少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流を分離するための熱分解法
本発明は、(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物から(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流を分離するための熱分離法に関するが、これは分離室に滞留する高い温度及び高い(メタ)アクリルモノマー含量を有する液相を最小にするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流を(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物から分離するための熱分解法に関し、これは、その中に少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを含有する物質流を導入しかつそこから少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを含有する物質流を導出する、分離内部品を有するか又はそれなしの分離室少なくとも1個を有する少なくとも1個の熱分離装置の連続的定常操作から成り、その際、−全部分離室中へ導入され、理論的に分離室中に導入された個々の物質流を添加することによって製造される物質流が、(メタ)アクリルモノマーとは異なる成分X質量%を含有し、−(メタ)アクリルモノマーの最高質量割合を有する分離室から導出される物質流が(メタ)アクリルモノマーとは異なる成分Y質量%を含有し、−比X:Y≧5であり、−分離室が物質流供給部及び物質流搬出部を除いて固相により区切られており、少なくとも1個の循環熱交換器を有しかつ−分離室中の液相で充填された全容積が≧1m3であり、その際、液相の温度は少なくとも部分的に≧80℃であるという条件である。
【0002】
本明細書中で概念“定常操作”とは、物質流が物質含量及び流量に関して連続操作中に各々選択した単位で最高でも5%(基準値として平均値に関して)だけ変化することを意味する。本発明により有利には前記変数は≦4%、特に有利には≦3%及び極めて特に有利には≦2%又は≦1%である。
【0003】
用語(メタ)アクリルモノマーは本明細書中では“アクリルモノマー及び/又はメタクリルモノマー”の略語である。
【0004】
概念アクリルモノマーとは、本明細書中では“アクロレイン、アクリル酸及び/又はアクリル酸のエステル”の略語である。
【0005】
概念メタクリルモノマーとは、本明細書中では“メタクロレイン、メタクリル酸及び/又はメタクリル酸のエステル”の略語である。
【0006】
特に本明細書中で挙げた(メタ)アクリルモノマーは、下記(メタ)アクリル酸エステルを包含する:ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、イソ−ブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及びN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート。
【0007】
(メタ)アクリルモノマーは例えば接着剤として使用されるポリマーの製造用の重要な出発化合物である。
【0008】
(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸は大規模工業的に主として好適なC3−/C4−先駆物質化合物(又は先駆物質化合物自体)、特にアクロレイン及びアクリル酸の場合にはプロペン及びプロパン、又はメタクリル酸及びメタクロレインの場合にはイソーブテン及びイソ−ブタンの接触気相酸化により製造される。
【0009】
しかしプロペン、プロパン、イソ−ブテン及びイソ−ブタンの他に、出発物質としてその他の炭素原子3又は4個を含有する化合物、例えばイソ−ブタノール、n−プロパノール又は先駆物質化合物自体、例えばイソ−ブタノールのメチルエーテルも好適である。(メタ)アクリル酸は(メタ)アクロレインから製造することもできる。
【0010】
その際、通常生成物気体混合物が得られるが、これから(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクロレインを分離しなければならない。
【0011】
(メタ)アクリル酸のエステルは、例えば(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクロレインを相応するアルコールと直接反応させることによって得られる。もちろんこの場合にも先ず生成物混合物が生じ、これから(メタ)アクリル酸エステルを分離しなければならない。
【0012】
前記分離用に屡々、最初に記載したように1種以上の熱分離法が使用される。これらは通常連続的に実施され、その際、分離室に定常条件下で連続的に物質流を供給し、取り出す。熱分離法の特徴は、それを用いて達成される分離作用には熱エネルギーの供給(例えば蒸発用に)及び/又は除去(例えば凝縮用に)が必要であり、液相が関与している(分離室に導入される)ことである。
【0013】
通常この熱エネルギーは循環熱交換器を介して除去されかつ/又は供給される。循環熱交換器は、最初に記載した方法で必要とされる分離室の一部であり、そこに分離室のもう一つの部分から取り出された液−及び/又は気相が供給される。循環熱交換器中で熱エネルギーは、この液相及び/又は気相から分離室に含まれていない源によって、直接(例えば室内に源を供給することによって)及び/又は間接的に、供給かつ/又は除去される。次いで冷却又は加熱された液体(熱交換で部分的に及び/又は完全に蒸気相に変えることができる)及び/又は気相(熱交換で部分的にかつ/又は完全に凝縮することができる)を完全に分離室のもう一つの場所に戻し、その際取り出し−及び再循環部が空間的に別々に存在してよい。多くの場合に循環熱交換器の少なくとも1個は循環蒸発器である。
【0014】
熱分離作用自体の実施(即ち、熱分離法の実施)は、原則的に例えば簡単な蒸発の場合のように分離内部品を有さない分離室で可能である。その際、液体混合物が部分的に蒸発され、その際生じた液体混合物とは異なる組成物を有する蒸発層が蒸気状及び/又は凝縮された形で分離される。
【0015】
しかし熱分離作用は屡々分離内部品を一緒に使用して達成され、その際、屡々気体状(大抵は上昇)及び液体状(大抵は降下)物質流を直流又は向流で誘導する。物質流間に存在する不均衡により、熱−及び物質交換が起こり、これが最後に所望の分離を引き起こす。通常分離内部品は分離塔中に設置されている。
【0016】
本明細書の熱分離法の特徴は更に、分離室を通って導入される個々の化学的化合物が分離室を通過する際に、化学的変化が20モル%(分離室中に誘導される各々個々の化学的化合物の全量に対して)より少ない((メタ)アクリルモノマーのマイケル付加は除く;このような化学的変化は評価できない)ということである。
【0017】
本明細書の熱分離法では前記パーセンテージは屡々≦10モル%又は≦7モル%又は≦3モル%又は≦1モル%の値である。
【0018】
本明細書中で使用される概念“熱分離法”の例及び成分は、分別凝縮(例えばDE−A19924532参照)及び/又は精留(上昇蒸気相を下降液相に対して向流で誘導する;分離作用は、蒸気組成物が平衡で液体組成物と異なることに基づく)、吸収(少なくとも1種の上昇気体を少なくとも1種の下降液体に対して向流で誘導する;分離作用は、液体中の気体成分の異なる溶解性に基づく)、ストリッピング(例えば吸収のような;しかし液相にはストリッピングガスにより吸収される成分を負荷してある)及び脱着(吸収の逆工程;液相中に溶解した気体を分圧低下により分離する)である。しかし液/液抽出及び結晶化(特に流下液膜−及び懸濁結晶化)も本明細書中で熱分離法と考えられる。
【0019】
例えばプロパン及び/又はプロペンの接触気相酸化の生成物気体混合物からの(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクロレインの分離は、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクロレインを溶剤(例えば、水又は有機溶剤)中に吸収させることによってか又は生成物気体混合物の分別凝縮によって先ず基本的に分離し、その際生じた凝縮物又は吸収物を次いで精留(通常多段階工程で)により分離して程度の差はあれ純粋な(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクロレインにするというようにして行うことができる(例えばEP−A717019、EP−A1125912、EP−A982289、EP−A982287、DE−A19606877、DE−A1011527、DE−A10224341、DE−A10218419、DE−A10247240及びDE−A10243625参照)。
【0020】
前記分別凝縮は、慣用の精留とは、主として分離すべき混合物を分離室に気体状(即ち完全に蒸気形に変える)で供給することによって異なる。
【0021】
既に前記した(メタ)アクリルモノマーを含有する気体状及び/又は液体状混合物は、(メタ)アクリルモノマーを程度の差はあれ純粋な形で含有してもよいし希釈(例えば溶剤又は希釈気体を用いて)して含有してもよい。その際、溶剤は水性であっても有機溶剤であってもよく、その際有機溶剤の詳細な種類は実質的に重要ではない。希釈気体は例えば窒素、酸化炭素(CO、CO2)、酸素、炭化水素又はこれらの気体の混合物であってよい。
【0022】
即ち、例えば(メタ)アクリルモノマーの製造(分離)途中で異なる種類及び方法の熱分離法(最初に記載したような)を、(メタ)アクリルモノマーの含量が≧2質量%又は≧10質量%又は≧20質量%又は≧40質量%又は≧60質量%又は≧80質量%又は≧90質量%又は≧95質量%又は≧99質量%であってよい(もちろん(メタ)アクリルモノマーの含量は常に<100質量%の値である)気体状及び/又は液体状物質混合物に適用する。このような物質混合物の(メタ)アクリルモノマー含量は屡々10〜40質量%又は90〜99.5質量%である。
【0023】
通常これらの物質混合物を本発明の方法では自体(メタ)アクリルモノマーを含有する物質流として少なくとも1個の分離室に導入する。
【0024】
屡々分離室は最初に記載した熱分離方法では分離塔を含む。その際(メタ)アクリルモノマーの富化は塔頂部並びに分離塔のカン部で行うことができる。しかしもちろん分離塔の上部、下部又は中央部で(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する留分を取り出すことができる。
【0025】
分離室、例えば分離塔で一緒に使用される分離内部品は熱分離法で、分離作用を生じる熱−及び物質交換用の表面積を高める目的を達する。
【0026】
このような内部品としては例えば、充填物、充填ばら体及び/又は物質交換トレイが挙げられる。
【0027】
熱分離法用の分離内部品を有する分離塔としては、少なくとも分離作用内部品の一部として連続した物質交換トレイを有するのようなものが特に屡々使用される。
【0028】
物質交換トレイは、分離塔中で液体層の形で密閉された液相を有する場所を提供するという目的を果たす。液相中で例えば上昇し、その際密閉された液相中に分配される蒸気−又は気体流の表面積は、その場合に基準となる交換表面積である。物質交換トレイはそれらを取り囲む壁で有利には緊密に密封されている。物質交換トレイの典型例はシーブトレイである。これは本明細書では上昇する気体−又は蒸気相(概念“気体状”及び“蒸気状”は本明細書では同義語として使用する)用の流出部として簡単な穴及び/又はスリットを有する板である。
【0029】
その際シーブトレイは通常2種類の群、即ち液体強制誘導を有するようなものと液体強制誘導を有さないようなものに分けられる。
【0030】
極めて一般的には液体強制誘導は、物質交換トレイが、少なくとも1個の排出シャフトを有し(排水)、そこから液体が蒸気の流路とは無関係にこれより高い位置に設置されたトレイから低いトレイへ流れる(供給)ことによって、行うことができる。交換トレイ上の供給から排出への水平な液体流は、方法技術的な課題設定に応じて選択する。気体又は蒸気はトレイ板の開口横断面を通って進む。
【0031】
液体を逆流でトレイに誘導する(物質交換トレイの供給口及び排出口がトレイの同じ側上に設置されている)場合には、逆流トレイと称する。放射流トレイでは液体はトレイ上を中央(供給)からトレイの縁の排出口へ放射状に流れて排出される。
【0032】
交差流トレイでは、液体は全流動範囲に渡ってトレイ上を横断して供給口から排出口へ誘導される。通常横断流トレイは、単流構造である。即ち、供給口及び排出口はトレイの反対側に設置されている。しかし複流(又は複流より多い流れ)構造であってもよい。この場合には供給口は例えば中央に設置され、各1個の排出口が物質交換トレイの反対側に設置されていてよい。
【0033】
即ち、シーブトレイでは液体強制誘導は、シーブトレイが上昇する気体−又は蒸気相用の通路の他に少なくとも1個の排出シャフトを有し(排出)、これを通って液体が蒸気の流路とは無関係により高い位置にあるトレイから次ぎの低い位置にあるトレイへ流れる(供給)ことによって達成される。液体は例えば交差流でトレイ上を少なくとも1個の供給口から少なくとも1個の排出口へと流れ、その際、供給管及び排出管が液封及び所望のトレイ上の液体高さを保証する。屡々(特に小さい塔直径の場合には)液体強制誘導を有するシーブトレイは単流構造である。即ち供給及び排出はトレイの相対する側に設置されている。しかし複流(又は複流より多い流れ)であってもよい。この場合には、供給口は例えば中央に設置されており及び各々1個の排出口が物質交換トレイの相対する側に配置されている。このようなシーブトレイは以下で強制シーブトレイと称する。この場合には、分離作用を減少させる液体の漏出が水力により密封された交差流トレイの場合のようにその中を通路が続いている蒸気上昇管によって妨げられず、むしろこのために最小の蒸気負荷が必要である。蒸気は通路を通って上昇し、排出管により保たれる液体層を泡だって通過する。
【0034】
デュアルフロー又はレインシーブトレイ(Regensiebboeden)は排出部を有さないことによって強制シーブトレイとは異なる。排出部(排出シャフト)がないことによってレインシーブトレイでは上昇する気体及び分離塔を下降する液体がトレイの同じ通路を通る。レインシーブトレイでも強制シーブトレイの場合と同じく適切な分離作用を達成するために最小の蒸気負荷が必要である。蒸気負荷が著しく低くなる場合には、上昇する気体及び下降する還流が実質的に交換せずに一緒に通過し、トレイが空になる恐れがある。
【0035】
即ち、レインシーブトレイでも、トレイの働きを可能にするためにトレイ上に一定の液体層を維持する最低限界速度がなけらばならない。通常の操作範囲でレインシーブトレイでは液体はトレイからトレイへ通路を通って滴り、トレイ間で密集気相は分割された液相により散在させられる。
【0036】
水力により密封された交差流トレイはシーブトレイに比べて、各交差流トレイが合目的性から有する僅かな空口径穴(その横断面は通常通路の全横断面より200倍以上小さい)は度外視して、塔の遮断に際して空にならないことを特徴とする。
【0037】
即ち、僅かな塔負荷でも水力により密封された交差流トレイが溜まった液体(還流−及び/又は供給液体)を有し、空になる恐れがない。これは水力により密封された交差流トレイの通路ではシーブトレイの場合のように蒸気上昇管なしの穴ではないことに起因する。むしろ各通路はトレイが空になるのを阻止する蒸気上昇管中に開口している。蒸気上昇管上に蒸気方向転換フード(泡鐘)が取り付けてあり、これは溜まったトレイ液体中に浸かっている。屡々蒸気方向転換フードの縁にはスリット又は刻み目が付いている(即ち、輸送スリットを有する)。通路を通り上昇する蒸気流は蒸気方向転換フードを通って方向転換し、トレイに平行に、即ち塔に対して直角に溜まった液体中に流れる。
【0038】
隣接の通常トレイ上に等距離に分散配置されたフードから出てくる蒸気泡は、溜まった液体中で発泡層を形成する。
【0039】
通常交互に左又は右からトレイから出る排出管又は排出部は、關により保護されているが、物質交換トレイの液体水準を制御し、液体をその下にあるトレイに供給する。上方のトレイの排出管又は排出部が下方にあるトレイの溜まった液体中に浸漬していることが、水力による密封作用に重要である。供給關がないのが有利である。製造が不均一系の場合には、高さを調節可能な泡鐘中で流動状態の適合及び浸漬深さの平衡が行われるので、トレイの全泡鐘は均質に気体を送り出す。
【0040】
泡鐘の形状及び配置に応じて例えば単流構造の水力により密封された交差流トレイは、丸形泡鐘トレイ(通路、蒸気上昇管及び泡鐘が丸い)、トンネルトレイ(通路、蒸気上昇管及び泡鐘が長方形であり、泡鐘は連続して配置されており、その際、長い方の長方形端は液体の交差流方向に平行に配置されている)及びThormannトレイ(通路、蒸気上昇管及び泡鐘が長方形であり、泡鐘は連続して配置されており、その際、長い方の長方形端は液体の交差流方向に垂直に配置されている)に分けられる。
【0041】
本明細書中でバルブトレイとは、各々の塔負荷に蒸気通路の大きさを適合させた工程制御皿−、バラスト−又は上昇バルブ(フローティングフラップ)を有するトレイ穴を有する交差流トレイである。上昇する気体流は方向転換され、トレイに平行に溜まった還流液体中に流れ、発泡層を形成する。關を有する排出管はトレーからトレーへ還流する。これは屡々複流である。しかし、三つ及びそれ以上の流れ(例えば八つまでの流れ)構造であってもよい。
【0042】
下降液体及び上昇蒸気の間に平衡がとれている物質交換トレイを理論的トレイと称する。
【0043】
この概念は、向流蒸留(精留)用に好適なその他の全ての分離内部品(例えば充填物及び充填ばら体)並びにその他の熱分離工程、例えば吸収及び抽出に適応される。後者でも記載の分離内部品は2種類の液相間の交換表面積を増大させる。
【0044】
従って、通常理論的分離工程であるのが有利である。理論的分離工程とは、富化が熱動力学的平衡に応じて行われる空間単位と定義される。
【0045】
(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物からの少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流を分離するための熱分離法の目的は、一方では分離された(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流中の(メタ)アクリルモノマーのできる限り高い富化度であり、他方ではこの分離された物質流の可能な限り高い時空収率である。
【0046】
最初に記載した熱分離法の欠点は、通常その他は同じ限界条件下で富化度を高める手段が同時に時空収率を減少させることである(例えば理論的分離工程の数の増加により通常富化度を改良することができる;しかしその他は同じ限界条件で理論的分離工程の数の増加は通常時空収率を減少させる)。
【0047】
本発明の目的は、前記関係を絶ち、富化度及び時空収率が同時に高められた、(メチル)アクリルモノマーを含有する混合物から少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流を分離するための最初に記載したような熱分離法を提供することであった。
【0048】
従って、これは、(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物から、少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流を分離するにあたり、分離内部品を有するか又は有さない分離室少なくとも1個を有する少なくとも1個の熱分離装置の連続的定常操作を含み、該分離室中に少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを含有する物質流を導入し、かつ該分離室から少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを含有する物質流を導出するが、但し、
− 全部分離室中へ導入され、理論的に分離室中に導入された個々の物質流を添加することによって製造される物質流が、(メタ)アクリルモノマーとは異なる成分X質量%を含有し、
− (メタ)アクリルモノマーの最高質量割合で分離室から導出される物質流が(メタ)アクリルモノマーとは異なる成分Y質量%を含有し、
− 比X:Y≧5であり、
− 分離室が物質流供給部及び物質流搬出部を除いて固相により区切られており、少なくとも1個の循環熱交換器を有し、かつ
− 分離室中の液相で充填された全容積が≧1m3であり、その際液相の温度は少なくとも部分的に≧80℃である
熱分離法において、
− 分離室がn個の個々の容積成分に分けられる場合に、その際個々の容積成分中に存在する液相の最高及び最低温度が2℃より多くは相違せずかつ容積成分が分離室中で連結しており、全滞留時間tges
【0049】
【数1】
が≦20時間であり、その際、
A=(T1−To)/10℃、
To=100℃、
Ti=容積成分iの液相中に存在する最高及び最低温度の算術平均値(℃)、
msi=容積成分i中に含有される液相の容積中に含有される(メタ)アクリルモノマーの全量、
mi=容積成分iから導出される全液相流量、及び
【0050】
【数2】
デッドスペース−容積成分としてその中に含有される液相質量mi及びmi/m≧100時間を有する容積成分iは、液相を有さない容積成分iと同様に全容積成分iに関する合計にはほとんど含まれず、デッドスペース−容積成分中に含有される液相の全量が分離室中に含有される全液相の5質量%より多くはないことを特徴とする。
【0051】
本発明による方法の背景は、メタクリルモノマーが1回又は数回のマイケル付加によってオリゴマー又はポリマーを生成することである(マイケル付加物)。
【0052】
アクリル酸の場合には、これは例えば一般式I
(y+1)CH2=CH−CO2H→
CH2=CH−CO2−(CH2−CH2−CO2)y−H (I)
[式中、y=特に1〜6、部分的には>6]を満たす。
【0053】
特に、マイケル付加物生成の特徴はEP−A733617、EP−A765861、DE−A19536191、DE−A19851984、DE−A19927722、EP−A780360、EP−A780359、WO98/08798、WO97/48669及びDE−A19924533から公知である。
【0054】
(メタ)アクリルモノマーのマイケル付加物生成の欠点は、これが(メタ)アクリルモノマー含有混合物からの(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流の分離用の熱分離法の範囲でも行われ、その際富化度及び時空収率が減少することである。この問題を解決する方法として公知技術ではマイケル付加物の単離及び引き続いての分離のみ挙げている(例えばEP−A780359、EP−A780360、WO98/08798及びDE−A19924533参照)。
【0055】
詳細な研究から更に問題を解決する方法として本発明による方法が導き出された。
【0056】
この問題を解決する際に、(メタ)アクリルモノマーのマイケル付加物生成が実質的に液相中でのみ行われることを考慮することが役立つ。更に液相中でのマイケル付加物生成が、温度上昇及び液相の(メタ)アクリルモノマーの量割合の増加と共により迅速に行われることを考慮するが、その際、10℃の温度上昇は反応速度を約2倍にする。明らかに100℃より下ではアクリルモノマーのマイケル付加は実質的に無視される。
【0057】
即ち、定常操作での(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物からの少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流を分離するための連続操業熱分離法では、温度及び液相中の(メタ)アクリルモノマーの量割合が高い場合には液相中の(メタ)アクリルモノマーの滞留時間が僅かであるように留意すると、このような熱分離法で(メタ)アクリルモノマーの不利なマイケル付加物生成を一定の程度抑制することができる。
【0058】
これに関して好適な尺度は、(メタ)アクリルモノマーが熱分離法で分離室中で液相中で有する個々の滞留時間から有利な方法で算出された(メタ)アクリルモノマーの平均全滞留時間である。
【0059】
このために分離室をn個の個々の容積成分に分ける。この容積成分の大きさ及び数nは実質的に重要でない。即ち、個々の容積成分は同じ大きさであってもよいし、異なる容積を有してもよい。重要なことは、個々の容積成分中に存在する液相の最高及び最低温度が2℃より多くは異ならず、容積成分が分離室中で連続している(温度要求はマイケル付加の温度依存性を考慮に入れる)ことである。
【0060】
容積成分i中の(メタ)アクリルモノマーの個々の滞留時間tiはti=mi/m’iにより表される。その際、miは容積成分i中に含有される全液相質量であり、m’iは容積成分iから導出される全液相流量(これは定常状態で容積成分iへ供給される全液相流量と等しい)である。
【0061】
この個々の滞留時間は、容積成分i中の(メタ)アクリルモノマーの質量割合を考慮するために、商msi/miで掛ける。
【0062】
因子2A[A=(Ti−To)/10℃]は付加的に個々の滞留時間をはかり、容積成分iの液相中の温度を考慮に入れる。最後になお液相を含有する全容積成分iを合計する必要がある。
【0063】
デッドスペース容積成分iは、実質的に分離工程に関与してない限り合計に含まない。これは特にそれらに関しmi/m’i≧200時間又は≧300時間又は≧400時間又は≧500時間又は≧750時間又は≧1000時間である場合に当てはまる。
【0064】
デッドスペース容積成分は、本発明による分離法で分離作用を生じる交換工程に実質的に関与しない。この容積成分には一度液相を充填され、決まった時間を超えて実質的に同じ液相を含有する、実質的に単離された容積成分が該当する。
【0065】
基本的には本発明による方法ではデッドスペース容積成分は十分回避すべきである。それらは特に、その中に含有される(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合の高められた開始可能性を有するからである。
【0066】
即ち、本発明による方法は特に、デッドスペース容積成分中に含有される液相の全量が4質量%より多くなく、有利には3質量%より多くなく、特に有利には2質量%より多くなく、極めて特に有利には1質量%より多くないか又はむしろ殆どない場合が有利である。
【0067】
更に本発明による方法で、X:Y≧5であることが重要である。即ち、理論的分離段の数は本発明による方法によって損なわれない。むしろ本発明による方法では個々の滞留時間tiは特に、一方ではmsi/mi及びAが大きくかつtiの減少が理論的分離段の数を実質的に損なわない場合には、減少する。
【0068】
従って本発明による方法は、X:Y≧8、又は≧10、又は≧15、又は≧20、又は≧30、又は≧40又は≧50である場合にも使用可能である。
【0069】
通常X:Yは本発明による方法では200を超えない。大抵はX:Yは本発明による方法では、≦175、多くの場合に≦150又は≦100である。
【0070】
本発明による方法は特に、分離室中で液相で充填された全容積Vが大容積である場合に有利である。即ち、Vは本発明による方法では≧2m3、又は≧4m3、≧5m3、又は≧7m3、又は≧9m3、≧10m3、又は≧15m3であってよい。通常Vは500m3より大きくはない。即ち通常Vは本発明による方法では≦450m3、屡々≦400m3、多くは≦350m3、及び大抵は≦300m3である。
【0071】
(メタ)アクリルモノマーの高い沸点により、分離室中に存在する液相の温度は本発明による方法では屡々少なくとも部分的に≧90℃、又は≧100℃、又は≧110℃、又は≧120℃、又は≧130℃、又は≧140℃、又は≧150℃、又は≧160℃、又は≧170℃、又は≧180℃である。通常容積成分i中の存在する液相の最高温度は本発明による方法では250℃であるが、しかしこれを超えない。通常この最高温度は≦230℃、屡々≦210℃、多くの場合には≦200℃である。分離生成物が分離平衡から除去されることが前提であるが、これらの温度では通常言うに値する分離作用を起こすことができない。
【0072】
有利には全滞留時間tgesは本発明による方法では≦15時間又は≦10時間である。特に有利にはtgesは本発明によれば≦8時間、又は≦6時間、又は≦4時間、又は≦2時間である。しかし通常tgesは本発明による方法では≧0.5時間又は≧1時間である。
【0073】
本発明による方法は特に、文書EP−A648732及びEP−A270999に記載の粗(メタ)アクリル酸の精製用の精留法、文書DE−A19924533、DE−A10247240及びDE−A10243625に記載のアクリル酸へのプロペン−及び/又はプロパン部分酸化の生成物気体混合物からの粗アクリル酸基本的分離用の分別凝縮法、EP−A717029に記載の(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸より高温で沸騰する不活性疎水性有機液体を主成分として含有する混合物からの粗(メタ)アクリル酸の精留による分離の方法、DE−A4308087に記載のプロペン及び/アクロレインの接触部分酸化の反応気体からのアクリル酸の吸収分離並びにその他のこれら文書並びにEP−A990636、EP−A861820、EP−A778255、EP−A551111、EP−A695736、EP−A1026145及びDE−A10251328に記載されかつ/又は参照文献により引用された、(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物からの少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流の分離用の精留、吸収及び/又は抽出による熱分離法で使用することができる。
【0074】
分離室は前記方法及び本発明による方法で大抵は、極めて一般的には少なくとも1個の循環熱交換器及び分離内部品を有するか又はそれなしの少なくとも1個の塔を有する。
【0075】
吸収分離は通常発熱反応であるので、少なくとも1個の循環熱交換器はこれに関して通常熱除去の目的を果たす。これは通常間接的に、分離室には全く入らない冷媒(冷却剤)により行われる。即ち、間接的な熱交換器の二つの空間側の1個だけが分離室の成分である。もう一つは外側にあり、冷媒を誘導する。熱交換器の分離室に属す空間側による物質流搬出は通常少なくとも1個のポンプによって行われる。
【0076】
吸収による分離とは異なる多数の熱分離では、循環熱交換器を介して分離室に熱を供給する。これは大抵の場合に同じく間接的に分離室に入らない熱交換器により行われる。即ち、間接的な熱交換器の二つの空間側の1個だけが分離室の成分である。もう一つは外側にあり、熱媒体を運ぶ。屡々分離室に属す熱交換器の空間側で沸騰現象を起こすのに十分な熱を供給する。
【0077】
この場合に、循環熱交換器を循環蒸発器と称する。分離室に属する熱交換器の空間側による物質流搬出は、ポンプ(強制循環)及び/又は自然循環により行われる(後者は加熱された物質流と加熱されてない物質流の間の質量密度の相違により行われる)。
【0078】
特に本発明による熱分離法が精留である場合には、循環熱交換器として循環蒸発器を使用する。
【0079】
原則的に本発明による方法では間接的な循環熱交換器として全ての種類の公知の間接的熱交換器を使用することができる。その中に含まれる液相容積が最小であるようにそれらを選択するのが有利である。
【0080】
循環蒸発器の場合には例えば、図1に記載されているように、分離塔に統合されたロバート蒸発器(自然循環蒸発器)が挙げられる(1=分離塔、2=加熱蒸気、3=加熱蒸気凝縮物、4=カン部流出液、5=液体水準、6=蒸発器管、7=中央降下管、8=循環方向)。
【0081】
しかし、循環蒸発器は、図2に記載されているように、分離塔の外に設置された強制循環蒸発器であってもよい(1=分離塔、2=循環ポンプ、3=管形蒸発器、4=加熱蒸気、5=加熱蒸気凝縮物、6=カン部生成物取り出し、7=循環方向、8=分離装置、9=排出流、10=供給流、11=液体水準)。
【0082】
しかしもちろん循環蒸発器として、図3に図示されているように、強制循環瞬間蒸発器を使用することもできる(1=分離塔、2=循環ポンプ、3=絞り装置、4=管形蒸発器、5=加熱蒸気、6=加熱蒸気凝縮物、7=カン部生成物取り出し、8=循環方向、9=分離装置、10=排出流、11=供給流、12=液体水準)。強制循環瞬間蒸発器は強制循環蒸発器と異なり分離塔とは絞り装置により分けられている。圧力Pxで存在する分離塔の液体内容物から連続的に一部取り出し、循環ポンプにより例えば管形蒸発器(管束熱交換器)の供給流にポンプで装入する。管形蒸発器の内部にある管の回りに熱媒体、例えばその温度が分離塔の液体内容物の温度の上にある加熱蒸気(通常圧力下にある水蒸気)が流れる。管形蒸発器の供給及び排出流管を通る途中で取り出された分離塔液体を間接的な熱交換器により分離塔の液体内容物の温度の上にある温度Ty’に加熱する。
【0083】
絞り装置は管形蒸発器と分離塔を圧力面で分離し、循環ポンプ出力を適切に選択することによってPxの上にあり、取り出した分離塔液体の温度Ty’での沸騰圧力Py’の上にある、絞り圧Pyの調整を可能にする。前記手段により循環ポンプ装入された分離塔液体分の沸騰が管形蒸発器の管中で抑制される。循環ポンプ装入された分離塔液体分は管形蒸発器の管中で分離塔の液体内容物上の圧力Pxに関してむしろ過剰加熱され、沸騰工程は絞り装置の通路側へ移る(即ち、管形蒸発器の管の内容物は単相で存在し、管形蒸発器は過熱器としてのみ機能する)。その際、過熱された液体の絞り装置を通り分離塔中への通路は、直接分離塔の(分離塔カン部の)液体内容物中の中に入る。この条件下で分離塔カン部の液体内容物の温度は、規則的にカン部液体上の圧力Pxに属する沸騰温度Txに相応する。
【0084】
しかし、原則として過熱された液体の絞り装置を通る分離塔中への通路は、分離塔カン部の液体面上であってもよい。この条件下では、分離塔カン部の液体内容物の温度は、規則的にカン部液体上の圧力Pxに属する沸騰温度Txの下である。分離塔の外側に取り付けられた管形蒸発器の沸騰蒸発作用が分離塔でのみ、即ち循環蒸発器の外側でしか起こらないことが重要である。絞りは例えば機械的に(絞り、弁)及び/又は静水学的に(過熱された液体の絞り部を介して相応する高いカン部カラムによって)行うことができる。
【0085】
循環蒸発器は図4に図示してあるように、その中に分離室の外側で生成された熱媒体を導入し、これに蒸発する液体を直接接触させる、直接循環瞬間蒸発器であってもよい。
【0086】
分離塔8のカン部9からカン部液体を取り出しかつ/又は分離塔の下部にある捕集トレイ1から高沸点留分を取り出す。次いで一つか又は両方の液体取り出しを直接循環蒸発器6中に噴霧し、そこで例えばプロペン−及び/又はプロパン部分酸化のより高い温度を有する生成物気体混合物2と直接熱媒体として直流で誘導し、これと直接熱交換させ、その際少なくとも部分的に蒸発させる。次いで全混合物10を分離塔のカン部液体(還流は浸漬してはならない)中に戻し、これらか上昇する気体混合物をそれ自体上昇させて分別凝縮する。
【0087】
分離塔から取り出した液体の搬送はポンプ4、5を用いて行う。3はカン部生成物取り出しであり、7はカン部液体の水準である。直接循環蒸発器は通常分離内部品を有さず、円筒形である。原則的に気体−及び液相を直接循環蒸発器から別の空間にある分離塔に戻す。このような直接循環蒸発器は図5に図示する。数字は図4と同じものを表す。
【0088】
10aは分離塔中に戻した気相であり、10bは分離塔に戻された液相である。11は直接循環蒸発器中の液体水準である。
【0089】
分離塔は分離内部品を有してなくともよいし、分離内部品を含有してもよく、その際本発明による方法を実施するために原則として本明細書で既に記載した全ての分離内部品がそれ自体又は場合によってその他の分離内部品と一緒に、挙げられる。
【0090】
その際、堆積型充填物としては例えばラシヒガラスリング、くら形充填物、メッシュリング、V2A−螺旋、ポールリング及びステッドマン体並びに第2、第3及び第4世代の充填物が挙げられる。直径が塔の内径と実質的に同じである嵌め込み型充填物としては、異なる種類の充填物が挙げられる。その際通常、透過性の表面積の大きな三次元構造の金属、プラスチック及び/又はセラミック網状構造物である。
【0091】
本発明による方法がプロペン及び/又はプロパンのアクリル酸への1段階又は2段階の不均一系触媒による部分酸化の気体混合物の分別凝縮である場合には、分離塔は、例えばDE−A19924532、DE−A10243625及びDE−A10247240に推奨されているような、有利には下から上に、先ずデュアルフロートレイ及び次いで水力により密封された交差流トレイ(例えばThormann(R)−Boeden又は修正Thormann(R)−Boeden)を分離内部品として含有するようなものである。
【0092】
その際、理論的分離段の数は有利には15〜30、有利には20個である。その際、蒸発器は有利には前記したような直接循環蒸発器である。凝縮塔中になお酸性水クエンチが組み込まれている場合には、凝縮塔のこの部分に分離内部品として、DE−A19924532、DE−A1024625及びDE−A10247240に記載されているようなバルブトレイが挙げられる。
【0093】
tgesの一般式により本発明による方法でtgesは、大きなm’iの場合に同時にmsiができる限り小さい場合には、小さい。即ち、本発明による目的は特に、実質的に同じ物質流及び理論的分離段の場合に、分離室中で定常的操業状態で滞留する合計液相を最小にすることによって、特に、液相が特に高い温度を有し、その最小化によりその理論的分離段の数が減少しない容積成分中で達成される。特にこのために下記の方法が提供される。第一の方法は、(メタ)アクリルモノマーを含有する液相を通して誘導する分離室の配管の管横断面を一定の圧力損失(同じ容積流で)を犠牲にして小さくし、管の長さを最小に設置することである。
【0094】
前記したように実施される分別凝縮では、本発明では直接循環蒸発器の外にその他の循環熱交換器が何も分離室に付いていないのが有利である。
【0095】
即ち、DE−A19924533の図1及び図2又はDE−A19924532の図及びDE−A10247240に推奨されているものとは異なり、本発明によれば、前記図の循環熱交換器8をなくして、蒸発熱を専ら部分酸化(例えばプロペン及び/又はプロパンのアクリル酸への)の生成物気体混合物から得ることが有利であろう。直接循環蒸発器は本発明によれば有利には図5に記載してあるものではなく、図4に記載してあるものであり、気体及び液体から成る混合物を直接二層系として分離塔に誘導するものであり、これは図5の方法実施と異なり、付加的な液体水準(高められた個々の滞留時間を伴う)の生成を阻止する。同時に、直接循環蒸発器の横断面を同じ循環量で(直接循環蒸発器は
同時に部分酸化の生成物気体混合物用の直接冷却器として働く;熱勘定技術の理由からある一定の最小循環量が必要である)最小に保ち、こうして分離室の系中に滞留する全液相量を最小に保つ。
【0096】
分離室が分離内部品として物質交換トレイを含む場合には、このような物質交換トレイとして本発明によればシーブトレイ、特に有利にはレインシーブトレイ(Dual−Flow−Boeden)を使用する。後者は溢流關を有さないので、特に僅かな液体水準で操業可能であり、本発明によれば水力により密封した交差流トレイに対して有利である。後者はレインシーブトレイを用いて達成可能な分離作用が十分でない場合にだけ使用する。
【0097】
分離室が捕集トレイを(例えば分離塔の成分として)有し、これから例えば分離された液体物質流を分離室から搬出することができる(例えば貯蔵タンク又は循環熱交換器中へ)場合には、これを本発明によれば可能な限り僅かな液体水準で操作する。これは例えば、捕集トレイに押しのけ物体を設けることによって可能である。これにより減少した液体容積で液体水準を高めることができる。代わりの解決法の一つがDE−A10159825により傾斜を有する捕集トレイの形で提案されている。
【0098】
相応する押しのけ物体は本発明による方法で通常分離塔のカン部成分(カン部室)中でも有利であると実証された。これは通常幾何学的に最下部の分離内部品の下にある空間部分である。特に本発明による分離法として精留の場合には、例えば強制循環熱交換器に供給するために、カン部成分から規則的にカン部液体を取り出す。同時にカン部液体は通常沸騰状態である。
【0099】
強制循環熱交換器で強制供給用に必要なポンプが例えば操業不良(これは、ポンプは通常液体供給用にのみ設計されているので、通常ポンプの搬出力を減少させ、不所望な場合には故障を引き起こす)の場合に過剰量の気体を吸い込むのを阻止するために、カン部部分に通常安全液体高さ、安全液体水準を設ける。
【0100】
この安全高さは本発明によれば有利には、カン部空間に押しのけ物体を装入するか又は例えば図6に記載したようにカン部空間を小さくすることによってカン部容積を減少させることによって達成することができる。このカン部容積の減少は本発明による方法では極めて一般的に適用することができるのは明らかである。
【0101】
いずれにせよ本発明によればこのような解決法に対して、例えば図7に示したようにポンプと塔カン部の間に安全性の観点からカン部液体緩衝容器が接続されているのが有利である。本発明による方法で一緒に使用されるポンプは、有利にはできる限り僅かな液相量を保持するように選択する。
【0102】
Tiは本発明による方法では簡単な方法で実験による測定によって決めることができる(例えば好適な方法で設置された熱電対により)。
【0103】
原則として容積成分iの選択は本発明による方法では任意であり、tgesの結果に実質的に影響を与えない。しかし多くの場合に容積成分iの特に有利な選択が存在する。
【0104】
強制誘導を有する物質交換トレイの場合には、有利には容積成分iとして、図8の細平行線で引いた面により図示されているような、物質交換トレイ上の液体水準及びその下に存在する物質交換トレイへの供給を包むような容積成分を選択する。1は容積成分への供給部であり、2は容積成分からの排出部であり、3は溢流關であり、4は塔壁であり、5は通路を有する物質交換トレイ(6=排出−又は供給シャフト中の液体水準)である。
【0105】
msiは例えば操作中に存在する供給−又は搬出部を同時に密封し、次いで容積成分i中に含有される液相質量miを測定することによって決めることができる。化学的含量分析によりmiからmsiが得られる。m’iは例えば排出シャフト中に捕集トレイを組込み、分離塔から供給した液体流量を測定し、排出部(排水部)の下で排出シャフトに戻すことによって測定することができる(図9参照;1=塔壁;2=排出シャフト;3=捕集トレイ;4=搬送ポンプ;5=流量計)。代わりにm’iを与えられたmiの値から、供給部にトレーサーを取り付け、搬出部でのその動きを時間をかけて追跡することによっても求めることができる。後者は例えば図8の数字7の場所で小さな試料を取り出すことによって行うことができる。トレーサー装入部は図8中の数字8の場所が有利であろう。
【0106】
レインシーブトレイの場合には相応する方法で行うことができる。この場合に有利な方法では容積成分iとして、物質交換トレイ上の液体水準及び物質交換トレイの下の次の物質交換トレイの液体水準の表面が始まるまでの空間を含むような容積成分を選択する。
この場合にm’iを決めるために、シーブトレイ上で再び捕集トレイを設置することができる。これから供給する液体量を搬出し、相応する流量を決め、引き続き直接シーブトレイ上を戻す(図10参照;1=レインシーブトレイ;2=捕集トレイ;3=搬送ポンプ;4=流量計)。
【0107】
レインシーブトレイ上に存在する液体量は例えば図11による示差圧力計で測定することができる(U管マノメーター法)。Δp=s・g・hL(図11中hL=1)[式中sは液相の質量密度であり、gは重力加速度であり、hLはレイントレイ上の液相水準である]により、hLを直接読み取り、レイントレイ上の液体量を算出することができる。
【0108】
2個のレインシーブトレイ管の液体量は、2個のレインシーブトレイを同時に密封し、下のトレイに集められた液体量を測定することによって化学的分析によりmiから最後にmsiが得られる。
【0109】
完全一致で塔カン部のmsiは排出液から算出したカン部水準量及びカン部液体の組成分析から得られる。m’iは、水準を調整したカン部で直接測定により得られる。循環ポンプにおなじことが当てはまり、循環熱交換器も同じように取り扱うことができる。堆積型充填物を有するか又は嵌め込み型充填物を有する塔部分も物質交換トレイ容積成分と同様に取り扱い可能である。
【0110】
しかし分離塔内部でmsi及びmi値は極めて良好な近似値で半経験的に測定することができる(例えばJohann Stichlmair、Grundlagen der Dimensionierung des Gas/Fluessigkeit−Kontaktapparates、Bodenkolonne、Verlag Chemie(1978)及びTechnische Fortschrittsberichte、第61巻、Grundlagen der Dimesionierung von Kolonnenboeden、von Dr.−Ing.Klaus Hoppe und Dr.−Ing.Manfred Mittelstrass、Magdeburg、Verlag Theodor Steinkopff、Dresden(1967)参照)。
【0111】
このために先ず例えば異なる物質交換トレイを介して各々のトレイ温度を測定する。次いで分離塔からの供給及び排出の組成を測定する。次いで質量−エネルギー−バランスと組み合わせたラグール法(蒸気−液体−平衡)により塔中の濃度経過を算出する。次いでこれから必要な液体−及び気体流量が得られる。msi値は下記のようにして得られる。先ず別々の実験(下から気体を流し、上から液体を装入する)で、分離内部品、例えば物質交換トレイの水力学的挙動を測定する。これからmi−値が得られ、これから濃度経過を用いて最後にmsi−値が得られる。
【0112】
本発明による予想外な結果は、その他は実質的に同じ限界条件下でtgesの低下によって時空収率並びに富化度が改善されることである。
【0113】
もちろん本発明による方法は、マイケル付加生成物の分離を統合して含有する方法と組み合わせることができる。この文書の二三の箇所で例えば(メタ)アクリルモノマーとして 特にアクリル酸に関して解説した。しかしこの解説は通常その他の(メタ)アクリルモノマーに対しても当てはまる。
【0114】
下記実施例に示したように、本発明による方法はt値≦10時間でも、そのアクリル酸含量が5〜15質量%である(1又は2工程の)不均一系触媒によるプロペン−及び/又はプロパンのアクリル酸への部分酸化の生成物気体混合物から、そのアクリル酸含量が≧95質量%である粗アクリル酸を分離することができる。
【0115】
その際使用される熱分離法は、分離室として略図12に記載されているような分離内部品を有する熱分離装置の連続的定常操作を含む。
【0116】
これは、分離塔28(分離内部品として物質交換トレイのみを含有する;これは下から上へ先ずデュアル−フロートレイ、それに次いで水力により密封された交差流トレイ、次いでバルブトレイが続き、付加的に分離塔はなお捕集トレイを含有する)、内部品を有さず、ポンプ7及びポンプ29により搬送される直接循環蒸発器1並びに配管6、6’、3、3’及び2から成る。このような分離塔の詳細な説明は、文書DE−A19924532、DE−A10247240及びDE−A10243625に記載されている。理論的分離段の数は、使用技術的に有利には15〜30、有利には20である。この分離室以外の成分は使用される全ての熱分離装置の構成成分であってよい。しかしこれらは本発明によるバランス空間、本発明により問題とされる分離室には属さない。この拡大はtgesを増加させ、問題とされる熱分離に寄与しない。全体で使用される熱分離法が本発明による方法を含む場合に本発明による方法は既に使用されている。アクリル酸へのプロペン−及び/又はプロパンの(1段又は2段工程の)不均一系触媒による部分酸化の分離すべき生成物気体混合物は、同時に循環蒸発器の直接熱源である。
【0117】
次ぎに本発明を実施例及び比較例につき詳説するが、本発明はこれに制限されるものではない。極めて一般的に本発明による方法で生じる(メタ)アクリルモノマーを含む液相は自体公知の方法で重合防止剤を添加含有する。
【0118】
実施例及び比較例(数値は図12に関し、図12で灰色斜線の部分は問題とされる分離室とみなされる)。
【0119】
比較例(定常状態を記載;好適な材料は例えば1.4539又は1.4571の種類のステンレス鋼である)
純度“ポリマーグレード”のプロピレンの不均一系触媒による気相部分酸化から、下記含量の温度270℃を有する生成物気体混合物が得られた:
アクリル酸 11.80質量%
酢酸 0.264質量%
水 5.0984質量%
蟻酸 0.0275質量%
ホルムアルデヒド 0.0989質量%
アクロレイン 0.1473質量%
プロピオン酸 0.0028質量%
フルフラール 0.0033質量%
アリルアクリレート 0.0014質量%
アリルホルミエート 0.0005質量%
ベンズアルデヒド 0.0038質量%
無水マレイン酸 0.1350質量%
安息香酸 0.0112質量%
無水フタル酸 0.0147質量%
酸素 4.0324質量%
二酸化炭素 1.8067質量%
一酸化炭素 0.5904質量%
プロパン 0.5520質量%
プロピレン 0.2696質量%及び
窒素 75.1399質量%
その他の成分は検出されない。生成物気体混合物(170008kg/時)は直流で操作される直接循環蒸発器1中で温度120.2℃に冷却する。直流で操作される直接循環熱交換器1は内部品を有さない。これは円筒形である。その直径は2.2mであり、高さは15.5mである。直接循環蒸発器1中で加熱すべき液相は、カン部室5から取り出したカン部液体及び分離塔28のカン部室5を密封する捕集トレイ10からとりだされる高沸点留分から成る混合物である。
【0120】
直接循環熱交換器1中に導入されるカン部液体の量は247305kg/時であり、下記の含量を有する(質量密度=989.22kg/m3)。
アクリル酸 27.2977質量%
酢酸 0.1446質量%
水 0.6007質量%
蟻酸 0.0069質量%
ホルムアルデヒド 0.0007質量%
アクロレイン 0.0087質量%
プロピオン酸 0.0149質量%
フルフラール 0.2041質量%
アリルアクリレート 0.0008質量%
アリルホルミエート 0.0001質量%
ベンズアルデヒド 0.2490質量%
無水マレイン酸 4.4377質量%
安息香酸 0.7354質量%
無水フタル酸 0.9605質量%
ジアクリル酸 19.5513質量%
ポリアクリル酸(マイケル付加物) 40.1375質量%
フェノチアジン 0.4855質量%
ヒドロキノンのモノメチルエーテル(MEHQ)0.5560質量%
その他の高沸点成分 4.6079質量%及び
酸素 0.0002質量%
カン部液体の温度は118.3℃である。蒸気圧は1.48バールである。直接循環蒸発器1中に導入される高沸点留分の量は63009kg/時であり、下記の含量を有する(質量密度=969.94kg/m3)。
アクリル酸 90.4867質量%
酢酸 0.3672質量%
水 1.4207質量%
蟻酸 0.0142質量%
ホルムアルデヒド 0.0016質量%
アクロレイン 0.0109質量%
プロピオン酸 0.0535質量%
フルフラール 0.6232質量%
アリルアクリレート 0.0025質量%
アリルホルミエート 0.0002質量%
ベンズアルデヒド 0.5317質量%
無水マレイン酸 4.9046質量%
安息香酸 0.0401質量%
無水フタル酸 0.0344質量%
ジアクリル酸 1.4102質量%
フェノチアジン 0.0201質量%
MEHQ 0.0779質量%及び
酸素 0.0004質量%
高沸点留分の温度は100.4℃である。蒸気圧は1.48バールである。
【0121】
直接循環蒸発器1中への高沸点留分の供給は、直径150mm及び長さ10mの配管3を介して渦巻きポンプ29(液体容量:50l)へ行われ、そこから直径150mm及び長さ15mの配管3’を介して直接循環蒸発器1中へ行われる(代わりに高沸点留分を溢流によりカン部室に誘導し、カン部液体の成分として直接循環蒸発器に誘導してもよい)。
【0122】
カン部室5から取り出したカン部液体を249905kg/時の量で直径300mm及び長さ10mの配管6を介して渦巻きポンプ7(液体容量:100l)へ供給し、そこから247305kg/時の量で長さ10m及び直径300mm(ここで配管の直径は常に内径を意味する)の配管6’を介して直接循環蒸発器1中へ供給する。取り出したカンブ液体2300kg/時を分離に供給し、取り出したカン部液体の300kg/時を、不所望な重合を阻止するために、下記でまだ記載してない渦巻き急冷循環路1に供給する(両方の場合に供給は配管8を介して行う)。カン部液体及び高沸点留分から成る混合物を直接循環蒸発器にマスターノズル(WO02/50011による緩衝ノズル)を介して噴霧する。
【0123】
直接循環蒸発器1を温度120.2℃で出る二相混合物を配管2(直径:1500mm;長さ:10m)を介してカン部室5に戻す。
【0124】
カン部室5及び直接循環蒸発器1中の圧力は1.48バールである。分離塔28(分離内部品として物質交換トレイのみを有する分別凝縮用の塔:これには下から上に先ずデュアルフロートレイ及びその次ぎに水力により密封された交差流トレイ(Thormann−トレイ)が当てはまり、これは、最後にバルブトレイにより密封されている)の高さは54.3mである。
【0125】
分離塔28の内径はThormann−トレイの範囲内は6.5m、他は6.0mである。
【0126】
カン部室5から取り出されるカン部液体2300kg/時間を供給される分離装置(これは例えば分離室に属さない)は、強制循環瞬間蒸発器及びこの上に縫い目なしに取り付けたデュアル−フロートレイ精留塔から成る。デュアル−フロートレイの数は50である。
【0127】
強制循環瞬間蒸発器は、分離釜、熱交換器、ポンプ及び付属の配管から成る。分離釜からのカン部流出液を渦巻きポンプの配管を介して供給し、このポンプはこれを管束熱交換器に搬送する。引き続き加熱された液体の一部を配管を介して分離釜に戻す。加熱された液体のも一つの部分は、粘度−(有利)、密度−又は温度を制御下でメタノールを混入してある下記に記載の容器中に供給する。
【0128】
分離塔28と同じく、精留塔は環境から隔離してある。精留塔の内径は全デュアル−フロートレイで一様に2.4mである。その高さは27mである。デュアル−フロートレイは精留塔中で等距離(400mm)で設置されている。その口径比は12%である。下から上へ見て8個のデュアルフロートレイの1番目のトレイの穴直径は、一様に25mmであり(穴配置は厳密に三角形)、次の全てのデュアルフロートレイの穴直径は一様に14mmである(穴配置は同じく厳密に三角形)。分離にまわされるカン部液体の供給は8番目のデュアルフロートレイ(下から)で行われる。
【0129】
強制循環瞬間蒸発器の分離容器に凝縮塔の塔頂部で取り出し、次いで過熱し、圧縮した循環気体(保護気体として)20000kg/時を供給する(圧力=2.9バール;温度=160℃)。
【0130】
循環気体の含量は下記である:
アクリル酸 0.2288質量%
酢酸 0.0885質量%
水 2.6689質量%
蟻酸 0.0052質量%
アクロレイン 0.1724質量%
プロピオン酸 0.0002質量%
フルフラール 0.0003質量%
アリルホルミエート 0.0012質量%
酸素 4.7392質量%
二酸化炭素 2.1235質量%
一酸化炭素 0.6939質量%
プロパン 0.6487質量%
プロピレン 0.3169質量%及び
窒素 88.3123質量%。
【0131】
強制循環瞬間蒸発器の分離容器から常に、液相522963kg/時を温度161℃で圧力1.71バールで取り出す。それから522246kg/時を熱交換器を通過させた後に温度166℃及び圧力3バールで分離容器に戻す。他の717kg/時を脱気し、メタノールで希釈し残分燃焼に供給する。
【0132】
分離容器中で生成された分離気体を供給された保護気体によって取り付けられた精留塔に送り、この中で下降する還流液体中を上昇する。
【0133】
精留塔の塔頂部から33129kg/時の量で気体混合物(循環気体及び分離気体含む)を温度99.8℃及び圧力1.60バールで取り出し、直流で操作する噴霧冷却器(急冷循環器1)で直接冷却により温度63.3℃に冷却し、部分的に凝縮する。
【0134】
直接冷却後に残留する気体混合物を21883kg/時の量で下記含量で配管9を介して凝縮塔28のカン部室5に戻す(浸漬してない):
アクリル酸 8.7215質量%
酢酸 0.0976質量%
水 2.5067質量%
蟻酸 0.0056質量%
ホルムアルデヒド 0.0001質量%
アクロレイン 0.1584質量%
プロピオン酸 0.0019質量%
フルフラール 0.0017質量%
アリルアクリレート 0.0001質量%
アリルホルミエート 0.0011質量%
ベンズアルデヒド 0.0004質量%
無水マレイン酸 0.0039質量%
酸素 4.3313質量%
二酸化炭素 1.9407質量%
一酸化炭素 0.6342質量%
プロパン 0.5929質量%
プロピレン 0.2896質量%及び
窒素 80.7122質量%。
【0135】
急冷液体1として、カン部室5から取り出したカン部液体300kg/時及び急冷循環器1中の直接冷却で生成された凝縮物から成る混合物を使用する。この混合物104207kg/時を間接冷却により32℃に冷却し、急冷器1の噴霧冷却器1で噴霧する。同じ混合物11546kg/時を温度63.3℃で分離容器に取り付けられた精留塔の最上段のデュアル−フロートレイに還流液体として戻す。
【0136】
急冷液体1の組成は下記である:
アクリル酸 93.7485質量%
酢酸 0.4937質量%
水 3.7513質量%
蟻酸 0.0143質量%
アクロレイン 0.0328質量%
プロピオン酸 0.0207質量%
フルフラール 0.0240質量%
アリルアクリレート 0.0005質量%
アリルホルミエート 0.0017質量%
ベンズアルデヒド 0.0099質量%
無水マレイン酸 0.1591質量%
安息香酸 0.0192質量%
無水フタル酸 0.0250質量%
ジアクリル酸 0.5083質量%
ポリアクリル酸 1.0429質量%
フェノチアジン 0.0126質量%
MEHQ 0.0146質量%
その他の高沸点成分 0.1198質量%及び
酸素 0.0011質量%。
【0137】
凝縮塔28のカン部室5中に、カン部室からのカン部液体の滴加が飛沫同伴するのを阻止する遠心滴加分離器が組み込まれている。カン部室5の下部末端には気体/液体分離を改善するためにいわゆるチャイニーズハットが取り付けられている。カン部室5、循環ポンプ7への配管6、循環ポンプ7、循環ポンプ7から直接循環蒸発器1への配管6’、直接循環蒸発器1及び直接循環蒸発器1からカン部室5中への配管2から成る系中の液相滞留量(液体ホールドアップ)は80m3である。
【0138】
分離塔28のカン部室は前記したように塔高さ(全ての高さと同じにカン部床から計算する)7.80mで第1捕集トレイ10(捕集トレイ、16個のほぼ一様に分布した蒸気上昇管を有する蒸気上昇管トレイ、蒸気上昇管直径:600mm;蒸気上昇管高さ:1m)によって密封されている。
【0139】
捕集トレイ10は、内部へ2°の傾斜及び中央の排出カップ及び排出ノズル(DN〜200)を有する二重壁構造である。遊離気体横断面は約30%である。
【0140】
この第1捕集トレイから、前記したように液体63009kg/時を取り出し(T=100.4℃、p=1.48バール)及び渦巻きポンプ29により直接循環蒸発器1中に誘導する。捕集トレイ10上の液体容積は2m3である(捕集トレイ10上のこの液体容積、循環ポンプ29への配管3、循環ポンプ29及び循環ポンプ29から直接循環蒸発器1への配管3’から成る系中の液相滞留量は3m3である)。
【0141】
第1捕集トレイ10の2.0m上に先ず15個のデュアルフロートレイの第1トレイ(11)がある。これらのデュアル−フロートレイ(穴直径は一様に14mm、穴数は一様に33678個、口径比は一様に18%)はトレイ間隔380mmで均質に設置されている。流出口は均質な直径14mmの円形開口から成り、その際分離塔中の抜き縁は下向きである。流出円の中点の配置は厳密に三角形である。
【0142】
15番目のデュアル−フロートレイ(12)は分配トレイとして設置される。この目的用にその上に挿入管1個当たり排水穴(直径:15mm)40個を有する2個の挿入管(DN〜150)が設置してある。
【0143】
最初の一連のデュアルフロートレイは、最後のデュアルフロートレイの1.50m上に設置されたWO03047714による第2捕集トレイ14(捕集トレイ;16個のほぼ均質に分散させた蒸気上昇管を有する蒸気上昇管トレイ;蒸気上昇管穴約1.70m、側部に排水ノズルを有する中央の排水カップ(DN〜250))、遊離気体横断面〜30%)により密封されている。
【0144】
この第2捕集トレイ14から配管15を介して1.47バールで連続的に温度101.2℃を有するアクリル酸を取り出す(質量密度=956.99kg/m3)が、これは下記含量を有する:
アクリル酸 96.8011質量%
酢酸 0.4598質量%
水 1.4762質量%
蟻酸 0.0137質量%
ホルムアルデヒド 0.0015質量%
アクロレイン 0.0087質量%
プロピオン酸 0.0647質量%
フルフラール 0.2856質量%
アリルアクリレート 0.0027質量%
アリルホルミエート 0.0002質量%
ベンズアルデヒド 0.0744質量%
無水マレイン酸 0.2381質量%
ジアクリル酸 0.5430質量%
フェノチアジン 0.0120質量%
MEHQ 0.0180質量%及び
酸素 0.0004質量%。
【0145】
第2捕集トレイ14の液体容積は10m3である。第2捕集トレイ14から取り出した粗アクリル酸455855kg/時を間接的熱交換器により温度111.2℃に加熱し、配管30を介して直接第2捕集トレイの上に続くデュアル−フロートレイ16の下で凝縮塔28に戻す(p=1.50バール)。
【0146】
第2捕集トレイから取り出した粗アクリル酸89978kg/時は、分離室中で分離された(メタ)アクリルモノマーを含有する物質流を生成し、これを多段工程で間接的熱交換(有利には分離塔28中に戻される母液に対して熱集積)により温度29℃に冷却する。次いで冷却した粗アクリル酸に水(25℃)1144kg/時を供給する。生成した混合物をもう一度間接的熱交換器により20℃に冷却し、次いで2から3個の冷却ディスククリスタライザーに誘導する。
【0147】
その際各々、中に20から24個の拭いた円形冷却板(内部を冷却媒体(水及びグリコールから成る混合物;グリコール分=10〜50質量%、有利には25〜35質量%)が貫流する)が20〜40cmの等距離間隔で相互に吊されて設置されている(板直径は、例えば2〜4m、有利には2.5〜3m)槽が該当する。その際、冷却媒体は晶出する混合物に対して向流でクリスタライザーを冷却ディスクから冷却ディスクへ運ばれる。しかし、2から3個の平行な流れに分けて冷却板上を誘導してもよい。冷却媒体(塩水)の入口温度は−2〜+5℃である。出口温度は2〜7℃である。冷却板を拭くことによって結晶層生成が抑制される。湿らせた粗アクリル酸を後ろから前に連続的にクリスタライザーを通す(ポンプ又は溢流により制御して)。その際、1層の湿らせた粗アクリル酸が厚くなり(滞留時間0.5〜4時間、有利には1.5〜2.5時間)、アクリル酸結晶を固相として含有する温度6〜11℃及び出口の固体含量20〜35質量%の2層の懸濁液になる。ワイパーの回転数は、2〜15rpm、有利には4〜10rpmである。ワイパーを駆動し、冷却ディスクの中心を通る軸は水で洗浄したパッキン箱パッキング(テフロン又はグラファイトから成るパッキング紐)で密封されている。
【0148】
拭くことができない冷却ディスクの回りに、中空成形体(例えば最も簡単な態様では管)を取り付け(例えば溶接し)、これを第2熱媒体(例えば同じく水/グリコール混合物)を用いて加熱する(結晶化温度の上の温度へ、大抵は温度範囲8〜20℃、有利には10〜14℃)。この周囲加熱体は第2熱媒体と平行に流れる。
【0149】
更に有利にはワイパーは半径方向に分かれている(部分は通常≧2、≦6)。ワイパーの詳細な圧迫力は取り付けられた状態で冷却面に垂直に有効ワイパー端部長さcm当たり1〜10、有利には3〜5Nである。ワイパーに付加的に軸は、混合を改良するパドル(2枚の冷却ディスクの間及び最初と最後の冷却ディスクの前に有利には各々2個対称配置で)を動かす。
【0150】
冷却板表面の性状及びワイパーの調整は、ワイパーの冷却板表面との距離がどの点においても6mmを超えないようにする(前記距離がどの点でも4又は2又は1mmを超えないか又はワイパーが各点で接している操作が有利である;外半径と接しているのが特に有利であると実証された)。
【0151】
懸濁液の搬出方向でクリスタライザーの後ろの部分(有利には最後の冷却板の後ろ)で懸濁液を、母液を懸濁結晶から分離するために、接続した管(有利には浸漬状態で設置;代わりに懸濁液を溢流關を介して攪拌した貯蔵タンクに流入させ、そこから洗浄塔に送ることができる)を介して、DE−A10156016及びDE−A10223058に記載されているような水力溶融物洗浄塔へ導入する。洗浄塔に結晶懸濁液を渦巻きポンプ又はロータリーポンプにより装入する。制御流ポンプはロータリーポンプ又は制御弁を有する渦巻きポンプの形であってもよい。洗浄塔の下部端部の圧力は、線上塔の塔頂部の圧力より通常≧100ミリバール及び≦5バール小さい。塔頂部圧は通常6バールまで、大抵は0.5〜4バールである。ブレード回転数は大抵は>0及び≦100/分、又は≦60/分である。溶融物区域の温度は通常13〜16℃である。濾過フロントはDE−A10036880により2〜4個の光学センサーにより検出する。洗浄フロントは結晶床の温度測定により制御する。
【0152】
結晶床の全高さは例えば300〜1500mm、大抵は400〜1000mmである。洗浄フロントは例えばブレードの10〜400mm、大抵は20〜250mm上である。溶融ロータリーポンプとして軸封の生成物側洗浄(スリップリングシール)を有する渦巻きポンプ又は滑動ベアリング洗浄を高めた磁石付きポンプが好適である。溶融物区域の循環量はブレードで除去し精製した結晶1トン当たり2〜30、大抵は5〜20m3/時である。
溶融物区域の安定化はMEHQ100〜300質量%を用いて行う。付加的に溶融物区域に空気を導入し、その過剰(=洗浄溶融物に溶解されなかった分)を洗浄溶融物を洗浄塔に装入する前にガス分離器を介して分離する。
(a)エステル化−グレードのアクリル酸を製造するために、懸濁液結晶の分離を溶融物洗浄塔中での代わりに遠心機(例えば2又は3段工程の剪断遠心機)により行うことで十分である。好適な篩間隔幅は150〜300mmである;使用可能な遠心機加速度は500〜900g、大抵は600〜800g;ストローク数40〜80ストローク/分が好適である。
【0153】
有利には2又は3段工程の遠心機で分離した結晶を結晶1kg当たり洗浄液体0.15〜0.3kgで洗浄する。洗浄液体の温度は15〜30℃、有利な20〜30℃である。沈積物を阻止するために、遠心機の固体排出シャフトを15〜30℃に温度調整した濯ぎ(フラッシュ)液で濯ぐ。濯ぎ−及び洗浄液は有利には溶融した、遠心機を介して分離し洗浄した結晶である。沈着及び固着を阻止するために、遠心機ケーシング、懸濁液供給管及び洗浄液体供給管を温度≧15℃及び≦40℃に温度調整するのが有利である。遠心機の生成物室は有利には窒素又は空気及び窒素から成る混合物で不活性化するのが有利である。軸封は気体(例えば窒素又は空気及び窒素から成る混合物)又は水で濯ぐ。
(b)懸濁液結晶化の代わりに、層結晶化(例えばEP−A616998によるフォーリングフィルム結晶化又はフルフロースルー管)を3回以上(例えば3〜4)の洗浄工程で使用することもできる。母液を次の洗浄工程から前の洗浄工程に戻す代わりに、これを一緒に凝縮塔に戻すこともできる。
【0154】
MEHQ3kg/時の添加により安定化された溶融区域から下記含量の精製アクリル酸18538kg/時を取り出す:
アクリル酸 99.8335質量%
酢酸 0.0970質量%
水 0.0334質量%
プロピオン酸 0.0206質量%
フルフラール 0.0001質量%
無水マレイン酸 0.0001質量%
ジアクリル酸 0.0003質量%及び
MEHQ 0.0150質量%。
これはポリ−Na−アクリレートをベースとする超吸収体の製造に非常に好適である。
【0155】
抑制剤溶液Iを製造するために、精製アクリル酸829kg/時中にPTZ13kg/時を溶解させる。抑制剤溶液I30kg/時中にMEHQ19kg/時を溶解させて抑制剤溶液IIを生成させる。
【0156】
洗浄塔中で分離した母液を先ず加熱可能な貯蔵タンク中に導き、そこからタンクに導く。このタンクから90℃に加熱して71759kg/時の量で配管13を介して凝縮塔28の15番目のデュアル−フロートレイ12(下から数えて)に戻す。この戻した母液の含量は下記である:
アクリル酸 94.4349質量%
酢酸 0.5504質量%
水 3.4362質量%
蟻酸 0.0172質量%
ホルムアルデヒド 0.0018質量%
アクロレイン 0.0109質量%
プロピオン酸 0.0756質量%
フルフラール 0.3580質量%
アリルアクリレート 0.0034質量%
アリルホルミエート 0.0003質量%
ベンズアルデヒド 0.0933質量%
無水マレイン酸 0.2986質量%
ジアクリル酸 0.6808質量%
フェノチアジン 0.0150質量%
MEHQ 0.0233質量%及び
酸素 0.0005質量%。
【0157】
付加的にデュアル−フロートレイ12に捕集トレイ14から取り出した粗アクリル酸15224kg/時を戻す(32)。
【0158】
第2捕集トレイ14の2.9m上に凝縮塔28中に既に記載したような21個のその他のデュアルフロートレイの第1トレイ(16)があり(穴直径はここでも一様に14mm、しかし穴数は一様に32020及び口径比は一様に17.4%)、これはここでもトレイ間隔380mmで均質に設置されている。Thormann−トレイ範囲からデュアルフロートレイ範囲への還流は、塔中に組み込まれた分配系を介して行う。代わりに、最下部のThormann−トレイの下で行われる凝縮塔からの還流液体の導出をポンプによって行い、凝縮塔への還流を最上部のデュアル−フロートレイの上に配置された2個(以上)の挿入管によって行ってもよい。
【0159】
最後のデュアル−フロートレイの800mm上で凝縮塔は円錐形に広がり始める。最後のデュアル−フロートレイの500mm上でこの拡大は塔内径6.50mで終わる。この高さ、即ち最後のデュアル−フロートレイ(17)の1.50mで、等間隔(トレイ間隔=500mm)の28個の慣用の単流Thormann−トレイの配置が始まる。Thormann−トレイは、駆動スロットルの配置を介してThormann−トレイのフード中に交差流方向で相互に連続する溝中で各々液体の相互に相対する流動方向を生じるような形に作られている。
【0160】
Thormann−トレイの口径比は14%である。蒸気上昇管面積対スリット排出面積の比は0.8である。蒸気上昇管穴及び溢流關の高さは40mmである。泡鐘の底間隙(スリット及びトレイの下部端部間の距離)は10mmである。スリット高さは15mmである。飛び出したスリットとフードの長手方向端の角度は30度である。フードの長手方向端の長さは最大800mmである。塔の丸い部分で、フード長さは塔の丸みに適合させるために200mmまで減少している。2個の交差流方向に一直腺に並んだフード間の距離は66mmである。排出シャフトの排出面積はトレイの横断面積に対して1.5%である。フードの二つの下の長手方向端の幅は64mmである。Thormann−トレイ20の高さで分離塔は再び円錐形に狭まり始める。最上部のThormann−トレイの700mm上でこの狭窄は終わり、塔内径は再び600mmに縮まる。
【0161】
最上段のThormann−トレイの1.70m上に第3捕集トレイ22がある(捕集トレイ、16個のほぼ均一に分配された蒸気上昇管を有する蒸気上昇管トレイ、蒸気上昇管高さ=1.50m)。捕集トレイ3上の液体容積は8m3である(質量密度=964.38kg/m3)。
【0162】
この第3捕集トレイから酸性水533617kg/時を温度68.6℃及び圧力1.24バールで配管23を介して取り出す。
【0163】
酸性水の含量は下記である:
アクリル酸 11.3387質量%
酢酸 4.1574質量%
水 81.6277質量%
蟻酸 0.5256質量%
ホルムアルデヒド 2.3082質量%
アクロレイン 0.0154質量%
プロピオン酸 0.0089質量%
フルフラール 0.0024質量%
アリルホルミエート 0.0135質量%
MEHQ 0.0001質量%及び
酸素 0.0021質量%。
【0164】
取り出した酸性水(68.6℃)29015kg/時を(21)抑制剤溶液II(31)と一緒に最上段のThormann−トレイ(20)に戻す。
【0165】
抑制剤溶液I812kg/時を(下から見て)19番目のThormann−トレイ(18)に戻す(温度25℃及び圧力3バールで配管19を介して)。
【0166】
取り出した酸性水7282kg/時を燃焼に供給する。
【0167】
取り出した酸性水298392kg/時を配管25を介して温度29℃で下記に記載するバルブトレイの第6番目(24)(下から見て)に戻す(3バール)。泡生成の場合には第3捕集トレイ上に消泡剤(例えばDekressa(R)SD23のようなアルコキシル化アルコール又はNalco(R)のような71−D−5脂肪酸、ポリグリコール、乳化剤及びパラフィン系鉱油混合物から成る混合物)の添加(例えば30ml/時の量で)を添加するのが有利であると実証された。
【0168】
取り出した酸性水198928kg/時を配管27を介して温度22.5℃(p=3バール)で下記に記載するバルブトレイの最上段(26)に戻す。
【0169】
第3捕集トレイ22の2300mm上には凝縮塔28中に均一配置で(トレイ間隔=500mm)複流バルブトレイが配置されている。溢流關の高さは35mmである。口径比は18%であり、2個の連続するバルブトレイの排出シャフト、downcomer下降管の排出面積の合計は塔断面積の10%である。弁として、Fa.Stahl、DE、ViernheimのVV12−Ventileを使用した。
【0170】
塔28の塔頂部の圧力は1.2バールである。塔塔頂部で温度33.5℃及び下記含量を有する廃ガス(33)164650kg/時が分離塔28のデミスターを介して出る:
アクリル酸 0.2288質量%
酢酸 0.0885質量%
水 2.6689質量%
蟻酸 0.0052質量%
アクロレイン 0.1724質量%
プロピオン酸 0.0002質量%
フルフラール 0.0003質量%
アリルホルミエート 0.0012質量%
CO2 2.1235質量%
CO 0.6939質量%
プロパン 0.6487質量%
プロピレン 0.3169質量%
O2 4.7392質量%及び
N2 88.3123質量%。
【0171】
間接的熱交換器中で廃ガスを温度38℃に加熱し、引き続きこの廃ガス91196kg/時を循環気体圧縮機(例えばラジアル圧縮機)を介して希釈気体として気相酸化及び分離に送り、廃ガス73455kg/時を燃焼に供給する。
【0172】
全部で分離室に下記アクリル酸含量を有する下記の個々の流を装入する:
アクリル酸含量11.8質量%を有するプロピレンの気相部分酸化の生成物気体混合物170008kg/時;
配管9を介して21883kg/時、アクリル酸含量8.7215質量%を有する;
配管32を介して15224kg/時、アクリル酸含量96.8011質量%を有する;
配管13を介して71759kg/時、アクリル酸含量94.4349質量%を有する;
配管30を介して455855kg/時、アクリル酸含量96.7887質量%を有する;
配管19を介して81.2kg/時、アクリル酸含量98.3360質量%を有する;
配管21を介して29015kg/時、アクリル酸含量11.3387質量%を有する;
及び配管31を介して49kg/時、アクリル酸含量60.2057質量%を有する。
【0173】
これによって分離室中に、アクリル酸含量が71.907質量%である合計(理論的に生成された)764605kg/時の物質流が導入される。従ってX=28.09質量%である。
【0174】
最高質量割合のアクリル酸を分離室から搬出する物質流は、アクリル酸96.8011質量%のアクリル酸含量を有する第2捕集トレイから取り出した粗アクリル酸である。従ってY=3.20質量%及びX:Y=8.78である。
【0175】
分離室で液相を充填された全容積は167.5m3である。この液相の温度は少なくとも部分的に120.2℃である(例えば直接循環熱交換器中)。
【0176】
下記第1表は容積成分iを表す(その際、“トレイi”は、物質交換トレイi上に存在する気相及び物質交換トレイiの下の容積中に存在する液相(下のトレイに存在する液相は除く)を含む容積成分iを表す)。物質交換トレイの番号は下から上に数えた分離塔中の番号である。
【0177】
更に、第1表は測定した温度Ti、測定した値msi及び測定した物質流m’iを含む。
【0178】
【表1】
【0179】
【表2】
【0180】
【表3】
【0181】
【表4】
【0182】
これによってtges=34.06時が得られる。
【0183】
このtgesで分離室中で分離した(メタ)アクリルモノマーを含有するアクリル酸89978kg/時の最高質量割合を有する物質流としてアクリル酸含量96.8011質量%を有する粗アクリル酸が分離される。
実施例(定常状態を記載)
実質的に全て比較例と同様に行うが、カン部室5の容積はカン部室中の液体滞留量が比較例より559974.2kg少ないように減らす(配管6、6’及び2並びにポンプ7、カン部室5及び直接循環蒸発器1から成る容積成分i中の液体滞留量は、従って比較例では79965.6kg及び実施例では19991.4kgである)。
【0184】
更に第1捕集トレイ10から取り出し、直接循環蒸発器1に供給される高沸点留分の量は、63009kg/時の代わりに74083kg/時である。
【0185】
この変更は、直接循環蒸発器中1でカン部液体の組成変更によってカン部室5で減少した沸騰温度を達成するために、必要である。
【0186】
下記第2表は実施例用の第1表と同じである。
【0187】
【表5】
【0188】
【表6】
【0189】
【表7】
【0190】
【表8】
【0191】
これによって8,79時間だけのtgesが生じる。
【0192】
同時にこのtgesで分離室中で分離した(メタ)アクリルモノマーを含有するアクリル酸90987kg/時の最高質量割合を有する物質流としてアクリル酸含量96.9333質量%を有する粗アクリル酸を分離する。
【0193】
分析から、この改良が特に、カン部室5中の液相が実施例では減少した滞留時間によって19.27質量%のポリアクリル酸(マイケル付加生成物)だけを含有することに起因することが示される。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】図1は、自然循環蒸発器を示す
【図2】図2は、強制循環蒸発器を示す
【図3】図3は、強制循環瞬間蒸発器を示す
【図4】図4は、直接循環瞬間蒸発器を示す
【図5】図5は、直接循環蒸発器を示す
【図6】図6は、本発明による有利な態様の一つを表す図を示す
【図7】図7は、本発明による有利な態様の一つを表す図を示す
【図8】図8は、本発明による有利な態様の一つを表す図を示す
【図9】図9は、本発明による有利な態様の一つを表す図を示す
【図10】図10は、本発明による有利な態様の一つを表す図を示す
【図11】図11は、示差圧力計を示す
【図12】図12は、本発明による熱分離装置を示す
【符号の説明】
【0195】
図1: 1 分離塔、 2 加熱蒸気、 3 加熱蒸気凝縮物、 4 カン部流出液、 5 液体水準、 6 蒸発器管、 7 中央降下管、 8 循環方向
図2: 1 分離塔、 2 循環ポンプ、 3 管形蒸発器、 4 加熱蒸気、 5 加熱蒸気凝縮物、 6 カン部生成物取り出し、 7 循環方向、 8 分離装置、 9 排出液、 10 供給流、 11 液体水準
図3: 1 分離塔、 2 循環ポンプ、 3 絞り装置、 4 管形蒸発器、 5 加熱蒸気、 6 加熱蒸気凝縮物、 7 カン部生成物取り出し、 8 循環方向、 9 分離装置、 10 排出流、 11 供給流、 12 液体水準
図4: 1 捕集トレイ、 2 生成物気体混合物、 3 カン部生成物取り出し、 4 ポンプ、 5 ポンプ、 6 直接循環蒸発器、 7 カン部液体水準、 8 分離塔、 9 カン部、 10 全混合物
図5: 2 生成物気体混合物、 3 カン部生成物取り出し、 6 直接循環蒸発器、 9 カン部、 10a 気相、 10b 液相、 11 液体水準
図8: 1 流入部、 2 排出部、 3 溢流關、 4 カラム壁、 5 物質交換トレイ、 6 液体水準
図9: 1 塔壁、 2 排出シャフト、 3 捕集トレイ、 4 搬送ポンプ、 5 流量計
図10: 1 レインシーブトレイ、 2 捕集トレイ、 3 搬送ポンプ、 4 流量計
図12: 1 直接循環蒸発器、 2、3、3’、4、6、6’8、9、13、15、19、21、23、25、27、30、31、32、33 配管、 5 カン部室、 7、29 ポンプ、 10、14、22 捕集トレイ、 11、12、16、17 デュアル−フロートレイ、 18、20 Thormann−トレイ、 24、26 バルブトレイ、 28 分離塔
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流を(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物から分離するための熱分解法に関し、これは、その中に少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを含有する物質流を導入しかつそこから少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを含有する物質流を導出する、分離内部品を有するか又はそれなしの分離室少なくとも1個を有する少なくとも1個の熱分離装置の連続的定常操作から成り、その際、−全部分離室中へ導入され、理論的に分離室中に導入された個々の物質流を添加することによって製造される物質流が、(メタ)アクリルモノマーとは異なる成分X質量%を含有し、−(メタ)アクリルモノマーの最高質量割合を有する分離室から導出される物質流が(メタ)アクリルモノマーとは異なる成分Y質量%を含有し、−比X:Y≧5であり、−分離室が物質流供給部及び物質流搬出部を除いて固相により区切られており、少なくとも1個の循環熱交換器を有しかつ−分離室中の液相で充填された全容積が≧1m3であり、その際、液相の温度は少なくとも部分的に≧80℃であるという条件である。
【0002】
本明細書中で概念“定常操作”とは、物質流が物質含量及び流量に関して連続操作中に各々選択した単位で最高でも5%(基準値として平均値に関して)だけ変化することを意味する。本発明により有利には前記変数は≦4%、特に有利には≦3%及び極めて特に有利には≦2%又は≦1%である。
【0003】
用語(メタ)アクリルモノマーは本明細書中では“アクリルモノマー及び/又はメタクリルモノマー”の略語である。
【0004】
概念アクリルモノマーとは、本明細書中では“アクロレイン、アクリル酸及び/又はアクリル酸のエステル”の略語である。
【0005】
概念メタクリルモノマーとは、本明細書中では“メタクロレイン、メタクリル酸及び/又はメタクリル酸のエステル”の略語である。
【0006】
特に本明細書中で挙げた(メタ)アクリルモノマーは、下記(メタ)アクリル酸エステルを包含する:ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、イソ−ブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及びN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート。
【0007】
(メタ)アクリルモノマーは例えば接着剤として使用されるポリマーの製造用の重要な出発化合物である。
【0008】
(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸は大規模工業的に主として好適なC3−/C4−先駆物質化合物(又は先駆物質化合物自体)、特にアクロレイン及びアクリル酸の場合にはプロペン及びプロパン、又はメタクリル酸及びメタクロレインの場合にはイソーブテン及びイソ−ブタンの接触気相酸化により製造される。
【0009】
しかしプロペン、プロパン、イソ−ブテン及びイソ−ブタンの他に、出発物質としてその他の炭素原子3又は4個を含有する化合物、例えばイソ−ブタノール、n−プロパノール又は先駆物質化合物自体、例えばイソ−ブタノールのメチルエーテルも好適である。(メタ)アクリル酸は(メタ)アクロレインから製造することもできる。
【0010】
その際、通常生成物気体混合物が得られるが、これから(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクロレインを分離しなければならない。
【0011】
(メタ)アクリル酸のエステルは、例えば(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクロレインを相応するアルコールと直接反応させることによって得られる。もちろんこの場合にも先ず生成物混合物が生じ、これから(メタ)アクリル酸エステルを分離しなければならない。
【0012】
前記分離用に屡々、最初に記載したように1種以上の熱分離法が使用される。これらは通常連続的に実施され、その際、分離室に定常条件下で連続的に物質流を供給し、取り出す。熱分離法の特徴は、それを用いて達成される分離作用には熱エネルギーの供給(例えば蒸発用に)及び/又は除去(例えば凝縮用に)が必要であり、液相が関与している(分離室に導入される)ことである。
【0013】
通常この熱エネルギーは循環熱交換器を介して除去されかつ/又は供給される。循環熱交換器は、最初に記載した方法で必要とされる分離室の一部であり、そこに分離室のもう一つの部分から取り出された液−及び/又は気相が供給される。循環熱交換器中で熱エネルギーは、この液相及び/又は気相から分離室に含まれていない源によって、直接(例えば室内に源を供給することによって)及び/又は間接的に、供給かつ/又は除去される。次いで冷却又は加熱された液体(熱交換で部分的に及び/又は完全に蒸気相に変えることができる)及び/又は気相(熱交換で部分的にかつ/又は完全に凝縮することができる)を完全に分離室のもう一つの場所に戻し、その際取り出し−及び再循環部が空間的に別々に存在してよい。多くの場合に循環熱交換器の少なくとも1個は循環蒸発器である。
【0014】
熱分離作用自体の実施(即ち、熱分離法の実施)は、原則的に例えば簡単な蒸発の場合のように分離内部品を有さない分離室で可能である。その際、液体混合物が部分的に蒸発され、その際生じた液体混合物とは異なる組成物を有する蒸発層が蒸気状及び/又は凝縮された形で分離される。
【0015】
しかし熱分離作用は屡々分離内部品を一緒に使用して達成され、その際、屡々気体状(大抵は上昇)及び液体状(大抵は降下)物質流を直流又は向流で誘導する。物質流間に存在する不均衡により、熱−及び物質交換が起こり、これが最後に所望の分離を引き起こす。通常分離内部品は分離塔中に設置されている。
【0016】
本明細書の熱分離法の特徴は更に、分離室を通って導入される個々の化学的化合物が分離室を通過する際に、化学的変化が20モル%(分離室中に誘導される各々個々の化学的化合物の全量に対して)より少ない((メタ)アクリルモノマーのマイケル付加は除く;このような化学的変化は評価できない)ということである。
【0017】
本明細書の熱分離法では前記パーセンテージは屡々≦10モル%又は≦7モル%又は≦3モル%又は≦1モル%の値である。
【0018】
本明細書中で使用される概念“熱分離法”の例及び成分は、分別凝縮(例えばDE−A19924532参照)及び/又は精留(上昇蒸気相を下降液相に対して向流で誘導する;分離作用は、蒸気組成物が平衡で液体組成物と異なることに基づく)、吸収(少なくとも1種の上昇気体を少なくとも1種の下降液体に対して向流で誘導する;分離作用は、液体中の気体成分の異なる溶解性に基づく)、ストリッピング(例えば吸収のような;しかし液相にはストリッピングガスにより吸収される成分を負荷してある)及び脱着(吸収の逆工程;液相中に溶解した気体を分圧低下により分離する)である。しかし液/液抽出及び結晶化(特に流下液膜−及び懸濁結晶化)も本明細書中で熱分離法と考えられる。
【0019】
例えばプロパン及び/又はプロペンの接触気相酸化の生成物気体混合物からの(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクロレインの分離は、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクロレインを溶剤(例えば、水又は有機溶剤)中に吸収させることによってか又は生成物気体混合物の分別凝縮によって先ず基本的に分離し、その際生じた凝縮物又は吸収物を次いで精留(通常多段階工程で)により分離して程度の差はあれ純粋な(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクロレインにするというようにして行うことができる(例えばEP−A717019、EP−A1125912、EP−A982289、EP−A982287、DE−A19606877、DE−A1011527、DE−A10224341、DE−A10218419、DE−A10247240及びDE−A10243625参照)。
【0020】
前記分別凝縮は、慣用の精留とは、主として分離すべき混合物を分離室に気体状(即ち完全に蒸気形に変える)で供給することによって異なる。
【0021】
既に前記した(メタ)アクリルモノマーを含有する気体状及び/又は液体状混合物は、(メタ)アクリルモノマーを程度の差はあれ純粋な形で含有してもよいし希釈(例えば溶剤又は希釈気体を用いて)して含有してもよい。その際、溶剤は水性であっても有機溶剤であってもよく、その際有機溶剤の詳細な種類は実質的に重要ではない。希釈気体は例えば窒素、酸化炭素(CO、CO2)、酸素、炭化水素又はこれらの気体の混合物であってよい。
【0022】
即ち、例えば(メタ)アクリルモノマーの製造(分離)途中で異なる種類及び方法の熱分離法(最初に記載したような)を、(メタ)アクリルモノマーの含量が≧2質量%又は≧10質量%又は≧20質量%又は≧40質量%又は≧60質量%又は≧80質量%又は≧90質量%又は≧95質量%又は≧99質量%であってよい(もちろん(メタ)アクリルモノマーの含量は常に<100質量%の値である)気体状及び/又は液体状物質混合物に適用する。このような物質混合物の(メタ)アクリルモノマー含量は屡々10〜40質量%又は90〜99.5質量%である。
【0023】
通常これらの物質混合物を本発明の方法では自体(メタ)アクリルモノマーを含有する物質流として少なくとも1個の分離室に導入する。
【0024】
屡々分離室は最初に記載した熱分離方法では分離塔を含む。その際(メタ)アクリルモノマーの富化は塔頂部並びに分離塔のカン部で行うことができる。しかしもちろん分離塔の上部、下部又は中央部で(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する留分を取り出すことができる。
【0025】
分離室、例えば分離塔で一緒に使用される分離内部品は熱分離法で、分離作用を生じる熱−及び物質交換用の表面積を高める目的を達する。
【0026】
このような内部品としては例えば、充填物、充填ばら体及び/又は物質交換トレイが挙げられる。
【0027】
熱分離法用の分離内部品を有する分離塔としては、少なくとも分離作用内部品の一部として連続した物質交換トレイを有するのようなものが特に屡々使用される。
【0028】
物質交換トレイは、分離塔中で液体層の形で密閉された液相を有する場所を提供するという目的を果たす。液相中で例えば上昇し、その際密閉された液相中に分配される蒸気−又は気体流の表面積は、その場合に基準となる交換表面積である。物質交換トレイはそれらを取り囲む壁で有利には緊密に密封されている。物質交換トレイの典型例はシーブトレイである。これは本明細書では上昇する気体−又は蒸気相(概念“気体状”及び“蒸気状”は本明細書では同義語として使用する)用の流出部として簡単な穴及び/又はスリットを有する板である。
【0029】
その際シーブトレイは通常2種類の群、即ち液体強制誘導を有するようなものと液体強制誘導を有さないようなものに分けられる。
【0030】
極めて一般的には液体強制誘導は、物質交換トレイが、少なくとも1個の排出シャフトを有し(排水)、そこから液体が蒸気の流路とは無関係にこれより高い位置に設置されたトレイから低いトレイへ流れる(供給)ことによって、行うことができる。交換トレイ上の供給から排出への水平な液体流は、方法技術的な課題設定に応じて選択する。気体又は蒸気はトレイ板の開口横断面を通って進む。
【0031】
液体を逆流でトレイに誘導する(物質交換トレイの供給口及び排出口がトレイの同じ側上に設置されている)場合には、逆流トレイと称する。放射流トレイでは液体はトレイ上を中央(供給)からトレイの縁の排出口へ放射状に流れて排出される。
【0032】
交差流トレイでは、液体は全流動範囲に渡ってトレイ上を横断して供給口から排出口へ誘導される。通常横断流トレイは、単流構造である。即ち、供給口及び排出口はトレイの反対側に設置されている。しかし複流(又は複流より多い流れ)構造であってもよい。この場合には供給口は例えば中央に設置され、各1個の排出口が物質交換トレイの反対側に設置されていてよい。
【0033】
即ち、シーブトレイでは液体強制誘導は、シーブトレイが上昇する気体−又は蒸気相用の通路の他に少なくとも1個の排出シャフトを有し(排出)、これを通って液体が蒸気の流路とは無関係により高い位置にあるトレイから次ぎの低い位置にあるトレイへ流れる(供給)ことによって達成される。液体は例えば交差流でトレイ上を少なくとも1個の供給口から少なくとも1個の排出口へと流れ、その際、供給管及び排出管が液封及び所望のトレイ上の液体高さを保証する。屡々(特に小さい塔直径の場合には)液体強制誘導を有するシーブトレイは単流構造である。即ち供給及び排出はトレイの相対する側に設置されている。しかし複流(又は複流より多い流れ)であってもよい。この場合には、供給口は例えば中央に設置されており及び各々1個の排出口が物質交換トレイの相対する側に配置されている。このようなシーブトレイは以下で強制シーブトレイと称する。この場合には、分離作用を減少させる液体の漏出が水力により密封された交差流トレイの場合のようにその中を通路が続いている蒸気上昇管によって妨げられず、むしろこのために最小の蒸気負荷が必要である。蒸気は通路を通って上昇し、排出管により保たれる液体層を泡だって通過する。
【0034】
デュアルフロー又はレインシーブトレイ(Regensiebboeden)は排出部を有さないことによって強制シーブトレイとは異なる。排出部(排出シャフト)がないことによってレインシーブトレイでは上昇する気体及び分離塔を下降する液体がトレイの同じ通路を通る。レインシーブトレイでも強制シーブトレイの場合と同じく適切な分離作用を達成するために最小の蒸気負荷が必要である。蒸気負荷が著しく低くなる場合には、上昇する気体及び下降する還流が実質的に交換せずに一緒に通過し、トレイが空になる恐れがある。
【0035】
即ち、レインシーブトレイでも、トレイの働きを可能にするためにトレイ上に一定の液体層を維持する最低限界速度がなけらばならない。通常の操作範囲でレインシーブトレイでは液体はトレイからトレイへ通路を通って滴り、トレイ間で密集気相は分割された液相により散在させられる。
【0036】
水力により密封された交差流トレイはシーブトレイに比べて、各交差流トレイが合目的性から有する僅かな空口径穴(その横断面は通常通路の全横断面より200倍以上小さい)は度外視して、塔の遮断に際して空にならないことを特徴とする。
【0037】
即ち、僅かな塔負荷でも水力により密封された交差流トレイが溜まった液体(還流−及び/又は供給液体)を有し、空になる恐れがない。これは水力により密封された交差流トレイの通路ではシーブトレイの場合のように蒸気上昇管なしの穴ではないことに起因する。むしろ各通路はトレイが空になるのを阻止する蒸気上昇管中に開口している。蒸気上昇管上に蒸気方向転換フード(泡鐘)が取り付けてあり、これは溜まったトレイ液体中に浸かっている。屡々蒸気方向転換フードの縁にはスリット又は刻み目が付いている(即ち、輸送スリットを有する)。通路を通り上昇する蒸気流は蒸気方向転換フードを通って方向転換し、トレイに平行に、即ち塔に対して直角に溜まった液体中に流れる。
【0038】
隣接の通常トレイ上に等距離に分散配置されたフードから出てくる蒸気泡は、溜まった液体中で発泡層を形成する。
【0039】
通常交互に左又は右からトレイから出る排出管又は排出部は、關により保護されているが、物質交換トレイの液体水準を制御し、液体をその下にあるトレイに供給する。上方のトレイの排出管又は排出部が下方にあるトレイの溜まった液体中に浸漬していることが、水力による密封作用に重要である。供給關がないのが有利である。製造が不均一系の場合には、高さを調節可能な泡鐘中で流動状態の適合及び浸漬深さの平衡が行われるので、トレイの全泡鐘は均質に気体を送り出す。
【0040】
泡鐘の形状及び配置に応じて例えば単流構造の水力により密封された交差流トレイは、丸形泡鐘トレイ(通路、蒸気上昇管及び泡鐘が丸い)、トンネルトレイ(通路、蒸気上昇管及び泡鐘が長方形であり、泡鐘は連続して配置されており、その際、長い方の長方形端は液体の交差流方向に平行に配置されている)及びThormannトレイ(通路、蒸気上昇管及び泡鐘が長方形であり、泡鐘は連続して配置されており、その際、長い方の長方形端は液体の交差流方向に垂直に配置されている)に分けられる。
【0041】
本明細書中でバルブトレイとは、各々の塔負荷に蒸気通路の大きさを適合させた工程制御皿−、バラスト−又は上昇バルブ(フローティングフラップ)を有するトレイ穴を有する交差流トレイである。上昇する気体流は方向転換され、トレイに平行に溜まった還流液体中に流れ、発泡層を形成する。關を有する排出管はトレーからトレーへ還流する。これは屡々複流である。しかし、三つ及びそれ以上の流れ(例えば八つまでの流れ)構造であってもよい。
【0042】
下降液体及び上昇蒸気の間に平衡がとれている物質交換トレイを理論的トレイと称する。
【0043】
この概念は、向流蒸留(精留)用に好適なその他の全ての分離内部品(例えば充填物及び充填ばら体)並びにその他の熱分離工程、例えば吸収及び抽出に適応される。後者でも記載の分離内部品は2種類の液相間の交換表面積を増大させる。
【0044】
従って、通常理論的分離工程であるのが有利である。理論的分離工程とは、富化が熱動力学的平衡に応じて行われる空間単位と定義される。
【0045】
(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物からの少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流を分離するための熱分離法の目的は、一方では分離された(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流中の(メタ)アクリルモノマーのできる限り高い富化度であり、他方ではこの分離された物質流の可能な限り高い時空収率である。
【0046】
最初に記載した熱分離法の欠点は、通常その他は同じ限界条件下で富化度を高める手段が同時に時空収率を減少させることである(例えば理論的分離工程の数の増加により通常富化度を改良することができる;しかしその他は同じ限界条件で理論的分離工程の数の増加は通常時空収率を減少させる)。
【0047】
本発明の目的は、前記関係を絶ち、富化度及び時空収率が同時に高められた、(メチル)アクリルモノマーを含有する混合物から少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流を分離するための最初に記載したような熱分離法を提供することであった。
【0048】
従って、これは、(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物から、少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流を分離するにあたり、分離内部品を有するか又は有さない分離室少なくとも1個を有する少なくとも1個の熱分離装置の連続的定常操作を含み、該分離室中に少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを含有する物質流を導入し、かつ該分離室から少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを含有する物質流を導出するが、但し、
− 全部分離室中へ導入され、理論的に分離室中に導入された個々の物質流を添加することによって製造される物質流が、(メタ)アクリルモノマーとは異なる成分X質量%を含有し、
− (メタ)アクリルモノマーの最高質量割合で分離室から導出される物質流が(メタ)アクリルモノマーとは異なる成分Y質量%を含有し、
− 比X:Y≧5であり、
− 分離室が物質流供給部及び物質流搬出部を除いて固相により区切られており、少なくとも1個の循環熱交換器を有し、かつ
− 分離室中の液相で充填された全容積が≧1m3であり、その際液相の温度は少なくとも部分的に≧80℃である
熱分離法において、
− 分離室がn個の個々の容積成分に分けられる場合に、その際個々の容積成分中に存在する液相の最高及び最低温度が2℃より多くは相違せずかつ容積成分が分離室中で連結しており、全滞留時間tges
【0049】
【数1】
が≦20時間であり、その際、
A=(T1−To)/10℃、
To=100℃、
Ti=容積成分iの液相中に存在する最高及び最低温度の算術平均値(℃)、
msi=容積成分i中に含有される液相の容積中に含有される(メタ)アクリルモノマーの全量、
mi=容積成分iから導出される全液相流量、及び
【0050】
【数2】
デッドスペース−容積成分としてその中に含有される液相質量mi及びmi/m≧100時間を有する容積成分iは、液相を有さない容積成分iと同様に全容積成分iに関する合計にはほとんど含まれず、デッドスペース−容積成分中に含有される液相の全量が分離室中に含有される全液相の5質量%より多くはないことを特徴とする。
【0051】
本発明による方法の背景は、メタクリルモノマーが1回又は数回のマイケル付加によってオリゴマー又はポリマーを生成することである(マイケル付加物)。
【0052】
アクリル酸の場合には、これは例えば一般式I
(y+1)CH2=CH−CO2H→
CH2=CH−CO2−(CH2−CH2−CO2)y−H (I)
[式中、y=特に1〜6、部分的には>6]を満たす。
【0053】
特に、マイケル付加物生成の特徴はEP−A733617、EP−A765861、DE−A19536191、DE−A19851984、DE−A19927722、EP−A780360、EP−A780359、WO98/08798、WO97/48669及びDE−A19924533から公知である。
【0054】
(メタ)アクリルモノマーのマイケル付加物生成の欠点は、これが(メタ)アクリルモノマー含有混合物からの(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流の分離用の熱分離法の範囲でも行われ、その際富化度及び時空収率が減少することである。この問題を解決する方法として公知技術ではマイケル付加物の単離及び引き続いての分離のみ挙げている(例えばEP−A780359、EP−A780360、WO98/08798及びDE−A19924533参照)。
【0055】
詳細な研究から更に問題を解決する方法として本発明による方法が導き出された。
【0056】
この問題を解決する際に、(メタ)アクリルモノマーのマイケル付加物生成が実質的に液相中でのみ行われることを考慮することが役立つ。更に液相中でのマイケル付加物生成が、温度上昇及び液相の(メタ)アクリルモノマーの量割合の増加と共により迅速に行われることを考慮するが、その際、10℃の温度上昇は反応速度を約2倍にする。明らかに100℃より下ではアクリルモノマーのマイケル付加は実質的に無視される。
【0057】
即ち、定常操作での(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物からの少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流を分離するための連続操業熱分離法では、温度及び液相中の(メタ)アクリルモノマーの量割合が高い場合には液相中の(メタ)アクリルモノマーの滞留時間が僅かであるように留意すると、このような熱分離法で(メタ)アクリルモノマーの不利なマイケル付加物生成を一定の程度抑制することができる。
【0058】
これに関して好適な尺度は、(メタ)アクリルモノマーが熱分離法で分離室中で液相中で有する個々の滞留時間から有利な方法で算出された(メタ)アクリルモノマーの平均全滞留時間である。
【0059】
このために分離室をn個の個々の容積成分に分ける。この容積成分の大きさ及び数nは実質的に重要でない。即ち、個々の容積成分は同じ大きさであってもよいし、異なる容積を有してもよい。重要なことは、個々の容積成分中に存在する液相の最高及び最低温度が2℃より多くは異ならず、容積成分が分離室中で連続している(温度要求はマイケル付加の温度依存性を考慮に入れる)ことである。
【0060】
容積成分i中の(メタ)アクリルモノマーの個々の滞留時間tiはti=mi/m’iにより表される。その際、miは容積成分i中に含有される全液相質量であり、m’iは容積成分iから導出される全液相流量(これは定常状態で容積成分iへ供給される全液相流量と等しい)である。
【0061】
この個々の滞留時間は、容積成分i中の(メタ)アクリルモノマーの質量割合を考慮するために、商msi/miで掛ける。
【0062】
因子2A[A=(Ti−To)/10℃]は付加的に個々の滞留時間をはかり、容積成分iの液相中の温度を考慮に入れる。最後になお液相を含有する全容積成分iを合計する必要がある。
【0063】
デッドスペース容積成分iは、実質的に分離工程に関与してない限り合計に含まない。これは特にそれらに関しmi/m’i≧200時間又は≧300時間又は≧400時間又は≧500時間又は≧750時間又は≧1000時間である場合に当てはまる。
【0064】
デッドスペース容積成分は、本発明による分離法で分離作用を生じる交換工程に実質的に関与しない。この容積成分には一度液相を充填され、決まった時間を超えて実質的に同じ液相を含有する、実質的に単離された容積成分が該当する。
【0065】
基本的には本発明による方法ではデッドスペース容積成分は十分回避すべきである。それらは特に、その中に含有される(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合の高められた開始可能性を有するからである。
【0066】
即ち、本発明による方法は特に、デッドスペース容積成分中に含有される液相の全量が4質量%より多くなく、有利には3質量%より多くなく、特に有利には2質量%より多くなく、極めて特に有利には1質量%より多くないか又はむしろ殆どない場合が有利である。
【0067】
更に本発明による方法で、X:Y≧5であることが重要である。即ち、理論的分離段の数は本発明による方法によって損なわれない。むしろ本発明による方法では個々の滞留時間tiは特に、一方ではmsi/mi及びAが大きくかつtiの減少が理論的分離段の数を実質的に損なわない場合には、減少する。
【0068】
従って本発明による方法は、X:Y≧8、又は≧10、又は≧15、又は≧20、又は≧30、又は≧40又は≧50である場合にも使用可能である。
【0069】
通常X:Yは本発明による方法では200を超えない。大抵はX:Yは本発明による方法では、≦175、多くの場合に≦150又は≦100である。
【0070】
本発明による方法は特に、分離室中で液相で充填された全容積Vが大容積である場合に有利である。即ち、Vは本発明による方法では≧2m3、又は≧4m3、≧5m3、又は≧7m3、又は≧9m3、≧10m3、又は≧15m3であってよい。通常Vは500m3より大きくはない。即ち通常Vは本発明による方法では≦450m3、屡々≦400m3、多くは≦350m3、及び大抵は≦300m3である。
【0071】
(メタ)アクリルモノマーの高い沸点により、分離室中に存在する液相の温度は本発明による方法では屡々少なくとも部分的に≧90℃、又は≧100℃、又は≧110℃、又は≧120℃、又は≧130℃、又は≧140℃、又は≧150℃、又は≧160℃、又は≧170℃、又は≧180℃である。通常容積成分i中の存在する液相の最高温度は本発明による方法では250℃であるが、しかしこれを超えない。通常この最高温度は≦230℃、屡々≦210℃、多くの場合には≦200℃である。分離生成物が分離平衡から除去されることが前提であるが、これらの温度では通常言うに値する分離作用を起こすことができない。
【0072】
有利には全滞留時間tgesは本発明による方法では≦15時間又は≦10時間である。特に有利にはtgesは本発明によれば≦8時間、又は≦6時間、又は≦4時間、又は≦2時間である。しかし通常tgesは本発明による方法では≧0.5時間又は≧1時間である。
【0073】
本発明による方法は特に、文書EP−A648732及びEP−A270999に記載の粗(メタ)アクリル酸の精製用の精留法、文書DE−A19924533、DE−A10247240及びDE−A10243625に記載のアクリル酸へのプロペン−及び/又はプロパン部分酸化の生成物気体混合物からの粗アクリル酸基本的分離用の分別凝縮法、EP−A717029に記載の(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸より高温で沸騰する不活性疎水性有機液体を主成分として含有する混合物からの粗(メタ)アクリル酸の精留による分離の方法、DE−A4308087に記載のプロペン及び/アクロレインの接触部分酸化の反応気体からのアクリル酸の吸収分離並びにその他のこれら文書並びにEP−A990636、EP−A861820、EP−A778255、EP−A551111、EP−A695736、EP−A1026145及びDE−A10251328に記載されかつ/又は参照文献により引用された、(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物からの少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流の分離用の精留、吸収及び/又は抽出による熱分離法で使用することができる。
【0074】
分離室は前記方法及び本発明による方法で大抵は、極めて一般的には少なくとも1個の循環熱交換器及び分離内部品を有するか又はそれなしの少なくとも1個の塔を有する。
【0075】
吸収分離は通常発熱反応であるので、少なくとも1個の循環熱交換器はこれに関して通常熱除去の目的を果たす。これは通常間接的に、分離室には全く入らない冷媒(冷却剤)により行われる。即ち、間接的な熱交換器の二つの空間側の1個だけが分離室の成分である。もう一つは外側にあり、冷媒を誘導する。熱交換器の分離室に属す空間側による物質流搬出は通常少なくとも1個のポンプによって行われる。
【0076】
吸収による分離とは異なる多数の熱分離では、循環熱交換器を介して分離室に熱を供給する。これは大抵の場合に同じく間接的に分離室に入らない熱交換器により行われる。即ち、間接的な熱交換器の二つの空間側の1個だけが分離室の成分である。もう一つは外側にあり、熱媒体を運ぶ。屡々分離室に属す熱交換器の空間側で沸騰現象を起こすのに十分な熱を供給する。
【0077】
この場合に、循環熱交換器を循環蒸発器と称する。分離室に属する熱交換器の空間側による物質流搬出は、ポンプ(強制循環)及び/又は自然循環により行われる(後者は加熱された物質流と加熱されてない物質流の間の質量密度の相違により行われる)。
【0078】
特に本発明による熱分離法が精留である場合には、循環熱交換器として循環蒸発器を使用する。
【0079】
原則的に本発明による方法では間接的な循環熱交換器として全ての種類の公知の間接的熱交換器を使用することができる。その中に含まれる液相容積が最小であるようにそれらを選択するのが有利である。
【0080】
循環蒸発器の場合には例えば、図1に記載されているように、分離塔に統合されたロバート蒸発器(自然循環蒸発器)が挙げられる(1=分離塔、2=加熱蒸気、3=加熱蒸気凝縮物、4=カン部流出液、5=液体水準、6=蒸発器管、7=中央降下管、8=循環方向)。
【0081】
しかし、循環蒸発器は、図2に記載されているように、分離塔の外に設置された強制循環蒸発器であってもよい(1=分離塔、2=循環ポンプ、3=管形蒸発器、4=加熱蒸気、5=加熱蒸気凝縮物、6=カン部生成物取り出し、7=循環方向、8=分離装置、9=排出流、10=供給流、11=液体水準)。
【0082】
しかしもちろん循環蒸発器として、図3に図示されているように、強制循環瞬間蒸発器を使用することもできる(1=分離塔、2=循環ポンプ、3=絞り装置、4=管形蒸発器、5=加熱蒸気、6=加熱蒸気凝縮物、7=カン部生成物取り出し、8=循環方向、9=分離装置、10=排出流、11=供給流、12=液体水準)。強制循環瞬間蒸発器は強制循環蒸発器と異なり分離塔とは絞り装置により分けられている。圧力Pxで存在する分離塔の液体内容物から連続的に一部取り出し、循環ポンプにより例えば管形蒸発器(管束熱交換器)の供給流にポンプで装入する。管形蒸発器の内部にある管の回りに熱媒体、例えばその温度が分離塔の液体内容物の温度の上にある加熱蒸気(通常圧力下にある水蒸気)が流れる。管形蒸発器の供給及び排出流管を通る途中で取り出された分離塔液体を間接的な熱交換器により分離塔の液体内容物の温度の上にある温度Ty’に加熱する。
【0083】
絞り装置は管形蒸発器と分離塔を圧力面で分離し、循環ポンプ出力を適切に選択することによってPxの上にあり、取り出した分離塔液体の温度Ty’での沸騰圧力Py’の上にある、絞り圧Pyの調整を可能にする。前記手段により循環ポンプ装入された分離塔液体分の沸騰が管形蒸発器の管中で抑制される。循環ポンプ装入された分離塔液体分は管形蒸発器の管中で分離塔の液体内容物上の圧力Pxに関してむしろ過剰加熱され、沸騰工程は絞り装置の通路側へ移る(即ち、管形蒸発器の管の内容物は単相で存在し、管形蒸発器は過熱器としてのみ機能する)。その際、過熱された液体の絞り装置を通り分離塔中への通路は、直接分離塔の(分離塔カン部の)液体内容物中の中に入る。この条件下で分離塔カン部の液体内容物の温度は、規則的にカン部液体上の圧力Pxに属する沸騰温度Txに相応する。
【0084】
しかし、原則として過熱された液体の絞り装置を通る分離塔中への通路は、分離塔カン部の液体面上であってもよい。この条件下では、分離塔カン部の液体内容物の温度は、規則的にカン部液体上の圧力Pxに属する沸騰温度Txの下である。分離塔の外側に取り付けられた管形蒸発器の沸騰蒸発作用が分離塔でのみ、即ち循環蒸発器の外側でしか起こらないことが重要である。絞りは例えば機械的に(絞り、弁)及び/又は静水学的に(過熱された液体の絞り部を介して相応する高いカン部カラムによって)行うことができる。
【0085】
循環蒸発器は図4に図示してあるように、その中に分離室の外側で生成された熱媒体を導入し、これに蒸発する液体を直接接触させる、直接循環瞬間蒸発器であってもよい。
【0086】
分離塔8のカン部9からカン部液体を取り出しかつ/又は分離塔の下部にある捕集トレイ1から高沸点留分を取り出す。次いで一つか又は両方の液体取り出しを直接循環蒸発器6中に噴霧し、そこで例えばプロペン−及び/又はプロパン部分酸化のより高い温度を有する生成物気体混合物2と直接熱媒体として直流で誘導し、これと直接熱交換させ、その際少なくとも部分的に蒸発させる。次いで全混合物10を分離塔のカン部液体(還流は浸漬してはならない)中に戻し、これらか上昇する気体混合物をそれ自体上昇させて分別凝縮する。
【0087】
分離塔から取り出した液体の搬送はポンプ4、5を用いて行う。3はカン部生成物取り出しであり、7はカン部液体の水準である。直接循環蒸発器は通常分離内部品を有さず、円筒形である。原則的に気体−及び液相を直接循環蒸発器から別の空間にある分離塔に戻す。このような直接循環蒸発器は図5に図示する。数字は図4と同じものを表す。
【0088】
10aは分離塔中に戻した気相であり、10bは分離塔に戻された液相である。11は直接循環蒸発器中の液体水準である。
【0089】
分離塔は分離内部品を有してなくともよいし、分離内部品を含有してもよく、その際本発明による方法を実施するために原則として本明細書で既に記載した全ての分離内部品がそれ自体又は場合によってその他の分離内部品と一緒に、挙げられる。
【0090】
その際、堆積型充填物としては例えばラシヒガラスリング、くら形充填物、メッシュリング、V2A−螺旋、ポールリング及びステッドマン体並びに第2、第3及び第4世代の充填物が挙げられる。直径が塔の内径と実質的に同じである嵌め込み型充填物としては、異なる種類の充填物が挙げられる。その際通常、透過性の表面積の大きな三次元構造の金属、プラスチック及び/又はセラミック網状構造物である。
【0091】
本発明による方法がプロペン及び/又はプロパンのアクリル酸への1段階又は2段階の不均一系触媒による部分酸化の気体混合物の分別凝縮である場合には、分離塔は、例えばDE−A19924532、DE−A10243625及びDE−A10247240に推奨されているような、有利には下から上に、先ずデュアルフロートレイ及び次いで水力により密封された交差流トレイ(例えばThormann(R)−Boeden又は修正Thormann(R)−Boeden)を分離内部品として含有するようなものである。
【0092】
その際、理論的分離段の数は有利には15〜30、有利には20個である。その際、蒸発器は有利には前記したような直接循環蒸発器である。凝縮塔中になお酸性水クエンチが組み込まれている場合には、凝縮塔のこの部分に分離内部品として、DE−A19924532、DE−A1024625及びDE−A10247240に記載されているようなバルブトレイが挙げられる。
【0093】
tgesの一般式により本発明による方法でtgesは、大きなm’iの場合に同時にmsiができる限り小さい場合には、小さい。即ち、本発明による目的は特に、実質的に同じ物質流及び理論的分離段の場合に、分離室中で定常的操業状態で滞留する合計液相を最小にすることによって、特に、液相が特に高い温度を有し、その最小化によりその理論的分離段の数が減少しない容積成分中で達成される。特にこのために下記の方法が提供される。第一の方法は、(メタ)アクリルモノマーを含有する液相を通して誘導する分離室の配管の管横断面を一定の圧力損失(同じ容積流で)を犠牲にして小さくし、管の長さを最小に設置することである。
【0094】
前記したように実施される分別凝縮では、本発明では直接循環蒸発器の外にその他の循環熱交換器が何も分離室に付いていないのが有利である。
【0095】
即ち、DE−A19924533の図1及び図2又はDE−A19924532の図及びDE−A10247240に推奨されているものとは異なり、本発明によれば、前記図の循環熱交換器8をなくして、蒸発熱を専ら部分酸化(例えばプロペン及び/又はプロパンのアクリル酸への)の生成物気体混合物から得ることが有利であろう。直接循環蒸発器は本発明によれば有利には図5に記載してあるものではなく、図4に記載してあるものであり、気体及び液体から成る混合物を直接二層系として分離塔に誘導するものであり、これは図5の方法実施と異なり、付加的な液体水準(高められた個々の滞留時間を伴う)の生成を阻止する。同時に、直接循環蒸発器の横断面を同じ循環量で(直接循環蒸発器は
同時に部分酸化の生成物気体混合物用の直接冷却器として働く;熱勘定技術の理由からある一定の最小循環量が必要である)最小に保ち、こうして分離室の系中に滞留する全液相量を最小に保つ。
【0096】
分離室が分離内部品として物質交換トレイを含む場合には、このような物質交換トレイとして本発明によればシーブトレイ、特に有利にはレインシーブトレイ(Dual−Flow−Boeden)を使用する。後者は溢流關を有さないので、特に僅かな液体水準で操業可能であり、本発明によれば水力により密封した交差流トレイに対して有利である。後者はレインシーブトレイを用いて達成可能な分離作用が十分でない場合にだけ使用する。
【0097】
分離室が捕集トレイを(例えば分離塔の成分として)有し、これから例えば分離された液体物質流を分離室から搬出することができる(例えば貯蔵タンク又は循環熱交換器中へ)場合には、これを本発明によれば可能な限り僅かな液体水準で操作する。これは例えば、捕集トレイに押しのけ物体を設けることによって可能である。これにより減少した液体容積で液体水準を高めることができる。代わりの解決法の一つがDE−A10159825により傾斜を有する捕集トレイの形で提案されている。
【0098】
相応する押しのけ物体は本発明による方法で通常分離塔のカン部成分(カン部室)中でも有利であると実証された。これは通常幾何学的に最下部の分離内部品の下にある空間部分である。特に本発明による分離法として精留の場合には、例えば強制循環熱交換器に供給するために、カン部成分から規則的にカン部液体を取り出す。同時にカン部液体は通常沸騰状態である。
【0099】
強制循環熱交換器で強制供給用に必要なポンプが例えば操業不良(これは、ポンプは通常液体供給用にのみ設計されているので、通常ポンプの搬出力を減少させ、不所望な場合には故障を引き起こす)の場合に過剰量の気体を吸い込むのを阻止するために、カン部部分に通常安全液体高さ、安全液体水準を設ける。
【0100】
この安全高さは本発明によれば有利には、カン部空間に押しのけ物体を装入するか又は例えば図6に記載したようにカン部空間を小さくすることによってカン部容積を減少させることによって達成することができる。このカン部容積の減少は本発明による方法では極めて一般的に適用することができるのは明らかである。
【0101】
いずれにせよ本発明によればこのような解決法に対して、例えば図7に示したようにポンプと塔カン部の間に安全性の観点からカン部液体緩衝容器が接続されているのが有利である。本発明による方法で一緒に使用されるポンプは、有利にはできる限り僅かな液相量を保持するように選択する。
【0102】
Tiは本発明による方法では簡単な方法で実験による測定によって決めることができる(例えば好適な方法で設置された熱電対により)。
【0103】
原則として容積成分iの選択は本発明による方法では任意であり、tgesの結果に実質的に影響を与えない。しかし多くの場合に容積成分iの特に有利な選択が存在する。
【0104】
強制誘導を有する物質交換トレイの場合には、有利には容積成分iとして、図8の細平行線で引いた面により図示されているような、物質交換トレイ上の液体水準及びその下に存在する物質交換トレイへの供給を包むような容積成分を選択する。1は容積成分への供給部であり、2は容積成分からの排出部であり、3は溢流關であり、4は塔壁であり、5は通路を有する物質交換トレイ(6=排出−又は供給シャフト中の液体水準)である。
【0105】
msiは例えば操作中に存在する供給−又は搬出部を同時に密封し、次いで容積成分i中に含有される液相質量miを測定することによって決めることができる。化学的含量分析によりmiからmsiが得られる。m’iは例えば排出シャフト中に捕集トレイを組込み、分離塔から供給した液体流量を測定し、排出部(排水部)の下で排出シャフトに戻すことによって測定することができる(図9参照;1=塔壁;2=排出シャフト;3=捕集トレイ;4=搬送ポンプ;5=流量計)。代わりにm’iを与えられたmiの値から、供給部にトレーサーを取り付け、搬出部でのその動きを時間をかけて追跡することによっても求めることができる。後者は例えば図8の数字7の場所で小さな試料を取り出すことによって行うことができる。トレーサー装入部は図8中の数字8の場所が有利であろう。
【0106】
レインシーブトレイの場合には相応する方法で行うことができる。この場合に有利な方法では容積成分iとして、物質交換トレイ上の液体水準及び物質交換トレイの下の次の物質交換トレイの液体水準の表面が始まるまでの空間を含むような容積成分を選択する。
この場合にm’iを決めるために、シーブトレイ上で再び捕集トレイを設置することができる。これから供給する液体量を搬出し、相応する流量を決め、引き続き直接シーブトレイ上を戻す(図10参照;1=レインシーブトレイ;2=捕集トレイ;3=搬送ポンプ;4=流量計)。
【0107】
レインシーブトレイ上に存在する液体量は例えば図11による示差圧力計で測定することができる(U管マノメーター法)。Δp=s・g・hL(図11中hL=1)[式中sは液相の質量密度であり、gは重力加速度であり、hLはレイントレイ上の液相水準である]により、hLを直接読み取り、レイントレイ上の液体量を算出することができる。
【0108】
2個のレインシーブトレイ管の液体量は、2個のレインシーブトレイを同時に密封し、下のトレイに集められた液体量を測定することによって化学的分析によりmiから最後にmsiが得られる。
【0109】
完全一致で塔カン部のmsiは排出液から算出したカン部水準量及びカン部液体の組成分析から得られる。m’iは、水準を調整したカン部で直接測定により得られる。循環ポンプにおなじことが当てはまり、循環熱交換器も同じように取り扱うことができる。堆積型充填物を有するか又は嵌め込み型充填物を有する塔部分も物質交換トレイ容積成分と同様に取り扱い可能である。
【0110】
しかし分離塔内部でmsi及びmi値は極めて良好な近似値で半経験的に測定することができる(例えばJohann Stichlmair、Grundlagen der Dimensionierung des Gas/Fluessigkeit−Kontaktapparates、Bodenkolonne、Verlag Chemie(1978)及びTechnische Fortschrittsberichte、第61巻、Grundlagen der Dimesionierung von Kolonnenboeden、von Dr.−Ing.Klaus Hoppe und Dr.−Ing.Manfred Mittelstrass、Magdeburg、Verlag Theodor Steinkopff、Dresden(1967)参照)。
【0111】
このために先ず例えば異なる物質交換トレイを介して各々のトレイ温度を測定する。次いで分離塔からの供給及び排出の組成を測定する。次いで質量−エネルギー−バランスと組み合わせたラグール法(蒸気−液体−平衡)により塔中の濃度経過を算出する。次いでこれから必要な液体−及び気体流量が得られる。msi値は下記のようにして得られる。先ず別々の実験(下から気体を流し、上から液体を装入する)で、分離内部品、例えば物質交換トレイの水力学的挙動を測定する。これからmi−値が得られ、これから濃度経過を用いて最後にmsi−値が得られる。
【0112】
本発明による予想外な結果は、その他は実質的に同じ限界条件下でtgesの低下によって時空収率並びに富化度が改善されることである。
【0113】
もちろん本発明による方法は、マイケル付加生成物の分離を統合して含有する方法と組み合わせることができる。この文書の二三の箇所で例えば(メタ)アクリルモノマーとして 特にアクリル酸に関して解説した。しかしこの解説は通常その他の(メタ)アクリルモノマーに対しても当てはまる。
【0114】
下記実施例に示したように、本発明による方法はt値≦10時間でも、そのアクリル酸含量が5〜15質量%である(1又は2工程の)不均一系触媒によるプロペン−及び/又はプロパンのアクリル酸への部分酸化の生成物気体混合物から、そのアクリル酸含量が≧95質量%である粗アクリル酸を分離することができる。
【0115】
その際使用される熱分離法は、分離室として略図12に記載されているような分離内部品を有する熱分離装置の連続的定常操作を含む。
【0116】
これは、分離塔28(分離内部品として物質交換トレイのみを含有する;これは下から上へ先ずデュアル−フロートレイ、それに次いで水力により密封された交差流トレイ、次いでバルブトレイが続き、付加的に分離塔はなお捕集トレイを含有する)、内部品を有さず、ポンプ7及びポンプ29により搬送される直接循環蒸発器1並びに配管6、6’、3、3’及び2から成る。このような分離塔の詳細な説明は、文書DE−A19924532、DE−A10247240及びDE−A10243625に記載されている。理論的分離段の数は、使用技術的に有利には15〜30、有利には20である。この分離室以外の成分は使用される全ての熱分離装置の構成成分であってよい。しかしこれらは本発明によるバランス空間、本発明により問題とされる分離室には属さない。この拡大はtgesを増加させ、問題とされる熱分離に寄与しない。全体で使用される熱分離法が本発明による方法を含む場合に本発明による方法は既に使用されている。アクリル酸へのプロペン−及び/又はプロパンの(1段又は2段工程の)不均一系触媒による部分酸化の分離すべき生成物気体混合物は、同時に循環蒸発器の直接熱源である。
【0117】
次ぎに本発明を実施例及び比較例につき詳説するが、本発明はこれに制限されるものではない。極めて一般的に本発明による方法で生じる(メタ)アクリルモノマーを含む液相は自体公知の方法で重合防止剤を添加含有する。
【0118】
実施例及び比較例(数値は図12に関し、図12で灰色斜線の部分は問題とされる分離室とみなされる)。
【0119】
比較例(定常状態を記載;好適な材料は例えば1.4539又は1.4571の種類のステンレス鋼である)
純度“ポリマーグレード”のプロピレンの不均一系触媒による気相部分酸化から、下記含量の温度270℃を有する生成物気体混合物が得られた:
アクリル酸 11.80質量%
酢酸 0.264質量%
水 5.0984質量%
蟻酸 0.0275質量%
ホルムアルデヒド 0.0989質量%
アクロレイン 0.1473質量%
プロピオン酸 0.0028質量%
フルフラール 0.0033質量%
アリルアクリレート 0.0014質量%
アリルホルミエート 0.0005質量%
ベンズアルデヒド 0.0038質量%
無水マレイン酸 0.1350質量%
安息香酸 0.0112質量%
無水フタル酸 0.0147質量%
酸素 4.0324質量%
二酸化炭素 1.8067質量%
一酸化炭素 0.5904質量%
プロパン 0.5520質量%
プロピレン 0.2696質量%及び
窒素 75.1399質量%
その他の成分は検出されない。生成物気体混合物(170008kg/時)は直流で操作される直接循環蒸発器1中で温度120.2℃に冷却する。直流で操作される直接循環熱交換器1は内部品を有さない。これは円筒形である。その直径は2.2mであり、高さは15.5mである。直接循環蒸発器1中で加熱すべき液相は、カン部室5から取り出したカン部液体及び分離塔28のカン部室5を密封する捕集トレイ10からとりだされる高沸点留分から成る混合物である。
【0120】
直接循環熱交換器1中に導入されるカン部液体の量は247305kg/時であり、下記の含量を有する(質量密度=989.22kg/m3)。
アクリル酸 27.2977質量%
酢酸 0.1446質量%
水 0.6007質量%
蟻酸 0.0069質量%
ホルムアルデヒド 0.0007質量%
アクロレイン 0.0087質量%
プロピオン酸 0.0149質量%
フルフラール 0.2041質量%
アリルアクリレート 0.0008質量%
アリルホルミエート 0.0001質量%
ベンズアルデヒド 0.2490質量%
無水マレイン酸 4.4377質量%
安息香酸 0.7354質量%
無水フタル酸 0.9605質量%
ジアクリル酸 19.5513質量%
ポリアクリル酸(マイケル付加物) 40.1375質量%
フェノチアジン 0.4855質量%
ヒドロキノンのモノメチルエーテル(MEHQ)0.5560質量%
その他の高沸点成分 4.6079質量%及び
酸素 0.0002質量%
カン部液体の温度は118.3℃である。蒸気圧は1.48バールである。直接循環蒸発器1中に導入される高沸点留分の量は63009kg/時であり、下記の含量を有する(質量密度=969.94kg/m3)。
アクリル酸 90.4867質量%
酢酸 0.3672質量%
水 1.4207質量%
蟻酸 0.0142質量%
ホルムアルデヒド 0.0016質量%
アクロレイン 0.0109質量%
プロピオン酸 0.0535質量%
フルフラール 0.6232質量%
アリルアクリレート 0.0025質量%
アリルホルミエート 0.0002質量%
ベンズアルデヒド 0.5317質量%
無水マレイン酸 4.9046質量%
安息香酸 0.0401質量%
無水フタル酸 0.0344質量%
ジアクリル酸 1.4102質量%
フェノチアジン 0.0201質量%
MEHQ 0.0779質量%及び
酸素 0.0004質量%
高沸点留分の温度は100.4℃である。蒸気圧は1.48バールである。
【0121】
直接循環蒸発器1中への高沸点留分の供給は、直径150mm及び長さ10mの配管3を介して渦巻きポンプ29(液体容量:50l)へ行われ、そこから直径150mm及び長さ15mの配管3’を介して直接循環蒸発器1中へ行われる(代わりに高沸点留分を溢流によりカン部室に誘導し、カン部液体の成分として直接循環蒸発器に誘導してもよい)。
【0122】
カン部室5から取り出したカン部液体を249905kg/時の量で直径300mm及び長さ10mの配管6を介して渦巻きポンプ7(液体容量:100l)へ供給し、そこから247305kg/時の量で長さ10m及び直径300mm(ここで配管の直径は常に内径を意味する)の配管6’を介して直接循環蒸発器1中へ供給する。取り出したカンブ液体2300kg/時を分離に供給し、取り出したカン部液体の300kg/時を、不所望な重合を阻止するために、下記でまだ記載してない渦巻き急冷循環路1に供給する(両方の場合に供給は配管8を介して行う)。カン部液体及び高沸点留分から成る混合物を直接循環蒸発器にマスターノズル(WO02/50011による緩衝ノズル)を介して噴霧する。
【0123】
直接循環蒸発器1を温度120.2℃で出る二相混合物を配管2(直径:1500mm;長さ:10m)を介してカン部室5に戻す。
【0124】
カン部室5及び直接循環蒸発器1中の圧力は1.48バールである。分離塔28(分離内部品として物質交換トレイのみを有する分別凝縮用の塔:これには下から上に先ずデュアルフロートレイ及びその次ぎに水力により密封された交差流トレイ(Thormann−トレイ)が当てはまり、これは、最後にバルブトレイにより密封されている)の高さは54.3mである。
【0125】
分離塔28の内径はThormann−トレイの範囲内は6.5m、他は6.0mである。
【0126】
カン部室5から取り出されるカン部液体2300kg/時間を供給される分離装置(これは例えば分離室に属さない)は、強制循環瞬間蒸発器及びこの上に縫い目なしに取り付けたデュアル−フロートレイ精留塔から成る。デュアル−フロートレイの数は50である。
【0127】
強制循環瞬間蒸発器は、分離釜、熱交換器、ポンプ及び付属の配管から成る。分離釜からのカン部流出液を渦巻きポンプの配管を介して供給し、このポンプはこれを管束熱交換器に搬送する。引き続き加熱された液体の一部を配管を介して分離釜に戻す。加熱された液体のも一つの部分は、粘度−(有利)、密度−又は温度を制御下でメタノールを混入してある下記に記載の容器中に供給する。
【0128】
分離塔28と同じく、精留塔は環境から隔離してある。精留塔の内径は全デュアル−フロートレイで一様に2.4mである。その高さは27mである。デュアル−フロートレイは精留塔中で等距離(400mm)で設置されている。その口径比は12%である。下から上へ見て8個のデュアルフロートレイの1番目のトレイの穴直径は、一様に25mmであり(穴配置は厳密に三角形)、次の全てのデュアルフロートレイの穴直径は一様に14mmである(穴配置は同じく厳密に三角形)。分離にまわされるカン部液体の供給は8番目のデュアルフロートレイ(下から)で行われる。
【0129】
強制循環瞬間蒸発器の分離容器に凝縮塔の塔頂部で取り出し、次いで過熱し、圧縮した循環気体(保護気体として)20000kg/時を供給する(圧力=2.9バール;温度=160℃)。
【0130】
循環気体の含量は下記である:
アクリル酸 0.2288質量%
酢酸 0.0885質量%
水 2.6689質量%
蟻酸 0.0052質量%
アクロレイン 0.1724質量%
プロピオン酸 0.0002質量%
フルフラール 0.0003質量%
アリルホルミエート 0.0012質量%
酸素 4.7392質量%
二酸化炭素 2.1235質量%
一酸化炭素 0.6939質量%
プロパン 0.6487質量%
プロピレン 0.3169質量%及び
窒素 88.3123質量%。
【0131】
強制循環瞬間蒸発器の分離容器から常に、液相522963kg/時を温度161℃で圧力1.71バールで取り出す。それから522246kg/時を熱交換器を通過させた後に温度166℃及び圧力3バールで分離容器に戻す。他の717kg/時を脱気し、メタノールで希釈し残分燃焼に供給する。
【0132】
分離容器中で生成された分離気体を供給された保護気体によって取り付けられた精留塔に送り、この中で下降する還流液体中を上昇する。
【0133】
精留塔の塔頂部から33129kg/時の量で気体混合物(循環気体及び分離気体含む)を温度99.8℃及び圧力1.60バールで取り出し、直流で操作する噴霧冷却器(急冷循環器1)で直接冷却により温度63.3℃に冷却し、部分的に凝縮する。
【0134】
直接冷却後に残留する気体混合物を21883kg/時の量で下記含量で配管9を介して凝縮塔28のカン部室5に戻す(浸漬してない):
アクリル酸 8.7215質量%
酢酸 0.0976質量%
水 2.5067質量%
蟻酸 0.0056質量%
ホルムアルデヒド 0.0001質量%
アクロレイン 0.1584質量%
プロピオン酸 0.0019質量%
フルフラール 0.0017質量%
アリルアクリレート 0.0001質量%
アリルホルミエート 0.0011質量%
ベンズアルデヒド 0.0004質量%
無水マレイン酸 0.0039質量%
酸素 4.3313質量%
二酸化炭素 1.9407質量%
一酸化炭素 0.6342質量%
プロパン 0.5929質量%
プロピレン 0.2896質量%及び
窒素 80.7122質量%。
【0135】
急冷液体1として、カン部室5から取り出したカン部液体300kg/時及び急冷循環器1中の直接冷却で生成された凝縮物から成る混合物を使用する。この混合物104207kg/時を間接冷却により32℃に冷却し、急冷器1の噴霧冷却器1で噴霧する。同じ混合物11546kg/時を温度63.3℃で分離容器に取り付けられた精留塔の最上段のデュアル−フロートレイに還流液体として戻す。
【0136】
急冷液体1の組成は下記である:
アクリル酸 93.7485質量%
酢酸 0.4937質量%
水 3.7513質量%
蟻酸 0.0143質量%
アクロレイン 0.0328質量%
プロピオン酸 0.0207質量%
フルフラール 0.0240質量%
アリルアクリレート 0.0005質量%
アリルホルミエート 0.0017質量%
ベンズアルデヒド 0.0099質量%
無水マレイン酸 0.1591質量%
安息香酸 0.0192質量%
無水フタル酸 0.0250質量%
ジアクリル酸 0.5083質量%
ポリアクリル酸 1.0429質量%
フェノチアジン 0.0126質量%
MEHQ 0.0146質量%
その他の高沸点成分 0.1198質量%及び
酸素 0.0011質量%。
【0137】
凝縮塔28のカン部室5中に、カン部室からのカン部液体の滴加が飛沫同伴するのを阻止する遠心滴加分離器が組み込まれている。カン部室5の下部末端には気体/液体分離を改善するためにいわゆるチャイニーズハットが取り付けられている。カン部室5、循環ポンプ7への配管6、循環ポンプ7、循環ポンプ7から直接循環蒸発器1への配管6’、直接循環蒸発器1及び直接循環蒸発器1からカン部室5中への配管2から成る系中の液相滞留量(液体ホールドアップ)は80m3である。
【0138】
分離塔28のカン部室は前記したように塔高さ(全ての高さと同じにカン部床から計算する)7.80mで第1捕集トレイ10(捕集トレイ、16個のほぼ一様に分布した蒸気上昇管を有する蒸気上昇管トレイ、蒸気上昇管直径:600mm;蒸気上昇管高さ:1m)によって密封されている。
【0139】
捕集トレイ10は、内部へ2°の傾斜及び中央の排出カップ及び排出ノズル(DN〜200)を有する二重壁構造である。遊離気体横断面は約30%である。
【0140】
この第1捕集トレイから、前記したように液体63009kg/時を取り出し(T=100.4℃、p=1.48バール)及び渦巻きポンプ29により直接循環蒸発器1中に誘導する。捕集トレイ10上の液体容積は2m3である(捕集トレイ10上のこの液体容積、循環ポンプ29への配管3、循環ポンプ29及び循環ポンプ29から直接循環蒸発器1への配管3’から成る系中の液相滞留量は3m3である)。
【0141】
第1捕集トレイ10の2.0m上に先ず15個のデュアルフロートレイの第1トレイ(11)がある。これらのデュアル−フロートレイ(穴直径は一様に14mm、穴数は一様に33678個、口径比は一様に18%)はトレイ間隔380mmで均質に設置されている。流出口は均質な直径14mmの円形開口から成り、その際分離塔中の抜き縁は下向きである。流出円の中点の配置は厳密に三角形である。
【0142】
15番目のデュアル−フロートレイ(12)は分配トレイとして設置される。この目的用にその上に挿入管1個当たり排水穴(直径:15mm)40個を有する2個の挿入管(DN〜150)が設置してある。
【0143】
最初の一連のデュアルフロートレイは、最後のデュアルフロートレイの1.50m上に設置されたWO03047714による第2捕集トレイ14(捕集トレイ;16個のほぼ均質に分散させた蒸気上昇管を有する蒸気上昇管トレイ;蒸気上昇管穴約1.70m、側部に排水ノズルを有する中央の排水カップ(DN〜250))、遊離気体横断面〜30%)により密封されている。
【0144】
この第2捕集トレイ14から配管15を介して1.47バールで連続的に温度101.2℃を有するアクリル酸を取り出す(質量密度=956.99kg/m3)が、これは下記含量を有する:
アクリル酸 96.8011質量%
酢酸 0.4598質量%
水 1.4762質量%
蟻酸 0.0137質量%
ホルムアルデヒド 0.0015質量%
アクロレイン 0.0087質量%
プロピオン酸 0.0647質量%
フルフラール 0.2856質量%
アリルアクリレート 0.0027質量%
アリルホルミエート 0.0002質量%
ベンズアルデヒド 0.0744質量%
無水マレイン酸 0.2381質量%
ジアクリル酸 0.5430質量%
フェノチアジン 0.0120質量%
MEHQ 0.0180質量%及び
酸素 0.0004質量%。
【0145】
第2捕集トレイ14の液体容積は10m3である。第2捕集トレイ14から取り出した粗アクリル酸455855kg/時を間接的熱交換器により温度111.2℃に加熱し、配管30を介して直接第2捕集トレイの上に続くデュアル−フロートレイ16の下で凝縮塔28に戻す(p=1.50バール)。
【0146】
第2捕集トレイから取り出した粗アクリル酸89978kg/時は、分離室中で分離された(メタ)アクリルモノマーを含有する物質流を生成し、これを多段工程で間接的熱交換(有利には分離塔28中に戻される母液に対して熱集積)により温度29℃に冷却する。次いで冷却した粗アクリル酸に水(25℃)1144kg/時を供給する。生成した混合物をもう一度間接的熱交換器により20℃に冷却し、次いで2から3個の冷却ディスククリスタライザーに誘導する。
【0147】
その際各々、中に20から24個の拭いた円形冷却板(内部を冷却媒体(水及びグリコールから成る混合物;グリコール分=10〜50質量%、有利には25〜35質量%)が貫流する)が20〜40cmの等距離間隔で相互に吊されて設置されている(板直径は、例えば2〜4m、有利には2.5〜3m)槽が該当する。その際、冷却媒体は晶出する混合物に対して向流でクリスタライザーを冷却ディスクから冷却ディスクへ運ばれる。しかし、2から3個の平行な流れに分けて冷却板上を誘導してもよい。冷却媒体(塩水)の入口温度は−2〜+5℃である。出口温度は2〜7℃である。冷却板を拭くことによって結晶層生成が抑制される。湿らせた粗アクリル酸を後ろから前に連続的にクリスタライザーを通す(ポンプ又は溢流により制御して)。その際、1層の湿らせた粗アクリル酸が厚くなり(滞留時間0.5〜4時間、有利には1.5〜2.5時間)、アクリル酸結晶を固相として含有する温度6〜11℃及び出口の固体含量20〜35質量%の2層の懸濁液になる。ワイパーの回転数は、2〜15rpm、有利には4〜10rpmである。ワイパーを駆動し、冷却ディスクの中心を通る軸は水で洗浄したパッキン箱パッキング(テフロン又はグラファイトから成るパッキング紐)で密封されている。
【0148】
拭くことができない冷却ディスクの回りに、中空成形体(例えば最も簡単な態様では管)を取り付け(例えば溶接し)、これを第2熱媒体(例えば同じく水/グリコール混合物)を用いて加熱する(結晶化温度の上の温度へ、大抵は温度範囲8〜20℃、有利には10〜14℃)。この周囲加熱体は第2熱媒体と平行に流れる。
【0149】
更に有利にはワイパーは半径方向に分かれている(部分は通常≧2、≦6)。ワイパーの詳細な圧迫力は取り付けられた状態で冷却面に垂直に有効ワイパー端部長さcm当たり1〜10、有利には3〜5Nである。ワイパーに付加的に軸は、混合を改良するパドル(2枚の冷却ディスクの間及び最初と最後の冷却ディスクの前に有利には各々2個対称配置で)を動かす。
【0150】
冷却板表面の性状及びワイパーの調整は、ワイパーの冷却板表面との距離がどの点においても6mmを超えないようにする(前記距離がどの点でも4又は2又は1mmを超えないか又はワイパーが各点で接している操作が有利である;外半径と接しているのが特に有利であると実証された)。
【0151】
懸濁液の搬出方向でクリスタライザーの後ろの部分(有利には最後の冷却板の後ろ)で懸濁液を、母液を懸濁結晶から分離するために、接続した管(有利には浸漬状態で設置;代わりに懸濁液を溢流關を介して攪拌した貯蔵タンクに流入させ、そこから洗浄塔に送ることができる)を介して、DE−A10156016及びDE−A10223058に記載されているような水力溶融物洗浄塔へ導入する。洗浄塔に結晶懸濁液を渦巻きポンプ又はロータリーポンプにより装入する。制御流ポンプはロータリーポンプ又は制御弁を有する渦巻きポンプの形であってもよい。洗浄塔の下部端部の圧力は、線上塔の塔頂部の圧力より通常≧100ミリバール及び≦5バール小さい。塔頂部圧は通常6バールまで、大抵は0.5〜4バールである。ブレード回転数は大抵は>0及び≦100/分、又は≦60/分である。溶融物区域の温度は通常13〜16℃である。濾過フロントはDE−A10036880により2〜4個の光学センサーにより検出する。洗浄フロントは結晶床の温度測定により制御する。
【0152】
結晶床の全高さは例えば300〜1500mm、大抵は400〜1000mmである。洗浄フロントは例えばブレードの10〜400mm、大抵は20〜250mm上である。溶融ロータリーポンプとして軸封の生成物側洗浄(スリップリングシール)を有する渦巻きポンプ又は滑動ベアリング洗浄を高めた磁石付きポンプが好適である。溶融物区域の循環量はブレードで除去し精製した結晶1トン当たり2〜30、大抵は5〜20m3/時である。
溶融物区域の安定化はMEHQ100〜300質量%を用いて行う。付加的に溶融物区域に空気を導入し、その過剰(=洗浄溶融物に溶解されなかった分)を洗浄溶融物を洗浄塔に装入する前にガス分離器を介して分離する。
(a)エステル化−グレードのアクリル酸を製造するために、懸濁液結晶の分離を溶融物洗浄塔中での代わりに遠心機(例えば2又は3段工程の剪断遠心機)により行うことで十分である。好適な篩間隔幅は150〜300mmである;使用可能な遠心機加速度は500〜900g、大抵は600〜800g;ストローク数40〜80ストローク/分が好適である。
【0153】
有利には2又は3段工程の遠心機で分離した結晶を結晶1kg当たり洗浄液体0.15〜0.3kgで洗浄する。洗浄液体の温度は15〜30℃、有利な20〜30℃である。沈積物を阻止するために、遠心機の固体排出シャフトを15〜30℃に温度調整した濯ぎ(フラッシュ)液で濯ぐ。濯ぎ−及び洗浄液は有利には溶融した、遠心機を介して分離し洗浄した結晶である。沈着及び固着を阻止するために、遠心機ケーシング、懸濁液供給管及び洗浄液体供給管を温度≧15℃及び≦40℃に温度調整するのが有利である。遠心機の生成物室は有利には窒素又は空気及び窒素から成る混合物で不活性化するのが有利である。軸封は気体(例えば窒素又は空気及び窒素から成る混合物)又は水で濯ぐ。
(b)懸濁液結晶化の代わりに、層結晶化(例えばEP−A616998によるフォーリングフィルム結晶化又はフルフロースルー管)を3回以上(例えば3〜4)の洗浄工程で使用することもできる。母液を次の洗浄工程から前の洗浄工程に戻す代わりに、これを一緒に凝縮塔に戻すこともできる。
【0154】
MEHQ3kg/時の添加により安定化された溶融区域から下記含量の精製アクリル酸18538kg/時を取り出す:
アクリル酸 99.8335質量%
酢酸 0.0970質量%
水 0.0334質量%
プロピオン酸 0.0206質量%
フルフラール 0.0001質量%
無水マレイン酸 0.0001質量%
ジアクリル酸 0.0003質量%及び
MEHQ 0.0150質量%。
これはポリ−Na−アクリレートをベースとする超吸収体の製造に非常に好適である。
【0155】
抑制剤溶液Iを製造するために、精製アクリル酸829kg/時中にPTZ13kg/時を溶解させる。抑制剤溶液I30kg/時中にMEHQ19kg/時を溶解させて抑制剤溶液IIを生成させる。
【0156】
洗浄塔中で分離した母液を先ず加熱可能な貯蔵タンク中に導き、そこからタンクに導く。このタンクから90℃に加熱して71759kg/時の量で配管13を介して凝縮塔28の15番目のデュアル−フロートレイ12(下から数えて)に戻す。この戻した母液の含量は下記である:
アクリル酸 94.4349質量%
酢酸 0.5504質量%
水 3.4362質量%
蟻酸 0.0172質量%
ホルムアルデヒド 0.0018質量%
アクロレイン 0.0109質量%
プロピオン酸 0.0756質量%
フルフラール 0.3580質量%
アリルアクリレート 0.0034質量%
アリルホルミエート 0.0003質量%
ベンズアルデヒド 0.0933質量%
無水マレイン酸 0.2986質量%
ジアクリル酸 0.6808質量%
フェノチアジン 0.0150質量%
MEHQ 0.0233質量%及び
酸素 0.0005質量%。
【0157】
付加的にデュアル−フロートレイ12に捕集トレイ14から取り出した粗アクリル酸15224kg/時を戻す(32)。
【0158】
第2捕集トレイ14の2.9m上に凝縮塔28中に既に記載したような21個のその他のデュアルフロートレイの第1トレイ(16)があり(穴直径はここでも一様に14mm、しかし穴数は一様に32020及び口径比は一様に17.4%)、これはここでもトレイ間隔380mmで均質に設置されている。Thormann−トレイ範囲からデュアルフロートレイ範囲への還流は、塔中に組み込まれた分配系を介して行う。代わりに、最下部のThormann−トレイの下で行われる凝縮塔からの還流液体の導出をポンプによって行い、凝縮塔への還流を最上部のデュアル−フロートレイの上に配置された2個(以上)の挿入管によって行ってもよい。
【0159】
最後のデュアル−フロートレイの800mm上で凝縮塔は円錐形に広がり始める。最後のデュアル−フロートレイの500mm上でこの拡大は塔内径6.50mで終わる。この高さ、即ち最後のデュアル−フロートレイ(17)の1.50mで、等間隔(トレイ間隔=500mm)の28個の慣用の単流Thormann−トレイの配置が始まる。Thormann−トレイは、駆動スロットルの配置を介してThormann−トレイのフード中に交差流方向で相互に連続する溝中で各々液体の相互に相対する流動方向を生じるような形に作られている。
【0160】
Thormann−トレイの口径比は14%である。蒸気上昇管面積対スリット排出面積の比は0.8である。蒸気上昇管穴及び溢流關の高さは40mmである。泡鐘の底間隙(スリット及びトレイの下部端部間の距離)は10mmである。スリット高さは15mmである。飛び出したスリットとフードの長手方向端の角度は30度である。フードの長手方向端の長さは最大800mmである。塔の丸い部分で、フード長さは塔の丸みに適合させるために200mmまで減少している。2個の交差流方向に一直腺に並んだフード間の距離は66mmである。排出シャフトの排出面積はトレイの横断面積に対して1.5%である。フードの二つの下の長手方向端の幅は64mmである。Thormann−トレイ20の高さで分離塔は再び円錐形に狭まり始める。最上部のThormann−トレイの700mm上でこの狭窄は終わり、塔内径は再び600mmに縮まる。
【0161】
最上段のThormann−トレイの1.70m上に第3捕集トレイ22がある(捕集トレイ、16個のほぼ均一に分配された蒸気上昇管を有する蒸気上昇管トレイ、蒸気上昇管高さ=1.50m)。捕集トレイ3上の液体容積は8m3である(質量密度=964.38kg/m3)。
【0162】
この第3捕集トレイから酸性水533617kg/時を温度68.6℃及び圧力1.24バールで配管23を介して取り出す。
【0163】
酸性水の含量は下記である:
アクリル酸 11.3387質量%
酢酸 4.1574質量%
水 81.6277質量%
蟻酸 0.5256質量%
ホルムアルデヒド 2.3082質量%
アクロレイン 0.0154質量%
プロピオン酸 0.0089質量%
フルフラール 0.0024質量%
アリルホルミエート 0.0135質量%
MEHQ 0.0001質量%及び
酸素 0.0021質量%。
【0164】
取り出した酸性水(68.6℃)29015kg/時を(21)抑制剤溶液II(31)と一緒に最上段のThormann−トレイ(20)に戻す。
【0165】
抑制剤溶液I812kg/時を(下から見て)19番目のThormann−トレイ(18)に戻す(温度25℃及び圧力3バールで配管19を介して)。
【0166】
取り出した酸性水7282kg/時を燃焼に供給する。
【0167】
取り出した酸性水298392kg/時を配管25を介して温度29℃で下記に記載するバルブトレイの第6番目(24)(下から見て)に戻す(3バール)。泡生成の場合には第3捕集トレイ上に消泡剤(例えばDekressa(R)SD23のようなアルコキシル化アルコール又はNalco(R)のような71−D−5脂肪酸、ポリグリコール、乳化剤及びパラフィン系鉱油混合物から成る混合物)の添加(例えば30ml/時の量で)を添加するのが有利であると実証された。
【0168】
取り出した酸性水198928kg/時を配管27を介して温度22.5℃(p=3バール)で下記に記載するバルブトレイの最上段(26)に戻す。
【0169】
第3捕集トレイ22の2300mm上には凝縮塔28中に均一配置で(トレイ間隔=500mm)複流バルブトレイが配置されている。溢流關の高さは35mmである。口径比は18%であり、2個の連続するバルブトレイの排出シャフト、downcomer下降管の排出面積の合計は塔断面積の10%である。弁として、Fa.Stahl、DE、ViernheimのVV12−Ventileを使用した。
【0170】
塔28の塔頂部の圧力は1.2バールである。塔塔頂部で温度33.5℃及び下記含量を有する廃ガス(33)164650kg/時が分離塔28のデミスターを介して出る:
アクリル酸 0.2288質量%
酢酸 0.0885質量%
水 2.6689質量%
蟻酸 0.0052質量%
アクロレイン 0.1724質量%
プロピオン酸 0.0002質量%
フルフラール 0.0003質量%
アリルホルミエート 0.0012質量%
CO2 2.1235質量%
CO 0.6939質量%
プロパン 0.6487質量%
プロピレン 0.3169質量%
O2 4.7392質量%及び
N2 88.3123質量%。
【0171】
間接的熱交換器中で廃ガスを温度38℃に加熱し、引き続きこの廃ガス91196kg/時を循環気体圧縮機(例えばラジアル圧縮機)を介して希釈気体として気相酸化及び分離に送り、廃ガス73455kg/時を燃焼に供給する。
【0172】
全部で分離室に下記アクリル酸含量を有する下記の個々の流を装入する:
アクリル酸含量11.8質量%を有するプロピレンの気相部分酸化の生成物気体混合物170008kg/時;
配管9を介して21883kg/時、アクリル酸含量8.7215質量%を有する;
配管32を介して15224kg/時、アクリル酸含量96.8011質量%を有する;
配管13を介して71759kg/時、アクリル酸含量94.4349質量%を有する;
配管30を介して455855kg/時、アクリル酸含量96.7887質量%を有する;
配管19を介して81.2kg/時、アクリル酸含量98.3360質量%を有する;
配管21を介して29015kg/時、アクリル酸含量11.3387質量%を有する;
及び配管31を介して49kg/時、アクリル酸含量60.2057質量%を有する。
【0173】
これによって分離室中に、アクリル酸含量が71.907質量%である合計(理論的に生成された)764605kg/時の物質流が導入される。従ってX=28.09質量%である。
【0174】
最高質量割合のアクリル酸を分離室から搬出する物質流は、アクリル酸96.8011質量%のアクリル酸含量を有する第2捕集トレイから取り出した粗アクリル酸である。従ってY=3.20質量%及びX:Y=8.78である。
【0175】
分離室で液相を充填された全容積は167.5m3である。この液相の温度は少なくとも部分的に120.2℃である(例えば直接循環熱交換器中)。
【0176】
下記第1表は容積成分iを表す(その際、“トレイi”は、物質交換トレイi上に存在する気相及び物質交換トレイiの下の容積中に存在する液相(下のトレイに存在する液相は除く)を含む容積成分iを表す)。物質交換トレイの番号は下から上に数えた分離塔中の番号である。
【0177】
更に、第1表は測定した温度Ti、測定した値msi及び測定した物質流m’iを含む。
【0178】
【表1】
【0179】
【表2】
【0180】
【表3】
【0181】
【表4】
【0182】
これによってtges=34.06時が得られる。
【0183】
このtgesで分離室中で分離した(メタ)アクリルモノマーを含有するアクリル酸89978kg/時の最高質量割合を有する物質流としてアクリル酸含量96.8011質量%を有する粗アクリル酸が分離される。
実施例(定常状態を記載)
実質的に全て比較例と同様に行うが、カン部室5の容積はカン部室中の液体滞留量が比較例より559974.2kg少ないように減らす(配管6、6’及び2並びにポンプ7、カン部室5及び直接循環蒸発器1から成る容積成分i中の液体滞留量は、従って比較例では79965.6kg及び実施例では19991.4kgである)。
【0184】
更に第1捕集トレイ10から取り出し、直接循環蒸発器1に供給される高沸点留分の量は、63009kg/時の代わりに74083kg/時である。
【0185】
この変更は、直接循環蒸発器中1でカン部液体の組成変更によってカン部室5で減少した沸騰温度を達成するために、必要である。
【0186】
下記第2表は実施例用の第1表と同じである。
【0187】
【表5】
【0188】
【表6】
【0189】
【表7】
【0190】
【表8】
【0191】
これによって8,79時間だけのtgesが生じる。
【0192】
同時にこのtgesで分離室中で分離した(メタ)アクリルモノマーを含有するアクリル酸90987kg/時の最高質量割合を有する物質流としてアクリル酸含量96.9333質量%を有する粗アクリル酸を分離する。
【0193】
分析から、この改良が特に、カン部室5中の液相が実施例では減少した滞留時間によって19.27質量%のポリアクリル酸(マイケル付加生成物)だけを含有することに起因することが示される。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】図1は、自然循環蒸発器を示す
【図2】図2は、強制循環蒸発器を示す
【図3】図3は、強制循環瞬間蒸発器を示す
【図4】図4は、直接循環瞬間蒸発器を示す
【図5】図5は、直接循環蒸発器を示す
【図6】図6は、本発明による有利な態様の一つを表す図を示す
【図7】図7は、本発明による有利な態様の一つを表す図を示す
【図8】図8は、本発明による有利な態様の一つを表す図を示す
【図9】図9は、本発明による有利な態様の一つを表す図を示す
【図10】図10は、本発明による有利な態様の一つを表す図を示す
【図11】図11は、示差圧力計を示す
【図12】図12は、本発明による熱分離装置を示す
【符号の説明】
【0195】
図1: 1 分離塔、 2 加熱蒸気、 3 加熱蒸気凝縮物、 4 カン部流出液、 5 液体水準、 6 蒸発器管、 7 中央降下管、 8 循環方向
図2: 1 分離塔、 2 循環ポンプ、 3 管形蒸発器、 4 加熱蒸気、 5 加熱蒸気凝縮物、 6 カン部生成物取り出し、 7 循環方向、 8 分離装置、 9 排出液、 10 供給流、 11 液体水準
図3: 1 分離塔、 2 循環ポンプ、 3 絞り装置、 4 管形蒸発器、 5 加熱蒸気、 6 加熱蒸気凝縮物、 7 カン部生成物取り出し、 8 循環方向、 9 分離装置、 10 排出流、 11 供給流、 12 液体水準
図4: 1 捕集トレイ、 2 生成物気体混合物、 3 カン部生成物取り出し、 4 ポンプ、 5 ポンプ、 6 直接循環蒸発器、 7 カン部液体水準、 8 分離塔、 9 カン部、 10 全混合物
図5: 2 生成物気体混合物、 3 カン部生成物取り出し、 6 直接循環蒸発器、 9 カン部、 10a 気相、 10b 液相、 11 液体水準
図8: 1 流入部、 2 排出部、 3 溢流關、 4 カラム壁、 5 物質交換トレイ、 6 液体水準
図9: 1 塔壁、 2 排出シャフト、 3 捕集トレイ、 4 搬送ポンプ、 5 流量計
図10: 1 レインシーブトレイ、 2 捕集トレイ、 3 搬送ポンプ、 4 流量計
図12: 1 直接循環蒸発器、 2、3、3’、4、6、6’8、9、13、15、19、21、23、25、27、30、31、32、33 配管、 5 カン部室、 7、29 ポンプ、 10、14、22 捕集トレイ、 11、12、16、17 デュアル−フロートレイ、 18、20 Thormann−トレイ、 24、26 バルブトレイ、 28 分離塔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物から、少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流を分離するにあたり、分離内部品を有するか又は有さない分離室少なくとも1個を有する少なくとも1個の熱分離装置の連続的定常操作を含み、該分離室中に少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを含有する物質流を導入し、かつ該分離室から少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを含有する物質流を導出するが、但し、
− 全部分離室中へ導入され、理論的に分離室中に導入された個々の物質流を添加することによって製造される物質流が、(メタ)アクリルモノマーとは異なる成分X質量%を含有し、
− (メタ)アクリルモノマーの最高質量割合で分離室から導出される物質流が(メタ)アクリルモノマーとは異なる成分Y質量%を含有し、
− 比X:Y≧5であり、
− 分離室が物質流供給部及び物質流搬出部を除いて固相により区切られており、少なくとも1個の循環熱交換器を有し、かつ
− 分離室中の液相で充填された全容積が≧1m3であり、その際液相の温度は少なくとも部分的に≧80℃である
熱分離法において、
− 分離室がn個の個々の容積成分に分けられる場合に、その際個々の容積成分中に存在する液相の最高及び最低温度が2℃より多くは相違せずかつ容積成分が分離室中で連結しており、全滞留時間tges
【数1】
が≦20時間であり、その際、
A=(Ti−To)/10℃、
To=100℃、
Ti=容積成分iの液相中に存在する最高及び最低温度の算術平均値(℃)、
msi=容積成分i中に含有される液相の容積中に含有される(メタ)アクリルモノマーの全量、
mi=容積成分iから導出される全液相流量、及び
【数2】
デッドスペース−容積成分としてその中に含有される液相質量mi及びmi/m’i≧100時間を有する容積成分iは、液相を有さない容積成分iと同様に全容積成分iに関する合計にはほとんど含まれず、かつデッドスペース−容積成分中に含有される液相の全量が分離室中に含有される全液相の5質量%より多くはないことを特徴とする方法。
【請求項2】
X:Y≧8であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分離室中で液相で充填された全容積が≧5m3であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
分離室中の液相の温度が少なくとも部分的に≧100℃であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーが、アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、イソ−ブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及びN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートの群から選択されたものであることをを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
tges≦15時間であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
tges≦10時間であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
分離室が物質交換トレイを有する分離塔を分離内部品として含むことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
循環熱交換器が循環蒸発器であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
循環熱交換器が直接循環蒸発器であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
熱分離法がプロペン及び/又はプロパンのアクリル酸への不均一系触媒による部分気相酸化反応であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
tgesが≦10時間であり、(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物がアクリル酸含量5〜15質量%を有するプロペン及び/又はプロパンのアクリル酸への不均一系触媒による部分気相酸化の生成物気体混合物であり、かつ(メタ)アクリルモノマーの最高質量割合で分離室から取り出される物質流がアクリル酸含量≧95質量%を有する粗アクリル酸であることを特徴とする請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
分離塔の物質交換トレイが、下から上に先ずデュアル−フロートレイ、次いで水力により密封された交差流トレイ及び最後にバブルトレイであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項1】
(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物から、少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを富化して含有する物質流を分離するにあたり、分離内部品を有するか又は有さない分離室少なくとも1個を有する少なくとも1個の熱分離装置の連続的定常操作を含み、該分離室中に少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを含有する物質流を導入し、かつ該分離室から少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを含有する物質流を導出するが、但し、
− 全部分離室中へ導入され、理論的に分離室中に導入された個々の物質流を添加することによって製造される物質流が、(メタ)アクリルモノマーとは異なる成分X質量%を含有し、
− (メタ)アクリルモノマーの最高質量割合で分離室から導出される物質流が(メタ)アクリルモノマーとは異なる成分Y質量%を含有し、
− 比X:Y≧5であり、
− 分離室が物質流供給部及び物質流搬出部を除いて固相により区切られており、少なくとも1個の循環熱交換器を有し、かつ
− 分離室中の液相で充填された全容積が≧1m3であり、その際液相の温度は少なくとも部分的に≧80℃である
熱分離法において、
− 分離室がn個の個々の容積成分に分けられる場合に、その際個々の容積成分中に存在する液相の最高及び最低温度が2℃より多くは相違せずかつ容積成分が分離室中で連結しており、全滞留時間tges
【数1】
が≦20時間であり、その際、
A=(Ti−To)/10℃、
To=100℃、
Ti=容積成分iの液相中に存在する最高及び最低温度の算術平均値(℃)、
msi=容積成分i中に含有される液相の容積中に含有される(メタ)アクリルモノマーの全量、
mi=容積成分iから導出される全液相流量、及び
【数2】
デッドスペース−容積成分としてその中に含有される液相質量mi及びmi/m’i≧100時間を有する容積成分iは、液相を有さない容積成分iと同様に全容積成分iに関する合計にはほとんど含まれず、かつデッドスペース−容積成分中に含有される液相の全量が分離室中に含有される全液相の5質量%より多くはないことを特徴とする方法。
【請求項2】
X:Y≧8であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分離室中で液相で充填された全容積が≧5m3であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
分離室中の液相の温度が少なくとも部分的に≧100℃であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーが、アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、イソ−ブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及びN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートの群から選択されたものであることをを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
tges≦15時間であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
tges≦10時間であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
分離室が物質交換トレイを有する分離塔を分離内部品として含むことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
循環熱交換器が循環蒸発器であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
循環熱交換器が直接循環蒸発器であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
熱分離法がプロペン及び/又はプロパンのアクリル酸への不均一系触媒による部分気相酸化反応であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
tgesが≦10時間であり、(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物がアクリル酸含量5〜15質量%を有するプロペン及び/又はプロパンのアクリル酸への不均一系触媒による部分気相酸化の生成物気体混合物であり、かつ(メタ)アクリルモノマーの最高質量割合で分離室から取り出される物質流がアクリル酸含量≧95質量%を有する粗アクリル酸であることを特徴とする請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
分離塔の物質交換トレイが、下から上に先ずデュアル−フロートレイ、次いで水力により密封された交差流トレイ及び最後にバブルトレイであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−504565(P2009−504565A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519840(P2006−519840)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007583
【国際公開番号】WO2005/007610
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007583
【国際公開番号】WO2005/007610
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]