葉の抽出物;
ブドウの抽出物などの果実の抽出物、あるいはココア豆及び/または莢の抽出物;
タマネギ皮の抽出物などの野菜の抽出物;
松樹皮の抽出物またはログウッドの抽出物などの樹木の抽出物
から選択される、請求項6に記載の染色方法。
【請求項8】
存在する金属塩ii)が、酸化マンガン及び酸化亜鉛から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の染色方法。
【請求項9】
マンガン塩及び亜鉛塩が、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、及びグルコン酸塩などのカルボン酸の塩、及びそれらの混合物から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
iii)を成分として含む組成物が、過酸化水素または尿素過酸化水素を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の染色方法。
【請求項11】
iii)過酸化水素を生成する1つまたは複数の系を含む組成物が、
a)尿素過酸化水素、
b)ポリビニルピロリドン/H2O2などの、過酸化水素を放出するポリマー複合体、
c)オキシダーゼ、
e)過ホウ素酸塩、及び
f)過炭酸塩
から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の染色方法。
【請求項12】
成分iv)が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属(重)炭酸塩を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の染色方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のi)、ii)、iii)及びiv)を含む水性組成物をケラチン繊維に塗布する工程を1つの段階として含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
第1の段階において、請求項1から11のいずれか一項に記載の成分i)、ii)及びiii)を含む組成物をケラチン繊維に塗布する工程と、第2の段階において、請求項1または12に定義されているiv)を含む組成物を塗布する工程とを2段階として含み、該2つの組成物の少なくとも一方が水性であることが理解される、請求項1から12のいずれか一項に記載の染色方法。
【請求項15】
第1の段階において、請求項1から9のいずれか一項に記載の成分i)及びii)を含む組成物をケラチン繊維に塗布する工程と、第2の段階において、請求項1、10から12に定義されているiii)及びiv)を含む組成物を塗布する工程とを2段階として含み、該2つの組成物の少なくとも一方が水性であることが理解される、請求項1から12のいずれか一項に記載の染色方法。
【請求項16】
ケラチン繊維が、成分iv)を実施する工程の直前に、
a)機械的に拭かれ;
b)加熱処理によって乾燥され;または
c)濯がれない、すなわち段階が連続的に実施される、請求項1から15のいずれか一項に記載の染色方法。
【請求項17】
請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物i)、ii)、iii)、iv)及びv)を含む、ケラチン繊維を染色するための化粧品組成物。
【請求項18】
2つから5つの組成物を含む2つから5つの区画を含む多区画デバイスであって、請求項1から12のいずれか一項に記載の成分i)、ii)、iii)及びiv)が分配され、前記組成物が水性または粉末状であり、これらの組成物の少なくとも1つが水性である多区画デバイス。

【公開番号】特開2010−195770(P2010−195770A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−281831(P2009−281831)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】