説明

少なくとも1種の揮発性直鎖アルカン、特定の含有率の少なくとも1種のアミノ化シリコーン及び少なくとも1種の植物油を含む化粧料組成物

【課題】少なくとも1種の揮発性直鎖アルカン、特定の含有リルの少なくとも1種のアミノ化シリコーン及び少なくとも1種の植物油を含む化粧料組成物の提供を目的とする。
【解決手段】化粧料組成物であって、化粧学的に許容される媒体中に、以下の成分:
・1又はそれ以上の揮発性直鎖アルカン;
・該組成物の全質量に対して、少なくとも0.5質量%の、1又はそれ以上のアミノ化シリコーン;及び
・該揮発性直鎖アルカンとは異なる、1又はそれ以上の植物油
を含むことを特徴とする、前記化粧料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の揮発性直鎖アルカン、特定の含有率の少なくとも1種のアミノ化シリコーン及び少なくとも1種の植物油を含む化粧料組成物、ケラチン物質、好ましくはケラチン繊維、例えば毛髪を化粧学的に処置するための該化粧料組成物の使用、及び該組成物を用いるケラチン物質の化粧学的処置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヘアトリートメントの分野において、揮発性溶媒の使用は、洗流し型又は放置型ヘアケア製品において公知である。これら溶媒は、一般的には様々な理由で使用されている。これらは、特に手に軽い、かつ非-接着性の肌理を与えることにより、毛髪用製品の感覚的効果の改善を可能とする。これらは、また該製品に良好な滑り特性を与えることもでき、この特性は、該製品の、毛髪及び特に乾燥した毛髪に対する延展を容易にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多少ともゲル状クリームの状態にあり得る、水中油型の水性エマルションにおいては、揮発性溶媒の添加も、シリコーンガムの溶解を可能とするが、該ガムは、その高い固有粘度のために、該組成物に導入することは困難である。
これらの揮発性溶媒は、一般的に液状脂肪エステル、イソドデカン又はイソヘキサデカン型の炭化水素油、及び/又はシリコーンオイルであり、これらは、特に油脂性の感触、輝きの欠如、及び剛直な硬い毛髪を与えるという問題を引起す恐れがある。
従って、上記の如き欠点を回避するために、これらの揮発性溶媒を他のもので置換える必要性が、依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願人は、驚いたことにまた予想外のことに、1又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンと、特定の含有率での1又はそれ以上のアミノ化シリコーンと、該揮発性直鎖アルカンとは異なる1又はそれ以上の植物油とを組合せることにより、上記のような諸欠点を回避し、かつ化粧学的特性、例えば平滑性、柔軟性、櫛通り性、特に毛根部分の分離による嵩高さ、及び毛髪の張性の改善を可能とすることを見出した。
特に、本発明の組成物は、リンスの時点において、より滑らかで、均一及び/又は一層柔軟な毛髪を得ることを可能とする。湿った毛髪に関して、櫛通りが一層容易であり、あるいはより張性で、及び/又は毛根部分が一層分離された(該毛根において、該毛髪はその頭皮上で平坦化することがなく、しかも毛髪に体積を与えるある角度を成す)毛髪が得られる。本発明の組成物で処置された毛髪は、迅速に乾燥する。さらに、乾燥状態にある毛髪は、より一層柔軟であり、及び/又はより滑らかな感触を持つ。
【0005】
即ち、本発明の化粧料組成物は、化粧学的に許容される媒体中に、以下の成分:
・1又はそれ以上の揮発性直鎖アルカン;
・該化粧組成物の全質量に対して、少なくとも0.5質量%の、1又はそれ以上のアミノ化シリコーン;及び
・該揮発性直鎖アルカンとは異なる、1又はそれ以上の植物油
を含むことを特徴とする。
本発明は、また本発明による組成物の、ケラチン物質、好ましくはケラチン繊維、例えば毛髪を化粧学的に処置するための、特にリンスするヘアケア製品としての使用にも関連する。
本発明は、さらに該組成物を使用する、ケラチン物質、好ましくはケラチン繊維、例えば毛髪の化粧学的処置方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
上記用語「1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカン」とは、優先順位なしに、「1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンオイル」を意味する。
本発明にとって適した揮発性直鎖アルカンは、室温(約25℃)において、かつ大気圧(101,325Pa又は760mmHg)において液体である。
本発明において使用するのに適した上記「揮発性直鎖アルカン」なる用語は、室温(25℃)にて、かつ大気圧(101,325Pa)下において、1時間未満の期間内に、皮膚と接触した際に蒸発し得る直鎖アルカンを意味し、該揮発性直鎖アルカンは、室温において液体であり、特に室温(25℃)及び大気圧(101,325Pa)下で、0.01〜15mg/cm2/分なる範囲の蒸発速度を持つ液体である。
好ましくは、本発明にとって適した該揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)及び大気圧(101,325Pa)下で、0.01〜3.5mg/cm2/分なる範囲及びより一層好ましくは0.01〜1.5mg/cm2/分なる範囲の蒸発速度を持つ。
より好ましくは、本発明にとって適した該1又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)及び大気圧(101,325Pa)下で、0.01〜0.8mg/cm2/分なる範囲、好ましくは0.01〜0.3mg/cm2/分なる範囲及びより一層好ましくは0.01〜0.12mg/cm2/分なる範囲の蒸発速度を持つ。
【0007】
本発明による揮発性アルカン(及びより一般的には、揮発性溶媒)の該蒸発速度は、特にWO 06/013413に記載されているプロトコールにより、及びより具体的には以下に記載するプロトコールによって評価することができる。
15gの揮発性炭化水素溶媒を、調節された温度(25℃)及び湿度(50%相対湿度)にて、約0.3m3の包囲体内にある、秤上に置かれた結晶生成皿(径:7cm)内に配置する。
該揮発性炭化水素溶媒を、該溶媒を攪拌することなしに、自由に蒸発させ、一方で、該揮発性炭化水素溶媒を含む該結晶生成皿上方の垂直位置に配置された、ファン(2700rev/分にて作動する、参照番号8550Nのパプスト-モトーレン(PAPST-MOTOREN))によって換気する。ここで、ブレードは、該結晶生成皿の底部から20cm離れた位置において、該皿に向けられている。
該結晶生成皿内に残留している該揮発性炭化水素溶媒の質量を、規則的な時間間隔で測定する。
次いで、蒸発した該製品の量(mg/cm2単位)に関する曲線を、時間(分単位)の関数としてプロットすることによって、該溶媒の蒸発プロフィールを得る。
【0008】
次に、該蒸発速度を算出するが、これは、得られた該曲線の原点に対する正接に相当する。該蒸発速度は、単位表面積(cm2)当たり、かつ単位時間(分)当たりの、mg単位で表した、蒸発した該揮発性溶媒の量である。
好ましい一態様によれば、本発明にとって適した該揮発性直鎖アルカンは、0でない室温における蒸気圧(飽和蒸気圧とも呼ばれる)、特に0.3Pa〜6,000Paなる範囲の蒸気圧を持つ。
好ましくは、本発明にとって適した該揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)において、0.3〜2,000Paなる範囲及びより一層好ましくは0.3〜1,000Paなる範囲の蒸気圧を持つ。
より好ましくは、本発明にとって適した該揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)において、0.4〜600Paなる範囲、好ましくは1〜200Paなる範囲及びより一層好ましくは3〜60Paなる範囲の蒸気圧を持つ。
【0009】
一態様によれば、本発明にとって適した揮発性直鎖アルカンは、30〜120℃なる範囲及びより特定的には40〜100℃なる範囲にある引火点を持つことができる。該引火点は、特に標準規格ISO 3679に従って測定される。
一態様によれば、本発明にとって適した該1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンは、7〜15個の炭素原子、好ましくは8〜14個の炭素原子及びより好ましくは9〜14個の炭素原子を含む直鎖アルカンであり得る。
より好ましくは、本発明にとって適した該1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンは、10〜14個の炭素原子及びより一層好ましくは11〜14個の炭素原子を含む。
本発明にとって適した該1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンは、有利には植物を起源とするものであり得る。
【0010】
好ましくは、本発明の組成物において存在する該揮発性直鎖アルカン又は揮発性直鎖アルカンの混合物は、少なくとも一つの14C(炭素-14)炭素同位体を含む。特に、該14C炭素同位体は、1×10-16に等しいかこれを越える、好ましくは1×10-15に等しいかこれを越える、より好ましくは7.5×10-14に等しいかこれを越える及びより一層好ましくは1.5×10-13に等しいかこれを越える14C/12C同位体比(同位体数を基準として)にて存在し得る。好ましくは、14C/12C同位体比は、6×10-13〜1.2×10-12なる範囲にある。
該揮発性直鎖アルカン又は揮発性直鎖アルカンの混合物中の該14C同位体の量は、当業者には公知の方法、例えばリビー(Libby)計数法、液体シンチレーション分光測定法、又は加速型質量スペクトル法によって決定することができる。
このようなアルカン又はアルカンの混合物は、直接又は数段階で、植物原料物質、例えばオイル、バター、ワックス等から得ることができる。
本発明にとって適したアルカンの例としては、特許出願WO 2007/068371及びWO 2008/155059に記載されているアルカンを挙げることができる。これらアルカンは、脂肪アルコールから得られ、該脂肪アルコール自体はコプラ油又はパーム油から得られる。
【0011】
本発明にとって適した直鎖アルカンの例としては、n-ヘプタン(C7)、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)及びn-テトラデカン(C14)、及びこれらの混合物を挙げることができる。特定の一態様によれば、該揮発性直鎖アルカンは、n-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン及びn-テトラデカン、並びにこれらの混合物から選択される。
好ましい一態様によれば、特に特許出願WO 2008/155059の実施例1及び2において得られる、n-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)との混合物を、該直鎖アルカンの例として挙げることができる。
同様に、夫々サソール(Sasol)社により、パラフォル(PARAFOL) 12-97及びパラフォル(PARAFOL) 14-97なる参照名の下に市販されているn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、並びにこれらの混合物を例示することもできる。
一態様は、一種のみの揮発性直鎖アルカンを使用することからなる。
【0012】
あるいはまた、少なくとも2種の異なる揮発性直鎖アルカンの混合物、即ち相互に炭素原子数nが少なくとも1異なる、特に相互に炭素原子数が1又は2個だけ異なる揮発性直鎖アルカンの混合物を使用することもできる。
一態様によれば、10〜14個の炭素原子を含み、相互に炭素原子数が少なくとも1異なる、少なくとも2種の異なる揮発性直鎖アルカンの混合物を使用する。特に列挙することのできる該混合物の例は、C10/C11、C11/C12、又はC12/C13揮発性直鎖アルカン混合物を含む。
もう一つの態様によれば、10〜14個の炭素原子を含み、相互に炭素原子数が少なくとも2異なる、少なくとも2種の異なる揮発性直鎖アルカンの混合物を使用する。特に列挙することのできる該混合物の例は、偶数の炭素数nについては、C10/C12又はC12/C14揮発性直鎖アルカン混合物を、また奇数の炭素数nについては、C11/C13揮発性直鎖アルカン混合物を含む。
好ましい一態様によれば、10〜14個の炭素原子を含み、相互に炭素原子数が少なくとも2異なる、少なくとも2種の異なる揮発性直鎖アルカンの混合物、及び特にC11/C13揮発性直鎖アルカン混合物又はC12/C14揮発性直鎖アルカン混合物を使用する。有利には、n-ウンデカンとn-トリデカンとの混合物の使用が好ましい。
【0013】
本発明によれば、2種を越える異なる揮発性直鎖アルカンを組合せた他の混合物、例えば7〜15個の炭素原子を含み、相互に炭素原子数が少なくとも1異なる、少なくとも3種の異なる揮発性直鎖アルカンの混合物を、本発明において使用することができる。
2種の揮発性直鎖アルカンを含む混合物の場合、該2種の揮発性直鎖アルカンは、好ましくは該混合物の95質量%を越える量及びより一層好ましくは99質量%を越える量に相当する。
本発明の一特定の態様によれば、揮発性直鎖アルカンの混合物において、より少ない炭素数を持つ揮発性直鎖アルカンが、該混合物において支配的である。
本発明のもう一つの態様によれば、大きな炭素原子数を持つ該揮発性直鎖アルカンが、該混合物において支配的である、揮発性直鎖アルカン混合物を使用する。
本発明にとって適した混合物の例としては、特に以下に列挙する混合物を挙げることができる。即ち、混合物中のアルカンの全質量に対して、
・50〜90質量%なる範囲、好ましくは55〜80質量%なる範囲及びより好ましくは60〜75質量%なる範囲の、7〜15なる範囲のnの値を持つ、Cn揮発性直鎖アルカン;
・10〜50質量%なる範囲、好ましくは20〜45質量%なる範囲及び好ましくは24〜40質量%なる範囲の、1に等しいかこれを越えるxの値を持ち、好ましくはx=1又はx=2であり、またn+xが、8〜14なる範囲にある、Cn+x揮発性直鎖アルカンを含む混合物。
【0014】
特に、該揮発性直鎖アルカン混合物は、該混合物中に、さらに以下のような成分をも含むことができる:
・2質量%未満及び好ましくは1質量%未満の、分岐炭化水素;及び/又は
・2質量%未満及び好ましくは1質量%未満の、芳香族炭化水素;及び/又は
・2質量%未満、好ましくは1質量%未満及びより好ましくは0.1質量%未満の不飽和炭化水素、
ここで、該百分率は、該混合物の全質量を基準として表されている。
より詳しくは、本発明にとって適した揮発性直鎖アルカンは、n-ウンデカン/n-トリデカン混合物の形態で使用することができる。
特に、混合物中のアルカンの全質量に対して、以下のような割合で、以下のような成分を含む揮発性直鎖アルカン混合物を使用する:
・55〜80質量%なる範囲及び好ましくは60〜75質量%なる範囲のC11揮発性直鎖アルカン(n-ウンデカン)、及び
・20〜45質量%なる範囲及び好ましくは24〜40質量%なる範囲のC13揮発性直鎖アルカン(n-トリデカン)。
【0015】
特定の一態様によれば、該アルカンの混合物は、n-ウンデカン/n-トリデカン混合物である。特に、このような混合物は、特許出願WO 2008/155059の実施例1又は実施例2に従って得ることができる。該混合物の使用は、処置されたケラチン繊維に、特に柔軟性及び嵩に関して、特に有利な化粧学的諸特性を付与する。
もう一つの特定の態様によれば、サソール(SASOL)社により、パラフォル(PARAFOL) 12-97なる参照名の下に市販されているn-ドデカンを使用する。
他の特定の態様によれば、サソール(SASOL)社により、パラフォル(PARAFOL) 14-97なる参照名の下に市販されているn-テトラデカンを使用する。
さらに別の態様によれば、n-ドデカンとn-テトラデカンとの混合物、好ましくは85/15なる比のこれらの混合物、例えばバイオシンディス(Biosynthis)社によりベジライト(VEGELIGHT) 1214なる名称の下に市販されている混合物を使用する。
本発明の組成物は、好ましくは、該組成物の全質量に対して、0.5〜90質量%なる範囲、特に1〜50質量%なる範囲の揮発性直鎖アルカン、より好ましくは3〜40質量%なる範囲及びより一層好ましくは3〜30質量%なる範囲の揮発性直鎖アルカンを含む。
【0016】
既に述べたように、本発明による組成物は、該組成物の全質量に対して、少なくとも0.5質量%の1種又はそれ以上のアミノ化シリコーンを含む。
該用語「アミノシリコーン」とは、任意のポリアミノシロキサン、即ち少なくとも一つの一級、二級又は三級アミノ基又は四級アンモニウム基を含む任意のポリシロキサンを意味する。
好ましくは、本発明の化粧料組成物において使用する該1種又はそれ以上のアミノシリコーンは、以下に列挙するものから選択される:
(a) 以下の一般式(I)に相当する化合物:
(R1)a(T)3-a-Si[OSi(T)2]n-[OSi(T)b(R1)2-b]m-OSi(T)3-a-(R1)a (I)
該一般式(I)において、Tは水素原子又はフェニル基、ヒドロキシル基(-OH)又はC1-C8アルキル基、好ましくはメチル基、又はC1-C8アルコキシ基、好ましくはメトキシ基であり;
aは、0又は1〜3なる範囲の整数、及び好ましくは0を表し;
bは0又は1、及び特に1を表し;
m及びnは、これらの和(n+m)を、特に1〜2000なる範囲及びとりわけ50〜150なる範囲とするような数であり、nは0〜1999なる範囲及び特に49〜149なる範囲の数を表すことができ、またmは1〜2000なる範囲及び特に1〜10なる範囲の数を表すことができ;
【0017】
R1は、式:-CqH2qLで表される一価の基であり、ここで、qは2〜8なる範囲の数であり、またLは以下に列挙するものから選択される、場合に四級化されたアミノ基を表し:
-N(R2)-CH2-CH2-N(R2)2;
-N(R2)2;
-N+(R2)3Q-;
-N+(R2)(H)2Q-;
-N+(R2)2HQ-;
-N(R2)-CH2-CH2-N+(R2)(H)2Q-,
これら一般式において、R2は、水素原子、フェニル基、ベンジル基又は飽和で一価の炭化水素基、例えばC1-C20アルキル基を表すことができ、またQ-は、ハライドイオン、例えばフルオライド、クロライド、ブロマイド又はアイオダイドイオンを表す。
特に、前記式(I)の定義に対応するアミノ化シリコーンは、以下の一般式(II)に対応する化合物から選択される:
【0018】
【化1】

【0019】
ここで、R、R'及びR"は、同一又は異なっていてもよく、C1-C4アルキル基、好ましくはCH3、C1-C4アルコキシ基、好ましくはメトキシ基、又はOH基を表し;Aは、直鎖又は分岐した、C3-C8、好ましくはC3-C6アルキレン基を表し;m及びnは、分子量に依存する整数であり、その和は1〜2,000なる範囲内にある。
第一の可能性によれば、R、R'及びR"は、同一又は異なっていてもよく、C1-C4アルキル基又はヒドロキシル基を表し、Aは、C3アルキレン基を表し、及びm及びnは、該化合物の重量平均分子量が、約5,000〜500,000なる範囲の値となるような値である。この型の化合物は、CTFA辞典においては「アモジメチコーン(amodimethicones)」と称されている。
第二の可能性によれば、R、R'及びR"は、同一又は異なっていてもよく、C1-C4アルコキシ基又はヒドロキシル基を表し、該基R又はR"の少なくとも一つがアルコキシ基であり、またAは、C3アルキレン基を表す。この場合のヒドロキシル/アルコキシモル比は、好ましくは0.2/1〜0.4/1なる範囲及び有利には0.3/1に等しい。さらに、m及びnは、該化合物の重量平均分子量が、2,000〜106なる範囲の値となるような値である。より特定的には、nは0〜999なる範囲にあり、かつmは1〜1,000なる範囲にあり、これらm及びnの和は、1〜1,000なる範囲にある。
【0020】
この範疇の化合物において、特にワッカー(Wacker)社により市販されている製品、ベルシル(BelsilTM) ADM652を挙げることができる。
第三の可能性によれば、R及びR"は異なっており、C1-C4アルコキシ基又はヒドロキシル基を表し、該基R又はR"の少なくとも一つはアルコキシ基であり、R'はメチル基を表し、またAは、C3アルキレン基を表す。この場合のヒドロキシル/アルコキシモル比は、好ましくは1/0.8〜1/1.1なる範囲及び有利には1/0.95に等しい。さらに、m及びnは、該化合物の重量平均分子量が、約2,000〜200,000なる範囲の値となるような値である。より特定的には、nは0〜999なる範囲にあり、かつmは1〜1,000なる範囲にあり、これらm及びnの和は、1〜1,000なる範囲にある。
より特定的には、ワッカー(Wacker)社により市販されている製品:フルード(Fluid) WRTM 1300を挙げることができる。
【0021】
第四の可能性によれば、R及びR"はヒドロキシル基を表し、R'はメチル基を表し、AはC4-C8及び好ましくはC4アルキレン基を表す。さらに、m及びnは、該化合物の重量平均分子量が、2,000〜106なる範囲の値となるような値である。より特定的には、nは0〜1999なる範囲にあり、かつmは1〜2,000なる範囲にあり、これらm及びnの和は、1〜2,000なる範囲にある。
この型の製品は、ダウコーニング社によりDC28299なる名称の下に市販されている。
これらシリコーンの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(室温、ポリスチレン標準物質;μスチラゲン(Styragem)カラム;溶離液:THF;流量:1mm/分;0.5質量%のシリコーンを含む溶液200μLを、THF中に注入し、検出は、屈折率測定法及びUV-測定法により行う)により測定する。
上記式(I)の定義に相当する製品は、特にCTFA辞典(第7版、1997)において、「トリメチルシリルアモジメチコーン」と呼ばれているポリマーであり、以下の一般式(III)に相当するポリマーである:
【0022】
【化2】

【0023】
ここで、n及びmは、上記一般式(I)又は(II)に従って上に与えられた意味を持つ。
このような化合物は、例えばEP 0095238に記載されており、上記式(III)で表される化合物の一つは、例えばOSI社によりQ2-8220なる名称の下で市販されている。
(b) 以下の一般式(IV)に相当する化合物:
【0024】
【化3】

【0025】
ここで、R3は、一価のC1-C18炭化水素基、及び特にC1-C18アルキル基又はC2-C18アルケニル基、例えばメチル基を表し、
R4は、二価の炭化水素基、特にC1-C18アルキレン基又は二価のC1-C18、例えばC1-C8アルキレンオキシ基を表し、
Q-はハライドイオン、特にクロライドイオンであり、
rは、2〜20なる範囲及び特に2〜8なる範囲の統計的平均値を表し、
sは、20〜200なる範囲及び特に20〜50なる範囲の統計的平均値を表す。
このような化合物は、より特定的には米国特許第4,185,087号に記載されている。
この組に含まれる化合物の一つは、ユニオンカーバイド(Union Carbide)社により「ユーカーシリコーン(Ucar Silicone) ALE 56」なる名称の下に市販されている製品である。
(c) 以下の一般式(V)で表される四級アンモニウムシリコーン:
【0026】
【化4】

【0027】
ここで、
複数個存在するR7は、同一又は異なっていてもよく、1〜18個の炭素原子を持つ一価の炭化水素基、及び特にC1-C18アルキル基、C2-C18アルケニル基又は5又は6個の炭素原子を含むリング、例えばメチル基を表し、
R6は、二価の炭化水素基、特にC1-C18アルキレン基又は二価のC1-C18基、例えばC1-C8アルキレンオキシ基であってSiC結合によりSiに結合したアルキレンオキシ基を表し;
複数個存在するR8は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、1〜18個の炭素原子を含む一価の炭化水素基、及び特にC1-C18アルキル基、C2-C18アルケニル基又は基:-R6-NHCOR7を表し;
X-はアニオン、例えばハライドイオン、特にクロライドイオン又は有機酸の塩(アセテート等)であり;
rは、2〜200なる範囲、及び特に5〜100なる範囲の統計的平均値を表す。
これらのシリコーンは、例えば特許出願EP-A-0530974に記載されている。
該一般式(V)の化合物としては、CTFA辞典(1997年版)においてクオータニウム(Quaternium) 80なる名称の下に言及されている製品、例えばエボニックゴールドシュミット(EVONIK GOLDSCHMIDT)社により、アビルカット(ABIL QUAT) 3272及び3474なる名称の下に供給されている製品を挙げることができる。
(d) 以下の一般式で表されるアミノ化シリコーン:
【0028】
【化5】

【0029】
ここで、
R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なっていてもよく、C1-C4アルキル基又はフェニル基を表し;
R5は、C1-C4アルキル基又はヒドロキシル基を表し;
nは、1〜5なる範囲の整数であり;
mは、1〜5なる範囲の整数であり;及び
xは、該化合物のアミノ価が、0.01〜1meq./gとなるように選択される値である。
特に好ましい該1種又はそれ以上のアミノ化シリコーンは、アミノ基を持つポリシロキサン、例えば上記式(II)又は(III)で示される化合物、及びさらに一層特定的には上記一般式(V)で示される、四級アンモニウム基を持つシリコーンである。
好ましくは、該揮発性直鎖アルマンの量の該アミノ化シリコーンの量に対する質量比は、0.5〜100なる範囲、より好ましくは0.5〜50なる範囲、及びより一層好ましくは1〜20なる範囲内で変動する。
これらの化合物を使用する場合、特に興味深い態様は、これら化合物とカチオン性及び/又はノニオン性界面活性剤との組合せによる使用である。
【0030】
例えば、ダウコーニング社により「カチオニックエマルション(Emulsion Cationique) DC 939」なる名称の下で市販されている製品を使用することができ、これはアモジメチコーン以外に、カチオン性界面活性剤、即ちトリメチルセチルアンモニウムクロリド及び「トリデセス(Trideceth)-12」なるCTFA名の下に知られている、式:C13H27-(OC2H4)12-OHで表されるノニオン性界面活性剤を含む。
本発明に従って使用することのできるもう一つの市販製品は、ダウコーニング社により「ダウコーニング(Dow Corning) Q2 7224」なる名称の下に市販されている製品であり、これは組合せとして、上記した式(C)のトリメチルシリルアモジメチコーン、「オクトキシノール(Octoxynol)-40」なるCTFA名の下で知られる、式:C8H17-C6H4-(OCH2CH2)40-OHで表されるノニオン性界面活性剤、「イソラウレス(Isolaureth)-6」なるCTFA名の下で知られる、式:C12H25-(OCH2-CH2)6-OHで表される第二のノニオン性界面活性剤、及びプロピレングリコールを含む。
該1種又はそれ以上のアミノ化シリコーンは、本発明による組成物の全質量に対して、少なくとも0.5質量%なる量、好ましくは0.5〜20質量%なる範囲の量、より特定的には0.5〜10質量%なる範囲の量、及びより一層好ましくは0.75〜5質量%なる範囲の量にて、該組成物中に存在する。
【0031】
本発明の組成物は、1種又はそれ以上の植物油を含む。
ここで、用語「オイル(油)」とは、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg、又は101,325Pa)にて液体であり、水に不溶性の、任意の親油性で、非-イオン性の化合物を意味する。「水に不溶性」化合物とは、本発明の意味において、25℃及び大気圧下での、自然なpHにおける、水に対する溶解度が、1%未満、及び好ましくは0.5%未満である化合物を意味する。該オイルは、同一の温度及び圧力条件下で、有機溶媒、例えばクロロホルム、エタノール又はベンゼンに対して溶解性である。さらに、該オイルは、常温(25℃)及び大気圧下で液体である。該オイルは、好ましくは5℃以下の融点、及び500cP未満なる、25℃及び剪断速度1s-1における粘度を持つ。
特に、「植物油」とは、植物界に属する種から抽出された、上で定義したようなオイルを意味する。
本発明に従って使用される該1種又はそれ以上の植物油は、前に定義されたような揮発性直鎖アルカンとは異なり、化粧料の分野において通常使用されている植物油から選択される。
【0032】
本発明の組成物において使用できる植物油の例としては、以下に列挙するものを挙げることができる:甘扁桃油;アルガン(argan)油;アボカド油;ピーナッツ油;ツバキ油;サフラワーオイル;ヤラボ油;菜種油;コプラ油;コリアンダー油;ウリ科植物の種子油(キューカンバー油);麦芽油;ホホバ油又はホホバ液状ワックス;亜麻仁油;マカダミアナッツ油;玉蜀黍胚芽油;ヘーゼルナッツ油;クルミ油;ベルノニアオイル;杏仁油;オリーブオイル;マツヨイグサ油;パーム油;トケイソウ油;グレープシード油;ローズ油;ヒマシ油;ライムギ油;ゴマ油;米糠油;大豆油;及びヒマワリ油。
本発明で使用する植物油は、一般的に、抽出後、如何なる化学的転換も受けていない。
上記植物油としては、オリーブオイル、アルガン油、アボカド油;菜種油;ホホバ油又はホホバ液状ワックス;大豆油;ヒマワリ油、及びより好ましくはアボカド油、ホホバ油又はホホバ液状ワックスを使用することが好ましい。
好ましくは、該1種又はそれ以上の植物油は、該組成物の全質量に対して、0.3〜30質量%なる範囲の量、より好ましくは1〜20質量%なる範囲の量、及びより一層好ましくは3〜15質量%なる範囲の量で、該組成物中に存在する。
【0033】
本発明の組成物は、さらにアニオン性、両性又は両性イオン性、ノニオン性及びカチオン性界面活性剤から選択される1種又はそれ以上の界面活性剤を含むことができる。
本発明において使用できる該アニオン性界面活性剤としては、特に、塩、とりわけアルカリ金属塩及び特にナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコールの塩又は以下の化合物のマグネシウム塩:アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルアミドエーテルサルフェート、モノグリセライドサルフェート、アルキルグリセリルスルホネート、アルキルスルホネート、アルキルホスホネート、アルキルアミドスルホネート、アルカリールスルホネート、α-オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルキルスルホサクシネート、アルキルエーテルスルホサクシネート、アルキルアミドスルホサクシネート、アルキルスルホサクシナメート、アルキルスルホアセテート、アルキルエーテルホスホフェート、アシルイセチオネート、N-アシルタウレート、N-アシルアミノ酸、例えばN-アシルサルコシネート及びN-アシルグルタメートを挙げることができる。また、本発明の組成物において使用できるアニオン性界面活性剤としては、ウンデセニル酸、オレイン酸、リシノレイン酸、パルミチン酸及びステアリン酸の塩等の脂肪酸の塩、コプラ油又は水添コプラ油の酸及びアシルヒドロキシ酸、例えばアシルラクチレート(lactylates)等を挙げることができる。また、僅かにアニオン性の界面活性剤、例えばアルキルD-ガラクトシドウロン酸及びその塩並びにポリオキシアルキル化(polyoxyalkylated)アルキルエーテルアルキルアミドエーテルカルボン酸又はその塩(ここでこれら様々な化合物のアルキル基又はアシル基は、好ましくは8〜22個の炭素原子を持つ)、及びアルキル(C8-C22)ポリグリコシドのアニオン性誘導体(サルフェート、スルホサクシネート、ホスフェート、イセチオネート、エーテルカルボキシレート、カーボネート)を使用することも可能である。
【0034】
本発明に従って使用できる該両性界面活性剤としては、特に、二級又は三級脂肪族アミンの誘導体を挙げることができ、ここで該脂肪族基は8〜22個の炭素原子を持ち、水溶解性(hydrosolubilizing)アニオン性基、例えばカルボキシレート、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネート基を含む、直鎖又は分岐した脂肪鎖である。また、両性又は両性イオン性界面活性剤として、スルホベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、アルキルアミドアルキルスルホベタイン、イミダゾリウム誘導体、例えばアンホカルボキシグリシネート又はアンホカルボキシプロピオネートの誘導体を例示することもできる。
本発明に従って使用することのできるノニオン性界面活性剤としては、特に8〜28個の炭素原子を持つ、アルコール、α-ジオール、アルキルフェノール又は脂肪酸の、ポリエトキシレート化(polyethoxylated)、ポリプロポキシレート化(polypropoxylated)又はポリグリセロール化(polyglycerolated)誘導体を挙げることができ、ここで該誘導体のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド基の数は、2〜50なる範囲にあり、またグリセロールの数は、特に2〜30なる範囲にある。また、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのコポリマー、脂肪アルコールの、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド縮合物、好ましくは2〜30モルのエチレンオキサイド単位を含むポリエトキシル化脂肪アミド、平均1〜5個のグリセロール単位を持つポリグリセロール化脂肪アミド、ポリグリセロール化ジグリコールアミド、場合によりエトキシル化(ethoxylated)されたソルビタン脂肪酸のエステル、スクロース脂肪酸のエステル、ポリオキシアルキレート化脂肪酸のエステル、場合によりオキシアルキレート化(oxyalkylated)されたアルキルポリグリコシド、アルキルグルコシドのエステル、N-アルキルグルカミン及びN-アシルメチルグルカミンの誘導体、アルドビオアミド及びアミンオキサイドを例示することもできる。
【0035】
「カチオン性界面活性剤」は、これが本発明の組成物に含まれる場合に、正に帯電している界面活性剤を意味する。この界面活性剤は、1又はそれ以上の永続的な正電荷を持つことができ、あるいは本発明の組成物内で1又はそれ以上のカチオンとなり得る官能基を含むことができる。
本発明の組成物において使用できる該カチオン性界面活性剤としては、特に、場合によりポリオキシアルキレート化された一級、二級又は三級脂肪アミン、又はその塩、四級アンモニウム塩、及びこれらの混合物を挙げることができる。
四級アンモニウム塩としては、特に例えば以下に列挙するものを挙げることができる:
・以下の一般式(VII)で表される四級アンモニウム塩:
【0036】
【化6】

【0037】
該一般式(VII)において、基R8〜R11は、同一又は異なっていてもよく、直鎖又は分岐鎖の、1〜30個の炭素原子を含む脂肪族基又は芳香族基、例えばアリール又はアルキルアリール基を表し、少なくとも一つの該基R8〜R11は、8〜30個の炭素原子及び好ましくは12〜24個の炭素原子を含む。該脂肪族基は、ヘテロ原子、特に例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲン原子を含むことができる。
該脂肪族基は、例えば約1〜30個の炭素原子を含む、アルキル、アルコキシ、ポリオキシ(C2-C6)アルキレン、アルキルアミド、(C12-C22)アルキルアミド(C2-C6)アルキル、(C12-C22)アルキルアセテート、及びヒドロキシアルキル基から選択され、X-は、ハライド、ホスフェート、アセテート、ラクテート、(C2-C6)アルキルサルフェート、アルキルスルホネート又はアルキルアリールスルホネートからなる群から選択されるアニオンである;
・イミダゾリンの四級アンモニウム塩、例えば以下の一般式(VIII)で表されるもの:
【0038】
【化7】

【0039】
該一般式(VIII)において、基R12は、8〜30個の炭素原子を含むアルケニル又はアルキル基、例えば牛脂の脂肪酸誘導体を表し、基R13は、水素原子、C1-C4アルキル基、又は8〜30個の炭素原子を含むアルケニル又はアルキル基を表し、基R14は、C1-C4アルキル基を表し、基R15は、水素原子又はC1-C4アルキル基を表し、またX-は、ハライド、ホスフェート、アセテート、ラクテート、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート又はアルカリールスルホネートからなる群から選択されるアニオンを表す。R12及びR13は、好ましくは12〜21個の炭素原子を含む、アルケニル又はアルキル基の混合物、例えば牛脂の脂肪酸誘導体を表し、R14は、メチル基を表し及びR15は、水素原子を表す。このような製品は、例えばレボ(REWO)社によりレボカット(REWOQUATTM) W75なる名称の下に市販されている;
・以下の式(IX)で示される四級化ジ-アンモニウム塩:
【0040】
【化8】

【0041】
該一般式(IX)において、基R16は約16〜30個の炭素原子を含む脂肪族基を表し、基R17、R18、R19、R20及びR21は、同一又は異なっていてもよく、水素原子及び1〜4個の炭素原子を含むアルキル基から選択され、またX-は、ハライド、アセテート、ホスフェート、ニトレート及びメチルサルフェートからなる群から選択されるアニオンを表す。このような四級化ジ-アンモニウム塩は、特にプロパン牛脂ジアンモニウムジクロリドを含む;
・少なくとも一つのエステル官能基を含む四級アンモニウム塩、例えば以下の一般式(X)で表されるもの:
【0042】
【化9】

【0043】
該一般式(X)において、
基R22は、C1-C6アルキル基及びC1-C6ヒドロキシアルキル基又はジ-ヒドロキシアルキル基から選択され;
基R23は、以下に列挙する基から選択され:
-以下の式で表される基:
【0044】
【化10】

【0045】
-直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のC1-C22炭化水素基R27;及び
-水素原子;
基R25は、以下に列挙する基から選択され:
-以下の式で表される基:
【0046】
【化11】

【0047】
-直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のC1-C6炭化水素基R29;及び
-水素原子;
R24、R26及びR28は、同一又は異なっていてもよく、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のC7-C21炭化水素基から選択され;
r、s及びtは、同一又は異なっていてもよく、各々2〜6なる範囲の整数であり;
yは、1〜10なる範囲の整数であり;
x及びzは、同一又は異なっていてもよく、各々0〜10なる範囲の整数であり;
X-は、単一又は複合型の、有機又は無機アニオンであり;
但し、和:x+y+zは、1〜15なる範囲にあり、xが0である場合には、R23はR27を表し、またzが0である場合には、R25はR29を表すことを条件とする。
【0048】
該アルキル基R22は、直鎖又は分岐したものであり得るが、より特定的には直鎖アルキル基であり得る。
基R22は、好ましくはメチル、エチル、ヒドロキシエチル又はジヒドロキシプロピル基を表し、またより特定的にはメチル又はエチル基を表す。
有利には、上記の和x+y+zは、1〜10なる範囲内にある。
R23が、炭化水素基R27である場合、該基は長鎖であり得、また12〜22個の炭素原子を含むことができ、あるいは短鎖であり得、また1〜3個の炭素原子を含むことができる。
R25が、炭化水素基R29である場合、該基は、好ましくは1〜3個の炭素原子を含む。
有利には、R24、R26及びR28は、同一又は異なっていてもよく、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のC11-C21炭化水素基から選択され、またより特定的には直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のC11-C21アルキル及びアルケニル基から選択される。
【0049】
好ましくは、x及びzは、同一又は異なっていてもよく、0又は1に等しい。
有利には、yは1に等しい。
好ましくは、r、s及びtは、同一又は異なっていてもよく、各々2又は3なる値を持ち、及びより一層特定的には2に等しい。
上記のアニオンX-は、好ましくはハライド(クロリド、ブロミド又はアイオダイドアニオン)又はアルキルサルフェート、より特定的にはメチルサルフェートである。しかし、メタンスルホネート、ホスフェート、ニトレート、トシレート、有機酸由来のアニオン、例えばアセテート又はラクテートアニオン、又はエステル官能基を含むアンモニウムと相溶性のある任意の他のアニオンを使用することも可能である。
該アニオンX-は、より一層特定的には、クロリド又はメチルサルフェートアニオンである。
より特定的には、本発明の組成物において、上記式(X)のアンモニウム塩を使用することができ、該式(X)において、
・R22は、メチル又はエチル基を表し;
・x及びyは、1に等しく;
・zは、0又は1に等しく;
・r、s及びtは、2に等しく;
・R23は、以下に列挙する基から選択され:
-以下の式で表される基:
【0050】
【化12】

【0051】
-メチル、エチル又はC14-C22炭化水素基;及び
-水素原子;
・R25は、以下に列挙する基から選択され:
-以下の式で表される基:
【0052】
【化13】

【0053】
-及び水素原子;
・R24、R26及びR28は、同一又は異なっていてもよく、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のC13-C17炭化水素基から選択され、また好ましくは直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のC13-C17アルキル及びアルケニル基から選択される。
該炭化水素基は、有利には直鎖炭化水素基である。列挙可能なその例は、上記式(X)で表される化合物、例えばジアシルオキシエチルジメチルアンモニウム、ジアシルオキシエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム、モノアシルオキシエチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、トリアシルオキシエチルメチルアンモニウム及びモノアシルオキシエチルヒドロキシエチルジメチルアンモニウム塩(特に、クロライド又はメチルサルフェート)、及びこれらの混合物を含む。該アシル基は、好ましくは14〜18個の炭素原子を含み、またより特定的には植物オイル、例えばパーム油又はヒマワリ油から得られる。該化合物が、数個のアシル基を含んでいる場合、これらのアシル基は同一又は異なっていてもよい。
【0054】
これらの製品は、例えば場合によりオキシアルキレート化されていてもよい、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン又はアルキルジイソプロパノールアミンの、植物又は動物起源の脂肪酸又は脂肪酸混合物による直接的エステル化により、あるいはこれらのメチルエステルのエステル交換によって得られる。このエステル化は、アルキル化剤、例えばアルキルハライド(好ましくはメチル又はエチルはライド)、ジアルキルサルフェート(好ましくはジメチル又はジエチルサルフェート)、メチルメタンスルホネート、メチルp-トルエンスルホネート、グリコールクロルヒドリン又はグリセロールクロルヒドリンを用いた四級化を伴う。
このような化合物は、例えばヘンケル(HENKEL)社によりデハイカート(DEHYQUARTTM)なる名称、ステパン(STEPAN)社によりステパンカット(STEPANQUATTM)なる名称、セカ(CECA)社によりノキサミウム(NOXAMIUMTM)なる名称、又はレボ-ウイトコ(REWO-WITCO)社によりレボカット(REWOQUATTM) WE18なる名称の下に市販されている。
本発明による組成物は、好ましくは重量基準で主としてジエステル塩を含む、四級アンモニウムモノ-、ジ-及びトリ-エステル混合物を含む。
【0055】
該アンモニウム塩の混合物としては、例えば15〜30質量%なる範囲のアシルオキシエチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムメチルサルフェート、45〜60質量%なる範囲のジアシルオキシエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウムメチルサルフェート、及び15〜30質量%なる範囲のトリアシルオキシエチルメチルアンモニウムメチルサルフェートを含有する混合物を使用することができ、ここで該アシル基は、14〜18個の炭素原子を含み、また場合により部分的に水添されているパーム油から誘導される。
少なくとも一つのエステル官能基を含む、特許US-A-4,874,554及びUS-A-4,137,180に記載されているアンモニウム塩を使用することも可能である。
上記式(VII)の四級アンモニウム塩として、好ましく使用されるものは、一方では、テトラアルキルアンモニウムクロリド、例えばジアルキルジメチルアンモニウムクロリド又はアルキルトリメチルアンモニウムクロリド(ここで該アルキル基は約12〜22個の炭素原子を含み)、特にベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリドであり、あるいは他方では、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウムメトサルフェート、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート又はジセチルアロイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェートであり、あるいはまた最後に、パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド又はバンダイク(VAN DYK)社によりセラフィル(CERAPHYLTM) 70なる名称の下に市販されているステアラミドプロピルジメチル(ミリスチルアセテート)アンモニウムクロリドである。
【0056】
本発明による組成物中に存在し得るあらゆるカチオン性界面活性剤の中で、好ましいカチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウム(INCI:セトリモニウム(cetrimonium-))、ベヘニルトリメチルアンモニウム(INCI:ベヘントリモニウム(behentrimonium-))、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルアンモニウム、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム、メチル(C9-C19)アルキル(C10-C20)アルキルアミドエチルイミダゾリウム及びステアラミドプロピルジメチルアンモニウム塩(クロリド又はメトサルフェート)、及びこれらの混合物から選択される。
有利には、該1種又はそれ以上の界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤から選択される。
本発明の組成物が、少なくとも一つの界面活性剤を含む場合、該界面活性剤は、該組成物の全質量に対して、好ましくは0.1〜20質量%なる範囲、及びより好ましくは0.2〜10質量%なる範囲の濃度にて該組成物中に存在する。
本発明で使用する組成物は、化粧学的に許容される媒体を含むことができる。
【0057】
該化粧学的に許容される媒体は、水、又は水と少なくとも一つの化粧学的に許容される溶媒、好ましくはC1-C4低級アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、t-ブタノール又はn-ブタノール;ポリオール、例えばグリセロール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール;及びこれらの混合物から選択される溶媒との混合物で構成される。
本発明の組成物は、また前に定義した化合物以外の、当分野において周知の1種又はそれ以上の従来の添加剤を含むことができる。本発明に従って使用することのできる添加剤の例としては、イオン性又は非-イオン性の、会合性又は非-会合性のポリマー及び特にカチオン性ポリマー、植物油以外の液状又は固体脂肪、非-アミノ化シリコーン、シラン、タンパク質、ビタミン、還元剤、可塑剤、軟化剤、消泡剤、湿潤剤、顔料、クレイ、無機フィラー、UV-遮断フィラー、無機コロイド、解凝固剤、可溶化剤、香料、保存剤、光沢剤、推進剤及び無機又は有機増粘剤を挙げることができ;これら添加剤は、上で既に定義した化合物とは異なるものである。
【0058】
当業者は、1種又はそれ以上の任意の添加剤及びその量を、これらが本発明の組成物の諸特性に悪影響を及ぼさないように注意して選択するであろう。
これら添加剤は、一般的に、本発明の組成物の全質量に対して、0〜20質量%なる範囲の量にて、該組成物中に存在する。
本発明の組成物は、リンス型又は非-リンス型ケア組成物の形状をとることができ、非-リンス型ケア組成物は、様々な増粘度を持つローション、クリーム、ゲル又はエマルションの形状にある。
本発明のもう一つの課題は、上記の如き化粧料組成物の、ケラチン物質、好ましくはケラチン繊維、例えば毛髪を化粧学的に処置するための使用、及びとりわけリンス型の毛髪処置製品としての使用にある。
本発明は、またケラチン物質、好ましくはケラチン繊維、例えば毛髪を処置するための化粧学的方法にも係り、この方法は、上記の如き化粧料組成物の有効量を、該物質に適用し、及び場合により随意の放置期間の経過後に該組成物を洗い流す工程を含む。
本発明の組成物をローション又はクリームとして適用する場合、該組成物は、場合により該毛髪上に約0.5〜5分間放置状態に置かれ、次いで場合により水で洗い流される。
【実施例】
【0059】
以下の実施例は、本発明を説明するために与えられるものである。
以下の実施例において、全ての量は、特に断らない限り、該組成物の全質量に対する質量%で表された量として示されている。
実施例1:組成物
以下のリンス型ケア組成物A及びBを、以下の表に示された成分から調製した。
【0060】
【表1】

【0061】
組成物Aを、本発明による組成物Bと比較した。
6gの組成物Aを、モデル頭部の1/2に適用し、かつ6gの組成物Bを、該モデル頭部の他の1/2に適用した。該毛髪をマッサージした後、これを水でリンスした。
リンス中の該毛髪の柔軟性、該湿った毛髪の毛根部分の分離性及びを該毛髪の乾燥速度を評価した。
この評価は、10名のモデルからなるパネルについて、このような職務において恒常的に訓練されている熟練者により行われた。各評価基準に関連して、評点は、0(不良)〜5(極めて良好)なる範囲にあるものとされた。
以下のような結果が観測された:
組成物AとBとの比較
【0062】
【表2】

【0063】
本発明による組成物Bは、リンス中に、該毛髪繊維のより良好な柔軟化へと導き、また湿った毛髪に対してより良好な嵩(より良好な毛根部分における毛髪の分離性が見られる)の付与へと導く。
また、より迅速な乾燥が、該組成物Aで処置した毛髪に比して、組成物Bで処置した毛髪について観測された。
実施例2:本発明によるもう一つのリンス型ケア組成物
【0064】
【表3】

【0065】
該組成物Cで処置された毛髪は、上記組成物Bによって処置された毛髪と同様な特性を持つ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料組成物であって、化粧学的に許容される媒体中に、以下の成分:
・1又はそれ以上の揮発性直鎖アルカン;
・該組成物の全質量に対して、少なくとも0.5質量%の、1又はそれ以上のアミノ化シリコーン;及び
・該揮発性直鎖アルカンとは異なる、1又はそれ以上の植物油
を含む、前記化粧料組成物。
【請求項2】
前記1又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンが、7〜15個の炭素原子を持つ直鎖アルカンである、請求項1記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記揮発性直鎖アルカンが、n-ウンデカンとn-トリデカンとの混合物から選択される、請求項2記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記1又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンが、前記組成物の全質量に対して、0.5〜90質量%なる範囲の含有率にて存在する、請求項1〜3の何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
前記1又はそれ以上のアミノ化シリコーンが、以下に列挙するものから選択される、請求項1〜4の何れか1項に記載の化粧料組成物:
(a1) 以下の一般式(II)に相当する化合物:
【化1】

ここで、R、R'及びR"は、同一又は異なっていてもよく、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基又はOH基を表し;Aは、直鎖又は分岐した、C3-C8アルキレン基を表し;m及びnは、分子量に依存する整数であり、その和は1〜2,000なる範囲内にある;
(a2) 以下の一般式(III)に相当する化合物:
【化2】

ここで、n及びmは、その和(n+m)が、1〜2,000なる範囲で変動し得るような数であり、nは0〜1999なる範囲の数を表し、かつmは1〜2,000なる範囲の数を表す;
(b) 以下の一般式(IV)に相当する化合物:
【化3】

ここで、R3は、一価のC1-C18炭化水素基を表し、
R4は、二価の炭化水素基を表し、
Q-はハライドイオンであり、
rは、2〜20なる範囲の統計的平均値を表し、
sは、20〜200なる範囲の統計的平均値を表す;
(c) 以下の一般式(V)で表される四級アンモニウムシリコーン:
【化4】

ここで、
R7は、同一又は異なっていてもよく、1〜18個の炭素原子を含む一価の炭化水素基を表し、
R6は、二価の炭化水素基又は、SiC結合によりSiに結合した二価のC1-C18アルキレンオキシ基を表し;
R8は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、1〜18個の炭素原子を含む一価の炭化水素基、又は基:-R6-NHCOR7を表し;
X-はアニオンであり;
rは、2〜200なる範囲の統計的平均値を表す;
(d) 以下の一般式で表されるアミノ化シリコーン:
【化5】

ここで、
R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なっていてもよく、C1-C4アルキル基又はフェニル基を表し;
R5は、C1-C4アルキル基又はヒドロキシル基を表し;
nは、1〜5なる範囲の整数であり;
mは、1〜5なる範囲の整数であり;及び
xは、該化合物のアミノ価が、0.01〜1meq./gとなるように選択される値である。
【請求項6】
前記1又はそれ以上のアミノ化シリコーンが、前記一般式(II)、(III)及び(V)で表されるシリコーンから選択される、請求項5記載の化粧料組成物。
【請求項7】
前記1又はそれ以上のアミノ化シリコーンが、前記組成物の全質量に対して、0.5〜20質量%なる範囲の含有率にて存在する、請求項1〜6の何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
前記1又はそれ以上の植物油が、甘扁桃油;アルガン油;アボカド油;ピーナッツ油;ツバキ油;サフラワーオイル;ヤラボ油;菜種油;コプラ油;コリアンダー油;ウリ科植物の種子油(キューカンバー油);麦芽油;ホホバ油又はホホバ液状ワックス;亜麻仁油;マカダミアナッツ油;玉蜀黍胚芽油;ヘーゼルナッツ油;クルミ油;ベルノニアオイル;杏仁油;オリーブオイル;マツヨイグサ油;パーム油;トケイソウ油;グレープシード油;ローズ油;ヒマシ油;ライムギ油;ゴマ油;米糠油;大豆油;及びヒマワリ油から選択される、請求項1〜7の何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
前記1又はそれ以上の植物油が、前記組成物の全質量に対して、0.3〜30質量%なる範囲の含有率にて存在する、請求項1〜8の何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の化粧料組成物を適用する工程を含む、ことを特徴とする、ケラチン物質の化粧学的処置方法。

【公開番号】特開2011−132243(P2011−132243A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−294807(P2010−294807)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】