説明

尿中のバクテリアの同定を行うためのシステム

尿サンプル中の微生物、例えばバクテリア、の同定及び定量化を行うためのシステムであって、(1)遠心分離管と、1mLの容量を有するピペットチップと、0.5mLの容量を有する第2のピペットチップと、光学カップ又はキュベットと、を含む4つの使い捨てコンポーネントを保持するための複数の使い捨てカートリッジと、(2)前記使い捨てカートリッジを受け入れて前記処理済み対象尿サンプルの前記光学カップへの移送を含む前記尿サンプルの処理を行うサンプル処理装置と、(3)前記使い捨てカートリッジを受け入れ、前記尿サンプル中の微生物のタイプと量とを分析するように構成された光学分析装置と、を有する。前記光学カップ又はキュベットを含む複数のコンポーネントを有する前記使い捨てカートリッジは、サンプル処理装置において使用され、処理済み尿サンプルを含有する光学カップ又はキュベットは、光学分析装置において、処理済み尿サンプル中に存在する微生物のタイプの同定と定量のために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、ここにそれら全体を参考文献として合体させる、全て2007年10月10日出願の、米国仮特許出願第60/978,810号、第60/978,820号、第60/978,856号及び第60/978,862号の優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、尿サンプル中の微生物、例えばバクテリア、の同定及び定量を行うためのシステムに関する。詳しくは、本発明は、尿サンプル中のバクテリアを同定するためのシステムであって、(1)遠心分離管と、互いに異なる容量を有する2つのピペットチップと、光学カップ又はキュベットと、を含む使い捨てコンポーネントを保持するための使い捨てカートリッジ又はホルダと、(2)前記尿サンプルを処理又は調製するためのサンプル処理装置と、(3)処理済み尿サンプルを分析する光学分析装置と、を有するシステムに関する。4つのコンポーネントを有する前記使い捨てカートリッジは、サンプル処理装置に使用され、特に、前記光学カップ又はキュベットが、前記光学分析装置に使用される。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
一般に、尿サンプル中の微生物、例えばバクテリア、を同定する現在の慣行は、微生物学研究所において微生物を同定するという、複雑で時間がかかり、かつ高コストのプロセスを伴うものである。この現在の慣行では、サンプルが研究所に受け入れられる。次に、これらの標本(被検査試料)は、仕分けされ、ラベリングされて、その後、滅菌ループを用いて血液寒天培地に植菌される。次に、これらの標本は、専用のインキュベータに24時間入れられる。1日後、研究所の技術者によって、標本の陽性培養と陰性培養とについてのスクリーニングが行われる。一般に、大半の培養物は陰性であり、それらは手作業によって報告される。陽性の培養物は単離されて生化学的流体中に懸濁される。これは、懸濁、希釈、ボルテックス、及び濁度測定を伴うものであるが、それらによって生化学的廃棄物が生じる。次に、前記培養物は、種同定と、標本を複数の試薬に晒す抗生物質感受性テストにかけられる。更にその6〜24時間の培養期間後、その知見が研究者の技術者によって解釈されて報告される。この全プロセスは、通常、標本結果を得るのに11の工程と50時間かかり、そのプロセスには多大な労働力を要する。
【0004】
その内容をここに参考文献として合体させる共有の米国特許公報US2007/0037135A1は、液体中に懸濁された生物学サンプルを同定し定量化するためのシステムを開示している。この公報の段落0038には、サンプルキュベットが使用される、と記載されている。これらのキュベットは、周知技術であると言われており、通常、その形状は正方形又は直方形であり(サンプルを収納するためのウェル領域を有する)、ガラスやポリマー材などの透明な材料から形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許公報US2007/0037135A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、上述した研究所における種同定の処理のために、より効率的で時間がかからず、必要な作業負荷の少ない処理を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明のシステムは、標本結果を得るためのこの現在のシステムを合理化するものである。当該システムは、環境に優しく、迅速な診断を可能にするものであり、その結果には一貫性があり、何ら試薬を必要とせず、しかも多重機能診断が提供される。尿サンプルは、4つの使い捨てコンポーネント、すなわち、遠心分離管、互いに容量の異なる2つのピペットチップ、及び光学キュベット、を保持する使い捨てカートリッジに入れられる。これらのカートリッジにはバーコードが付され、患者のIDと関連付けられている。これらのカートリッジはマガジンに挿入され、その後、このマガジンが、標本を処理するサンプル処理装置に挿入される。調製された標本は、光学キュベットに移され、その後、前記マガジンは標本を分析する光学分析装置に挿入される。前記光学分析装置は、分析を行って、バクテリアの最終処理を可能にする完全な結果を提供する。このシステムは熟練したオペレータを必要とせず、迅速に結果を提供する。このシステムは、効率を向上させ、作業負荷を改善し、時間と費用を節約し、しかも操作が容易である。サンプルの調製を、標本分析と並行して行うことができ、1〜50の標本を同時に分析することができる。
【0008】
前記システムは、遠心分離管と、1mLの容量を有する第1ピペットチップと、光学尿サンプルキュベットと、0.5mLの容量を有する第2のピペットチップと、を含む複数の使い捨てコンポーネントを保持するための複数の使い捨てカートリッジと、前記複数の使い捨てカートリッジを受け入れて各使い捨てカートリッジの尿サンプルを処理して調製すると共に、前記尿サンプルを前記使い捨てカートリッジのそれぞれの各光学キュベットに移すように構成されたサンプル処理装置と、前記処理済み尿サンプルを含む光学キュベットと共に前記使い捨てカートリッジを受け入れ、分析を行って標本結果を提供する光学分析装置と、を有する。尿標本をサンプル処理装置で処理し、それらを光学分析装置で分析する全処理は、1つの標本に対して約20分間かかり、50の標本に対して最大でも2時間である。
【0009】
前記使い捨てカートリッジと使い捨てコンポーネントとによって、尿サンプルの調製又は処理に必要なコンポーネントが一箇所、すなわち、1つのカートリッジ内に簡便に配設されていることから、効率が向上し、作業負荷が改善され、時間と費用とが節約される。更に、尿サンプルの処理及び分析に必要な作業負荷とコンポーネントの取り扱いの手作業が減る。更に、カートリッジとそのコンポーネントとが使い捨てである点での便利さもある。すなわち、次の尿標本同定処理のためにこれらの品々を殺菌する必要がなく、作業エリア又は周囲環境、若しくはその両方、の汚染は最小化される。
【0010】
本発明のサンプル処理装置は尿サンプルを分析のために処理する現在の慣行を合理化する。本発明のサンプル処理装置は、自動化されており、完全にコンパクトで、自己完結型で、何ら試薬を必要としない。尿サンプルは、取り外し可能なカートリッジ内に設けられた遠心分離管に注入される。標本にはバーコードが付され、同様にバーコードが付されたカートリッジと関連付けられる。カートリッジはマガジン内に取り付けられ、次に、このマガジンがサンプル処理装置に挿入されて、この処理装置が標本を分析のために調製する。前記サンプル処理装置は、高度に熟練したオペレータを必要とせず、サンプル又は標本を迅速に処理する。前記サンプル処理装置は、効率を向上させ、作業負荷を改善し、時間と費用とを節約し、操作するのが容易である。複数のサンプルの処理を、1つの標本に対して約20分間で行うことができ、約50の標本に対して最大でも1時間である。
【0011】
前記光学分析装置は、光学システムと、熱制御装置と、ドローア(引き出し)と、を有する。ドローアは、分析される尿サンプルを含む光学カップ又はキュベットを備える複数の使い捨てカートリッジを収納するマガジンを受け入れ、支持し、回転させる回転テーブルを備える。前記光学分析装置は、前記尿サンプルを管理(inventorying)するためのバーコードリーダと、各光学カップ又はキュベットが適正量の処理済み尿サンプルを収容していることを確認するためのレベルセンサと、を更に備えている。前記ドローアがマガジンと共に光学分析装置に挿入されると、マガジンを支持している回転テーブルのための駆動機構がマガジンを回転させてこれをバーコードリーダに対して位置合わせし、次に、マガジンを回転させてこれを光学システムに対して位置合わせする。前記光学システムは、励起モジュールユニットと、光収集ユニットと、分光計と、を備えている。各カップ又はキュベットの温度は、蛍光信号を増大させつつ同時に尿サンプル中のバクテリアの代謝を抑制する温度にまで低下される。熱制御装置は、尿サンプル又はキュベットを備える前記使い捨てカートリッジを含むマガジンの下方の回転テーブル上に置かれた大きな熱物体(large thermal mass)を冷却する。赤外線温度センサが、各尿サンプルの温度を検出し、モニタリングする。
【0012】
尿サンプル中の微生物のタイプを同定すると共に、それを定量する関連の方法は、尿サンプルを入手する工程と、この尿サンプルを10ミクロンのフィルタを通過させる工程と、フィルタリング済の尿の2mLのサンプルを得て、それを遠心分離管に投入する工程と、前記2mLのサンプルを約12,000×gの力で遠心分離し、前記遠心分離管中の前記流体の約95%の上清液をデカンテーションし、前記デカンテーションされた溶液を生理食塩水で置換し、そしてこれらの工程を約5回繰り返すことにより、前記尿サンプル中のバクテリアを保持する、尿中の溶解物質の1,000,000:1希釈物を入手する工程と、最終溶液を光学カップ又はキュベットに移す工程と、前記光学カップ又はキュベットを、少なくとも5つの異なる波長で前記尿サンプルを励起し、蛍光発光を集光して検出し、そして蛍光発光を分光計への案内することを含む光学装置を用いた光学分析にかける工程と、を有する。
【0013】
本発明のこれら及びその他の課題及び利点は、図面を参照して以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】複数の使い捨てカートリッジを備えるマガジンの上方斜視図である。
【図1B】図1Aに図示のマガジンに使用されている使い捨てカートリッジの上方斜視図である。
【図2】図1の使い捨てカートリッジのコンポーネントを示す前方断面図である。
【図3A】本発明のシステムのサンプル処理装置の複数のコンポーネントを示すサンプル処理装置の斜視図である。
【図3B】本発明のシステムのサンプル処理装置の複数のコンポーネントを示す別の斜視図である。
【図4A】本発明のシステムの光学分析装置の複数のコンポーネントを示す光学分析装置の斜視図である。
【図4B】本発明のシステムの光学系の複数のコンポーネントを示す光学システムの斜視図である。
【図4C】本発明のシステムの光学分析装置の複数のコンポーネントを示す光学分析装置の別の斜視図である。
【図5】分光計のスリットの入口に設けることができる鏡凹面「ホーン(horn)」を図示する略図である。
【図6】本発明のシステムの遠心装置の複数のコンポーネントを示す遠心装置の斜視図である。
【図7】本発明のシステムのサンプル処理装置の複数のコンポーネントを示すサンプル処理装置の別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しながら本発明について説明する。これら図面において類似の参照番号は類似の部材に対応する。
【0016】
図1〜図4を参照すると、尿サンプル中のバクテリアの同定を行うためのシステムは、使い捨てカートリッジ12(図1及び図2)と、サンプル処理装置14(図3A、図3B、図6及び図7)と、光学分析装置16(図4A、図4B及び図4C)と、を有する。図1及び図2に図示されているように、カートリッジ12は、4つの使い捨てコンポーネントを備え、これらは、遠心分離管18と、1mLの容量を有する第1ピペットチップ20と、光学カップ又はキュベット22と、0.5mLの容量を有する第2ピペットチップ24と、である。なお、ここに記載の本発明のシステムは、いかなる流体中のバクテリアの同定にも適したものであって、尿中に含まれるバクテリアサンプルに限定されるものではない。
【0017】
遠心分離管18は、テーパード端部18aを備える長手本体18bを有する容器である。一般に、この遠心分離管18は、最初に尿サンプルを収納し、第1ピペットチップ20は尿溶解構成物を希釈するために用いることができ、第2ピペットチップ24は、希釈された尿サンプルを光学分析のために光学カップ又はキュベット22に移すために用いることができる。使い捨てカートリッジ12とその使い捨てコンポーネント18,20,22及び24は、成型が容易で安価に製造可能なプラスチック材から形成することができる。
【0018】
更に続けて図2を参照すると、使い捨てコンポーネント18,20,22及び24は、それぞれ、使い捨てカートリッジ12の別々の箇所30,32,34及び36に収納される。図示されているように、第1ピペットチップ20を受け入れこれを持ち運ぶコンパートメント32の底部は閉塞されており、これにより、第1ピペットチップ20から滴下物があった場合でも、その滴下物によって使い捨てカートリッジ12の下の表面が汚染されることはない。各コンポーネント18,20,22及び24は、使い捨てカートリッジ12の上面50によって支持される各コンポーネント18,20,22及び24にそれぞれ取り付けられるリップ40,42,46及び48を介して、それぞれの箇所30,32,34及び36内に懸架されている。
【0019】
図2及び図4Aを参照すると、図4Aの光学分析装置16には光学カップ又はキュベット22を使用することができる。好ましくは、尿サンプルは生理食塩水を用いて調製される。その理由は、生理食塩水は、尿分析処理において光学装置を使用する場合に特に重要となる、バクテリアの完全性(integrity)を維持しながらバックグランド蛍光を最小化するという利点が得られるからである。光学カップ又はキュベット22は、光学分析を補助するための反射コーティングを有する。この光学カップ又はキュベット22は、ABSプラスチック材、ガラス、例えばアルミニウムの金属材、から形成することができ、その後、反射材によってコーティングされ又は反射材の膜が形成される。或いは、それに代えて、光カップ又はキュベット22の製造において、反射材の膜をプラスチック、ガラス、又は金属材に組み込むことも可能である。図2に最もよく図示されているように、光学カップ又はキュベット22は、光学分析を補助するためのテーパード端部22aを備えている。光学分析装置16のUV光源(図4A、図4B及び図4C)が、光学カップ又はキュベット22中の尿サンプルの光学分析のために、光学カップ又はキュベット22の中央から下へ向けられることが見込まれている。
【0020】
その1つずつが4つの使い捨てコンポーネント18,20,22及び24を含む複数の使い捨てカートリッジ12は、次に、図1に示すようにマガジン26に挿入され、その後、図3に示すサンプル処理装置14に装填される。マガジン26は、そのうちのいくつかに番号が付されている複数の使い捨てカートリッジ12を収納し、各カートリッジ12は、患者の標本と対とされ、図1に示される固有のバーコード28を有する。或いはこれに代えて、マガジン26を、その後、尿サンプルの光学分析用の装置に挿入することも可能である。好ましくは、そのサンプル処理装置内で処理済み尿サンプルを得るのに使用されるものと同じマガジン26が、処理済尿サンプルの光学分析用の装置に使用される。
【0021】
図3A及び図3Bのサンプル処理装置14は、遠心装置30と、各使い捨てカートリッジ12の遠心分離管18(図1)をピックアップし、この遠心分離管18を遠心装置30に挿入する回転把持機構32と、第1ピペットチップ20を介して尿サンプル中の溶解物を希釈し、この希釈されたサンプルを、第2ピペットチップ24を介して光学カップ又はキュベット22(図2)に移すために使用される2つの可動流体移送アーム34,34aと、希釈目的で水をサンプルへ供給するためのシリンジポンプディスペンサ流体システム36と、を備えている。サンプル処理装置14はドローア38を更に備え、このドローア38は、サンプル処理装置14に挿入された時にマガジン26を受け入れ、支持し、回転させる回転テーブル40を有する。ドローア38は、マガジン26を回転させるマガジン駆動機構(図示せず)を内蔵している。
【0022】
一般に、遠心分離管18は、ユーザによってこの遠心分離管に投入される約2mLのろ過済みの尿サンプルを収納する。次に、このサンプルを遠心分離し、その後、1.0mL容量の第1ピペットチップ20を使用して2つのデカンテーションサイクルでその上清をデカンテーションし、更にその後、遠心分離管18を生理食塩水又は水で再び満たすことによって、生理食塩水又は水で十分に希釈することができる。その後、0.5mL容量の第2ピペットチップ24を使用して、遠心分離管18から約500μLの流体を取り出し、この500μLの流体を、指定された患者の各光学カップ又はキュベット22に分注することができる。次に、この第2ピペットチップ22を第1ピペットチップ20に挿入し、これら両ピペットチップ20, 24を適切に廃棄することができる。なお、希釈及び取り出しのために、2つのピペットチップの代わりに、1つのピペットチップを使用することも可能である。このプロセスは手作業で行っても良いし、自動で行っても良い。
【0023】
マガジン26の装填と取り出しは、複数の使い捨てカートリッジ12が回転可能テーブル40上に載置されたままで行われる(図1及び図2)。手動ドローアはマガジン駆動機構(図示せず)を内蔵している。マガジン26がサンプル処理装置14に挿入されると、回転テーブル40の駆動機構(図示せず)がマガジン26を回転させ、バーコードリーダ(図4A中の部材58)がサンプルの一覧(目録)を作成し、レベルセンサ(図示せず)が、サンプルが適正量注入されたことを確認し、そして第2のセンサ(図示せず)が全ての必要な使い捨てコンポーネント18,20,22及び24(図2)が各使い捨てカートリッジ12内に収納されていることを確認する。
【0024】
次に、遠心分離管18(図2)の遠心装置30(図3A及び3B)への移送について説明する。遠心装置30の遠心蓋30aは、回転把持機構ユニット32が遠心装置30にアクセスしこれを装填することを可能にするように適合されている。回転テーブル40の駆動機構は、各使い捨てカートリッジ12の遠心分離管18を回転可能ユニット32に対する位置にアラインメント(位置合わせ)するように構成されている。回転把持機構32の把持部材32aは、マガジン26から遠心装置30へ移送される遠心分離管18を選択する。遠心ロータ (図示せず)は、遠心装置30の空の遠心ホルダを装填位置にアラインメントするように構成されている。「Theta Z gripper」と称される把持部材32は、回転すると共に遠心分離管18をピックアップし、これを遠心装置30の空の遠心ホルダへセットするために上下動するラジアル部材である。全ての遠心分離管18が遠心装置30に装填されると、遠心装置30の蓋は閉じられる。
【0025】
遠心装置30(図6)は、自動運転されて遠心分離管18を約12,000×gの力で約2分間回転させる。遠心装置30は、その回転時に、各遠心分離管18を約90度回転させるように構成された管ホルダを備えている。遠心装置30は、遠心分離後に正しい管がマガジンのカートリッジに戻されるように正確な位置決めと位置追跡が可能である。この動作によって、遠心分離管18の底部に、尿サンプル中に存在するバクテリアが固体形成される。
【0026】
2つの使い捨てカートリッジ12の2つのサンプルから、一度に上清を取り除くための2つの流体移送アーム34,34a(図3A及び図3B)が設けられている。これら2つの流体移送アーム34,34a(図3A及び図3B)が1mL容量の第1ピペットチップ20を得た後、流体移送アーム34,34aのそれぞれは遠心分離管18まで2回連続で移動して、そのそれぞれの回において、遠心分離管18から流体を取り出し、この流体をサンプル処理装置14の廃棄ポート(図示せず)に分注する。この工程は、第1ピペットチップ20を、サンプリング中の使い捨てカートリッジにおける当該第1ピペットチップ20の位置に戻す前であって、回転されてサンプル処理装置14のサンプリング位置にアラインメントされる使い捨てカートリッジ12中の次のサンプルについての操作を続ける前に行われる。
【0027】
希釈のためにサンプルに水又は生理食塩水を供給するためのシリンジポンプディスペンサ流体システム36が、図7に図示されている。上記段落に記載したように、遠心分離管18からデカンテーションされた廃棄流体は、システム36を介してクリーンな処理流体と置き換えられる。2つのシリンジポンプによって、このクリーンな処理流体が、前の工程においてそこから廃棄流体が除去された遠心分離管18へと分注される。最終再充填工程では、遠心分離管18中のバクテリアレベルを必要な濃度にするために少量のクリーンな流体が使用される。
【0028】
遠心分離管18中のサンプルがクリーンな流体によって十分希釈された後、2つの流体移送アーム34,34a(図3A及び図3B)のうちの1つによって遠心分離管18中のこの処理済みサンプルを、その各使い捨てカートリッジ12の光学カップ又はキュベット22へ移す。2つの流体移送アーム34,34aのうちの1つは、これまでまだこの処理に使用されていなかった0.5mL容量の第2ピペットチップ24を把持する。この小容量の第2ピペットチップ24は、遠心分離管18から約500μLを引き出し、この流体を指定された患者の各光学カップ又はキュベット22へ分注するために使用される。その後、この小容量の第2ピペットチップ24は、両ピペットチップ20,24の廃棄処分のため、流体移送アーム34又は34aによって大容量の第1ピペットチップ20に挿入される。
【0029】
上述した測量/デカンテーション、測量/再充填、測量/流体移送プロセスは、好ましくは、遠心分離管18中に、尿サンプル中のバクテリアを保持する、溶解物の約1,000,000:1の希釈物を得るためのものである。これは、下記の手順によって達成可能である。(1)当業者に知られている手段によって、尿サンプルを12,000×gの力で遠心分離する、(2)第1ピペットチップ20を用いて流体の約95%をデカンテーションする、(3)工程(2)でデカンテーションされた溶液を生理食塩水で置換する、そして(4)第1ピペットチップ20を用いて、工程(1)、工程(2)及び工程(3)を少なくとも5回繰り返す。その後、遠心分離管18中の最終処理済み尿サンプルを、第2ピペット22を用いて光学カップ又はキュベット22へ移すことができる。
【0030】
その後、光学カップ又はキュベット22中の最終処理尿サンプルは、光学カップ又はキュベット22中の尿サンプル中の微生物の同定又は定量、若しくはその両方、を行うための光学分析に使用することができる。この情報は、前述した米国特許公No.2007/0037135A1に開示されているシステムを使用して得ることができる。
【0031】
1つの遠心分離管18について上述したそれぞれの工程が、サンプル処理装置14内において、マガジン26中のそれぞれの使い捨てカートリッジ12について行われる。なお、各使い捨てカートリッジ12の廃棄流体は、サンプル処理装置14中の容器(図示せず)へと廃棄されるか、又は、ドレンに直接流される。次のバッチの尿サンプルを処理するためのサンプル処理装置14の次の操作の準備中にマガジン26が取り外される時、廃棄される使い捨て部材、すなわち、使い捨てカートリッジ12及び使い捨てコンポーネント18,20,22及び24は、マガジン26上に留まる。
【0032】
図4A、図4B及び図4Cの光学分析装置16による分析のための尿サンプルの調製には、以下の工程が含まれる。一般に、尿のサンプルは試験管中で得られる。このサンプルを、10ミクロン(μm)のフィルタに通過させ、このフィルタから2mLのサンプルを得てこれを遠心分離管18に投入する。この2mLのサンプルを約12,000×gの力で遠心分離し、その流体の95%をデカンテーションすることによって、所望の希釈サンプル、すなわち、尿サンプル中のバクテリアを保持した、溶解物の1,000,000:1希釈物を得る。この後者の工程を5回繰り返す。このとき、そのそれぞれの回において、デカンテーションされた溶液を生理食塩水で置換する。この処理のため、バクテリアの完全性を維持させながら、処理された尿サンプルが光学分析装置16に挿入された時に作用するバックグラウンド蛍光を最小化させるように、生理食塩水が選択される。
【0033】
次に、図4A、図4B及び図4Cの光学分析装置16について説明する。図4Aを参照すると、光学分析装置16は、光学システム44(これは図4B及び図4Cにより詳細に図示されている)と、熱制御ユニット(図示せず)と、光学カップ又はキュベット22に分析対象の処理済み尿が含まれている使い捨てカートリッジ12を収納する複数のホルダ56を有するマガジン54を受け取り、支持し、回転させる回転テーブル52を備えたドローア50と、バーコードリーダ58(図4A)と、を備えている。
【0034】
光学分析のための処理済み尿サンプルを含む光学カップ又はキュベット22を有するカートリッジ12は、マガジン54のホルダ56に挿入されることが理解される。図4Aは、回転テーブル52上に搭載されたマガジン54が光学分析装置16に装填されている状態を図示している。マガジン54の装填及び取り外しのため、ドローア50を手動で引き出す。ドローア50は、熱制御ユニット(図示せず)と、駆動機構(図示せず)と、を備えている。マガジン54とドローア50とのアラインメント構成によって、作業者は、マガジン54が回転テーブル52上に装填される時に、このマガジン54を駆動機構と熱制御ユニットとに正しく向けることができる。ドローア50とマガジン54とが手動で光学分析装置16に挿入されると、駆動機構がマガジン54を回転させ、この時、バーコードリーダステーション58 (図4A)が、サンプルの一覧を作成する。レベルセンサ(図示せず)は、各カップ又はキュベット22が適正量のサンプルを含んでいることを確認する。光学カップ又はキュベット22内の全てのサンプルが分析済みであることをユーザインターフェースが示すと、作業者は光学分析装置16にアクセスすることができるが、光学分析装置16のコンポーネントのいずれがまだ移動中である場合、又は、光学システム44のUV光源がONである場合は、ドローア50の開放は禁止される。
【0035】
図4Aは、光学分析装置16内に位置した状態で回転テーブル52上にあるマガジン54を図示している。光学分析装置16は、更に、ドローア50を光学システム44に対して確実に位置決めする機械式ロックシステム(図示せず)を備えている。駆動機構は、マガジン54を自動的に回転させて、各カートリッジ12をバーコードリーダステーション58内で、かつ、光学システム44との正確なアラインメント状態に位置決めするように構成されている。光学分析のために各光学カップ又はキュベット22を光学システム44に対して適切な位置に固定するため、第2の機械式ロックシステム(図示せず)が用いられる。
【0036】
図4Aは、光学カップ又はキュベット22のための熱制御ユニットを図示している。好ましくは、各光学カップ又はキュベット22の温度は、蛍光信号を増大させつつ、バクテリアの代謝を抑制する温度にまで低下される。熱電クーラ(TEC)である熱制御ユニット46は、マガジン54の下方の回転テーブル52上の大きな熱物体60を冷却する。この熱物体60(図4A)は、光学カップ又はキュベット22と直接接触しており、赤外線温度センサ(図示せず)が、そのサンプルを回転して光学システム44内に位置決めする前に、各サンプルの温度を検出し、モニタリングする。
【0037】
次に、光学分析装置16の光学システム44について説明する。この光学システムは、図4Bにより詳細に図示されている。当該光学システム44は、3つの分離されたユニット、すなわち、励起ユニット44(a)と光収集ユニット44(b)と分光計とを備えている。励起光は、好ましくはLED(発光ダイオード)として構成される紫外線(UV)光源から提供される。励起ユニット44(a)に設けられた一連の5つのLEDモジュールによって、各サンプルカップ又はキュベット22に対して5つの異なる波長で励起信号が提供され、これらは同じ順序で各サンプルカップ又はキュベット22に適用される。励起時間は、各波長につき約14秒間である。励起発光は、レンズとフィルタ44(d)とを介して、図2に図示されているように、キュベット22中のサンプルの上面に向けられる。各励起波長の形状を狭め、又は制御するために、ナローバンドフィルタが用いられる。これらのフィルタは、励起波長Eを下向きにサンプルカップ又はキュベット22に向け、蛍光発光は、カセットの同じ位置から光収集ユニットに向けて上向きに反射される。蛍光発光は、フィルタ配列によって分割され、方向付けされ得る。図4Cは、光学システム44における配置を図示している。前述したように、機械式ロックシステムによって、サンプルを収容した光学カップ又はキュベット22が正しくアラインメントされるように駆動機構が位置決めされる。この正確なアラインメントによって、蛍光発光を光学システム44に向けて反射させて、蛍光の測定を可能にすることができる。測定のために分光計内に蛍光発光を集め、案内するために光学素子(図示せず)が利用される。
【0038】
更に、光収集ユニットは、分光計に光学カップ又はキュベット22内のサンプルの蛍光発光を集め、案内するための光学素子を備えている。
【0039】
光学システム44は、CCD(電荷結合素子)光子検出器を備えるチェルニターナー型(Czerny-Turner)分光計を含むことができ、これによって、蛍光光子は、CCD素子に接触する前に複数の鏡面によって反射される。発光蛍光は、所定時間積分することによってCCD素子上でモニタリングされる。また、光子利用効率を改善するために、チェルニターナー型分光計を、入射スリットとCCD素子との近傍に設けられる追加の筒状レンズによって改造することも考えられる。更に、図5に概略図示するように、追加の光子をスリットSを通して案内するべく、分光計SMのスリットSの入口に鏡面凸部「ホーン(角状部、horn)」Hを設けることができる。
【0040】
図4Aを参照すると、光学システム44内に混入する光を最小化するために、光学システム44は、光漏れ防止エンクロージャ又はハウジング64を備え、CCD素子のカメラは、カメラチップから光学システム44のエンクロージャ又はハウジング64へ熱を伝達するための熱電クーラ(TEC)(図示せず)を備える。
【0041】
サンプル処理装置14及び光学分析装置16の両方は、これらサンプル処理装置14及び光学分析装置16から出入りする空気を、フィルタを介して換気する目的のため、HEPA空気フィルタリングシステムを備える。サンプル処理装置14と光学分析装置16とは、更に、作動中に僅かな正圧を有する。但し、この圧力は、ユーザがドアを開放することが可能となる時には、大気圧にまで低下する。サンプル処理装置14と光学分析装置16との両方に対する電力は、別体のラックに取り付けられた電源モジュールから供給される。
【0042】
更に、発光蛍光を励起蛍光の強度と相関させるために、LEDの強度をモニタリングすることも考えられる。具体的には、光学分析装置16によって得られた情報を利用して、以下により詳細に説明するように、米国公報No.2007/0037135A1の図5〜図9に類似のグラフを作り出すことができる。これらのグラフは、サンプルカップ又はキュベット22中のバクテリアの濃度、蛍光強度、発光波長、及び励起波長、をそれぞれ表している。
【0043】
上述したように、光学分析装置16は、その後に尿サンプル中のバクテリアのタイプを同定するために利用される結果を提供する。これは、光学分析装置16をコンピュータモジュール(図示せず)に接続し、このコンピュータモジュールに、蛍光発光等の得られた情報を入力することによって達成することができる。コンピュータモジュールは、上記米国特許公報No.US2007/0037135A1に記載されているものと類似の方法で、尿サンプルの同定と定量とを行うために、尿サンプルの蛍光の励起−発光マトリクスに基づいて多変数解析を行うことができる。ここで、前記システムは、励起光源を含む蛍光励起モジュールと、励起光源を受けるようにサンプルを位置決めするためのサンプルインターフェースモジュールと、蛍光発光モジュールと、検出装置と、を有する。上述のコンピュータモジュールは、蛍光モジュールに接続される。多変数解析は、尿サンプルの同定と定量化とのための拡張部分最小二乗分析(extended partial least squared analysis)を含むものとすることができる。
【0044】
更に、異なる複数のLEDパッケージ出力をミックスして均一なUV光源とするために“homogenitor tube(均一管)”を使用することも可能である。本発明に使用される典型的な“homogenitor tube”は、当業者に知られているものと類似のものである。
【0045】
以上、好適実施例を参照して、本発明について説明した。上述した詳細説明を読むことによって、当業者は自明な改造及び改変に想到するであろう。本発明は、そのような改造及び改変の全てを含むものとして解釈されることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプル中の微生物の同定及び定量に使用される使い捨て用カートリッジであって、
カセット本体と、
未処理流体サンプルのための管と、
前記カセット本体によって受けられる、遠心分離管を含む複数の使い捨てコンポーネントと、
取り外し可能なピペットチップと、
光学分析における使用のために、処理済み流体サンプルを収容する光学カップ又はキュベットと、を備え、
前記光学カップ又はキュベットが、前記処理済み流体サンプルの前記光学分析のために光源が入るテーパード端部と、前記光学分析を増強させるための反射面と、を備えるカートリッジ。
【請求項2】
第2ピペットチップを更に有する請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記ピペットチップは、1.0mLの容量を有する請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記第2ピペットチップは、0.5mLの容量を有する請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記流体サンプルは尿である請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記ピペットチップは、前記使い捨てカートリッジ内に固定されている請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記光源は紫外(UV)光線である請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記カセット本体にはバーコードが付されている請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項9】
処理済み流体サンプルを保持し、光学分析のために使用される光学カップ又はキュベットであって、
前記流体サンプルの前記光学分析のために光源が入るテーパード端部と、前記光学分析を増強させるための反射面と、を有する容器を備える光学カップ又はキュベット。
【請求項10】
前記流体サンプルは尿である請求項9に記載の光学カップ又はキュベット。
【請求項11】
前記光源は紫外(UV)光線である請求項9に記載の光学カップ又はキュベット。
【請求項12】
前記容器は、プラスチック、ガラス、及びアルミニウムから成るグループから選択される材料で形成され、前記反射面は、材料コーティング及び材料層から成るグループから選択される請求項9に記載の光学カップ又はキュベット。
【請求項13】
前記反射面は、前記容器の内側反射面である請求項9に記載の光学カップ又はキュベット。
【請求項14】
前記容器が、使い捨て材料から形成されている請求項9に記載の光学カップ又はキュベット。
【請求項15】
尿サンプル中の微生物の同定及び定量に使用される流体サンプルを調製するためのサンプル処理装置であって、
回転テーブルと、
複数のカートリッジを保持するように構成された前記回転テーブルによって支持されると共に、遠心分離管と光学カップ又はキュベットとを含む複数の使い捨てコンポーネントを保持するための複数のカートリッジを収容するマガジンと、
を備えるサンプル処理装置。
【請求項16】
第2ピペットチップを更に有する請求項15に記載のサンプル処理装置。
【請求項17】
前記ピペットチップは、1.0mLの容量を有する請求項15に記載のサンプル処理装置。
【請求項18】
前記第2ピペットチップは、0.5mLの容量を有する請求項16に記載のサンプル処理装置。
【請求項19】
前記流体サンプルは尿である請求項15に記載のサンプル処理装置。
【請求項20】
内部で前記尿サンプルを遠心分離するべく、前記複数のカートリッジの前記遠心分離管を受ける遠心装置を更に備える請求項15に記載のサンプル処理装置。
【請求項21】
各遠心分離管を、前記マガジンから前記遠心装置へ移送し、前記遠心装置から前記マガジンへと移送する回転把持機構を更に備える請求項15に記載のサンプル処理装置。
【請求項22】
前記ピペットを用いて前記流体サンプル中の溶解物を希釈すると共に、前記第2ピペットチップを用いて、希釈された流体尿サンプルを各カートリッジの前記光学カップ又はキュベットへと移す可動流体移送アームを更に備える請求項16に記載のサンプル処理装置。
【請求項23】
前記流体サンプル中の溶解物の希釈のために、クリーンな流体を前記流体サンプルに移すシリンジポンプディスペンサ流体システムを更に備える請求項15に記載のサンプル処理装置。
【請求項24】
前記流体サンプルは尿である請求項15に記載のサンプル処理装置。
【請求項25】
流体サンプル中の微生物の同定及び定量のための調製における流体サンプルの処理方法であって、
流体サンプルを得る工程(a)と、
前記流体サンプルを、フィルタを通過させる工程(b)と、
フィルタリング済みの流体サンプルを得て、これを遠心分離管に注入する工程(c)と、
工程(c)のサンプルを遠心分離する工程(1)、工程(1)の遠心分離管中の流体の一部をデカンテーションする工程(2)、及び工程(2)でデカンテーションされた溶液を生理食塩水で置換する工程(3)、を行うことによって、前記流体サンプル中のバクテリアを保持したまま、前記流体サンプル中の溶解物の希釈物を得る工程(d)と、
分析のために工程(4)の最終溶液を光学カップ又はキュベットに移す工程(e)と、
を有する方法。
【請求項26】
前記流体サンプルは尿である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記工程(d)によって、1,000,000:1の希釈物を得る請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記工程(d)における工程(1)のサンプルは、約12,100×gの力で遠心分離される請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記工程(d)における工程(2)では、前記流体の約95%がデカンテーションされる請求項25に記載の方法。
【請求項30】
流体サンプルを分析するための光学分析装置であって、
回転テーブルと、この回転テーブルによって支持されると共に、そのそれぞれが流体サンプルを含むカップ又はキュベットを有する複数のカートリッジを収納するように構成されたマガジンと、を有するドローアと、
各流体サンプルを分析するための光学システムと、
を備える光学分析装置。
【請求項31】
バーコードリーダステーションを更に備える請求項30に記載の光学分析装置。
【請求項32】
前記回転テーブルの下方に配置され、蛍光信号を増大させつつ各流体サンプルの温度を低減させて維持させ、バクテリアの代謝を抑制するように構成された熱制御装置を更に備える請求項30に記載の光学分析装置。
【請求項33】
各流体サンプルの温度を検出し、モニタリングするための赤外線温度センサを更に備える請求項30に記載の光学分析装置。
【請求項34】
前記回転テーブルと、カップ又はキュベットを有する前記複数のカートリッジと、を自動回転させて、前記バーコードリーダステーションと前記光学システムとに対して位置アラインメントさせるための駆動機構を更に備える請求項31に記載の光学分析装置。
【請求項35】
前記光学システムに対して前記ドローアを位置保持するための第1機械式ロックシステムを更に備える請求項30に記載の光学分析装置。
【請求項36】
前記光学システムに対して各カップ又はキュベットを位置保持するための第2機械式ロックシステムを更に備える請求項30に記載の光学分析装置。
【請求項37】
前記光学システムが、励起モジュールユニットと、光収集ユニットと、分光計と、から構成されている請求項30に記載の光学分析装置。
【請求項38】
前記励起モジュールユニットは、複数の励起波長で各流体サンプルに励起信号を連続して提供する複数のLEDモジュールを備え、
前記光収集ユニットはCCD光子検出器であり、
前記分光計はチェルニターナー型分光計である請求項37に記載の光学分析装置。
【請求項39】
前記分光計は、入射スリットと、この入射スリットの近傍に配設された筒状レンズと、追加の光子を前記入射スリットを通るように案内するための鏡面凸ホーン(horns)と、を有する請求項37に記載の光学分析装置。
【請求項40】
前記流体サンプルは尿である請求項37に記載の光学分析装置。
【請求項41】
流体サンプル中の微生物の同定及び定量を行うためのシステムであって、
遠心分離管と、取り外し可能なピペットチップと、未処理流体サンプルのための管と、光学サンプルカップ又はキュベットと、を含む複数の使い捨てコンポーネントを保持する複数の使い捨てカートリッジと、
前記複数の使い捨てカートリッジを受け取るとともに、前記流体サンプルを調製し、これらの流体サンプルを、各前記使い捨てカートリッジの各光学サンプルカップ又はキュベットに移すように構成されたサンプル処理装置と、
前記複数の使い捨てカートリッジを受け取るとともに、前記流体サンプル中に含まれる微生物のタイプと量とを分析する光学分析装置と、
を備えるシステム。
【請求項42】
第2のピペットチップを更に有する請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記ピペットチップは、1.0mLの容量を有する請求項41に記載のシステム。
【請求項44】
前記第2ピペットチップは、0.5mLの容量を有する請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
前記流体サンプルは尿である請求項41に記載のシステム。
【請求項46】
前記ピペットチップが、前記使い捨てカートリッジ内に固定されている請求項1に記載のシステム。
【請求項47】
前記使い捨てカートリッジは、カセット本体を更に有する請求項41に記載のシステム。
【請求項48】
前記カセット本体にはバーコードが付されている請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記光学カップ又はキュベットは、前記流体サンプルの光学分析のために光源が入るテーパード端部と、前記光学分析を増強させるための反射面と、を有する容器を備える請求項41に記載のシステム。
【請求項50】
前記光源は、紫外(UV)光線である請求項49に記載のシステム。
【請求項52】
前記容器は、プラスチック、ガラス及びアルミニウムから成るグループから選択される材料から形成され、前記反射面は、材料コーティング及び材料層から成るグループから選択される請求項49に記載のシステム。
【請求項53】
前記反射面は前記容器の内側反射面である請求項49に記載のシステム。
【請求項54】
前記容器が、使い捨て材料から形成されている請求項49に記載のシステム。
【請求項55】
前記流体サンプルは尿である請求項49に記載のシステム。
【請求項56】
流体サンプル中の微生物のタイプと量とを同定する方法であって、
流体サンプルを得る工程(a)と、
前記流体サンプルを、フィルタを通過させる工程(b)と、
フィルタリング済みの流体サンプルを得て、それを遠心分離管に注入する工程(c)と、
工程(c)のサンプルを遠心分離する工程(1)、工程(1)の遠心分離管中の流体の一部をデカンテーションする工程(2)、及び工程(2)でデカンテーションされた溶液を生理食塩水で置換する工程(3)、を行うことによって、尿サンプル中のバクテリアを保持したまま、前記尿サンプル中の溶解物の希釈物を得る工程(d)と、
工程(4)の最終溶液を光学カップ又はキュベットに移す工程(e)と、
前記光学カップ又はキュベットを、前記流体サンプルを複数の異なる波長で励起し、蛍光発光を収集して検出し、そして前記蛍光発光を分光計に案内することを含む光学装置を用いて、光学分析にかける工程(f)と、
を有する方法。
【請求項57】
前記工程(d)によって、1,000,000:1の希釈物を得る請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記工程(d)における工程(1)のサンプルは、約12,100g×力ので遠心分離される請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記工程(d)における工程(2)では、前記流体の約95%がデカンテーションされる請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記工程(d)における工程(3)の後に、工程(1)、工程(2)、及び工程(3)を繰り返し、その後、分析のために最終溶液を光学カップ又はキュベットに移す工程を更に有する請求項25に記載の方法。
【請求項61】
前記工程(d)における工程(3)の後に、工程(1)、(2)、及び工程(3)を複数回繰り返し、その後、分析のために最終溶液を光学カップ又はキュベットに移す工程を更に有する請求項25に記載の方法。
【請求項62】
前記複数回は少なくとも5回である請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記工程(d)における工程(3)の後に、工程(1)、工程(2)、及び工程(3)を繰り返し、その後、分析のために最終溶液を光学カップ又はキュベットに移す工程を更に有する請求項56に記載の方法。
【請求項64】
前記工程(d)における工程(3)の後に、工程(1)、工程(2)、及び工程(3)を複数回繰り返し、その後、分析のために最終溶液を光学カップ又はキュベットに移す工程を更に有する請求項56に記載の方法。
【請求項65】
前記複数回は少なくとも5回である請求項64に記載の方法。
【請求項66】
各流体サンプルの温度を維持するための熱制御装置を更に備える請求項30に記載の光学分析装置。
【請求項67】
前記複数のLEDモジュールは、少なくとも5つのLEDモジュールである請求項38に記載の光学分析装置。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2011−501132(P2011−501132A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529088(P2010−529088)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/079533
【国際公開番号】WO2009/049171
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(508041013)ポカード・ディアグノスティクス・リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】POCARED DIAGNOSTICS, LTD.
【住所又は居所原語表記】3 HAIM PEKERIS ST., RABIN PARK, REHOVOT 76705, ISRAEL
【Fターム(参考)】